説明

マイコプラズマのためのプライマーセット、アッセイキットおよびそれを用いる方法

【課題】 マイコプラズマを特異的に増幅または検出するための手段を提供する。
【解決手段】 本実施の形態によれば、マイコプラズマ由来の核酸を特異的に増幅するためのLAMP増幅用核酸プライマーセットであって、前記LAMP増幅用核酸プライマーセットはFIPプライマー、BIPプライマー、F3プライマーおよびB3プライマーを具備するプライマーセットが提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態はマイコプラズマのための増幅および/または検出手段に関する。
【背景技術】
【0002】
マイコプラズマ(Mycoplasma)は、真正細菌の一属であり、マイコプラズマ科(family ;Mycoplasmataceae)、マイコプラズマ属(genus; Mycoplasma)に分類される。現在、約100種類の種が知られている。一般の真正細菌に見られるペプチドグリカン細胞壁が無い。そのため細胞の形は不定形で可塑性があると伴に、ペニシリン系、セフェム系の薬剤は効果がない。自然条件では特定の真核生物に寄生する。大半のものが合成培地での増殖が困難であり、多くのケースで場合は複数の成長因子添加を必要とする。
【0003】
細胞壁を持たないため細胞の形状に可塑性があり、0.22μm濾過滅菌用フィルターを通過することもこの微生物のユニークな特徴である。そのため、濾過滅菌を行っても細胞培養用培地からのマイコプラズマ除去が出来ず、コンタミネーションによるトラブルの原因となる。
【0004】
一般的に、細菌や真菌のコンタミネーションでは汚染発生を培地の変色や培養細胞の変性によりコンタミネーション発見が容易である。これに対してマイコプラズマのコンタミネーションは、目視および光学顕微鏡レベルでは培地の変質を発見することが難しい。その上、マイコプラズマが培養細胞と共存することが多いためにコンタミネーションの発生を見逃しやすい。マイコプラズマのコンタミネーションによる影響としては、培地の栄養の消費による培養細胞の成長阻害、マイコプラズマの直接の作用による代謝経路への影響、並びに遺伝子発現への影響が確認されている。そのため、細胞を用いた実験結果を正しく評価するためには、マイコプラズマのコンタミネーションがないことを注意深く確認する必要がある。また、汚染経路の特定のためには、種を推定することも必要である。
【0005】
マイコプラズマの多くは、ヒトを含む様々な脊椎動物に寄生する。この寄生は、関節症や肺炎などの病原性を示すことがよく知られている。例えば、ヒトにおいては、非定型肺炎を引き起こし、喀痰を伴わない刺激性の咳、頭痛、咽頭痛、倦怠感、発熱などの感冒様症状を呈する。また、牛ではマイコプラズマ科に属する微生物の感染により、肺炎、乳房炎、関節炎、流産などを引き起こす。特に、乳牛におけるマイコプラズマ性乳房炎は、伝染が強くかつ難治性である。これは酪農経営において大きな脅威である。マイコプラズマ性乳房炎が発症し臨床型乳房炎になると、これを治癒することは非常に困難である。従って、感染拡大による経済損失を最小限に抑える為に、症状を示していない潜在感染個体を含む全てのマイコプラズマ感染個体を迅速に特定し、適切な処置を施すことが重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−350092号公報
【特許文献2】特開2009−131174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、マイコプラズマを特異的に増幅および/または検出するための手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は以下の実施形態により達成される。
【0009】
(A)マイコプラズマ由来の核酸を特異的に増幅するためのLAMP増幅用核酸プライマーセットであって、前記LAMP増幅用核酸プライマーセットはFIPプライマー、BIPプライマー、F3プライマーおよびB3プライマーを具備し、
FIPプライマーが、配列番号1、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号29、配列番号56、配列番号64、配列番号72、配列番号80、配列番号88、配列番号96、配列番号104、配列番号112、配列番号120およびそれらの相補配列、並びにマイコプラズマ由来の核酸を特異的に増幅可能な範囲で変異を含む前記何れかの配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドを含む少なくとも1種類のFIPプライマーであり、
BIPプライマーが、配列番号6、配列番号8、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号30、配列番号57、配列番号65、配列番号73、配列番号81、配列番号89、配列番号97、配列番号105、配列番号113、配列番号121およびそれらの相補配列、並びにマイコプラズマ由来の核酸を特異的に増幅可能な範囲で変異を含む前記何れかの配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドを含む少なくとも1種類のBIPプライマーであり、
F3プライマーが、配列番号9、配列番号28、配列番号55、配列番号63、配列番号71、配列番号79、配列番号87、配列番号95、配列番号103、配列番号111、配列番号119およびその相補配列、並びにマイコプラズマ由来の核酸を特異的に増幅可能な範囲で変異を含む前記何れかの配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドを含む少なくとも1種類のF3プライマーであり、
B3プライマーが、配列番号10、配列番号23、配列番号31、配列番号58、配列番号66、配列番号74、配列番号82、配列番号90、配列番号98、配列番号106、配列番号114、配列番号122およびその相補配列、並びにマイコプラズマ由来の核酸を特異的に増幅可能な範囲で変異を含む前記何れかの配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドを含む少なくとも1種類のF3プライマーである
プライマーセット;
(B) マイコプラズマの検出および/または分類するためのアッセイキットであって、
前記(A)に記載のプライマーセットと、
前記プライマーセットによる増幅により得られた増幅産物からマイコプラズマを特異的に検出するための核酸プローブであり、
(1)配列番号127および配列番号128;
(2)配列番号131、配列番号132および配列番号133;
(3)配列番号136および配列番号139;
(4)配列番号137および配列番号138;
(5)配列番号140、配列番号141、配列番号142、配列番号143、配列番号144、配列番号145、配列番号146、配列番号147、配列番号148、配列番号149および配列番号150;
(6)配列番号61、配列番号62、配列番号69、配列番号70、配列番号77、配列番号78、配列番号85、配列番号86、配列番号93、配列番号94、配列番号101、配列番号102、配列番号109、配列番号110、配列番号117、配列番号118、配列番号125および配列番号126;並びに
(7)前記(1)〜(6)に記載の配列の相補配列;
によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる核酸プローブ群から少なくとも1選択される核酸プローブを含むアッセイキット;および
(C) マイコプラズマに由来する核酸を特異的に増幅および/または分類する方法であって、前記(A)に記載のプライマーセットを用いて試料について増幅することを特徴とする方法;
である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本態様に従うLAMP法による増幅方法を説明するための模式図。
【図2】本態様に従うLAMP法を用いて得られる増幅産物を説明するための模式図。
【図3】本態様に従う増幅産物の1例を示す模式図。
【図4】本態様に従う核酸プローブ固定化基体の模式図。
【図5】本態様に従う核酸プローブ固定化基体の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.プライマー
本発明の1態様に従うと、マイコプラズマ由来の核酸を特異的に増幅するためのLAMP及びRT−LAMP増幅用核酸プライマーセットが提供される。
【0012】
「LAMP法」および「RT-LAMP法」は核酸の増幅法である。これらは、等温遺伝子増幅法とも称される。LAMP法によりDNAを鋳型にして核酸を増幅する。RT-LAMP法は、逆転写反応とLAMP反応を同時に行うことによりRNAを鋳型にして核酸を増幅する。
【0013】
LAMP法は2種若しくは4領域または4種若しくは6領域のプライマーを用いる点がPCR法とは異なる。LAMP法は、PCRを用いた方法に比べ増幅効率が優れていると共に、サンプル中の不純物の影響も受けにくい。そのため、当該態様に従うプライマーを使用することにより、簡便なサンプルの前処理で微量なマイコプラズマ属に分類される微生物を検出することが可能である。
【0014】
ここで、LAMP法におけるプライマー設計と、増幅により得られる増幅産物について、図1および図2を参照して説明する。図1は、検出しようとする二本鎖DNAを示している。合計4種類のプライマー配列、即ち、FIPプライマー、F3プライマー、BIPプライマー、B3プライマーを設定する。FIPプライマーおよびBIPプライマーは、各々二つの領域(FIPはF1cとF2、BIPはB2とB1c)を含んでいる。F3プライマーはF3領域を含んでいる。B3プライマーはB3領域を含んでいる。ここでF3、F2、F1、B1c、B2c、B3c領域は、前記二本鎖DNAのうちの一本鎖DNAの5’→3’方向に向かいこの順で設定された領域である。またB3、B2、B1、F1c、F2c、F3c領域は、その相補鎖の一本鎖DNAの5’→3’方向に向かいこの順で設定された領域である。このときB3とB3c、B2とB2c、B1とB1c、F1cとF1、F2cとF2、F3cとF3は互いに相補鎖である。
【0015】
これらの領域から構成される4種類のプライマー、即ち、FIPプライマー、F3プライマー、BIPプライマー、B3プライマーを用いてLAMP増幅を行なうと、図1の二本鎖DNAの夫々の鎖から、図2に示すようなダンベル型のステム・アンド・ループ構造の増幅産物が得られる。その増幅機構については説明を省略するが、必要であれば、例えば特開2002−186781号公報を参照すればよい。また、この4種のプライマーのほかにループプライマーを併せて用いてもよい。ループプライマーは、LPfプライマーおよび/またはLPbプライマーであってよい。
【0016】
なお、RT−LAMP法は前記LAMP法反応液に逆転写活性を持つ酵素を添加して、逆転写反応を行いながらLAMP増幅法を行う方法である。使用するプライマーはLAMP法と同一のプライマーを使用してよい。ここにおいて「LAMP法」と記載したとき、LAMP法およびRT−LAMP法の両方法についての言及であると解されてよい。
【0017】
本態様においては、一本鎖のループ部分にターゲット配列が位置されるようにプライマーを設計する。「ターゲット配列」とは、核酸プローブにハイブリダイゼーションさせるべき配列である。図1に示すように、ターゲット配列(例えば、図1ではFPc、FP、BP、BPcの何れか)が、領域F1とF2との間(この領域はF2領域を含んでもよい)、領域F2cとF1cとの間(この領域はF2c領域を含んでもよい)、領域B1とB2との間(この領域はB2領域を含んでもよい)、および/または領域B2cとB1cとの間(この領域はB2c領域を含んでもよい)の何れかに対応する位置するように、6つのプライマー領域を設定する。ターゲット配列は、上記それぞれの領域間に形成される一本鎖のループ部分のいずれの部位に位置するように設計されてよい。ここで、プライマー領域F1とF2との間のループ部分には、F2領域自体も含まれてよい。こうして設定された6つのプライマー領域に基づいて4種類のプライマーを作製し、これらプライマーを用いてRT-LAMP増幅を行なう。それにより、図3に示すようなLAMP増幅産物の一部が得られる。このLAMP増幅産物中においては、ターゲット配列FPc、FP、BP、BPcが増幅産物のダンベル構造における一本鎖ループの中に位置することとなる。
【0018】
一方、プライマー領域F1cとF1、およびB1cとB1は、もともと互いに相補的な配列を有しているので、相互に自己ハイブリダイゼーションを生じて二本鎖を形成する。このように増幅産物中に含まれるターゲット配列は、図3に示すような一本鎖の状態で存在する。従って、変性操作を行なうことなく、図示のように各ターゲット配列に対して相補的な核酸プローブ(例えば、FP、FPc、BP、BPcの配列を有する核酸)との特異的ハイブリダイゼーションが可能である。増幅産物の検出は、このような核酸プローブを利用することにより行うことも可能である。ここで、「特異的ハイブリダイゼーション」とは、一塩基多型(Single Nucleotide PolymorpHisms:SNPs)または変異が存在する場合、その僅かの違いも検出することが可能であることを意味する。
【0019】
上述したとおり、本態様のプライマーセットは、F1、F2、F3、B1c、B2cおよびB3c領域を元に設計される。
【0020】
マイコプラズマ由来の核酸を特異的に増幅するためのLAMP増幅用核酸プライマーセットの例は、前記LAMP増幅用核酸プライマーセットはFIPプライマー、BIPプライマー、F3プライマーおよびB3プライマーを具備し、
FIPプライマーが、配列番号1、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号29、配列番号56、配列番号64、配列番号72、配列番号80、配列番号88、配列番号96、配列番号104、配列番号112、配列番号120およびそれらの相補配列、並びにマイコプラズマ由来の核酸を特異的に増幅可能な範囲で変異を含む前記何れかの配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドを含む少なくとも1種類のFIPプライマーであり、
