説明

マッサージ機能付きオットマン

【課題】 容易に脚載せ部の角度調節ができるマッサージ機能付きオットマンを提供する。
【解決手段】 角度調節機構7が、上方向および下方向に操作可能なレバー5と、レバー5を操作しない状態では脚載せ部3の回動を固定しレバー5を操作することにより該固定を解除する切換え機構8と、レバー5と切換え機構8とを連動させる連動機構9とを有しているマッサージ機能付きオットマンである。レバー5が上方向及び下方向のいずれの方向に操作されても切換え機構8の前記固定が解除される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オットマン(脚載せ台)にマッサージ機能が付加されたマッサージ機能付きオットマンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
オットマン(脚載せ台)は、ソファやダイニングチェア等の椅子に腰掛けながら脚のふくらはぎ等を載せる台として従来から知られている。近年、このオットマンにマッサージ機能を付加したマッサージ機能付きオットマンが提案されている。
特許文献1には、載せた肢体を施療する脚載せ部を一方側に有し、脚載せ部とは反対側に位置する他方側に肢体を載せる平面状の載置面を有する脚載せ台を備えたマッサージ機能付きオットマンが開示されている。このマッサージ機能付きオットマンは、脚載せ台が回動可能とされ、且つ任意の角度で回動を固定できるようになっている。脚載せ台の回動と固定との切換えは、オットマンの側面に設けられたレバーによりなされる。このレバーはスプリングと連動しており、該スプリングの付勢力に抗してレバーを外方に引っぱることにより脚載せ台の固定が解除され、レバーを離すと該スプリングの付勢力により固定状態が回復する。したがって、レバーを引っぱり続けて固定解除の状態を維持しながら脚載せ台を所望の角度にまで回動させることができ、次いでレバーを離すことにより所望の角度で脚載せ台を固定することができる。
【特許文献1】特開2004−180967号公報([0028]、[0049]、[0050]、図1,図19〜21)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のマッサージ機能付きオットマンでは、所望の角度で脚載せ台を固定できるものの、固定を解除して脚載せ台の角度を調節するためには、オットマンの側面に配置されたレバーを施療者が手でレバーを引きながら回動させなければならない。したがって、椅子に座った施療者が脚載せ台の角度調節をしようとすると、一旦立ち上がったり、あるいは上体を起こしてオットマンに手を伸ばしたりする必要が生じ、角度調整が極めて面倒となる。
【0004】
本発明はかかる状況に鑑みなされたものであって、容易に脚載せ部の角度調節ができるマッサージ機能付きオットマンを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のマッサージ機能付きオットマンは、マッサージ機構を備えるとともに使用者の脚を載せることのできる脚載置面を有する脚載せ部と、この脚載せ部を回動可能に支持する基台とを有し、前記脚載置面の傾斜角度を水平状態から使用者側が下がった所定角度までの範囲において調節可能な角度調節機構を有するオットマンであって、前記角度調節機構は、上方向および下方向に操作可能なレバーと、前記レバーを操作しない状態では前記脚載せ部の回動を固定し前記レバーを操作することにより該固定を解除する切換え機構と、前記レバーと前記切換え機構とを連動させる連動機構とを有しており、前記レバーが上方向及び下方向のいずれの方向に操作されても前記切換え機構の前記固定が解除されることを特徴とする。
【0006】
上記のマッサージ機能付きオットマンでは、レバーを上方向及び下方向のいずれの方向に操作しても回動固定が解除される。よって、脚載せ部を下方向に(使用者側が下がる方向に)回動させたい場合には、レバーを下方向に操作することにより、レバーを下に押す力と重力とが作用して容易に下方向に(使用者側が下がる方向に)回動させることができ、傾斜角度を大きくすることができる。また、脚載せ部を上方向に(使用者側が上がる方向に)回動させたい場合には、レバーを上方向に操作することにより、レバーを上に押す力が作用して容易に上方向に(使用者側が上がる方向に)回動させることができ、傾斜角度を小さくすることができる。しかも、レバーを操作しない状態では回動が固定される。したがって、レバーの単純な操作のみで容易に脚載せ部の角度調節ができる。
【0007】
