説明

マッサージ機

【課題】 横向き状態の被施療者に対する体側部へのマッサージを安全且つ効果的に実行でき、被施療者におけるマッサージ対象範囲を拡大して使い勝手を向上させられるマッサージ機を提供する。
【解決手段】 制御部が横向きでの使用を被施療者から直接指示されるか、被施療者の横向き姿勢を検出すると、一対の揉み玉51、52の間隔調整範囲を適切な範囲に制限して、横向きの被施療者が揉み玉51、52間に入り込む危険のない状態を確保することから、被施療者が揉み玉51、52による圧迫等を受ける危険な状態を確実に防止して、安全に被施療者の体側部に対し揉み玉51、52による刺激を与えることができ、マッサージの対象範囲を拡大して、被施療者に対するマッサージ効果を高められる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、背もたれ部に対し横向きの姿勢となった被施療者にも対応できるマッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
被施療者の身体を支持しながらマッサージ動作を実行する椅子式のマッサージ機は、背もたれ部や座部における施療機構による背中や腰へのマッサージにとどまらず、脚、さらに上腕部に対するマッサージも行えるものが近年一般的になりつつある。こうした上腕部等にもマッサージ可能な従来のマッサージ機の一例として、特開2003−325608号公報に開示されるものがある。
この従来のマッサージ機は、複数のエアバッグを同期させて動作させ、上腕部をマッサージする仕組みとなっている。
【特許文献1】特開2003−325608号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のマッサージ機は前記特許文献に示される構成となっており、エアバッグにより上腕部へのマッサージを行う機構を有しているが、上腕部へのマッサージを適切に実行する前提として、被施療者が背もたれ部に正しい姿勢で寄りかかって着座していることを要するものであった。
【0004】
一方、上腕部や肩部等の体側部について、エアバッグの振動や打撃によるマッサージではなく、揉み玉による背中に対するのと同様の比較的強い揉み等の刺激を受けたいという被施療者の要望も少なからず存在している。従来のマッサージ機には、体側部に対しマッサージ動作可能な揉み玉等の施療機構を、背中に対するものと別途に有するものは存在しなかった。しかし、従来のマッサージ機でも、背中用の揉み玉に対し、被施療者が横向きの姿勢をとることで体側部を揉み玉に当てることは可能であった。
【0005】
ただし、従来のマッサージ機では、こうした被施療者が横向きの姿勢をとって体側部を揉み玉に当てるような使用形態は一切考慮されておらず、むしろ被施療者が横向きの姿勢をとるような行為は禁止事項とされることが多かった。このようなマッサージ機の本来想定された使用形態から外れる使用については、安全を確保されていないことも多く、適切な取扱方法を無視してマッサージ機を使用することは被施療者にとっては事故に繋がりやすく危険性が高いという課題を有していた。
【0006】
また、仮に被施療者の側で危険は承知の上で横向き姿勢をとって体側部を揉み玉に当てる使用を続けたとしても、マッサージ機としては、背中に対する動作を実行しているに過ぎず、これは被施療者の横向き姿勢を考慮したものとなっていないことから、対象範囲の広い背中に対するマッサージ動作として揉み玉等の施療機構の移動する範囲は、体側部に対するマッサージ動作としてみた場合は、マッサージ対象範囲を越えて大きく移動する状態となり、対象範囲を外れて移動している期間は無駄な動作となり、横向き姿勢の被施療者が揉み玉等から体側部に効率よくマッサージの刺激を受けることは難しいという課題を有していた。
【0007】
本発明は前記課題を解消するためになされたもので、横向き状態の被施療者に対する体側部へのマッサージを安全且つ効果的に実行でき、被施療者におけるマッサージ対象範囲を拡大して使い勝手を向上させられるマッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るマッサージ機は、少なくとも座部と背もたれ部とを備えると共に、少なくとも左右一対の揉み玉を用いる背もたれ部の施療機構を制御部による制御の下で動作させる椅子式のマッサージ機において、前記制御部が、被施療者からの横向き使用を指示する所定の操作を検出するか、又は所定の検出手段を介して被施療者が背もたれ部に対し横向きになった状態を検出すると、左右の揉み玉の間隔調整範囲を、背もたれ部に対し横向きとなった被施療者が揉み玉間に入り込まない大きさの範囲に制限する制御を実行するものである。
【0009】
このように本発明によれば、制御部が横向きでの使用を被施療者から直接指示されるか、被施療者の横向き姿勢を検出すると、マッサージ中における左右の揉み玉の間隔調整範囲を適切な範囲内に制限して、横向きの被施療者が揉み玉間に入り込む危険のない状態を確保することにより、被施療者が揉み玉による圧迫等を受ける危険な状態を確実に防止して、安全に被施療者の体側部に対し揉み玉による刺激を与えることができ、マッサージの対象範囲を拡大して、被施療者に対するマッサージ効果を高められる。
【0010】
また、本発明に係るマッサージ機は、少なくとも座部と背もたれ部とを備えると共に、少なくとも左右一対の揉み玉を用いる背もたれ部の施療機構を制御部による制御の下で動作させる椅子式のマッサージ機において、前記制御部が、被施療者からの横向き使用を指示する所定の操作を検出するか、又は所定の検出手段を介して被施療者が背もたれ部に対し横向きになった状態を検出すると、左右の揉み玉の間隔を、背もたれ部に対し横向きとなった被施療者が揉み玉間に入り込まない大きさに調整する制御を実行するものである。
【0011】
このように本発明によれば、制御部が横向きでの使用を被施療者から直接指示されるか、被施療者の横向き姿勢を検出すると、一対の揉み玉を適切な間隔に調整して、横向きの被施療者が揉み玉間に入り込む危険のない状態を確保することにより、被施療者が揉み玉による圧迫等を受ける危険な状態を確実に防止して、安全に被施療者の体側部に対し揉み玉による刺激を与えることができ、マッサージの対象範囲を拡大して、被施療者に対するマッサージ効果を高められる。
【0012】
また、本発明に係るマッサージ機は、少なくとも座部と背もたれ部とを備えると共に、少なくとも左右一対の揉み玉を用いる背もたれ部の施療機構を制御部による制御の下で動作させる椅子式のマッサージ機において、前記制御部が、被施療者からの横向き使用を指示する所定の操作を検出するか、又は所定の検出手段を介して被施療者が背もたれ部に対し横向きになった状態を検出すると、前記揉み玉のマッサージ中における上下方向の移動範囲を、横向きの被施療者に対し揉み玉が有効に接触可能な範囲に制限するものである。
【0013】
このように本発明によれば、揉み玉のマッサージ中の上下移動範囲を、被施療者の横向き姿勢に対応して、横向きの場合に体側部と揉み玉が接触しない状態となる不必要な行程分を除いた適切な範囲に設定することにより、被施療者と接触しない揉み玉の無駄な移動時間がなくなる分、被施療者が横向きでマッサージを受ける状態での揉み玉と接しない待ち時間が必要最小限となり、マッサージの間で間延びした感がなく、快適な刺激をほぼ連続して効率よく受けることができ、被施療者の快適感、リラックス感を大きく向上させられる。
【0014】
また、本発明に係るマッサージ機は、少なくとも座部と背もたれ部とを備えると共に、少なくとも左右一対の揉み玉を用いる背もたれ部の施療機構を制御部による制御の下で動作させる椅子式のマッサージ機において、前記制御部が、被施療者からの横向き使用を指示する所定の操作を検出するか、又は所定の検出手段を介して被施療者が背もたれ部に対し横向きになった状態を検出すると、前記背もたれ部のマッサージ中におけるリクライニング角度の調整範囲を、所定の背もたれ部倒れ角以下に制限するものである。
【0015】
このように本発明によれば、横向きの被施療者に対するマッサージ中における背もたれ部のリクライニング角度の調整範囲を、背もたれ部の倒れ角度が大きくなるに伴って体重の影響で増大する被施療者への揉み玉からの施療圧力が過剰にならないよう、所定の背もたれ部倒れ角より大きくしないことにより、横向きの被施療者に対し痛みを感じるような過大な刺激が加わるのを防止でき、適度な刺激を被施療者に付与して心地よさや快適性を維持できると共に、被施療者の角度調整の誤りに伴って強い刺激が加わるような事態も回避でき、常に過剰な痛みの無い安全なマッサージを実行できる。
