説明

マッサージ機

【課題】人体の背面各部へのマッサージを更に効果的なものとする。
【解決手段】被施療者の前面側を支持する支持体1と、支持体後方に配設されて被施療者の背面を施療子28でマッサージする施療手段2とからなる。上記支持体で支持された被施療者の身体外形状を計測する外形状計測手段3を備え、上記施療手段は上記外形状計測手段から得られた身体外形状データに基づいて施療子の動作を規定する制御部を備える。外形状測定手段で得られた身体外形状データに基づいてマッサージの範囲やマッサージの際の施療子の動きを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マッサージ機、殊に人体背面に対してマッサージを行うマッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から椅子の背もたれ内にマッサージ機構を配して、背もたれに接している人体背面に対してマッサージを行うマッサージ機が各種提供されている。
【0003】
この形態のマッサージ機では、背もたれに設けた開口部にマッサージ用の施療子を位置させて、背もたれの周囲枠部で支えている上半身の背面に上記施療子でマッサージを行うものであり、この場合、人体に対する施療子による施療範囲(殊に幅方向)を広くするには開口部を広げることになり、背もたれで人体背面を支えることができなくなるために、施療子による施療範囲がどうしても狭くなり、施療部位としてニーズの高い肩外部近傍(肩甲骨外側)等の施療は事実上できない。
【0004】
また、施療子による人体背面に対する施療は、人体背面を背もたれ前面から浮かせる方向に働くことから人体の体重が加わるために得てして過剰な力が人体背面に加えられてしまいやすく、しかも施療子を後退させてもこの動きに伴って人体は上記開口部に沈むために、人体背面に加える力を十分に除減することができない。また、人体背面に加えられる力は、背もたれの後傾角度や被施療者の体重によって変化することになり、これは施療子を駆動するという点からすれば、背もたれ前面側への施療子の突出量を正確に制御しても、人体に加えられる力は一定ではないということになる。このために、施療子が人体背面を押圧する力を正確に且つ適切にコントロールすることが難しい。
【0005】
このために本出願人は、特許文献1に示されたマッサージ機を提案した。身体の前面を支持した状態で身体背面に施療子をマッサージを行うこのマッサージ機では、身体背面の全面が開放された状態にあるために肩外部へのマッサージも可能であり、しかも施療子に身体の体重が作用することがない上に施療子が人体背面に加える力は体重の影響を受けることなく人体に加えられるために、人体背面を押圧する力を正確に且つ適切にコントロールすることができる。
【0006】
しかしながら、人体の背面の大きさや形状は個人差があることから、人体の背面の各部をその部位に応じた適切な力で押圧することができるとは限らない。また、人体背面ではその部位によって筋繊維の向きが異なっているとともに、マッサージにおいては筋繊維の向きに応じた方向(ここでの方向は体表面に沿った方向)に力を加えることが好ましいのであるが、現状のマッサージ機は全て予め定められた方向の力しか加えることができないために、常に効果的なマッサージを得られるものとはなっていない。
【0007】
なお、人体の個人差に対応するために、肩の位置(高さ)を検出することができるものは従来から提供されているが、肩幅等の検出機能はないことから、肩外部などを適切に認識できるものではない。
【特許文献1】特開2007−209404号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、上記特許文献1に示されたものにおいて、人体の背面各部へのマッサージを更に効果的なものとすることができるマッサージ機を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明に係るマッサージ機は、被施療者の前面側を支持する支持体と、支持体後方に配設されて被施療者の背面を施療子でマッサージする施療手段とからなるとともに、上記支持体で支持された被施療者の身体外形状を計測する外形状計測手段を備えて、上記施療手段は上記外形状計測手段から得られた身体外形状データに基づいて施療子の動作を規定する制御部を備えていることに特徴を備えている。