なお、マッサージ機能付きオットマンの「使用者側」とは、該オットマンが通常の使用状態において椅子の前に置かれ、当該椅子に使用者が座った場合における当該使用者側(椅子側)を意味する。また、「下方向」とは、水平状態から使用者側が下がった状態に脚載せ部が回動する場合の回動方向に略一致した方向のことであり、鉛直下方向のみならず斜め下方向も含むものとする。同様に、「上方向」とは、使用者側が下がった状態から水平状態に脚載せ部が回動する場合の回動方向に略一致した方向のことであり、鉛直上方向のみならず斜め上方向も含むものとする。
【0008】
前記レバーは、前記脚載せ部の使用者側に突出して設けられているのが好ましい。脚載せ部の使用者側に設けられているから、脚先等が届きやすくなり、且つ脚先等により上下方向に操作するのが一層容易となる。更に前記レバーの上面に、前記マッサージ機構を制御する無線式リモートコントローラーの受信部を設けると、脚載せ部が水平状態および傾斜状態のいずれにおいても、常に受信部が無線式リモートコントローラーからの信号(電波、光など)を受信しやすい位置となる。
【0009】
前記脚載せ部の前記基台に対する回動軸として全体回動軸を備え、前記切換え機構は、前記基台側において前記全体回動軸を中心とした円弧に沿って設けられたガイド長穴と、前記脚載せ部側に設けられ前記ガイド長穴を貫通するとともに前記ガイド長穴の幅方向に移動可能なストッパーと、このストッパーを前記ガイド長穴の内周側又は外周側に付勢するストッパーばねと、を有するとともに、このストッパーばねで付勢される側の前記ガイド長穴縁部には、前記ストッパーが係合しうる複数の凹部が周方向に並んで設けられ、前記ストッパーばねの付勢力により前記ストッパーが該凹部のいずれかと係合することにより前記脚載せ部の回動が固定可能とされており、前記連動機構は、前記レバーが上方向及び下方向のいずれの方向に操作されても、前記ストッパーばねの付勢方向とは逆の方向に前記ストッパーを移動させ、これにより前記ストッパーと前記凹部との係合を解消して前記脚載せ部の回動固定を解除できる構成としてもよい。
さらに、前記連動機構は、前記レバーと一体をなし前記レバーの上方向及び下方向の操作に伴い軸回転できるように脚載せ部側に回動可能に支持されるとともに、前記軸回転の軸線方向に対して略垂直に突出し前記レバーと同じ方向に動く突出回動部を有する第一連結部と、一端部が前記第一連結部の突端側と回動可能に連結した第二連結部と、一端部が前記第二連結部の他端部と回動可能に連結し他端部が前記ストッパーと連結し且つその中間位置において脚載せ部側に回動可能に支持された第三連結部と、を有しており、前記連動機構は、前記レバーが上方向及び下方向のいずれの方向に操作されても、前記第三連結部を前記中間位置まわりに回動させることにより、前記ストッパーばねの付勢方向とは逆の方向に前記ストッパーを移動させ、これにより前記ストッパーと前記凹部との係合を解消して前記脚載せ部の回動固定を解除できる構成としてもよい。
このようにすると、上述した角度調整機構、切換え機構、および連動機構を、比較的簡素な機械的手段により構成することができる。
【0010】
更に、前記脚載せ部と前記基台との間に介在するとともに、基台側における端部固定位置を前記全体回動軸とは異なる所定位置に設定して、前記脚載せ部の傾斜角度が大きくなるほど伸長するようにされた傾倒制御ばねを設けてもよい。
脚載せ部を下方向に回動させる際においては、レバーを下に押す力に重力が加わって急激に回動しやすく、所望の角度に調整しにくい傾向があり、一方脚載せ部を上方向に回動させる場合は重力に抗して回動させるため回動しにくく、やはり角度調整がしにくくなる傾向がある。しかしながら、上記傾倒制御ばねを設けることにより、下方向に回動させる際には傾倒制御ばねを伸ばすことでばね力が回動と逆方向に作用し急激な回動が抑制され、逆に上方向に回動させる際には、伸ばされたばねのばね力が回動方向に作用して回動を補助する。よって、上方向および下方向における脚載せ部の回動を制御しやすくなる。
【0011】
前記マッサージ機構は、不使用時において略平坦としうるのが好ましい。この場合、マッサージ機構を使用しない場合に単なるオットマンとして使用できる。しかも、マッサージ機構を有する面(以下、マッサージ面ともいう)と単なるオットマンとして使用する略平坦面(以下、オットマン面ともいう)とが共通の面とできるから、マッサージ面とオットマン面とが互いに反対側の面とされている場合のように、オットマンを180度回転させるといった手間が不要となる。
【発明の効果】
【0012】