【0016】
また、本発明に係るマッサージ機は、少なくとも座部と背もたれ部とを備えると共に、少なくとも左右一対の揉み玉を用いる背もたれ部の施療機構を制御部による制御の下で動作させる椅子式のマッサージ機において、前記座部の両側に移動可能に配設されて被施療者の少なくとも前腕部を支持する肘掛部を備え、前記制御部が、被施療者からの横向き使用を指示する所定の操作を検出するか、又は所定の検出手段を介して被施療者が背もたれ部に対し横向きになった状態を検出すると、被施療者の正面側に位置する肘掛部を、被施療者の横向き姿勢の支障とならない位置に移動させる、及び/又は、被施療者の背面側に位置する肘掛部を、被施療者の背中の少なくとも一部を背もたれとして支持可能とする位置に移動させるものである。
【0017】
このように本発明によれば、座部両側に配設した肘掛部を、横向きの被施療者に対応させて、被施療者の邪魔にならない位置や被施療者を支える位置にそれぞれ移動させることにより、被施療者がマッサージ機に対し横向きの姿勢をとりやすく、横向き状態で確実に体側部へのマッサージを受けられると共に、被施療者が肘掛部を支えとして横向き姿勢を維持しやすく、横向き姿勢での体側部へのマッサージをより安定した状態で受けることができ、マッサージ効果を高められると共に、マッサージの間、被施療者が横向きの同じ姿勢を続けても疲労を小さくすることができ、快適性を損わない。
【0018】
また、本発明に係るマッサージ機は必要に応じて、前記背もたれ部に、背中に対する施療機構として少なくとも左右一対の膨縮するエアセルを備え、前記制御部が、揉み玉間隔を調整後又は調整と同時に、横向きとなった被施療者の背中寄りの側に位置するエアセルを膨張させ、当該膨張状態のエアセルで横向きの被施療者を支持するものである。
【0019】
このように本発明によれば、横向きの被施療者に対し、背もたれ部に設けたエアセルのうち被施療者の背中寄りのエアセルを膨張させて、横向き姿勢の被施療者の背中がエアセルで支持される状態とし、被施療者が横向きの姿勢を保ちやすくすることにより、被施療者が体側部へのマッサージを安定した横向きの姿勢で受けることができ、刺激を受けるマッサージ対象箇所がぶれたりせず、マッサージ効果を高められると共に、マッサージの間、被施療者が横向きの同じ姿勢を続けても疲労を小さくすることができ、快適性を損わない。
【0020】
また、本発明に係るマッサージ機は、少なくとも座部と背もたれ部とを備えると共に、所定の施療機構を制御部による制御の下で動作させる椅子式のマッサージ機において、前記座部の両側に手動又は自動で移動可能に配設されて被施療者の少なくとも前腕部を支持する肘掛部を備え、前記制御部が、肘掛部が被施療者の横向き姿勢の支障とならない位置に手動又は自動で動かされた状態を検出すると、前記施療機構を横向きの被施療者に危険を与えない状態に移行させる制御、及び/又は横向きの被施療者を危険に至らしめる施療機構の動作を規制する制御、及び/又は施療機構の可動範囲を横向きの被施療者に対し施療動作可能な範囲に制限する制御を実行するものである。
【0021】
このように本発明によれば、被施療者が横向き姿勢でのマッサージを受けるために、肘掛部を自らの手で横向き姿勢の支障にならない位置へ動かしたり、肘掛部を動かす操作を行って肘掛部を自動的に移動させると、制御部が肘掛部の移動を検出して横向き使用状態への移行指示がなされたと判定し、横向き姿勢の被施療者にとって施療機構を危険のない状態としたり、危険に繋がる動作を規制したり、施療機構の可動範囲を制限することにより、マッサージを受ける被施療者の安全を確保して、横向きの被施療者が危険な状態に陥るのを確実に防止しつつ、体側部に適切で且つ効率の良いマッサージ動作を実行でき、マッサージの対象範囲を拡大して被施療者に対するマッサージ効果を高められる。
【0022】
また、本発明に係るマッサージ機は、少なくとも座部と背もたれ部とを備えると共に、所定の施療機構を制御部による制御の下で動作させる椅子式のマッサージ機において、前記制御部が、所定の検出手段を介して被施療者が背もたれ部に対し横向きになった状態を検出すると、前記施療機構を横向きの被施療者に危険を与えない状態に移行させる制御、及び/又は横向きの被施療者を危険に至らしめる施療機構の動作を規制する制御、及び/又は施療機構の可動範囲を横向きの被施療者に対し施療動作可能な範囲に制限する制御を実行するものである。
【0023】
このように本発明によれば、被施療者が体側部へのマッサージのために横向き姿勢となった状態を制御部が検出すると、横向き姿勢の被施療者にとって施療機構を危険のない状態としたり、その危険に繋がる動作を規制したり、施療機構の可動範囲を制限することにより、マッサージを受ける被施療者の安全を確保して、横向きの被施療者が危険な状態に陥るのを確実に防止しつつ、体側部に適切で且つ効率の良いマッサージ動作を実行でき、マッサージの対象範囲を拡大して被施療者に対するマッサージ効果を高められる。さらに、被施療者は特別な操作無しに姿勢を変えるだけで安全に体側部へのマッサージを受けられ、使い勝手の点でも優れる。
【0024】
また、本発明に係るマッサージ機は、少なくとも座部と背もたれ部とを備えると共に、所定の施療機構を制御部による制御の下で動作させる椅子式のマッサージ機において、前記制御部が、所定の入力手段を介して被施療者からの横向き使用を指示する所定の操作を検出すると、前記施療機構を横向きの被施療者に危険を与えない状態に移行させる制御、及び/又は横向きの被施療者を危険に至らしめる施療機構の動作を規制する制御、及び/又は施療機構の可動範囲を横向きの被施療者に対し施療動作可能な範囲に制限する制御を実行するものである。
【0025】
このように本発明によれば、被施療者が横向き姿勢でのマッサージを受けるために、入力手段への入力操作を行うと、制御部が横向き使用状態への移行指示を受入れ、横向き姿勢の被施療者にとって施療機構を危険のない状態としたり、危険に繋がる動作を規制したり、施療機構の可動範囲を制限することにより、マッサージを受ける被施療者の安全を確保して、横向きの被施療者が危険な状態に陥るのを確実に防止しつつ、体側部に適切で且つ効率の良いマッサージ動作を実行でき、マッサージの対象範囲を拡大して被施療者に対するマッサージ効果を高められる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
(本発明の第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係るマッサージ機を図1ないし図8に基づいて説明する。図1は本実施形態に係るマッサージ機の斜視図、図2は本実施形態に係るマッサージ機における揉み玉間隔調整状態説明図、図3は本実施形態に係るマッサージ機における揉み玉移動範囲調整状態説明図、図4は本実施形態に係るマッサージ機における横向き対応時の背もたれ角度調整状態説明図、図5は本実施形態に係るマッサージ機における横向き対応時の背中用エアセル膨張状態説明図、図6は本実施形態に係るマッサージ機における制御ハードウェアのブロック構成図、図7は本実施形態に係るマッサージ機における制御機能のブロック構成図、図8は本実施形態に係るマッサージ機のマッサージ中における動作フローチャートである。
【0027】
前記各図において本実施形態に係るマッサージ機1は、被施療者を支えつつ内蔵された複数の施療機構でマッサージ動作を実行するマッサージ機本体10と、施療機構によるマッサージ動作を制御する制御部20と、マッサージ動作に係る各種操作入力を受付けるリモコン30とを備える構成である。
【0028】
前記マッサージ機本体10は、着座した被施療者を支える椅子状のものであり、詳細には、床面上に載置されて椅子全体を安定的に支持する基台部11と、この基台部11の上方で被施療者の臀部を支える座部12と、この座部12の後側で被施療者の背中を支える背もたれ部13と、座部12の左右両側で被施療者の肘や前腕部を支える肘掛部14と、座部12の前側で被施療者の脚を支える脚支持部15とを備える構成である。
【0029】
