説明

マイコバクテリアワクチン

第一のドメインと第二のドメインを含んでなり、該第一のドメインが配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列、またはその少なくとも20個の連続するアミノ酸を含んでなるそのフラグメントを含んでなり、かつ、該第二のドメインがマイコバクテリア抗原またはその抗原性フラグメントを含んでなる、融合タンパク質または該融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列が提供される。また、マイコバクテリア感染から霊長類を保護するためのその対応する治療的使用も提供される。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、マイコバクテリア感染、特に、ヒトなどの霊長類におけるマイコバクテリア感染の治療または予防のための、ポリヌクレオチドおよび融合タンパク質、ベクター、免疫原性組成物ならびにその方法および使用に関する。
【0002】
結核菌(Mycobacterium tuberculosis)(MTB)および近縁種は、結核菌群(MTC)として知られるマイコバクテリアの小グループを形成する。このグループは、結核菌、ネズミ結核菌(M. microti)、ウシ結核菌(M. bovis)、M.カネッティ(M. caneti)、およびM.アフリカナム(M. africanum)の5つの特徴のある種を含んでなる。
【0003】
結核菌(M. tuberculosis)は結核感染(TB)の病原体として、世界における細菌感染症による死の主要な原因であり、潜在感染は、世界人口の3分の1に影響を及ぼしている。世界保健機構(WHO)は、毎年、世界において、TBの新規症例は900万人に近く、また死亡は200万人に近いと推定している。2005年においてTBの新規症例数が最も多かったのは東南アジアであり(世界の罹患症例の34%)、サハラ砂漠以南のアフリカの地域の推定罹患率は、大体人口10万人あたり350症例である。しかしながら、TB感染は、発展途上国に限定されたものではなく、英国では1980年代後半から結核の再流行がみられ、現在では毎年新規症例が8000人を超え、これは人口10万人あたり14.0症例である。
【0004】
他のマイコバクテリアもまた、ヒトおよび動物に対し病原性を示し、例えば反芻動物にヨーネ病を引き起こす鳥結核菌亜種パラ結核菌(M. avium subsp. Paratuberculosis)、畜牛に結核を引き起こすウシ結核菌(M. bovis)、鳥結核菌(M. avium)、免疫不全患者(例えば、AIDS患者、および骨髄移植患者)に結核を引き起こすマイコバクテリア・イントラセルラーレ(M.Intracellulare)、ならびにヒトにおいてらい病を引き起こす、らい菌(M. leprae)が挙げられる。もう一つの重要なマイコバクテリア種は、マイコバクテリウム・バッカエ(M. vaccae)である。
【0005】
結核菌に対するワクチン予防の有効性は、実に様々である。現在の結核菌ワクチンであるBCGは、ウシ結核菌(M. bovis)の弱毒化株である。これは、小児におけるTBの重篤な合併症に有効であるが、成人においては特に民族集団間でその有効性に大きなばらつきがある。BCGの有効性は年齢とともに低下し、そのため、特にTBの流行地における成人の疾患予防に有効ではない。BCG予防接種は結核性髄膜炎の予防のために使用され、結核菌が肺以外の部位に広がるのを防ぐ働きがあるが、感染は防がない。BCGの限定された有効性およびTBの世界的規模の流行が、新規の、より効果的なワクチンを作製するための国際的な試みにつながっている。
【0006】
多くの結核サブユニットワクチンが、ある程度は予防しながらも、強い免疫応答を誘発することが示されているが、単独で使用された場合の有効性はBCGにより得られる有効性と同程度であり、これらはBCGの代替としては除外されている。
【0007】
大部分のワクチンは、関連病原体による感染を防ぐ抗体を誘導することにより奏功する。抗原特異的免疫応答を促進し、延長または増強するために、しばしばアジュバントが使用されるが、その場合には特定のワクチン抗原と組合せて使用される。慣用される免疫アジュバントとしては、油類およびアルミニウム塩が挙げられる。
【0008】
このようなアジュバントの1つに補体4結合タンパク質(C4bp)があり、これは補体経路のレギュレーターである。C4bpは大きな糖タンパク質であり、多くの哺乳類種から単離されている。ヒトにおいて、C4bpは血漿中にいくつかのアイソフォームが存在し、主要なアイソフォームはC末端において連結された7本のα鎖および1本のβ鎖からなる7量体である。その「クモまたはタコ様の」構造および予測される長い血清半減期のために、タンパク質とC4bpの融合物は、生物活性および免疫原性を増強するための送達プラットフォームとして提供されてきた(WO91/11461号)。WO91/11461号は引用することにより本明細書の一部とされる。C4bpに基づくワクチンアプローチのさらなる例は、EP1795540公報、WO08/122817号およびWO05/014654号に記載されており、それぞれ引用することにより本明細書の一部とされる。
【0009】
免疫応答を起こすために検討されている別のアプローチは、対象抗原またはエピトープをベクターにクローニングすることである。プラスミドならびにウイルスベクターは慣用されている。例えば、結核菌抗原85Aを発現する改変型ワクシニアアンカラウイルス(MVA)は、多くの動物モデルにおいてBCG応答および保護を増強する多少の能力を示した。臨床試験では、BCGの免疫応答を増強するMVA85Aの相当な能力が示された(McShane et al. Nat Med 10, 1240; 2004)。
【0010】
マイコバクテリア感染の増大する脅威および世界的な流行を考慮すれば、マイコバクテリア感染の予防および治療のために代替の/改良された方法および組成物が必要である。
【0011】
特に、齧歯類における最初の臨床学的データは多少楽観させるものであったが、霊長類における(とりわけヒトにおける)対応する有効性は、現在まで満足のいくものではなかった。
【0012】
同様に、BCGワクチンは、依然として国際的に「最も基準となる方法」であるが、ブースターワクチンにより改良された保護を提供するための試みは、現在まで特に動物において(とりわけ、ヒトなどの霊長類において)満足のいくものではないことが実証されている。
【0013】
本発明は、1以上の上記課題を解決する。
【0014】
本発明は、第一のドメインと第二のドメインを含んでなる融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を提供し、ここで、該融合タンパク質の第一のドメインは、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列、またはその少なくとも20個の連続するアミノ酸を含んでなるそのフラグメントを含んでなり、かつ、該融合タンパク質の第二のドメインはマイコバクテリア抗原またはその抗原性フラグメントを含んでなる。
【0015】
本発明の第一のドメインは、C4bpタンパク質のハイブリッド非補体調節タンパク質(CCP)/オリゴマー化ドメインを含んでなる。該ハイブリッドC4bp−抗原融合物が齧歯類などの動物だけでなく霊長類においてもマイコバクテリア感染からの保護を提供することは最も驚くべきことである。多くの初期の研究が齧歯類では有望ながら霊長類には有意な有効性を与えることができなかったので、これは大きな科学的進歩と言える。
【0016】
ヒトの主要なC4bpアイソフォームは、C末端において連結された7本のα鎖と1本のβ鎖からなる。このα鎖の最後のエキソンは、α鎖の非CCP(補体調節タンパク質)ドメインのみをコードする。このドメインはこの7本のC4bp α鎖のオリゴマー化に十分なものである。このドメインのオリゴマー化効果は、他の融合ポリペプチド/タンパク質にも拡張されている。マラリア抗原とマウスC4bpのオリゴマー化ドメインとの融合物は、融合タンパク質として投与した場合、特異的抗体の誘導を促進することが最近示された。
【0017】
一実施形態では、第一のドメインは、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも70%(例えば、少なくとも75、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、99または100%)のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列、またはその少なくとも20個の連続するアミノ酸を含んでなるそのフラグメントを含んでなる。
【0018】
一実施形態では、第一のドメインは、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも70%(例えば、少なくとも75、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、99または100%)のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列、またはその少なくとも20個の連続するアミノ酸を含んでなるそのフラグメントからなる。
【0019】
一実施形態では、このアミノ酸配列同一性は、少なくとも20個の連続するアミノ酸残基長(例えば、少なくとも25、28、30 35、40、45、50または55個の連続するアミノ酸残基長)のアミノ酸配列の領域にわたって存在する。
【0020】
アミノ酸配列同一性を決定するための常法は、本明細書の後段でさらに詳しく述べる。
【0021】
第一のドメインに関して、フラグメントは、前記アミノ酸配列の少なくとも20個の連続するアミノ酸残基(例えば、その少なくとも25、28、30、35、40、42、44、46、48、50、52または54個の連続するアミノ酸残基)を含んでなる(またはからなる)。
【0022】
一実施形態では、第一のドメインに関して、アミノ酸配列のフラグメントは、全長アミノ酸配列の配列長の少なくとも40%、50%、60%、70%、80%または90%の配列長を持つ。
【0023】
配列番号1(IMX313とも呼ばれる)は55個のアミノ酸残基からなる。配列番号1の変異体が本発明に包含され、1以上のアミノ酸の置換、欠失または挿入を有するアミノ酸配列を含み得る。N末端欠失およびC末端欠失のような、置換が特に想定される。置換は保存的置換を含む。保存的置換を選択し、欠失および挿入を作出するための常法は、本明細書の後段でさらに詳しく述べる。
【0024】
よって、一実施形態では、配列番号1の変異体は、少なくとも1個の連続するアミノ酸残基(例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10個の連続するアミノ酸残基)長のN末端欠失を含んでなる。
【0025】
一実施形態では、配列番号1の変異体は、少なくとも1個の連続するアミノ酸残基(例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10個の連続するアミノ酸残基)長のC末端欠失を含んでなる。
【0026】
一実施形態では、配列番号1の変異体は、配列番号1の以下の残基:Ala6;Glu11;Ala13;Asp21;Cys22;Pro25;Ala27;Glu28;Leu29;Arg30;Thr31;Leu32;Leu33;Glu34;Ile35;Lys37;Leu38;Leu40;Glu41;Ile42;Gln43;Lys44;Leu45;Glu48;Leu49;またはGln50の少なくとも1個(例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26個)を保持する。
【0027】
一実施形態では、第一のドメインは、アミノ酸モチーフ「AELR」(すなわち、配列番号1の27〜30番。該モチーフは1以上の保存的アミノ酸置換、例えば、1、2、3、または4つの保存的アミノ酸置換を含み得る)を保持する。
【0028】
融合タンパク質の第二のドメインは、マイコバクテリア抗原、または該マイコバクテリア抗原の抗原性フラグメントを含んでなる。
【0029】
本明細書において「マイコバクテリア」または「マイコバクテリウム」は、M.フレイ(M. phlei)、スメグマ菌(M. smegmatis)、M.アフリカナム(M. africanum)、M.カネッティ(M. caneti)、M.フォルツイタム(M. fortuitum)、M.マリナン(M. marinum)、M.ウルセランス(M. ulcerans)、結核菌(M. tuberculosis)、ウシ結核菌(M. bovis)、ネズミ結核菌(M. microti)、鳥結核菌(M. avium)、パラ結核菌(M. paratuberculosis)、らい菌(M. leprae)、ネズミらい菌(M. lepraemurium)、M.イントラセルラーレ(M. intracellulare)、M.スクロフラセウム(M. scrofulaceum)、M.キセノピ(M. xenopi)、M.ゲナベンス(M. genavense)、M.カンサシイ(M. kansasii)、M.シミエ(M. simiae)、M.ツルガイ(M. szulgai)、M.ヘモフィルム(M. haemophilum)、M.アジアチクム(M. asiaticum)、M.マルモエンス(M. malmoense)、M.バッカエ(M. vaccae)、M.カネッティ(M. caneti)およびM.シモイデイ(M. shimoidei)種を包含する。結核菌(M. tuberculosis)などのMTCのメンバーが特に着目される。
【0030】
抗原または抗原性フラグメントとは、免疫系により認識可能であり、および/または細胞媒介免疫応答を刺激し、かつ/または抗体の生成を刺激する、いずれのペプチドに基づく配列も意味する。
【0031】
本発明のポリヌクレオチドで達成された明確な免疫原性の結果(下記の実施例3および図1〜6参照)は最も驚くべき、予期されないものである。例えば、本発明とは対照的に、配列番号1とマラリア抗原を融合しても高い免疫応答は得られなかった(下記の実施例3および図7参照)。マウスで見られたマイコバクテリア抗原に対する明確な免疫原性が霊長類でも見られたことは、いっそう驚くべきことである。
【0032】
一実施形態では、マイコバクテリア抗原またはその抗原性フラグメントは、T細胞(CD4+および/またはCD8+T細胞)が関わる感染に対する細胞媒介応答および/またはIFN−γなどのTh1型サイトカインによる応答能を提供する。一実施形態では、マイコバクテリア抗原はIFN−γ分泌細胞(例えば、主としてCD4+T細胞)を誘導する。これに関しては、最近の研究で、T細胞免疫応答(肺粘膜におけるものなど)が肺のマイコバクテリア疾患からの保護に極めて重要である可能性のあることが示唆されている。
【0033】
一実施形態では、マイコバクテリア抗原またはその抗原性フラグメントは、結核菌などのマイコバクテリアによる攻撃からの保護(例えば、長期保護)を提供する。
【0034】
例として、マイコバクテリア抗原またはその抗原性フラグメントは「メモリーT細胞」を誘導することができ、これは長期にわたって(例えば、何十年も)防御免疫を刺激し続けることができる。記憶免疫応答は、分化したエフェクターT細胞から直接生じ、静止状態で持続する長寿命の抗原特異的Tリンパ球の再活性化によるものとされている。メモリーT細胞はヘテロであり、遊走能およびフェクター機能の異なる少なくとも2つのサブセットが確認されている。第一のサブセットのメモリーT細胞は、炎症組織に遊走するためのリンパ節ホーミング受容体を欠いているという点で、一次応答において生じるエフェクターT細胞に似ていることから、「エフェクターメモリーT細胞」(TEM)として知られる。再び抗原に出くわした時、このTEMは迅速にIFN−γまたはIL−4を産生するか、または予め貯蔵していたパーフォリンを放出する。第二のサブセットのメモリーT細胞(「セントラルメモリー細胞」(TCM)として知られる)はL−セレクチンとCCR7を発現し、即時型エフェクター機能を欠く。TCMは低い活性化閾値を持ち、二次リンパ器官において再刺激された際に増殖し、エフェクターへと分化する。
【0035】
一実施形態では、マイコバクテリア抗原またはその抗原性フラグメントは、マイコバクテリア(例えば、結核菌)感染に対する抗体応答(例えば、中和抗体応答)を提供する。
【0036】
一実施形態では、第二のドメインは、85A/Rv3804c、85B/Rv1886c、85C/Rv0129c、ESAT6/Rv3875、TB10.4/Rv0288、Rv0125、PPE18/Rv1196、P27/Rv1411c、HSP65/Rv0440、HBHA/Rv0475、Rv2659c、Rv2660c、HspX/Rv2031c、RPFA/Rv0867c、RPFB/Rv1009、RPFC/Rv1884c、RPFD/Rv2389c、RPFE/Rv2450c、Rv1733c、Rv2029c、Rv2032、Rv2626c、Rv2627c、Rv2628、Rv0111、Rv1806/1807、Rv0198もしくはRv3812またはそれらの抗原性フラグメントから選択されるマイコバクテリア抗原を含んでなる。
【0037】
一実施形態では、第二のドメインは、配列番号3〜26もしくは52から選択されるアミノ酸配列と少なくとも70%(例えば、少なくとも75、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、99または100%)のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列、またはその少なくとも10個の連続するアミノ酸を含んでなるそのフラグメントを含んでなる。
【0038】