レバーが上方向及び下方向のいずれの方向に操作されても角度調節機構の固定が解除される構成としたので、容易に脚載せ部の角度調節ができるマッサージ機能付きオットマンを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
図4は、本発明の一実施形態であるマッサージ機能付きオットマン1(以下、単にオットマン1ともいう)の全体を示す斜視図である。このマッサージ機能付きオットマン1は、マッサージ機構を備えた脚載置面2を有する脚載せ部3と、この脚載せ部3を所定の全体回動軸まわりに回動可能に支持する基台4とを有する。さらに、オットマン1の使用者側には、脚載せ部3の傾斜角度を調整するためのレバー5が設けられている。
なお、オットマン1の「使用者側」とは、前述の通りオットマンの通常の使用状態(椅子と組み合わせて用いられる使用状態)における使用者側(椅子側)を意味する。また以下の記載においては、この使用者側に対する反対側をオットマンの「奥側」とする。更に、使用者側から奥側に至る方向を「手前−奥方向」とし、この手前−奥方向に直交しオットマン1の両側面を結ぶ方向を「左右方向」とする。
【0014】
図5及び図6は、オットマン1の側面図である。図5は、脚載置面2が水平の状態を示すものであり、例えばオットマン1を単なるオットマン(脚載せ台)として用いる場合はこのような状態で用いられる。これに対して図6は、使用者側が下がった所定角度まで脚載置面2の角度が調節された状態であり、脚載置面2に足裏を当接させてマッサージを受ける場合にはこのような状態で用いられる。このようにオットマン1は、脚載置面2の傾斜角度を水平状態(図5の状態)から使用者側が下がった所定角度の状態(図6の状態)までの範囲において調節可能な角度調節機構を有している。
【0015】
レバー5は、上方向10(図5及び図6における符号10を付した矢印方向)と下方向11(図5及び図6における符号11を付した矢印方向)の2方向に操作することができる。レバーを操作しない状態(レバーに触れていない状態)では脚載せ部3の回動が固定され、レバー5を操作することにより該固定が解除されて脚載せ部3が回動するようになっている。レバー5は、上方向10及び下方向11のいずれの方向に操作されても脚載せ部3の固定が解除される。
【0016】
図7は、脚載せ部3と基台4とを分解して表示した斜視図である。基台4は、全体として半円柱状の外形をなしており、その上面12には、脚載せ部3の回動による該脚載せ部3との干渉を防止し該脚載せ部3の回動を許容するための中央開口部13及び左右開口部14が設けられている。完成されたオットマン1の状態では、脚載せ部3の左右側面部21が基台4の左右側面部22の外側に位置する。なお、基台4の左右側面部22の下側部分であって脚載せ部3の左右側面部21に覆われない箇所に、電源コード23及び主電源スイッチ34が取り付けられている。
【0017】
また、基台4の底面部奥側には、オットマン1の手前−奥方向の移動を円滑にするためのキャスター15が左右2箇所に設けられている。このように、キャスター15は基台4の底面部四隅に4箇所設けられているのではなく、奥側の左右2箇所のみに設けられているので、通常の使用状態においては、基台4の底面部前側突起16が接地しておりオットマン1は容易に移動しない。しかし、オットマン1の使用者側を持ち上げてオットマン1の接地部分をキャスター15のみとすることにより、オットマン1は手前−奥方向に容易に移動する。また、オットマン1の使用者側を持ち上げることは、脚のみの操作でも比較的容易に行うことができる。よって、キャスター15を基台4の底面部奥側のみに設けることにより、通常の使用状態ではオットマン1が動きすぎることがなく、逆にオットマン1を手前−奥方向に動かしたい場合は、オットマン1の使用者側のみを持ち上げれば良いので、脚のみで容易にオットマン1を移動させることができる。
【0018】
図8は、脚載せ部3を使用者側から見た図である。脚載せ部3の脚載置面2には、脚をマッサージするためのマッサージ機構6が設けられている。なお、図4〜図6に示すように、マッサージ機構6は皮革や布等を素材とするカバー20で覆われているが、図4〜図6以外の図面では、内部機構を理解しやすいようにするため該カバー20の記載を省略している。マッサージ機構6は、エアセル(空気袋)を膨縮させることにより施療者の脚をマッサージするものであり、具体的には、脚載置面2の左右方向略中央に配置された中央エアセル23と、脚載置面2の左右両側に配置された外側エアセル24が膨縮することにより、脚をマッサージするものである。
【0019】