前記基台部11は、椅子各部をなす前記座部12、背もたれ部13、肘掛部14、及び脚支持部15を一体に取付けられてこれらを支持する他、本マッサージ機の全荷重を支持する脚部分に制御部20と接続された重量センサ(図示を省略)を備えており、被施療者が着座した後の重量と被施療者が着座する前の重量との差を、被施療者の体重として検出できる仕組みである。なお、重量センサで得られる重量が被施療者の着座前後で変化することを基に、制御部20で着座検出を行うこともできる。
【0030】
前記座部12は、座面にて被施療者の臀部を支えつつ内蔵の施療機構でマッサージを実行するものであり、この施療機構として、空気の給排で動作する臀部用エアセル71、及び太腿用エアセル72を備える構成である。これらエアセルを空気の給排で動作させるエアポンプ70が座部12下側に配設される。この座部12は、基台部11に対し傾動可能に取付け、必要に応じて座面の傾斜角度を調整できるようにすることもできる。
【0031】
前記背もたれ部13は、内蔵のアクチュエータ(図示を省略)により傾斜角度を調整可能、すなわちリクライニング動作可能とされる構成である。背もたれ部13の被施療者と接する表面は、被施療者が着座して背もたれ部13に背中を向けてもたれ掛るとその背中を自然に背もたれ部13の中心に位置させる形状となっている。
【0032】
背もたれ部13においてマッサージを実行する施療機構としては、背もたれ部13の内部に配設されて施療子としての揉み玉51、52を動作させるメカユニット50と、同じく内部に配設されて空気の給排で動作する背中用エアセル73、74、及び腰用エアセル75、76とを備える構成である。これらエアセルを動作させるエアポンプ70は座部12と共通である。この背もたれ部13の左右両側部には一対の側壁部13aが突出配設され、その被施療者に面する内面側にもエアセル(図示を省略)が設けられ、被施療者の上腕部に対してマッサージを行える構成である。
【0033】
前記メカユニット50は、左右一対の揉み玉51、52を揉み、叩き等のマッサージ動作に対応させて動かす機構部であり、背もたれ部13に内蔵固定された一対のガイドレール55に沿って上下動可能に配設される構成である。左右の揉み玉51、52間の間隔は、被施療者の体格や姿勢、マッサージ動作状況に応じて制御部20により自動調整される。また、メカユニット50には、各揉み玉51、52にかかる圧力の変化をそれぞれ検出する圧力センサ53、54が内蔵されており、左右の揉み玉にかかる圧力の差異から被施療者の左右いずれかの横向き姿勢を識別できる仕組みである。このメカユニット50は、被施療者の体形センサの役割も兼ねており、制御部20による制御の下、背もたれ部13上部の初期位置からガイドレール55に従って下降していく過程で、揉み玉51に対する圧力の変化又は揉み玉51の傾き変化を順次取得し、この情報に基づいて、制御部20で被施療者の肩位置、背骨のライン、腰位置を検出できる仕組みである。
【0034】
このメカユニット50における揉み玉51、52は、被施療者が背もたれ部13に背中を向けて着座した通常の姿勢の状態では、被施療者の背中や腰に対し必要に応じて上下に移動しながら揉みやたたき等の刺激を与えてマッサージを実行する。また、被施療者が背もたれ部13に対し体側部を向ける横向きの姿勢をとった状態では、被施療者により揉み玉51、52に押し当てられた体側部、すなわち上腕部や肩から背中側の肋間部に至る部位の、例えば僧帽筋等の筋肉や腱に対し、各揉み玉51、52は前記同様の揉みやたたき等の刺激を与える。
【0035】
メカユニット50では、被施療者が背もたれ部13に対し横向きの姿勢をとる場合には、制御部20による制御に基づき、マッサージ中における左右の揉み玉51、52の間隔調整範囲を、横向きとなった被施療者が揉み玉間に入り込まない大きさの範囲内に制限され、また、揉み玉間隔が広がっている場合など必要に応じて、揉み玉51、52の間隔を横向きの被施療者が揉み玉間に入り込まない大きさに速やかに縮小調整する(図2参照)。加えて、揉み玉51、52のマッサージ中における上下方向の移動範囲を、横向きの被施療者の体側部に対し揉み玉51、52が有効に接触可能な上寄りの所定範囲に制限される(図3参照)。
【0036】
こうして横向きの被施療者が揉み玉51、52間に入り込む危険のない状態を確保することで、被施療者が揉み玉51、52による圧迫等を受ける危険な状態を確実に防止して、安全に被施療者の体側部に対し揉み玉51、52によるマッサージを実行できる。また、揉み玉51、52の上下方向の移動範囲が、被施療者の体側部と揉み玉51、52が接触しない状態となる下方への不必要な行程分を除いた上寄りの適切な範囲に設定されることで、被施療者と接触しない揉み玉51、52の無駄な移動時間がなくなる分、被施療者が横向きでマッサージを受ける状態での揉み玉51、52と接しない待ち時間を必要最小限にでき、マッサージの間で間延びした感を被施療者に与えず、効率よくマッサージを実行できる。
【0037】
また、背もたれ部13全体においても、被施療者が横向きの姿勢をとった場合、背もたれ部13のリクライニング角度の調整範囲を、制御部20による制御に基づいて所定の背もたれ部倒れ角以下に制限し、背もたれ部13の倒れ角度が大きくなるに伴って体重の影響で増大する被施療者への揉み玉51、52からの施療圧力が過剰になるのを防止する仕組みである。このようにリクライニング角度の調整範囲を上限の倒れ角より大きくならないよう狭く制限することで、横向きの被施療者に対し痛みを感じるような過大な刺激が加わるのを防げると共に、被施療者の角度調整の誤りに伴って強い刺激が加わるような事態も適切に回避でき、横向き姿勢の被施療者に対し安全にマッサージを実行できる。
【0038】
さらに、被施療者が背もたれ部13に対し横向きの姿勢をとった場合には、制御部20により、背もたれ部13の左右一対の背中用エアセル73、74のうち、横向きとなった被施療者の背中寄りの側に位置する背中用エアセル74が膨張し、被施療者の背中の一部に接してこれを支える仕組みである(図5参照)。この場合必要に応じて、膨張する背中用エアセル74と同じ側の腰用エアセル76も膨張状態として、横向き姿勢の被施療者の背中下部を支持するようにすることもできる。これにより、被施療者が横向きの姿勢を保ちやすく、被施療者が体側部へのマッサージを安定した横向きの姿勢で受けることができ、刺激を受けるマッサージ対象箇所がぶれたりしない上、マッサージの間、被施療者が横向きの同じ姿勢を続けても疲労を小さくすることができ、快適性を損わず、マッサージ効果を高められることとなる。
【0039】
前記肘掛部14は、基台部11に取付けられて座部12の両側に位置し、背もたれ部13がリクライニング角度を変化させたり、座部12が傾動しても、被施療者の前腕を安定的に支持するよう形成される構成である。この肘掛部14にも、前記エアポンプ70による空気の給排で動作するエアセルを配設して、被施療者の前腕部に対しマッサージを行える構成としてもかまわない。
【0040】
この肘掛部14は、基台部11に対し可倒構造となっており、被施療者が横向き姿勢をとる場合や車椅子に対する乗降りの場合などは、通常位置のままでは横向き姿勢の支障となる肘掛部14を倒して外側に移動させることで、被施療者に対し邪魔にならない状態とすることができる。この場合、倒して移動させた肘掛部14は座部12の座面を横に拡張するように位置して、横向き姿勢の場合の脚載せ部や移乗の補助部として利用できる。この肘掛部14の移動させた状態と通常状態との差異は、センサやスイッチ等の検出部14aで検出されて制御部20に出力され、被施療者により肘掛部14を動かした状態を制御部20で把握できるようになっており、被施療者の操作で移動する肘掛部14が被施療者の横向き使用を指示入力する一種の入力手段とされる仕組みである。
【0041】
前記脚支持部15は、座部12の前側に位置し、座部12前端付近を中心として傾動可能に配設され、内蔵のアクチュエータ(図示を省略)により傾斜角度を調整されるものである。この脚支持部15には、前記エアポンプ70による空気の給排で動作する脚用エアセル77、78が配設される。
【0042】
前記制御部20は、検出部14aによる肘掛部14の状態検出結果に基づいて被施療者の通常姿勢と横向き姿勢を判別し、施療機構やマッサージ機の他の各可動部分を被施療者に対応した状態に調整する調整手段21と、施療機構や他の各可動部分に対しリモコン操作やあらかじめ設定されたマッサージ内容に基づいて適切なマッサージの実行のための動作制御を行うマッサージ実行手段22とを備える構成である。
【0043】
