説明

マッサージ装置

【課題】 ユーザの誤操作に基づくマッサージ動作の作動を回避することが可能なマッサージ装置を提供すること。
【解決手段】 マッサージ装置1は、肩位置ボタン27、リクライニングボタン28等、マッサージ動作に関する所定の指示を外部から行うための操作ボタンが複数設けられたリモコン21を有し、マッサージ動作の作動中に操作ボタンが同時に又は所定の時間内に複数選択された場合はマッサージ動作を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の操作キーが設けられた操作部を有するマッサージ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えばリモコンや操作パネル等の操作部の操作に応じてマッサージ動作を行うマッサージ装置が知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。このようなマッサージ装置は、例えば複数のマッサージモードや、さらにはリクライニング機能、オットマンの昇降機能等を備えるとともに、これらのモードや機能に対応した各種の操作キーが操作部に設けられている。そして、ユーザは操作キーを押す等によって選択することにより、マッサージ装置に所望のモードや機能に即したマッサージ動作を行わせることができるようになっている。
【0003】
ところで、マッサージ動作の作動中に、例えばユーザが慌てて操作部であるリモコンを握り締めたり、身体とマッサージ装置の座部との間にリモコンを挟み込んでしまったりすることにより、誤って複数の操作キーが同時に又は短時間内に連続して押されてしまうようなことがある。しかしながら、このような場合であっても従来のマッサージ装置は押下された操作キーに応じたマッサージ動作を行うため、ユーザの誤操作に基づくマッサージ動作の作動を回避することができない。
【特許文献1】特開2001−494号公報
【特許文献2】特開平9−10268号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、ユーザの誤操作に基づくマッサージ動作の作動を回避することが可能なマッサージ装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、マッサージ動作に関する所定の指示を外部から行うための操作キーが複数設けられた操作部を有し、マッサージ動作の作動中に前記操作キーが同時に又は所定の時間内に複数選択された場合は前記マッサージ動作を停止するマッサージ装置を特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ユーザの誤操作に基づくマッサージ動作の作動を回避することが可能なマッサージ装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【実施例1】
【0008】
図1は本実施例に係るマッサージ装置を示す。このマッサージ装置1は椅子式のエアマッサージ装置であり、図1において、符号2は基部、3は基部2に載置された座部、4は座部3の両側方に設けられた肘掛け部、5は座部3の後縁部にリクライニング可能に設けられた背凭れ部、6は基部2の前方に昇降可能に設けられた脚置き部(オットマン)をそれぞれ示す。
【0009】
座部3には、腰掛けたユーザ(被施療者)の大腿部及び臀部を膨張・収縮によってマッサージする大腿部用エアバッグ7及び臀部用エアバッグ8が内蔵されている。
【0010】
背凭れ部5には、大腿部用エアバッグ7等と同様にユーザの背部や腰部をマッサージする背腰部用エアバッグ9が複数内蔵されるとともに、その上方にはユーザの首部や肩部をマッサージする首肩部施療部10が突設されている。首肩部施療部10は、左右2つの首肩部エアバッグ11の前方に揉み玉12が配設されてなり、首肩部エアバッグ11の膨縮に応じて揉み玉12が前後動することにより揉み玉12がユーザの首肩部を押圧しマッサージするようになっている。この首肩部施療部10はユーザの肩位置に合わせることができるように、図示を略す首肩部施療部電動昇降機構によって上下に昇降可能となっている。また、背凭れ部5は、図示を略す電動リクライニング機構によって座部3に対して所定範囲内の任意の角度で傾斜しリクライニング可能となっている。
【0011】
