説明

マッサージ機

【課題】マッサージ効果の高い位置を使用者に認識させることができるマッサージ機を提供する。
【解決手段】表示制御部315は、人間の背中の形状を主に表現した体型画像G1と、使用者により選択された手技に対する目標マッサージ位置を報知するために体型画像G1上に付された目印M1とを含む報知画像を表示する。また、体型画像G1上には、マッサージ動作を行っている施療子22の位置を表示するための目印M2が表示されている。目印M2は、現在設定されている手技の動作の開始点を示す目印M21と、現在設定されている手技において使用者に最大の圧力が加わるポイント(凝りポイント)を示す目印M22と、施療子22の現在位置を示す目印M23とが含まれている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、マッサージ機は、多機能化傾向にあり、機能の中でも人間がマッサージを行っているような感覚を使用者に与えることが求められている。それを実現するために、手技数を増やすことで、人間がマッサージされているような感覚を使用者に与える試みがなされている。実際、900を超える手技数を有するマッサージ機も知られており、使用者はこれら多数の手技から好みの手技を選択し、マッサージ機にマッサージを実行させる。
【0003】
また、特許文献1には、使用者が望むツボの位置にマッサージを行うことを目的として、マッサージを施す位置としてツボを選択するツボ入力部と、選択されたツボに対応する身体の箇所へマッサージを施すための位置制御を行う制御部とを備えるマッサージ機が開示されている。
【特許文献1】特開2001−161767号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、手技数を増加させ揉みほぐす筋肉やツボが増加すると、マッサージの知識の豊富な使用者にとっては自由度が増えるが、マッサージの知識の乏しい使用者は充分にマッサージ効果を得ることができないという問題があった。すなわち、手技に応じて好ましいマッサージ位置が存在するが、選択した手技において、好ましいマッサージ位置を知らない使用者は、好ましいマッサージ位置に施療子を移動させることができず充分なマッサージ効果を得ることができないという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、マッサージ効果の高い位置を使用者に認識させることができるマッサージ機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるマッサージ機は、背もたれ部に配設された施療子が、3次元的に移動することで所定の手技を前記背もたれ部の任意の位置で行うマッサージ機であって、使用者の操作指令に従って手技を設定する手技設定手段と、使用者の操作指令に従って、前記施療子の位置を調節すると共に、前記手技設定手段により設定された手技に対して予め定められた動作パターンに従って前記施療子を駆動する駆動手段と、前記手技設定手段により設定された手技に対して予め定められたマッサージ効果の高い位置を使用者に報知する報知手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、手技設定手段により設定された手技に対して予め定められたマッサージ効果の高い体型上の位置が使用者に報知されるため、マッサージ効果の高い位置を使用者に認識させることができる。そのため、使用者は、施療子の位置をマッサージ効果の高い位置に移動して、選択した手技によるマッサージを実行することで、高いマッサージ効果を得ることができる。
【0008】
また、前記駆動手段により駆動されている施療子の現在位置を検出する位置検出手段を更に備え、前記報知手段は、マッサージ効果の高い位置に加えて、前記位置検出手段により検出された施療子の現在位置を報知することが好ましい。
【0009】
この構成によれば、施療子の現在位置がリアルタイムに報知されるため、マッサージ効果の高い位置と実際に施療子が駆動している位置とのずれを認識することができる。
【0010】
また、前記報知手段は、前記手技設定手段により設定された手技により動作する施療子の動作の特徴を良く表すことのできる方向から人間を見たときの体型画像上に、マッサージ効果の高い位置を示すと共に、施療子の現在位置とを示す画像を表示部に表示することが好ましい。