一実施形態では、第二のドメインは、配列番号3〜26もしくは52から選択されるアミノ酸配列と少なくとも70%(例えば、少なくとも75、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、99または100%)のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列、またはその少なくとも10個の連続するアミノ酸を含んでなるそのフラグメントからなる。
【0039】
一実施形態では、アミノ酸配列同一性は、少なくとも10個の連続するアミノ酸残基長(例えば、少なくとも25、50、75、100、150、200、250、300、350、400または413個の連続するアミノ酸残基長)のアミノ酸配列の領域にわたって存在する。
【0040】
アミノ酸配列同一性を決定するための常法は、本明細書の後段でさらに詳しく述べる。
【0041】
第二のドメインに関して、フラグメントは、前記アミノ酸配列の少なくとも10個の連続するアミノ酸残基(例えば、その少なくとも25、50、75、100、150、200、250、300、350、400または412個の連続するアミノ酸残基)を含んでなる(またはからなる)。
【0042】
一実施形態では、第二のドメインに関して、アミノ酸配列のフラグメントは、全長アミノ酸配列の配列長の少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または95%の配列長を持つ。
【0043】
ポリペプチドのフラグメントは、ポリペプチドの少なくとも1つのエピトープを含み得る。
【0044】
一実施形態では、第二のドメインは、抗原85A、抗原85Bおよび抗原85Cを含んでなるマイコバクテリア抗原のファミリーから選択されるマイコバクテリア抗原(またはその抗原性フラグメント)を含んでなる。この相同性の高いタンパク質ファミリーは結核菌BCGおよび他の多くのマイコバクテリア種により分泌される。
【0045】
抗原85A(Rv3804c)は配列番号3で示され、抗原85B(Rv1886c)は配列番号4で示され、抗原85C(Rv0129c)は配列番号5で示される。
【0046】
よって、一実施形態では、第二のドメインは、配列番号3、4、5もしくは52から選択されるアミノ酸配列と少なくとも70%の配列同一性(例えば、少なくとも75、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、99または100%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、またはその少なくとも10個の連続するアミノ酸を含んでなるそのフラグメントを含んでなる。
【0047】
一実施形態では、本発明のポリヌクレオチド配列は、第一のドメインと第二のドメインを含んでなる融合タンパク質をコードし、該融合タンパク質の第一のドメインは、配列番号1と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列、またはその少なくとも20個の連続するアミノ酸を含んでなるそのフラグメントを含んでなり、該融合タンパク質の第二のドメインは、配列番号3〜5もしくは52から選択されるアミノ酸配列と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列、またはその少なくとも10個の連続するアミノ酸を含んでなるそのフラグメントを含んでなる。
【0048】
一実施形態では、本発明のポリヌクレオチド配列は、第一のドメインと第二のドメインを含んでなる融合タンパク質をコードし、該融合タンパク質の第一のドメインは、配列番号2もしくは配列番号53の核酸配列と少なくとも70%の同一性を有する核酸配列、またはその少なくとも60個の連続するヌクレオチドを含んでなるそのフラグメントによりコードされる。
【0049】
一実施形態では、本発明のポリヌクレオチド配列は、融合タンパク質の第一のドメインをコードする核酸配列を含んでなり、該「第一のドメイン」の核酸配列は、配列番号2もしくは配列番号53の核酸配列と少なくとも70%(例えば、少なくとも75、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、99または100%)の核酸配列同一性を有するヌクレオチド配列、またはその少なくとも60個の連続するヌクレオチドを含んでなるそのフラグメントを含んでなる。
【0050】
一実施形態では、本発明のポリヌクレオチド配列は、融合タンパク質の第一のドメインをコードする核酸配列を含んでなり、該「第一のドメイン」の核酸配列は、配列番号2もしくは配列番号53の核酸配列と少なくとも70%(例えば、少なくとも75、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、99または100%)の核酸配列同一性を有するヌクレオチド配列、またはその少なくとも60個の連続するヌクレオチドを含んでなるそのフラグメントからなる。
【0051】
一実施形態では、核酸配列同一性は、少なくとも60個の連続するヌクレオチド長(例えば、少なくとも65、70、75、80、84、90、100、110、120、130、140、150、155、160、165個の連続するヌクレオチド長)の核酸配列の領域にわたって存在する。
【0052】
核酸配列同一性を決定するための常法は、本明細書の後段でさらに詳しく述べる。
【0053】
第一のドメインに関して、核酸配列フラグメントは、前記核酸配列の少なくとも60個の連続するヌクレオチド(例えば、その少なくとも65、70、75、80、84、90、100、110、120、130、140、145、150、152、154、156、158、160、162または164個の連続するヌクレオチド)を含んでなる(またはからなる)。
【0054】
一実施形態では、第一のドメインに関して、核酸配列のフラグメントは、全長核酸配列の配列長の少なくとも40%、50%、60%、70%、80%または90%の配列長を有する。
【0055】
一実施形態では、第一のドメインに関して、ポリヌクレオチド配列は、特定の宿主/宿主細胞において発現させるためにコドンが至適化されている。よって、一実施形態では、該第一のドメインは、配列番号2の核酸配列と少なくとも70%(例えば、少なくとも75、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、99または100%)の核酸配列同一性を有するヌクレオチド配列を含んでなる、またはからなる、コドンが至適化されたポリヌクレオチドによりコードされる。一実施形態では、該第一のドメインをコードするコドンが至適化された核酸は、配列番号53を含んでなる、またはからなる。
【0056】
核酸配列のコドンを至適化するための常法は、本明細書の後段でさらに詳しく述べる。
【0057】
一実施形態では、本発明のポリヌクレオチド配列は、第一のドメインと第二のドメインを含んでなる融合タンパク質をコードし、該融合タンパク質の第二のドメインは、配列番号27〜51もしくは56から選択される核酸配列と少なくとも70%の同一性を有する核酸配列、またはその少なくとも30個の連続するヌクレオチドを含んでなるそのフラグメントによりコードされる。
【0058】
よって、一実施形態では、本発明のポリヌクレオチド配列は、融合タンパク質の第二のドメインをコードする核酸配列を含んでなり、該「第二のドメイン」の核酸配列は、配列番号27〜51もしくは56の核酸配列と少なくとも70%(例えば、少なくとも75、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、99または100%)の核酸配列同一性を有するヌクレオチド配列、またはその少なくとも30個の連続するヌクレオチドを含んでなるそのフラグメントを含んでなる。
【0059】
よって、一実施形態では、本発明のポリヌクレオチド配列は、融合タンパク質の第二のドメインをコードする核酸配列を含んでなり、該「第二のドメイン」の核酸配列は、配列番号27〜51もしくは56の核酸配列と少なくとも70%(例えば、少なくとも75、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、99または100%)の核酸配列同一性を有する核酸配列、またはその少なくとも30個の連続するヌクレオチドを含んでなるそのフラグメントからなる。
【0060】
一実施形態では、核酸配列同一性は、少なくとも30個の連続するヌクレオチド長(例えば、少なくとも50、75、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1050、1100、1150または1200個の連続するヌクレオチド長)の核酸配列の領域にわたって存在する。
【0061】
核酸配列同一性を決定するための常法は、本明細書の後段でさらに詳しく述べる。
【0062】
第二のドメインに関して、核酸配列フラグメントは、前記核酸配列の少なくとも30個の連続するヌクレオチド(例えば、その少なくとも50、75、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1050、1100、1150または1199個の連続するヌクレオチド)を含んでなる(またはからなる)。
【0063】
一実施形態では、第二のドメインに関して、核酸配列のフラグメントは、全長核酸配列の配列長の少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%の配列長を有する。
【0064】
一実施形態では、第二のドメインに関して、ポリヌクレオチド配列は、特定の宿主/宿主細胞において発現させるためにコドンが至適化されている。よって、一実施形態では、第二のドメインは、本明細書に記載されるマイコバクテリア抗原(またはその抗原性フラグメント)のコドン至適化型を含んでなる、またはからなる。一実施形態では、該第二のドメインは、配列番号27の核酸配列と少なくとも70%(例えば、少なくとも75、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、99または100%)の核酸配列同一性を有するヌクレオチド配列を含んでなる、またはからなるコドンが至適化されたポリヌクレオチドによりコードされる。一実施形態では、該第二のドメインをコードするコドンが至適化された核酸は配列番号51または56を含んでなる、またはからなる。
【0065】
核酸配列のコドンを至適化するための常法は、本明細書の後段でさらにさらに詳しく述べる。
【0066】
一実施形態では、第一のドメインと第二のドメインを含んでなる融合タンパク質をコードする本発明のポリヌクレオチドは、配列番号54の核酸配列と少なくとも70%(例えば、少なくとも75、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、99または100%)の核酸配列同一性を有するヌクレオチド配列、またはそのフラグメントを含んでなる、またはからなる。
【0067】
一実施形態では、核酸配列同一性は、少なくとも30個の連続するヌクレオチド長(例えば、少なくとも50、75、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1050、1100、1119、1150または1200)個の連続するヌクレオチド長の核酸配列の領域にわたって存在する。
【0068】
核酸配列同一性を決定するための常法は、本明細書の後段でさらに詳しく述べる。
【0069】
本発明のポリヌクレオチドに関して、核酸配列フラグメントは、前記核酸配列の少なくとも30個の連続するヌクレオチド(例えば、その少なくとも50、75、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1050、1100または1118個の連続するヌクレオチド)を含んでなる(またはからなる)。
【0070】
一実施形態では、本発明のポリヌクレオチドに関して、核酸配列のフラグメントは、全長核酸配列の配列長の少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%の配列長を有する。
【0071】
一実施形態では、本発明のポリヌクレオチド配列は、第一のドメインと第二のドメインを含んでなる融合タンパク質をコードし、該融合タンパク質の第一のドメインは、該融合タンパク質の第二のドメインのC末端に配置される。別の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、第一のドメインと第二のドメインを含んでなる融合タンパク質をコードし、該融合タンパク質の第一のドメインは、第二のドメインのN末端に配置される。
【0072】
よって、一実施形態では、本発明のポリヌクレオチド配列は、融合タンパク質の第一のドメインと第二のドメインをコードする核酸配列を含んでなり、該融合タンパク質の第一のドメインをコードする核酸配列は、第二のドメインをコードする核酸配列の3’に配置される。別の実施形態では、該融合タンパク質の第一のドメインをコードする核酸配列は、第二のドメインをコードする核酸配列の5’に配置される。
【0073】
一実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、融合タンパク質の第一のドメインと第二のドメインの間に置かれた介在「リンカー」配列をコードする核酸配列をさらに含んでなる。この実施形態によれば、「リンカー」核酸配列は、融合タンパク質の第一のドメインをコードする核酸配列と融合タンパク質の第二のドメインをコードする核酸配列の間に置かれる。一実施形態では、該リンカーは「グリシン−セリン」(すなわち、Gly−Ser)リンカー、例えば、ヌクレオチド配列「ggcagc」によりコードされるグリシン−セリンリンカーである。
【0074】
一般に、これらのリンカー配列によりコードされるアミノ酸は、結果として得られる融合タンパク質の免疫原性を損なわず、免疫原性に有益な場合さえある。
【0075】
あるいは、本発明の融合タンパク質は、介在ヌクレオチド無しで連結されているポリヌクレオチド配列の発現により、エピトープストリングとして生産することもできる。介在リンカー配列が無いと、不必要な核酸および/またはアミノ酸材料の存在を避けられる。よって、この実施形態によれば、ポリヌクレオチド配列は、融合タンパク質の第一のドメインをコードする核酸配列と第二のドメインをコードする核酸配列の間に「リンカー」介在ヌクレオチドを含まない。
【0076】
一実施形態では、本発明のポリヌクレオチド配列は融合タンパク質をコードし、そのコードされる融合タンパク質は、少なくとも1つの付加的ドメインを含んでなる(すなわち、上記で定義された第一のドメインと第二のドメインに加えて)。例えば、融合タンパク質は、少なくとも1つの付加的抗原または抗原性フラグメント(例えば、2、3、4、6、8、10の付加的抗原または抗原性フラグメント)を含んでいてもよい。
【0077】
よって、一実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、(上記で定義された第一のドメインと第二のドメインをコードする核酸配列に加えて)少なくとも1つの付加的ドメインをコードする付加的核酸配列、例えば、少なくとも1つの付加的抗原または抗原性フラグメント(例えば、付加的抗原または抗原性フラグメントをコードする2、3、4、6、8、10の付加的核酸配列)を含んでなる。
【0078】
上述のように、付加的抗原またはフラグメントは、融合タンパク質の第二のドメインに含まれるマイコバクテリア抗原/抗原性フラグメントと同じであってもよい。あるいは、付加的抗原またはフラグメントは、融合タンパク質の第二のドメインに含まれるマイコバクテリア抗原/抗原性フラグメントとは異なっていてもよい。例として、付加的抗原またはフラグメントは、マイコバクテリア抗原(または抗原性フラグメント)であってもよいし、あるいは非マイコバクテリア、例えば、異なる病原性細菌などの異なる病原体に由来するものであってもよい。
【0079】
別の態様において、本発明は、(上記で定義されたように)第一のドメインと第二のドメインを含んでなる融合タンパク質をコードする本発明のポリヌクレオチド配列を含んでなるベクターを提供する。
【0080】
本発明のベクターで達成された明確な免疫原性の結果(下記の例3および図1〜6参照)は最も驚くべき、予期されないものである。例えば、本発明とは対照的に、配列番号1とマラリア抗原の融合物を含んでなるベクターでは、高い免疫応答は得られなかった(下記の例3および図7参照)。マウスで見られたマイコバクテリア抗原に対する明確な免疫原性が霊長類でも見られたことは、いっそう驚くべきことである。
【0081】
一実施形態では、ベクターは、DNAベクター、RNAベクター、ウイルスベクター、細菌ベクター、プラスミドベクター、コスミドベクター、人工染色体ベクター、例えば、酵母人工染色体ベクターから選択される。
【0082】
本発明の一実施形態では、ベクターはDNAベクター、例えば、プラスミドDNAベクターである。別の実施形態では、ベクターはウイルスベクターである。一実施形態では、ウイルスベクターはアデノウイルスベクターまたは改変型ワクシニアアンカラ(MVA)ウイルスベクターである。
【0083】
ウイルスベクターは通常、非複製または複製障害ベクターであり、これはこのウイルスベクターが、例えば、DNA合成および/またはウイルス力価の測定によるなどの常法によって測定した際に、正常細胞(例えば、正常ヒト細胞)において有意な程度で複製できないことを意味する。非複製または複製障害ベクターは、自然にそうなったもの(すなわち、それ自体天然から単離されたもの)でも、あるいは人為的にそうなったもの(例えば、in vitro育種によるかまたは遺伝子操作による)でもよい。複製障害ウイルスベクターは一般的に少なくとも一つの細胞型で、その中で増殖可能であり、例えば、可変ワクシニアアンカラ(MVA)はCEF細胞で増殖可能である。
【0084】
一般に、ウイルスベクターは、動物被験体、一般には哺乳類被験体、例えば、ヒト、ウシ、ブタ、ウマ、アナグマまたはキツネにおいて有意な感染を引き起こすことができない。
【0085】
