説明

マッサージ装置

【課題】パラレルリンク機構式のマッサージ装置において、施療子を人体に対して独立に上下方向、左右幅方向、及び出退方向に安定かつ再現性良く移動制御して施療子に所望のマッサージ動作を行わせることを可能とする。
【解決手段】施療子2と、複数の回転する駆動部3と、駆動部3により回転される送りネジ4と、各送りネジ4に螺合した送りナット5と、施療子2と送りナット5に係合し上下、左右幅及び出退方向に動作させる結合機構20と、各駆動部3の目標回転量ERを算出する演算部12と、各駆動部3の回転量を検知する回転量検知部10と、制御部11と、送りネジ4、送りナット5、結合機構20の動きから施療子2の現在位置PLを検知する位置検知部7と、操作部13とを備える。演算部12は現在位置PLと目標位置ELに基づいて目標回転量ERを算出し、制御部11は現在回転量PRが目標回転量ERに追従するように電力PWを供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にモータで駆動させるいす型のマッサージ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人体の背中に当接してマッサージを施す施療子を上下方向、左右幅方向、及び出退方向に駆動すると共に、施療子を含むエンジンと呼ばれる可動部そのものを上下に駆動する駆動モータを可動部に備えた椅子型のマッサージ装置がある。このようなマッサージ装置は、可動部がモータを含むので慣性が大きく、施療子の細かく微妙な動作や素早い動作が困難であり、また、可動部を内蔵する椅子の背もたれ部の薄型化、軽量化が困難である。ところで、リンク機構として知られるパラレルリンク機構とシリアルリンク機構のうち、パラレルリンク機構は、複数の駆動モータが協調して動作するリンク機構であり、シリアルリンク機構に比べ、高速、高精度、高剛性といった特性に優れ、大きな力を発揮できるリンク機構である。そこで、複数の駆動モータを椅子の座部下に配置し、パラレルリンク機構を用いて施療子を駆動することによりこれらの困難を解消し、可動部を軽量化して低慣性化と動作高速化を実現したマッサージ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】国際公開第2004/084789号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した特許文献1に示されるようなパラレルリンク機構を用いて施療子を駆動するマッサージ装置においては、複数の駆動モータを同時に駆動させるので、個々の駆動モータの負荷を軽減できるが、施療子の位置制御には、複数の駆動モータを協調動作させる必要がある。ところが、特許文献1には、パラレルリンク機構を用いたマッサージ装置の構成が示されているものの、施療子に所望のマッサージ動作を行わせるための制御手法に関しては明記がなく、駆動モータの負帰還制御もなされていない。そこで、例えば、施療子の位置制御などに対して外乱を及ぼすような使用方法がなされると、所望のマッサージ動作ができなくなるおそれがある。
【0004】
本発明は、上記課題を解消するものであって、施療子を人体に対して独立に上下方向、左右幅方向、及び出退方向に安定かつ再現性良く移動でき、施療子に所望のマッサージ動作を行わせることのできるパラレルリンク機構式のマッサージ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を達成するために、請求項1の発明は、人体に当接してその人体にマッサージを施す左右一対の施療子と、前記施療子を動作させるための複数の回転する駆動部と、前記各駆動部にそれぞれ係合し、その駆動部によって回転される送りネジと、前記各送りネジに螺合して当該送りネジの回転に伴ってその送りネジの長さ方向に沿って送られる送りナットと、前記施療子及び前記送りナットに係合し、前記送りナットの動きを前記施療子に伝達して当該施療子を人体に対して上下方向、左右幅方向、出退方向に移動し動作させるパラレルリンク機構式の結合機構と、を備え、前記送りネジを上下方向に配置すると共に前記駆動部を前記送りネジの端部に配置して成るマッサージ装置において、前記施療子に所望の動作を行わせるために必要な前記各駆動部の目標回転量を算出する演算部と、前記各駆動部の回転量を検知する回転量検知部と、前記各駆動部に与える電力を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記回転量検知部で検知した各駆動部の回転量がそれぞれ前記演算部で算出した目標回転量に追従するように電力制御を行うものである。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載のマッサージ装置において、位置検出用のスリットパターンを有してマッサージ装置本体の固定部に固定されたスリット板と、前記送りナットとともに移動して前記スリット板のスリットパターンを検出することにより当該送りナットの位置を検出するスリットパターン検出部と、を備え、前記演算部は、前記スリットパターン検出部によって検出されたナットの位置情報に基づいて前記施療子の位置を算出して前記目標回転量を算出するものである。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1に記載のマッサージ装置において、前記送りネジは3本あって、それぞれ第1、第2、及び第3の送りネジであり、前記送りナットは前記3本の送りネジに対応して第1、第2、第3の送りナットがあり、マッサージ装置本体の固定部に設けられ前記第1の送りネジとともに回転する回転検出用のスリットパターンを有する回転スリット板と、マッサージ装置本体の固定部に設けられ前記回転スリット板のスリットパターンを検出することにより前記第1の送りネジの回転量を検出すると共に前記固定部に対する第1の送りナットの位置を検出する第1のスリットパターン検出部と、前記第1のナットとともに移動する位置検出用のスリットパターンを有するスリット板と、前記第2、第3の送りナットのそれぞれとともに移動して前記スリット板のスリットパターンを検出することにより、前記第1の送りナットに対する当該第2、第3の送りナットのそれぞれの位置を検出する第2、第3のスリットパターン検出部と、を備え、前記演算部は、前記第1のスリットパターン検出部で得られた第1の送りナットの位置、及び前記第2、第3のスリットパターン検出部で得られた第1の送りナットに対する第2、第3の送りナットの位置の情報に基づいて前記施療子の位置を算出して前記目標回転量を算出するものである。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1に記載のマッサージ装置において、前記送りネジは3本あって、それぞれ第1、第2、及び第3の送りネジであり、前記送りナットは前記3本の送りネジに対応して第1、第2、第3の送りナットがあり、前記各送りネジとともにそれぞれ回転する回転検出用のスリットパターンを有する回転スリット板と、前記各回転スリット板のスリットパターンを検出することにより各送りネジの回転量を検出すると共に各送りナットの位置を検出するスリットパターン検出部と、をユニット化してそれぞれ各送りネジの下部に備え、前記演算部は、前記各スリットパターン検出部で得られた各送りナットの位置の情報に基づいて前記施療子の位置を算出して前記目標回転量を算出するものである。
