説明

マッサージ機

【課題】患部を局部的に温めることができるマッサージ機を提供する。
【解決手段】被施療者の患部を押圧する指圧子40を有するエアバッグ41と、該エアバッグに圧縮空気を送給するエアポンプ90と、をエアバッグ用配管42によって接続してなるマッサージ機において、指圧子の内部には、中空の流路45が形成され、該流路には、一部開口して患部へ空気を吹き出す吹き出し口46を有すると共に、他端がエアポンプに指圧子用配管47を介して接続されており、流路又は指圧子用配管には、発熱体49が配備され、エアポンプから送給された空気を発熱体で温めて、指圧子の先端から放出するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被施療者の患部をエアバッグによってマッサージすることのできるマッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エアバッグを搭載し、エアバッグの膨張及び収縮によって、被施療者の患部をマッサージするマッサージ機が知られている。
例えば、特許文献1に開示されている足用マッサージ機では、被施療者が足を挿入する凹状受部の底面や側面にエアバッグを配置し、エアバッグを膨張及び収縮させることで、被施療者の足にマッサージを施している。また、強い指圧効果を得るために、足裏をマッサージするエアバッグには、エアバッグよりも硬質の樹脂で作製された先端球形の指圧子を取り付け、エアバッグの膨張によって指圧子が上昇し、足裏を局所的に押圧して、足裏に指圧マッサージが施されるようにしている。
【0003】
被施療者がマッサージ機を使用する際に、マッサージ機が冷たいと、患部が触れた際に、不快感を感じたり、患部やその周辺が冷えてしまい、血行が促進されず、十分なマッサージ効果を得ることができないことがあった。
そこで、マッサージ機にヒータを配備し、該ヒータによってマッサージ機全体を温めたり、エアバッグに送給される圧縮空気を温めるマッサージ機が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2005−245803号公報
【特許文献2】特開平10−80454号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、マッサージ機の全体又は広範囲を温めると、長時間マッサージを受ける際に、患部が熱くなって、汗をかいたり、蒸れてしまい、不快感を感じてしまうことがあった。また、マッサージ機の全体又は広範囲を一定温度に保持する温度制御は困難であった。
加えて、マッサージ機の全体又は広範囲を温めるには、多くのエネルギーを必要とするため、省電力化を図ることが困難であった。
【0006】
さらに、エアバッグによりマッサージを施すマッサージ機では、エアバッグの膨張及び収縮を、エアポンプからの圧縮空気の送給と、エアバッグから弁を介した空気の自然放出により行なっているから、エアバッグの膨張及び収縮の周期は、少なくとも約2〜5秒以上必要となり、叩きマッサージの如きバイブレーションマッサージをエアバッグで実現することはできなかった。
【0007】
本発明の目的は、患部を局部的に温めることができるマッサージ機を提供することである。
また、本発明の目的は、エアバッグにより叩きマッサージの如きバイブレーションマッサージを施すことができるマッサージ機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明の第1のマッサージ機は、
被施療者の患部を押圧する指圧子を有するエアバッグと、該エアバッグに圧縮空気を送給するエアポンプと、をエアバッグ用配管によって接続してなるマッサージ機において、
指圧子の内部には、中空の流路が形成され、該流路には、一部開口して患部へ空気を吹き出す吹き出し口を有すると共に、エアポンプに指圧子用配管を介して接続されており、
流路又は指圧子用配管には、発熱体が配備され、エアポンプから送給された空気を発熱体で温めて、指圧子の先端から放出するようにした。
エアポンプから指圧子への空気を送給は、エアポンプからエアバッグへの空気の送給を止めた状態で行なうことが望ましい。
【0009】
また、本発明の第2のマッサージ機は、
