説明

マルチアンテナトランシーバシステム

【課題】多数のシステムのための多数の周波数帯域を支援し、複雑さを緩和する。
【解決手段】トランシーバシステム210aは、第1アンテナ202に結合された第1の部分212a、第2のアンテナ204に結合された第2の部分214a、RFユニット250aで構成する。第1の部分212aは、第1のシステムのための送信および第1の受信、第2のシステムのための送信および第1の受信、信号を第1のアンテナ202に結合する送信/受信スイッチ220aで構成する。第2の部分214aは、第1のシステムのための第2の受信と、第2の通信システムのための第2の受信で構成する。第1のシステムのための第1および第2の受信は、2周波数帯域のためのものである。第2のシステムのための第1および第2の受信は、1周波数帯域のためのものであり、受信ダイバーシティに使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概ね、電子機器、より具体的には、無線デバイスに適した送信機/受信機(トランシーバ)システムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムは、音声、データ、等のような種々の通信サービスを与えるために広く展開されている。これらの無線システムは、符号分割多元接続(Code Division Multiple Access, CDMA)、時分割多元接続(Time Division Multiple Access, TDMA)、周波数分割多元接続(Frequency Division Multiple Access, FDMA)、または何か他の多元接続技術であり得る。無線システムは、3GPP2として知られているコンソーシアムによって採用された1つ以上の標準、例えば、IS−2000、IS−856、IS−95、等を実施し得る。無線システムは、3GPPとして知られているコンソーシアムによって採用された1つ以上の標準、例えば、グローバル システム フォー モバイル コミュニケーションズ(Global System for Mobile Communications, GSM(登録商標))、広帯域CDMA(Wideband-CDMA, W-CDMA)、等も実施し得る。IS−2000およびW−CDMAは、CDMAのための第三世代の標準である。IS−95およびGSMは、それぞれ、CDMAおよびTDMAのための第二世代の標準である。これらの標準は、当技術において周知である。
【0003】
無線通信デバイス(例えば、セルラ電話)は、トランシーバシステムを使用して、無線システムと双方向の通信を得る。トランシーバシステムは、データ送信のための送信機と、データ受信のための受信機とを含む。送信経路上では、送信機は、無線周波数(radio frequency, RF)の搬送波信号を、送られるデータで変調し、送信により適したRF被変調信号を生成する。送信機は、さらに加えて、RF被変調信号を調整して、RFアップリンク信号を生成し、次に、RFアップリンク信号を、無線チャネルを介して、無線システム内の1つ以上の基地局へ送信する。受信経路上では、受信機は、1つ以上のRFダウンリンク信号を、1つ以上の基地局から受信し、受信信号を調整し、処理し、基地局によって送られたデータを得る。
【0004】
無線システムは、1つ以上の周波数帯域において動作し、トランシーバは、無線システムによって使用される各周波数帯域のための送信信号経路および受信信号経路をもち得る。したがって、多数の周波数帯域が無線システムによって使用されるとき、トランシーバは多数の信号経路をもち得る。無線システムは、異なる時間間隔において送信し、受信する、GSMシステムのような、時分割デュプレックス(time division duplex, TDD)システムであってもよい。この場合に、送信/受信(transmit/receive, T/R)スイッチが、信号経路の1つ以上を、任意の所与の瞬間において、無線デバイスのアンテナに結合するのに使用され得る。T/Rスイッチは、(スイッチ上の1つのポール(pole)に対応する)アンテナへの1つの共通のRFポートと、(スイッチ上のスロー(throw)に対応する)各信号経路への1つの入力/出力(input/output, I/O)RFポートとをもつ。例えば、単極4投接点(single-pole four-throw, SP4T)のT/Rスイッチは、2本の送信経路と2本の受信経路とをもつ2帯域のGSMトランシーバにおいて使用され得る。信号経路の数が増加して、より多くの周波数帯域を支援するのにしたがって、より多くのI/O RFポートが、T/Rスイッチに必要とされる。I/O RFポートの数が増加するのにしたがって、T/Rスイッチの設計は、より複雑になり、性能は劣化する。
【0005】
マルチモードの無線デバイス(例えば、デュアルモードのセルラ電話)は、多数の無線システム(例えば、GSMシステムおよびCDMAシステム)と通信することができ得る。この能力は、マルチモードのデバイスが、より多くのシステムから通信サービスを受け、これらのシステムによって与えられるより大きい受信可能領域の恩恵を受けることを可能にする。マルチモードのトランシーバは、多くの信号経路をもち、無線システムの全てによって使用される周波数帯域の全てを支援し得る。これらの信号経路の全てをアンテナに相互接続することは、多くのI/O RFポートをもつ複雑なT/Rスイッチを要求し得る。
【発明の概要】
【0006】
したがって、多数の無線システムのための多数の周波数帯域を支援し、複雑さを緩和することができるトランシーバシステムが、当技術において必要とされている。
【0007】
多数の無線システムのための多数の周波数帯域を効率的に支援するマルチアンテナ トランシーバシステムが、本明細書に記載されている。トランシーバシステムは、多数の信号経路を含み、各信号経路は、送信経路または受信経路である。信号経路の具体的な数は、例えば、トランシーバシステムによって支援される無線システム数、各無線システムのための周波数帯域数、受信(RX)ダイバーシティが各無線システムに適用可能であるかどうか、多数の周波数帯域のための信号経路が組合わされ得るかどうか、多数の無線システムのための信号経路が組合わされ得るかどうか、等のような種々の要因に依存する。
【0008】
トランシーバシステムは、少なくとも2本のアンテナを採用し、(1)各“非ダイバーシティ”無線システムのための受信経路をアンテナ間で分割して、複雑さを緩和し、(2)2本のアンテナにおいて各“ダイバーシティ”無線システムのための主受信経路およびダイバーシティ受信経路を実施して、性能を向上するトランシーバアーキテクチャを使用する。非ダイバーシティ無線システムは、RXダイバーシティが適用可能でない無線システム、例えば、GSMシステムのような、TDMAシステムである。ダイバーシティ無線システムは、CDMAシステムのような、RXダイバーシティが適用可能である無線システムである。全無線システムのための送信経路は、1本のアンテナに結合され得る。全無線システムのための受信経路は、多数のアンテナ間で分配され得る。多数のアンテナは、一方のアンテナにおける受信機回路を、他方のアンテナにおける送信経路からの高出力電力によって損傷するのを避けるために、十分な切り離しをもって設計される。受信経路を多数のアンテナ間で適宜分配することによって、複雑さは緩和され、より単純なT/Rスイッチが、トランシーバシステムに使用され得る。
【0009】
実施形態では、トランシーバシステムは、第1および第2の部分と、無線周波数(RF)ユニットとを含む。この実施形態では、トランシーバシステムは、第1(例えば、GSM)の無線システムのための2つの周波数帯域と、RXダイバーシティを備えた第2(例えば、CDMA)の無線システムのための1つの周波数帯域とを支援する。第1の部分は、第1(主)のアンテナに結合し、(1)第1の無線システムのための送信経路および第1の受信経路と、(2)第2の無線システムのための送信経路および第1の受信経路とを含む。第2の部分は、第2(ダイバーシティ)のアンテナに結合し、(1)第1の無線システムのための第2の受信経路と、(2)第2の無線システムのための第2の受信経路とを含む。第1の無線システムのための第1および第2の受信経路は、2つの周波数帯域のためのものである。第2の無線システムのための第1および第2の受信経路は、1つの周波数帯域のためのものであり、RXダイバーシティを与える。この実施形態では、第1の部分は、デュプレクサおよび単極3投接点(single-pole three-throw, SP3T)のT/Rスイッチも含む。デュプレクサは、第2の無線システムのための送信経路と第1の受信経路とに結合する。T/Rスイッチは、任意の所与の瞬間において、第1の無線システムのための送信経路、第1の無線システムのための第1の受信経路、またはデュプレクサを、第1のアンテナに結合する。RFユニットは、送信経路のための変調および周波数アップコンバージョンと、受信経路のための復調および周波数ダウンコンバージョンとを行う。トランシーバシステムは、第3のアンテナに結合され、全地球測位システム(Global Positioning System, GPS)のための受信経路を含む第3の部分を含み得る。