【0009】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のマッサージ装置において、前記送りナットとこれに係合する前記結合機構との間に介在し、前記施療子に外力が作用する際にその外力が前記結合機構を介して伝達されることにより変形する弾性変形体と、前記弾性変形体の変形による変位量を計測する変位計測部と、を備え、前記演算部は、前記変位計測部によって計測された変位量と前記施療子に作用する外力との関係に基づいて前記施療子の目標位置に対する現在位置を算出して前記目標回転量を算出するものである。
【0010】
請求項6の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のマッサージ装置において、送りネジを軸受する軸受ホルダ内に配置され、前記施療子に外力が作用する際にその外力が当該送りネジを介して伝達されることにより変形する弾性変形体と、前記弾性変形体の変形による変位量を計測する変位計測部と、を備え、前記演算部は、前期変位計測部によって計測された変位量と前記施療子に作用する外力との関係に基づいて前記施療子の目標位置に対する現在位置を算出して前記目標回転量を算出するものである。
【0011】
請求項7の発明は、請求項5又は請求項6に記載のマッサージ装置において、前記弾性変形体と変位計測部とが前記施療子を人体に対して出退方向に動作させるための送りネジについて設けられており、これらの弾性変形体と変位計測部とによって計測された当該弾性変形体の変位量と所定の閾値とを比較することによりマッサージ装置本体に着座した人体から施療子への外力の有無を判断すると共に着座した人体の肩位置の検出を行う肩位置検出部と、前記肩位置検出部によって検出された肩位置を記憶する記憶部と、を備えたものである。
【0012】
請求項8の発明は、請求項5又は請求項6に記載のマッサージ装置において、前記弾性変形体と変位計測部とが前記施療子を人体に対して、出退方向に動作させるための送りネジについて設けられ、これらの弾性変形体と変位計測部とによって計測された当該弾性変形体の変位量と所定の閾値とを比較することによりマッサージ装置本体に着座した人体から施療子への外力の有無を判断すると共に着座した人体の肩位置の検出を行う第1の肩位置検出部と、前記肩位置検出部によって検出された肩の位置を記憶する第1の記憶部と、前記弾性変形体と変位計測部とが前記施療子を人体に対して、上下方向に動作させるための送りネジについて設けられ、これらの弾性変形体と変位計測部とによって計測された当該弾性変形体の変位量と所定の閾値とを比較することによりマッサージ装置本体に着座した人体による施療子への外力の有無を判断すると共に着座した人体の肩位置の検出を行う第2の肩位置検出部と、前記肩位置検出部によって検出された肩の位置を記憶する第2の記憶部と、を備え、前記演算部は、前記第1及び第2の記憶部に記憶された肩位置に基づいて適切な肩位置を算出し、その位置を目標位置として施療子をそこに移動させるための前記目標回転量を算出するものである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、回転量検知部で検知した各駆動部の回転量がそれぞれ演算部で算出した目標回転量に追従するように電力制御を行うので、施療子を安定かつ再現性良く移動でき、施療子に所望のマッサージ動作を行わせることができる。
【0014】
請求項2の発明によれば、施療子の現在位置を把握して目標回転量を算出するので、施療子を安定かつ再現性良く所望の位置に移動でき、施療子に所望のマッサージ動作を行わせることができる。また、固定部に対する送りナットの絶対位置を検出できるので、目標回転量算出のための演算が容易である。また、スリット板は、各送りネジに沿って、装置本体の固定部に固定すればよく、容易に送りナットの位置検出システムを構成できる。
【0015】
請求項3の発明によれば、円形にすることによってスリット板を小型に、又は、相対位置を検出することにしてスリット板を短尺にでき、コンパクトな位置検出システムを構成できる。また、相対位置検出法を用いるので、スリット板の位置検出用のスリットパターンにおけるビットパターン数を減らして、第2、第3のスリットパターン検出部の記憶容量の軽減ができ、位置検出システムを安価に構成できる。
【0016】
請求項4の発明によれば、送りネジの回転量を検出するシステムをユニット化して各送りネジの下部に備えるので、椅子の背もたれ部の薄型化、軽量化を損なうことがなく、また、電力や信号の配線が容易で組立性が向上する。このような装置を備えて施療子の位置検出を行うので、施療子を安定かつ再現性良く動作できる。
【0017】
請求項5の発明によれば、例えば、施療子に作用する出退方向の力を計測することができるので、施療子が、人体の背中部分に当接しているかどうかの判断ができ、施療子を効率良く移動動作して、施療子に所望のマッサージ動作を行わせることができる。
【0018】
請求項6の発明によれば、例えば、施療子に作用する出退方向の力を計測する手段を、施療子と共に移動する可動部(エンジン)に手を加えることなく送りネジの下部や上部に設けることができる。従って、組立や配線処理が容易になる。
【0019】
請求項7の発明によれば、肩位置を検出すると共にその肩位置を記憶できるので、被施療者に合わせた初期位置に施療子を素早く移動でき、被施療者の操作負担を軽減して満足感を向上できる。また、複数の被施療者の肩位置データを記憶して選択可能にすることによって、被施療者各人に快適なマッサージ効果を与えることができる。
【0020】
請求項8の発明によれば、請求項7に比べ、肩位置検出の精度が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明のパラレルリンク機構式のマッサージ装置について、図面を参照して説明する。図1は、本発明に係るマッサージ装置1の制御ブロック構成を示し、図2は、マッサージ装置1の外観を示す。マッサージ装置1は、図1、図2に示すように、人体Mに当接してその人体Mにマッサージを施す左右一対の施療子2と、施療子2を動作させるための複数の駆動部3と、各駆動部3にそれぞれ係合し、その駆動部3によって回転される送りネジ4と、各送りネジ4に螺合して送りネジ4の回転に伴ってその送りネジ4の長さ方向に沿って送られる送りナット5と、施療子2及び送りナット5に係合し、送りナット5の動きを施療子2に伝達して施療子2を人体Mに対して上下方向、左右幅方向、及び出退方向に移動し動作させるパラレルリンク機構式の結合機構20と、を備えている。なお、駆動部3は、例えば、電動モータによって構成されので、以下において、駆動部3は電動モータから成るとして説明する。
【0022】
マッサージ装置1は、椅子型であり、送りネジ4は、椅子の背もたれ部の内部に上下方向に沿って配置され、各駆動部3は送りネジ4の端部、例えば、下方の座部内に配置されている。なお、施療子2の動作方向を示すため、図2に示すように、前後方向X、左右幅方向Y、及び、上下方向Zの用語を用いる。前後方向Xと左右幅方向Yは、椅子に座った被施療者(人体M)が認識する前後左右である。また、出退方向は前後方向Xであり、施療子2が人体Mの背中を押す方向である。
【0023】
マッサージ装置1は、さらに、施療子2に所望の動作を行わせるため、各駆動部3の目標回転量ERを算出する演算部12と、各駆動部3の回転量を検知する回転量検知部10と、各駆動部3に与える電力PWを制御する制御部11と、を備えている。回転量検知部10は、各駆動部3に附属したエンコーダや、各駆動部3をパルス制御するときのパルスカウンタなどを用いて構成される。
【0024】
