説明

マグネット部材の固定構造及びそれを備えた画像形成装置

【課題】がたつきの発生を簡便且つ効果的に抑制できるマグネット部材の固定構造、及びそれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】マグネットホルダ50の保持部50aの両側には第1固定片51及び第2固定片52が一体形成されている。第1固定片51はホルダ取付面53a方向に弾性変形した状態でホルダ保持台53の上面に突設された係合部57に係合し、第2固定片52はホルダ固定ビス59によりホルダ保持台53に締結されている。第1固定片51には上向き(ホルダ取付面53aから離間する方向)の復元力が作用して係合部57の下面57aに圧接されるため、第1固定片51と係合部57との間でがたつきが生じるおそれはなくなる。また、第2固定片52にも同様に上向きの復元力が作用するため、ホルダ固定ビス59の緩みを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置本体の外装部材の一部が開閉可能な画像形成装置等の電子機器或いはキャビネット等の開閉カバーを閉状態で保持するマグネット部材の固定構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、FAX等の電子写真方式を用いる画像形成装置においては、帯電装置により感光体ドラム等の像担持体表面を一様に帯電させ、露光装置からの露光(光照射)により像担持体上に形成された静電潜像を現像装置によって可視化し、そのトナー像を記録媒体上に転写した後、定着装置により定着処理を行うプロセスが一般的である。
【0003】
このような画像形成装置においては、例えば廃トナー回収タンク等の交換部品を交換したり、帯電ユニットの清掃や装置内部の保守点検を行ったりする必要がある。そのため、装置の外装部材の一部を開閉可能なカバー部材(以下、開閉カバーという)としている。そして、装置本体または開閉カバーの対向面のいずれか一方にマグネットを固定し、他方に鉄板等の磁性体から成るマグネットキャッチを固定することで、磁力により開閉カバーを閉状態で保持する機構が広く採用されている。
【0004】
上記の構成では、マグネットは樹脂製のマグネットホルダに保持された状態で装置本体または開閉カバーに固定される。マグネットホルダの固定方法としては、マグネットホルダをビスで固定する方法が一般的である。しかし、マグネットホルダをビス固定する場合、ビスの緩みによりマグネットホルダのがたつきが発生するという問題点があった。
【0005】
そこで、マグネットホルダのがたつきを抑制する固定方法が種々提案されており、例えば特許文献1及び2には、マグネットホルダの弾性変形を利用したスナップフィット方式の取付方法が開示されている。一方、特許文献3には、マグネットキャッチ側の取付方法として、長穴と1本のビスによりマグネットキャッチの位置調整を可能とした画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−13846号公報
【特許文献2】特開2006−47772号公報
【特許文献3】特開2002−271052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1及び2の方法では、部材の寸法公差や経時変化等によりマグネットホルダにがたつきが生じるおそれがあった。
【0008】
また、特許文献3の構成では、マグネットキャッチの一端に回転止めが形成されており、この回転止めがマグネットキャッチを固定するステーの嵌合穴に嵌合することでビスを螺入する際のマグネットキャッチの回転を防止している。そして、この回転止めは開閉カバーを開閉する際にマグネットの磁力によりマグネットキャッチが手前に持って行かれるのを防止する役割も果たしている。しかし、特許文献3の構成においても部材の寸法公差を考慮して回転止めと嵌合穴とのクリアランスが設けられるため、クリアランス分のがたつきが発生してしまう。
【0009】
なお、ここでは画像形成装置の開閉カバーを例に挙げて説明したが、マグネット及びマグネットキャッチで閉状態に保持される開閉カバーを備えた他の電子機器や、キャビネット等の収納具においても同様の問題があった。
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑み、がたつきの発生を簡便且つ効果的に抑制できるマグネット部材の固定構造、及びそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明は、装置本体または該装置本体に支持される開閉カバーのいずれかに固定され、開閉カバーを閉状態で保持するためのマグネット部材の固定構造であって、前記マグネット部材は、マグネット体と該マグネット体を保持する弾性変形可能な樹脂で形成されたマグネットホルダとを有し、前記マグネットホルダの両端にはホルダ取付面に形成された係合部に係合される第1固定片と、前記ホルダ取付面にビス固定される第2固定片とが一体形成されており、前記第1固定片が、前記ホルダ取付面方向に弾性変形した状態で前記係合部に係合することを特徴としている。
