説明

マナマコ卵成熟誘起活性ペプチド

【課題】マナマコの成熟卵収量を上げるために、マナマコ卵成熟誘起ホルモンのタンパク構造を解明し、経済効率の良い最小有効タンパク構造を解明すること。
【解決手段】マナマコ放射神経組織由来の分子量4.6kDa(TOF−MS法又はアクリルアミド電位泳動法による測定)を有するマナマコ卵成熟誘起活性ペプチドであって、アミノ酸配列:VLSKQAHHHHHEGWSLPGVPAEIDDLAGNIDYNIFKEQREKIK(配列番号1)を含むことを特徴とする、前記ペプチド、及び、該ペプチドの部分配列であるアミノ酸配列から成り、マナマコ卵成熟誘起活性を有するペプチド。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マナマコ放射神経組織から抽出されたマナマコ卵成熟誘起活性ペプチド、該ペプチドをコードする核酸分子、及び、該ペプチドを利用したマナマコ卵の成熟を誘起又は促進させる方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、マナマコの需要が急増し、中国等の海外輸出も増加している。こうした中、青森県内、例えば、むつ市川内町漁業協同組合等において既にマナマコの養殖が行なわれている。しかしながら、マナマコは成熟卵を大量に得ることができず、成熟卵採卵率が数%の天然のマナマコに依存せざるを得ない状況にある。
【0003】
尚、ナマコと同じ棘皮動物に属するヒトデの卵成熟誘起ホルモンの全構造は既に、日本動物学会で全構造が発表された(非特許文献1)。
【非特許文献1】社団法人 日本動物学会 第76回大会 2005年10月6日〜8日 ポスター発表論文
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明の目的は上記の課題を解決することであり、マナマコの成熟卵収量を上げるために、マナマコ卵成熟誘起ホルモンのタンパク構造を解明し、経済効率の良い最小有効タンパク構造を解明することで、卵成熟誘起因子の工業生産化とその実用的利用を可能にし、ひいては、新しい形のマナマコ増養殖生産業を創設することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は、高感度アミノ酸配列解析法を採用することで、マナマコの放射神経組織の抽出物からナマコの卵成熟誘起活性ペプチド(マナマコ卵成熟誘起ホルモン)を単離し、そのアミノ酸配列を決定し、それをコードする塩基配列を明らかにした。更に、ナマコ放射神経組織から採取したRNAの中にかかる塩基配列を有する核酸分子の存在を確認し、本発明を完成させるに至った。
【0006】
即ち、本発明は以下の態様にかかる。
[態様1]マナマコ放射神経組織由来の分子量4.6kDa(TOF−MS法又はアクリルアミド電位泳動法による測定)を有するマナマコ卵成熟誘起活性ペプチドであって、アミノ酸配列:VLSKQAHHHHHEGWSLPGVPAEIDDLAGNIDYNIFKEQREKIK(配列番号1)を含むことを特徴とする、前記ペプチド。
[態様2]配列番号1で示されるペプチドの部分配列であるアミノ酸配列から成り、マナマコ卵成熟誘起活性を有するペプチド。
[態様3]配列番号1で示されるペプチドの部分配列であるアミノ酸配列:VLSKQAHHHHHEGWSLPGVPA(配列番号2)から成る、態様2記載のペプチド。
[態様4]配列番号1で示されるペプチドの部分配列であるアミノ酸配列:GWSLPGVPAEIDDLAGNIDYN(配列番号3)から成る、態様2記載のペプチド。
[態様5]配列番号1で示されるペプチドの部分配列であるアミノ酸配列:GWSLPGVPA(配列番号4)を含む、態様2記載のペプチド。
[態様6]配列番号4で示されるペプチドのN末及び/又はC末のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列を含む、態様2記載のペプチド。
[態様7]態様1〜6のいずれか一項に記載のペプチドをコードする核酸分子。
[態様8]配列番号1で示されるペプチドをコードする核酸分子が以下の塩基配列:
gttctatcgaaacaagctcatcatcatcatcacgaaggatggagtcttccgggagtaccagccgagatcgatgaccttgcgggtaatattgactataatattttcaaagaacagagagaaaaaattaaa(配列番号17)を有する態様7記載の核酸分子。
[態様9]態様1〜6のいずれか一項に記載のペプチドを化学合成法により製造する方法。
[態様10]態様7又は8記載の核酸分子により形質転換した形質転換体を用いて、態様1〜6のいずれか一項に記載のペプチドを産生する方法。
[態様11]マナマコ又はその組織に態様1〜6のいずれか一項に記載のペプチドを作用させることを含む、マナマコ卵の成熟を誘起又は促進させる方法。
