説明

マッサージ機

【課題】揺動動作によるマッサージ効果を付与する身体部位を好適に変更することができるマッサージ機を提供する。
【解決手段】マッサージ機は、使用者が着座可能な座部14と、この座部14の後部に設けられる背もたれ部15とを有している。また、脚用支持部16bの揺動時における使用者の姿勢を変更可能な姿勢変化手段としての可動部13c及び傾動機構を有する。これら可動部13c及び傾動機構が揺動の目的に応じて協調動作する態様で制御部により制御されて、座部14及び背もたれ部15の両方を傾動させて各部14,15の成す角度が変化されることで使用者の揺動時の姿勢が変化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体を揺動動作させることでマッサージ効果を付与するマッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、使用者の身体に対して外的な刺激を与えるマッサージ機が提案されている(例えば特許文献1参照)。
特許文献1のマッサージ機は、使用者が着座状態でマッサージ可能なように椅子型を成し、使用者が着座可能な座部の前部に設けられて使用者の脚部を載置可能なオットマンに、リラックス揺動部が設けられている。リラックス揺動部は、例えば使用者の両足首を受ける1つの足受け部材を左右方向に往復揺動させるものであり、足受け部材を左右方向にゆっくりと往復揺動させることで両脚等の下半身(脚部全体)が使用者の腰部を中心として比較的ゆっくりとした揺動運動され、所謂金魚運動を自動で行わせるようになっている。そして、使用者の両脚を左右に比較的ゆっくりとした揺動動作をさせて所謂金魚運動を行わせることで使用者の脚部の緊張状態を緩和させるようになっている。また、特許文献1のマッサージ機は、座部に対して背もたれ部を傾動可能(リクライニング可能)とされるため、揺動動作によるマッサージを使用者の好みの姿勢で行うことが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−237295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のようなマッサージ機では、座部の後部にリクライニング可能な背もたれ部が設けられているため、揺動動作によるマッサージを使用者の好みの姿勢で行うことが可能とされている。また、使用者の姿勢によっては、下半身のみを揺動させたり、下半身を揺動させて全身にその揺動を伝達させたりすることが可能とされる。しかしながら、使用者自身が背もたれ部を傾動(リクライニング)させる場合では、その好適な姿勢が分からないといった問題があり、このような問題を解決することができるマッサージ機の開発が望まれている。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、揺動動作によるマッサージ効果を付与する身体部位を好適に変更することができるマッサージ機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のマッサージ機は、使用者の脚部を支持する脚部支持手段と、該脚部支持手段を揺動動作させる揺動駆動手段と、該揺動駆動手段を制御する制御手段とを備え、前記制御手段にて前記揺動駆動手段を制御して前記脚部支持手段を揺動動作させることで前記使用者の脚部を中心に揺動させてマッサージを行うマッサージ機であって、前記揺動時における前記使用者の姿勢を変更可能な姿勢変化手段を有し、前記制御手段は、前記姿勢変化手段と前記揺動駆動手段とが協調動作するように前記姿勢変化手段及び前記揺動駆動手段を制御すること特徴とする。
【0007】
上記構成において、使用者が着座可能な座部と、この座部の後部に設けられる背もたれ部とを有し、姿勢変化手段は、座部及び背もたれ部の少なくとも一方を傾動させて座部及び背もたれ部が成す角度を変化させることで使用者の揺動時の姿勢を変化させるように構成されることが好ましい。
【0008】
上記構成において、脚部支持手段は、使用者が着座可能な座部の前部に設けられるとともに、使用者の各脚部を一体的に左右方向に傾倒可能に構成され、姿勢変化手段は、脚部支持手段の座部に対して左右方向に傾倒させることで使用者の揺動時の姿勢を変化させるように構成されることが好ましい。
【0009】
上記構成において、マッサージ機は、使用者が寝た状態で使用されるものであって、脚部支持手段は、使用者の脚部の支持高さを変更可能に構成され、姿勢変化手段は、脚部支持手段によって支持される使用者の脚部の支持高さを変化させることで使用者の揺動時の姿勢を変化させるように構成されることが好ましい。
【0010】