脚置き部6には、ユーザの脚を置くための2つの溝部13が左右に形成され、各溝部13の両側方にユーザの下腿部をマッサージする下腿部用エアバッグ14が内蔵されている。また、脚置き部6は、図示を略す脚置き部電動昇降機構によって座部3に対して所定範囲内の任意の角度で傾斜し昇降可能となっている。
【0012】
これらの各エアバッグ(大腿部用エアバッグ7、臀部用エアバッグ8、背腰部用エアバッグ9、首肩部エアバッグ11及び下腿部用エアバッグ14)は、図2に示すエア給排気装置15によって膨張・収縮するようになっている。エア給排気装置15は、エアポンプ16,17を備え、エアポンプ16には背腰部用エアバッグ9及び首肩部エアバッグ11がそれぞれ分岐した給排気管18によって接続され、エアポンプ17には大腿部用エアバッグ7、臀部用エアバッグ8及び下腿部用エアバッグ14が同様に分岐した給排気管19によって接続されている。
【0013】
給排気管18,19の分岐した各管路には電磁弁20が設けられ、各電磁弁20はエアポンプとエアバッグとの連通・遮断、給排気管の開放を選択的に行うようになっている。すなわち、電磁弁20によってエアポンプとエアバッグとが連通されると、エアポンプからの圧搾空気がエアバッグ内に流入してエアバッグの内圧が変化し膨張する。つぎに、エアポンプとエアバッグとが遮断されると、エアバッグの膨張状態が維持される。さらに、給排気管が開放されると、給排気管を介してエアバッグが大気と連通しエアバッグ内の空気が大気に排出されてエアバッグが収縮する。
【0014】
エアポンプ16,17、電磁弁20、首肩部施療部電動昇降機構、電動リクライニング機構及び脚置き部電動昇降機構は、操作部としてのリモコン21からの制御信号に従って制御部22により動作制御される。リモコン21はユーザの操作に応じた信号を制御部22に出力する。
【0015】
リモコン21は、図3に示すように、LCD23と、複数の操作キーとしての操作ボタン(操作スイッチ)からなる操作ボタン群24とを有する。操作ボタンは、その選択(例えば操作ボタンを押す等)によって、選択された操作ボタンに対応する所定のマッサージ動作に関する指示をユーザが入力するためのものである。操作ボタンには、例えばマッサージ装置1の電源のオン・オフを操作する電源ボタン25、マッサージ動作を停止させるための停止ボタン26、首肩部施療部10の上下の位置を調整するための肩位置ボタン27、背凭れ部5のリクライニング角度を調整するためのリクライニングボタン28、脚置き部6の昇降角度を調整するためのオットマンボタン29、マッサージの強さを調節するための強さ選択ボタン30等がある。例えば、肩位置ボタン27の「上」ボタンを押すと首肩部施療部10が徐々に上方に移動し、逆に「下」ボタンを押すと首肩部施療部10が徐々に下方に移動する。
【0016】
また、マッサージ装置1は、マッサージモードとして自動コースとお好み選択コースとを備え、リモコン21には各コースに対応する各種操作ボタンがカバー31に仕切られて2段に配設されている。図3(a)に示す複数の自動コース用ボタン32の操作により、ユーザは予め設定されたプログラムに従ってストレッチ、全身、首肩部、背腰部等のマッサージを順次受けることができる。一方、図3(b)に示す複数のお好み選択コース用ボタン33の操作により、ユーザはマッサージ部位や動作速度等を任意に選択することができるようになっている。
【0017】
LCD23には、例えばユーザが操作ボタンの操作により設定した内容やマッサージ中に実際にマッサージされている身体部位等が表示される。
【0018】
このように、制御部22の制御によってマッサージ装置1は、通常は押下された操作ボタンの操作に従ってマッサージ動作を行う。一方で、マッサージ動作の作動中に操作ボタンが略同時に(同時に又は所定の短時間内に)2つ以上押された場合はマッサージ装置1はそのマッサージ動作を停止するようになっている。
【0019】
図4は、マッサージ動作の作動中にリモコン21が操作されたときのマッサージ装置1の動作フローを示す。まず、マッサージ装置1がマッサージを行っているときに(S1)、リモコン21が操作されると(S2)、制御部22はリモコン21から信号を受けてその信号に基づいて操作ボタンが単独で押されたか(選択されたか)否かを判断する(S3)。
【0020】