図8が、各エアセルが収縮した状態であるのに対して、図9は、各エアセルが膨張した状態において脚載せ部3を使用者側から見た図である。図8に示すように、マッサージ機構6は、各エアセルが収縮した状態では略平坦となる。よって、マッサージ機構6の不使用時には脚載置面2を略平坦とすることができ、マッサージ機構6を使用しない場合に単なるオットマンとして使用できる。しかも、マッサージ機構6を有する面(マッサージ面)と単なるオットマンとして使用する略平坦面(オットマン面)とが共通の面となるから、マッサージ面とオットマン面とが互いに反対側の面とされている場合のように、オットマンを180度回転させるといった手間が不要となる。
【0020】
図9に示すように、中央エアセル23は、脚載置面2の左右方向中心位置を挟んだ右側及び左側にそれぞれ別個のものが設けられている。また、各中央エアセル23は、互いに連通する複数(図8及び図9の実施形態では3つ)のエアセルが重ねられてなり、図9のように使用者側から見た場合において扇状に膨張する構造となっている。即ち中央エアセル23は、蛇腹状のエアセルの一方側のみの拡張を拘束することにより扇状に開くようになっている。各中央エアセル23は、それぞれ左右方向外側を中心として扇状に膨張するように配置されており、該膨張に伴い通常の使用状態における施療者の脚30(図9及び図8で破線にて断面を表示)を左右方向外側に向かって押圧することができる構成とされている。なお図8及び図9では、図5で示すように、脚載置面2に脚のふくらはぎ付近が載置された状態における脚30を図示しているが、特に脚載置面2を使用者側が下がるように傾斜させた場合には、図6に示すように脚30の足裏を脚載置面2に載せるようにして、足裏、かかと、及び足の甲などをマッサージすることができる。
【0021】
一方、脚載置面2の左右両側に配置された各外側エアセル24は、下側に設けられた第一外側エアセル25と、この第一外側エアセル25の上側に設けられた第二外側エアセル26とからなる。各外側エアセル25,26は、中央エアセル23と同様、互いに連通する複数(図8及び図9では3枚)のエアセルが重ねられてなり、図9のように使用者側からみた場合において扇状に膨張する構造となっている。各外側エアセル25,26は、それぞれ左右方向内側を中心として扇状に膨張するように配置されており、通常の使用状態における施療者の脚30を左右方向外側から押圧することができる。さらに、第一外側エアセル25の上側(図8のような収縮状態における上側)には、球面状の凸面を有する施療突起27が支持板28を介して設けられており、外側エアセル25,26が膨張することにより施療突起27が脚30を押圧することができる。また、第一外側エアセル25と第二外側エアセル26とを重ねて配置することにより、施療突起27の押圧位置の自由度を高め、図9のように脚30を斜め上側から押圧するといったことも可能となる。
なお、前述のカバー20は、各エアセル23,25,26の扇状の膨張を妨げないような蛇腹状構造20aを備えている(図5及び図6参照)。
【0022】
支持板28の左右方向内側端部のみに片側支持された状態で、該支持板28と中央エアセル23との間の部分を覆うようにアクリル樹脂製の薄板29が固定されている。この薄板29は、各エアセル23,24を固定するためのねじ31等から施療者の脚30を保護するために設けられている。また図9に示すように、この薄板29は各エアセルの膨張に対応して弾性変形し、施療動作を妨げることがない。なお実際には、図8及び図9で図示を省略する前述のカバー20が薄板29等を含むマッサージ機構6全体を覆っており、このカバー20によっても脚30が保護されている。
【0023】
図1〜図3は、オットマン1の内部構造を示す図であり、図3は使用者側から見た図、図1はオットマン1の外側から内部構造の側面を見た図(図3の右側から見た図)、図2はオットマン1の内側(図1の反対側)から内部構造の側面を見た図である。これらの図においては、オットマン1の角度調節機構の説明に不要な部分は適宜記載を省略している。
【0024】
図3に示すように、基台4の内部には、図示しないホース、チューブあるいはパイプ等を介して各エアセル23,24に空気を供給するエアポンプ32と、このエアポンプ32から各エアセル23,24までの間において空気弁を開閉する電磁弁33とを有している。エアポンプ32及び電磁弁33は、図示しない制御機構により、各エアセル23,25,26の膨縮のタイミングをエアセル毎に制御して、所望の施療動作が得られるようになっている。
【0025】
オットマン1の角度調節機構7は、図3に示すように左右対称の構成を成しており、図2及び図3で示される構成が角度調節機構7の両側面側において互いに左右対称に設けられている。角度調節機構7を構成する各部分は、脚載せ部3及び基台4の両方に亘っており、脚載せ部3と基台4とが組み立てられることにより角度調節機構7が完成する。
