説明

マット

【課題】 マットが雨水又はその他の水により濡れた場合においても、マットの上盤部の上面は、水分量が比較的少ない状態が維持され得、滑り止めや水分除去等の効果に優れる。
【解決手段】 各要素マット体Eは、対象が上載される上盤部10と、その上盤部10を載置面の上方に支持する多数の支柱部12及び平板状縦板部14又は折曲板状縦板部16を備える。上盤部10は、格子状をなし、上下方向に貫通する多数の長方形状の透孔部20を、上盤部10の上面全体に満遍なく有する。各透孔部20の一辺を構成する区画部22の下側には、フィン状の突起部24・26・28が形成されている。突起部24・26・28のエッジ部24a・26a・28aは、区画部22のうち透孔部20に臨む側面の下端を上端とし、その側面にほぼ連続するように下方に延びた後、その透孔部20から見て外方に向かって下降傾斜して下端に達している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人や物が上に載る上盤部に、水分が流下する透孔を多数有するマット、例えば合成樹脂製のマットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、人や物が上に載る上盤部に透孔を多数有するマット、例えば合成樹脂製のマットとして、多種多様なマットが提案され、市販されている。
【0003】
従来のマットの上盤部に多数有する透孔は、主として、上盤上に載った人の靴底や足裏又は上盤上に載ったカートや車椅子や自転車等の泥や水分、或いは降雨や散水等による水分を下方に排出するために設けられている。
【0004】
例えば、特開平8−333875号公報に記載されている合成樹脂製マットのマット本体は、複数のブロック2から、平面視略正方形に構成され、各ブロック2の基板21は格子状に形成されることにより多数の透孔が設けられており、この基板21の底面に適宜な間隔で支柱22が突設されている。
【0005】
また特開平10−159315号公報に記載されている合成樹脂製マットのマット本体2は、合計9個のブロック5に分割して構成されており、各ブロック5はそれぞれ、基板6と支柱7と草葉体8とを備え、各基板6は、その板面に多数の孔を有する、略正方形の格子板状に形成されている。
【0006】
このような従来のマットには、透孔自体は設けられているものの、水分を下方へ排出させて上盤上の水分量が少ない状態をできる限り維持するという点に着目されたものは見当たらない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−333875号公報
【特許文献2】特開平10−159315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来技術に存した上記のような課題に鑑み行われたものであって、その目的とするところは、マットが雨水又はその他の水により濡れた場合においても、マットの上盤部の上面は、水分量が比較的少ない状態が維持され得、滑り止めや水分除去等の効果に優れるマットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成する本発明のマットは、
対象が上載される上盤部と、その上盤部を載置面の上方に支持する支持部を備えてなり、前記上盤部に多数の透孔部を有するマットであって、
前記透孔部の周縁部に、透孔部の内方に向かって立ち上がると共に下方又は斜め下方に向かって延びるエッジ部を備えた突起部を有することを特徴とする。
【0010】
透孔部の周縁部に、下方又は斜め下方に向かって延びるエッジ部を備えた突起部を有し、平面視において、透孔部の周縁部とエッジ部の方向が交差状をなす。
【0011】
上盤部のうち透孔部の周囲の上面上に、水(例えば、濡れた足又は靴から移行した水、雨傘その他の物から滴下した水、降雨又は散水による水等)が位置し、その水の一部が突起部のエッジ部に達した場合、その水は、透孔部の内方に向かって立ち上がると共に下方又は斜め下方に向かって延びるエッジ部を伝って下方へ導かれる。それにより、上盤部のうち透孔部の周囲の上面上の水が、透孔部を介し、突条部のエッジ部を伝って順次効率的に下方へ排出される。