また、マッサージ装置1は、さらに、送りネジ4や、送りナット5や、結合機構20などの動きから施療子2の現在位置PLを検知する位置検知部7と、人体Mの当人である被施療者が施療内容を選択し操作する操作部13と、を備えている。上述の演算部12は、位置検知部7からの施療子2の現在位置PLの情報と、操作部13の操作によって決定された施療子の目標位置ELと、に基づいて上述の目標回転量ERを算出する。
【0025】
上述の制御部11は、回転量検知部10で検知した各駆動部3の現在回転量PRがそれぞれ演算部12で算出した目標回転量ERに追従するように電力PWを供給する電力制御を行う。このように、本発明のマッサージ装置1では、各駆動部3の回転量PRがそれぞれ目標回転量ERに追従するように電力制御を行うので、施療子2を安定かつ再現性良く移動でき、施療子2に所望のマッサージ動作を行わせることができる。
【0026】
なお、上述の制御部11や演算部12は、例えば、マイクロコンピュータや、半導体メモリ、及びこれらのハードウエア上で動作するソフトウエアなどを用いて構成される。また、制御部11は、駆動部3の電力供給制御以外に、例えば、演算部12、操作部13、各検知部7,10などの制御を行う中央制御部としての機能を備える。
【0027】
次に、図3乃至図6を参照して、マッサージ装置1のパラレルリンク機構式の結合機構の構造を説明する。図3は、マッサージ装置1の機械的な構造(固定部、駆動機構部、及び可動部)を示し、図4は、施療子2を支持するリンク構造を示し、図5は、施療子2と支持アームを駆動する機構を示し、図6は、施療子2を左右幅方向に駆動する機構を示す。ここでは結合機構の構造を説明し、その動きは後述する。
【0028】
マッサージ装置1の機械的な構造は、図3に示すように、ガイド枠81等から成る固定部と、駆動部3等を備えて成る駆動機構部と、昇降背板8と共に上下動する可動部の3つの部分に大別される。これらの機械的な構造物は、椅子型マッサージ機1の背もたれ部から座部にかけての内部に実装されている。
【0029】
最初の固定部は、左右の上下方向に配置されたガイド枠81、左右のガイド枠81に橋渡しされてこれらを固定する上部の固定背板82、及び下部の固定台83等から成る。ガイド枠81は、左右の互いに対向する側に、後述の車輪80aを上下方向にガイドする溝が形成されている。
【0030】
次の駆動機構部は、下部の固定台83に固定した台板35上に配置された第1、第2、第3の駆動部31,32,33(総称して、駆動部3)、上下方向に配置され、各対応する駆動部3によって回転駆動される第1、第2、第3の送りネジ41,42,43(総称して、送りネジ4)、送りネジ4を上下で保持する下ネジ受44、上ネジ受45、及び駆動部3の動力を送りネジ4に伝達する動力伝達部(不図示)等から成る。動力伝達部は、例えば、プーリとタイミングベルト、又は、歯車などで構成され、台板35に設けられている。また、各駆動部3には、不図示の減速器や回転量検知部10を構成するエンコーダ等が内蔵されている。
【0031】
最後の可動部は、左右一対の施療子2を備えて施療子2の移動と施療子2によるマッサージ動作を行うところであってマッサージ装置1の中心的な部分であり、通常、エンジンと呼ばれる部分である。可動部は、上背板84、下背板85、第1、第2、第3の送りナット51,52,53(総称して、送りナット5)、施療子2などを備えている。可動部の全体は、後述するように、送りネジ4と左右のガイド枠81に沿って上下動する。
【0032】
上背板84は、第1の送りネジ41に螺合した第1の送りナット51と、背板84に固定した中央支柱84b及び背板84の左右側板により軸受支持された偏心軸24と、偏心軸24を回転駆動する駆動モータ34と、背板84の左右両端に設けられてガイド枠81のガイド溝に納まって上下動する車輪80aと、を備えている。背板84は、送りナット51を介して送りネジ41によって、また、車輪80aを介して左右のガイド枠81によって、その動きが上下方向に束縛されている。
【0033】
下背板85は、第3の送りネジ43に螺合した第3の送りナット53と、背板85の左右側板によって軸受支持された摺動軸25と、背板85の左右両端に設けられてガイド枠81のガイド溝に納まって上下動する車輪80aと、を備えている。背板85は、送りナット53を介して送りネジ43によって、また、車輪80aを介して左右のガイド枠81によって、その動きが上下方向に束縛されている。
【0034】
可動部の残りの部分は、第2の送りナット52と施療子2、及びこれらに附属した部分である。第2の送りナット52は、第2の送りネジ42に螺合して、上背板84と下背板85の間に配置されている。また、送りナット52は、送りネジ42と、上下方向に配置された摺動軸84aによって、その動きが上下方向に束縛されている。摺動軸84aの上端は、上述の上背板84に固定された中央支柱84bによって固定されている。また、摺動軸84aの下端部は、下背板85に固定された支持板85bによって支持された軸支材85aによって上下方向に摺動可能に軸支されている。
【0035】
第2の送りナット52の左右には、施療子2を左右幅方向に移動させるための腕木(リンク23)が左右下方に広がって設けられている。施療子2とこれに附属した部分、及びリンク23について、以下に述べる。
【0036】
施療子2は、図4、図5に示すように、長尺の第1のリンク21と、短尺の第2のリンク22と、によって支持されて前後及び上下に動作する。リンク21の一端は、施療子2が備えられ、リンク21の他端は、回転軸27に支持されている。リンク22の一端は、リンク21の途中に回り対偶で連結され、リンク22の他端は、上述した偏心軸24に、連結部22aを介して摺動及び回転自在に固定されている。なお、後の説明で各部のリンク長が参照されるので、リンク長を、図4に示すように、リンク21の施療子2側から途中の連結部までのリンク長La、残りの部分のリンク長Lb、リンク22のリンク長Lcと定義する。
【0037】
上述のリンク21の他端を軸支する回転軸27は、図5に示すように、摺動軸25にその軸方向に沿って摺動自在に設けられた左右一対の摺動部材26に固定されている。また、上述のリンク22を軸支する連結部22aは、例えば、球対偶や、回転支持部を備えたスラスト軸受などによって構成され、偏心軸24回りに回転可能、かつ、偏心軸24の軸方向に沿って摺動自在と成っている。このように、施療子2を支持するリンク21、22の他端が、それぞれ、回転軸27及び摺動部材26と、連結部22aと、を介して左右方向に摺動自在と成っている。従って、左右の施療子2間の距離が変更可能である。左右幅方向に施療子2を動かす機構は、図6を参照して後述する。
【0038】
ここで、偏心軸24について説明する。偏心軸24は左右で軸心が互いに平行に偏心した偏心軸24a,24bから成っている。偏心軸24は、偏心軸24a,24bの各軸心の中間に設けられた軸心の回りに回転される。偏心軸24の回転によって、連結部22a、従ってリンク22の端部は円運動する。左右の連結部22aの円運動は、互いに位相が180度ずれた運動となる。この円運動によって、施療子2が左右で交互に人体Mに対して行う肩叩き運動が実現される。なお、偏心軸24の回転は、上背板84と共に上下動する上述の駆動モータ34によって行われる。
【0039】
上述の左右の摺動部材26は、図6に示すように、それぞれ第2の送りネジ42の左右に、リンク23を介して連結されている。各連結部は、回り対偶によって固定されている。従って、送りナット52と摺動軸25との間隔が狭まると、左右の摺動部材26が互いに離れ、間隔が開くと、左右の摺動部材26が互いに接近する。摺動部材26の動きに伴って、施療子2の動きが生じる。