上記構成において、脚部支持手段は、使用者の各脚部を独立して支持する複数の支持部が備えられ、姿勢変化手段は、各支持部の距離、又は各支持部の成す角度を変化させることで使用者の揺動時の姿勢を変化させるように構成されることが好ましい。
【0011】
上記構成において、使用者の身体の少なくとも一部位に対して把持及び開放動作可能な把持開放手段を備え、制御部手段は、把持開放手段によって使用者の身体部位を把持した状態で姿勢変化手段を動作させて使用者の姿勢を変化させることが好ましい。
【0012】
上記構成において、姿勢変化手段は、使用者の各脚部を非対称となるように動作させるように構成されることが好ましい。
上記構成において、脚部支持手段は、使用者の各脚部を独立して支持する複数の支持部が備えられ、揺動駆動手段及び姿勢変化手段は、各支持部毎に設けられることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、揺動動作によるマッサージ効果を付与する身体部位を好適に変更することができるマッサージ機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施形態におけるマッサージ機の概略構成図である。
【図2】オットマンを揺動動作させる揺動駆動部の概略構成図である。
【図3】(a)(b)は、第1実施形態における協調動作について説明するための模式図である。
【図4】マッサージ機の電気的構成を説明するためのブロック図である。
【図5】(a)(b)は、第2実施形態におけるマッサージ機に備えられるオットマンの概略構成図である。
【図6】(a)(b)は、第3実施形態におけるマッサージ機の概略構成図である。
【図7】(a)(b)は、第4実施形態におけるオットマンの概略構成図である。
【図8】(a)(b)は、第5実施形態におけるオットマンの概略構成図である。
【図9】別例におけるオットマンの概略構成図である。
【図10】別例におけるマッサージ機の概略構成図である。
【図11】別例におけるオットマンの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態を図面に従って説明する。
図1は、本実施形態のマッサージ機の概略構成を示す。図1及び図3(a)(b)に示すように、マッサージ機10は、図示しない床面にされるベース部11上に計4つの支持部12,13が配置されるとともに、その支持部12,13には使用者が着座可能な座部14が支持されている。その座部14の後側には使用者が背中をもたれ掛けさせるための背もたれ部15、座部14の前側には使用者の脚を載せることができるオットマン16がともに傾動機構17(図4参照)にて傾動可能に設けられている。また、使用者の腕を置くための肘掛け部18が背もたれ部15から座部14の両側前方にかけて設けられている。
【0016】
前述したように座部14は、その前部及び後部における左右方向両側面に設けられる計4つの支持部12,13(図では2つのみ図示)にて支持されている。前部側の支持部12は、一方向(上下方向)に長く、基端側が前記ベース部11に固定された支持部材12aと、この支持部材12aの先端側に配置されて前記座部14と接続される固定部12bとを有している。なお、座部14は前記固定部12bを中心として回動可能に構成されている。
【0017】
一方、後部側の支持部13は、前記支持部材12a同様に一方向(上下方向)に長く基端側がベース部11に固定された支持部材13aと、この支持部材13aの上下方向に沿って形成されるガイド溝13bに移動可能に設けられる可動部13cとを有している。この可動部13cは使用者の姿勢を変化させる姿勢変化手段を構成するものであり、前記座部14と接続されるとともに、可動部用駆動源19(図4参照)によって前記ガイド溝13bに沿って上下方向に移動可能に構成されている。なお、前記可動部用駆動源19は、制御部20(図4参照)と電気的に接続されるとともに、この制御部20によって駆動源19の駆動が適宜制御されるようになっている。このため、可動部13cと接続される座部14は、この可動部13cが移動されることで座部14の後部側が上下動されるとともに、座部14の後部に接続された背もたれ部15の前部側が上下動されることとなる。このように、座部14の後部側及び背もたれ部15の前部側が上下動されることで、使用者の姿勢を変化させることができるようになっている。またこのとき、背もたれ部15を傾動機構17が前記制御部20にて制御されて適宜背もたれ部15及び座部14がなす角度が調整されるようになっている。なお、本実施形態では、前記可動部13c及び前記傾動機構17にて姿勢変換手段が構成されている。
【0018】
