説明

マスク補助具

【課題】 メガネレンズの曇りを防止することのできるマスク補助具を提供すること
【解決手段】 外面器具10とマスク本体1を挟んで、顔面側に位置する内面器具となる排気装置11を示す。排気弁箱11−1は呼吸時に排気を排出し、吸気を遮断するための逆止弁11−4を内蔵する。排気は、排気窓11−2から装置内に入り、排気管11−3を通ってマスクの外に排出される。排出管11−3の終端になる部分は、A−A’断面の通り、外面器具10と、内側の排気管10−3の終端に粘着されたクッション10eとの隙間が、マスクを挟む溝10rとなっている。クッション10eの形状は、鼻梁部や、鼻梁部と頬骨の間に粘着したクッションが、隙間なく顔面を圧迫するよう、下部を厚くしてマスク上縁部側への回転モーメントを与えている排気装置を有するマスク補助具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタ機能を有するマスクに装着する補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
風邪及び花粉対策として用いられる家庭用マスクが広く用いられている。このようなマスクは、フィルタ機能を有するマスク本体で鼻及び口を覆い、風邪ウィルスや花粉を遮断し、鼻及び口内を効率よく保湿・保温するものであるが、マスクを顔面に装着した際のメガネの曇りはメガネを使用する者にとって困った問題である。そのため、マスク本体の上縁部を粘着シールと針金とを用いて顔に密着させる方法(例えば特許文献1参照)や、鼻から頬骨の凹凸の隙間をフェルト生地等で埋めたてることで、息を吐くときの排気がメガネに方向に漏れるのを堰き止める方法(例えば特許文献2参照)が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 実用新案第3068062
【特許文献2】 実用新案第3060155
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、粘着シートの粘着力でマスクを顔面に密着させる場合は、粘着力を強くするとマスクの着脱が面倒であり、顔面の皮膚を刺激する可能性がある。一方、粘着力を弱くすると、息を吐き出すときのマスクと顔面の間の圧力でマスクが浮き上がり、吐き出す息がマスクの隙間から漏れ出てしまう。フェルト生地等で鼻から頬骨の凹凸の隙間を埋めたてる場合も、同様に、吐き出す息がメガネの方向に漏れ出るのを確実に防ぐことはできない。
本発明は、このような事情に基づいてなされたもので、装着した際に確実にメガネレンズの曇りを防止することのできるマスク補助具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成する本発明のマスク補助具は、フィルタ機能を有するマスク本体の上縁部を、外面器具と、排気弁箱と排気管から成る排気装置を有する内面器具で挟み、マスク本体上縁部の隙間を、外面器具に取り付けられた耳掛け紐を耳に装着することで圧迫して塞ぐマスク補助具が提供される。
更に、呼吸によって形成されるマスクと顔面の間の排気を、マスク内面器具である前記排気装置を用いて直接外部に排出し、圧力を減じてマスクが浮き上がることを防止する。一方、吸気する場合は、前記排気弁箱が有する逆止弁が閉じて、排気装置からの外気の侵入を防ぐマスク補助具が提供される。
前記外面器具の一部と前記内面器具の排気装置は、顔面の凸凹、特に鼻梁から頬骨にかけての隙間対策に顔面の形状に整合させたクッションを粘着する。
前記外面器具の圧迫範囲を拡大し、マスク本体の周辺部全体に及ぶ形状にすると、さらに、メガネの曇りを防止する効果が上がるだけでなく、マスク本体の顔面への密着が確実になり、マスク本来のフィルタ効果が上り好ましい。
【0006】
また、本発明によると、内面器具を省略して簡易的に外面器具のみを用いて、外面器具の顔面側に顔面の凸凹に整合させた形状のクッションを粘着し、マスク本体の外側からマスク本体の周辺部全体を覆って、耳掛けを装着することで、マスク本体の全周辺部を圧迫するだけで、メガネレンズの曇りを防止するマスク補助具が提供される。