【0012】
また本発明は、上記構成のマグネット部材の固定構造において、前記ホルダ取付面には前記係合部に対向する部分に凹部が形成されており、前記係合部と前記凹部との隙間は前記第1固定片の厚みよりも大きく、且つ前記係合部と前記ホルダ取付面との隙間は前記第1固定片の厚みよりも小さいことを特徴としている。
【0013】
また本発明は、上記構成のマグネット部材の固定構造において、前記第1固定片の厚みは前記係合部と前記ホルダ取付面との隙間に略等しく、且つ前記第1固定片は先端が前記ホルダ取付面から離間する方向に傾斜していることを特徴としている。
【0014】
また本発明は、上記構成の固定構造により前記マグネット部材が前記装置本体または前記開閉カバーの一方に固定され、前記マグネット部材に吸着されるマグネットキャッチが他方に固定された画像形成装置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の第1の構成によれば、第1固定片の弾性変形により第1固定片にホルダ取付面から離間する方向の復元力が作用するため、弾性部材等を用いることなく第1固定片を係合部に圧接してマグネット部材のがたつきを効果的に抑制することができる。また、第2固定片に1本のビスを締結するだけでマグネット部材が固定されるため、組み立て工数及び部品点数を削減可能となる。
【0016】
また、本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成のマグネット部材の固定構造において、ホルダ取付面の係合部に対向する部分に凹部を形成し、係合部と凹部との隙間を第1固定片の厚みよりも大きく、且つ係合部とホルダ取付面との隙間を第1固定片の厚みよりも小さくすることにより、第1固定片を係合部とホルダ取付面との間に挿入して第2固定片をビス固定するだけで簡単に第1固定片を弾性変形させることができる。
【0017】
また、本発明の第3の構成によれば、上記第1の構成のマグネット部材の固定構造において、第1固定片の厚みを係合部とホルダ取付面との隙間に略等しく、且つ第1固定片を先端がホルダ取付面から離間する方向に傾斜させることにより、第1固定片を係合部とホルダ取付面との間に挿入して第2固定片をビス固定するだけで簡単に第1固定片を弾性変形させることができる。
【0018】
また、本発明の第4の構成によれば、上記第1乃至第3のいずれがの構成のマグネット部材の固定構造を用いてマグネット部材を装置本体または開閉カバーの一方に固定し、他方にマグネット部材に吸着されるマグネットキャッチを固定することにより、マグネット部材のがたつきが発生せず開閉カバーの良好な開閉性が得られる画像形成装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の画像形成装置の全体構成を示す概略断面図
【図2】本発明の画像形成装置の外観斜視図
【図3】開閉カバーを装置内部側から見た斜視図
【図4】図3における破線円S内の部分拡大図
【図5】本発明の第1実施形態に係るマグネット部材の固定構造を示す斜視図
【図6】第1実施形態に係るマグネット部材の固定構造を示す正面断面図
【図7】第1実施形態においてマグネット部材の第1固定片を係合部の下方に挿入した状態を示す側面図
【図8】図7におけるAA′断面図
【図9】本発明の第2実施形態に用いられるマグネット部材の正面断面図
【図10】第2実施形態においてマグネット部材の第1固定片を係合部の下方に挿入した状態を示す部分断面図
【図11】第2実施形態に係るマグネット部材の固定構造を示す正面断面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の画像形成装置の構成を示す概略断面図である。なお、ここではモノクロ複写機について示している。図1に示すように、画像形成装置100の装置本体1内部には、画像形成部2、定着装置3、給紙トレイ4a、4b、4c、操作部5、画像読取部6、用紙搬送路7等の種々の装置が内蔵されており、装置本体1の上部には、載置された複数の原稿を連続的に自動搬送できる原稿搬送装置8が搭載されている。一方、装置本体1の側面には、図1の右方に手差し給紙トレイ4dが、左方に排出トレイ9が設けられている。
【0021】
