説明

マクロファージエラスターゼの阻害剤としての5−[3−(4−ベンジルオキシフェニルチオ)−フラ−2−イル]−イミダゾリジン−2,4−ジオン及び類似体

マクロファージエラスターゼの阻害剤として有用な、5−〔3−(4−ベンジルオキシフェニルチオ)−フラ−2−イル〕−イミダゾリジン−2,4−ジオン及びその類似体が開示される。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(関係する出願)
この出願は、2004年8月19日に出願された米国仮特許出願第60/602,736号からの優先権を主張し、該出願の全部の内容が参照として本明細書中に明白に取り込まれる。
【0002】
(発明の背景)
(1.発明の分野)
本発明は、マトリックスメタロプロテアーゼに付随する病気の治療における、これら酵素の阻害剤として使用できる新規の化合物に向けられる。
【0003】
(2.関係する技術の説明)
マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)は、近年においてその数が劇的に増加しているプロテアーゼのスーパーファミリーである。これらは、結合組織の制御されていない崩壊において重要であると考えられており、当該崩壊は、いくつかの疾病過程、例えば関節リウマチ、変形性関節症、胃潰瘍、ぜんそく、気腫及び腫瘍転移に関係する。従って、1以上のMMPの阻害剤が、これらの病気において利点となり得る。
ヒトマクロファージエラスターゼ(MMP−12)は、他のMMPの全ての特性を示すが、損傷又はリモデリングが起こっている組織に対して湿潤するマクロファージから優先的に生成され、細胞外マトリックスを分解する。気腫が発症している間のMMP−12のレベルの増加の実証は、この酵素の重大な役割を示唆する。同様に、MMP−12ノックアウトマウスモデルは、たばこの煙に対する長期間にわたる曝露により、気腫が全く進行しないことも実証した(Science,1997,277:2002−2004)。より最近では、ぜんそくのMMP−12欠損モデルを使用して、本発明者が、慢性ぜんそくの進行において、MMP−12の関与を示唆した(FASEB,2002,16:A590)。これらの結果は、MMP−12の阻害剤が、肺の病気、例えば慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気腫及びぜんそくの治療において非常に有用であろう事を暗示する。
【0004】
MMP−12は、喫煙者の肺胞のマクロファージから(Shapiro et al,1993, Journal of Biological Chemistry,268:23824)、アテローム領域における泡沫細胞において(Matsumoto et al,1998,Am J Pathol 153:109)、及び腎炎のラットモデルにおいて (Yoshikatsu Kaneko et al,2003 J Immuol 170:3377)分泌されることが見出されている。MMP−12が冠動脈疾患において役割を果たす事も示された(Sofia Jormsjo et al,2000, Circulation Research,86:998)。これら観察結果は、MMP−12がこれら病気の治療の標的となり得ることを示唆した。
【0005】
多くの病気におけるMMP−12の関与を考慮して、その阻害剤の調製が試みられてきた。多くのMMP−12阻害剤が知られている(例えば公開されたPCT特許出願第WO 00/40577号;EP 1 288 199 A1号,2001,Shionogi & Co. MMP−12 Inhibitor;米国特許第6,352,9761号及び 米国特許出願公開第2004/0072871号;公開された欧州特許出願第EP1394159号を参照されたい)。最近この分野において開示された、MMP阻害剤の新規なクラスが存在する。公開されたPCT特許出願第WO 02/096426号は、以下の式のヒダントイン誘導体を記載し:
【化1】

ここで、置換基R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR11は、広く定義されている。該誘導体は、MMP阻害剤として、特にTACE及びアグレカナーゼに対して活性であるが、実証された生物学的なデータは全く存在しなかった。これら誘導体の構造の特徴は、ヒダントイン環とその側鎖の間のスピロ結合である。
【0006】
米国特許出願公開第2004/0067996号及び公開されたPCT特許出願第WO2004/108086号は、以下の式の同様のヒダントイン誘導体を記載し:
【化2】