【0011】
この構成によれば、手技に応じて施療子の現在位置が見やすくなるような方向から人間をみたときの体型画像上に施療子の現在位置とマッサージ効果の高い位置とが表示されるため、施療子の現在位置の視認性を向上させることができる。
【0012】
前記報知手段は、前記手技設定手段により設定された手技に関連するツボの位置と、前記手技による効能とを報知することが好ましい。
【0013】
この構成によれば、設定されている手技に関連するツボの位置と効能とが報知されるため、使用者は設定されている手技に対する知識を増すことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、マッサージ効果の高い位置を使用者に認識させることができる。そのため、使用者は、施療子の位置をマッサージ効果の高い位置に移動して、選択した手技によるマッサージを実行することで、高いマッサージ効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態によるマッサージ機について説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は同一の構成を表すものとして説明を省略する。図1は、マッサージ機の外観構成図を示している。図1に示すように、マッサージ機は、各種のマッサージ動作を行うリクライニング可能な椅子1から構成され、背もたれ部2と、背もたれ部2の下側に配設された座部3と、座部3の左右両側に設けられた肘掛け部の一方側に配設された操作部4と、座部3の下側に配設された脚載せ台5とを備えている。なお、図1において、前後方向は、背もたれ部2において使用者の背中が当接する背もたれ面に直交する方向を示し、使用者に近づく方向を前方向とし、使用者から離れる前方向とは反対側の方向を後方向とする。上下方向は、背もたれ面の上端から下端に向かう下方向と下端から上端に向かう上方向とを総称した方向を示す。また、左右方向は、背もたれ面において上下方向と直交する方向を示し、背もたれ面の右端から左端に向かう方向を左方向とし、背もたれ面の左端から右端に向かう方向を右方向とする。
【0016】
操作部4は、椅子1とケーブルCAを介して接続され、ユーザが各種操作指令を入力する際に用いられる。背もたれ部2は椅子1に腰掛けた使用者の背中が当接し、内部に一対の施療子(もみ玉)を含むマッサージ部21が配設されている。座部3は、椅子1に腰掛けたユーザの臀部と太ももとが載置される。脚載せ台5は、使用者のふくらはぎ及び足裏が載置される。
【0017】
図2は、操作部4の外観構成図を示している。操作部4は、電源をオン・オフする「切/入」ボタン41と、予めプログラムによって手技、施療位置、施療回数等が決められた全身自動コースを選択するための全自動コースボタン42と、使用者がその日の体調や気分によって、全身のどの部位をどの程度施療するかを選択することにより、手技、施療位置、施療回数等を自動的に計算し、マッサージ内容を作成する問診コースを選択するための「問診コース」ボタン43と、全身自動コース及び問診コースとは異なり、使用者が選んだ手技を、使用者が解除するまで、使用者の好みの位置で行うことができるお好み動作を選択するための「お好み動作」ボタン44と、問診コースでは人体の各部位のお疲れ度を入力際に使用され、お好み動作では使用者が選択する部位と手技とを選択するために使用される部位選択ボタン45と、施療子22を前後方向に移動させ、マッサージの強弱を調整するための強弱ボタン49と、施療子22の上下方向及び左右方向の位置を調整するための位置調整ボタン46と、施療子22の移動速度を調節する速度調節ボタン50と、施療内容、施療位置、施療の強さ等の種々の情報を表示するための表示部47と、施療を直ちに停止させるための「急停止」ボタン48等を備えている。
【0018】
図3は、マッサージ部21の外観構成図を示している。図3に示すようにマッサージ部21は、左右対称に配設された一対の施療子22を含む施療子部と、施療子を前後方向に移動させる強弱駆動部と、施療子22を左右方向に移動させる幅駆動部と、施療子22を上下方向に移動させる上下駆動部とを備えている。
【0019】
