説明

マッサージ機及び椅子型マッサージ機

【課題】施療子の揺動範囲にずれが生じにくく、また、施療子の数・揺動方向の変更の自由度が高いマッサージ機を提供する。
【解決手段】ベース部材29と、このベース部材29から被施療者側に突出している複数の突出部材20と、この各突出部材20にそれぞれ揺動自在として枢着された複数の施療子と、前記ベース部材29と前記施療子との間で被施療者に向かって進退自在に駆動される移動ベース39と、この移動ベース39の進退運動を前記第一及び第二施療子の揺動運動に変換すべく当該第一及び第二施療子に枢着されたリンク部材22a,22bとを備えている。施療子の数を増加させても共通の移動ベース39から動力が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、被施療者をマッサージするための施療子を備えたマッサージ機、及び、これを備えた椅子型マッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
被施療者に対してマッサージを施すことができるマッサージ機として従来知られているものに、被施療者に対して動作する施療子(揉み玉)を備えたものがある。このようなマッサージ機としては、例えば特許文献1に示しているように、一対の第一及び第二施療子を備えたものがあり、両施療子に接近又は離反する動作をさせることで被施療者に対して挟み揉みによるマッサージを行うことができる。
特許文献1に示されているマッサージ機では、第一施療子のアーム部に形成した部分歯車にウォームホイールと同軸心の第一中間歯車を噛合させ、また、第二施療子のアーム部に形成した部分歯車に前記第一中間歯車から分岐する第二中間歯車を噛合させ、第一中間歯車を回転させることにより、両施療子を接近又は離反させるように揺動させて挟み揉みによるマッサージを行っている。
【0003】
【特許文献1】特開平9−299429号公報(図7参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載されている従来のマッサージ機は、施療子を取り付けているアーム部に形成した部分歯車に中間歯車を噛合させる動力伝達方式であるため、歯車のバックラッシュによって施療子の揺動範囲にずれが生じやすく、正確な挟み揉み運動を実現するのが困難であるという問題点がある。
さらに、特許文献1のマッサージ機では、その構成上、両施療子の揺動方向が一つの鉛直面内における方向とされており、各施療子の揺動方向の変更は非常に困難である。またこのマッサージ機は、施療子の配置の自由度が低く、所定の患部に対してマッサージを行うための施療子の数を二個よりも増やすことが困難な構成であるという問題点がある。
そこでこの発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、施療子の揺動範囲にずれが生じにくく、また、施療子の数・揺動方向の変更の自由度が高いマッサージ機、及び、これを備えた椅子型マッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するためのこの発明のマッサージ機は、ベース部材と、このベース部材から被施療者側に突出している複数の突出部材と、この各突出部材にそれぞれ揺動自在として枢着された複数の施療子と、前記ベース部材と前記施療子との間で被施療者に向かって進退自在に駆動される移動ベースと、この移動ベースの進退運動を前記第一及び第二施療子の揺動運動に変換すべく当該第一及び第二施療子に枢着されたリンク部材とを備えている。
【0006】
この構成によれば、各施療子はベース部材から被施療者側に突出している突出部材に揺動自在として枢着されているとともに、当該各施療子はリンク部材とも枢着されている。そして、移動ベースが進退駆動されることで、前記リンク部材によって当該進退運動を第一及び第二施療子の揺動運動に変換することができる。このように、施療子は突出部材とリンク部材の双方に枢着された状態で支持され揺動運動を行うため、従来生じていた歯車間のバックラッシュに伴う施療子の揺動範囲のずれが発生しない。
また、移動ベースの進退運動をリンク部材を介して各施療子の揺動運動に変換しているため、その揺動軸心の方向を変更することによって、各施療子の揺動方向を任意にかつ簡単に設定できる。さらに、施療子の数を増加させても共通の前記移動ベースから動力が得られる。
【0007】
また、このマッサージ機は、前記施療子を、複数個の第一施療子と、前記第一施療子より少ない個数の第二施療子とから構成することができる。
そして、このマッサージ機において、前記第二施療子が枢着されている突出部材は前記移動ベースの進退方向に延びる自転軸よりなり、前記移動ベースと進退運動はともにするが同移動ベースに対して相対回転可能となるように当該移動ベースに連結された回転リンクが設けられ、前記自転軸に枢着されている前記第二施療子と前記回転リンクとが前記リンク部材で連動連結されているのが好ましい。
【0008】
この構成によれば、移動ベースの進退駆動によって回転リンクは当該移動ベースとともに進退運動し、この回転リンクと第二施療子とがリンク部材で連動連結されているため、第二施療子は揺動運動できる。さらに、第二施療子とリンク部材を介して前記自転軸と連結されている回転リンクは、移動ベースに対して相対回転可能となるように連結されているため、当該自転軸がその軸心回りに自転することができる。すなわち、第二施療子が揺動運動することによって第一施療子との共働きによって挟み揉み動作が可能であり、かつ、第二施療子が自転することによって捏ね揉み動作が可能となり、複合的なマッサージを行うことができる。
【0009】
また、前記マッサージ機において、前記第一及び第二施療子が互いに接近又は離反すると同時に前記第一施療子同士が互いに接近又は離反するように、各施療子の揺動方向が設定されているのが好ましい。
これによれば、各施療子が揺動することによって挟み揉みによるマッサージを行うことができる。さらに、第一施療子同士が互いに接近又は離反するため、その挟み揉みによるマッサージは人手に近い挟み揉みを実現することができる。
【0010】
また、前記複数個の第一施療子は親指以外の指に見立てられるとともに前記第二施療子は親指に見立てられるように、当該第一施療子は並んで配設され、当該第二施療子はこれら第一施療子と対向して設けられているのが好ましい。
これによれば、第一施療子が親指以外の指に見立てられ、第二施療子が親指に見立てられるため、人手により近い好適なマッサージを行うことができる。
【0011】
また、本発明の椅子型マッサージ機は、座部と、この座部の後部側に設けられた背もたれ部と、前記座部と前記背もたれ部の内の少なくとも一方に備えられたマッサージ装置とを備えており、そのマッサージ装置を前記記載のマッサージ機とすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、施療子は突出部材とリンク部材の双方に枢着された状態で支持され揺動運動を行うため、従来生じていた歯車間のバックラッシュに伴う施療子の揺動範囲のずれが発生しない。また、各施療子の揺動軸心の方向を変更することによって、各施療子の揺動方向を任意にかつ簡単に設定でき、施療子の数を増加させても共通の移動ベースから動力が得られる。したがって、施療子の数・揺動方向の変更の自由度が高いマッサージ機とできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1はこの発明のマッサージ機を搭載している椅子型マッサージ機の実施の一形態を示す後方からの斜視図であり、図2はその側面図である。
この椅子型マッサージ機は、上面が被施療者を着座させる座面3aとされた座部3と、この座部3の後部に設けられた背もたれ部4と、座部3の前部に設けられた脚載せ部5と、座部3の左右両側に設けられて座部3と背もたれ部4と脚載せ部5とを床面に対して支持している左右一対の脚部16とを備えている。そして、座部3と背もたれ部4と脚載せ部5の少なくとも一つに、被施療者に対してマッサージを施すことができるマッサージ機が設けられている。
【0014】
背もたれ部4にガイド通路6が形成されており、このガイド通路6にマッサージユニット8が移動自在に設けられている。また、この椅子型マッサージ機では、ガイド通路6は背もたれ部4の内部に左側と右側に振り分けて左右一対配置されており、左右のガイド通路6a,6bは背もたれ部4の長手方向に沿って延設されている。これに対応して、マッサージユニット8は左右一対設けられている。そして、椅子型マッサージ機が備えている移動機構(図示せず)が、これらのマッサージユニット8a,8bを各ガイド通路6a,6bに沿ってそれぞれ独立して移動させることができる。また、前記ガイド通路6a,6bは背もたれ部4のみならず、座部3と脚載せ部5の内部にも延伸して設けられている。したがって、マッサージユニット8a,8bのそれぞれは、背もたれ部4から座部3、さらに、脚載せ部5の内部に移動することができる。
【0015】
そして本発明のマッサージ機は前記マッサージユニット8に搭載されている。図3は本発明のマッサージ機(第一実施形態)を搭載しているマッサージユニットの実施の一形態を示す斜視図であり、図4はその要部を示す斜視図である。また図5はこのマッサージ機の断面側面図である。
マッサージユニット8はフレーム28を有しており、このフレーム28にマッサージ機7が搭載されている。フレーム28のほぼ矩形状の本体部分28bの四隅にはそれぞれローラ30が回転自在に取り付けられている。これらローラ30の少なくとも一つが回転駆動することで前記ガイド通路6に沿ってマッサージユニット8は移動することができる。これについて具体的に説明すると、図示しないが、四個の前記ローラ30のうちの少なくとも一つが、その外周面に歯が形成されてピニオンを構成している。また、前記ガイド通路6a,6bにはこのピニオンに噛み合うラック部が形成されている。そして、マッサージユニット8に搭載したモータの回転を減速機構を介して前記ピニオンに伝達し、ピニオンを回転させることでマッサージユニット8をガイド通路6に沿って移動させている。
【0016】
まず、本発明のマッサージ機の第一の実施形態について説明する。
このマッサージ機7は被施療者をマッサージするための施療子(揉み玉)を備えている。本発明の施療子は、複数個の第一施療子と、この第一施療子より少ない個数の第二施療子とからなっている。なお、図に示している施療子は、二個の第一施療子1a,1bと、一個の第二施療子2とからなる。そして、本発明のマッサージ機7は、これら第一施療子1a,1b及び第二施療子2を互いに接近又は離反させる揉み駆動機構11を備えている。