ここで、R1、R4、R5及びR11は同様に広く定義された。これら2つの特許における誘導体は、大まかに言えば、メタロプロテアーゼの阻害剤、特にTACE及びアグレカナーゼに対する阻害剤であることが述べられている。やはり、実証された生物学的なデータは全く存在しなかった。
【0007】
公開されたPCT特許出願第WO02/074752号は、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤としてのヒダントイン誘導体の合成を記載する。これらは、以下の一般式を有するMMP阻害剤としての一連のヒダントイン誘導体の最初のものであり:
【化3】

ここでY1、Y2、R6、B及びGは充分に定義されている。これら化合物は、MMP阻害活性を示し、及びこれらのいくつかはMMP−12阻害剤の効能があることが発見されたと一般的に述べられたが、詳細に提供された生物学的なデータは全く存在しなかった。
【0008】
他の公開されたPCT特許出願第WO2004/020415号は、以下の式のMMP−12阻害剤の群を開示し:
【化4】

ここでR1、R2、R3、X、Y、Z1、Z2、L及びGは充分に定義されている。いくつかの化合物のIC50値が提供されているが、詳細な選択性のデータは欠けている。
ヒダントイン誘導体は、MMP阻害剤の新規なクラスである。向上した特異性、有効性及び薬理学的な特性を有する、このクラスのさらなる新規な化合物を発見することが望ましい。
【0009】
(本発明の概要)
本発明において、我々は、以下の式(IV)のヒダントイン誘導体の新規の群を提供し:
【化5】