定着装置3は、加熱ローラ10と加圧ローラ11の2つのローラを備えた熱ローラ方式のものを用いている。加熱ローラ10は、例えば、熱伝導性に優れた金属から成る円筒形状の芯金内に、電源に接続されたヒータを内蔵し、その芯金の外周に弾性層が形成される。一方、加圧ローラ11は、芯金の外周に弾性層が形成されていて、補助的に芯金内にヒータが内蔵されることがある。また、これらの加熱ローラ10、加圧ローラ11の表面には、例えばフッ素樹脂による被膜が設けられ、離型性が高められている。
【0022】
そして、これらのローラは圧接されてニップ(定着ニップ部)を形成している。そして、後述する画像形成部2でトナー像が転写された用紙Pが定着ニップ部を通過すると、トナー及び用紙Pが加圧・加熱され、トナー像が用紙Pに定着する。定着装置3における加熱ローラ10と加圧ローラ11は駆動装置(不図示)によって所定のプロセススピードで回転駆動される。なお、2つのローラのうち一方が他方に従動するようにしてもよい。また、熱ローラ方式の定着装置3に代えて、定着ベルトを用いるベルト式の定着装置を採用してもよい。
【0023】
画像形成装置100には、例えばA4サイズの用紙Pを収納する大容量の給紙カセット4aと、B5サイズ、A3サイズ等の異なるサイズの用紙Pを収納する給紙カセット4b、4cから成る給紙カセット4a〜4c、及び手差し給紙トレイ4dの計4つの給紙部が備え付けられている。また、各給紙部4a〜4dにはピックアップローラ12が備え付けられている。ピックアップローラ12は、駆動装置(不図示)によって、図1において反時計回りに回転駆動される。そして、このピックアップローラ12と接する最上位の用紙Pが1枚ずつ用紙搬送路7に向けて送り出されるようになっている。
【0024】
次に、画像形成部2を構成するそれぞれの部分について説明する。画像形成部2は、像担持体としての感光体ドラム13、帯電装置14、露光装置15、現像装置16、クリーニング装置17、転写ローラ18等から構成されている。感光体ドラム13は、ドラムの外周表面にアモルファスシリコン感光層や、有機感光層からなる光導電層を有しており、駆動装置(不図示)により所定の回転速度で図1の時計回りに回転駆動される。
【0025】
帯電装置14は、感光体ドラム13の上部に設けられ、感光体ドラム13表面を所定電位に均一に帯電させる。また、露光装置15は、感光体ドラム13及び現像装置16の上方に設けられ、帯電装置14で帯電された感光体ドラム13表面を走査露光することにより、画像読取部6で読み取った原稿画像データや、画像形成装置100と接続されているコンピュータから入力される画像、文字等の画像情報に基づく静電潜像を感光体ドラム13上に形成する。
【0026】
現像装置16は、感光体ドラム13の側部に設けられ、静電潜像が形成された感光体ドラム13にトナーを供給して静電潜像をトナー像として現像する役割を果たす。また、クリーニング装置17は、感光体ドラム13の正面視左側に設けられ、感光体ドラム13の表面の残留トナーを除去し回収するものであり、例えばクリーニングローラや、弾性体をブレード上に形成したクリーニングブレードで構成される。図1では、クリーニングローラを用いた例を示している。
【0027】
転写ローラ18は、感光体ドラム13の直下に設けられ、例えば、アルミ軸の外周に導電性の素材を巻き付けて形成されている。転写ローラ18は、感光体ドラム13とニップを形成している。用紙Pがこのニップを通過する時に、転写ローラ18にトナーと逆極性の転写バイアスが印加され、感光体ドラム13上のトナー像が用紙Pに転写される。転写ローラ18は、駆動装置(不図示)によって所定のプロセススピードで反時計方向に回転駆動されている。
【0028】
ここで、画像形成部2における画像形成動作について述べる。まず、感光体ドラム13は、帯電装置14により所定の極性及び電位に帯電させられる。次に、形成すべき画像データに基づき制御されるレーザ光が露光装置15から感光体ドラム41に向けて照射され、感光体ドラム13の表面上に画像データに基づく静電潜像が形成される。次に、現像装置16から感光体ドラム13側にトナーが飛翔し、ドラム上の静電潜像がトナー像に現像される。
【0029】
次に、トナー像が転写ローラ18と感光体ドラム13のニップ部で用紙Pに転写される。その後、上述の定着装置3にて、用紙Pのトナー像が、加熱ローラ10及び加圧ローラ11により加圧、加熱されて定着される。定着装置3から排出された用紙Pは、搬送手段により装置外に排出される。トナー像を転写した後の感光体ドラム13は、クリーニング装置17により感光体ドラム13表面の残留トナーが除去され、次の画像形成に備える。
【0030】
操作部5は、画像形成装置100の上方に設けられており、本実施形態では、液晶表示部51、テンキー52(図2参照)等から構成されている。ユーザは、この操作部50に入力して、印刷部数や所望する画像形成装置100の機能(両面印刷機能等)を用いるなど、画像形成装置100の操作を行う。
【0031】