被施療者の患部を押圧する指圧子を有するエアバッグと、該エアバッグに圧縮空気を送給するエアポンプと、をエアバッグ用配管によって接続してなるマッサージ機において、
エアポンプは、商用電源に対して、AC−DC変換器及びDC−AC変換器を介して接続されており、DC−AC変換器は、エアポンプに供給する電源周波数を変更可能とした。
DC−AC変換器からエアポンプに供給される電源の周波数は、10Hz以下に調整可能とすることが望ましい。
【0010】
さらに、本発明の第3のマッサージ機は、
被施療者の患部を押圧する指圧子を有するエアバッグと、該エアバッグに圧縮空気を送給するエアポンプと、をエアバッグ用配管によって接続してなるマッサージ機において、
エアバッグが膨張した状態から、エアポンプの作動と停止を繰り返すことによって、エアバッグを振動させるようにした。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1のマッサージ機によれば、指圧子から圧縮空気を放出可能とし、さらに、放出される空気を発熱体により加温可能であるから、温められた空気を指圧子の吹き出し口から患部に向けて局所的に放出することができる。
指圧子から放出される温められた空気により、指圧子による指圧マッサージを受ける患部を局所的に温めて、患部の血行を促進できるから、マッサージ効果が高められる。特に、温められた空気が吹き出る指圧子は、患部に直接又は衣類や靴下等を介して押し付けられるから、患部の加温効果が高い。
また、指圧子から放出された加温空気により、患部だけでなく、患部近傍の衣類や靴下等を温めることもできる。さらに、マッサージ機自体も加温される。
エアポンプから指圧子への空気の送給を、エアバッグへの空気の送給が停止しているタイミングとすることで、エアバッグの圧力低下させることなく、また、エアバッグの膨張を阻害することもないのため、指圧子への空気の送給によりエアバッグの押圧、指圧感覚を損なうこともない。
【0012】
本発明の第2のマッサージ機によれば、DC−AC変換器により、エアポンプの電源周波数を低く、望ましくは10Hz以下に調整することで、エアポンプからエアバッグに送給される圧縮空気を脈動させることができる。これにより、圧縮空気の供給を受けるエアバッグが細かい膨張及び収縮を繰り返して振動し、患部に叩きマッサージの如きバイブレーションマッサージを施すことができる。
【0013】
本発明の第3のマッサージ機によれば、エアバッグを膨張させた状態で、エアポンプの作動と停止を繰り返すことによって、エアバッグが細かく膨張及び振動を繰り返し、患部に叩きマッサージの如きバイブレーションマッサージを施すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を足用マッサージ機(10)に適用した実施例について説明するが、本発明は、足用マッサージ機に限定されるものではなく、椅子型のマッサージ機や、足先のみをマッサージするマッサージ機等にも適用することができる。
【0015】
図1は本発明の足用マッサージ機(10)の外観を示す斜視図、図2は正面図、図3は平面図である。
本実施例で説明する足用マッサージ機(10)は、被施療者の足先(くるぶしよりも下側)をマッサージする足先用ユニット(20)と、該足先用ユニット(20)の後端から上向きに配備されたふくらはぎ用ユニット(60)を有する。
ふくらはぎ用ユニット(60)は、足先用ユニット(20)に対して傾動可能且つ前方向に付勢した状態で連結されており、ふくらはぎ用ユニット(60)の上端には、被施療者の足首やふくらはぎを載せた状態でマッサージする上面エアバッグ(76)(76)を有している。
【0016】
<足先用ユニット(20)>
足先用ユニット(20)は、図1乃至図3に示すように、被施療者の足先を挿入する左右一対の凹状受部(21)(21)を有する。凹状受部(21)(21)は、断面略コ字状であり、凹状受部(21)(21)間は、内部中空の中央壁(23)によって仕切られている。
凹状受部(21)(21)の内表面は、布カバー(26)により被覆されている。
【0017】
図4は、図2の線X−Xに沿う矢視断面図である。図4では、構成をわかりやすくするために、足先用ユニット(20)の布カバー(26)を取り外して図示しており、内部構造の一部も省略している。
