説明

マッサージ機

【課題】施療者が希望する強度をより忠実に設定することができるマッサージ機を提供する。
【解決手段】移動範囲設定部314は、移動範囲E1の中心位置PMを設定するための操作指令と移動範囲E1の幅W1を設定するための操作指令とに従って、中心位置PMを中心とし、幅W1によって定められる領域を移動範囲E1として設定する。動作駆動制御部312は、全身自動コースに含まれる各手技の動作パターンが、移動範囲設定部314により設定された移動範囲E1内に収まるように各手技における施療子22の動作パターンを修正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、複数の手技を所定の順序に従って実行する全身自動コースを備えるマッサージ機が知られている。従来のマッサージ機では、全身自動コースにおいて、指圧の強度を「強くしたい」或いは、「弱くしたい」という要望がある場合は、施療子の移動範囲を全体的に1段強めにシフトする、或いは全体的に1段階弱めにシフトするという調整が行われていた(特許文献1)。
【0003】
例えば施療者に最も近い第1の位置〜施療者から最も離れる第の10の位置の範囲内で施療子を移動させることが可能なマッサージ機において、施療者に「強」の設定がなされると、第4の位置〜第6の位置で施療子を移動させる手技に対しては、施療子を第3の位置〜第5の位置の移動範囲内で移動させ、また、施療者に「弱」の設定がなされると、第5の位置〜第7の位置で施療子を移動させる手技に対しては、施療子を第5の位置〜第7の位置の移動範囲内で移動させることで、全身自動コースの強弱調整が行われていた。すなわち、従来のマッサージ機においては、「強」が設定されると、施療者に近づくように各手技における施療子の移動範囲がシフトされ、「弱」が設定されると、施療者から離れるように各手技における施療子の移動範囲がシフトされ、全身自動コースの強弱調整が行われていた。
【0004】
また、特許文献2には、施療者の体重を検出し、検出した施療者の体重に応じてマッサージの強さを変更することができるマッサージ機が開示されている。
【特許文献1】特開平11−197206号公報
【特許文献2】特許第3588129号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載のマッサージ機では、全身自動コースにおける各手技の移動範囲を変えることがなされていないため、施療者の多様な好みに充分に応じることができず、施療者が希望する強度をより忠実に設定するためには、更に改良の余地が残されている。また、特許文献2には、施療者の体重に応じてマッサージの強さを変更することは開示されているものの、施療者が希望する強度をより忠実に設定することは開示されていない。
【0006】
本発明の目的は、施療者が希望する強度をより忠実に設定することができるマッサージ機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本マッサージ機は、背もたれ部に配設された施療子が、3次元的に移動することで所定の手技を前記背もたれ部の任意の位置で行うマッサージ機であって、前記背もたれ部において施療者と当接する背もたれ面に直交する前後方向の施療子の移動範囲を示す調整範囲の中から施療者に応じた施療子の移動範囲を設定する設定手段と、前記手技に対して予め定められた動作パターンの前後方向における移動範囲が、前記設定手段により設定された移動範囲内に収まるように前記施療子を駆動する駆動手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、施療子の前後方向の移動範囲を示す調整範囲の中から施療者に応じた施療子の移動範囲が設定され、手技に対して予め定められた施療子の動作パターンの前後方向における移動範囲が、設定された移動範囲内に収まるように施療子が駆動されるため、施療者が希望する強度をより忠実に設定することができるマッサージ機を提供することができる。
【0009】
また、施療者の操作指令を受け付ける操作手段を更に備え、前記設定手段は、施療者の操作指令に従って前記移動範囲を設定することが好ましい。
【0010】
この構成によれば、施療者は、操作手段を操作することで移動範囲を設定することができる。
【0011】
また、前記操作手段は、前記調整範囲上における前記移動範囲の中心位置及び前記調整範囲上における前記移動範囲の幅の少なくとも一方を指定するための操作指令を受け付けることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、施療者は、中心位置及び移動範囲の幅の少なくともいずれか一方を指定するという簡便な操作により移動範囲を設定することができる。
【0013】
また、前記操作手段は、前記調整範囲上における前記移動範囲の最大位置及び最小位置の少なくともいずれか一方を指定するための操作指令を受け付けることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、施療者は、移動範囲の最大位置及び最小位置の少なくともいずれか一方を指定するという簡便な操作により移動範囲を設定することができる。
【0015】
また、前記駆動手段は、複数の手技が所定の順序で実行されるように前記施療子を駆動するものであり、各手技に対して予め定められた動作パターンの前後方向の移動範囲が、前記設定手段により設定された移動範囲内に収まるように前記施療子を駆動することが好ましい。
【0016】
この構成によれば、複数の手技を所定の順序で実行する全身自動コースにおいて、各手技に対して予め定められた動作パターンの前後方向の移動範囲が、施療者に応じて設定された移動範囲内に収まるように施療子が駆動されるため、全身自動コースにおいて、施療者は1つの移動範囲を定めるという簡便な操作を行うだけで、各手技の前後方向における強度を希望する強度に設定することができる。
【0017】
また、施療者の体圧を検出するセンシング手段を更に備え、前記設定手段は、前記センシング手段により検出された施療者の体圧に応じて前記移動範囲を設定することが好ましい。
【0018】
この構成によれば、施療子の体圧に応じて移動範囲が設定されるため、施療者の体圧に応じた好ましい強度を設定することができる。
【0019】
また、前記駆動手段は、複数の手技が所定の順序で実行されるように前記施療子を駆動するものであり、前記センシング手段は、前記駆動手段により施療者が施療されている間に1又は複数回センシングを実行し、前記設定手段は、前記センシング手段がセンシングを実行する毎に前記移動範囲を設定することが好ましい。
