説明

マイコバクテリアの迅速な検出

本発明は、試料中のMTB複合体に属するマイコバクテリアを検出する方法であって、(a)試料を一対の順方向及び逆方向のオリゴヌクレオチドプライマーと接触させるステップであって、前記順方向プライマーがマイコバクテリア散在性反復単位(MIRU)反復エレメント内に位置する標的核酸配列とハイブリダイズし、前記逆方向プライマーがマイコバクテリア散在性反復単位(MIRU)反復エレメント内に位置する標的核酸配列とハイブリダイズするステップと、(b)前記順方向及び逆方向のプライマーを伸長させて増幅産物を得るステップと、(c)増幅産物を検出するステップとを含む方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料中のマイコバクテリアを迅速に検出する方法、並びにそのための試薬及びキットに関する。
【背景技術】
【0002】
結核感染症(TB,tuberculosis infection)の病原学的因子として、結核菌(Mycobacterium tuberculosis(M. tuberculosis))は、世界中において感染性疾患による主な死因であり、潜伏感染は世界人口の3分の1ほどに及ぶ。世界保健機関(WHO,World Health Organization)は、約9百万件の新規TB及び約2百万件の死亡が毎年世界中で発生していると推定している。2005年の新規TB症例の最大数は東南アジアで発生し(世界中で発生する症例の34%)、サハラ以南のアフリカにおける推定発生率は、人口100,000人当たり約350件である。
【0003】
しかし、TB感染症は発展途上世界に限定されない。UKでは1980年代後半から結核が復活しており、現在では毎年8000件を超える新規症例が存在し、これは人口100,000人当たり14.0件の割合である。これらの新規症例のうちの約40%はロンドン地域で発生しており、その感染率は人口100,000人当たり44.8件である。高リスクの集団には、一部の季節労働者集団、ホームレス、囚人及び薬物乱用者が含まれる。
【0004】
TB感染症は、通常は抗生物質の6カ月コースによって処置することができる。しかし、薬物処置に対する患者コンプライアンスは多様であり、患者はその症状が止んだ際にしばしば治療を停止する。さらに、TB率は季節労働者集団間で高く、経過観察処置の投与がより困難となる。未処置のままにした場合、活性TB疾患に罹患しているそれぞれの人は、毎年平均して10〜15人を感染させる。WHOによって承認された、「短期直接監視下治療」(DOTS,Directly Observed Therapy Short-course)と呼ばれる包括的な戦略は、薬物コンプライアンスを増加させ、多剤耐性結核菌株の発生を低減させる手法である。WHO手法の1つの側面は、TBの排除が新規の診断学、薬物及びワクチンに依存することを認識し、研究を可能にして助成することを焦点としている。
【0005】
最適な患者管理には、薬物療法を早期開始し、感染個体を可能な限り早く隔離することを要するため、当分野では迅速かつ信頼性のある検出技術の必要性が存在する。
【0006】
しかし、TB感染症を診断するための旧来の方法は、長引くか(生物培養)、又は潜在的に感度を欠く(抗酸スメア顕微鏡観察)。肺外TBの診断は、既知の技術を用いて検査するために十分な材料を得ることが困難なことによって複雑となる。
【0007】
より詳細には、マイコバクテリアを検出するための現在の標準方法には精通した技術者が必要であり、その結果、診断結果に8週間までの遅れが生じる場合がある。現在のWHO指針では、TBの罹患が疑われる人は、活性TBを検出する可能性を高めるために少なくとも3つの痰試料(別々の時点で生じたもの)を提出することが推奨されている。
【0008】
チールネールゼン染色によって痰中のマイコバクテリアを検出するためには、光学顕微鏡観察によって桿菌を可視化するために1mlの痰当たり5,000個を超える生物が必要である。したがって、「スメア」試験は、しばしば感度及び特異性をどちらも欠く。さらに、活性肺TBに罹患している患者では、痰の顕微鏡観察によっては感染症の推定45%しか検出されない(Dye C. et al. (2005) JAMA Vol. 293: 2767-2775)。
【0009】
マイコバクテリアの培養は、診断及び薬物感受性試験のどちらにおいても依然として最も信頼できる基準であり、1mlの痰当たりわずか10個の生物を検出することができる。しかし、この技術は、長いインキュベーション時間(診断のためには数週間まで)及び当分野において実装することの困難さの両方によって妨げられている(Kent P.T. and Kubica G.P. (1985) Public health mycobacteriology: A guide for the level III laboratory. Atlanta: Department of Health and Human Services)。
【0010】
結核菌複合体(MTBc,Mycobacterium tuberculosis complex)は5つの種、すなわち、結核菌、ネズミ型結核菌(M. microti)、ウシ型結核菌(M. bovis)、マイコバクテリウム・カネッティ(M. canetti)、及びアフリカ型結核菌(M. africanum)を含み、これらは、世界中における結核菌感染症(TB)の症例の大多数の原因因子である。これらの種間の高いレベルのDNA配列同一性(sequence identity)により、MTBcのメンバー間を区別するためにDNA配列を使用することが制限されている。
【0011】
診断的マイコバクテリア学の分野における核酸増幅アッセイの導入以降、いくつかの内製及び市販のアッセイが開発されている。例として、RocheのAMPLICOR(登録商標)MTBシステムは、すべてのマイコバクテリアに共通する16S rRNA遺伝子配列の584bpの領域を増幅する。
【0012】
MTB複合体「MTBc」のマイコバクテリアを検出及び分類するための現在の分子的方法には、転位因子IS6110の増幅が含まれる(Thierry D. et al., J. Clin. Microbiol. Vol. 28, No. 12: 2668-2673、Yuen K.Y. et al. (1995) J Clin Pathol. Vol. 48(10): 924-928)。しかし、IS6110に基づいた方法では、再現性及び感度が乏しい。
【0013】
この点において、IS6110のコピー数はMTBcのメンバー間で変動し、株に依存性であると考えられる(Poulet S. and Cole S. T. (1995) Arch. Microbiol., Vol. 163: 79-86)。MTBcの多くのメンバーはゲノム全体にわたって点在する8〜15個のIS6110のコピーを含有する一方で、結核菌株の約40%はこのエレメントの1又は2個のコピーのみを保有し、ウシ型結核菌は(平均して)単一のコピーしか含有しない。
【0014】
1990年代後半には、マイコバクテリアの同時の検出及び株区別が、MTBc株中に排他的に存在する36bpの直接反復(DR,direct repeat)座位内の25〜41bpの43個の既知の多型「スペーサー」領域の存在又は非存在の検出に基づいた「スペーサーオリゴタイピング」(スポリゴタイピング)と呼ばれるPCRに基づいた技術を用いて報告されている(Kamerbeek J. et al., (1997) J. Clin. Microbiol. Vol. 35: 907-914)。株は、ゲノム中のDRの全量及び特定のスペーサー領域の存在又は非存在が変動する。したがって、IS6110に基づいた方法と同様、スポリゴタイピングは識別力が不足している。
【0015】
「マイコバクテリア散在性反復単位」(MIRU,Mycobacterial Interspersed Repetitive Unit)とは、MTBcマイコバクテリアのゲノム全体に位置する約41座位にわたって点在する可変数タンデム反復配列(VNTR,variable number tandem repeat sequence)である。それぞれのMIRU座位は、可変数のMIRU反復配列エレメントをタンデムで含有する(1つの座位当たり約13個までの反復エレメント)。
【0016】
(Supply P. et al., J. Clin. Microbiol. Vol. 39, No. 10: 3563-3571)は、結核菌ゲノム中のMIRU座位でのタンデム反復の数の決定に基づいた、結核菌株を遺伝子型同定する方法を記載している。(Supply P. et al., J. Clin. Microbiol. Vol. 39, No. 10: 3563-3571)に記載されている方法は、MIRU座位に隣接する結核菌ゲノムの領域に特異的なプライマーを用いたPCR増幅を含む。得られたアンプリコンの大きさが、それぞれのMIRU座位での反復の数を反映する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】(Dye C. et al. (2005) JAMA Vol. 293: 2767-2775)
【非特許文献2】(Kent P.T. and Kubica G.P. (1985) Public health mycobacteriology: A guide for the level III laboratory. Atlanta: Department of Health and Human Services)
【非特許文献3】(Thierry D. et al., J. Clin. Microbiol. Vol. 28, No. 12: 2668-2673)
【非特許文献4】(Yuen K.Y. et al. (1995) J Clin Pathol. Vol. 48(10): 924-928)
【非特許文献5】(Poulet S. and Cole S. T. (1995) Arch. Microbiol., Vol. 163: 79-86)
【非特許文献6】(Kamerbeek J. et al., (1997) J. Clin. Microbiol. Vol. 35: 907-914)
【非特許文献7】(Supply P. et al., J. Clin. Microbiol. Vol. 39, No. 10: 3563-3571)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
当分野では、痰及び呼吸器検体などの試料中のマイコバクテリアを、わずか単一のゲノムコピーのレベルで検出する、迅速、簡便、特異的かつ高感度な分子的方法、好ましくは、現場、たとえば発展途上世界に容易に運搬される「即刻の」技術の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、試料中のMTB複合体に属するマイコバクテリアを検出する方法であって、
(a)試料を一対の順方向及び逆方向のオリゴヌクレオチドプライマーと接触させるステップであって、
前記順方向プライマーがマイコバクテリア散在性反復単位(MIRU)反復エレメント内に位置する標的核酸配列とハイブリダイズし、
前記逆方向プライマーがマイコバクテリア散在性反復単位(MIRU)反復エレメント内に位置する標的核酸配列とハイブリダイズするステップと、
(b)前記順方向及び逆方向のプライマーを伸長させて増幅産物を得るステップと、
(c)増幅産物を検出するステップと
を含む方法を提供することによって、この必要性を満たす。
【発明の効果】
【0020】
本方法は、結核菌又はウシ型結核菌などの結核菌複合体(MTBc)のマイコバクテリアの、高感度、迅速かつ頑強な分子的診断アッセイを有利に提供する。
【0021】
MTBcマイコバクテリアのゲノム全体にわたるMIRU反復の特定の配置は、アッセイの感度を大幅に増加させる。
【0022】
一実施形態では、2時間未満でアッセイから結果を有利に得ることができる。一実施形態では、本アッセイは、痰から直接単一分子を検出することを有利に可能とする。一実施形態では、時間を消費する核酸抽出手順を必要とせずに、微小体積の患者試料(たとえば痰)から結果を直接、有利に得ることができる。
【0023】
したがって、一実施形態では、本アッセイは待ち時間を劇的に短縮し、理論的には患者の近くでの試験が可能となる。
【0024】
本発明の特許請求したアッセイのさらなる利点は、その簡便さである。好ましくは、これは専門家でない人員によって実行及び読取することができ、重労働ではない。
【発明を実施するための形態】
【0025】
MIRU反復エレメントは、MTB複合体のメンバーに特異的な核酸配列を含む。
【0026】
したがって、一実施形態では、本発明の検出方法は、このMTBcに特異的な核酸配列の増幅に基づいている。
【0027】
一実施形態では、順方向プライマーがハイブリダイズする標的核酸配列は、MTB複合体のマイコバクテリアに特異的である。一実施形態では、逆方向プライマーがハイブリダイズする標的核酸配列は、MTB複合体のマイコバクテリアに特異的である。