画像読取部6は、複写される原稿画像を読み取るものであり、装置本体1の最上部に設けられたコンタクトガラス20とその下部に設けられた光学系ユニット21から構成されている。コンタクトガラス20は、原稿搬送装置8から送られてくる原稿を読み取る画像読み取り位置に配置されたコンタクトガラス20aと、ユーザが原稿搬送装置8を上方に開閉して原稿を載置するコンタクトガラス20bとからなっている。そして、光学系ユニット21は、コンタクトガラス20aを通過する原稿、またはコンタクトガラス20b上に載置された原稿に対し光を照射し、その反射光が、光学系ユニット21内のミラー及び結像レンズ等を介してCCD(Charge Coupled Device)に入力され、読み取った原稿画像をデータ化する。
【0032】
用紙搬送路7は、給紙部4a〜4dからピックアップされた用紙Pが、画像形成部2、定着装置3を通過して、画像形成装置100の側面に形成された排出部23から排出トレイ9に排出されるように形成されている。更に、本発明の画像形成装置100における用紙搬送路7は、定着装置3を通過した用紙Pが、再び定着装置3の搬送方向上流側に搬送され周回できるように両面搬送路25を含んでいる。具体的にいうと、定着装置3を通過した用紙Pが画像形成部2の用紙搬送上流側に再搬送される。
【0033】
そして、用紙Pを排出トレイ9にそのまま排出するか、或いは両面搬送路25を用いて周回させるかの選択は、定着装置3の搬送方向下流側であって排出部23との間に設けられた切替ガイド26によって行われる。また、用紙搬送路7及び両面搬送路25に沿って複数の搬送ローラ対27が配置されており、搬送ローラ対27は、駆動装置(不図示)により、所定の方向に用紙Pを搬送するように回転駆動される。
【0034】
また、用紙Pを周回させる両面搬送路25の途中には、両面印刷用トレイ28が設けられている。両面印刷をする際に、この両面印刷用トレイ28上で用紙Pがスイッチバックされる。具体的には、切替ガイド26により両面搬送路25に導かれた用紙Pは、両面印刷用トレイ28の一側端部に近接して設けられ、駆動装置(不図示)によって正逆自在に回転駆動可能なスイッチバック用ローラ対29によって、両面印刷用トレイ28上に押し出される。
【0035】
しかし、スイッチバック用ローラ対29は、用紙Pを完全に両面印刷用トレイ28に押し出すのではなく、用紙Pの後端部を保持した状態で逆回転する。この逆回転により、用紙Pが両面印刷用トレイ28から引き出されると、用紙Pは、当初と表裏が反転された状態で画像形成部2方向に搬送される。なお、排出部23に設けられた搬送ローラ対27が正逆回転可能な複写機であれば、排出部23でスイッチバックがなされるようにしてもよい。
【0036】
図2は、本発明の画像形成装置の外観斜視図である。図1においては原稿搬送装置8及び排出トレイ9は記載を省略しており、図1と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。開閉カバー40は装置本体1に対し右側端を支点として水平方向に開閉可能に支持されており、図2に示すように開閉カバー40が閉状態にある場合はその表面側が外部に露出して画像形成装置100の外装面の一部(ここでは装置前面)を構成する。そして、開閉カバー40を開放することで、装置内部の感光体ドラム13を含むドラムユニット、現像装置16、廃トナー回収タンク(図示せず)の交換や、帯電装置14の清掃等のメンテナンスを行う。
【0037】
図3は、開閉カバー40を装置内部側から見た状態を示す斜視図であり、図4は、図3における破線円S内の部分拡大図である。開閉カバー40は、装置本体1側のフレーム1aに対し水平方向に回動可能に支持されている。開閉カバー40には3箇所にルーバー41が形成されており、装置内部の吸気ファン(図示せず)によりルーバー41を介して装置内部に外気が引き込まれ、定着装置3(図1参照)等の冷却に用いられる。
【0038】
また、開閉カバー40の回動側端部(図3の右端)の上下2箇所にはマグネット部材43a、43bが設けられている。マグネット部材43a、43bは、装置本体側に設けられた磁性体から成るマグネットキャッチ(図示せず)に吸着することで開閉カバー40を閉状態に保持する。
【0039】
図4に示すように、マグネット部材43aは永久磁石から成るマグネット体45と、マグネット体45の側面を挟むように配置された一対の磁性体47と、マグネット体45及び磁性体47を保持する弾性変形可能な樹脂製のマグネットホルダ50とで構成されている。マグネットホルダ50はホルダ保持台53に固定され、ホルダ保持台53はビス56により開閉カバー40の裏面に固定されている。
【0040】
