説明

マッサージ具

【課題】蓄熱体を蓄熱するための時間のロスをなくす。
【解決手段】板状のハンドル11の両端部に設けた対向する一対の軸受部12、12に、中空のローラ21の両端に設けられた軸22が回転可能に、かつ着脱可能に支持される。ローラ21は、円筒状のローラ本体23と、ローラ本体23の一端を開閉する蓋24と、他端を閉塞する蓋25と、ローラ本体23の外側に着脱可能に嵌められる円筒状のカバー26とを有する。このローラ本体23に、蓄熱剤32としてのシリコンオイルを袋に収納して形成された蓄熱体31が収納される。一対の軸受部12、12から取り外したローラ本体23から蓄熱体31を取り外すことができるので、その蓄熱体31を予め加熱または冷却させた別の蓄熱体31と交換することができる。これにより、蓄熱体31を蓄熱または冷却するための時間のロスをなくすことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、肌の表面を温めながら、または冷やしながらマッサージするローラを備えたマッサージ具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、肌の表面を冷やしながらマッサージするために、手に持って使用することで手軽に冷却による刺激を与えられるローラを備えたマッサージ具が用いられている。
【0003】
この種のマッサージ具としては、中空のローラを貫通する軸を、ハンドルに設けられた対向一対の軸受孔で回転可能に支持し、前記ローラの内部に蓄熱体が収納されたものが知られている。
【0004】
このマッサージ具は、使用前、そのマッサージ具を冷凍庫に入れて、ローラ内の蓄熱剤を凍らせておき、使用時に冷凍庫から取り出して、手に持ったハンドルのローラを肌の表面に押し付けながらその表面に沿って移動させる。このローラの移動により、肌に冷却刺激を与えて、肌の引き締め効果を得ることができる(特許文献1参照)。
【特許文献1】実用新案登録第3042081号 公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のマッサージ具は、中空のローラを貫通する軸をハンドルの対向一対の軸受孔に通し両端を折り曲げて、その軸受孔で支持している(特許文献 図1参照)。このため、蓄熱体をローラから出し入れすることができないので、使用前、マッサージ具自体を冷却する必要があり、その間、マッサージ具を使用することができないという問題があった。
【0006】
そこで、この発明は、蓄熱体を蓄熱するための時間のロスをなくすことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、この発明は、両端に軸を設けた中空のローラと、対向一対の軸受部を有するハンドルとを備え、前記ローラの軸を前記ハンドルの対向一対の軸受部で回転可能に、かつ着脱可能に支持し、前記ローラは、ローラ本体とそのローラ本体の少なくとも一端を開閉する蓋とを備え、前記ローラ本体に蓄熱体が出し入れ可能に収納された構成を採用したのである。
【0008】
このようにすると、軸受部から取り外したローラ本体から蓄熱体を取り外すことができるので、その蓄熱体を予め加熱または冷却させた別の蓄熱体と交換することができる。この蓄熱体の交換によって、蓄熱体を蓄熱または冷却するための時間のロスをなくすことができる。
ここで、蓄熱体とは、加熱により蓄熱可能なものだけでなく、冷却により蓄冷可能なものを含むものとする。
【0009】
前記構成において、前記蓄熱体が蓄熱剤を袋に収納して形成された構成を採用すると、蓄熱剤を収納した袋をローラ本体から出し入れすることで蓄熱体を容易に交換することができる。また、蓄熱剤が固形である場合だけでなく、液状やゲル状である場合にも袋に収納して蓄熱体を形成することができる。
【0010】
また、蓄熱体が蓄熱剤を袋に収納して形成された場合、その蓄熱剤がシリコンオイルであると、シリコンオイルは、熱容量が水と比して大きく、加熱により蓄熱し、または冷却による蓄冷する。このため、ローラ本体に蓄熱または蓄冷した蓄熱体を入れて使用すると、肌に温熱刺激または冷却刺激を与えることができる。
【0011】
前記ローラが前記ローラ本体の外側に着脱可能の筒状のカバーを有し、そのカバーにそのカバーの内周面から外周面に貫通する通気孔を周方向の複数箇所に設けた構成とすると、ローラは外面がカバーで覆われているので、冷却した蓄熱体で冷えたローラが肌に直接接触せず、冷却した蓄熱体からローラに伝わった冷気はカバーの通気孔を通して外部に伝わる。この冷気で肌を適度に冷やし、肌に冷却刺激を与えつつ、ローラの転動に伴いマッサージすることができる。
【0012】
一方、加熱した蓄熱体をローラ本体に収納した場合、蓄熱体で温まったローラが肌に直接接触せず、ローラに伝わった暖気が、カバーの通気孔を通して外部に伝わる。この場合では、この暖気で肌を適度に温め、肌に温熱刺激を与えつつ、ローラの転動に伴いマッサージすることができる。
【0013】
また、前記カバーの表面に複数の突起を形成したものとすると、ローラの回動に伴いその各突起が肌の表面を順次押し付けるので、その表面に対して押し付け力(指圧力)の強弱が得られ、指圧効果を付与することができる。
