説明

マッサージ機

【課題】背もたれ側方に配したマッサージ部材が梱包サイズや視界の点で問題を招くことが少ないものとする。
【解決手段】人体背面のマッサージ用のマッサージ機構を背もたれ1に配したマッサージ機において、上記背もたれ1の両側部に背もたれの前方側に突出するマッサージ部材15,16を備えるとともに、人体の上部側面のマッサージ用で空気の給排気によって膨張収縮する上記マッサージ部材15,16は、背もたれ1前方への突出量が上部よりも下方側が大となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マッサージ機、殊に椅子型のマッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人体背面のマッサージ用のマッサージ機構を背もたれ内に配したマッサージ機において、背もたれの両側に背もたれの前面側に突出する側壁を設けて、これら側壁の内側面にエアバッグを配置することで、該エアバッグを膨張させることで、背もたれに持たれた人体の両側面、殊に肩付近をマッサージしたり、あるいは背もたれ内のマッサージ機構によるマッサージの際に人体が背もたれから浮いてしまうことを防ぐことができるようにしたものが特許文献1に示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−192603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記マッサージ機を梱包する場合、側壁とエアバッグとからなるマッサージ部材は背もたれの前方側に突出しているために、梱包サイズが大きくなってしまう場合がある上に、背もたれにもたれてマッサージを受ける利用者にしてみれば、上記マッサージ部材が側方視界を遮る存在となってしまう。
【0005】
本発明はこのような点に鑑みなされたものであって、背もたれ側方に配したマッサージ部材が梱包サイズや視界の点で問題を招くことが少ないマッサージ機を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、人体背面のマッサージ用のマッサージ機構を背もたれに配したマッサージ機において、上記背もたれの両側部に背もたれの前方側に突出するマッサージ部材を備えるとともに、人体の上部側面のマッサージ用で空気の給排気によって膨張収縮する上記マッサージ部材は、背もたれ前方への突出量が上部よりも下方側が大となっていることに特徴を有している。
【0007】
特に、上記背もたれがリクライニング自在であるとともに、上記マッサージ部材はリクライニング時におけるマッサージ部材の高さが背もたれ上端の高さ以下であることが好ましい。
【0008】
またマッサージ部材は上下方向に並ぶ複数のエアバッグを備えるとともに、各エアバッグが個別に膨張収縮自在となっていることが好ましい。
【0009】
上記側壁は左右に回動可能で折り畳み自在となっていたり、背もたれの上下方向にスライド自在となっていてもよい。
【0010】
さらには、背もたれの両側面から側方へ張り出す張り出し部を背もたれと一体に設けるとともに該張り出し部の前面に背もたれ前方側に突出するマッサージ部材を設けたものとするのが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明においては、マッサージ部材の存在により、本マッサージ機の利用者は、両側方から肩や腕をエアでマッサージしながらマッサージ機構による背面に対するマッサージを受けることができる上に、マッサージ部材によって背もたれから身体が浮くことを防いだ状態でマッサージ機構によるマッサージを受けることができるために、より高いマッサージ効果を得られるものであり、しかも背もたれの側方に配したマッサージ部材は背もたれ前方への突出量が上部よりも下方側が大となっているために、背もたれに持たれた人体の視界を側壁が遮ることが少なくなる上に、梱包時のサイズの低減に有利であり、殊に上部より下部の方が膨張量が大となるマッサージ部材とすることで、背が低くて小柄な人にも背が高くて大柄な人にもほぼ等しい強さのマッサージを行うことができる。
【0012】
上記背もたれがリクライニング自在であるとともに、上記マッサージ部材はリクライニング時におけるマッサージ部材の高さが背もたれ上端の高さ以下であると、背もたれをリクライニングさせた状態で梱包を行う時、マッサージ部材が梱包サイズを大きくしてしまうことがないものである。
【0013】
またマッサージ部材は上下方向に並ぶ複数のエアバッグを備えるとともに、各エアバッグが個別に膨張収縮自在となっていると、人体側面に対して多様なマッサージを行うことができる。
【0014】
上記側壁は左右に回動可能で折り畳み自在となっていれば、必要に応じて折り畳むことで邪魔にならないようにすることができるとともに、梱包時のサイズを小さくすることについて有効であり、背もたれの上下方向にスライド自在となっていれば使用者の体格に合わせてスライドさせることで、使用者の好みの位置に配置することができる。
【0015】