【0028】
一実施形態では、順方向及び逆方向のプライマーの伸長により、MTB複合体に特異的な核酸配列を含む増幅産物が得られる。
【0029】
一実施形態では、MTB複合体に特異的な核酸配列を含む増幅産物が検出される。
【0030】
一実施形態では、順方向プライマーがハイブリダイズする標的核酸配列は、MIRU4反復エレメント(ETRD反復エレメントとしても知られる)内に位置しない。一実施形態では、逆方向プライマーがハイブリダイズする標的核酸配列は、MIRU4反復エレメント(ETRD反復エレメントとしても知られる)内に位置しない。一実施形態では、順方向プライマーも逆方向プライマーも、MIRU4反復エレメント内に位置する標的核酸配列とハイブリダイズしない。一実施形態では、増幅産物は、MIRU4反復エレメントの核酸配列を含まない。
【0031】
一実施形態では、MIRU反復エレメントは、MIRU2反復エレメント、MIRU10反復エレメント、MIRU16反復エレメント、MIRU23反復エレメント、MIRU24反復エレメント、MIRU26反復エレメント、MIRU27反復エレメント(QUB5反復エレメントとしても知られる)、MIRU31反復エレメント(ETRE反復エレメントとしても知られる)及びMIRU39反復エレメントから選択されるMIRU反復エレメントに対して、少なくとも90%の配列同一性(好ましくは91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の配列同一性)を有する。
【0032】
したがって、一実施形態では、順方向プライマーは、MIRU反復エレメント内に位置する標的核酸配列とハイブリダイズし、前記MIRU反復エレメントは、MIRU2反復エレメント、MIRU10反復エレメント、MIRU16反復エレメント、MIRU23反復エレメント、MIRU24反復エレメント、MIRU26反復エレメント、MIRU27反復エレメント(QUB5反復エレメントとしても知られる)、MIRU31反復エレメント(ETRE反復エレメントとしても知られる)及びMIRU39反復エレメントから選択されるMIRU反復エレメントに対して、少なくとも90%の配列同一性(好ましくは91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の配列同一性)を有する。一実施形態では、前記標的核酸配列は、MTB複合体のマイコバクテリアに特異的である。
【0033】
一実施形態では、逆方向プライマーは、MIRU反復エレメント内に位置する標的核酸配列とハイブリダイズし、前記MIRU反復エレメントは、MIRU2反復エレメント、MIRU10反復エレメント、MIRU16反復エレメント、MIRU23反復エレメント、MIRU24反復エレメント、MIRU26反復エレメント、MIRU27反復エレメント(QUB5反復エレメントとしても知られる)、MIRU31反復エレメント(ETRE反復エレメントとしても知られる)及びMIRU39反復エレメントから選択されるMIRU反復エレメントに対して、少なくとも90%の配列同一性(好ましくは91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の配列同一性)を有する。一実施形態では、前記標的核酸配列は、MTB複合体のマイコバクテリアに特異的である。
【0034】
例として、結核菌のCDC1551株のゲノムは、MIRU2座位に3個のタンデム反復エレメント、MIRU10座位に5個のタンデム反復エレメント、MIRU16座位に3個のタンデム反復エレメント、MIRU23座位に5個のタンデム反復エレメント、MIRU24座位に1個のタンデム反復エレメント、MIRU26座位に5個のタンデム反復エレメント、MIRU27/QUB5座位に4個のタンデム反復エレメント、MIRU31/ETRE座位に3個のタンデム反復エレメント、及びMIRU39座位に2個のタンデム反復エレメントを含む。
【0035】
したがって、一実施形態では、順方向プライマーは、MIRU反復エレメント内に位置する標的核酸配列とハイブリダイズし、前記MIRU反復エレメントは、以下から選択されるMIRU反復エレメント(結核菌のCDC1551株に関する)に対して、少なくとも90%の配列同一性(好ましくは91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の配列同一性)を有する:
MIRU2反復エレメント1、2及び3;
MIRU10反復エレメント1、2、3、4及び5;
MIRU16反復エレメント1、2及び3;
MIRU23反復エレメント1、2、3、4及び5;
MIRU24反復エレメント1;
MIRU26反復エレメント1、2、3、4及び5;
MIRU27/QUB5反復エレメント1、2、3及び4(好ましくはMIRU27/QUB5のタンデム反復エレメント2、3及び4);
MIRU31/ETRE反復エレメント1、2及び3(好ましくはMIRU31/ETREの反復エレメント2及び3);並びに
MIRU39反復エレメント1及び2。
【0036】
一実施形態では、逆方向プライマーは、MIRU反復エレメント内に位置する標的核酸配列とハイブリダイズし、前記MIRU反復エレメントは、以下から選択されるMIRU反復エレメント(結核菌のCDC1551株に関する)に対して、少なくとも90%の配列同一性(好ましくは91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の配列同一性)を有する:
MIRU2反復エレメント1、2及び3;
MIRU10反復エレメント1、2、3、4及び5;
MIRU16反復エレメント1、2及び3;
MIRU23反復エレメント1、2、3、4及び5;
MIRU24反復エレメント1;
MIRU26反復エレメント1、2、3、4及び5;
MIRU27/QUB5反復エレメント1、2、3及び4(好ましくはMIRU27/QUB5のタンデム反復エレメント2、3及び4);
MIRU31/ETRE反復エレメント1、2及び3(好ましくはMIRU31/ETREの反復エレメント2及び3);並びに
MIRU39反復エレメント1及び2。
【0037】
一実施形態では、前記MIRU反復エレメントは、配列番号1〜24(以下の表1に示す)から選択されるヌクレオチド配列又はその相補体に対して、少なくとも90%の配列同一性(好ましくは91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の配列同一性)を有するヌクレオチド配列を含む(かつそれからなり得る)。
【0038】
【表1】


【0039】
或いは、MIRU反復エレメントヌクレオチド配列のバリアントは、バリアントの配列と上記の表1に提供するリファレンスMIRU反復エレメントヌクレオチド配列の配列番号との間で異なるヌクレオチドの数を列挙することによって定義し得る。したがって、一実施形態では、MIRU反復エレメントは、5個以下のヌクレオチドの位置、好ましくは4、3、2又は1個以下のヌクレオチドの位置が、配列番号1〜24(又はその相補体)と異なるヌクレオチド配列を含む(かつそれからなり得る)。
【0040】
一般に、逆方向プライマーは、標的核酸のコード(センス)鎖内の標的核酸配列とハイブリダイズするように設計されており、順方向プライマーは、標的核酸の相補的(すなわちアンチセンス)鎖内の標的核酸配列とハイブリダイズするように設計されている。
【0041】
用語「核酸配列の相補体」とは、相補的なヌクレオチド配列を有し、リファレンスヌクレオチド配列と比較して逆方向の配向を有する核酸配列をいう。
【0042】
順方向プライマーは、MIRU反復エレメントの配列内に位置する標的核酸配列(「順方向プライマー標的配列」)とハイブリダイズする。
【0043】
一実施形態では、順方向プライマー標的配列の長さは、MIRU反復エレメントの10〜40個の連続したヌクレオチドの範囲、好ましくはMIRU反復エレメントの少なくとも11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21又は22個の連続したヌクレオチド、好ましくはMIRU反復エレメントの38、35、32、30、29、28、27、26、25、24、23又は22個までの連続したヌクレオチドである。より好ましくは、順方向プライマー標的配列は、MIRU反復エレメントの17〜27個の連続したヌクレオチドの長さ、最も好ましくはMIRU反復エレメントの約22個の連続したヌクレオチドの長さを有する。
【0044】
一実施形態では、順方向プライマー標的配列は、MTB複合体のマイコバクテリアに特異的である。
【0045】
逆方向プライマーは、MIRU反復エレメントの配列内に位置する標的核酸配列(「逆方向プライマー標的配列」)とハイブリダイズする。
【0046】
一実施形態では、逆方向プライマー標的配列の長さは、MIRU反復エレメントの10〜40個の連続したヌクレオチドの範囲、好ましくはMIRU反復エレメントの少なくとも11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20個の連続したヌクレオチド、好ましくはMIRU反復エレメントの38、35、32、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21又は20個までの連続したヌクレオチドである。より好ましくは、逆方向プライマー標的配列は、MIRU反復エレメントの15〜25個の連続したヌクレオチドの長さ、最も好ましくはMIRU反復エレメントの約20個の連続したヌクレオチドの長さを有する。
【0047】
一実施形態では、逆方向プライマー標的配列は、MTB複合体のマイコバクテリアに特異的である。
【0048】
一実施形態では、順方向プライマーは、以下の表2に示す配列番号25〜39から選択されるヌクレオチド配列の相補体、又はそれに対して少なくとも90%同一(好ましくは、それに対して91、92、93、94、95、96、97、98若しくは99%同一)であるヌクレオチド配列、又はその断片を含む(又はそれからなる)標的核酸配列とハイブリダイズする。
【0049】
【表2】

【0050】
一実施形態では、配列番号25〜27、29〜31、33〜34若しくは36〜38(又は上記に定義したそのバリアント配列)の相補体の断片は、少なくともその19、20又は21個の連続したヌクレオチドを有する。一実施形態では、配列番号28(又は上記に定義したそのバリアント配列)の相補体の断片は、少なくともその16、17又は18個の連続したヌクレオチドを有する。一実施形態では、配列番号32、35若しくは39(又は上記に定義したそのバリアント配列)の相補体の断片は、少なくともその18、19又は20個の連続したヌクレオチドを有する。
【0051】
一実施形態では、逆方向プライマーは、配列番号40〜46(以下の表3に示す)から選択されるヌクレオチド配列に対して、少なくとも90%同一(好ましくは91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%同一)であるヌクレオチド配列、又はその断片を含む(又はそれからなる)標的核酸配列とハイブリダイズする。
【0052】
【表3】

【0053】
一実施形態では、配列番号40〜46(又は上記に定義したそのバリアント配列)の断片は、少なくともその17、18又は19個の連続したヌクレオチドを有する。
【0054】
一実施形態では、順方向プライマーは、15〜30個のヌクレオチドの長さ、好ましくは少なくとも16、17、18、19、20、21又は22個のヌクレオチドの長さ、好ましくは29、28、27、26、25、24、23又は22個までのヌクレオチドの長さである。より好ましくは、順方向プライマーは、約20〜24個のヌクレオチドの長さ、最も好ましくは約22個のヌクレオチドの長さである。
【0055】
一実施形態では、逆方向プライマーは、15〜30個のヌクレオチドの長さ、好ましくは少なくとも16、17、18、19又は20個のヌクレオチドの長さ、好ましくは29、28、27、26、25、24、23、22、21又は20個までのヌクレオチドの長さである。より好ましくは、逆方向プライマーは、18〜22個のヌクレオチドの長さ、最も好ましくは約20個のヌクレオチドの長さである。
【0056】
一実施形態では、順方向プライマーは、配列番号25〜39(上記の表2に示す)から選択されるヌクレオチド配列に対して、少なくとも80%の同一性(好ましくは少なくとも82、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性)を有するヌクレオチド配列を含む(又はそれからなる)。保存的置換が好ましい。
【0057】
一実施形態では、順方向プライマーは、配列番号47又は48(以下の表4Aに示す)から選択されるヌクレオチド配列に対して、少なくとも80%の同一性(好ましくは少なくとも82、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性)を有するヌクレオチド配列を含む(又はそれからなる)。保存的置換が好ましい。
【0058】
【表4】