座部14の前部に設けられるオットマン16は、図2に示すように、左右方向に延びる連結ベース部16a上に、使用者の脚部(下腿)を挿入可能な凹状を成す脚用支持部16bを左右に計2つ配置して構成されている。また、このオットマン16は、各脚用支持部16bを揺動駆動部21によって左右方向に揺動可能に構成されている。
【0019】
図2に示すように揺動駆動部21は、前記制御部20にてその駆動が制御されるモータ22と、このモータ22の回転駆動力を左右方向への移動力(直線運動)に変換する直動変換機構23とを有している。
【0020】
直動変換機構23は、前記連結ベース部16aを左右方向移動可能とするガイドレール24と、前記連結ベース部16aの一部と連結されるリンク部材25とを有している。このリンク部材25は前記モータ22の回転軸(図示略)先端に設けられる回転部材22aと一端側が接続される。このため、モータ22の前記回転軸が回転されることでリンク部材25の基端側が回転されるとともに、その先端側がその回転駆動力によってガイドレール24に沿って前記連結ベース部16aを左右方向に移動させるようになっている。このように、ガイドレール24に沿って連結ベース部16aが左右方向に移動されることで、オットマン16の脚用支持部16bを一体的に揺動動作させる。
【0021】
ところで、所謂スポーツマッサージの場面では、足首を持ち上げることで相対的に腰部を下げた状態で脚部のみを効果的に揺動させている。このとき揺動の速度は比較的速めがよい。さらに、揺動部位を限定的させるには、身体を横にしたり片足のみを高くして揺らすといったアレンジが行われる。一方、所謂金魚運動では、全身を伸展して両足を閉じる姿勢をつくることで、揺動を全身に伝えている。このとき、揺動の速度は比較的遅い揺動動作で実施することにより全身に対して揺動を伝達できるようになっている。
【0022】
上述したように、揺動効果部位を変えるためには、利用者の姿勢を適切に規定する必要がある。また、揺動は使用者の姿勢と協調して動作を規定することが望ましい。このような姿勢の規定は従来の上半身傾倒を行うリクライニングや、膝を伸ばすオットマンの角度調節だけでは達成され難い。また使用者も揺動による効果部位を変えるために好適な姿勢が分からないといった問題が考えられる。
【0023】
そのため、前述のように構成されたマッサージ機10では、制御部20によって揺動駆動部21と姿勢変化手段を構成する可動部13c及び傾動機構17とが協調動作するように制御されている。ここで、「協調動作」とは、揺動駆動部21による揺動動作の目的に合わせて使用者の姿勢を変化(変更)するように座部14及び背もたれ部15を動作させることである。
【0024】
例えば、オットマン16を揺動駆動部21にて左右方向に揺動させる際に、使用者の脚部(下半身)を中心とした揺動動作を実現させたい場合、制御部20は可動部用駆動源19を制御して可動部13cを下側に動作させる。このとき、制御部20は、傾動機構17を制御して座部14及び背もたれ部15のなす角度が略90度程度まで背もたれ部15を起立させる。これによって、使用者の腰(股関節)の角度を略90度に屈曲させて腰部への荷重を増やすことができる。このため、オットマン16を揺動動作させることで、その揺動は使用者の腰部辺りまでしか伝達されず、下半身を中心とした揺動動作を実現することができるようになっている。
【0025】
また、オットマン16を揺動駆動部21にて左右方向に揺動させる際に、使用者の身体全体に亘って揺動させたい場合、制御部20は可動部用駆動源19を制御して可動部13cを上側に動作させて座部14を床面と略平行とさせる。このとき、制御部20は、傾動機構17を制御して座部14及び背もたれ部15のなす角度が180度に近づくような角度(例えば略150度)まで背もたれ部15を傾動させる。このように座部14及び背もたれ部15のなす角度を大きくすることで、使用者が寝た姿勢とすることができる。このため、オットマン16を揺動動作させることで、その揺動は使用者の上半身にも伝達されて使用者の身体全体の揺動動作を実現することができるようになっている。
【0026】
上述したように、下半身を中心とした揺動か全身の揺動かといった揺動の目的に応じた協調動作となるように、使用者の姿勢を制御部20による傾動機構17及び可動部13cの制御にて変化させることで、マッサージ効果を付与する身体部位を好適に変更することができるようになっている。
【0027】
次に、本実施形態の特徴的な作用効果を記載する。
(1)マッサージ機10は、揺動時における使用者の姿勢を変更可能な姿勢変化手段としての可動部13c及び傾動機構17を有する。これら可動部13c及び傾動機構17が揺動の目的に応じて協調動作する態様で制御部20により制御される。このような構成とすることで、揺動動作の目的に応じて揺動動作によるマッサージ効果を付与する身体部位を好適に変更することができる