この制御部20は、そのハードウェア構成として、CPU60と、メモリ61と、ROM62と、入出力インターフェース63とを備えるコンピュータとなっており、ROM62に格納されるプログラムにより、コンピュータを前記調整手段21及びマッサージ実行手段22として動作させる仕組みである。
【0044】
前記メモリ61はRAM部61aと記録部61bとからなり、被施療者の個人情報や履歴等のデータは、被施療者毎に登録される状態で、不揮発性メモリ等で構成される記録部61bに記録保存される。また、前記ROM62は、前記プログラムの他、複数のマッサージコースのマッサージデータを格納する。なお、CPU60、メモリ61及びROM62を一体的に形成されたマイクロコンピュータとすることもできる。
【0045】
この制御部20をなす回路が搭載された基板ユニットは、座部12直下のスペースに配設され、入出力インターフェース63を介して、肘掛部14の移動検出部14a及びリモコン30を有線接続されるか、又はこれらと無線通信可能な状態とされる。
【0046】
また、制御部20は、入出力インターフェース63を介して、メカユニット50や、背もたれ部13や脚支持部15の各アクチュエータ、エアポンプ70とそれぞれ電気的に接続され、制御信号出力によりこれらの駆動機構を動作させる。さらに制御部20は、メカユニット50や各アクチュエータの変位量を出力するエンコーダ等の信号出力手段とも電気的に接続されており、メカユニット50の状態や、背もたれ部13及び脚支持部15の傾斜等の状態を把握しつつこれらの動作制御を行うこととなる。
【0047】
前記調整手段21は、肘掛部14が通常位置から被施療者の横向き姿勢に対応した外側位置に移動しているか否かを検出部14aの検出出力より判定することで、被施療者が通常姿勢と横向き姿勢のいずれをとっているかを判別し、横向き姿勢の場合には、揉み玉51、52をはじめとする施療機構や他の各可動部分を横向きの被施療者に危険を与えない状態に速やかに移行させる制御、例えば、揉み玉51、52の間隔を小さく調整したり、背もたれ部13のリクライニング角度をあらかじめ設定された倒れ角上限値以下まで小さくする動作制御を実行し、また、横向きの被施療者を危険に至らしめる施療機構や他の可動部分の動作を規制したり、施療機構や他の可動部分の可動範囲を横向きの被施療者に対し有効に施療動作可能な範囲に制限したりする制御情報、例えば、揉み玉51、52の間隔調整範囲を被施療者が揉み玉間に入り込まない大きさの範囲内に制限したり、背もたれ部13のリクライニング角度調整範囲を前記倒れ角上限値以下となる狭い範囲に制限したり、揉み玉51、52の上下方向移動範囲を上寄りに狭く制限する、といったマッサージ実行に係る制御情報をマッサージ実行手段22に出力するものである。
【0048】
なお、施療機構や他の各可動部分に対する横向き姿勢に対応した各制御の実行は、同時に実行するのが最も好ましいが、同時実行が難しい場合には、安全に係る優先順位の高いものから実行するのが好ましい。例えば、危険度の高い揉み玉間への被施療者の入り込みを防止するために、まず、揉み玉51、52の間隔調整範囲を制限し、必要に応じて揉み玉51、52の間隔を小さく調整する制御を実行し、続いて、被施療者への過大な刺激を防止するために、背もたれ部13のリクライニング角度調整範囲を狭い範囲に制限し、必要に応じて背もたれ部13のリクライニング角度を実際に小さくする制御を実行し、その後に、マッサージの効率化に係る、揉み玉51、52の上下方向移動範囲を制限する制御を実行するのが、安全確保の面で好ましい。
【0049】
この調整手段21が、被施療者を横向き姿勢と見なして実行した制御やマッサージ実行手段22に出力した制御情報に関し、その後肘掛部14が元の通常位置に戻され、被施療者が通常姿勢に戻ったと判定した場合には、施療機構や他の可動部分の状態変更分を通常状態に復帰させる制御が実行され、また規制や制限等を設けた施療機構や他の可動部分を通常状態に復帰させる制御情報をマッサージ実行手段に出力することとなる。
【0050】
前記マッサージ実行手段22は、被施療者に係るマッサージ履歴や体形・姿勢等の情報に基づいて、ROM62に格納されたマッサージコースの中から、その時点における被施療者にとって好適なものとして自動的に選定したマッサージコース、もしくは被施療者によりリモコン30を介して選択指示されたマッサージコースやマッサージについて、必要に応じて表示部32に表示し、また被施療者に確認の指示入力を求めた上で、選択されたマッサージコースのマッサージデータをROM62から読み出し、データに基づく制御信号を出力してメカユニット50及び/又はエアポンプ70を動作させ、メカユニット50の揉み玉51、52によるメカマッサージ及び/又はエアセルマッサージを実行するものである。
【0051】
ROM62から読み出される複数のマッサージコースは、例えば、施療手段として揉み玉51、52を用いる場合の、強さ、速度を変化させたり、動きをローリング、たたき、もみのいずれかに変化させることでバリエーションを与えたものを、所定の一施療部位に対し一又は複数割当て、さらにこうした施療部位に対する動作を複数の異なる施療部位について関連づけて連続実行や同時実行するといった内容を規定した情報となっている。
【0052】
このマッサージ実行手段22は、マッサージコースに沿ったマッサージ実行中に、前記調整手段21から出力された施療機構や他の可動部分の動作規制や可動範囲制限に係る情報を取得した場合には、速やかに施療機構や他の可動部分の動作制御に反映させる処理を行い、また、リモコン30から選択指示されたマッサージコースやマッサージの情報を取得した場合には、それらが積極的に実行することを要求されたものか、あるいは実行しないことを要求されたものかを適切に判定した上で、実行すべきマッサージである場合には、現在進行中のマッサージコースより優先して実行したり、実行中のマッサージの後に割込ませる処理を行い、また実行すべきでないマッサージである場合には、そのマッサージを中止してコースとして規定された次のマッサージに移行する、すなわちスキップ処理を行う。
【0053】
なお、制御部20では、マッサージコースに沿ったマッサージ実行中に被施療者により新たに選択され、マッサージ実行手段22により実行制御されたコースに含まれないマッサージについて、選択過程を含めて履歴データとして被施療者毎の登録データに記録し、次回の被施療者毎に一又は複数選定するマッサージコースとして、既存のマッサージコースに対し、先のマッサージ実行中にスキップしたマッサージ動作をコースから排除又は実行時間を短縮する一方、リピートしたマッサージ動作の実行時間をより多くした新たなコースプログラムを生成するようにすることもできる。
【0054】
前記リモコン30は、マッサージ機に対する各種操作入力を受付ける入力手段としての多数のスイッチ31と、表示手段としての表示部32とを備え、マッサージ機本体10の側部に着脱自在に設置され、制御部20と無線又は有線で通信を行ってマッサージに係る操作入力を制御部20に送信する一方、制御部20から送られた表示情報を受信して表示部32に表示する構成である。このリモコン30は、独立したスイッチを多数配設する構成の他、表示部32に表示された所定領域を触れてスイッチ操作するタッチパネル式とすることもできる。
【0055】
次に、本実施形態に係るマッサージ機における被施療者の横向き姿勢に対応する動作制御についてフローチャートを用いて説明する。前提として、マッサージ機1が起動し、被施療者が背中を背もたれ部13に向けた通常姿勢の着座状態にあって、体重や肩・腰位置の測定、検出などのマッサージ開始前の準備動作が完了し、被施療者によりマッサージコース等の動作状態指示が入力されてマッサージを開始可能な状態にあるものとする。
【0056】
被施療者に当初指定された通りの横向き対応でない通常のマッサージ動作が開始すると(ステップS001)、制御部20は肘掛部14の動きを検出する検出部14aからの出力を監視して、マッサージ中に被施療者により肘掛部14が被施療者の横向き姿勢に対応する所定位置へ動かされたか否かを判定する(ステップS002)。ここで肘掛部14が動かされた場合、制御部20は被施療者が横向き姿勢をとるために肘掛部14を動かしたと見なして、被施療者に対し横向き姿勢に対応した動作状態(横向き対応モード)へ移行することを表示部32に確認表示する(ステップS003)。
【0057】