【0017】
二個の第一施療子1a,1bは隣り合わせで並んで配設されており、第二施療子2はこれら第一施療子1a,1bと対向して設けられている。これにより、揉み駆動機構11が第一施療子1a,1b及び第二施療子2を互いに接近又は離反させる動作を行わせることによって、第一施療子1a,1bは人の手の親指以外の指(人差し指と中指)に見立てられるとともに、第二施療子2は親指に見立てられ、これら三個の施療子によって挟み揉みによるマッサージが可能となる。つまり人の手によるマッサージにより近似した好適なマッサージを行うことができる。また、第一施療子1a,1bと第二施療子2とは異なる大きさの略球形とされており、第一施療子1a,1bが第二施療子2よりも大きくされている。
【0018】
揉み駆動機構11について具体的に説明する。
揉み駆動機構11は、平らなプレート状の本体部分29aを有しているベース部材29を備えており、この本体部分29aから複数の突出部材20が突出して設けられている。図示している揉み駆動機構11では、前記施療子の数に対応して三本の突出部材20を備えている(図4参照)。各突出部材20はまっすぐな円柱部材とされており、基端部側がベース部材29に取り付けられている。
そして、この突出部材20の先端部側に前記第一施療子1a,1b及び第二施療子2の内の一つがそれぞれ揺動自在として枢着されている。これにより、突出部材20の突出方向が被施療者側へ向かう方向とされており、さらに、その突出方向(軸心方向)は、ベース部材29が有している平板状の本体部分29aの面に垂直な方向、すなわち、ベース部材29の法線方向(軸心C1方向)に平行な方向とされている。
【0019】
なお、図4と図5において、一対の第一施療子1a,1bはそれぞれ第一の固定部材17aの中央部に固定されており、この固定部材17aがその一端部において突出部材20bの先端部に揺動自在に枢着されている。そして、第二施療子2は第二の固定部材17bの中央部に固定されており、この固定部材17bがその一端部において突出部材20aの先端部に揺動自在に枢着されている。
【0020】
更に、揉み駆動機構11はプレート状(平板状)の移動ベース39を備えている。移動ベース39は前記ベース部材29と前記複数の施療子との間で被施療者側へ進退自在に設けられており、その方向に駆動される。この移動ベース39の進退駆動の方向は前記軸心C1に平行な方向とされており、進退駆動は、揉み駆動機構11が備えている駆動手段11aによって行われる。なお、前記突出部材20a,20bは移動ベース39をその板厚方向に貫通している(図5参照)。そして、移動ベース39が突出部材20a,20bにガイドされてスムーズに直線移動するように構成することができる。
【0021】
図6はこのマッサージ機7を背面側(施療子と反対側)から見た図であり、図7は前記駆動手段11aの一部を示した図である。図5と図6と図7において、前記駆動手段11aは、モータ41と、ベース部材29の背面に回転自在に支持されている回転軸42と、この回転軸42と一体回転するカム43とを有しており、モータ41の回転によって回転軸42及びカム43が回転駆動するように構成されている。そして、移動ベース39の裏面39a側に設けられた当接子44に、回転するカム43が接触することによって移動ベース39がベース部材29に対して接近離間する動作をし、これが移動ベース39の前記進退駆動となる。なお、モータ41と回転軸42との動力伝達はベルトによって行われている。また、前記モータ41をギヤードモータとするのが好ましい。
【0022】
図3と図4と図5において、更に、揉み駆動機構11は、移動ベース39と第二施療子2との間、及び、移動ベース39と第一施療子1a,1bとの間にそれぞれ設けられているリンク部材22a,22bを備えている。具体的に説明すると、第一施療子1a,1b側において、リンク部材22bは直線部材とされており、その一端部が移動ベース39の周縁部の一部に揺動自在に枢着されており、その他端部が第一施療子1a,1bのそれぞれを固定している固定部材17aの他端部に揺動自在に枢着されている。
また、第二施療子2側において、リンク部材22aは直線部材とされており、その一端部が移動ベース39側に揺動自在に枢着されており、その他端部が第二施療子2を固定している固定部材17bの他端部に揺動自在に枢着されている。なお、このリンク部材22aは、後述する回転リンク23に揺動自在に枢着されており、当該回転リンク23を介して移動ベース39に対して揺動自在とされている。
以上より、第一と第二の各施療子をそれぞれ固定している固定部材17b,17aは、ベース部材29から被施療者側に突出している突出部材20a,20bに揺動自在として枢着されているとともに、進退駆動する移動ベース39側のリンク部材22a,22bとも枢着されている。
【0023】
以上のように構成された揉み駆動機構11によれば、前記駆動手段11aによって移動ベース39が被施療者側に進退直線運動することができ、前記リンク部材22a,22bは、この移動ベース39の進退直線運動を第一施療子1a,1b及び第二施療子2の揺動運動に変換することができる。
さらに、この揉み駆動機構11によれば、一台の移動ベース39の進退駆動によって複数個の施療子を同時に揺動させることができ、これら施療子によって挟み揉みによるマッサージを行わせることができる。また、移動ベース39の進退運動をリンク部材22a,22bを介して各施療子の揺動運動に変換しているため、各施療子(固定部材17a,17b)の揺動軸心の方向を変更することによって、各施療子の揺動方向を任意にかつ簡単に設定できる。さらに、施療子の数を三個よりも増加させても共通の一台の移動ベース39から動力が得られるため、施療子の数が増えても構造の簡素化が可能となる。
さらに、各施療子は突出部材20a,20bとリンク部材22a,22bの双方に枢着された状態で支持され揺動運動を行う構造であり、前記駆動手段11aは歯車を有していないため、歯車を有している機構とは異なって歯車間のバックラッシュに伴う施療子の揺動範囲のずれが発生することを防ぐことができる。
【0024】
このマッサージ機7によって行われる挟み揉みによるマッサージ運動についてさらに説明する。図8は軸心C1方向に沿って施療子を見た図である。
図8において、複数個の第一施療子1a,1bによって施療子群が構成されており、揉み駆動機構11は、この施療子群と単一の第二施療子2とを互いに接近又は離反させるとともに、その接近又は離反運動に際して当該施療子群の内の第一施療子1a,1b同士も互いに接近又は離反させるように駆動する構造とされている。すなわち、施療子群と第二施療子2とが互いに接近又は離反すると同時に、複数個の第一施療子1a,1b同士が互いに接近又は離反するようにマッサージ機7は構成され、また、各施療子の揺動方向が設定されている。
また、図5と図8で示している軸心C1はベース部材29の本体部分29aの面に垂直な方向の直線であり、ベース部材29の中央部に設定されている。そして、第一施療子1a,1b及び第二施療子2は、この軸心C1を中心として当該軸心C1を周方向から囲むように配置されており、第一施療子1a,1b及び第二施療子2は揺動によって軸心C1に向かって接近し又はこの軸心C1から離れる揺動を行うことができるように構成されている。
【0025】
これについて図5と図8により具体的に説明すると、第一施療子1a,1bをそれぞれ取り付けている各固定部材17aにおいて、この固定部材17aとリンク部材22bとを枢着している枢着軸18が、当該固定部材17aと突出部材20bとを枢着している枢着軸19よりも、軸心C1から離れた位置とされており、図8に示しているように、例えば当該軸心C1から放射状に延びる直線上に両枢着軸18,19が存在する配置とすることができる。
さらに、第二施療子2を取り付けている固定部材17bにおいて、この固定部材17bとリンク部材22aとを枢着している枢着軸24が、当該固定部材17bと自転軸20aとを枢着している枢着軸25よりも、軸心C1から離れた位置とされており、図8に示しているように、例えば当該軸心C1から放射状に延びる直線上に両枢着軸24,25が存在する配置を取ることができる。
【0026】
すなわち、軸心C1の方向に沿って施療子を見た場合に、第一及び第二施療子のそれぞれは、当該軸心C1から放射状に延びる複数の直線上に配置されており、接近又は離反する動作方向が当該各直線上に沿った方向として見える。
または、前記枢着軸18,19及び前記枢着軸24,25が、軸心C1から放射状に延びる直線上に存在する配置以外であってもよい。すなわち、第一施療子1a,1bの動作方向が、第二施療子2側に対して接近又は離反する動作方向であり、また、第二施療子2の動作方向が、第一施療子1a,1b側に対して接近又は離反する動作方向であればよい。そして、軸心C1の方向に沿って施療子を見た場合において、第一施療子1aの動作方向の直線と、第一施療子1bの動作方向の直線とは、相互が交差する方向とできる。
この構成によれば、複数個の第一施療子1a,1bからなる施療子群と、単一の第二施療子2が接近又は離反して挟み揉みを行うに当たって、複数個の第一施療子1a,1b同士も互いに接近又は離反するので、被施療者に対して人の手によるマッサージにより近似した好適な挟み揉みによるマッサージを行うことができる。
または、軸心C1の方向に沿って施療子を見た場合において、第一施療子1aの動作方向の直線と、第一施療子1bの動作方向の直線とは、平行とすることもできる。
【0027】
さらに、図5において、揉み駆動機構11は、第二施療子2の接近又は離反のストロークが第一施療子1a,1bの同ストロークよりも大きくなるように駆動させる機能を有している。これは、第二施療子2の揺動角度が第一施療子1a,1bの揺動角度よりも大きくなるように構成することで実現できる。具体的には、第二施療子2側における第一の前記枢着軸24と第二の前記枢着軸25との間隔が、第一施療子1a,1b側のそれぞれにおける第一の前記枢着軸18と第二の前記枢着軸19との間隔よりも小さく設定されている。これにより、第一及び第二施療子を揺動させるための移動ベース39の進退ストロークが同じであっても、第一及び第二施療子のストロークが相違する。
以上より、親指に見立てられた第二施療子2のストロークが、親指以外の指に見立てられた第一施療子1a,1bのストロークよりも大きくなり、親指を大きく動かして行う人の手によるマッサージにより近いマッサージ感を達成することができる。
【0028】