[態様12]マナマコ又はその組織を、態様1〜6のいずれか一項に記載のペプチドを含む溶液に浸漬させることを含む、態様11記載の方法。
[態様13]態様1〜6のいずれか一項に記載のペプチドを10〜40μg/ml含む溶液に1〜4時間浸漬させることを含む、態様12記載の方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、マナマコの卵成熟誘起活性ペプチドの工業的製造が可能となり、該ペプチドをマナマコ又はその組織に作用させることによって、マナマコ卵の成熟を誘起・促進させ、成熟卵収量を上げることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明のマナマコ卵成熟誘起活性ペプチドは、本明細書の実施例に記載されているように、マナマコ放射神経組織から抽出・同定されたもので、TOF−MS法又はアクリルアミド電位泳動法による測定において分子量4.6kDaを示し、アミノ酸配列:VLSKQAHHHHHEGWSLPGVPAEIDDLAGNIDYNIFKEQREKIK(配列番号1)を含むことを特徴とする、マナマコ卵成熟誘起(促進)活性を有するペプチドである。
【0009】
尚、マナマコ卵成熟誘起活性は、本明細書の実施例に記載のように、試験物質を含む溶液中で所定の間処理したナマコ成体の卵巣から放出された卵全数に対する卵核胞崩壊を起こした成熟卵数の割合(「卵成熟誘起率」又は「卵核胞崩壊率」:GVBD ratio)を指標として測定することが出来る。
【0010】
更に、本発明は、配列番号1で示されるペプチドの部分配列であるアミノ酸配列から成り、マナマコ卵成熟誘起活性を有するペプチドにも係るものである。このようなペプチドの代表的な例として、アミノ酸配列:VLSKQAHHHHHEGWSLPGVPA(配列番号2)若しくはアミノ酸配列:GWSLPGVPAEIDDLAGNIDYN(配列番号3)から成るペプチドを挙げることが出来る。尚、上記配列番号2から成るペプチドのアミノ酸配列はタンパクデータベースの BLAST解析では既知のタンパクでは見当たらないことから、全く新規なペプチドであると思われる。
【0011】
一方、顕著なマナマコ卵成熟誘起活性を有することが示されたペプチドである配列番号2及び配列番号3には9個のアミノ酸からなる配列: GWSLPGVPA(配列番号4)が共通している。従って、配列番号4で示されるアミノ酸配列、又は、そのN末及び/又はC末のアミノ酸(1個〜数個)が欠失したアミノ酸配列を含み、配列番号1で示されるペプチドの部分配列であるアミノ酸配列から成るペプチドも有意なマナマコ卵成熟誘起活性を有する機能構造を有するものと推定される。
【0012】
本発明のペプチドをコードする核酸分子には、DNA、cDNA及びRNA等の当業者に公知の任意の分子種を含まれるものである。それらは当業者に公知の任意の方法で容易に製造することが可能である。例えば、本明細書の実施例に記載のように、マナマコの放射神経組織から抽出したRNAから、適当なプライマーを用いたPCR法により増幅することによって調製することが出来る。或いは、適当な核酸合成法によって人工的に製造することも可能である。
【0013】
具体例として、配列番号1で示されるペプチドをコードする核酸分子の塩基配列:
gttctatcgaaacaagctcatcatcatcatcacgaaggatggagtcttccgggagtaccagccgagatcgatgaccttgcgggtaatattgactataatattttcaaagaacagagagaaaaaattaaa(配列番号17)を挙げることが出来る。更に、当業者であれば、コドン縮合を考慮して本発明のペプチドをコードする核酸分子の塩基配列の例として、他の多数の塩基配列が可能であることは自明である。従って、それらも本発明に含まれる。
【0014】
本発明のペプチドは当業者に公知の任意の方法で容易に製造することが可能である。例えば、適当なペプチド合成方法を用いて化学的に合成することが出来る。
【0015】
更に、本発明の核酸分子が発現可能に結合された適当な組換えベクターにより形質転換した形質転換体を用いて、本発明のペプチドを組換えペプチドとして産生させることも可能である。
【0016】
ここで、「組換えベクター」は適当なプラスミド又はウイルス等を含む。一般的には、組換えベクターは、複製開始点、プロモータ等の発現調節配列、及び、その組換えベクターが細胞に導入されたときに選択を許容する特別な遺伝子等を含んでいる。宿主の種類及び発現系等に応じて、当業者に公知の適当な組換えベクターを選択することが出来る。
【0017】