【0010】
外形状測定手段で得られた身体外形状データに基づいてマッサージの範囲やマッサージの際の施療子の動きを制御するようにしたものである。
【0011】
上記外形状計測手段は、上記支持体で支持された被施療者の身体背面までの距離を求める距離算出部を備えており、上記制御部は距離算出部で得られた距離に基づいて施療子の動作を制御しているものであれば、施療子が人体に接触する位置を予め知ることができるために施療子の動作を迅速なものとすることができる。
【0012】
上記制御部は、身体外形状データから抽出した複数の特徴点間の距離と予め与えられた筋繊維方向情報とに基づいて人体背面を複数のセグメントに分割して各セグメント毎に施療子の動作方向を制御するものであると、最も好ましいとされるマッサージを人体背面の各部に対して行うことができる。
【0013】
上記施療子にかかる力を検出する力センサを備えて、上記制御部は力センサの出力を基に人体に加える力のフィードバック制御を行うものであれば、過負荷を人体に与えてしまうことがないマッサージを行うことができる。
【0014】
また、上記力センサは、施療手段において施療子を動かすことができる3軸方向と一致した3軸方向の力を検出することができるものが好ましい。
【0015】
そして制御部は力センサで検出された力が予め定めた閾値を越える時、その力の方向と一致する方向の施療子の動きを抑えるものであると、人体に対するマッサージをより細やかに且つ適切に行うことができる。
【0016】
制御部は、力センサから得られる3軸方向の力のうち、施療子が人体を押し込む方向と直交する2軸方向の力から人体の筋繊維方向を求める演算部を備えているものであってもよい。人体の筋繊維方向を的確に認識してより効果的なマッサージを行うことができる。
【0017】
そして、制御部は施療子で被施療者を押圧するにあたり、被施療者の体表面に沿った方向で且つ演算部で得た筋繊維方向と直交する方向に施療子を往復動させるものであると、最も好ましいとされるマッサージを確実に得ることができる。
【0018】
さらに上記施療子は拇指を模した形状のものであるとともに、その長手方向を筋繊維方向と直交する方向に合致させるための回転駆動部を備えていると、施療子が筋繊維に与える力をより局部的にコントロールすることができる。
【0019】
また、上記支持体及び施療手段は、これらを囲むボックスルームで形成された閉空間内に設置されていると、外形状測定手段による身体外形状の測定を外乱光などに影響されることなく的確に行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、支持体によって前面側が支持されている被施療者の身体外形状を計測する外形状計測手段を備えたものであり、この場合、被施療者の背面は支持体で覆われていることがないために、その外形状を的確に測定することができ、従って得られた身体外形状データに基づいてマッサージの範囲やマッサージの際の施療子の動きを施療手段の制御部が制御する時、人体の背面各部へのマッサージをきわめて効果的なものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明すると、図示例のマッサージ機は、前記特許文献1で示されたものと同様に、人体を前傾着座状態で支持する支持体1と、この支持体1の後方に設置された施療手段2とから構成されるもので、上記支持体1は、着座部10と、人体の胸部前面を支える胸部支持部11と、人体の頭部前面側を支える頭部支持部12と、膝を載せるための膝当て部13と、上腕を載せるための上腕置き部14とを備えたものとして構成されており、上記頭部支持部12は呼吸を妨げることがないように抜き孔が中央に設けられている。そして、この支持体1においては、被施療者が着座部10に座るとともに胸部支持部11に胸を当て、更に頭部支持部12に顔を当てれば、被施療者は前傾姿勢を保った状態で支持体1に支持される。
【0022】