(2)使用者が着座可能な座部14と、この座部14の後部に設けられる背もたれ部15とを有している。そして、姿勢変化手段を構成する可動部13c及び傾動機構17は、座部14及び背もたれ部15の両方を傾動させて各部14,15の成す角度が変化されることで使用者の揺動時の姿勢が変化される。このように、背もたれ部15及び座部14の成す角度を変更することで、使用者の股関節の角度が変更されて使用者の脚部を中心として好適に揺動させたり、使用者の全身を好適に揺動させたりすることができる。
【0028】
(第2実施形態)
以下、本発明を具体化した第2実施形態を図5に従って説明する。尚、第1実施形態と同じ部材については同じ符号を付して図面及び説明の全て又は一部を割愛する。
【0029】
図5(a)(b)は、オットマンのみを正面から図示したものである。本実施形態のマッサージ機に備えられるオットマン40は、座部14の前面側(紙面手前側)に配置された略三角形状のベース部材41の下側の2辺(2面)のそれぞれに、オットマン40の各脚用支持部16bの上端に設けられる固定部16cと接続される接続部材42が設けられている。この接続部材42は、ターンバックルなどの長さ調整可能な部材にて構成されている。このため、例えば各接続部材42の長さを図示しない駆動源にて調整することで、オットマン40を座部14に対して左右方向に傾倒させることが可能となる。
【0030】
ここで、例えば、オットマン40を図5(a)に示すように非傾倒とされる通常状態とした場合における揺動動作と、オットマン40を図5(b)に示すように左右方向のいずれかに傾倒させる傾倒状態とした場合における揺動動作との違いについて説明する。
【0031】
図5(a)に示すようにオットマン40を座部14に対して平行(非傾倒)とした場合には、使用者の重心位置は座部14の左右方向略中心位置と設定される。このため、オットマン40を前記揺動駆動部21(図2参照)にて左右に揺動させることで、使用者の脚部や身体をバランス良く揺動することができるようになっている。
【0032】
一方、図5(b)に示すように、オットマン40を座部14に対して左右方向右側に傾倒させる場合、使用者の腰を捻った状態とすることができる。より具体的には、右側の接続部材42の長さが長め且つ左側の接続部材42の長さが短めとなるように図示しない駆動源により変更されることで、使用者の両膝が身体の中心に対して右寄りとなるとともに、足先が身体の中心に対して左寄りとなるように姿勢が変化される。これにより、使用者の重心が右側にシフトされて、左側の身体を揺動動作させることが容易とされる。また、右側の接続部材42の長さを短め且つ左側の接続部材42の長さを長めとすることで、使用者の重心を左側にシフトすることができるとともに、右側の身体を揺動動作させることが容易となる。
【0033】
上述したように、揺動動作の目的に応じてオットマン40を座部14に対して左右方向に傾倒させた傾倒状態と非傾倒状態とを切り替えて使用者の姿勢を変化させる構成とすることで、マッサージ効果を付与する身体部位を好適に変更可能とされている。
【0034】
次に、本実施形態の特徴的な作用効果を記載する。
(1)オットマン16を構成する脚用支持部16bは、使用者が着座可能な座部14の前部に設けられるとともに、使用者の各脚部(下腿)を一体的に左右方向に傾倒可能に構成される。そして、制御部20により脚用支持部16bの座部14に対して左右方向に傾倒させることで使用者の揺動時の姿勢を変化させるように構成される。このように、脚用支持部16bを一体的に座部14に対して傾倒させることで、使用者の揺動中心を左右にずらすことができる。また、脚用支持部16bが非傾倒状態である場合には、使用者の重心位置は左右方向略中心位置と設定されて使用者の脚部や身体をバランスよく振動させることができる。
【0035】
(第3実施形態)
以下、本発明を具体化した第3実施形態を図6に従って説明する。尚、前記第1及び第2実施形態と同じ部材については同じ符号を付して図面及び説明の全て又は一部を割愛する。
【0036】
図6(a)(b)は、使用者が寝た状態で使用するマッサージ機の概略構成を示す。本実施形態のマッサージ機50は前記第1及び第2実施形態と異なり、背もたれ部や座部が省略されて、使用者が寝た姿勢で主に使用されるものである。
【0037】