【0020】
この構成によれば、施療者の体圧に応じた移動範囲を設定することが可能となり、施療者が満足する強度で施療者を施療することが可能となる。
【0021】
この構成によれば、移動範囲が予め定められた複数の手技が、所定の順序で実行される全身自動コースの実行中に施療者の体圧が1又は複数回センシングされ、施療者の体圧に応じて移動範囲が設定されるため、施療者の体圧に応じた移動範囲を設定することが可能となり、施療者の好みに応じた強度で施療者を施療することが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、施療子が移動することが可能な調整範囲の中から施療者に応じた施療子の移動範囲が設定され、設定された移動範囲に従って施療子が駆動されるため、施療者が希望する強度をより忠実に設定することができるマッサージ機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態によるマッサージ機について説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は同一の構成を表すものとして説明を省略する。
【0024】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1によるマッサージ機の外観構成図を示している。図1に示すように、実施の形態1によるマッサージ機は、各種のマッサージ動作を行うリクライニング可能な椅子1から構成され、背もたれ部2と、背もたれ部2の下側に配設された座部3と、座部3の左右両側に設けられた肘掛け部の一方側に配設された操作部4と、座部3の下側に配設された脚載せ台5とを備えている。なお、図1において、前後方向は、背もたれ部2において施療者の背中が当接する背もたれ面に直交する方向を示し、施療者に近づく方向を前方向とし、施療者から離れる前方向とは反対側の方向を後方向とする。上下方向は、背もたれ面の上端から下端に向かう下方向と下端から上端に向かう上方向とを総称した方向を示す。また、左右方向は、背もたれ面において上下方向と直交する方向を示し、背もたれ面の右端から左端に向かう方向を左方向とし、背もたれ面の左端から右端に向かう方向を右方向とする。
【0025】
操作部4は、椅子1とケーブルCAを介して接続され、ユーザが各種操作指令を入力する際に用いられる。背もたれ部2は椅子1に腰掛けた施療者の背中が当接し、内部に一対の施療子(もみ玉)を含むマッサージ部21が配設されている。座部3は、椅子1に腰掛けたユーザの臀部と太ももとが載置される。脚載せ台5は、施療者のふくらはぎ及び足裏が載置される。
【0026】
図2は、操作部4の外観構成図を示している。操作部4は、電源をオン・オフする「切/入」ボタン41と、予め定められた施療シーケンスによって手技、施療位置、施療回数等が決められた全身自動コースを選択するための全自動コースボタン42と、施療者がその日の体調や気分によって、全身のどの部位をどの程度施療するかを選択することにより、手技、施療位置、施療回数等を自動的に計算し、施療内容を作成する問診コースを選択するための「問診コース」ボタン43と、全身自動コース及び問診コースとは異なり、施療者が選んだ手技を、施療者が解除するまで、施療者の好みの位置で行うことができるお好み動作を選択するための「お好み動作」ボタン44と、問診コースでは人体の各部位のお疲れ度を入力する際に使用され、お好み動作では施療者が選択する部位と手技とを選択するために使用される部位選択ボタン45と、施療子22を前後方向に移動させ、マッサージの強弱を調整するための強弱ボタン49と、施療子22の上下方向及び左右方向の位置を調整するための位置調整ボタン46と、施療子22の移動速度を調節する速度調節ボタン50と、施療内容、施療位置、施療の強さ等の種々の情報を表示するための表示部47と、施療を直ちに停止させるための「急停止」ボタン48等を備えている。
【0027】
図3は、マッサージ部21の外観構成図を示している。図3に示すようにマッサージ部21は、左右対称に配設された一対の施療子22を含む施療子部と、施療子を前後方向に移動させる強弱駆動部と、施療子22を左右方向に移動させる幅駆動部と、施療子22を上下方向に移動させる上下駆動部とを備えている。
【0028】
施療子部は、左右一対の施療子22と、各施療子22を支持する一対の施療子アーム221と、施療子22における施療者との接触面に配設され、施療者の体圧を測定するための圧力センサ(図略)とを備えている。強弱駆動部は、各施療子アーム221の外側に配設された一対の前後駆動用歯車211と、施療子22を前後方向に移動させる際の駆動源となる前後モータ212と、両端に一対の伝達用歯車214が配設され、前後モータ212からの動力を伝達用歯車214を介して前後駆動用歯車211に伝達するための前後駆動軸213と、施療子22の前後方向の位置を検出する強弱センサ215とを備えている。
【0029】
すなわち、前後モータ212が正回転、又は逆回転すると、その動力が図略の歯車を介して、前後駆動軸213へと伝達され、前後駆動軸213が回転し、前後駆動軸213の動力が伝達用歯車214を介して、前後駆動用歯車211へと伝達され、施療子アーム221が前後駆動用歯車211の中心を軸芯として回転し、施療子22が回転する。これにより、施療子22が施療者に近づいたり離れたりして前後方向に移動する。強弱センサ215は、前後駆動用歯車211の回転軸上に設けられたロータリーエンコーダから構成され、施療子22の回転角度から施療子22の前後方向における位置を検出する。
【0030】
幅駆動部は、駆動源となる左右モータ222と、左右モータ222からの動力を左右駆動軸223に伝達するためのプーリ227、ベルト225、及びプーリ226と、左右方向を長手方向とし、左右モータ222により回転される左右駆動軸223と、左右駆動軸223と噛み合い、施療子アーム221の各々を左右方向に移動させる一対の雄ネジ224と、施療子22の左右方向の位置を検出する幅センサ(図略)とを備えている。ここで、ベルト225は、プーリ227とプーリ226との間で架け渡された無端ベルトである。
【0031】
また、雄ネジ224は、左右駆動軸223の中心から左右対称となる位置に配設され、一方の雄ネジ224が他方の雄ネジ224に対して逆ネジの方向となるように、左右駆動軸223と噛み合っている。従って、左右モータ222が正方向、又は逆方向に回転すると、その動力がプーリ227、ベルト225、及びプーリ226を介し左右駆動軸223に伝達され、左右駆動軸223が回転し、一対の施療子アーム221が互いに近づいたり離れたりして左右対称に移動する。