各凹状受部(21)には、図4に示すように、底面に指圧子(40)(40)と指圧子用エアバッグ(41)が配置され、側面に側面エアバッグ(30)(30)が配置される。
【0018】
凹状受部(21)の底面は、図4に示すように、前方が高く、後方が低くなるように傾斜して構成されている。これは、被施療者が足先を入れたときに、足先の安定性を高めるためである。
【0019】
凹状受部(21)の底面には、図3及び図4に示すように、被施療者の足裏を指圧マッサージする指圧子(40)が配備されている。凹状受部(21)の底面には、被施療者の足裏に沿う方向に一対の長孔(25)(25)が開設されており、該長孔(25)(25)から夫々指圧子(40)(40)が出没可能となっている。
指圧子(40)(40)の下端は、図4及び図7に示すように、指圧子用エアバッグ(41)に連結されており、指圧子(40)及び指圧子用エアバッグ(41)は、上面が開口したケーシング(50)に収容されている。指圧子用エアバッグ(41)を膨張、収縮させることによって、指圧子(40)は、長孔(25)から図4の矢印A方向に出没する。
左右の各凹状受部(21)(21)に対応して配備されたケーシング(50)(50)は、接続プレート(51)に固定され、一体となっている。接続プレート(51)は、図5に示すように、中央壁(23)内に収容された駆動手段(54)に連繋される。駆動手段(54)は、モータ(55)と、凹状受部(21)の底面と平行となるように前後方向に回転自在に支持されたネジ軸(56)とを減速機構(57)を介して接続してなり、接続プレート(51)に取り付けられたネジ筒(52)がネジ軸(56)に螺合している。
モータ(55)を回転させることにより、ネジ軸(56)が回転し、ネジ軸(56)に嵌められたネジ筒(52)がネジ推力によって前後に移動する。これにより、指圧子(40)を有するケーシング(50)は、凹状受部(21)の底面に沿って前後方向(図4の矢印B方向)に往復移動する。
モータ(55)を駆動して、被施療者の所望の位置まで指圧子(40)を移動させ、この状態で指圧子用エアバッグ(41)の膨張させると、足裏に指圧マッサージが施される。また、指圧子用エアバッグ(41)の膨張、収縮を繰り返すことで、足裏に連続した指圧マッサージを施すことができる。また、指圧子(40)を長孔(25)から突出させた状態や、出没を繰り返した状態で、モータ(55)を正逆回転させることで、足裏にローリングマッサージを施すことができる。
【0020】
図6は、上記指圧子(40)を拡大して示す斜視図、図7は、指圧子(40)と指圧子用エアバッグ(41)の断面図である。指圧子(40)は、指圧子用エアバッグ(41)よりも硬質の材料、例えばポリアセタール(商標名ジュラコン)樹脂等から構成することができる。指圧子(40)は、図7に示すように、内部に中空の流路(45)を有し、被施療者の患部と当接する先端が開口して、空気を放出する吹き出し口(46)となっている。指圧子(40)の下端近傍には、指圧子用配管(47)が流路(45)と連通するように接続されている。指圧子用配管(47)は、足先用ユニット(20)の内部に配置されたエアポンプ(90)(図5参照)に弁(48)を介して接続されている。なお、指圧子用配管(47)は、図7に示すように、指圧子用エアバッグ(41)のエアバッグ用配管(42)と合流させてエアポンプ(90)まで導くことにより、配管の簡略化を図ることができる。
【0021】
指圧子(40)の内部の流路(45)には、図7に示すように、発熱体(49)が配置されている。発熱体(49)は、抵抗から構成することができ、通電によって加熱し、指圧子(40)の流路(45)を通過する空気を温める。発熱体(49)に接続された導線(49a)(49a)は、図6及び図7に示すように、指圧子(40)の側面に開設された孔(49b)(49b)から外部に延び、図8に示すように制御機構に接続されている。
【0022】
凹状受部(21)の側面には、図4に示すように、側面エアバッグ(30)が取り付けられている。側面エアバッグ(30)(30)は、エアバッグ用配管(31)(図8参照)によって、弁(32)を介してエアポンプ(90)に接続されている。側面エアバッグ(30)は、ブロー成型により作ることができ、押圧時の膨張度合いを調整するためにひだ状の膨張部(33)が形成されている。側面エアバッグ(30)は、ナイロン製の布地にウレタンシートをラミネートして作製すること等もできる。