さらに、本発明のマッサージ機7は、第一施療子1a,1b及び第二施療子2が互いに接近又は離反することによって挟み揉みによるマッサージ運動を行うように駆動する前記揉み駆動機構(第一駆動機構)11以外に、第二駆動機構12を備えている。この第二駆動機構12は、第二施療子2がこの接近又は離反以外のより複雑なマッサージ運動を行うように駆動する。
第二駆動機構12によって第二施療子2に行わせるこの複雑なマッサージ運動は、被施療者(人体)に対して第二施療子2を円軌道に沿って回転させる捏ね揉み動作とすることができる。具体的には、第二施療子2が先端部に取り付けられている突出部材20aは自転軸とされており、この捏ね揉み動作は、この自転軸20aの軸心C2(図5)回りの自転によって行われる運動から得られるものである。この構成によれば、捏ね揉み動作をさせるための構造が簡素化できる。なお、自転軸20aは前記突出部材であるため、当該自転軸20aは移動ベース39の進退方向に延びている部材であり、自転軸20aの軸心C2とベース部材29の軸心C1とは平行となる。
なお、第二施療子2の円軌道は、マッサージ機の基準軸心C1(軸線)と平行な軸線回りの場合と、当該基準軸心C1と交差する傾いた軸線回りの場合とがある。これは、後述するが、軸受(転がり軸受)23dの中心線を軸心C1に対して傾けた状態としているためである。そして、この円軌道を傾いた軸線回りとした場合、被施療者の身体に対する第二施療子2の距離を変化させることができるため、当該第二施療子2によるマッサージ力(押圧力)を変化させることができる。
【0029】
図5に示しているように、第二施療子2が枢着されているこの自転軸20aはベース部材29及び移動ベース39を貫通している。そして、自転軸20aは、ベース部材29及び移動ベース39のそれぞれに取り付けられた転がり軸受が介在してこれらに対して自転自在とされており、かつ、自転軸20aはベース部材29に軸心C2方向の移動が規制されて取り付けられている。なお、移動ベース39は自転軸20aに対して軸心C2方向へ移動自在とされている。
そして、自転軸20aの第二施療子2側と反対側である基端部には傘歯車45が固定されており、第二駆動機構12が有している傘歯車48に前記傘歯車45を噛合させ、第二駆動機構12が傘歯車48を回転駆動させることによって、自転軸20aを自転させることができる。すなわち、第二駆動機構12は自転軸20aを自転させる回転駆動機構となる。
【0030】
第二駆動機構12の構造をさらに説明すると、第二駆動機構12は、図5と図6において、モータ46と、ベース部材29の背面に回転自在に支持されている回転軸47とを有しており、前記傘歯車48がこの回転軸47と一体回転するように構成されている。したがって、モータ46の回転によって回転軸47及び傘歯車48が回転駆動することで、自転軸20aがその軸心C2(回転軸心)回りに自転し、自転軸20aの先端部側に固定部材17bを介して取り付けられている第二施療子2が、軸心C2を中心として回転する。なお、前記モータ46をギヤードモータとするのが好ましい。
【0031】
なお、第二施療子2を固定している固定部材17bは自転軸20aのみならず、前記のとおり移動ベース39側に揺動自在に取り付けられているリンク部材22aにも枢着されている。したがって、第二施療子2を軸心C2回りに回転させるために、移動ベース39上に回転自在とされている回転リンク23が設けられており、この回転リンク23にリンク部材22aが枢着されている。そして、これら回転リンク23とリンク部材22aとともに第二施療子2と自転軸20aが回転する。すなわち、回転リンク23は、移動ベース39と進退運動はともにするが、同移動ベース39に対して軸心C2を中心として相対回転可能となるように移動ベース39に連結されている。
回転リンク23についてさらに説明すると、自転軸20aを挿通している取付部23aと、リンク部材22aと枢着されている枢着部23bとを有している。取付部23aは円筒形状の部分23cを有しており、その内周面では自転軸20aと摺動自在であり、その外周面に軸受23d(転がり軸受)が外嵌している。そして、移動ベース39において、自転軸20aを挿通させる貫通孔の一部に軸受孔39bが形成されており、この軸受孔39b内に前記軸受23dを嵌入している。また、前記貫通孔の一部にスライドブッシュ39eが嵌入されており、このスライドブッシュ39eは自転軸20aに、当該自転軸20aが当該スライドブッシュ39aに対して摺動回転可能となるようにして、外嵌している。これにより、回転リンク23は自転軸20a(軸心C2)を中心として移動ベース39に対して回転自在となる。そして、自転軸20aに枢着されている第二施療子2(固定部材17b)と移動ベース39上に設けられた回転リンク23の枢着部23bとが、リンク部材22aで連動連結されている。
【0032】
以上によれば、固定部材17bとリンク部材22aとを介して自転軸20aと連結されている回転リンク23は、移動ベース39に対して相対回転可能となるように構成されているため、当該自転軸20aはその軸心C2回りに自転することができる。これにより、第二駆動機構12が第二施療子2を枢着している自転軸20aを自転させることができ、当該第二施療子2は回転動作し被施療者に対して捏ね揉みによるマッサージを行うことができる。
また、移動ベース39の進退駆動によって回転リンク23は当該移動ベース39とともに進退運動し、第二施療子2を固定している固定部材17bと回転リンク23とがリンク部材22aで連動連結されているため、第二施療子2を自転軸20aとの枢着軸心(枢着軸25)を中心として揺動させることができ、当該第二施療子2は第一施療子1a,1bとの共働きにより被施療者に対して挟み揉みによるマッサージを行うことができる。
【0033】
また、移動ベース39の軸受孔39bの軸心及び回転リンク23の円筒形状の部分23cの軸心は、軸心C2に対して傾斜する構造である。つまり、軸受23dの中心線を軸心C2及び軸心C1に対して傾けた状態としている。したがって、回転リンク23は、軸心C2に傾斜した軸線回りに回転することができる。これによれば、自転軸20aの回転によって、第二施療子2を軸心C2回りに回転させながら、第二施療子2とベース部材29との間の距離が変化することとなり、第二施療子2による被施療者に対する接触強さ(押圧強さ)が変化する。
【0034】
以上、第一駆動機構11と第二駆動機構12とによれば、第一施療子1a,1b及び第二施療子2は互いに接近又は離反する動作をし、さらに、第二施療子2がこの接近又は離反以外のより複雑なマッサージ運動、すなわち捏ね揉みによるマッサージ運動を行うことができる。したがって、このマッサージ機7は被施療者に対して変化に富んだマッサージが可能となる。
【0035】
さらに、このマッサージ機7は、第一施療子1a,1b及び第二施療子2の接近又は離反によって被施療者を挟み込む通常の揉み動作を行いながら、第二施療子2が被施療者に対して捏ね揉み動作をすることができるので、同じ患部に対して挟み揉み動作と捏ね揉み動作による複合的なマッサージを行うことができる。そして、マッサージ機7がこの複合的なマッサージを施療子に行わせるために、第一及び第二駆動機構11,12を同時に動作させる制御手段10を更に備えている(図9参照)。なお、図9は本発明のマッサージ機7が備えている機構の概略を示しているブロック図である。つまり、制御手段10は、第一及び第二駆動機構11,12が有しているモータ41,46(図6参照)のそれぞれに対して動作信号を与えることができる。
【0036】
挟み揉み動作のために、第一施療子1a,1bと第二施療子2との揺動の周期は同じとされており、その周期は2〜4秒に設定されるのが好ましい。また、第二施療子2による捏ね揉み動作の周期、すなわち回転周期は2〜4秒に設定されるのが好ましい。
そして、前記複合的なマッサージとして同じ患部に対して行う挟み揉み動作と捏ね揉み動作はいずれも揉み動作であるから、概ね同じ周期で動作させることが好ましい。具体的には、両者の周期は2〜4秒に設定されるのが好ましい。
【0037】
また、捏ね揉み動作における第二施療子2の回転動作において、自転軸20aを中心とする回転軌跡の直径は50mm〜60mm程度に設定されるのが好ましい。また、自転軸20aの軸心C2に対して傾斜して設けられている前記回転リンク23によって、第二施療子2を当該軸心C2方向に沿って移動させた場合の移動ストロークは5mm〜10mm程度に設定されるのが好ましい。
また、挟み揉み動作における第一及び第二施療子の揺動動作において、軸心C1に直交する方向の当該第一及び第二施療子の移動距離は、15mm〜25mmに設定されるのが好ましい。
【0038】
前記第二駆動機構12がさらに備えている機能について説明する。
上記のとおり第二駆動機構12が連続的に駆動することによって、第二施療子2を連続的に回転させ被施療者に対して捏ね揉みが可能となるが、この第二駆動機構12が有しているその他の機能としては、第二施療子2の第一施療子1a,1bに対する接近又は離反する方向を変化させる方向切り替え機構13としての機能がある。
【0039】
すなわち、この方向切り替え機構13は、第二施療子2が先端部に取り付けられた自転軸20aを自転させることによって、当該第二施療子2の接近又は離反する方向を変更させることができる。
この方向切り替え機構13による第二施療子2の動作を具体的に説明すると、図8の状態から自転軸20aをその軸心C2回りに所定角度θだけ反時計回りに回転させると、第二施療子2は二点差線によって示されている位置に変位する。これにより、第二施療子2の揺動方向は、図8の軸心C1に向かう左右方向から、一方側(図8の下側)の第一施療子1a側へ向かう斜め方向に変化する。この状態で自転軸20aを静止させ、第一駆動機構11が第一及び第二施療子に挟み揉み動作を行わせることで、異なる挟み揉み方向のマッサージが可能となる。
【0040】
このように、方向切り替え機構13を間欠的に動作させることで当該自転軸20aを所定角度ずつ自転させることができる。したがって、第二施療子2の揺動方向の向きを刻々と変化させることができ、第二施療子2の第一施療子1a,1bに対する接近又は離反する方向を変更することができる。これにより、このマッサージ機7は被施療者に対して変化に富んだマッサージが可能となる。さらに、第二施療子2の接近又は離反させる方向を変化させることによって、被施療者に対する第二施療子2の押圧度合いを微妙に変化させることが可能となる。これにより、人の手によるマッサージにより近似した好適なマッサージを行うことができる。そして、方向切り替え機構13をこの自転軸20aを用いて構成することによって、挟み揉みの方向の切り替えを簡単な構造によって実現できる。