マッサージ機50のベース部11は図示しない床面に載置されるとともに、その上面には上下方向且つ前後方向に延びて円弧状を成す支持部材51が前後左右にそれぞれ1つずつ、計4つ(図6(a)(b)では2つのみ図示)設けられている。支持部材51には、オットマン16の脚用支持部を16b支持する接続部材51aが設けられるとともに、この接続部材51aは円弧状を成す前記支持部材51の湾曲方向に沿って形成されるガイド溝51b上を移動可能に構成されている。前記接続部材51aは、前記制御部20によって制御される図示しない駆動源にて前記ガイド溝51b上の任意の位置まで移動させてその位置で停止可能に構成されている。これによって、脚用支持部16bに載置された使用者の脚部の高さを変えて股関節の角度を変更可能に構成されている。なお、本実施形態では、支持部材51、接続部材51a、ガイド溝51b及び駆動源にて姿勢変化手段が構成される。
【0038】
上記のように構成されたマッサージ機50では、制御部20によって揺動駆動部21と姿勢変化手段を構成する接続部材51aとが協調動作するように制御されている。具体的には、例えばオットマン16を揺動駆動部21にて左右方向に揺動させる際に、使用者の脚部(下半身)を中心とした揺動動作を実現させたい場合、制御部20は図示しない前記駆動源を制御して接続部材51aを上側に動作させる。このため、使用者の脚部(下腿)が上動されて使用者の腰(股関節)の角度を略90度に屈曲させて腰部への荷重を増やすことができる。このため、オットマン16(脚用支持部16b)を揺動動作させることで、その揺動は使用者の腰部辺りまでしか伝達されず、下半身を中心とした揺動動作を実現することができるようになっている。
【0039】
また、オットマン16を揺動駆動部21にて左右方向に揺動させる際に、使用者の身体全体に亘って揺動させたい場合、制御部20は図示しない前記駆動源を制御して接続部材51aを下側に動作させる。このため、使用者の脚部(下腿)が下動されて使用者の膝や腰(股関節)が伸ばした姿勢(寝た姿勢)とすることができる。このため、オットマン16を揺動動作させることで、その揺動は使用者の上半身にも伝達されて使用者の身体全体の揺動動作を実現することができるようになっている。
【0040】
次に、本実施形態の特徴的な作用効果を記載する。
(1)マッサージ機50は、使用者が寝た状態で使用されるものであって、脚用支持部16bは、使用者の脚部の支持高さを変更可能に構成される。制御部20により姿勢変化手段を構成する駆動源が制御されることで、脚用支持部16bによって支持される使用者の脚部の支持高さが前記ガイド溝51b上の任意の位置に変化され、使用者の揺動時の姿勢が変化されるように構成される。このように、揺動動作の使用者の脚部の支持高さを変更することで、例えば使用者の膝や腰(股関節)が延びた寝た姿勢や、膝や腰(股関節)を曲げた姿勢で揺動することができる。このため、例えば、脚用支持部16bの位置が上側とされて膝や腰(股関節)を曲げた姿勢で各脚用支持部16bを揺動させて使用者の脚部を中心とした揺動動作を実施することができる。また、脚用支持部16bの位置が下側とされて使用者の膝や腰(股関節)が延びた寝た姿勢で各脚用支持部16bを揺動させて使用者の全身を揺動させることができる。
【0041】
(第4実施形態)
以下、本発明を具体化した第4実施形態を図7に従って説明する。尚、第1〜第3実施形態と同じ部材については同じ符号を付して図面及び説明の全て又は一部を割愛する。
【0042】
図7(a)(b)は、マッサージ機に備えられるオットマンの概略構成を示す。本実施形態のマッサージ機に備えられるオットマン60は、連結ベース部16aがその上下に設けられる左右方向に延びる2つのガイドレール24に支持されている。また、オットマン16を構成する凹状をなす各脚用支持部16bは、各脚用支持部16b間の左右方向の距離(幅)を調整可能な幅調整部61を備えている。
【0043】
幅調整部61は、幅調整用モータ62と、この幅調整用モータ62の駆動を受けて前記脚用支持部16bを左右方向外側若しくは左右方向内側に移動させる調整機構63とを有している。
【0044】
調整機構63は、ねじ付きシャフト64と、このねじ付きシャフト64に対して前記モータ62の駆動力を伝達する2つのベベルギヤ65,66とを有している。ねじ付きシャフト64は、左右方向に延びてその両端が前記連結ベース部16aに固定されるとともに、その左右方向両側にはねじ状部64aが形成されている。このねじ状部64aには、それぞれ各脚用支持部16bの底部側に形成される螺合支持部16dが螺合されている。また、前記2つのベベルギヤ65,66の一方(ベベルギヤ65)は前記モータ62の回転軸先端に一体回転可能に設けられるとともに、他方のベベルギヤ66は、前記ねじ付きシャフト64の左右方向略中央部にねじ付きシャフト64と一体回転可能に設けられている。そして、各ギヤ65,66が互いに螺合されることで、前記モータ62の回転駆動力が各ギヤ65,66を介して前記ねじ付きシャフト64に伝達されてねじ付きシャフト64が回転される。そして、ねじ付きシャフト64が回転されることで、このねじ付きシャフト64と螺合された各脚用支持部16bの各螺合支持部16dがねじ付きシャフト64の長手方向(左右方向)に沿って左右方向内側若しくは左右方向外側に同時に移動される。このため、各脚用支持部16bが左右方向内側若しくは左右方向外側に移動されて各脚用支持部16b間の距離(幅)が変更可能とされている。