【0040】
次に、図7乃至図13を参照して、上述した結合機構の動作と、その動作に伴う施療子2のマッサージ動作を説明する。図7は、マッサージ装置1のパラレルリンク機構式の結合機構を模式的に示し、図8(a)(b)(c)、図9(a)(b)、図10は、この結合機構の動作例を示す。マッサージ装置1の可動部は、図7に示すように、各送りネジ41,42,43に各送りナット51,52,53を介して連結され、各送りネジ41,42,43の回転によって各送りナット51,52,53が上下することによって動作する。ここでは、偏心軸24は、簡単のため、単一の摺動軸で表示されている。以下の説明において、各送りネジ4は、互いに同等のネジ(例えば、右ネジ、同一リード)とする。
【0041】
まず、3つの送りネジの何れかが単独で回転動作する場合を説明する。第1の送りネジ41が左右回転を繰り返す場合、図8(a)に示すように、第1の送りナット51が上下方向に動作し、上背板84が上下方向に動作し、リンク22の他端が上下方向に動作し、施療子2の回転運動が発生する。
【0042】
第2の送りネジ42が左右回転を繰り返す場合、図8(b)に示すように、第2の送りナット52が上下方向に動作し、左右のリンク23が互いに離間接近を繰り返し、摺動部材26が左右幅方向に動作し、施療子2の左右幅方向運動が発生する。
【0043】
第3の送りネジ43が左右回転を繰り返す場合、図8(c)に示すように、第3の送りナット53が上下方向に動作し、下背板85が上下方向に動作し、リンク21の他端が上下方向に動作する。このとき、リンク23の両端の上下間隔が変化するので摺動部材26の左右間隔も変化する。従って、施療子2の回転運動に左右幅方向運動が加わった運動が発生する。
【0044】
次に、2つの送りネジが協調して同じ方向に回転動作する場合を説明する。第2、第3の送りネジ42,43が左右回転を繰り返す場合、図9(a)に示すように、左右の摺動部材26の間隔が変わらずにリンク21の他端が上下方向に動作し、施療子2の回転運動が発生する。この運動は、上述の図8(c)に示した運動から左右幅方向の運動を除いた運動に成っている。
【0045】
また、第2、第3の送りネジ42,43が同方向、第1の送りネジ41が反対方向に左右回転を繰り返す場合、図9(b)に示すように、左右の摺動部材26の間隔が変わらずにリンク21の他端が上下方向に動作し、さらに、リンク22の他端が上下方向に動作する。このとき、リンク21、22の他端は、互いに逆位相で上下方向に移動する。つまり、リンク21、22の他端が、上下方向に互いに離れたり、近づいたりする。これにより、施療子2は、回転運動を伴うことなく前後方向に動作する出退運動を行う。
【0046】
また、3つの送りネジ41,42,43が互いに協調して、互いに同じ回転方向に左右回転を繰り返すと、図10に示すように、可動部全体が上下動し、従って施療子2が単純に上下運動を行うことになる。
【0047】
上述したような結合機構の動作に基づく施療子2の時間的なマッサージ動作の例を次に示す。図11、図12、図13は、それぞれ施療子2のXYZ位置の時間変化の例、駆動モータの回転量の時間変化の例、及び、施療子2の空間軌道の例を示す。ここでは、左側の施療子2に注目している。この施療子2の位置座標を所定の基準位置に原点を有するXYZ座標で表現する。前述したように、X軸方向は前後方向であり、前方を正の向き、Y軸方向は左右幅方向であり、左方向、すなわち施療子が互いに離間する方向を正の向き、Z軸方向は上下方向であり、上方向を正の向きとしている。
【0048】
図11は、施療子2の1周期Tの動作における位置変化を示す。施療子2は、このような周期運動を何度も繰り返してマッサージ動作を行い、マッサージ効果が得られる。1周期Tは、数秒程度である。図12は、施療子2にこのような動作を行わせるための各駆動モータ31,32,33の1周期Tにおける回転量R1,R2,R3を示す。施療子2が、パラレルリンク機構式の結合機構を用いてを動作されるので、施療子2のXYZ方向の動きは、後述するように、回転量R1,R2,R3の複合値により決まる。
【0049】
図13は、図11に示した位置変化を3次元空間の軌跡として表したものである。上下方向においてZ=0となる時刻t1、左右幅方向において最大ふれ幅となる時刻t2、及び、前後方向においてX=0となる時刻t3を図13に示している。これらの図に示した施療子2の動きは、例えば、被施療者の左肩を上方から斜め左下方に押しつつ、前方に押し、その後、被施療者の首の方向に向って、はさみ動作を行いつつ施療子原点に復帰する動作を繰り返す動きになっている。
【0050】
次に、図14、図15を参照して、各送りナット51,52,53のZ方向の位置変位と施療子2のXYZ位置変位の関係を説明する。さらに詳しくは、施療子2の移動量(ΔX,ΔY,ΔZ)を、駆動モータ31,32,33の回転数(R1,R2,R3)で表す式を求めること、及び、その逆の、駆動モータ31,32,33の回転数(R1,R2,R3)を、施療子2の移動量(ΔX,ΔY,ΔZ)で表す式を求めることを行う。これらの式は、前述の図1で示した、施療子の現在位置PLと、目標位置ELと、駆動モータ3の目標回転量ERと、の関係を表す。
【0051】
以下では、左側の施療子2の初期状態と、その初期状態から所定の移動量のもとで移動した移動後状態と、の2状態について述べる。表1に変数と記号の定義を示す。なお、リンク21,22に関するリンク長は、前述したように(La+Lb),Lcである。また、リンク23のリンク長をLeとする。Y軸の原点は施療子2の左右対称平面上にあり、リンク23の送りナット52との連結点は、簡単のため、Y軸の原点を通るZ軸上にあるとする。
【0052】
【表1】

【0053】
(施療子の移動量を、送りナットの移動量で表す)
まず、施療子2の移動量(△X,△Y,△Z)を、各送りナット51,52,53の移動量(ΔZ1,ΔZ2,ΔZ3)で表すと、以下の式(1)(2)(3)となる。
【0054】
【数1】

【0055】
上述のΔX,ΔZは、リンク22を斜辺とする三角形から求められ、ΔYはリンク23を斜辺とする三角形から求められる。角度φは、リンク21,22、及びZ軸と形成される三角形に余弦定理を適用して求められる。
【0056】
(施療子の移動量を、駆動モータの回転量で表す)
各送りナット51,52,53の移動量(ΔZ1,ΔZ2,ΔZ3)は、駆動モータの減速比(β1,β2,β3)、及び、送りネジのリード(α1,α2,α3)を用いて、駆動モータの回転量(R1,R2,R3)によって表される。すなわち、ΔZ1=(α1/β1)×R1、などと表される。そこで、式(5)〜(8)が得られる。
【0057】
【数2】

【0058】
(駆動モータの回転量を、施療子の移動量で表す)
まず、各送りナット51,52,53の移動量(ΔZ1,ΔZ2,ΔZ3)を、施療子2の移動量(△X,△Y,△Z)で表すために、以下の式(9)〜(11)を得る。
【0059】
【数3】

【0060】
上式(9)〜(11)をから、各送りナット51,52,53の移動量(ΔZ1,ΔZ2,ΔZ3)を、施療子2の移動量(△X,△Y,△Z)で表す式(12)〜(17)を得る。
【0061】
【数4】

【0062】
ここで、式(12)〜(14)に、ΔZ1=(α1/β1)×R1、などの関係式を適用して、駆動モータの回転量(R1,R2,R3)を、施療子の移動量(ΔX,ΔY,ΔZ)で表す式(18)〜(20)が得られる。