そして、背もたれの両側面から側方へ張り出す張り出し部を背もたれと一体に設けるとともに該張り出し部の前面に背もたれ前方側に突出するマッサージ部材を設けていると、マッサージ部材も背もたれと一体感のある存在となり、しかも張り出し部があるために、利用者の背の全体を背もたれで受けることができて、利用者はリラックスした状態でマッサージを受けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示す斜視図である。
【図2】同上の斜視図である。
【図3】同上の側面図である。
【図4】同上のリクライニング時の側面図である。
【図5】他例の部分斜視図である。
【図6】さらに他例の部分斜視図である。
【図7】別の例の部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を実施の形態の一例に基づいて詳述すると、図示例の椅子型のマッサージ機は、リクライニング自在な背もたれ1内にマッサージ機構(図示せず)を配したもので、上記背もたれ1に加えて、座部2と座部2の両側に位置する肘掛け3,3、座部2の前端下方に配した足載せ台4、そして上記座部2が上面に配されているフレーム5とからなるもので、上記足載せ台4はフレーム5の前端側上部に軸支されて該軸を中心に回動自在となっており、該回動によって座部2の前方側にほぼ水平状態に位置させることができる。なお、図では左側の肘掛け3を省略している。
【0018】
上記フレーム5内には、上記足載せ台4の回動駆動のためのユニットと、背もたれ1のリクライニング動作を担うリフトユニット51に加えて、後述の各エアバッグへのエア供給用のエアポンプ及び弁が配設されている。図中55はフレームカバーである。
【0019】
上記背もたれ1は、図3に示すように、その下部が上記フレーム5の上部後端に軸50によって支持されるとともに、その下端とフレーム5の上部前端との間に配したリフトユニット51の伸縮によって軸50を中心に回動することでリクライニング自在となっているもので、枠型をした背もたれフレーム10に箱型の枠11を被せ、更に枠11を外皮12で覆ったものとして形成されており、背もたれ1内に配された前記マッサージ機構は背もたれフレーム10に沿って上下に移動自在なものとなっており、人体背面に対するマッサージは、上記枠11の前面に設けられた開口部13を通じて上記外皮12ごしに施療子6を人体背面に接触させることで行う。
【0020】
肘掛け3は、座部2の側方に配された側板30と、側板30の外面を覆うサイドカバー31、側板30の上面に被せられる肘掛け部32、そして肘掛け部32の上面に配した肘掛けカバー33とからなるもので、肘掛けカバー33はその前端側が肘掛け部32に連結されているとともに肘掛け部32との対向面にエアバッグ(図示せず)が配されており、肘掛け部32上面と肘掛けカバー33との間に腕を入れて上記エアバッグを膨張収縮させることで腕に対するマッサージを行うことができるものとなっている。
【0021】
また、ここにおける肘掛け3は、図3及び図4に示すように、その側板30の後端部が背もたれ1に軸35で連結されているとともに、側板30の前端部に軸37で連結されたリンク36が軸38によって前記フレーム5に連結されたものとなっているために、背もたれ1のリクライニング動作に同期して上面の角度が変化する。ただし、図示例のものでは、背もたれ1の角度変化よりも、肘掛け3上面の角度変化の方を小さくしており、背もたれ1を起こした状態では背もたれ1前面と肘掛け3上面とがなす角度α1が115°であるのに対し、背もたれ1を最も寝かした状態では背もたれ1前面と肘掛け3上面とがなす角度α2が160°となるようにしている。
【0022】
背もたれ1のみがリクライニングして肘掛け3が動かない場合と比較すると、背もたれ1を寝かせた時も肘掛け3上に腕をリラックスさせた状態で置いておくことができるものであり、また背もたれ1を寝かせた状態でも肘掛け3における上記エアバッグによるマッサージを腕(手首や手を含む)に対して行うことができるものである。
【0023】
肘掛け3の内側面(座部2側の面)にはフレーム5に固定したサイドプレート60を設けているとともに、サイドプレート60の内側面にエアバッグ61を配してある。このエアバッグ61の膨張収縮によって、腰から大腿部の側面をマッサージあるいは固定することができるようになっている。
【0024】
そして、ここにおける背もたれ1は、前記従来例と同様に前方側に突出する側壁15を有して、該側壁15の内側面にエアバッグ16が配されることで、マッサージ部材が背もたれ1の両側上部に設けられているのであるが、上記側壁15は、背もたれ1の側面に取り付けられたものではなく、背もたれ1の上部両側に側方に張り出した張り出し部14,14を設けて、この張り出し部14の前面から側壁15を前方へ突出させている。
【0025】
上記張り出し部14は、その上端が背もたれ1の上端に滑らかに繋がるとともに下方ほど側方への張り出しが大きくなっているもので、側壁15も張り出し部14の側縁に沿って設けているために、張り出し部14側面の傾斜に合わせた傾きを持っている。しかも側壁15の前方への突出量も、背もたれ1の上端側ではゼロで下方ほど大きくなる形状となっているために、この側壁15は、背もたれ1と一体感のあるものとなっている。また、側壁15の内側面に配したエアバッグ16も、側壁15と同様に下側ほど大きい三角形状の外形を持つものとしている。
【0026】