【0059】
或いは、上記に提供した特定の順方向プライマー配列のバリアントは、バリアント配列と上記に提供した特定の順方向プライマーリファレンス配列の配列番号との間で異なるヌクレオチドの数を列挙することによって定義し得る。したがって、一実施形態では、順方向プライマーは、4個以下のヌクレオチドの位置、好ましくは3、2又は1個以下のヌクレオチドの位置が、配列番号25〜39又は47〜48と異なるヌクレオチド配列を含み得る(又はそれからなり得る)。保存的置換が好ましい。
【0060】
上述の順方向プライマー配列(及び上記に定義したそのバリアント配列)の断片も用い得る。
【0061】
一実施形態では、順方向プライマーは、配列番号25〜39、47又は48(及び上記に定義したそのバリアント配列)の断片を含み得る(又はそれからなり得る)。前記断片は、好ましくは少なくともその15個の連続したヌクレオチド、より好ましくは少なくともその16、17、18、19、20又は21個の連続したヌクレオチドを含む。
【0062】
一実施形態では、逆方向プライマーは、上記の表3に示す配列番号40〜46から選択されるヌクレオチド配列の相補体に対して、少なくとも80%の同一性(好ましくは82、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性)を有するヌクレオチド配列を含む(又はそれからなる)。保存的置換が好ましい。
【0063】
一実施形態では、逆方向プライマーは、以下の表4Bに示す配列番号49、50又は51から選択されるヌクレオチド配列に対して、少なくとも80%の同一性(好ましくは85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性)を有するヌクレオチド配列含む(又はそれからなる)。保存的置換が好ましい。
【0064】
【表5】

【0065】
或いは、上記に提供した特定の逆方向プライマー配列のバリアントは、バリアント配列と上記に提供した特定の逆方向プライマーリファレンス配列の配列番号との間で異なるヌクレオチドの数を列挙することによって定義し得る。一実施形態では、逆方向プライマーは、4個以下のヌクレオチドの位置、好ましくは3、2又は1個以下のヌクレオチドの位置が、配列番号49、50若しくは51(又は配列番号40〜46の相補体)と異なるヌクレオチド配列を含み得る(又はそれからなり得る)。この点において、保存的置換が好ましい。
【0066】
上述の逆方向プライマー配列(及び上記に定義したそのバリアント配列)の断片も用い得る。
【0067】
一実施形態では、逆方向プライマーは、配列番号49〜51の断片、又は配列番号40〜46(及び上記に定義したそのバリアント配列)の相補体の断片を含み得る(又はそれからなり得る)。前記断片は、好ましくは少なくともその15個の連続したヌクレオチド、より好ましくは少なくともその16、17、18又は19個の連続したヌクレオチドを含む。
【0068】
本発明の順方向及び逆方向のプライマーは、Primer Express(Applied Biosystems社製)などの従来のソフトウェアを用いて、所望のパラメータの選択に基づいて標的核酸配列と結合するように設計されている。
【0069】
順方向プライマーは、好ましくは配列特異的であり、好ましくはMIRU反復エレメント内の標的核酸配列と特異的にハイブリダイズする。逆方向プライマーは、好ましくは配列特異的であり、好ましくはMIRU反復エレメント内の標的核酸配列と特異的にハイブリダイズする。
【0070】
用語「ハイブリダイズする」とは、用語「結合する」と等価かつ相互変換可能である。
【0071】
結合条件は、高レベルの特異性がもたらされるものであることが好ましい。順方向及び逆方向のプライマーの融解温度(Tm値,melting temperature)は、好ましくは68℃を超える温度であり、最も好ましくは約72℃である。
【0072】
一実施形態では、順方向及び逆方向のプライマーの配列間にはヌクレオチド配列の相補性の領域が存在する。これらの相補的な配列領域により、プライマーが相補的塩基対合によって互いにハイブリダイズして「プライマー二量体」を形成することが可能となる。一実施形態では、これらのプライマー−プライマーの二量体は、検出アッセイにおける内部コントロールを提供する。
【0073】
一実施形態では、順方向及び逆方向のプライマー間には1〜10個の相補的塩基が存在する。したがって、一実施形態では、順方向及び逆方向のプライマーは、1〜10個の位置、好ましくは1〜10個の連続したヌクレオチドの位置で相補的塩基対合を介して互いにハイブリダイズすることができる。一実施形態では、順方向及び逆方向のプライマーは、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9又は10個の相補的塩基(好ましくは少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9又は10個の連続した相補的塩基)を有する。相補的塩基は、順方向及び逆方向のプライマー内の任意の場所、たとえば順方向及び逆方向のプライマーの3’末端付近に位置していてよい。一実施形態では、順方向及び逆方向のプライマーの3’末端に最も近い1〜10個のヌクレオチドが相補的である。好ましくは、順方向及び逆方向のプライマーの3’末端に最も近い2、3、4、5又は6個のヌクレオチドが相補的であり、最も好ましくは、順方向及び逆方向のプライマーの3’末端に最も近い3個のヌクレオチドが相補的である。
【0074】
一実施形態では、順方向及び逆方向のプライマーのプライマー−プライマーのハイブリダイゼーションにより、15〜45bpの長さ、好ましくは少なくとも20、25、30、31、32、33、34、35又は36bpの長さ、好ましくは44、43、42、41、40、39、38、37又は36bpまでの長さの二量体が形成される。好ましくは、順方向プライマー−逆方向プライマーの二量体は、30〜40bpの長さ、より好ましくは約34〜38bpの長さ、最も好ましくは約36bpの長さである。
【0075】
一実施形態では、順方向プライマー及び/又は逆方向のプライマーは、タグ又は標識を含む。一実施形態では、前記タグ又は標識は、プライマーを伸長した際に増幅産物内に取り込まれる。タグ又は標識は、好ましくは順方向及び/又は逆方向のプライマーの5’又は3’末端、最も好ましくは逆方向プライマーの5’末端に位置する。
【0076】
適切な標識の例には、放射標識又は蛍光若しくは有色分子などの検出可能な標識が含まれる。例として、標識は、ジゴキシゲニン、フルオレセイン−イソチオシアネート(FITC,fluorescein-isothiocyanate)又はR−フィコエリスリンであり得る。標識は、写真用又はX線フィルムへの露光によるものなどの、直接検出されるレポーター分子であり得る。或いは、標識は、直接検出可能でないが、間接的に、たとえば2相系で検出し得る。間接標識検出の一例は、抗体と標識との結合である。
【0077】
適切なタグの例には、ビオチン及びストレプトアビジンが含まれる。他の例示的なタグには、受容体、リガンド、抗体、抗原、ハプテン及びエピトープが含まれる。
【0078】
試料は、好ましくは、痰、気管支肺胞洗浄液、気管吸引液、肺組織試料、脳脊髄液、考古学的試料などの臨床試料である(又は臨床試料に由来する)。
【0079】
増幅は、当分野で知られている方法及びプラットフォーム、たとえば、リアルタイムPCR、遮断に基づいたPCRなどのPCR、リガーゼ連鎖反応、ガラス毛管、ループ媒介等温増幅を含めた等温増幅方法、ローリングサークル増幅転写媒介増幅、核酸配列に基づいた増幅、RNA技術のシグナル媒介増幅、鎖置換増幅、等温複数置換増幅、ヘリカーゼ依存性増幅、単一プライマー等温増幅、及び環状ヘリカーゼ依存性増幅を用いて実施し得る。
【0080】
一実施形態では、増幅は、任意の増幅プラットフォームを用いて実施することができる。したがって、本アッセイのこの実施形態の一利点は、これはプラットフォームに依存せず、どの特定の装置にも縛られないことである。
【0081】
適切なポリメラーゼ並びにDNA前駆体(dATP、dCTP、dGTP及びdTTP)の存在下では、順方向及び逆方向のプライマーが5’から3’の方向で伸長され、それにより、標的MTBcに特異的な核酸の個々の鎖に相補的な新しい核酸鎖の合成が開始される。その結果、プライマーがMTBcに特異的な核酸配列の増幅を駆動し、それにより前記MTBcに特異的な核酸配列を含む増幅産物が得られる。当業者は、増幅を促進するための適切な条件を決定できるであろう。
【0082】
本出願中、表現「増幅産物」、「増幅した核酸配列」及び「アンプリコン」は互換性があるように使用し、同じ意味を有する。
【0083】
個々のMIRU反復エレメントは、本明細書中で定義した順方向プライマーの標的配列及び本明細書中で定義した逆方向プライマーの標的配列を含む。
【0084】
したがって、一態様では、順方向及び逆方向のプライマーは、同じMIRU反復エレメント内に位置する標的核酸配列とハイブリダイズする。この態様によれば、順方向及び逆方向のプライマーの伸長により、その全体が前記個々のMIRU反復エレメントに由来する(すなわち、その全体がそれ内に位置する)核酸配列を含む増幅産物が得られる。
【0085】
純粋に例として、一実施形態では、順方向及び逆方向のプライマーはどちらも、MIRU10反復エレメント1内のその標的核酸配列と結合することができる。これらのプライマーからの伸長により、その全体がMIRU10反復1に由来する核酸配列を含む増幅産物が得られる。
【0086】
一実施形態では、増幅産物は、約30〜55個のヌクレオチドの長さ、好ましくは少なくとも約32、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43又は44個のヌクレオチドの長さ、好ましくは約54、53、52、51、50、49、48、47、46、45又は44個までのヌクレオチドの長さである。より好ましくは、増幅産物は、40〜50個のヌクレオチドの長さ、最も好ましくは約44個のヌクレオチドの長さである。
【0087】
増幅の最初のサイクルのほとんどでは、順方向及び逆方向のプライマーは同じMIRU反復エレメントとハイブリダイズし、したがって、上述のように、単一のMIRU反復エレメント内に位置する核酸配列が増幅される。
【0088】
しかし、複数反復のMIRU座位では、複数の反復配列が順方向プライマーの標的核酸配列及び逆方向プライマーの標的核酸配列をどちらも含む。したがって、それぞれの複数反復MIRU座位は、順方向及び逆方向のプライマーの複数の標的核酸配列を含む。
【0089】
したがって、MTB複合体マイコバクテリアのゲノムは、順方向プライマーの複数の標的核酸配列及び逆方向プライマーの複数の標的核酸配列を含む。
【0090】
増幅の成功は、ハイブリダイズした順方向プライマーの、ハイブリダイズした逆方向プライマーに5’から3’の方向で向かう「下流」での伸長及び前記ハイブリダイズした逆方向プライマーの、前記順方向プライマーに5’から3’の方向で向かう「上流」での伸長によって起こる。すなわち、プライマーは互いに向かって伸長される。この点において、逆方向プライマー標的配列は、ハイブリダイズした順方向プライマーの3’末端が逆方向プライマー標的配列を指しており、かつ前記ハイブリダイズした順方向プライマーの5’から3’の伸長が逆方向プライマー標的配列に向かう方向である場合に、順方向プライマー標的配列の「下流」であると言われる。同様に、順方向プライマー標的配列は、ハイブリダイズした逆方向プライマーの3’末端が順方向プライマー標的配列を指しており、かつ前記ハイブリダイズした逆方向プライマーの5’から3’の伸長が順方向プライマー標的配列に向かう方向である場合に、逆方向プライマー標的配列の「上流」であると言われる。
【0091】
一態様では、順方向及び逆方向のプライマーは、異なるMIRU反復エレメント内に、同じMIRU座位で位置する標的配列とハイブリダイズする。
【0092】
図1に例示したように、5個の反復エレメントをタンデムで含むMIRU座位は、順方向プライマーのハイブリダイゼーションのための5個の潜在的な標的核酸配列及び逆方向プライマーのハイブリダイゼーションのための5個の潜在的な標的核酸配列を含む。この点において、MIRU座位の反復4及び5は反復3の「下流」であり、MIRU座位の反復1及び2は反復3の「上流」である。
【0093】
したがって、5個の反復座位の反復1とハイブリダイズした順方向プライマーは、反復1、2、3、4又は5とハイブリダイズした逆方向プライマーを用いた増幅のために対合する場合があり、その一方で、5個の反復座位の反復3とハイブリダイズした順方向プライマーは、反復3、4又は5とハイブリダイズした逆方向プライマーを用いた増幅のために対合する場合がある。
【0094】
しかし、順方向プライマーは、さらに上流でハイブリダイズした逆方向プライマーを用いた増幅のために対合が成功することができない。この点において、5個の反復座位の反復3とハイブリダイズした順方向プライマー及び反復1又は2とハイブリダイズした逆方向プライマーは、互いから離れる逆の方向で伸長され、これは増幅の成功をもたらさない。