なお、本実施例では、凹状受部(21)の両側面に側面エアバッグ(30)(30)を配備しているが、一方又は両方をスポンジ、ウレタン等の弾力性を有する弾性部材としてもよい。また、凹状受部(21)の側面にはエアバッグを配備せずに、凹状受部(21)の底面のみにエアバッグ(41)を配備する構成としてもよい。
【0023】
<ふくらはぎ用ユニット>
上記構成の足先用ユニット(20)には、図1及び図2に示すように、被施療者のふくらはぎをマッサージするふくらはぎ用ユニット(60)が取り付けられて、足用マッサージ機(10)を構成する。
ふくらはぎ用ユニット(60)は、図1及び図2に示すように、足先用ユニット(20)の後端に連結機構(12)を介して連結されている。連結機構(12)は、ふくらはぎ用ユニット(60)を足先用ユニット(20)に対して前後に傾動可能且つ上下に位置調節可能となっており、さらに、連結機構(12)は、ふくらはぎ用ユニット(60)を、足先用ユニット(20)に対して所定角度で維持するようにバネ等によりふくらはぎに当たる方向、即ち前方向に付勢している。
【0024】
ふくらはぎ用ユニット(60)は、図1乃至図3に示すように、被施療者のふくらはぎを挿入する断面コ字状の左右一対の脚受部(61)(61)を有する。脚受部(61)(61)間は中央壁(62)で仕切られており、内表面は、布カバー(63)で被覆されている。
【0025】
図4は、ふくらはぎ用ユニット(60)から布カバー(63)を取り外した状態を示す断面図である。前記脚受部(61)は、ふくらはぎの側面が当たる位置に側面エアバッグ(65)(65)、ふくらはぎの後面が当たる底面に底面エアバッグ(70)が配置されている。
また、各脚受部(61)の上端縁には、被施療者が、ふくらはぎ用ユニット(60)の上端に足首やふくらはぎを載せた状態で、足首等をマッサージする上面エアバッグ(76)が配置されている。
側面エアバッグ(65)(65)、底面エアバッグ(70)及び上面エアバッグ(76)は、夫々、図8に示すように、エアバッグ用配管(66)(71)(77)に接続され、弁(67)(72)(78)を介してエアポンプ(90)に連通している。
各エアバッグ(65)(70)(76)は、ブロー成型により作ることができる。側面エアバッグ(65)は、押圧時の膨張度合いを調整するためにひだ状の膨張部(68)を形成している。また、底面エアバッグ(70)には、指圧感を高めるために、左右に膨らみ部を有する指圧突起(73)が取り付けられている。
なお、側面エアバッグ(65)は、脚受部(61)の両側面に設けているが、一方又は両方をスポンジ、ウレタン等の弾力性を有する弾性部材としてもよい。また、底面エアバッグ(70)及び上面エアバッグ(76)も必要に応じて設けることができる。
【0026】
なお、エアポンプ(90)は、足先用ユニット(20)に配置されているから、足先用ユニット(20)とふくらはぎ用ユニット(60)との間のエアバッグ用配管の数を減らすために、図4に示すように、エアバッグ用配管(66)(71)(77)を1本又は2本にまとめ、ふくらはぎ用ユニット(60)内で分岐するようにしてもよい。
【0027】
<制御機構>
図8は、本発明の足用マッサージ機(10)の制御機構を示すブロック図である。
図に示すように、足用マッサージ機(10)は、足先用ユニット(20)の適所に配置された制御手段(80)によって制御される。
制御手段(80)は、マイコン(81)を中心に構成され、足用マッサージ機(10)のすべての制御を行なう。また、制御手段(80)には、種々のマッサージプログラムを記憶する記憶部(82)を有する。
マイコン(81)には、被施療者が所望する操作を受け付ける操作部(83)、足用マッサージ機(10)の動作状態等を表示する表示部(84)が接続されている。操作部(83)及び表示部(84)は、足先用ユニット(20)の中央壁(23)の上面に配置したり、足用マッサージ機(10)とは別個に構成して、有線又は無線によって操作、表示可能とすることができる。操作部(83)には、複数の操作ボタン、電源スイッチ等を具え、各ボタン、スイッチ等を操作することによって、足用マッサージ機(10)の各機構が所定の動作を行なう。操作部(83)に配置される操作ボタンとして、各エアバッグ(30)(41)(65)(70)(76)を作動させるマッサージボタンや、モータ(55)を駆動して指圧子(40)の位置を制御する指圧子位置制御ボタン、指圧子用配管(47)に空気を送給し、発熱体(49)を作動させ指圧子(40)の吹き出し口(46)から温められた空気を送出する温風ボタン等を例示できる。