このマッサージ機において、座部2に座って背もたれ1に背を預け、この状態で背もたれ1の側壁15の内側に配したエアバッグ16を膨張収縮させれば、肩から上腕にかけての人体側面をマッサージすることができる。また、エアバッグ16を膨張させることで背もたれ1に対して人体を固定すれば、背もたれ1内に配したマッサージ機構が施療子で人体を背後から押す時、人体が背もたれ1から浮き上がることがないために、人体背面に対するマッサージを効果的に行うことができる。
【0027】
加えるに、側壁15は前述のように下側ほど横に広がる位置にあり、エアバッグ16も側壁15の内側面に沿った状態となっていることから、エアバッグ16は人体側面の肩から上腕にかけての傾斜面を的確に押圧することができる。殊にエアバッグ16は幅がある部分が大きく膨らむために、下方ほど大きく膨張することになり、上腕の上部側面にあるツボを効果的にマッサージすることができる。さらに利用者の座高が少々異なろうと、押圧が強くなりすぎたり弱くなりすぎたりすることもない。
【0028】
なお、側壁15を備えた張り出し部14は、背もたれ1の上部のみに設けており、側壁15もこの張り出し部14の範囲内で設けている。このためにリクライニング動作させた時に肘掛け1に載せた腕に張り出し部14や側壁15が干渉してしまうことはない。また、背もたれ1の側面から側方に張り出し部14を張り出しているとはいえ、この張り出し14は、座部2の両側に配した肘掛け3,3よりも側方に突出するものではないために、梱包時のサイズが大きくなってしまうことはない。
【0029】
背もたれ1をもっとも倒した時には、側壁1は背もたれ1の前面より高い位置にくることになるが、背もたれ1の上端部分とほぼ同一の高さ内に収まるようにしているために、この点においても梱包時のサイズが大きくなってしまうことはない。
【0030】
図5に他例を示す。外観的には上記実施例と同じであるが、ここでは張り出し部14から前方に向けて突出させた側壁15を外側方がわに回動させることで畳むことができるようにしている。なお、前方側に突出した状態を保つためのロック(図示せず)を設けているために、エアバッグ16を膨張させた時に側壁15が畳まれてしまうことはない。
【0031】
このように畳むことができるようにしておくことで、エアバッグ16によるマッサージあるいは身体の固定を必要としない時、背もたれ1に持たれている人体が側壁15によって圧迫感を感じてしまうことがないようにすることができる。また、背もたれ1前面側への突出量をほぼゼロにすることができるために、この前方への突出が梱包時のサイズを大きくしてしまうことになる場合、側壁5を畳むことで梱包時のサイズを小さく保つことができる。
【0032】
図6に示すものは、張り出し部14に対して前方に突出している部分である側壁15を上下にスライドさせてその位置を変更することができるようにしたものである。使用者の体格に合わせてスライドさせて体格に合わせることができる。
【0033】
図7は、側壁15の内側面に上下に並ぶ複数個のエアバッグ16を配置するとともに、これら各エアバッグ16を個別に膨張収縮させることができるようにしたものを示している。各エアバッグ16の膨張収縮を制御することにより、人体側面に対するマッサージを多様なものとすることができる。
【符号の説明】
【0034】
1 背もたれ
3 肘掛け
14 張り出し部
15 側壁
16 エアバッグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体背面のマッサージ用のマッサージ機構を背もたれに配したマッサージ機において、上記背もたれの両側部に背もたれの前方側に突出するマッサージ部材を備えるとともに、人体の上部側面のマッサージ用で空気の給排気によって膨張収縮する上記マッサージ部材は、背もたれ前方への突出量が上部よりも下方側が大となっていることを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
背もたれがリクライニング自在であるとともに、上記マッサージ部材はリクライニング時におけるマッサージ部材の高さが背もたれ上端の高さ以下であることを特徴とする請求項1記載のマッサージ機。
【請求項3】
マッサージ部材は上下方向に並ぶ複数のエアバッグを備えるとともに、各エアバッグが個別に膨張収縮自在となっていることを特徴とする請求項1または2記載のマッサージ機。
【請求項4】
上記側壁は左右に回動可能で折り畳み自在となっていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のマッサージ機。
【請求項5】
上記側壁は背もたれの上下方向にスライド自在となっていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のマッサージ機。
【請求項6】
背もたれの両側面から側方へ張り出す張り出し部を背もたれと一体に設けるとともに該張り出し部の前面に背もたれ前方側に突出するマッサージ部材を設けていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のマッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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