オットマン1の角度調節機構7は、上方向10および下方向11に操作可能な前記レバー5と、このレバー5を操作しない状態では脚載せ部3の回動を固定しレバー5を操作することにより該固定を解除する切換え機構8と、レバー5と切換え機構8とを連動させる連動機構9とを有しており、レバー5が上方向10及び下方向11のいずれの方向に操作されても切換え機構8による回動固定が解除されるようになっている。
【0026】
図1〜図3に示すように、脚載せ部3は、マッサージ機構6を支持固定するための支持面35と、この支持面35と一体を成すとともに該支持面35の左右側縁部から基台4側に向かって延在し基台4との接合部を構成する略平板状の上側接合部36とを有する。
一方、基台4は、底面部40と、この底面部40と一体を成すとともに該底面部40の左右側縁部から脚載せ部3に向かって延在し脚載せ部3との接合部を構成する略平板状の下側接合部41とを有する。上側接合部36と下側接合部41は、共に脚載せ部3の左右側面部21や基台4の左右側面部22と平行に延在している。
そして、上側接合部36と下側接合部41とは、全体回動軸37により互いに回動可能に支持されている。なお、全体回動軸37の位置は、脚載置面2が水平の状態において脚載せ部3の重心位置(図示しない)よりも奥側に位置している。
【0027】
図1及び図2に示すように、切換え機構8は、全体回動軸37を中心とした円弧に沿って下側接合部41に設けられたガイド長穴42と、脚載せ部3側に設けられガイド長穴42を貫通するとともにガイド長穴42の幅方向(全体回動軸37に対する径方向)に移動可能なストッパー43(図2参照)と、このストッパー43を前記ガイド長穴の内周側に付勢するストッパーばね44と、を有する。また、このストッパーばね44で付勢される側、即ち内周側のガイド長穴42縁部には、ストッパー43が係合しうる複数の凹部45が周方向に並んで設けられている。ストッパー43は断面円形の略円柱状部材であり、このストッパー43がストッパーばね44の付勢力でガイド長穴42の凹部45に落ち込むことにより、ストッパー43が凹部44と係合して脚載せ部3の回動が固定される。ストッパー43が、どの凹部45と係合するかによって脚載せ部3の傾斜角度を調節することができる。図2に示すように、ストッパー43は、上側接合部36に設けられた第二ガイド長穴46及びガイド長穴42を貫通するとともに、その一端はストッパーばね44の一端と接続されている。またストッパー43の他端は、ガイド長穴42の幅方向に移動可能な状態で上側接合部36に支持されている。第二ガイド長穴46は、ストッパー43の移動(ガイド長穴42の幅方向への移動)を許容して凹部45との係合切換えを可能とすべく、ガイド長穴42の幅方向に長い穴とされている。
【0028】
連動機構9は、レバー5が上方向10及び下方向11のいずれの方向に操作されても、ストッパーばね44の付勢方向とは逆の方向にストッパー43を移動させ、これによりストッパー43と凹部45との係合を解消して脚載せ部3の回動固定を解除できる構成とされている。
【0029】
かかる連動機構9の詳細構成を説明する。
連動機構9は、レバー5と一体をなしレバー5の上方向11及び下方向11の操作に伴い軸回転(図3において両矢印50にて示す)できるように脚載せ部3側に回動可能に支持されるとともに、前記軸回転の軸線z(図3参照)方向に対して略垂直に突出しレバー5と同じ方向に動く突出回動部47を有する第一連結部48と、一端部が第一連結部48の突端側と回動可能に連結した棒状部材である第二連結部49と、一端部が第二連結部49の他端部と回動可能に連結し他端部が棒状の中継部材51(図2参照)を介してストッパー43と連結し且つその中間位置において脚載せ部側の上側接合部36に所定の中間回動軸52まわりに回動可能に支持された第三連結部53と、を有している。
【0030】
次に、レバー5を上方向10及び下方向11のそれぞれの方向に操作した場合の連動機構9の動作について、図2を参照しつつ説明する。
まず、レバー5を上方向10に操作すると、第一連結部48の突出回動部47の突端t1が矢印R1のように回動し、これに連動して第三連結部53が中間回動軸52を中心として回転し、該第三連結部53の端部t2が矢印R4のように回動する。よって中継部材51がストッパーばね44の付勢力に抗して上方に引っぱられ、ストッパー43と凹部45との係合が外れる。
