説明

マイクロ流路デバイス、分離装置、並びに、分離方法

【課題】分離効率に優れたマイクロ流路デバイスを提供すること。
【解決手段】流路の一部がフィルター状の隔壁により隔てられている微小流路を有し、前記微小流路は、1つの供給口及び2つの排出口を少なくとも有し、前記供給口と1つの前記排出口とは、前記フィルター状の隔壁を通して接続されており、前記供給口と他の1つの前記排出口とは、前記フィルター状の隔壁を通らず接続されており、前記フィルター状の隔壁は、微小流路の流路方向と平行に設けられていることを特徴とするマイクロ流路デバイス、前記マイクロ流路デバイスを備えた分離装置、及び、分離方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ流路デバイス、分離装置、並びに、分離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粒子分散液から粒子を分離したり濃縮する方法としてはフルイ、分離膜、フィルター等を用いる方法や、ローターとステーターなどからなる遠心力と慣性力のバランスで分級する方法等がある。
また、近年、特許文献1〜3や非特許文献1に記載されているようなマイクロデバイスを用いた分離・濃縮用装置も提案されている。
特許文献1には、懸濁液を取り込む入口ポートと、前記入口ポートに一端が取り付けられた湾曲形状の流路と、前記流路の下流側に取り付けられた複数の分岐流路と、前記分岐流路それぞれの下流側の一端に取り付けられ、前記湾曲形状の流路と前記分岐流路を経た後の懸濁液を排出する複数の出口ポートとを備えたことを特徴とするマイクロチャンネル装置が提案されている。
非特許文献1には、遠心力とフィルター効果を組み合わせたマイクロデバイスが提案されている。
【0003】
また、特許文献2には、少なくとも1枚に凹部が形成された面を有する複数の基材と外部で作製した分離膜とを接合して得られる膜デバイスであって、該分離膜は分離膜の側部および一方の面の一部で、該基材のうちの1枚によって保持され、少なくとも保持された分離膜周辺部で分離膜および基材の接合面側を同一面としたことを特徴とする膜デバイスが提案されている。
さらに、特許文献3には、少なくとも1枚に凹部が形成された複数の基材で分離膜を挟み込むように接合して得られる膜デバイスであって、上流側と下流側の槽となる凹部が同一基材に形成されており、前記分離膜は、その内部を流体が面方向に移動することが可能であり、該流体が前記膜内を面方向に移動することにより前記上流側の凹部と前記下流側の凹部との間を前記流体が移動することを特徴とする膜デバイスが提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−330008号公報
【特許文献2】特開2006−61870号公報
【特許文献3】特開2006−95515号公報
【非特許文献1】Xu Ji et al., TRANSDUCERS & EUROSENSORS '07, 1865-1868.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、連続的に分離を行うことができ、分離効率に優れたマイクロ流路デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、下記<1>乃至<3>によって解決された。
<1>流路の一部がフィルター状の隔壁により隔てられている微小流路を有し、前記微小流路は、1つの供給口及び2つの排出口を少なくとも有し、前記供給口と1つの前記排出口とは、前記フィルター状の隔壁を通して接続されており、前記供給口と他の1つの前記排出口とは、前記フィルター状の隔壁を通らず接続されており、前記フィルター状の隔壁は、微小流路の流路方向と平行に設けられていることを特徴とするマイクロ流路デバイス、
<2>上記<1>に記載のマイクロ流路デバイスを備えた分離装置、
<3>上記<1>に記載のマイクロ流路デバイスを使用して粒子分散液の分離を行う工程を含む分離方法。
【発明の効果】
【0007】
前記<1>に記載の発明によれば、フィルター状の隔壁が微小流路の流路方向と平行に設けられていない場合に比べて、分離効率に優れたマイクロ流路デバイスを提供することができる。
前記<2>に記載の発明によれば、フィルター状の隔壁が微小流路の流路方向と平行に設けられていない場合に比べて、分離効率に優れた分離装置を提供することができる。
前記<3>に記載の発明によれば、フィルター状の隔壁が微小流路の流路方向と平行に設けられていない場合に比べて、分離効率に優れた分離方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本実施形態のマイクロ流路デバイスは、流路の一部がフィルター状の隔壁により隔てられている微小流路を有し、前記微小流路は、1つの供給口及び2つの排出口を少なくとも有し、前記供給口と1つの前記排出口とは、前記フィルター状の隔壁を通して接続されており、前記供給口と他の1つの前記排出口とは、前記フィルター状の隔壁を通らず接続されており、前記フィルター状の隔壁は、微小流路の流路方向と平行に設けられていることを特徴とする。
本実施形態のマイクロ流路デバイスは、分離装置や分離方法における分離手段として好適に用いることができる。
【0009】
本実施形態のマイクロ流路デバイスは、前記フィルター状の隔壁が微小流路の流路方向と平行に設けられていることにより、流体に含まれる粒子がフィルターに詰まりにくく、連続で長時間の使用が可能であり、また、フィルター通過前の大きな粒子側にフィルター通過後の粒子が戻ることが少なく、分離精度が向上するものと推定される。万一、目詰まりが生じた場合でも、前記フィルター状の隔壁を通して接続された排出口の1つから分散媒、或いは気体を供給して、他の排出口を塞ぎ供給口より排出させて流路内部を洗浄する、いわゆる逆洗によって、フィルターに詰まった粒子は除去される。
また、本実施形態のマイクロ流路デバイスは、マイクロ場を利用しているため、フィルターの比面積効果が大きく、分離効率が高く、さらに、フィルターとして使用するフィルター状の隔壁の面積が小さいため、損傷しにくく、開口率を極限まで上げることができるため圧損が小さくなり、処理量を増加することができるものと推定される。
【0010】
本実施形態のマイクロ流路デバイスは、流路の一部がフィルター状の隔壁により隔てられている微小流路を有する。
前記微小流路は、1つの供給口及び2つの排出口を少なくとも有している。前記微小流路は、必要に応じ、2以上の供給口を有していてもよく、また、3以上の排出口を有していてもよい。
また、前記微小流路において、前記供給口と1つの前記排出口とは、前記フィルター状の隔壁を通して接続されており、前記供給口と他の1つの前記排出口とは、前記フィルター状の隔壁を通らず接続されている。すなわち、フィルター状の隔壁により隔てられている微小流路の少なくとも一部分には、1以上の供給口と1以上の排出口とを有しており、前記の部分とは異なるフィルター状の隔壁により隔てられている微小流路の他の少なくとも一部分には、1以上の排出口を有しているか、又は、1以上の排出口と、前記供給口とは異なる1以上の供給口とを有している。
本実施形態のマイクロ流路デバイスが2以上のフィルター状の隔壁を有する場合は、前記微小流路において、前記供給口と1つの前記排出口とは、少なくとも1つの前記フィルター状の隔壁を通して接続されており、前記供給口と他の1つの前記排出口とは、前記フィルター状の隔壁を通らず接続されている。
【0011】
前記供給口及び前記排出口の形状は、特に制限はなく、丸孔、楕円孔、角孔、長孔、十字孔など、必要に応じた形状の開口部とすればよい。
