説明

マニホールドプレートおよびマニホールドプレートを含む流体処理装置

【課題】濾過媒体により、流体中のタンパク質や核酸などの巨大分子の通過を防止することが可能な、マニホールドプレートおよびマニホールドプレートを含む流体処理装置の提供。
【解決手段】外面に取付け領域を有する本体25と、本体25内で延びる第1および第2の流体チャネル32、33とを備えるマニホールドプレート11Aおよびマニホールドプレート11Aを含む濾過装置であって、取付け領域26は、少なくとも1つの第1の開口と、少なくとも1つの第2の開口とを有し、少なくとも1つの第1の流路40が第1の開口を第1の流体チャネル32に流体的に結合し、少なくとも1つの第2の流路41が第2の開口を第2の流体チャネル33に流体的に結合し、1つ以上の濾過ユニットはマニホールドプレート11Aの第1および第2の開口と流体的に連通する状態で取付け領域26に取り付けられる濾過装置。

【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
本発明は、マニホールドプレート、および、マニホールドプレートを含む流体処理装置に関する。流体処理装置は、少なくとも1つのマニホールドプレートと、マニホールドプレートの取付け領域に取り付けられる1つ以上の流体処理ユニットとを含む。各流体処理ユニットは、流体を処理するために使用される流体処理媒体を含む。流体は、気体、液体、または、気体、液体および/もしくは固体の混合物であり、また、流体処理媒体が任意の多種多様な方法で流体を処理する。例えば、流体処理媒体は濾過媒体であり、この濾過媒体は、流体中の物質、例えば特定のサイズを上回る粒子または巨大分子が当該濾過媒体を通過するのを防止する。他の例として、流体処理媒体は、タンパク質または核酸を含む流体中の物質、例えばイオン、分子、または、巨大分子に化学的におよび/または物理的に結合する捕捉媒体であってもよい。マニホールドプレートは、流体処理ユニットの流体処理媒体へ流体を供給し、および/または、流体処理ユニットから流体を受けることができる。
【0002】
マニホールドプレートは、標準的なx、y、z直交座標系の、x方向に延びる長さ、y方向に延びる幅、および、z方向に延びる厚さを有する本体を含む。また、マニホールド本体は、外面を有するとともに、本体の外面上のx、y平面内に取付け領域を有する。取付け領域が少なくとも1つの第1の開口と少なくとも1つの第2の開口とを含み、また、第1および第2の開口は互いから流体的に分離される。マニホールドプレートは、第1の流体チャネル、第2の流体チャネル、少なくとも1つの第1の流路、および、少なくとも1つの第2の流路を更に含んでもよい。第1および第2の流体チャネルは取付け領域から離間されて本体に沿って延びてもよく、また、各チャネルが取付け領域から離れるように本体の外面上にて開口するポートを有してもよい。また、第1および第2のチャネルは、互いに近接してもよく、また、互いから流体的に分離される。第1の流路は、取付け領域の第1の開口から本体の第1のチャネルへ延び、また、第2の流路は、取付け領域の第2の開口から本体の第2のチャネルへ延びる。各流路が壁によって画定され、また、壁の少なくとも一部が取付け領域に対して90°未満の角度を成して延びてもよい。また、各流路の壁上の全ての点からのz方向と平行な投射路が、壁を貫通することなく取付け領域の対応する開口と交差してもよい。マニホールドプレートは、第1のチャネル、流路および開口を介して、ならびに/または、第2のチャネル、流路および開口を介して、流体を流体処理ユニットへ供給する。これに代えてまたはこれに加えて、マニホールドプレートは、第1のチャネル、流路および開口を介して、ならびに/または、第2のチャネル、流路および開口を介して、流体を流体処理ユニットから受けてもよい。
【0003】