【0012】
このように、マットが雨水又はその他の水により濡れた場合においても、マットの上盤部の上面は、水分量が比較的少ない状態が維持され得るので、滑り止めや水分除去等の効果に優れる。
【0013】
本発明のマットは、上記突起部におけるエッジ部が透孔部の下側から下方又は斜め下方に延びるものとすることができる。
【0014】
この場合、この場合、上盤部のうち透孔部の周囲の上面上に水が位置し、その水の一部が透孔部の下側の突起部のエッジ部に達したときに、その水は、そのエッジ部を伝って下方へ導かれる。それにより、上盤部のうち透孔部の周囲の上面上の水が、透孔部を介し、突起部のエッジ部を伝って順次効率的に下方へ排出される。
【0015】
また本発明のマットは、エッジ部が一定の鉛直面に沿って下方又は斜め下方に向かって延びるものとすることができる。
【0016】
この場合、エッジ部が一定の鉛直面に沿って下方又は斜め下方に向かって延びるので、エッジ部を伝う水は効率良く下方へ導かれる。
【0017】
また本発明のマットは、1又は2以上の透孔部の周縁部における、平面視において異なる位置からそれぞれ下方又は斜め下方に向かって延びた2以上のエッジ部同士が、透孔部の下方において集合し、それらのエッジ部の少なくとも下端部は、上盤部の下方に吊下しているものとすることができる。エッジ部の下端部は、2以上のエッジ部が集合した位置とすることができるほか、集合位置よりも下方に集合後の1つのエッジが延びて下端部に達するものとすることもできる。3以上のエッジ部の一部が集合した後、その下方で更に別のエッジが集合するものとすることもできる。
【0018】
この場合、1又は2以上の透孔部の周縁部における、平面視において異なる位置からそれぞれ下方又は斜め下方に向かって延びた2以上のエッジ部同士が、透孔部の下方において集合することにより、各エッジ部を伝って流下した水も集合する。
【0019】
このように、集合により水の量が増大することによって、上盤部の下方において垂下しているエッジ部の下端部からの水の滴下が促進され、その上流の各エッジ部における水の流下の円滑化にも資する。これにより、1又は2以上の透孔部の周縁部における平面視において異なる位置からの水の流下を効率化することができる。
【0020】
上記支持部は、上記支持部が、側周面部に上下方向又は上下方向に対し45度以下の角度で傾斜した方向の水滴案内溝状部を有するものとすることができる。
【0021】
この場合、上盤部のうち透孔部の周囲の上面上に水が位置し、その水の一部が支持部の側周面部の水滴案内溝状部に達したときに、その水は、上下方向又は上下方向に対し45度以下の角度で傾斜した方向の水滴案内溝状部によって下方へ導かれる。
【0022】
そのため、上盤部のうち透孔部の周囲の上面上の水が、透孔部を介し、支持部の側周面部の水滴案内溝状部に導かれて順次効率的に下方へ排出される。
【0023】
また本発明のマットは、上盤部において透孔部の周囲を区画する区画部の上面が、透孔部に向かって下降傾斜しているものとすることができる。
【0024】
この場合、上盤部のうち透孔部の周囲を区画する区画部の上面上に水が位置した場合に、その水が透孔部に流れ易いため、透孔部を介して効率良く水が排出され易い。
【0025】
また本発明のマットは、区画部の上面に、水滴がその位置に保持されることを防ぐための突部を多数有し、それらの突部同士の間隔は、区画部の上面における隣接突部間に表面張力により水滴が保持されない間隔であるものとすることができる。
【0026】
この場合、上盤部のうち透孔部の周囲の上面上に水が位置した場合に、水滴がその位置に保持されることが突部によって防がれると共に、区画部の上面における隣接突部間に表面張力により水滴が保持されることも回避されるので、上盤部のうち透孔部の周囲の上面上の水が透孔部に流れて透孔部を介して効率良く排出され易い。また、突部により滑止効果も生じ得る。
