説明

マダニの寄生を抑止する方法

【課題】マダニの動物への寄生および吸血を阻止する方法を提供すること。
【解決手段】2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル=3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートを担持してなるシート状製剤を宿主動物の周囲に配置する、例えば該シート状製剤を該宿主動物に着装するか、該シート状製剤を該宿主動物の居住域の敷設する等により、マダニが宿主動物に寄生することを抑止することができる。該シート状製剤は、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル=3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートを表面積1m2当たり50mg〜16000mg担持していることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マダニが宿主動物に寄生することを抑止する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ある種のマダニは宿主動物である温血動物に寄生、吸血した際に、温血動物の生死に関わる病原微生物を媒介する。現在、一般的に用いられているマダニ防除方法は、既にマダニの寄生している温血動物に殺マダニ活性化合物を経皮または経口投与する方法である。しかしながら、該方法では寄生していたマダニを防除することはできるが、マダニが宿主動物に吸血することによって生じる、病原微生物の媒介を完全に阻止するという点では、必ずしも充分とはいえない。
【0003】
【特許文献1】特開平8−151308号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、マダニが宿主動物に寄生することを抑止する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、マダニが宿主動物に寄生することを抑止する方法について、鋭意検討を行った結果、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル=3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートを担持してなるシート状製剤を宿主動物の周囲に配置することにより、該宿主動物へのマダニの寄生が抑止することができることを見出し、本発明に至った。
【0006】
即ち、本発明は以下のものである。
[発明1]
マダニが宿主動物に寄生することを抑止する方法であって、
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル=3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートを担持してなるシート状製剤を該宿主動物の周囲に配置する工程を有することを特徴とする寄生抑止方法。
[発明2]
シート状製剤を宿主動物の周囲に配置する工程が、該シート状製剤を該宿主動物に着装する工程である発明1記載の寄生抑止方法。
[発明3]
シート状製剤を宿主動物の周囲に配置する工程が、該シート状製剤を該宿主動物の居住域に敷設する工程である発明1記載の寄生抑止方法。
[発明4]
シート状製剤が、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル=3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートを紙、繊維および樹脂から選ばれる材料に担持させてなるシート状製剤である発明1〜3のいずれか記載の寄生抑止方法。
[発明5]
シート状製剤が、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル=3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートを表面積1m2当たり50mg〜16000mg担持してなるシート状製剤である発明1〜4のいずれか記載の寄生抑止方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明の、寄生抑止方法(以下、本抑止法と記す)によれば、マダニが宿主動物である温血動物に寄生することを抑止することができ、更にはマダニが宿主動物を吸血することを阻止することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本抑止法では、有効成分として2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル=3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート(以下、本エステル化合物と記す)を担持してなるシート状製剤を用いることを特徴とする。
【0009】
本エステル化合物は、特開2000−63329号公報に記載される化合物であり、例えば該公報に記載される方法で製造することができる。本エステル化合物には、シクロプロパン環上にある不斉炭素に基づく異性体、および、炭素−炭素二重結合に基づく異性体が存在するが、本抑止法には活性な異性体のいずれをも使用することができる。
【0010】
本エステル化合物としては、例えば
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル=3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル=1R−トランス−3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル=1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル=1R−トランス−3−((Z)−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート等が挙げられる。