本発明の実施形態は多くの利点を有する。例えば、除菌および/または低い生体的負担は、医薬産業およびバイオテクノロジー産業を含む多くの産業において非常に重要である。本発明を具現化するマニホールドプレートと、マニホールドプレートを含む流体処理装置とは、これらの産業に適合する。流路の壁は取付け領域の開口へ向かう直接的な視線投射路を有するため、取付け領域を含む本体の外面および流路壁はいずれも、UV放射線等の透過しない除菌放射線を使用して容易に且つ効果的に除菌することができる。また、取付け領域および流路壁の清浄度を目視検査によって確実に検証できる。他の利点としては製造の容易さが挙げられる。流路の壁上の全ての点が開口へ向かう直接的な投射路を有するため、ストレートプル射出成形技術を使用してマニホールドプレートを確実に且つ安価に製造することができる。ストレートプル射出成形技術は、取付け領域、取付け領域の開口の全て、および、流路の全てを射出成形金型の2つの半体を引き離すという1つの簡単なステップで形成できるようにする効果的な高速製造技術である。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1】流体処理装置の代表的な図である。
【図2】図1の流体処理装置のマニホールドプレートの平面図である。
【図3】図2のマニホールドプレートの下面図である。
【図4A】マニホールドプレートの流路を示す図2および図3のマニホールドプレートの断面図である。
【図4B】マニホールドプレートの更なる流路を示す図2および図3のマニホールドプレートの断面図である。
【発明の実施形態の説明】
【0005】
本発明の1つ以上の態様を具現化する流体処理装置は多種多様な方法で構成され得る。流体処理装置10の多種多彩な例のうちの1つが図1に表わされている。一般に、流体処理装置は、少なくとも1つのマニホールドプレートと、マニホールドプレートに取り付けられる1つ以上の流体処理ユニットとを備える。図示の実施形態において、流体処理装置10は、第1のマニホールドプレート11Aおよび第2のマニホールドプレート11Bと、マニホールドプレート11A、11B間で積層される複数の流体処理ユニット12とを含む。マニホールドプレート11A、11Bは、流体処理ユニット12に流体を供給してもよく、および/または、流体処理ユニット12から流体を受けてもよく、その間に、各流体処理ユニット12内の流体処理媒体13が流体を処理してもよい。
【0006】
流体処理装置は、例えばその全てが参照により本明細書に援用される米国特許出願公開第2008/0135468号明細書、米国特許出願公開第2008/0135499号明細書、および、米国特許出願公開第2008/0135500号明細書に開示される方法等、多くの方法のいずれかで組み立てられ得る。例えば、流体処理装置は、流体処理ユニット間または流体処理ユニットとマニホールドプレートとの間に設けられるガスケット等のシール、流体処理ユニットおよびマニホールドプレートを流体処理装置内で適切に整列された状態に維持するためのアライメントロッド、ならびに/または、流体処理ユニットおよびマニホールドプレートを互いに対して押し付けるための圧縮ロッドを更に含んでもよい。あるいは、流体処理ユニットおよびマニホールドプレートが機械的および/または液圧的なホルダまたはプレス内にて圧縮保持されてもよい。
【0007】
流体処理装置は、デッドエンドフロー(dead−end flow)用として、または、タンジェンシャルフロー(tangential flow)用として設けられ得る。デッドエンドフローでは、プロセス流体または供給流体が少なくとも1つのマニホールドプレートに供給され、その後、マニホールドプレートが流体を流体処理ユニットの流体処理媒体へ方向付ける。流体処理ユニットは、直列配列、並列配列、または、直列と並列の組合わせの配列を含む様々な方法で互いに流体的に連通するようになっているとよい。デッドエンドフローにおいては、供給流体の全てが透過物としてまたは濾過物として流体処理媒体のうちの1つ以上を通過する。その後、濾過物は、流体処理ユニットから1つ以上のマニホールドプレートへ方向付けられる。
【0008】