施療子部は、左右一対の施療子22と、各施療子22を支持する一対の施療子アーム221とを備えている。強弱駆動部は、各施療子アーム221の外側に配設された一対の前後駆動用歯車211と、施療子22を前後方向に移動させる際の駆動源となる前後モータ212と、両端に一対の伝達用歯車214が配設され、前後モータ212からの動力を伝達用歯車214を介して前後駆動用歯車211に伝達するための前後駆動軸213と、施療子22の前後方向の位置を検出する強弱センサ215とを備えている。すなわち、前後モータ212が正回転、又は逆回転すると、その動力が図略の歯車を介して、前後駆動軸213へと伝達され、前後駆動軸213が回転し、前後駆動軸213の動力が伝達用歯車214を介して、前後駆動用歯車211へと伝達され、施療子アーム221が前後駆動用歯車211の中心を軸芯として回転し、施療子22が回転する。これにより、施療子22が使用者に近づいたり離れたりして前後方向に移動する。強弱センサ215は、前後駆動用歯車211の回転軸上に設けられたロータリーエンコーダから構成され、施療子22の回転角度から施療子22の前後方向における位置を検出する。
【0020】
幅駆動部は、駆動源となる左右モータ222と、左右モータ222からの動力を左右駆動軸223に伝達するためのプーリ227、ベルト225、及びプーリ226と、左右方向を長手方向とし、左右モータ222により回転される左右駆動軸223と、左右駆動軸223と噛み合い、施療子アーム221の各々を左右方向に移動させる一対の雄ネジ224と、施療子22の左右方向の位置を検出する幅センサ(図略)とを備えている。ここで、ベルト225は、プーリ227とプーリ226との間で架け渡された無端ベルトである。また、雄ネジ224は、左右駆動軸223の中心から左右対称となる位置に配設され、一方の雄ネジ224が他方の雄ネジ224に対して逆ネジの方向となるように、左右駆動軸223と噛み合っている。従って、左右モータ222が正方向、又は逆方向に回転すると、その動力がプーリ227、ベルト225、及びプーリ226を介し左右駆動軸223に伝達され、左右駆動軸223が回転し、一対の施療子アーム221が互いに近づいたり離れたりして左右対称に移動する。
【0021】
上下駆動部は、駆動源としての上下モータ231と、上下モータ231からの動力を伝達し、左右方向を長手方向とする図略の駆動軸と、この駆動軸の両端に配設された一対のローラ232及びピニオン233と、上下方向を長手方向とし、マッサージ部21の上下方向の移動を案内するための一対のレール(図略)と、各レールに設けられたラック(図略)と、施療子22の上下方向の位置を検出するための上下センサ234とを備えている。ピニオン233はラックと噛み合い、ローラ232はレールに嵌め込まれている。そのため、上下モータ231が正方向、又は逆方向に回転すると、図略の回転軸が回転し、ピニオン233が回転し、ローラ232がレールに沿って移動し、マッサージ部21が上下方向に移動する。このように、施療子22は、上下方向、左右方向、及び前後方向に移動されて後3次元的に移動し、マッサージ動作を行う。
【0022】
図4は、本マッサージ機の電気的な構成を示すブロック図である。マッサージ機は、マッサージ部300、制御部310、及び操作部320を備えている。マッサージ部300は、図3に示すマッサージ部21から構成され、幅センサ301、上下センサ302、強弱センサ303、幅駆動部304、上下駆動部305、及び強弱駆動部306を備えている。幅センサ301は、図3で説明した幅センサから構成され、施療子22の左右方向の位置を検出する。上下センサ302は、図3に示す上下センサ234から構成され、施療子22の上下方向の位置を検出する。強弱センサ303は図3に示す強弱センサ215から構成され、施療子22の前後方向の位置を検出する。
【0023】
幅駆動部304は、図3に示す幅駆動部から構成され、施療子22を左右方向に移動させる。上下駆動部305は、図3に示す上下駆動部から構成され、施療子22を上下方向に移動させる。強弱駆動部306は、図3に示す強弱駆動部から構成され、施療子22を前後方向に移動させる。
【0024】
制御部310は、MPU(microprocessor)311、動作駆動制御部312(駆動手段)、及び記憶部319を備えている。MPU311は、本マッサージ機の全体制御を司り、手技設定部313(手技設定手段)、特定部314、及び表示制御部315(報知手段)を備えている。