【0010】
本発明の種々の態様および実施形態が、さらに詳しく別途記載される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】多数の無線通信システムと通信することができるマルチアンテナ無線デバイスを示す図。
【図2】GSMのための2つの周波数帯域と、RXダイバーシティを備えたCDMAのための1つの周波数帯域とを支援する2本のアンテナの無線デバイスを示す図。
【図3】GSMのための4つの周波数帯域と、RXダイバーシティを備えたCDMAのための1つの周波数帯域とを支援する2本のアンテナの無線デバイスを示す図。
【図4】GSMのための4つの周波数帯域と、RXダイバーシティを備えたCDMAのための2つの周波数帯域とを支援する2本のアンテナの無線デバイスを示す図。
【図5】GSMのための1つの周波数帯域と、CDMAのための1つの周波数帯域とを支援する2本のアンテナの無線デバイスを示す図。
【図6】GSMのための2つの周波数帯域、RXダイバーシティを備えたCDMAのための1つの周波数帯域、およびGPSを支援する3本のアンテナの無線デバイスを示す図。
【図7A】直接変換アーキテクチャを使用する復調器を示す図。
【図7B】直接変換アーキテクチャを使用する変調器を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の特徴および性質は、別途記載される詳細な記述から、同じ参照符号が全体的に対応して同定している図面と共に採用されるとき、より明らかになるであろう。
【0013】
“例示的”という用語は、本明細書において“例、事例、または実例としての役割を果たす”ことを意味するために使用されている。本明細書に記載されている何れの実施形態または設計も、他の実施形態または設計よりも好ましいまたは好都合であると、必ずしも、解釈されると限らない。
【0014】
図1は、多数の無線通信システム120および122と通信することができるマルチアンテナ無線デバイス110を示している。無線システム120は、例えば、(一般に、CDMA 1xと呼ばれている)IS−2000、(一般に、CDMA 1x EV−DOと呼ばれている)IS−856、IS−95、W−CDMA、等のような1つ以上のCDMA標準を実施し得るCDMAシステムであり得る。無線システム120は、ベーストランシーバシステム(base transceiver system, BTS)130、および移動交換局(mobile switching center, MSC)140を含む。BTS130は、その受信可能領域のもとで、無線デバイスへ空中による通信を与える。MSC140は、無線システム120内のBTSに結合し、これらのBTSのための調整および制御を与える。無線システム122は、GSMのような、1つ以上のTDMA標準を実施し得るTDMAシステムであり得る。無線システム122は、ノードBおよび無線ネットワーク制御装置(radio network controller, RNC)142を含む。ノードB132は、その受信可能領域のもとで、無線デバイスへ空中による通信を与える。RNC142は、無線システム122内のノードBに結合し、これらのノードBのための調整および制御を与える。通常、BTS130およびノードB132は、無線デバイスのための通信の受信可能領域を与える固定局であり、基地局または何か他の用語でも呼ばれ得る。MSC140およびRNC142は、基地局のための調整および制御を与えるネットワークエンティティであり、何か他の用語でも呼ばれ得る。
【0015】
無線デバイス110は、セルラ電話、パーソナルディジタルアシスタント(personal digital assistant, PDA)、無線イネーブルドコンピュータ、あるいは何か他の無線通信ユニットまたはデバイスであり得る。無線デバイス110は、(3GPP2の用語では)移動局、(3GPPの用語では)ユーザ装置(user equipment, UE)、アクセス端末、または何か他の用語でも呼ばれ得る。無線デバイス110は、多数のアンテナ、例えば、1本の外部アンテナと1本以上の内部アンテナとを備えている。多数のアンテナは、フェージング、マルチパス、干渉、等のような、悪い経路の影響に対して、ダイバーシティを与えるのに使用され得る。送信エンティティのアンテナから送信されたRF被変調信号は、見通し経路または反射経路、あるいはこの両者を介して、無線デバイス110の多数のアンテナに達し得る。少なくとも1本の伝搬経路は、通常、無線デバイス110における送信アンテナと各受信アンテナとの間に存在する。概ね、ある特定の範囲において当てはまることであるが、異なる受信アンテナへの伝搬経路が独立している場合は、多数のアンテナがRF被変調信号を受信するのに使用されるとき、ダイバーシティは強まり、受信信号の品質が向上する。
【0016】
無線デバイス110は、衛星150から信号を受信できるときと、できないときとがある。衛星150は、周知の全地球測位システム(GPS)、ヨーロッパのガリレオシステム(Galileo system)、または何かのシステムのような、衛星測位システムに属し得る。各GPS衛星は、地球上のGPS受信機がGPS信号の到着時間(time of arrival, TOA)を測定することを可能にする情報をもつ符号化されたGPS信号を送信する。十分な数のGPS衛星の測定値が、GPS受信機の正確な三次元の位置推定値を得るのに使用され得る。
【0017】
通常、マルチアンテナ無線デバイス110は、異なる無線技術(例えば、CDMA、GSM、GPS、等)の任意の数の無線システムと通信することができ得る。理解し易くするために、CDMAシステムおよびGPSシステムと通信することができるマルチモードの無線デバイスについて次に記載する。無線デバイス110は、所与の瞬間において、0個、1個、または多数の送信エンティティから信号を受信し得る。ここで、送信エンティティは、基地局または衛星であり得る。マルチアンテナ無線デバイス110では、各送信エンティからの信号は、異なる振幅または位相、あるいはこの両者においてではあるが、無線デバイスの多数のアンテナの各々によって受信される。
【0018】
無線システム120および122は、種々の周波数帯域において動作し得る。テーブル1は、一般に使用されている周波数帯域と、GPSの周波数帯域とを載せている。GPSの周波数帯域を除いて、テーブル1に示されている各周波数帯域では、1つの周波数範囲は、基地局から無線デバイスへのダウンリンク(すなわち、順方向リンク)に使用され、別の周波数範囲は、無線デバイスから基地局へのアップリンク(すなわち、逆方向リンク)に使用される。例として、GSM850/セルラ帯域では、824ないし849MHzの範囲は、アップリンクに使用され、869ないし894MHzの範囲は、ダウンリンクに使用される。
【表1】

【0019】
無線システム120および122は、テーブル1に載せられていない他の周波数帯域上でも動作し得る。
【0020】
無線デバイス110は、無線システム120および122の各々のための1つまたは多数の周波数帯域を支援するように設計され得る。無線デバイス110は、通常、1つの無線システムと、一度に、その無線システムのための支援されている周波数帯域の1つにおいて通信する。無線デバイス110の種々の実施形態が、次に記載される。
【0021】
図2は、2本のアンテナの無線デバイス110aのブロック図を示しており、これは、無線デバイス110の1つの実施形態である。無線デバイス110aは、RXダイバーシティを備えたCDMAのための1つの周波数帯域と、GSMのための2つの周波数帯域とを支援するトランシーバシステム210aを含んでいる。1つのCDMA帯域は、例えば、PCSまたはセルラであり得る。2つのGSM帯域は、例えば、(ヨーロッパにおいて、一般に使用されている)GSM1800およびGSM900、または(アメリカ合衆国において、一般に使用されている)GSM1900およびGSM850であり得る。1つのCDMA帯域は、CDMA送信帯域(CDMA TX)とCDMA受信帯域(CDMA RX)とを含む。2つのGSM帯域は、第1および第2のGSM送信帯域(GSM TX1およびTX2)と、第1および第2のGSM受信帯域(GSM RX1およびRX2)とを含む。2つのGSM帯域の設計は、無線デバイス110aが、より多くのGSMシステムと通信し、ローミング能力を向上することを可能にする。
【0022】
トランシーバシステム210aは、(外部アンテナであり得る)主アンテナ202に結合する第1の部分212a、(内部アンテナであり得る)ダイバーシティアンテナ204に結合する第2の部分214a、並びに第1および第2の部分に結合するRFユニット250aを含んでいる。第1の部分212aは、両者のGSM帯域のための1本のGSM送信経路、第1のGSM帯域のための第1のGSM受信経路、並びにCDMAのための送信経路および主受信経路を含んでいる。第2の部分214aは、第2のGSM帯域のための第2のGSM受信経路と、CDMAのためのダイバーシティ受信経路とを含んでいる。RFユニット250aは、部分212aおよび214aのために信号を調整する。