さらに制御部20は、揉み玉51、52の左右方向間隔調整範囲を被施療者の横向き姿勢に対応した安全な範囲に置換え(ステップS004)、その時点の揉み玉51、52の間隔がこの置換えた安全な範囲内にあるか否かを判定する(ステップS005)。揉み玉51、52の間隔が安全な範囲内にある場合は、続いて、背もたれ部13のリクライニング角度範囲をあらかじめ設定された被施療者の横向き姿勢に対応した安全な範囲に置換え(ステップS006)、その時点の背もたれ部13のリクライニング角度がこの置換えた安全な範囲内にあるか否かを判定する(ステップS007)。リクライニング角度が安全な範囲内にある場合は、揉み玉51、52の上下可動範囲をあらかじめ設定された被施療者の横向き姿勢に対応した背もたれ部上側寄りの適切な範囲に置換え(ステップS008)、その時点の揉み玉51、52の位置がこの置換えた適切な範囲内にあるか否かを判定する(ステップS009)。
【0058】
揉み玉51、52位置が適切な範囲内にある場合は、揉み玉51、52に加わる圧力を圧力センサ53、54で検出し、被施療者が左右どちらに体を傾けて横向き姿勢となっているかの判定段階に移行する(ステップS010)。ここでは、揉み玉51、52への圧力から被施療者が右側に体を傾けているか否かを判定し(ステップS011)、被施療者が体を右側に傾けている場合は、左側の背中用エアセルを所定の膨張状態とし、被施療者の背中の左部分を支えた状態とする(ステップS012)。そして、マッサージ動作を継続する中、この実行中の揉みに係るマッサージについてあらかじめ設定された終了時間に達したか否かを判定し(ステップS013)、終了時間に達していれば一連の処理が完了となる。
【0059】
前記ステップS013でまだマッサージが終了していない場合は、さらに、制御部20は肘掛部14の検出部14aからの出力を監視して、マッサージ中に被施療者により肘掛部14が元に戻されて当初位置にあるか否かを判定する(ステップS014)。ここで肘掛部14が当初位置にある場合、制御部20は被施療者が通常のマッサージを所望して肘掛部14を動かしたと見なして、元の通常マッサージ動作に復帰し(ステップS015)、再びステップS002に戻って、以降の処理を繰返す。前記ステップS014で肘掛部14が当初位置になく元に戻されていない場合には、前記ステップS013に移行する。
【0060】
前記ステップS011で被施療者が右側に体を傾けていない、すなわち左側に体を傾けている場合には、右側の背中用エアセルを所定の膨張状態とし、被施療者の背中の右部分を支えた状態とし(ステップS016)、前記ステップS013に移行する。
【0061】
前記ステップS009で揉み玉51、52の位置が、置換えた適切な範囲内に無い場合には、揉み玉51の位置を前記適切な範囲内に移動させ(ステップS017)、前記ステップS010に移行する。
【0062】
前記ステップS007で背もたれ部13のリクライニング角度が、置換えた安全な範囲内に無い場合には、リクライニング角度が前記安全な範囲内となるように背もたれ部を起し(ステップS018;図4参照)、前記ステップS008に移行する。
【0063】
前記ステップS005で、揉み玉51、52の間隔が安全な範囲内にない場合には、制御部20は、メカユニット50を制御して揉み玉51、52の間隔を安全な間隔に調整し(ステップS019;図2参照)、前記ステップS006に移行する。
【0064】
前記ステップS002で肘掛部14が動かされていない場合には、そのまま実行中の通常のマッサージを続行し、実行中のマッサージについてあらかじめ設定された終了時間に達したか否かを判定し(ステップS020)、終了時間に達していれば一連の処理が完了となる。前記ステップS020でまだマッサージが終了していない場合は、前記ステップS002に戻って、以降の処理を繰返す。
【0065】
このように、本実施形態に係るマッサージ機は、肘掛部14の移動操作という形で、横向き姿勢での使用を制御部20が被施療者から直接指示されると、左右一対の揉み玉51、52の間隔調整範囲を適切な範囲内に制限したり、揉み玉51、52を適切な間隔に速やかに調整したりして、横向きの被施療者が揉み玉間に入り込む危険のない状態を確保することから、被施療者が揉み玉51、52による圧迫等を受ける危険な状態を確実に防止して、安全に被施療者の体側部に対し揉み玉51、52による刺激を与えることができ、マッサージの対象範囲を拡大して、被施療者に対するマッサージ効果を高められる。また、揉み玉以外の施療機構や他の可動部分も横向き姿勢の被施療者にとって危険のない状態としたり、危険に繋がる動作を規制したり、揉み玉を含む施療機構や他の可動部分の可動範囲を制限することで、マッサージを受ける被施療者の安全を確保して、横向きの被施療者が危険な状態に陥るのを確実に防止しつつ、体側部に適切で且つ効率の良いマッサージ動作を実行できる。
【0066】
なお、前記実施形態に係るマッサージ機において、被施療者がマッサージ前から肘掛部14を移動させて横向きで着座している場合は、制御部20は肘掛部14の移動状態検出から被施療者の横向き姿勢を認識していることから、一旦警告等を行って被施療者を通常姿勢で着座し直すよう仕向けるか、そのまま通常姿勢で着座している場合に行う準備動作をスキップし、前記同様の横向き姿勢に対応する各制御動作を順次実行してから横向き姿勢に対応するマッサージを開始することができる。
【0067】
また、前記実施形態に係るマッサージ機において、その移動を検知可能とされた肘掛部14は、被施療者により手動で動かされる構成としているが、この他、肘掛部の移動を検知する仕組みはそのままで、肘掛部をアクチュエータ等の駆動で自動的に移動するようにし、被施療者は肘掛部の移動に関しては移動を指示する入力操作のみ行えばよい構成とすることもでき、被施療者の横向き姿勢でマッサージを受ける際の手間を軽減してリラックス感を損わず、マッサージ効果をさらに向上させられる。
【0068】
また、前記実施形態に係るマッサージ機においては、肘掛部14を横向き姿勢の被施療者にとって邪魔にならない位置に移動させられる構成としているが、この他、被施療者の背面側に位置する肘掛部を、横向きの被施療者の背中の少なくとも一部を背もたれとして支える位置に手動又は自動で移動させられる構成とすることもでき、横向きの姿勢をとった被施療者がこの移動させた背中側の肘掛部を支えとして横向き姿勢を維持しやすく、横向き姿勢での体側部へのマッサージをより安定した状態で受けることができると共に、マッサージの間、被施療者が横向きの同じ姿勢を続けても疲労を小さくすることができ、快適性を損うこともなく、マッサージ効果をより一層高められる。
【0069】
さらに、前記実施形態に係るマッサージ機においては、横向き姿勢の被施療者を支えるために左右いずれかの背中用エアセル73、74を膨張させるにあたり、揉み玉51、52に加わる圧力を圧力センサ53、54で検出し、被施療者が左右どちらに体を傾けて横向き姿勢となっているかを判定し、被施療者の体を傾けて正面を向いた側と反対側の背中用エアセルを膨張状態とする構成としているが、これに限らず、横向き姿勢をとる前に肘掛部を動かす際、被施療者の体を傾けて正面を向く側に位置して邪魔になる方の肘掛部が動かされることを利用して、被施療者が左右どちらに体を傾けるかを肘掛部の動きから認識して、この被施療者の体を傾けて正面を向く側と反対側の背中用エアセルを膨張させる構成とすることもできる。
【0070】
(本発明の第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係るマッサージ機を図9に基づいて説明する。図9は本実施形態に係るマッサージ機のマッサージ中における動作フローチャートである。
前記図9において本実施形態に係るマッサージ機は、前記第1の実施形態同様の構成を有する一方、異なる点として、制御部20が、マッサージ中に被施療者が横向きの姿勢をとった際の揉み玉51、52に加わる圧力の変化から、被施療者の横向き姿勢を判別し、横向き姿勢に対応する処理を実行するものである。
【0071】
詳細には、メカユニット50に内蔵されて各揉み玉51、52にかかる圧力の変化を検出する圧力センサ53、54を、被施療者の横向き姿勢を検出する前記検出手段として用い、検出された圧力を制御部20で監視し、左右の各揉み玉51、52にかかる圧力に大きく差異が生じた場合に、被施療者が左右いずれかの横向き姿勢をとったと判定し、制御部20が前記第1の実施形態同様の揉み玉51、52の間隔調整範囲設定変更や、背もたれ部13のリクライニング角度範囲及び揉み玉移動範囲の設定変更等に係る処理を速やかに実行する仕組みである。一方、被施療者が左右の揉み玉51、52に均等に接する通常の姿勢に戻った場合には、圧力センサ53、54で検出される圧力に差異が生じないか小さくなることを利用して、この状態を判別し、横向き対応状態としていた各施療機構や他の可動部分を元の通常状態に復帰させることとなる。