【0025】
手技設定部313は、使用者が操作部320を操作することで入力した操作指令に従って手技を設定する。
【0026】
特定部314は、手技設定部313により設定された手技に応じてマッサージ効果の高い位置(目標マッサージ位置)を特定する。ここで、特定部314は、マッサージ対象となる使用者をセンシングして、使用者の体型情報を取得し、手技設定部313により設定された手技に対して標準体型上において予め定められた目標マッサージ位置を位置記憶部316から特定し、特定した目標マッサージ位置と、センシングにより取得した体型情報とから、マッサージ対象となる使用者の目標マッサージ位置を特定する。
【0027】
なお、特定部314は、マッサージ部300を駆動して施療子22を上下方向の下端位置U1から上端位置U2まで上下方向に移動させ、幅センサ301、上下センサ302、及び強弱センサ303による施療子22の位置の検出結果を取得し、取得した検出結果から使用者の体型情報を取得する。体型情報としては、使用者の肩の位置を示す情報等が含まれる。また、標準体型は、例えば数千人から数万人の人間の体型情報の平均値をとることで算出されたものであり、標準的な人体の体型を示す。また、目標マッサージ位置は、ある手技を行うにあたり高いマッサージ効果を得ることができる体型上の位置を示し、手技毎に予め定められている。
【0028】
表示制御部315は、特定部314により特定された、マッサージ対象となる使用者の目標マッサージ位置を使用者に報知するための報知画像を表示部323に表示する。ここで、表示制御部315は、手技設定部313により設定された手技と関連づけられた体型画像を体型画像記憶部317から特定し、特定した体型画像上に目標マッサージ位置を示す目印を付した画像を報知画像として表示部323に表示する。
【0029】
図5は、表示制御部315が表示部323に表示する報知画像を示した図であり、(a)はある手技Aが設定された場合の報知画像を示し、(b)は手技Aとは異なる手技Bが設定された場合の報知画像を示している。
【0030】
図5(a)、(b)に示すように報知画像には、人間の背中の形状を主に表現した体型画像G1と、目標マッサージ位置を報知するために体型画像G1上に付された目印M1とが含まれている。また、体型画像G1上には、マッサージ動作を行っている施療子22の位置を表示するための目印M2が表示されている。目印M2は、現在設定されている手技の動作の開始点を示す目印M21と、現在設定されている手技において使用者に最大の圧力が加わるポイント(凝りポイント)を示す目印M22と、施療子22の現在位置を示す目印M23とが含まれている。なお、図5(a)、(b)において目印M23は複数個表示されているが、実際には施療子22の現在位置を示す1つの目印M23のみが表示される。すなわち、目印M23は施療子22の軌跡を点で追跡するように施療子22の現在位置を表示し、施療子22の現在位置をリアルタイムで表示する。また、図5(a)、(b)において、目印M1を三角マーク、目印M21を四角マーク、目印M22を星マーク、目印M23を丸マークで表したがこれは一例にすぎず、他の形状を用いてもよい。また、これらのマークを色分けして表示し、視認性を高めてもよい。
【0031】
手技Aにおいては、人間の背中を正面から見た場合に施療子22の動作の特徴がよく現れるため、体型画像記憶部317は、ある手技Aと人間の背中を正面から見た場合の体型画像とを関連付けて記憶している。従って、表示制御部315は、手技Aが設定されている場合は、図5(a)で示すような人間を背中の正面から見たときの体型画像G1を報知画像に含ませる。
【0032】
一方、手技Bにおいては、人間の背中を側面(肩側)から見た場合に施療子22の動作の特徴がよく現れるため、体型画像記憶部317は、手技Bと人間の背中を肩側から見た場合の体型画像G1とを関連付けて記憶している。従って、表示制御部315は、手技Bが設定されている場合は、図5(b)で示すような人間を背中の肩側から見たときの体型画像G1を報知画像に含ませる。
【0033】