【0045】
また、各脚用支持部16bの左右側壁16eの内側面16fには、膨縮動作可能な把持開放手段としてのエアバッグ67が設けられている。このため、エアバッグ67を図示しないエアポンプにて膨張させて使用者の脚部(下腿)を把持したり、エアバッグ67を収縮させて使用者の脚部(下腿)を開放したりすることができるようになっている。
【0046】
上記のように構成されたマッサージ機のオットマン60では、制御部20により揺動駆動部21(モータ22)及び幅調整部61のモータ62が制御される。具体的には、揺動動作の目的が脚部中心である場合、制御部20は、前記幅調整部61のモータ62を制御して各脚用支持部16b間の左右方向の距離(幅)を広げて、使用者の股関節が外転されて脚部(膝)が開いた状態として揺動動作を開始させるようになっている。また、例えば揺動動作の目的が上半身に及ぶ場合、制御部20は、前記幅調整部61のモータ62を制御して各脚用支持部16b間の左右方向の距離(幅)を狭めて、使用者の股関節が内転して脚部(膝)が閉じた状態として揺動動作を開始させるようになっている。
【0047】
次に、本実施形態の特徴的な作用効果を記載する。
(1)使用者の各脚部(下腿)を独立して支持する2つの脚用支持部16bにて脚部支持手段が構成される。制御部20は、姿勢変化手段としての幅調整部61を制御して各脚用支持部16bの距離(幅)を変化させることで使用者の揺動時の姿勢を変化させるように構成される。このように、例えば脚用支持部16b間の距離を変更して股関節を内転させた状態や股関節を外転させた状態で揺動動作することで、使用者の上半身にも揺動を伝達させることや、脚部を中心として揺動させることができる。このようにして揺動動作によるマッサージ効果を付与する身体部位を好適に変更することができる。
【0048】
(第5実施形態)
以下、本発明を具体化した第5実施形態を図8に従って説明する。尚、第1〜4実施形態と同じ部材については同じ符号を付して図面及び説明の全て又は一部を割愛する。
【0049】
図8(a)(b)は、マッサージ機に備えられるオットマンの概略構成を示す。本実施形態のマッサージ機のオットマン70は、連結ベース部16aがその上下に設けられる左右方向に延びる2つのガイドレール24に支持されている。この連結ベース部16aには、各脚用支持部16bのそれぞれが2つの回動軸16gにて回動可能に支持されている。凹状をなす各脚用支持部16bは、前記回動軸16gを中心に各脚用支持部16bを回動させることで各脚用支持部16bが成す角度を調整可能な角度調整部71を備えている。
【0050】
角度調整部71は、角度調整用モータ72と、この角度調整用モータ72の駆動を受けて前記脚用支持部16bを前記回動軸16g中心に回動させる回動機構73を有している。
【0051】
回動機構73は、前記モータ72とともに各脚用支持部16b間に配置されている。回動機構73は、モータ72の回転駆動力によって回転されるねじ付きシャフト74が上下方向に延びるようにしてその上下方向両端部が軸受75にて回転可能に支持されている。また、ねじ付きシャフト74の左右方向両側には、このねじ付きシャフト74の長手方向(上下方向)に沿って配置されるガイドレール76が設けられている。また、ねじ付きシャフト74には可動体77が螺合されるとともに、この可動体77はその左右方向両側に挿通孔が形成されてこの挿通孔に前記ガイドレール76が挿通されている。このため、ねじ付きシャフト74が回転されることで、これに螺合された可動体77は前記ガイドレール76に沿って上下動されるようになっている。また、可動体77には、その左右方向両側には脚用支持部16bとその一端が連結される連結部材78が接続されている。このため、モータ72の駆動力によって前記可動体77が上下動されることで、脚用支持部16bが回動軸16gを中心として回動されるようになっている。
【0052】
