説明

マッチング装置、磁気共鳴イメージング装置、およびマッチング方法

【課題】パラメータを最適化に近づけることが可能なマッチング装置、そのマッチング装置を有する磁気共鳴イメージング装置、およびマッチング方法を提供する。
【解決手段】角度パラメータRx、Ry、およびRzの最適化を実行し、角度パラメータRx、Ry、およびRzを最適化した後で、サンプル脳8bと標準脳Tとの間の相関を表す相関係数Corを算出し、相関係数Corが所定の相関条件を満たしているか否かを判断する。相関係数Corが所定の相関条件を満たしていない場合、更に、スケーリングパラメータSx、Sy、およびSzの最適化を実行し、相関係数Corが所定の相関条件を満たしているか否かを判断する。相関係数Corが所定の相関条件を満たしていない場合、角度パラメータRx、Ry、およびRzと、スケーリングパラメータSx、Sy、およびSzとの両方を最適化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンプル部位を標準部位にマッチングさせるマッチング装置、そのマッチング装置を有する磁気共鳴イメージング装置、およびサンプル部位を標準部位にマッチングさせるマッチング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、磁気共鳴イメージング(MRI:Magnetic
Resonance Imaging)装置を用いて被検体の頭部を撮影し、被検体の脳を診断することが行われている。被検体の脳を診断するのに必要な画像を作成する場合、被検体の頭部のMR画像から脳の部分を抽出し、抽出した脳(サンプル脳)を、標準脳と呼ばれるテンプレート(Template)にマッチングさせることが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005-143764号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
サンプル脳を標準脳にマッチングさせる場合、例えば、アフィン(Affine)変換が用いられる。アフィン変換では、例えば回転パラメータやスケーリングパラメータなどのパラメータを最適化し、パラメータが最適化された後のサンプル脳と標準脳との間に、十分な相関が得られているかどうかを判断する。しかし、パラメータを最適化しても、パラメータが最適解ではなく局所解に収束してしまうことがあり、この場合、サンプル脳と標準脳との間に、十分な相関を得ることができず、マッチングがうまくいかないことがある。
【0004】
本発明は、上記の事情に鑑み、パラメータを最適化に近づけることが可能なマッチング装置、そのマッチング装置を有する磁気共鳴イメージング装置、およびマッチング方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の問題を解決する本発明のマッチング装置は、
サンプル部位を標準部位にマッチングさせるマッチング装置であって、
上記サンプル部位を上記標準部位にマッチングさせるための一つ以上の第1のパラメータと、上記サンプル部位を上記標準部位にマッチングさせるための一つ以上の第2のパラメータとを最適化するパラメータ最適化手段と、
上記サンプル部位と上記標準部位との間の相関を表す相関量を算出する相関量算出手段と、
上記パラメータ最適化手段と上記相関量算出手段とを制御する制御手段であって、
(a) 上記パラメータ最適化手段が、上記サンプル部位と上記標準部位との間の第1のノルムに基づいて、上記一つ以上の第1のパラメータを最適化し、
(b) 上記一つ以上の第1のパラメータが最適化された後に、上記相関量算出手段が、上記サンプル部位と上記標準部位との間の第1の相関量を算出し、
(c) 上記第1の相関量が第1の相関条件を満たさない場合、上記パラメータ最適化手段が、上記第1のノルムに基づいて、上記一つ以上の第2のパラメータを最適化し、
(d) 上記一つ以上の第2のパラメータが最適化された後に、上記相関量算出手段が、上記サンプル部位と上記標準部位との間の第2の相関量を算出し、
(e) 上記第2の相関量が第2の相関条件を満たさない場合、上記パラメータ最適化手段が、上記第1のノルムに基づいて、上記一つ以上の第1のパラメータと上記一つ以上の第2のパラメータとの両方を最適化する制御手段とを備えている。
【0006】
本発明の磁気共鳴イメージング装置は、本発明のマッチング装置を備えている。
【0007】
また、本発明のマッチング方法は、
サンプル部位を標準部位にマッチングさせるマッチング方法であって、
上記サンプル部位と上記標準部位との間のノルムに基づいて、上記サンプル部位を上記標準部位にマッチングさせるための一つ以上の第1のパラメータを最適化するステップと、
上記一つ以上の第1のパラメータが最適化された後に、上記サンプル部位と上記標準部位との間の相関を表す第1の相関量を算出するステップと、
上記第1の相関量が第1の相関条件を満たさない場合、上記ノルムに基づいて、上記サンプル部位を上記標準部位にマッチングさせるための一つ以上の第2のパラメータを最適化するステップと、
上記一つ以上の第2のパラメータが最適化された後に、上記サンプル部位と上記標準部位との間の相関を表す第2の相関量を算出するステップと、
上記第2の相関量が第2の相関条件を満たさない場合、上記ノルムに基づいて、上記一つ以上の第1のパラメータと上記一つ以上の第2のパラメータとの両方を最適化するステップとを有している。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、一つ以上の第1のパラメータを最適化した後のサンプル部位と標準部位との間の相関量が第1の相関条件を満たしておらず、且つ、一つ以上の第2のパラメータを最適化した後のサンプル部位と標準部位との間の相関量が第2の相関条件を満たしていない場合、第1のパラメータと第2のパラメータとの両方を最適化する。したがって、第1のパラメータおよび第2のパラメータを最適解に近づけることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態の磁気共鳴イメージング装置1の概略図である。