また、本実施形態の画像形成装置100は、開閉カバー40の開閉と連動してON/OFFされる、いわゆるインターロックスイッチを用いることによりメンテナンス時の安全性を確保しており、ホルダ保持台53の上面にはインターロックスイッチのON、OFFを行うアクチュエータ55が突設されている。即ち、開閉カバー40を開放した状態ではインターロックスイッチがOFFとなり、それに連動して駆動系の電源が遮断される。
【0041】
図5及び図6は、本発明の第1実施形態に係るマグネット部材の固定構造を示す斜視図及び正面断面図である。以下、マグネット部材43aの固定構造について説明するが、マグネット部材43bの固定構造についても基本的に同様である。
【0042】
マグネットホルダ50の中央にはマグネット体45及び磁性体47を挿入して保持する保持部50aが形成されている。保持部50aの底面には一対の支持片50bが設けられており、支持片50bの弾性変形によってマグネット体45及び磁性体47が上下に揺動し、開閉カバーの閉動作時にマグネット部材43aが装置本体1側のマグネットキャッチに吸着する際の衝撃を緩和する。
【0043】
また、磁性体47はマグネット体45よりも突出するように配置されており、マグネットキャッチには磁性体47のみが接触するようになっている。即ち、マグネット体45自体はマグネットキャッチに吸着せず、マグネット体45により磁化された磁性体47がマグネットキャッチに吸着する。そのため、マグネット部材43aとマグネットキャッチとの吸着力が適度に調整され、開閉カバー40の開閉動作を円滑に行うことができる。
【0044】
マグネットホルダ50の保持部50aの両側には第1固定片51及び第2固定片52が一体形成されている。第1固定片51はホルダ保持台53の上面に突設された略L字状の係合部57に係合している。一方、第2固定片52には貫通穴58が形成されており、貫通穴58を介してホルダ固定ビス59がホルダ保持台53のビス穴54に締結されている。この構成により、マグネットホルダ50は第1固定片51及び第2固定片52の2箇所で係止され、マグネット部材43aはホルダ保持台53のホルダ取付面53aに固定される。ホルダ取付面53aの係合部57と対向する部分には凹部63が形成されている。
【0045】
また、ホルダ保持台53の下端部には丸穴60及び長穴61a、61bが形成されている。ホルダ保持台53を開閉カバー40に固定する場合、ホルダ保持台53の背面側に形成された係止片(図示せず)を開閉カバー40の裏面の係止溝に挿入するとともに長穴61a、61bをボス部に係合させてホルダ保持台53の位置決めを行い、丸穴60を介してビス56(図4参照)を締結する。
【0046】
図7は、第1固定片51を係合部57の下方に挿入した状態を図5の左方向から見た側面図であり、図8は、図7におけるAA′断面図である。図5〜図8を用いて本実施形態のマグネット部材43aの固定方法について説明する。先ず、マグネット体45及び磁性体47を予めマグネットホルダ50の保持部50aに挿入してマグネット部材43aを組み立てる。
【0047】
次に、図7に示すように、マグネットホルダ50の第1固定片51を係合部57と凹部63との間に挿入する。ここで、係合部57の下面57aと凹部63との隙間aは第1固定片51の厚みtよりも大きく設計されており、マグネットホルダ50を傾斜させて第1固定片51を係合部57と凹部63との間に容易に挿入することができる。
【0048】
また、係合部57の下面57aとホルダ取付面53aとの隙間bは第1固定片51の厚みtよりも小さく設計されており、マグネットホルダ50は矢印B方向に傾斜した状態、即ち、第2固定片52(図6参照)がホルダ取付面53aから浮き上がった状態でホルダ取付面53a上に載置されることになる。
【0049】
この状態で第2固定片52の貫通穴58にホルダ固定ビス59を挿入し、ホルダ保持台53のビス穴54に締結すると、ホルダ固定ビス59の螺入に伴い第1固定片51が下向き(ホルダ取付面53a方向)に弾性変形し、ホルダ固定ビス59を完全に締結した状態では第2固定片52がホルダ取付面53aに当接する。
【0050】
この構成により、第1固定片51には上向き(ホルダ取付面53aから離間する方向)の復元力が作用して係合部57の下面57aに圧接されるため、第1固定片51と係合部57との間でがたつきが生じるおそれはなくなる。また、第2固定片52にも同様に上向きの復元力が作用するため、ホルダ固定ビス59の緩みを防止することができる。
【0051】
図9は、本発明の第2実施形態に用いられるマグネット部材の正面断面図である。図9に示すように、本実施形態のマグネット部材43aでは、マグネットホルダ50の第1固定片51がホルダ取付面53aに対し上向きに傾斜している。他の部分の構成は第1実施形態のマグネット部材43aと同様であるため説明を省略する。
【0052】