より具体的には、可動体77が上動されることで、各脚用支持部16bの左右方向内側部位と接続される連結部材78を介して左右方向内側部位が左右方向外側部位に位置する回動軸16gにて回動される。さらに、可動体77が下動されることで、各脚用支持部16bの左右方向内側部位と接続される連結部材78を介して左右方向内側部位が左右方向外側部位に位置する回動軸16gにて回動される。このようにして、各脚用支持部16bを同時に回動させて各脚用支持部16bの成す角度を角度調整部71によって調整することができ、これによって、使用者の脚部の姿勢を変化させることができるようになっている。
【0053】
上記のように構成されたマッサージ機のオットマン70では、制御部20により揺動駆動部21(モータ22)及び角度調整部71のモータ72が制御される。具体的には、揺動動作の目的が脚部中心である場合、制御部20は、前記角度調整部71のモータ72を制御して各脚用支持部16bを前記回転軸16g中心に左右方向内側に回動させて、使用者の股関節が外旋されて内股が揺れやすい状態で揺動動作を開始する。また、例えば揺動動作の目的が上半身に及ぶ場合、制御部20は、前記角度調整部71のモータ72を制御して各脚用支持部16bを前記回転軸16g中心に左右方向外側に回動させて、使用者の股関節が内旋された内股が閉じた状態で揺動動作を開始させる。
【0054】
次に、本実施形態の特徴的な作用効果を記載する。
(1)使用者の各脚部(下腿)を独立して支持する2つの脚用支持部16bにて脚部支持手段が構成される。制御部20は、姿勢変化手段としての角度調整部71を制御して各脚用支持部16bが成す角度を変化させることで使用者の揺動時の姿勢を変化させるように構成される。このように、例えば脚用支持部16bの成す角度を変更して、股関節を外旋させた状態や股関節を内旋させた状態で揺動動作することで、使用者の脚部を中心として揺動させることや、使用者の上半身にも揺動を伝達させることができる。このようにして揺動動作によるマッサージ効果を付与する身体部位を好適に変更することができる。
【0055】
尚、本発明の各実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記第1実施形態では、傾動機構17及び可動部13cを動作させて座部14及び背もたれ部15の両方を傾動させることで使用者の揺動時の姿勢を変化させるように構成したが、これに限らない。例えば、座部14及び背もたれ部15のいずれか一方のみを傾動させることで、使用者の揺動時の姿勢を変化させるように構成してもよい。
【0056】
・上記第4実施形態において、脚用支持部16bの内側面16fに把持開放手段としてのエアバッグ67を設ける構成を採用したが、このエアバッグ67を省略した構成を採用してもよい。また、例えば上記第4実施形態を除く他の実施形態において、脚用支持部16bの内側面16fに把持開放手段としてのエアバッグを設ける構成を採用してもよい。
【0057】
・上記第4及び第5実施形態では、各脚用支持部16bがその左右方向中心に対して対称となるように動作するように構成したが、例えば図9や図10に示すように各脚用支持部16bがその左右方向中心に対して非対称となるように動作するように構成してもよい。
【0058】
図9では、第5実施形態として示した上下方向に可能な可動体77を2つ設け、一方の可動体77が下動する場合には他方の可動体77が上動するように構成される。このような構成とすることで、脚用支持部16bをその左右方向中心に対して非対称となるように動作させることができるようになっている。
【0059】
また、図10に示すように、座部14の前部に設けられるオットマン16の各脚用支持部16bの一方が座部14に対して下動する場合には他方の脚用支持部16bが座部14に対して上動するように構成される。このような構成とすることで、脚用支持部16bをその左右方向中心に対して非対称となるように動作させることができるようになっている。
【0060】
・上記各実施形態では、2つの脚用支持部16bに対して1つの揺動駆動部21及びこれと協調動作される1つの姿勢変化手段にて構成したが、これに限らない。例えば図11に示すように各脚用支持部16b毎に揺動駆動部21及びこれと協調動作される1つの姿勢変化手段を備える構成を採用してもよい。このような構成とすることで、マッサージを施したい脚部だけを選択的に揺らすことが可能となる。更に、左右の脚用支持部16bの動作のタイミングをずらすことが可能となるとともに、左右の脚用支持部16bによって揺動の振幅を変化させることも可能となる。
【0061】
・上記各実施形態では、各脚用支持部16bを揺動駆動部21にて左右方向に揺動動作させる構成としたが、その揺動方向はこれに限らず、例えば、円運動や傾動(円弧運動)させる等の揺動動作であってもよい。
【0062】