【0011】
磁気共鳴イメージング装置(以下、MRI(Magnetic
Resonance Imaging)装置と呼ぶ)1は、コイルアセンブリ2と、クレードル3と、受信コイル4と、制御装置5と、入力装置6とを有している。
【0012】
コイルアセンブリ2は、被検体8が収容されるボア21と、超伝導コイル22と、勾配コイル23と、送信コイル24とを有している。超伝導コイル22は静磁場B0を形成し、勾配コイル23は勾配パルスを印加し、送信コイル24はRFパルスを送信する。
【0013】
クレードル3は、z方向および−z方向に移動するように構成されている。クレードル3がz方向に移動することによって、被検体8がボア21に搬送される。クレードル3が−z方向に移動することによって、ボア21に搬送された被検体8は、ボア21から搬出される。
【0014】
受信コイル4は、被検体8の頭部8aに取り付けられている。受信コイル4が受信したMR(Magnetic Resonance)信号は、制御装置5に伝送される。
【0015】
制御装置5は、コイル制御手段51〜分割手段60を有している。
【0016】
コイル制御手段51は、被検体8を撮影するためのパルスシーケンスが実行されるように、勾配コイル23および送信コイル24を制御する。
【0017】
データ処理手段52は、受信コイル4が被検体8の頭部8aから収集したデータを処理し、被検体8の頭部8aのボリュームデータDV(図5参照)を再構成する。
【0018】
脳抽出手段53は、ボリュームデータDVから脳8bを抽出する。
【0019】
重心合せ手段54は、後述するサンプル脳8bの重心Gsを、標準脳Tの重心Gtに合わせる。(図8参照)。
【0020】
脳表面点抽出手段55は、サンプル脳8bの表面点Xs(i)を抽出する。
【0021】
パラメータ最適化手段56は、後述する角度パラメータRx、Ry、およびRzとスケーリングパラメータSx、Sy、およびSzとの一方のパラメータ、又は両方のパラメータを最適化する。
【0022】
相関係数算出手段57は、後述する相関係数CorおよびCor’(式(3)および(11)参照)を算出する。
【0023】
相関係数判断手段58は、相関係数算出手段57が算出した相関係数CorおよびCor’が後述する相関条件(式(4)および(12)参照)を満たすか否かを判断する。
【0024】
制御手段59は、相関係数判断手段58の判断結果に基づいて、脳表面点抽出手段55、パラメータ最適化手段56、および相関係数算出手段57を制御する。
【0025】
分割手段60は、サンプル脳8bを、マッチング領域Rmと非マッチング領域Rout(図14(a)参照)に分割する。
【0026】
入力装置6は、オペレータ61が入力した命令などを制御装置5に入力する。
【0027】
MRI装置1は、上記のように構成されている。次に、MRI装置1の動作について説明する。
【0028】
図2〜図4は、MRI装置1の処理フローの一例を示す図である。
【0029】
ステップS1では、オペレータ9は、入力装置6を操作して、被検体8の頭部8aに複数のスライスを設定する。その後、被検体8の頭部8aを撮影するための撮影実行命令を入力する。撮影実行命令が入力されると、コイル制御手段51(図1参照)は、被検体8の頭部8aを撮影するためのスキャンが実行されるように、勾配コイル23および送信コイル24を制御する。スキャンが実行されることにより、受信コイル4は、被検体8の頭部8aからのMR信号を受信する。受信コイル4が受信したMR信号は、制御装置5のデータ処理手段52に伝送される。被検体8の頭部8aをスキャンした後、ステップS2に進む。
【0030】
ステップS2では、データ処理手段52(図1参照)が、被検体8の頭部8aから収集されたスライスデータから、被検体8の頭部8aのボリュームデータを再構成する。
【0031】
図5は、再構成されたボリュームデータDVを概略的に示す図、図6は、ボリュームデータDVのサジタル断面の一例を概略的に示す図である。
【0032】
図5に示すように、再構成されたボリュームデータDVは、被検体8の頭部8aを表している。ボリュームデータDVには、被検体8の脳8bのデータの他に、頭皮8cなどのデータも含まれている。ボリュームデータDVを再構成した後、ステップS3に進む。
【0033】
ステップS3では、脳抽出手段53(図1参照)が、ボリュームデータDVから脳8bを抽出する。本実施形態では、後述するマッチング処理(図2のステップS4参照)において、被検体8の脳8bを、標準脳にマッチングさせる処理が行われるので、その前処理として、ステップS3において、ボリュームデータDVから脳8bを抽出する処理が行われる。脳抽出手段53は、脳8bと頭皮8cとの間の間隙G1や、脳8bと鼻腔8dとの間の間隙G2(図5および図6参照)などを利用して、ボリュームデータDVから脳8bを抽出する。抽出する手法としては、イロージョン(Erosion)やディレーション(Dilation)などを適用することができる。
【0034】
図7は、抽出された脳8bを示す概略図である。脳8bを抽出した後、ステップS4に進む。
【0035】
ステップS4〜ステップS23では、抽出した脳(以下、「サンプル脳」と呼ぶ)8bを、標準脳にマッチングさせる処理を行う。このマッチング処理は、アフィン(Affine)変換により行われる。アフィン変換を行うために、先ず、ステップS4において、重心合せ手段54(図1参照)が、サンプル脳8bの重心を標準脳の重心に合わせる。