【0023】
第1の部分212a内では、単極3投接点(SP3T)のT/Rスイッチ(T/R switch, T/R SW)220aは、主アンテナ202に結合された(1つのポールのための)1つの共通のRFポートと、GSM送信経路、第1のGSM受信経路、およびCDMA送信/主受信経路のためのデュプレクサ232aとに結合された(3つのスローのための)3つのI/O RFポートとをもつ。GSM送信経路のためのRFポートは、入力RFポートであり、CDMA送信/受信経路のためのRFポートは、双方向のRFポートである。T/Rスイッチ220aは、共通のRFポートを、1ビットまたはマルチビットの信号であり得る制御信号(control signal, Ctrl)に基づいて、任意の所与の瞬間において、3つのI/O RFポートの1つに結合する。TDDシステムであるGSMでは、アップリンクおよびダウンリンクの送信は、異なるオーバーラップしていない時間間隔(または、タイムスロット)において行われ、送信経路または受信経路のみが、任意の所与の瞬間においてアクティブである。CDMAでは、アップリンクおよびダウンリンクの送信は同時に行われ、送信および受信経路の両者は、同時にアクティブであり得る。T/Rスイッチ220aは、第1の部分212aが、GSMまたはCDMAの何れかを処理することを可能にするようにスイッチングを行う。第1の部分212aがGSMを処理しているときは、T/Rスイッチ220aは、GSMの送信経路と受信経路との間でさらにスイッチングを行う。さらに加えて、T/Rスイッチ220aは、GSM送信回路によって生成された高電力の送信バーストから、GSM受信機回路を保護する。
【0024】
GSM送信経路は、電力増幅器(power amplifier, PA)モジュール224aを含み、これは、RFユニット250aからGSM送信信号(GSM transmission signal, GTX)を受信し、増幅し、主アンテナ202を介して送信するためのGSMアップリンク信号を与える。GSM送信信号は、無線デバイス110aによって支援されている2つのGSM帯域の1つのためのものである。PAモジュール224aは、通常、(RF出力レベル検出およびフィードバック回路をもつ)組み込まれた、または外部の出力電力制御ループをもち、これは、GSM送信バースト中の周波数および温度の出力電力レベルを調節する。(各GSM送信バーストは、577μsecの継続期間をもつ)。さらに加えて、PAモジュール224aは、利得制御信号(G1)に基づいて調節され得る可変利得をもち得る。G1は、モデムプロセッサ260aから来ることができる。G1利得制御信号は、PAモジュール224aの利得を、一定の割合で増加する(ramp up)か、または一定の割合で低減(ramp down)し得る。GSMアップリンク信号の振幅も、G1利得制御信号によって制御され、GSMアップリンク信号の位相は、あらゆる変調(例えば、GMSK、M−PSK、OQPSK、M−QAM、等)を達成するように、モデムプロセッサ260aによって制御され得る。T/Rスイッチ220aは、通常、組み込まれたフィルタ(例えば、ローパスフィルタ)をもち、フィルタで取り除き、PAモジュール224aによって生成されたGSMアップリンク信号内の高調波の送信を防ぐ。GSMの送信および受信経路は、公に入手可能である3GPP TS 51.010に記載されているGSMシステムの要件にしたがうように設計され得る。
【0025】
第1のGSM受信経路は、(1)主アンテナ202からの受信信号をフィルタにかけるフィルタ226aと、(2)フィルタ226aからのフィルタにかけられた信号を増幅し、第1のGSM受信信号(GRX1)をRFユニット250aに与える低雑音増幅器(low noise amplifier, LNA)228aとを含む。フィルタ226aは、第1のGSM受信帯域(GSM RX1)に等しい帯域幅をもつ表面弾性波(surface acoustic wave, SAW)フィルタで実施される帯域通過フィルタであり得る。フィルタ226aは、大きい振幅の望ましくない信号(または“ジャマー”)と、他の無線システムによって送信された他の帯域外信号とをフィルタで取り除く。
【0026】
CDMA送信経路は、フィルタ242a、電力増幅器244a、およびアイソレータ246aを含む。フィルタ242aは、RFユニット250aからのCDMA送信信号(CTX)をフィルタにかけ、フィルタにかけられたCDMA信号を与える。フィルタ242aは、CDMA送信帯域(CDMA TX)に等しい帯域幅をもつSAWフィルタで実施され得る。CDMA送信帯域は、CDMA受信帯域よりも低いので、フィルタ242aは、帯域通過フィルタの代わりに、ローパスフィルタでも実施され得る。電力増幅器244aは、フィルタにかけられたCDMA信号を増幅し、CDMAアップリンク信号を与える。アイソレータ246aは、CDMAアップリンク信号をデュプレクサ232aに結合し、デュプレクサからの信号が電力増幅器244aに戻るのを防ぎ、電力増幅器のためのインピーダンスの負荷を与える。デュプレクサ232aは、アイソレータ246aからのCDMAアップリンク信号を、主アンテナ202を介して送信するために、T/Rスイッチ220aへルート設定する。
【0027】
さらに加えて、デュプレクサ232aは、主アンテナ202からの受信信号を、T/Rスイッチ220aを介して受信し、受信信号を、主CDMA受信経路へルート設定する。デュプレクサ232aは、CDMAのための送信経路と主受信経路との間に切り離しを与え、これらの2本の経路の各々にとって望ましくない信号成分をフィルタで取り除き、全二重通信のために、これらの2本の信号経路の同時の動作を支援する。(GSMでは、送信および受信経路は、同時にアクティブでないので、デュプレクサは不要である)。主CDMA受信経路は、低雑音増幅器(LNA)234aおよびフィルタ236aを含んでいる。LNA234aは、主アンテナ202からの受信信号を増幅し、増幅された受信信号を与える。フィルタ236aは、増幅された受信信号をフィルタにかけ、主CDMA受信信号(CRMX)をRFユニット250a
に与える。フィルタ236aは、CDMA受信帯域(CDMA RX)に等しい帯域幅をもつSAWフィルタで実施され得る。デュプレクサ232aは、CDMA受信帯域を予め選択するためのフィルタリングを行い、フィルタ236aは、CDMA送信経路から来たCDMAアップリンク信号の漏れを取り去る追加のフィルタリングを行う。
【0028】
第2の部分214a内では、ダイプレクサ(diplexer)230aは、ダイバーシティアンテナ204、第2のGSM受信経路、およびダイバーシティCDMA受信経路に結合する。ダイプレクサ230aは、ダイバーシティアンテナ204からの受信信号を、2つの周波数帯域内に信号成分を含む2つの出力信号へ分割する周波数選択ユニットである。ダイプレクサ230aは、(1)GSMの信号成分を含んでいる第1のダイプレクサ出力信号を、第2のGSM受信経路へ、(2)CDMAの信号成分を含んでいる第2のダイプレクサ出力信号を、ダイバーシティCDMA受信経路へ与える。ダイプレクサ230aの代わりに、他の周波数選択ユニットも使用され得る。ダイプレクサ230aは、単極双投接点(single-pole two-throw, SP2T)スイッチ、フィルタリングを行わない信号スプリッタ、または何か他のユニットでも実施され得る。第2のGSM受信経路は、(1)第1のダイプレクサ出力信号を第2のGSM受信帯域(GSM RX2)に対してフィルタにかけるフィルタ226bと、(2)フィルタ226bからのフィルタにかけられた信号を増幅し、第2のGSM受信信号(GRX2)をRFユニット250aに与えるLNA228bとを含む。ダイバーシティCDMA受信経路は、(1)CDMA受信帯域(CDMA RX)のための第2のダイプレクサ出力信号をフィルタにかけるフィルタ236bと、(2)フィルタ236bからのフィルタにかけられた信号を増幅し、ダイバーシティCDMA受信信号(CRXD)をRFユニット250aに与えるLNA234bとを含む。フィルタ226bおよび236bは、それぞれ、第2のGSM受信帯域およびCDMA受信帯域とを予め選択するためのフィルタリングを行う。
【0029】
RFユニット250aは、送信および受信経路の全てのための、GSMおよびCDMAの信号に対して信号調整を行う。各GSM受信信号および各CDMA受信信号のために、RFユニット250aは、周波数ダウンコンバージョン、復調、フィルタリング、増幅および利得制御、等を行い得る。各GSM送信信号および各CDMA送信信号では、RFユニット250aは、フィルタリング、増幅および利得制御、変調、周波数アップコンバージョン、等を行い得る。RFユニット250aは、スーパーヘテロダイン アーキテクチャまたは直接変換アーキテクチャを使用し得る。スーパーヘテロダイン アーキテクチャは、多数の段を使用し、例えば、1つの段においてRFから中間周波数(intermediate frequency, IF)への周波数ダウンコンバージョンをし、別の段においてIFからベースバンドへの(例えば、直角位相の)復調をする。直接変換アーキテクチャは、1つの段を使用して、復調し、RFから直接にベースバンドへ周波数ダウンコンバージョンする。同様に、変調および周波数アップコンバージョンは、スーパーヘテロダイン アーキテクチャでは多数の段で、直接変換アーキテクチャでは1つの段で行われる。さらに加えて、RFユニット250aは、そのシステムによって採用されている変調方式に基づいて、当技術において知られている技法を使用して、各無線システムのための変調および復調を行う。例えば、GSMのための変調は、オフセット位相ロックループ(offset phase locked loop, OPLL)または極性変調方式で行われ得る。