【0095】
例として(図1に例示したように)、増幅は、5個の反復のMIRU座位の第1の反復中のその標的核酸配列とハイブリダイズする順方向プライマーからの伸長及び5個の反復座位の第1、第2、第3、第4又は第5の反復中のその標的核酸配列とハイブリダイズする逆方向プライマーからの伸長によって起こり得る。
【0096】
具体的には、増幅の成功は、順方向及び逆方向のプライマー標的核酸配列の以下の組合せを(同じMIRU座位内で)用いることによって起こり得る:
【0097】
【表6】


【0098】
本発明のこの態様によれば、順方向及び逆方向のプライマーからの伸長により、同じ座位中の複数の隣接MIRU反復エレメントにまたがる核酸配列が増幅される。したがって、本発明のこの態様によれば、増幅産物は、同じ座位中の複数の隣接MIRU反復エレメントにまたがる核酸配列を含む。
【0099】
一実施形態では、ハイブリダイズした順方向及び逆方向のプライマーの伸長により、座位中の2個の隣接MIRU反復エレメントにまたがる核酸配列が増幅される。したがって、本実施形態によれば、増幅産物は、同じ座位中の2個の隣接MIRU反復エレメントにまたがる核酸配列を含む。
【0100】
一実施形態では、ハイブリダイズした順方向及び逆方向のプライマーの伸長により、座位中のすべてのMIRU反復エレメントまでにまたがる(たとえば、座位中の少なくとも2、3、4又は5個のMIRU反復エレメントにまたがる)核酸配列が増幅される。したがって、本実施形態によれば、増幅産物は、座位中のすべてのMIRU反復エレメントまでにまたがる(たとえば、座位中の少なくとも2、3、4又は5個のMIRU反復エレメントにまたがる)核酸配列を含む。
【0101】
例として、一実施形態では、順方向プライマーは、MIRU10の反復1内のその標的配列と結合し、逆方向プライマーは、MIRU10の反復2、3、4又は5内のその標的配列と結合する。これらのプライマーからの伸長により、MIRU10の反復1及び2にまたがる核酸配列(逆方向プライマーがMIRU10の反復2内で結合する場合)、又はMIRU10の反復1、2及び3にまたがる核酸配列(逆方向プライマーがMIRU10の反復3内で結合する場合)、又はMIRU10の反復1、2、3及び4にまたがる核酸配列(逆方向プライマーがMIRU10の反復4内で結合する場合)、又はMIRU10の反復1、2、3、4及び5にまたがる核酸配列(逆方向プライマーがMIRU10の反復5内で結合する場合)が増幅される。
【0102】
一実施形態では、2個のMIRU反復にまたがる増幅産物は、70〜120個のヌクレオチドの長さ、好ましくは少なくとも約75、80、85、90、91、92、93、94、95、96又は97個のヌクレオチドの長さ、好ましくは約110、105、104、103、102、101、100、99、98又は97個までのヌクレオチドの長さである。最も好ましくは、2個のMIRU反復にまたがる増幅産物は、90〜105個の範囲のヌクレオチドの長さ、最も好ましくは約97個のヌクレオチドの長さである。
【0103】
一実施形態では、3個のMIRU反復にまたがる増幅産物は、100〜200個のヌクレオチドの長さ、好ましくは少なくとも約105、110、115、120、125、130、135、140、145、146、147、148、149又は150個のヌクレオチドの長さ、好ましくは約195、190、185、180、175、170、165、160、155、154、153、152、151又は150個までのヌクレオチドの長さである。最も好ましくは、2個のMIRU反復にまたがる増幅産物は、135〜165個の範囲のヌクレオチドの長さ、最も好ましくは約150個のヌクレオチドの長さである。
【0104】
一実施形態では、4個のMIRU反復にまたがる増幅産物は、145〜240個のヌクレオチドの長さ、好ましくは少なくとも約150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、196、197、198、199、200、201、202又は203個のヌクレオチドの長さ、好ましくは約235、230、225、220、215、210、209、208、207、206、205、204又は203個までのヌクレオチドの長さである。最も好ましくは、2個のMIRU反復にまたがる増幅産物は、185〜225個の範囲のヌクレオチドの長さ、最も好ましくは約203個のヌクレオチドの長さである。
【0105】
一実施形態では、5個のMIRU反復にまたがる増幅産物は、185〜310個のヌクレオチドの長さ、好ましくは少なくとも約190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、251、252、253、254、255又は256個のヌクレオチドの長さ、好ましくは約305、300、295、290、285、280、275、270、265、260、259、258、257又は256個までのヌクレオチドの長さである。最も好ましくは、2個のMIRU反復にまたがる増幅産物は、235〜285個の範囲のヌクレオチドの長さ、最も好ましくは約256個のヌクレオチドの長さである。
【0106】
一態様では、順方向及び逆方向のプライマーは、異なるMIRU反復エレメント内に位置する標的配列とハイブリダイズする。
【0107】
一実施形態では、異なるMIRU反復エレメントは、MTBcマイコバクテリアのゲノム全体にわたって点在する様々なMIRU座位内に位置する。本発明のこの態様によれば、順方向及び逆方向のプライマーからの5’から3’の伸長により、隣接MIRU座位のMIRU反復エレメントにまたがる核酸配列が増幅される。したがって、本発明のこの態様によれば、増幅産物は、隣接MIRU座位のMIRU反復エレメントにまたがる核酸配列を含む。
【0108】
一実施形態では、増幅産物は、2kbを超える長さであってよく、5kbを超える長さであってよく、さらには10kbを超える長さ(典型的には11〜12kbの範囲の長さ)である、非常に大きな分子である。一実施形態では、増幅産物はコンカテマー分子である。
【0109】
これらのコンカテマー増幅産物の形成は、適切な増幅条件の選択によって促進し得る。
【0110】
例として、コンカテマー分子の形成は、プライマーと核酸とのハイブリダイゼーションを制限し、それによりすべての潜在的なプライマー標的配列がプライマーによって占有される可能性を低減させる増幅プロトコルを選択することによって、促進し得る。プライマーがそのすべての潜在的な標的核酸配列とハイブリダイズする確率を低減させることによって、単一のMIRU反復配列内に位置する核酸配列が増幅される確率も低減される。
【0111】
したがって、一態様では、コンカテマー分子の形成は、飽和濃度以下のプライマーを用いることによって促進される。
【0112】
一態様では、コンカテマー分子の形成は、Tm値を上昇させることによって促進される。一実施形態では、アニーリングTm値は伸長Tm値と実質的に同じである(たとえば約72℃)。MTBc核酸はGCに非常に富むため、高いアニーリングTm値の使用が有利である。高いTm値(たとえば約72℃)では、非常に少ない非特異的な伸長しか起こらない。
【0113】
一実施形態では、プライマー伸長に許容される時間が短縮される(たとえば、約2秒間、1.5秒間又はさらには1秒間まで)。プライマー伸長時間の短縮により、プライマー−プライマーの二量体のアーティファクトの発生も低減され得る。
【0114】
一態様では、コンカテマー分子の形成は、順方向及び/又は逆方向のプライマーの不完全な伸長を促進する増幅条件を選択することによって促進される。
【0115】
この点において、本発明者らは、プライマー伸長産物(特に変性した不完全/部分的なプライマー伸長産物)が、続く増幅の一巡において長いプライマーとして挙動し得ることを観察した。例として、3個のMIRU反復にまたがる核酸配列を含む不完全な伸長産物は、2個のMIRU反復を含有するMIRU座位とアニーリングし、伸長されたプライマーとして作用し得る。不完全な伸長産物/長いプライマーの伸長によって得られた増幅産物は、4個のMIRU反復又は5個のMIRU反復(長いプライマーが、2個の反復のMIRU座位中の第1又は第2のどちらのMIRU反復と結合するかに依存する)にまたがるコンカテマー産物となる。
【0116】
一態様では(図2に例示)、順方向プライマーからの伸長産物(変性した部分的な伸長産物が含まれる)は、任意のMIRU座位のMIRU反復内の順方向プライマー標的配列とハイブリダイズし、伸長された順方向プライマーとして作用する。
【0117】
同様に、一態様では、逆方向プライマーからの伸長産物(変性した部分的な伸長産物が含まれる)は、任意のMIRU座位のMIRU反復内の逆方向プライマー標的配列とハイブリダイズし、伸長された逆方向プライマーとして作用する。
【0118】
したがって、これらの伸長されたプライマーの伸長によって産生されたコンカテマー増幅産物は、同じMIRU座位及び/又は異なるMIRU座位からの複数のMIRU反復エレメント内に位置する核酸配列を含み得る。
【0119】
検出ステップは、任意の既知の手段によって実施し得る。
【0120】
一態様では、増幅産物をタグ付け又は標識し、検出方法はタグ又は標識を検出するステップを含む。タグ又は標識は、好ましくは、増幅ステップ中に増幅産物内に取り込まれる。一実施形態では、順方向及び/又は逆方向のプライマーはタグ又は標識を含み、タグ又は標識は、プライマーが増幅ステップ中に伸長される際に増幅産物内に取り込まれる。タグ又は標識は、好ましくは順方向又は逆方向のプライマーの5’又は3’末端、最も好ましくは逆方向プライマーの5’末端に位置する。
【0121】
したがって、一実施形態では、増幅産物を標識し、アッセイは、標識を検出し(好ましくはプライマーを除去した後)、標識の存在を増幅産物の存在、したがってMTBcのマイコバクテリアの存在と相関させることを含む。標識は、放射標識又は蛍光若しくは有色分子などの検出可能な標識を含み得る。例として、標識は、ジゴキシゲニン、フルオレセイン−イソチオシアネート(FITC)又はR−フィコエリスリンであり得る。標識は、写真用又はX線フィルムへの露光によるものなどの、直接検出されるレポーター分子であり得る。或いは、標識は、直接検出可能でないが、間接的に、たとえば2相系で検出し得る。間接標識検出の一例は、抗体と標識との結合である。
【0122】
一実施形態では、増幅産物をタグ付けし、アッセイは、タグを捕捉し(好ましくはプライマーを除去した後)、タグの存在を増幅産物の存在、したがってMTBcのマイコバクテリアの存在と相関させることを含む。一実施形態では、タグは、膜又は磁気ビーズなどの基質又は固体担体上に付着(たとえばコーティング)し得る捕捉分子を用いて捕捉する。
【0123】
磁気ビーズを用いた捕捉方法は、ビーズ(+捕捉された、タグ付けされた増幅産物)は、当分野で知られている従来の技術を用いて試料から容易に濃縮及び分離することができるため、有利である。
【0124】
適切なタグの例には「相補体/抗相補体の対」が含まれる。用語「相補体/抗相補体の対」とは、適切な条件下で非共有結合した安定な対を形成する、同一でない部分を示す。たとえば、ビオチンとアビジン(又はストレプトアビジン)が相補体/抗相補体の対のメンバーである。他の例示的な相補体/抗相補体の対には、受容体/リガンドの対、抗体/抗原(又はハプテン若しくはエピトープ)の対などが含まれる。続いて相補体/抗相補体の対の解離が望ましい場合、相補体/抗相補体の対は、好ましくは10−1未満の結合親和性を有する。
【0125】
一実施形態では、タグはビオチン及びストレプトアビジンから選択される。この点において、ビオチンタグは、ビーズ(たとえば磁気ビーズ)又は膜などの基質又は支持体上にコーティングできるストレプトアビジンを用いて捕捉し得る。同様に、ストレプトアビジンタグは、ビーズ(たとえば磁気ビーズ)又は膜などの基質又は支持体上にコーティングできるビオチンを用いて捕捉し得る。タグと捕捉分子の他の例示的な対には、受容体/リガンドの対及び抗体/抗原(又はハプテン若しくはエピトープ)の対が含まれる。
【0126】
したがって、一実施形態では、増幅産物はビオチンタグを取り込み、検出ステップは、試料を、ビオチンをタグ付けした増幅産物を捕捉する、ストレプトアビジンでコーティングした磁気ビーズと接触させることを含む。その後、磁気ビーズ(+捕捉された、タグ付けされた増幅産物)を試料から分離し、それにより増幅産物を試料から分離することができる。その後、増幅産物を任意の既知の手段によって検出することができる。
【0127】
一実施形態では、増幅産物の核酸配列を決定する。増幅産物の配列決定は、任意の既知の手段によって実施し得る。たとえば(DNAの標識されていない鎖を水酸化ナトリウムで融解して除去した後)、Trimgen Mutector(商標)検出システムなどの比色配列決定系を用い得る。
【0128】