【0063】
【数5】

【0064】
以上により、施療子2の移動量(ΔX,ΔY,ΔZ)を、駆動モータ3の回転数(R1,R2,R3)で表す式(5)〜(8)、及び、駆動モータ3の回転数(R1,R2,R3)を、施療子2の移動量(ΔX,ΔY,ΔZ)で表す式(5)〜(8)が得られた。
【0065】
次に、演算部12で算出した目標回転量ERに追従するように駆動モータ3の回転量を制御する例を説明する(図1参照)。制御部11は、制御周期ΔTでフィードバック制御を行っており、各駆動モータ3は、パルス制御方式で入力電力の制御を行うものとする。このような状況のもとで、次の制御時刻nΔTの制御周期ΔTにおける電力オンの実質的なデューティ比Mnを式(21)に従って決定する。
【0066】
【数6】

【0067】
上式(21)は、いわゆるPI制御(比例、積分制御)における式であり、比例パラメータKp、積分パラメータKiは別途決定される。また、過去の制御時刻jΔTにおける目標回転量ERj、及び、その時刻での現在回転量PRjなどを用いてMnが決定される。積分変数n1,n2は、例えば、n1=0,n2=n−1、である。このような式(21)を用いて各駆動モータ3に対するデューティ比Mnを決定すれば、外乱などが発生しても、演算部12で算出した目標回転量ERに追従するように駆動モータ3の回転量を制御でき、施療子2による所望のマッサージ動作を行うことができる。
【0068】
次に、図16、図17、図18を参照して、施療子2の現在位置PLの測定について説明する。図16に示すマッサージ装置1は、位置検出用の必要可動域を確保したスリットパターンを有してマッサージ装置本体の固定部、例えば、上ネジ受45や固定背板82に固定されたスリット板71,72,73と、送りナット51,52,53とともに移動してスリット板71,72,7のスリットパターンを検出することにより送りナット51,52,63のZ方向の位置を検出するスリットパターン検出部71a,72a,73aと、を備えている。なお、各スリット板71,72,73のスリットパターンと各送りナット5の絶対値を対応付けて記憶しておくことにより、各送りナット5のZ方向の位置を検出できる。
【0069】
そして、演算部12(図1参照)は、スリットパターン検出部71a,72a,73aによって検出された各ナット5の位置情報に基づいて施療子2の現在位置PLを算出する。なお、図1では、位置検知部7が現在位置PLの情報を算出して演算部12に入力しているが、以下では、演算部12が現在位置PLを算出する例を示す。この施療子2の現在位置PLの算出に当たり、上述の式(1)〜(4)から導かれる以下の式(22)〜(25)が用いられる。すなわち、表1に示したように、施療子2の位置座標(X,Y,Z)は、X=ΔX+x0,Y=ΔY+y0,Z=ΔZ+z0、であり、各送りナット51,52,63の位置座標(Z1,Z2,Z3)は、Z1=z10+ΔZ1,Z2=z20+ΔZ2,Z3=z30+ΔZ3、である。そこで、次式(22)〜(25)が得られる。
【0070】
【数7】

【0071】
上述のように、施療子2の現在位置PL(X,Y,Z)は、送りナット5の測定位置(Z1,Z2,Z3)データと、式(22)〜(25)により算出される。ところで、各駆動モータ3に具備された回転量検知部10(例えば、エンコーダ)の分解能が低い場合、施療子2の軌道が、時間の経過とともに所望のマッサージ動作から逸脱することが予想される。そこで、演算部12は、所定の制御周期毎に、施療子2の目標位置EL(Xa,Ya,Za)と、上記測定及び演算部12による演算によって得られた施療子2の現在位置PL(X,Y,Z)とから、各座標値の差(Xa−X,Ya−Y,Za−Z)を、施療子2の目標移動量(ΔX,ΔY,ΔZ)として算出する。
【0072】
さらに、演算部12は、施療子2の目標移動量(ΔX,ΔY,ΔZ)を達成するための駆動モータ3の目標回転量ER(R1,R2,R3)を、目標移動量(ΔX,ΔY,ΔZ)と上述の式(15)〜(20)とから算出する。制御部11は、このような目標回転量ER(R1,R2,R3)と、回転量検知部10からの現在回転量PRとにもとづいて、例えば、上述の式(21)によるデューティ比Mnなどを用いて、駆動部3に電力PWを供給して駆動部3を制御する。
【0073】
このような施療子2の位置の測定と位置情報のフィードバックにより、施療子2を安定かつ再現性良く所望の位置に移動でき、マッサージ動作の修正を行い、施療子2に所望のマッサージ動作を行わせることができる。また、固定部に対する送りナット5の絶対位置を検出できるので、目標回転量算出のための演算が容易である。また、スリット板71,72,73は、各送りネジ4に沿って、装置本体の固定部に固定すればよく、容易に送りナット5の位置検出システムを構成できる。
【0074】
次に、図17を参照して、マッサージ装置1における送りナット5のZ軸方向の位置検出の他の例を説明する。このマッサージ装置1は、マッサージ装置本体の固定部に設けられ第1の送りネジ41とともに回転する回転検出用のスリットパターンを有する回転スリット板74と、マッサージ装置本体の固定部に設けられ回転スリット板74のスリットパターンを検出することにより第1の送りネジ41の回転量を検出すると共に固定部に対する第1の送りナット51の位置を検出する第1のスリットパターン検出部74aと、第1のナット51とともに移動する位置検出用のスリットパターンを有するスリット板75,76と、第2、第3の送りナット52、53のそれぞれとともに移動してスリット板75,76のスリットパターンを検出することにより、第1の送りナット51に対する第2、第3の送りナット52,53のそれぞれの位置を検出する第2、第3のスリットパターン検出部75a,76aと、を備えている。
【0075】
そして、演算部12は、第1のスリットパターン検出部74aで得られた第1の送りナット51の位置、及び第2、第3のスリットパターン検出部75a,76aで得られた第151の送りナットに対する第2、第3の送りナット52,53の位置の情報に基づいて、上記同様に、施療子2の現在位置PLを算出して目標回転量ERを算出できる。
【0076】
このような送りナット5の位置検出方法によれば、円形にすることによってスリット板74を小型に、又は、相対位置を検出することにしてスリット板75,76を短尺にでき、コンパクトな位置検出システムを構成できる。また、相対位置検出法を用いるので、スリット板75,76の位置検出用のスリットパターンにおけるビットパターン数を減らして、第2、第3のスリットパターン検出部75a,76aの記憶容量の軽減ができ、位置検出システムを安価に構成できる。
【0077】
次に、図18を参照して、マッサージ装置1における送りナット5の位置検出のさらに他の例を説明する。このマッサージ装置1は、第1、第2、及び第3の送りネジ41,42,43とともにそれぞれ回転する回転検出用のスリットパターンを有する回転スリット板77,78,79と、各回転スリット板77,78,769のスリットパターンを検出することにより各送りネジ41,42,43の回転量を検出すると共に各送りナット51,52,53の位置を検出するスリットパターン検出部77a,78a,79aと、をユニット化してそれぞれ各送りネジ41,42,43の下部に備えている。
【0078】
そして、演算部12は、各スリットパターン検出部77a,78a,79aで得られた各送りナット51,52,53の位置の情報に基づいて、上記同様に、施療子2の現在位置PLを算出して目標回転量ERを算出できる。
【0079】
