説明

マットレス装置

【課題】この発明はCPAP療法を行う際に使い易くしたマットレス装置を提供することにある。
【解決手段】スプリングユニット2と、スプリングユニットの長手方向の一端部に厚さ方向に貫通して形成された挿通孔11と、スプリングユニットの長手方向一端部の下面に一端が挿通孔に連通し他端がスプリングユニットの側面に開口して形成された連通溝9を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はCPAP療法を行う際に好適するマットレス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
閉塞型睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に何らかの原因によって気道が閉塞し、無呼吸や低呼吸による酸素不足或いは睡眠の質が低下するなどのことがある。そこで、閉塞型睡眠時無呼吸症候群の患者は睡眠時に持続的陽圧呼吸法(以下、CPAP療法という)を行うようにしている。
【0003】
CPAP療法では周知のように、患者がマスクを装着し、そのマスクに送気装置から加圧された空気或いは呼吸可能なガスを送気チューブを通じて送るようにしている。空気の圧力は患者が息を吸っているときも吐いているときも肺の中に送り込まれるように設定される。それによって、気道が確保されるため、睡眠中に患者が無呼吸や低呼吸になるのが防止される。特許文献1にはCPAP療法に用いられるマスクが開示されている。
【特許文献1】特開2008−73550号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
患者がマットレス装置上でCPAP療法を受ける場合、患者が装着したマスクと、送気装置を連通した送気チューブが患者の頭部の側方に弛んだ状態となるため、その送気チューブが邪魔になるということがあった。
【0005】
しかも、患者が仰臥した寝姿勢から横向きや伏臥した寝姿勢をとると、患者が装着したマスクがマットレス装置の上面に強く当たるから、患者が顔面がマスクによって圧迫されて寝心地が低下するということがある。
【0006】
この発明は、患者が装着したマスクに接続された送気チューブが邪魔ないなることがなく、しかも患者が寝姿勢を横向きや下向きに変えたときに顔面がマスクによって圧迫され難くなるようにしたマットレス装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、マットレス本体と、
このマットレス本体の長手方向の一端部に厚さ方向に貫通して形成された挿通孔と、
上記マットレス本体の長手方向一端部の下面に一端が上記挿通孔に連通し他端が上記マットレス本体の側面に開口して形成された連通溝と
を具備したことを特徴とするマットレス装置にある。
【0008】
上記マットレス本体はスプリングユニットによって構成されていて、
このスプリングユニットは長手方向の一端部において第1の部分と第2の部分とに分割されていて、
上記第1の部分と第2の部分との間には上記スプリングユニットの幅方向全長にわたってクッション体が介装され、このクッション体の長手方向中央部に上記挿通孔が形成され、下面に上記連通溝が長手方向全長にわたって形成されていることが好ましい。
【0009】
上記スプリングユニットの第1の部分と第2の部分は、上記クッション体を挟んで矩形状の連結枠によって連結されていることが好ましい。
【0010】
上記マットレス本体は外装地によって被覆され、この外装地の上記連通溝に対応する箇所には開口部が形成されていることが好ましい。
【0011】
一端が送気装置に接続され他端がマットレス上の利用者に装着されるマスクに接続された送気チューブが上記連通溝及び挿通孔を通されることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、送気装置とマスクを接続する送気チューブを、マットレス本体の側面に開口した連通溝に通し、この連通溝から挿通孔を通してマットレス本体の上面に導出することができる。
【0013】