【0030】
RFユニット250a内の受信経路および送信経路の例示的な設計は、それぞれ、図7Aおよび7Bにおいて別途記載される。さらに加えて、RFユニット250aは、部分212aおよび214a内の種々の回路ブロックも含み得る。例えば、LNA228a、228bおよび234bは、RFユニット250a内で実施され得る。RFユニット250aは、1つ以上のRF集積回路(RF integrated circuit, RFIC)、ディスクリートな構成要素、等で実施され得る。
【0031】
変調器/復調器(モデム)プロセッサ260aは、GSMおよびCDMAのためのベースバンドモデム処理を行う。各送信経路において、モデムプロセッサ260aは、データを符号化し、インターリーブし、変調し、データシンボル、すなわち、データのための変調シンボルを得る。さらに加えて、モデムプロセッサ260aは、無線システムにしたがって、データシンボルと、パイロットシンボル、すなわち、パイロットのための変調シンボルとに対して物理層の処理を行う。例えば、モデムプロセッサ260aは、データおよびパイロットシンボルをチャネル化し(または、“カバーし”)、スペクトル拡散し(または、スクランブルし)、データチップを得ることができる。各受信経路では、モデムプロセッサ260aは、相補的な物理層の処理(例えば、スペクトル逆拡散、デチャネライゼーション)を行って、受信シンボルを得て、さらに加えて、受信シンボルを復調し、デインターリーブし、復号し、復号されたデータを得る。GSMのためのモデム処理は、3GPP TS 05の文献に記載されており、CDMAのためのモデム処理は、実施されているCDMA標準に依存する。さらい加えて、モデムプロセッサ260aは、各受信経路のためのアナログ対ディジタル変換と、各送信経路のためのディジタル対アナログ変換とを行う。図2には示されていないが、モデムプロセッサ260aは、さらに加えて、メモリユニット272、マルチメディアユニット(例えば、カメラ)、入力/出力(input/output, I/O)ユニット(例えば、タッチスクリーン、ディスプレイユニット、キーパッド、スピーカ、およびマイクロホン)、等とインターフェイスし得る。モデムプロセッサ260aは、1つ以上の特定用途向け集積回路(application specific integrated circuits, ASIC)で実施され得る。
【0032】
主発振器252は、(所定の周波数における)基準発信器信号を、RFユニット250aとモデムプロセッサ260aとに与える。主発振器252は、電圧制御され、温度補償される圧電結晶発振器(voltage-controlled temperature-compensated crystal oscillator, VCTCXO)か、または当技術において知られている何か他のタイプの発振器で実施され得る。RFユニット250aは、組み込まれた電圧制御発振器(voltage-controlled oscillator, VCO)および位相ロックループ(phase locked loop, PLL)を含み得る。VCOおよびPLLの1つの組は、各信号経路に使用され、各信号経路は、別々に“同調”(すなわち、周波数における調節)をされ得る。VCOおよびPLLの各組は、主発振器252から基準発振器信号を受信し、希望の周波数において局部発振器(local oscillator, LO)信号を生成する。
【0033】
制御装置270は、モデムプロセッサ260a、および恐らくはRFユニット250aの動作を制御する。メモリ272は、制御装置270およびモデムプロセッサ260aのための記憶領域を与える。
【0034】
2本のGSM受信経路は、GSM送信経路から十分な切り離しをもつように設計されている。GSM送信バーストのピークの出力電力は、通常、+32dBmないし+35dBmの範囲をもつ。フィルタ226aおよび226bは、通常、+13dBmないし+17dBmの損傷レベルをもつSAWフィルタである。主アンテナとダイバーシティアンテナとの間の(+35dBmのピークの出力電力から、+13dBmの最小損傷レベルを減算した)少なくとも22デシベル(decibel, dB)の切り離しは、GSM送信バーストによって主アンテナからダイバーシティアンテナに結合されるGSMのSAWフィルタ226bに対する損傷がないことを保証することができる。この22dBの切り離しは、2本のアンテナ間の経路損失、主アンテナの指向性のための切り離し、およびダイバーシティアンテナの指向性のための切り離しとの組み合わせから得られ得る。
【0035】
CDMAでは、2本の別々のアンテナに結合された2本の受信経路は、RXダイバーシティを与え、フェージング、マルチパス、等の悪い影響を改善するために使用される。2本のアンテナが何らかの空間ダイバーシティ(または、アンテナの分離)をもつときは、RXダイバーシティのために、向上した性能を達成することができ、したがって、深いフェージングが主アンテナにおいて生じるときは必ず、より激しくないフェージングがダイバーシティアンテナにおいて生じる。フェージングは、(異なる経路遅延のために)逆位相の2つの信号インスタンスがアンテナにおいて相互に消去(または、破壊的に追加)することによって生じ得る。2本のアンテナが、小さい距離、例えば、数センチメートル分、離れているときでさえ、RXダイバーシティは効果的であることが示されている。
【0036】
主CDMA受信経路は、通常、例えば、感度および線形性についての、全ての適用可能なCDMAのシステム要件を満たすように設計されている。IS−2000およびIS−95のためのシステム要件は、IS−98に記載されており、W-CDMAのためのシステム要件は、3GPP TS 25.101およびTS 34.121に記載されており、これらの全ては公に入手可能である。ダイバーシティCDMA受信経路は、CDMAのシステム要件の全てに準拠する必要はない。例えば、ダイバーシティCDMA受信経路は、主CDMA受信経路よりも、より小さいダイナミックレンジにおいて動作し、より悪い受信機の感度をもち、ジャマーの拒絶において、より低い効果をもつように設計され得る。この準拠していない設計は、ダイバーシティCDMA受信経路が、より少ない電力消費、より小さい領域、およびより低いコストで実施されることを可能にする。例えば、LNA234bは、LNA234aよりも、より高い利得またはより少ない電流、あるいはこの両者で、これがLNA234bの線形性の性能を劣化し得るとしても、動作され得る。それにもかかわらず、ダイバーシティCDMA受信経路は、大抵の動作条件のもとで、良好な性能を与えることができる。
【0037】
ダイバーシティモードで動作するとき、主およびダイバーシティCDMA受信経路の両者は、アクティブであり、CDMA受信帯域上の同じRFチャネルに同調させられる。RFユニット250aは、主およびダイバーシティCDMA受信経路からの、主およびダイバーシティCDMA受信信号をそれぞれ処理し、主およびダイバーシティベースバンド受信信号(C RXMおよびC RXD)をそれぞれ与える。次に、(CDMAにおいて一般に使用されている)レーキ受信機が、これらの2つのベースバンド信号の2本のデータサンプルストリームを処理し、組み合わせて、向上した受信信号品質をもつ複合受信シンボルストリームを得て、これは、1ビット当りのエネルギ対総雑音比(energy-per-bit-to-total-noise ratio, Eb/No)によって量子化され得る。より高いEb/Noは、CDMA 1X EV−DO、UMTS高速パケットデータ、UMTS高速回線交換データ、等のような、高データレートの応用に向上した性能(例えば、より高い総スループット)を与えることができる。
【0038】
非ダイバーシティモードで動作しているときは、主およびダイバーシティCDMA受信経路は、異なるRFチャネルに個別に同調させられ得る。例えば、主CDMA受信経路は、待ち状態(pending)のデータ呼のために、RFチャネルに同調させられ、ダイバーシティCDMA受信経路は、呼び出しメッセージを監視し、パイロットをサーチするために、別のRFチャネルに同調させられ得る。(例えば、着信呼のための)呼び出しメッセージが受信されると、無線デバイスは、(1)主CDMA受信経路を使用して、待ち状態のデータ呼に割り込んで、(例えば、ユーザの承認後に)音声呼を止め(bring up)、(2)2本のCDMA受信経路を使用して、データ呼および音声呼の両者を同時に処理し得る。
【0039】