一実施形態では、ベクターは、アデノウイルスベクターまたはポックスウイルスベクターから選択される。この点で有用なウイルスベクターの例としては、改変ワクシニアアンカラ(MVA)およびNYVACなどの弱毒化ワクシニアウイルスベクター、またはそれらに由来する株が挙げられる。ベクターの他の例としては、鶏痘ベクター(例えば、FP9)またはカナリア痘ベクター(例えば、ALVACおよびそれに由来する株)などのアビポックスベクターが挙げられる。本発明において有用な別のウイルスベクターとしては、アデノウイルスベクター(例えば、非ヒトアデノウイルスベクター)、アルファウイルスベクター、フラビウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター(例えば、単純ヘルペス、CMVおよびEBV)、インフルエンザウイルスベクターおよびレトロウイルスベクターが挙げられる。
【0086】
アデノウイルスは、ベクターワクチンとして汎用され、いくつかの異なるクラスに区別することができる。例えば、家禽アデノウイルス由来ベクターは、鳥類種の予防接種に好ましく、哺乳類にマイコバクテリアに対する予防接種を行うには有用性は低いと思われる。アデノウイルスは、それらが最初に単離された宿主によって分類される。従って、科学文献では、一般に、「ヒトアデノウイルス」、「チンパンジーアデノウイルス」および「サルアデノウイルス」とされている。3群は総て、マイコバクテリアワクチンを作製するのに有用である。チンパンジーアデノウイルスに由来するアデノウイルスベクターの魅力は、ヒトは自然状態でこのようなウイルスにはめったに感染することがなく、従って、このようなベクターに対する既存の免疫性が無視できるということである。同じ基準でヒトアデノウイルス由来のアデノウイルスベクターを区別することができ、例えば、アデノウイルス5(Ad5)による感染はヒトの集団では極めて多く、従って、希少なヒト単離株に由来するものを用いるためにヒトアデノウイルスベクターを用いる場合または天然のAd5感染後の交差免疫性が限定される場合に好ましい可能性がある。このような希少な単離株由来のベクターの例としては、Ad35およびAd11ベクターならびにAd26、Ad48およびAd50ベクターが挙げられる。
【0087】
一実施形態では、ベクターはヒトアデノウイルスである。別の実施形態では、ベクターはサルアデノウイルスである。別の実施形態では、ベクターはチンパンジーアデノウイルスである。本明細書で言及されるチンパンジーには、Pan troglodytes(通常のチンパンジー)およびPan paniscus(ボノボ)を含み得る。一実施形態では、ベクターは、アデノウイルス5(Ad5)、アデノウイルス35(Ad35)、アデノウイルス11(Ad11)、アデノウイルス26(Ad26)、アデノウイルス48(Ad48)またはアデノウイルス50(Ad50)から選択される。本発明者らは、ヒトアデノウイルスから発現された際に良好な免疫原性を誘導する抗原は、チンパンジーアデノウイルスから発現される際にも免疫原性があることに着目していた。これはヒトおよびチンパンジーアデノウイルス発現系における種々の抗原の比較評価における科学文献によって確認された。例えば、Reyes-Sandoval et al. 2010 (Infection and Immunity, January 2010, p. 145-153, Vol. 78, No. 1)参照。
【0088】
本発明のベクターは場合により、プロモーターおよび/またはターミネーターなどの適当な制御配列を含む。このようなベクターのための発現制御配列は、当業者に公知であり、宿主細胞に応じて選択すればよい。
【0089】
一実施形態では、ベクターは発現ベクターである。
【0090】
発現ベクターは、発現に必要な付加的調節エレメントに機能的に連結された、目的ポリペプチドをコードする1以上のポリヌクレオチド配列を含んでなる核酸分子(直鎖または環状)である。
【0091】
これに関して、発現ベクターは一般に、プロモーターおよびターミネーター配列、ならびに場合により1以上のエンハンサー配列およびポリアデニル化シグナルなどを含む。発現ベクターはまた、リボゾーム結合部位、ならびに翻訳開始および終結配列をはじめとする好適な翻訳調節エレメントを含み得る。本発明の発現ベクターで使用される転写および翻訳調節エレメントは、発現に用いられる宿主細胞内で機能性があり、マイコバクテリア遺伝子に本来伴っているものを含み得る。
【0092】
好適なプロモーター、ターミネーター、選択マーカーおよび他のエレメントの選択は、当業者の水準の範囲内にある通常の設計事項である。
【0093】
trp、lacおよびファージプロモーター、tRNAプロモーターおよび解糖系酵素プロモーターなどのプロモーターは原核生物宿主において使用可能である。有用な酵母プロモーターは、メタロチオネイン、3−ホスホグリセリン酸キナーゼまたは他の解糖系酵素(例えば、エノラーゼまたはグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ)、マルトースおよびガラクトース利用を担う酵素およびその他酵素のプロモーター領域を含む。適当な非天然哺乳類プロモーターとしては、SV40由来の初期および後期プロモーター、またはネズミモロニー白血病ウイルス、マウス乳癌ウイルス、トリ肉腫ウイルス、アデノウイルスII、ウシ乳頭腫ウイルスまたはポリオーマ由来のプロモーターを含み得る。一実施形態では、発現ベクターはCMVプロモーターを含んでなる。
【0094】
一般に、「機能的に連結される」とは、連結される核酸配列が、それらの意図される目的のために協調して機能するように隣接して配置されることを意味し、例えば、転写はそのプロモーターにおいて始まり、コードするポリヌクレオチドセグメントからターミネーターまで進行する。2つのタンパク質コード領域を連結するため、必要に応じ、これらのポリヌクレオチドコード配列を隣接させ、かつ、リーディングフレーム内にあるようにすべきである。
【0095】
一実施形態では、本発明は、第一のドメインと第二のドメインを含んでなる融合タンパク質を提供し、該第一のドメインは、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列、またはその少なくとも20個の連続するアミノ酸を含んでなるそのフラグメントを含んでなり、該融合タンパク質の第二のドメインは、マイコバクテリア抗原またはその抗原性フラグメントを含んでなる。
【0096】
本発明の融合物で達成された明確な免疫原性の結果(下記の例3および図1〜6参照)は最も驚くべき、予期されないものである。例えば、本発明とは対照的に、配列番号1とマラリア抗原を融合しても高い免疫応答は得られなかった(下記の例3および図7参照)。マウスで見られたマイコバクテリア抗原に対する明確な免疫原性が霊長類でも見られたことは、いっそう驚くべきことである。
【0097】
一実施形態では、第一のドメインは、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも70%(例えば、少なくとも75、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、99または100%)のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列、またはその少なくとも20個の連続するアミノ酸を含んでなるそのフラグメントを含んでなる(またはからなる)。
【0098】
一実施形態では、アミノ酸配列同一性は、少なくとも20個の連続するアミノ酸残基長(例えば、少なくとも25、28、30、35、40、45、50または55個の連続するアミノ酸残基長)のアミノ酸配列の領域にわたって存在する。
【0099】
アミノ酸配列同一性を決定するための常法は、本明細書の後段でさらに詳しく述べる。
【0100】
第一のドメインに関して、フラグメントは、前記アミノ酸配列の少なくとも20個の連続するアミノ酸残基(例えば、その少なくとも25、28、30、35、40、42、44、46、48、50、52または54個の連続するアミノ酸残基)を含んでなる(またはからなる)。
【0101】
一実施形態では、第一のドメインに関して、アミノ酸配列のフラグメントは、全長アミノ酸配列の配列長の少なくとも40%、50%、60%、70%、80%または90%の配列長を有する。
【0102】
融合タンパク質の第二のドメインは、マイコバクテリア抗原、または該マイコバクテリア抗原の抗原性フラグメントを含んでなる。
【0103】
一実施形態では、第二のドメインは、85A/Rv3804c、85B/Rv1886c、85C/Rv0129c、ESAT6/Rv3875、TB10.4/Rv0288、Rv0125、PPE18/Rv1196、P27/Rv1411c、HSP65/Rv0440、HBHA/Rv0475、Rv2659c、Rv2660c、HspX/Rv2031c、RPFA/Rv0867c、RPFB/Rv1009、RPFC/Rv1884c、RPFD/Rv2389c、RPFE/Rv2450c、Rv1733c、Rv2029c、Rv2032、Rv2626c、Rv2627c、Rv2628、Rv0111、Rv1806/1807、Rv0198もしくはRv3812から選択されるマイコバクテリア抗原、またはその抗原性フラグメントを含んでなる。
【0104】
一実施形態では、第二のドメインは、配列番号3〜26もしくは52から選択されるアミノ酸配列と少なくとも70%(例えば、少なくとも75、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、99または100%)のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列、またはその少なくとも10個の連続するアミノ酸を含んでなるそのフラグメントを含んでなる(またはからなる)。
【0105】
一実施形態では、アミノ酸配列同一性は、少なくとも10個の連続するアミノ酸残基長(例えば、少なくとも25、50、75、100、150、200、250、300、350、400、または413)個の連続するアミノ酸残基長)のアミノ酸配列の領域にわたって存在する。
【0106】
アミノ酸配列同一性を決定するための常法は、本明細書の後段でさらに詳しく述べる。
【0107】
第二のドメインに関して、フラグメントは、前記アミノ酸配列の少なくとも10個の連続するアミノ酸残基(例えば、その少なくとも25、50、75、100、150、200、250、300、350、400または412個の連続するアミノ酸残基)を含んでなる(またはからなる)。一実施形態では、第二のドメインに関して、アミノ酸配列のフラグメントは、全長アミノ酸配列の配列長の少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%の配列長を有する。
【0108】
ポリペプチドのフラグメントは、ポリペプチドの少なくとも1つのエピトープを含み得る。
【0109】
一実施形態では、第二のドメインは、抗原85A(配列番号3または配列番号52)、抗原85B(配列番号4)および抗原85C(配列番号5)を含んでなるマイコバクテリア抗原のファミリーから選択されるマイコバクテリア抗原(またはその抗原性フラグメント)を含んでなる。この相同性の高いタンパク質ファミリーは結核菌BCGおよび他の多くのマイコバクテリア種により分泌される。
【0110】
よって、一実施形態では、第二のドメインは、配列番号3、4、5もしくは52から選択されるアミノ酸配列と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列、またはその少なくとも10個の連続するアミノ酸を含んでなるそのフラグメントを含んでなる。
【0111】
一実施形態では、本発明の融合タンパク質は第一のドメインと第二のドメインを含んでなり、該融合タンパク質の第一のドメインは、配列番号1と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列、またはその少なくとも20個の連続するアミノ酸を含んでなるそのフラグメントを含んでなり、かつ、該融合タンパク質の第二のドメインは、配列番号3、4、5もしくは52から選択されるアミノ酸配列と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列、またはその少なくとも10個の連続するアミノ酸を含んでなるそのフラグメントを含んでなる。
【0112】
一実施形態では、融合タンパク質の第一のドメインは、第二のドメインのC末端に配置される(すなわち、「第二のドメイン−第一のドメイン」の順)。あるいは、融合タンパク質の第一のドメインは、第二のドメインのN末端に配置される(すなわち、「第一のドメイン−第二のドメイン」の順)。
【0113】
一実施形態では、本発明の融合タンパク質は、配列番号55のアミノ酸配と少なくとも70%(例えば、少なくとも75、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、99または100%)のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列、またはそのフラグメントを含んでなる、またはからなる。
【0114】
一実施形態では、アミノ酸配列同一性は、少なくとも10個の連続するアミノ酸残基長(例えば、少なくとも25、50、75、100、150、200、250、300、350または338または372)個の連続するアミノ酸残基長)のアミノ酸配列の領域にわたって存在する。
【0115】
アミノ酸配列同一性を決定するための常法は、本明細書の後段でさらに詳しく述べる。
【0116】
融合タンパク質に関して、フラグメントは、前記アミノ酸配列の少なくとも10個の連続するアミノ酸残基(例えば、その少なくとも25、50、75、100、150、200、250、300、350、337または371個の連続するアミノ酸残基)を含んでなる(またはからなる)。
【0117】
一実施形態では、融合タンパク質に関して、アミノ酸配列のフラグメントは、全長アミノ酸配列の配列長の少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または95%の配列長を有する。
【0118】
一実施形態では、本発明の融合タンパク質は、融合タンパク質の第一のドメインと第二のドメインの間に置かれた介在「リンカー」配列を含んでなる。一般に、これらのリンカー配列によりコードされるアミノ酸は、結果として得られる融合タンパク質の免疫原性を損なわず、免疫原性に有益な場合さえある。一実施形態では、リンカー配列は、アミノ酸グリシン(gylcine)およびセリンを含んでなる、またはからなる。好ましい実施形態では、リンカー配列は、(5’→3’方向に)グリシン(gylcine)およびセリン、すなわち、Gly−Serを含んでなる、またはからなる。あるいは、本発明の融合タンパク質は、介在ヌクレオチド無しで連結されているポリヌクレオチド配列の発現により、エピトープストリングとして生産することもできる。この実施形態では、融合タンパク質は第一のドメインと第二のドメインの間に介在「リンカー」アミノ酸を含まない。介在リンカー配列が無いと、不必要な核酸および/またはアミノ酸材料の存在が避けられる。
【0119】
一実施形態では、本発明の融合タンパク質は、少なくとも1つの付加的ドメインをさらに含んでなる(すなわち、上記で定義された第一のドメインと第二のドメインに加えて)。例えば、融合タンパク質は、少なくとも1つの付加的抗原または抗原性フラグメント(例えば、2、3、4、6、8、10の付加的抗原または抗原性フラグメント)を含んでなってよい。一実施形態では、該抗原またはフラグメントは、融合タンパク質の第二のドメインに含まれるマイコバクテリア抗原/抗原性フラグメントと同じであってもよい(または同じものに由来してもよい)。一実施形態では、該付加的抗原またはフラグメントは、融合タンパク質の第二のドメインに含まれるマイコバクテリア抗原/抗原性フラグメントとは異なっていてもよい。例として、付加的抗原またはフラグメントは、マイコバクテリア抗原(または抗原性フラグメント)であってもよいし、あるいは非マイコバクテリア、例えば、異なる病原性細菌などの異なる病原体に由来するものであってもよい。
【0120】
一実施形態では、本発明は、(上記のような)本発明のポリヌクレオチドまたは(上記のような)本発明のベクターを宿主細胞で発現させることを含んでなる、融合タンパク質の生産方法を提供する。
【0121】
融合タンパク質の作製は当技術分野で周知である。融合タンパク質は、融合タンパク質をコードする組換えポリヌクレオチド配列の発現により作製することができる。例としては、本発明の融合タンパク質の第一のドメインと第二のドメインをコードするポリヌクレオチド配列を、ベクター中のプロモーターの下流の同じリーディングフレーム内に配置すればよく、それにより、1つのタンパク質産物としてのポリヌクレオチド配列の転写および翻訳が可能となる。
【0122】
本発明の融合タンパク質は、標準的な分子生物学的方法(例えば、引用することにより本明細書の一部とされるSambrook et al. 1989(Molecular Cloning a Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York)を用い、適合する原核生物または真核生物宿主細胞中で、ベクターまたは他の発現媒体にて本発明のポリヌクレオチド配列を発現させることにより生産することができる。
【0123】
最も慣用される原核生物宿主は大腸菌株であるが、枯草菌(B. subtilis)またはシュードモナス属(Pseudomonas)などの他の原核生物も使用可能である。哺乳類、または酵母、糸状菌、植物、昆虫、両生類もしくは鳥類種などの他の真核生物の宿主細胞も本発明において有用であり得る。哺乳類細胞の培養系での増殖はそれ自体周知である。慣用哺乳類宿主細胞系統の例としては、VEROおよびHeLa細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ならびにWI38、BHKおよびCOS細胞系統があるが、他の細胞系統も、例えばより高い発現を得るために考えられる。