また、前記供給口と前記排出口とは、本実施形態のマイクロ流路デバイスにおいて、形状的な差異は特に必要はなく、同一形状の開口部であっても、異なる形状の開口部であってもよい。
【0012】
また、本実施形態のマイクロ流路デバイスは、例えば、いわゆる逆洗などを行うため、排出口から流体を流し、供給口から排出する操作を行ってもよい。
【0013】
前記フィルター状の隔壁としては、パルプ繊維、プラスチック繊維や金属繊維を織ったメッシュ状フィルター、エッチングや電鋳法により精密加工してフィルター状とした金属フィルター、自己組織化によるプラスチック製のハニカムフィルター、セラミック製フィルターなど各種フィルターが好ましく使用できる。特に効率よく処理するためには、開口率の高いフィルターを用いることが好ましい。
【0014】
ハニカムフィルムフィルターとしては、公知のものを用いることができ、例えば、特開2001−157574号公報、特開2005−262777号公報、特開2007−291367号公報等に記載された開口率の高い自己組織化膜による樹脂製フィルムが例示できる。
製造の容易性の点から、ハニカムフィルムフィルターの孔径は0.1〜50μmであることが好ましく、また、厚さは20μm以下であることが好ましい。
ハニカムフィルムフィルターの材質としては、種々のプラスチックを用いることができ、強度の点から、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリサルホン、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、紫外線硬化性樹脂、ポリジメチルシロキサン、ポリフェニルメチルシロキサン、エポキシ、テフロン(登録商標)、およびポリイミド等が好ましい。
【0015】
金属フィルターとしては、公知のものを用いることができる。
金属フィルターの作製方法としては、特に制限はなく、例えば、エッチング加工法や、エレクトロフォーミング加工法(電鋳法)により精密加工した薄膜パターンとして作製し、他の薄膜パターンと共に積層することにより、複雑な形状のマイクロ流路デバイスでも容易に製造することができる。電鋳法で金属フィルターを作製すると、膜厚を薄くでき、孔径の精度が高く、全体の均一性にも優れ、高精度な分離が可能となるため、好ましい。
金属フィルターの材質としては、種々の金属を用いることができ、また、合金であっても、複数種の金属層を積層したものであっても、表面処理をほどこしたものであってもよい。これらの中でも、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)又は銅(Cu)であることが好ましい。
前記電鋳法により金属フィルターを作製した場合、金属フィルターの膜厚は0.1〜500μmであることが好ましく、また、孔径は0.5〜100μmであることが好ましく、1〜50μmであることがより好ましい。
【0016】
前記フィルター状の隔壁のフィルター孔の形状としては、特に制限はなく、円形、楕円形、多角形などが挙げられるが、これらの中でも、円形、四角形、三角形、及び/又は、六角形であることが好ましい。
前記フィルター状の隔壁のフィルター孔の形状パターンとしては、特に制限はなく、円形、楕円形、多角形などを並べたパターンが挙げられるが、例えば、図1に示すような円形のフィルター孔の形状、図2に示すような三角形のフィルター孔の形状、及び、図3に示すような六角形のフィルター孔の形状を好適に挙げることができる。
また、ほぼ球形の粒子を分級する場合、円形以外の形状の孔であると、フィルター孔が粒子により塞がっても、隙間が生じ、流体が完全に流れなくなることがないため、好ましい。
【0017】
また、前記フィルター状の隔壁のフィルター孔の形状パターンとしては、図4や図5に示すように、フィルター孔1のない部分(補強部3)を前記フィルター状の隔壁の一部に設けることが好ましい。前記補強部を設けることにより、薄い膜厚のフィルター状の隔壁であっても強度を十分得ることができる。また、流路面のみフィルター孔の形状パターンを形成し、流路を形成しない部分は加工しないようにすることもできる。
【0018】
本実施形態のマイクロ流路デバイスが2以上のフィルター状の隔壁を有する場合、供給口から排出口へに向かって、通過するフィルター状の隔壁の孔径が、順に小さくなることが好ましい。上記実施態様であると、種々の粒子径の粒子を含む粒子分散液の分級が一度に可能であり、また、より精度に優れた粒子の分級が可能になる。
また、本実施形態のマイクロ流路デバイスがn個のフィルター状の隔壁を有する場合、n個のフィルター状の隔壁通過後の圧力をPnとした場合、下記式を満たすことが好ましい。
0≧P1≧P2≧・・・≧Pn
【0019】
本実施形態のマイクロ流路デバイスにおいて、マイクロ流路(微小流路)とは、流路径が5,000μm以下の流路をいう。なお、流路径とは、流路の断面積から求めた円相当径(直径)である。
マイクロ流路として、数〜数千μmの流路径を有するデバイスが好ましく用いられる。前記デバイスのマイクロ流路の流路径は、10〜5,000μmであることが好ましく、20〜3,000μmであることがより好ましい。マイクロ流路デバイスは、マイクロスケールの複数の流路(チャネル)を有する反応装置である。デバイスの流路は、マイクロスケールであるので、寸法及び流速がいずれも小さく、レイノルズ数は2,300以下である。したがって、マイクロ流路を有するデバイスは、通常のデバイスのような乱流支配ではなく層流支配のデバイスである。なお、フィルター状の隔壁周辺部分の流路内も層流支配であることが好ましい。
ここで、レイノルズ数(Re)は、下記式で表されるものであり、2,300以下のとき層流支配となる。
Re=uL/ν
(u:流速、L:代表長さ、ν:動粘性係数)
本実施形態のマイクロ流路デバイスにおいて、複数の流路方向と平行に設けられているフィルター状の隔壁を有する流路の長さは、5〜300mmの範囲が好ましく、10〜200mmの範囲がより好ましい。また、複数の流路の間隔は、1〜10,000μmの範囲が好ましく、10〜5,000μmの範囲がより好ましい。
【0020】
なお、マイクロ流路の断面形状は、特に限定されず、円形、楕円形、多角形、だるま形状等、目的に応じて適宜選択することができる。これらの中でも、マイクロ流路の断面形状は円形、楕円形又は矩形であることが好ましく、円形又は矩形であることがより好ましい。
【0021】
本実施形態のマイクロ流路デバイスは、分離用のマイクロ流路デバイスとして好適に使用することができ、粒子分離用のマイクロ流路デバイスとしてより好適に使用することができ、粒径が0.01〜500μmの粒子分離用のマイクロ流路デバイスとしてさらに好適に使用することができる。
なお、本実施形態における「分離」には、分級や濃縮も含まれることは言うまでもない。
【0022】
マイクロ流路デバイスの大きさは、使用目的に応じ適宜設定することができるが、1〜500cm2の範囲が好ましく、10〜300cm2の範囲がより好ましい。また、マイクロ流路デバイスの厚さは、2〜50mmの範囲が好ましく、3〜30mmの範囲がより好ましい。
【0023】
本実施形態のマイクロ流路デバイスは、その用途に応じて、上述した微小流路以外にも、他の微小流路や、反応、混合、精製、分析、洗浄等の機能を有する部位を有していてもよい。
【0024】
本実施形態の分離装置は、本実施形態のマイクロ流路デバイスを備えた分離装置である。