【0072】
ただし、被施療者が横向き姿勢において一瞬だけ左右の揉み玉に均等に接した状況など、被施療者が横向き姿勢から通常姿勢に完全に移行していない場合に各機構を通常状態に復帰させると、被施療者に危険が及ぶこともあり得るため、横向き対応状態から通常状態への復帰は直ちには行わず、圧力センサ53、54での検出圧力に基づいて、被施療者が左右の揉み玉51、52に均等に接する状態が数秒間など所定時間継続し、被施療者が通常姿勢に完全に移行したと見なせる段階で、はじめて制御部20は各機構を通常状態に復帰させる処理を実行するようにしており、被施療者の安全が確保される。
【0073】
次に、本実施形態に係るマッサージ機における被施療者の横向き姿勢に対応する動作制御についてフローチャートを用いて説明する。前提として、前記第1の実施形態同様、マッサージ機1が起動し、被施療者が通常姿勢の着座状態にあって、体重や肩・腰位置の測定、検出などのマッサージ開始前の準備動作が完了し、被施療者によりマッサージコース等の動作状態指示が入力されてマッサージを開始可能な状態にあるものとする。
【0074】
被施療者に指定された通りの横向き対応でない通常のマッサージ動作が開始すると(ステップS101)、制御部20は被施療者から揉み玉51、52に加わる圧力を検出する圧力センサ53、54からの出力を監視して、マッサージ中に被施療者が背もたれ部13に対し横向き姿勢となり、一瞬体を傾けたような場合と見なせるような所定の時間より長く揉み玉の一方に偏ってもたれかかる状態となって、各圧力センサ53、54の検出値に大きな差異が生じたか否かを判定する(ステップS102)。ここで圧力センサ53、54の検出値に大きな差異がある場合、制御部20は被施療者が横向き姿勢をとったと見なして、被施療者に対し横向き姿勢に対応した動作状態(横向き対応モード)へ移行することを表示部32に確認表示する(ステップS103)。さらに、制御部20はメカユニット50を制御して揉み玉51、52の間隔を安全な間隔に調整する(ステップS104)。
【0075】
さらに制御部20は、揉み玉51、52の左右方向間隔調整範囲を被施療者の横向き姿勢に対応した安全な範囲に置換え(ステップS104)、その時点の揉み玉51、52の間隔がこの置換えた安全な範囲内にあるか否かを判定する(ステップS105)。揉み玉51、52の間隔が安全な範囲内にある場合は、続いて、背もたれ部13のリクライニング角度範囲をあらかじめ設定された被施療者の横向き姿勢に対応した安全な範囲に置換え(ステップS106)、その時点の背もたれ部13のリクライニング角度がこの置換えた安全な範囲内にあるか否かを判定する(ステップS107)。リクライニング角度が安全な範囲内にある場合は、揉み玉51、52の上下可動範囲をあらかじめ設定された被施療者の横向き姿勢に対応した背もたれ部上側寄りの適切な範囲に置換え(ステップS108)、その時点の揉み玉51、52の位置がこの置換えた適切な範囲内にあるか否かを判定する(ステップS109)。
【0076】
揉み玉51、52位置が適切な範囲内にある場合は、揉み玉51、52に加わる圧力の大小から、被施療者が右側に体を傾けているか否かを判定し(ステップS110)、被施療者が体を右側に傾けている場合は、左側の背中用エアセルを所定の膨張状態とし、被施療者の背中の左部分を支えた状態とする(ステップS111)。そして、マッサージ動作を継続する中、この実行中の揉みに係るマッサージについてあらかじめ設定された終了時間に達したか否かを判定し(ステップS112)、終了時間に達していれば一連の処理が完了となる。
【0077】
前記ステップS112でまだマッサージが終了していない場合は、さらに、制御部20は圧力センサ53、54からの出力を監視して、マッサージ中に被施療者が当初の通常姿勢に戻してその状態を所定時間継続しているか否かを判定する(ステップS113)。ここで圧力センサの値が左右でほぼ同じになった状態が所定時間継続している場合、制御部20は被施療者が通常のマッサージを所望して姿勢を元に戻したと見なして、元の通常マッサージ動作に復帰し(ステップS114)、再びステップS102に戻って、以降の処理を繰返す。前記ステップS113で圧力センサの値が依然として当初の状態と異なり姿勢が元に戻されていない場合には、前記ステップS112に移行する。
【0078】
前記ステップS110で被施療者が右側に体を傾けていない、すなわち左側に体を傾けている場合には、右側の背中用エアセルを所定の膨張状態とし、被施療者の背中の右部分を支えた状態とし(ステップS115)、前記ステップS112に移行する。
【0079】
前記ステップS109で揉み玉51、52の位置が、置換えた適切な範囲内に無い場合には、揉み玉51、52の位置を前記適切な範囲内に移動させ(ステップS116)、前記ステップS110に移行する。
【0080】
前記ステップS107で背もたれ部13のリクライニング角度が、置換えた安全な範囲内に無い場合には、リクライニング角度が前記安全な範囲内となるように背もたれ部を起し(ステップS117)、前記ステップS108に移行する。
【0081】
前記ステップS105で、揉み玉51、52の間隔が安全な範囲内にない場合には、制御部20は、メカユニット50を制御して揉み玉51、52の間隔を安全な間隔に調整し(ステップS118;図2参照)、前記ステップS106に移行する。
【0082】
前記ステップS102で圧力センサ53、54の検出値に大きな差異がない場合には、通常のマッサージ動作を継続し、この実行中のマッサージについてあらかじめ設定された終了時間に達したか否かを判定し(ステップS119)、終了時間に達していれば一連の処理が完了となる。前記ステップS119でまだマッサージが終了していない場合は、再びステップS102に戻って、以降の処理を繰返す。
【0083】
このように、本実施形態に係るマッサージ機においては、被施療者が体側部へのマッサージのために横向き姿勢となった状態を、圧力センサ53、54を通じて制御部20が検出すると、横向き姿勢の被施療者にとって揉み玉51、52をはじめとする施療機構やリクライニングなど他の可動機構を危険のない状態としたり、その危険に繋がる動作を規制したり、また施療機構や他の可動機構の可動範囲を制限することから、マッサージを受ける被施療者の安全を確保して、横向きの被施療者が危険な状態に陥るのを確実に防止しつつ、体側部に適切で且つ効率の良いマッサージ動作を実行でき、マッサージの対象範囲を拡大して被施療者に対するマッサージ効果を高められる。さらに、被施療者は特別な操作無しに姿勢を変えるだけで安全に体側部へのマッサージを受けられ、使い勝手の点でも優れる。
【0084】
なお、前記実施形態に係るマッサージ機においては、揉み玉51、52に加わる圧力を検出する圧力センサ53、54を検出手段として用いて、被施療者の横向き姿勢を自動検出する構成としているが、この他、検出手段として被施療者を撮像する撮像手段を配設し、撮像手段で得た撮像画像を解析して被施療者の横向き姿勢となった状態を検出するなど、他の検出手法による検出手段を採用する構成とすることもできる。
【0085】
(本発明の第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係るマッサージ機を図10及び図11に基づいて説明する。図10は本実施形態に係るマッサージ機のマッサージ中における動作の前半フローチャート、図11は本実施形態に係るマッサージ機のマッサージ中における動作の後半フローチャートである。
【0086】
前記各図において本実施形態に係るマッサージ機は、前記第1の実施形態同様の構成を有する一方、異なる点として、マッサージ中における制御で、被施療者が横向きの姿勢をとる際には、肘掛部を移動操作することに代えてリモコン30で入力操作を行うものとし、制御部20でその入力を受けて横向き姿勢に対応する処理を実行することに加え、肘掛部14がリモコン30への前記入力操作を受けて自動的に移動する構成を有するものである。
【0087】