制御機構には、商用電源に接続される電源部(85)を有する。電源部(85)には、AC−DC変換器(86)が接続されており、制御手段(80)への電源供給は、制御手段用電源変換部(87)を介して行なわれる。また、AC−DC変換器(86)には、電源周波数を変更可能なDC−AC変換器(88)が接続されており、該DC−AC変換器(88)は、制御手段(80)からの周波数設定命令によって、エアポンプ(90)に供給する電源周波数を変更する。
【0028】
エアポンプ(90)は、DC−AC変換器(88)から電源の供給を受けて作動する。また、モータ(55)は、AC−DC変換器(86)から電源の供給を受ける。
エアポンプ(90)として、電磁振動型ポンプを例示できる。電磁振動型ポンプは、プランジャの往復速度が供給される電源周波数に応じて変わるから、DC−AC変換器(88)の電源周波数を、例えば10Hz以下となるように低くすることで、エアポンプ(90)から供給される圧縮空気を脈動させることができる。
モータ(55)は、DCモータを例示できる。
【0029】
エアポンプ(90)には、上記のとおり、エアバッグ(30)(41)(65)(70)(76)が、配管(31)(42)(67)(72)(77)を介して直接又は各配管と合流して接続されており、配管(31)(42)(67)(72)(77)には、夫々弁(32)(43)(67)(72)(78)が挿入されている。
また、指圧子(40)内の流路(45)に接続された指圧子用配管(47)も、弁(48)を介して、直接又は他の配管と合流して、エアポンプ(90)に接続されている。
指圧子用配管(47)の弁(48)以外の弁(32)(43)(67)(72)(78)には、夫々排気のための排気孔(34)(44)(69)(74)(79)を有し、エアバッグ(30)(41)(65)(70)(76)からの排気は、弁(32)(43)(67)(72)(78)を排気孔(34)(44)(69)(74)(79)側に切り替えて行なうようにすることが望ましい。
弁(32)(43)(48)(67)(72)(78)として電磁弁を例示することができ、各電磁弁は、制御手段(80)からの操作命令により、電源部(85)からの電源の供給を受けて開閉動作を行なう。
【0030】
指圧子(40)の流路(45)内に配置された発熱体(49)は、DC−AC変換器(88)に接続されており、制御手段(80)からの制御命令に基づき、通電が制御され、通電時に発熱する。
【0031】
<マッサージ動作>
まず、被施療者は、本発明の足用マッサージ機(10)の足先用ユニット(20)の凹状受部(21)に足先を挿入し、ふくらはぎをふくらはぎ用ユニット(60)の脚受部(61)に挿入する。ふくらはぎ用ユニット(60)は、被施療者のふくらはぎに当たる方向に付勢されているから、被施療者のふくらはぎは、脚受部(61)にしっかりと当たる。
この状態で、操作部(83)のマッサージボタン、指圧子位置制御ボタン、温風ボタン等を操作することにより、制御手段(80)が種々のマッサージプログラムを実行し、被施療者はマッサージを受けることができる。以下、マッサージの一例について説明する。
【0032】
<足先用ユニットによるマッサージ>
足先のマッサージは、指圧子(40)による指圧マッサージ、足の先端からくるぶしに亘る足先の側面を側面エアバッグ(30)で押圧する押圧マッサージ、さらに、これらを組み合わせたマッサージを例示できる。
【0033】
指圧マッサージは、エアポンプ(90)を作動させ、指圧子用エアバッグ(41)の弁(43)を操作して、指圧子用エアバッグ(41)に圧縮空気を送給することで、指圧子用エアバッグ(41)を膨張させ、指圧子(40)を凹状受部(21)の底面から上に突き出すことにより行なわれる。弁(43)を排気孔(44)側に切り替えることで、指圧子用エアバッグ(41)から排気が行なわれ、指圧子(40)が凹状受部(21)内に後退する。