【0014】
前記カバーが柔軟性を有する樹脂により形成されたものであると、ローラを肌に押し付けたとき、カバーの肌に対する感触がソフトになり、肌への刺激が強くなり過ぎない。
【発明の効果】
【0015】
この発明のマッサージ具は、ローラ本体に蓄熱体が出し入れ可能に収納されているので、予め加熱または冷却させた別の蓄熱体と交換することによって、蓄熱体を蓄熱するための時間のロスをなくすことができ、効率良くマッサージを行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
この発明のマッサージ具の実施形態を図1から図8に基づいて説明する。
このマッサージ具は、図1に示すように、対向一対の軸受部12を有するハンドル11と、この対向一対の軸受部12で支持される軸を両端に設けた中空のローラ21とを備えたものである。
【0017】
ハンドル11は、合成樹脂製の板状部材であり、その両端部を同じ向きに折り曲げて対向する一対の前記軸受部12、12が形成される。一対の軸受部12、12の間には掛け渡すように補強板14が一体に形成され、補強板14はローラ21の外周面に沿って湾曲している(図2参照)。
【0018】
ハンドル11の一対の軸受部12、12には、貫通孔13がそれぞれ形成され、ローラ21の両端に設けられる軸22が嵌る。
【0019】
軸22を両端に設けたローラ21は、円筒状のローラ本体23と、ローラ本体23の一端を開閉する蓋24と、他端を閉塞する蓋25と、ローラ本体23の外側に着脱可能に嵌められる円筒状のカバー26とを有する。
【0020】
ローラ21の一部を構成するローラ本体23は、図3に示すように、金属製の円筒部材から形成され、一端が蓋24により開閉可能となっており、他端が蓋25により閉塞されている。この蓋24、25の外面(ローラ本体23の軸方向外向きの面)の中央には、軸22としての突起が形成されている。ローラ本体23の材質は、熱伝導性が良好な金属を採用することが可能であり、例えば、アルミニウムが好ましい。
【0021】
ローラ本体23の外側のカバー26は、合成樹脂製の円筒部材により形成され、ローラ本体23の外側にすき間無く着脱可能に嵌められている。カバー26の表面には、軸方向複数並んだ四角錘形の突起27、27・・・が、周方向に所定の間隔をおいて複数箇所に形成されている(図3参照)。
【0022】
各突起27の形状は、指圧効果が得られるものであれば、四角錐形に限られず、円錐形、三角錐形、半球形としてもよい。また、カバー26を形成する合成樹脂として柔軟性を有するものを採用しても良い。この場合、肌に対するカバー26の感触がソフトになり、ローラ21を顔面に押し付けたとき、肌に対する刺激が強くなり過ぎない。
【0023】
また、カバー26には軸方向に複数並んだ円形の通気孔28、28・・・・が、周方向に所定の間隔をおいて複数箇所設けられている。各通気孔28は、カバー26の内周面から外周面を貫通している。この通気孔28を軸方向に延びる長孔状に形成し、この長孔状の通気孔28を、カバー26の周方向に所定の間隔をもって複数箇所に設けてもよい。
【0024】
ローラ本体23に出し入れ可能に入れられる蓄熱体31は、図4に示すように、蓄熱剤32を袋に収納することにより形成され、袋内の空間を3つに区画し、区画ごとに蓄熱剤32を収納している。袋が3つに区画されているので、蓄熱体31を3つ折りにして、蓋24を外してローラ本体23内に収納することができる。また、蓋24を外すと、ローラ本体23内の蓄熱体31を取り出すことができる。
【0025】
また、蓄熱剤32としては、蓄熱性が良く、熱容量の大きい物質、例えば、シリコンオイルを採用することができる。蓄熱剤32がシリコンオイルであると、これを加熱(冷却)することで蓄熱(蓄冷)し、使用時に、放熱(放冷)する。
【0026】
また、蓄熱剤32として、蓄冷剤(水を主成分とし、水に凝固点降下剤、ゲル化剤、保存料等を配合した液状・ゲル状の物質で、予め凍らせておき、その融解潜熱を利用するもの)を採用することができる。蓄冷剤を袋に収納して蓄熱体(蓄冷体)を形成すると、凍らせた蓄冷体は、使用時に放冷する。
【0027】
蓄熱体31を収納し、一端を蓋24で閉じたローラ本体23の外側にカバー26を嵌めることで、ローラ21が形成され、ローラ21は、図5に示すように、ハンドル11に対して一対の軸受部12により着脱可能に、かつ回転可能に支持される。
【0028】
次に、このマッサージ具の使用方法を説明する。
このマッサージ具は、使用前に、ローラ21をハンドル11から取り外し、ローラ21のローラ本体23の蓋24を外す。このローラ本体23に予め冷凍庫で冷却した蓄熱体31を収納し、蓋24を閉めてローラ本体23の外側にカバー26を取り付けてローラ21とし、このローラ21をハンドル11に取り付ける。
【0029】
続いて、図6に示すように、ローラ21を取り付けたハンドル11を持って、ローラ21を顔面や上腕、大腿部などの肌に軽く押し当て、ローラ21を肌に沿って転動させる。このようにすると、冷却した蓄熱体31から冷気がローラ21に伝わり、その冷気はローラ本体23の外側を覆うカバー26の通気孔を通して外部に伝わり、肌を適度に冷やして、肌に冷却刺激を与える。これにより、肌に引き締め効果が得られ、また、ローラ21の転動に伴いカバー26の突起27が肌を指圧し、マッサージ効果も得られる。
