説明

マルチウェル容器処理システム、システムコンポーネント、及び関連方法

本発明はマルチウェル容器から流体を効率的に除去するための流体除去ヘッド及び関連マルチウェル容器処理システムに関する。マルチウェル容器から流体を除去する方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願とのクロスリファレンス)
本願は米国仮出願第60/598,994号(出願日2004年8月4日)の優先権を主張し、その開示内容全体を参考資料として全目的で本明細書に組込む。
【0002】
(発明の技術分野)
本発明は一般に流体等の材料をマルチウェル容器のウェルから除去及び/又は前記ウェルに分配するマルチウェル容器の処理に関する。
【背景技術】
【0003】
マルチウェル容器は急速に各種生化学及び細胞アッセイを含む多数の最新医薬発見及び開発方法で利用される標準フォーマットになっている。例えば、多数の一般的な細胞アッセイ段階は日常的にマルチウェル容器で平行して実施される。これらは細胞培地の分配と除去、細胞の洗浄、薬剤候補の細胞添加、細胞培養液の培養、及び細胞応答の検出等の段階を含む。候補をスクリーニングするこれらの方法には、従来のアプローチに比較してスループットが著しく高いという利点がある。これらのアッセイの多くは益々自動システム化が進んでいるため、スループットは更に改善しつつある。
【0004】
マルチウェル容器で実施される一般的な型のアッセイのより具体的な例としては、シグナル伝達、細胞接着、アポトーシス、細胞移動、GPCR、細胞透過性、受容体/リガンドアッセイ、及び細胞成長/増殖に関するものが挙げられる。マルチウェル容器を使用するこれら及び他のアッセイに関する更に詳細は例えばParkerら(2000)“Development of high throughput screening assays using fluorescence polarization:nuclear receptor−ligand binding and kinase/phosphatase assays,”J.Biomolecular Screening 5(2):77−88,Asa(2001)“Automating cell permeability assays,”Screening 1:36−37,Norrington(1999)“Automation of the drug discovery process,”Innovations in Pharmaceutical Technology 1(2):34−39,Fukushimaら(2001)“Induction of reduced endothelial permeability to horseradish peroxidase by factor(s) of human astrocytes and bladder carcinoma cells:detection in multi−well container culture,”Methods Cell Sci.23(4):211−9,Neumayer(1998)“Fluorescence ELISA,a comparison between two fluorogenic and one chromogenic enzyme substrate,”BPI 10(Nr.5),Graeffら(2002)“A novel cycling assay for nicotinic acid−adenine dinucleotide phosphate with nanomolar sensitivity,”Biochem J.367(Pt 1):163−8,Rogersら(2002)“Fluorescence detection of plant extracts that affect neuronal voltage−gated Ca2+ channels,”Eur.J.Pharm.Sci.15(4):321−30,及びRappaportら(2002)“New perfluorocarbon system for multilayer growth of anchorage−dependent mammalian cells,”Biotechniques 32(1):142−51に記載されており、各々参考資料として本明細書に組込む。
【0005】
上記プロトコールの多くは材料をマルチウェル容器に配置されたウェルに分配及び/又は前記ウェルから除去する段階を含む。例えば、所定の細胞ELISAアッセイは細胞がウェル側面及び/又は底部に接着している間にウェルから溶媒又は他の流体材料を除去する段階を含む。その後、例えば細胞等を洗浄するために新しい流体をウェルに分配することができる。これらの流体材料をウェルから除去するために使用されている既存装置は一般に流体をウェルから吸引するチップをもつシリンジ又は真空ポンプを利用している。これらの技術は一般に吸引を実施するためにウェルに配置された流体にチップを挿入するものであり、マルチウェル容器内のウェル間の交差汚染を最小限にするために連続する吸引間で装置チップを頻繁に洗浄する必要がある。例えば、1組のウェルからの流体がこれらのチップの外側表面に接着して別の組のウェルに移送されると、これらの工程中にウェル間の交差汚染源となる可能性がある。これらのアプローチに伴う頻繁なチップ洗浄はアッセイスループットを著しく制限している。
【非特許文献1】Parkerら(2000)“Development of high throughput screening assays using fluorescence polarization:nuclear receptor−ligand binding and kinase/phosphatase assays,”J.Biomolecular Screening 5(2):77−88
【非特許文献2】Asa(2001)“Automating cell permeability assays,”Screening 1:36−37
【非特許文献3】Norrington(1999)“Automation of the drug discovery process,”Innovations in Pharmaceutical Technology 1(2):34−39
【非特許文献4】Fukushimaら(2001)“Induction of reduced endothelial permeability to horseradish peroxidase by factor(s) of human astrocytes and bladder carcinoma cells:detection in multi−well container culture,”Methods Cell Sci.23(4):211−9