【0032】
上下駆動部は、駆動源としての上下モータ231と、上下モータ231からの動力を伝達し、左右方向を長手方向とする図略の駆動軸と、この駆動軸の両端に配設された一対のローラ232及びピニオン233と、上下方向を長手方向とし、マッサージ部21の上下方向の移動を案内するための一対のレール(図略)と、各レールに設けられたラック(図略)と、施療子22の上下方向の位置を検出するための上下センサ234とを備えている。ピニオン233はラックと噛み合い、ローラ232はレールに嵌め込まれている。そのため、上下モータ231が正方向、又は逆方向に回転すると、図略の回転軸が回転し、ピニオン233が回転し、ローラ232がレールに沿って移動し、マッサージ部21が上下方向に移動する。このように、施療子22は、上下方向、左右方向、及び前後方向に移動されて3次元的に移動し、マッサージ動作を行う。
【0033】
図4は、本マッサージ機の電気的な構成を示すブロック図である。マッサージ機は、マッサージ部300、制御部310、及び操作部320を備えている。マッサージ部300は、図3に示すマッサージ部21から構成され、幅センサ301、上下センサ302、強弱センサ303、幅駆動部304、上下駆動部305、強弱駆動部306、及び圧力センサ307を備えている。幅センサ301は、図3で説明した幅センサから構成され、施療子22の左右方向の位置を検出する。上下センサ302は、図3に示す上下センサ234から構成され、施療子22の上下方向の位置を検出する。強弱センサ303は図3に示す強弱センサ215から構成され、施療子22の前後方向の位置を検出する。圧力センサ307は、施療子22が施療者と接触したときに生じる圧力に応じた電気信号を生成し、制御部310に出力する。
【0034】
幅駆動部304は、図3に示す幅駆動部から構成され、施療子22を左右方向に移動させる。上下駆動部305は、図3に示す上下駆動部から構成され、施療子22を上下方向に移動させる。強弱駆動部306は、図3に示す強弱駆動部から構成され、施療子22を前後方向に移動させる。
【0035】
制御部310は、MPU(microprocessor)311、動作駆動制御部312(駆動手段)、及び記憶部319を備えている。MPU311は、本マッサージ機の全体制御を司り、コース設定部313、移動範囲設定部314(設定手段)、及びセンシング部315(センシング手段)を備えている。コース設定部313は、操作部320を操作することによりなされた施療者の操作指令に従って、本マッサージ機の施療コースを設定する。本マッサージ機は、全身自動コース、問診コース、及びお好み動作コースといった施療コースを備えている。全身自動コースは上述したように、予め定められた施療シーケンスによって手技、施療位置、施療回数等が決められたコース、すなわち、予め定められた複数の手技が所定の順序で実行されるコースである。
【0036】
また、全身自動コースには、「指圧爽快」コース、「もみほぐし」コース、「さすり癒し」コース、及び「体伸ばし」コース等のコースが含まれ、これら各コースに対して予め定められた複数の手技が所定の順序で実行される。
【0037】
そして、コース設定部313は、全自動コースボタン42に含まれる「指圧爽快」ボタン、「もみほぐし」ボタン、「さすり癒し」ボタン、及び「体伸ばし」ボタンのいずれかのボタンが押されたとき、操作部320において全身自動コースを設定するための操作指令が施療者により入力されたとして、入力された操作指令に示される全身自動コースをマッサージ機の動作コースとして設定する。
【0038】
そして、移動範囲設定部314は、後述する移動範囲を設定するために操作部320により受け付けられた操作指令に従って、施療者に応じた施療子の移動範囲を設定する。図5は移動範囲の説明図である。図5に示す移動範囲E1は、強弱調整範囲E2(調整範囲)上において、施療子22が移動する領域を示す。図5に示す強弱調整範囲E2は、本マッサージ機の前後方向における施療子22の移動可能範囲、すなわち、施療子22が施療者に最も近づく前後方向上の位置である最近位置と、施療子22が施療者から最も離れる前後方向上の位置である最遠位置とによって規定される前後方向上の範囲を示す。本マッサージ機では、強弱調整範囲には、第1の位置P1〜第10の位置P10の10個の座標が与えられ、第1の位置P1は最遠位置を示し、第10の位置P10は最近位置を示し、第10の位置P10から第1の位置P1に向かうにつれて、施療子22は施療者から離れた場所に位置する。また、施療子22は第10の位置P10に向かうにつれて施療者との距離が近づくため、施療者への指圧の強度は高くなる。
【0039】
本マッサージ機では施療者は以下に示す第1の入力手法〜第4の入力手法のいずれかの手法を用いて移動範囲を入力する。図6は、第1の入力手法の説明図である。図6に示すように第1の入力手法は、移動範囲E1の強弱調整範囲E2上の中心位置PMを施療者に入力させると共に、移動範囲E1の幅W1を施療者に入力させることで移動範囲E1を入力させる手法である。
【0040】
具体的には、施療者は以下のようにして中心位置PM及び幅W1を入力する。まず、全自動コースボタン42の中から好みのボタンが押されると、制御部310は表示部47に移動範囲E1の入力を促す操作画像を表示する。この操作画像には、中心位置PMを入力する欄と、幅W1を入力する欄とが設けられ、中心位置PMを入力する欄は、強弱ボタン49を操作することで、第1の位置P1〜第10の位置P10のうちいずれかの位置を入力することが可能となっており、また、幅W1を入力する欄は、強弱ボタン49を操作することで、中心位置PMを中心とする幅W1の大きさを入力することが可能となっている。
【0041】
ここで、中心位置PMを入力する欄は、位置調整ボタン46が操作されてカーソルが中心位置PMを入力する欄に移動され、強弱ボタン49が「+」側に押されると、当該欄に表された強弱調整範囲E2上の位置を示す数値が1増加し、また、強弱ボタン49が「−」側に押されると、当該欄に表された数値が1減少するようになっている。また、幅W1を入力する欄は、位置調整ボタン46が操作されてカーソルが幅W1を入力する欄に移動され、強弱ボタン49が「+」側に押されると当該欄に表された強弱調整範囲E2上の位置を示す数値が1増加し、また、強弱ボタン49が「−」側に押されると当該欄に表された数値が1減少するようになっている。