一態様では、増幅産物は、プローブと増幅産物との間のハイブリダイゼーション複合体の形成を可能にする条件下で、試料をオリゴヌクレオチドプローブと接触させるステップと、ハイブリダイゼーション複合体を検出するステップとを含む方法によって検出する。一実施形態では、プローブは増幅産物に特異的である。
【0129】
プローブは、好ましくは5〜30個のヌクレオチドの長さ、好ましくは少なくとも6、7、8、9又は10個のヌクレオチドの長さである。好ましくは、プローブは、25個までのヌクレオチドの長さ、より好ましくは20、18、16、15、14、13、12、11又は10個までのヌクレオチドの長さである。プローブは、より好ましくは8〜12個のヌクレオチドの長さ、最も好ましくは約10個のヌクレオチドの長さである。この点において、短いプローブの使用により、より速い標的核酸へのアニーリングが可能となる。
【0130】
プローブが増幅産物内でハイブリダイズする標的ヌクレオチド配列は、好ましくは少なくとも5、6、7、8、9又は10個のヌクレオチドの長さである。好ましくは、プローブの標的配列は、30個までのヌクレオチドの長さ、より好ましくは25、20、18、16、15、14、13、12、又は11個までのヌクレオチドの長さである。プローブの標的配列は、より好ましくは8〜12個のヌクレオチドの長さ、最も好ましくは約10個のヌクレオチドの長さである。
【0131】
一実施形態では、プローブはPNAプローブである。
【0132】
プローブは、従来のソフトウェアを用いて、所望のパラメータの選択に基づいて増幅産物内のその標的配列とハイブリダイズするように設計されている。結合条件は、高レベルの特異性がもたらされるものであることが好ましい、すなわち、プローブと増幅産物とのハイブリダイゼーションは「ストリンジェントな条件」下で起こる。一般に、ストリンジェントな条件は、定義されたイオン強度及びpHにおける特定の配列の熱融点(T値,melting point)よりも約5℃低くなるように選択される。T値とは、標的配列の50%が完全に一致したプローブとハイブリダイズする温度である(定義されたイオン強度及びpHの下)。この点において、約0.02M以下の塩濃度、pH7における本発明のプローブのT値は、好ましくは60℃を超え、より好ましくは約70℃である。
【0133】
事前に混合された結合溶液が入手可能であり(たとえば、CLONTECH Laboratories, Inc.社製EXPRESSHYBハイブリダイゼーション溶液)、ハイブリダイゼーションは製造者の指示にしたがって行うことができる。或いは、当業者はこれらの結合条件の適切な変形を考案することができる。
【0134】
自己相補性及び二量体形成(プローブ−プローブの結合)を最小限にするためにプローブをスクリーニングすることが好ましい。本発明の好ましいプローブは、ヒトDNAと最小限の相同性を有するように選択する。選択プロセスは、候補プローブ配列をヒトDNAと比較し、相同性が50%よりも高い場合はプローブを拒絶することが含まれ得る。この選択プロセスの目的は、プローブと汚染ヒトDNA配列とのアニーリングを低減させ、それによりアッセイの特異性の向上を可能にすることである。
【0135】
一実施形態では、プローブの配列は、プローブがハイブリダイズする増幅産物の配列に対して100%相補的である。或いは、一実施形態では、プローブ核酸の約30%まで(好ましくは約25、22、20、18、16、14、12、10、9、8、7、6、5、4、3、2又は1%まで)が増幅産物の核酸配列と比較してミスマッチであっても、増幅産物の存在の検出が可能であり得る。
【0136】
一態様では、オリゴヌクレオチドプローブは、以下の表3に示す配列番号52〜57から選択されるヌクレオチド配列に対して、少なくとも80%の同一性(好ましくは少なくとも85、90、95又は100%の同一性)を有するヌクレオチド配列を含む(かつそれからなる)。この点において、保存的置換が好ましい。
【0137】
【表7】

【0138】
バリアントプローブ配列を定義するための代替手段は、バリアント配列とリファレンスプローブ配列との間で異なるヌクレオチドの数を定義することによる。したがって、一実施形態では、本発明のプローブは、2個以下のヌクレオチド、好ましくは1個以下のヌクレオチドによって配列番号52〜57と異なる核酸配列を含む(又はそれからなる)。この点において、保存的置換が好ましい。
【0139】
上述のプローブ配列の断片も用いてよく、断片は、配列番号52〜57の少なくとも8又は9個の連続したヌクレオチドを含む。したがって、一実施形態では、本発明のプローブは、配列番号52〜57(又は上記に定義したそのバリアント配列)の断片を含む(又はそれからなる)。前記断片は、好ましくは少なくともその8又は9個の連続したヌクレオチドを含む。
【0140】
結合後、ストリンジェント(好ましくは高度にストリンジェント)な条件下で洗浄することで、結合していないオリゴヌクレオチドが除去される。典型的なストリンジェントな洗浄条件には、0.1%のSDSを含む0.5〜2×SSCの溶液中、55〜65℃で洗浄することが含まれる。典型的な高度にストリンジェントな洗浄条件には、0.1%のSDSを含む0.1〜0.2×SSCの溶液中、55〜65℃で洗浄することが含まれる。当業者は、たとえば洗浄溶液中のSSCをSSPEに置き換えることによって、等価な条件を容易に考案することができる。
【0141】
一実施形態では、プローブは標識を含む。したがって、一実施形態では、標識したプローブと増幅産物とのハイブリダイゼーションの後、標識は結合した増幅産物と関連づけられる。したがって、一実施形態では、アッセイは、標識を検出することと(好ましくは結合していないプローブを除去した後)、標識の存在を結合した増幅産物の存在、したがってMTBcのマイコバクテリアの存在と相関づけることとを含む。
【0142】
標識は、放射標識、蛍光分子、酵素マーカー又は色素原マーカー、たとえば、プローブのハイブリダイゼーションの際に目に見える色変化を生じる色素などの、検出可能な標識を含み得る。例として、標識は、ジゴキシゲニン、フルオレセイン−イソチオシアネート(FITC)又はR−フィコエリスリンであり得る。標識は、写真用又はX線フィルムへの露光によるものなどの、直接検出されるレポーター分子であり得る。或いは、標識は、直接検出可能でないが、間接的に、たとえば2相系で検出し得る。間接標識検出の一例は、抗体と標識との結合である。
【0143】
一実施形態では、プローブはタグを含む。したがって、タグ付けしたプローブと増幅産物とのハイブリダイゼーションの後、タグは結合した増幅産物と関連づけられる。したがって、一実施形態では、アッセイは、タグを捕捉することと(好ましくは結合していないプローブを除去した後)、タグの存在を結合した増幅産物の存在、したがってMTBcのマイコバクテリアの存在と相関づけることとを含む。
【0144】
一実施形態では、タグは、膜又は磁気ビーズなどの基質又は固体担体上に付着(たとえばコーティング)し得る捕捉分子を用いて捕捉する。
【0145】
ビーズ(+増幅産物と結合した、捕捉されたタグ付けしたプローブ)は、当分野で知られている従来の技術を用いて試料から容易に分離することができるため、磁気ビーズを用いた捕捉方法が有利である。
【0146】
適切なタグの例には、ビオチン及びストレプトアビジンが含まれる。この点において、ビオチンタグは、ビーズ(たとえば磁気ビーズ)又は膜などの基質又は支持体上にコーティングできるストレプトアビジンを用いて捕捉し得る。同様に、ストレプトアビジンタグは、ビーズ(たとえば磁気ビーズ)又は膜などの基質又は支持体上にコーティングできるビオチンを用いて捕捉し得る。タグと捕捉分子の他の例示的な対には、受容体/リガンドの対及び抗体/抗原(又はハプテン若しくはエピトープ)の対が含まれる。
【0147】
したがって、一実施形態では、プローブをビオチンでタグ付けし、検出ステップは、試料を、増幅産物と結合した、ビオチンをタグ付けしたプローブを捕捉する、ストレプトアビジンでコーティングした磁気ビーズと接触させることを含む。その後、磁気ビーズ(+増幅産物と結合した、捕捉されたタグ付けしたプローブ)を試料から分離することによって、増幅産物を試料から分離する。その後、増幅産物を任意の既知の手段によって検出することができる。
【0148】
一態様では、プローブを支持体又はプラットフォーム上に固定する。プローブの固定によりプローブの物理的な位置が提供され、プローブを所望の位置に固定する及び/又はプローブの回収若しくは分離を容易にする役割を果たし得る。支持体は、たとえば、ビーズ(たとえば磁気ビーズ)などのガラス又はプラスチック製の強固な固体担体であり得る。或いは、支持体は、ナイロン又はニトロセルロース膜などの膜であり得る。また、たとえばポリアクリルアミド又はPEGゲルなどの三次元マトリックスも、本発明で使用するための適切な支持体である。
【0149】
支持体/プラットフォームへの固定は、様々な従来の手段によって達成し得る。例として、ナイロン膜などの支持体上への固定は、UV架橋結合によって達成し得る。ビオチンで標識した分子(たとえばプローブ)をストレプトアビジンでコーティングした基質と結合させてよく(及びその逆)、アミノリンカーを用いて調製した分子をシラン化処理した表面上に固定し得る。プローブを固定する別の手段は、たとえば3’又は5’末端のポリTテイル又はポリCテイルを介するものである。
【0150】
一実施形態では、プローブは増幅産物とハイブリダイズするが、プライマー−プライマーの二量体の配列とはハイブリダイズしない。代替の実施形態では、プローブは、増幅産物に対するプローブの結合親和性と比較してより低い結合親和性で、プライマー−プライマーの二量体とハイブリダイズする。
【0151】
一実施形態では、プローブが増幅産物内でハイブリダイズする標的核酸配列は、プライマー二量体の配列中に存在しない。代替の実施形態では、プローブが増幅産物内でハイブリダイズする標的核酸配列がプライマー二量体の配列中に存在するが、プローブに対して接近可能性が乏しい、好ましくは接近不可能である。
【0152】
したがって、一実施形態では、プローブのハイブリダイゼーションにより、増幅産物をプライマー二量体と区別することが可能となる。
【0153】
一実施形態では、プローブが増幅産物内でハイブリダイズする標的核酸配列は、順方向及び逆方向のプライマーがハイブリダイズする標的核酸配列の間に位置するヌクレオチド配列を含む(又はそれからなる)。この標的核酸配列は、好ましくはプライマー二量体の配列中に存在しない(又はプローブに対して接近可能性が乏しい若しくは接近不可能である)。したがって、一実施形態では、プローブは、プライマー二量体とハイブリダイズしない(又は増幅産物と比較してより低い親和性でハイブリダイズする)。
【0154】
一実施形態では、プローブが増幅産物内でハイブリダイズする標的核酸配列は、GCGC、TCGC、GGGA、ATTC又はTTGCから選択されるヌクレオチド配列を含む。
【0155】
一態様では、増幅産物は二本鎖核酸分子であり、融解曲線の分析を含む方法によって検出される。融解曲線の分析とは、加熱中の二本鎖核酸(たとえばDNA)の解離特徴の評価である。融解曲線の分析は、図3、4、8及び10〜12に例示されている。一実施形態では、増幅産物は、90〜95℃の範囲、好ましくは92〜93℃の範囲、最も好ましくは約92.5℃のTmを有する。
【0156】
また、融解曲線の分析を用いて増幅産物をプライマー二量体と区別することもできる。したがって、一実施形態では、プライマー二量体のTmは増幅産物のTmとは異なる。一実施形態では、プライマー二量体は、82〜89℃の範囲、好ましくは84〜88℃の範囲、最も好ましくは約86℃のTmを有する。
【0157】
一態様では、増幅産物は、試料を、増幅産物を消化する酵素(制限エンドヌクレアーゼなど)と接触させるステップと、消化産物を同定するステップと含む方法によって検出される。
【0158】
この態様では、制限エンドヌクレアーゼは、増幅産物の配列内に位置する制限部位を認識する。
【0159】
また、制限エンドヌクレアーゼ消化は、増幅産物をプライマー二量体と区別するために用いることができる。一実施形態では、制限エンドヌクレアーゼは増幅産物を消化するが、プライマー二量体を消化しない。一実施形態では、制限エンドヌクレアーゼは、増幅産物の配列内に位置するが、プライマー二量体の配列中に存在しない制限部位を認識する。或いは、制限部位がプライマー二量体の配列内に位置するが、制限エンドヌクレアーゼに対して接近可能性が乏しい又は接近不可能である。
【0160】
一実施形態では、増幅産物内の制限部位は、順方向及び逆方向のプライマーがハイブリダイズする標的核酸配列の間に位置する。この核酸配列は、好ましくはプライマー二量体の配列中に存在しない(又は制限エンドヌクレアーゼに対して接近可能性が乏しい若しくは接近不可能である)。
【0161】
一実施形態では、制限エンドヌクレアーゼは、GCGC、TCGC、GCGA、CTTC、GAAG、GCAA、TTGC、CTTT又はAAAGから選択される標的配列を認識して切断する。一実施形態では、制限エンドヌクレアーゼはHhaIである。
【0162】