BIPプライマーが、配列番号6、配列番号8、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号30、配列番号57、配列番号65、配列番号73、配列番号81、配列番号89、配列番号97、配列番号105、配列番号113、配列番号121およびそれらの相補配列、並びにマイコプラズマ由来の核酸を特異的に増幅可能な範囲で変異を含む前記何れかの配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドを含む少なくとも1種類のBIPプライマーであり、
F3プライマーが、配列番号9、配列番号28、配列番号55、配列番号63、配列番号71、配列番号79、配列番号87、配列番号95、配列番号103、配列番号111、配列番号119およびその相補配列、並びにマイコプラズマ由来の核酸を特異的に増幅可能な範囲で変異を含む前記何れかの配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドを含む少なくとも1種類のF3プライマーであり、
B3プライマーが、配列番号10、配列番号23、配列番号31、配列番号58、配列番号66、配列番号74、配列番号82、配列番号90、配列番号98、配列番号106、配列番号114、配列番号122およびその相補配列、並びにマイコプラズマ由来の核酸を特異的に増幅可能な範囲で変異を含む前記何れかの配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドを含む少なくとも1種類のF3プライマーである
プライマーセットであってよい。
【0021】
マイコプラズマ由来の核酸を特異的に増幅するためのLAMP増幅用核酸プライマーセットの更なる例は、前記LAMP増幅用核酸プライマーセットはFIPプライマー、BIPプライマー、F3プライマーおよびB3プライマーを具備し、
(1)前記FIPプライマーが配列番号1および/またはその相補配列で示されるポリヌクレオチドであり、前記BIPプライマーが配列番号6および/またはその相補配列で示されるポリヌクレオチドであり、前記F3プライマーが配列番号9および/またはその相補配列で示されるポリヌクレオチドであり、前記B3プライマーが配列番号10および/またはその相補配列で示されるポリヌクレオチドであるプライマーセット、および/または
(2)前記FIPプライマーが配列番号29および/またはその相補配列で示されるポリヌクレオチドであり、前記BIPプライマーが配列番号30および/またはその相補配列で示されるポリヌクレオチドであり、前記F3プライマーが配列番号28および/またはその相補配列で示されるポリヌクレオチドであり、前記B3プライマーが配列番号31および/またはその相補配列で示されるポリヌクレオチドであるプライマーセット
であるプライマーセット
であってよい。
【0022】
マイコプラズマ由来の核酸を特異的に増幅するためのLAMP増幅用核酸プライマーセットは、前記LAMP増幅用核酸プライマーセットはFIPプライマー、BIPプライマー、F3プライマーおよびB3プライマーを具備し、更にループプライマーを含み、
前記ループプライマーがLPfプライマーおよび/またはLPbプライマーであり、
前記LPfプライマーが配列番号12、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号49、配列番号59、配列番号67、配列番号75、配列番号83、配列番号91、配列番号99、配列番号107、配列番号115および配列番号123並びにその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドを含む少なくとも1種類のLPfプライマーを含み、前記LPbプライマーが配列番号18、配列番号22、配列番号60、配列番号68、配列番号76、配列番号84、配列番号92、配列番号100、配列番号108、配列番号116および配列番号124並びにその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドを含む少なくとも1種類のLPbプライマーを含むプライマーセットであってよい。
【0023】
マイコプラズマ由来の核酸を特異的に増幅するためのLAMP増幅用核酸プライマーセットの例は、前記LAMP増幅用核酸プライマーセットはFIPプライマー、BIPプライマー、F3プライマーおよびB3プライマーを具備し、
(1)前記FIPプライマーが配列番号1、配列番号3、配列番号4および配列番号5並びに相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のFIPプライマーを含み、前記BIPプライマーが配列番号6および配列番号8並びにその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のBIPプライマーを含み、前記F3プライマーが配列番号9およびその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のF3プライマーを含み、前記B3プライマーが配列番号10およびその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のB3プライマーを含み、前記LPfプライマーが配列番号12、配列番号14、配列番号15、配列番号16および配列番号17並びに相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のLPfプライマーを含み、前記LPbプライマーが配列番号18およびその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のLPbプライマーを含むプライマーセット;
(2)前記FIPプライマーが配列番号1、配列番号3、配列番号4および配列番号5並びに相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のFIPプライマーを含み、前記BIPプライマーが配列番号19、配列番号20および配列番号21並びにその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のBIPプライマーを含み、前記F3プライマーが配列番号9およびその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のF3プライマーを含み、前記B3プライマーが配列番号23およびその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のB3プライマーを含み、前記LPfプライマーが配列番号12、配列番号14、配列番号15、配列番号16および配列番号17並びに相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のLPfプライマーを含むプライマーセット;
(3)前記FIPプライマーが配列番号1、配列番号3、配列番号4および配列番号5並びに相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のFIPプライマーを含み、前記BIPプライマーが配列番号19、配列番号20および配列番号21並びにその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のBIPプライマーを含み、前記F3プライマーが配列番号9およびその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のF3プライマーを含み、前記B3プライマーが配列番号23およびその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のB3プライマーを含み、前記LPfプライマーが配列番号12、配列番号14、配列番号15、配列番号16および配列番号17並びに相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のLPfプライマーを含み、前記LPbプライマーが配列番号18およびその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のLPbプライマーを含むプライマーセット;
(4)前記FIPプライマーが配列番号1、配列番号3、配列番号4および配列番号5並びに相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のFIPプライマーを含み、前記BIPプライマーが配列番号19、配列番号20および配列番号21並びにその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のBIPプライマーを含み、前記F3プライマーが配列番号9およびその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のF3プライマーを含み、前記B3プライマーが配列番号23およびその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のB3プライマーを含み、前記LPfプライマーが配列番号12、配列番号14、配列番号15、配列番号16および配列番号17並びに相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のLPfプライマーを含み、前記LPbプライマーが配列番号22およびその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のLPbプライマーを含むプライマーセット;
(5)前記FIPプライマーが配列番号1、配列番号3、配列番号4および配列番号5並びに相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のFIPプライマーを含み、前記BIPプライマーが配列番号24および配列番号25並びにその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のBIPプライマーを含み、前記F3プライマーが配列番号9およびその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のF3プライマーを含み、前記B3プライマーが配列番号23およびその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のB3プライマーを含み、前記LPfプライマーが配列番号12、配列番号14、配列番号15、配列番号16および配列番号17並びに相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のLPfプライマーを含むプライマーセット;
(6)前記FIPプライマーが配列番号1、配列番号3、配列番号4および配列番号5並びに相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のFIPプライマーを含み、前記BIPプライマーが配列番号24および配列番号25並びにその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のBIPプライマーを含み、前記F3プライマーが配列番号9およびその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のF3プライマーを含み、前記B3プライマーが配列番号23およびその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のB3プライマーを含み、前記LPfプライマーが配列番号12、配列番号14、配列番号15、配列番号16および配列番号17並びに相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のLPfプライマーを含み、前記LPbプライマーが配列番号18およびその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のLPbプライマーを含むプライマーセット;
(7)前記FIPプライマーが配列番号1、配列番号3、配列番号4および配列番号5並びに相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のFIPプライマーを含み、前記BIPプライマーが配列番号26および配列番号27並びにその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のBIPプライマーを含み、前記F3プライマーが配列番号9およびその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のF3プライマーを含み、前記B3プライマーが配列番号23およびその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のB3プライマーを含み、前記LPfプライマーが配列番号12、配列番号14、配列番号15、配列番号16および配列番号17並びに相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のLPfプライマーを含むプライマーセット;または
(8)前記FIPプライマーが配列番号1、配列番号3、配列番号4および配列番号5並びに相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のFIPプライマーを含み、前記BIPプライマーが配列番号26および配列番号27並びにその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のBIPプライマーを含み、前記F3プライマーが配列番号9およびその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のF3プライマーを含み、前記B3プライマーが配列番号23およびその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のB3プライマーを含み、前記LPfプライマーが配列番号12、配列番号14、配列番号15、配列番号16および配列番号17並びに相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のLPfプライマーを含み、前記LPbプライマーが配列番号18およびその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のLPbプライマーを含むプライマーセット;
