説明

マゼンタインクジェットインク

本発明は、写真品質の画像を生成するためのインクセットに用いることのできるマゼンタ染料ブレンド及びマゼンタインクジェットインクに関する。当該染料ブレンドは、ローダミン染料と1:80〜125:4の重量比で混合されたニッケル発色団含有アゾ染料を含むことができる。当該染料ブレンドは、十分な耐光性、大気耐性、及び彩度を呈するマゼンタインクジェットインクを形成するためにインクビヒクル中に取込むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット画像形成の分野に関する。より詳細には、本発明は、マゼンタ−シアン−イエローインクセットに用い得るマゼンタインクジェットインクに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、インクジェットインクは、染料系若しくは顔料系インクのいずれかである。両方とも、典型的には、染料及び/又は顔料を含むインクビヒクルとして調製される。染料系インクジェットインクでは、一般に、媒体を特定の色に変えるのに、通常は、水溶性である液体着色剤が用いられる。一方、顔料系インクでは、典型的に、色を得るのに、固体の、即ち分散された着色剤が用いられる。
【0003】
染料含有インクのカラー特性は、印刷されたインクジェット画像の品質に重要な役割を果たす。感知されるカラー品質は、当分野で周知のCIELAB又はMunsellのような、幾つかの色空間の何れか1つを用いて表すことができる。Munsell色空間に関しては、所与の色は、3つの用語、即ち、色相、色値、及び彩度を用いて定義される。CIELAB色空間に関しては、色は、3つの語、即ちL、a、及びbを用いて定義される。この系では、Lは、色の明度を定義し、0〜100(100は白色である)の範囲にある。さらに、語a及びbは共に、色相を定義し、この場合、aは、負の数(グリーン)から正の数(レッド)の範囲にあり、そしてbは、負の数(ブルー)から正の数(イエロー)の範囲にある。当業者に周知のように、所与の色をさらに記述するのに、h°(色相角)及びC(彩度)のような代替用語を用いることもできる。
【0004】
それらの色の鮮やかさを保持しつつ、インクジェット生成された写真の耐久性を改善する必要がある。それによってインクジェット生成された画像が不運にも経時的に変色し得るところの劣化メカニズムが幾つかある。写真は、光や大気ガスの作用で、又は大気中の微量の不純物によって褪色することがある。他の劣化メカニズムは、湿り変色を起こす湿度に起因するものである。以前の解法は、単一のインクに多数の染料を用いて、その1つの染料が十分な耐光性をもたらし、そして他が良好な彩度をもたらすようにするものであった。従来技術における前述のシステムは、膨潤性写真媒体上において、明るい彩度と中程度の耐光性を有する画像をもたらしていた。十分な耐湿性と大気耐性をもたらすが、耐光性が比較的劣っていたり、又はその逆の特性をもたらす、二者択一的な、単一の明るさの染料が用いられてきた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、改善された特性を有し且つ他の特性をさほど犠牲にすることなく或る特性を改善するインク調合物を開発するための研究が続けられている。ペンの性能及び信頼性を犠牲にすることなく、インクジェット印刷の画像品質及び耐光性をさらに改善するためには、依然として多くの問題が残されている。
【0006】
良好な色域、耐光性、大気耐性、及び彩度を呈する染料セット並びにインクジェットインクセットにそれぞれ用いられるマゼンタ染料ブレンド及びマゼンタインクジェットインクを開発することが有益であろうと考えられる。それ故、これらの基準を満足するマゼンタ染料ブレンド及びマゼンタインクジェットインクを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態では、インクジェットインクを調合するためのマゼンタ染料ブレンドは、ローダミン染料と混合されたニッケル含有アゾ染料を含むことができる。ニッケル含有アゾ染料対ローダミン染料の重量比は、1:80〜125:4とすることができる。
【0008】