【0042】
そして、施療者は、中心位置PMを入力する欄において、強弱ボタン49を操作することで、第1の位置P1〜第10の位置P10の中から所望する中心位置PMを入力する。また、施療者は、幅W1を入力する欄において、強弱ボタン49を操作することで、強弱調整範囲E2上の1座標分の長さを1単位とする10段階で、幅W1を入力する。
【0043】
移動範囲設定部314は、施療者により入力された中心位置PM及び幅W1に従って、移動範囲E1を設定する。なお、図6では、中心位置PMが第5の位置P5に設定され、幅W1が「4」に設定されている。このように第1の入力手法によれば、施療の強度として強い方を好む、或いは施療の強度として弱い方を望むといった施療者の要望に柔軟に答えることができる。
【0044】
図7は、第2の入力手法の説明図である。図7に示すように第2の入力手法は、移動範囲E1の強弱調整範囲E2上の最大位置PMAXを施療者に入力させると共に、移動範囲E1の幅W1を施療者に入力させることで移動範囲E1を入力させる手法である。
【0045】
具体的には、施療者は以下のようにして最大位置PMAX及び幅W1を入力する。まず、全自動コースボタン42の中から好みのボタンが押されると、制御部310は表示部47に移動範囲E1の入力を促す操作画像を表示する。この操作画像には、最大位置PMAXを入力する欄と、幅W1を入力する欄とが設けられ、最大位置PMAXを入力する欄は、強弱ボタン49を操作することで、第1の位置P1〜第10の位置P10のうちいずれかの位置を入力することが可能となっており、また、幅W1を入力する欄は、強弱ボタン49を操作することで、最大位置PMAXを上限とする幅W1の大きさを入力することが可能となっている。
【0046】
ここで、最大位置PMAXを入力する欄は、位置調整ボタン46が操作されてカーソルが最大位置PMAXを入力する欄に移動され、強弱ボタン49が「+」側に押されると、当該欄に表された強弱調整範囲E2上の位置を示す数値が1増加し、また、強弱ボタン49が「−」側に押されると当該欄に表された数値が1減少するようになっている。また、幅W1を入力する欄は、位置調整ボタン46が操作され、カーソルが幅W1を入力する欄に移動され、強弱ボタン49が「+」側に押されると当該欄に表された強弱調整範囲E2上の位置を示す数値が1増加し、また、強弱ボタン49が「−」側に押されると当該欄に表された数値が1減少するようになっている。
【0047】
施療者は、最大位置PMAXを入力する欄において、強弱ボタン49を操作することで、第1の位置P1〜第10の位置P10の中から所望する最大位置PMAXを入力する。また、施療者は、幅W1を入力する欄において、強弱ボタン49を操作することで、強弱調整範囲E2上の1座標分の長さを1単位とする10段階で、幅W1を入力する。
【0048】
そして、移動範囲設定部314は、施療者により入力された最大位置PMAX及び幅W1に従って、移動範囲E1を設定する。なお、図7では、中心位置PMが第7の位置P7に設定され、幅W1が4に設定されている。このように第2の入力手法によれば、入力した最大位置PMAX以上は指圧の強度を強くしてほしくないという施療者の要望に対して柔軟に応えることができる。
【0049】
図8は、第3の入力手法の説明図である。図8に示すように第3の入力手法は、移動範囲E1の強弱調整範囲E2上の最小位置PMINを施療者に入力させると共に、移動範囲E1の幅W1を施療者に入力させることで移動範囲E1を入力させる手法である。
【0050】
具体的には、施療者は以下のようにして最小位置PMIN及び幅W1を入力する。まず、全自動コースボタン42の中から好みのボタンが押されると、制御部310は表示部47に移動範囲E1の入力を促す操作画像を表示する。この操作画像には、最小位置PMINを入力する欄と、幅W1を入力する欄とが設けられ、最小位置PMINを入力する欄は、強弱ボタン49を操作することで、第1の位置P1〜第10の位置P10のうちいずれかの位置を入力することが可能となっており、また、幅W1を入力する欄は、強弱ボタン49を操作することで、最小位置PMINを最小とする幅W1の大きさを入力することが可能となっている。
【0051】
ここで、最小位置PMINを入力する欄は、位置調整ボタン46が操作されてカーソルが最小位置PMINを入力する欄に移動され、強弱ボタン49が「+」側に押されると、当該欄に表された強弱調整範囲E2上の位置を示す数値が1増加し、また、強弱ボタン49が「−」側に押されると当該欄に表された数値が1減少するようになっている。また、幅W1を入力する欄は、位置調整ボタン46が操作され、カーソルが幅W1を入力する欄に移動され、強弱ボタン49が「+」側に押されると当該欄に表された強弱調整範囲E2上の位置を示す数値が1増加し、また、強弱ボタン49が「−」側に押されると当該欄に表された数値が1減少するようになっている。
【0052】
施療者は、最小位置PMINを入力する欄において、強弱ボタン49を操作することで、第1の位置P1〜第10の位置P10の中から所望する最小位置PMINを入力する。また、施療者は、幅W1を入力する欄において、強弱ボタン49を操作することで、強弱調整範囲E2上の1座標分の長さを1単位とする10段階で、幅W1を入力する。
【0053】
そして、移動範囲設定部314は、施療者により入力された最小位置PMIN及び幅W1に従って、移動範囲E1を設定する。なお、図8では、最小位置PMINが第3の位置P3に設定され、幅W1が「4」に設定されている。このように第3の入力手法によれば、入力した最小位置PMIN以上は指圧の強度を強くしてほしくいという施療者の要望に応えることができる。
【0054】
図9は、第4の入力手法の説明図である。図9に示すように第4の入力手法は、移動範囲E1の強弱調整範囲E2上の最大位置PMAXを施療者に入力させると共に、移動範囲E1の強弱調整範囲E2上の最小位置PMINを施療者に入力させることで移動範囲E1を入力させる手法である。
【0055】
具体的には、施療者は以下のようにして最大位置PMAX及び最小位置PMINを入力する。まず、全自動コースボタン42の中から好みのボタンが押されると、制御部310は表示部47に移動範囲E1の入力を促す操作画像を表示する。この操作画像には、最大位置PMAXを入力する欄と、最小位置PMINを入力する欄とが設けられ、最大位置PMAX及び最小位置PMINを入力する欄は共に、強弱ボタン49を操作することで、第1の位置P1〜第10の位置P10のうちいずれかの位置を入力することが可能となっている。