トランシーバシステム210aは、種々のやり方で動作され得る。1つの動作モードでは、トランシーバシステム210aは、任意の所与の瞬間においてGSMまたはCDMAのみを処理する。別の動作モードでは、トランシーバシステム210aは、1本のCDMA受信経路と、1本のGSM受信経路とを同時に処理することができる。この能力は、例えば、CDMAとGSMとの間のハンドオーバを支援するため、GSMの呼中にCDMA 1x EV-DOシステムをサーチするため、等に使用され得る。
【0040】
図2は、特定の実施形態を示しており、種々の変更が行われ得る。例えば、周波数帯域および変調方式に依存して、GSMおよびCDMAのための信号経路を組合わせることが可能であり得る。
【0041】
トランシーバシステム210aにおいて、主アンテナ202は、送信および受信の両者に使用され、一方で、ダイバーシティアンテナ204は受信のみに使用される。第1の部分212a内の第1のGSM受信経路は、一般に使用されているGSM帯域のためのものであり、第2の部分214a内の第2のGSM受信経路は、より少なく一般に使用されているGSM帯域のためのものであり得る。両者のGSM帯域のための1本のGSM送信経路を使用し、2つのGSM帯域のための2本のGSM受信経路を2本のアンテナ上に分割することによって、部分212aおよび214aの複雑さが緩和される。例えば、第1の部分212aは、SP3Tスイッチを使用し得る。これは、容易に入手可能であり、好適な性能をもっている。
【0042】
図3は、2本のアンテナの無線デバイス110bのブロック図を示しおり、これは、無線デバイス110の別の実施形態である。無線デバイス110bは、トランシーバシステム210bを含み、これは、RXダイバーシティを備えたCDMAのための1つの周波数帯域を支援し(例えば、PCSまたはセルラ)、GSMのための4つの周波数帯域を支援する(例えば、GSM1900、GSM1800、GSM900、およびGSM850)。4帯域のGSMトランシーバは、全ての現在一般に使用されているGSM帯域上で通信することができ、国際的なローミングを支援する。
【0043】
トランシーバシステム210bは、第1の部分212b、第2の部分214b、およびRFユニット250bを含む。第1の部分212bは、4つのGSM帯域のための2本のGSM送信経路、第1のGSM帯域のための第1のGSM受信経路、第3のGSM帯域のための第3のGSM受信経路、並びにCDMAのための送信経路および主受信経路を含んでいる。第2の部分214bは、第2のGSM帯域のための第2のGSM受信経路、第4のGSM帯域のための第4のGSM受信経路、およびCDMAのためのダイバーシティ受信経路を含んでいる。RFユニット250bは、部分212bおよび214bのために信号を調整する。
【0044】
第1の部分212b内では、単極5投接点(single-pole five-throw, SP5T)のT/Rスイッチ220bは、主アンテナ202に結合された1つの共通のRFポートと、5つのI/O RFポートとをもち、5つのI/O RFポートは、2本のGSM送信経路、第1および第3のGSM受信経路、並びにCDMA送信/主受信経路のためのデュプレクサ232aに結合されている。T/Rスイッチ220bは、任意の所与の瞬間において、共通のRFポートを、5つのI/O RFポートの1つに結合する。T/Rスイッチ220bは、第1の部分212bがGSMまたはCDMAの何れかを処理することを可能にするスイッチングを行い、さらに加えて、第1の部分212bがGSMを処理しているときは、1つのGSM帯域のために送信経路と受信経路との間でスイッチングを行う。
【0045】
2本のGSM送信経路は、2つの入力および2つの出力をもつ4帯域の電力増幅器モジュール224bを含んでいる。PAモジュール224bは、RFユニット250bから、第1または第2の何れかのGSM帯域のための第1のGSM送信信号(GTX1)を受信し、増幅し、主アンテナ202を介して送信するための第1のGSMアップリンク信号を与えることができる。さらに加えて、PAモジュール224bは、RFユニット250bから、第3または第4の何れかのGSM帯域のための第2のGSM送信信号(GTX2)を受信し、増幅し、主アンテナ202を介して送信するための第2のGSMアップリンク信号を与えることもできる。第1のGSM受信経路は、フィルタ226aおよびLNA228aを含み、これらは、主アンテナ202からの受信信号に対してフィルタリングおよび増幅を行い、第1のGSM受信信号(GRX1)をRFユニット250bに与える。第3のGSM受信経路は、フィルタ226cおよびLNA228cを含み、これらは、受信信号に対してフィルタリングおよび増幅を行い、第3のGSM受信信号(GRX3)をRFユニット250bに与える。フィルタ226aおよび226cは、それぞれ、第1および第3のGSM受信帯域に等しい帯域幅をもつSAWフィルタであり得る。
【0046】
第2の部分214b内では、トリプレクサ(triplexer)230bはダイバーシティアンテナ204に結合し、アンテナ204から受信信号を得て、第1および第2のトリプレクサ出力信号を、第2および第4のGSM受信経路にそれぞれ与え、第3のトリプレクサ出力信号を、ダイバーシティCDMA受信経路に与える。第2のGSM受信経路は、フィルタ226bおよびLNA228bを含み、これらは、第1のトリプレクサ出力信号をフィルタにかけ、増幅し、第2のGSM受信信号(GRX2)をRFユニット250bに与える。第4のGSM受信経路は、フィルタ226dおよびLNA228dを含み、これらは、第2のトリプレクサ出力信号をフィルタにかけ、増幅し、第4のGSM受信信号(GRX4)をRFユニット250bに与える。フィルタ226bおよび226dは、それぞれ、第2および第4のGSM受信帯域に等しい帯域幅をもつSAWフィルタであり得る。
【0047】
部分212b内のCDMA送信経路および主CDMA受信経路は、図2の部分212a内のものと同じである。部分214b内のダイバーシティCDMA受信経路は、図2の部分214a内のものと同じものである。
【0048】
トランシーバシステム210bは、種々のやり方で動作され得る。テーブル2は、トランシーバシステム210bによって支援されている幾つか動作モードを載せている。
【表2】

【0049】
トランシーバシステム210bでは、主アンテナ202は、送信および受信の両者に使用され、一方で、ダイバーシティアンテナ204は受信のみに使用される。第1の部分212b内の第1および第3のGSM受信経路は、2つの一般に使用されているGSM帯域のためのものであり、第2の部分214b内の第2および第4のGSM受信経路は、(例えば、ローミングのための)2つのより少なく一般に使用されているGSM帯域のためのものであり得る。例えば、無線デバイス110bがヨーロッパ市場向けであるとき、第1の部分212bは、GSM900およびGSM1900をカバーし、第2の部分214bは、GSM850およびGSM1900をカバーし得る。その代わりに、無線デバイス110bがアメリカ合衆国市場向けであるときは、第1の部分212bは、GSM850およびGSM1900をカバーし、第2の部分214bは、GSM900およびGSM1900をカバーし得る。4つのGSM帯域のために2本のGSM送信経路を使用し、4つのGSM帯域のための4本のGSM受信経路を2本のアンテナ上へ分割することによって、部分212bおよび214bの複雑さが緩和される。例えば、第1の部分212bは、SP5Tスイッチを使用することができ、これは、容易に入手可能であり、好適な性能をもっている。
【0050】
図4は、2本のアンテナの無線デバイス110cのブロック図を示しており、これは、無線デバイス110のさらに別の実施形態である。無線デバイス110cは、トランシーバシステム210cを含み、これは、RXダイバーシティを備えたCDMAのための2つの周波数帯域を支援し(例えば、PCSおよびセルラ)、GSMのための4つの周波数帯域を支援する(例えば、GSM1900、GSM1800、GSM900、およびGSM850)。トランシーバシステム210cは、第1の部分212c、第2の部分214c、およびRFユニット250cを含んでいる。第1の部分212cは、4つのGSM帯域のための2本のGSM送信経路、2つのGSM帯域のための第1および第3のGSM受信経路、並びに2つのCDMA帯域のための2本のCDMA送信経路および2本の主CDMA受信経路を含んでいる。第2の部分214cは、他の2つのGSM帯域のための第2および第4のGSM受信経路と、2つのCDMA帯域のための2つのダイバーシティCDMA受信経路とを含んでいる。RFユニット250cは、部分212cおよび214cのために信号を調整する。
【0051】