周辺部全体を覆う外面器具の形態は、前記のクッション付、或いはクッションに代えてゴムひものような伸縮性の材質でもよい。
更に、耳掛け紐がマスクと本発明の器具との2本ずつになるので、マスクの耳掛け紐を取り除き、本発明の全周辺部を覆う外面器具に、マスク本体を取り付ける事ができるクリップを設けてもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明のマスク補助具によると、逆止弁がマスク本体の内面側と顔面との間に形成される外気よりも大きな圧力を排気弁箱と排気管を介してマスク本体の外部に排出することで、マスク本体のフィルタ機能を維持しつつ、マスク本体内から漏れ出る呼気でメガネレンズが曇るのが防止される。
また、通常使用されている使い捨てマスクであれば、ほとんどのものに繰り返し使用でき、メガネレンズの曇りを確実に防止することが出来る。
マスク本体全周辺部を押えるものは、メガネレンズの曇りの防止にとどまらず、マスクの吸排気の漏れを防止することでマスク本来の機能も確実にする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】 本発明の実施形態によるマスク本体上縁部内側に排気装置を装着した状態を示す、(a)正面図、(b)上方から見た断面図。
【図2】 本発明のマスク本体の上縁部に装着するマスク補助具の(a)外面器具正面図、(b)内面器具正面図、(a)の図面上で指示した4ヶ所の(c)断面図、及び排気弁箱の説明図。
【図3】 本発明のマスク本体の全周辺部を押えるマスク補助具を装着したところを示す正面図。
【図4】 上記マスク補助装置の(a)正面図と、外面器具だけを用いる場合に図(a)で指示した個所の(b)断面図と、外面器具に伸縮性の材料を用いた場合の(c)正面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の好ましい実施形態を、図面を参照し説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
図1(a)は、風邪、花粉対策として呼吸器系の保護、又は、鼻や口内の保温・保湿などを目的として日常的に使われる家庭用マスクを示す。このようなマスクは、衛生マスクとも称され、例えば不織布で薄いシート状に形成したフィルタ機能を有するマスク本体1と、マスク本体1の左右の側縁部から延設された耳掛け部2とを有し、正しく装着した状態では、マスク本体1の上縁部が目の下側で鼻梁に重なり、下縁部は口を超えて顎部分を覆う。
マスクを顔面に装着した状態では、呼吸時の呼気により、通常であればマスクの内側、すなわち、顔面3とマスク本体1との間の圧力が上昇し、マスク本体1を顔面から浮き上がらせ、この隙間からマスク本体1をバイパスした状態で息が排出される。メガネを装着している場合、特に外気温度が低いときに、この隙間から排出された息がメガネの内側又は外側からメガネレンズを曇らせることになる。
【0010】
本実施形態のマスク補助具における外側器具10は、線分10a、10b、10cで、顔面3の凸凹に整合するよう折り曲げられているうえ、
図1(b)の上方から見た断面図のように、鼻梁部分は外側器具10に粘着されたクッション10eでマスクを介して鼻梁部分の隙間を塞ぐ。鼻梁部では外面器具とクッションだけであるが、鼻梁の両側に位置する隙間の大きい部位は、排気弁箱11−1とクッション10eが粘着された内面器具と、外面器具10で構成されていて、排気弁箱11−1の上端部と外面器具10の上端部は接続している。
そこで、マスク本体1は、外面器具10に接続している内側の排気弁箱11−1で、上縁部を挟まれた状態で顔面に装着される。
排気弁箱11−1とクッション10eは、鼻梁部から頬骨にかけての隙間を塞いでいる。さらにマスク補助具をしっかりと固定するため、外面器具10の両端に耳掛け紐10d取り付け装着することで、マスク本体1と顔面3との間の内面空間内に、特に上縁部を顔面から浮き上がらせるような圧力を抑制して、メガネレンズが曇ることを防止する。また、この部位以外の場所でもマスク補助具内側のクッションで吸排気の漏れを防止する。