指圧マッサージにおいて、指圧子用エアバッグ(41)が膨張した状態で、DC−AC変換器(88)の電源周波数を例えば10Hz以下に下げると、エアポンプ(90)から指圧子用エアバッグ(41)に供給される圧縮空気は脈動するから、指圧子用エアバッグ(41)は、図9に示すように内圧が変化して、小さく膨張、収縮を繰り返し、指圧子(40)を上下に振動させる。これにより、より効果的な指圧マッサージを施すことができる。なお、エアポンプ(90)の作動と停止を繰り返しても、同様に指圧子(40)を上下に振動させることができる。
【0034】
指圧子(40)の出没と共に、指圧子(40)を所望の位置に移動させたり、前後に往復移動させることにより、足裏、特に土踏まずや足指の付け根に効果の高い指圧マッサージやローリングマッサージを行なうことができる。
【0035】
指圧マッサージにおいて、操作部(83)の温風ボタンを操作すると、指圧子(40)の流路(45)に接続された弁(48)が開閉し、指圧子(40)の先端吹き出し口(46)から空気が放出される。このとき、発熱体(49)に通電を行ない、発熱体(49)を加熱することで、指圧子(40)から放出される空気を加温し、患部を直接温めることができる。
指圧子(40)から直接患部を温めることで、患部の血行を促進させ、指圧マッサージ効果を更に高めることができる。
【0036】
なお、図7に示すように、指圧子用エアバッグ(41)と指圧子(40)の配管を共有する構成とした場合、指圧子用エアバッグ(41)を膨張させる際に、指圧子(40)側の弁(48)が開放していると、エアポンプ(90)から指圧子用エアバッグ(41)に十分な圧縮空気が送給されず、指圧子用エアバッグ(41)の圧力が低下して、強い押圧、指圧マッサージを施すことができなくなる。このため、指圧子(40)側の弁(48)の開放は、指圧子用エアバッグ(41)に空気を送給していないタイミングで行なうことが望ましい。
また、指圧子(40)側の弁(48)を設ける代わりに、エアバッグ用配管(42)に介在した弁(43)の排気孔(44)から排気される空気を指圧子(40)へ送給する構成としてもよい。
【0037】
具体的には、フローチャート図10に示すように、指圧子用エアバッグ(41)の操作を受け付けるマッサージボタンが操作されると(ステップ1)、指圧子用エアバッグ(41)の膨張及び収縮による指圧マッサージが開始される(ステップ2)。このとき、温風ボタンを操作すると(ステップ3)、温風が指圧子へ供給されていない場合、発熱体(49)への通電及び指圧子(40)の流路(45)への空気の送給を開始する(温風オン)が行なわれる(ステップ4及びステップ5)。温風ボタンを操作したとき、すでに指圧子(40)の流路(45)へ温風が供給されている場合(ステップ4のYes)、発熱体(49)への通電及び指圧子(40)の流路(45)への空気の送給は停止され(ステップ6)、指圧子用エアバッグ(41)の膨張及び収縮による指圧マッサージが続けられる。
温風設定がオンの状態で(ステップ7のYes)、指圧子用エアバッグ(41)を作動させると、上記のように、指圧子用エアバッグ(41)の圧力が低下し、強い押圧、指圧マッサージを施すことができない。そこで、温風設定がオンの場合(ステップ7)、指圧子用エアバッグ(41)にエアポンプ(90)から圧縮空気が送給されているときには、発熱体(49)への通電及び指圧子(40)の流路(45)への空気の送給を停止し(ステップ9及びステップ11)、指圧子用エアバッグ(41)に送給される圧縮空気の圧力低下を防止し、指圧子用エアバッグ(41)にエアポンプ(90)から圧縮空気が送給されていないときに、発熱体(49)への通電及び指圧子(40)の流路(45)への空気の送給を行なうようにすればよい(ステップ9及びステップ10)。
上記フローは、被施療者がマッサージの停止の操作を行なったり(ステップ12)、タイマー設定時間が経過するまで(ステップ13)、継続して行なわれ、停止操作又はタイマー設定時間の経過により終了する(ステップ14)。
【0038】
押圧マッサージは、側面エアバッグ(30)を膨張、収縮させることにより、足の先端からくるぶしに亘る足先の側面を側面エアバッグ(30)(30)によって挟み込み、押圧するマッサージである。これにより、足の甲からつま先にかかる部分の血行改善効果や足先のむくみの改善を図ることができる。