【発明の効果】
【0027】
本発明のマットは、マットが雨水又はその他の水により濡れた場合においても、マットの上盤部の上面は、水分量が比較的少ない状態が維持され得、滑り止めや水分除去等の効果に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】マットの平面図である。
【図2】マットの要部拡大平面図である。
【図3】マットの要部拡大底面図である。
【図4】図2におけるA−A線の断面図である。
【図5】図3におけるB−B線の中間部の要部断面図である。
【図6】図3におけるB−B線の端部の要部断面図である。
【図7】図3におけるC−C線の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0030】
図1乃至図7は何れも本発明の実施の形態の一例としての合成樹脂製のマットに関するものであって、図1はマットの平面図、図2はマットの要部拡大平面図、図3はマットの要部拡大底面図、図4は図2におけるA−A線の断面図、図5は図3におけるB−B線の中間部の要部断面図、図6は図3におけるB−B線の端部の要部断面図、図7は図3におけるC−C線の要部断面図である。
【0031】
マットMは、平面視における基本形状が実質上一定寸法の正方形状をなす多数の要素マット体Eが、互いに所定の間隙を挟んで碁盤目状をなすように平面的に(例えば一定平面上に)隣接配列された状態で、隣接要素マット体E同士が結合部Jを介して連結されてなる。その全体の形状は、平面視において実質上正方形状をなす。尤も、本発明のマット(及び要素マット体)の平面視における形状としては、長方形状又はその他の形状(例えば、各種多角形、円形、楕円形等)を採用することも可能である。また、マット体中の各要素マット体の基本形状及びその寸法は、必ずしも一定であることを要しない。また、本発明のマットは、必ずしもこのような多数の要素マット体が連結したものであることを要しない。
【0032】
このマットMは、結合部J及び要素マット体Eを含むマットM全体が合成樹脂(例えばポリプロピレン等のオレフィン系樹脂。なお、例えば、合成樹脂以外の非吸水性又は非透水性材料を用いることもできる。)により一体成形されてなる。このマットMは、同一の他のマットMと平面的に隣接連結し得、その連結を解除することができる。このマットMでは、連結及び連結解除の手段として、何れかの隣り合う2辺に連結ループ部Lが設けられ、他の隣り合う2辺に、連結ループ部Lに嵌合着脱し得る連結突部Pが設けられている。なお、マットM同士の連結及び連結解除については、可能なものであることを必ずしも要しない。
【0033】
各要素マット体Eは、対象が上載される上盤部10(人や物が上に載る上盤部10)と、その上盤部10を床面や地面等の載置面の上方に支持する多数の横断面略円形状の支柱部12及び平板状縦板部14又は折曲板状縦板部16(要素マット体Eの隅部)を備えてなる。支柱部12は、側周面部に上下方向(上下傾斜方向、例えば上下方向に対し30度以下の角度で傾斜した方向とすることもできる)の水滴案内溝状部18を有する。なお、支持部としては、各種横断面の支柱や平板状縦板部14又は折曲板状縦板部16のほか、例えば支持壁等も採用し得る。この例のように複数種の支持部を使用することもでき、一つの種類の支持部のみを備えるものとすることもできる。
【0034】
上盤部10は、格子状をなし、上下方向に貫通する多数の長方形状の透孔部20を、上盤部10の上面全体に満遍なく有する。長方形状の透孔部20は、正方形状をなす要素マット体Eの縦方向(縦辺方向)及び横方向(横辺方向)のそれぞれにおいて、縦向き及び横向きの交互の向きに、桟状の区画部22を介して整列している。何れの縦列においても、また何れの横列においても、透孔部20は縦、横、縦、横の交互の向きに整列した状態をなす。なお、透孔部20の平面視における形状としては、方形、三角形、その他の多角形、円形、楕円形等を適宜採用可能であり、複数種の形状や大きさ等を有する透孔を有するものとすることもできる。マットが靴で踏まれる可能性がある場合、透孔部20の大きさは、ハイヒールの踵が嵌入しない程度とすることができる。また、透孔部20は、マットの上盤部10の上面全体に満遍なく有することを必ずしも要さず、整列していることも必ずしも要しない。例えば、上盤部10の所定部分に透孔部を有するものとすることもでき、更に、上盤部10のうち透孔部を有しない部分に植毛部分やパイル部分等を備えるものとすることもできる。