【0056】
ここで、最大位置PMAXを入力する欄は、位置調整ボタン46が操作されてカーソルが最大位置PMAXを入力する欄に移動され、強弱ボタン49が「+」側に押されると、当該欄に表された強弱調整範囲E2上の位置を示す数値が1増加し、また、強弱ボタン49が「−」側に押されると当該欄に表された数値が1減少するようになっている。また、最小位置PMINを入力する欄も、最大位置PMAXを入力する欄と同様、位置調整ボタン46が操作され、カーソルが最小位置PMINを入力する欄に移動され、強弱ボタン49が「+」側に押されると、当該欄に表された強弱調整範囲E2上の位置を示す数値が1増加し、また、強弱ボタン49が「−」側に押されると当該欄に表された数値が1減少するようになっている。
【0057】
施療者は、最大位置PMAX及び最小位置PMINを入力する欄において、強弱ボタン49を操作することで、第1の位置P1〜第10の位置P10の中から所望する最大位置PMAX及び最小位置PMINを入力する。
【0058】
そして、移動範囲設定部314は、施療者により入力された最大位置PMAX及び最小位置PMINに従って、移動範囲E1を設定する。なお、図9では、最大位置PMAXが第7の位置P7に設定され、最小位置PMINが第3の位置P3に設定されている。第4の入力手法によれば、入力した最小位置PMIN以上は指圧の強度を強くしてほしくいという施療者の要望に応えることができる。
【0059】
図4に示すセンシング部315は、コース設定部313により全身自動コースが設定されている場合、施療に先立って施療者の体型に関する情報を取得するために、マッサージ部300に施療子22を下端位置U1から上端位置U2まで移動させ、幅センサ301、上下センサ302、及び強弱センサ303による検出結果から施療者の体型に関する情報を取得する。また、センシング部315は、コース設定部313により全身自動コースが設定されている場合、所定の位置で施療子22に施療者をたたく動作を実行させ、圧力センサ307により得られる測定結果から施療者の体圧を取得する。
【0060】
動作駆動制御部312は、コース設定部313により全身自動コースが設定されている場合は、設定された全身自動コースに応じて予め定められた施療シーケンスに従って、複数の手技が所定の順序で実行されるようにマッサージ部300に施療子22を移動させ、施療者を指圧する。具体的には、全身自動コースの施療シーケンスにおいては、各手技の実行順序、各手技の実行時間、各手技の動作パターン、及び動作開始位置、一連の手技を何回繰り返し実行するかを示すサイクル数等が予め定められており、動作駆動制御部312は、これらの情報に基づいて、マッサージ部300を駆動する。また、各手技において予め定められた動作パターンにおける前後方向の移動する範囲が、強弱調整範囲E2上のデフォルトの移動範囲E1となる。このデフォルトの移動範囲E1は、手技毎に異なっている。
【0061】
そして、動作駆動制御部312は、移動範囲設定部314により移動範囲E1が設定されると、各手技のデフォルトの移動範囲E1が設定された移動範囲E1となるように、施療子22の動作パターンを修正する。例えば、ある手技Aにおけるデフォルトの移動範囲E1が第2の位置P2〜第8の位置P8であり、設定された移動範囲E1が第3の位置P3〜第7の位置P7である場合、施療子22の前後方向における移動する範囲が設定された移動範囲E1となるように施療子22の動作パターンを修正する。なお、デフォルトの移動範囲E1が、設定された移動範囲E1と一致する手技においては、動作駆動制御部312は施療子22の動作パターンを修正しない。また、デフォルトの移動範囲E1の幅W1が、設定された移動範囲E1の幅W1よりも小さい手技においては、動作駆動制御部312は、設定された移動範囲E1を中心にデフォルトの移動範囲E1の幅W1で前後方向に動作するように施療子22の動作パターンを修正する。
【0062】
次に、本マッサージ機において全身自動コースを実行する際の動作について説明する。図10は、全身自動コースを実行する際の本マッサージ機の動作を示すフローチャートである。まず、ステップS1において、施療者により全自動コースボタン42が押され、操作部320が施療者から全身自動コースを設定するための操作指令が受け付けられると、コース設定部313は全身自動コースを設定する。このとき、移動範囲設定部314は、第1〜第4の入力手法のいずれかに従って移動範囲E1を入力させるための移動範囲E1の入力を促す操作画像を表示部47に表示する。
【0063】
次に、ステップS2において、施療者により移動範囲を設定するための操作指令が入力されると(ステップS2でYES)、移動範囲設定部314は、ステップS2で入力された操作指令に従って、移動範囲E1を設定する(ステップS3)。一方、ステップS2において、施療者により移動範囲E1を設定するための操作指令が入力されない場合(ステップS2でNO)、処理がステップS4に進められる。この場合、動作駆動制御部312は、施療子22の動作パターンを修正することなく、施療子22を駆動させる。
【0064】
次に、ステップS4において、動作駆動制御部312は、ステップS1で設定された全身自動コースに応じた施療シーケンスに従って、施療子22を駆動させて施療を開始する。ここで、動作駆動制御部312は、施療シーケンスに含まれるある手技のデフォルトの移動範囲E1がステップS3で設定された移動範囲E1と異なる場合は、施療子22が設定された移動範囲E1内を移動するように、施療子22の動作パターンを修正する。
【0065】
次に、ステップS5において、施療者により再度、移動範囲E1を設定するための操作指令が入力されると(ステップS5でYES)、移動範囲設定部314は、ユーザにより入力された操作指令に従って移動範囲E1を設定する(ステップS6)。一方、施療者により移動範囲E1を設定するための操作指令が入力されない場合(ステップS5でNO)、処理がステップS7に進められる。なお、ステップS5において施療者が移動範囲E1を設定するための操作指令の入力手法は、ステップS2と同様であるため、説明を省略する。
【0066】
次に、ステップS7において、施療者により「切/入」ボタン41が押される、又は全身自動コースの終了時間に到達すると(ステップS7でYES)、動作駆動制御部312は施療子22の動作を停止し、移動範囲設定部314は、設定した移動範囲E1を、施療者を特定するための施療者情報と関連付けて、記憶部319に記憶するユーザ登録処理を実行する(ステップS8)。