又、「発現可能」とは、所定のアミノ酸配列をコードした核酸分子(DNA)が、所定の条件下で、そのアミノ酸配列を有するタンパク質(ペプチド)を発現させる能力を有するという意味である。所定のアミノ酸配列をコードしたDNAが発現可能に結合されていると、そのDNAは所定の条件下で、所定のタンパク質を発現するということになる。具体的には、そのDNAは、ベクター中で発現調節配列に結合されている。ここで、「発現調節配列」とは、他の核酸配列の発現を調節する核酸配列のことを意味しており、他の核酸配列の転写、及び、好ましくは翻訳をも制御及び調節する。発現調節配列には、適当なプロモータ、エンハンサ、転写ターミネータ、タンパク質をコードする遺伝子における開始コドン(すなわちATG)、イントロンのためのスプライシングシグナル、ポリアデニル化部位、及びストップコドン等が含まれる。
【0018】
「プロモータ」とは、転写を行うために必要最小限な配列のことを意味している。プロモータには、細胞タイプ特異的、組織特異的、または外部からの信号や調節剤によってプロモータ依存的に遺伝子の発現を制御するプロモータ要素も含まれる。プロモータ要素は、発現されるDNAの5'領域、または3'領域のいずれかに結合される。また、プロモータには、恒常的(構成的)又は誘導的なもののいずれも含まれるが、該恒常的活性変異体を安定的に発現させて本発明の効果をより有効に得るためには、恒常的プロモータが好ましい。
【0019】
尚、宿主細胞への上記の組換えベクターの導入は当業者に公知の任意の方法で行うことができる。例えば、リン酸カルシウム法、マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、リポソーム、ウイルスベクター、各種のトランスフェクション試薬等によって、所望のDNAを導入することができる。
【0020】
本発明は更に、マナマコ又はその組織、例えば、卵巣等に本発明のペプチドを作用させることによって、マナマコ卵の成熟を誘起又は促進させる方法に係るものである。作用させる具体的な方法に特に制限はない。但し、本発明のペプチドの分子量は比較的小さく、又、配列番号2で示されるアミノ酸から成るペプチドは等電点7.13を有すること(ExPasyデータベースによる)等から、本発明のペプチドは容易にナマコ生体中に侵入することが可能であると考えられる。従って、特に、注射等の手段を用いて本発明のペプチドをナマコ生体中に注入しなくても、ペプチドを含む溶液にマナマコ又はその組織を適当な時間、例えば、数時間、浸漬させることによって、本発明ペプチドのマナマコ卵成熟誘起活性を十分に発揮させ、マナマコ卵の成熟を誘起・促進させることが可能である。具体的には、例えば、10〜40、好ましくは10〜30μg/ml含む天然海水又は人工海水等からなる適当な溶液にペプチドを1〜4時間浸漬させることで、必要な処理をすることが出来る。
【0021】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は以下の実施例の記載によって何ら限定して解釈されるものではなく、本明細書の記載に基づき、当業者が容易に想到し得る任意の変型・修飾法も本発明の範囲である。又、特に記載のない場合には、当業者に公知の周知方法及び条件で実施した。
【実施例1】
【0022】
研究(試験)方法
1.ナマコ(Sea cucumber)神経組織の切り出し:
(1)片歯のカミソリでナマコの両端を各々1-2cm切り落とし、背側中央を縦に切り開いて内臓を捨てた。5対の縦走筋が現れた。これを解剖鋏でできるだけそぎ落とした。
(2)1対の縦走筋において、中央の境界線に沿ってその両側にカミソリで 2mm程度の深さに切れ目をいれた。縦走筋に沿ってその下部に水管、神経繊維があるので、ピンセットで切れ目の片端を摘み、白色の結合組織との境目を解剖鋏で切り離した。
(3)このようにして5本の神経組織を切り出した。1個体につき約 1-3gの生重量であった。これを-50℃で冷凍した。
【0023】
2.神経物質の抽出:
(1)凍結した神経組織を解剖鋏で細かく切り刻んだ。1個体につき2gまでならば 5ml、2g以上なら 10mlの滅菌水で氷の上で冷やしながらホモジネートした。途中、懸濁液を一回遠心管にあけ、残さに同量の滅菌水を入れて再度ホモジネートし、残さが多く残るようであれば、これを繰り返した。得られた懸濁液を 4℃、4,000Gで 30分間遠心した。
(2)得られた上清の A280を測定して蛋白質量を求めた。
(3)上清を 15分間、100℃で加熱した後、-80℃で冷凍した後、真空凍結乾燥させた。
【0024】
3.抽出物質の分画とバイオアッセイ:
(1)凍結乾燥させた試料約 80mg(蛋白質量)を蒸留水 15mlに溶かし、室温、15,000Gで 20分間遠心した。
(2)得られた上清を 限外膜濾過装置(Amicon社, Centriprep M-10)を用いて、分子量 10kDa以上の分画とそれ以下の分画に分けた。4℃、1,000Gで遠心し、30分おきに分子量 10kDa以下の部分を回収した。
(3)分子量 10kDa以上の分画も回収して A280を測定し、蛋白質量を求めた。その後、-50℃で凍らせてから真空凍結乾燥し、以後は4℃で保存した。