上記支持体1の後方側に設置された施療手段2は、矩形枠として組まれたフレーム20内に、ねじ軸である上下駆動軸21と左右一対の上下ガイド軸22,22とを配置し、上記上下駆動軸21に螺合する送りナット23と上記上下ガイド軸22にスライド自在に係合する軸受24とを可動プレート25に設けて、上下駆動軸21の回転で可動プレート25が上下に移動するものとし、更に可動プレート25に一対の左右駆動ユニット26,26と、これら左右駆動ユニット26で夫々左右方向に駆動されるアクチュエータ27,27とを配したもので、左右駆動ユニット26は上記上下駆動構成と同じくねじ軸の回転駆動でアクチュエータ27を左右方向に移動させるものとなっている。
【0023】
上記アクチュエータ27は前後方向の直線運動を行うもので、その先端には人体の拇指を模した施療子28が取り付けられている。
【0024】
図中29aは上下駆動軸の回転駆動用のモータ、29bは左右駆動ユニット26における前記ねじ軸の回転駆動用のモータである。なお、左右一対で設けられた左右駆動ユニット26,26は、個別に回転駆動用のモータ29bを備えることから、各アクチュエータ27,27が備える施療子28,28の左右方向位置は個別に制御できるものとなっている。図1中のCはアクチュエータ(出退駆動源)27とモータ(上下駆動源・幅駆動源)29a,29bの動作を制御して上記マッサージ動作を行わせる制御部である。
【0025】
該施療手段2では、上下左右にアクチュエータ27(施療子28)の位置を変更することができるものであり、またアクチュエータ27による駆動とこれら上下左右の駆動とを組み合わせることで、施療子28に揉みマッサージ等のための三次元的軌跡を描く動きを行わせることができる。
【0026】
そしてこの施療手段2は、支持体1の前傾角度に合わせた前傾角度を持つ状態でフレーム20が固定されていることから、上記施療子28は支持体1に前傾状態で支持された被施療者の背面に正対する。この状態でアクチュエータ27を駆動すれば、施療子28は人体の背面に圧力を加えるものであり、この時、被施療者はその胸部前面が胸部支持部11によって支えられているために、上記圧力が大きくなっても人体が施療子28から逃げてしまうようなことがなく、このために施療子28から人体に加えられた圧力も逃げてしまうことはない。しかも被施療者にしてみれば、支持体1によって支持されることで前傾姿勢を保つために、うつぶせになる場合に比して、はるかにリラックスした状態でいられるものであり、特に被施療者が肥満傾向にあっても、体重は主として着座部10によって支えられるために、胸部支持部11からマッサージの際の圧力の反力がかかるとはいえ、自身の体重に起因する圧迫感や息苦しさを感ずるようなことはない。これ故に施療子28によるマッサージ効果をきわめて高いものとすることができる。
【0027】
また、被施療者の体重が施療子28側にかかることはないために、アクチュエータ27の駆動によって施療子28から人体に加える圧力は施療子28の前方側への突出量に応じたものとなるために、上記圧力の制御は容易である。
【0028】
しかも人体の支持は支持部1で行うために、施療手段2側には人体の支持に関する部材を全く必要とせず、これ故に左右駆動ユニット26による施療子28の左右位置変更は、人体の左右方向の幅一杯としても何ら問題はなく、従って施療範囲をきわめて広くとることができる。
【0029】
そして、上記マッサージ機においては、施療子28を前進させることで指圧動作を行うにあたり、前述のように上下左右の動きを組み合わせることができるために、人体の体表面と直交する方向(押し込む方向)に施療子28を動かすだけでなく、上下左右の動きを組み合わせて人体表面に沿った方向に施療子28をずらしながら押し込むことも行えるものとなっている。これは、最も効果的であるマッサージ、すなわち人体の体表面に沿った方向で且つ筋繊維と直交する方向に力を加えながら押し込むという動作を行うことができることを意味する。
【0030】
この特徴を最大限に生かすために、本発明においては身体外形状を計測する外形状計測手段3を備えている。図示例における外形状計測手段3は、左右一対の撮像部30,30と、これら撮像部30,30で得られた画像からエッジデータE(図3参照)を抽出することで外形状データを求めるとともに、得られた外形状データから更に予め定めた特徴点の間の距離(例えば図3に示すように首幅L1、肩幅L2、座面から肩までの距離L3、座面から首根までの距離L4等)を求める画像処理部31とからなるもので、該画像処理部31としては、上記2つの撮像部30,30で得た2つの画像がステレオ画像となることを利用して、身体背面の各部までの距離も求めるものを好適に用いることができる。