であるプライマーセット
であってよい。
【0024】
マイコプラズマ由来の核酸を特異的に増幅するためのLAMP増幅用核酸プライマーセットの更なる例は、前記LAMP増幅用核酸プライマーセットはFIPプライマー、BIPプライマー、F3プライマーおよびB3プライマーを具備し、
(1)前記FIPプライマーが配列番号56および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記BIPプライマーが配列番号57および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記F3プライマーが配列番号55および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記B3プライマーが配列番号58および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記LPfプライマーが配列番号59および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記LPbプライマーが配列番号60および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであるプライマーセット;
(2)前記FIPプライマーが配列番号64および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記BIPプライマーが配列番号65および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記F3プライマーが配列番号53および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記B3プライマーが配列番号56および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記LPfプライマーが配列番号67および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記LPbプライマーが配列番号68および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであるプライマーセット;
(3)前記FIPプライマーが配列番号72および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記BIPプライマーが配列番号73および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記F3プライマーが配列番号71および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記B3プライマーが配列番号74および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記LPfプライマーが配列番号75および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記LPbプライマーが配列番号76および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであるプライマーセット;
(4)前記FIPプライマーが配列番号80および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記BIPプライマーが配列番号81および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記F3プライマーが配列番号79および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記B3プライマーが配列番号82および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記LPfプライマーが配列番号83および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記LPbプライマーが配列番号84および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであるプライマーセット;
(5)前記FIPプライマーが配列番号88および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記BIPプライマーが配列番号89および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記F3プライマーが配列番号87および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記B3プライマーが配列番号90および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記LPfプライマーが配列番号91および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記LPbプライマーが配列番号92および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであるプライマーセット;
(6)前記FIPプライマーが配列番号96および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記BIPプライマーが配列番号97および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記F3プライマーが配列番号95および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記B3プライマーが配列番号98および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記LPfプライマーが配列番号99および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記LPbプライマーが配列番号100および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであるプライマーセット;
(7)前記FIPプライマーが配列番号104および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記BIPプライマーが配列番号105および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記F3プライマーが配列番号103および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記B3プライマーが配列番号106および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記LPfプライマーが配列番号107および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記LPbプライマーが配列番号108および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであるプライマーセット;
(8)前記FIPプライマーが配列番号112および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記BIPプライマーが配列番号113および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記F3プライマーが配列番号111および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記B3プライマーが配列番号114および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記LPfプライマーが配列番号115および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記LPbプライマーが配列番号116および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであるプライマーセット;および/または
(9)前記FIPプライマーが配列番号120および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記BIPプライマーが配列番号121および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記F3プライマーが配列番号119および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記B3プライマーが配列番号122および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記LPfプライマーが配列番号123および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記LPbプライマーが配列番号124および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであるプライマーセット;
であるプライマーセットであってよい。
【0025】
プライマーセットの例において、マイコプラズマ由来の核酸を特異的に増幅可能な範囲で変異を含む配列とは、上記何れかの配列番号に記載の配列またはその相補配列により示されるポリヌクレオチドにおいて、何れかの位置の1〜5個、好ましくは1〜数個のヌクレオチドが置換、欠失および/または挿入などの変異を有する配列をいう。プライマーの例において、少なくとも1つのプライマーの一部にマイコプラズマ由来の核酸を特異的に増幅可能な範囲であればどのような変異を含んでもよい。特異的に増幅可能な範囲とは、分類学的にマイコプラズマと同定されるために必ずしも必要ではない範囲内で変異が存在する範囲である。
【0026】
そのような変異を含む複数の配列を1つの増幅反応場において同時に存在させてもよい。その場合、上記何れかの配列番号に記載の配列またはその相補配列により示されるポリヌクレオチドの何れかの位置の1〜5個、好ましくは1〜数個のヌクレオチドが、混合ヌクレオチドとして調製されてもよく、何れかの位置の1〜5個、好ましくは1〜数個のヌクレオチドが、ユニバーサルなヌクレオチドであってもよい。
【0027】
ユニバーサルなヌクレオチドの例は、これらに限定するものではないが、デオキシイノシン(deoxyinosine;dI)や、Gren Research社の3−ニトロピロール(Nitropyrrole)、5-ニトロインドール(Nitroindole)、デオキシリボルラノシル(deoxyribofuranosyl ;dP)、デオキシ-5'-ジメトキシトリチル-D-リボフラノシル(deoxy-5'-dimethoxytrityl-D-ribofuranosyl ;dK)が含まれる。
【0028】
またここで、プライマーの各配列間またはその末端側には、1〜100ヌクレオチド、好ましくは2〜30ヌクレオチド程度の配列(例えば、スペーサーとして使用される配列)が含まれていてもよい。当該プライマーの長さは30〜200ヌクレオチド程度であってよく、好ましくは35〜100ヌクレオチド、更に好ましくは43〜60ヌクレオチドであってよい。
【0029】
プライマーセットの例において、FIPプライマー、BIPプライマー、F3プラマーおよびB3プライマーは、それぞれ1つの種類の配列からなってもよく、それぞれ複数種類の配列を含んでもよい。これらのプライマーセットにおいて更にLPfプライマーおよび/またはLPbプライマーを使用する場合には、LPfプライマーおよびLPbプライマーは、それぞれ1つの種類の配列からなってもよく、それぞれ複数種類の配列を含んでもよい。
【0030】
上記のような領域を使用したプライマーを用いて、マイコプラズマ由来の核酸を含有する検体試料に対してLAMP法或いはRT-LAMP法による増幅を行うと、図3で説明したように、ステム・アンド・ループ構造が形成され、一本鎖のループ構造内に含まれるマイコプラズマ由来のターゲット配列が得られる。
【0031】
本態様は、上記のようなプライマーセットをマイコプラズマ由来の核酸を含む試料に対して適用すれば、マイコプラズマ標的配列に対応する核酸が特異的に増幅される。また、得られる増幅産物の存在を検出することにより、マイコプラズマ由来の核酸の存在を検出することが可能である。試料におけるマイコプラズマの検出は、検出対象である試料について、当該プライマーセットを用いて増幅反応を行うことにより行うことが可能である。
【0032】
マイコプラズマに由来する核酸を特異的に増幅する方法は、上記の何れかのプライマーセットを用いて試料について増幅することを特徴とする方法である。
【0033】
増幅反応の条件は、それ自身公知の何れかの条件を利用すればよい。また、当該増幅反応を行った結果を基に当該試料はマイコプラズマ由来の核酸(「マイコプラズマ核酸」ともいう)が含まれていると判定すればよい。そのような判定により試料中のマイコプラズマ核酸の存在を検出および分類することが可能である。
【0034】
例えば、上記増幅反応は、1反応場当たり、例えば、1チューブ当たり1プライマーセットで行ってもよく、あるいは1反応場(例えば、1チューブ)に各種遺伝子型に対応した複数のプライマーセットを用いて行ってもよい。複数のマイコプラズマ種を特定する必要がある場合は、後者の方法で行う方が効率的である。増幅反応場は、例えば、そこにおいて反応が可能な容器であってよく、例えば、チューブ、マイクロチューブ、ビーカー、マルチウェルプレートなどであってよいが、これらに限定されるものではない。
【0035】
また、ユニバーサルにマイコプラズマ核酸を増幅するためには、それぞれ複数の種類のFIPプライマー、BIPプライマー、F3プラマーおよびB3プライマーを使用することがより好ましい。また、特定の種のマイコプラズマ核酸を増幅するためには、特定の種に特異的なヌクレオチドを有する配列を使用すればよい。より確実に包括的にウイルスを増幅するためには、少なくとも種に特異的な変異部位に関してユニバーサルヌクレオチドまたはミックス塩基となるようにプライマーを設計および使用することが好ましい。