(4)回収した分子量 10kDa以下の分画を同限外膜濾過装置(YM-3)を用いて、分子量 3kDa以上の分画とそれ以下の分画に、上記と同様にして分けた。分子量 3kDa-10kDaの分画を回収し、A280を測定して蛋白質量を求めた。-80℃で冷凍した後、凍結乾燥し、以後は 4℃で保存した。
(5)以上の様にして得られた分子量 3kDa-10kDaの分画を神経抽出物質として、以後の実験に用いた。
【0025】
バイオアッセイの手順:
(1)所定の濃度の試料を人工海水(ASW)(組成:NaCl, 420mM; KCl, 9mM; CaCl2・2H2O, 10mM;MgCl2・6H2O, 24.5mM; MgSO4・7H2O, 25.5mM; NaHCO3, 2.15mM)又は海水に溶かす。(2)24穴プレートに上記検液を 1mlずつそれぞれ2穴にとり、コントロールとしてASWのみの検液も 1mlずつ2穴にとる。
(3)ナマコ成体(体長 15-20cm)に 0.3MKClを注入し、内蔵と共に卵巣を放出させる。実体顕微鏡の下で、卵巣が良く発達したものを選び、ペプチド処理数分の長さ 1cmに切断した卵巣断片を切り出す。切断時に分離してくる未熟卵を軽く海水中で洗い落とし、24穴プレート中の 1mlの処理液(下記に述べる種々のペプチド及び濃度のペプチドを溶解した海水)に移す。
(4)各処理液中で、所定温度で所定時間処理する。
(5)各検液と各 ASW中にこぼれ落ちた卵を顕微鏡で調べ、卵核胞崩壊(GVBD)を生じている割合(卵核胞崩壊率)を計算する。
【0026】
上記バイオアッセイにおいて、20-24℃で2時間処理した。その結果、放射神経抽出物(粗抽出物:RNE)では、3mg/mlの濃度で卵核胞崩壊が生じるが(図1、A)、分子量 3kDaから10kDaの分画精製したものではその 1/10の 300μg/mlでも RNEと同じ程度の卵核胞崩壊を引き起こすことができることが判明した(図1、B)。一方で、3kDa以下の小さい分子群ではほとんど卵核胞崩壊を引き起こすことはできないことが判った (図1、C)。
又、卵核胞崩壊率を求めたところ、放射神経粗抽出物 (RNE)では 3mg/mlの濃度で約 87%の卵で卵核胞崩壊が生じ、3Kda-10kDaの分子量の生成物では 300μ g/mlでも 81%で卵核胞崩壊が生じたが 、3kDa以下の小さな分子では 14%程度の卵にしか卵核胞崩壊が起きないことが判った(図2)。
【0027】
4.バイオアッセイによる適正濃度の解明:
次に、各検液に 1本ずつ浸し、室温で 2時間放置し、その後 ASWで2回洗った。24穴プレートに ASWを各 1mlずつ用意し、それぞれに先の卵巣を 2時間浸してバイオアッセイを実施し、各試料の適正濃度を求めた。尚、分子量 3kDa-10kDaについては、0.4mg/ml, 0.16mg/ml,0.08mg/ml、10kDa以上については、3mg/ml, 1mg/ml,0.5mg/mlとした。その結果、分子量 3kDa-10kDaの神経抽出物が高い割合で卵成熟を促進することが明らかとなった。更に、最適濃度とその処理条件を詳細に解析した。その結果を図3に示す。 3kDa-10kDaの分子量の分画では3回の実験全てで、0.4mg/mlで最も高い卵核胞崩壊が見られた。一方、 10kDa以上の分画では先の結果と同じく3mg/mlで最も高い卵核胞崩壊を引き起こす。しかし、この濃度以上の条件では逆に卵成熟を阻害することが分かった。この結果は卵巣を切り出してすぐに放射神経抽出物処理をした場合も(処理開始時)、処理後抽出物が入っていない人工海水で移しても同じであった(2時間後)。従って、放射神経抽出物中の卵成熟誘起因子は卵巣を切り出して直ちに2時間の処理を行えば十分有効に作用を維持することが確認された。
【0028】
5.質量分析(MALDI-TOF MS法)による有効成分の分子量特定:
これまでの観察から、卵成熟誘起物質は 3kDa-10kDaの分子量をもつ諸分子の分画に含まれることが明らかになったので、次に質量分析機を用いて、有効分子の分子量の特定を先に述べた方法で調整した 3kDa-10kDa分子分画を用いて MALDI-TOF MS法で解析した。
その結果、分子量約500Da(左端)から5kDa(右端)までの各分子が検出された。MS法は3つのサンプルを用いて行ったが、そのいずれにおいても、3kDa-5kDaの活性保有領域に中には分子量約 4,500の分子が主要な成分として存在しており(図4、四角内の矢印)、それ以外の成分は非常に量が少ないか、活性保有領域の分子量を持たない小さな分子群であった。したがって、卵成熟誘起分子は分子量が約 4.6kDaあると考えられた。
【0029】
6.スラブゲル電気泳動による 4.6kDa分子の分離:
質量分析測定で有効成分の分子量がほぼ特定できたので、アクリルアミドゲル(アクリルアミド量:18%)電気泳動法(PAGE)を用いて、3kDa-10kDa分画を分離し、それをアミノ酸配列分析使用できる銀染色 (銀染色 MSキット、Wako純薬(株)、MS銀染色 )によって当該バンド領域を可視化した。質量分析結果から、少数のバンドしか存在しないと予想されたが、わずか1本の 4.6kDa領域のバンドが染色によって可視化できた(図5)。
その部分を切り出してトリプシンによる蛋白鎖切断を行って、その内部配列の決定を行った。このためには大量の3kDa-10kDa分画のサンプルを必要とした。合計約 10mgの分画を調整し、アミノ酸配列分析に使える量の 4.6kDa領域蛋白を集めるために、各ゲルウエルあたり800μgのサンプルをロードした。
【0030】
7.4.6kDa蛋白の内部アミノ酸配列決定:
ゲル断片をトリプシン/トリスバッファー(pH8.0)で 35℃, 20時間処理した後、逆相 HPLCによってペプチド分離を行った(図6)。これによって、約 20の主要なピークを持つ分画が採取できた。この中から比較的純粋なペプチドが入っていた No.39分画を選択して、そのアミノ酸配列解析に用いた。その結果、以下に示すN末端からアラニンで始まる12個のアミノ酸:H2N-AEIDDLAGNIDY-COOH (配列番号5)
(H2N -Ala-Glu-Ile-Asp-Asp-Leu-Ala-Gly-Ile-Asp-Tyr-COOH)
の配列構造を決定した。
【0031】
8.ポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase Chain Reaction,PCR)による卵成熟誘起蛋白遺伝子の分離とその構造決定:
先に決定したアミノ酸配列を持つcDNAを放射神経組織から分離した全 RNAから PCR法により増幅、DNA配列決定:
(1)3’RACEによる C末アミノ酸配列の決定:
先に明らかになったアミノ酸配列をコードする DNA塩基配列の中から、gcn gar ath gay gay ytn gcn ggn aay ath gay tay(配列番号6)を採用して、これを PCRのプライマー設計の基本にし、以下の配列を持つ2種類のプライマーを作成した。これを用いて、4.6kDa蛋白の C末端までを読み取る 3’RACE法で遺伝子分離を実施した。
【0032】
SjGS-iF1:gcngarathgaygayytngcngg (配列番号7)
SjGS-iF2:gayytngcnggnaayathgayta (配列番号8)
SjGS-iF:gcngarathgaygayytngcnggnaayathgayta(TM66.32) (配列番号9)
NotI tag27:aactggaagaattcgcggccgcaggaa(TM66) (配列番号10)
[NotI tag1]18mer, 54℃ :5'aactggaagaattcgcgg 3' (配列番号11)
[NotItag2]18mer, 58℃ :5'aattcgcggccgcaggaa 3'(配列番号12)
【0033】
これらのプライマーで認識され、増幅された(認識された)DNAは 150, 300及び500塩基の3つであった(図7)。これら3本の増幅バンドから配列解析して、合計13個のクローンが得られた。各クローン間で DNA配列に整合性のあるものだけを選択して下に示す 。DNA配列はクローン 7A7であると推定し、それに解析済みのアミノ酸配列が示すペプチド構造と整合できるように、一部のアミノ酸を訂正して以下のように決定した。
5’GCCGAgATCGATGAcCTtGCGGGTAATATtgACtatAATATTTtcAAAGAACAGAGAgaAaAAATtAAA3’ (配列番号13)
【0034】
この塩基配列は以下のような23個のアミノ酸からなる配列(配列番号14)をコードする。
H2N-AEIDDLAGNIDYNIFKEQREKIK-COOH (配列番号14)
(H2N-Ala-Glu-Ile-Asp-Asp-Leu-Ala-Gly-Ile-Asp-Tyr-Asn-Ile-Phe-Lys-Glu-Gln-Arg-Glu-Lys-Ile-Lys-COOH)
【0035】
上記アミノ酸配列における下線の箇所は4.6kDaペプチドに含まれるアミノ酸配列であるから、3 ’RACE-PCRによって、新たにC末端側の11個のアミノ酸配列が解明されたことになる。このペプチドの推測分子量は約2.5kDaになる。このアミノ酸配列を示すRNAの末端には遺伝暗号終了を意味するPoly-A構造があるので、C末側のアミノ酸配列はこれで確定したものと考えられる。尚、このペプチドの推定分子量から N末側には後15個程度の未解明のアミノ酸配列部分があると予想される。
【0036】
(2)5’RACEによる残り N末側のアミノ酸配列の決定:
5’プライマー:ctaaagaattcagtcagtcatagtcaagtgc(配列番号15)3’プライマーには先の 3 ’プライマー:ccngcnarrtcrtcdatytcngc(配列番号16)を用いた。その結果 11クローンを分離できた。11クローンの DNA配列間で整合性のある以下のDNA塩基配列:129塩基(配列番号17)及びそれがコードするアミノ酸配列:43アミノ酸(配列番号1)決定した。全塩基数は 3’RACEによる塩基からさらに 60塩基、アミノ酸数にして 20個分の 5 ’側塩基配列と C末側アミノ酸(下線部)の解明ができた。その結果、塩基数にして全 129個、アミノ酸数にして全 43個のペプチド構造が解明できた。推定ペプチド分子量はこの時点で約 4.8kDaに達している。当初 TOFMS法および、PAGE電気泳動法で認識して来た 4.6kDaに極めて近い大きさのペプチドであると考えられる。しかし塩基配列ではまだ開始暗号が、またペプチド配列ではメチオニンが検出されていないので、さらに数個のアミノ酸が N末側に存在すると考えられる。
【0037】
5’gttctatcgaaacaagctcatcatcatcatcacgaaggatggagtcttccgggagtaccagccgagatcgatgaccttgcgggtaatattgactataatattttcaaagaacagagagaaaaaattaaa3’ (配列番号17)
H2N-VLSKQAHHHHHEGWSLPGVPAEIDDLAGNIDYNIFKEQREKIK-COOH(配列番号1)
【0038】
9.免疫組織化学による卵成熟誘起分子の局在確認
上記のペプチド分子がナマコ組織内の神経に存在することを確認するために、これまでに解明したアミノ酸配列の中から Onlineデータベースの蛋白質物理化学特性解析サイトを用いて、抗原機能の高い H2N-AEIDDLAGNIDY-COOH(配列番号18)部分を選択し、このペプチドの N末側にキーホールリンペットヘモシアニンを共有結合させた抗原ペプチドを合成し、6匹のマウスで抗体を作成し、それを用いて通常の方法で免疫組織化学による卵成熟誘起分子の組織分布を解析した。
【0039】
その結果、卵成熟誘起分子は放射神経とそこから周囲の組織に入り込んでいる神経繊維内に局在していることが観察された(図8)。このことから、卵成熟誘起分子は放射神経系内の蛋白分子であることが確認できた。また、この分子の大きさが極めて小さいことから、卵成熟誘起ホルモンと位置づけることが適当と思われるので、以後、これをマナマコ卵成熟誘起ホルモン(Stichopus japonicus Egg Maturation Promoting Hormone:SjEMPH)とも称する。尚、免疫ブロッティングにおいて抗マナマコ卵成熟誘起ホルモン抗体は4.8kDa領域にではなく、さらに大きい 19.4kDa分子として認識されたが、マナマコ卵成熟誘起ホルモンは加熱処理によってより多く抽出できることから、4.6kDaは本来より大きな分子に重合しているか、結合していると考えられる。このことから、本免疫ブロッティングの結果はそのようなマナマコ卵成熟誘起ホルモン分子の特性を示していると思われる。
【実施例2】
【0040】
1.合成卵成熟誘起ホルモン全分子の生物活性:
実施例1で同定した配列番号1に示されるアミノ酸配列を有する全アミノ酸 43残基から成る本発明のペプチドを常法で化学合成した。このペプチドの卵成熟誘起活性を上記のバイオアッセイで測定した。
【0041】
実験方法:
実施例1に記載したバイオアッセイを用いた。室温で4時間処理を継続し、この間1時間毎に実体顕微鏡下で卵巣から放出される卵全数と卵核胞崩壊を起こした成熟卵の数を計測する。全分子のホルモン活性測定は8個体の卵巣を用いて繰り返した。また、各ペプチド毎の活性測定は6個体の卵巣を用いて繰り返した。
【0042】
その結果、実験方法で説明した 8個体からの卵巣の卵巣片をペプチド(1)を3、30、及び 50μg/ml含む海水中で処理した結果、図9に示すように、30μg/mlの濃度のペプチドが3時間後には最も高い卵成熟誘起活性を示し、それは4時間後にも維持されていた。一方、これより濃度の低い3μg/mlの場合は処理1時間で活性が見られたが、2時間以降は減少した。又、より濃度の高い50μg/mlではやはり処理1時間目には 3μg/ml以下ではあるが 30μg/ml以上の活性を示した。しかし、これも2時間目以降には減少した。
【0043】
ペプチドを加えていない海水のみ(図9中、「0」で示される)でも4時間後には全体の 15%程度に自然の卵成熟が起きているので、ペプチドによる影響はこの増加以上の卵核胞崩壊をもたらした 30μg/mlによる処理2時間以降が有意のものと考えられる。従って、ペプチド(1)を用いた場合は 30μg/mlが最適の活性濃度であった。これは、実施例1で示されたように、放射神経組織全体のホモジネートを用いる場合(3mg/mlで活性が見られた)の1/100の濃度で活性が見られることになり、適用重量比較からみると 100倍の活性を持っていることを示す。また、効果を現すまでには3時間の処理時間を必要とした。