【0030】
また、冷凍庫で蓄熱体31を冷却させる代わりに、予め60℃程度で湯せんして暖めておき、温まった蓄熱体31をローラ本体23に収納してもよい。この場合、蓄熱体31からローラ21に伝わる熱は、カバー26の通気孔を通して外部に伝わり、肌を適度に温め、肌に温熱刺激を与える。
【0031】
マッサージ具を所定時間使用し続けると、蓄熱体31が放冷、または放熱し、蓄熱体31の温度が常温となる。蓄熱体31が常温となったときは、ローラ21をハンドル11から取り外し、ローラ21のローラ本体23の蓋24を外し、蓄熱体31を取り出す。
【0032】
その後、ローラ本体23に予め冷凍庫で冷却した蓄熱体31を収納し、蓋24を閉めて、蓄熱体31を交換する。続いて、ローラ本体23の外側にカバー26を取り付けてローラ21とし、このローラ21をハンドル11に取り付け、再度、マッサージ具を使用する。このように、蓄熱体31を別の蓄熱体31に交換可能であるため、蓄熱体31の蓄熱または蓄冷させる時間のロスをなくすことができる。
【0033】
次に、このマッサージ具のローラ21の変形例を図7に示す。
この変形例は、図7に示すように、ローラ21のローラ本体23の一端と蓋24との嵌め合いをねじ結合による嵌め合いとしたのである。
【0034】
この変形例は、ローラ本体23内にシリコンオイルを充填し、蓋24をローラ本体23の一端に絞め込み、ローラ本体23にシリコンオイルを封入する。このローラ本体23の外側にカバー26を取り付けてローラ21とし、このローラ21をハンドル11に取り付けて使用する。
【0035】
この変形例では、シリコンオイルを封入したローラ本体23を複数用意し、予め冷却または加熱しておく。ローラ本体23の外側にカバー26を取り付けてローラ21とし、このローラ21をハンドル11に取り付けて使用する。このようにローラ本体23を交換することにより、蓄熱体31の蓄熱または蓄冷させる時間のロスをなくすことができる。
【0036】
この発明に係る第2実施形態を図8に示す。この実施形態では、軸状のハンドル11の一端に対向する一対の軸受部12、12が、ハンドル11の軸心とローラ21の回転軸とが一致するように一体に設けられた点で前述の第1実施形態と相違する。その他の構成は前記第1実施形態の場合と同様である。
【0037】
この実施形態のマッサージ具を使用すると、前記第1実施形態のものの場合では、身体の部位のうちで手の届かない部位やローラ21を押し付け難かった部位にローラ21を押し付けて、その部位の表面に冷却刺激または温熱刺激を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】第1実施形態のマッサージ具を示す一部切り欠き正面図
【図2】同上のマッサージ具を示す断面図
【図3】同上のマッサージ具のローラと蓄熱体とを示す分解斜視図
【図4】同上のマッサージ具の蓄熱体を示す斜視図
【図5】同上のマッサージ具のハンドルとローラとの取り付けを示す分解斜視図
【図6】同上のマッサージ具の使用状態を示す斜視図
【図7】同上のマッサージ具のローラの変形例を示す斜視図
【図8】第2実施形態のマッサージ具を示す一部切り欠き正面図
【符号の説明】
【0039】
11 ハンドル
12 軸受部
13 貫通孔
14 補強板
21 ローラ
22 軸
23 ローラ本体
24、25 蓋
26 カバー
27 突起
28 通気孔
31 蓄熱体
32 蓄熱剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端に軸を設けた中空のローラと、対向一対の軸受部を有するハンドルとを備え、前記ローラの軸を前記ハンドルの対向一対の軸受部で回転可能に、かつ着脱可能に支持し、前記ローラは、ローラ本体とそのローラ本体の少なくとも一端を開閉する蓋とを備え、前記ローラ本体に蓄熱体が出し入れ可能に収納されたマッサージ具。
【請求項2】
前記蓄熱体が蓄熱剤を袋に収納して形成された請求項1に記載のマッサージ具。
【請求項3】
前記蓄熱剤がシリコンオイルである請求項2に記載のマッサージ具。
【請求項4】
前記ローラが前記ローラ本体の外側に着脱可能の筒状のカバーを有し、そのカバーにそのカバーの内周面から外周面に貫通する通気孔を周方向の複数箇所に設けた請求項1〜3のいずれかに記載のマッサージ具。
【請求項5】
前記カバーの表面に複数の突起を形成した請求項4に記載のマッサージ具。
【請求項6】
前記カバーが柔軟性を有する樹脂により形成された請求項4または5に記載のマッサージ具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−35743(P2010−35743A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−200669(P2008−200669)
【出願日】平成20年8月4日(2008.8.4)
【出願人】(591172733)株式会社コジット (10)
【Fターム(参考)】