【0011】
本抑止法の対象となるマダニ類としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0012】
マダニ属(Ixodes):ヤマトマダニ(Ixodes ovatus)、シュルツェマダニ(Ixodes persculatus)、Blacklegged tick(Ixodes scapularis)、Rotund tick(Ixodes kingi Bishopp)等。
チマダニ属(Haemaphysalis):フタトゲチマダニ(Haemaphysalis longicornis)、キチマダニ(Haemaphysalis flava)、ヤマトチマダニ(Haemaphysalis japonica)等。
キララマダニ属(Amblyomma):Lone star tick(Amblyomma americanum)、Cayenne tick(Amblyomma cajennense)、Gulf Coast tick(Amblyomma maculatum)、Gophertortoise tick(Amblyomma tuberculatum)等。
カクマダニ属(Dermacentor):タイワンカクマダニ(Dermacentor taiwanensis)、American dog tick(Dermacentor variabilis)、Rocky Mountain wood tick(Dermacentor andersoni)、Pacific Coast tick(Dermacentor occidentalis)等。
コイタマダニ属(Rhipicephalus):クリイロコイタマダニ(Rhipicephalus sanguineus)等。
ウシマダニ属(Boophilus):オウシマダニ(Boophilus microplus)、Cattle tick(Boophilus annulatus)等。
Hyalomma:Hyalomma marginatum marginatum, Hyalomma truncatum, Hyalomma asiaticum等。
ヒメダニ属(Argas):Fowl tick(Argas persicus)等。
カズキダニ属(Ornithodorus):Relapsing fever tick(Ornithodorus turicata)等。
【0013】
本抑止法で用いられる本エステル化合物は、例えば、紙、繊維、樹脂等から選ばれる材料に担持させて、シート状製剤(以下、本シート製剤と記す。)に加工して使用される。
基材として用いられる材料としては、例えばクラフト紙、ロール紙、模造紙等のクラフトパルプを原料とする紙材料;羊毛、絹、麻等の天然繊維およびポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、ポリビニルアルコール系繊維等の合成繊維等の繊維材料;ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン系樹脂等の樹脂材料が挙げられる。
【0014】
本シート製剤においては、本エステル化合物を担持させる材料としては、樹脂材料が好ましく、ポリオレフィンが更に好ましい。
本発明において好ましく用いられるポリオレフィン系樹脂は、単独の共重合体からなるものであっても、2種以上の重合体及び/又は共重合体を混合したポリマーブレンドからなるものであってもよい。即ち、該ポリオレフィン系樹脂としては、カルボン酸エステル単量体単位の適切な量を含有するポリオレフィン系共重合体そのものを用いることもでき、また、カルボン酸エステル単量体単位を多く含有するポリオレフィン系共重合体(ポリオレフィン系共重合体に対するカルボン酸エステル単量体単位の量が例えば10〜40重量%のもの)とオレフィンの単独重合体とを混合して適切なカルボン酸エステル単量体単位を含有するように調整したポリマーブレンドを用いることもできる。このようなカルボン酸エステル単量体単位を含有するポリオレフィン系共重合体としては、例えばカルボン酸エステル単量体単位を含有するポリエチレン系共重合体、及びカルボン酸エステル単量体単位を含有するポリプロピレン系共重合体が挙げられる。ポリオレフィン系共重合体とは、オレフィン単量体を主なモノマー成分とし、他にカルボン酸エステル単量体をモノマー単位として含有する重合体である。カルボン酸エステル単量体単位を含有するポリエチレン系共重合体としては、例えばエチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸ブチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、及びエチレン−メタクリル酸エチル共重合体が挙げられる。該ポリオレフィン系樹脂がカルボン酸エステル単量体単位を多く含有するポリオレフィン系重合体とオレフィンの単独重合体とを混合して適切なカルボン酸エステル単量体単位を含有するように調整したポリマーブレンドである場合のポリマーブレンドとしては、例えばエチレン−アクリル酸メチルとポリエチレンとのポリマーブレンド、エチレン−アクリル酸エチルとポリエチレンとのポリマーブレンド、エチレン−メタクリル酸メチルとポリエチレンとのポリマーブレンド、及びエチレン−メタクリル酸エチルとポリエチレンとのポリマーブレンドが挙げられる。
【0015】
本エステル化合物は、本シート製剤の表面積1m2当たり、通常50mg〜16000mg、好ましくは200mg〜1000mg担持される。