【0036】
図8は、サンプル脳8bの重心を、標準脳の重心に合わせるときの様子を示す図である。サンプル脳8bは太線で示されており、標準脳Tは細線で示されている。
【0037】
重心合せ手段54は、サンプル脳8bの重心Gsと、標準脳Tの重心Gtとを決定する(図8(a))。重心GsとGtとを決定した後、サンプル脳8bの重心Gsを標準脳Tの重心Gtに合わせるための移動パラメータtx、ty、およびtzの値を決定する。重心合せ手段54は、サンプル脳8bの重心Gsを、決定した移動パラメータtx、ty、およびtzの値だけ移動させる(図8(b))。この結果、サンプル脳8bの重心Gsを標準脳Tの重心Gtに合わせることができる。重心合わせを行った後、ステップS5に進む。
【0038】
ステップS5では、パラメータnを初期化する。パラメータnは、後述するステップS21(図4参照)における判断が行われた回数を表すパラメータである。パラメータnを初期化した後、ステップS6に進む。
【0039】
ステップS6では、脳表面点抽出手段55(図1参照)が、サンプル脳8bの表面点Xs(i)を抽出する。iは、サンプル脳8bの表面の任意の位置を表す変数であり、ここでは、i=1〜mの整数である。
【0040】
図9は、サンプル脳8bから抽出された表面点Xs(i)を概略的に示す図である。
【0041】
図9では、図面の見易さを考慮して、サンプル脳8bから抽出された表面点Xs(i)として、3つの表面点Xs(1)、Xs(2)、およびXs(m)のみが示されている。しかし、実際は、サンプル脳8bの表面の全体に渡って、表面点Xs(i)が抽出されている。脳表面点抽出手段55は、サンプル脳8bの表面点Xs(i)を抽出した後、サンプル脳8bの表面点Xs(i)に対応する標準脳Tの表面点X(i)を決定する(図10参照)。
【0042】
図10は、標準脳Tの表面点X(i)を概略的に示す図である。
【0043】
図10でも、サンプル脳8bの表面点Xs(i)に対応する標準脳Tの表面点X(i)として、代表して3つの表面点X(1)、X(2)、およびX(m)のみが示されている。しかし、実際は、標準脳Tの表面の全体に渡って、表面点X(i)が決定されている。その後、ステップS7に進む。
【0044】
ステップS7では、パラメータ最適化手段56(図1参照)が、標準脳Tに対してサンプル脳8bを回転させるための角度パラメータRx、Ry、およびRzを最適化する(図11参照)。
【0045】
図11は、角度パラメータRx、Ry、およびRzの概念を説明する図である。
【0046】
角度パラメータRxは、重心GsおよびGtを通過しX軸方向に延在する回転軸Axを中心にサンプル脳8bを回転させるときの回転角度を規定するパラメータである。角度パラメータRyは、重心GsおよびGtを通過しY軸方向に延在する回転軸Ayを中心にサンプル脳8bを回転させるときの回転角度を規定するパラメータである。角度パラメータRzは、重心GsおよびGtを通過しZ軸方向に延在する回転軸Azを中心にサンプル脳8bを回転させるときの回転角度を規定するパラメータである。
【0047】
パラメータ最適化手段56は、角度パラメータRx、Ry、およびRzを変更しながら、サンプル脳8bの表面点Xs(i)と、標準脳Tの表面点X(i)との間のノルム(Norm)を計算し、ノルムが最小になるとき角度パラメータRx、Ry、およびRzを求める。ノルムは、例えば、L2ノルム、ユークリッド距離であり、ノルムを算出する手法としては、Chamfer Distanceの手法を使用することができる。パラメータ最適化手段56は、ノルムが最小になるときの角度パラメータRx、Ry、およびRzを、最適化された角度パラメータRx1、Ry1、およびRz1と決定する。したがって、最適化された角度パラメータRx1、Ry1、およびRz1は、以下の式(1)および(2)で表される。
【数1】

【0048】
最適化の方法としては、最急降下法、準ニュートン法、シンプレックス法、共役勾配法などの種々の方法を適用することができる。角度パラメータRx、Ry、およびRzを最適化した後、ステップS8に進む。
【0049】
ステップS8では、相関係数算出手段57(図1参照)が、角度パラメータRx、Ry、およびRzが最適化された後のサンプル脳8bと標準脳Tとの間の相関係数Corを算出する。相関係数Corは、以下の式(3)を用いて算出される。
【数2】

【0050】
相関係数Corが算出された後、ステップS9に進む。
【0051】
ステップS9では、相関係数判断手段58(図1参照)が、相関係数算出手段57の算出した相関係数Corが所定の相関条件を満たしているか否かを判断する。相関条件は、例えば、以下の式(4)で表される。
k1≦|Cor|≦k2 ・・・(4)
ここで、|Cor|:相関係数Corの絶対値、
k1、k2:定数
【0052】
k1およびk2は、それぞれ、例えば、0.7および1である。k1およびk2の値は、デフォルト値として、予め決定されている値であってもよく、オペレータ61によって変更することができる値であってもよい。
【0053】
相関係数判断手段58が、相関係数Corが(4)式を満たすと判断した場合、制御手段59(図1参照)は、マッチング処理を終了するための命令を生成し、この結果、マッチング処理は終了する。しかし、相関係数判断手段58が、相関係数Corが(4)式を満たしていないと判断した場合、制御手段59は、マッチング処理が続行されるように、脳表面点抽出手段55、パラメータ最適化手段56、および相関係数算出手段57を制御する。マッチング処理を続行する場合、ステップS10に進む。
【0054】
ステップS10では、脳表面点抽出手段55が、サンプル脳8bの表面点Xs(i)を抽出する。この抽出方法は、ステップS5と同じである。表面点Xs(i)およびX(i)を抽出した後、ステップS11に進む。
【0055】