【0067】
具体的には、移動範囲設定部314は、施療者に施療者の氏名等の施療者情報を入力させるための操作画像を表示部47に表示し、入力された施療者情報にステップS3又はS6で設定された移動範囲E1を関連付けて記憶部319に記憶することでユーザ処理を実行する。一方、ステップS7において、施療者により「切/入」ボタン41が押されない、又は全身自動コースの終了時間に到達しない場合(ステップS7でNO)、処理がステップS5に戻され、施療者への施療が継続される。
【0068】
なお、ユーザ登録処理が行われた場合、ユーザ登録処理を行った施療者が次に全身自動コースを行うに際し、移動範囲設定部314は、当該施療者に施療者情報を入力させ、入力された施療者情報に関連付けて記憶された移動範囲E1を記憶部319から特定し、特定した移動範囲E1を当該施療者に対する移動範囲E1として設定してもよい。
【0069】
以上説明したように本マッサージ機によれば、施療者は、施療子22が移動することが可能な強弱調整範囲E2の中から施療者により好みの移動範囲E1が設定され、設定された移動範囲E1に従って施療子22が駆動されるため、施療者が希望する強度をより忠実に設定することができるマッサージ機を提供することができる。
【0070】
なお、図6に示す第1の入力手法では、施療者は、中心位置PM及び幅W1を入力したが、いずれか一方のみを入力してもよい。中心位置PMのみが入力された場合、移動範囲設定部314は、入力された中心位置PMを中心に予め定められた幅W1を移動範囲E1として設定すればよい。幅W1のみが入力された場合、移動範囲設定部314は、予め定められた中心位置PMを中心とし、入力された幅W1によって定められる領域を移動範囲E1として設定すればよい。
【0071】
また、図7に示す第2の入力手法では、施療者は、最大位置PMAX及び幅W1を入力したが、いずれか一方のみを入力してもよい。最大位置PMAXのみが入力された場合、移動範囲設定部314は、入力された最大位置PMAXを上限とし、予め定められた幅W1によって定められる領域を移動範囲E1として設定すればよい。また、幅W1のみが入力された場合、移動範囲設定部314は、予め定められた最大位置PMAXを上限と、入力された幅W1によって定められる領域を移動範囲E1として設定すればよい。
【0072】
また、図8に示す第3の入力手法では、施療者は、最小位置PMIN及び幅W1を入力したが、いずれか一方のみを入力してもよい。最小位置PMINのみが入力された場合、移動範囲設定部314は、入力された最小位置PMINを下限とし、予め定められた幅W1によって定められる領域を移動範囲E1として設定すればよい。また、幅W1のみが入力された場合、移動範囲設定部314は、予め定められた最小位置PMINを下限と、入力された幅W1によって定められる領域を移動範囲E1として設定すればよい。
【0073】
また、図9に示す第4の入力手法では、施療者は、最小位置PMIN及び最大位置PMAXを入力したが、いずれか一方のみを入力してもよい。最小位置PMINのみが入力された場合、移動範囲設定部314は、入力された最小位置PMINを下限とし、予め定められた幅W1によって定められる領域を移動範囲E1として設定すればよい。また、最大位置PMAXのみが入力された場合、入力された最大位置PMAXを上限とし、予め定められた幅W1で定められる領域を移動範囲E1として設定すればよい。
【0074】
(実施の形態2)
次に実施の形態2によるマッサージ機について説明する。実施の形態2によるマッサージ機は施療者の指圧の強度として「強め」又は「弱め」を希望するかに応じて各手技の移動範囲E1を変えることを特徴とする。
【0075】
なお、実施の形態2によるマッサージ機の外観構成図、操作部4の外観構成図、マッサージ部21の外観構成図、及び電気的な構成を示すブロック図は、実施の形態1のマッサージ機と同一であるため、図1〜図4を用いる。
【0076】
図11は、本マッサージ機における入力手法の説明図であり、(a)は施療者が指圧の強度として「強め」を希望する場合を示し、(b)は施療者が指圧の強度として「弱め」を希望する場合を示している。本マッサージ機においては、施療者は操作部320を操作して、移動範囲E1の中心位置PMを設定するための操作指令を入力する。
【0077】
移動範囲設定部314は、入力された中心位置PMが第5の位置P5より大きい場合、施療者は指圧の強度として「強め」を希望していると判定し、中心位置PMが第5の位置P5以下である場合、施療者は指圧の強度として「弱め」を希望していると判定する。そして、移動範囲設定部314は、施療者が「強め」を希望していると判定した場合、図11(a)に示すように、入力された中心位置PMを中心として、予め定められた幅W11によって定められる領域を指圧系の手技の移動範囲E11として設定すると共に、中心位置PMから予め定められた値αを差し引いた第1の位置P1側の位置PM1を求め、求めた位置PM1を中心として予め定められた幅W12によって定められる領域をリンパ系の手技の移動範囲E12として設定する。なお、移動範囲E11及びE12の下限の位置が第1の位置P1を下回る場合、第1の位置P1が移動範囲E11及びE12の下限の位置となり、移動範囲E11及びE12の上限の位置が第10の位置P10を超える場合、第10の位置P10が移動範囲E11及びE12の上限の位置となる。
【0078】
また、値αとしては、指圧系の手技とリンパ系の手技とにおいて指圧の強度にコントラストが表れるような値が好ましく、例えば強弱調整範囲E2の半分の値(=5)以上の値を採用することができる。
【0079】
一方、移動範囲設定部314は、施療者が「弱め」を希望していると判定した場合、図11(b)に示すように、入力された中心位置PMを中心として、予め定められた幅W11によって定められる領域を指圧系の手技の移動範囲E11として設定すると共に、中心位置PMから予め定められた値βを差し引いた第1の位置P1側の位置PM1を求め、求めた位置PM1を中心として予め定められた幅W12によって定められる領域をリンパ系の手技の移動範囲E12として設定する。なお、移動範囲E11及びE12の下限の位置が第1の位置P1を下回る場合、第1の位置P1が移動範囲E11及びE12の下限の位置となり、移動範囲E11及びE12の上限の位置が第10の位置P10を超える場合、第10の位置P10が移動範囲E11及びE12の上限の位置となる。また、値βとしては、指圧系の手技とリンパ系の手技とにおいて指圧の強度にコントラストが表れないような値が好ましく、例えば強弱調整範囲E2の半分の値(=5)未満の値を採用することができる。