【0041】
本発明のマッサージ機7が備えているさらに他の機構について説明する。
図3において、被施療者をマッサージするための施療子1a,1b,2が搭載されている前記ベース部材29は、それ自身が揺動することができるプレート状の可動ベースとされている。つまりこのマッサージ機7は、この可動ベース29を揺動自在に支持しているレベリング用の第一支持部材26を備えており、更に、この第一支持部材26を回転自在に支持しているローリング用の第二支持部材27を備えている。
【0042】
第一支持部材26は、可動ベース29をその面内方向の軸心C3回りに揺動自在に両端支持している。この面内方向の軸心C3は可動ベース29の表面上、裏面上又はこれらに平行な面上に存在している。
第二支持部材27は、この第一支持部材26を前記可動ベース29の法線方向の軸心回りに回転自在に支持している。なお、この法線方向の軸心が前記軸心C1とされている。
そして、マッサージ機7は、更に、可動ベース29を第一支持部材26に対して揺動させるためのレベリング駆動機構31と、第一支持部材26を第二支持部材27に対して回転させるためのローリング駆動機構32とを備えている。
【0043】
これらの構成を具体的に説明すると、可動ベース(前記ベース部材)29は円板状の本体部分29aを有しており、前記軸心C1がこの本体部分29aの中心において直交する方向に通っている。また、可動ベース29は、180°離れて対向するように本体部分29aに固定されている一対のフランジ部29bを有している。そして、この各フランジ部29bにおいて、可動ベース29は第一支持部材26に前記軸心C3を中心として揺動自在に取り付けられている。
【0044】
第一支持部材26は、軸心C1を中心として可動ベース29を内側に取り囲んでいる環状部材とされている。第一支持部材26の内周面側に180°離れて設けられた一対の取付部(図示せず)に、可動ベース29の前記一対のフランジ部29bが、軸心C3を中心線とするピン部材(図示せず)を介して取り付けられている。
第二支持部材27は、軸心C1を中心として第一支持部材26に外嵌している環状部材とされている。そして、第一支持部材26の外周部と第二支持部材27の内周部との間に形成されているガイド凹凸部(図示せず)によって、第一支持部材26は第二支持部材27に対して回転摺動自在とされている。そして、第二支持部材27はマッサージユニット8が備えているフレーム28にアーム部27aを介して取り付けられている。
これにより、施療子を搭載している可動ベース29は、当該可動ベース29の面内方向の軸心C3回りに揺動自在とされ、かつ、可動ベース29に直交する軸心C1回りに回転自在とされる。
【0045】
前記ローリング駆動機構32は、モータ33で回転駆動される円柱状の第一巻き掛け部材34と、この第一巻き掛け部材34と第一支持部材26との間に架設されているワイヤ35とを有している。そして、ワイヤ35は第一巻き掛け部材34の回転によって第一支持部材26を軸心C1回りに回転させることができる。モータ33と第一巻き掛け部材34側との動力伝達はベルトによって行われている。なお、モータ33と第一巻き掛け部材34とはマッサージユニット8のフレーム28側に、第一支持部材26側とは離れて取り付けられている。
そして、ワイヤ35は第一巻き掛け部材34から、第二支持部材27に形成されている一方の筒状のガイド部50a内を通って、第一支持部材26の外周面に形成された凹溝26bに軸心C1を中心とするように巻き掛けられ、他方の筒状のガイド部50b内を通り、前記第一巻き掛け部材34に巻き掛けられている。したがって、第一巻き掛け部材34が正回転又は逆回転することによって、ワイヤ35は第一支持部材26を軸心C1回りに一方向又は他方向へ回転駆動させることができる。
【0046】
前記レベリング駆動機構31は、モータ36で回転駆動される円柱状の第二巻き掛け部材37と、この第二巻き掛け部材37と可動ベース29との間に架設されているワイヤ38とを有している。そして、ワイヤ38は第二巻き掛け部材37の回転によって可動ベース29を軸心C3回りに揺動させることができる。モータ36と第二巻き掛け部材37側との動力伝達はベルトによって行われている。なお、モータ36と第二巻き掛け部材37とはマッサージユニット8のフレーム28側に、可動ベース29側とは離れて取り付けられている。
そして、ワイヤ38は第二巻き掛け部材37から、第一支持部材26に形成されている一方の筒状のガイド部49a内を通って、可動ベース29の一方のフランジ部29bの外周面に形成された凹溝29dに軸心C3を中心とするように巻き掛けられ、他方の筒状のガイド部49b内を通り、第二巻き掛け部材37に巻き掛けられている。したがって、第二巻き掛け部材37が所定角度について正回転又は逆回転することによって、ワイヤ38は可動ベース29を軸心C3回りに一方向又は他方向へ揺動させることができる。
【0047】
このように、可動ベース29の揺動及び可動ベース29を支持している第一支持部材26の回転を、ギアの組み合わせを用いることなくワイヤ35,38を採用しているため、次のような効果を奏することができる。例えば比較例として、図示しないがギアの組み合わせのみを用いて可動ベースを揺動させるギア駆動機構を採用した場合では、ギアの配置に制約があり、またギアの配置のための体積が大きくなる。しかし、ワイヤ35,38の採用によれば、第一巻き掛け部材34及び第二巻き掛け部材37と可動ベース29側との間隔などの相対的な位置をある程度自由に設定することができ、第一巻き掛け部材34及び第二巻き掛け部材37や、可動ベース29の配置の自由度が高まり、可動ベース29がフレーム28に対して動作することもできる。さらに、その動力伝達部のコンパクト化が図れる。
【0048】
そして、前記レベリング駆動機構31によれば、可動ベース29を第一支持部材26に対して揺動させることができ、被施療者に対して第一及び第二施療子の高さが変化するレベリング動作が可能となる。このレベリング動作による可動ベース29の軸心C3回りの揺動角度は、フレーム28に対して可動ベース29が水平となる状態(図3の状態)を基準とすると、一方へ10°〜20°揺動し、他方へ10°〜20°揺動することができる。
【0049】
また、前記ローリング駆動機構32によれば、第一支持部材26を第二支持部材27に対して回転させることができ、被施療者に対して第一及び第二施療子を回転させるローリング動作が可能となる。したがって、このマッサージ機7は、施療子を多様な方向へ移動させることができる。また、ローリング駆動機構32による可動ベース29の軸心C1回りの回転は、前記軸心C3とマッサージユニット8の移動方向とが平行である状態(図3の状態)を基準とすると、一方向へ180°回転させることができ、他方向へ180°回転させることができる。
そして、レベリング駆動機構31及びローリング駆動機構32は、図9に示しているように、制御手段10による制御によって動作することができる。つまり、制御手段10は、レベリング駆動機構31及びローリング駆動機構32が有しているモータ33,36のそれぞれに対して動作信号を与えることができる。
【0050】
なお、これらレベリング駆動機構31及びローリング駆動機構32によって、可動ベース29はマッサージユニット8のフレーム28に対して位置変化するように駆動されるが、この可動ベース29には複数個の施療子が搭載されており、これら施療子は上記のとおり、挟み揉み及び捏ね揉みによるマッサージ運動が可能とされている。
そこで、施療子に挟み揉みによるマッサージ運動をさせる揉み駆動機構としての前記第一駆動機構11と、可動ベース29との組み立て構造について説明すると、第一駆動機構11は可動ベース29に固定されている。
【0051】
具体的には、図5及び図6に示しているように、第一駆動機構11が備えているモータ41(ギヤードモータ)は、可動ベース29の裏面から突設されている環状の取付部材40aに固定されており、第一駆動機構11が備えている回転軸42は、可動ベース29の裏面から突設されている取付部材40b,40cに回転自在に両端支持されている。
これにより、第一及び第二施療子を搭載している可動ベース29は揺動したり、第一支持部材26とともに回転したりするが、この可動ベース29に第一駆動機構11が固定されているため、当該第一駆動機構11は可動ベース29とともにこれら動作をすることができる。
【0052】
第二施療子2に捏ね揉みによるマッサージ運動をさせる回転駆動機構としての前記第二駆動機構12と、可動ベース29との組み立て構造について説明すると、同様に、第二駆動機構12は可動ベース29に固定されている。
具体的には、図5及び図6に示しているように、第二駆動機構12が備えているモータ46(ギヤードモータ)は、可動ベース29の裏面から突設されている環状の取付部材40bに固定されており、第二駆動機構11が備えている回転軸47は、可動ベース29の裏面から突設されている取付部材40c,40dに回転自在に両端支持されている。これにより、第二駆動機構11は可動ベース29とともに揺動したり回転したりできる。
【0053】
そして、前記ローリング駆動機構32が有している機能としては、ベース部21に搭載されている第一施療子1a,1b及び第二施療子2に、ローリングマッサージを行わせる機能がある。なお、図3のベース部21は、可動ベース29とこれを支持している第一支持部材26とからなる。
このローリング駆動機構32は、このベース部21が両施療子の間に有している回転中心を通りかつ当該ベース部21を貫く方向に向く軸心C1回りに、当該ベース部21を連続的に回転させることで、被施療者に対して両施療子を軸心C1回りに回転させるローリングマッサージを行わせることができる。すなわち、モータ33を連続的に回転させることで実現できる。なお、ベース部21は一方向(時計回り方向)又は他方向(反時計回り方向)の回転駆動をすることができ、さらに、制御手段10の働きによって、これら方向が交互に切り替えられてローリングマッサージが行われるものであってもよい。
【0054】
また、前記ローリング駆動機構32が有しているその他の機能としては、ベース部21を貫く方向に向く軸心C1回りに当該ベース部21を回転させることで、第一及び第二施療子が接近または離反する挟み方向を調整する角度調整機構14としての機能がある。
この角度調整機構14は、ベース部21を軸心C1回りに所定角度について回転させることで、第一施療子1a,1bと第二施療子2との両者による挟み方向を変更することができ、所望の方向に調整することができる。