図1に表わされる流体処理装置10はタンジェンシャルフロー用として設けられている。プロセス流体または供給流体が少なくとも1つのマニホールドプレート11Aに供給され、その後、そのマニホールドプレートが供給流体を供給流路14によって流体処理ユニット12の流体処理媒体13へ方向付ける。この場合、先と同様に、流体処理ユニットは、直列配列、並列配列、または、直列と並列の組合わせの配列を含む様々な方法で互いに流体的に連通するようになっているとよい。タンジェンシャルフローにおいては、供給流体が各流体処理ユニット12の流体処理媒体13に沿って横方向に通過し、また、供給流体の一部が透過物としてまたは濾過物として各流体処理媒体13を通過して透過物流路15に入る。流体処理媒体13を通過しない供給流体は、濃縮物または残留物として、供給流路14と直接に流体的に連通する残留物流路16に入る。透過物流路15および残留物流路16により、濾過物および残留物は、その後、1つ以上のマニホールドプレート11A、11Bへ別々に通され、そこから濾過物および残留物が別々に排出される。
【0009】
各流体処理ユニット12は、多くのサイズおよび形状のいずれかであり、また、様々な方法で構成され得る。例えば、流体処理ユニット12は、標準的なx、y、z直交座標系の、x方向に延びる長さ、y方向に延びる幅、および、z方向に延びる厚さを有するものとすることができる。流体処理ユニット12の互いに反対向きの外面20、21は、流体処理ユニット12の外面上のx、y平面内で延びてもよい。流体処理ユニット12は、シール等の介在構造体を伴ってまたは伴うことなく、外面20、21に沿って互いに積層されてもよい。
【0010】
各流体処理ユニットは複数部材構造または単一部材構造とすることができる。例えば、各流体処理ユニットは、1つ以上の排出層、例えばメッシュ層上にまたはこれらの層間に横たえられる別個の流体処理媒体層から成るものとすることができる。他の例として、流体処理ユニットは一体の流体処理カセットとして構成されてもよい。図1において、各流体処理12は、ケーシング22内にシールされる流体処理媒体13を含み、それにより、流体処理媒体13の供給側23および透過側24を規定してもよい。1つ以上の供給流路14がケーシング22内で流体処理媒体13の供給側23に沿って横方向に延びる。1つ以上の残留物流路16が供給流路14と流体的に連通して流体処理媒体13の供給側23からケーシング22内で延びる。1つ以上の透過物流路15が流体処理媒体13の透過側24からそれに沿ってケーシング22内で延びる。透過物流路15が流体処理媒体13を通じて供給/残留物流路14、16と流体的に連通してもよいが、その一方で、透過物流路15が供給流路14および残留物流路16から流体的に分離されてもよい。供給流路14、透過物流路15、および、残留物流路16は、1つの流体処理ユニット12の流路14、15、16が隣接する流体処理ユニット12またはマニホールドプレート11A、11Bの流路と流体的に連通できるようにする開口を各流体処理ユニット12の一方または両方の面20、21に含んでもよい。複数の流体処理ユニットの流れに関しての配列に応じて、例えば流体処理ユニットの少なくとも1つの外面の1つ以上の開口を密封することにより、流路の開口のうちの1つ以上を塞ぐことができる。
【0011】
流体処理媒体は、多孔性、透過性、半透過性、または、選択透過性のものとすることができ、また、例えば天然高分子または合成高分子を含む任意の多数の材料から形成されてもよい。流体処理媒体は、例えば、織布シートまたは不織布シート等の繊維もしくはフィラメント状の構造、または、支持膜もしくは不支持膜等の膜を含む任意の多種多様な構造として形成されてもよい。また、流体処理媒体は、無数の流体処理特性のうちのいずれかを有してもよく、または、そのような流体処理特性を有するように改質されてもよい。例えば、流体処理媒体はプラス、マイナス、または、中性の電荷を有してもよく、流体処理媒体が疎水性または親水性あるいは疎油性または親油性を含む液体非親和性または液体親和性のものであってもよく、および/または、流体処理媒体は、流体中の物質に化学的に結合できるリガンドまたは任意の他の反応部分等の付随する官能基を有してもよい。流体処理媒体は、多くの方法のうちのいずれで流体を更に処理するように機能する様々な材料から形成されてもよく、前記様々な材料が含浸されてもよく、あるいは、前記様々な材料から成るものとしてもよい。これらの機能的な材料は、例えば、流体中の物質または流体自体と化学的におよび/もしくは物理的に結合し、反応し、これらに触媒作用を及ぼし、これらを供給し、または、これらに影響を及ぼす全てのタイプの吸着剤、イオン交換樹脂、クロマトグラフィ媒体、酵素、反応物質、触媒を含むものとすることができる。また、流体処理媒体は、例えば、超多孔質もしくはナノ多孔質または更に細かいものからマイクロ多孔性のまたは更に粗いものまでの様々な分子カットオフ率または除去率のいずれかを有してもよい。したがって、流体処理媒体は、捕捉媒体または濾過媒体を含む任意のタイプの処理媒体として機能することができる。
