説明

マグネシウム合金

【課題】薄板、溶接棒、押出成形品及び/又はダイカスト成形品及びダイカスト構成部材の製造に適するマグネシウム合金、即ち良好な加工性、高い耐蝕性、改善された溶接性、高い降伏点並びに良好な冷間成形性を有するマグネシウム合金を提供する。
【解決手段】以下の組成のマグネシウム合金;マンガン1.5〜2.2、セリウム0.5〜2.0、ランタン0.2〜2.0。ただし、単位は合金の重量百分率(重量%)でありそして100重量%の内の合金の残りの成分はマグネシウム並びに製造に由来する不純物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工業的用途のためのマグネシウム合金並びに射出成形された半製品或いは構造部材並びに薄板を製造するための用途に関する。
【0002】
マグネシウム合金は自動車工業において、自動車工業において、航空工学及び航空宇宙工学又は他の軽量構造部材で使用される軽量構造材料である。
【0003】
マグネシウム合金は、非常に良好な強度特性及び小さい比重の他に、金属構造材料として中でも自動車及び飛行機の製作で興味が持たれている。
【0004】
正に自動車製作においては、快適さの基準及び安全性の基準の増大のために追加的な要素が組み入れられるので、重量を軽減することが必要とされている。エネルギーを節約する自動車の構造にとって軽量構造部材は重要である。マグネシウム材料を加工する場合、ダイカストによる原型の製造並びに射出成形、鍛造、圧延、延伸又は深絞り加工による成形が益々重要になっている。これらの方法で、特に自動車の構成において需要が増加している軽量構造部材が製造されている。
【0005】
ドイツ特許第806,055号明細書からは、希土類金属の群からの0.5〜10%の金属、残量のマグネシウムで組成されるマグネシウム合金が公知であり、ただし該希土類は少なくとも50%まで、好ましくは少なくとも75%までネオジムであり、最高25%までがランタン及びセリウム(別々又は一緒)、及び残りとしてのプレセオジム及び少量のサマリウム及び痕跡量のイットリウムの群の元素で組成されており、そのとき、マンガン、アルミニウム、カルシウム、トリウム、水銀、ベリリウム、亜鉛、カドミウム及びジルコニウムよりなる群の元素の1種類又は複数種が添加されていることが前提とされる。
【0006】
ドイツ特許出願公開第4,208,504A1号明細書からは、2〜8%の希土類金属を含有しているマグネシウム合金が公知であり、この場合には、希土類金属はサマリウムよりなる。
【0007】
主成分のマグネシウムの他にマンガン、及びsp−金属の群の別の元素及び/又はアルミニウム、銅、鉄、ニッケル、カルシウム等を含有する別の合金が、例えばドイツ特許出願公開第199 15 276A1号明細書、同第196 38 764A1号明細書、ドイツ特許第679,156号明細書、同第697 04 801T2号明細書、ドイツ特許出願公開第44 46 898A1号明細書から公知である。
【0008】
公知のマグネシウム合金は色々な欠点を有している。
【0009】
カルシウムの存在は、早い冷却速度を用いる鋳造法、例えば射出成形のときに鋳造後の高温割れを生じさせる。マグネシウム−アルミニウム−亜鉛−マンガン−あるいはマグネシウム−アルミニウム−マンガンを含有する合金の場合に高温での強度が低下する。
【0010】
総合的には成形挙動、溶接性又は耐蝕性が悪化する。
【0011】
慣用のマグネシウム合金の冷間成形性は六方晶系結晶構造及び低い延性のために制限されている。殆どのマグネシウム合金は室温において脆弱な性質を示す。マグネシウム合金よりなる半製品を製造する特定の加工法のためには、高い引張り強度の他に延性挙動も必要とされる。高い延性によって、改善された成形性及び変形挙動が可能であり、同様に高い強度及び強靱性も可能である。公知のマグネシウム合金の多くは非常に色々な性質を造り出す状況にある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は、薄板、溶接棒、押出成形品及び/又はダイカスト成形品及びダイカスト構成部材の製造に適するマグネシウム合金、即ち良好な加工性、高い耐蝕性、改善された溶接性、高い降伏点並びに良好な冷間成形性を有するマグネシウム合金を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、この課題は以下の組成のマグネシウム合金によって解決される;
マンガン 1.5〜2.2
セリウム 0.5〜2.0
ランタン 0.2〜2.0
ただし、単位は合金の重量百分率(重量%)でありそして100重量%の内の合金の残りの成分はマグネシウム並びに製造に由来する不純物である。
【0014】
このマグネシウム合金は少なくとも140MPaの降伏点Rp0.2を有し並びに広い温度範囲内での良好な強度特性及び成形性に十分に高いクリープ抵抗を有する。
【0015】
本発明のマグネシウム合金は、薄板、半製品又は押出成形品及び/又はダイカスト成形品及びダイカスト構成部材の製造に並びに溶接棒の製造に使用できる。この合金からは特別な部材、好ましくは自動車構造部材、列車構成部材、船舶構成部材及び航空機構成部材、例えば座席枠、窓枠又はドア枠、自動車外壁、ケーシング、キャリヤー、クリップ、支え棒及び他の小部材を製造するのに使用することができる。
【0016】
本発明のマグネシウム合金の特に有利な組成は、97%のマグネシウム、1.8%のマンガン、0.6%のセリウム及び0.4%のランタンという構成成分よりなり、残りが製造に由来する不純物である場合である。
【0017】
この組成の合金は良好な耐蝕性、改善された冷間成形性、小さい熱間クリープ挙動並びに高い降伏点に特徴がある。
【0018】
このマグネシウム合金は、薄板、射出成形品及び/又はダイカスト成形品及びダイカスト構成部材の製造に並びに溶接棒の製造に特に使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の組成のマグネシウム合金;
マンガン 1.5〜2.2
セリウム 0.5〜2.0
ランタン 0.2〜2.0
ただし、単位は合金の重量百分率(重量%)でありそして100重量%の内の合金の残りの成分はマグネシウム並びに製造に由来する不純物である。
【請求項2】
少なくとも140MPaの降伏点Rp0.2を有する、請求項1のマグネシウム合金。
【請求項3】
マグネシウム合金を押出成形及び/又はダイカスト成形及びダイカスト構造部材の製造に用いる、請求項1又は2に記載のマグネシウム合金。
【請求項4】
マグネシウム合金を引抜き加工された溶接棒を製造するために用いる、請求項1又は2に記載のマグネシウム合金。

【公開番号】特開2011−42847(P2011−42847A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−192781(P2009−192781)
【出願日】平成21年8月24日(2009.8.24)
【出願人】(509238122)
【Fターム(参考)】