【0124】
本明細書において「宿主細胞」、および微生物または単細胞体として培養された高等な真核細胞系を意味する他の同様の用語は、組換えベクターまたは他のトランスファーDNAのレシピエントとして使用され得る、または使用された細胞を指し、および形質転換された元の細胞の後代(progeny)をも含む。単独の親細胞の後代は、自然の、偶発的なまたは意図的な突然変異によるものであり、形態学的に、またはゲノムもしくは完全DNA補体が元の親と必ずしも完全に同一でなくてもよいことが理解される。
【0125】
対象ポリヌクレオチド配列はin vitroで転写することができ、また得られたRNAを宿主細胞に導入することができ(例えば、注入により)、あるいは該ポリヌクレオチド配列は、エレクトロポレーション;塩化カルシウム、塩化ルビジウム、リン酸カルシウム、DEAE−デキストラン、または他の物質を用いるトランスフェクション;微粒子銃;リポフェクション;感染(ベクターが感染性因子、例えばレトロウイルスゲノムである場合)などの宿主細胞の種類によって異なる方法により直接宿主細胞中に導入することができる。「形質転換」とは、例えば、直接的取り込み、形質導入、f−交配またはエレクトロポレーションなど、挿入のために用いられる方法には関係なく外因性のポリヌクレオチドの宿主細胞中への挿入を指す。
【0126】
ベクターは自律的複製をしてもよく、または宿主細胞のゲノム中に挿入されることにより複製してもよく、その場合それらは挿入配列を含む。
【0127】
発現およびクローニングベクターは、選択マーカー、ベクターにより形質転換された宿主細胞の生存または増殖に必要なタンパク質をコードする遺伝子を含み得る。この遺伝子により、挿入配列を発現する宿主細胞のみの増殖が確保される。従来の選択遺伝子は、(a)抗生物質または他の毒性物質、例えば、アンピシリン、ネオマイシン、メトトレキサートなどに対する耐性を付与するタンパク質;(b)栄養要求性の欠損を補うタンパク質;または(c)複合培地から得ることができない重要な栄養素を供給するタンパク質、例えば、バチルスのD−アラニンラセミ化酵素をコードする遺伝子などのタンパク質をコードする。適当な選択マーカーの選択は、宿主細胞によって異なる。
【0128】
形質転換された宿主細胞は、公知の方法に従って培養することができ、発現されたポリペプチドは従来のプロトコールにより収穫、すなわち、回収および単離(例えば、培養培地から)することができる。
【0129】
よって、一実施形態では、本発明は、(上記のような)本発明のポリヌクレオチド配列、または本発明のベクター、または本発明の融合タンパク質を含んでなる宿主細胞を提供する。
【0130】
一実施形態では、本発明は、(上記のような)本発明のポリヌクレオチド配列、または本発明のベクター、または本発明の融合タンパク質および薬学上許容される担体を含んでなる免疫原性組成物を提供する。
【0131】
本明細書において、「免疫原性」組成物は、組成物中の抗原が免疫応答を引き起こす能力を指す。この免疫応答には、体液性および/または細胞媒介免疫応答、例えばCD4+、CD8+、および/またはIFN−γ応答などが含まれる。
【0132】
本発明の免疫原性組成物で達成された明確な免疫原性の結果(下記の実施例3および図1〜6参照)は最も驚くべき、予期されないものである。例えば、本発明とは対照的に、配列番号1とマラリア抗原の融合物では、高い免疫応答は得られなかった(下記の実施例3および図7参照)。マウスで見られたマイコバクテリア抗原に対する明確な免疫原性が霊長類でも見られたことは、いっそう驚くべきことである。
【0133】
免疫応答のモニタリングは、当技術分野で常法である。例えば、T細胞応答を評価および定量するための新しい免疫学的アッセイがここ10年にわたって開発されてきた。例えば、インターフェロン−γ(IFN−γ)ELISPOTアッセイが免疫の読み取りとして有用であるが、これは抗原特異的T細胞からのIFN−γの分泌が結核菌に対する保護と良好な相関を示すためである。さらに、ELISPOTアッセイは、IFN−γを分泌する抗原特異的T細胞の数を定量する極めて再現性の高い、高感度な方法である。また免疫応答は、抗原に特異的な抗体価の測定により評価することもできる。
【0134】
一実施形態では、本発明は、被験体において免疫応答を刺激または誘導するために用いる、(上記のような)本発明のポリヌクレオチド配列、またはベクター、または融合タンパク質、または免疫原性組成物を提供する。
【0135】
一実施形態では、本発明は、被験体において免疫応答を刺激または誘導するための薬剤の製造における、(上記のような)本発明のポリヌクレオチド配列、またはベクター、または融合タンパク質、または免疫原性組成物の使用を提供する。
【0136】
治療上の使用および方法において、「被験体」とはマイコバクテリア、例えば結核菌などに対する免疫応答の刺激または誘導が有効な任意の動物被験体である。典型的な動物被験体は哺乳類、例えば、霊長類(例えば、ヒト)、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、カラス、イヌまたはネコ被験体である。一実施形態では、被験体はヒト、ウシ、ブタ、ウマ、アナグマまたはキツネである。
【0137】
一実施形態では、本発明は、結核菌感染などのマイコバクテリア感染の治療または予防における使用のための、(上記のような)本発明のポリヌクレオチド配列、またはベクター、または融合タンパク質、または免疫原性組成物を提供する。
【0138】
本発明の融合物で達成された明確な免疫原性の結果(下記の実施例3および図1〜6参照)は最も驚くべき、予期されないものである。例えば、本発明とは対照的に、配列番号1とマラリア抗原の融合物では、高い免疫応答は得られなかった(下記の実施例3および図7参照)。マウスで見られたマイコバクテリア抗原に対する明確な免疫原性が霊長類でも見られたことは、いっそう驚くべきことである。
【0139】
一実施形態では、本発明は、結核菌感染などのマイコバクテリア感染を治療または予防するための薬剤の製造のための、(上記のような)本発明のポリヌクレオチド配列、またはベクター、または融合タンパク質、または免疫原性組成物の使用を提供する。
【0140】
本発明はまた、(上記のような)本発明のポリヌクレオチド配列、または本発明のベクター、または本発明の融合タンパク質、または本発明の免疫原性組成物を被験体に投与することを含んでなる、被験体において免疫応答を刺激または誘導する方法を提供する。
【0141】
よって、一実施形態では、被験体において免疫応答を刺激または誘導する方法は、(上記のような)本発明のポリヌクレオチド配列、または本発明のベクター、または本発明の融合タンパク質、または本発明の免疫原性組成物を被験体に投与することを含んでなる。
【0142】
一実施形態では、本発明は、結核菌感染などのマイコバクテリア感染を治療または予防するための方法を提供する。
【0143】
一実施形態では、結核菌感染などのマイコバクテリア感染を治療または予防するための方法は、(上記のような)本発明のポリヌクレオチド配列、または本発明のベクター、または本発明の融合タンパク質、または本発明の免疫原性組成物を被験体に投与することを含んでなる。
【0144】
一実施形態では、被験体において免疫応答を刺激または誘導する方法は、(上記のような)本発明のポリヌクレオチド配列、または本発明のベクター、または本発明の融合タンパク質、または本発明の免疫原性組成物を被験体に投与することを含んでなり、前記ポリヌクレオチド配列、またはベクター、または融合タンパク質、または免疫原性組成物は別の免疫原性組成物の実質的に投与前、投与と同時または投与後に投与される。
【0145】
一実施形態では、被験体において結核菌感染などのマイコバクテリア感染を治療または予防するための方法は、(上記のような)本発明のポリヌクレオチド配列、または本発明のベクター、または本発明の融合タンパク質、または本発明の免疫原性組成物を被験体に投与することを含んでなり、前記ポリヌクレオチド配列、またはベクター、または融合タンパク質、または免疫原性組成物は別の免疫原性組成物の実質的に投与前、投与と同時または投与後に投与される。
【0146】
一実施形態では、被験体において結核菌感染などのマイコバクテリア感染を治療または予防するための方法は、本発明のポリヌクレオチド配列、または本発明のベクター、または本発明の融合タンパク質、または本発明の免疫原性組成物を、プライミングワクチン組成物投与後、1年、2年、3年、4年または5年までにブースターワクチン組成物として投与することを含んでなる。
【0147】
一実施形態では、該プライミングワクチン組成物は、第二のマイコバクテリア抗原(例えば、BCG)を含んでなるか、またはコードしている。
【0148】
「プライム・ブースト」予防接種計画を含む、投与前、投与と同時または投与後に投与する計画は、本明細書の後段でさらに詳しく述べる。
【0149】
本発明のポリヌクレオチド配列、またはベクター、または融合タンパク質、または免疫原性組成物は、様々な免疫応答を誘導するために有用である可能性があり、またそのために、様々な疾患を処置するための方法において有用であり得る。
【0150】
一実施形態では、本発明のポリヌクレオチド配列、またはベクター、または融合タンパク質、または免疫原性組成物は、マイコバクテリアが関与している様々な非マイコバクテリア疾患の治療または予防のために有用である。例えば、本発明の薬剤が有効であり得る疾患には、炎症性疾患、例えば自己免疫疾患、癌(例えば、膀胱癌)、炎症性腸疾患、クローン病、ヨーネ病、ハンセン病、骨髄炎、リンパ節炎、痘瘡またはサル痘が含まれる。
【0151】
本明細書において、「処置」または「処置する」とは、治療または予防/予防対策を包含し、また、感染後の治療およびマイコバクテリア感染の改善も含む。
【0152】
本明細書において、「予防する」とは、マイコバクテリア感染の開始の予防および/またはマイコバクテリア感染の重篤度または強度の低減を含む。
【0153】
(上記のような)本発明のポリヌクレオチド配列、またはベクター、または融合タンパク質、または免疫原性組成物は、すでにマイコバクテリアに感染し、マイコバクテリア感染に関連する状態または症状がある被験体(一般には哺乳類被験体、例えばヒト、ウシ、ブタ、ウマ、アナグマまたはキツネ)に、前記マイコバクテリア感染を治療または予防するために投与することができる。一実施形態では、該被験体は、マイコバクテリアとの接触が疑われるか、またはマイコバクテリアと接触したことはわかっているが、まだ曝露症状を示していない。
【0154】
すでにマイコバクテリア感染または疾患を有するか、またはマイコバクテリア感染に関連する症状を示している被験体(例えば、哺乳類、例えば、ヒト、ウシ、ブタ、ウマ、アナグマまたはキツネ)に投与された場合、(上記のような)本発明のポリヌクレオチド配列、またはベクター、または融合タンパク質、または免疫原性組成物は、1以上の症状を治癒、遅延、重篤度を低減または改善することができ、および/またはこのような治療をしない場合の予想をはるかに超えて被験体の生存を延長することができる。
【0155】
あるいは、(上記のような)本発明のポリヌクレオチド配列、またはベクター、または融合タンパク質、または免疫原性組成物は、最終的にマイコバクテリアに感染した可能性のある被験体(例えば、哺乳類、例えば、ヒト、ウシ、ブタ、ウマ、アナグマまたはキツネ)に、前記マイコバクテリア感染の1以上の症状を予防、治癒、遅延、重篤度を低減または改善するために、またはこのような治療をしない場合の予想をはるかに超えて被験体の生存を延長するために投与することができる。
【0156】
一実施形態では、該被験体は以前にマイコバクテリアに曝露されたことがある。例えば、該被験体は過去においてマイコバクテリアに感染したことがあってよい(しかし、現在はマイコバクテリアに感染していなくてもよい)。該被験体はマイコバクテリアに潜伏感染していてもよい。あるいは、またはさらに、該被験体は過去にマイコバクテリア感染の予防接種を受けていてもよい(例えば、該被験体は以前にBCG予防接種を受けている)。
【0157】
本発明の治療的および予防的療法は、様々な年齢の様々に異なる被験体に適用することができる。ヒトにおいては、該療法は小児(例えば、乳児、5歳以下の小児、年長の小児または10代の子供たち)、および成人に適用することができる。他の動物被験体(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、アナグマまたはキツネなどの哺乳類)においては、該療法は未成熟の被験体(例えば、子ウシ、子ブタ、子ウマ)、および成熟した/成体の被験体に適用することができる。本発明の治療的および予防的療法は、免疫不全または免疫抑制された被験体(例えば、HIVまたはAIDSのヒト患者、または類似の免疫不全疾患の他の動物患者)、臓器移植、骨髄移植を受けた被験体、または遺伝的な免疫不全症の被験体に適用することができる。
【0158】
(上記のような)本発明のポリヌクレオチド、融合タンパク質、ベクターおよび免疫原性組成物は総てワクチンとして用いることができる。
【0159】
本明細書において「ワクチン」とは、動物被験体、例えば哺乳類(例えば、ヒト、ウシ、ブタ、ウマ、アナグマ、キツネ、ヒツジ、ヤギ、カラス、イヌまたはネコ)に投与された場合に、マイコバクテリア感染に対する保護免疫応答を刺激する処方物である。該免疫応答は、体液性および/または細胞媒介免疫応答であり得る。本発明のワクチンは、例えば、マイコバクテリア発明(例えば、結核菌感染)の影響から動物を保護するために使用することができる。
【0160】
本明細書において「ワクチン」とは、「治療/予防用組成物」「処方物」または「薬剤」と互換的に用いられる。
【0161】
薬学上許容される担体に加えて(上記のような)本発明のワクチンは、さらに1以上の塩、賦形剤、希釈剤、アジュバント、免疫調節薬および/または抗菌性化合物と組み合わせることができる。
【0162】
本発明のポリヌクレオチド、またはベクター、または融合タンパク質、または免疫原性組成物は、中性または塩の形態としてワクチン中に処方してもよい。薬学上許容される塩としては、無機酸(例えば、塩酸もしくはリン酸など)、または有機酸(例えば、酢酸、シュウ酸、酒石酸およびマレイン酸など)を伴って形成される酸付加塩が挙げられる。遊離カルボキシル基と形成された塩はまた、無機塩基(例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、または水酸化第二鉄)、および有機塩基(例えばイソプロピルアミン、トリメチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジンおよびプロカインなど)に由来するものであってよい。
【0163】
免疫原性組成物、治療用処方物、薬剤および予防用処方物(例えば、ワクチン)の投与は、一般に従来の経路により、例えば静脈内、皮下、腹腔内、または粘膜経路により行われる。この投与は、非経口の注射、例えば、皮下または筋肉内注射によるものであってよい。中和抗体を含んでなる処方物は、特に静脈内、筋肉内、皮内、または皮下投与に好適であり得る。
【0164】
従って、本発明の免疫原性組成物、治療用処方物、薬剤および予防用処方物(例えば、ワクチン)は一般に注射剤として、溶液または懸濁液のいずれかで調製される。あるいは、注射前の液体への溶解または懸濁に好適な固形形態を調製してもよい。調製物はまた、乳化してもよく、または該ペプチドはリポソームまたはマイクロカプセル中に封入してもよい。
【0165】
活性免疫原性成分は、薬学上許容され、有効成分と適合する賦形剤と混合されることが多い。好適な賦形剤は、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロールまたはエタノールなど、ならびにその組合せが挙げられる。加えて、必要に応じて、ワクチンは少量の補助物質、例えば湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤、および/またはワクチンの有効性を高めるアジュバントなどを含有してよい。
【0166】
一般に、担体は薬学上許容される担体である。薬学上許容される担体の限定されない例としては、水、生理食塩水、およびリン酸緩衝生理食塩水が挙げられる。ある実施形態では、しかしながら、該組成物は凍結乾燥された形態であり、その場合、安定剤、例えばBSAが含有されていてもよい。ある実施形態では、長期保存を容易にするために該組成物を保存剤、例えばチオマーサルまたはアジ化ナトリウムなどとともに処方することが望ましい。
【0167】
有効な付加的アジュバントの例としては、限定されるものではないが、完全フロインドアジュバント(CFA)、不完全フロイントアジュバント(IVA)、サポニン、サポリン(Saporin)精製抽出物画分(例えばQuil A)、サポリン(Saporin)誘導体(例えばQS−21)、サポニンに基づく脂質粒子(例えばISCOM/ISCOMATIX)、大腸菌易熱性毒素(LT)変異株(例えばLTK63および/またはLTK72)、水酸化アルミニウム、N−アセチル−ムラミル−L−スレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチル−ノル−ムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(CGP 11637、ノル−MDPと称される)、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(CGP 19835A、MTP−PEと称される)、およびRIBI、これは2%スクアレン/Tween80エマルション中に細菌から抽出された3つの成分、モノホスホリルリピドA、トレハロースジミコール酸および細胞壁骨格(MPL+TDM+CWS)を含む。
【0168】