【0036】
また、変異部について塩基の種類の異なる複数の配列を1つの配列で表してもよい。その場合、問題となる変異部の塩基は複数の塩基を示す1塩基表示による記号を含ませればよい。それらの記号の示す塩基の意味は通常当該技術分野において一般的に使用される意味である。即ち、「r」はグアニンまたはアデニン、「y」はチミンまたはシトシン、「m」はアデニンまたはシトシン、「k」はグアニンまたはチミン、「s」はグアニンまたはシトシン、「w」はアデニンまたはチミン、「b」はグアニンまたはシトシンまたはチミン、「d」はアデニンまたはグアニンまたはチミン、「h」はアデニンまたはシトシンまたはチミン、「v」はアデニンまたはグアニンまたはシトシン、「n」はアデニンまたはグアニンまたはシトシンまたはチミンである。
【0037】
上記増幅反応は、これに限定するものではないが、例えば、以下に示すような組成のバッファー中で行ってよい:
RT−LAMP法の反応液組成
20mM Tris−HCL(pH8.8)
10mM KCL
8mM MgSO
10mM (NHSO
0.1% Tween20
0.8M Betaine
1.4mM dNTPs
16 U Bst DNA polymerase
0.625U AMV Reverse transcriptase。
【0038】
このような組成の反応液で、総量25μLで反応を行う際には、下記の濃度でそれぞれのプライマーを持ち込んでもよい;
プライマー添加量
FIPプライマー 40pmoL
BIPプライマー 40pmoL
F3プライマー 5pmoL
B3プライマー 5pmoL。
【0039】
ここで「試料」とは、ヒト、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、フェレット、オナガザル、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、ヒツジ、アザラシおよびネズミイルカなどの哺乳類、鳥類などの体液、組織、細胞、便、並びに水、湖水、川水、海水および土壌などの環境に存在する何れかの物質であってもよい。或いは、当該試料は、マイコプラズマ属に分類される微生物あるいはその遺伝子が含まれている可能性の疑われる物質であってよい。例えば、培養液のようなものでもよい。そのような物質をそれ自身公知の手段により、核酸の増幅に適した状態に前処理したものであってもよく、何れの前処理もなされなくてもよい。そのような前処理の例は、変性、濾過、核酸抽出、不純物除去などを含む。
【0040】
上述のようなプライマーセットを用いて核酸の増幅を行うことにより、簡便、安価、高速に、特異的にマイコプラズマ核酸を増幅することが可能である。これを利用して、試料に含まれる核酸を当該プライマーまたはプライマーセットを用いるRT-LAMPまたはLAMP増幅反応に供し、増幅反応の結果生じた増幅産物の有無を判定することにより、試料に含まれるマイコプラズマ由来の核酸を特異的に検出することが可能である。
【0041】
従来の方法では、特異性を配列検出の際の特異性は、一般的にPCR法で増幅した目的遺伝子産物をDNAチップにより検出している。この場合、PCRにより生成される産物は2本鎖であるため、核酸プローブとハイブリダイゼーション反応させると、相補鎖が核酸プローブに対するコンペティターとなりハイブリ効率が低く、検出感度が悪い。そのような方法において、従来では、ターゲットを1本鎖にするために、相補鎖を分解する、または分離するなどの方法も行われている。このような場合では、酵素の使用および磁気ビーズの使用などによって、ワーキングコストが高額となったり、操作が煩雑性になったりする。このような問題も本態様により解決することが可能である。
【0042】
これまで、迅速診断法としては特徴的な配列を含む領域をポリメラーゼチェインリアクション(PCR)で増幅し、電気泳動法により検出する方法などが知られていた。しかしながら、PCRを利用する方法は、サーマルサイクラーのような複雑な温度制御装置が必要なことや簡便性に課題があるなどの不利点がある。またPCR法では、万が一誤って相補鎖合成が行われてしまった場合にはその生成物が鋳型となり増幅してしまい、誤った判定をする可能性がある。また実際に、プライマーの末端の1塩基相違のみでは特異的な増幅を制御することは困難である。本態様に従うプライマーセットを使用することにより、より簡便に、より正確に、より迅速に、より広い検出レンジで、特異的にマイコプラズマ由来の核酸を増幅することが可能である。
【0043】
従来のヒトおよび動物の臨床診断現場や細胞を用いた研究、疫学研究、その他様々な分野では、マイコプラズマに特徴的な遺伝子配列の存在の検出と迅速な同定を行うことが可能な方法の開発が求められているが、このような要求も本態様によって満たされる。
【0044】
2.核酸プローブ
本態様は更に、上述のプライマーにより増幅されたマイコプラズマに由来する核酸を検出および/または分類するための核酸プローブおよび核酸プローブセットを提供する。
【0045】
当該核酸プローブは、マイコプラズマに由来する核酸を包括的に検出するための核酸プローブであってもよく、所望の種を特異的に検出するための核酸プローブであってもよい。そのような核酸プローブは、例えば、上述のプライマーにより増幅されたステム・アンド・ループ構造を有するポリヌクレオチドの一本鎖のループ部分の領域に対して結合するように設定されればよい。また、当該プライマーは好ましくは、約10〜60塩基長、約12〜40塩基長などであればよい。
【0046】
例えば、好ましい核酸プローブの例は、図1に示すようなステム・アンド・ループ構造のプライマー領域F1とF2との間(この領域はF2領域を含んでもよい)、プライマー領域F2cとF1cとの間(この領域はF2c領域を含んでもよい)、プライマー領域B1とB2との間(この領域はB2領域を含んでもよい)、および/またはプライマー領域B2cとB1cとの間(この領域はB2c領域を含んでもよい)の何れかの位置に対応するように選択されてよい。
【0047】
前記プライマーセットによる増幅により得られた増幅産物からマイコプラズマを特異的に検出するための核酸プローブの例は、
(1)配列番号127および配列番号128;
(2)配列番号131、配列番号132および配列番号133;
(3)配列番号136および配列番号139;
(4)配列番号137および配列番号138;
(5)配列番号140、配列番号141、配列番号142、配列番号143、配列番号144、配列番号145、配列番号146、配列番号147、配列番号148、配列番号149および配列番号150;
(6)配列番号61、配列番号62、配列番号69、配列番号70、配列番号77、配列番号78、配列番号85、配列番号86、配列番号93、配列番号94、配列番号101、配列番号102、配列番号109、配列番号110、配列番号117、配列番号118、配列番号125および配列番号126;並びに
(7)前記(1)〜(6)に記載の配列の相補配列;
によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドを含む核酸プローブ群から少なくとも1選択される核酸プローブを含む。
【0048】
マイコプラズマの特定の種を検出および/または分類するための核酸プローブの例は、配列番号131、配列番号132、配列番号133、配列番号139、配列番号140、配列番号141、配列番号142、配列番号143、配列番号144、配列番号145、配列番号146、配列番号147、配列番号148、配列番号149および配列番号150、並びにそれらの相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドを含む核酸プローブ群から少なくとも1種類選択される配列を含む核酸プローブを含む。
【0049】
核酸プローブまたは核酸プローブセットの例において、マイコプラズマ由来の核酸を特異的に検出可能な範囲で変異を含んでもよい。特異的に検出可能な範囲とは、分類学的にマイコプラズマと同定されるために必ずしも必要ではない範囲内で変異が存在する範囲である。例えば、上述した核酸プローブは、何れも上記の配列番号により示される配列の任意の位置の塩基が1つまたは数個置換あるいは欠失あるいは塩基を挿入された配列からなってもよい。核酸プローブは、検出しようとするマイコプラズマの株および/または種の保持する遺伝的多型や変異などに応じて変化させ、上記の配列番号により示される配列の任意の位置の塩基が1つまたは数個置換あるいは欠失あるいは塩基を挿入された配列からなってもよい。このような変異を含む複数の配列を1つの反応場において同時に存在させてもよい。その場合、上記何れかの配列番号に記載の配列またはその相補配列により示されるポリヌクレオチドの何れかの位置の1〜5個、好ましくは1〜数個のヌクレオチドが、混合ヌクレオチドとして調製されてもよく、何れかの位置の1〜5個、好ましくは1〜数個のヌクレオチドが、ユニバーサルなヌクレオチドであってもよい。
【0050】
ユニバーサルなヌクレオチドの例は、これらに限定するものではないが、デオキシイノシン(deoxyinosine;dI)や、Gren Research社の3−ニトロピロール(Nitropyrrole)、5-ニトロインドール(Nitroindole)、デオキシリボルラノシル(deoxyribofuranosyl ;dP)、デオキシ-5'-ジメトキシトリチル-D-リボフラノシル(deoxy-5'-dimethoxytrityl-D-ribofuranosyl ;dK)が含まれる。
【0051】
またここで、プライマーの各配列間またはその末端側には、1〜100ヌクレオチド、好ましくは2〜30ヌクレオチド程度の配列(例えば、スペーサーとして使用される配列)が含まれていてもよい。当該プライマーの長さは30〜200ヌクレオチド程度であってよく、好ましくは35〜100ヌクレオチド、更に好ましくは43〜60ヌクレオチドであってよい。
【0052】
何れの核酸プローブおよび核酸プローブセットも、上述したマイコプラズマに由来する増幅産物を所望に応じて検出するために使用されてよい。当該核酸プローブは、固相基体表面に固定化されたものであってもよく、液相において使用されてもよい。
【0053】
固相基体において使用される場合、典型的にはDNAチップを構成する核酸プローブとして用いられてよく、他のマイクロアレイを構成する核酸プローブとして用いられてもよい。当該増幅産物を検出するための核酸プローブは、検出する微生物株または種の保持する遺伝的多型や変異などに応じて変化させてもよい。
【0054】
上述した何れの核酸プローブも、1つの反応場において1種類で使用しても、複数種類で使用してもよい。また、固相基体表面に固定化して使用する場合には、当該基体における1信号を得るための1領域に1種類で使用しても複数種類で使用してもよい。複数種類で使用される場合、2種類、2種類以上、またはそれぞれの配列を含む全ての核酸プローブが一緒に使用されてもよい。また、これらの配列を構成する何れかの1以上の塩基がミックス塩基に設計されてもよい。ここで、「ミックス塩基」とは、ミックス塩基としたい所望の箇所の塩基を「アデニン」、「チミン」、「シトシン」および「グアニン」に設計した核酸プローブを2以上または全て混合して使用する核酸プローブセットをいう。また、複数種類の塩基に対して対合可能な修飾塩基で置換するように設計されてもよい。ミックス塩基は、1つの反応場において1つの位置の塩基についてのミックス塩基として使用されても、複数の位置の塩基について全て対応するようなミックス塩基として使用されてもよい。
【0055】
また、核酸プローブの構造は、特に限定されるものではなく、DNA、RNA、PNA、LNA、メチルホスホネート骨格の核酸および/またはその他の人工核酸鎖を用いることが可能である。また、これら何れかの核酸のキメラ核酸でもよい。
【0056】
核酸プローブと増幅産物とのハイブリダイズを検出するための手段は、これらに特に限定されるものではないが、濁度、可視光、蛍光、化学発光、電気化学発光、化学蛍光、蛍光エネルギー転移法、ESRなどの光学的な手法や、電流、電圧、周波数、伝導度、抵抗などの電気的な性質を利用してよい。
【0057】
核酸プローブと増幅産物とのハイブリダイズを検出するための手段として核酸プローブ固相化チップを使用することが可能である。核酸プローブ固相化チップは、上述の核酸プローブを固相である基体に固定化した装置である。これは、一般的にマイクロアレイまたはDNAチップとも称される。
【0058】
核酸プローブ固定化チップの非限定的な1例を模式図として図4に示す。核酸プローブ固定化チップ1は、基体2に固定化領域3を具備する。核酸プローブ4は該固定化領域3に固定化される。このような核酸プローブ固定化チップ1は、当該分野で周知の方法によって製造することができる。基体2に配置される固定化領域3の数及びその配置は、当業者が必要に応じて適宜設計変更することが可能である。このような核酸プローブ固定化チップは、蛍光を用いた検出方法のために好適に用いられてよい。1つの固定化領域3には、独立した1つの信号として得ることが必要な情報を得るために必要な1種類または1種類以上の核酸プローブまたは核酸プローブセットが固定化される。
【0059】
核酸プローブ固定化チップの更なる非限定的な1例を図5に示す。図5の核酸プローブ固定化チップ11は、基体12に固定化領域としての電極13を具備する。核酸プローブ14は電極13に固定化される。電極13は、パット15に接続される。電極13からの電気的情報はパット15を介して取得される。このような核酸プローブ固定化チップ11は、当該分野で周知の方法によって製造することができる。基体12に配置される電極13の数及びその配置は、当業者が必要に応じて適宜設計変更することが可能である。さらに、本例の核酸プローブ固定化チップ11は、必要に応じて、参照電極及び対極を具備してもよい。1つの固定化領域には、独立した1つの信号として得ることが必要な情報を得るために必要な1種類または1種類以上の核酸プローブまたは核酸プローブセットが固定化される。
【0060】
核酸プローブを固相に固定化する場合は、上述した核酸プローブの末端にアミノ基、チオール基およびビオチンなどの官能基を導入してもよい。更に、官能基とヌクレオチドの間にスペーサーを導入してもよい。ここで用いられるスペーサーの種類は特に限定されないが、例えばアルカン骨格、エチレングリコール骨格などを用いてよい。また、核酸プローブの一部の塩基がユニバーサルなヌクレオチドに置換されてもよい。本態様に使用可能なユニバーサルなヌクレオチドの例は、deoxyinosine(dI)や、Gren Research社の3-Nitropyrrole、5-Nitroindole、deoxyribofuranosyl (dP)、deoxy-5'-dimethoxytrityl-D-ribofuranosyl(dK)などを含む。