【0035】
各要素マット体Eにおいて各透孔部20の周囲を区画する区画部22(各透孔部20を区画する桟状部及び要素マット体Eの正方形状外周部を含む)は、強度及び剛性を確保しつつ軽量低コスト化を実現するために、下方開口の溝形断面に形成されている。区画部22の上面は、側方(例えば、透孔部20の側、隣接要素マット体Eとの間の間隙部又はマットMの外方)に向かって、水平方向に対し約20度の角度で下降傾斜している。この場合、上盤部10のうち透孔部20の周囲を区画する区画部22の上面上に水が位置した場合に、その水が透孔部20に流れ易いため、透孔部20を介して効率良く水が排出され易い。なお、区画部22上面の下降傾斜角度は、一定角度(例えば水平方向に対し5乃至45度、好ましくは10乃至30度。)のほか、例えば変化するもの(例えば傾斜角度が側方に向かって増大又は減少する湾曲傾斜面)とすることもできる。
【0036】
各透孔部20の一辺を構成する区画部22の下側には、フィン状の突起部24・26・28が形成されている。その突起部24・26・28のエッジ部24a・26a・28a(フィン状の突起部24・26・28の端縁部)は、透孔部20の周縁部において、透孔部20の内方に向かって立ち上がるエッジ部24a・26a・28aであり、区画部22のうち透孔部20に臨む側面の下端を上端(始端)とし、その側面にほぼ連続するように(従って透孔部20の内方側に張り出さないで)下方に延びた後、その透孔部20から見て外方に向かって下降傾斜して下端(末端)に達している。エッジ部の下端位置は、マットの下端よりも上方とすることができるほか、エッジ部がマットの下端に達するものとすることもできる。この例におけるエッジ部24a・26a・28aは一定の鉛直面に沿って下方又は斜め下方に向かって延びている。なお、エッジ部の例としては、フィン状部のほか、突条部、板状突部等の突起部の端縁部(突端が連なった稜部)を挙げることができる。
【0037】
要素マット体Eの内方部(外周部以外の位置)に設けられたフィン状の突起部24の下端位置は要素マット体E(従ってマットM)の下端位置よりも上方において上盤部10の下方に吊下している。要素マット体Eにおける外周部以外の位置のフィン状の突起部24は、平面視において十字状に交差した垂直突起状をなし、その十字状をなす各突起部24の端縁部がそれぞれエッジ部24aを形成している。図5には、十字状をなす4つの突起部24のうち一つの突起部24が示されている。十字状をなす4つの突起部24は、上盤部10の下方に吊下している。十字状をなす4つの突起部24の各エッジ部24aは、それぞれ隣接する4つの透孔部20の下側から下方に延びた後、各透孔部20から見て外方に下降傾斜して下端部において集合している。
【0038】
要素マット体Eの四隅部には、それぞれ一つの突起部26が設けられ、その突起部26の端縁部により形成されるエッジ部26aは、一つの透孔部20の下側から下方に延びた後、その透孔部20から見て外方に下降傾斜し折曲板状縦板部16の角部に連結している。
【0039】
要素マット体Eの外周部のうち四隅部以外の部分における突起部28は、平面視においてY字状をなす。突起部28の基部281は平板状縦板部14に連結し、突起部28のうち二股状部分282は、隣接する2つの透孔部20の下側に設けられている。突起部28により形成されるエッジ部28aは、二股状部分282の端縁部により構成される部分が、隣接する2つの透孔部20の下側からそれぞれ下方に延びた後、それらの各透孔部20から見て外方に下降傾斜し、基部281により構成される一つ端縁部に集合し、更に下降傾斜して折曲板状縦板部16の角部の上下方向中間位置に達している。