【0012】
マニホールドプレートは多種多彩な方法で構成され得る。例えば、図2および図3に示されるように、マニホールドプレート11は本体25を備え、また、本体25は多くの形態のうちのいずれかを有するものとすることができる。例えば、本体25は、標準的なx、y、z直交座標系の、x方向に延びる長さ、y方向に延びる幅、および、z方向に延びる厚さを有してもよい。本体の内部は、実質的に中実もしくは中空であってもよく、または、例えば図3に示される格子構造を含む他の構造を有してもよい。本体25の外面は、マニホールドプレート11の少なくとも一方側のx、y平面内における外部表面から成るものとすることができる。外面の全てまたは一部が取付け領域26を備えてもよく、また、流体処理ユニット12が取付け領域26でマニホールドプレート11に取り付けられてもよい。取付け領域26は、ほぼ平坦であってもよく、また、1つ以上の第1の開口30と1つ以上の第2の開口31とを含んでもよい。第1の開口30および第2の開口31が任意の規則的なまたは不規則な形状を有してもよい。また、取付け領域26の第1の開口30および第2の開口31は、互いから流体的に分離されており、互いに整列されまたは互いからオフセットされてもよい。
【0013】
マニホールドプレート11は、互いから流体的に分離されて本体25に沿って延びる少なくとも第1の流体チャネル32および第2の流体チャネル33を含む。流体チャネルは、直線状であっても、湾曲状であっても、または、曲がりくねっているものであってもよく、先細っていてもいなくてもよく、また、円形および楕円を含む任意の様々な断面形状を有してもよい。多くの実施形態においては、本体25は側縁34を有し、第1の流体チャネル32および第2の流体チャネル33が側縁34の近傍でy方向に沿って本体25内で真っ直ぐに延びる。また、第1の流体チャネル32および第2の流体チャネル33は、互いに並んで、例えば互いに平行に延びてもよく、また、互いに近接していてもよく、例えば、3インチ(7.5cm)以下で離れてもよく、または、2インチ(5cm)以下で離れてもよく、または、1インチ(2.5cm)以下で離れてもよい。第1のチャネル32および第2のチャネル33のそれぞれは、取付け領域26から離れて本体25の外面上にて開口するポート35で終端する。各ポート35は多くの方法のいずれかにより構成され得る。例えば、各ポート35は、取付具として、例えばTriClover取付具のフランジ部として構成され得る。
【0014】
マニホールドプレート11は、取付け領域26の第1の開口30と本体25の第1の流体チャネル32との間で延びる少なくとも1つの第1の流路40を更に含んでもよい。第1の流路は第1の開口部38で第1の流体チャネル32に対して開口してもよく、また、第1の開口部38が第1の開口30より小さくてもよい。マニホールドプレート11は、取付け領域26の第2の開口31と本体25の第2の流体チャネル33との間で延びる少なくとも1つの第2の流路41を含んでもよい。第2の流路41は第2の開口部39で第2の流体チャネル33へ開口してもよく、また、第2の開口部39が第2の開口31より小さくてもよい。図2に示されるマニホールドプレート11は、複数の第1の開口30および第1の流路40を有するとともに、複数の第2の開口31および第2の流路41を有する。第1の開口30および第2の開口31は、第1の流体チャネル32および第2の流体チャネル33とほぼ平行に取付け領域26に沿って分布されてもよく、例えば取付け領域26に沿って交互に配置されてもよい。第1の流路40および第2の流路41は互いから流体的に分離されており、それぞれの第1の流路40は、1つの第1の開口30と第1の流体チャネル32との間に直接に流体的に結合されて連通し、また、それぞれの第2の流路41は、1つの第2の開口31と第2の流体チャネル33との間に直接に流体的に結合されて連通する。