【0061】
本態様で用いる核酸プローブを固定化するための表面は、特に限定されるものではないが、樹脂ビーズ、磁気ビーズ、金属微粒子、マイクロタイタープート、ガラス基板、シリコン基板、樹脂製基板、電極基板などを用いてよい。
【0062】
本態様で使用する基体の材料は、特に限定されるものではない。例えば、ガラス、石英ガラス、アルミナ、サファイア、フォルステライト、炭化珪素、酸化珪素、窒化珪素、等の無機絶縁材料を使用できる。また、ポリエチレン、エチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、不飽和ポリエステル、含フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、アセタール樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、フェノール樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、スチレン・アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体、シリコーン樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリスルホン等の有機材料を用いてよい。
【0063】
例えば、電気的な性質を利用する場合、電極を基体に配置することが好ましい。電極は特に限定されるものではないが、例えば、金、金の合金、銀、プラチナ、水銀、ニッケル、パラジウム、シリコン、ゲルマニウム、ガリウム、タングステン等の金属単体及びそれらの合金、あるいはグラファイト、グラシーカーボン等の炭素等、またはこれらの酸化物、化合物であってよい。更に、酸化珪素等の半導体化合物や、CCD、FET、CMOSなど各種半導体デバイスを用いてもよい。
【0064】
抽出方法は特に限定される物ではなく、フェノール−クロロホルム法等の液−液抽出法や担体を用いる固液抽出法を用いることができる。また、市販の核酸抽出方法QIAamp(QIAGEN社製)、(社製)等を利用することも可能である。次に、抽出した核酸成分を鋳型にRT-LAMP増幅を行った後、遺伝子検出用電極とでハイブリダイゼーション反応を行う。反応溶液は、イオン強度0.01〜5の範囲で、pH5〜10の範囲の緩衝液中で行う。この溶液中にはハイブリダイゼーション促進剤である硫酸デキストランや、サケ精子DNA、牛胸腺DNA、EDTA、界面活性剤などを添加することが可能である。ここに抽出および増幅した核酸成分を添加の上、核酸プローブとのハイブリダイゼーション反応に供与する。反応中は、撹拌、あるいは振とうなどの操作で反応速度を高めることもできる。反応温度は10℃〜90℃の範囲で、また反応時間は1分以上1晩程度行う。ハイブリダイゼーション反応後の洗浄には、イオン強度0.01〜5の範囲で、pH5〜10の範囲の緩衝液を用いる。
【0065】
抽出および増幅したサンプル核酸は、あらかじめFITCやCy3、Cy5、ローダミンなどの蛍光色素やビオチン、ハプテン、オキシダーゼやポスファターゼ等の酵素や、フェロセンやキノン類等の電気化学的に活性な物質で標識するか、あるいは前述した物質で標識したセカンドプローブを用いることで検出してよい。
【0066】
電気化学的に活性な核酸結合物質を用いた検出を行う場合は、以下のような手順で検出を行う。基体を洗浄後、電極表面に形成した二本鎖部分に選択的に結合する核酸結合物質を作用させ、電気化学的な測定を行ってよい。ここで用いられる核酸結合物質は特に限定される物ではないが、例えば、ヘキスト33258、アクリジンオレンジ、キナクリン、ドウノマイシン、メタロインターカレーター、ビスアクリジン等のビスインターカレーター、トリスインターカレーター、ポリインターカレーター等を用いてよい。更に、これらのインターカレーターを電気化学的に活性な金属錯体、例えば、フェロセン、ビオロゲン等で修飾しておくことも可能である。核酸結合物質の濃度は、その種類によって異なるが、一般的には1ng/ml〜1mg/mlの範囲で使用する。この際、イオン強度0.001〜5の範囲で、pH5〜10の範囲の緩衝液を用いる。電極を核酸結合物質と反応させた後、電気化学的な測定を行う。電気化学的な測定は、3電極タイプ、即ち、参照電極、対極、作用極、あるいは2電極タイプ、即ち、対極、作用極で行う。測定では、核酸結合物質が電気化学的に反応する電位以上の電位を印加し、核酸結合物質に由来する反応電流値を測定する。この際、電位は定速で掃引するか、あるいはパルスで印加するか、あるいは、定電位を印加してよい。測定には、ポテンショスタット、デジタルマルチメーター、ファンクションジェネレーター等の装置を用いて電流、電圧を制御する。得られた電流値を基に、検量線から標的遺伝子の濃度を算出する。遺伝子検出用電極を用いた遺伝子検出装置は、遺伝子抽出部、遺伝子反応部、核酸結合物質反応部、電気化学測定部、洗浄部等から構成される。
【0067】
3.アッセイキット
1つの態様に従うと、マイコプラズマの検出および/または分類するためのアッセイキットが提供されてもよい。更なる態様に従うと、マイコプラズマの遺伝子型分類および/または種分類を行うアッセイキットが提供されてもよい。
【0068】
そのようなアッセイキットは、上述のプライマーまたはプライマーセットと核酸プローブまたは核酸プローブセットとを含めばよい。当該アッセイキットは、当該プライマーまたはプライマーセットおよび核酸プローブまたは核酸プローブセットに加えて、LAMP増幅および/またはRT-LAMP増幅に必要なバッファーを含んでもよく、ハイブリダイゼーションに必要なバッファー、並びにそこにおいて当該増幅および/またはハイブリダイゼーションを行うための容器を具備してもよい。また、アッセイキットに含まれる核酸プローブは上述したような基体に固定化されて提供されてもよく、当該アッセイキットが、固相化のための基体を更に含んで提供されてもよい。
【0069】
増幅産物と核酸プローブとの反応は、上述の何れかの核酸プローブを用いてハイブリダイズが可能なそれ自身公知の何れかの条件で行ってよい。
【0070】
LAMP産物には特徴的な複雑な高次構造が存在する。そのような公示構造は、ハイブリダイゼーション反応時において核酸プローブが結合した基体と物理的な障害を起こすことが知られている。そのような障害は、ハイブリダイゼーション効率に悪影響を及ぼす(たとえば、特開2005−95043を参照されたい)。そのような悪影響を受けないようにするために、核酸プローブは、従来のターゲット配列の位置とは異なり、一本鎖のループ部分にマイコプラズマ属に分類される微生物由来のターゲット配列が位置するようにプライマーを設計している。
【0071】
本態様によれば、簡便、安価、高速にマイコプラズマ属に分類される微生物の検出および属レベルまたは種レベルで遺伝子型を分類する方法が提供される。
【0072】
4.マイコプラズマの検出および/または分類方法
更なる態様に従うと、マイコプラズマを検出および/または分類する方法が提供される。当該検出方法は、上記したプライマー、核酸プローブおよび増幅方法を利用することにより、マイコプラズマに分類される微生物の検出および属レベルまたは種レベルで遺伝子型分類を行う方法である。
【0073】
例えば、試料に含まれる核酸を上述の何れかのプライマーセットを用いてRT-LAMPまたはLAMP増幅する工程と、前記増幅により生じた増幅産物と上述の何れかの核酸プローブとを反応することと、前記反応の結果から試料に存在するマイコプラズマを検出および/または分類することを具備する方法であってよい。
【0074】
また例えば、上述の何れかのプライマーセットを用いて、試料についてRT-LAMPまたはLAMP増幅反応を行うことと、当該増幅反応により生じた増幅産物と、上述の何れかの核酸プローブとを反応し、それにより生じるハイブリダイズの有無を検出することにより試料におけるマイコプラズマの存在の有無を判定する、および/または試料におけるマイコプラズマを分類することを具備する方法であってもよい。
【0075】
また例えば、マイコプラズマに分類される微生物の感染や存在を検出する方法は、
上述の態様に従うプライマーから任意に選択された少なくとも1種類のプライマーセットを用いて試料について増幅反応させることと、
前記増幅反応により生じた増幅産物の有無に基づいて、前記試料中についてマイコプラズマが存在するか否かを判定することと
を特徴とする方法であってもよい。
【0076】
検出に使用される試料はその状態や含まれる成分に応じて、それ自身公知の手段で前処理されてもよい。そのような前処理は例えば、ホモジネート、核酸の抽出および/または精製などであってよい。
【0077】
増幅反応は、LAMP増幅またはRT−LAMP増幅であってよい。増幅は、上述の何れかのプライマーを用いて増幅対象の核酸を増幅可能なそれ自身公知の何れの条件で行ってよい。増幅産物の有無の判定は、増幅産物による白濁を検出することにより行ってもよく、増幅産物と上述の何れかの核酸プライマーとの間で生じるハイブリダイゼーションを検出することにより行ってもよい。
【0078】
増幅産物と核酸プローブとの反応は、上述の何れかの核酸プローブを用いてハイブリダイズが可能なそれ自身公知の何れかの条件で行ってよい。
【0079】
本態様によれば、簡便、安価、高速にマイコプラズマ属に分類される微生物の検知および属レベルまたは種レベルで遺伝子型を分類する方法が提供される。
【0080】
また、上述したとおり、これまで、迅速診断法としてはウイルスRNAから逆転写酵素によりDNAを作成した上、前記DNA配列中の特徴的な配列を含む領域をポリメラーゼチェインリアクション(PCR)で増幅し、電気泳動法により検知する方法(RT-PCR法)などが知られている。しかしながら、PCRを利用する方法は、サーマルサイクラーのような複雑な温度制御装置が必要なことや簡便性に課題があるなどの不利点がある。またPCR法では、万が一誤って相補鎖合成が行われてしまった場合にはその生成物が鋳型となり増幅してしまい、誤った判定をしてしまう可能性がある。実際に、プライマーの末端の1塩基相違のみでは特異的な増幅を制御することは困難である。特異性を配列検知の際の特異性を挙げる方法としては、一般的にPCR法で増幅した目的遺伝子産物をDNAチップにより検知する手法が挙げられるが、PCRにて生成される産物が2本鎖であるため、核酸プローブとハイブリダイゼーション反応させる場合に、相補鎖が核酸プローブに対するコンペティターとなりハイブリ効率が低く検知感度が悪いのが問題である。本態様に従うと、このようなPCR法による問題も解決することが可能である。
【0081】
また、ターゲットを1本鎖にするために、相補鎖を分解する、または分離するといった従来の方法もあるが、これらの方法は、いずれも、酵素の使用、磁気ビーズの使用などによる高価格化、操作における煩雑性が問題である。このような問題も本態様により解決することが可能である。
【0082】
[例]
以下に、本態様による核酸検出方法について例を用いて具体的に説明する。
【0083】
マイコプラズマ(Mycoplasma)属を構成する微生物種では、微生物ゲノム解析の結果16s−ribosomalRNAをコードする遺伝子配列の一部領域が、微生物種毎にユニークな配列を保持しながらも高度に保存されていることを見出した。そこで、先ず、マイコプラズマ属の代表列としてマイコプラズマ属の6種、即ち、M.argininim、M.orale、M.hyorhinis、M.bovis、M.fermentans、M.pulmonisを選択した。これらの種はウシ、ヒト、ウマ血清への混入が知られるとともに、各種培養細胞で感染報告のある種である。これらを検出対象とし、前記遺伝子領域について検出するために最適なプライマー/プローブ設計遺伝子配列を設計した。これらの配列を基に後述する種々の実験を行った。それにより好ましいプライマーセットと核酸プローブを選定した。選定されたプライマーセットと核酸プローブは、最終的に目的とする核酸を検出する際に、検出信号量および検出特異性について好ましい特性を有していることを確認した。
【0084】
更に、マイコプラズマ属の他の種、即ち、M. bovirhinis、M. bovigenitalium、M. arginini、M alkalescens、M. californicum、M. canadense、M. haemofelis 、Candidatus Mycoplasma haemominutum およびM. felisについても、前記プライマー/プローブ設計遺伝子配列に対応する遺伝子配列領域の配列を基にプライマーおよび核酸プローブを設計した。得られたプライマーおよび核酸プローブについて、それぞれの核酸検出特性を確認した。それらは望ましい検出特性を有していることが確認された。詳細を以下に記す。
【0085】
[例1]
プライマーセットの選択
マイコプラズマ属から6種、即ち、M.argininim、M.orale、M.hyorhinis、M.bovis、M.fermentans、M.pulmonisを選択した。これらの種の代表配列(即ちAccession No.;AF125581、AY796060、AF258792、U02968、M24289およびAF125582)について、16s−rRNA領域のアライメントを作成した。アライメント上で、保存性が高い領域に対して栄研化学の推奨するLAMP法プライマー設計方法を参考に、以下のようにプライマーを設計した。即ち、マイコプラズマ属に共通な領域と種判別可能な領域とを選択し、LAMP増幅で生じる2つのループにそれぞれ割り当てられるよう、F1、F2、B1、B2を配置した。前記6種のうち、M.pulmonisゲノムDNAの一部をクローニングしたプラスミド(103copies/reaction)を鋳型にしてLAMP増幅を行った。増幅は、以下に記す組成のLAMP反応液組成を用いて63℃90分でRealoop−30(モリテックス社製)を用いて行った。使用したプライマーは、表1−1および表1−2に示すFIPプライマー、BIPプライマー、F3プライマーおよびB3プライマーである。
【表1−1】