押圧マッサージにおいても、DC−AC変換器(88)の電源周波数を例えば10Hz以下に下げると、エアポンプ(90)から側面エアバッグ(30)に供給される圧縮空気は脈動するから、側面エアバッグ(30)は、図9に示すごとく、小さく膨張、収縮を繰り返して振動する。これにより、より効果的な押圧マッサージを施すことができる。なお、エアポンプ(90)の作動と停止を繰り返しても、同様のマッサージを行なうことができる。
【0039】
指圧マッサージと押圧マッサージを組み合わせたマッサージも勿論可能であり、その場合、上記動作を同時に行なえばよい。
また、上記マッサージを順に行なったり、組み合わせて行なうようにプログラムしたマッサージも施療効果の高いマッサージを提供できる。
【0040】
<ふくらはぎ用ユニットによるマッサージ>
ふくらはぎには、底面エアバッグ(70)の指圧突起(73)による指圧マッサージと、側面エアバッグ(65)(65)による押圧マッサージを行なうことができる。
指圧マッサージは、底面エアバッグ(70)を膨張、収縮し、指圧突起(73)をふくらはぎに押し当てることにより行なうことができる。このとき、側面エアバッグ(65)(65)を膨張させておくと、被施療者のふくらはぎが脚受部(61)から押し出されることはないので、効果の高い指圧マッサージを施すことができる。
【0041】
押圧マッサージは、側面エアバッグ(65)(65)を膨張、収縮させることにより、ふくらはぎを側面エアバッグ(65)(65)によって挟み込み、押圧するマッサージである。ふくらはぎを押圧マッサージすることによって、血行促進効果を得ることができる。
【0042】
このとき、底面エアバッグ(70)が収縮した状態で、側面エアバッグ(65)(65)を膨張させると、側面エアバッグ(65)(65)の膨張部(68)は、ふくらはぎの側面の前側のポイントを挟み込んで押圧マッサージを施す。
一方、側面エアバッグ(65)及び底面エアバッグ(70)が収縮した状態から、底面エアバッグ(70)を膨張させると、被施療者のふくらはぎは、脚受部(61)の底面から離れる方向に押し出される。この状態で、側面エアバッグ(65)(65)を膨張させると、ふくらはぎの側面の中央付近のポイントを挟み込んで押圧マッサージが施される。
上記のように、側面エアバッグ(65)(65)によってふくらはぎの側面をマッサージする際に、底面エアバッグ(70)の膨張度合いを調整することによって、脚受部(61)の底面に対するふくらはぎの押出し量を変えて、ふくらはぎの側面への施療ポイントを変えることができる。従って、ふくらはぎの側面の広い範囲にマッサージを施すことができ、ふくらはぎの全体の凝りや疲れ等を除去することができ、施療効果の高いマッサージを提供することができる。また、マッサージ動作が単調となることもない。
【0043】
上記押圧マッサージにおいて、DC−AC変換器(88)の電源周波数を例えば10Hz以下に下げると、エアポンプ(90)から側面エアバッグ(65)に供給される圧縮空気は脈動するから、側面エアバッグ(65)は、図9に示すごとく、小さく膨張、収縮を繰り返して振動する。これにより、より効果的な押圧マッサージを施すことができる。なお、エアポンプ(90)の作動と停止を繰り返しても、同様のマッサージを行なうことができる。
【0044】
また、足用マッサージ機(10)から足を抜き、足首又はふくらはぎを、図1乃至図4に示すふくらはぎ用ユニット(60)の上面エアバッグ(76)に載せた状態で、上面エアバッグ(76)の膨張、収縮を繰り返すことで、足首やふくらはぎに振動マッサージを施すことができる。
上面エアバッグ(76)を振動させるには、上記と同様、DC−AC変換器(88)の電源周波数を例えば10Hz以下に下げて、エアポンプ(90)から上面エアバッグ(76)に供給される圧縮空気を脈動させればよい。これにより、上面エアバッグ(76)は、図9に示すごとく、小さく膨張、収縮を繰り返して振動し、足首やふくらはぎに振動マッサージを施して、効果的なアキレス腱伸ばしやアキレス腱ほぐしを提供することができる。なお、エアポンプ(90)の作動と停止を繰り返しても、同様のマッサージを行なうことができる。
【0045】