ステップS3において、1つの操作ボタンのみ押されたと判断した場合は、制御部22はその操作ボタンに対応する所定のマッサージ動作を反映するための制御信号を出力し、エアポンプ16,17、電磁弁20、首肩部施療部電動昇降機構、電動リクライニング機構、脚置き部電動昇降機構等を制御する。これによって、新たにリモコン21によって指示されたマッサージ動作が反映される(ステップS4)。ステップS1〜S4は、マッサージ動作が停止されるまで繰り返される。
【0021】
一方、ステップS3において、複数の操作ボタンが押されたと判断した場合は、制御部22はそれらの操作ボタンに対応するマッサージ動作を反映させることなく、作動中のマッサージ動作を停止するための制御信号を出力する。これによって、マッサージ装置1はマッサージ動作を停止する(S5)。
【0022】
例えば、図5(a)に示すように3つの操作ボタンが同時に押された場合は、制御部22はマッサージ動作を停止させる制御信号を出力する。これに伴い、マッサージ装置1のマッサージ動作の停止が行われる。あるいは、複数の操作ボタンが同時に押される場合に限らず、図5(b)に示すように、複数の操作ボタンが所定の短時間(例えば0.5秒)内に連続して押されたような場合であっても、マッサージ動作の停止が行われるようにしてもかまわない。
【0023】
この実施例に係るマッサージ装置1では、マッサージ動作の作動中に操作ボタンが同時に(又は所定の短時間内に)複数押された場合はマッサージ動作を停止するので、例えばユーザが慌ててリモコン21を握り締めたり、身体と座部3との間にリモコン21を挟み込んでしまったりすることにより、誤って複数の操作ボタンが略同時に押されてしまうようなことがあっても、そのユーザの誤操作に基づくマッサージ動作の作動を回避することが可能となる。したがって、ユーザが意図しないマッサージ動作を効率的に回避することができる。また、例えば緊急状態において誤操作が発生した場合でも、マッサージ動作が停止されるのでユーザは安心して緊急状態を解消することができ、より安全性にも優れる。
【実施例2】
【0024】
本実施例に係るマッサージ装置は、マッサージ動作の作動中に、予め定められた特定の操作ボタンが他の一の操作ボタンと同時に又は所定の短時間内に押された場合については、マッサージ動作を停止せずにその特定の操作ボタンに対応する所定のマッサージ動作を反映させるもので、その他については実施例1に係るものと略同様である。なお、実施例1と同一の部分については同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0025】
マッサージ装置の制御部22には、特定の操作ボタンが優先される操作ボタン(優先の操作ボタン)として予め設定されて格納されている。この特定の操作ボタンは、例えば肩位置ボタン27の「上」ボタン、リクライニングボタン28の「起こす」ボタン、オットマンボタン29の「上」ボタン等である。これら特定の操作ボタンが、マッサージ動作の作動中に他の一の操作ボタンと略同時に押された場合は、マッサージ装置はマッサージ動作を停止することなく優先して特定の操作ボタンに対応するマッサージ動作を行うようになっている。
【0026】
図6は、マッサージ動作の作動中にリモコン21が操作されたときのマッサージ装置の動作フローを示す。まず、マッサージ装置がマッサージを行っているときに(S1)、リモコン21が操作されると(S2)、制御部22は操作ボタンが単独で押されたか否かを判断する(S3)。ステップS3において、1つの操作ボタンのみ押されたと制御部22が判断した場合は、実施例1と同様その操作ボタンに対応する所定のマッサージ動作が反映されて(S4)、マッサージ動作が継続される。
【0027】
一方、ステップS3において、複数の操作ボタンが押されたと判断した場合は、制御部22は押された操作ボタンが2つか否かを判断する(S6)。ステップS6において、押された操作ボタンが2つであると判断した場合は、つぎに制御部22はその2つの操作ボタンの中に優先の操作ボタンが含まれるか否かを判断する(S7)。そして、ステップS7において、優先の操作ボタンが含まれると判断した場合は、制御部22はその優先の操作ボタンに対応する所定のマッサージ動作を反映するための制御信号を出力し、エアポンプ16,17、電磁弁20、首肩部施療部電動昇降機構、電動リクライニング機構、脚置き部電動昇降機構等を制御する。これによって、優先の操作ボタンに対応するマッサージ動作が反映されて(ステップS8)、マッサージ動作が継続される。ステップS1〜S8は、マッサージ動作が停止されるまで繰り返される。