【0031】
上記外形状計測手段3から得られた外形状データや特徴点間距離、身体背面の各部までの距離などの情報は、前記制御部Cに送られるとともに記憶部Mに記憶され、制御部Cはこの外形状データを基に施療子28によるマッサージ範囲を規定し、この範囲内で施療子28を動かしてマッサージを行う。
【0032】
また、上記制御部Cでは、上記マッサージ範囲内を図4に示すように更にいくつかのセグメントに分割する処理を行う。ここでは上腕三頭筋が主として存在するセグメントS1、広背筋が主として存在するセグメントS2、僧帽筋が種として存在するセグメントS3、そして肩甲挙筋が種として存在するセグメントS4に分割している。
【0033】
なお、この分割処理は、例えば図5(a)に示す最大首幅L1の実測値と、肩甲骨下点幅L5の実測値とは図5(b)に示すように、きわめて高い相関を持っていることが検証されており、上記外形状データと上記特徴点間距離のデータがあれば、上記の各筋繊維が存在しているエリア(セグメント)を容易に推定することができる。
【0034】
ここにおいて、人体表面に対して垂直な方向に力を加えつつ筋繊維方向に垂直方向(で且つ体表面に沿った方向)に筋繊維方向を引っ張る動作が理想的なマッサージと言われており、実際にも施療効果だけでなく官能的にも好ましいものとなっている。従って、上記のようなセグメントS1〜S4に分割すれば、これらの各セグメントS1〜S4内では夫々筋繊維方向がほぼ同じであるために、そして各セグメントS1内での筋繊維方向は既知であるために、セグメントS1〜S4毎に施療子28を動かす方向をコントロールすることで上記の理想的なマッサージを得ることができる。
【0035】
つまり、上記制御部Cは、施療子28が当接してマッサージしている部位がどのセグメントS1〜S4に位置しているかによって、施療子28を人体背面に押し込む方向に駆動しつつそのセグメントS1〜S4での筋繊維方向と直交する方向に施療子28を上下左右にずらすことで、上記の理想的なマッサージを得るものである。
【0036】
また、ここでは上記施療子38として、図6にも示すように、施療子28にかかる力を検出することができる力センサSCを備えたものを用いている。図中51はベース、52はフロート部、53はカバーである。
【0037】
このマッサージ機では人体が支持体1によって支持されており、施療手段2における施療子28に人体の体重が加わるものではないために、上記力センサSCで検出される力は、施療子28が人体に加えている力の反力そのものであり、このために力センサSCでの検出値をフィードバックするだけで、予め定めた力を施療子28によって人体に加えるということをきわめて正確に行うことができるものである。図7にこの動作のフローチャートを示す。
【0038】
また、検出された力が閾値を越えた時、施療子28を後退させればこの後退は即座に人体に加えられる力に反映されて閾値以下のものとなるために、過剰な圧力が人体に加えられた状態が続くということもない。
【0039】
ここで、前記外形状計測手段3から身体背面の各部までの距離も得ている時には、人体背面に施療子28を前進させる時、人体背面に施療子28が接触する位置を事前に知ることができるものであり、接触する直前位置までは力センサSCの出力を参照しなくても施療子28を前進させることができるために、駆動系の処理負担が軽減されるものとなる上に、力と距離の双方で身体への押圧状態を判断することになるために、安全性も向上する。
【0040】
なお、力センサSCとしては3軸方向の力Fx,Fy,Fzを検出することができるとともに、施療子28の動きの3軸方向X,Y,Zと上記力Fx,Fy,Fzの方向とを一致させたものを用いるのが好ましい。押し込み方向の力Fzと上下左右の動きによる力Fx,Fyとを図8に変化させつつマッサージしているとともに、力Fzの最大値を徐々に高くしていく時、図8に示すように、該力Fzが閾値を越えたなら施療子28を即座に後退させることで過負荷状態が直ちに解消される。
【0041】