各流路40、41は、規則的にまたは不規則に形成されてもよく、直線状または湾曲状であってもよく、また、壁42によって画定されてもよい。壁42の多種多様な例のうちの1つが図4Aおよび図4Bに示されている。第1の流路40および第2の流路41のそれぞれの壁42の少なくとも一部は対応する開口30、31で取付け領域26に対して角度Aを成して延びてもよく、角度Aが90°未満であってもよい。角度は、取付け領域26の表面から壁42の表面まで、図4Aおよび図4Bに示されるように測定されてもよい。また、壁42は、壁42上の全ての点Pからのz方向と平行な投射路Rが壁42を通過することなく取付け領域26の対応する開口30、31と交差するように構成されてもよい。例えば、壁42の傾斜部上の点Pからの投射路Rは、壁42を通過することなく壁42から離れて対応する開口30、31へ延びてもよい。取付け領域26に対して90°で延びる壁42の任意の部分上の点Pからの投射路Rは、壁42を通過することなく壁42と平行に対応する開口30、31へ延びてもよい。
【0015】
マニホールドプレートは、ステンレススチールを含む金属、ポリプロピレン等のポリオレフィンを含む熱可塑性物質、または、熱硬化性物質から形成され得る。また、マニホールドプレートは、機械加工、鋳造、および、成形を含む幾つかの製造技術のうちの1つ以上によって形成され得る。例えば、図2および図3に示されるマニホールドプレート11は、ストレートプル射出成形技術によってポリプロピレンから形成される。
【0016】
流体処理ユニット12は、取付け領域26の第1の開口30および第2の開口31が隣接する流体処理ユニット12の外面20、21の流路開口と流体的に連通する状態でマニホールドプレート11の取付け領域26に取り付けられ得る。この場合、マニホールドプレート11は、流体処理ユニット12へ流体を供給してもよくおよび/または流体処理ユニット12から流体を受けてもよい。第1の流体チャネル、流路、および、開口、ならびに、第2の流体チャネル、流路、および、開口のいずれかまたは両方は、プロセス流体もしくは供給流体、濾過物もしくは透過物、または、残留物もしくは濃縮物と関連付けられてもよい。例えば、図1の流体処理装置10において、1つのマニホールドプレート、例えば第1のマニホールドプレート11Aのいずれかの流体チャネル、例えば第1の流体チャネル32のポート35は、供給流体またはプロセス流体の入口ポートとすることができ、一方、第2の流体チャネル33のポート35は、濾過物または透過物の出口ポートとすることができる。同様に、第2のマニホールドプレート11Bのいずれかの流体チャネル、例えば第1の流体チャネル32のポート35は、残留物または濃縮物の出口ポートとすることができ、一方、第2の流体チャネル33のポート35は、濾過物または透過物の出口ポートとすることができる。
【0017】
この場合、供給流体が第1のマニホールドプレート11Aの供給入口ポート35へ供給され、また、第1の流体チャネル32が、第1のマニホールドプレート11Aの第1の開口30および第1の流路40を介して流体処理ユニット12の供給流路14へ供給流体を方向付ける供給チャネル32としての機能を果たす。供給流体は、流体処理ユニット12の供給流路14に沿って流体処理媒体13へ移動し、供給流体は、流体処理媒体13の供給側に沿って横方向に通過する。流体処理媒体13を通過しない供給流体は、流体処理ユニット12の残留物流路16に沿って残留物または濃縮物として第2のマニホールドプレート11Bの第1の開口30へ移動する。このとき、第2のマニホールドプレート11Bの第1の流体チャネル32は、第1の開口30および第1の流路40を介して残留物または濃縮物を受けるとともに残留物ポート35を介して残留物または濃縮物を排出する残留物チャネルとしての機能を果たす。濾過物または透過物として流体処理媒体13を通過する供給流体の一部は、流体処理媒体13の処理特性にしたがって処理され、流体処理ユニット12の透過物流路15に沿って両方のマニホールドプレート11A、11Bの第2の開口31へ方向付けられる。この場合、各マニホールドプレート11A、11Bの第2の流体チャネル33は、第2の開口31および第2の流路41を介して濾過物または透過物を受けるとともに濾過物または透過物を透過物排出ポート35を介して排出する透過物チャネルとしての機能を果たす。