次に、レバー5を下方向11に操作すると、第一連結部48の突出回動部47の突端t1が矢印R2のように回動し、これに連動して第三連結部53が中間回動軸52を中心として回転し、該第三連結部53の端部t2が矢印R3のように回動する。よってこの場合も、中継部材51がストッパーばね44の付勢力に抗して上方に引っぱられ、ストッパー43と凹部45との係合が外れることとなる。
このように、連動機構9は、レバー5が上方向10及び下方向11のいずれの方向に操作されても、ストッパー43を略上方に移動させて凹部45とストッパー43との係合を解消することにより、脚載せ部3の回動固定を解除できる。そして、レバー5を操作しない状態では、ストッパーばね44の付勢力によりストッパー43がいずれかの凹部45と係合して、脚載せ部3の回動が固定される。
【0031】
図10は、レバー5を上方から見た平面図である。
レバー5は、脚載せ部3の使用者側に突出して設けられているから、例えばレバー5がオットマン1の側面に設けられている場合と比較して、脚、特に脚先により上下方向に操作するのが一層容易とされている。更にレバー5の上面5aに、マッサージ機構6を制御する無線式リモートコントローラーの受信部55、停止ボタンスイッチ56、及び動作中に点灯するLED57が設けられている。
【0032】
レバー5の上面5aは、脚載置面2が水平である場合(図5参照)であっても、使用者側が下がって傾斜した状態(図6参照)であっても、椅子に座った施療者(図示しない)からの無線式リモートコントローラーの信号(該信号の進行方向を図5及び図6において白抜き矢印で表示)を受信しやすい面となる。これに対して例えば、レバー5の手前面5bでは、図6のような傾斜状態において受信しにくくなる。また、基台4の手前面に受信部55を設けたとしても図6のような傾斜状態において脚載せ部3により信号が遮られることとなる。またマッサージ機構6は施療動作を行う部分であるから、受信部55を設けるには制約を受けやすく、またカバー20なども設けられているため信号が遮られるおそれが高い。これに対してレバー5の上面5aに受信部55を設けると、脚載置面2の傾斜角度による受信の制約が最小限に抑えられる。
【0033】
また、停止ボタンスイッチ56を上面5aに設けたので、手や脚が届きやすい位置に配置されて該スイッチ56を押しやすくなり、特にマッサージ機構6を緊急停止させる場合には効果的である。また、LED57も上面5aに設けたので、脚載置面2が水平状態および傾斜状態のいずれにおいても、点灯の有無を確認しやすくなる。
なお、受信部55に接続される配線38は、レバー5の腕部5cの下側を通って脚載せ部3の内部に至っている。
【0034】
また、オットマン1には、上述したストッパーばね44とは別のばねである傾倒制御ばね54が設けられている(図1及び図3参照)。この傾倒制御ばね54は、脚載せ部3と基台4との間に介在しており、その基台4側における端部固定位置を全体回動軸37とは異なる所定位置60に設定して、前記脚載せ部の傾斜角度が大きくなるほど伸長するようにされている。このことを以下に説明する。図1に示すように、傾倒制御ばね54は、脚載せ部3側の上側接合部36における所定位置61と、基台4側の前記所定位置60との間に設けられている。脚載せ部3が全体回動軸37を中心軸として回動すると、脚載せ部3側の所定位置61も全体回動軸37を中心として回動することとなる(図1の円弧状破線参照)。一方、脚載せ部3が回動しても基台4側の所定位置60の位置は不変である。ここで、基台4側所定位置60は全体回動軸37とは異なる位置に設けられており、具体的には図1に示すように、脚載せ部3の脚載置面2が水平の状態における基台4側の所定位置60は、脚載せ部3側の所定位置61と全体回動軸37とを結ぶ直線上の中間地点に位置している。したがって、脚載せ部3が傾斜するほど傾倒制御ばね54はそのばね力に抗して伸ばされることとなる(図1の2点鎖線参照)。
【0035】
以上のように構成されたオットマン1は、以下のような作用効果を奏する。
上記のマッサージ機能付きオットマン1では、レバー5を上方向10及び下方向11のいずれの方向に操作しても回動固定が解除される。よって、脚載せ部3を下方向11に(使用者側が下がる方向に)回動させたい場合には、レバー5を下方向11に操作することにより、レバー5を下に押す力と重力とが作用して容易に下方向11に(使用者側が下がる方向に)回動させることができ、傾斜角度を大きくすることができる。また、脚載せ部3を上方向10に(使用者側が上がる方向に)回動させたい場合には、レバー5を上方向10に操作することにより、レバー5を上に押す力が作用して容易に上方向10に(使用者側が上がる方向に)回動させることができ、傾斜角度を小さくすることができる。しかも、レバー5を操作しない状態では回動が固定される。したがって、手を使わなくても脚だけで容易に脚載せ部の角度調節ができる。よって、使用者は椅子に座ったまま上体を起こすこともなく脚だけで角度調節でき、極めて利便性の高いオットマンとなる。また、オットマン1のような構成とすると、角度調整機構7、切換え機構8、および連動機構9を、比較的簡素な機械的手段により構成することができる。