第1の部分212c内では、SP5TのT/Rスイッチ220cは、主アンテナ202に結合された1つの共通のRFポートと、5つのI/O RFポートとをもち、5つのI/O RFポートは、2本のGSM送信経路、第1および第3のGSM受信経路、並びにCDMA送信/主受信経路のためのダイプレクサ222に結合されている。部分212c内の2本のGSM送信経路と、第1および第3のGSM受信経路とは、図3の部分212b内のものと同じものである。第1のCDMA帯域のための送信経路および主受信経路は、図2において既に記載されたデュプレクサ232a、LNA234a、フィルタ236aおよび242a、電力増幅器244a、並びにアイソレータ246aで実施される。第2のCDMA帯域のための送信経路および主受信経路は、デュプレクサ232b、LNA234c、フィルタ236cおよび242b、電力増幅器244b、並びにアイソレータ246bで実施され、これらは、第2のCDMA帯域のために設計されている。ダイプレクサ222は、T/Rスイッチ220cの1つのI/O RFポート、デュプレクサ232aの1つのポート、およびデュプレクサ232bの1つのポートに結合している。ダイプレクサ222は、T/Rスイッチ220cとデュプレクサ232aとの間で、第1のCDMA帯域のための第1のCDMA信号をルート設定し、さらに加えて、T/Rスイッチ220cとデュプレクサ232bとの間で、第2のCDMA帯域のための第2のCDMA信号をルート設定する。
【0052】
第2の部分214c内では、クアドプレクサ(quadplexer)230cは、ダイバーシティアンテナ204、第2および第4のGSM受信経路、並びに2本のダイバーシティCDMA受信経路に結合している。部分214c内の第2および第4のGSM受信経路と第1のダイバーシティCDMA受信経路とは、図3の部分214b内のものと同じものである。第2のダイバーシティCDMA受信経路は、フィルタ236dおよびLNA234dで実施され、これらは、第2のCDMA帯域のために設計されている。
【0053】
トランシーバシステム210cにおいて、主アンテナ202は、送信および受信の両者に使用され、一方で、ダイバーシティアンテナ204は、受信のみに使用される。SP5Tスイッチ220cは、第1の部分212c内の全てのGSMおよびCDMA送信経路、2本のGSM受信経路、並びに2本の主CDMA受信経路を支援することができる。クアドプレクサ230cは、第2の部分214c内の2本のGSM受信経路および2本のダイバーシティCDMA受信経路を支援することができる。
【0054】
図5は、2本のアンテナの無線デバイス110dのブロック図を示しており、これは、無線デバイス110のさらに別の実施形態である。無線デバイス110dは、トランシーバシステム210dを含み、これは、CDMAのための1つの周波数帯域を支援し(例えば、PCSまたはセルラ)、GSMのための1つの周波数帯域を支援する(例えば、GSM1900、GSM1800、GSM900、またはGSM850)。トランシーバシステム210dは、第1の部分212d、第2の部分214d、およびRFユニット250dを含んでいる。第1の部分212dは、GSM送信経路およびCDMA送信経路を含んでいる。第2の部分214dは、GSM受信経路およびCDMA受信経路を含んでいる。RFユニット250dは、部分212dおよび214dのために信号を調整する。
【0055】
第1の部分212d内では、単極双投接点(single-pole two-throw, SP2T)のT/Rスイッチ220dは、主アンテナ202に結合された1つの共通のRFポート、およびGSM送信経路とCDMA送信経路とに結合された2つのI/O RFポートをもつ。GSM送信経路は、図2の部分212a内のものと同じものである。CDMA送信経路は、図2において既に記載されたように、フィルタ242aおよび電力増幅器244aで実施される。第2の部分214d内では、ダイプレクサ230dは、ダイバーシティアンテナ204、GSM受信経路、およびCDMA受信経路に結合している。ダイバーシティアンテナ204は、ダイバーシティのためにではなく、第2のアンテナとして使用される。図2において既に記載されたように、GSM受信経路は、フィルタ226aおよびLNA228aを含み、CDMA受信経路は、フィルタ236aおよびLNA234aを含んでいる。ダイバーシティアンテナ204は、主アンテナ202から22dB以上の切り離しをもち、GSM送信バーストから部分214d内の受信機回路への損傷を防ぐように設計されている。
【0056】
トランシーバシステム210dにおいて、主アンテナ202は、送信のみのために使用され、ダイバーシティアンテナ204は、受信のみのために使用される。SP2Tスイッチ220dは、GSM送信経路およびCDMA送信経路の両者を支援することができる。ダイプレクサ230dは、GSM受信経路およびCDMA受信経路の両者を支援することができる。トランシーバシステム210dは、最小の回路で実施され得る。
【0057】
図6は、3本のアンテナの無線デバイス110eのブロック図を示しており、これは、無線デバイス110のさらに別の実施形態である。無線デバイス110eは、トランシーバシステム210eを含み、これは、RXダイバーシティを備えたCDMAのための1つの周波数帯域を支援し(例えば、PCSまたはセルラ)、GSMのための2つの周波数帯域を支援し(例えば、GSM1900およびGSM850、またはGSM1800およびGSM900)、かつGPSを支援する。トランシーバシステム210eは、部分212a、214a、および216と、RFユニット250eとを含んでいる。部分212aおよび214aは、図2において既に記載されている。第3の部分216内では、フィルタ248は、GPSのための第3のアンテナ206に結合し、アンテナ206からの受信信号にフィルタをかけ、GPSの受信信号をRFユニット250eに与える。第3のアンテナ206は、GPS帯域のために設計され得る。フィルタ248は、GPS帯域に等しい帯域幅をもつSAWフィルタで実施され得る。
【0058】
RFユニット250eは、部分212a、214a、および216のためのGSM、CDMA、およびGPSの信号を調整する。RFユニット250eは、GPS受信機を含み、これは、フィルタ248からのGPS受信信号のために信号調整を行う。RFユニット250eは、GPSのためのVCOおよびPLLも含み、GPS受信機の独立した同調を可能にし得る。
【0059】
通常、第3のアンテナ206およびフィルタ248は、GPSの能力を与えるために、図2ないし6において既に記載された無線デバイスの何れにおいても実施され得る。例えば、第3のアンテナ206およびフィルタ248は、図3の無線デバイス110bにおいて実施され得る。したがって、このような無線デバイスは、RXダイバーシティを備えた1つのCDMA帯域、4つのGSM帯域、およびGPSを支援することができるであろう。
【0060】
GPSは、正確な世界中の三次元(three-dimensional, 3-D)の位置情報を得るために使用され得る。GPSは、6個の55°の軌道面における24個の衛星から成る。物体(例えば、建物、木、山、等)によって遮られない限り、GPS受信機は、地球上の任意の所在地から少なくとも4つのGPS衛星への見通し線をもつ。GPS受信機は、少なくとも3つのGPS衛星の測定値に基づく3−Dの位置決定、または3つのGPS衛星の測定値に基づく2−Dの位置決定を得ることができる。位置決定は、GPS受信機の所在地の推定値である。GPS受信機は、各GPS衛星の到着時間(TOA)を判断することができ、これは、GPS信号が衛星から受信機へ移動するのにかかる時間の尺度である。次に、GPS受信機は、衛星のTOAに基づいて、各GPS衛星への距離を計算することができる。次に、GPS受信機は、3つのGPS衛星への正確な距離と、これらの衛星の既知の所在地とに基づいて、地球上における自分の位置を三角測量することができる。GPS受信機は、通常、GPS衛星と同期しないので、第4のGPS衛星、または地球に結び付けられた基地局の何れかの追加の測定値が、GPS受信機の時間調整における曖昧さの責任を負うために使用される。
【0061】
GPS対応の無線デバイスは、独立モードまたはネットワーク支援モードを使用して、位置決定を得ることができる。独立モードでは、無線デバイスは、GPS信号を受信し、処理し、位置決定を計算する。支援型GPS(assisted GPS, AGPS)とも呼ばれるネットワーク支援モードでは、無線デバイスは、無線システムからの助けを得て、位置決定を得る。無線デバイスは、無線システムから補助情報を得て、この情報を使用して、GPS衛星をサーチし、GPS衛星から天体暦情報(ephemeris information)をダウンロードし、等をし得る。天体暦情報は、GPS衛星の所在地を与える。無線デバイスは、無線システムへ測定値を送ることができ、次に、無線システムは、無線デバイスの位置決定を計算する。
【0062】
無線デバイスは、GPSのための“切り取り(cut-away)”アーキテクチャまたは同期アーキテクチャを実施し得る。切り取りアーキテクチャでは、無線システムとの通信は、(1)瞬間的に停止され、GPS受信機がGPS衛星に同調して、そこから測定値およびデータを得ることを可能にし、(2)その後で、再開される。同期アーキテクチャでは、無線デバイスは、GPS信号を受信し、処理し、一方で、同時に、無線システムとの通信を維持することができる。このアーキテクチャは、通信セッション中に、実時間の位置に基づくサービスを支援する。例えば、無線ユーザは、地図、方向、記憶位置、等のような、実時間の位置に基づく情報にアクセスすることができる。