あるいはまた、インクジェット印刷用のマゼンタインクジェットインクは、有効量のインクビヒクルと、当該インクビヒクルと混ぜ合わされた0.9〜10.5wt%のマゼンタ染料ブレンドとから構成することができる。重ねて、マゼンタ染料ブレンドは、ニッケル含有アゾ染料とローダミン染料とを1:80〜125:4の重量比にて含むことができる。
【0009】
本発明のその他の特徴及び利点は、例示目的で本発明の特徴を記載する詳細な説明から明らかになろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明を開示、記述するにあたり、本発明が、ここに開示するある程度変更し得る特定の処理ステップ並びに材料に限定されないことを理解されたい。また、ここで用いる用語は、特定の実施形態を専ら記述するだけの目的で用いるものであることも理解されたい。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びその等価物によってのみ限定されるものとする故、当該用語に、限定の意はない。
【0011】
本明細書並びに添付の特許請求の範囲において用いるとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は、別途明確に指示のない限り、複数形の意味を包含することに留意されたい。
【0012】
本明細書では、濃度、量、及びその他の数値データを範囲形式で提示する場合がある。そのような範囲形式は、便利且つ簡潔なために用いるものであって、従って、範囲の限界として明記した数値を含むだけでなく、各数値及び副範囲があたかも明記されているかのようにその範囲内に包含される個別の数値又は副範囲を全て包含するものと柔軟に解釈すべきことを理解されたい。例を示せば、「約0.1wt%〜約5wt%」という濃度範囲は、約0.1wt%〜約5wt%という明記された濃度を含むだけではなくて、表示された範囲内の個別の濃度及び副範囲を包含するものと解釈すべきである。従って、この数値範囲には、1wt%、2wt%、3wt%、及び4wt%のような個別の濃度と、0.1wt%〜1.5wt%、1wt%〜3wt%、2wt%〜4wt%、3wt%〜5wt%、等のような副範囲が含まれる。同じ原理が、1つの数値のみを挙げる範囲にも適用される。例えば、「約5wt%未満」として挙げられた範囲は、0wt%〜5wt%の全ての値及び副範囲を含むものと解釈すべきである。さらに、そのような解釈は、範囲の幅や記述する特性に関係なく適用されるべきである。
【0013】
ここで用いるとき、「有効量」とは、所望の効果を達成するのに十分である、物質や薬剤の少なくとも最小の量を指す。例えば、「インクビヒクル」の有効量とは、効果的なインク噴射に必要な諸性質を維持しつつ、インク組成物を作るのに必要となる少なくとも最小の量である。
【0014】
ここで用いるとき、「液体ビヒクル」又は「インクビヒクル」は、インクを形成するために着色剤をその中に入れるところの液体流体を指す。インクビヒクルは当分野において周知であり、様々なインクビヒクルを本発明のシステム及び方法に用いることができる。当該インクビヒクルは、界面活性剤、溶媒、共溶媒、緩衝剤、殺生物剤、金属イオン封止剤、粘度修正剤、表面活性剤、水等をはじめとする、様々な各種薬剤の混合物を含むことができる。
【0015】
他の用語と共に用いるとき、用語「実質的に」は、ほとんど乃至完全にを含むものとする。
【0016】
このことを明記して、本発明は、インクジェット画像の領域に関する。より詳細には、本発明は、インクジェット画像用のマゼンタ染料ブレンド及びマゼンタインクジェットインクに関する。
【0017】
インクジェットインクを調合するためのマゼンタ染料ブレンドは、ローダミン染料と混ぜ合わされたニッケル含有アゾ染料を含むことができる。ニッケル含有アゾ染料対ローダミン染料の重量比は、1:80〜125:4とすることができる。
【0018】
加えて、インクジェット印刷用のマゼンタインクジェットインクは、有効量のインクビヒクルと、そのインクビヒクルと混ぜ合わされた0.9〜10.5wt%のマゼンタ染料ブレンドとから構成することができる。インクジェットインクのマゼンタ染料ブレンドは、ニッケル含有アゾ染料とローダミン染料とを1:80〜125:4の重量比にて含むことができる。
【0019】
染料ブレンド若しくはインクジェットインクに関連して、ニッケル含有アゾ染料は、上述の基準を満足する任意の機能的染料とし得る。限定の意はないが、具体例は、以下の式1の構造を有する染料である。
【0020】
【化2】