【0080】
動作駆動制御部312は、コース設定部313により全身自動コースが設定されている場合、設定されたコースに含まれる指圧系の手技に関しては、デフォルトの移動範囲E1が移動範囲設定部314により設定された移動範囲E11となるように、また、リンパ系の手技に関しては、デフォルトの移動範囲E11が移動範囲設定部314により設定された移動範囲E11となるように施療子22の動作パターンを修正する。なお、指圧系の手技としては、主に施療者をたたくような動作パターンの手技が該当し、リンパ系の手技としては、主に施療者をさするような動作パターンの手技が該当し、予め手技毎に定められている。
【0081】
以上説明したように実施の形態2によるマッサージ機によれば、施療者が指圧の強度として「強め」を希望する場合は、指圧系の手技とリンパ系の手技との間で強度にコントラストが表れるように、指圧系の手技の移動範囲E11が強い側に設定され、リンパ系の手技の移動範囲E12が弱い側に設定されるため、施療者はより強い強度で指圧されたと感じることとなり、施療者の希望に応じることができる。
【0082】
また、施療者が指圧の強度として「弱め」を希望する場合は、指圧系の手技とリンパ系の手技との間で強度にコントラストが表れないように、指圧系の手技の移動範囲E11及びリンパ系の手技の移動範囲E12が設定されるため、施療者はより弱い強度で指圧されたと感じることとなり、施療者の希望に応じることができる。
【0083】
(実施の形態3)
次に実施の形態3によるマッサージ機について説明する。実施の形態3によるマッサージ機は施療者の体圧に応じて、移動範囲E1を設定することを特徴とする。なお、実施の形態2によるマッサージ機の外観構成図、操作部4の外観構成図、マッサージ部21の外観構成図、及び電気的な構成を示すブロック図は、実施の形態1のマッサージ機と同一であるため、図1〜図4を用いる。
【0084】
図12は、実施の形態3によるマッサージ機の動作を示すフローチャートである。なお、図12に示すフローチャートが実行される前に、施療者により全身自動コースを設定するための操作指令が入力され、コース設定部313は全身自動コースを設定しているものとする。ステップS11において、センシング部315は、全身自動コースの開始に先立って、マッサージ部300に施療子22を下端位置U1から上端位置U2まで移動させ、幅センサ301、上下センサ302、及び強弱センサ303による検出結果から施療者の体型に関する情報を取得すると共に、所定の位置で施療子22に施療者をたたく動作を実行させ、圧力センサ307により得られる測定結果から施療者の体圧を取得するセンシング処理を実行する。
【0085】
次に、ステップS12において、移動範囲設定部314は、ステップS11で取得された施療者の体圧から施療範囲を設定する。図13は、記憶部319が記憶している移動範囲テーブルを示している。また、図14は、移動範囲E1の説明図である。なお、図13に示すA1〜A6の値は添え字が大きくになるにつれて各値が大きくなっている。図13に示すように移動範囲テーブルは、「体圧」、「最小位置」、及び「最大位置」の欄を備え、「体圧」の欄には、体圧の範囲が記載され、「最小位置」及び「最大位置」の欄には、各体圧の範囲に対する移動範囲E1の最小位置及び最大位置が記載されている。
【0086】
図13に示す移動範囲テーブルにおいては、「体圧」の欄には、「A1〜A2」、「A2〜A3」、「A3〜A4」、「A4〜A5」、及び「A5〜A6」の5段階の体圧の範囲が記載されている。そして、「A1〜A2」の体圧の範囲に対しては、最小位置及び最大位置として「1」及び「3」が記載され、「A2〜A3」の体圧の範囲に対しては、最小位置及び最大位置として「1」及び「5」が記載され、「A3〜A4」の体圧の範囲に対しては、最小位置及び最大位置として「2」及び「7」が記載され、「A4〜A5」の体圧の範囲に対しては、最小位置及び最大位置として「3」及び「9」が記載され、「A5〜A6」の体圧の範囲に対しては、最小位置及び最大位置として「4」及び「10」が記載されている。
【0087】
従って、図13及び図14に示すように、移動範囲設定部314は、センシング部315により取得された体圧が、A1以上、A2未満の範囲内に存在する場合は、第1の位置P1〜第3の位置P3で規定される領域を移動範囲E1として設定し、体圧が、A2以上、A3未満の範囲内に存在する場合は、第1の位置P1〜第5の位置P5で規定される領域を移動範囲E1として設定し、体圧が、A3以上、A4未満の範囲内に存在する場合は、第2の位置P2〜第7の位置P7で規定される領域を移動範囲E1として設定し、体圧が、A4以上、A5未満の範囲内に存在する場合は、第3の位置P3〜第9の位置P9で規定される領域を移動範囲E1として設定し、体圧が、A5以上、A6以下の範囲内に存在する場合は、第4の位置P4〜第10の位置P10で規定される領域を移動範囲E1として設定する。すなわち、移動範囲設定部314は、施療者の体圧が大きくなるにつれて、施療の強度が強くなるように移動範囲E1を設定し、施療者の体圧が小さくなるにつれて、施療の強度が弱くなるように移動範囲E1を設定する。
【0088】
図12に示すステップS13において、動作駆動制御部312は、設定された全身自動コースにおいて予め定められた施療シーケンスに従って、マッサージ部300に施療子22を駆動させ、施療を開始する。
【0089】
次に、ステップS14において、施療者により「切/入」ボタン41が押される、又は全身自動コースの終了時間に到達すると(ステップS14でYES)、動作駆動制御部312は施療子22の動作を停止し、移動範囲設定部314は、設定した移動範囲E1を、施療者を特定するための施療者情報と関連付けて、記憶部319に記憶し、ユーザ登録処理を実行する(ステップS15)。なお、ユーザ登録処理の詳細は、図10のステップS8と同様であるため、説明を省略する。
【0090】
以上説明したように、実施の形態3によるマッサージ機によれば、施療者の体圧に応じた移動範囲E1を設定することが可能となり、施療者の好みに応じた強さで施療者を指圧することが可能となる。
【0091】