排気弁箱11−1からの排気は、排気管11−3でマスクの側面から排出される。マスク側面と排気管11−3との隙間から外気が侵入するのを防ぐために、排気管11−3の形状はマスク側面で薄くし、クッションで隙間を塞いでいる。そこで、排気口を薄くした分、排気口は縦長の形状で幅を大きくとって排気容量を確保している。
【0011】
図2(a)正面図は、本発明のマスク本体1上縁部に装着するマスク補助具の外面器具10を示し、マスクの外側からマスク本体1を、外面器具側面上端10fと、側面下端10gに取付けた耳掛け10dで圧迫する。
また、この外面器具10の形状は、鼻梁を覆う部分を頂点に、両側下方になだらかに傾斜する単純な形状で、点線で示す10aは、鼻梁の頂点の形状に合わせて山形に折り曲げる場所を示す目安となる線で、同様に10bは谷形、10c山形に折り曲げ、顔面3の形状に整合させる。
図2(b)には、外面器具10とマスク本体1を挟んで、顔面側に位置する内面器具となる排気装置11を示す。排気弁箱11−1は呼吸時に排気を排出し、吸気を遮断するための逆止弁11−4を内蔵する。排気は、排気窓11−2から装置内に入り、排気管11−3を通ってマスクの外に排出される。
図2(c)で排気装置付マスクの構造を説明する。排出管11−3の終端になる部分は、A−A’断面の通り、外面器具10と内側の排気管10−3の終端に粘着されたクッション10eとの隙間がマスクを挟む溝10rとなっている。クッション10eの形状は、鼻梁部や、鼻梁部と頬骨の間に粘着したクッションが、隙間なく顔面を圧迫するよう、下部を厚くしてマスク上縁部側への回転モーメントを与えている。
B−B’断面は、外面器具10とマスク本体1を挟むための溝10rと、逆止弁11−4を有する排気弁箱11−1及びクッション10eを示す。排気弁箱11−1の構造説明のための拡大図によれば、排気は排気窓11−2から弾力性を有する薄い膜状の逆止弁11−4を排気圧力で押し上げて箱に侵入する。排気圧が作用している弁の状態は、αのように上部に撓んで排気窓11−2に隙間をつくる。一方、排出が終了して排気圧力が低下すると、弁位置は、弾力によって元の位置、βの位置に復帰し、排気窓11−2を閉じる。
鼻梁部は、C−C’断面の通り、内面器具はなく、クッション10eは外面器具10に粘着されている。すなわち、鋭角な形状の鼻梁部では、外面器具10だけにすることで、マスク本体1を補助具に装着する時の煩雑さを防いでいる。
マスク補助具をマスク本体1に装着した時の状態を片側だけ示しているのがD−D’方向から見た図で、特徴的なのは、鼻梁部では、マスク上縁部が外面器具10のクッション10eで鼻梁に圧着されているが、途中のX点の部分で、マスク上縁部は外側器具と内面の排気弁箱11−1と排気管11−3によって挟まれる。X点でマスク上縁部が蛇行してマスク補助具に挟む込まれることで、マスク本体が確実に保持される。
【0012】
上記では、マスク補助具の排気装置で、マスク上縁部に発生する呼吸による排気を処理したが、マスク全体を呼吸の排気圧力で浮き上がらないよう、マスク補助具をより確実に装着するために考案されたのが、図3に示すマスク本体の全周辺部を覆う構造のマスク補助具である。
マスク上端部の構造は、図1から図2までの装置と同じである。マスク全周辺部用補助具は前述の装置の側面を下部に延設して互いに下端を接続している。耳掛け部10dは外側器具の上部と下部からとることになるので、上述のようにマスク補助具の上部だけに耳掛け部を設けたものより、安定してマスクに装着できる。
【0013】
マスク全周辺部用補助具の正面図、図4(a)によると側面の延長された個所は20jで示し、下部は20kで示し、中央部10mで山形に折り曲げている。これらの箇所、20j及び20kの部分は、上部と比較して顔面の形状が単調なので、複雑な形状のクッションを必要としない。そこで断面が板状のものでも円形のものでもよい。最下部両端の20gは耳掛け取付け部を示す。