【0021】
上述の染料において、ニッケル対染料分子の比は、1:1、1:2又は2:2とすることができる。Rは、N又はCとし得る。さらに、R、R、R、R及びRは、CN、COOM、SOM、H及びSONHとし得る。Mは、H、Na、Li、K、NH、アルキルで置換されたアンモニウム、又はそれらの組合せとし得る。ニッケル含有アゾ染料は、単一のニッケル含有アゾ染料であるか、又は一緒に混ぜ合わされた2つ以上のニッケル−含有アゾ染料とし得る。
【0022】
上式1の好ましい一実施形態は、1:2のニッケル対染料比を有し且つ以下に示されている式2である。
【0023】
【化3】

【0024】
さらに、式2において、RはCであり、R及びRはCNであり、RはSOMであり、そしてR及びRはHである。
【0025】
式1の他の好ましい実施形態は、1:1のニッケル対染料比を有し且つ以下に示されている式3である。
【0026】
【化4】

【0027】
さらに、式3において、RはNであり、RはHであり、RはCOOHであり、RはSOであり、RはHであり、RはSOである。
【0028】
染料ブレンド又はインクジェットインクに関しては、任意の機能的ローダミン染料を用いることができる。ローダミン染料は、単一のローダミン染料であるか、又は一緒に混ぜ合わされた2つ以上のローダミン染料とし得る。限定はしないが、例として、Acid Red 52、Acid Red 289、Acid Red 388、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0029】
当該染料ブレンドは、DESKJET(商標)及びヒューレット−パッカード社で製造された他の類似プリンタのような市販のインクジェットプリンタにおいて用い得るマゼンタインクジェットインクを調合するのに用いることができる。一実施形態では、当該染料ブレンドを用いてマゼンタインクジェットインクを調合する場合、マゼンタインクジェットインク中にローダミン染料は0.1wt%〜2.5wt%にて存在でき、そしてマゼンタインクジェットインク中にニッケル含有アゾ染料は0.8wt%〜8wt%にて存在できる。これらの及びその他のマゼンタインクジェットインクは、未被覆媒体、粘土被覆媒体、無機多孔質媒体、及びゼラチン被覆媒体をはじめとする各種の媒体上で、それぞれ耐光性及び色域の改善された、真の色を生成すべく、3、4、5又は6ペンのインクセットに用いることができる。
【0030】
上記の及び以後の実施形態は、単に、幾つかの例を説明するために単に提供したもおであることに留意されたい。当業者であれば、本発明の範囲内にある諸々の修正が理解されよう。
【0031】
本発明の染料セットと共に用い得る典型的なインクビヒクル調合物は、全部で5.0wt%〜50.0wt%存在する1つ又は複数の溶媒若しくは共溶媒と、全部で0.01wt%〜10.0wt%存在する1つ又は複数の非イオン性、陽イオン性、及び/又は陰イオン性界面活性剤を含むことができる。当該調合物の残部は、純水であるか、及び/又は殺生物剤、粘度修正剤、pH調節用材料、金属イオン封鎖剤、防腐剤等のような、当分野で既知の他のビヒクル成分とし得る。
【0032】
用い得る溶媒若しくは共溶媒の種類としては、脂肪族アルコール、芳香族アルコール、ジオール、グリコールエーテル、ポリグリコールエーテル、カプロラクタム、ホルムアミド、アセトアミド、及び長鎖アルコールを挙げることができる。当該化合物の例としては、第一脂肪族アルコール、第二脂肪族アルコール、1,2−アルコール、1,3−アルコール、1,5−アルコール、エチレングリコールアルキルエーテル、プロピレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコールアルキルエーテルの高次の同族体、N−アルキルカプロラクタム、未置換カプロラクタム、置換及び未置換の両ホルムアミド、置換及び未置換の両アセトアミド等が挙げられる。用い得る溶媒の具体例には、トリメチロールプロパン、2−ピロリジノン、及び1,5−ペンタンジオールが含まれる。
【0033】
インク調合の当業者には周知のように、多くの界面活性剤の1つ又は複数を用いることもでき、それらとしては、アルキルポリエチレンオキシド、アルキルフェニルポリエチレンオキシド、ポリエチレンオキシドブロック共重合体、アセチレンポリエチレンオキシド、ポリエチレンオキシド(ジ)エステル、ポリエチレンオキシドアミン、プロトン化ポリエチレンオキシドアミン、プロトン化ポリエチレンオキシドアミド、ジメチコンコポリオール、置換アミンオキシド等とし得る。本発明の調合物に添加される界面活性剤の量は、0.01wt%〜10.0wt%の範囲とし得る。
【0034】
本発明の調合物と共に、その他の種々の添加剤を用いて特定の用途に使えるようにインク組成物の諸性質を最適化することもできる。これらの添加剤の例は、有害微生物の成長を阻害するのに添加されるものである。これらの添加剤には、インク調合物に日常的に用いられる殺生物剤、殺菌剤、及びその他の微生物剤を用いることができる。適切な微生物剤の例としては、限定はしないが、Nuosept(ヌデックス社(Nudex,Inc.))、Ucarcide(ユニオンカーバイド社(Union carbide Corp.))、Vancide(R.T.ヴァンダービルト社(R.T.Vanderbilt Co.))、Proxel(アイシーアイ アメリカ(ICI America)社)、及びそれらの組合せが挙げられる。
【0035】
重金属不純物の有害な影響を排除するために、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)のような金属イオン封鎖剤を含有させることもでき、インクのpHを制御するために緩衝剤溶液を用いることもできる。例えば、0.001wt%〜2.0wt%にて用いることができる。インクの諸性質を望み通りに変性するために、当業者に周知の他の添加剤同様、粘度調節剤及び緩衝剤を含有させることができる。そのような添加剤は、0.01wt%〜20wt%にて存在させ得る。
【0036】
種々のインクビヒクル成分の重量パーセント範囲を提示しているが、これは、特定の成分が必須の要素であることを意図するものではない。換言すれば、所与の重量パーセント範囲は、その成分が存在する場合、その重量パーセント範囲を用いることができるということを意味する。
実施例
以下の実施例において、現在最もよく知られている本発明の実施形態を説明する。ここで、以下は、本発明の原理の応用についての単なる例示又は説明に過ぎないことを理解されたい。当業者であれば、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、多数の修正及び代替組成物、方法、並びにシステムを案出できよう。添付の特許請求の範囲は、前述の修正並びに変更を網羅すべく意図されている。従って、特定のものに関して本発明をこれまで説明してきたが、以下の実施例は、本発明の最も実用的且つ好ましい実施形態であると現在思われるものに関しさらに詳述するものである。
【実施例1】
【0037】
インクジェットインクビヒクル
本発明のマゼンタ染料ブレンドと共に良く機能し得る2つのインクジェットインクビヒクルを調合した。これらのインクビヒクルは、本発明の実施形態に従ってインクジェットインクを形成するのに用いることができる。しかしながら、これらのインクビヒクルは、使用し得る唯一のインクビヒクルではない。下の表1a及び表1bは、インクビヒクルの2つの許容例を示す。
【0038】
【表1a】