【0036】
一方、脚載せ部3を下方向11に回動させる際においては、レバー5を下に押す力に重力が加わって急激に回動しやすく、例えば最大の傾斜角度まで一気に傾いてしまうなど、所望の角度に調整しにくい傾向がある。一方、脚載せ部3を上方向10に回動させる場合は、重力に抗して回動させるため回動しにくく、特に脚だけで角度調整をしようとする場合には過度の力が必要となるなど、角度調整がしにくくなる傾向がある。しかしながら、上述のように傾倒制御ばね54を設けることにより、下方向11に回動させる際には傾倒制御ばね54を伸ばすことになり、該傾倒制御ばね54のばね力が回動と逆方向に作用し急激な回動が抑制される。逆に上方向10に回動させる際には、伸ばされた状態の傾倒制御ばね54が縮もうとするばね力が回動方向に作用して回動を補助する。よって、上方向10および下方向11における脚載せ部3の回動及びその制御がより一層容易となる。よって、脚だけで脚載せ部3の傾斜角度を調節するのに極めて適したものとなる。
【0037】
なお、上記の実施形態では、連動機構9や切換え機構8として機械的手段を用いたがこれに限られず、例えば電気的手段等を用いても良い。電気的手段の例としては、例えばレバー5を上方向10及び下方向11のいずれに操作してもスイッチオンの信号が発信され、これにより切換え機構8の固定−固定解除の切換えがなされたり、脚載せ部3を回動させるためのモーターが作動したりするものを例示することができる。ただし上記の機械的手段によれば比較的簡素な構造により本発明を構成することができる。
【0038】
また、マッサージ機構6としても上記に限られず、例えば脚載置面2の法線方向に施療突起が出退動作するといった比較的単純なものでもよい。ただし、上記の実施形態のようにすると、左右の脚30を中央エアセル23及び外側エアセル24で挟み込むように施療するため、マッサージ効果を高めることができる。
【0039】
本発明において、脚載置面2の傾斜角度範囲は特に限定されず、オットマン1を水平面に載置した場合において、脚載置面2の傾斜角度が、水平状態から使用者側が下がった所定角度までの範囲を含んで調節可能であればよい。上記実施形態のオットマン1では、ガイド長穴42の範囲を適宜設定することにより、角度調節の範囲を設定することができる。なお、本発明では、上述のようにマッサージ機構6を略平坦とでき、脚載置面2がマッサージ面とオットマン面とを兼ねた構成としているから、たとえば前記従来技術(特開2004―180967号公報)に記載の、マッサージ面とオットマン面とが互いに反対面に設けられたマッサージ機能付きオットマンのように、脚載せ部3を180度回転させる必要がない。よって脚載せ部3の傾斜角度範囲は、例えば0〜60度(ここで60度とは、脚載置面2の使用者側が下がった状態における傾斜角が60度であることを意味する。)程度の範囲であっても、ふくらはぎ及び足裏などのマッサージと、単なるオットマンとしての脚載せ台の用途とのいずれも可能なものとできる。よって、傾斜角度範囲が少なくできる分、構造を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態におけるマッサージ機能付きオットマンの角度調節機構を示す側面図である。
【図2】図1の角度調節機構を、図1とは反対側から見た図である。
【図3】図1の角度調節機構の全体を示す正面図である。
【図4】本発明の一実施形態におけるマッサージ機能付きオットマンの全体を示す斜視図である。
【図5】脚載置面が水平な状態における図4のマッサージ機能付きオットマンの側面図である。
【図6】脚載置面が傾斜した状態における図4のマッサージ機能付きオットマンの側面図である。
【図7】脚載せ部と基台とを分解した状態の斜視図である。
【図8】マッサージ機構を含めた脚載せ部の全体を示す正面図であり、エアセルが収縮した状態の図である。
【図9】マッサージ機構を含めた脚載せ部の全体を示す正面図であり、エアセルが膨張した状態の図である。
【図10】レバーを上側から見た平面図である。
【符号の説明】
【0041】
1 マッサージ機能付きオットマン
2 脚載置面
3 脚載せ部
4 基台
5 レバー
5a レバーの上面
6 マッサージ機構