図10は、図9に示したマグネット部材43aの第1固定片51を係合部57の下方に挿入した状態を示す部分断面図、図11は、第2実施形態に係るマグネット部材の固定構造を示す正面断面図である。本実施形態ではホルダ保持台53に凹部63が設けられておらず、係合部57の下面57aとホルダ取付面53aとの隙間bは第1固定片51の厚みtと略等しく設計されている。
【0053】
第1固定片51を係合部57とホルダ取付面53aとの間に挿入すると、マグネットホルダ50は第1固定片51の傾斜角だけ矢印B方向に傾斜した状態、即ち、第2固定片52(図9参照)がホルダ取付面53aから浮き上がった状態でホルダ取付面53a上に載置されることになる。
【0054】
この状態で第2固定片52の貫通穴58にホルダ固定ビス59を挿入し、ホルダ保持台53のビス穴54に締結すると、図11に示すように、ホルダ固定ビス59の螺入に伴い第1固定片51が下向き(ホルダ取付面53a方向)に弾性変形し、ホルダ固定ビス59を完全に締結した状態では第2固定片52がホルダ取付面53aに当接する。
【0055】
この構成により、第1固定片51には上向き(ホルダ取付面53aから離間する方向)の復元力が作用して係合部57の下面57aに圧接されるため、第1実施形態と同様に第1固定片51と係合部57との間でがたつきが生じるおそれはなくなる。また、第2固定片52にも同様に上向きの復元力が作用するため、ホルダ固定ビス59の緩みを防止することができる。
【0056】
その他本発明は、上記各実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記各実施形態ではホルダ保持台53を介してマグネット部材43a、43bを開閉カバー40に固定しているが、ホルダ保持台53を用いずに、マグネット部材43a、43bを開閉カバー40に直接固定する構成としても良い。
【0057】
また、本発明は図1に示したモノクロ複写機に限らず、カラー複写機やモノクロ及びカラープリンタ、ファクシミリ等の、種々の画像形成装置、及び開閉カバーを有する他の電子機器にも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、本体または開閉カバーのいずれか一方にマグネット部材を固定し、他方に鉄板等の磁性体から成るマグネットキャッチを固定することで、磁力により開閉カバー部材を閉状態で保持する機構を備えた画像形成装置等の電子機器、或いはキャビネット等の収納具に利用可能である。
【符号の説明】
【0059】
40 開閉カバー
43a、43b マグネット部材
45 マグネット体
47 磁性体
50 マグネットホルダ
51 第1固定片
52 第2固定片
53 ホルダ保持台
53a ホルダ取付面
57 係合部(固定部材)
59 ホルダ固定ビス(固定部材)
63 凹部
100 画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体または該装置本体に支持される開閉カバーのいずれかに固定され、開閉カバーを閉状態で保持するためのマグネット部材の固定構造であって、
前記マグネット部材は、マグネット体と該マグネット体を保持する弾性変形可能な樹脂で形成されたマグネットホルダとを有し、
前記マグネットホルダの両端にはホルダ取付面に形成された係合部に係合される第1固定片と、前記ホルダ取付面にビス固定される第2固定片とが一体形成されており、
前記第1固定片が、前記ホルダ取付面方向に弾性変形した状態で前記係合部に係合することを特徴とするマグネット部材の固定構造。
【請求項2】
前記ホルダ取付面には前記係合部に対向する部分に凹部が形成されており、前記係合部と前記凹部との隙間は前記第1固定片の厚みよりも大きく、且つ前記係合部と前記ホルダ取付面との隙間は前記第1固定片の厚みよりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のマグネット部材の固定構造。
【請求項3】
前記第1固定片の厚みは前記係合部と前記ホルダ取付面との隙間に略等しく、且つ前記第1固定片は先端が前記ホルダ取付面から離間する方向に傾斜していることを特徴とする請求項1に記載のマグネット部材の固定構造。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の固定構造により前記マグネット部材が前記装置本体または前記開閉カバーの一方に固定され、前記マグネット部材に吸着されるマグネットキャッチが他方に固定された画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−245652(P2010−245652A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−89657(P2009−89657)
【出願日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】