本エステル化合物を紙材料、繊維材料、樹脂材料等の材料に担持される方法としては、例えば本エステル化合物の溶液(例えばアセトン等のケトン系溶媒、エタノール等のアルコール系溶媒、酢酸エチル等のエステル系溶媒、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素系溶剤、ベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、ヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤等の有機溶媒に本エステル化合物を溶解したもの)を該材料に含浸させる方法が挙げられる。
また、本エステル化合物を担持する材料が、合成樹脂からなる繊維材料や樹脂材料である場合は、予め本エステル化合物又は本エステル化合物の溶液を該合成樹脂に練り込んでおき、その後、該合成樹脂をフィルムに成形したり、紡糸して繊維材料として、織布や不織布に加工することもできる。
【0016】
本シート製剤は、そのシート形状について制限はなく、四角形や円形等の形状、或いは、平面を交互に折り畳んで形成される形状であってもよい。
また、本シート製剤は表面積を得るために穴を有していてもよく、多数の穴を空けたパンチングシート状や、ネット状等等の形状が挙げられる。
【0017】
尚、本抑止法では有効成分として、本エステル化合物に加えて、更に他の殺虫、殺ダニ活性成分、忌避剤、共力剤等を本シート製剤に担持させても良い。
かかる殺虫剤、殺ダニ剤の有効成分としては、例えばフェニトロチオン、フェンチオン、ダイアジノン、クロルピリホス、アセフェート、メチダチオン、ジスルホトン、DDVP、スルプロホス、シアノホス、ジオキサベンゾホス、ジメトエート、フェントエート、マラチオン、トリクロルホン、アジンホスメチル、モノクロトホス、エチオン等の有機リン系化合物、
BPMC、ベンフラカルブ、プロポキスル、ガルボスルファン、カルバリル、メソミル、エチオフェンカルブ、アルジカルブ、オキサミル、チェノチオカルブ等のカーバメート系化合物、
エトフェンプロックス、フェンバレレート、エスフェンバレレート、フェンプロパトリン、シペルメトリン、ペルメトリン、シハロトリン、デルタメトリン、シクロプロトリン、フルバリネート、ビフェンスリン、2−メチル−2−(4−ブロモジフルオロメトキシフェニル)プロピル(3−フェノキシベンジル)エーテル、トラロメトリン、シラフルオフェン、d−フェノトリン、シフェノトリン、d−レスメトリン、アクリナスリン、シフルトリン、テフルトリン、トランスフルスリン、テトラメトリン、アレスリン、d−フラメトリン、プラレトリン、エンペントリン、5−(2−プロピニル)フルフリル 2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル 3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル 3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート等のピレスロイド系化合物、
フェニルピラゾール系化合物、ジフルベンズロン、クロルフルアズロン、フルフェノクスロン、ルフェヌロン、ノバルロン、ビストリフルロン等のベンゾイルフェニルウレア化合物、ピリプロキシフェン、メトプレン、ハイドロプレン、フェノキシカルブ等の昆虫幼若ホルモン様物質、シロマジン、エトキサゾール、メトキサジアゾン、テブフェンピラド、クロルフェナピル、インドキサカルブ、メタフルミゾン、ミルベメクチン、アバメクチン、イバーメクチン、スピノサド等があげられる。
忌避剤としては、例えば、3,4−カランジオール、N,N−ジエチル−m−トルアミド、1−メチルプロピル 2−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペリジンカルボキシラート、p−メンタン−3,8−ジオール、及びヒソップ油などの植物精油等が挙げられる。
共力剤としては、例えば、ビス−(2,3,3,3−テトラクロロプロピル)エーテル[S−421]、N−(2−エチルヘキシル)ビシクロ[2,2,1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド[MGK−264]、及びα−[2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ]−4,5−メチレンジオキシ−2−プロピルトルエン[ピペロニルブトキシド]が挙げられる。
【0018】
本抑止法は、本シート製剤を宿主動物の周囲に配置する工程を有するが、該工程としては、具体的には(1)本シート製剤を宿主動物に着装する工程、(2)本シート製剤を宿主動物の居住域に敷設する工程、(3)本シート製剤を宿主動物の居住する部屋の内部に設置(例えば、天井部より吊り下げる、側壁面に貼り付ける、側壁面に沿って垂らす等)する工程等が挙げられる。
(1)の工程としては、例えば宿主動物の脚部、胴部等に本シート製剤を巻きつけるか、或いは、本シート製剤をベスト等の衣服の形態として宿主動物に装着する等により行うことができる。この場合、宿主動物の体表面積に対して、本シート製剤の表面積が10〜200%の範囲が好ましい。
(尚、動物の体表面積は、体表面積(m2)=0.1×{体重(kg)}2/3 より算出できる。参考文献:実験用ビーグルの研究、ソフトサイエンス社、福井正信・友田勇・上田雄幹編)
【0019】
(2)の工程としては、例えば宿主動物の飼育施設(例えば、犬小屋や飼育籠)を本シート製剤を敷設した面上に設置するか、宿主動物が寝る場所に直接本シート製剤を敷く等により行うことができる。
(3)の工程においては、宿主動物の居住する部屋(例えば、犬小屋や畜舎)の構造により異なるが、該部屋の空間1m3当たり通常本エステル化合物を0.1g〜30g使用する。
【0020】
本抑止法における対象となる宿主動物としては、例えばイヌ、ネコ、ウサギ、ハムスター、マウス、ラット、モルモット、ハト、カメ、ヘビ、トカゲ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、サル、ヒト等が挙げられる。
【実施例】
【0021】