すなわち、モータ33を回転させ、ベース部21を所定角度だけ一方向又は他方向に回転させることで実現できる。なお、ベース部21の回転角度や回転方向は制御手段10からの制御信号によって制御される。
【0055】
また、このマッサージ機7によって行われるその他の動作としては、施療子を搭載している可動ベース29を、マッサージユニット8のフレーム28に対して揺動させる二つの動作がさらにある。
具体的には、図3において、可動ベース29を第一支持部材26を介して支持している第二支持部材27は、そのアーム部27aによって、フレーム28が有している第一フレーム28aに、フレーム28側から被施療者側へまっすぐな軸心C4回り揺動自在に支持されている。そして、この第二支持部材27を第一フレーム28aに対して揺動駆動させる駆動手段(図示せず)が、マッサージユニット8に搭載されている。これにより、マッサージユニット8の移動方向の仮想の直線を跨ぐ方向にマッサージ機7は揺動(旋回)することができる。これにより、マッサージユニット8のフレーム28の位置を変更しないで、マッサージ機7を変位させてマッサージ位置の変更が可能となる。なお、この揺動角度は、軸心C3とマッサージユニット8の移動方向とが平行である状態(図3の状態)を基準とすると、一方向へ20°〜40°揺動させることができ、他方向へ20°〜40°揺動させることができる。
【0056】
さらに、前記第一フレーム28aは、ローラ30が取り付けられている第二フレーム28bに、軸心C5回りに揺動自在に支持されている。軸心C5は、前記軸心C4及び前記マッサージユニット8の移動方向である仮想の直線に直交する方向とされている。そして、この第一フレーム28aを第二フレーム28bに対して揺動駆動させる駆動手段(図示せず)が、マッサージユニット8に搭載されている。これにより、第一及び第二施療子を搭載しているベース部21を被施療者に対して接近又は離反させることができ、当該第一及び第二施療子の被施療者に対する押圧度合いを調整することができる。すなわち、これにより指圧調整機構15を構成することができる。なお、この指圧調整機構15による両施療子の揺動角度は、フレーム28に対して可動ベース29が水平となる状態(図3の状態)を基準とすると、押し出し方向(被施療者側)へ20°〜40°揺動することができる。
【0057】
以上のように構成されたマッサージ機7を搭載しているマッサージユニット8によれば、コンパクトでありながら第一及び第二施療子に複雑なマッサージ動作を行わせることができる。さらに、本発明による施療子の配置、及び、その動作により、人の手によるマッサージにより近似した好適なマッサージを行うことができる。そして、椅子型マッサージ機の背もたれ部4内において(図1と図2参照)、マッサージユニット8を被施療者の身長方向に昇降移動させながら、マッサージ機7を各種動作させることができる。
【0058】
次に、本発明のマッサージ機の第二の実施形態について説明する。
図10は本発明のマッサージ機(第二実施形態)の実施の一形態を示す斜視図であり、図11はその要部を示す斜視図である。また図12はこのマッサージ機の断面側面図である。そしてこのマッサージ機は図3に示したマッサージユニット8と同様のマッサージユニットに搭載されている(図示省略)。
このマッサージ機57の全体構成について説明する。
マッサージ機57は被施療者をマッサージするための施療子(揉み玉)と、この施療子を駆動するための駆動機構とを備えている。本発明の施療子は、複数個の第一施療子と、この第一施療子より少ない個数の第二施療子とからなっている。なお、図に示している施療子は、二個の第一施療子1a,1bと、一個の第二施療子2とからなる。
そして本発明のマッサージ機57は、前記駆動機構として、これら第一施療子1a,1b及び第二施療子2を互いに接近又は離反させる揉み駆動機構62(図15参照)を備えている。なお、図15は本発明のマッサージ機57が備えている機構の概略を示しているブロック図である。
【0059】
図10と図11において、二個の第一施療子1a,1bは隣り合わせで並んで配設されており、第二施療子2はこれら第一施療子1a,1bと対向して設けられている。これにより、前記揉み駆動機構62が第一施療子1a,1b及び第二施療子2を互いに接近又は離反させる動作を行わせることによって、第一施療子1a,1bは人の手の親指以外の指(人差し指と中指)に見立てられるとともに、第二施療子2は親指に見立てられ、これら三個の施療子によって挟み揉みによるマッサージが可能となる。つまり人の手によるマッサージにより近似した好適なマッサージを行うことができる。
【0060】
また、このマッサージ機57は、第一及び第二施療子を駆動させる駆動機構として、図12において、これら第一施療子1a,1b及び第二施療子2を軸心C1(回転軸心)回りに回転させる回転駆動機構61を備えている。これにより、人の手の指に見立てられた第一施療子1a,1b及び第二施療子2は、被施療者に対して一体回転するローリングマッサージが可能となる。また、図12の状態から、これら施療子が回転駆動機構61によって所定角度(被施療者側からマッサージ機57を軸心方向に見て反時計回りに90°)回転した状態を図13に示している。
【0061】
さらに、図12において、このマッサージ機57は、前記第一施療子1a,1b及び第二施療子2を互いに接近又は離反させる揉み駆動機構(第一駆動機構)62以外に、駆動機構として、第二施療子2がこの接近又は離反以外のより複雑なマッサージ運動を行うように駆動する自転駆動機構(第二駆動機構)63を備えている。この自転駆動機構63によって第二施療子2に行わせる複雑なマッサージ運動は、被施療者(人体)に対して第二施療子2を円軌道に沿って回転させる捏ね揉み動作とすることができる。具体的には、自転駆動機構63は、第二施療子2が取り付けられている自転軸70aを、その軸心(回転軸心)C2回りに自転させる構成とされている。これによれば、人の手の親指に見立てられた第二施療子2は、被施療者に対して円軌道を描く捏ね揉みによるマッサージが可能となる。なお、自転軸20aの軸心C2と軸心C1とは平行とされている。
また、第二施療子2の円軌道は、マッサージ機の基準軸心C1(軸線)と平行な軸線回りの場合と、当該基準軸心C1と交差する傾いた軸線回りの場合とがある。これは、後述するが、複数の転動体97を有する軸受部の中心線を軸心C1(軸心C2)に対して傾けた状態としているためである。そして、この円軌道を傾いた軸線回りとした場合、被施療者の身体に対する第二施療子2の距離を変化させることができるため、当該第二施療子2によるマッサージ力(押圧力)を変化させることができる。
以上において、本発明のマッサージ機の駆動機構は、第一施療子1a,1b及び第二施療子2を互いに接近又は離反させる揉み駆動機構62、第一施療子1a,1b及び第二施療子2を一体として軸心C1回りに大きく回転させる回転駆動機構61、及び、第二施療子2を小さく回転させる自転駆動機構63とを備えている。
【0062】
次に、本発明のマッサージ機が備えている前記駆動機構について具体的に説明する。
図12と図13において、駆動機構は、円筒状の固定ケース76と、この固定ケース76の内部に収納されている円筒状の回転ベース77と、この回転ベース77の中心部分に設けられている駆動カム78と、回転ベース77に対して軸心C1方向に進退自在に設けられた移動ベース89と、前記駆動カム78に隣接して回転ベース77の中心部分に設けられている従動カム80とを備えている。さらに、この駆動機構は、回転ベース77を軸心C1回りに回転させるための第一駆動手段81と、駆動カム78を軸心C1方向に進退動作させるための第二駆動手段82とを備えている。さらに、この駆動機構は、軸心C1方向に延設され回転ベース77に対して自転自在に設けられた自転軸70aと、この自転軸70aを自転させるための第三駆動手段83とを備えている。
【0063】
固定ケース76は軸心C1を中心とする円筒状であり、この固定ケース76の施療子側と反対側の部分に板状のフランジ部76aが固定されている。このフランジ部76aに、第一駆動手段81、第二駆動手段82、及び、第三駆動手段83がそれぞれ備えているモータ91,98,96が固定されている。
固定ケース76の内部において、軸心C1を中心とする回転軸92が当該固定ケース76に自転自在に取り付けられている。さらに、この回転軸92の外周側に軸受を介して円筒状の回転筒93が自転自在として設けられている。この回転筒93は軸心C1を中心としている。そして、この回転筒93のさらに外周側に軸受を介して前記回転ベース77が自転自在として設けられている。回転ベース77は軸心C1を中心としている。これにより、回転ベース77は固定ケース76の内部に回転自在に収納された状態となる。
【0064】
第一駆動手段81は、回転ベース77を軸心C1回りに回転させるためのギア部84を有している。ギア部84は、回転ベース77の小径部77aに外嵌固定されているギア84aと、これに噛合するウォーム84bとを有している。そして、第一駆動手段81が有しているモータ91からの回転駆動力がこのウォーム84bに伝達される。このモータ91の回転により、回転ベース77を軸心C1回りに回転駆動させることができる。なお、モータ91とウォーム84bの軸(図示せず)との動力伝達はベルトによって行われている(図10参照)。
【0065】
駆動カム78は前記回転筒93に外嵌固定されている。駆動カム78は厚肉の円筒部材とされており、施療子側の端面が軸心C1に対して傾斜しているカム面78aとされている。
そして、第二駆動手段82は、この駆動カム78のカム面78aを軸心C1方向に出退させるためのギア部85を有している。ギア部85は、回転筒93に外嵌固定されているギア85aと、これに噛合するウォーム85bとを有している。そして、第二駆動手段82が有しているモータ98からの回転駆動力がこのウォーム85bに伝達される。このモータ98の回転によりギア部85を介して回転筒93が回転し、回転筒93と共に駆動カム78が軸心C1回りに回転する。これにより駆動カム78のカム面78aを軸心C1方向に出退させることができる。なお、モータ98とウォーム85bの軸(図示せず)との動力伝達はベルトによって行われている(図10参照)。
【0066】