【0039】
【表1b】

【実施例2】
【0040】
比較用に調製したしたマゼンタインクジェットインク
上の表1bに提示したインクビヒクルと混合されたM7を除き、上の表1aに提示したインクビヒクルを用いて8つのマゼンタインクジェットインク(M1〜M8)を調製した。ヒューレット−パッカード社の販売するHP970Cプリンタに用いられるマゼンタインクには、表2において用いるニッケル含有アゾ染料はどれも含まれていない。詳細には、M2、M3、M5、M6、及びM7は、本発明の実施形態に従い、ローダミン染料と混合されたニッケル含有アゾ染料を含むインクを表す。ニッケル含有アゾ染料のみを含むM1とM4、及びアゾ染料と混合されたH酸染料(ローダミン染料の代わり)を含むM8を含むその他のインクは、比較目的で調製したものである。用いたH酸染料は、CP1160HPカラーインクジェットプリンタに使用されるものと同じ染料である。調製したインクジェットインクを下表2に示す。
【0041】
【表2】

【実施例3】
【0042】
耐光性、大気耐性、及び彩度の比較
調製した8つのインクジェットインクを互いに、並びにヒューレット−パッカード社製のHP970Cプリンタに付されて販売されている最新のマゼンタインクと比較した。さらに、比較の目的で、耐光性のベンチマークとしてKodak Edge 8 Agxを使用した。使用した膨潤性媒体は、HP Premium Plus Photo紙であった。使用した多孔質媒体は、HP Photo紙であった。当該比較の実施後得られたデータを下表3に示す。
【0043】
【表3】