本実施形態の分離方法は、本実施形態のマイクロ流路デバイスを使用して分離を行う工程を含み、本実施形態のマイクロ流路デバイスを使用して粒子分散液の分離を行う工程を含むことが好ましい。
また、本実施形態の分離方法は、本実施形態の分離装置を使用することが好ましい。
【0025】
また、本実施形態の分離装置及び分離方法は、その用途に応じて、本実施形態のマイクロ流路デバイスを複数を組み合わせたり、反応、混合、分離、精製、分析、洗浄等の機能を有する装置や、送液装置、回収装置、他のマイクロ流路デバイス等を組み合わせ、分離装置を好適に構築することができる。
【0026】
本実施形態の分離装置は、粒子の分級装置として好適に使用できる。すなわち、供給口から粒子分散液を供給し、排出口から分級された粒子を排出する分級装置として好適である。
分級する粒子は特に限定されず、樹脂粒子、無機粒子、金属粒子、顔料粒子、セラミック粒子等が例示できる。
前記粒子分散液中の粒子径は、0.01μm以上500μm以下であることが好ましく、0.1μm以上200μm以下であることがより好ましい。粒子径が上記範囲内であると、流路詰まりが抑制でき、かつ、良好な分級効率を得ることができるので好ましい。また、流路内壁への粒子の付着を生じにくいので好ましい。
【0027】
粒子の形状は、特に限定されないが、粒子の長軸長と短軸長との比(長軸長/短軸長)は、1〜50の範囲が好ましく、1〜20の範囲がより好ましい。なお、粒径、粒子形状に合わせて、適宜流路幅を選択することが好ましい。
【0028】
本実施形態の分離方法で用いられる粒子の種類は、以下に列挙したものが可能であるが、それらに限定されるものではない。例えば、高分子粒子(樹脂粒子)、顔料のごとき有機物の結晶あるいは凝集体、無機物の結晶あるいは凝集体、金属粒子、あるいは金属酸化物、金属硫化物、金属窒化物のごとき金属化合物の粒子などである。また、ゴム類、ワックス類(粒子状ワックス)、中空粒子類などの粒子が挙げられる。
【0029】
前記高分子粒子としては、具体的には、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、スチレン−メタクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂等の粒子が挙げられる。
【0030】
また、前記金属あるいは金属化合物の粒子としては、カーボンブラック、亜鉛、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、クロム、チタニウム等の金属、あるいはその合金、TiO2、SnO2、Sb23、In23、ZnO、MgO、酸化鉄等の金属酸化物やこれらの化合物、窒化ケイ素などの金属窒化物などやそれらを組み合わせた粒子が挙げられる。
【0031】
前記ゴム類の粒子としては、ニトリルゴム、スチレンゴム、イソブチレンゴムなどを粒子化したものを用いることができる。粒子化は、乳化重合や冷凍・冷却粉砕などの機械式で行うことができる。
前記粒子状ワックスとしては、樹脂を1995年3月高分子学会発行の反応工学研究界レポート−1「乳化・分散技術と高分子微粒子の粒子径制御 第三章」に記載の、乳化・分散機器等を用いた従来公知のいずれかの方法で微粒子化させたものを用いることができる。
【0032】
また、前記粒子状ワックスは、加温時に相溶し、かつ室温では離型剤を溶解させない適当な溶剤に、離型剤を添加し加熱溶解させた後、室温まで徐々に冷却し、離型剤の微細粒子を析出させる方法(溶解析出法)や、ヘリウムなどの不活性ガス中で離型剤を加熱蒸発させ気相中で粒子を作製した後、この粒子を冷却したフィルム等に付着回収した後に、溶剤に分散させる方法(気相蒸発法)により得られる微粒子ワックス(離型剤)を用いることができる。上述の微粒子ワックスの作製では、さらにメデイア等を用いた機械的粉砕法と組み合わせるとさらに微細化させることが可能である。
【0033】
前記粒子状ワックスの原料となる樹脂としては、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン等の他、ロウ類及びワックス類として、カルナバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス等の植物系ワックス、ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス、オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス、及び、パラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラクタム等の石油ワックス等が挙げられる。またこれら天然ワックスのほかに、フィッシャー・トロプシュワックス等の合成炭化水素ワックスが挙げられる。前記粒子状ワックスの原料となる樹脂としては、これらの中でも低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン等、カルナバワックス、パラフィンが好ましく用いられる。
【0034】
前記中空粒子としては、無機系、有機系の中空粒子を用いることができる。無機系ではシリカ系、シリカ・アルミナ系、有機系では、樹脂系が好ましい。また、粒子内の空隙は一つでも複数でもよい。空隙率は特に限定されないが、20%〜80%であることが好ましく、30%〜70%であることがさらに好ましい。具体的には、例えば、無機系として、日本フィライト(株)のフィライト、巴工業(株)のセノライトが挙げられ、有機系としては、日本フィライト(株)のエクスパンセル、積水化学工業(株)製 ADVAN CELL、JSR社製のSX866(A)、SX866(B)、日本ゼオン(株)製 Nipol MH5055などが挙げられる。前記中空粒子としては、これらの中でも日本フィライト(株)のエクスパンセルが好ましく用いられる。特に、エクスパンセルDUなどの熱膨張性の粒子は、適度な加熱により、所望の大きさに膨張させて用いる。
【0035】
さらに、これら粒子は、その製法は多岐に渉り、合成により液体媒体中で微粒子を作製し、そのまま粒子の分級を行ってもよく、塊状物を機械的に解砕して作製した粒子を液体媒体中に分散してもよい。この場合は、液体媒体中で解砕することが多く、そのまま分級される。
【0036】
一方、乾式で作製された粒子(粉体)を分級する場合には、予め、液体媒体に分散しておく必要がある。媒体中に乾燥粉体を分散させる方法としては、サンドミル、コロイドミル、アトライター、ボールミル、ダイノーミル、高圧ホモジナイザー、超音波分散機、コボールミル、ロールミル等が挙げられるが、この際、分散によって1次粒子が粉砕されない条件で行うことが好ましい。
【0037】
本実施形態において、前記粒子分散液における粒子の含有率は、0.001〜40体積%であることが好ましく、0.01〜25体積%であることがより好ましい。前記粒子分散液における粒子の割合が0.001体積%以上であると、回収が良好であり、40体積%以下であると、目詰まりを生じにくいので好ましい。
【0038】
なお、本実施形態において、前記粒子の体積平均粒径は、下記粒径(5μm以下)の場合を除き、コールターカウンターTA−II型(ベックマン・コールター社製)を用いて測定した値である。この場合、粒子の粒径レベルにより、最適なアパーチャーを用いて測定した。しかし、粒子の粒径が5μm以下の場合は、レーザ回折散乱式粒度分布測定装置(LA−920、(株)堀場製作所製)を用いて測定した。
【0039】
以下に図面を参照しながら、本実施形態について述べる。
図6は、本実施形態の分離装置の一実施態様を示す概念図である。