(IV)
ここでRは以下を意味する:
フェニル−(IVa)、
4−ベンジルオキシフェニル−(IVb)、
4−ビフェニル−(IVc)、
4−メトキシフェニル−(IVd)、
3−メトキシフェニル−(IVe)、
2−メトキシフェニル−(IVf)、
3,5−ジメトキシフェニル−(IVg)、
4−クロロフェニル−(IVh)、
3−クロロフェニル−(IVi)、
2−クロロフェニル−(IVj)、
4−メチルフェニル−(IVk)、
3−メチルフェニル−(IVo)、
2−メチルフェニル−(IVp)、又は
3−トリフルオロメチルフェニル−(IVq)。
【0010】
式(IV)の化合物は、MMP−12阻害剤であり、かつMMP−12により媒介される病気又は状態、例えばぜんそく、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、関節炎、ガン、心臓疾患及び腎炎の治療において使用できる。
本発明を特徴付ける種々の新規の特性は、添付されかつ公開の一部分を形成する請求の範囲において、詳細に指摘される。本発明、それを実施することの利点、及びその使用により達成される明確な目標をよりよく理解するためには、本発明の好ましい態様が説明され及び記載された図面及び記述的事項を参照すべきである。
【0011】
(現時点で好ましい態様の詳細な説明)
(本発明の化合物の調製)
化学薬品の入手可能性、及び反応条件の容易性に基づいて、本発明の化合物は、以下に及び図1に示される合成の一般的な図式に述べられる方法を用いて合成された。これらの方法は、本明細書において例示としてのみ表され、本発明を制限するために表されるものではない。
【0012】
(一般的な手順)
1HNMRが、Bruker AC300器具に基づいて記録された。クロロホルム−d(7.27ppm)及びジメチルスルホキシド−d6(2.50ppm)が、内部基準として使用された。質量スペクトルが、Turbo Ion Spray質量分光計(Sciex API4000)により得られた。カラムクロマトグラフィーを、EMDシリカゲル60を用いて行った。薄層クロマトグラフィーを、シリカゲル60F254s(調製用500μm)及びJ.T.Baker’s Baker−flexシリカゲルIB2−F(分析用)を用いて行った。化合物の純度を、Shimadzu HPLCシステムを用いて解析した。全ての試薬及び溶媒は実験室グレードであり、そのまま使用した。
【0013】
3−ブロモフラン−2−カルボキシアルデヒド(I)の調製:
THF(4ml)中の新たに調製したLDA(6.80mmol)の溶液に対して、THF(5ml)中の3−ブロモフラン(1.00g、6.80mmol)をゆっくりと−78℃で添加した。15分の攪拌後、THF(2ml)中のDMF(0.56ml、7.20mmol)を滴下して添加した。結果得られた混合物を、−78℃で1時間攪拌し、次いで室温まで放置した。該反応を水を用いて急冷し、次いでEtOAc(2×50ml)を用いて抽出した。合わせた有機抽出液を、H2O、塩水を用いて洗浄し、及び乾燥(MgSO4)した。減圧下で溶媒を除去した後、該残渣のカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、EtOAc/ヘキサン、20:80)が、油としての標記の化合物を与え(0.49g、41%)、該油は冷却に伴い固形化するであろう。
MS: (M+H)+=175,177。
HNMR: 9.74−9.72(1H,d),7.64−7.63(1H,m),6.675−6.66(1H,d)。
【0014】
3−(4−ヒドロキシフェニル)チオ−フラン−2−カルボキシアルデヒド(II)の調製:
100mlのTHF中の4−メルカプトールフェノール(5g、40mmol)の溶液に対して、水素化ナトリウム(2.5g、104mmol)をゆっくりと添加した。該混合物を10分間攪拌し、次いで4.4g(25mmol)の3−ブロモフラン−2−カルボキシアルデヒドをゆっくりと添加した。該反応混合物を5時間攪拌し、次いで該生成物をEtOAcを用いて抽出した。該抽出液をMgSO4を用いて乾燥した。EtOAcをロータリーエバポレーターで除去した。該残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー、次いで結晶化により精製し、4.2gの標記の化合物を得た。
MS: (M+H)+=221。
HNMR: 9.77−9.757(1H,S),7.495−7.485(1H,d),7.47−7.417(2H, m),6.925−6.822(2H,m),6.082−6.067(1H,d),5.6−5.5(1H,s)。
【0015】
R−CH2−置換された3−(4−ヒドロキシフェニル)チオ−フラン−2−カルボキシアルデヒド(III)の調製:
40mlのアセトニトリル中のRCH2X(5.1mmol)、3−(4−ヒドロキシフェニル)チオ−フラン−2−カルボキシアルデヒド(600mg、2.7mmol)及び炭酸カリウム(1.5g、10.9mmol)の混合物を、3−7時間還流し、生成物をEtOAcを用いて抽出した。EtOAcを除去した後、該残渣を再結晶又はシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、標記の化合物IIIを得た。
【0016】
化合物IVの調製:
閉管中のIII(0.3mmol)、260mgの(NH42CO3、33mgのKCN、2mlのEtOH及び1mlのH2Oの混合物を、60−70℃で20時間加熱した。次いで、該反応混合物を、EtOAcを用いて抽出した。EtOAcを除去した後、該残渣を薄層クロマトグラフィーにより精製し、次いで再結晶した。最終生成物は、全て右に示した分子量及びNMRスペクトルを示した。
【0017】
IVa、5−[3−(4−ベンゾオキシフェニルチオ)フラ−2−イル]イミダゾリン−2,4−ジオン
MS: (M+H)+=381.5
HNMR: 11.06−10.95(1H,s),8.44−8.32(1H,s),7.83−7.75(1H,d),7.51−7.30(5H,m),7.30−7.20(2H,m),7.05−6.92(2H,m),6.55−6.45(1H,d),5.52−5.42(1H,d),5.16−5.01(2H,s)。
【0018】
IVb、5−{3−[4−(4−ベンジルオキシベンジルオキシ)フェニルチオ]フラ−2−イル}イミダゾリジン−2,4−ジオン
MS: (M−H)-=485.8
HNMR: 11.02−11.00(1H,s),8.39−8.365(1H,d),7.79−7.775(1H,d),7.47−7.24(8H m),7.04−6.94(4H,m),6.495−6.48(1H,d),5.475−5.462(1H,d),5.12−5.09(2H,s),and5.000−4.975(2H,s)。
【0019】
IVc、5−{3−[4−(4−ビフェニルメトキシ)フェニルチオ]フラ−2−イル}イミダゾリン−2,4−ジオン
MS: (M−H)-=455.0
HNMR: 5−{3−[4−(4−ビフェニルメトキシ)フェニルチオ]フラ−2−イル}イミダゾリジン−2,4−ジオン(QPS021),11.07−10.98(1H,s),8.40−8.36(1H,s),7.81−7.77(1H,d),7.74−7.62(4H,m),7.58−7.32(5H,m),7.32−7.25(2H,m),7.05−6.95(2H,m),6.53−6.48(1H,d),5.50−5.45(1H,d),5.17−5.13(2H,s)。
【0020】
IVd、5−{3−[4−(4−メトキシベンジルオキシ)フェニルチオ]フラ−2−イル}イミダゾリジン−2,4−ジオン
MS: (M−H)-=409.0
HNMR: 11.09−10.91(1H,s),8.40−8.36(1H,s),7.79−7.75(1H,d),7.42−7.23(4H,m),7.00−6.90(4H,m),6.53−6.48(1H,d),5.56−5.41(1H,d)5.08−4.88(2H,s),3.84−3.62(3H,s)。
【0021】
IVe、5−{3−[4−(3−メトキシベンジルオキシ)フェニルチオ]フラ−2−イル}イミダゾリジン−2,4−ジオン
MS: (M−H)-=409.0
HNMR: 11.03−10.98(1H,s),8.44−8.31(1H,s),7.84−7.74(1H,d),7.36−7.21(3H,m),7.06−6.93(4H,m),6.92−6.85(1H,m),6.54−6.46(1H,d),5.52−5.43(1H,d),5.11−5.00(2H,s),3.81−3.69(3H,s)。
【0022】
IVf、5−{3−[4−(2−メトキシベンジルオキシ)フェニルチオ]フラ−2−イル}イミダゾリジン−2,4−ジオン
MS: (M−H)-=409.0
HNMR: 11.04−10.97(1H,s),8.40−8.36(1H,s),7.81−7.77(1H,d),7.40−7.24(4H,m),7.08−6.92(4H,m),6.52−6.48(1H,d),5.50−5.46(1H,d),5.05−5.02。
【0023】
IVg、5−{3−[4−(3,5−ジメトキシベンゾオキシ)フェニルチオ]フラ−2−イル}イミダゾリン−2,4−ジオン
MS: (M−H)-=439.0
HNMR: 11.04−10.96(1H,s),8.41−8.34(1H,s),7.82−7.75(1H,d),7.31−7.22(2H,d),7.02−6.92(2H,d),6.62−6.54(2H,d),6.53−6.46(1H,d),6.46−6.39(1H,t),5.50−5.44(1H,d),5.06−4.97(2H,s),3.80−3.66(6H,s)。
【0024】
IVh、5−{3−[4−(4−クロロベンジルオキシ)フェニルチオ]フラ−2−イル}イミダゾリジン−2,4−ジオン
MS: (M−H)-=413.0, 415.0
HNMR: 11.09−10.95(1H,s),8.49−8.27(1H,s),7.80−7.78(1H,d),7.47−7.42(4H,s),7.33−7.23(2H,d),7.00−6.95(2H,d),6.53−6.48(1H,d),5.50−5.45(1H,d),5.13−5.08(2H,s)。
【0025】
IVi、5−{3−[4−(3−クロロベンジルオキシ)フェニルチオ]フラ−2−イル}イミダゾリジン−2,4−ジオン
MS: (M−H)-=413.0, 415.0
HNMR: 11.05−10.94(1H,s),8.45−8.31(1H,s),7.82−7.75(1H,d),7.53−7.35(4H,m),7.32−7.22(2H,m),7.05−6.93(2H.m),6.54−6.44(1H,d),5.52−5.42(1H,d),5.18−5.03(2H,s)。
【0026】
IVj、5−{3−[4−(2−クロロベンジルオキシ)フェニルチオ]フラ−2−イル}イミダゾリジン−2,4−ジオン