したがって、一実施形態では、制限エンドヌクレアーゼは増幅産物を消化するが、プライマー二量体を消化しない。本実施形態では、消化産物の存在により、増幅産物が存在することが確認され、したがってMTBcマイコバクテリアの存在が確認される。対照的に、消化産物の非存在により、増幅産物が存在しないことが確認され、したがってMTBcマイコバクテリアの非存在が確認される。
【0163】
代替の実施形態では、制限エンドヌクレアーゼは、異なる位置であるが、増幅産物及びプライマー二量体の両方を消化する。本実施形態では、制限エンドヌクレアーゼの制限部位は、異なる位置であるが、増幅産物及びプライマー二量体の両方中に存在する。したがって、増幅産物の消化産物及びプライマー二量体の消化産物は異なり、互いに区別し得る。
【0164】
消化産物は、任意の既知の手段によって、たとえば、上述の検出技術のいずれかを含む方法によって検出し得る。
【0165】
一実施形態では、増幅産物の消化産物は、その大きさによって、たとえばゲル電気泳動を含む方法によって検出される(及び/又はプライマー二量体、若しくはその消化産物と区別される)。
【0166】
一実施形態では、増幅産物の消化産物は、15〜27個のヌクレオチドの範囲の長さ、好ましくは少なくとも16、17、18、19又は20個のヌクレオチドの長さ、好ましくは26、25又は24個までのヌクレオチドの長さである。好ましくは、消化産物は、20〜25個の範囲のヌクレオチドの長さ、より好ましくは約21、22又は23個のヌクレオチドの長さである。
【0167】
本発明の方法により、決定するマイコバクテリア量の定量的推定が可能となる。MTBcマイコバクテリア量の決定には、臨床的指針のため、並びに治療の決定、患者管理及びワクチン有効性の評価のためなどの、多くの有用な適用がある。
【0168】
一態様では、検出された増幅産物の量の測定により、試料中のMTBc核酸の量の定量が可能となる。
【0169】
一実施形態では、増幅産物を標識し、増幅産物の量は、標識を検出し、標識の量を測定することによって測定する。一実施形態では、増幅産物をタグ付けし、増幅産物の量は、タグを捕捉し、捕捉されたタグの量を測定することによって定量する。
【0170】
一実施形態では、増幅産物をオリゴヌクレオチドプローブとハイブリダイズさせ、プローブ−増幅産物のハイブリダイゼーション複合体の量を測定することによって、増幅産物の量を測定する。一実施形態では、プローブをタグ付け又は標識し、標識を検出する又はタグを捕捉することによってプローブ−増幅産物のハイブリダイゼーション複合体の量を測定し、標識又は捕捉されたタグの量を測定する。
【0171】
一実施形態では、増幅産物を制限エンドヌクレアーゼで消化し、増幅産物の消化産物を検出し消化産物の量を測定することによって増幅産物の量を測定する。
【0172】
したがって、一態様では、本発明は、所望の試料中のMTBcマイコバクテリア量(たとえば結核菌の量又はウシ型結核菌の量)を定量するためのインビトロの方法であって、(a)本発明による検出方法を前記所望の試料に対して実施するステップと、(b)前記方法を、予め定められた既知のMTBマイコバクテリア量の試験試料に対して実施するステップと、(c)所望の試料から検出された増幅産物の量を、試験試料から検出された増幅産物の量と比較するステップとを含み、それにより、所望の試料中のMTBcマイコバクテリア量を定量する方法を提供する。
【0173】
別の態様では、本発明の方法は、一定期間にわたる結核菌又はウシ型結核菌などのMTBcマイコバクテリアの治療経過、たとえば、ワクチン療法などの薬物療法経過の有効性の決定に有用である。
【0174】
したがって、一態様では、本発明は、薬物療法の期間中の抗MTBcマイコバクテリア薬(抗結核菌薬又は抗ウシ型結核菌薬)の有効性を決定するためのインビトロの方法であって、(a)本発明による検出方法を、薬物療法の期間内又は期間前の第1の時点に得られた第1の試料に対して実施するステップと、(b)前記方法を、薬物療法の期間内又は期間後の1又は複数の後の時点に得られた1又は複数の試料に対して実施するステップと、(c)第1の試料から検出された増幅産物の量を、1又は複数の後の試料から検出された増幅産物の量と比較するステップとを含み、それにより、薬物療法の期間中の薬物有効性を決定する方法を提供する。
【0175】
一実施形態では、1又は複数の後の試料から検出された増幅産物の量が、第1の試料から検出された増幅産物の量と比較して減少していることにより、MTBcマイコバクテリアに対する薬物の有効性が示される。
【0176】
別の態様では、本発明は、結核菌又はウシ型結核菌などのMTBcマイコバクテリアの感染症に対するワクチンの有効性の決定に有用である。
【0177】
したがって、一態様では、本発明は、MTBcマイコバクテリアに対するワクチンの有効性を決定するためのインビトロ方法であって、(a)本発明による検出方法を、ワクチン接種前の第1の時点に患者から得た第1の試料に対して実施するステップと、(b)前記方法を、MTBcマイコバクテリアを用いたワクチン接種及び追加接種後の1又は複数の後の時点に前記患者から得た試料に対して実施するステップと、(c)第1の試料から検出された増幅産物の量を、1又は複数の後の試料から検出された増幅産物の量と比較するステップとを含み、それにより、ワクチンの有効性を決定する方法を提供する。
【0178】
一実施形態では、1又は複数の後の試料から検出された増幅産物の量が、第1の試料から検出された増幅産物の量と比較して減少していることにより、MTBcマイコバクテリア感染症(たとえば結核菌感染症又はウシ型結核菌感染症)に対するワクチンの有効性が示される。
【0179】
また、本発明は、本発明の上述の方法で使用するための、順方向プライマー、逆方向プライマー、プローブ、その組合せなどの試薬、及び前記試薬を含むキットも提供する。
【0180】
一実施形態では、順方向及び/又は逆方向のオリゴヌクレオチドプライマーの配列は、完全長MIRU反復エレメント又はその相補体の核酸配列全体を含まない、又はそれからならない。
【0181】
一態様では、本発明は、MIRU反復エレメント内に位置する標的核酸配列とハイブリダイズする順方向オリゴヌクレオチドプライマーを提供する。一実施形態では、前記標的核酸配列は、配列番号25〜39から選択されるヌクレオチド配列の相補体に対して、少なくとも90%同一(好ましくは91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%同一)であるヌクレオチド配列、又は上記に定義したその断片を含む(又はそれからなる)。一実施形態では、前記標的核酸配列は、MTB複合体のマイコバクテリアに特異的である。
【0182】
一実施形態では、順方向プライマーは、配列番号47又は48から選択されるヌクレオチド配列に対して、少なくとも80%の同一性(好ましくは81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性)を有するヌクレオチド配列を含む(又はそれからなる)。
【0183】
一実施形態では、順方向プライマーは、配列番号47若しくは48(又は上記に定義したそのバリアント配列)の断片を含み(又はそれからなり)、前記断片は、少なくともその15個の連続したヌクレオチドを含む。好ましくは、前記断片は、少なくともその16、17、18、19、20又は21個の連続したヌクレオチドを含む。
【0184】
一態様では、本発明は、MIRU反復エレメント内に位置する標的核酸配列とハイブリダイズする逆方向オリゴヌクレオチドプライマーを提供する。一実施形態では、前記標的核酸配列は、配列番号40〜46から選択されるヌクレオチド配列に対して、少なくとも90%同一(好ましくは91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%同一)であるヌクレオチド配列を含む(又はそれからなる)。一実施形態では、前記標的核酸配列は、MTB複合体のマイコバクテリアに特異的である。
【0185】
一実施形態では、逆方向プライマーは、配列番号49〜51から選択されるヌクレオチド配列に対して、少なくとも80%の同一性(好ましくは81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性)を有するヌクレオチド配列、又は上記に定義したその断片を含む(又はそれからなる)。
【0186】
一実施形態では、逆方向プライマーは、配列番号49、50若しくは51(又は上記に定義したそのバリアント配列)の断片を含み(又はそれからなり)、前記断片は、少なくともその15個の連続したヌクレオチドを含む。好ましくは、前記断片は、少なくともその16、17、18又は19個の連続したヌクレオチドを含む。
【0187】
一実施形態では、順方向プライマー及び/又は逆方向のプライマーは、上述のようにタグ又は標識を含む。
【0188】
本発明は、上記に定義した順方向プライマー及び上記に定義した逆方向プライマーを含む、一対の順方向及び逆方向のオリゴヌクレオチドプライマーをさらに提供する。
【0189】
また、本発明は、上記に定義した一対の順方向及び逆方向のオリゴヌクレオチドプライマーを含む、試料中のMTB複合体に属するマイコバクテリアを検出するためのキットも提供する。キットは、MTB複合体に特異的な核酸配列を増幅するための試薬を含んでいてもよい。キットは、増幅産物を検出するための試薬を含んでいてもよい。
【0190】
一実施形態では、増幅産物を検出するための試薬は、前記増幅産物とハイブリダイズする上述のオリゴヌクレオチドプローブを含む。
【0191】
一実施形態では、オリゴヌクレオチドプローブの配列は、完全長MIRU反復エレメント又はその相補体の核酸配列全体を含まない、又はそれからならない。
【0192】
一実施形態では、前記プローブは、配列番号52〜57から選択されるヌクレオチド配列に対して、少なくとも80%の同一性(好ましくは少なくとも85、90、95又は100%の同一性)を有するヌクレオチド配列、又は少なくともその8若しくは9個の連続したヌクレオチドを有するその断片を含む(又はそれからなる)。
【0193】
一実施形態では、プローブは、上述のタグ又は標識を含む。
【0194】
一実施形態では、増幅産物を検出するための試薬は、上述のように増幅産物を消化する制限エンドヌクレアーゼ(HhaIなど)などの酵素を含む。
【0195】
以下に記載する実施例及び図面によって本発明をさらに詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0196】
【図1】複数の順方向及び逆方向のプライマー標的配列並びに5個までの隣接MIRU反復エレメントにまたがる核酸配列を含む増幅産物の形成の詳細を示す、同じMIRU座位の5個までの隣接MIRU反復エレメントの増幅を例示する図である。
【図2】複数のMIRU反復エレメントからの核酸配列のコンカテマー形成を含む増幅産物の生成を例示する図である。
【図3−4】融解曲線を例示する図である。蛍光を融解温度(Tm)に対して測定する。陰性試料=86℃の融点、陽性試料=92℃の融点。図3は、8個の陽性融解を用いた、低顕微鏡観察試料(1mlの痰当たり約30〜1000個の細菌)からの融解曲線である。
【図5】リアルタイムPCRによって得られた産物のアガロースゲル分析を例示する図である。レーン7は、約11Kbのコンカテマーを例示する。符号は以下のとおりである。 レーン 1 2 3 4 5 6 7 8 ニート 10−6 10−5 10−4 陰性 10−2 10−1 陰性 Tm 92.6 86.5 92.9 93.2 86.2 92.6 92.6 86.11 Ct 16.7 34.6 33.2 30.1 36.0 23.7 20.3 35.1
【図6】(遮断に基づいた)痰のアンプリコンの消化を例示する図である。符号は以下のとおりである。 レーン1=痰a:1〜10個のロッドTb レーン2=痰b:90個のロッドTbを超える レーン3=痰c:90個のロッドTbを超える レーン4=痰d:1〜10個のロッドTb レーン5=マイコバクテリウム・マルモエンス(M. malmoense)(1〜10個のロッド) レーン6=マイコバクテリウム・ケロネー(M. chelonae)(10〜90個のロッド) レーン7=H37R DNA レーン8=陰性 レーン9=消化したPGem レーン10=痰b、非消化 レーン11=PGem、非消化
【図7】痰のアンプリコンの消化を例示する図である。符号は以下のとおりである。 レーン1=痰6444 レーン2=痰b レーン3=痰c レーン4=痰d レーン5=陰性(プライマー二量体) レーン6=非消化6444 レーン7=PGem、消化 レーン8=PGem、非消化
【図8】低陽性顕微鏡観察痰試料の融解ピーク及び増幅曲線のデータを例示する図である(プレートは50%の陰性、50%の陽性を含む):72℃のアニーリングを1秒間、傾斜速度1℃/秒、(伸長なし)。
【図9】Tmに対するCt(産物が検出されるために十分な量で蓄積され始めるサイクル数)を例示する図である。
【図10−12】3つの別個のアッセイにおいて低顕微鏡観察陽性痰から得られた融解曲線を例示する図である。