図6に示す分離装置10は、本実施形態のマイクロ流路デバイス12を有する。前記マイクロ流路デバイス12は、1つの供給口14及び2つの排出口16及び18を有する。前記供給口14には、流路L1を介して容器20中の流体Aが供給される。前記排出口16には、流路L2が接続されており、分離された流体Bを容器22に貯めることができる。また、前記排出口18には、流路L3が接続されており、分離された流体Cを容器20へと戻すことができる。
図6に示す分離装置10は、本実施形態のマイクロ流路デバイス12を用いることにより、流体Aを流体B及び流体Cへと分離することができる分離装置である。なお、前記供給口14と前記排出口16とは、フィルター状の隔壁を通して接続されており、前記供給口14と前記排出口18とは、フィルター状の隔壁を通さず接続されている。
【0040】
容器20は、撹拌手段等を備えていてもよく、例えば、図6に示すような撹拌翼24及び回転軸26を備えたモーター28などが例示できる。
また、容器20は、供給手段等を備えていてもよく、図6に示す分離装置では、流路L4により所望の流体や固体等を供給することができる。
流路L1〜L4は、圧力調節手段を備えることができる。例えば、図6に示すように、前記L1にはポンプP、圧力検出器PI、弁30、安全弁32及び背圧弁34が備えられている。また、各流路L2〜L4には、弁30が備えられており、流路L2にはさらに圧力検出器PIが備えられている。
【0041】
図7は、本実施形態のマイクロ流路デバイスの一実施態様であるマイクロ流路デバイス12を示す模式図である。
図7に示すマイクロ流路デバイス12は、薄膜パターン基板a1〜a7を順に積層したものであり、薄膜パターン基板a1側の面には供給口14及び排出口18を有し、薄膜パターン基板a7側の面には排出口16(不図示)を有する。
マイクロ流路デバイス12は、後述する電鋳法により薄膜パターン基板を積層し、容易に作製することができる。以下、「薄膜パターン基板」を単に「薄膜パターン」ともいう。
【0042】
図8は、マイクロ流路デバイス12を形成する薄膜パターンa1〜a7を示す模式図である。
図9は、図7に示すマイクロ流路デバイス12を排出口16及び18を通るx1−x2面で切断した断面模式図である。
図10は、図7に示すマイクロ流路デバイス12をマイクロ流路デバイスの中央部分を通るy1−y2面で切断した断面模式図である。
【0043】
薄膜パターンa1には、断面が円形の2つの開口部(供給口14及び排出口18)が設けられている。
薄膜パターンa2には、断面が長方形の2つの開口部(流路50及び52)が設けられている。流路50は、その中央部において供給口14と接続するように設けられており、また、流路52は、その中央部において排出口18と接続するように設けられている。
薄膜パターンa3には、断面が長方形の5つの開口部(流路54a〜54e)が設けられている。流路54a〜54eはそれぞれ、端部で流路50及び52と接続するように設けられている。また特に、流路54aは、流路50の端部及び流路52の端部と接続するように設けられており、流路54eは、流路50の前記とは反対側の端部及び流路52の前記とは反対側の端部と接続するように設けられている。
薄膜パターンa4には、フィルター状の隔壁56a〜56eが設けられている。フィルター状の隔壁56a〜56eは、流路54a〜54eとそれぞれ同様の形状である。
薄膜パターンa5には、断面が長方形の5つの開口部(流路58a〜58e)が設けられており、その位置や形状は薄膜パターンa3と同じである。
薄膜パターンa6には、断面が長方形の1つの開口部(流路60)が設けられている。流路60は、流路58a〜58eの端部とそれぞれ接続するように設けられており、特に、流路58aとは、流路60の端部と接続するように設けられており、流路58eとは、流路60の前記とは反対側の端部と接続するように設けられている。
薄膜パターンa7には、断面が円形の1つの開口部(排出口16)が設けられている。排出口16は、流路60の中央部と接続するように設けられている。
【0044】
図11は、本実施形態の分離装置の他の一実施態様を示す概念図である。
図11に示す分離装置100は、本実施形態のマイクロ流路デバイス102を有する。前記マイクロ流路デバイス102は、1つの供給口104及び3つの排出口106、108及び110を有する。前記供給口104には、流路L5を介して容器112中の流体Dが供給される。前記排出口106には、流路L6が接続されており、分離された流体Eを容器114に貯めることができる。前記排出口108には、流路L7が接続されており、分離された流体Fを容器116に貯めることができる。また、前記排出口110には、流路L8が接続されており、分離された流体Gを容器112へと戻すことができる。
図11に示す分離装置100は、本実施形態のマイクロ流路デバイス102を用いることにより、流体Dを流体E、流体F及び流体Gへと分離することができる分離装置である。なお、前記供給口104と前記排出口106とは、2つのフィルター状の隔壁を通して接続されており、前記供給口104と前記排出口108とは、1つのフィルター状の隔壁を通して接続されており、前記供給口104と前記排出口110とは、フィルター状の隔壁を通さず接続されている。
【0045】
容器112は、撹拌手段等を備えていてもよく、例えば、図11に示すような撹拌翼118及び回転軸120を備えたモーター122などが例示できる。
また、容器112は、供給手段等を備えていてもよく、図11に示す分離装置では、流路L9により所望の流体や粒子等を供給することができる。
流路L5〜L9は、圧力調節手段を備えることができる。例えば、図11に示すように、前記L5にはポンプP、圧力検出器PI、弁124、安全弁126及び背圧弁128が備えられている。また、各流路L6〜L9には、弁124が備えられており、流路L6及び流路L7にはさらに圧力検出器PIが備えられている。
【0046】
図12は、本実施形態のマイクロ流路デバイスの他の一実施態様であるマイクロ流路デバイス102を示す模式図である。
図12に示すマイクロ流路デバイス102は、薄膜パターンb1〜b9を順に積層したものであり、薄膜パターンb1側の面には供給口104及び排出口110を有し、薄膜パターンb9側の面には排出口106及び108(不図示)を有する。
マイクロ流路デバイス102は、後述する電鋳法により薄膜パターンを積層し、容易に作製することができる。
【0047】
図13は、マイクロ流路デバイス102を形成する薄膜パターンb1〜b9を示す上面模式図である。
図14は、図12に示すマイクロ流路デバイス102をマイクロ流路デバイスの中央部分を通るx3−x4面で切断した断面模式図である。
図15は、図12に示すマイクロ流路デバイス102をマイクロ流路デバイスの中央部分を通るy3−y4面で切断した断面模式図である。
【0048】
薄膜パターンb1には、2つの断面が円形の開口部、すなわち、2つの円筒形の開口部(供給口104及び排出口110)が設けられている。
薄膜パターンb2には、長方形の中央部が円形状に膨らんだ形状の断面である2つの開口部(流路150及び152)が設けられている。流路150は、その中央部の円形状部分において供給口104と接続するように設けられており、また、流路152は、その中央部の円形状部分において排出口110と接続するように設けられている。
薄膜パターンb3には、断面が長方形の2つの開口部(流路154及び156)が設けられており、流路154と流路156とを接続する断面が長方形の5つの開口部(流路158a〜158e)が設けられている。各流路158a〜158e間の間隔は、均等である。また、流路154は、流路150と接続するように設けられており、また、流路156は、流路152と接続するように設けられている。