このようなユニット化した送りナット5の位置検出方法によれば、マッサージ装置用椅子の背もたれ部の薄型化、軽量化を損なうことなく送りネジ4の回転量を検出するシステムを各送りネジ4の下部に備えることができる。また、ユニット化によって、電力や信号の配線が容易となり組立性が向上する。このような計測装置を備えて施療子2の位置検出を行うので、施療子2を安定かつ再現性良く動作させることができる。
【0080】
次に、図19〜図21を参照して、施療子2に作用する外力を測定する外力測定システムの例を説明する。ここで示す外力測定方法は、板バネ状の弾性変形体61を用いて送りナット部分で、施療子2に作用する力を計測する方法である。この外力測定システムは、例えば、図19に示すように、送りナット53とこれに係合する結合機構である下部背板85との間に介在して、下部背板85と送りナット53の相対移動に際して変形する板バネから成る弾性変形体61、及び、弾性変形体61の変形による変位量を計測する変位計測部60、を備えて構成される。弾性変形体61は、一端を背板85の内側面に固定され、他端を送りナット53に固定されている。同様に、他の送りナット51,52についても外力測定システムを構成できる。
【0081】
上述の変位計測部60は、例えば、レーザ光の反射や渦電流などを用いた近接距離センサやギャップセンサを用いて構成される。図20(a)は、送りナット53の無負荷の状態を示し、変位計測部60によって。下背板85に固定された変位計測部60と弾性変形体61との隙間d0が測定される。また、図20(b)は、送りナット53の負荷状態を示し、変位計測部60と負荷によって変形した弾性変形体61との隙間が測定され、変位量ΔLが得られる。施療子2に加わる人体Mからの外力が、施療子2を保持するリンク21から上背板85に伝わり、下背板85の内側面に固定された弾性変形体61が、送りネジ43に螺合した送りナット53と上背板85の間で変形する。その変形による変位量ΔLによって施療子2への外力が測定される。この場合の外力は、施療子2の出退方向(X方向)から施療子2に作用する外力Fxであると想定される。
【0082】
上述の外力Fxと送りナット53の移動距離つまり変位量ΔLとの関係を、図21を参照して説明する。図21において、施療子2に外力Fxが作用すると、送りナット53が変位して、上述の変位量ΔLが生じる。ここで、弾性変形体61のバネ定数をkとすると、次式(26)(27)(28)によって、外力Fxと変位量ΔLとの関係が表される。
【0083】
【数8】

【0084】
そして、演算部12は、変位計測部60によって計測された変形による変位量ΔLと、施療子2に作用する外力Fxとの関係に基づいて施療子2の目標位置ELに対する現在位置PLを算出して目標回転量ERを算出する。また、このような外力検出方法によれば、例えば、施療子2に作用する出退方向の力を計測することができるので、施療子2が、人体Mの背中部分に当接しているかどうかの判断ができ、施療子2を効率良く移動動作して、施療子2に所望のマッサージ動作を行わせることができる。
【0085】
次に、図22(a)(b)を参照して、コイルバネ状の弾性変形体62を用いて送りネジ4の軸受部分で、施療子2に作用する外力を計測する方法を説明する。この計測方法では、図22(a)に示すように、送りネジ4を支持するための軸受40aを保持する下ベアリングホルダ40内に、コイルバネ状の弾性変形体62、及び計測対象板(ドグ)Dを封入する。送りネジ4が、第3の送りネジ43で有る場合、施療子2に出退方向(X方向)の力が加わると、送りナット53を介して送りネジ43に上下方向の荷重が加わる。すると、図22(b)に示すように、弾性変形体62が変形して計測用ドグDが下方に変位する。下ベアリングホルダ40に固定されたギャップセンサからなる変位計測部60とドグDとの隙間d2を、変位計測部60によって測定する。
【0086】
上述の隙間d2及び荷重付加前の隙間d1から得られた変位量ΔLと、施療子2に作用するX方向の外力Fxとの関係は、上述同様に、式(26)(27)(28)によって表される。このような外力の計測方法によれば、例えば、施療子2に作用する出退方向の力を計測する手段を、施療子2と共に移動する可動部(エンジン)に手を加えることなく送りネジ4の下部や上部に設けることができる。従って、組立や配線処理が容易になる。
【0087】
次に、図23(a)(b)を参照して、施療子2に作用する力を計測するさらに他の方法を説明する。この方法では、第1、第2、第3の送りナット51,52,53に作用する力を、第1、第2、第3の送りネジ41,42,43の回りに設けたコイルバネ状の弾性変形体63を用いて、送りナット部分で全て測定して、施療子2に作用する任意方向の外力を検出する。送りナット5は、図23(a)に示すように、上下をコイルバネ状の弾性変形体62によって挟まれて、計測対象板(ドグ)Dと共に、ナットケース50に封入されている。
【0088】
施療子2に任意方向の外力が加わると、図23(b)に示すように、送りナット5は、送りネジ4に螺合しているので変位しないが、ナットケース50が上下方向に変位する。そこで、施療子2に作用する力に応じて弾性変形体63が変形し、ナットケース50に固定されたギャップセンサからなる変位計測部60により、送りナット5と共に変位するドグDとナットケース50との隙間d2が測定され、変位量ΔLが得られる。
【0089】
ここで、第1、第2、第3の送りナット51,52,53について測定された変位量ΔLを、ΔL1,ΔL2,ΔL3とし、それぞれの弾性変形体63のバネ定数をk1,k2,k3とする。すると、次式(29)及び前出の式(27)(28)に準する式によって、施療子2に作用する外力Fの出退方向(X方向)、左右幅方向(Y方向)、及び上下方向(Z方向)の成分を算出することができる。
【0090】
【数9】

【0091】
次に、図24、図25を参照して、マッサージ装置1の施療子2に作用する出退方向の力の変化から肩位置を検出する方法を説明する。図24に示すマッサージ装置1において、例えば、上述の図19に示したような弾性変形体61と変位計測部60とが施療子2を人体Mに対して出退方向(X方向)に動作させるための送りネジ43と送りナット53について設けられている。マッサージ装置1には、さらに、これらの弾性変形体61と変位計測部60とによって計測された弾性変形体61の変形による変位量ΔLと所定の閾値とを比較することによりマッサージ装置本体に着座した人体Mから施療子2への圧力の有無を判断すると共に着座した人体Mの肩位置の検出を行う肩位置検出部15と、肩位置検出部15によって検出された肩位置を記憶する記憶部16と、を備えている。
【0092】
上述の肩位置検出の手順を、図25のフローに沿って説明する。施療子2のX方向の出退量を一定にした状態で、送りネジ41,43を回転し、送りナット51,53を上方Z方向に移動することにより、施療子2を含む可動部を座下方向から上昇させる。施療子2の上昇に伴い、送りナット53における弾性変形体61が変形するので、その変形による変位量ΔLを測定する(#1)。この変移量ΔLと、上式(26)とにより、施療子に作用する出退方向の外力Fxを算出する(#2)。
【0093】
施療子2に作用する外力は、人体Mの背中から与えられるものであり、施療子2が、下方から上方に移動して、肩部分を通り越すと外力Fxが減少して略一定値になる。そこで、算出した出退方向の外力Fxに対して、閾値Fx_sを設け、算出した外力Fxと所定の閾値とを比較しつつ施療子2を上昇させ、外力Fxが閾値Fx_s以下となったときの施療子2の位置を被施療者の肩位置と判断する(#3でYES)。この判断は、例えば、制御部11の制御のもとで、肩位置検出部15によって行われる。