ステップS11では、パラメータ最適化手段56が、サンプル脳8bの大きさを変更するためのスケーリングパラメータSx、Sy、およびSzを最適化する(図12参照)。
【0056】
図12は、スケーリングパラメータSx、Sy、およびSzの概念を説明する図である。
【0057】
スケーリングパラメータSxは、X軸方向にサンプル脳8bを拡大又は縮小するときの拡大率又は縮小率を規定するパラメータである。スケーリングパラメータSyは、Y軸方向にサンプル脳8bを拡大又は縮小するときの拡大率又は縮小率を規定するパラメータである。スケーリングパラメータSzは、Z軸方向にサンプル脳8bを拡大又は縮小するときの拡大率又は縮小率を規定するパラメータである。
【0058】
パラメータ最適化手段56は、スケーリングパラメータSx、Sy、およびSzを変更しながら、サンプル脳8bの表面点Xs(i)と、標準脳Tの表面点X(i)との間のノルムを計算し、ノルムが最小になるときスケーリングパラメータSx、Sy、およびSzを求める。パラメータ最適化手段56は、ノルムが最小になるときのスケーリングパラメータSx、Sy、およびSzを、最適化されたスケーリングパラメータSx1、Sy1、およびSz1と決定する。したがって、最適化されたスケーリングパラメータSx1、Sy1、およびSz1は、以下の式(5)および(6)で表される。
【数3】

【0059】
スケーリングパラメータSx、Sy、およびSzを最適化した後、ステップS12に進む。
【0060】
ステップS12では、相関係数算出手段57が、スケーリングパラメータSx、Sy、およびSzが最適化された後のサンプル脳8bと標準脳Tとの間の相関係数Corを算出する。相関係数Corは、上記の式(3)を用いて算出される。相関係数Corが算出された後、ステップS13に進む。
【0061】
ステップS13では、相関係数判断手段58が、ステップS12において相関係数算出手段57の算出した相関係数Corが所定の相関条件を満たしているか否かを判断する。相関条件は、例えば、式(4)を使用することができる。
【0062】
相関係数判断手段58が、相関係数Corが(4)式を満たすと判断した場合、制御手段59は、マッチング処理を終了するための命令を生成し、この結果、マッチング処理は終了する。しかし、相関係数判断手段58が、相関係数Corが(4)式を満たしていないと判断した場合、制御手段59は、マッチング処理が更に続行されるように、脳表面点抽出手段55、パラメータ最適化手段56、および相関係数算出手段57を制御する。マッチング処理を更に続行する場合、ステップS14に進む。
【0063】
ステップS14では、脳表面点抽出手段55が、サンプル脳8bの表面点Xs(i)を抽出する。この抽出方法は、ステップS5と同じである。表面点Xs(i)を抽出した後、ステップS15に進む。
【0064】
ステップS15では、パラメータ最適化手段56が、角度パラメータRx、Ry、およびRzとスケーリングパラメータSx、Sy、およびSzとの両方のパラメータを最適化する。
【0065】
パラメータ最適化手段56は、角度パラメータRx、Ry、およびRzとスケーリングパラメータSx、Sy、およびSzとを変更しながら、サンプル脳8bの表面点Xs(i)と、標準脳Tの表面点X(i)との間のノルムを計算し、ノルムが最小になるとき角度パラメータRx、Ry、およびRzとスケーリングパラメータSx、Sy、およびSzとを求める。パラメータ最適化手段56は、ノルムが最小になるときの角度パラメータRx、Ry、およびRzを、最適化された角度パラメータRx1、Ry1、およびRz1と決定し、ノルムが最小になるときのスケーリングパラメータSx、Sy、およびSzを、最適化されたスケーリングパラメータSx1、Sy1、およびSz1と決定する。したがって、最適化された角度パラメータRx1、Ry1、およびRz1と、最適化されたスケーリングパラメータSx1、Sy1、およびSz1は、以下の式(7)および(8)で表される。
【数4】

【0066】
角度パラメータRx、Ry、およびRzと、スケーリングパラメータSx、Sy、およびSzとを最適化した後、ステップS16に進む。
【0067】
ステップS16では、相関係数算出手段57が、角度パラメータRx、Ry、およびRzと、スケーリングパラメータSx、Sy、およびSzとの両方が最適化された後のサンプル脳8bと標準脳Tとの間の相関係数Corを算出する。相関係数Corは、上記の式(3)を用いて算出される。相関係数Corが算出された後、ステップS17に進む。
【0068】
ステップS17では、相関係数判断手段58が、相関係数算出手段57の算出した相関係数Corが所定の相関条件を満たしているか否かを判断する。相関条件は、例えば、式(4)を使用することができる。
【0069】
相関係数判断手段58が、相関係数Corが(4)式を満たすと判断した場合、制御手段59は、マッチング処理を終了するための命令を生成し、この結果、マッチング処理は終了する。しかし、相関係数判断手段58が、相関係数Corが(4)式を満たしていないと判断した場合、制御手段59は、マッチング処理が更に続行されるように、脳表面点抽出手段55、パラメータ最適化手段56、および相関係数算出手段57を制御する。マッチング処理を更に続行する場合、ステップS18に進む。
【0070】
ステップS18では、脳表面点抽出手段55が、サンプル脳8bの表面点Xs(i)を抽出する。ただし、本実施形態では、ステップS18に到達するまでに、すでに、角度パラメータの最適化(ステップS7)、スケーリングパラメータの最適化(ステップS11)、および角度パラメータとスケーリングパラメータとの両方の最適化(ステップS15)が実行されている。これらの最適化が実行されたにも関わらず、相関係数Corが、(4)式を満たさないということは、ステップS3において、サンプル脳8bをうまく抽出することができなかったことが考えられる。以下に、サンプル脳8bをうまく抽出することができない例について、図13を参照しながら説明する。