以下、製剤例及び試験例等により、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、これらの例に限定されるものではない。
まず、本抑止法に用いられる製剤例を示す。
【0022】
製剤例1
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル=1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート5重量部およびエチレン−メタクリル酸メチル共重合体(共重合体中のメタクリル酸メチルの割合:25重量%、商品名:アクリフトWK307、住友化学株式会社製)28重量部を密閉式加圧ニーダー(森山製作所製)を用いて溶融混練し、得られた混練物を押出機から押し出しながらホットカットしてペレットを得た。このペレット33重量部と直鎖状低密度ポリエチレン(エチレンの単独重合体)のペレット67重量部とを混合・混練して混練物を得た。次いで、この混練物を押出成形機からネット成形用ダイスを介して押し出すことにより、一辺が約2.5mmの略ひし形のネット(ネットを形成するフィラメントの直径は約0.5mm、開口率64%)が直径約16cmの円筒状となった成形体を得た。
【0023】
製剤例2
縦12cm、横12cmのクラフト紙に、本エステル化合物を適量のアセトンに溶解した溶液を均一に含浸させ、風乾して、本エステル化合物を250mg/m2保持する紙製剤を得る。
【0024】
製剤例3
縦5cm、横5cmの羊毛織布に、本エステル化合物を適量のアセトンに溶解した溶液を均一に含浸させ、風乾して、本エステル化合物を840mg/m2保持する繊維製剤を得る。
【0025】
次に、本発明の防止法が宿主動物へのマダニ寄生を強く阻止することを試験例として示す。
【0026】
試験例1
12週齢のマウス(生体重33g、体表面積103cm2(計算値))を袋状の金網の中に挿入して固定した。製剤例1で得た成形体より得られるネットを15×12cm(ネットの片側の面積:180 cm2、重量:1600 mg)に切り出し、該ネットで該袋状の金網の外周を被覆した。これらを容量860mLのプラスチック容器(底部にはろ紙を敷いた)の中に置いた。続いて、フタトゲチマダニ(Haemaphysalis longicornis)若ダニ約30匹を、マウスおよび該ネットに接触しないようにカップ内に放った。
1日後に、マダニ死亡数、該マウスに寄生しているマダニ数を調査した。また対照として、該ネットで被覆処理を施していないマウスを用い、上記同様の容器内にマダニを放ち観察を行った。3反復の平均値結果を表1に示す。
【0027】
【表1】

マダニ寄生阻害率 % =(C−T)÷C×100
C:対照区のマダニ寄生率、T:処理区のマダニ寄生率
【0028】
試験例2
12週齢のマウス(生体重33g、体表面積103cm2(計算値))を袋状の金網の中に挿入して固定した。製剤例1で得た成形体より得られるネットを15×3cm(ネットの片側の面積:45 cm2、重量:340 mg)に切り出し、該ネットで該袋状の金網の外周を被覆した。これらを容量860mLのプラスチック容器(底部にはろ紙を敷いた)の中に置いた。続いて、フタトゲチマダニ(Haemaphysalis longicornis)若ダニ約30匹を、マウスおよび該ネットに接触しないようにカップ内に放った。
1日後および2日後に、マダニ死亡数、該マウスに寄生しているマダニ数を調査した。また対照として、該ネットで被覆処理を施していないマウスを用い、上記同様の容器内にマダニを放ち観察を行った。2反復の平均値結果を表2に示す。
【0029】
【表2】


マダニ寄生阻害率 % =(C−T)÷C×100
C:対照区のマダニ寄生率、T:処理区のマダニ寄生率
【産業上の利用可能性】
【0030】
本抑止法により、マダニが宿主動物に寄生することを抑止することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マダニが宿主動物に寄生することを抑止する方法であって、
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル=3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートを担持してなるシート状製剤を該宿主動物の周囲に配置する工程を有することを特徴とする寄生抑止方法。
【請求項2】
シート状製剤を宿主動物の周囲に配置する工程が、該シート状製剤を該宿主動物に着装する工程である請求項1記載の寄生抑止方法。
【請求項3】
シート状製剤を宿主動物の周囲に配置する工程が、該シート状製剤を該宿主動物の居住域に敷設する工程である請求項1記載の寄生抑止方法。
【請求項4】
シート状製剤が、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル=3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートを紙、繊維および樹脂から選ばれる材料に担持させてなるシート状製剤である請求項1〜3のいずれか記載の寄生抑止方法。
【請求項5】
シート状製剤が、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル=3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートを表面積1m2当たり50mg〜16000mg担持してなるシート状製剤である請求項1〜4のいずれか記載の寄生抑止方法。

【公開番号】特開2009−120505(P2009−120505A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−294045(P2007−294045)
【出願日】平成19年11月13日(2007.11.13)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】