そして、従動カム80は駆動カム78のカム面78aに隣接して設けられている。従動カム80は厚肉の円筒部80aと、この円筒部80aから連続して施療子側へ延伸しているアーム部80bとを有している。円筒部80aは軸心C1方向に移動自在とされて回転筒93に外嵌している。なお、この従動カム80は回転方向に拘束されている。また、この従動カム80の駆動カム78側の端面は、当該駆動カム78のカム面78aと接触するカム面80cとされている。このカム面80cについても軸心C1に対して傾斜する面とされている。また、従動カム80のアーム部80bは、施療子側へ延びるバー部材とされており、移動ベース89と連結固定されている。これにより、移動ベース89は従動カム80とともに、回転ベース77に対して軸心C1方向に進退自在とされている。
【0067】
そして、前記第二駆動手段82の駆動により、駆動カム78のカム面78aは軸心C1方向へ出退動作する。これにより、従動カム80は、当該駆動カム78のカム面78aとの係合を介して、軸心C1方向に進退駆動し、従動カム80が移動ベース89を軸心C1方向に進退させることができる。なお、駆動カム78のカム面78aの頂部と従動カム80のカム面80cの頂部とが接触した状態で、移動ベース89は回転ベース77から最も離れた状態となる。また、駆動カム78のカム面78aの頂部が従動カム80のカム面80cの低部と接触した状態で、移動ベース89は回転ベース77に最も接近した状態となる。
【0068】
図12において、前記自転軸70aは回転ベース77内において軸受を介してその軸心C2回りに自転自在に取り付けられており、かつ、回転ベース77に軸心C2方向の移動が規制されて取り付けられている。また自転軸70aは駆動カム78の外周側に位置している。
そして、第三駆動手段83は、自転軸70aをその軸心C2回りに回転させるための第一ギア部86と、第二ギア部87とを有している。第一ギア部86は回転軸92の施療子側である一端部側に設けられており、第二ギア部87は回転軸93の他端部側に設けられている。
【0069】
第一ギア部86は、回転軸92に外嵌固定されているギア86aと、これに噛合するとともに自転軸70aに外嵌固定されているギア86bとを有している。第二ギア部87は、回転軸92に外嵌固定されているギア87aと、これに噛合するウォーム87bとを有している。そして、第三駆動手段83が有しているモータ96からの回転駆動力がこのウォーム87bに伝達される。このモータ96の回転により、第二ギア部87を介して回転軸92が軸心C1回りに回転し、第一ギア部86を介して自転軸70aが軸心C2回りに自転することができる。さらに、この自転軸70aの自転駆動は、回転ベース77が軸心C1回りに回転しながらであっても可能となる。なお、モータ96とウォーム87bの軸(図示せず)との動力伝達はベルトによって行われている(図10参照)。
【0070】
図13において、マッサージ機57は、更に、軸心C1方向に延設され回転ベース77に対して固定された二本の固定軸70bを備えている。
すなわち、回転ベース77は、軸心C1に直交する方向の環状の中間底壁部77bと、この中間底壁部77bを挟むように配設されている筒状の小径部77aと筒状の大径部77cとを有しており、二本の固定軸70b及び一本の自転軸70aの合計三本が、突出部材として、前記中間底壁部77bから軸心C1方向へ突出して設けられている。これら突出部材の数は施療子の数に対応している。また、突出部材(固定軸70b及び自転軸70a)はまっすぐな円柱部材とされており、その基端部側が回転ベース77に取り付けられており、その先端部側において移動ベース39を貫通している。つまり、回転ベース77はこれら突出部材を一体として取り付けているベース部材とされている。
【0071】
そして、これら突出部材の先端部側に前記第一施療子1a,1b及び第二施療子2の内の一つがそれぞれ揺動自在として枢着されている。具体的には、二本の固定軸70bのそれぞれに第一施療子1a,1bが枢着され、単一の自転軸70aに第二施療子2が枢着されている。これにより、突出部材の突出方向が被施療者側へ向かう方向とされている。さらに、その突出方向(軸心方向)は、回転ベース77が有している中間底壁部77bの面に垂直な方向、すなわち、中間底壁部77bの法線方向(軸心C1方向)に平行な方向とされている。
【0072】
図12において、一対の第一施療子1a,1bはそれぞれ第一の固定部材67aに固定されている。そして、この固定部材67aが固定軸70bの先端部に固定した取付部70dに、ピン69を介して、揺動自在に枢着されている。そして、第二施療子2は第二の固定部材67bに固定されている。そして、この固定部材67bが自転軸70aの先端部に固定した取付部70cに、ピン75を介して、揺動自在に枢着されている。
【0073】
そして、プレート状(平板状)の移動ベース89は、回転ベース77と前記複数の施療子との間で被施療者側へ進退自在に設けられており、その方向に駆動される。この移動ベース89の進退駆動の方向は軸心C1に平行な方向とされており、進退駆動は、第二駆動手段82の駆動による駆動カム78の動作によって従動カム80を介して行われる。
前記自転軸70a及び固定軸70bは移動ベース89をその板厚方向に貫通している。そして、移動ベース89が自転軸70a及び固定軸70bにガイドされてスムーズに直線移動するように構成することができる。
【0074】
図11において、更に、このマッサージ機57は、移動ベース89と第二施療子2との間、及び、移動ベース89と第一施療子1a,1bとの間にそれぞれ設けられているリンク部材72a,72bを備えている。
具体的に説明すると、第一施療子1a,1b側において、一つの第一施療子(固定部材67a)を挟んでリンク部材72bは一対設けられており、それぞれが直線部材とされている。リンク部材72bの一端部が移動ベース89の外縁部に、ピン94を介して、揺動自在に枢着されており、その他端部が第一施療子1a,1bをそれぞれ固定している固定部材67aに、ピン68を介して、揺動自在に枢着されている。
【0075】
また、第二施療子2側において、リンク部材72aは第二施療子2(固定部材72a)を挟んで一対設けられており、それぞれが直線部材とされている。リンク部材72aの一端部が移動ベース89側に、ピン95を介して、揺動自在に枢着されており、その他端部が第二施療子2を固定している固定部材67bに、ピン74を介して、揺動自在に枢着されている。なお、このリンク部材72aは、後述する回転リンク73に揺動自在に枢着されており、リンク部材72aは、当該回転リンク73を介して移動ベース89に対して揺動自在とされている。
【0076】
以上より、第一と第二の各施療子をそれぞれ固定している固定部材67a,67bは、回転ベース77から被施療者側に突出している突出部材としての固定軸70b、自転軸70aのそれぞれに揺動自在として枢着されているとともに、進退駆動する移動ベース89側のリンク部材72b,72aとも枢着されている。
【0077】
また、図11と図12において、自転軸70aについてはその軸心C2回りに自転することで、先端部側に取り付けた第二施療子2を当該軸心C2回りに回転させることができる。そこで、この第二施療子2を軸心C2回りに回転させるために、移動ベース89上に回転自在とされている回転リンク73が設けられており、この回転リンク73に前記リンク部材72aが枢着されている。そして、回転リンク73とリンク部材72aとともに第二施療子2と自転軸70aが回転する。すなわち、回転リンク73は、移動ベース89と進退運動はともにするが、同移動ベース89に対して軸心C2側を中心として相対回転可能となるように移動ベース89に連結されている。
【0078】
図12により回転リンク73についてさらに説明する。
移動ベース89上において、環状部材89bが自転軸70aに外嵌して設けられている。なお、自転軸70aは環状部材89bに対して回転自在とされている。そして、回転リンク73は、この環状部材89に転動体(円筒ころ)97を介して回転自在として設けられている取付部73aと、リンク部材72aと枢着されている枢着部73bとを有している。つまり、回転リンク73の取付部73aは、移動ベース89側の環状部材89bに対して回転自在に支持されている。そして、自転軸70aに枢着されている第二施療子2(固定部材67b)と移動ベース89上に設けられた回転リンク73の枢着部73bとが、リンク部材72aで連動連結されている。
【0079】
これによれば、第二施療子2を固定している固定部材67bとリンク部材72aとを介して自転軸70aと連結されている回転リンク73は、移動ベース89に対して相対回転可能となるように構成される。このため、自転軸70aはその軸心C2回りに自転することができる。これにより、第三駆動手段83の駆動によって、第二施療子2を枢着している自転軸70aを自転させることができ、当該第二施療子2は軸心C2回りに回転動作し被施療者に対して捏ね揉みによるマッサージを行うことができる。
【0080】
また、第二駆動手段82の駆動によって、移動ベース89が進退駆動し、回転リンク73は当該移動ベース89とともに進退運動する。第二施療子2を固定している固定部材67bと、進退運動する回転リンク73とがリンク部材72aで連動連結されているため、第二施療子2を自転軸70aとの枢着軸心(ピン75)を中心として揺動させることができる。さらに、前記移動ベース89の進退駆動によって、当該移動ベース89と、第一施療子1a,1bを固定している固定部材67aとがリンク部材72bで連動連結されているため、第一施療子1a,1bを固定軸70bとの枢着軸心(ピン69)を中心として揺動させることができる。
これにより第一施療子1a,1bと第二施療子2とは被施療者に対して挟み揉みによるマッサージを行うことができる。
【0081】
また、回転リンク73の取付部73aは、移動ベース89側の環状部材89bに対して、軸心C2に対して直交する面上を回転するように構成されないで、軸心C2に直交する面に対して傾斜した面上を回転する構成とされている。したがって、回転リンク73は、軸心C2に傾斜した面に沿って回転することとなる。これによれば、自転軸70aの回転によって、第二施療子2を軸心C2回りに回転させながら、当該第二施療子2と回転ベース77との間の距離が変化することとなり、第二施療子2による被施療者に対する接触強さが変化する。
【0082】
以上のように、このマッサージ機が有している自転駆動機構63は、第三駆動手段83と、この第三駆動手段83の第二ギア部87の駆動によって軸心C1回りに回転する回転軸92と、軸心C2回りに自転自在とされている自転軸70aと、回転軸92から回転動力を自転軸70aに伝達させる第三駆動手段83の第一ギア部86とを有して構成されている。この自転駆動機構63によれば自転軸70aを自転させることができ、自転軸70aの先端部側に取り付けられている第二施療子2を軸心C2回りに回転させることができる。これにより、第二施療子2は捏ね揉みによるマッサージ動作が可能となる。