【0071】
図13(a)は、被検体8が副鼻腔炎を起こしている場合の図5に示すボリュームデータDVのサジタル断面の一例であり、図13(a)から抽出された脳を示す図である。
【0072】
図5および図6を参照しながら説明したように、ボリュームデータDVから脳8bを抽出する場合、脳抽出手段53は、脳8bと頭皮8cとの間の間隙G1や、脳8bと鼻腔8dとの間の間隙G2を利用する。しかし、被検体8が副鼻腔炎を起こしている場合、図13に示すように、脳8bと鼻腔8dとのの間に、副鼻腔炎による炎症8eが発症する。したがって、脳8bと鼻腔8dとの間の間隙G2が、副鼻腔炎による炎症8eで埋まってしまい、脳抽出手段53は、脳8bと鼻腔8dとの間の間隙G2を認識することができない。その結果、図13(b)に示すように、脳8bと一緒に、副鼻腔炎による炎症8eも抽出されてしまう。この場合、脳表面点抽出手段55は、脳8bと副鼻腔炎による炎症8eとを区別することができず、炎症8eの領域からも表面点Xs(i)を抽出する。したがって、炎症8eの領域から抽出された表面点Xs(i)が邪魔となり、サンプル脳8bを標準脳Tにうまくマッチングさせることが難しくなる。
【0073】
そこで、ステップS18では、脳表面点抽出手段55が炎症8eの領域から表面点Xs(i)を抽出しないようにするため、分割手段60(図1参照)が、サンプル脳8bを、マッチングの対象として使用されるマッチング領域と、マッチングの対象から外される非マッチング領域とに分割する(図14参照)。
【0074】
図14は、サンプル脳8bを、どのようにして、マッチングの対象と非マッチング領域とに分割しているかを説明する図である。
【0075】
図14(a)は、副鼻腔炎の炎症8eが発生している被検体のサンプル脳8bのサジタル断面であり、図14(b)は、標準脳Tのサジタル断面を示す図である。
【0076】
図14(a)に示すように、副鼻腔炎による炎症8eは、脳8bの前頭葉FLの下側に発生する。したがって、サンプル脳8bの下側を、マッチングの対象から外される非マッチング領域Routとし、サンプル脳8bの上側を、マッチングの対象として使用するマッチング領域Rmとすれば、脳表面点抽出手段55が炎症8eの領域から抽出する表面点Xs(i)の数をゼロ又は十分に少なくすることができる。そこで、分割手段60は、サンプル脳8bをマッチング領域Rmと非マッチング領域Routとに分割するためのスライス面Sbを設定する。このスライス面Sbをサンプル脳8bに設定することにより、サンプル脳8bを、マッチング領域Rmと非マッチング領域Routとに分割することができる。
【0077】
ただし、サンプル脳8bを、マッチング領域Rmと非マッチング領域Routとに分割するためには、スライス面8を、前頭葉FLと副鼻腔炎の炎症8eとの間に設定する必要がある。以下に、本実施形態において、どのようにして、スライス面8を、前頭葉FLと副鼻腔炎の炎症8eとの間に設定しているかについて説明する。
【0078】
上記のように、副鼻腔炎による炎症8eは、脳8bの前頭葉FLの下側に発生する。したがって、脳8bの前頭葉FLの大まかな範囲を予測することができれば、スライス面8bを、前頭葉FLと副鼻腔炎の炎症8eとの間に設定することができる。そこで、本実施形態では、脳8bの前頭葉FLの大まかな範囲を予測するために、標準脳Tのデータを使用する。図14(b)に示すように、標準脳Tには、副鼻腔炎の炎症8eが含まれていないので、標準脳Tに対しては、前頭葉FLの範囲を知ることができる。そこで、標準脳Tに対して、前頭葉FLの下にスライス面STを規定し、スライス面STの上側の領域をマッチング領域Tmと定め、スライス面STの下側の領域を非マッチング領域Toutと定める。分割手段60は、この標準脳Tに対するスライス面STの位置を記憶している。分割手段60は、サンプル脳8bの範囲の中から、標準脳Tのスライス面STに対応する位置を算出し、算出した位置を、サンプル脳8bのスライス面Sbの位置と決定する。したがって、スライス面8を、前頭葉FLと副鼻腔炎の炎症8eとの間に設定することができる。
【0079】
図15は、脳表面点算出手段がマッチング領域Rmから抽出した表面点Xs(i)を概略的に示す図である。
【0080】
図15では、サンプル脳8bのマッチング領域Rmから抽出された表面点Xs(i)として、代表して、3つの表面点Xs(1)、Xs(2)、およびXs(m)のみが示されている。
【0081】
サンプル脳8bの非マッチング領域Routからは、表面点Xs(i)は抽出されない。したがって、脳表面点抽出手段55は、非マッチング領域Routの中に含まれている副鼻腔炎の炎症8eの領域からは、表面点Xs(i)を抽出しないことがわかる。脳表面点抽出手段55は、サンプル脳8bのマッチング領域Rmから表面点Xs(i)を抽出した後、サンプル脳8bのマッチング領域Rmの表面点Xs(i)に対応する標準脳Tの表面点X(i)を決定する。ただし、脳表面点抽出手段55は、標準脳Tのマッチング領域Tmから表面点X(i)を抽出する。
【0082】
図16は、標準脳Tの表面点X(i)を概略的に示す図である。
【0083】
図16でも、標準脳Tの表面点X(i)として、代表して3つの表面点X(1)、X(2)、およびX(m)のみが示されている。しかし、実際は、標準脳Tのマッチング領域Tmの表面全体に渡って、表面点X(i)が決定されている。その後、ステップS19に進む。
【0084】
ステップS19では、パラメータ最適化手段56が、角度パラメータRx、Ry、およびRzとスケーリングパラメータSx、Sy、およびSzとの両方のパラメータを最適化する。
【0085】