また、上下左右方向の力Fx,Fyが図9に示すように閾値を越えることがあれば、これは施療子28が例えば肩甲骨等に当たったことを意味するために、たとえば図10に示すように円を描く軌跡T1の上下左右の動きを施療子28に与えている時、閾値を越えてしまった方向(図示例ではX方向)の変位量を小さく抑えて、施療子28の動作軌跡を修正(図中T2が修正後の軌跡)することで、各部位に対して更に適切なマッサージを行うことができる。
【0042】
また、上記閾値を越えてしまう位置をプロットすれば、たとえば肩甲骨の縁がどの位置にあるのかを測定したことになる。このために、該マッサージ機は施療子28によってマッサージすべき位置(いわゆるツボの存在位置)がどこにあるのかをより的確に判断してマッサージしたり、例えば施療子28が肩甲骨の裏側に潜り込むような押し込み動作を行わせることも可能である。
【0043】
ところで、マッサージに際しての施療子28のX,Y方向の動き成分は、前述の画像データを基にしたセグメントS1〜S4分けに応じて決定しているが、筋繊維の方向を上記力センサSCの出力を基に判断するようにしてもよい。
【0044】
今、ある部位下に存在する筋繊維の方向をXo、これと直交する方向をYoとする時、図11に示すように、施療子28をYo方向に動かす時の力センサSCによるFx,Fyの出力はXo方向の力成分値に対してYo方向の力成分値の方が十分大きくなる。これに対して、Yo方向から角度θだけずれた方向Y1に施療子29を動かした時には、図12に示すように力センサSCによるFx,Fyの出力はXo方向の力成分値とYo方向の力成分値とが接近したものとなる。この時、上記θの値は、閾値をεとする時、次の式
θ=tan-1(Fx/Fy)≪ε
θ=tan-1(Fx/Fy)>ε
で導くことができる。ただし、上記式中のFx,Fyは夫々平均値(図11及び図12中のFxa,FyA)である。
【0045】
筋繊維方向XoをFx,Fyの値から算出することができるわけであり、この算出結果に基づいて施療子28を動かす方向を規定することで、好ましいとされているマッサージをより正確に行うことができるものである。
【0046】
この時、筋繊維方向Xoと垂直なYo方向において施療子28を往復動させることになるが、ずれ角θをゼロとするために与えるべき巾方向X及び上下方向Yの駆動指令値Vx,Vyは次の式
【0047】
【数1】

【0048】
で導くことができる。
【0049】
さらに、施療子28が図示例のように拇指形状を模したもの、つまり人体との接触面が楕円形をなすような形状のものである場合、楕円形の短軸方向が筋繊維方向と一致し、長軸方向が筋繊維方向と直交する方向となるようにして、筋繊維と直交する方向に動かすことが、施術師が行う施療を忠実に再現するものとなる。
【0050】
このために、図13に示すように、施療子28としてZ軸回りに回転させることができるものを用いて、施療対象となっているところの筋繊維方向と直交する方向(施療子28を往復動させる方向)に施療子28の上記長軸方向が一致するように施療子28を回転させてマッサージを行うと、更に好ましいマッサージ効果を得ることができる。図13中の54は回転駆動部、55は回転角検出部である。
【0051】
なお、このマッサージ機は、肩の上面に対するマッサージも可能なものであり、この場合、押し込む方向は上下方向Zとなり、筋繊維方向と直交する方向は前後方向Zとなるために、施療子28を体表面に沿って動かす方向も押し込み方向の変化に応じたものとする。
【0052】
ところで、身体外形状を計測する外形状計測手段3として、図示例のように撮像部30を用いた場合、衣服を着た状態の被施療者の背面の外形状データを得るにあたり、エッジデータが抽出しにくい場合が存在する。このために上記マッサージ機は、図14に示すように遮光性部材からなるとともに内部に閉空間を形成するボックスルーム6内に設置するのが好ましい。そしてボックスルーム6内には照度調整可能な照明器具を設定することで、外乱光の影響を受けることなくエッジ画像の抽出を行うことができる上に、衣服と壁面との色に差がなくても、明度差を大きくすることができるためにエッジ画像の抽出が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施の形態の一例の斜視図である。
【図2】同上の施療手段の分解斜視図である。
【図3】同上の外形状測定手段の動作の説明図である。
【図4】同上のセグメントについての説明図である。