また、表示制御部315は、現在設定されている手技に関連するツボの位置と、当該手技による効能とを報知するための関連情報画像を報知画像と併せて表示部323に表示する。図6(a)、(b)は関連情報画像を示した図である。例えば「首のさすり」の手技においては、肩の僧帽筋の広いところから胸鎖乳突筋に向かう筋肉に沿ってマッサージすると高いマッサージ効果が得られる。そのため、関連情報記憶部318は「首のさすり」の手技と、図6(a)に示す画像とを関連づけて記憶し、表示制御部315は、「首のさすり」が設定された場合は、図6(a)に示すような胸鎖乳突筋、及び僧帽筋を示す画像を関連情報画像として表示部323に表示することで、当該手技によってこれらの筋肉がほぐれるという効能を使用者に報知する。また、肩の指圧では肩外愈を肩上からじっくり押し込むと効果が高い。そのため、関連情報記憶部318は、肩を指圧する手技と、図6(b)に示す画像とを関連づけて記憶し、表示制御部315は、肩を指圧する手技が設定された場合は図6(b)に示すような、当該手技によって指圧される肩に存在するツボを表示する画像を関連情報画像として表示部323に表示することで当該手技によって指圧されるツボを使用者に報知する。ここで、図6(b)においては、人間の右肩付近を主に示す体型画像上に指圧されるツボである肩中愈T1、肩外愈T2、曲垣T3、秉風T4、天宗T5、臑愈T6の各位置が記された画像が表示されている。
【0034】
なお、効能を報知するにあたって表示される図6(a)の関連情報画像は一例にすぎず、表示制御部315は、設定された手技に対する効能として、例えば「肩がほぐれる」や「眼精疲労が回復する」といった効能を文章で示したものを関連情報画像として表示部323に表示してもよい。
【0035】
記憶部319は、ROM等の不揮発性の記憶装置から構成され、位置記憶部316、体型画像記憶部317、及び関連情報記憶部318を備えている。位置記憶部316は、標準体型上における手技毎の目標マッサージ位置を記憶する。
【0036】
体型画像記憶部317は、人体の背中を複数方向から見た場合における背中の形状を示す複数の体型画像を記憶している。ここで、体型画像記憶部317は、ある手技で施療子22を駆動した場合に施療子22の動作の特徴が良く表れるような方向から人体の背中を見た場合の体型画像と、手技とを関連付けて記憶している。
【0037】
動作駆動制御部312は、MPU311の制御の下、幅駆動部304、上下駆動部305、及び強弱駆動部306に施療子22を左右方向、上下方向、及び前後方向に移動させる。
【0038】
操作部320は、図1に示す操作部4から構成され、使用者からの種々の操作指令を受け付け、位置調整部321、手技選択部322、及び表示部323を備えている。位置調整部321は、図2に示す位置調整ボタン46及び強弱ボタン49から構成され、施療子22の位置を調整するためになされる使用者の操作指令を受け付け、受け付けた操作指令を制御部310に通知し、動作駆動制御部312に施療子22を移動させる。具体的には、位置調整部321は、上方向ボタン461が押されてから開放されるまで、動作駆動制御部312に施療子22を上方向に移動させ、下方向ボタン462が押されてから開放されるまで、動作駆動制御部312に施療子22を下方向に移動させ、左方向ボタン463が押されてから開放されるまで、動作駆動制御部312に施療子22を左方向に移動させ、右方向ボタン464が押されてから開放されるまで、動作駆動制御部312に施療子22を右方向に移動させ、強弱ボタン49が「+」側に押されてから開放されるまで、動作駆動制御部312に施療子22を前方向に移動させ、強弱ボタン49が「−」側に押されてから開放されるまで、動作駆動制御部312に施療子22を後方向に移動させる。
【0039】
手技選択部322は、図2に示す部位選択ボタン45及び位置調整ボタン46等から構成され、手技を選択するためになされる使用者の操作指令を受け付け、受け付けた操作指令を制御部310に通知し、手技設定部313に使用者により選択された手技を設定させる。本マッサージ機では、部位に応じて選択することができる手技が予め定められている。具体的には、使用者により「お好み動作」ボタン44が押され、「首」、「肩」、「背」、「腰」のいずれかの部位選択ボタン45が押されると、制御部310は表示部323に部位毎に選択することができる1又は複数の手技の一覧画像を表示する。そして、使用者は位置調整ボタン46を操作して一覧画像上に表示されたカーソルを移動させて所望する手技にカーソルを合わすといった操作を行うことで手技を選択する。