【0018】
多くの利点が、本発明の1つ以上の態様を具現化するマニホールドプレートと、マニホールドプレートを含む流体処理装置とに関連付けられる。例えば、第1および第2の流路の壁は、取付け領域の開口へ向かう直接的な視線投射路を有する。逆に、取付け領域を含むマニホールドプレートの外側および第1および第2の流路の壁はいずれも、UV放射線等の透過しない除菌放射線を使用して容易に且つ効果的に除菌することができる。また、取付け領域および流路壁の清浄度を目視検査によって容易に且つ確実に検証できる。他の利点としては製造の容易さが挙げられる。流路壁上の全ての点は、対応する開口へ向かう直接的な投射路を有する。その結果、ストレートプル射出成形技術を使用してマニホールドプレートを確実に且つ安価に製造することができる。取付け領域、取付け領域の流体開口の全て、および、流路の全ては、射出成形金型の2つの半体を一方向に、例えばマニホールドプレートの外面に対して垂直に引く1つの簡単なステップで正確に形成されてもよい。これは、マニホールドプレートを成形することに関連付けられる高価な側方動作の数をかなり減少させる。
【0019】
本発明の様々な態様を幾つかの実施形態に関して説明しおよび/または図示してきたが、本発明はこれらの実施形態に限定されない。例えば、本発明の範囲から逸脱することなく、これらの実施形態の1つ以上の特徴が排除されまたは変更されてもよく、または、1つの実施形態の1つ以上の特徴が他の実施形態の1つ以上の特徴と組み合わされてもよい。非常に異なる特徴を有する実施形態でさえも本発明の範囲内に入る場合がある。
【0020】
例えば、図2および図3の実施形態は、第1および第2の流体チャネルに類似するが例えば本体の反対側の縁部に沿って配置される第3および第4の流体チャネルを本体に設けるために変更されてもよい。第1および第2の開口に類似する1つ以上の第3の開口および1つ以上の第4の開口が第3および第4の流体チャネルの近傍の取付け領域に設けられてもよい。また、第1および第2の流路に類似する第3および第4の流路のそれぞれにより、第3の開口のそれぞれが第3の流体チャネルに接続されるとともに第4の開口のそれぞれが第4の流体チャネルに接続されてもよい。4つの流体チャネルを有するマニホールドプレートは、供給流体の全てを流体処理ユニットへ供給するとともに全ての残留物および透過物を流体処理ユニットから受ける流体処理装置の単なるマニホールドプレートであってもよい。
【0021】
他の例として、図2および図3の実施形態は、マニホールドプレートの本体の反対側の外面に第2の取付け領域を設けるように変更されてもよい。1つ以上の第1の開口および1つ以上の第2の開口が第2の取付け領域に設けられてもよい。第2の取付け領域の第1の開口のそれぞれは、第1の流路によって第1の流体チャネルに流体的に結合されてもよい。第2の取付け領域の第2の開口のそれぞれは、第2の流路によって第2の流体チャネルに流体的に結合されてもよい。第2の取付け領域の第1および第2の開口を第1および第2の流体チャネルに結合する第1および第2の流路は、第1の取付け領域の第1および第2の開口を第1および第2の流体チャネルに結合する第1および第2の流路に類似してもよい。取付け面を両側に有するマニホールドプレートは、マニホールドプレートの両側で流体処理ユニットへのおよび/または流体処理ユニットからの供給物、残留物、および/または、透過物の双方向の流れを可能にしてもよい。
【0022】
このように、本発明は、本明細書中で説明しおよび/または図示してきた特定の実施形態に限定されず、請求項によって規定される本発明の範囲内に入り得る全ての実施形態および変形を含む。
【符号の説明】
【0023】