【0044】
耐光性についての「劣化に至る年数」は、“The Permanence and Care of Color Photographs”by Henry Wilhelm,Preservation Publishing Co.,Grinell,Iowaに記載されているWilhelmの手順を用いて試験した。当該インクを光学濃度0.5にて印刷し、次いでAtlas HPUV褪色試験機を用いて、70キロルクスの強度の白色蛍光光線に曝した。用紙のバックグラウンドについて補正するために、倍率1.5によるバックグラウンド補正を導入した。劣化に至るまでの時間は、12時間日(hour day)当り450ルクスの露光、即ち、1年当たり1971キロルクス−時間という仮定に基づいて推定した。劣化に至る時間は、25%の光学濃度損失が観測された時間として定めた。
【0045】
大気耐性についての「劣化に至る日数」は、米国オレゴン州コーバリスの大気を用い、それを印刷されたカラーパレット上に吹き付け、そして画像の褪色を(上述の耐光性に用いたような)Wilhelmの劣化基準を用いて時間の経過と共に監視して、決定した。劣化に至る時間(時間単位)は、25%の光学濃度損失が観測された時間として定めた。
【0046】
サンプル全てを並べて試験した。空気流増大による加速因子は導入せず、従って、劣化に至る時間は、絶対測定値ではなく相対的なものとみなされる。
【0047】
上表3から分かるように、ニッケル含有アゾ染料単独(M1及びM4)は、十分な耐光性と大気耐性を有するが、HP970Cベンチマークと比較したとき十分な明るさでない。HP970マゼンタは、彩度に対するベンチマークとして十分作用する明るさはあるものの、膨潤性媒体上での耐光性及び多孔質媒体上での大気耐性については望まれるものより低い。逆に、その全てがローダミン染料と混合されたニッケル含有アゾ染料を含んでいるインクM2、M3、M5、M6、及びM7は、ベンチマークHP970Cより良好な彩度をもたらすと共に、著しく優れた膨潤性媒体上での耐光性及び多孔質媒体上での大気耐性をもたらした。インクM7だけが耐光性ベンチマークKodak Edge 8 AgXより低い性能であったが、インクM7は、耐光性に関しては、依然としてHP970Cマゼンタインクを上回る改善を示した。ニッケル含有アゾ染料と混合されたH酸染料を含有しているインクM8は、耐光性に関しては劣った性能を示した。
【0048】
特定の好ましい実施形態を参照して本発明を説明してきたが、本発明の趣旨から逸脱することなく、様々な修正、変更、省略、及び置換を成し得ることは、当業者には明らかであろう。例えば、実施例1に使用するために特定のビヒクルを示したが、その他のビヒクルも用いることができる。加えて、代替用途用として、本発明のインクセットにその他のインクを用いることができる。それ故、本発明は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェットインクを調合するためのマゼンタ染料ブレンドであって、
(a)ニッケル発色団含有アゾ染料と混合された
(b)ローダミン染料
を含み、前記ニッケル発色団含有アゾ染料対ローダミン染料の重量比が、1:80〜125:4である、マゼンタ染料ブレンド。
【請求項2】
有効量のインクビヒクルと混ぜ合わされた、請求項1に記載のマゼンタ染料ブレンド。
【請求項3】
前記ニッケル発色団含有アゾ染料が、ニッケル金属化ナフトールアゾトリアゾールを含む、請求項1又は2に記載のマゼンタ染料ブレンド。
【請求項4】
前記ニッケル発色団含有アゾ染料が、下記構造を含む染料を含み、
【化1】


式中、Mは、H又は一価イオンである、請求項1又は2に記載のマゼンタ染料ブレンド。
【請求項5】
前記ローダミン染料が、Acid Red 52、Acid Red 289、Acid Red 388、及びそれらの混合物から成る群から選択される成分を含む、請求項1又は2に記載のマゼンタ染料ブレンド。
【請求項6】
前記ニッケル発色団含有アゾ染料が、単一のニッケル発色団を含有するアゾ染料である、請求項1又は2に記載のマゼンタ染料ブレンド。
【請求項7】
前記ニッケル発色団含有アゾ染料が、一緒に混合された少なくとも2つのニッケル発色団を含有するアゾ染料である、請求項1又は2に記載のマゼンタ染料ブレンド。
【請求項8】
前記ローダミン染料が、単一のローダミン染料である、請求項1又は2に記載のマゼンタ染料ブレンド。
【請求項9】
前記ローダミン染料が、一緒に混合された少なくとも2つのローダミン染料である、請求項1又は2に記載のマゼンタ染料ブレンド。
【請求項10】
前記インクビヒクルが、5.0wt%〜50.0wt%の溶媒、0.01wt%〜10.0wt%の界面活性剤、及び水を含んで成る、請求項2に記載のマゼンタ染料ブレンド。

【公表番号】特表2006−528263(P2006−528263A)
【公表日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521131(P2006−521131)
【出願日】平成16年7月16日(2004.7.16)
【国際出願番号】PCT/US2004/022806
【国際公開番号】WO2005/010111
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(503003854)ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. (1,145)
【Fターム(参考)】