前記肘掛部14は、内蔵のアクチュエータ(図示を省略)により移動可能とされており、被施療者の横向き姿勢への対応がリモコン30へ入力されると、基台部11に対し外側に倒れて移動し、被施療者に対し邪魔にならない状態に自動的に移行する構成である。一方、通常状態への復帰の指示がリモコン30に入力されると、肘掛としての機能を果す元の位置に自動的に戻る仕組みである。
【0088】
前記リモコン30は、前記第1の実施形態の場合の肘掛部に相当する横向き対応への移行を制御部20に指示するための入力部を備えており、被施療者がマッサージ中に入力操作を行うと、制御部20に対し横向き対応の動作を実行する指示がなされ、制御部20が揉み玉51、52の間隔調整範囲設定変更や、肘掛部14の移動、リクライニング角度範囲及び揉み玉上下移動範囲の設定変更に係る処理を実行することとなる。
【0089】
この本実施形態に係るマッサージ機における被施療者の横向き姿勢に対応する動作制御についてフローチャートを用いて説明する。前提として、前記第1の実施形態同様、マッサージ機1が起動し、被施療者が着座状態にあって、体重や肩・腰位置の測定、検出などのマッサージ開始前の準備動作が完了し、被施療者によりマッサージコース等の動作状態指示が入力されてマッサージを開始可能な状態にあるものとする。
【0090】
被施療者に指定された通りの横向き対応でない通常のマッサージ動作が開始すると(ステップS201)、制御部20は被施療者の入力手段に対する入力操作を監視して、マッサージ中に被施療者により横向き姿勢に対応する動作状態(横向き対応モード)への移行が入力指示されたか否かを判定する(ステップS202)。ここで横向き対応モードへの移行が指示された場合、制御部20は被施療者が横向き姿勢をとるものと見なして、被施療者に対し横向き対応モードへ移行することを表示部32に確認表示する(ステップS203)。
【0091】
さらに制御部20は、揉み玉51、52の左右方向間隔調整範囲を被施療者の横向き姿勢に対応した安全な範囲に置換え(ステップS204)、その時点の揉み玉51、52の間隔がこの置換えた安全な範囲内にあるか否かを判定する(ステップS205)。揉み玉51、52の間隔が安全な範囲内にある場合は、肘掛部14を外側に移動させる(ステップS206)。
【0092】
続いて、制御部20は背もたれ部13のリクライニング角度範囲をあらかじめ設定された被施療者の横向き姿勢に対応した安全な範囲に置換え(ステップS207)、その時点の背もたれ部13のリクライニング角度がこの置換えた安全な範囲内にあるか否かを判定する(ステップS208)。リクライニング角度が安全な範囲内にある場合は、揉み玉51、52の上下可動範囲をあらかじめ設定された被施療者の横向き姿勢に対応した背もたれ部上側寄りの適切な範囲に置換え(ステップS209)、その時点の揉み玉51、52の位置がこの置換えた適切な範囲内にあるか否かを判定する(ステップS210)。
【0093】
揉み玉51、52位置が適切な範囲内にある場合は、揉み玉51、52に加わる圧力を圧力センサ53、54で検知し、被施療者が左右どちらに体を傾けて横向き姿勢となっているかの判定段階に移行する(ステップS211)。ここでは、揉み玉51、52への圧力から被施療者が右側に体を傾けているか否かを判定し(ステップS212)、被施療者が体を右側に傾けている場合は、左側の背中用エアセルを所定の膨張状態とし、被施療者の背中の左部分を支えた状態とする(ステップS213)。そして、マッサージ動作を継続する中、この実行中の揉みに係るマッサージについてあらかじめ設定された終了時間に達したか否かを判定し(ステップS214)、終了時間に達していれば一連の処理が完了となる。
【0094】
前記ステップS214でまだマッサージが終了していない場合は、さらに、制御部20は入力手段への被施療者の入力操作を監視して、マッサージ中に被施療者により当初の姿勢に対応するマッサージ動作を指示する入力がなされたか否かを判定する(ステップS215)。ここで当初動作に戻す指示入力がなされている場合、制御部20は被施療者が通常のマッサージを所望し、同時に姿勢を元に戻したものと見なして、元の通常マッサージ動作に復帰し(ステップS216)、また肘掛部14を元の状態に復帰させ(ステップS217)、再びステップS202に戻って、以降の処理を繰返す。前記ステップS215で入力がなされず横向き対応モードが継続している場合には、前記ステップS214に移行する。
【0095】
前記ステップS212で被施療者が右側に体を傾けていない、すなわち左側に体を傾けている場合には、右側の背中用エアセルを所定の膨張状態とし、被施療者の背中の右部分を支えた状態とし(ステップS218)、前記ステップS214に移行する。
【0096】
前記ステップS210で揉み玉51、52の上下方向位置が、置換えた適切な範囲内に無い場合には、揉み玉51、52の位置を前記適切な範囲内に移動させ(ステップS219)、前記ステップS211に移行する。
【0097】
前記ステップS208で背もたれ部13のリクライニング角度が、置換えた安全な範囲内に無い場合には、リクライニング角度が前記安全な範囲内となるように背もたれ部を起し(ステップS220)、前記ステップS209に移行する。
【0098】
前記ステップS205で、揉み玉51、52の間隔が安全な範囲内にない場合には、制御部20は、メカユニット50を制御して揉み玉51、52の間隔を安全な間隔に調整し(ステップS221;図2参照)、前記ステップS206に移行する。
【0099】
前記ステップS202で横向き対応モードへの移行指示入力がなされていない場合には、通常のマッサージ動作を継続し、この実行中のマッサージについてあらかじめ設定された終了時間に達したか否かを判定し(ステップS222)、終了時間に達していれば一連の処理が完了となる。前記ステップS222でまだマッサージが終了していない場合は、再び前記ステップS202に戻って、以降の処理を繰返す。
【0100】
このように、本実施形態に係るマッサージ機においては、被施療者が横向き姿勢でのマッサージを受けるために、リモコン30に対し入力操作を行うと、制御部20がこの入力を受けて、横向き姿勢の被施療者にとって揉み玉51、52をはじめとする施療機構やリクライニングなど他の可動機構を危険のない状態としたり、その危険に繋がる動作を規制したり、また施療機構や他の可動機構の可動範囲を制限することから、マッサージを受ける被施療者の安全を確保して、横向きの被施療者が危険な状態に陥るのを確実に防止しつつ、体側部に適切で且つ効率の良いマッサージ動作を実行でき、マッサージの対象範囲を拡大して被施療者に対するマッサージ効果を高められる。さらに、肘掛部14を横向きの被施療者に対応させて、被施療者の邪魔にならない位置に自動的に移動させることから、被施療者が肘掛部14を直接移動させるなどの準備動作を行わずに済み、手間無くマッサージ機に対し横向きの姿勢をとることができ、横向き状態での体側部へのマッサージをリラックスした状態で受けられる。
【0101】
なお、前記第1ないし第3の各実施形態に係るマッサージ機においては、肘掛部14の移動構造は座面から見て外側へ倒すものとしているが、これに限らず、図12、13に示すように、肘掛部16を背もたれ部13のリクライニング中心軸と平行な回転軸周りの回転やマッサージ機の前後及び/又は上下方向あるいは斜め方向へのスライドで被施療者の横向き姿勢の邪魔にならない位置へ移動させる構成とすることもできる。
【0102】