10…流体処理装置、11A…第1のマニホールドプレート、11B…第2のマニホールドプレート、12…流体処理ユニット、13…流体処理媒体、14…供給流路、15…透過物流路、16…残留物流路、20、21…外面、22…ケーシング、23…供給側、24…通過側、25…本体、26…取付け領域、30…第1の開口、31…第2の開口、32…第1の流体チャネル、33…第2の流体チャネル、34…外縁、35…ポート、38…第1の開口部、39…第2の開口部、40…第1の流路、41…第2の流路、42…壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外面と、標準的なx、y、z座標系のx、y、z方向にそれぞれ延びる長さ、幅、および、厚さとを有する本体であって、該本体の前記外面が外側に面する取付け領域を含み、該取付け領域に対して1つ以上の流体処理ユニットを取り付けることができ、前記取付け領域が前記本体のx、y平面内にほぼ位置し、前記取付け領域が、前記本体に取り付けることができる流体処理ユニットと流体的に連通するようになっている少なくとも1つの第1の開口と少なくとも1つの第2の開口とを含み、前記第1の開口および前記第2の開口が互いから流体的に分離されている、本体と、
前記本体に沿って延びて前記取付け領域から離間される第1の流体チャネルおよび第2の流体チャネルであって、該第1の流体チャネルおよび該第2の流体チャネルが互いに近接し且つ互いから流体的に分離され、該第1の流体チャネルおよび該第2の流体チャネルの各々が前記取付け領域から離れるように前記本体の外面上にて開口するポートを含む、第1の流体チャネルおよび第2の流体チャネルと、
前記第1の開口から前記第1のチャネルへ延びる少なくとも1つの第1の流路および前記第2の開口から前記第2のチャネルへ延びる少なくとも1つの第2の流路であって、該第1の流路および該第2の流路の各々が壁によって画定され、前記壁の少なくとも一部が前記取付け領域に対して90°未満の角度を成して延び、該第1の流路および該第2の流路の各々の前記壁上の全ての点からのz方向と平行な投射路が、前記壁を貫通することなく前記取付け領域の対応する開口と交差する、第1の流路および第2の流路と、
を備えるマニホールドプレート。
【請求項2】
前記第1の流体チャネルおよび前記第2の流体チャネルの各々が前記本体内でほぼ真っ直ぐに延びる、請求項1に記載のマニホールドプレート。
【請求項3】
前記第1の流体チャネルおよび前記第2の流体チャネルが前記本体内で互いにほぼ平行に並んで延びる、請求項1または2に記載のマニホールドプレート。
【請求項4】
前記取付け領域に複数の第1の開口および複数の第2の開口を含むとともに、複数の第1の流路および複数の第2の流路を含み、前記第1の流路の各々が1つの第1の開口を前記第1のチャネルに流体的に接続し、前記第2の流路の各々が1つの第2の流路を前記第2のチャネルに流体的に接続する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のマニホールドプレート。
【請求項5】
前記第1の開口が前記第2の開口からオフセットされる、請求項4に記載のマニホールドプレート。
【請求項6】
前記第1の開口が前記第2の開口と整列される、請求項4に記載のマニホールドプレート。
【請求項7】
前記本体が縁部を有し、前記第1の流体チャネルおよび前記第2の流体チャネルが前記縁部付近で前記本体内を延びる、請求項1〜6のいずれか一項に記載のマニホールドプレート。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載のマニホールドプレートと、該マニホールドプレートの取付け領域に取り付けられて前記マニホールドプレートの第1の開口および第2の開口と流体的に連通するようになっている1つ以上の流体処理ユニットとを備える流体処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【公開番号】特開2012−135756(P2012−135756A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−256271(P2011−256271)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(596064112)ポール・コーポレーション (70)
【氏名又は名称原語表記】Pall Corporation
【Fターム(参考)】