緩衝剤の例としては、限定されるものではないが、コハク酸ナトリウム(pH6.5)、およびリン酸緩衝生理食塩水(PBS;pH6.5および7.5)が挙げられる。
【0169】
他の投与方法に好適なさらなる処方物としては、坐剤および、一部の例では、経口処方物またはエアゾールとしての分散に好適な処方物が挙げられる。坐剤に関しては、従来の結合剤および担体は、例えば、ポリアルキレングリコールまたはトリグリセリドを含んでいてもよく、このような坐剤は0.5%〜10%、好ましくは1%〜2%の範囲で有効成分を含む混合物から形成され得る。
【0170】
経口処方物には、そのような通常使用される賦形剤、例えば、医薬品級のマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロースおよび炭酸マグネシウムなどが含まれる。これらの組成物は、溶液、懸濁液、錠剤、丸剤、カプセル剤、持続放出処方物、または粉末の形態をとる。
【0171】
動物被験体、例えばアナグマまたはキツネの場合、該処方物は「餌」を形成するための担体材料を含んでいてもよい。液体および固体材料両方を含む担体材料を形成するために、様々な材料を使用することができる。例えば、該担体は、経口摂取の促進および/または特定の動物を引き付けるために効果的な食物源であり得る。餌処方物における使用に好適な食物源の例としては、限定されるものではないが、小麦粉、小麦シリアル、ふすま、糖蜜、食用酢、寒天、ゼラチン、ペットフード、小麦、ダイズ製品、オート麦、トウモロコシ、植物油、米、果物、肉、肉製品、魚類、魚製品、砂糖、コーティングされた野菜の種、コーティングされたシリアルシード、乳製品、ホエイパウダー、カゼイン、卵白、血粉、骨粉、酵母、脂肪、ビール製品、紙繊維、セルロースおよびそれらの混合物が挙げられる。
【0172】
他の好適な添加剤としては、誘引物質および非食物担体が挙げられる。非食物担体は、単独でまたは食物材料および/または誘引物質と組み合わせて用いることができる。添加剤として好適な非食物担体の例としては、セルロース、砂、粘土、シリカ、ポリアクリル酸ポリマー、ポリアクリルアミド酸ポリマー、アルギン酸塩およびワックスが挙げられる。
【0173】
マイコバクテリア呼吸器系感染の場合(例えば、結核菌感染)、治療/予防用組成物または薬剤の肺における感染部位への効率的な伝達は、経口または鼻腔内投与(i.n.)により達成することができる。これらの送達様式は、結核菌感染の送達経路に対応する。
【0174】
鼻腔内投与のための処方物は、点鼻剤または鼻腔用スプレーの形態であってよい。鼻腔用処方物は、直径約100〜5000μm、例えば500〜4000μm、1000〜3000μmまたは100〜1000μmの範囲の液滴を含んでいてもよい。あるいは、容量に関して、該液滴は約0.001〜100μl、例えば0.1〜50μl、または1.0〜25μl、または例えば0.001〜1μlの範囲であり得る。
【0175】
あるいは、治療/予防用処方物または薬剤はエアゾール処方物であってよい。エアゾー処方物は粉末、懸濁液または溶液の形態をとり得る。エアゾール粒子の大きさはエアゾールの送達能力に関連する。より小さな粒子は、大きな粒子よりもより遠くまで呼吸気道を肺胞に向かって移動することができる。一実施形態では、エアゾール粒子は気管支、細気管支、および肺胞の全長にわたる送達を容易にするための直径分布を有する。あるいは、該粒径分布は呼吸気道の特定の部分、例えば肺胞を標的とするように選択されていてもよい。薬剤のエアゾール送達の場合、粒子は約0.1〜50μm、好ましくは1〜25μm、より好ましくは1〜5μmの範囲の直径を有してよい。
【0176】
エアゾール粒子は、噴霧器(例えば、経口の)または鼻腔用スプレーを用いる送達用であり得る。エアゾール処方物は、所望により、噴射剤および/または界面活性剤を含有してよい。
【0177】
液滴/粒子のサイズを本発明で定義された範囲に制御することにより、肺胞への不用意な薬剤送達を回避する(または最小限に抑える)ことができ、また肺胞に関連する病理学的問題、例えば肺の炎症および繊維性瘢痕化を回避することができる。
【0178】
鼻腔内ワクチン接種は、他の粘膜関連リンパ系組織とは異なる、鼻腔および気管支に関連した粘膜組織におけるTおよびB細胞両方による媒介エフェクターメカニズムに関与する。鼻腔内投与経路により引き起こされる保護メカニズムには、選択的肺ホーミングTリンパ球活性化;共刺激分子(例えば、B7.2)のアップレギュレーション;および/またはマクロファージまたは分泌型IgA抗体の活性化が含まれる。
【0179】
抗原の鼻腔内送達は、粘膜の抗体応答の誘起を容易にすることができ、これはT細胞応答を、抗体産生を助けるTh2表現型へシフトさせることにより有利となる。粘膜応答は、IgA産生の増強を特徴とし、また、Th2応答はIL−4産生の増強を特徴とする。
【0180】
本発明のマイコバクテリア抗原の鼻腔内送達は、抗原が呼吸器系の粘膜下のB細胞を標的化することを可能にする。これらのB細胞は哺乳類における主要な局所的IgA−産生細胞であり、鼻腔内送達は、マイコバクテリア抗原に対するこれらの細胞によるIgA産生の急速な増加を容易にする。
【0181】
本発明の治療用処方物、薬剤および予防用処方物(例えば、ワクチン)は、薬学上許容される担体、および所望により、1以上の塩、賦形剤、希釈剤および/またはアジュバントを含んでなる。
【0182】
一実施形態では、本発明の免疫原性組成物、治療用処方物、薬剤または予防用処方物(例えば、ワクチン)は、例えば免疫グロブリン、抗生物質、インターロイキン(例えば、IL−2、IL−12)、および/またはサイトカイン(例えば、IFNγ)から選択される1以上の免疫調節剤を含んでいてもよい。
【0183】
一実施形態では、本発明の免疫原性組成物、治療用処方物、薬剤または予防用処方物(例えば、ワクチン)は、1以上の抗菌性化合物、例えば従来の抗結核薬(例えば、リファンピシン、イソニアジド、エタンブトールまたはピリジンアミドを含んでいてもよい。
【0184】
本発明の治療用処方物、薬剤または予防用処方物(例えば、ワクチン)は、単回投与計画で(すなわち、全用量が実質的に一度に)投与されてもよい。あるいは、本発明の治療用処方物、薬剤または予防用処方物(例えば、ワクチン)は、複数回投与計画で投与されてもよい。
【0185】
複数回投与計画は、治療の最初の治療過程(例えば、ワクチン接種)が、1〜6回の分割用量であってもよく、それに続く免疫応答の維持および/または増強に必要な後の時間間隔で他の用量を投与されるものであり、例えば(ヒト被験体に関して)、第二の用量は1〜4か月、必要に応じて、さらに1〜4か月後に次の用量を投与する。
【0186】
投与レジメンは、少なくとも1つには個人の必要性および従業者(例えば、医師または獣医)の判断により決定されるだろう。
【0187】
同時投与とは、(実質的に)同時に投与することを意味する。
【0188】
2以上の組成物/治療薬/ワクチンの連続投与とは、組成物/治療薬/ワクチンを(実質的に)異なる時に、順次投与することを意味する。
【0189】
例えば、一実施形態では、本発明のワクチンは「プライム・ブースト」予防接種計画の一部として投与してもよい。
【0190】
プライム・ブースト予防接種計画は、プライミング(Priming)、すなわち、被験体を1以上の抗原またはワクチンに曝露すること、および続いてブースト(Boosting)、すなわち、被験体を1以上の抗原またはワクチンに曝露することを含む。「ブースト」抗原/ワクチンは、一般に、「プライマー」抗原/ワクチンとは異なる(「異種」プライム・ブーストとして知られる)。この点に関して、異種プライム・ブースト免疫付与戦略は、同じワクチンを用いる同種ブーストに比べて被験体においてより高レベルのエフェクターT細胞応答を誘導することが示されている。例えば、従来のワクチン、例えばBCGを用いる反復ワクチン接種は、TBに対する保護をさらに増強するようにはみえない。しかしながら、BCGの異種プライム・ブースト計画への包含は、BCGの保護効果の維持を可能にする。
【0191】
よって、一実施形態では、本発明は異種の従来のワクチン(例えば、BCGワクチン)の投与により被験体の免疫系を「プライミング」し、次いで本発明のワクチンの投与により被験体の免疫系を「ブースト」することを含んでなる、マイコバクテリア感染に対するワクチン接種の方法を提供する。一実施形態では、本発明は異種の従来のワクチン、例えばBCGに予め曝露された被験体に本発明のワクチンを投与することを含んでなる、マイコバクテリア感染に対するワクチン接種の方法を提供する。
【0192】
あるいは、被験体の免疫系を本発明のワクチンの投与により「プライム」し、次いで異種の従来のワクチン(例えば、BCGワクチン)の投与により「ブースト」してもよい。従って、一実施形態では、該ワクチンが被験体に投与され、続いて異種の従来のワクチン、例えばBCGに曝露される。
【0193】
「プライミング」工程はいずれの年齢の被験体に行ってもよく、哺乳類被験体の場合(例えば、ヒト、ウシ、ブタ、ウマ、アナグマ、キツネ、ヒツジ、ヤギ、カラス、イヌまたはネコ)、BCGを用いるプライミングは、従来は新生児期または幼児期、青年期または成人に行われる。「ブースト」工程は「プライミング」工程後、いずれの時期に行ってもよい。哺乳類被験体の場合(例えば、ヒト、ウシ、ブタ、ウマ、アナグマ、キツネ、ヒツジ、ヤギ、カラス、イヌまたはネコ)、ブースト工程は、プライミング工程後少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10週、またはプライミング工程後少なくとも約2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、30、33、36、39、40、44、48、50、54もしくは60ヶ月、またはブースト工程後少なくとも約1、2、3、4,もしくは5、またはさらに10、15、20、25、30、35、もしくは40、またはそれ以上の年数を経た後に行ってよい。一実施形態では、ヒト被験体に関して、該プライミング工程は幼年期の間に行われ、ブースト工程は青年期に行う。
【0194】
一実施形態では、本発明の治療用処方物、薬剤または予防用処方物(例えばワクチン)は、被験体、例えば哺乳類(例えば、ヒト、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、カラス、イヌまたはネコ被験体)に、例えば、免疫グロブリン、抗生物質、インターロイキン(例えば、IL−2、IL−12)、および/またはサイトカイン(例えば、IFNγ)から選択される、1以上の免疫調節剤を併用して(同時にまたは順次に)投与することができる。
【0195】
一実施形態では、本発明の治療用処方物、薬剤または予防用処方物(例えば、ワクチン)は、被験体、例えば哺乳類(例えば、ヒト、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、カラス、イヌまたはネコ被験体)に、1以上の抗菌性化合物、例えば従来の抗結核薬(例えば、リファンピシン、イソニアジド、エタンブトールまたはピリジンアミドを併用して(同時にまたは順次に)投与することができる。
【0196】
該治療用処方物、薬剤または予防用処方物(例えば、ワクチン)は、5%〜95%の有効成分、例えば少なくとも10%または25%の有効成分、または少なくとも40%の有効成分、または少なくとも50、55、60、70または75%の有効成分を含んでいてもよい。
【0197】
該治療用処方物、薬剤または予防用処方物(例えば、ワクチン)は、投与処方物に適合した方法で、また、予防上および/または治療上有効な量で投与される。
【0198】
この点に関して、本明細書において、「有効量」とは、所望の生物学的転帰を達成するに十分な用量または量である。本明細書において、「治療上有効な量」とは、被験体への単回または複数回用量投与(例えば哺乳類、例えば、ヒト、ウシ、ブタ、ウマ、アナグマ、キツネ、ヒツジ、ヤギ、カラス、イヌまたはネコ)において、疾患の少なくとも1つの症状もしくは再発性疾患を治療、予防、治癒、遅延、重篤度を低減または改善させるか、またはかかる治療をしない場合の予想をはるかに超えて被験体の生存を延長するために有効な量である。
【0199】
よって、投与される有効成分の量は、一般に抗原5μg〜250μg/用量であるが(または経口投与もしくはウイルスベクターの場合はより高用量)、治療される被験体、保護免疫応答を生じる被験体の免疫系の能力、および所望される保護の程度によって異なる。投与に必要とされる正確な量の有効成分は、従業者の判断によって決まり、各被験体に特有のものであり得る。
【0200】
本発明は、本願で特定されたいずれかの参照配列番号に基づくポリペプチドに実質的に相同なポリペプチドを包含する(そのフラグメントを含む)。本明細書において「配列同一性」および「配列相同性」は、同義語とみなされる。
【0201】
例として、対象ポリペプチドは参照ポリペプチドのアミノ酸配列と少なくとも70、75、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、99または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでいてもよい。
【0202】
2つのアミノ酸配列のアライメントに利用可能な確立された多くのアルゴリズムが存在する。
【0203】
一般に、1つの配列が参照配列の機能を果たし、それに対して試験配列が比較される。配列比較アルゴリズムは、指定されたプログラムパラメーターに基づき、参照配列に対する試験配列の配列同一性パーセンテージを計算する。アミノ酸配列の比較のためのアライメントは、例えば、アルゴリズム(例えば、GAP、BESTFIT、FASTAまたはTFASTA)、またはBLASTおよびBLAST2.0アルゴリズムを実装したコンピューターにより行うことができる。
【0204】
以下に示すBLOSUM62の表は、約2,000のタンパク質配列セグメントのローカル・マルチプル・アライメントから得られたアミノ酸置換マトリックスであり、500グループを超える関連タンパク質の保存性の高い領域を表す(Henikoff & Henikoff, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915-10919, 1992;引用することにより本明細書の一部とされる)。アミノ酸は標準的な1文字コードで示されている。同一性%は以下のように計算される。
【0205】
【数1】

【0206】
【表1】

【0207】
相同性の比較において、同一性は少なくとも10アミノ酸残基長(例えば、少なくとも15、20、30、40、50、75、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650または685アミノ酸残基長、例えば、最大で参照配列全体の長さまで)の配列の領域にわたって存在し得る。
【0208】
実質的に相同なポリペプチドは、1以上のアミノ酸置換、欠失、または付加を有する。多くの実施形態において、これらの変化は軽微なものであり、例えば、保存的アミノ酸置換のみが関与している。保存的置換は、1つアミノ酸を以下の群:塩基性:アルギニン、リシン、ヒスチジン;酸性:グルタミン酸、アスパラギン酸;極性:グルタミン、アスパラギン;疎水性:ロイシン、イソロイシン、バリン;芳香族:フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン;小型:グリシン、アラニン、セリン、トレオニン、メチオニン、の別のアミノ酸に置換することにより行われる。実質的に相同なポリペプチドは、ポリペプチドの折り畳みまたは活性には有意に影響を及ぼさない他の置換;小欠失、一般に1〜約30アミノ酸(例えば1〜10、または1〜5アミノ酸);および小さなアミノ末端またはカルボキシル末端伸長、例えばアミノ末端メチオニン残基、約20〜25残基までの小リンカーペプチド、または親和性タグを含んでなるものも包含する。
【0209】
本発明のポリペプチドはまた、非天然のアミノ酸残基を含んでいてもよい。この点に関して、20の標準アミノ酸に加えて、非標準アミノ酸(例えば4−ヒドロキシプロリン、6−N−メチルリシン、2−アミノイソ酪酸、イソバリンおよびα−メチルセリン)は本発明のマイコバクテリアポリペプチドのアミノ酸残基に置換してよい。限定された数の非保存的アミノ酸、遺伝コードによりコードされていないアミノ酸、および非天然アミノ酸は、マイコバクテリアポリペプチドアミノ酸残基に置換してよい。非天然アミノ酸としては、限定されるものではないが、トランス−3−メチルプロリン、2,4−メタノ−プロリン、シス−4−ヒドロキシプロリン、トランス−4−ヒドロキシ−プロリン、N−メチルグリシン、アロ−トレオニン、メチル−トレオニン、ヒドロキシ−エチルシステイン、ヒドロキシエチルホモ−システイン、ニトロ−グルタミン、ホモグルタミン、ピペコリン酸、tert−ロイシン、ノルバリン、2−アザフェニルアラニン、3−アザフェニル−アラニン、4−アザフェニル−アラニン、および4−フルオロフェニルアラニンが挙げられる。
【0210】
非天然アミノ酸残基をポリペプチドに組み込むためのいくつかの方法が当技術分野で公知である。例えば、in vitro系を用いることができ、その場合ナンセンス突然変異は化学的にアミノアシル化されたサプレッサーtRNAを用いて抑制される。アミノ酸およびアミノアシル化tRNAを合成するための方法は当技術分野で公知である。ナンセンス突然変異を含むプラスミドの転写および翻訳は、大腸菌S30抽出物および市販の酵素および他の試薬を含んでなる無細胞系で行うことができる。ペプチドは、例えば、クロマトグラフィーにより精製することができる。第二の方法においては、翻訳はアフリカツメガエル卵母細胞中で突然変異mRNAおよび化学的にアミノアシル化されたサプレッサーtRNAのマイクロインジェクションにより行われる。第三の方法においては、大腸菌細胞を、置換される天然アミノ酸(例えばフェニルアラニン)の不在下、および所望の非天然アミノ酸(例えば2−アザフェニルアラニン、3−アザフェニルアラニン、4−アザフェニルアラニン、または4−フルオロフェニルアラニン)の存在下で培養する。非天然アミノ酸は、その天然対応物の代わりにポリペプチドに組み込まれる。天然に存在するアミノ酸残基は、in vitro化学的修飾において非天然種に変換することができる。化学的修飾は、置換の範囲をさらに拡大するために部位特異的突然変異誘発と組み合わせることができる。