【図13】ウシ型結核菌PCR産物の電気泳動を例示する図である。符号は以下のとおりである。 レーン1:低分子量ラダー レーン2:ウシ型結核菌「62」 レーン3:ウシ型結核菌「64」 レーン4:ウシ型結核菌「65」 レーン5:陰性対照 レーン6:Mtb陽性対照 レーン7:低分子量ラダー
【図14】ウシ型結核菌産物の制限エンドヌクレアーゼ消化を例示する図である。符号は以下のとおりである。 レーン1:低分子量ラダー レーン2:ウシ型結核菌「62」、消化 レーン3:ウシ型結核菌「62」、非消化 レーン4:ウシ型結核菌「64」、消化 レーン5:ウシ型結核菌「64」、非消化 レーン6:ウシ型結核菌「65」、消化 レーン7:ウシ型結核菌「65」、非消化 レーン8:陰性対照、消化 レーン9:陰性対照、非消化 レーン10:PGemベクター対照、消化 レーン11:PGemベクター対照、非消化 レーン12:低分子量ラダー
【図15】約86℃のTmを有するすべての陰性対照及び約93.5℃の陽性Tmを有するすべてのウシ型結核菌試料を示す融解曲線を例示する図である。
【図16】ウシ型結核菌パネルの融解曲線のデータを異なる様式で例示し、ct(産物が検出されるために十分な量で蓄積され始めるサイクル数)を示す図である。
【0197】
[実施例]
【実施例1】
【0198】
結核菌:増幅
痰試料は、英国のニューカスル地域HPA研究所(Newcastle Regional HPA laboratory)、王立ロンドン病院(Royal London Hospital)の両方から寄付されたものである。
【0199】
国家標準の操作手順プロトコルを用いて痰を処理した。すべての試料は、カテゴリーIII実験室のクラスIキャビネット内で処理した。1mlの痰を105℃まで10分間加熱し、実験室外に取り出す前にはチューブの外側を消毒した。
【0200】
以下のプライマーがMWGEurofins Ltd.から合成されている:
Mtb det逆方向:5' CGC CGG CGA CGA TGC AGA GC 3'
Mtb det順方向:5' GGC GCC GCT CCT CCT CAT CGC T 3'
【0201】
遮断に基づいた方法:
PCR反応混合物は、25μlのReadyMix(商標)(最終濃度:1.5UのTaqポリメラーゼ、10mMのトリス−HCl、50mMのKCl、1.5mMのMgCl2、0.2mMのdNTP)(Sigma社製、英国)、5pmolの逆方向プライマー、5pmolの順方向プライマー(MWGEurofins社製、英国)、200ngの鋳型DNA又は1μlの失活痰、及び合計50μlまでのヌクレアーゼ非含有水からなっていた。
【0202】
Applied Biosystems社製の9700熱サイクラーのPCRサイクリングパラメータは以下のとおりであった:95℃で12分間、続いて45サイクルの94℃で30秒間、64℃で1分間、及び72℃で2分間。
【0203】
リアルタイム方法:
PCR反応混合物は、10μlの2×Lightcycler 480(登録商標)SYBR green Iマスターミックス(FastStartTaqポリメラーゼ、dNTP混合物、SYBR green I色素、及び3.5mMのMgClを含有)、0.5μMの順方向及び逆方向のプライマーを両方、5μlの鋳型DNA及び並びに合計20μlまでのヌクレアーゼ非含有水からなっていた。
【0204】
Roche社製のLightcycler 480(LC480)のPCRサイクリングパラメータは以下のとおりであった:95℃で12分間、続いて45サイクルの95℃で10秒間、64℃で1秒間、及び72℃で1分間。傾斜速度は、それぞれ4.4、2.2、及び4.4℃/秒であった。
【0205】
代替PCTサイクリングパラメータには、別のアニーリング温度が含まれない:95℃で12分間の初期変性後(4.4℃/秒の傾斜)、リアルタイムサイクリングパラメータは、45サイクルの95℃で10秒間、72℃で1秒間、傾斜速度は1秒当たり1℃であった。
【実施例2】
【0206】
結核菌:PCR産物の分析
遮断に基づいた分析
PCR産物は、1.5%(w/v)のアガロースゲル(Invitrogen社製、英国)中の電気泳動(65Vで120分間)によって分析した。ゲルを200mlの1×TBE緩衝液(Invitrogen社製)中の20μlのSYBR green I核酸ゲル染色(10,000×;Sigma Aldrich社製、英国)で30分間染色し、紫外線照射(BioRad社製)によって可視化した。
【0207】
反復エレメントの性質が原因で、プライマーはゲル上に大きな非特異的なスメアを形成する増幅産物をもたらした。
【0208】
図1に例示したように、増幅産物は単一のMIRU反復エレメントに由来する場合があり(両方のプライマーも同じ反復エレメント内で結合した場合)、この場合、増幅産物は約44bpとなる。
【0209】
或いは、増幅産物は同じ座位内のいくつかの隣接MIRU反復エレメントに由来する場合があり、この場合、増幅産物は約680bpであり得る(13個のコピーのエレメントを有する座位の場合)。
【0210】
しかし、アガロースゲル電気泳動によって判断して、はるかにより大きな産物/コンカテマーの増幅の証拠が存在する。図2中に図示するように、反応中の初期産物が追加のプライマーとして作用し、はるかにより大きな産物(12Kbを超えるもの)の形成を許容していることが仮定される。
【0211】
したがって、産物を様々な方法によってさらに特徴づけした。
【0212】
図5を参照すると、ゲル写真は11Kbを超えるコンカテマーを示す。Hhalで消化した後、この大きな産物は予測された小断片へと分解される。図6及び7を参照されたい。
【0213】
陰性試料(プライマー二量体)は、約40bpの大きさのバンドを形成した。産物の大きさは、1Kbのラダー(Promega社製、英国)と直接比較することによって決定した。
【0214】
リアルタイム分析
増幅曲線は、LC480ソフトウェアから導いたAbsolute Quantification/2nd Derivative Maxの方法によって分析した。融解曲線の分析は、LC480ソフトウェア内のNegative first derivative(−dF/dT)の方法を用いて自動的に行った。
【0215】
融解曲線のプロトコルは以下のとおりである:99℃で10秒間、55℃で20秒間、及び最後に99℃まで再加熱、1℃あたり5個のデータを獲得。傾斜速度は、それぞれ4.4及び2.2℃/秒であった。
【0216】
図3、4、8及び10〜12に例示した結果は異なる痰試料からのものである。結果は、陰性(プライマー二量体)は約86℃で融解する一方で、増幅産物は約91℃で融解することを示している。
【0217】
図9の表は、融解曲線のデータを異なる様式で表し、ct(産物が検出されるために十分な量で蓄積され始めるサイクル数)を示す。
【実施例3】
【0218】
ウシ型結核菌:増幅
約200ngの抽出したウシ型結核菌のDNAを、以下のリアルタイムPCRにおいて鋳型として使用した。
【0219】
以下のプライマーがMWGEurofins Ltd.から合成されている:
Mtb det逆方向:5' CGC CGG CGA CGA TGC AGA GC 3'
Mtb det順方向:5' GGC GCC GCT CCT CCT CAT CGC T 3'
【0220】
リアルタイム方法:
PCR反応混合物は、10μlの2×Lightcycler 480(登録商標)SYBR green Iマスターミックス(FastStartTaqポリメラーゼ、dNTP混合物、SYBR green I色素、及び3.5mMのMgClを含有)、0.5μMの順方向及び逆方向のプライマーを両方、200ngの鋳型DNA並びに合計20μlまでのヌクレアーゼ非含有水からなっていた。
【0221】
Roche社製のLightcycler 480(LC480)で使用した代替PCRサイクリングパラメータは以下のとおりであった:95℃で12分間、続いて45サイクルの95℃で10秒間及び72℃で1秒間。傾斜速度は、それぞれ4.4及び1.0℃/秒であった。
【実施例4】
【0222】
ウシ型結核菌:PCR産物の分析
PCR産物は、2.0%のEGel(Invitrogen社製、英国)中の電気泳動(65Vで30分間)によって分析した。ゲルは、紫外線照射(BioRad社製)によって可視化した。
【0223】
陰性試料(プライマー二量体)は約40bpの大きさのバンドを形成した。
【0224】
反復エレメントの性質が原因で、プライマーはゲル上に大きな非特異的なスメアを形成する増幅産物をもたらした(図13を参照)。アガロースゲル電気泳動によって判断して、増幅産物は大きなコンカテマーとして現れる。反応中の初期産物が追加のプライマーとして作用し、はるかにより大きな産物(12Kbを超えるもの)の形成を許容していることが仮定される。
【0225】
PCR産物を様々な方法によってさらに特徴づけした。図14を参照すると、ゲル写真は、それぞれ、消化していないウシ型結核菌PCR産物を、11Kbを超えるコンカテマーとして示す。Hhalで消化した後、この大きな産物は予測された小断片へと分解される。
【0226】
リアルタイム分析
増幅曲線は、LC480ソフトウェアから導いたAbsolute Quantification/2nd Derivative Maxの方法によって分析した。融解曲線の分析は、LC480ソフトウェア内のNegative first derivative(−dF/dT)方法を用いて自動的に行った。
【0227】
融解曲線のプロトコルは以下のとおりである:99℃で10秒間、55℃で20秒間、及び最後に99℃まで再加熱、1℃あたり5個のデータを獲得。傾斜速度は、それぞれ4.4及び2.2℃/秒であった。
【0228】
図15に例示した結果はウシ型結核菌試料からのものである。これらは、陰性(プライマー二量体)は約86℃で融解する一方で、増幅産物は約93.5℃で融解することを示している。
【0229】
図15に例示した結果を、以下に個々の融解温度として示す。
【0230】
ウシ型結核菌パネルのTm(融解温度)値
位置 名称 Tm1 Tm2
A1 ウシ型結核菌 62 93.74
A2 ウシ型結核菌 62 94.23
A3 ウシ型結核菌 64 93.63
A4 ウシ型結核菌 65 93.65
A5 ウシ型結核菌 65ニート 93.10
A6 Mtb陽性対照 93.11
B1 ウシ型結核菌 62 93.58
B2 ウシ型結核菌 62 93.47
B3 ウシ型結核菌 64 93.57
B4 ウシ型結核菌 65 93.45
B5 陰性対照 85.96
B6 Mtb陽性対照 93.79
C1 ウシ型結核菌 62 93.63
C2 ウシ型結核菌 64 93.62
C3 ウシ型結核菌 64 93.24
C4 ウシ型結核菌 65 93.51
C5 陰性対照 85.76
D1 ウシ型結核菌 62 93.69
D2 ウシ型結核菌 64 93.23
D3 ウシ型結核菌 64 86.19
D4 ウシ型結核菌 65 93.54
D5 陰性対照 85.92
E1 ウシ型結核菌 62 93.59
E2 ウシ型結核菌 64 93.97
E3 ウシ型結核菌 65 93.72
E4 ウシ型結核菌 65 93.85
E5 陰性対照 85.89
F1 ウシ型結核菌 62 93.56
F2 ウシ型結核菌 64 93.20
F3 ウシ型結核菌 65 93.48
F4 ウシ型結核菌 65 93.44
F5 陰性対照 85.85
G1 ウシ型結核菌 62 93.63
G2 ウシ型結核菌 64 93.10
G3 ウシ型結核菌 65 93.36
G4 ウシ型結核菌 62ニート 92.94
G5 陰性対照 85.76
H1 ウシ型結核菌 62 93.76
H2 ウシ型結核菌 64 93.18
H3 ウシ型結核菌 65 93.93
H4 ウシ型結核菌 64ニート N/A
H5 陰性対照 86.10
【0231】
図16の表は、ウシ型結核菌パネルの融解曲線のデータを異なる様式で表し、ct(産物が検出されるために十分な量で蓄積され始めるサイクル数)を示す。
(参考文献)
Dye C. et al. (2005) JAMA Vol. 293: 2767-2775

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Yuen K.Y. et al. (1995) J Clin Pathol. Vol. 48(10): 924-928

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中のMTB複合体に属するマイコバクテリアを検出する方法であって、
(a)試料を一対の順方向及び逆方向のオリゴヌクレオチドプライマーと接触させるステップであって、
前記順方向プライマーがマイコバクテリア散在性反復単位(MIRU)反復エレメント内に位置する標的核酸配列とハイブリダイズし、
前記逆方向プライマーがマイコバクテリア散在性反復単位(MIRU)反復エレメント内に位置する標的核酸配列とハイブリダイズするステップと、
(b)前記順方向及び逆方向のプライマーを伸長させて増幅産物を得るステップと、
(c)増幅産物を検出するステップと
を含む方法。
【請求項2】