【0086】
【表1−2】

【0087】
これらを用いて増幅を行った場合の濁度立上がり時間を表2に示す。
【表2】

【0088】
この結果から、使用した10種のプライマーセットから濁度の立上りが見られたものはMpCS−1およびMpS−1の2種類であった(表2)。この2種類のうち、増幅速度の速いプライマーセットであるMpS−1を選択した。このプライマーを使用し、更にループプライマーとM.pulmonis以外の5種に対応する更なるプライマーを追加して後述するようにLAMP増幅を行った。使用したプライマーの組み合わせは表3に記載する。
【表3】

【0089】
追加するプライマーの量は、変異割合に応じて、トータルプライマー量に対して割り付けた。
【0090】
<LAMP反応液組成(1×)>
FIPプライマー 40 pmol
BIPプライマー 40 pmol
F3プライマー 5 pmol
B3プライマー 5 pmol
(Lfc/Lb 20 pmol)
2×Reaction Mixture 12.5μL
8 U/μl Bst DNA polymerase 1μL
鋳型 1μL
蒸留水 Up to 25μL。
【0091】
<反応混合物(反応時濃度)>
Tris-HCl (pH8.8) 20 mM
KCL 10 mM
MgSO4 8 mM
(NH4)SO4 10 mM
Tween-20 0.1 %
Betaine 0.8 M
dNTPs 各1.4 mMずつ。
【0092】
ループプライマーの選択
上記で候補となったプライマーセットに対し、定法に従ってループプライマーを設計して合成した。上述の反応組成に20pmolのループプライマーを追加して上述と同様にLAMP増幅を行った。鋳型は添加前に95℃で5分間処理したものを使用した。ループプライマーは表1に記載の配列に記載するものを使用した。増幅結果をプライマーの組合せと共に表4に示す。
【表4】

【0093】
表4の結果から、以降の実験に使用する各プライマーセットのためのループプライマーを選択した。
【0094】
[例2]
マイコプラズマの上記増幅用プライマーの設定部位には種に特異的な変異が存在する。そのようなそれぞれの種に特有の配列、即ち、変異に対応したプライマーを作成した。これを用いて、変異割合に応じた割付を行った。更に、トータルプライマー量を数段階変化させた。その結果から、マイコプラズマ属の上気6種に由来する核酸を効率よく増幅できる条件を設定した。具体的には、上記6微生物種のゲノムDNAを準備し、各ゲノムDNAを鋳型としてトータルプライマー量および酵素量の至適条件を探った。その結果、トータルプライマー量2倍、酵素量2倍の組成において、6種のゲノムについて、10copies/reaction相当のゲノムを使用すれば、全ての種を20分台で増幅できることが確認できた。この条件を以下の試験では使用した。
【0095】
なお、上記のプライマーセットを使用した場合のマイコプラズマ属の近縁種であるAcholeplasma laidrawiiについて増幅交差反応性を調べた。106copies/reaction以上で交差増幅することが示された。そこで、後述するようにDNAチップにAcholeplasma laidrawii判別核酸プローブの設置の可能性を検討した。
【0096】
以上の検討から好ましいと選定されたプライマーセットを表5に示す。
【表5】

【0097】
[例3]
核酸プローブの配列設計
前記プライマーセットにより増幅されたLAMP増幅産物を検出するためのプローブを設計した。まず、複数の候補配列を設計した。これらの候補配列は、LAMP増幅産物と核酸プローブとがハイブリダイズしたときに、LAMP増幅産物の1本鎖核酸領域においてそれらがハイブリダイズするように設計した。候補配列は、3’末端チオール修飾を持つ合成核酸として準備された。
【0098】
マイコプラズマの増幅産物は、種によって異なる配列がFループに、属共通の配列がBループに位置するように設計されている。そこで、増幅産物であるループ・アンド・ステム構造のFループにM.pulmonisおよび近縁種A.laidrawiiを判別するための核酸プローブが含まれ、Bループに属を共通して検出するための核酸プローブが含まれるように核酸プローブの配列を設計した。核酸プローブのための候補配列を表6に記す。
【表6】