パラメータ最適化手段56は、角度パラメータRx、Ry、およびRzとスケーリングパラメータSx、Sy、およびSzとを変更しながら、サンプル脳8bのマッチング領域Rmの表面点Xs(i)と、標準脳Tのマッチング領域Tmの表面点X(i)との間のノルムを計算し、ノルムが最小になるとき角度パラメータRx、Ry、およびRzとスケーリングパラメータSx、Sy、およびSzとを求める。パラメータ最適化手段56は、ノルムが最小になるときの角度パラメータRx、Ry、およびRzを、最適化された角度パラメータRx1、Ry1、およびRz1と決定し、ノルムが最小になるときのスケーリングパラメータSx、Sy、およびSzを、最適化されたスケーリングパラメータSx1、Sy1、およびSz1と決定する。したがって、最適化された角度パラメータRx1、Ry1、およびRz1と、最適化されたスケーリングパラメータSx1、Sy1、およびSz1は、以下の式(9)および(10)で表される。
【数5】

【0086】
角度パラメータRx、Ry、およびRzと、スケーリングパラメータSx、Sy、およびSzとを最適化した後、ステップS20に進む。
【0087】
ステップS20では、相関係数算出手段57が、ステップS19によりパラメータが最適化された後のサンプル脳8bのマッチング領域Rmと標準脳Tのマッチング領域Tmとの間の相関係数Cor’を算出する。相関係数Cor’は、例えば、以下の式(11)を用いて算出される。
【数6】

【0088】
相関係数Cor’が算出された後、ステップS21に進む。
【0089】
ステップS21では、相関係数判断手段58が、相関係数算出手段57の算出した相関係数Cor’が所定の相関条件を満たしているか否かを判断する。相関条件は、例えば、以下の式(12)で表される。
k1≦|Cor’|≦k2 ・・・(12)
ここで、|Cor’|:相関係数Cor’の絶対値、
k1、k2:定数
【0090】
相関係数判断手段58が、相関係数Cor’が(12)式を満たすと判断した場合、制御手段59は、マッチング処理を終了するための命令を生成し、この結果、マッチング処理は終了する。しかし、相関係数判断手段58が、相関係数Cor’が(12)式を満たしていないと判断した場合、ステップS22に進む。
【0091】
ステップS22では、パラメータnがインクリメントされ、n=1に更新される。n=1に更新されたということは、ステップS21における判断が1回行われたことを意味する(ステップS5参照)。パラメータnを更新したら、ステップS23に進む。
【0092】
ステップS23では、制御手段59が、パラメータnが、n<N0であるか否かを判断する。n<N0の場合、ステップS6(図2参照)又はステップS18(図3参照)に戻り、制御手段59は、マッチング処理が更に続行されるように、脳表面点抽出手段55、パラメータ最適化手段56、および相関係数算出手段57を制御する。したがって、パラメータnが、N0に到達するまでは、マッチング処理は繰り返し実行される。しかし、サンプル脳8bの形状や大きさによっては、マッチング処理を何度実行しても、相関係数が所定の相関条件を満たさない場合もあり得る。したがって、マッチング処理が繰り返し実行され、パラメータnが、n=N0に到達した場合、制御手段59は、マッチング処理を終了するための命令を生成する。この結果、マッチング処理は終了する。
【0093】
本実施形態では、角度パラメータの最適化(ステップS7)を実行した後、相関係数Corが所定の相関条件を満たさない場合、更に、スケーリングパラメータの最適化(ステップS11)、および角度パラメータとスケーリングパラメータとの両方の最適化(ステップS15)が実行される。したがって、パラメータを最適化した場合に、パラメータが最適解ではなく局所解に収束しても、パラメータを最適解に収束させること又は最適解により近い局所解に収束させることができる。
【0094】
また、本実施形態では、角度パラメータとスケーリングパラメータとの両方の最適化(ステップS15)が実行されても、相関係数Corが所定の相関条件を満たさない場合、サンプル脳8bおよび標準脳Tのマッチング対象を、マッチング領域RmおよびTmに限定している。したがって、ステップS3において、サンプル脳8bをうまく抽出することができなかった場合でも(図13参照)、パラメータを最適解に収束させること又は最適解により近い局所解に収束させることができる。
【0095】
尚、本実施形態では、最初に角度パラメータRx、Ry、およびRzを最適化し(ステップS7)、相関係数Corが所定の相関条件を満たさない場合、スケーリングパラメータSx、Sy、およびSzを最適化している(ステップS11)。しかし、最初にスケーリングパラメータSx、Sy、およびSzを最適化し、次に、角度パラメータRx、Ry、およびRzを最適化してもよい。
【0096】
本実施形態では、角度パラメータRx、Ry、およびRzと、スケーリングパラメータSx、Sy、およびSzとを最適化しているが、サンプル脳8bを標準脳Tにマッチングさせるためのパラメータであれば、角度パラメータRx、Ry、およびRzと、スケーリングパラメータSx、Sy、およびSz以外のパラメータを最適化するようにしてもよい。
【0097】
本実施形態では、式(1)、(5)、(7)、および(9)を用いて、最適化されたパラメータを算出している。しかし、別の式に基づいて最適化されたパラメータを算出してもよい。
【0098】
本実施形態では、サンプル脳と標準脳との間の相関を表す相関量として、相関係数Cor(式(3)参照)および相関係数Cor’(式(11)参照)を用いている。しかし、相関係数CorおよびCor’とは異なる相関量によって、サンプル脳と標準脳との間の相関を表してもよい。
【0099】
本実施形態では、相関係数CorおよびCor’が所定の相関条件を満たしているか否かを判断する場合、一例として、式(4)および(12)の相関条件が使用されているが、別の相関条件を用いてもよい。