そのため、患者の頭部の側方で送気チューブを大きく弛ませずにすむから、邪魔になり難く、しかも患者が寝姿勢を横向きや下向きに変えたとき、マスクは挿通孔内に入り込むから、患者の顔面がマスクによって圧迫され難くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、この発明の一実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1はマットレス装置1の平面図、図2は側面図、図3は内部構造を示す平面図、図4はその側面図である。上記マットレス装置1は図3と図4に示すようにマットレス本体としてのスプリングユニット2を備えている。このスプリングユニット2は、多数のポケットコイルスプリング3が行列状に配置されていて、その上下面の周縁部にそれぞれ補強用の枠線4が図示しないクリップによって取付けられている。
【0016】
上記スプリングユニット2は長手方向の一端部において第1の部分2aと第2の部分2bとに分割されている。第1の部分2aと第2の部分2bとの間には、たとえばウレタンフォームなどの弾性材によって柱状に成形されたクッション体6がスプリングユニット2の幅方向全長にわたって介装されている。
【0017】
上記クッション体6は、図4に示すように上記スプリングユニット2の厚さ寸法の約半分の厚さで、下面には長手方向全長にわたって凹曲面7が形成されていて、その長手方向の中央部の両側面には図5(a)〜(c)に示すように上記クッション体6と同じ材料によってスプリングユニット2の厚さと同じ高さ寸法に形成された支持部材8が取付けられている。
【0018】
それによって、上記クッション体6の下面には、図4に示すようにスプリングユニット2の幅方向全長にわたる連通溝9が形成されている。なお、クッション体6と支持部材8は一体成形してもよい。
【0019】
上記クッション体6の長手方向の中央部には厚さ方向に貫通した挿通孔11が形成されている。上記連通溝9は長手方向中央部が上記挿通孔11に連通し、両端が上記スプリングユニット2の側面に開口している。
【0020】
図3に示すように、上記スプリングユニット2の分割された第1の部分2aと第2の部分2bは連結枠13によって連結されている。それによって、上記スプリングユニット2の第1の部分2aと第2の部分2bはクッション体6を挟んで上記枠線4と連結枠13によって一体的に連結されている。
【0021】
スプリングユニット2を第1の部分2aと第2の部分2bに分割し、その間にクッション体6を設けることで、スプリングユニット2に厚さ方向に貫通する挿通孔11を容易に形成することが可能となる。しかも、分割されたスプリングユニット2の第1の部分2aと第2の部分2bを連結枠13で連結することで、スプリングユニット2の強度が低下することもない。
【0022】
図1と図2に示すように、上記スプリングユニット2は袋状に縫製された外装地14によって被覆されている。この外装地14の上記連通溝9の両端に対向する部分には第1の開口部15(図2に一方だけ示す)が形成され、上記クッション体6の挿通孔11に対向する上面には第2の開口部16が形成されている。それによって、上記連通溝9の両端は上記開口部15によって外部に開口している。
上記挿通孔11には図2に示すように上記第2の開口部16からクッション材料によって形成された入れ子17を着脱可能に装着される。それによって、上記挿通孔11を閉塞できるようになっている。
【0023】
なお、マットレス装置1の下面の上記挿通孔11と対向する部位には、図1に鎖線で示すフィルタ部材18(図4に示す)が設けられている。このフィルタ部材18は面ファスナが設けられた保持布19によって上記外装地14に着脱可能に保持される。
【0024】
このように構成されたマットレス装置1の上面には図6に示すように利用者Uが仰臥する。利用者Uが閉塞型睡眠時無呼吸症候群である場合、睡眠中にCPAP療法が行われる。CPAP療法を行うには利用者Uがマスク21を装着する。
【0025】
上記マスク21は送気チューブ22によって送気装置23に接続される。それによって、利用者Uには睡眠中に所定の圧力の空気が送り込まれるから、気道が確保されることになる。なお、利用者Uは必要に応じて図6に鎖線で示す枕Pを用いる。
【0026】
上記送気チューブ22はマットレス装置1の側面の外装地14に形成された第1の開口部15からクッション体6の下面、つまりスプリングユニット2の下面に形成された連通溝9に挿入され、この連通溝9から挿通孔11を通して第2の開口部16から外部に導出されてマスク21に接続される。
【0027】