MIRU反復エレメントが、MIRU2反復エレメント、MIRU10反復エレメント、MIRU16反復エレメント、MIRU23反復エレメント、MIRU24反復エレメント、MIRU26反復エレメント、MIRU27反復エレメント、MIRU31反復エレメント及びMIRU39反復エレメントから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
MIRU反復エレメントが、配列番号1〜24から選択されるヌクレオチド配列と少なくとも90%の配列同一性を有するヌクレオチド配列、又は配列番号1〜24の相補体を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
順方向及び逆方向のプライマーが、15〜30個のヌクレオチドの長さである、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
順方向プライマーが、配列番号25〜39から選択されるヌクレオチド配列の相補体に対して少なくとも90%同一であるヌクレオチド配列を含む標的核酸配列とハイブリダイズする、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
順方向プライマー標的配列が、配列番号25〜39から選択されるヌクレオチド配列の相補体を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
逆方向プライマーが、配列番号40〜46から選択されるヌクレオチド配列に対して少なくとも90%同一であるヌクレオチド配列を含む標的核酸配列とハイブリダイズする、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
逆方向プライマー標的配列が、配列番号40〜46から選択されるヌクレオチド配列を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
順方向プライマーが、配列番号47若しくは48から選択されるヌクレオチド配列に対して少なくとも80%の同一性を有するヌクレオチド配列、又は配列番号47若しくは48における少なくとも15個の連続したヌクレオチドを含有する断片を含む、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
逆方向プライマーが、配列番号49〜51から選択されるヌクレオチド配列に対して少なくとも80%の同一性を有するヌクレオチド配列、又は配列番号49〜51における少なくとも15個の連続したヌクレオチドを含有する断片を含む、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
(i)順方向プライマーが、配列番号47若しくは48から選択されるヌクレオチド配列に対して少なくとも80%の同一性を有するヌクレオチド配列、又は配列番号47若しくは48における少なくとも15個の連続したヌクレオチドを含有する断片を有し、
(ii)逆方向プライマーが、配列番号49〜51から選択されるヌクレオチド配列に対して少なくとも80%の同一性を有するヌクレオチド配列、又は配列番号49〜51における少なくとも15個の連続したヌクレオチドを含有する断片を有する、
請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
順方向及び逆方向のプライマーが、同じマイコバクテリア散在性反復単位(MIRU)反復エレメント内に位置する標的核酸配列とハイブリダイズする、請求項5〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
増幅産物が、30〜55個のヌクレオチドの長さ、好ましくは40〜50個のヌクレオチドの長さ、最も好ましくは約44個のヌクレオチドの長さである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
順方向及び逆方向のプライマーが、異なるマイコバクテリア散在性反復単位(MIRU)反復エレメント内に位置する標的核酸配列とハイブリダイズする、請求項5〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
増幅産物が、同じMIRU座位内の2個以上の隣接するMIRU反復エレメントからの核酸配列を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
増幅産物が、異なるMIRU座位内の2個以上のMIRU反復エレメントからの核酸配列を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
順方向プライマー及び/又は逆方向のプライマーが、タグ又は標識を含む、請求項1〜16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
タグ又は標識が、プライマー伸長ステップ中に増幅産物内に取り込まれ、増幅産物が、タグを捕捉するステップ又は標識を検出するステップを含む方法によって検出される、請求項1〜17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
増幅産物がビオチンタグを含み、検出するステップが、試料と、ビオチンをタグ付けした増幅産物を捕捉する、ストレプトアビジンでコーティングした磁気ビーズとを接触させることを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
増幅産物が、
(i)試料を、存在する場合は増幅産物とハイブリダイゼーション複合体を形成するオリゴヌクレオチドプローブと接触させるステップと、
(ii)ハイブリダイゼーション複合体を検出するステップと
を含む方法によって検出される、請求項1〜19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
オリゴヌクレオチドプローブが、5〜30個のヌクレオチドの長さ、好ましくは8〜12個のヌクレオチドの長さである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
オリゴヌクレオチドプローブが、配列番号52〜57から選択されるヌクレオチド配列に対して少なくとも80%の同一性を有するヌクレオチド配列、又は配列番号52〜57における少なくとも8個の連続したヌクレオチドを有する断片を含む、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項23】
オリゴヌクレオチドプローブが、タグ又は標識を含む、請求項20〜22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
増幅産物が、融解曲線の分析を含む方法によって検出される、請求項1〜23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
増幅産物が、90〜95℃の範囲、好ましくは92〜93℃の範囲、最も好ましくは約92.5℃のTm値を有する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
増幅産物が、
(i)試料を、増幅産物を消化する制限エンドヌクレアーゼと接触させるステップと、
(ii)前記増幅産物の消化産物を同定するステップと
を含む方法によって検出される、請求項1〜25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
増幅産物の消化産物が、ゲル電気泳動を含む方法によって検出される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
所望の試料中のMTBcマイコバクテリア量を定量するためのインビトロの方法であって、
(a)請求項1〜27のいずれかに記載の検出方法を、所望の試料に対して実施するステップと、
(b)前記方法を、予め定められた既知のMTBマイコバクテリア量の試験試料に対して実施するステップと、
(c)所望の試料から検出された増幅産物の量を、試験試料から検出された増幅産物の量と比較するステップとを含み、
それにより、所望の試料中のMTBcマイコバクテリア量を定量する方法。
【請求項29】
薬物療法の期間中の抗MTBcマイコバクテリア薬の有効性を決定するためのインビトロ方法であって、
(a)請求項1〜27のいずれかに記載の検出方法を、薬物療法の期間内又は期間前の第1の時点に得られた第1の試料に対して実施するステップと、
(b)前記方法を、薬物療法の期間内又は期間後の1又は複数の後の時点に得られた1又は複数の試料に対して実施するステップと、
(c)第1の試料から検出された増幅産物の量を、1又は複数の後の試料から検出された増幅産物の量と比較するステップとを含み、
それにより、薬物療法の期間中の薬物有効性を決定する方法であって、1又は複数の後の試料から検出された増幅産物の量が、第1の試料から検出された増幅産物の量と比較して減少していることにより、MTBcマイコバクテリアに対する薬物の有効性が示される方法。
【請求項30】
MTBcマイコバクテリア感染症に対するワクチンの有効性を決定するためのインビトロの方法であって、
(a)請求項1〜27のいずれかに記載の検出方法を、ワクチン接種前の第1の時点に患者から得た第1の試料に対して実施するステップと、
(b)前記方法を、MTBcマイコバクテリアを用いたワクチン接種及び追加接種後の1又は複数の後の時点に患者から得た試料に対して実施するステップと、
(c)第1の試料から検出された増幅産物の量を、1又は複数の後の試料から検出された増幅産物の量と比較するステップとを含み、
それにより、ワクチンの有効性を決定する方法であって、1又は複数の後の試料から検出された増幅産物の量が、第1の試料から検出された増幅産物の量と比較して減少していることにより、MTBcマイコバクテリア感染症に対するワクチンの有効性が示される方法。
【請求項31】
MIRU反復エレメント内に位置する、配列番号25〜39から選択されるヌクレオチド配列の相補体に対して少なくとも90%同一であるヌクレオチド配列を含む標的核酸配列とハイブリダイズする順方向オリゴヌクレオチドプライマー。
【請求項32】
配列番号47若しくは48から選択されるヌクレオチド配列に対して少なくとも80%の同一性を有するヌクレオチド配列、又は配列番号47若しくは48における少なくとも15個の連続したヌクレオチドを含有する断片を含む、請求項31に記載の順方向プライマー。
【請求項33】
MIRU反復エレメント内に位置する、配列番号40〜46から選択されるヌクレオチド配列に対して少なくとも90%同一であるヌクレオチド配列を含む標的核酸配列とハイブリダイズする逆方向オリゴヌクレオチドプライマー。
【請求項34】
配列番号49〜51から選択されるヌクレオチド配列に対して少なくとも80%の同一性を有するヌクレオチド配列、又は配列番号49〜51における少なくとも15個の連続したヌクレオチドを含有する断片を含む、請求項33に記載の逆方向プライマー。
【請求項35】
請求項31又は32に記載の順方向プライマーと請求項33又は34に記載の逆方向プライマーとを含む、一対の順方向及び逆方向のオリゴヌクレオチドプライマー。
【請求項36】
試料中のMTB複合体に属するマイコバクテリアを検出するためのキットであって、請求項35に記載の一対の順方向及び逆方向のオリゴヌクレオチドプライマー、MTB複合体に特異的な核酸配列を増幅するための試薬及び/又は増幅産物を検出するための試薬を含むキット。
【請求項37】
増幅産物を検出するための試薬が、前記増幅産物とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブを含む、請求項36に記載のキット。
【請求項38】
プローブが、配列番号52〜57から選択されるヌクレオチド配列に対して少なくとも80%の同一性を有するヌクレオチド配列、又は配列番号52〜57における少なくとも8個の連続したヌクレオチドを有するその断片を含む、請求項37に記載のキット。
【請求項39】
増幅産物を検出するための試薬が、増幅産物を消化する酵素を含む、請求項36〜38のいずれかに記載のキット。
【請求項40】
本明細書中に記載、かつ/又は実施例及び/若しくは図面中に例示した方法、順方向プライマー、逆方向プライマー、又はキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2011−518550(P2011−518550A)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−503504(P2011−503504)
【出願日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際出願番号】PCT/GB2009/050355
【国際公開番号】WO2009/125228
【国際公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(506274176)
【Fターム(参考)】