【0040】
なお、エッジ部は、透孔部の周縁部、すなわち透孔部から若しくは例えば透孔部の上側に突起した位置から、透孔部内に張り出して、又は、透孔部の下側から、透孔部の内方側に張り出さないで若しくは張り出して、下方又は斜め下方(一部が下方、他の部分が斜め下方とすることもできる。斜め下方としては、水平方向に対し例えば30度以上の角度での下降傾斜、好ましくは40度以上、より好ましくは45度以上、更に好ましくは60度以上の角度での、透孔部の外方側への若しくは内方側への下降傾斜とすることができる。)に向かって延びるものとすることができる。
【0041】
エッジ部は、透孔部の内方に向かって立ち上がるものである。すなわち、平面視において、透孔部の周縁部とエッジ部の立ち上がりの向きは交差状をなす(従って、平面視において、透孔部の周縁部とエッジ部の立ち上がりの向きは平行ではない。例えば、平面視において15乃至90度の角度の交差状をなす)。
【0042】
エッジ部の始端部は、透孔部の一辺の両端間の中間位置に位置するものとすることができるほか、辺の一端部(角部)に位置するものとすることや、透孔部が平面視において円や楕円のような辺を有しない形状の場合は、任意の位置とすることができる。また、エッジ部は、1つの透孔部又は例えば1つの透孔部の1つの辺に対し1又は2以上設けることができる。
【0043】
区画部22の上面における透孔部20の四隅部が位置する箇所には、それぞれ、水滴がその位置に保持されることを防ぐための突部30を有する。それらの突部30同士の間隔は、区画部22の上面における突部30同士の間に表面張力により水滴が保持されない間隔とされている。
【0044】
この場合、上盤部10のうち透孔部20の周囲の上面上に水が位置した場合に、水滴がその位置に保持されることが突部30によって防がれると共に、区画部22の上面における隣接突部30間に表面張力により水滴が保持されることも回避されるので、上盤部10のうち透孔部20の周囲の上面上の水が透孔部20に流れて透孔部20を介して効率良く排出され易い。
【0045】
突部は、例えば、平面視における最大寸法(円であれば直径、正方形であれば1辺、長方形であれば長辺の寸法)が、透孔部20の周囲の区画部22の幅以下であり、高さが0.3mm〜5mmであるものとすることができる。好ましくは、平面視における最大寸法が、透孔部20の周囲の区画部22の幅の0.6乃至0.8倍、高さは0.5乃至0.8mmである。
【0046】
上盤部10のうち透孔部20の周囲の上面上に、水(例えば、濡れた足又は靴から移行した水、雨傘その他の物から滴下した水、降雨又は散水による水等、すなわち、雨水、その他の種々の成分を含有する水系液体)が位置し、その水の一部が、透孔部20を介して下方へ流れ、突起部24・26・28のエッジ部24a・26a・28aに達した場合、その水は、透孔部20の内方に向かって立ち上がると共に下方又は斜め下方に向かって延びるエッジ部24a・26a・28aを伝って下方へ導かれる。それにより、上盤部10のうち透孔部20の周囲の上面上の水が、透孔部20を介し、突条部のエッジ部24a・26a・28aを伝って順次効率的に下方へ排出される。エッジ部24a・26a・28aが一定の鉛直面に沿って下方又は斜め下方に向かって延びるので、エッジ部24a・26a・28aを伝う水は効率良く下方へ導かれる。
【0047】
また、要素マット体Eにおける外周部以外の位置のフィン状の突起部24は、平面視において十字状に交差した垂直突起状をなし、それらの各エッジ部24aは、それぞれ隣接する4つの透孔部20の下側から下方に延びた後、各透孔部20から見て外方に下降傾斜して下端部において4つのエッジ部24aが集合し、上盤部10の下方に吊下している。そのため、4つのエッジ部24aを伝って流下した水の量が集合により増大するので、上盤部10の下方において垂下しているエッジ部24aの下端部からの水の滴下が促進され、その上流の各エッジ部24aにおける水の流下の円滑化にも資する。これにより、4つの透孔部20の周縁部における平面視において異なる位置からの水の流下を効率化することができる。