【0211】
必須アミノ酸、例えば本発明のポリペプチドにおけるものなどは、当技術分野で公知の方法、例えば部位特異的突然変異誘発またはアラニン−スキャニング突然変異誘発などにより同定することができる。推定接触部位のアミノ酸の突然変異とともに、生物学的相互作用の部位もまた、例えば核磁気共鳴、結晶学、電子線回折または光親和性標識などのような技術により決定される構造の物理学的分析により決定することができる。必須アミノ酸の属性はまた、対象ポリペプチドの関連ファミリーメンバーとの相同性分析から推測することもできる。
【0212】
多重アミノ酸置換は、突然変異誘発およびスクリーニングの公知の方法を用いて作製および試験することができる。ポリぺプチド中の2以上の位置を同時にランダム化し、機能的ポリペプチドについて選択し、次いで突然変異誘発ポリペプチドを配列決定して、各位置で許容的な置換のスペクトルを決定する方法が知られている。使用可能な他の方法としては、ファージディスプレーが挙げられる。
【0213】
本発明のポリペプチドをコードする核酸分子の機能的フラグメントを得るために、核酸分子の欠失分析の常法を行うことができる。例として、一連の段階的欠失を得るためにDNA分子をBal31ヌクレアーゼで消化することができる。次いでこれらのDNAフラグメントを発現ベクターの適切なリーディングフレームに挿入し、発現されたポリペプチドを単離して所望の活性を試験する。エキソヌクレアーゼ消化に代わる方法は、所望のフラグメントの産生を指定するために欠失または停止コドンを導入するための、オリゴヌクレオチド指定突然変異誘発の使用である。あるいは、特定のポリヌクレオチドフラグメントはポリメラーゼ連鎖反応を使用して合成することもできる。
【0214】
本発明のポリぺプチドの突然変異体は、参照ポリペプチドの配列と比較して、アミノ酸の1以上の類似体(例えば、非天然アミノ酸)、または置換されたリンケージを包含してよい。さらなる実施形態では、対象ポリペプチドは参照ポリペプチドの少なくとも1つのエピトープを複製する、参照ポリペプチドの模倣物であってもよい。
【0215】
本発明の開示されたポリヌクレオチドおよびポリペプチド配列の突然変異体は、DNAシャッフリングを介して作製することができる。要するに、変異株DNAは親DNAのランダムフラグメンテーション、続いてPCRを用いる再構築によるin vitro相同組換えにより作製され、結果として点突然変異がランダムに導入される。この技術は、親DNAファミリーの使用により、プロセスにさらなる可変性を導入するように改変することが可能である。所望の活性のための選択またはスクリーニング、次いで突然変異誘発およびアッセイをさらに反復すれば、所望の突然変異の選択と同時に有害な変化に対する選択による、迅速な配列の「進化」が得られる。
【0216】
上記に開示された突然変異誘発法は、クローン化された変異型ポリペプチドの活性を検出するために、ハイスループットスクリーニング法と組み合わせることができる。本発明のポリペプチドをコードする突然変異核酸分子、またはそのフラグメントを宿主細胞から回収し、最新設備を用いて迅速に配列決定することができる。これらの方法は、対象ポリペプチド中の個々のアミノ酸残基の重要性の迅速な決定を可能にし、未知の構造のポリペプチドに適用することができる。
【0217】
対象ポリペプチドの「フラグメント」は、該ポリペプチドの配列に由来する一連の連続するアミノ酸残基を含んでなる。例としては、対象ポリペプチドの「フラグメント」は、該ポリペプチドの配列に由来する少なくとも10個の連続するアミノ酸残基(例えば、該ポリペプチドの少なくとも15、20、25、28、30、35、40、45、50、55、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400または412個の連続するアミノ酸残基)を含み得る(またはからなり得る)。フラグメントは対象ポリペプチドの少なくとも1つのエピトープを含み得る。
【0218】
対象ポリペプチドまたはフラグメントは、参照ポリペプチドの活性部位を有していてもよい。
【0219】
対象ポリペプチドまたはそのフラグメントは、参照ペプチドと、共通の抗原交差反応性および/または実質的に同じin vivo生物活性を持ち得る。例えば、ポリペプチドまたはポリペプチドフラグメントと参照ポリペプチドは、過去にマイコバクテリア感染の抗原性成分に曝されたTリンパ球(例えば、CD4+、CD8+、エフェクターT細胞またはメモリーT細胞、例えば、TEMまたはTCM)の「想起応答」を誘発する共通の能力を有する。
【0220】
T細胞応答を評価および定量するための新しい免疫学的アッセイがここ10年にわたって開発されてきた。例えば、インターフェロン−γ(IFN−γ)ELISPOTアッセイが免疫の読み取りとして有用であるが、これは抗原特異的T細胞からのIFN−γの分泌が結核菌に対する保護と良好な相関を示すためである。さらに、ELISPOTアッセイは、抗原特異的T細胞を分泌するIFN−γの数を定量する極めて再現性の高い、高感度の方法である。
【0221】
本明細書において「核酸配列」および「ポリヌクレオチド」は互換的に用いられ、何ら長さの制限は含まない。本明細書において「核酸」および「ヌクレオチド」は互換的に用いられる。「核酸配列」および「ポリヌクレオチド」はDNA(cDNAを含む)およびRNA配列を包含する。本明細書において「アミノ酸配列」および「ポリペプチド」は互換的に用いられ、何ら長さの制限は含まない。
【0222】
本発明のポリヌクレオチド配列は、それらの天然環境から取り出された核酸配列、組換えまたはクローニングDNA単離物、ならびに化学的に合成された類似体または異種系により生物学的に合成された類似体を含む。
【0223】
本発明のポリヌクレオチドは、当技術分野で公知の手段により作製することができる。例えば、大量のポリヌクレオチドを好適な宿主細胞での複製によって生産してもよい。目的フラグメントをコードする天然または合成DNAフラグメントを、原核細胞または真核細胞中に導入して複製することができる組換え核酸構築物、一般に、DNA構築物に組み込む。通常、これらのDNA構築物は、酵母または細菌などの単細胞宿主での自律的複製に好適であるが、培養された昆虫、哺乳類、植物または他の真核細胞系への導入およびそのゲノムへの組込みも意図される。
【0224】
本発明のポリヌクレオチドは、例えばホスホラミダイト法またはトリエステル法などの化学的合成により生産することもできるし、市販の自動オリゴヌクレオチド合成装置で行うこともできる。二本鎖フラグメントは、相補鎖を合成し、その鎖を適当な条件下でアニーリングするか、またはこの相補鎖を適当なプライマー配列とともにDNAポリメラーゼを用いて付加するかのいずれかによって、化学的合成の一本鎖産物から得ることができる。
【0225】
核酸配列に関して用いる場合、本発明に関して「単離」とは、ポリヌクレオチド配列がその天然の遺伝的環境から取り出され、従って、他の無関連の、または望まないコード配列を含まず(ただし、プロモーターおよびターミネーターなどの天然に存在する5’および3’非翻訳領域は含み得る)、遺伝子操作されたタンパク質生産系内で用いるのに好適な形態であることを表す。このような単離された分子は、それらの天然環境から分離されたものである。
【0226】
核酸配列を単離する方法は当技術分野で公知である。
【0227】
本発明のポリペプチドをコードする核酸配列は、PCRなどの慣例のクローニング法により得ることもできるし、あるいは核酸合成装置を用いて合成することもできる。全長ポリヌクレオチドを作製する別法は、Glick & Pasternak, Molecular Biotechnology, Principles & Applications of Recombinant DNA, (1994)に記載されているように、重複するオリゴヌクレオチド(例えば、40〜100ヌクレオチド)の特定のセットを合成することである。転写および翻訳の適切な開始および終結のためのシグナルを含む他の配列を付加してもよい。
【0228】
遺伝コードの縮重のために、本発明のポリヌクレオチドにはかなりの配列バリエーションが存在し得る。あるアミノ酸に対して総ての可能性のあるコドンを包含する縮重コドンを以下に示す。
【0229】
【表2】

【0230】
当業者ならば、各アミノ酸をコードする総ての可能性のあるコドンに代表的な縮重コドンを決定する際には一定のあいまいさが介入することが分かるであろう。例えば、縮重配列により包含されるポリヌクレオチドには変異型アミノ酸配列をコードするものがあるが、当業者ならば、本発明のアミノ酸配列を参照して、このような変異型配列を容易に特定することができる。
【0231】
「変異型」核酸配列は、参照核酸配列(またはそのフラグメント)と実質的な相同性または実質的な類似性を有する。核酸配列またはそのフラグメントは、他の核酸(またはその相補鎖)と(適当なヌクレオチド挿入または欠失を伴って)最適にアラインした際に、そのヌクレオチド塩基の少なくとも約70%、75%、80%、82、84、86、88、90、92、94、96、98または99%にヌクレオチド配列同一性があれば、参照配列と「実質的に相同」(または「実質的に同一」)である。相同性の決定は、ポリペプチドに関して前記したように行う。
【0232】
あるいは、「変異型」核酸配列は、その「変異型」と参照配列がストリンジェント(例えば、高ストリンジェント)ハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズ可能であれば、参照配列(またはそのフラグメント)と実質的に相同(または実質的に同一)である。当業者には容易に分かるように、核酸配列のハイブリダイゼーションは、相補鎖の塩基組成、長さ、およびハイブリダイズする核酸間のヌクレオチド塩基のミスマッチの数の他、塩濃度(例えば、NaCl)、温度、または有機溶媒などの条件によって影響を受ける。ストリンジェントな温度条件を用いるのが好ましく、一般に、30℃を超える、典型的には37℃を超える、好ましくは45℃を超える温度を含む。ストリンジェントな塩条件は、通常、1000mM未満、典型的には500mM未満、好ましくは200mM未満である。pHは典型的には7.0〜8.3の間である。パラメーターの組合せは、どの単一のパラメーターよりも重要である。
【0233】
当業者ならば、種々の種が「優先的コドン使用」を示すことが分かるであろう。本明細書において「優先的コドン使用」とは、ある特定の種の細胞に最も頻繁に用いられるコドンを意味し、従って、各アミノ酸をコードする可能性のあるコドンに代表的な1つまたは数個を好む。例えば、アミノ酸トレオニン(Thr)は、ACA、ACC、ACGまたはACTによりコードされ得るが、哺乳類宿主細胞では、ACCが最も慣用されるコドンであり、他の種では、違うThrコドンが優先的であり得る。特定の宿主細胞種に優先的なコドンを、当技術分野で公知の様々な方法により、本発明のポリヌクレオチドに導入することができる。コドン至適化のための常法は当技術分野で周知であり、当業者の通常水準の範囲内にある慣例技術である。例として、特定の宿主で発現させるために対象配列をコドン至適化するためのフリーソフトウエアツールが多数ある。OPTIMIZERは、まさにこのようなツールであり、http://genomes.urv.es/OPTIMIZER (Puigbo et al. Nucl. Acids Res. (2007) 35 (suppl 2): W126-W131)にて、利用可能である。優先的コドン配列の組換えDNAへの導入は、例えば、特定の細胞タイプまたは種内でタンパク質翻訳をより効率的にすることにより、タンパク質の生産を高める。
【0234】
よって、本発明の一実施形態では、宿主細胞での発現のために核酸配列のコドンが至適化される。
【0235】
対象ポリヌクレオチドの「フラグメント」は、該全長ポリヌクレオチドの配列に由来する一連の連続するアミノ酸残基を含んでなる。例として、対象ポリヌクレオチドの「フラグメント」は、前記ポリペプチドの配列に由来する少なくとも30個の連続する核酸残基(例えば、前記ポリヌクレオチドの少なくとも35、50、75、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1050、1100、1150または1200個の連続する核酸残基)を含み得る(またはからなり得る)。フラグメントは少なくとも1つの抗原決定基を含んでもよく、かつ/または対応する対象ポリペプチドの少なくとも1つの抗原性エピトープをコードし得る。
【0236】
対象ポリヌクレオチド、またはその変異体もしくはフラグメントは、参照ペプチドと、共通の抗原交差反応性および/または実質的に同じin vivo生物活性を有するポリペプチドをコードし得る。
【0237】
例えば、ポリペプチド(またはフラグメントもしくは変異体)および参照ポリペプチドによりコードされるポリヌクレオチドは、過去にマイコバクテリア感染の抗原性成分に曝されたTリンパ球(例えば、CD4+、CD8+、エフェクターT細胞またはメモリーT細胞、例えばTEMまたはTCM)の「想起応答」を誘発する共通の能力を持ち得る。
【0238】
T細胞応答を評価および定量するための新しい免疫学的アッセイがここ10年にわたって開発されてきた。例えば、インターフェロン−γ(IFN−γ)ELISPOTアッセイが免疫の読み取りとして有用であるが、これは抗原特異的T細胞からのIFN−γの分泌が結核菌に対する保護と良好な相関を示すためである。さらに、ELISPOTアッセイは、抗原特異的T細胞を分泌するIFN−γの数を定量する極めて再現性の高い、高感度の方法である。
【0239】
その代わりに、またはそれに加えて、対象ポリヌクレオチド、またはフラグメントもしくは変異体によりコードされるポリペプチドに結合可能である抗体は、参照ポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドとも結合可能である。
【0240】
配列番号の凡例
配列番号1 ハイブリッドC4bpオリゴマー化ドメインアミノ酸配列(IMX313)
配列番号2 ペプチドIMX313をコードするハイブリッドC4bpオリゴマー化ドメインポリヌクレオチド配列
配列番号3 マイコバクテリアペプチド85A/Rv3804c
配列番号4 マイコバクテリアペプチド85B/Rv1886c
配列番号5 マイコバクテリアペプチド85C/Rv0129c
配列番号6 マイコバクテリアペプチドESAT6/Rv3875
配列番号7 マイコバクテリアペプチドTB10.4/Rv0288
配列番号8 マイコバクテリアペプチドRv0125
配列番号9 マイコバクテリアペプチドPPE18/Rv1196
配列番号10 マイコバクテリアペプチドP27/Rv1411c
配列番号11 マイコバクテリアペプチドHSP65/Rv0440
配列番号12 マイコバクテリアペプチドHBHA/Rv0475
配列番号13 マイコバクテリアペプチドRv2659c
配列番号14 マイコバクテリアペプチドRv2660c
配列番号15 マイコバクテリアペプチドHspX/Rv2031c
配列番号16 マイコバクテリアペプチドRPFA/Rv0867c
配列番号17 マイコバクテリアペプチドRPFB/Rv1009
配列番号18 マイコバクテリアペプチドRPFC/Rv1884c
配列番号19 マイコバクテリアペプチドRPFD/Rv2389c
配列番号20 マイコバクテリアペプチドRPFE/Rv2450c
配列番号21 マイコバクテリアペプチドRv1733c
配列番号22 マイコバクテリアペプチドRv2029c
配列番号23 マイコバクテリアペプチドRv2032
配列番号24 マイコバクテリアペプチドRv2626c
配列番号25 マイコバクテリアペプチドRv2627c
配列番号26 マイコバクテリアペプチドRv2628
配列番号27 ペプチド85Aをコードするマイコバクテリアポリヌクレオチド
配列番号28 ペプチド85Bをコードするマイコバクテリアポリヌクレオチド
配列番号29 ペプチド85Cをコードするマイコバクテリアポリヌクレオチド
配列番号30 ESAT6をコードするペプチドマイコバクテリアポリヌクレオチド
配列番号31 TB10.4をコードするペプチドマイコバクテリアポリヌクレオチド
配列番号32 Rv0125をコードするペプチドマイコバクテリアポリヌクレオチド
配列番号33 ペプチドRv1196をコードするマイコバクテリアポリヌクレオチド
配列番号34 ペプチドRv1411をコードするマイコバクテリアポリヌクレオチド
配列番号35 ペプチドHSP65をコードするマイコバクテリアポリヌクレオチド
配列番号36 ペプチドHBHAをコードするマイコバクテリアポリヌクレオチド
配列番号37 ペプチドRv2659cをコードするマイコバクテリアポリヌクレオチド
配列番号38 ペプチドRv2660cをコードするマイコバクテリアポリヌクレオチド
配列番号39 ペプチドHspX/Rv2031cをコードするマイコバクテリアポリヌクレオチド
配列番号40 ペプチドRPFA/Rv0867cをコードするマイコバクテリアポリヌクレオチド
配列番号41 ペプチドRPFB/Rv1009をコードするマイコバクテリアポリヌクレオチド
配列番号42 ペプチドRPFC/Rv1884cをコードするマイコバクテリアポリヌクレオチド
配列番号43 ペプチドRPFD/Rv2389cをコードするマイコバクテリアポリヌクレオチド
配列番号44 ペプチドRPFE/Rv2450cをコードするマイコバクテリアポリヌクレオチド
配列番号45 ペプチドRv1733cをコードするマイコバクテリアポリヌクレオチド
配列番号46 ペプチドRv2029cをコードするマイコバクテリアポリヌクレオチド
配列番号47 ペプチドRv2032をコードするマイコバクテリアポリヌクレオチド