また、前記第1ないし第3の各実施形態に係るマッサージ機においては、被施療者の横向き姿勢に対応して、左右の揉み玉51、52の間隔調整範囲を、横向きとなった被施療者が揉み玉51、52間に入り込まない大きさとなる範囲に制限し、間隔が前記範囲より広がっている場合には、速やかに揉み玉51、52の間隔を横向きの被施療者が揉み玉51、52間に入り込まない大きさに縮小調整する構成としているが、これに限らず、被施療者が危険性を認識して過度に揉み玉側に寄りかからないよう注意してマッサージ機を使用できる場合には、図14に示すように、揉み玉51、52間に被施療者の肩が少し入る程度に揉み玉同士の間隔を広げ、横向きとなった被施療者が揉み玉間に肩を入れるのに対応して、揉み玉をその間隔を縮めたり広げたりするように動作させ、肩を前後から圧迫するマッサージを実行する構成とすることもでき、マッサージの種類をさらに増やしてマッサージ効果の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るマッサージ機の斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るマッサージ機における揉み玉間隔調整状態説明図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るマッサージ機における揉み玉移動範囲調整状態説明図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係るマッサージ機における横向き対応時の背もたれ角度調整状態説明図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係るマッサージ機における横向き対応時の背中用エアセル膨張状態説明図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係るマッサージ機における制御ハードウェアのブロック構成図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係るマッサージ機における制御機能のブロック構成図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係るマッサージ機のマッサージ中における動作フローチャートである。
【図9】本発明の第2の実施形態に係るマッサージ機のマッサージ中における動作フローチャートである。
【図10】本発明の第3の実施形態に係るマッサージ機のマッサージ中における動作の前半フローチャートである。
【図11】本発明の第3の実施形態に係るマッサージ機のマッサージ中における動作の後半フローチャートである。
【図12】本発明の他の実施形態に係るマッサージ機における肘掛部の移動状態説明図である。
【図13】本発明の他の実施形態に係るマッサージ機における肘掛部の移動状態説明図である。
【図14】本発明の他の実施形態に係るマッサージ機における揉み玉のマッサージ動作状態説明図である。
【符号の説明】
【0104】
1 マッサージ機
10 マッサージ機本体
11 基台部
12 座部
13 背もたれ部
13a 側壁部
14、16 肘掛部
14a 検出部
15 脚支持部
20 制御部
21 調整手段
22 マッサージ実行手段
30 リモコン
31 スイッチ
32 表示部
50 メカユニット
51、52 揉み玉
53、54 圧力センサ
55 ガイドレール
60 CPU
61 メモリ
61a RAM部
61b 記録部
62 ROM
63 入出力インターフェース
70 エアポンプ
71 臀部用エアセル
72 太腿用エアセル
73、74 背中用エアセル
75、76 腰用エアセル
77、78 脚用エアセル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも座部と背もたれ部とを備えると共に、少なくとも左右一対の揉み玉を用いる背もたれ部の施療機構を制御部による制御の下で動作させる椅子式のマッサージ機において、
前記制御部が、被施療者からの横向き使用を指示する所定の操作を検出するか、又は所定の検出手段を介して被施療者が背もたれ部に対し横向きになった状態を検出すると、左右の揉み玉の間隔調整範囲を、背もたれ部に対し横向きとなった被施療者が揉み玉間に入り込まない大きさの範囲に制限する制御を実行することを
特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
少なくとも座部と背もたれ部とを備えると共に、少なくとも左右一対の揉み玉を用いる背もたれ部の施療機構を制御部による制御の下で動作させる椅子式のマッサージ機において、
前記制御部が、被施療者からの横向き使用を指示する所定の操作を検出するか、又は所定の検出手段を介して被施療者が背もたれ部に対し横向きになった状態を検出すると、左右の揉み玉の間隔を、背もたれ部に対し横向きとなった被施療者が揉み玉間に入り込まない大きさに調整する制御を実行することを
特徴とするマッサージ機。
【請求項3】
少なくとも座部と背もたれ部とを備えると共に、少なくとも左右一対の揉み玉を用いる背もたれ部の施療機構を制御部による制御の下で動作させる椅子式のマッサージ機において、
前記制御部が、被施療者からの横向き使用を指示する所定の操作を検出するか、又は所定の検出手段を介して被施療者が背もたれ部に対し横向きになった状態を検出すると、前記揉み玉のマッサージ中における上下方向の移動範囲を、横向きの被施療者に対し揉み玉が有効に接触可能な範囲に制限することを
特徴とするマッサージ機。
【請求項4】
少なくとも座部と背もたれ部とを備えると共に、少なくとも左右一対の揉み玉を用いる背もたれ部の施療機構を制御部による制御の下で動作させる椅子式のマッサージ機において、
前記制御部が、被施療者からの横向き使用を指示する所定の操作を検出するか、又は所定の検出手段を介して被施療者が背もたれ部に対し横向きになった状態を検出すると、前記背もたれ部のマッサージ中におけるリクライニング角度の調整範囲を、所定の背もたれ部倒れ角以下に制限することを
特徴とするマッサージ機。
【請求項5】
少なくとも座部と背もたれ部とを備えると共に、少なくとも左右一対の揉み玉を用いる背もたれ部の施療機構を制御部による制御の下で動作させる椅子式のマッサージ機において、
前記座部の両側に移動可能に配設されて被施療者の少なくとも前腕部を支持する肘掛部を備え、
前記制御部が、被施療者からの横向き使用を指示する所定の操作を検出するか、又は所定の検出手段を介して被施療者が背もたれ部に対し横向きになった状態を検出すると、被施療者の正面側に位置する肘掛部を、被施療者の横向き姿勢の支障とならない位置に移動させる、及び/又は、被施療者の背面側に位置する肘掛部を、被施療者の背中の少なくとも一部を背もたれとして支持可能とする位置に移動させることを
特徴とするマッサージ機。
【請求項6】
前記請求項1ないし5のいずれかに記載のマッサージ機において、
前記背もたれ部に、背中に対する施療機構として少なくとも左右一対の膨縮するエアセルを備え、
前記制御部が、横向きとなった被施療者の背中寄りの側に位置するエアセルを膨張させ、
当該膨張状態のエアセルで横向きの被施療者を支持することを
特徴とするマッサージ機。
【請求項7】
少なくとも座部と背もたれ部とを備えると共に、所定の施療機構を制御部による制御の下で動作させる椅子式のマッサージ機において、
前記座部の両側に手動又は自動で移動可能に配設されて被施療者の少なくとも前腕部を支持する肘掛部を備え、
前記制御部が、肘掛部が被施療者の横向き姿勢の支障とならない位置に手動又は自動で動かされた状態を検出すると、前記施療機構を横向きの被施療者に危険を与えない状態に移行させる制御、及び/又は横向きの被施療者を危険に至らしめる施療機構の動作を規制する制御、及び/又は施療機構の可動範囲を横向きの被施療者に対し施療動作可能な範囲に制限する制御を実行することを
特徴とするマッサージ機。
【請求項8】
少なくとも座部と背もたれ部とを備えると共に、所定の施療機構を制御部による制御の下で動作させる椅子式のマッサージ機において、
前記制御部が、所定の検出手段を介して被施療者が背もたれ部に対し横向きになった状態を検出すると、前記施療機構を横向きの被施療者に危険を与えない状態に移行させる制御、及び/又は横向きの被施療者を危険に至らしめる施療機構の動作を規制する制御、及び/又は施療機構の可動範囲を横向きの被施療者に対し施療動作可能な範囲に制限する制御を実行することを
特徴とするマッサージ機。
【請求項9】
少なくとも座部と背もたれ部とを備えると共に、所定の施療機構を制御部による制御の下で動作させる椅子式のマッサージ機において、
前記制御部が、所定の入力手段を介して被施療者からの横向き使用を指示する所定の操作を検出すると、前記施療機構を横向きの被施療者に危険を与えない状態に移行させる制御、及び/又は横向きの被施療者を危険に至らしめる施療機構の動作を規制する制御、及び/又は施療機構の可動範囲を横向きの被施療者に対し施療動作可能な範囲に制限する制御を実行することを
特徴とするマッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−131117(P2010−131117A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−308847(P2008−308847)
【出願日】平成20年12月3日(2008.12.3)
【出願人】(000164461)九州日立マクセル株式会社 (338)
【Fターム(参考)】