【0044】
2.有効最小ペプチドサイズの特定:
上記のバイオアッセイで 43個のアミノ酸残基をもつ合成ペプチド(配列番号1)に卵成熟誘起活性があることが証明されたので、該ペプチドの一部アミノ酸配列を重複させながら、以下に示すような21-22アミノ酸残基からなる3つのペプチドを作製した。これら3種類の小ペプチド鎖を用いて同様のバイオアッセイを6個体のナマコから採取した卵巣片で行った。各ペプチドは図2に示したように P1と P2の間、及びP2と P3の間にそれぞれ 9及び12アミノ酸残基の重複を持つが、P1と P3には重複は全くない。
【0045】
(P1)配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ基側末端の 21アミノ酸残基からなるペプチド(分子量: 4,958.53ドルトン): H2N-VLSKQAHHHHHEGWSLPGVPA-COOH(配列番号2);
(P2)上記 (P1)のカルボキシル基側 9残基と重複する全分子の中央部 21アミノ酸残基からなるペプチド(分子量 2,324.59ドルトン):H2N-GWSLPGVPAEIDDLAGNIDYN-COOH(配列番号3);及び
(P3) 上記(P2)のカルボキシル基側アミノ酸 12残基を含む 22アミノ酸残基からなるペプチド(分子量 2,651.96ドルトン): H2N-EIDDLAGNIDYNIFKEQREKIK-COOH(配列番号19)。
尚、これらのペプチドには糖鎖が結合していないので、この分子量は実際の大きさと実質的に同じである。
【0046】
その結果を図1に示す。卵巣片を4種類のペプチドをそれぞれ 3及び30μg/mlの濃度で処理した結果、最も強い活性を示したのは30μg/mlのP1ペプチド(P1-30)であり、処理後3時間で約80%に卵成熟を起こした。これは、放射神経組織全体のホモジネートに匹敵する活性であった。又、図9の結果と同様に、配列番号1のアミノ酸配列から成る合成ペプチド(全分子)も30μg/ml(Whole-30)で約 40%の卵が成熟する程度の高い活性を示した。P2は処理2時間までは全分子以上の活性を示したが、4時間後では全分子程度の約 35%の卵に成熟を引き起こした。P3は 3μg/ml, 30μg/mlいずれにおいてもペプチドを含んでいない海水とほぼ同じの 10%以下の卵にのみ成熟を引き起こしたが、海水のみの処理との有意の差ではなかった。従って、P3には活性はないと考えられる。このように、30μg/mlの P1(P1-30)は処理開始2時間目から今回用いたどのペプチドよりも高い活性を示し、処理4時間の間最も強い活性を維持し続けた。作用濃度は P1、P2、及び全分子とも 30μg/mlでは活性を示すが、3μg/mlでは示さない。
【0047】
又、図10の結果を海水での卵成熟を基準にその何倍の活性を示したかを示したのが、図11である。これによると処理 30分目にはどのペプチドも海水の 2-9倍の活性値を示し、最も活性が高く見られた処理1時間後では P1は全分子の約 7倍、P2は3倍の活性があることになる。これは、放射神経組織ホモジネートがもつ活性の P1は約 700倍、P2は 300倍の活性を持っていることになる。尚、処理4時間の間活性を示し続けているのは P1,P2及び全分子の 30μg/mlの各ペプチドのみで、それ以外の濃度とペプチドでは海水とほとんど変わりないほどに活性がなくなっている。さらに、この結果からは P1と P2処理は開始1時間までに高い数値を示すので、これらのペプチドによる処理では短時間で効果が得られることが判る。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明を利用することにより、マナマコ卵成熟誘起活性ペプチドの工業生産化とその実用的利用が可能となり、本発明は新しい形のマナマコ増養殖生産業の創設に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】卵核胞崩壊を示す写真である。左はRNE, 3mg/ml(A)、中央は3-10kDa, 300μg/ m l(B)、右は3kDa>, 300μg/ ml(C)。尚、矢印は残存している卵核胞を示す。
【図2】卵核胞崩壊率を示すグラフである。棒グラフの各棒の上にある数値は実測した卵の数を示している。短い縦線は標準誤差を示している。
【図3】卵核胞崩壊率を示すグラフである。縦軸は卵核胞崩壊率(%)、横軸の数値は放射神経抽出物の濃度(mg/ml)と作用させた放射神経抽出物の分子量範囲を示す。
【図4】MS法試料の一つを用いた質量分析(MALDI-TOF MS法)による有効成分の分子量特定の結果を示す。