配列番号48 ペプチドRv2626cをコードするマイコバクテリアポリヌクレオチド
配列番号49 ペプチドRv2627cをコードするマイコバクテリアポリヌクレオチド
配列番号50 ペプチドRv2628をコードするマイコバクテリアポリヌクレオチド
配列番号51 ペプチド85Aをコードするコドン至適化マイコバクテリアポリヌクレオチド
配列番号52 配列番号51によりコードされるマイコバクテリアペプチド85A
配列番号53 ペプチドIMX313をコードするコドン至適化ハイブリッドC4bpオリゴマー化ドメインポリヌクレオチド配列
配列番号54 マイコバクテリアペプチド85AとIMX313ペプチドとのgly−serリンカーによる融合タンパク質をコードするコドン至適化ヌクレオチド配列
配列番号55 マイコバクテリアペプチド85AとIMX313ペプチドとの、配列番号55によりコードされるgly−serリンカーによる融合タンパク質
配列番号56 配列番号27のコドン至適化ヌクレオチド配列
【0241】
【表3】




















【図面の簡単な説明】
【0242】
【図1】Balb/cマウスにおけるDNAスクリーニング 0週目および2週目に、Balb/cマウスの筋肉内(im)にDNA−85AまたはDNA−85AIMX313のいずれかを50μg接種して免疫誘導を行った。個々のペプチドの各ワクチン接種後12日(パネルa.)の血液中、最終接種後14日の脾臓中の、p15およびp11に対する応答を共に測定するためにIFN−γ ELISpotを使用した。
【図2】Balb/cマウスにおけるMVAのスクリーニング 0日目に、Balb/cマウスに筋肉内(パネルa.)または皮内(id)(パネルb.)経路を介して10PFUのMVA−85AまたはMVA−85AIMX313を接種して免疫誘導を行い、1週間後に総ての動物の脾臓中のp15およびp11に対する応答を測定した。 0週目および2週目に、Balb/cマウスの筋肉内に10PFUのMVA−85AまたはMVA−85AIMX313を接種して免疫誘導を行った。プライムまたはブースト接種後の1週間に採取した血液サンプルの細胞内サイトカイン染色を行った。グラフは、IFN−γ産生CD4+(パネルc.)またはCD8+(パネルd.)細胞の頻度を表す。 総てのグラフにおいて、バーは、個々の動物がある一点で示した平均/群を表す。
【図3】抗原85Aに対するIFN−γのELISpot応答 0週目および6週目に、オスのアカゲザルに10PFUのMVA−85AまたはMVA−85AIMX313のいずれかを接種して免疫誘導を行い、接種前(プレ)および1週目以降2週間ごとの血液中における抗原85Aに対する応答をIFN−γ ELISpotにより測定した。グラフは全85Aペプチドを含む単一プールに対する個々の動物の応答(パネルa.およびb.)、またはMVA−85A(パネルa.およびd.)もしくはMVA−85AIMX313(パネルb.およびe.)を接種された動物に対する7つの個別のペプチドプールの総和(パネルd.およびe.)を表す。 パネルc.およびf:接種後1週目または7週目の85A(パネルc.)または全プールの総和(パネルf.)に対する群の応答を表すグラフ。棒グラフは群の応答の中央値であり、各動物は単一の点として示されている。 パネルg.およびh.:1週目(パネルg.)または7週目(パネルh.)において、各ペプチドプールに対する応答を、総和プールの応答に対するパーセンテージで示したグラフ。棒グラフは群の応答の中央値であり、各動物は単一の点として示されている。
【図4】ブーストワクチン接種後1週間のサイトカイン分泌 7週目に、凍結PBMCサンプルを解凍し、一晩静置した後に、抗−CD28、抗−CD49dおよび2μg/mlの抗原85Aペプチドの存在下で6時間の再刺激を行い、刺激の最後の4時間には、golgi−plugおよびgolgi−stopを加えた。サンプルをCD4、CD8、CD3、CD45RA、CD95、CD14およびCD20に対して表面染色した後、固定し、IFN−γ、TNF−αおよびIL−2に対して染色した。サンプルは、大きさによってCD14−とCD20−、そしてCD3+にゲートを設けた後、CD4+およびCD8+細胞に分離し、各種サイトカインの頻度および平均蛍光強度の分析を行った。抗原特異的サイトカイン産生の頻度は、非刺激対照のサイトカイン陽性細胞を差し引いて求めた。積分平均蛍光強度は、頻度とMFIを乗じ、相当する非刺激対照のiMFIを差し引くことにより計算した。
【図5】ブースト接種後1週間におけるサイトカイン応答の多機能性 図4に記載したものと同じサンプルにおいて、1つのみのサイトカイン、2つのサイトカインの組合せまたは全3つのサイトカインのいずれかを産生する細胞の頻度および割合を求めるために、3つのサイトカインそれぞれに対する応答を同時に分析した。 パネルa.およびc.:円グラフは、全3つサイトカイン(黒)、2つのサイトカインの組合せ(濃灰色)または1つのサイトカインのみ(淡灰色)を産生するCD4+(パネルa.)またはCD8+(パネルc.)サイトカイン産生細胞の割合を表す。 パネルb.およびd.:CD4+(パネルb.)またはCD8+(パネルd.)細胞の全体集団に対する、サイトカイン産生細胞の各集団の頻度を表すグラフ。棒グラフは群の中央値であり、各動物は単一の点として示されている。
【図6】エフェクターおよびメモリーサブセットへのサイトカイン産生細胞の分布 図4に記載したものと同じサンプルにおいて、サイトカイン産生細胞(IFN−γ+またはTNF−α+またはIL−2+細胞)をさらにCD45RA+、CD95−Tエフェクター細胞(Teff)、CD45RA+CD95+Tエフェクターメモリー細胞(Tem)またはCD45RA−、CD95+Tセントラルメモリー細胞に細分化した。グラフはCD4+(パネルa.)またはCD8+(パネルc.)、Teff、Tem、Tcmの絶対頻度、または各集団内のサイトカイン産生CD4+(パネルb.)またはCD8+(パネルd.)細胞の割合を表す。ラインは群の中央値であり、各動物は単一の点として示されている。
【図7】2つのマラリア抗原とIMX313 パネルa.:0週目および2週目に、Balb/cマウスに50μgのDNA−meTRAPまたはDNA−meTRAPIMX313を筋肉内接種し、2週間後に脾臓を摘出して抗原特異的(Pb9)細胞の頻度をIFN−γ ELISpotにより測定した。 パネルb.:Balb/cマウスにAdCh63−meTRAPまたはAdCh63−meTRAPIMX313のいずれかを2分割用量で(5×10または5×10ihu)皮内に接種した。免疫付与の2週間後に脾臓のELISpotを行い、抗原特異的IFN−γ産生細胞の頻度を測定した。 パネルc.:0週目および2週目に、Balb/cマウスに50μgのDNA−CSNまたはDNA−CSNIMX313を筋肉内接種し、2週間後に脾臓を摘出して抗原特異的(Pb9)細胞の頻度をIFN−γ ELISpotにより測定した。 パネルd.:Balb/cマウスにAdCh63−CSNまたはAdCh63−CSNIMX313のいずれかを2分割用量で(10または5×10ihu)筋肉内に接種した。免疫付与の2週間後に脾臓のELISpotを行い、抗原特異的IFN−γ産生細胞の頻度を測定した。
【0243】
以下、本発明は実施例により、さらに詳しく述べるが、これらの実施例は本発明の単なる例示であって、限定を意図するものではない。
【実施例】
【0244】
実施例1 85AIMX313融合タンパク質発現のためのプラスミドの誘導
C4bpオリゴマー化ドメインは当技術分野で十分公知である。ネズミ、ニワトリ、およびヒトC4bpオリゴマー化ドメインなどの様々なC4bpオリゴマー化ドメインのクローニング、発現および精製は、当技術分野では常法である(例えば、WO08/122817、EP1795540およびWO91/11461)。
【0245】
pSG2−85A313の構築
IMX313ドメインをコードするDNAをプラスミドpIMX313からPCRおよび以下に示すオリゴヌクレオチドを用いて増幅した。
oIMX1027
5’ gaagcccgacctgcaacgt ggatcc aagaagcaaggtgatgctgatg 3’
oIMX1028
5’ agggccctctagatgcatgctcgagcggccgcttattactccttgctcagtccttgc 3’
【0246】
次に、229塩基対のPCR産物を、DNA接種ベクターpSG2−85A(Taracha et al. Infect Immun 71, 6904; 2003に記載)に、Geiser et al.(Biotechniques 31, 88; 2001)により記載された部位特異的突然変異誘発法を用いて挿入した。これにより、85AリーディングフレームC末端(およびTGA停止コドン)の9つのアミノ酸エピトープを、IMX313ドメイン(および2つのTAA停止コドン)をコードするDNAにより置換した。85AIMX313融合タンパク質をコードする全配列は、DNA塩基配列決定法により確認した。
【0247】
pMVA−GFP−TD−85A313の構築
プラスミドpSG2−85A313をAgeIで部分的に消化し、次いでNotIで完全に消化した。85AIMX313リーディングフレームをコードするDNAをゲル精製により得、次いで、AgeIおよびNotIで(完全に)消化し、脱リン酸化した後にゲル精製したワクシニア導入ベクターpMVA−GFP−TDに連結した。この結果、標準的な方法を用いてMVA中のTK遺伝子座へプラスミド挿入物を導入した後に、ワクシニアP7.5プロモーターから85AIMX313融合タンパク質が発現される。挿入配列とベクター骨格との接合部および85AIMX313オープンリーディングフレーム全体を、DNAシーケンシングにより確認した。
【0248】
実施例2 マイコバクテリア抗原85Aに融合されたIMX313ドメインのクローニングおよび発現
IMX313オリゴマー化ドメインをコードするDNAフラグメントを、上記実施例1と同様に増幅し、PCR産物を制限酵素BamHIおよびNotIで消化し、同じ制限酵素で消化したInvitrogenのpRsetAベクターにクローニングし、プラスミドpRsetA313を作製する。第二のPCRにおいて、以下に示すオリゴヌクレオチド:
85AN: 5’ GGGGCATATGTTTTCCCGGCCGGGCTTGCCGGTGG 3’、および
85AC: 5’ GGGGGGATCCGGCGCCCTGGGGCGCGGGCCCGGTGTT 3’
を用いてプラスミドpSG2−85A(上記実施例1を参照)から85A抗原を増幅し、PCR産物を制限酵素NdeIおよびBamHIで消化し、プラスミドpRsetA313にクローニングし、pRset85A313を作製する。
【0249】
発現
プラスミドpRsetA85A313を大腸菌株C41(DE3)に形質転換した。形質転換細胞をOD600がおよそ0.6になるまでLB培地にて37℃で増殖させ、次いで終濃度0.5mMのIPTGを用いて発現を誘導し、培養物を37℃でさらに4時間増殖させ、その時点で遠心分離により細胞を回収した。
【0250】
85AIMX313タンパク質の精製
タンパク質85AIMX313は、1リットルのC41(DE3)細胞から精製した。20mMのMES(pH6.5)、5mMのEDTAおよびプロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche)を含むバッファー中で音波処理により細胞を溶解させた後、総てのタンパク質が可溶性画分に見られる。遠心分離後の上清をHitrapSカラムにロードする。
【0251】
陽イオンカラム(HiTrap S)
カラムを20mM MES(pH6.5)、5mM EDTAバッファー(バッファーA)中で平衡化した。タンパク質は、バッファーAからバッファーB(バッファーA+1M NaCl)の10カラム容量の勾配で溶出させる。85AIMX313を含有するHiTrapS画分を、Millipore濃縮器(カットオフ30K)を用いて濃縮し、次いで50mM Tris(pH8)および8M尿素を含有するバッファー中、最終容量10mlで一晩変性させた後、ゲル濾過カラムにロードする。
【0252】
尿素存在下での第一のゲル濾過カラム(Superdex200 26/60 prep grade)
Superdex 200 26/60カラムを20mM Trisバッファー(pH8)、150mM NaClおよび8M尿素を用いて平衡化し、HiTrapS画分由来の濃縮85AIMX313タンパク質をロードする。85AIMX313を含有する画分をプールし、Millipore濃縮器(カットオフ30K)を用いて濃縮し、PBS中で平衡化した第二のSuperdex200 26/60カラムにロードする。
【0253】
第二のゲル濾過カラム(Superdex200 26/60 prep grade) 第一のSuperdex200 26/60カラム由来の濃縮85AIMX313タンパク質をロードする。変性していないタンパク質は7量体として溶出し、それを含有する画分をプールする。
【0254】
生物物理学的特性評価
85AIMX313タンパク質のオリゴマー状態を、還元剤β−メルカプトエタノール(BME)の存在下および非存在下でSDS−PAGEゲル上でのその挙動を比較することにより確認する。85AIMX313タンパク質は、BME不在下での見かけのサイズはおよそ150kDaであり(サブユニット内のジスルフィド結合は空気曝露の後に形成される)、一方、BMEの存在下では、見かけのサイズは減少し22kDaを少し上回る(ジスルフィド結合は細菌サイトゾルが減少している環境では形成できないため)。
【0255】
85AIMX313タンパク質の使用目的によって、タンパク質はさらなる精製ステップ、例えば透析、または濃縮ステップ、例えば凍結乾燥を行ってもよく、PBS中で投与してもよく、またはアジュバントと処方してもよい。好ましくは、100μgまでのタンパク質を含有する少なくとも2回の注射を、皮下に少なくとも2週間あけて投与する。
【0256】
実施例3 マウスおよび霊長類における抗原−IMX313ワクチンの結果
動物および免疫付与
6週齢以上のメスBalb/cマウス(Harlan、UK)を、Home Office Animals Act Project Licenseに従って使用した。マウス脛骨筋の筋肉内(im)または耳の皮内(id)に、PBS中で希釈したDNAまたはMVA全容量50μlを接種した。DNA免疫付与のために、マウスに免疫あたり50μgのDNA、およびMVA接種のために、マウスに免疫あたり10プラーク形成単位(PFU)を投与した。
【0257】
2才半〜6才の間のオスアカゲザルに、0週目および6週目に10PFUのMVAを三角筋内(接種する腕は変えた)に2回接種した。PBMC単離用に血液15mlおよび血清用に血液5mlを、1週目以降2週間ごとに採取した。血液サンプルは、それに続く処理およびアッセイのために室温で保存した。
【0258】
マウスにおける85AとIMX313ドメインとの融合物のCD4およびCD8応答の促進
抗原85Aに対する免疫応答を増強する、IMX313ドメインの能力を評価するために、DNAおよびMVAベクターを用いる最初のスクリーニング実験をマウスにおいて行った。単回免疫付与後の血液においてドミナントCD4(p15)およびCD8(p11)エピトープに対する応答の増大が認められ(図1a)、これは第二の免疫付与後さらに増強された(図1a)。脾臓において、CD4(p15)応答のわずかな増大が認められ(図1b)、この増強は、p11特異的応答(CD8)においてより顕著であり、統計学的に有意な増大(p=0.0082)が認められた(図1b)。
【0259】
MVAベクターを用いる免疫付与は、IMX313との融合物により85Aに対する類似の応答の増強を示した。MVA−85AIMX313の筋肉内接種1週間後、脾臓においてp15およびp11両方の特異的応答の統計学的に有意な増大が認められ(図2a)、皮内投与によりマウスに接種した場合も類似の増強が認められた(図2b)。DNAワクチンに関するプライム・ブーストデータと一致して、単回免疫付与後に認められた85Aに対する応答の増強は、第二の相同な免疫付与後にさらに増強された(図2c、d)。
【0260】
MVA−85AIMX313はアカゲザルにおける免疫応答を増強する
マウスにおいて観察されたIMX313融合物の有意なアジュバント能力に続いて、MVA−85AおよびMVA−85AIMX313ワクチンに対する免疫応答をアカゲザルにおいて比較した。0週目および6週目に動物の筋肉内に接種し、抗原85Aに対する応答をIFN−γ ELISpotにより測定した。全85Aプールまたはペプチドプールの総和に対する応答のピークは、各接種後1週目に認められた(図3)。各接種後のピーク応答を比較した場合、両方の接種後、MVA−85A単独と比較してMVA−85AIMX313融合物を接種された動物の方が、全85Aプール応答の中央値がより高く(図3c)、最も大きな増加は第二の免疫付与の後に認められた(プライム1.86倍に対し、ブースト4.40倍)。85Aペプチドプールの総和に対して類似の応答中央値が1週目に認められたが、MVA−85AIMX313を接種された動物群において、第二の接種後1週間に、応答中央値の6.9倍の増加が認められた(図3f)。抗原85Aペプチドプールに対する応答の幅を比較した場合、85Aまたは85AIMX313を接種された動物間に1週目または7週目において差異はみられなかった(図3)。
【0261】
これらの動物のそれぞれにおける抗原特異的応答をさらに研究するために、フローサイトメトリー分析を用いた。これらの動物のブースト後1週間に、MVA−85AIMX313を接種されたアカゲザル群において、IFN−γ、TNF−αおよびIL−2がより高頻度である傾向が認められた(図4)。各細胞ベースでは、この同じ群の動物は、平均蛍光強度により測定される各サイトカイン産生量が多かった(図4)。
【0262】