【0063】
本明細書に記載されているトランシーバのアーキテクチャは、より少ないI/O RFポートをもつより単純なT/Rスイッチが、多数のGSMおよびCDMA帯域を支援するのに使用されることを可能にする。例えば、図4の送信機システム210cは、SP5TのT/Rスイッチを使用して、4つのGSM帯域および2つのCDMA帯域を2本のアンテナで支援する。従来のトランシーバシステムは、これらのGSMおよびCDMA帯域の全てを1本のアンテナで支援するために、8または9個のI/O RFポートをもつより大きいT/Rスイッチを必要としていた。より大きいT/Rスイッチは、より高い挿入損、より悪い線形性の性能、等をもち易い。より高い挿入損は、GSMのみまたはCDMAのみの無線デバイスと比較して、より悪い受信機の感度、電力増幅器のためのより高い出力電力、より高い電力消費、より短い通話時間、より熱い動作温度、等を生じ得る。対照的に、送信機システム210cは、より小型で、より低損失で、より低コストのSP5TのT/Rスイッチを使用し、これは、力任せの(brute-force)トランシーバシステムの上述の欠点および悪影響のほとんどを改善する。より単純なT/Rスイッチは、より良い線形性の性能を与えることができ、これは、CDMAにおいて、(1)CDMA受信帯域内に含まれる混変調の生成物と、(2)CDMA送信帯域内のスペクトルの再成長とを防ぐために必要とされる。したがって、より単純なT/Rスイッチは、CDMAおよびGSMの両者に、よりよい性能を与え得る。
【0064】
図7Aは、復調器710のブロック図を示しており、これは、直接変換アーキテクチャを使用し、図2ないし6に示されているRFユニット内で実施され得る。復調器710は、RF受信信号(RFin)を受信し、処理し、ベースバンド出力信号(BBout)を与える。図2のトランシーバシステム210aにおいて、RF受信信号は、第1のGSM受信信号(GRX1)、第2のGSM受信信号(GRX2)、主CDMA受信信号(CRXM)、またはダイバーシティCDMA受信信号(CRXD)に対応し得る。ベースバンド出力信号(BBout)は、GSMベースバンド受信信号(G RX)、主CDMAベースバンド受信信号(C RXM)、またはダイバーシティCDMAベースバンド受信信号(C RXD)に対応し得る。
【0065】
復調器710内では、可変利得増幅器(variable gain amplifier, VGA)712は、RF受信信号(RFin)を可変利得(Grx)で増幅し、希望の信号レベルをもつ調整された信号を与える。ミキサ714は、調整された信号を、LO発生器720からの受信LO信号で復調し、ダウンコンバートされた信号を与える。LO発生器720は、(1)受信LO信号を生成するVCOと、(2)受信LO信号の周波数を調節し、目的とするRFチャネル内の信号成分を、ベースバンドまたはベースバンドの近くにダウンコンバートするPLLとを含む。ローパスフィルタ716は、ダウンコンバートされた信号をフィルタにかけ、目的とするRFチャネルの信号成分を通し、ダウンコンバージョンプロセスによって生成され得る雑音および望ましくない信号を取り去る。ローパスフィルタ716は、種々のフィルタタイプ(例えば、バターワース、楕円、チェビシェフ、等)、並びに適切なフィルタのオーダおよび帯域幅で実施され得る。増幅器(amplifier, AMP)718は、ローパスフィルタにかけられた信号を増幅し、緩衝し、ベースバンド出力信号(BBout)を与える。
【0066】
図7Bは、変調器730のブロック図を示し、これは、直接変換アーキテクチャを使用し、図2ないし6に示されているRFユニット内でも実施され得る。変調器730は、ベースバンド入力信号(BBin)を受信し、処理し、RF送信信号(RFout)を与える。図2のトランシーバシステム210aにおいて、ベースバンド入力信号は、GSMベースバンド送信信号(G TX)またはCDMAベースバンド送信信号(C TX)に対応し得る。RF送信信号は、GSM送信信号(GTX)またはCDMA送信信号(CTX)に対応し得る。
【0067】
変調器730内では、ローパスフィルタ732は、ベースバンド入力信号(BBin)をフィルタにかけ、ディジタル対アナログ変換によって生成された望ましくないイメージを取り去り、フィルタにかけられたベースバンド信号を与える。次に、増幅器734は、フィルタにかけられたベースバンド信号を増幅し、緩衝し、増幅されたベースバンド信号を与える。ミキサ736は、増幅されたベースバンド信号を、LO発生器740からの送信LO信号で変調し、アップコンバートされた信号を与える。LO発生器740は、VCOおよびPLLを含んでもよく、これらは、希望の送信周波数において送信LO信号を生成することができる。VGA738は、アップコンバートされた信号を可変利得(Gtx)で増幅し、RF送信信号(RFout)を与える。
【0068】
図7Aおよび7Bは、それぞれ、復調器710および変調器730の特定の実施形態を示している。通常、復調器は、増幅器、フィルタ、ミキサ、等の1つ以上の段を含み、これらは、図7Aに示されている実施形態とは異なって配置され得る。同様に、変調器は、増幅器、フィルタ、ミキサ、等の1つ以上の段を含み、これらも、図7Bに示されている実施形態とは異なって配置され得る。図2ないし6に示されているRFユニットの各々は、GSMおよびCDMA送信経路のための多数の変調器730、並びにGSMおよびCDMA受信経路のための多数の復調器710を含み得る。さらに加えて、復調器および変調器は、当技術において知られているように、スーパーヘテロダイン アーキテクチャを使用してもよい。
【0069】
分かり易くするために、トランシーバシステムの種々の特定の実施形態は、CDMA、GSM、およびGPSについて記載された。トランシーバシステムは、信号経路の幾つかを主アンテナに、残りの信号経路をダイバーシティアンテナに結合するトランシーバアーキテクチャを使用する。このトランシーバアーキテクチャは、トランシーバシステムの複雑さを緩和し、性能を向上する。トランシーバシステムの他の実施形態も、本明細書に与えられた記述に基づいて設計され得る。
【0070】
本明細書に記載されたトランシーバシステムは、無線デバイスおよび基地局に使用され得る。トランシーバシステムは、CDMAシステム、TDMAシステム(例えば、GSMシステム)、AMPSシステム、多数入力多数出力(multiple-input multiple-output, MIMO)システム、直交周波数分割多重化(orthogonal frequency division multiplexing, OFDM)に基づく無線通信システム、無線ローカル エリア ネットワーク(wireless local area network, WLAN)、等のような、種々の無線システムにも使用され得る。
【0071】
トランシーバシステムは、1つ以上のRFIC上で、またはディスクリートな構成要素で、あるいはこの両者で実施され得る。送信および受信経路に使用されるフィルタは、通常、SAWフィルタであり、これは、普通はディスクリートな構成要素である。RFユニット内のLNA、電力増幅器、および回路は、1つ以上のRFIC上で実施され得る。RFICは、相補形金属酸化膜半導体(complementary metal oxide semiconductor, CMOS)、バイポーラ接合トランジスタ(bipolar junction transistor, BJT)、バイポーラCMOS(bipolar-CMOS, BiCMOS)、シリコンゲルマニウム(silicon germanium, SiGe)、ガリウム砒素(gallium arsenide, GaAs)、等のような、種々のICプロセス技術で製造され得る。
【0072】
開示された実施形態のこれまでの記述は、当業者が本発明を作成または使用することを可能にするために与えられている。これらの実施形態への種々の変更は、当業者に容易に明らかになり、本明細書に定義されている全体的な原理は、本発明の意図および範囲から逸脱することなく、他の実施形態に適用され得る。したがって、本発明は、本明細書に示された実施形態に制限されることを意図されず、本明細書に開示されている原理および斬新な特徴に一致する最も幅広い範囲にしたがうことを意図されている。
【符号の説明】
【0073】
110・・・マルチアンテナ無線デバイス、120,122・・・無線通信システム、246a・・・
アイソレータ、714・・・ミキサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のアンテナに結合され、第1の無線システムのための第1の送信経路および第1の受信経路を含み、さらに加えて、第2の無線システムのための第1の送信経路および第1の受信経路を含む第1の部分と、
第2のアンテナに結合され、第1の無線システムのための第2の受信経路および第2の無線システムのための第2の受信経路を含む第2の部分とを含み、第1の無線システムのための第1および第2の受信経路が、2つの周波数帯域のためのものであり、第2の無線通信システムための第1および第2の受信経路が、1つの周波数帯域のためのものである無線デバイス。