・上記各実施形態では、特に言及していないが、例えば背もたれ部15を有した椅子型のマッサージ機である場合、揉み玉によって使用者の背部をマッサージするメカマッサージ機構を背もたれ部15に備えた構成を採用してもよい。
【0063】
・上記各実施形態では、特に言及していないが、例えば使用者の身体を押圧可能なエアバッグを座部14や背もたれ部15、オットマン16等に設ける構成を採用してもよい。
【符号の説明】
【0064】
10,50…マッサージ機、12,13…支持部、13c…姿勢変化手段を構成する可動部、14…座部、15…背もたれ部、16b…脚部支持手段としての脚用支持部、17…姿勢変化手段を構成する傾動機構、20…制御手段を構成する制御部、21…揺動駆動手段としての揺動駆動部、67…把持開放手段としてのエアバッグ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の脚部を支持する脚部支持手段と、該脚部支持手段を揺動動作させる揺動駆動手段と、該揺動駆動手段を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段にて前記揺動駆動手段を制御して前記脚部支持手段を揺動動作させることで前記使用者の脚部を中心に揺動させてマッサージを行うマッサージ機であって、
前記揺動時における前記使用者の姿勢を変更可能な姿勢変化手段を有し、
前記制御手段は、前記姿勢変化手段と前記揺動駆動手段とが協調動作するように前記姿勢変化手段及び前記揺動駆動手段を制御することを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
請求項1に記載のマッサージ機において、
前記使用者が着座可能な座部と、該座部の後部に設けられる背もたれ部とを有し、
前記姿勢変化手段は、前記座部及び前記背もたれ部の少なくとも一方を傾動させて座部及び背もたれ部が成す角度を変化させることで前記使用者の揺動時の姿勢を変化させるように構成されたことを特徴とするマッサージ機。
【請求項3】
請求項1に記載のマッサージ機において、
前記脚部支持手段は、前記使用者が着座可能な座部の前部に設けられるとともに、前記使用者の各脚部を一体的に左右方向に傾倒可能に構成され、
前記姿勢変化手段は、前記脚部支持手段の前記座部に対して左右方向に傾倒させることで前記使用者の揺動時の姿勢を変化させるように構成されたことを特徴とするマッサージ機。
【請求項4】
請求項1に記載のマッサージ機において、
前記マッサージ機は、前記使用者が寝た状態で使用されるものであって、
前記脚部支持手段は、前記使用者の脚部の支持高さを変更可能に構成され、
前記姿勢変化手段は、前記脚部支持手段によって支持される前記使用者の脚部の支持高さを変化させることで前記使用者の揺動時の姿勢を変化させるように構成されたことを特徴とするマッサージ機。
【請求項5】
請求項1に記載のマッサージ機において、
前記脚部支持手段は、前記使用者の各脚部を独立して支持する複数の支持部が備えられ、
前記姿勢変化手段は、前記各支持部の距離、又は各支持部の成す角度を変化させることで前記使用者の揺動時の姿勢を変化させるように構成されたことを特徴とするマッサージ機。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のマッサージ機において、
前記使用者の身体の少なくとも一部位に対して把持及び開放動作可能な把持開放手段を備え、
前記制御手段は、前記把持開放手段によって使用者の身体部位を把持した状態で前記姿勢変化手段を動作させて前記使用者の姿勢を変化させることを特徴とするマッサージ機。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のマッサージ機において、
前記姿勢変化手段は、前記使用者の各脚部を非対称となるように動作させるように構成されたことを特徴とするマッサージ機。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載のマッサージ機において、
前記脚部支持手段は、前記使用者の各脚部を独立して支持する複数の支持部が備えられ、
前記揺動駆動手段及び前記姿勢変化手段は、前記各支持部毎に設けられたことを特徴とするマッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−11097(P2012−11097A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−152400(P2010−152400)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】