MVA−85AIMX313を接種された動物においてサイトカイン分泌細胞の頻度がより高い傾向もまた認められ、1、2または3つのサイトカインを同時に産生する細胞の多機能集団のそれぞれに関して(図5)2群間で各サブタイプへのサイトカイン産生細胞の等しい分布が認められた(図5)。エフェクターおよびメモリー表現型サイトカイン産生細胞の分析において、MVA−85AIMX313を接種された動物は、CD4またはCD8細胞の全体集団に対して(図5)T細胞サブタイプのそれぞれの比率を変化させることなく、T細胞サブタイプそれぞれの頻度が全体的に増加していた(図5)。要約すれば、MVA−85AIMX313による免疫付与は、特定のサイトカイン産生集団またはエフェクター/メモリーサブセットいずれかに対する応答の質を変化させることなく、抗原特異的細胞の全体的な頻度を増加させた。加えて、アカゲザルで観察された応答の幅および多機能性は、MVA−85Aを接種されたヒトボランティアでみられた応答に対し著しい類似性を示す。このエビデンスに基づき、本発明者らはMVA−85AIMX313はヒトにおいて類似のアジュバント能力を有し、質的に変化させることなく応答のレベルを増強するものと予測する。
【0263】
IMX313はマラリア抗原CSおよび熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)由来のmeTRAPに対する免疫応答を増強しない
IMX313を、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)、スポロゾイト周囲タンパク質(CS)と、トロンボスポジン(Thrombospodin)関連接着タンパク質(TRAP)に融合させたマルチエピトープストリングであるmeTRAP由来の2つの異なる抗原に融合させ、IMX313ドメインが様々な抗原に対する免疫応答を増強する能力を評価した。Balb/cマウスの筋肉内に接種し、サンプルを2週間後に分析した。DNAワクチン中のIMX313融合物は、meTRAP(図7a)に対する応答またはCS(図7c)に対する応答いずれにおいても増強を示さなかった。アデノウイルスワクチンにおけるスクリーニングはIMX313にアジュバント効果が無いことを示す類似の結果を示し、試験された総てのワクチン用量において、いずれの抗原とIMX313の融合によっても、meTRAP(図7b)またはCS(図7d)に対する応答の増加は認められなかった。IMX313との融合物により、抗原85Aに対する応答の一貫した増強が認められた一方で(図1〜6)、試験された2つのマラリア抗原に関しては現在まで、DNAまたはアデノウイルスワクチンプラットフォームいずれにおいてもIMX313のアジュバント効果は見られなかった。
【0264】
実施例4
85AIMX313融合タンパク質を発現するヒト、サルおよびチンパンジーアデノウイルスベクターの構築
アデノウイルス移入ベクターpENTR4−LPは、Sridhar et al. 2008に記載されており、引用することにより本明細書の一部とされる(J Virol. 2008, volume 82, pages 3822-3833)。実施例1に記載の(上記)85AIMX313融合タンパク質をコードするAgeI(部分)−NotIフラグメントを、pENTR4−LPのAgeIおよびNotI部位にクローニングした。pIMX462と称される、この新規に得られた導入ベクターを用いて、発現構築物をpAd/PL−DESTと再組換えし、85AIMX313融合タンパク質を発現する組換えAdH5アデノウイルスを作製した。
【0265】
引用されている文献に記載の通り、マウスに免疫付与し、上記実施例3に記載の通り、これらのマウスにおけるCD4およびCD8免疫応答を測定する。ヒトアデノウイルス11、26、35、48および50由来の類似のアデノウイルスベクターを、両方とも引用することにより本明細書の一部とされる、Lemckert et al. 2005 (J Virol. 2005, volume 79, pages 9694-9701)およびAbbink et al. 2007 (J Virol. 2007, volume 81, pages 4654-4663)の文献に引用されている方法を用いて構築し、アデノウイルス5ベクターと同様に試験する。サルまたはチンパンジーアデノウイルスベクターを構築するために、例えばFarina et al. (J Virol. 2001, volume 75, pages 11603-11613)、およびRoy et al. (Hum Gene Ther. 2004, volume 15, pages 519-530)に公表されているものと類似または同じ方法を使用する。Farina et al. 2001は、引用することにより本明細書の一部とされる。
【0266】
上記のヒト、サルおよびチンパンジーベクターにおける85AIMX313融合タンパク質の発現は、マウスおよび霊長類両方において85Aペプチド単独の発現と比較して、免疫応答の増強/明確な免疫原性をもたらす。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一のドメインと第二のドメインを含んでなる融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列であって、
該融合タンパク質の第一のドメインが、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列、またはその少なくとも20個の連続するアミノ酸を含んでなるそのフラグメントを含んでなり、かつ、
該融合タンパク質の第二のドメインがマイコバクテリア抗原またはその抗原性フラグメントを含んでなる、ポリヌクレオチド配列。
【請求項2】
前記融合タンパク質の第一のドメインがC4bpタンパク質の非補体調節タンパク質(CCP)/オリゴマー化ドメインを含んでなる、請求項1に記載のポリペプチド配列。
【請求項3】
前記融合タンパク質の第二のドメインが85A/Rv3804c、85B/Rv1886c、85C/Rv0129c、ESAT6/Rv3875、TB10.4/Rv0288、Rv0125、PPE18/Rv1196、P27/Rv1411c、HSP65/Rv0440、HBHA/Rv0475、Rv2659c、Rv2660c、HspX/Rv2031c、RPFA/Rv0867c、RPFB/Rv1009、RPFC/Rv1884c、RPFD/Rv2389c、RPFE/Rv2450c、Rv1733c、Rv2029c、Rv2032、Rv2626c、Rv2627c、Rv2628、Rv0111、Rv1806/1807、Rv0198もしくはRv3812から選択されるマイコバクテリア抗原、またはその抗原性フラグメントを含んでなる、請求項1または2に記載のポリヌクレオチド配列。
【請求項4】
前記融合タンパク質の第二のドメインが、配列番号3〜26もしくは52から選択されるアミノ酸配列と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列、またはその少なくとも10個の連続するアミノ酸を含んでなるそのフラグメントを含んでなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド配列。
【請求項5】
前記第二のドメインが、配列番号3〜5または52から選択されるアミノ酸配列と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなる、請求項4に記載のポリヌクレオチド配列。
【請求項6】
前記融合タンパク質の第一のドメインが、配列番号1と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列、またはその少なくとも20個の連続するアミノ酸を含んでなるそのフラグメントを含んでなり、かつ、
前記融合タンパク質の第二のドメインが、配列番号3〜5もしくは52から選択されるアミノ酸配列と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列、またはその少なくとも10個の連続するアミノ酸を含んでなるそのフラグメントを含んでなる、
請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド配列。
【請求項7】
前記融合タンパク質の第一のドメインが、配列番号2もしくは配列番号53から選択される核酸配列と少なくとも70%の同一性を有する核酸配列、またはその少なくとも60個の連続するヌクレオチドを含んでなるそのフラグメントによりコードされる、請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド配列。
【請求項8】
配列番号27〜29、51もしくは56から選択される核酸配列と少なくとも70%の同一性を有する核酸配列、またはその少なくとも30個の連続するヌクレオチドを含んでなるそのフラグメントによりコードされる、請求項1〜7のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド配列。
【請求項9】
前記融合タンパク質の第一のドメインが前記融合タンパク質の第二のドメインのC末端に配置される、請求項1〜8のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド配列。
【請求項10】
配列番号54と少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列、またはそのフラグメントを含んでなる、請求項1〜9のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド配列。
【請求項11】
コードされる融合タンパク質が少なくとも1つの付加的抗原を含んでなる、請求項1〜10のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド配列。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド配列を含んでなるベクター。
【請求項13】
プラスミドDNAベクターなどのDNAベクター、またはアデノウイルスベクターもしくはMVAウイルスベクターなどのウイルスベクターである、請求項12に記載のベクター。
【請求項14】
ヒトアデノウイルスである、請求項12〜13のいずれか一項に記載のベクター。
【請求項15】
サルアデノウイルスである、請求項12〜13のいずれか一項に記載のベクター。
【請求項16】
チンパンジーアデノウイルスである、請求項12〜13のいずれか一項に記載のベクター。
【請求項17】
第一のドメインと第二のドメインを含んでなる融合タンパク質であって、
該第一のドメインが、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列、またはその少なくとも20個の連続するアミノ酸を含んでなるそのフラグメントを含んでなり、かつ、
該融合タンパク質の第二のドメインが、マイコバクテリア抗原またはその抗原性フラグメントを含んでなる、融合タンパク質。
【請求項18】
前記第一のドメインがC4bpタンパク質の非補体調節タンパク質(CCP)/オリゴマー化ドメインを含んでなる、請求項17に記載の融合タンパク質。
【請求項19】
前記第二のドメインが85A/Rv3804c、85B/Rv1886c、85C/Rv0129c、ESAT6/Rv3875、TB10.4/Rv0288、Rv0125、PPE18/Rv1196、P27/Rv1411c、HSP65/Rv0440、HBHA/Rv0475、Rv2659c、Rv2660c、HspX/Rv2031c、RPFA/Rv0867c、RPFB/Rv1009、RPFC/Rv1884c、RPFD/Rv2389c、RPFE/Rv2450c、Rv1733c、Rv2029c、Rv2032、Rv2626c、Rv2627c、Rv2628、Rv0111、Rv1806/1807、Rv0198もしくはRv3812から選択されるマイコバクテリア抗原、またはその抗原性フラグメントを含んでなる、請求項17または18に記載の融合タンパク質。
【請求項20】
前記第二のドメインが、配列番号3〜26もしくは52から選択されるアミノ酸配列と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列、またはその少なくとも10個の連続するアミノ酸を含んでなるそのフラグメントを含んでなる、請求項19に記載の融合タンパク質。
【請求項21】
前記融合タンパク質の第一のドメインが、配列番号1と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなり、かつ、
前記融合タンパク質の第二のドメインが、配列番号3〜5または52から選択されるアミノ酸配列と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなる、請求項17〜20のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項22】
前記第一のドメインが前記第二のドメインのC末端に配置される、請求項17〜21のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項23】
配列番号55と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列、またはそのフラグメントを含んでなる、請求項17〜22のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項24】
少なくとも1つの付加的抗原を含んでなる、請求項17〜23のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項25】
前記融合タンパク質が請求項1〜11のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド配列によってコードされる、請求項17〜24のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項26】
宿主細胞において請求項1〜11のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド配列または請求項12〜16のいずれか一項に記載のベクターを発現させることを含んでなる、融合タンパク質の生産方法。
【請求項27】
請求項1〜11のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド配列、請求項12〜16のいずれか一項に記載のベクター、または請求項17〜25のいずれか一項に記載の融合タンパク質を含んでなる、宿主細胞。
【請求項28】
請求項1〜11のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド配列、請求項12〜16のいずれか一項に記載のベクター、または請求項17〜25のいずれか一項に記載の融合タンパク質と、薬学上許容される担体とを含んでなる、免疫原性組成物。
【請求項29】
被験体において免疫応答を刺激または誘導するための、請求項1〜11のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド配列、請求項12〜16のいずれか一項に記載のベクター、請求項17〜25のいずれか一項に記載の融合タンパク質、または請求項28に記載の免疫原性組成物。
【請求項30】
結核菌(M. tuberculosis)感染などのマイコバクテリア感染の治療または予防に用いるための、請求項1〜11のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド配列、請求項12〜16のいずれか一項に記載のベクター、請求項17〜25のいずれか一項に記載の融合タンパク質、または請求項28に記載の免疫原性組成物。
【請求項31】
被験体において免疫応答を刺激または誘導する方法であって、該被験体に請求項1〜11のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド配列、請求項12〜16のいずれか一項に記載のベクター、請求項17〜25のいずれか一項に記載の融合タンパク質、または請求項28に記載の免疫原性組成物を投与することを含んでなる、方法。
【請求項32】
結核菌感染などのマイコバクテリア感染を治療または予防するための請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記ポリヌクレオチド配列、ベクター、融合タンパク質または免疫原性組成物が別の免疫原性組成物の実質的に投与前、投与と同時または投与後に投与される、請求項31または32に記載の方法。
【請求項34】
前記ポリヌクレオチド配列、ベクター、融合タンパク質または免疫原性組成物が、プライミングワクチン組成物(好ましくは、このプライミング組成物は第二のマイコバクテリア抗原(例えば、BCG)を含んでなる、またはコードする)の投与後、1年、2年、3年、4年または5年までにブースターワクチン組成物として投与される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
実施例に関して実質的に前記されているようなポリヌクレオチド配列、ベクター、融合タンパク質、免疫原性組成物または方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−507907(P2013−507907A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−533696(P2012−533696)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【国際出願番号】PCT/GB2010/051741
【国際公開番号】WO2011/045612
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(503342649)アイシス イノヴェイション リミテッド (13)
【出願人】(509278726)
【Fターム(参考)】