薄膜パターンb4には、流路158a〜158eと同様の形状である、断面が長方形の5つのフィルター状の隔壁160a〜160eが設けられている。各フィルター状の隔壁160a〜160eはそれぞれ、流路158a〜158eと接続するように設けられている。
【0049】
薄膜パターンb5には、断面が長方形の5つの開口部(流路162a〜162e)が設けられており、さらに、流路162a〜162eの各端部で接続する、長方形の両端部が円形状に膨らんだ形状の断面である1つの開口部(流路164)が設けられている。各流路162a〜162eはそれぞれ、フィルター状の隔壁160a〜160eと接続するように設けられている。
薄膜パターンb6には、各フィルター状の隔壁160a〜160eの一方の端部から長辺の長さが短くなっている以外は同様の形状である、断面が長方形の5つのフィルター状の隔壁166a〜166eが設けられている。各フィルター状の隔壁166a〜166eはそれぞれ、流路162a〜162eと接続するように設けられている。また、薄膜パターンb6には、断面が円形の2つの開口部(流路168及び170)が設けられている。流路168及び170は、流路164における円形状に膨らんだ2つの端部とそれぞれ接続するように設けられている。
前記フィルター状の隔壁160a〜160eの孔径は、前記フィルター状の隔壁166a〜166eの孔径よりも大きい。
【0050】
薄膜パターンb7には、各フィルター状の隔壁166a〜166eと同様の形状である、断面が長方形の5つの開口部(流路172a〜172e)が設けられており、さらに、流路172a〜172eの各端部で接続する、断面が長方形の1つの開口部(流路174)が設けられている。各流路172a〜172eはそれぞれ、フィルター状の隔壁166a〜166eと接続するように設けられている。また、薄膜パターンb7には、長方形の中央部及び両端部が円形状に膨らんだ形状の断面である1つの開口部(流路176)が設けられている。流路176は、流路168及び170と端部においてそれぞれ接続するように設けられている。
薄膜パターンb8には、長方形の中央部が円形状に膨らんだ形状の断面である1つの開口部(流路178)が設けられている。流路178は、流路174と接続するように設けられている。また、薄膜パターンb8には、断面が円形の1つの開口部(流路180)が設けられている。流路180は、流路176における円形状に膨らんだ中央部と接続するように設けられている。
薄膜パターンb9には、断面が円形の2つの開口部(排出口106及び108)が設けられている。排出口106は、流路178における円形状に膨らんだ中央部と接続するように設けられており、また、排出口108は、流路180と接続するように設けられている。
【0051】
図13に示すマイクロ流路デバイス102を用いることにより、例えば、フィルター状の隔壁160a〜160eのフィルター孔径を大きいものとし、フィルター状の隔壁166a〜166eのフィルター孔径を小さいものとし、種々の粒径の粒子を含む流体を供給口110から導入した場合、排出口106からは平均粒径の小さい粒子を含む流体が、排出口108からは平均粒径が中程度の粒子を含む流体が、排出口110からは平均粒径の大きい粒子を含む流体がそれぞれ排出される。
【0052】
図16は、本実施形態のマイクロ流路デバイスの他の一実施態様であるマイクロ流路デバイスを形成する薄膜パターンc1〜c5を示す上面模式図である。
前記マイクロ流路デバイスは、薄膜パターンc1〜c5を順に積層したものであり、薄膜パターンc1側の面には供給口202及び排出口204を有し、薄膜パターンc5側の面には排出口206を有する。
前記マイクロ流路デバイスは、特に、樹脂製ハニカムフィルムフィルターのように弾力性があり、密着性の高いフィルターを使用する場合には、図16に示すような流路パターンを有する2枚の基板の間にフィルターを挟みこんで、固定治具で締付けて固定することにより容易に製造することができる。
図16に示すマイクロ流路デバイスは、流路が波状になっているが、流路方向と平行にフィルター状の隔壁が設けられている。また、流路を波状にすることにより、マイクロ流路デバイスにおける面積あたりの流路長を長くすることができ、分離効率をより向上することができる。
【0053】
薄膜パターンc1には、断面が円形の2つの開口部(供給口202及び排出口204)が設けられている。
薄膜パターンc2には、2つの端部が円形状に膨らんでおり、かつ幅が一定の波形の断面形状である1つの開口部(流路208)が設けられている。流路208は、各端部においてそれぞれ供給口202及び排出口204と接続するように設けられている。
薄膜パターンc3は、その全てがフィルター状の隔壁210である。
薄膜パターンc4は、薄膜パターンc2と同一の形状であり、流路208と同一の形状の、2つの端部が円形状に膨らんでおり、かつ幅が一定の波形の断面形状である1つの開口部(流路212)が設けられている。
薄膜パターンc5には、断面が円形の1つの開口部(排出口206)が設けられている。排出口206は、流路212の1つの端部と接続するように設けられている。
【0054】
本実施形態のマイクロ流路デバイスの製造方法は、特に限定されず、公知のいずれの方法により作製してもよい。
本実施形態のマイクロ流路デバイスは、固体基板上に微細加工技術により作製することもできる。
固体基板として使用される材料の例としては、金属、シリコン、テフロン(登録商標)、ガラス、セラミックス及びプラスチックなどが挙げられる。中でも、金属、シリコン、テフロン(登録商標)、ガラス及びセラミックスが、耐熱、耐圧、耐溶剤性及び光透過性の観点から好ましく、特に好ましくはガラスである。
【0055】
流路を作製するための微細加工技術は、例えば、「マイクロリアクタ−新時代の合成技術−」(2003年、(株)シーエムシー出版刊、監修:吉田潤一)、「微細加工技術 応用編−フォトニクス・エレクトロニクス・メカトロニクスへの応用−」(2003年、(株)エヌ・ティー・エス刊、高分子学会 行事委員会編)等に記載されている方法を挙げることができる。
【0056】
代表的な方法を挙げれば、X線リソグラフィを用いるLIGA技術、EPON SU−8を用いた高アスペクト比フォトリソグラフィ法、マイクロ放電加工法(μ−EDM)、Deep RIEによるシリコンの高アスペクト比加工法、Hot Emboss加工法、光造形法、レーザ加工法、イオンビーム加工法、及び、ダイアモンドのような硬い材料で作られたマイクロ工具を用いる機械的マイクロ切削加工法などがある。これらの技術を単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。好ましい微細加工技術は、X線リソグラフィを用いるLIGA技術、EPON SU−8を用いた高アスペクト比フォトリソグラフィ法、マイクロ放電加工法(μ−EDM)、及び、機械的マイクロ切削加工法である。
【0057】
本実施形態に用いられる流路は、シリコンウエハ上にフォトレジストを用いて形成したパターンを鋳型とし、これに樹脂を流し込み固化させる(モールディング法)ことによっても作製することができる。モールディング法には、ポリジメチルシロキサン(PDMS)又はその誘導体に代表されるシリコーン樹脂を使用することができる。
【0058】
また、本実施形態のマイクロ流路デバイスを製造する際、接合技術を用いることができる。通常の接合技術は大きく固相接合と液相接合に分けられ、一般的に用いられている接合方法としては、固相接合として圧接や拡散接合、液相接合として溶接、共晶接合、はんだ付け、接着等が代表的な接合方法として挙げられる。