この捏ね揉み動作は自転軸70aの軸心C2回りの自転によって行われる運動から得られるものであるため、第二施療子2に捏ね揉み動作をさせるための構造が簡素化できる。
【0083】
また、このマッサージ機が有している前記揉み駆動機構62は、第二駆動手段82と、この第二駆動手段82のギア部85の駆動によって軸心C1回りに回転する回転筒93と、この回転筒93と共回りしてカム面78aを出退させる駆動カム78と、この駆動カム78に応じて軸心C1方向に進退動作する従動カム80と、従動カム80と連結されており共に進退直線移動する移動ベース89と、この移動ベース89の進退直線運動を第一及び第二施療子の揺動運動に変換するリンク部材72a,72bとを有して構成されている。この揉み駆動機構62によって第一及び第二施療子を揺動させ、相互を接近又は離反させることができ、第一及び第二施療子は挟み揉みによるマッサージ動作が可能となる。
【0084】
さらに、この揉み駆動機構62によれば、一台の移動ベース89の進退駆動によって複数個の施療子を同時に揺動させることができ、これら施療子によって挟み揉みによるマッサージを行わせることができる。また、移動ベース89の進退運動をリンク部材72a,72bを介して各施療子の揺動運動に変換しているため、各施療子(固定部材67a,67b)の揺動軸心の方向を変更することによって、各施療子の揺動方向を任意にかつ簡単に設定できる。さらに、施療子の数を三個よりも増加させても共通の一台の移動ベース89から動力が得られるため、施療子の数が増えても構造の簡素化が可能となる。
【0085】
また、このマッサージ機が有している前記回転駆動機構61は、第一駆動手段81を有して構成されており、この回転駆動機構61によれば、第一駆動手段81のギア部84の駆動によって、回転ベース77を固定ケース76に対して軸心C1回りに回転させることができる。そして、回転ベース77が回転することによって、当該回転ベース77に固定された固定軸70bと、当該固定ベース77に対して自転自在に設けられた自転軸70aとを、軸心C1回りに回転させることができる。つまり、固定軸70bに枢着された第一施療子1a,1bと、自転軸70aに枢着された第二施療子2とが前記固定ケース76に対して軸心C1回りに回転する。これにより、第一及び第二施療子によってローリングによるマッサージが行われる。
また、回転駆動機構61による回転ベース77の軸心C1回りの回転は、時計回り方向又は反時計回り方向へ360°回転させ、これを連続させたり、時計回り方向へ所定角度回転させその後反対の反時計回り方向へ所定角度回転させ、これを繰り返す動作をさせたりすることができる。
【0086】
このマッサージ機57によって行われる挟み揉みによるマッサージ運動についてさらに説明する。図14は軸心C1方向に沿って施療子を見た図である。
図14において、複数個の第一施療子1a,1bによって施療子群が構成されており、前記揉み駆動機構は、この施療子群と単一の第二施療子2とを互いに接近又は離反させるとともに、その接近又は離反運動に際して当該施療子群の内の第一施療子1a,1b同士も互いに接近又は離反させるように駆動する構造とされている。すなわち、施療子群と第二施療子2とが互いに接近又は離反すると同時に、複数個の第一施療子1a,1b同士が互いに接近又は離反するようにマッサージ機57は構成され、また、各施療子の揺動方向が設定されている。
第一施療子1a,1b及び第二施療子2は、軸心C1を中心として当該軸心C1を周方向から囲むように配置されており、第一施療子1a,1b及び第二施療子2は揺動によって軸心C1側に向かって接近し又はこの軸心C1側から離れる揺動を行うことができるように構成されている。
【0087】
これについて図12と図14により具体的に説明すると、第一施療子1a,1bをそれぞれ取り付けている各固定部材67aにおいて、この固定部材67aとリンク部材72bとを枢着しているピン68が、当該固定部材67aと固定軸70b側とを枢着しているピン69よりも、軸心C1から離れた位置とされている。そして、第一施療子1a,1bの揺動方向は、第二施療子2に接近又は離反する方向とされている。
さらに、第二施療子2を取り付けている固定部材67bにおいて、この固定部材67bとリンク部材72aとを枢着しているピン74が、当該固定部材67bと自転軸70a側とを枢着しているピン75よりも、軸心C1から離れた位置とされている。そして、第二施療子2の揺動方向は、軸心C1に接近又は離反する方向とされている。
また、軸心C1の方向に沿って施療子を見た場合に(図14)、第一及び第二施療子のそれぞれは、当該軸心C1から放射状に延びる複数の直線上に配置されている。
【0088】
この構成によれば、複数個の第一施療子1a,1bからなる施療子群と、単一の第二施療子2が接近又は離反して挟み揉みを行うに当たって、複数個の第一施療子1a,1b同士も互いに接近又は離反するので、被施療者に対して人の手によるマッサージにより近似した好適な挟み揉みによるマッサージを行うことができる。
また、軸心C1の方向に沿って施療子を見た場合において、第一施療子1aの動作方向の直線と、第一施療子1bの動作方向の直線とは、平行とすることもできる。
【0089】
さらに、この揉み駆動機構は、第二施療子2の接近又は離反のストロークが第一施療子1a,1bの同ストロークよりも大きくなるように駆動させる機能を有している。これは、第二施療子2の揺動角度が第一施療子1a,1bの揺動角度よりも大きくなるように構成することで実現できる。具体的には、図12において、第二施療子2側における第一のピン74と第二のピン75との間隔が、第一施療子1a,1b側のそれぞれにおける第一のピン68と第二のピン69との間隔よりも小さく設定されている。これにより、第一及び第二施療子を揺動させるための移動ベース89の進退ストロークが同じであっても、第一及び第二施療子のストロークが相違する。
以上より、親指に見立てられた第二施療子2のストロークが、親指以外の指に見立てられた第一施療子1a,1bのストロークよりも大きくなり、親指を大きく動かして行う人の手によるマッサージにより近いマッサージ感を達成することができる。
【0090】
第一施療子1a,1b及び第二施療子2は同じ形状、同じ大きさの揉み玉とされている。そして、各施療子は、曲率の異なる部分をそれぞれ表裏に有する形状とされている。そして、図14に示しているように、第一施療子1a,1b及び第二施療子2は軸心C1を挟んで相互が対向するように配設されている。第一施療子1a,1bと第二施療子2とは、軸心Cに対するこの表裏の取り付け方向が入れ替えられて、固定軸70b及び自転軸70aにそれぞれ取り付けられている。つまり、第一施療子1a,1b及び第二施療子2は同じ形状、同じ大きさとされているが、図14に示している基本状態で、第一施療子1a,1bと第二施療子2とでは、軸心C1に向かう面が異なるようにして取り付けられている。なお、前記基本状態とは、第二施療子2の軸心C2回りの回転位置のうち、第二施療子2が軸心C1から最も離れた位置にある状態をいう。
【0091】
これによれば、第一施療子1a,1b及び第二施療子2は相互が対向するように配設されているため、両施療子が揺動することによって、被施療者に対して挟み揉みによるマッサージが行われる。そして、第一及び第二施療子は、曲率の異なる部分をそれぞれ有する表裏の取り付け方向が入れ替えられて、固定軸70b及び自転軸70aに取り付けられているため、両施療子が同じ揉み玉とされているが、第一及び第二施療子による被施療者に対する当接面積が異なる。したがって、第一及び第二施療子はそれぞれ異なるマッサージ感を与えることができる。さらに、第一及び第二施療子は同じ揉み玉とされていることにより、施療子の種類が一種類とされコスト低減が図れる。
【0092】
さらに本発明の揉み駆動機構と自転駆動機構とによれば、第一施療子1a,1b及び第二施療子2は互いに接近又は離反する挟み揉み動作をし、さらに、第二施療子2がこの接近又は離反以外のより複雑なマッサージ運動、すなわち捏ね揉みによるマッサージ運動を行うことができる。したがって、このマッサージ機57は被施療者に対して変化に富んだマッサージが可能となる。
さらに、これら駆動機構によって施療子に挟み揉み動作と捏ね揉み動作、又は、これらの内の一方の動作をさせながら、回転駆動機構によって、第一及び第二施療子を一体的に回転させるローリング動作をさせることができ、より一層被施療者に対して変化に富んだマッサージが可能となる。
【0093】
また、このマッサージ機57は、第一施療子1a,1b及び第二施療子2の接近又は離反によって被施療者を挟み込む通常の揉み動作を行いながら、第二施療子2が被施療者に対して捏ね揉み動作をすることができるので、同じ患部に対して挟み揉み動作と捏ね揉み動作による複合的なマッサージを行うことができる。そして、マッサージ機57がこの複合的なマッサージを施療子に行わせるために、マッサージ機57は、揉み駆動機構(第二駆動手段82)及び自転駆動機構(第三駆動手段83)を同時に動作させる制御手段10(図15参照)を更に備えている。
【0094】
挟み揉み動作のために、第一施療子1a,1bと第二施療子2との揺動の周期は同じとされており、その周期は2〜4秒に設定されるのが好ましい。また、第二施療子2による捏ね揉み動作の周期、すなわち回転周期は2〜4秒に設定されるのが好ましい。
そして、前記複合的なマッサージとして同じ患部に対して行う挟み揉み動作と捏ね揉み動作はいずれも揉み動作であるから、概ね同じ周期で動作させることが好ましい。具体的には、両者の周期は2〜4秒に設定されるのが好ましい。
【0095】
また、捏ね揉み動作における第二施療子2の回転動作において、自転軸70aを中心とする回転軌跡の直径は50mm〜60mm程度に設定されるのが好ましい。また、自転軸70aの軸心C2に対して傾斜して回転するように設けられている前記回転リンク73によって、第二施療子2を当該軸心C2方向に沿って移動させた場合の移動ストロークは5mm〜10mm程度に設定されるのが好ましい。
また、挟み揉み動作における第一及び第二施療子の揺動動作において、軸心C1に直交する方向の当該第一及び第二施療子の移動距離は、15mm〜25mmに設定されるのが好ましい。
【0096】
また、以上本発明が備えている回転駆動機構61、揉み駆動機構62及び自転駆動機構63は、図15に示しているように、制御手段10による制御によって動作することができる。つまり、制御手段10は、回転駆動機構61が有している第一駆動手段81、揉み駆動機構62が有している第二駆動手段82、及び、自転駆動機構63が有している第三駆動手段83のそれぞれに対して動作信号を与えることができる。