【0099】
[例4]
核酸プローブの選定
Mycoplasma pulmonis検体を用いた場合のプローブ選定例を以下に示す。
【0100】
例3に記載した核酸プローブの候補配列を用いて、図6に示すような核酸プローブ固定化チップ(これは「核酸プローブ固定化電極」とも称す)を作製した。基板10に配置された金電極に対して、それぞれの核酸プローブ候補配列からなる合成核酸(3’末端がチオール修飾されている)をその配列の種類毎にスポットした。それにより核酸プローブが配列毎に1つの電極に対して固定化された。また、更なる電極に対して、ネガティブコントロールプローブをスポットした。その後、その基板を超純水で洗浄し、風乾し、電流検出型の核酸プローブ固定化チップを作製した。作製した核酸チップを2×SSCの塩を添加した例2で得られたLAMP増幅産物に浸漬した。これを35℃で60分間静置することによってハイブリダイゼーション反応を行った。LAMP増幅産物は、標準株配列を持つプラスミドを鋳型に増幅したものを用いた。更に、この電極を挿入剤であるヘキスト33258溶液を50μM含むリン酸緩衝液中に15分間浸漬した。その後、ヘキスト33258分子の酸化電流応答を測定した。Mycoplasma pulmonis検体を用いた場合の電流測定の結果例を表6に示す(表6を参照されたい)。
【0101】
電極に固定化した核酸プローブは、領域中に存在する変異をあらかじめ考慮して複数用意した。30nA以上の増加量を示す最適な核酸プローブ、20−30nAの増加量を示す良好な核酸プローブが得られた。以上の結果から、マイコプラズマ属及び、Mycoplasma pulmonis検出用核酸チップに搭載するためのプローブ配列が選択された。
【0102】
更に、上記で選定された最適な核酸プローブとゲノム上の同一位置に設計したプローブ配列を上記と同様に使用して、Mycoplasma pulmonis以外の5種のマイコプラズマ属の微生物およびA.laidrawii由来のLAMP増幅産物について反応を行った。その結果、それらの試料についても、何れのプローブ配列からも、核酸プローブと試料核酸検がフルマッチである場合において、30nA以上の電流増加量が得られた(表7−1および表7−2)。
【表7−1】

【0103】
【表7−2】

【0104】
[例5]
他のMycoplasma属の微生物についても上述の例1〜6において選択したプライマー/プローブ設計遺伝子配列に対応する遺伝子領域を特定した。使用した微生物は、M. bovirhinis、M. bovigenitalium、M. arginini、M alkalescens、M. californicum、M. canadense、M. haemofelis 、Candidatus Mycoplasma haemominutum 、M. felisであり、それぞれの代表配列は次の通りである;Accession No.;NR_025986、AY121109、GQ409971、NR_025984、NR_029166、EU925158、AY529632、AY529634、NR029174。これらのプライマー/プローブ設計遺伝子配列を基にそれぞれの微生物種に対応したプライマーと核酸プローブを設計し合成した。それらのプライマーおよび核酸プローブを表8−1、表8−2、表8−3、表8−4および表8−5に示す。
【表8−1】

【0105】
【表8−2】

【0106】
【表8−3】

【0107】
【表8−4】

【0108】
【表8−5】

【0109】
上述した代表的なマイコプラズマ属の6種およびこれらを含めた上記マイコプラズマ属に対する検出特性を確認した。その結果、構築されたプライマーおよび核酸プローブにより、マイコプラズマ属に分類される微生物種を特異的かつ十分な信号量で検出できることが確認できた。表9−1、表9−2、表9−3および表9−4に各プライマーおよび種判別用の核酸プローブを用いた際の検出結果を示す。
【表9−1】

【0110】
【表9−2】

【0111】
【表9−3】

【0112】
【表9−4】

【0113】
[例6]
<非特異増幅の起きないプライマーセットの選択>
表10−1および表10−2に示す配列番号1〜配列番号27のオリゴヌクレオチドからなるプライマーを用意した。
【表10−1】

【0114】
【表10−2】

【0115】
これらのプライマーをプライマーセットとして使用してLAMP増幅を行った。Mycoplasma pulmonisの一部をクローニングしたプラスミド(10copies/reaction)を鋳型にした場合の濁度の立ち上がり時間と、何れの鋳型も含まない場合の非特異増幅濁度の立ち上がり時間を測定した。その結果と用いたプライマーセットの構成を表11−1および表11−2に示す。
【表11−1】