【図5】(a)は最大首幅と肩甲骨下点幅の説明図、(b)はこの両者の相関を示す説明図である。
【図6】(a)は施療子部分の分解斜視図、(b)は断面図である。
【図7】動作を示すフローチャートである。
【図8】同上の動作を検出圧力値で示すタイムチャートである。
【図9】同上の他の動作を検出圧力値で示すタイムチャートである。
【図10】同上の軌跡修正に関する動作の説明図である。
【図11】(a)は筋繊維方向と施療子を動かしている方向の説明図、(b)は理想方向に施療子を動かしている時のタイムチャートである。
【図12】(a)は筋繊維方向と施療子を動かしている方向の説明図、(b)はずれた方向に施療子を動かしている時のタイムチャートである。
【図13】施療子の他例を示す斜視図である。
【図14】別の例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0054】
1 支持体
2 施療手段
3 外形状測定手段
28 施療子
C 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施療者の前面側を支持する支持体と、支持体後方に配設されて被施療者の背面を施療子でマッサージする施療手段とからなるとともに、上記支持体で支持された被施療者の身体外形状を計測する外形状計測手段を備えて、上記施療手段は上記外形状計測手段から得られた身体外形状データに基づいて施療子の動作を規定する制御部を備えていることを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
上記外形状計測手段は、上記支持体で支持された被施療者の身体背面までの距離を求める距離算出部を備えており、上記制御部は距離算出部で得られた距離に基づいて施療子の動作を制御していることを特徴とする請求項1記載のマッサージ機。
【請求項3】
上記制御部は、身体外形状データから抽出した複数の特徴点間の距離と予め与えられた筋繊維方向情報とに基づいて人体背面を複数のセグメントに分割して各セグメント毎に施療子の動作方向を制御するものであることを特徴とする請求項1または2記載のマッサージ機。
【請求項4】
上記施療子にかかる力を検出する力センサを備えて、上記制御部は力センサの出力を基に人体に加える力のフィードバック制御を行うものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のマッサージ機。
【請求項5】
上記力センサは、施療手段において施療子を動かすことができる3軸方向と一致した3軸方向の力を検出することができるものであることを特徴とする請求項4記載のマッサージ機。
【請求項6】
制御部は力センサで検出された力が予め定めた閾値を越える時、その力の方向と一致する方向の施療子の動きを抑えるものであることを特徴とする請求項5記載のマッサージ機。
【請求項7】
制御部は、力センサから得られる3軸方向の力のうち、施療子が人体を押し込む方向と直交する2軸方向の力から人体の筋繊維方向を求める演算部を備えていることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載のマッサージ機。
【請求項8】
制御部は施療子で被施療者を押圧するにあたり、被施療者の体表面に沿った方向で且つ演算部で得た筋繊維方向と直交する方向に施療子を往復動させるものであることを特徴とする請求項7記載のマッサージ機。
【請求項9】
上記施療子は拇指を模した形状のものであるとともに、その長手方向を筋繊維方向と直交する方向に合致させるための回転駆動部を備えていることを特徴とする請求項3または8記載のマッサージ機。
【請求項10】
上記支持体及び施療手段は、これらを囲むボックスルームで形成された閉空間内に設置されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のマッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−160175(P2009−160175A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−341335(P2007−341335)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】