MS: (M−H)-=413.0, 415.0
HNMR: 11.05−10.96(1H,s),8.42−8.33(1H,s),7.84−7.74(1H,d),7.63−7.35(4H,m),7.33−7.24(2H,m),7.06−6.95(2H,m),6.54−6.48(1H,d),5,51−5.45(1H,d),5.18−5.08(2H,s)。
【0027】
IVk、5−{3−[4−(4−メチルベンジルオキシ)フェニルチオ]フラ−2−イル}イミダゾリジン−2,4−ジオン
MS: (M−H)-=393.0
HNMR: 11.04−10.96(1H,s),8.84−8.34(1H,s),7.82−7.76(1H,d),7.36−7.14(6H,m),7.02−6.92(2H,m),6.51−6.46(1H,d),5.50−5.43(1H,d),5.06−4.99(2H,s),2.34−2.24(3H,s)。
【0028】
IVo、5−{3−[4−(3−メチル−ベンジルオキシ)フェニルチオ]フラ−2−イル}イミダゾリジン−2,4−ジオン
MS: (M−H)-=393.0
HNMR: 11.04−10.97(1H,s),8.41−8.34(1H,s),7.82−7.76(1H,d),7.35−7.10(6H,m),7.02−6.93(2H,m),6.52−6.46(1H,d),5.50−5.44(1H,s),5.08−5.00(2H,s),2.34−2.28(3H,s)。
【0029】
IVp、5−{3−[4−(2−メチル−ベンジルオキシ)フェニルチオ]フラ−2−イル}イミダゾリジン−2,4−ジオン
MS: (M−H)-=393.0
HNMR: 11.04−10.97(1H,s),8.43−8.34(1H,s),7.82−7.76(1H,d),7.42−7.34(1H,d),7.33−7.15(5H,m),7.06−6.97(2H,m),6.54−6.48(1H,d),5.51−5.44(1H,d),5.11−5.02(2H,s),2.35−2.27(3H,s)。
【0030】
IVq、5−{3−[4−(3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)フェニルチオ]フラ−2−イル}イミダゾリジン−2.4−ジオン
MS: (M−H)-=447.0
HNMR: 11.03−10.97(1H,s),8.40−8.33(1H,t),7.85−7.59(6H,m),7.34−7.21(2H,m),7.05−6.97(2H,m),6.51−6.48(1H,d),5.48−5.46(1H,d),5.30−5.24(1H,d),5.22−5.16(2H,s)。
【0031】
上記列挙した全ての化合物は、異なる効力を有するMMP−12阻害活性(全てのIC50が0.3μMよりも低い)、及び以下に述べるようなMMPアッセイにより決定された他のMMPに対する選択性を示した。
【0032】
(MMP阻害アッセイ)
MMPの酵素活性が、製品の手順に従って検査された(Biomol Reseaerch Laboratory,Inc.e-mail:info@biomol.com)。全ての酵素は、E.coli(Biomol)からの組み換えヒト活性ドメインである。蛍光基質は、(7−メトキシクマリン−4−イル)アセチル−Pro−Leu−Gly−Leu−N−3−(2,4−ジニトロフェニル)−L−α,β−ジアミノプロピオニル−Ala−Arg−NH2.AcOHの配列を有する。全てのアッセイは、室温で96ウェル平底ブラックプレート (Nalge Nunc International, Catalog number, 465200)を用いて行なわれた。簡単に述べると、89μlのアッセイバッファー(50mM Hepes、10mMCaCl2、0.05% Brij35、pH7.5)中における一定量の酵素を、阻害剤(一組あたり7濃度、1μl中のDMSO、又は1μlDMSOのみ)を用いて又は用いずに20分間インキュベートした。次いで、酵素反応を、基質(10μlのアッセイバッファー中の40μM及び最終的な基質の濃度は4μM)の添加により開始した。該活性は、Ex/Em=328nm/393nmでの蛍光発光の測定により決定され、及び2時間の間直線状であった。該蛍光発光を、0及び20又は40分で読み取った。0時間で読み取られた数値は、バックグラウンドとして見なされ、最終的に読み取られた数値から引かれる。IC50は、Prism softwareを用いた各アッセイの阻害剤の濃度に対する蛍光発光をプロットすることにより得られた。得られたIC50は、0.007μMから0.26μMで変動する。メカニズムの研究は、阻害剤が競合的であることを明らかにする。競合的阻害剤のため:
Ki=IC50/(1+[S]/Km)。
【0033】
アッセイ条件において、[S](4μM)は、Km(MMP−12に対して20μM)よりもより小さい。従って、KiはIC50/1.2に等しく、これはIC50よりもわずかに小さく、又はおおよそIC50に等しい。
以下の表に示すように、上記アッセイにおいて試験された全ての化合物は、望ましい活性及び好ましい選択性特性を示した。MMP−12に基づくIC50が、1−300nMの範囲に入り、従って、これらは全て活性であると考えられる。上記化合物のほとんどが、MMP−1及びMMP−7に対して10μMで阻害を示さなかった。MMP−2、MMP−3、MMP−9及びMMP−13に対するMMP−12のこれらの選択性は、50から1000倍で変動する。
【0034】
【表1】