なお、実施の形態3において、センシング部315は、まず、所定の位置で施療子22に施療者をたたく動作を行わせて施療者の体圧を調整前の体圧として取得し、施療子22に施療者をたたく動作を行わせつつ、施療者に強弱ボタン49を操作させて指圧の強度を調整させ、好みの強度を設定させ、施療者により設定された好みの強度で施療者をたたいたときの施療者の体圧である調整後の体圧を取得する。そして、移動範囲設定部314は、取得した調整後の体圧から調整前の体圧を差し引いた値に従って移動範囲E1を設定してもよい。これにより誤差が相殺され、体圧を精度良く測定することができる。例えば調整後の体圧が2.0であり調整前の体圧が1.0であったとすると、差分は1.0であり調整後の体圧が強くなっているため、移動範囲を強めに設定してもよい。また、移動範囲設定部314は、調整後の体圧に従って移動範囲E1を設定してもよい。
【0092】
また、センシング部315は、全身自動コースによる施療を実行している間に、施療者の体圧を取得するためのセンシングを複数回行い、センシングを行う毎に移動範囲E1を再設定してもよい。なお、移動範囲設定部314は、施療開始から一定時間が経過する毎にセンシングを実行してもよいし、所定の手技を実行し、次の手技を開始するまでの間にセンシングを実行してもよい。
【0093】
また、センシング部315は、首、肩、背、腰といった施療者の部位毎の体圧を測定し、移動範囲設定部314は、部位毎に移動範囲E1を設定してもよい。この場合、動作駆動制御部312は、首を指圧する手技に対しては、首に対して設定された移動範囲E1内に収まるように施療子22の動作パターンを修正し、肩を指圧する手技に対しては、肩に対して設定された移動範囲E1内に収まるように施療子22の動作パターンを修正し、背を指圧する手技に対しては、背に対して設定された移動範囲E1内に収まるように施療子22の動作パターンを修正し、腰を指圧する手技に対しては、腰に対して設定された移動範囲E1内に収まるように施療子22の動作パターンを修正すればよい。
【0094】
また、移動範囲設定部314は、図13に示す移動範囲テーブルに従って、移動範囲E1を設定したが、これに限定されず、体圧に応じて移動範囲E1を定めるための所定の関数を用いて、移動範囲E1を設定してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の実施の形態1によるマッサージ機の外観構成図を示している。
【図2】操作部の外観構成図を示している。
【図3】マッサージ部の外観構成図を示している。
【図4】本マッサージ機の電気的な構成を示すブロック図である。
【図5】移動範囲の説明図である。
【図6】第1の入力手法の説明図である。
【図7】第2の入力手法の説明図である。
【図8】第3の入力手法の説明図である。
【図9】第4の入力手法の説明図である。
【図10】全身自動コースを実行する際の本マッサージ機の動作を示すフローチャートである。
【図11】本マッサージ機における入力手法の説明図であり、(a)は施療者が指圧の強度として「強め」を希望する場合を示し、(b)は施療者が指圧の強度として「弱め」を希望する場合を示している。
【図12】実施の形態3によるマッサージ機の動作を示すフローチャートである。
【図13】記憶部が記憶している移動範囲テーブルを示している。
【図14】移動範囲の説明図である。
【符号の説明】
【0096】
300 マッサージ部
301 幅センサ
302 上下センサ
303 強弱センサ
304 幅駆動部
305 上下駆動部
306 強弱駆動部
307 圧力センサ
310 制御部
312 動作駆動制御部
313 コース設定部
314 移動範囲設定部
315 センシング部
319 記憶部
320 操作部
E1,E11,E12 移動範囲
E2 強弱調整範囲
P1〜P10 第1の位置〜第10の位置
PM 中心位置
PMAX 最大位置
PMIN 最小位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
背もたれ部に配設された施療子が、3次元的に移動することで所定の手技を前記背もたれ部の任意の位置で行うマッサージ機であって、
前記背もたれ部において施療者と当接する背もたれ面に直交する前後方向の施療子の移動範囲を示す調整範囲の中から施療者に応じた施療子の移動範囲を設定する設定手段と、
前記手技に対して予め定められた動作パターンの前後方向における移動範囲が、前記設定手段により設定された移動範囲内に収まるように前記施療子を駆動する駆動手段とを備えることを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
施療者の操作指令を受け付ける操作手段を更に備え、
前記設定手段は、施療者の操作指令に従って前記移動範囲を設定することを特徴とする請求項1記載のマッサージ機。
【請求項3】
前記操作手段は、前記調整範囲上における前記移動範囲の中心位置及び前記調整範囲上における前記移動範囲の幅の少なくとも一方を指定するための操作指令を受け付けることを特徴とする請求項2記載のマッサージ機。
【請求項4】
前記操作手段は、前記調整範囲上における前記移動範囲の最大位置及び最小位置の少なくともいずれか一方を指定するための操作指令を受け付けることを特徴とする請求項2記載のマッサージ機。
【請求項5】
前記駆動手段は、複数の手技が所定の順序で実行されるように前記施療子を駆動するものであり、各手技に対して予め定められた動作パターンの前後方向の移動範囲が、前記設定手段により設定された移動範囲内に収まるように前記施療子を駆動することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のマッサージ機。
【請求項6】
施療者の体圧を検出するセンシング手段を更に備え、
前記設定手段は、前記センシング手段により検出された施療者の体圧に応じて前記移動範囲を設定することを特徴とする請求項1記載のマッサージ機。
【請求項7】
前記駆動手段は、複数の手技が所定の順序で実行されるように前記施療子を駆動するものであり、
前記センシング手段は、前記駆動手段により施療者が施療されている間に1又は複数回センシングを実行し、
前記設定手段は、前記センシング手段がセンシングを実行する毎に前記移動範囲を設定することを特徴とする請求項6記載のマッサージ機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2008−178634(P2008−178634A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−16101(P2007−16101)
【出願日】平成19年1月26日(2007.1.26)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】