図4(b)に示す断面図は、これまで説明してきた排気装置付マスクの内側部分の排気装置11を省略して、外面器具10だけを用い、クッションを外面器具に粘着して簡易的に使用する場合の構造を説明するためのものである。
A−A’断面は、マスク全周辺部用補助具を簡易的に使用する場合の側面の断面を示している。直接外面器具10にクッション10eを粘着する。B−B’、C−C’、の断面についても同様に外面器具10に直接クッション10eを粘着する。D−D’方向からの排気装置付マスクの状態は、簡易的に外面器具10だけにクッション10eを取付けたところを上部からみたもので、顔面の形状に整合させてクッション10eを整形している様子を示す。
マスク本体の全周辺部を覆う方法では耳掛け紐がマスクにもあるため2本ずつとなる。そこでマスクの紐を切断して、マスク本体を本発明の器具に取り付けるため、図4(b)のA−A’断面に示すようにクリップ10nを有する。
マスク上縁部用、或いはマスク全周用でも簡易的に用いるには、マスク押さえる外側器具10をマスク本体1の上から装着して、マスクを介して顔面を圧迫することでマスクと顔面との隙間を塞ぐ。
さらに、簡易的な装置を示したのが図4(c)である。本装置によると、鼻梁部50aと耳掛け紐を取付ける部分50b、50cだけは上記の外面器具10と同じであるが、これら以外の部位は伸縮性の材料、例えばゴム紐50d、50e、50fを用いてクッションを省略している。
【符号の説明】
【0014】
1 マスク本体
2 マスク本体用耳掛け部
3 顔面
10 マスク補助具の外側器具
10e クッション
11 排気装置
11−1 排気弁箱
11−3 排気管
11−4 逆止弁
50d、50e、50f 伸縮性紐

【特許請求の範囲】
【請求項1】
風邪、花粉対策として呼吸器系の保護、又は、鼻や口内の保温・保湿などを目的として日常的に使われる家庭用衛生マスクであって、
フィルタ機能を有するマスク本体の上縁部を、外面器具と、排気弁箱と排気管から成る排気装置を有する内面器具で挟み、マスク本体上縁部の隙間を、外面器具に取り付けられた耳掛け紐を耳に装着することで圧迫して塞ぐことを特徴とするマスク補助具。
【請求項2】
呼吸によって形成されるマスクと顔面の間の排気を、マスク内面器具である前記排気装置を用いて直接外部に排出し、圧力を減じてマスクが浮き上がることを防止する。一方、吸気する場合は、前記排気弁箱が有する逆止弁が閉じて、排気装置からの外気の侵入を防ぐことを特徴とする請求項1に記載のマスク補助具。
【請求項3】
前記外面器具の圧迫範囲を拡大し、マスク本体の周辺部全体に及ぶ形状して、呼気の排気の漏れを確実に防ぎ、メガネの曇りを防止するだけでなく、マスク本体の顔面への密着が確実になり、マスク本来のフィルタ効果を上げることを特徴とする請求項2に記載のマスク補助具。
【請求項4】
内面器具を省略して簡易的に外面器具のみを用いて、外面器具の顔面側に顔面の凸凹に整合させた形状のクッションを粘着し、マスク本体の外側からマスク本体の周辺部全体を覆って、耳掛けを装着することで、マスク本体の全周辺部を圧迫するだけで、メガネレンズの曇りを防止することを特徴とするマスク補助具。
【請求項5】
外面器具の形態は、前記のクッション付、或いはクッションに代えてゴムひものような伸縮性の材質を用いることを特徴とする請求項4に記載のマスク補助具。
【請求項6】
耳掛け紐がマスクと本発明の器具との2本ずつになるので、マスクの耳掛け紐を切断して、本発明の全周辺部を覆う外面器具に、マスク本体を取り付ける事ができるクリップを有することを特徴とする請求項3又は4に記載するマスク補助具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−228490(P2012−228490A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−109862(P2011−109862)
【出願日】平成23年4月25日(2011.4.25)
【出願人】(310020518)Amity Energy Solution 株式会社 (11)
【Fターム(参考)】