【0035】
本発明は、例としてのみ表された上記の態様により制限されず、添付した特許請求の範囲により定義された保護の範囲内で、種々の方法において変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1は、本発明の化合物の合成に関する反応式を説明する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式(IV)の化合物、又はその医薬品として許容される塩;
【化1】

IV
ここで、Rは以下から成る群より選択される:フェニル、4−ベンジルオキシフェニル、4−ビフェニル、4−メトキシフェニル、3−メトキシフェニル、2−メトキシフェニル、3,5−ジメトキシフェニル、4−クロロフェニル、3−クロロフェニル、2−クロロフェニル、4−メチルフェニル、3−メチルフェニル、2−メチルフェニル及び3−トリフルオロメチルフェニル。
【請求項2】
Rが4−メトキシフェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
以下の式(IV)の化合物又はその医薬品として許容される塩を含む医薬品組成物:
【化2】

IV
ここで、Rは以下から成る群より選択される置換基である:フェニル,4−ベンジルオキシフェニル、4−ビフェニル、4−メトキシフェニル、3−メトキシフェニル、2−メトキシフェニル、3,5−ジメトキシフェニル、4−クロロフェニル、3−クロロフェニル、2−クロロフェニル、4−メチルフェニル、3−メチルフェニル、2−メチルフェニル及び3−トリフルオロメチルフェニル。
【請求項4】
Rが4−メトキシフェニルである、請求項3に記載する組成物。
【請求項5】
以下の式(IV)の化合物又はその医薬品として許容される塩の治療効量を、患者に対して投与することを含む、MMP−12により媒介される病気又は状態の治療方法:
【化3】

IV
ここで、Rは以下から成る群より選択される置換基である:フェニル、4−ベンジルオキシフェニル、4−ビフェニル、4−メトキシフェニル、3−メトキシフェニル、2−メトキシフェニル、3,5−ジメトキシフェニル、4−クロロフェニル、3−クロロフェニル、2−クロロフェニル、4−メチルフェニル、3−メチルフェニル、2−メチルフェニル及び3−トリフルオロメチルフェニル。
【請求項6】
Rが4−メトキシフェニルである、請求項5に記載する方法。

【図1】
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【公表番号】特表2008−510701(P2008−510701A)
【公表日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−527975(P2007−527975)
【出願日】平成17年8月17日(2005.8.17)
【国際出願番号】PCT/US2005/029259
【国際公開番号】WO2006/023562
【国際公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(507044479)クエスト ファーマシューティカル サーヴィシーズ (2)
【Fターム(参考)】