【0100】
本実施形態では、標準脳Tをマッチング領域Tmと非マッチング領域Toutとに分けるためのスライス面STは、前頭葉FLの下に規定されているが、スライス面STの位置は、必要に応じて変更できるようにしてもよい。また、本実施形態では、標準脳Tに対して設定されたスライスSTに基づいて、サンプル脳8bのスライス面Sbを決定しているが、サンプル脳8bのデータに基づいて、スライス面Sbを決定してもよい。
【0101】
また、本実施形態では、n<N0の場合(ステップS23参照)、ステップS6(図2参照)又はステップS18(図3参照)に戻っているが、他のステップ(例えば、ステップS10)に戻ってもよい。
【0102】
更に、本実施形態では、サンプル脳8bを標準脳Tにマッチングさせる方法について説明されているが、本発明は、脳以外の別の臓器をマッチングさせる場合にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の一実施形態の磁気共鳴イメージング装置1の概略図である。
【図2】MRI装置1の処理フローの一例を示す図である。
【図3】MRI装置1の処理フローの一例を示す図である。
【図4】MRI装置1の処理フローの一例を示す図である。
【図5】再構成されたボリュームデータDVを概略的に示す図である。
【図6】ボリュームデータDVのサジタル断面の一例を概略的に示す図である。
【図7】抽出された脳8bを示す概略図である。
【図8】サンプル脳8bの重心を、標準脳の重心に合わせるときの様子を示す図である。
【図9】サンプル脳8bから抽出された表面点Xs(i)を概略的に示す図である。
【図10】標準脳Tの表面点X(i)を概略的に示す図である。
【図11】角度パラメータRx、Ry、およびRzの概念を説明する図である。
【図12】スケーリングパラメータSx、Sy、およびSzの概念を説明する図である。
【図13】被検体8が副鼻腔炎を起こしている場合の図5に示すボリュームデータDVのサジタル断面(a)、図13(a)から抽出された脳を示す図(b)である。
【図14】サンプル脳8bを、どのようにして、マッチングの対象と非マッチング領域とに分割しているかを説明する図である。
【図15】脳表面点算出手段がマッチング領域Rmから抽出した表面点Xs(i)を概略的に示す図である。
【図16】標準脳Tの表面点X(i)を概略的に示す図である。
【符号の説明】
【0104】
1 MRI装置
2 コイルアセンブリ
3 クレードル
4 受信コイル
5 制御装置
6 入力装置
8 被検体
8a 頭部
21 ボア
22 超伝導コイル
23 勾配コイル
24 送信コイル
51 コイル制御手段
52 データ処理手段
53 脳抽出手段
54 重心合せ手段
55 脳表面点抽出手段
56 パラメータ最適化手段
57 相関係数算出手段
58 制御手段
59 分割手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル部位を標準部位にマッチングさせるマッチング装置であって、
前記サンプル部位を前記標準部位にマッチングさせるための一つ以上の第1のパラメータと、前記サンプル部位を前記標準部位にマッチングさせるための一つ以上の第2のパラメータとを最適化するパラメータ最適化手段と、
前記サンプル部位と前記標準部位との間の相関を表す相関量を算出する相関量算出手段と、
前記パラメータ最適化手段と前記相関量算出手段とを制御する制御手段であって、
(a) 前記パラメータ最適化手段が、前記サンプル部位と前記標準部位との間の第1のノルムに基づいて、前記一つ以上の第1のパラメータを最適化し、
(b) 前記一つ以上の第1のパラメータが最適化された後に、前記相関量算出手段が、前記サンプル部位と前記標準部位との間の第1の相関量を算出し、
(c) 前記第1の相関量が第1の相関条件を満たさない場合、前記パラメータ最適化手段が、前記第1のノルムに基づいて、前記一つ以上の第2のパラメータを最適化し、
(d) 前記一つ以上の第2のパラメータが最適化された後に、前記相関量算出手段が、前記サンプル部位と前記標準部位との間の第2の相関量を算出し、
(e) 前記第2の相関量が第2の相関条件を満たさない場合、前記パラメータ最適化手段が、前記第1のノルムに基づいて、前記一つ以上の第1のパラメータと前記一つ以上の第2のパラメータとの両方を最適化する制御手段とを備えたマッチング装置。
【請求項2】
前記第1の相関量が前記第1の相関条件を満たすか否かを判断するとともに、前記第2の相関量が前記第2の相関条件を満たすか否かを判断する相関量判断手段を有し、
前記制御手段は、前記相関量判断手段の判断結果に基づいて、前記パラメータ最適化手段と前記相関量算出手段とを制御する、請求項1に記載のマッチング装置。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記一つ以上の第1のパラメータと前記一つ以上の第2のパラメータとの両方が最適化された後に、前記サンプル部位と前記標準部位との間の第3の相関量が算出されるように、前記相関量算出手段を制御する請求項2に記載のマッチング装置。
【請求項4】
前記相関量判断手段は、
前記第3の相関量が前記第3の相関条件を満たすか否かを判断する、請求項3に記載のマッチング装置。
【請求項5】
前記サンプル部位を、マッチングの対象として使用されるマッチング領域と、マッチングの対象から外される非マッチング領域とに分割するサンプル分割手段を有する、請求項3又は4に記載のマッチング装置。
【請求項6】
前記分割手段は、
前記標準部位を、マッチングの対象であるマッチング領域と、マッチングの対象から外される非マッチング領域とに分割する、請求項5に記載のマッチング装置。
【請求項7】
前記制御手段は、