【請求項2】
各送信経路が、電力増幅器(power amplifier, PA)を含む請求項1記載の無線デバイス。
【請求項3】
各受信経路が、フィルタおよび低雑音増幅器(low noise amplifier, LNA)を含む請求項1記載の無線デバイス。
【請求項4】
第1の部分が、第2の無線システムのための第1の送信経路および第1の受信経路に結合されたデュプレクサをさらに含む請求項1記載の無線デバイス。
【請求項5】
第1の部分が、第1のアンテナ、第1の無線システムのための第1の送信経路、第1の無線システムのための第1の受信経路、およびデュプレクサに結合された送信/受信(transmit/receive, T/R)スイッチをさらに含む請求項4記載の無線デバイス。
【請求項6】
T/Rスイッチが、単極3投接点(single-pole three-throw, SP3T)スイッチである請求項5記載の無線デバイス。
【請求項7】
第2の無線システムのための第1の受信経路が、第2の無線システムの性能要件にしたがい、第2の無線システムのための第2の受信経路が、性能要件の少なくとも1つにしたがわない請求項1記載の無線デバイス。
【請求項8】
第2のアンテナが、第1のアンテナから、少なくとも22デシベル(decibel, dB)分、切り離されている請求項1記載の無線デバイス。
【請求項9】
第1および第2の部分に結合され、第1および第2の無線システムのための第1の送信経路のためのRF送信信号に対して信号調整を行い、さらに加えて、第1および第2の無線システムのための第1および第2の受信経路からのRF受信信号に対して信号調整を行うように動作可能な無線周波数(radio frequency, RF)ユニットをさらに含む請求項1記載の無線デバイス。
【請求項10】
RFユニットが、ベースバンド送信信号に対して変調および周波数アップコンバージョンを行い、RF送信信号を得て、RF受信信号に対して周波数ダウンコンバージョンおよび復調を行って、ベースバンド受信信号を得るように動作可能な請求項9記載の無線デバイス。
【請求項11】
RFユニットが、ベースバンドから直接にRFへ上げる直接変換を使用して、変調および周波数アップコンバージョンを行う請求項10記載の無線デバイス。
【請求項12】
RFユニットが、RFから直接にベースバンドへ下げる直接変換を使用して、周波数ダウンコンバージョンおよび復調を行う請求項10記載の無線デバイス。
【請求項13】
第1の部分が、第1の無線システムのための第3の受信経路をさらに含み、第2の部分が、第1の無線システムのための第4の受信経路をさらに含み、第1の無線システムのための第1、第2、第3、および第4の受信経路が、4つの周波数帯域のためのものである請求項1記載の無線デバイス。
【請求項14】
第1の無線システムのための第1および第2の受信経路が、2つの一般に使用されている周波数帯域のためのものであり、第1の無線システムのための第3および第4の受信経路が、2つのより少なく一般に使用されている周波数帯域のためのものである請求項13記載の無線デバイス。
【請求項15】
第1の部分が、第1の無線システムのための第2の送信経路をさらに含み、第1の無線システムのための第1および第2の送信経路の各々が、4つの周波数帯域の中の2つをカバーする請求項13記載の無線デバイス。
【請求項16】
第1の部分が、第2の無線システムのための第2の送信経路および第3の受信経路をさらに含み、第2の部分が、第2の無線システムのための第4の受信経路をさらに含み、第2の無線システムのための第2の送信経路と第3および第4の受信経路とが、第2の無線システムの第2の周波数帯域のためのものである請求項1記載の無線デバイス。
【請求項17】
第1の部分が、第1の無線システムのための第2の送信経路および第3の受信経路と、第2の無線システムのための第2の送信経路および第3の受信経路とをさらに含み、第2の部分が、第1の無線システムのための第4の受信経路と第2の無線システムのための第4の受信経路とをさらに含み、第1の無線システムのための第1、第2、第3、および第4の受信経路が、4つの周波数帯域のためのものであり、第2の無線システムのための第3および第4の受信経路が、第2の無線システムの第2の周波数帯域のためのものである請求項1記載の無線デバイス。
【請求項18】
第1の無線システムが、時分割多元接続(Time Division Multiple Access, TDMA)システムであり、第2の無線システムが、符号分割多元接続(Code Division Multiple Access, CDMA)システムである請求項1記載の無線デバイス。
【請求項19】
第1の無線システムが、グローバル システム フォー モバイル コミュニケーションズ(Global System for Mobile Communications, GSM)システムである請求項18記載の無線デバイス。
【請求項20】
第3のアンテナに結合され、衛星測位システムのための受信経路を含む第3の部分をさらに含む請求項1記載の無線デバイス。
【請求項21】
衛星測位システムが、全地球測位システム(Global Positioning System, GPS)である請求項20記載の無線デバイス。
【請求項22】
第1のアンテナに結合され、第1の無線システムのための第1の送信経路および第1の受信経路を含み、さらに加えて、第2の無線システムのための送信経路および第1の受信経路を含む第1の部分と、
第2のアンテナに結合され、第1の無線システムのための第2の受信経路および第2の無線システムのための第2の受信経路を含む第2の部分とを含み、第1の無線システムのための第1および第2の受信経路が、2つの周波数帯域のためのものであり、第2の無線通信システムための第1および第2の受信経路が、1つの周波数帯域のためのものである無線送信機/受信機(トランシーバ)。
【請求項23】
無線デバイスにおいて使用される請求項22記載のトランシーバシステム。
【請求項24】
基地局において使用される請求項22記載のトランシーバシステム。
【請求項25】
第1の無線システムのための送信経路および第1の受信経路のための信号調整を行う手段と、
第2の無線システムのための送信経路および第1の受信経路のための信号調整を行う手段と、
第1の無線システムのための送信経路および第1の受信経路と、第2の無線システムのための送信経路および第1の受信経路とを、第1のアンテナに結合する手段と、
第1の無線システムのための第2の受信経路のための信号調整を行う手段と、
第2の無線システムのための第2の受信経路のための信号調整を行う手段と、
第1の無線システムのための第2の受信経路および第2の無線通信システムのための第2の受信経路を、第2のアンテナに結合する手段とを含み、第1の無線システムのための第1および第2の受信経路が、2つの周波数帯域のためのものであり、第2の無線システムのための第1および第2の受信経路が、1つの周波数帯域のためのものである装置。
【請求項26】
第1の無線システムが、時分割多元接続(TDMA)システムであり、第2の無線システムが、符号分割多元接続(CDMA)システムである請求項25記載の装置。
【請求項27】
第1のアンテナに結合され、第1の無線システムのための第1の送信経路および第2の無線システムのための第2の送信経路を含む第1の部分であって、
第1のアンテナが、データを第1および第2の無線システムに送信するのに使用される第1の部分と、
第2のアンテナに結合され、第1の無線システムのための第1の受信経路および第2の無線システムのための第2の受信経路を含む第2の部分であって、
第2のアンテナが、データを第1および第2の無線システムから受信するのに使用される第2の部分とを含む無線デバイス。
【請求項28】
無線デバイスを動作する方法であって、
送信/受信(T/R)スイッチを介して、第1の無線システムのための送信経路、第1の無線システムのための第1の受信経路、または第2の無線システムのための送信経路および第1の受信経路の両者を第1のアンテナに結合することと、
第1の無線システムのための第2の受信経路および第2の無線システムのための第2の受信経路を第2のアンテナに結合することとを含み、
第1の無線システムのための第1および第2の受信経路が、2つの周波数帯域のためのものであり、第2の無線システムのための第1および第2の受信経路が、1つの周波数帯域のためのものである方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【公開番号】特開2011−244461(P2011−244461A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−116889(P2011−116889)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【分割の表示】特願2007−508361(P2007−508361)の分割
【原出願日】平成17年3月21日(2005.3.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】