7 角度調節機構
8 切換え機構
9 連動機構
10 上方向
11 下方向
30 施療者の脚
37 全体回動軸
42 ガイド長穴
43 ストッパー
44 ストッパーばね
45 凹部
47 突出回動部
48 第一連結部
49 第二連結部
53 第三連結部
54 傾倒制御ばね
55 受信部
60 全体回動軸とは異なる所定位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マッサージ機構を備えるとともに使用者の脚を載せることのできる脚載置面を有する脚載せ部と、この脚載せ部を回動可能に支持する基台とを有し、前記脚載置面の傾斜角度を水平状態から使用者側が下がった所定角度までの範囲において調節可能な角度調節機構を有するオットマンであって、
前記角度調節機構は、上方向および下方向に操作可能なレバーと、前記レバーを操作しない状態では前記脚載せ部の回動を固定し前記レバーを操作することにより該固定を解除する切換え機構と、前記レバーと前記切換え機構とを連動させる連動機構とを有しており、
前記レバーが上方向及び下方向のいずれの方向に操作されても前記切換え機構の前記固定が解除されることを特徴とするマッサージ機能付きオットマン。
【請求項2】
前記レバーは、前記脚載せ部の使用者側に突出して設けられていることを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機能付きオットマン。
【請求項3】
前記レバーの上面に、前記マッサージ機構を制御する無線式リモートコントローラーの受信部を設けたことを特徴とする請求項2に記載のマッサージ機能付きオットマン。
【請求項4】
前記脚載せ部の前記基台に対する回動軸として全体回動軸を備え、
前記切換え機構は、前記基台側において前記全体回動軸を中心とした円弧に沿って設けられたガイド長穴と、前記脚載せ部側に設けられ前記ガイド長穴を貫通するとともに前記ガイド長穴の幅方向に移動可能なストッパーと、このストッパーを前記ガイド長穴の内周側又は外周側に付勢するストッパーばねと、を有するとともに、
このストッパーばねで付勢される側の前記ガイド長穴縁部には、前記ストッパーが係合しうる複数の凹部が周方向に並んで設けられ、前記ストッパーばねの付勢力により前記ストッパーが該凹部のいずれかと係合することにより前記脚載せ部の回動が固定可能とされており、
前記連動機構は、前記レバーが上方向及び下方向のいずれの方向に操作されても、前記ストッパーばねの付勢方向とは逆の方向に前記ストッパーを移動させ、これにより前記ストッパーと前記凹部との係合を解消して前記脚載せ部の回動固定を解除できることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のマッサージ機能付きオットマン。
【請求項5】
前記連動機構は、前記レバーと一体をなし前記レバーの上方向及び下方向の操作に伴い軸回転できるように脚載せ部側に回動可能に支持されるとともに、前記軸回転の軸線方向に対して略垂直に突出し前記レバーと同じ方向に動く突出回動部を有する第一連結部と、一端部が前記第一連結部の突端側と回動可能に連結した第二連結部と、一端部が前記第二連結部の他端部と回動可能に連結し他端部が前記ストッパーと連結し且つその中間位置において脚載せ部側に回動可能に支持された第三連結部と、を有しており、
前記連動機構は、前記レバーが上方向及び下方向のいずれの方向に操作されても、前記第三連結部を前記中間位置まわりに回動させることにより、前記ストッパーばねの付勢方向とは逆の方向に前記ストッパーを移動させ、これにより前記ストッパーと前記凹部との係合を解消して前記脚載せ部の回動固定を解除できることを特徴とする請求項4に記載のマッサージ機能付きオットマン。
【請求項6】
前記脚載せ部と前記基台との間に介在するとともに、基台側における端部固定位置を前記全体回動軸とは異なる所定位置に設定して、前記脚載せ部の傾斜角度が大きくなるほど伸長するようにされた傾倒制御ばねを設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のマッサージ機能付きオットマン。
【請求項7】
前記マッサージ機構は、不使用時において略平坦としうることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のマッサージ機能付きオットマン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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