【0059】
さらに、接合に際しては高温加熱による材料の変質や変形による流路等の微小構造体の破壊を伴わない寸法精度を保った高度に精密な接合方法が望ましく、その技術としてはシリコン直接接合、陽極接合、表面活性化接合、水素結合を用いた直接接合、HF水溶液を用いた接合、Au−Si共晶接合、ボイドフリー接着などが挙げられる。
【0060】
本実施形態のマイクロ流路デバイスは、パターン基板(薄膜パターン基板)を積層して形成することが好ましい。なお、パターン基板の厚さは1〜50μmであることが好ましく、5〜30μmであることがより好ましい。
本実施形態のマイクロ流路デバイスは、所定の二次元パターンが形成されたパターン基板が積層されて形成されたものあることが好ましく、パターン基板の面同士が直接接触して接合された状態で積層されていることがより好ましい。
【0061】
本実施形態のマイクロ流路デバイスの好ましい製造方法としては、エレクトロフォーミング加工法(電鋳法)を用いて作製することが好ましく、例えば、
(i)第1の基板上に目的とするマイクロ流路デバイスの各断面形状に対応した複数のパターン基板を形成する工程(ドナー基板作製工程)、及び、
(ii)前記複数のパターン基板が形成された前記第1の基板と第2の基板との接合及び離間を繰り返すことにより前記第1の基板上の前記複数のパターン基板を前記第2の基板上に転写する工程(接合工程)、
を含むことを特徴とするマイクロ流路デバイスの製造方法が例示でき、また、特開2006−187684号公報に記載の製造方法を参照できる。
【0062】
本実施形態のマイクロ流路デバイスの製造方法についてさらに詳述する。
ドナー基板作製工程におけるドナー基板とは、第1の基板上に目的とするマイクロ流路デバイスの各断面形状に対応した複数のパターン基板が形成された基板である。第1の基板は、金属、セラミックス又はシリコンから形成されていることが好ましく、ステンレス等の金属が好適に使用できる。
まず、第1の基板を準備し、第1の基板上に厚膜フォトレジストを塗布し、作製するマイクロ流路デバイスの各断面形状に対応したフォトマスクにより露光し、フォトレジストを現像して各断面形状のポジネガ反転したレジストパターンを形成する。次に、このレジストパターンを有する基板をめっき浴に浸漬し、フォトレジストに覆われていない金属基板の表面に例えばニッケルめっきを成長させる。パターン基板は電鋳法を用いて、銅又はニッケルにより形成されていることが好ましい。
次に、レジストパターンを除去することにより、第1の基板上にマイクロ流体デバイスの各断面形状に対応したパターン基板を形成する。
【0063】
接合工程とは、複数のパターン基板が形成された前記第1の基板(ドナー基板)と第2の基板(ターゲット基板)との接合及び離間を繰り返すことにより前記ドナー基板上の前記複数のパターン基板を前記ターゲット基板上に転写する工程である。接合は、常温接合により行われることがより好ましい。「常温接合」とは、室温で原子同士を直接接合することをいう。常温接合によれば、常温接合される薄膜の形状や厚みの変化が少なく、高精度な機械デバイスが得られる。
また、薄膜パターン基板を接合する前に、その表面に中性原子ビーム、イオンビーム等を照射して表面を清浄化するのが好ましい。清浄化により表面が活性化して強固な接合が得られる。
【0064】
図17(a)から(f)は、本実施形態に好適に使用できるマイクロ流路デバイスの製造方法の一実施態様を示す製造工程図である。
次に、図17(a)に示すように、上記ドナー基板405を真空槽内の図示しない下部ステージ上に配置し、ターゲット基板410を真空層内の図示しない上部ステージ上に配置する。続いて、真空槽内を排気して高真空状態あるいは超高真空状態にする。次に、下部ステージを上部ステージに対して相対的に移動させてターゲット基板410の直下にドナー基板405の1層目のパターン基板401Aを位置させる。次に、ターゲット基板410の表面、及び第1層目のパターン基板401Aの表面にアルゴン原子ビームを照射して清浄化する。
【0065】
次に、図17(b)に示すように、上部ステージを下降させ、所定の荷重力(例えば、10kgf/cm2)でターゲット基板410とドナー基板405とを所定の時間(例えば、5分間)押圧し、ターゲット基板410と1層目のパターン基板401Aとを常温接合(表面活性化接合)する。本実施の形態では、パターン基板401A、401B・・・の順に積層する。
【0066】
次に、図17(c)に示すように、上部ステージを上昇させて、ドナー基板405とターゲット基板410を離間させると、1層目のパターン基板401Aが金属基板(第1の基板)400から剥離し、ターゲット基板410側に転写される。これは、1層目のパターン基板401Aとターゲット基板410との密着力が1層目のパターン基板401Aと金属基板(第1の基板)400との密着力よりも大きいからである。
【0067】
次に、図17(d)に示すように、下部ステージを移動させ、ターゲット基板410の直下にドナー基板405上の2層目のパターン基板401Bを位置させる。次に、ターゲット基板410側に転写された1層目のパターン基板401Aの表面(金属基板400に接触していた面)、及び、2層目のパターン基板401Bの表面を前述したように清浄化する。
【0068】
次に、図17(e)に示すように、上部ステージを下降させ、1層目のパターン基板401Aと2層目のパターン基板401Bを接合させ、図17(f)に示すように、上部ステージを上昇させると、2層目のパターン基板401Bが金属基板(第1の基板)400から剥離し、ターゲット基板410側に転写される。
【0069】
他のパターン基板も同様に、ドナー基板405とターゲット基板410との位置決め、接合及び離間を繰り返すことにより、マイクロ流路デバイスの各断面形状に対応した複数のパターン基板がターゲット基板上に転写される。ターゲット基板410上に転写された積層体を上部ステージから取り外し、ターゲット基板410を除去すると、マイクロ流路デバイスが得られる。
【0070】
上記各実施の形態では、ドナー基板を、電鋳法を用いて作製したが、半導体プロセスを用いて作製してもよい。例えば、Siウェハからなる基板を準備し、この基板上にポリイミドからなる離型層をスピンコーティング法により着膜し、この離型層の表面にマイクロ流路デバイスの構成材料となるAl薄膜をスパッタ法により着膜し、Al薄膜をフォトリソグラフィ法によりパターニングすることにより、ドナー基板を作製することもできる。
【実施例】
【0071】
以下、実施例及び比較例に基づいて本実施形態をより具体的に説明するが、本実施形態は、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例において「部」は「重量部」を意味する。
【0072】
<図7〜図10に示すマイクロ流路デバイスの作製>
前記電鋳法によって、材質としてAlを使用し、図7〜図10に示すマイクロ流路デバイスを作製した。また、各薄膜パターン基板の接合は、常温接合により行った。
各薄膜パターン基板a1〜a7の外形は、30mm×15mm×0.5mmtとした。
薄膜パターン基板a1には、供給口14及び排出口18として、薄膜パターン基板a1の短辺方向中央(端から7.5mm)で長辺方向の端から4.5mmの位置を断面の円の中心とし、それぞれ2mmφ、1.5mmφの断面の円形である貫通孔を設けた。