【0094】
検出した被施療者の肩位置は、記憶部16に記憶される(#4)。記憶部16に記憶された肩位置は、制御部11によって、操作部13を操作する被施療者に適切なマッサージを行うために用いられる。例えば、演算部12は、算出した肩位置を目標位置として施療子2をそこに移動させるための目標回転量を算出する。
【0095】
このような肩位置検出を行うマッサージ装置1によれば、肩位置を検出すると共にその肩位置を記憶できるので、被施療者に合わせた初期位置に施療子2を素早く移動でき、被施療者の操作負担を軽減して満足感を向上できる。また、複数の被施療者の肩位置データを記憶して選択可能にすることによって、被施療者各人に快適なマッサージ効果を与えることができる。
【0096】
次に、図26(a)(b)、図27を参照して、マッサージ装置1の施療子2に作用する出退方向と上下方向の両方の力の変化から肩位置を検出する方法を説明する。このマッサージ装置1では、図26(a)に示すように、肩位置の検出を行う第1、第2の肩位置検出部15a,15bと、肩位置検出部15a,15bによって検出された肩の位置を記憶する第1、第2の記憶部16a,16bと、を備えている。
【0097】
そして、肩位置検出の第1段階で、可動部を座下から上限まで上昇させて、上述の図24、図25に示したのと同様の構成と方法により、第1の肩位置検出部15aで肩位置を検出し、検出した肩位置を第1の記憶部16aに記憶する。この段階は、図27におけるステップS1〜S4に対応し、この段階の処理は、前述の図25に示した処理と同じである。
【0098】
その後、第2段階で、図26(b)に示すように、可動部を下降させる。ところで、施療子2に作用するZ方向の外力Fzは、上述のFxの式(26)と同様の次式(30)によって、外力Fzにより変形する弾性変形体の変形による変位量ΔLと結びつけられる。
【0099】
【数10】

【0100】
そこで、施療子2が被施療者の肩の上方から降下し、施療子2が肩に接触することにより発生する外力Fzを、変位量ΔLと、式(30)とにより算出する。上下方向の外力Fzに対して閾値Fz_sを設け、式(30)で得られる上下方向の外力Fzが閾値Fz_s以上となったときの施療子2の上下方向位置を記憶する。この肩位置検出は、第2の肩位置検出部15bが行い、検出した肩位置は第2の記憶部16bに記憶される。この段階は、図27におけるステップS5〜S8に対応する。
【0101】
最後に、第3段階で、演算部12が、上述の第1、第2の記憶部16a、16bに記憶された2つの肩位置について、例えば平均値を算出して、その平均値を施療子2の位置とする。演算部は、算出した肩位置を目標位置として施療子2をそこに移動させるための目標回転量を算出する。この段階は、図27におけるステップS9に対応する。
【0102】
このような肩位置検出を行うマッサージ装置1によれば、出退方向の外力Fxだけに基づいて肩位置を検出する場合に発生する可能性のある肩位置検出の誤差をより低減できる。例えば、被施療者の人体Mと施療子2との間に介在する衣服の干渉具合や被施療者の着座状態の具合により外力Fxの検出に誤差が生じる可能性がある。上下方向の外力Fzを援用することにより、肩位置検出をより正確にできる。
【0103】
次に、図28、図29を参照して、マッサージ装置1の施療子2を支持するリンク機構の他の例を説明する。このマッサージ機の施療子2は左右にそれぞれ2個づつあり、2個の施療子2がV字形の連結部材9によって保持されている。施療子2を支持するリンク機構は、連結部材9のV字の谷部に連結されたリンク21,22からなる。このリンク21は、前述の図4に示したリンク21とは、Laの部分が無い点が異なっている。このように支持された施療子2をリンク21,22を介して駆動する方法は、上述したマッサージ装置1における場合と同様である。そして、上述した施療子2のXYZ位置を算出するための数式は、リンク長Laを、La=0とすることによって、同様に適用できる。
【0104】
なお、本発明は、上記構成に限られることなく種々の変形が可能である。また、上述した施療子2の位置を算出する数式や、力Fx,Fy,Fzを算出する数式などは、単純化したモデルに基づいており、状況に応じて補正して用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明に係るマッサージ装置の制御ブロック構成図。
【図2】同上マッサージ装置の外観斜視図。
【図3】同上マッサージ装置の機械的構造(固定部、駆動部、可動部)の斜視図。
【図4】同上マッサージ装置の施療子と支持アームの側面図。
【図5】同上マッサージ装置の施療子と支持アームを駆動する機構の斜視図。
【図6】同上マッサージ装置の施療子を左右幅方向に駆動する機構の斜視図。
【図7】同上マッサージ装置のパラレルリンク機構式の結合機構の正面図。
【図8】(a)(b)(c)は同上結合機構の動作例を示す正面図。
【図9】(a)(b)は同上結合機構の他の動作例を示す正面図。
【図10】同上結合機構のさらに他の動作例を示す正面図。
【図11】同上マッサージ装置の施療子のXYZ位置の時間変化グラフ。
【図12】図11に示した施療子の動きに対応するモータ回転量の時間変化グラフ。
【図13】図11に示した施療子の動きに対応する軌道を3次元表示した図。
【図14】同上マッサージ装置の送りナットの移動と施療子のX,Z方向移動の関係図。
【図15】同上マッサージ装置の送りナットの移動と施療子のY方向移動の関係図。
【図16】同上マッサージ装置における送りナットの位置検出の例を示す可動部と駆動部の斜視図。
【図17】同上マッサージ装置における送りナットの位置検出の他の例を示す可動部と駆動部の斜視図。
【図18】同上マッサージ装置における送りナットの位置検出のさらに他の例を示す駆動部の斜視図。
【図19】同上マッサージ装置の施療子に作用する力を板バネ状の弾性変形体を用いて送りナット部分で計測する方法を説明する斜視図。
【図20】(a)は図19に示した送りナットが無負荷状態の場合の正面図、(b)は同送りナットが負荷状態の場合の正面図。
【図21】同上マッサージ装置の施療子に作用するX方向の力を送りナット部分で計測する方法を説明するリンク構造の概念図。
【図22】(a)は同上マッサージ装置の施療子に作用する力を送りネジの軸受ホルダ部分で計測する方法を説明する断面図、(b)は(a)の状態から送りネジが変位した状態を示す断面図。
【図23】(a)は同上マッサージ装置の施療子に作用する力をコイルバネ状の弾性変形体を用いて送りナット部分で計測する方法を説明する断面図、(b)は(a)の状態から送りナットが変位した状態を示す断面図。
【図24】同上マッサージ装置の施療子に作用する出退方向の力の変化から肩位置を検出する方法を説明する側面図。
【図25】図24に示した肩位置検出方法の手順を示すフロー図。
【図26】(a)(b)は同上マッサージ装置の施療子に作用する出退方向と上下方向の力の変化から肩位置を検出する方法を説明する側面図。
【図27】図26(a)(b)に示した肩位置検出方法の手順を示すフロー図。
【図28】同上マッサージ装置の施療子のリンク機構の他の例を示す側面図。
【図29】同上リンク機構の駆動部の斜視図。
【符号の説明】
【0106】
1 マッサージ装置
2 施療子
3,31,32,33 駆動部(駆動モータ)
4,41,42,43 送りネジ
5,51,52,53 送りナット
7 位置検知部
10 回転量検知部