【図5】PAGEゲル電気泳動結果を示す写真である。左端は 4.6kDa領域を示す。この領域を右端の写真のように切り出して、アミノ酸配列分析に供した。
【図6】トリプシン処理後の各ペプチド分画を示すチャートである。
【図7】PCR産物のゲル電気泳動像を示す写真である。矢印の部分が 300塩基 DNA部分であるが、弱い増幅を示すものがこれ以外に数本のバンドとして観察された。
【図8】免疫組織化学によるマナマコ卵成熟誘起ホルモンの分布を示す写真である。(A)放射神経周辺断片組織化学像。(B)放射神経部分を拡大したもの。 (C)放射神経から周辺の組織に出ている神経繊維にもマナマコ卵成熟誘起ホルモンが含まれている。 (D)免疫ブロッティングによる抗マナマコ卵成熟誘起ホルモン抗体は 19.4kDaバンド領域(矢印)に認められる。
【図9】配列番号1で示される全アミノ酸 43残基から成るペプチドの各濃度(μg/ml)の溶液で処理したときの卵核胞崩壊率(縦軸、%)を示す。横軸はペプチド処理を開始してからの時間(1時間から4時)示す。
【図10】各ペプチドの卵成熟誘起活性を示すグラフである。ペプチド名の後の数値 3及び 30はそれぞれ、その濃度が3μg/ml及び30μg/mlであることを示す。「FSW」はペプチドを含まない海水のみを示す。
【図11】海水での卵成熟を基準に各ペプチドの卵成熟誘起活性がその何倍の活性であるか示したグラフである。各記号の説明は図10と同じである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マナマコ放射神経組織由来の分子量4.6kDa(TOF−MS法又はアクリルアミド電位泳動法による測定)を有するマナマコ卵成熟誘起活性ペプチドであって、アミノ酸配列:VLSKQAHHHHHEGWSLPGVPAEIDDLAGNIDYNIFKEQREKIK(配列番号1)を含むことを特徴とする、前記ペプチド。
【請求項2】
配列番号1で示されるペプチドの部分配列であるアミノ酸配列から成り、マナマコ卵成熟誘起活性を有するペプチド。
【請求項3】
配列番号1で示されるペプチドの部分配列であるアミノ酸配列:VLSKQAHHHHHEGWSLPGVPA(配列番号2)から成る、請求項2記載のペプチド。
【請求項4】
配列番号1で示されるペプチドの部分配列であるアミノ酸配列:GWSLPGVPAEIDDLAGNIDYN(配列番号3)から成る、請求項2記載のペプチド。
【請求項5】
配列番号1で示されるペプチドの部分配列であるアミノ酸配列:GWSLPGVPA(配列番号4)を含む、請求項2記載のペプチド。
【請求項6】
配列番号4で示されるペプチドのN末及び/又はC末のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列を含む、請求項2記載のペプチド。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のペプチドをコードする核酸分子。
【請求項8】
配列番号1で示されるペプチドをコードする核酸分子が以下の塩基配列:
gttctatcgaaacaagctcatcatcatcatcacgaaggatggagtcttccgggagtaccagccgagatcgatgaccttgcgggtaatattgactataatattttcaaagaacagagagaaaaaattaaa(配列番号17)を有する請求項7記載の核酸分子。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のペプチドを化学合成法により製造する方法。
【請求項10】
請求項7又は8記載の核酸分子により形質転換した形質転換体を用いて、請求項1〜6のいずれか一項に記載のペプチドを産生する方法。
【請求項11】
マナマコ又はその組織に請求項1〜6のいずれか一項に記載のペプチドを作用させることを含む、マナマコ卵の成熟を誘起又は促進させる方法。
【請求項12】
マナマコ又はその組織を、請求項1〜6のいずれか一項に記載のペプチドを含む溶液に浸漬させることを含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のペプチドを10〜40μg/ml含む溶液に1〜4時間浸漬させることを含む、請求項12記載の方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図1】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−165378(P2009−165378A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−5430(P2008−5430)
【出願日】平成20年1月15日(2008.1.15)
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【Fターム(参考)】