【0116】
【表11−2】

【0117】
その結果、プライマーセット104−1以外は、非特異的増幅濁度の立ち上がり時間よりも特異的増幅濁度の立ち上がり時間の方が短く、良好なプライマーセットであった。プライマーセット102−1、102−2および103−1は、非特異増幅濁度の立ち上がりがなくより良好なプライマーセットであることが示唆された。更に、プライマーセット102−2は、Mycoplasma pulmonisを鋳型とした場合の濁度の立ち上がり時間が30分以内であり、且つプライマーセット102−2は鋳型を含まない場合の非特異増幅濁度の立ち上がりは見られなかった。従って、これらのプライマーセットの中ではプライマーセット102−2が最も良好であることが示唆された。
【0118】
以上のように、マイコプラズマ属を特異的に増幅することが可能なプライマー、並びにマイコプラズマを特異的に検出できる核酸プローブおよび種判別を良好に行うことが可能な核酸プローブが提供された。これらのプライマーは望ましい増幅特性、即ち、増幅特異性および良好な増幅効率を有していた。また、これらの核酸プローブは、望ましい検出特性、即ち、検出信号量および検出特異性を有していた。
【符号の説明】
【0119】
1.核酸プローブ固定化チップ 2.基体 3.固定化領域 4.核酸プローブ 11.核酸プローブ固定化チップ 12.基体 13.電極(即ち、固定化領域) 14.核酸プローブ 15.パット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイコプラズマ由来の核酸を特異的に増幅するためのLAMP増幅用核酸プライマーセットであって、前記LAMP増幅用核酸プライマーセットはFIPプライマー、BIPプライマー、F3プライマーおよびB3プライマーを具備し、
FIPプライマーが、配列番号1、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号29、配列番号56、配列番号64、配列番号72、配列番号80、配列番号88、配列番号96、配列番号104、配列番号112、配列番号120およびそれらの相補配列、並びにマイコプラズマ由来の核酸を特異的に増幅可能な範囲で変異を含む前記何れかの配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドを含む少なくとも1種類のFIPプライマーであり、
BIPプライマーが、配列番号6、配列番号8、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号30、配列番号57、配列番号65、配列番号73、配列番号81、配列番号89、配列番号97、配列番号105、配列番号113、配列番号121およびそれらの相補配列、並びにマイコプラズマ由来の核酸を特異的に増幅可能な範囲で変異を含む前記何れかの配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドを含む少なくとも1種類のBIPプライマーであり、
F3プライマーが、配列番号9、配列番号28、配列番号55、配列番号63、配列番号71、配列番号79、配列番号87、配列番号95、配列番号103、配列番号111、配列番号119およびその相補配列、並びにマイコプラズマ由来の核酸を特異的に増幅可能な範囲で変異を含む前記何れかの配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドを含む少なくとも1種類のF3プライマーであり、
B3プライマーが、配列番号10、配列番号23、配列番号31、配列番号58、配列番号66、配列番号74、配列番号82、配列番号90、配列番号98、配列番号106、配列番号114、配列番号122およびその相補配列、並びにマイコプラズマ由来の核酸を特異的に増幅可能な範囲で変異を含む前記何れかの配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドを含む少なくとも1種類のF3プライマーである
プライマーセット。
【請求項2】
請求項1に記載のプライマーセットであって、
(1)前記FIPプライマーが配列番号1および/またはその相補配列で示されるポリヌクレオチドであり、前記BIPプライマーが配列番号6および/またはその相補配列で示されるポリヌクレオチドであり、前記F3プライマーが配列番号9および/またはその相補配列で示されるポリヌクレオチドであり、前記B3プライマーが配列番号10および/またはその相補配列で示されるポリヌクレオチドであるプライマーセット、および/または
(2)前記FIPプライマーが配列番号29および/またはその相補配列で示されるポリヌクレオチドであり、前記BIPプライマーが配列番号30および/またはその相補配列で示されるポリヌクレオチドであり、前記F3プライマーが配列番号28および/またはその相補配列で示されるポリヌクレオチドであり、前記B3プライマーが配列番号31および/またはその相補配列で示されるポリヌクレオチドであるプライマーセット
であるプライマーセット。
【請求項3】
請求項1に記載のプライマーセットであって、更に、ループプライマーを含み、
前記ループプライマーはLPfプライマーおよび/またはLPbプライマーを含み、
前記LPfプライマーが配列番号12、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号49、配列番号59、配列番号67、配列番号75、配列番号83、配列番号91、配列番号99、配列番号107、配列番号115および配列番号123並びにその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドを含む少なくとも1種類のLPfプライマーを含み、前記LPbプライマーが配列番号18、配列番号22、配列番号60、配列番号68、配列番号76、配列番号84、配列番号92、配列番号100、配列番号108、配列番号116および配列番号124並びにその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドを含む少なくとも1種類のLPbプライマーを含むプライマーセット。
【請求項4】
請求項3に記載のプライマーセットであって、
(1)前記FIPプライマーが配列番号1、配列番号3、配列番号4および配列番号5並びに相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のFIPプライマーを含み、前記BIPプライマーが配列番号6および配列番号8並びにその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のBIPプライマーを含み、前記F3プライマーが配列番号9およびその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のF3プライマーを含み、前記B3プライマーが配列番号10およびその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のB3プライマーを含み、前記LPfプライマーが配列番号12、配列番号14、配列番号15、配列番号16および配列番号17並びに相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のLPfプライマーを含み、前記LPbプライマーが配列番号18およびその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のLPbプライマーを含むプライマーセット;
(2)前記FIPプライマーが配列番号1、配列番号3、配列番号4および配列番号5並びに相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のFIPプライマーを含み、前記BIPプライマーが配列番号19、配列番号20および配列番号21並びにその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のBIPプライマーを含み、前記F3プライマーが配列番号9およびその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のF3プライマーを含み、前記B3プライマーが配列番号23およびその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のB3プライマーを含み、前記LPfプライマーが配列番号12、配列番号14、配列番号15、配列番号16および配列番号17並びに相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のLPfプライマーを含むプライマーセット;
(3)前記FIPプライマーが配列番号1、配列番号3、配列番号4および配列番号5並びに相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のFIPプライマーを含み、前記BIPプライマーが配列番号19、配列番号20および配列番号21並びにその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のBIPプライマーを含み、前記F3プライマーが配列番号9およびその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のF3プライマーを含み、前記B3プライマーが配列番号23およびその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のB3プライマーを含み、前記LPfプライマーが配列番号12、配列番号14、配列番号15、配列番号16および配列番号17並びに相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のLPfプライマーを含み、前記LPbプライマーが配列番号18およびその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のLPbプライマーを含むプライマーセット;
(4)前記FIPプライマーが配列番号1、配列番号3、配列番号4および配列番号5並びに相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のFIPプライマーを含み、前記BIPプライマーが配列番号19、配列番号20および配列番号21並びにその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のBIPプライマーを含み、前記F3プライマーが配列番号9およびその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のF3プライマーを含み、前記B3プライマーが配列番号23およびその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のB3プライマーを含み、前記LPfプライマーが配列番号12、配列番号14、配列番号15、配列番号16および配列番号17並びに相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のLPfプライマーを含み、前記LPbプライマーが配列番号22およびその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のLPbプライマーを含むプライマーセット;
(5)前記FIPプライマーが配列番号1、配列番号3、配列番号4および配列番号5並びに相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のFIPプライマーを含み、前記BIPプライマーが配列番号24および配列番号25並びにその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のBIPプライマーを含み、前記F3プライマーが配列番号9およびその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のF3プライマーを含み、前記B3プライマーが配列番号23およびその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のB3プライマーを含み、前記LPfプライマーが配列番号12、配列番号14、配列番号15、配列番号16および配列番号17並びに相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のLPfプライマーを含むプライマーセット;
(6)前記FIPプライマーが配列番号1、配列番号3、配列番号4および配列番号5並びに相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のFIPプライマーを含み、前記BIPプライマーが配列番号24および配列番号25並びにその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のBIPプライマーを含み、前記F3プライマーが配列番号9およびその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のF3プライマーを含み、前記B3プライマーが配列番号23およびその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のB3プライマーを含み、前記LPfプライマーが配列番号12、配列番号14、配列番号15、配列番号16および配列番号17並びに相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のLPfプライマーを含み、前記LPbプライマーが配列番号18およびその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のLPbプライマーを含むプライマーセット;
(7)前記FIPプライマーが配列番号1、配列番号3、配列番号4および配列番号5並びに相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のFIPプライマーを含み、前記BIPプライマーが配列番号26および配列番号27並びにその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のBIPプライマーを含み、前記F3プライマーが配列番号9およびその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のF3プライマーを含み、前記B3プライマーが配列番号23およびその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のB3プライマーを含み、前記LPfプライマーが配列番号12、配列番号14、配列番号15、配列番号16および配列番号17並びに相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のLPfプライマーを含むプライマーセット;または
(8)前記FIPプライマーが配列番号1、配列番号3、配列番号4および配列番号5並びに相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のFIPプライマーを含み、前記BIPプライマーが配列番号26および配列番号27並びにその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のBIPプライマーを含み、前記F3プライマーが配列番号9およびその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のF3プライマーを含み、前記B3プライマーが配列番号23およびその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のB3プライマーを含み、前記LPfプライマーが配列番号12、配列番号14、配列番号15、配列番号16および配列番号17並びに相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のLPfプライマーを含み、前記LPbプライマーが配列番号18およびその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドである少なくとも1種類のLPbプライマーを含むプライマーセット;
であるプライマーセット。
【請求項5】
請求項3に記載のプライマーセットであって、
(1)前記FIPプライマーが配列番号56および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記BIPプライマーが配列番号57および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記F3プライマーが配列番号55および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記B3プライマーが配列番号58および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記LPfプライマーが配列番号59および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記LPbプライマーが配列番号60および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであるプライマーセット;
(2)前記FIPプライマーが配列番号64および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記BIPプライマーが配列番号65および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記F3プライマーが配列番号53および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記B3プライマーが配列番号56および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記LPfプライマーが配列番号67および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記LPbプライマーが配列番号68および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであるプライマーセット;
(3)前記FIPプライマーが配列番号72および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記BIPプライマーが配列番号73および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記F3プライマーが配列番号71および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記B3プライマーが配列番号74および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記LPfプライマーが配列番号75および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記LPbプライマーが配列番号76および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであるプライマーセット;
(4)前記FIPプライマーが配列番号80および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記BIPプライマーが配列番号81および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記F3プライマーが配列番号79および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記B3プライマーが配列番号82および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記LPfプライマーが配列番号83および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記LPbプライマーが配列番号84および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであるプライマーセット;
(5)前記FIPプライマーが配列番号88および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記BIPプライマーが配列番号89および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記F3プライマーが配列番号87および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記B3プライマーが配列番号90および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記LPfプライマーが配列番号91および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記LPbプライマーが配列番号92および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであるプライマーセット;
(6)前記FIPプライマーが配列番号96および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記BIPプライマーが配列番号97および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記F3プライマーが配列番号95および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記B3プライマーが配列番号98および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記LPfプライマーが配列番号99および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記LPbプライマーが配列番号100および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであるプライマーセット;
(7)前記FIPプライマーが配列番号104および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記BIPプライマーが配列番号105および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記F3プライマーが配列番号103および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記B3プライマーが配列番号106および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記LPfプライマーが配列番号107および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記LPbプライマーが配列番号108および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであるプライマーセット;
(8)前記FIPプライマーが配列番号112および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記BIPプライマーが配列番号113および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記F3プライマーが配列番号111および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記B3プライマーが配列番号114および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記LPfプライマーが配列番号115および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記LPbプライマーが配列番号116および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであるプライマーセット;および/または
(9)前記FIPプライマーが配列番号120および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記BIPプライマーが配列番号121および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記F3プライマーが配列番号119および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記B3プライマーが配列番号122および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記LPfプライマーが配列番号123および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであり、前記LPbプライマーが配列番号124および/または相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドであるプライマーセット;
であるプライマーセット。
【請求項6】
マイコプラズマの検出および/または分類するためのアッセイキットであって、
請求項1〜5の何れか1項に記載のプライマーセットと、
前記プライマーセットによる増幅により得られた増幅産物からマイコプラズマを特異的に検出するための核酸プローブであり、
(1)配列番号127および配列番号128;
(2)配列番号131、配列番号132および配列番号133;
(3)配列番号136および配列番号139;
(4)配列番号137および配列番号138;
(5)配列番号140、配列番号141、配列番号142、配列番号143、配列番号144、配列番号145、配列番号146、配列番号147、配列番号148、配列番号149および配列番号150;
(6)配列番号61、配列番号62、配列番号69、配列番号70、配列番号77、配列番号78、配列番号85、配列番号86、配列番号93、配列番号94、配列番号101、配列番号102、配列番号109、配列番号110、配列番号117、配列番号118、配列番号125および配列番号126;並びに
(7)前記(1)〜(6)に記載の配列の相補配列;
によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる核酸プローブ群から少なくとも1選択される核酸プローブを含むアッセイキット。
【請求項7】
マイコプラズマの検出および/または分類するためのアッセイキットであって、
請求項1〜5の何れか1項に記載のプライマーセットと、
前記プライマーセットによる増幅により得られた増幅産物からマイコプラズマの所望の種を検出するための核酸プローブであり、配列番号131、配列番号132、配列番号133、配列番号139、配列番号140、配列番号141、配列番号142、配列番号143、配列番号144、配列番号145、配列番号146、配列番号147、配列番号148、配列番号149および配列番号150、並びにそれらの相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる核酸プローブ群から少なくとも1種類選択される配列を含む核酸プローブと、
を含むアッセイキット。
【請求項8】
マイコプラズマに由来する核酸を特異的に増幅する方法であって、請求項1〜5の何れか1項に記載プライマーセットを用いて試料について増幅することを特徴とする方法。
【請求項9】
マイコプラズマを検出する方法であって、
請求項1〜5の何れか1項に記載のプライマーセットを用いて試料について増幅反応させることと、
前記増幅反応により生じた増幅産物の有無に基づいて、前記試料中についてマイコプラズマが存在するか否かを判定することと
を特徴とする方法。
【請求項10】
マイコプラズマを検出および/または分類する方法であって、
請求項1〜5の何れか1項に記載のプライマーセットを用いて試料について増幅反応させることと、
前記増幅により生じた反応産物と、
(1)配列番号127および配列番号128;
(2)配列番号131、配列番号132および配列番号133;
(3)配列番号136および配列番号139;
(4)配列番号137および配列番号138;
(5)配列番号140、配列番号141、配列番号142、配列番号143、配列番号144、配列番号145、配列番号146、配列番号147、配列番号148、配列番号149および配列番号150;
(6)配列番号61、配列番号62、配列番号69、配列番号70、配列番号77、配列番号78、配列番号85、配列番号86、配列番号93、配列番号94、配列番号101、配列番号102、配列番号109、配列番号110、配列番号117、配列番号118、配列番号125および配列番号126;並びに
(7)前記(1)〜(6)に記載の配列の相補配列;
によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる核酸プローブ群から少なくとも1種類選択される核酸プローブ群とを反応させることと、
前記反応の結果から、試料に存在するマイコプラズマを検出および/または分類することと
を特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、前記核酸プローブ群が基体に固定されていることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−60925(P2012−60925A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−207252(P2010−207252)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】