【0048】
また、上盤部10のうち透孔部20の周囲の上面上に水が位置し、その水の一部が支持部の側周面部の水滴案内溝状部18に達した場合、その水は、上下方向の水滴案内溝状部18によって下方へ導かれるので、上盤部10のうち透孔部20の周囲の上面上の水は、透孔部20を介し、支持部の側周面部の水滴案内溝状部18に導かれて順次効率的に下方へ排出される。
【0049】
更に、上盤部10において透孔部20の周囲を区画する区画部22の上面が、透孔部20に向かって下降傾斜しているので、上盤部10のうち透孔部20の周囲の上面上に水が位置した場合に、その水が透孔部20を介して下方へ流下し易い。
【0050】
また更に、上盤部10のうち透孔部20の周囲の上面上に水が位置した場合に、水滴がその位置に保持されることが突部30によって防がれると共に、区画部22の上面における隣接突部30間に表面張力により水滴が保持されることも回避されるので、上盤部10のうち透孔部20の周囲の上面上の水が透孔部20に流れて透孔部20を介して効率良く排出され易い。また、突部30により滑止効果も生じる。
【0051】
このようにして、マットが雨水又はその他の水により濡れた場合においても、マットの上盤部10の上面は、水分量が比較的少ない状態が維持され得るので、滑り止めや水分除去等の効果に優れる。
【符号の説明】
【0052】
10 上盤部
12 支柱部
14 平板状縦板部
16 折曲板状縦板部
18 水滴案内溝状部
20 透孔部
22 区画部
24 突起部
24a エッジ部
26 突起部
26a エッジ部
28 突起部
281 基部
282 二股状部分
28a エッジ部
30 突部
E 要素マット体
J 結合部
L 連結ループ部
M マット
P 連結突部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象が上載される上盤部と、その上盤部を載置面の上方に支持する支持部を備えてなり、前記上盤部に多数の透孔部を有するマットであって、
前記透孔部の周縁部に、透孔部の内方に向かって立ち上がると共に下方又は斜め下方に向かって延びるエッジ部を備えた突起部を有することを特徴とするマット。
【請求項2】
上記突起部におけるエッジ部が透孔部の下側から下方又は斜め下方に延びる請求項1記載のマット。
【請求項3】
エッジ部が一定の鉛直面に沿って下方又は斜め下方に向かって延びる請求項1又は2記載のマット。
【請求項4】
1又は2以上の透孔部の周縁部における、平面視において異なる位置からそれぞれ下方又は斜め下方に向かって延びた2以上のエッジ部同士が、透孔部の下方において集合し、それらのエッジ部の少なくとも下端部は、上盤部の下方に吊下している請求項1、2又は3記載のマット。
【請求項5】
上記支持部が、側周面部に上下方向又は上下方向に対し45度以下の角度で傾斜した方向の水滴案内溝状部を有するものである請求項1乃至4の何れか1項に記載のマット。
【請求項6】
上盤部において透孔部の周囲を区画する区画部の上面が、透孔部に向かって下降傾斜している請求項1乃至5の何れか1項に記載のマット。
【請求項7】
区画部の上面に、水滴がその位置に保持されることを防ぐための突部を多数有し、それらの突部同士の間隔は、区画部の上面における隣接突部間に表面張力により水滴が保持されない間隔である請求項1乃至6の何れか1項に記載のマット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−216113(P2010−216113A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−62158(P2009−62158)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(000178583)山崎産業株式会社 (77)
【Fターム(参考)】