前記第3の相関量が第3の相関条件を満たさない場合、前記サンプル部位のマッチング領域と前記標準部位のマッチング領域との間の第2のノルムに基づいて、前記一つ以上の第1のパラメータと前記一つ以上の第2のパラメータとの両方が最適化されるように、前記パラメータ最適化手段を制御する請求項6に記載のマッチング装置。
【請求項8】
前記制御手段は、
前記一つ以上の第1のパラメータと前記一つ以上の第2のパラメータとの両方が最適化された後に、前記サンプル部位のマッチング領域と前記標準部位のマッチング領域との間の第4の相関量が算出されるように、前記相関量算出手段を制御する請求項7に記載のマッチング装置。
【請求項9】
前記相関量判断手段は、
前記第4の相関量が前記第4の相関条件を満たすか否かを判断する、請求項8に記載のマッチング装置。
【請求項10】
前記制御手段は、
前記第4の相関量が第4の相関条件を満たさない場合、前記第2のノルムに基づいて、前記一つ以上の第1のパラメータと前記一つ以上の第2のパラメータとの両方を最適化する処理が繰り返し実行されるように、前記パラメータ最適化手段を制御する請求項8又は9に記載のマッチング装置。
【請求項11】
前記制御手段は、
前記第4の相関量が第4の相関条件を満たさない場合、
(a) 前記パラメータ最適化手段が、前記サンプル部位と前記標準部位との間の第1のノルムに基づいて、前記一つ以上の第1のパラメータを最適化し、
(b) 前記一つ以上の第1のパラメータが最適化された後に、前記相関量算出手段が、前記サンプル部位と前記標準部位との間の第1の相関量を算出し、
(c) 前記第1の相関量が第1の相関条件を満たさない場合、前記パラメータ最適化手段が、前記第1のノルムに基づいて、前記一つ以上の第2のパラメータを最適化し、
(d) 前記一つ以上の第2のパラメータが最適化された後に、前記相関量算出手段が、前記サンプル部位と前記標準部位との間の第2の相関量を算出し、
(e) 前記第2の相関量が第2の相関条件を満たさない場合、前記パラメータ最適化手段が、前記第1のノルムに基づいて、前記一つ以上の第1のパラメータと前記一つ以上の第2のパラメータとの両方を最適化し、
(f) 前記一つ以上の第1のパラメータと前記一つ以上の第2のパラメータとの両方が最適化された後に、前記相関量算出手段が、前記サンプル部位と前記標準部位との間の第3の相関量を算出し、
(g) 前記第3の相関量が第3の相関条件を満たさない場合、前記パラメータ最適化手段が、前記サンプル部位のマッチング領域と前記標準部位のマッチング領域との間の第2のノルムに基づいて、前記一つ以上の第1のパラメータと前記一つ以上の第2のパラメータとの両方を最適化し、
(h) 前記一つ以上の第1のパラメータと前記一つ以上の第2のパラメータとの両方が最適化された後に、前記相関量算出手段が、前記サンプル部位のマッチング領域と前記標準部位のマッチング領域との間の第4の相関量を算出する、

(a)〜(h)の処理が繰り返し実行されるように、前記パラメータ最適化手段および前記相関量算出手段を制御する請求項8又は9に記載のマッチング装置。
【請求項12】
前記サンプル部位の重心を前記標準部位の重心に合わせる重心合せ手段を有する、請求項1〜11のうちのいずれか一項に記載のマッチング装置。
【請求項13】
前記一つ以上の第1のパラメータは、3つの角度パラメータであり、前記一つ以上の第2のパラメータは、3つのスケールパラメータである、請求項1〜12のうちのいずれか一項に記載のマッチング装置。
【請求項14】
前記第1のノルムは、前記サンプル部位の表面点と前記標準部位の表面点との間のノルムである、請求項1〜13のうちのいずれか一項に記載のマッチング装置。
【請求項15】
前記第2のノルムは、前記サンプル部位のマッチング領域の表面点と前記標準部位のマッチング領域の表面点との間のノルムである、請求項7〜11のうちのいずれか一項に記載のマッチング装置。
【請求項16】
前記サンプル部位はサンプル脳であり、前記標準部位は標準脳である、請求項1〜15のうちのいずれか一項に記載のマッチング装置。
【請求項17】
請求項1〜16のうちのいずれか一項に記載のマッチング装置を有する磁気共鳴イメージング装置。
【請求項18】
サンプル部位を標準部位にマッチングさせるマッチング方法であって、
前記サンプル部位と前記標準部位との間のノルムに基づいて、前記サンプル部位を前記標準部位にマッチングさせるための一つ以上の第1のパラメータを最適化するステップと、
前記一つ以上の第1のパラメータが最適化された後に、前記サンプル部位と前記標準部位との間の相関を表す第1の相関量を算出するステップと、
前記第1の相関量が第1の相関条件を満たさない場合、前記ノルムに基づいて、前記サンプル部位を前記標準部位にマッチングさせるための一つ以上の第2のパラメータを最適化するステップと、
前記一つ以上の第2のパラメータが最適化された後に、前記サンプル部位と前記標準部位との間の相関を表す第2の相関量を算出するステップと、
前記第2の相関量が第2の相関条件を満たさない場合、前記ノルムに基づいて、前記一つ以上の第1のパラメータと前記一つ以上の第2のパラメータとの両方を最適化するステップと、
を有する、マッチング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−125113(P2010−125113A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−303810(P2008−303810)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(300019238)ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー (1,125)
【Fターム(参考)】