薄膜パターン基板a2には、流路50及び52として、薄膜パターン基板a2の短辺方向の両端から2.5mm、長辺方向の端から4mmに貫通孔端部が位置するように、それぞれ10mm×1mm×0.5mmtの孔(貫通孔)を設けた。
薄膜パターン基板a3における流路54a〜54eの大きさは、22mm×0.5mm×0.5mmtの大きさの貫通孔とした。流路54a〜54eの長辺方向の端部は、薄膜パターン基板a3の長辺方向の両端部からそれぞれ4mmの位置とした。流路54a及び54eの短辺方向の端部は、薄膜パターン基板a3の短辺方向の両端部からそれぞれ2.5mmの位置とした。また、流路54a〜54eにおける短辺方向の4つの間隔は、それぞれ同一の間隔とした。
薄膜パターン基板a4におけるフィルター状の隔壁56a〜56eは、薄膜パターン基板a3における流路54a〜54eとそれぞれ同一の形状で設けた。フィルター状の隔壁56a〜56eの孔径は、15μmとした。また、フィルター状の隔壁56a〜56eの孔の形状は、円形とした。このフィルターの開口率は47%だった。
薄膜パターン基板a5における流路58a〜58eは、薄膜パターン基板a3における流路54a〜54eとそれぞれ同一の形状で設けた。
薄膜パターン基板a6には、流路60として、薄膜パターン基板a6の短辺方向の一端から2.5mm、長辺方向の端から4mmに貫通孔端部が位置するように、10mm×1mm×0.5mmtの孔(貫通孔)を設けた。
薄膜パターン基板a7には、排出口16として、薄膜パターン基板a7の短辺方向中央(端から7.5mm)で長辺方向の一端から4.5mmの位置を断面の円の中心とし、1.5mmφの断面の円形である貫通孔を設けた。
【0073】
<図12〜図15に示すマイクロ流路デバイスの作製>
前記電鋳法によって、材質としてNiを使用し、図12〜図15に示すマイクロ流路デバイスを作製した。また、各薄膜パターン基板の接合は、常温接合により行った。
各薄膜パターン基板b1〜b9の外形は、30mm×15mm×0.5mmtとした。
薄膜パターン基板b1には、供給口104及び排出口110として、薄膜パターン基板b1の短辺方向中央(端から7.5mm)で長辺方向の端から4.5mmの位置を断面の円の中心とし、それぞれ1.5mmφの断面の円形である貫通孔を設けた。
薄膜パターン基板b2には、流路150及び152として、薄膜パターン基板b2の短辺方向の両端から2.5mm、長辺方向の端から4mmに貫通孔端部が位置する10mm×1mmの断面が長方形の孔の中央を断面が1.5mmφの円で膨らませた形状の貫通孔をそれぞれ設けた。
薄膜パターン基板b3には、流路154及び156として、薄膜パターン基板b3の短辺方向の両端から2.5mm、長辺方向の端から4mmに貫通孔端部が位置するように、それぞれ10mm×1mm×0.5mmtの貫通孔をそれぞれ設けた。
また、薄膜パターン基板b3には、流路158a〜158eとして、流路154と流路156との間に、流路154及び156と接続した20mm×0.5mm×0.5mmtの貫通口を薄膜パターン基板b3の長手方向と平行に5つ、流路間の間隔が1mmで設けた。
【0074】
薄膜パターン基板b4におけるフィルター状の隔壁160a〜160eは、薄膜パターン基板b3における流路158a〜158eとそれぞれ同一の形状で設けた。フィルター状の隔壁160a〜160eの孔径は、15μmとした。また、フィルター状の隔壁160a〜160eの孔の形状は、三角形とした。このフィルターの開口率は55%だった。
薄膜パターン基板b5における流路162a〜162eは、薄膜パターン基板b3における流路158a〜158eとそれぞれ同一の形状で設けた。
薄膜パターン基板b5には、流路164として、薄膜パターン基板b5の短辺方向の両端から2.5mm、長辺方向の端から4mmに貫通孔端部が位置するように、10mm×1mmの断面が長方形の孔の両端部を断面が1.5mmφの円で膨らませた形状の貫通孔を設けた。
薄膜パターン基板b6におけるフィルター状の隔壁166a〜166eは、大きさが20mm×0.5mm×0.5mmtであり、かつ長辺方向の端の位置が、薄膜パターン基板b6の長辺方向の一端から5mm、他端から10mmの位置であること以外は、薄膜パターン基板b3における流路158a〜158eとそれぞれ同一の形状で設けた。フィルター状の隔壁166a〜166eの孔径は、10μmとした。また、フィルター状の隔壁166a〜166eの孔の形状は、正六角形とした。このフィルターの開口率は65%だった。
薄膜パターン基板b6には、流路168及び170として、薄膜パターン基板b6の短辺方向の各端から2.5mmで長辺方向の一端から4.5mmの位置を断面の円の中心とし、それぞれ1.5mmφの断面の円形である貫通孔を設けた。
【0075】
薄膜パターン基板b7における流路172a〜172eは、薄膜パターン基板b6におけるフィルター状の隔壁166a〜166eとそれぞれ同一の形状で設けた。
薄膜パターン基板b7における流路174は、薄膜パターン基板b7の短辺方向の一端から2.5mm、長辺方向の端から9mmに貫通孔端部が位置するように、10mm×1mm×0.5mmtの孔(貫通孔)を設けた。
薄膜パターン基板b7には、流路176として、薄膜パターン基板b7の短辺方向の両端から2.5mm、長辺方向の一端から4mmに貫通孔端部が位置する10mm×1mmの断面が長方形の孔の中央及び両端部を、断面が1.5mmφの円で膨らませた形状の貫通孔を設けた。
薄膜パターン基板b8には、流路178として、薄膜パターン基板b8の短辺方向の両端から2.5mm、長辺方向の一端から9mmに貫通孔端部が位置する10mm×1mmの断面が長方形の孔の中央を、断面が1.5mmφの円で膨らませた形状の貫通孔を設けた。
薄膜パターン基板b8には、流路180として、薄膜パターン基板b8の短辺方向中央(端から7.5mm)で長辺方向の一端から4.5mmの位置を断面の円の中心とし、1.5mmφの断面の円形である貫通孔を設けた。
薄膜パターン基板b9には、排出口106として、薄膜パターン基板b9の短辺方向中央(端から7.5mm)で長辺方向の一端から9.5mmの位置を断面の円の中心とし、1.5mmφの断面の円形である貫通孔を設けた。
薄膜パターン基板b9には、排出口108として、薄膜パターン基板b9の短辺方向中央(端から7.5mm)で長辺方向の一端から4.5mmの位置を断面の円の中心とし、1.5mmφの断面の円形である貫通孔を設けた。
【0076】
<図16に示すマイクロ流路デバイスの作製>
材質としてCuを使用し、図16に示すマイクロ流路デバイスの薄膜パターン基板c1、c2、c4及びc5を作製した。
図18に示す特開2007−291367号公報の実施例1記載の方法により作製した多孔フィルム(ハニカムフィルム)を走査型電子顕微鏡で測定したフィルター孔径D1が10μm、孔径の変動係数が3.5%、孔の間隔L2が13μm、開口率53%、膜の厚さL1が9.5μmのポリアルキルアクリルアミドとポリ(ε−カプロラクトン)とからなる樹脂製多孔フィルムを薄膜パターン基板c3として使用した。ここで、各薄膜パターン基板の接合は、各薄膜パターン基板c1〜c5をネジ(不図示)で締め付けて固定するように締め付け治具(不図示)を用いて固定し、多孔フィルムから液漏れが生じないようにして使用した。
【0077】
(実施例1)
スチレン−n−ブチルアクリレート樹脂粒子分散液(組成比75:25、重量平均分子量35,000)の分級を行った。前記樹脂の比重は1.08であり、平均粒子径5μm、10μm、そして20μmの粒子を、それぞれ体積比8:1:1の割合で混合して、イオン交換水と分散処理し、濃度10体積%の樹脂粒子分散液とした。コールターカウンターTA−II型(ベックマン−コールター社製)により測定した前記樹脂粒子分散液の粒度分布データは、大きい5μmのピークと10μm及び20μmの小さい2つのピークを有する粒度分布を示した。