【0097】
自転駆動機構63がさらに備えている機能について説明する。
図12において、上記のとおり自転駆動機構63が連続的に駆動することによって、第二施療子2を連続的に回転させ被施療者に対して捏ね揉みが可能となるが、この自転駆動機構63が有しているその他の機能としては、第二施療子2の第一施療子1a,1bに対する接近又は離反する方向を変化させる方向切り替え機構としての機能がある。
【0098】
すなわち、この方向切り替え機構は、第二施療子2が先端部に取り付けられた自転軸70aを自転させることによって、当該第二施療子2の接近又は離反する方向を変更させることができる。
この方向切り替え機構による第二施療子2の動作を具体的に説明すると、図14の状態から自転軸70aをその軸心C2回りに所定角度θだけ反時計回りに回転させると、第二施療子2は破線によって示されている位置に変位する。これにより、第二施療子2の揺動方向は、図14の軸心C1に向かう左右方向から、一方側(図14の右側)の第一施療子1a側へ向かう斜め方向に変化する。この状態で自転軸70aを静止させ、揉み駆動機構62(第二駆動手段82)が動作することによって第一及び第二施療子に挟み揉み動作を行わせることで、異なる挟み揉み方向のマッサージが可能となる。
【0099】
このように、方向切り替え機構を間欠的に動作させることで当該自転軸70aを所定角度ずつ自転させることができる。したがって、第二施療子2の揺動方向の向きを刻々と変化させることができ、第二施療子2の第一施療子1a,1bに対する接近又は離反する方向を変更することができる。これにより、このマッサージ機57は被施療者に対して変化に富んだマッサージが可能となる。さらに、第二施療子2の接近又は離反させる方向を変化させることによって、被施療者に対する第二施療子2の押圧度合いを微妙に変化させることが可能となる。これにより、人の手によるマッサージにより近似した好適なマッサージを行うことができる。そして、方向切り替え機構をこの自転軸70aを用いて構成することによって、挟み揉みの方向の切り替えを簡単な構造によって実現できる。
【0100】
図12と図13において、回転駆動機構61が有しているローリングによるマッサージの機能についてさらに説明する。第一施療子1a,1b及び第二施療子2は回転ベース77(ベース部)に搭載されている。そして、回転駆動機構61は、この回転ベース77を連続的に回転させることで、被施療者に対して両施療子を軸心C1回りに回転させるローリングマッサージを行わせることができる。すなわち、第一駆動手段81を連続的に駆動させることで実現できる。なお、回転ベース77は一方向(時計回り方向)又は他方向(反時計回り方向)の回転駆動をすることができ、さらに、制御手段10(図15)の働きによって、これら方向が交互に切り替えられてローリングマッサージが行われるものであってもよい。
【0101】
また、この回転駆動機構61が有しているその他の機能としては、回転ベース77を回転させることで、第一及び第二施療子が接近または離反する挟み方向を調整する角度調整機構64としての機能がある。
この角度調整機構64は、回転ベース77を軸心C1回りに所定角度について回転させることで、第一施療子1a,1bと第二施療子2との両者による挟み方向を変更することができ、所望の方向に調整することができる。すなわち、第一駆動手段81を駆動させ、回転ベース77を所定角度だけ一方向又は他方向に回転させることで実現できる。なお、回転ベース77の回転角度や回転方向は制御手段10(図15)からの制御信号によって制御される。
【0102】
また、このマッサージ機57は、第一及び第二施療子を搭載している回転ベース77を被施療者に対して接近又は離反させることにより、これら第一及び第二施療子の被施療者に対する押圧度合いを調整する指圧調整機構(図示せず)を更に備えている構成とできる。具体的には、図10に示しているマッサージ機57は、マッサージユニット8(図1参照)に搭載されており、図示しないが、このマッサージ機57全体が被施療者側へ接近又は離反自在にマッサージユニット8に取り付けられており、マッサージ機57を被施療者側へ接近又は離反させる駆動手段を備えている。これによれば、指圧調整機構が、回転ベース77を備えているマッサージ機57を被施療者に対して接近又は離反させることにより、回転ベース77上の両施療子が被施療者を指圧することができ、さらに被施療者に対する押圧度合いを調整できる。
【0103】
以上のように構成されたマッサージ機用の駆動機構によれば、コンパクトでありながら第一及び第二施療子に複雑なマッサージ動作を行わせることができる。また、回転ベース77の回転運動、移動ベース89の進退動作(施療子の揺動)、及び、自転軸70aの自転(第二施療子2の回転)を共にギア機構によって行うことができ、また、その構造を簡単にすることができる。さらに、本発明による施療子の配置、及び、その動作により、人の手によるマッサージにより近似した好適なマッサージを行うことができる。そして、椅子型マッサージ機の背もたれ部4内において(図1と図2参照)、マッサージユニット8を被施療者の身長方向に昇降移動させながら、マッサージ機57を各種動作させることができる。
【0104】
なお、本発明のマッサージ機は、図示する形態に限らずこの発明の範囲内において他の形態のものであっても良く、施療子を三個以上としてもよい。例えば第一施療子を四個として、単一の第二施療子とともに、五本指の人の手と見立てるように構成してもよい。
また、本発明の椅子型マッサージ機は、図1と図2に示した形態に限らずこの発明の範囲内において他の形態のものであっても良く、例えば、背もたれ部4が起立状態又は後方へ倒れた状態に揺動可能とされていたり、脚載せ部5が上下揺動可能とされていたりしてもよい。または、脚載せ部が無いものであってもよい。さらに、被施療者に対してマッサージを施すことができるマッサージ装置(前記マッサージ機57)を、背もたれ部4にのみ設けたものや、座部3についても設けたものであってもよい。または、マッサージ機57が背もたれ部4から座部3へ移動することができるものや、さらに、脚載せ部5まで移動することができるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明のマッサージ機(第一実施形態)を搭載している椅子型マッサージ機の実施の一形態を示す後方からの斜視図である。
【図2】図1の側面図である。
【図3】本発明のマッサージ機を搭載しているマッサージユニットの実施の一形態を示す斜視図である。
【図4】図3のマッサージ機の要部を示す斜視図である。
【図5】図3のマッサージ機の断面側面図である。
【図6】図3のマッサージ機を背面側から見た図である。
【図7】揉み駆動機構が有している駆動手段の一部を示した図である。
【図8】施療子を被施療者側から見た場合の図である。
【図9】本発明のマッサージ機(第一実施形態)が備えている機構の概略ブロック図である。
【図10】本発明のマッサージ機(第二実施形態)を搭載しているマッサージユニットの実施の一形態を示す斜視図である。
【図11】図10のマッサージ機の要部を示す斜視図である。
【図12】図10のマッサージ機の断面側面図である。
【図13】図10のマッサージ機の断面側面図であり、図12の状態から、施療子が所定角度について回転した状態を示している。
【図14】施療子を被施療者側から見た場合の図である。
【図15】本発明のマッサージ機(第二実施形態)が備えている機構の概略ブロック図である。
【符号の説明】
【0106】
1a,1b 第一施療子
2 第二施療子
3 座部
4 背もたれ部
5 脚載せ部
7 マッサージ機
8 マッサージユニット
11 揉み駆動機構
20 突出部材
20a 自転軸
22a,22b リンク部材
23 回転リンク
29 ベース部材(可動ベース)
39 移動ベース
57 マッサージ機
62 揉み駆動機構
70a 自転軸(突出部材)
70b 固定軸(突出部材)
72a,72b リンク部材
73 回転リンク
77 ベース部材(回転ベース)
89 移動ベース
C1,C2,C3,C4,C5 軸心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部材と、
このベース部材から被施療者側に突出している複数の突出部材と、
この各突出部材にそれぞれ揺動自在として枢着された複数の施療子と、
前記ベース部材と前記施療子との間で被施療者に向かって進退自在に駆動される移動ベースと、
この移動ベースの進退運動を前記第一及び第二施療子の揺動運動に変換すべく当該第一及び第二施療子に枢着されたリンク部材と、
を備えていることを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
前記施療子は、複数個の第一施療子と、前記第一施療子より少ない個数の第二施療子とから構成されている請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
前記第二施療子が枢着されている突出部材は前記移動ベースの進退方向に延びる自転軸よりなり、前記移動ベースと進退運動はともにするが同移動ベースに対して相対回転可能となるように当該移動ベースに連結された回転リンクが設けられ、前記自転軸に枢着されている前記第二施療子と前記回転リンクとが前記リンク部材で連動連結されている請求項2に記載のマッサージ機。
【請求項4】
前記第一及び第二施療子が互いに接近又は離反すると同時に前記第一施療子同士が互いに接近又は離反するように、各施療子の揺動方向が設定されている請求項2又は3に記載のマッサージ機。
【請求項5】
前記複数個の第一施療子は親指以外の指に見立てられるとともに前記第二施療子は親指に見立てられるように、当該第一施療子は並んで配設され、当該第二施療子はこれら第一施療子と対向して設けられている請求項1〜4のいずれか一項に記載のマッサージ機。
【請求項6】
座部と、この座部の後部側に設けられた背もたれ部と、前記座部と前記背もたれ部の内の少なくとも一方に備えられたマッサージ装置と、を備え、
前記マッサージ装置が請求項1〜5のいずれか一項に記載のマッサージ機とされたことを特徴とする椅子型マッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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