【0040】
表示部323は、図2に示す表示部47から構成され、表示制御部315の制御の下、種々の画像を表示する。なお、表示部323は、液晶表示パネル、発光ダイオードパネル、有機ELパネル等の表示装置から構成される。
【0041】
次に、お好み動作が選択された場合における本マッサージ機の動作について説明する。図7は、お好み動作が選択された場合における本マッサージ機の動作を示すフローチャートである。まず、ステップS1において、使用者により「お好み動作」ボタン44が押されると、手技設定部313は、お好み動作が選択されたと判定し、マッサージを施す部位を選択するための操作画像及び手技を選択するための操作画像を表示部323に表示させ、使用者により入力された操作指令に従って、マッサージを施す部位を設定すると共に、マッサージを行う手技を設定する。
【0042】
次に、ステップS2において、特定部314は、マッサージ部300を駆動して施療子22を上下方向の下端位置U1から上端位置U2まで上下方向に移動させ、幅センサ301、上下センサ302、及び強弱センサ303による施療子22の位置の検出結果を取得し、取得した検出結果から使用者の体型情報を取得する。
【0043】
次に、ステップS3において、特定部314は、動作駆動制御部312を制御して、ステップS1で設定された部位及び手技に対して予め定められた手技開始位置に施療子22の移動を開始させ、施療子22が手技開始位置に到着ていない場合は(ステップS3でNO)、処理をステップS3に戻し、到着した場合は(ステップS3でYES)、動作駆動制御部312を制御して、ステップS1で設定された手技に対して予め定められた動作パターンに従って施療子22を駆動させる。ここで、特定部314は、目標マッサージ位置が定められた標準体型をステップS2で取得した体型情報から得られる使用者の体型にマッピングすることで、使用者における手技開始位置を求め、求めた手技開始位置に、施療子22を移動させる。
【0044】
次に、ステップS4において、特定部314は、ステップS1で設定された手技に対して標準体型上において予め定められた目標マッサージ位置を位置記憶部316から特定し、センシングにより取得した体型情報から得られる使用者の体型に標準体型をマッピングすることで、マッサージ対象となる使用者の目標マッサージ位置を特定する。
【0045】
次に、表示制御部315は、ステップS1で設定された手技に対する体型画像G1を特定し、特定した体型画像G1にステップS4で特定した目標マッサージ位置を示す目印M1を付すと共に、マッサージ動作を行っている施療子22の位置を表示するための目印M2を付した画像を報知画像として表示部323に表示する(ステップS5)。また、このとき、表示制御部315は、ステップS1で設定された手技に対する関連情報画像を関連情報記憶部318から特定し、特定した関連情報画像を報知画像と併せて表示部323に表示する。
【0046】
次に、ステップS6において、手技選択部322が現在設定されている手技とは別の手技を選択するための操作指令を受け付けた場合(ステップS6でYES)、手技設定部313は、選択された手技をマッサージを行う手技として設定し、処理をステップS4に戻す。
【0047】
このとき、動作駆動制御部312は、新たに選択された手技に対する目標マッサージ位置に施療子22を移動させることなく、新たに選択された手技を実行するため、施療子22が新たに選択された手技の目標マッサージ位置をマッサージしない虞がある。しかしながら、本マッサージ機においては、表示制御部315は、図5(a)、(b)に示すような報知画像を表示部323に表示するため、使用者は、選択している手技の目標マッサージ位置を施療子22がマッサージしていないことを認識することが可能となる。また、この報知画像には、目標マッサージ位置を報知するための目印M1と、現在設定されている手技において使用者に最大の圧力が加わるポイント(凝りポイント)を示す目印M22と、施療子22の現在位置を示す目印M23とが含まれている。そのため、使用者は、位置調整部321を操作して、目印M1上に目印M22がくるように、施療子22の位置を調整し、高いマッサージ効果を得ることが可能となる。
【0048】