上記実施例の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮する様に解すべきではない。又、本発明の各部構成は上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
【0046】
例えば、上記実施例では、発熱体(49)は、指圧子(40)内の流路(45)に配置したが、指圧子用配管(47)の内部に配置してもよい。
また、足用マッサージ機(10)に配置されるエアバッグは、上記形状、個数に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、マッサージ機全体ではなく、被施療者の患部のみを加温してマッサージすることができるマッサージ機として有用である。
また、本発明は、エアバッグによってバイブレーションマッサージをできるマッサージ機として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明を適用した足用マッサージ機の斜視図である。
【図2】足用マッサージ機の正面図である。
【図3】足用マッサージ機の平面図である。
【図4】図2の線X−Xに沿う矢視断面図である。
【図5】図2の線Y−Yに沿う矢視断面図である。
【図6】指圧子の斜視図である。
【図7】指圧子及び指圧子用エアバッグの断面図である。
【図8】制御機構のブロック図である。
【図9】バイブレーションマッサージにおけるエアバッグの内圧の変化を示すグラフである。
【図10】指圧子から送出される温風の制御フローチャート図である。
【符号の説明】
【0049】
(10) 足用マッサージ機
(20) 足先用ユニット
(40) 指圧子
(41) 指圧子用エアバッグ
(45) 流路
(46) 吹き出し口
(47) 指圧子用配管
(60) ふくらはぎ用ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施療者の患部を押圧する指圧子を有するエアバッグと、該エアバッグに圧縮空気を送給するエアポンプと、をエアバッグ用配管によって接続してなるマッサージ機において、
指圧子の内部には、中空の流路が形成され、該流路には、一部開口して患部へ空気を吹き出す吹き出し口を有すると共に、エアポンプに指圧子用配管を介して接続されており、
流路又は指圧子用配管には、発熱体が配備され、エアポンプから送給された空気を発熱体で温めて、指圧子の先端から放出することを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
エアポンプから指圧子への空気を送給は、エアポンプからエアバッグへの空気の送給を止めた状態で行なう請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
被施療者の患部を押圧する指圧子を有するエアバッグと、該エアバッグに圧縮空気を送給するエアポンプと、をエアバッグ用配管によって接続してなるマッサージ機において、
エアポンプは、商用電源に対して、AC−DC変換器及びDC−AC変換器を介して接続されており、DC−AC変換器は、エアポンプに供給する電源周波数を変更可能であることを特徴とするマッサージ機。
【請求項4】
DC−AC変換器からエアポンプに供給される電源の周波数は、10Hz以下に調整可能である請求項3に記載のマッサージ機。
【請求項5】
被施療者の患部を押圧する指圧子を有するエアバッグと、該エアバッグに圧縮空気を送給するエアポンプと、をエアバッグ用配管によって接続してなるマッサージ機において、
エアバッグが膨張した状態から、エアポンプの作動と停止を繰り返すことによって、エアバッグを振動させることを特徴とするマッサージ機。
【請求項6】
被施療者の足を挿入する凹状受部を有し、エアバッグは、前記凹状受部の底面及び/又は側面に配備される請求項1乃至請求項5の何れかに記載のマッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−252694(P2007−252694A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−82130(P2006−82130)
【出願日】平成18年3月24日(2006.3.24)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】