【0028】
一方、ステップS6において、押された操作ボタンが2つでない(すなわち、3つ以上である)と制御部22が判断した場合、又はステップS7において、優先の操作ボタンが含まれないと制御部22が判断した場合は、操作ボタンに対応するマッサージ動作は反映されることなく、マッサージ動作は停止される(S5)。
【0029】
例えば、図7に示すように通常の操作ボタン(優先の操作ボタンとして設定されていないボタン)が押された後に所定の短時間内に連続して優先の操作ボタンが押された場合は、制御部22は優先の操作ボタンに対応するマッサージ動作を指示する制御信号を出力する。これに伴い、マッサージ装置はそのマッサージ動作を反映させてマッサージ動作を継続する。ここで、さらに続けて所定の短時間内に操作ボタンが押された場合は、制御部22はマッサージ動作を停止させる制御信号を出力し、マッサージ装置のマッサージ動作の停止が行われる。
【0030】
この実施例に係るマッサージ装置では、マッサージ動作の作動中に優先の操作ボタンが他の一の操作ボタンと略同時に押された場合は、マッサージ動作を停止せずにその優先の操作ボタンに対応する所定のマッサージ動作を行うので、2つの操作ボタンの押下にかかわらず、予め設定された特定の操作ボタンについてはその対応するマッサージ動作を行わせることが可能となる。例えば、リクライニングボタン28の「起こす」ボタンを優先の操作ボタンとすると、背凭れ部5は起き上がる方向には優先して動くようになる。ここで、例えばリクライニングした背凭れ部5の下方に子供等が入り込んでいた場合に、背凭れ部5がそのように動いても問題はなく、また子供も出やすくなる。このように、操作ボタンの対応するマッサージ動作によって優先の操作ボタンを設定すれば、より利便性、安全性を向上させることができる。
【0031】
なお、本発明は上述した実施例に限られるものではなく、例えば実施例1及び実施例2では椅子式のエアマッサージ装置として説明したが、椅子式であることやエアマッサージであることには限定されず、その他のマッサージ装置であってもよい。また、操作部をリモコンとして説明したが、これには限定されず、例えばマッサージ装置に一体に設けられた操作パネル等であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】実施例1に係るマッサージ装置を示す斜視図である。
【図2】図1のマッサージ装置の制御に関する構成を説明するための模式図である。
【図3】図1のマッサージ装置のリモコンの正面図であり、(a)はカバーを閉めた状態を示し、(b)はカバーを開けた状態を示す。
【図4】マッサージ動作の作動中にリモコンが操作されたときのマッサージ装置の動作の流れを示すフローチャートである。
【図5】複数の操作ボタンが押されたときのマッサージ装置の動作を示すタイミングチャートであり、(a)は操作ボタンが同時に押された場合を示し、(b)は操作ボタンが短時間内に連続して押された場合を示す。
【図6】マッサージ動作の作動中にリモコンが操作されたときの実施例2に係るマッサージ装置の動作の流れを示すフローチャートである。
【図7】優先の操作ボタンを含む複数の操作ボタンが短時間内に連続して押されたときの実施例2のマッサージ装置の動作を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0033】
1 マッサージ装置
21 リモコン(操作部)
25 電源ボタン(操作キー)
26 停止ボタン(操作キー)
27 肩位置ボタン(操作キー)
28 リクライニングボタン(操作キー)
29 オットマンボタン(操作キー)
30 強さ選択ボタン(操作キー)
32 自動コース用ボタン(操作キー)
33 お好み選択コース用ボタン(操作キー)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マッサージ動作に関する所定の指示を外部から行うための操作キーが複数設けられた操作部を有し、
マッサージ動作の作動中に前記操作キーが同時に又は所定の時間内に複数選択された場合は前記マッサージ動作を停止することを特徴とするマッサージ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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