図6に示す分離装置を用いて、前記樹脂粒子分散液の分離濃縮処理を行った。マイクロ流路デバイスは、前記で作製した図7〜図10に示すマイクロ流路デバイスを使用した。ポンプは、モーノポンプ(CY04F型:兵神装備(株)製)を使用し、配管バルブを調整して、P1、P2の圧力がそれぞれ100kPa、50kPaとなるように送液した。図6の容器22に回収された樹脂粒子分散液の粒度分布を前記コールターカウンターTA−II型により測定した結果、20μmの粒子ピークがなく、小さい10μmと大きい5μmの2つの粒子ピークを有する粒度分布を示した。
【0078】
(実施例2)
図11に示す分離装置を用いて、前記樹脂粒子分散液の分離濃縮処理を行った。マイクロ流路デバイスは、前記で作製した図12〜図15に示すマイクロ流路デバイスを使用した。実施例1と同様に、前記無脈動定量ポンプを使用し、配管バルブを調整して、流路L5での圧力P1、流路L7での圧力P2、流路L6での圧力P3がそれぞれ200kPa、100kPa、70kPaとなるように送液した。図11の容器116及び容器114に回収された樹脂粒子分散液の粒度分布を前記コールターカウンターTA−II型により測定した結果、容器116に回収された樹脂粒子分散液は20μmの粒子ピークがなく、小さい10μmと大きい5μmの2つの粒子ピークを有する粒度分布を示し、容器114に回収された樹脂粒子分散液は10μmと20μmの粒子ピークがない5μmの粒子ピークのみの分布を示した。
【0079】
(実施例3)
図6に示す分離装置を用いて、マイクロ流路デバイスは、前記で作製した図16に示すマイクロ流路デバイスを用いた。実施例1と同様に、前記モーノポンプを使用し、配管バルブを調整して、流路L1での圧力P1、流路L2での圧力P2がそれぞれ10kPa、5kPaとなるように送液した。図6の容器22に回収された樹脂粒子分散液の粒度分布を前記コールターカウンターTA−II型により測定した結果、20μmの粒子ピークがなく、10μmの非常に小さいピークと5μmの大きいピークを有する粒度分布を示した。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本実施形態のマイクロ流路デバイスにおけるフィルター状の隔壁のフィルター孔の形状パターンの一例を示す模式図である。
【図2】本実施形態のマイクロ流路デバイスにおけるフィルター状の隔壁のフィルター孔の形状パターンの他の一例を示す模式図である。
【図3】本実施形態のマイクロ流路デバイスにおけるフィルター状の隔壁のフィルター孔の形状パターンの他の一例を示す模式図である。
【図4】本実施形態のマイクロ流路デバイスにおけるフィルター状の隔壁のフィルター孔の形状パターンの他の一例を示す模式図である。
【図5】本実施形態のマイクロ流路デバイスにおけるフィルター状の隔壁のフィルター孔の形状パターンの他の一例を示す模式図である。
【図6】本実施形態の分離装置の一実施態様を示す概念図である。
【図7】本実施形態のマイクロ流路デバイスの一実施態様であるマイクロ流路デバイス12を示す模式図である。
【図8】マイクロ流路デバイス12を形成する薄膜パターンa1〜a7を示す模式図である。
【図9】図7に示すマイクロ流路デバイス12を排出口16及び18を通るx1−x2面で切断した断面模式図である。
【図10】図7に示すマイクロ流路デバイス12をマイクロ流路デバイスの中央部分を通るy1−y2面で切断した断面模式図である。
【図11】本実施形態の分離装置の他の一実施態様を示す概念図である。
【図12】本実施形態のマイクロ流路デバイスの他の一実施態様であるマイクロ流路デバイス102を示す模式図である。
【図13】マイクロ流路デバイス102を形成する薄膜パターンb1〜b9を示す上面模式図である。
【図14】図12に示すマイクロ流路デバイス102をマイクロ流路デバイスの中央部分を通るx3−x4面で切断した断面模式図である。
【図15】図12に示すマイクロ流路デバイス102をマイクロ流路デバイスの中央部分を通るy3−y4面で切断した断面模式図である。
【図16】本実施形態のマイクロ流路デバイスの他の一実施態様であるマイクロ流路デバイスを形成する薄膜パターンc1〜c5を示す上面模式図である。
【図17】本実施形態に好適に使用できるマイクロ流路デバイスの製造方法の一実施態様を示す製造工程図である。
【図18】実施例3で使用したフィルター孔径10μmの樹脂製多孔フィルム500の模式図である。(A)は多孔フィルム500の一部を示す上面模式図である。(B)は(A)におけるb−b断面模式図である。(C)は(A)におけるc−c断面模式図である。
【符号の説明】
【0081】
1:フィルター孔、2:フィルター基材、3:補強部、
10:分離装置、12:マイクロ流路デバイス、14:供給口、16,18:排出口、20,22:容器、24:撹拌翼、26:回転軸、28:モーター、30:弁、32:安全弁、34:背圧弁、50,52,54a〜54e,58a〜58e,60:流路、56a〜56e:フィルター状の隔壁、P:ポンプ、PI:圧力検出器、L1〜L4:流路、A〜C:流体、a1〜a7:薄膜パターン基板、
100:分離装置、102:マイクロ流路デバイス、104:供給口、106,108,110:排出口、112,114,116:容器、118:撹拌翼、120:回転軸、122:モーター、124:弁、126:安全弁、128:背圧弁、150,152,154,156,158a〜158e,162a〜162e,164,168,170,172a〜172e,174,176,178,180:流路、160a〜160e,166a〜166e:フィルター状の隔壁、L5〜L9:流路、D〜G:流体、b1〜b9:薄膜パターン基板、
202:供給口、204,206:排出口、208,212:流路、210:フィルター状の隔壁、c1〜c5:薄膜パターン基板、
400:金属基板、401A:1層目の薄膜パターン基板、401B:2層目の薄膜パターン基板、405:ドナー基板、410:ターゲット基板、
500:多孔フィルム、502:孔、504:樹脂基材部、D1:孔径、L1:多孔フィルムの厚さ、L2:孔の間隔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路の一部がフィルター状の隔壁により隔てられている微小流路を有し、
前記微小流路は、1つの供給口及び2つの排出口を少なくとも有し、
前記供給口と1つの前記排出口とは、前記フィルター状の隔壁を通して接続されており、
前記供給口と他の1つの前記排出口とは、前記フィルター状の隔壁を通らず接続されており、
前記フィルター状の隔壁は、微小流路の流路方向と平行に設けられていることを特徴とする
マイクロ流路デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のマイクロ流路デバイスを備えた分離装置。
【請求項3】
請求項1に記載のマイクロ流路デバイスを使用して粒子分散液の分離を行う工程を含む分離方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−115624(P2010−115624A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−292428(P2008−292428)
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】