次に、ステップS6でNOと判定され、使用者により「急停止」ボタン48が押される等して、操作部320がマッサージを停止させるための操作指令を受け付けると(ステップS7でYES)、動作駆動制御部312は、施療子22の動作を停止させ、表示制御部315は、施療子22の現在位置を示す目印M2の表示を停止する(ステップS8)。一方、ステップS7でNOと判定された場合、処理はステップS4に戻され、マッサージが継続される。
【0049】
以上説明したように本マッサージ機によれば、使用者が選択した手技に対してマッサージ効果の高い位置である目標マッサージ位置が使用者に報知されるため、マッサージ効果の高い位置を使用者に認識させることができる。そのため、使用者は、施療子22を目標マッサージ位置に移動して選択した手技によるマッサージを実行することで、高いマッサージ効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】マッサージ機の外観構成図を示している。
【図2】操作部の外観構成図を示している。
【図3】マッサージ部の外観構成図を示している。
【図4】本マッサージ機の電気的な構成を示すブロック図である。
【図5】表示制御部が表示部に表示する報知画像を示した図であり、(a)はある手技Aが設定された場合の報知画像を示し、(b)は手技Aとは異なる手技Bが設定された場合の報知画像を示している。
【図6】(a)、(b)は関連情報画像を示した図である。
【図7】お好み動作が選択された場合における本マッサージ機の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0051】
300 マッサージ部
301 幅センサ
302 上下センサ
303 強弱センサ
304 幅駆動部
305 上下駆動部
306 強弱駆動部
310 制御部
312 動作駆動制御部
313 手技設定部
314 特定部
315 表示制御部
316 位置記憶部
317 体型画像記憶部
318 関連情報記憶部
319 記憶部
320 操作部
321 位置調整部
322 手技選択部
323 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
背もたれ部に配設された施療子が、3次元的に移動することで所定の手技を前記背もたれ部の任意の位置で行うマッサージ機であって、
使用者の操作指令に従って手技を設定する手技設定手段と、
使用者の操作指令に従って、前記施療子の位置を調節すると共に、前記手技設定手段により設定された手技に対して予め定められた動作パターンに従って前記施療子を駆動する駆動手段と、
前記手技設定手段により設定された手技に対して予め定められたマッサージ効果の高い位置を使用者に報知する報知手段とを備えることを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
前記駆動手段により駆動されている施療子の現在位置を検出する位置検出手段を更に備え、
前記報知手段は、マッサージ効果の高い位置に加えて、前記位置検出手段により検出された施療子の現在位置を報知することを特徴とする請求項1記載のマッサージ機。
【請求項3】
前記報知手段は、複数の方向から人間の体型を表す体型画像の中から、前記手技設定手段により設定された手技により動作する施療子の動作の特徴を良く表すことのできる方向から人間を見たときの体型画像上に、マッサージ効果の高い位置を示すと共に、施療子の現在位置とを示す画像を表示部に表示することを特徴とする請求項2記載のマッサージ機。
【請求項4】
前記報知手段は、前記手技設定手段により設定された手技に関連するツボの位置と、前記手技による効能とを報知することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のマッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−178633(P2008−178633A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−16100(P2007−16100)
【出願日】平成19年1月26日(2007.1.26)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】