11 制御部
12 演算部
20 結合機構
40 軸受ホルダ
60 センサ(変位計測部)
61,62,63 弾性変形体
71,72,73,75,76 スリット板
74,77,78,79 回転スリット板
71a〜79a センサ(スリットパターン検出部)
ΔL 変位量
M 人体
X 出退方向
Y 左右幅方向
Z 上下方向
ER 目標回転量
PR 現在回転量
PW 電力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体に当接してその人体にマッサージを施す左右一対の施療子と、前記施療子を動作させるための複数の回転する駆動部と、前記各駆動部にそれぞれ係合し、その駆動部によって回転される送りネジと、前記各送りネジに螺合して当該送りネジの回転に伴ってその送りネジの長さ方向に沿って送られる送りナットと、前記施療子及び前記送りナットに係合し、前記送りナットの動きを前記施療子に伝達して当該施療子を人体に対して上下方向、左右幅方向、出退方向に移動し動作させるパラレルリンク機構式の結合機構と、を備え、前記送りネジを上下方向に配置すると共に前記駆動部を前記送りネジの端部に配置して成るマッサージ装置において、
前記施療子に所望の動作を行わせるために必要な前記各駆動部の目標回転量を算出する演算部と、
前記各駆動部の回転量を検知する回転量検知部と、
前記各駆動部に与える電力を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記回転量検知部で検知した各駆動部の回転量がそれぞれ前記演算部で算出した目標回転量に追従するように電力制御を行うことを特徴とするマッサージ装置。
【請求項2】
位置検出用のスリットパターンを有してマッサージ装置本体の固定部に固定されたスリット板と、前記送りナットとともに移動して前記スリット板のスリットパターンを検出することにより当該送りナットの位置を検出するスリットパターン検出部と、を備え、
前記演算部は、前記スリットパターン検出部によって検出されたナットの位置情報に基づいて前記施療子の位置を算出して前記目標回転量を算出することを特徴とする請求項1に記載のマッサージ装置。
【請求項3】
前記送りネジは3本あって、それぞれ第1、第2、及び第3の送りネジであり、前記送りナットは前記3本の送りネジに対応して第1、第2、第3の送りナットがあり、
マッサージ装置本体の固定部に設けられ前記第1の送りネジとともに回転する回転検出用のスリットパターンを有する回転スリット板と、マッサージ装置本体の固定部に設けられ前記回転スリット板のスリットパターンを検出することにより前記第1の送りネジの回転量を検出すると共に前記固定部に対する第1の送りナットの位置を検出する第1のスリットパターン検出部と、
前記第1のナットとともに移動する位置検出用のスリットパターンを有するスリット板と、前記第2、第3の送りナットのそれぞれとともに移動して前記スリット板のスリットパターンを検出することにより、前記第1の送りナットに対する当該第2、第3の送りナットのそれぞれの位置を検出する第2、第3のスリットパターン検出部と、を備え、
前記演算部は、前記第1のスリットパターン検出部で得られた第1の送りナットの位置、及び前記第2、第3のスリットパターン検出部で得られた第1の送りナットに対する第2、第3の送りナットの位置の情報に基づいて前記施療子の位置を算出して前記目標回転量を算出することを特徴とする請求項1に記載のマッサージ装置。
【請求項4】
前記送りネジは3本あって、それぞれ第1、第2、及び第3の送りネジであり、前記送りナットは前記3本の送りネジに対応して第1、第2、第3の送りナットがあり、前記各送りネジとともにそれぞれ回転する回転検出用のスリットパターンを有する回転スリット板と、前記各回転スリット板のスリットパターンを検出することにより各送りネジの回転量を検出すると共に各送りナットの位置を検出するスリットパターン検出部と、をユニット化してそれぞれ各送りネジの下部に備え、
前記演算部は、前記各スリットパターン検出部で得られた各送りナットの位置の情報に基づいて前記施療子の位置を算出して前記目標回転量を算出することを特徴とする請求項1に記載のマッサージ装置。
【請求項5】
前記送りナットとこれに係合する前記結合機構との間に介在し、前記施療子に外力が作用する際にその外力が前記結合機構を介して伝達されることにより変形する弾性変形体と、前記弾性変形体の変形による変位量を計測する変移計測部と、を備え、
前記演算部は、前記変位計測部によって計測された変位量と前記施療子に作用する外力との関係に基づいて前記施療子の目標位置に対する現在位置を算出して前記目標回転量を算出することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のマッサージ装置。
【請求項6】
前記送りネジを軸受する軸受ホルダ内に配置され、前記施療子に外力が作用する際にその外力が当該送りネジを介して伝達されることにより変形する弾性変形体と、前記弾性変形体の変形による変位量を計測する変位計測部と、を備え、
前記演算部は、前期変位計測部によって計測された変位量と前記施療子に作用する外力との関係に基づいて前記施療子の目標位置に対する現在位置を算出して前記目標回転量を算出することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のマッサージ装置。
【請求項7】
前記弾性変形体と変位計測部とが前記施療子を人体に対して出退方向に動作させるための送りネジについて設けられており、これらの弾性変形体と変位計測部とによって計測された当該弾性変形体の変位量と所定の閾値とを比較することによりマッサージ装置本体に着座した人体から施療子への外力の有無を判断すると共に着座した人体の肩位置の検出を行う肩位置検出部と、前記肩位置検出部によって検出された肩位置を記憶する記憶部と、を備えたことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のマッサージ装置。
【請求項8】
前記弾性変形体と変位計測部とが前記施療子を人体に対して、出退方向に動作させるための送りネジについて設けられ、これらの弾性変形体と変位計測部とによって計測された当該弾性変形体の変位量と所定の閾値とを比較することによりマッサージ装置本体に着座した人体から施療子への外力の有無を判断すると共に着座した人体の肩位置の検出を行う第1の肩位置検出部と、前記肩位置検出部によって検出された肩の位置を記憶する第1の記憶部と、
前記弾性変形体と変位計測部とが前記施療子を人体に対して、上下方向に動作させるための送りネジについて設けられ、これらの弾性変形体と変位計測部とによって計測された当該弾性変形体の変位量と所定の閾値とを比較することによりマッサージ装置本体に着座した人体による施療子への外力の有無を判断すると共に着座した人体の肩位置の検出を行う第2の肩位置検出部と、前記肩位置検出部によって検出された肩の位置を記憶する第2の記憶部と、を備え、
前記演算部は、前記第1及び第2の記憶部に記憶された肩位置に基づいて適切な肩位置を算出し、その位置を目標位置として施療子をそこに移動させるための前記目標回転量を算出することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のマッサージ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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