そのため、送気チューブ22がマットレス装置1の上面の利用者Uの頭部の側方などに大きく露出して邪魔になるということがほとんどない。なお、CPAP療法を行う場合、挿通孔11に入れられた入れ子17は予め取り外しておく。
【0028】
マスク21を装着した利用者Uが頭部を挿通孔11に対向位置させた状態で横向きや下向き、とくに下向きに寝姿勢を変えた場合、マスク21が上記挿通孔11内に入り込む。そのため、マスク21がマットレス装置1の上面に強く押付けられることがないから、利用者Uの顔面がマスク21によって圧迫され難くなる。
【0029】
とくに、最近ではうつ伏せで就寝する人がいるから、そのような利用者UがCPAP療法を必要とする場合に上記構成のマットレス装置1が便利である。
【0030】
送気チューブ22を通す連通溝9はスプリングユニット2の幅方向全長にわたって形成されている。つまり、マットレス装置1の両側面に開口している。そのため、マットレス装置1の一側面がたとえば壁面側にあるような場合、送気チューブ22を他側面の第1の開口部15から通すことができる。つまり、マットレス装置1の設置状態に係らず、送気チューブ22を連通溝9から挿通孔11に通すことができる。
【0031】
なお、この発明は上記一実施の形態に限定されるものでなく、たとえばマットレス本体としてのスプリングユニットはポケットコイルスプリング以外のスプリングを用いて構成してもよく、またスプリングユニットに代えてウレタンフォームなどの弾性材料で形成するようにしてもよい。
【0032】
さらに、マットレス本体の長手方向の一端部の下面に幅方向全長にわたって連通溝を形成したが、連通溝は一端が挿通孔に連通し他端がマットレス本体の側面に開口していればよいから、たとえばマットレス本体の幅方向の半分だけに形成したり、或いは他端をマットレス本体の長手方向一端面に開口するよう形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】この発明の一実施の形態を示すマットレス装置の平面図。
【図2】図1に示すマットレス装置の側面図。
【図3】スプリングユニットの平面図。
【図4】図3に示すスプリングユニットの側面図。
【図5】(a)〜(c)はクッション体の三面図。
【図6】利用者がCPAP療法を受けているときの説明図。
【符号の説明】
【0034】
2…スプリングユニット、9…連通溝、11…挿通孔、14…外装地、15…第1の開口部、16…第2の開口部、21…マスク、22…送気チューブ、23…送気装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マットレス本体と、
このマットレス本体の長手方向の一端部に厚さ方向に貫通して形成された挿通孔と、
上記マットレス本体の長手方向一端部の下面に一端が上記挿通孔に連通し他端が上記マットレス本体の側面に開口して形成された連通溝と
を具備したことを特徴とするマットレス装置。
【請求項2】
上記マットレス本体はスプリングユニットによって構成されていて、
このスプリングユニットは長手方向の一端部において第1の部分と第2の部分とに分割されていて、
上記第1の部分と第2の部分との間には上記スプリングユニットの幅方向全長にわたってクッション体が介装され、このクッション体の長手方向中央部に上記挿通孔が形成され、下面に上記連通溝が長手方向全長にわたって形成されていることを特徴とする請求項1記載のマットレス装置。
【請求項3】
上記スプリングユニットの第1の部分と第2の部分は、上記クッション体を挟んで矩形状の連結枠によって連結されていることを特徴とする請求項2記載のマットレス装置。
【請求項4】
上記マットレス本体は外装地によって被覆され、この外装地の上記連通溝に対応する箇所には開口部が形成されていることを特徴とする請求項2記載のマットレス装置。
【請求項5】
一端が送気装置に接続され他端がマットレス上の利用者に装着されるマスクに接続された送気チューブが上記連通溝及び挿通孔を通されることを特徴とする請求項1記載のマットレス装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−63635(P2010−63635A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−232635(P2008−232635)
【出願日】平成20年9月10日(2008.9.10)
【出願人】(000010032)フランスベッド株式会社 (95)
【Fターム(参考)】