【非特許文献5】Neumayer(1998)“Fluorescence ELISA,a comparison between two fluorogenic and one chromogenic enzyme substrate,”BPI 10(Nr.5)
【非特許文献6】Graeffら(2002)“A novel cycling assay for nicotinic acid−adenine dinucleotide phosphate with nanomolar sensitivity,”Biochem J.367(Pt 1):163−8
【非特許文献7】Rogersら(2002)“Fluorescence detection of plant extracts that affect neuronal voltage−gated Ca2+ channels,”Eur.J.Pharm.Sci.15(4):321−30
【非特許文献8】Rappaportら(2002)“New perfluorocarbon system for multilayer growth of anchorage−dependent mammalian cells,”Biotechniques 32(1):142−51
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記から明らかなように、流体及び/又は他の材料をマルチウェル容器から除去するための別の装置、システム、及び方法又は他のマルチウェル容器が望ましい。例えば、特にこれらの容器のウェル間の交差汚染と材料除去段階間に実施される装置洗浄段階数の両者を最小限にするように、材料をマルチウェル容器から除去することが望ましい。その結果、マルチウェルフォーマットを利用するアッセイ又は他の処理のスループット、フレキシビリティー、及び品質は既存装置及び方法で実施するよりも著しく改善する。本発明の上記及び他の各種特徴は以下の開示を精読することにより明白になろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明はマルチウェル容器処理システム及びシステムコンポーネントを提供する。例えば、本発明はマイクロウェルプレート、反応ブロック等のマルチウェル容器から流体材料を除去するために使用することができる流体除去ヘッドを提供する。本発明の流体除去ヘッドは流体を容器から除去する際にウェル間の交差汚染を最小限にするように構成されたチップを含む。一般に、これらの流体除去ヘッドは本発明のシステムのコンポーネントとして含まれる。本明細書に記載するシステムは多くの既存システムを使用して実施される方法よりも高いスループットで例えばウェル洗浄又は浄化段階、各種アッセイ、及び他の処理を実施するために利用することができる。本発明は更にマルチウェル容器から流体を除去する方法と、本明細書に記載する流体除去ヘッドを含むキットも提供する。
【0008】
1側面では、本発明は少なくとも1個の入口と少なくとも1個の出口を備える少なくとも1個のチップを含む流体除去ヘッドを提供し、前記入口は前記出口と連通している。チップは、チップをマルチウェル容器の選択ウェル内又はその開口の近傍に配置したときに、チップの外側表面とウェルの側面及び/又はその開口の間に配置されたスペースが通気開口を形成するように構成されている。ウェル内又はウェルの開口の近傍にチップを配置したときに、チップの外側表面とウェルの側面及び/又はその開口の間に配置されたスペースは一般に1mm以下の距離を含む。更に、ウェルに配置された残留流体の表面よりも上位にチップを配置し、選択された負圧をチップに印加すると、印加された負圧は通気開口を通して空気を吸引することにより、チップとウェルの側面から粘着性流体を除去する。
【0009】
本発明の流体除去ヘッドは各種態様を含む。例えば、流体除去ヘッドは一般に少なくとも1個の本体構造を含む。これらの態様の一部では、弾性カップリングがチップを本体構造に連結している。場合により、本体構造は例えば本体構造内に作製された少なくとも1個のマニホールドを含む。更に例証すると、これらの態様の一部では、本体構造は少なくとも1個のキャビティを含み、チップはキャビティ内に0.1mm以上延びている。場合により、本体構造は相互に連結してキャビティを形成する少なくとも1個のチップホルダーと少なくとも1個のポートマウントを含む。チップホルダーは一般にチップを保持し、ポートマウントは一般に貫通配置されたチャネルをもつ少なくとも1個のポートを含み、前記チャネルはキャビティと連通している。所定態様では、チップ及び/又はポートマウントは合金又は金属物質(例えばステンレス鋼、陽極酸化アルミニウム等)から作製され、チップホルダーはポリマー物質から作製される。一般に、例えば表面に裂け目や他の欠陥があった場合に生じる可能性のある汚染性細胞増殖や他の汚染蓄積の危険を最小限にするために、キャビティとチャネルの表面は実質的に平滑である。更に、例えば除去した流体がチャネルに向かって流れ易くするために、キャビティの少なくとも一部を形成する本体構造の少なくとも1個の表面はチャネルに向かって傾斜している。所定態様では、流体除去ヘッドは流体を複数のマルチウェル容器から実質的に同時に除去するように構成されている。一般に、流体除去ヘッドはマルチウェル容器に配置された少なくとも2個のウェルの間の距離に実質的に対応する距離で離間された少なくとも2個のチップを含む。これらの態様の一部では、チップは例えば6、12、24、48、96、192、384、768、1536、又はそれ以上のウェルを含むマルチウェル容器から流体を除去するように構成されている。
【0010】
別の側面では、本発明はマルチウェル容器処理システムを提供する。システムはa)少なくとも1個の入口と少なくとも1個の出口を備える少なくとも1個のチップを含む。入口は出口と連通している。チップはチップをマルチウェル容器の選択ウェル内に配置したときに、チップの外側表面とウェルの側面及び/又はその開口の間に配置されたスペースが通気開口を形成するように構成されている。システムは更にb)チップの出口に作動的に接続された少なくとも1個の負圧源(例えばポンプ等)を含む。更に、システムはc)処理システムに作動的に接続された少なくとも1個のコントローラーを含む。例えば、コントローラーは一般に少なくとも1個のコンピューターを含む。コントローラーはi)第1の負圧をチップに印加しながら、流体を負圧によりウェルから除去する速度よりも速い速度でウェル内の流体面よりも下位のウェル内の第1の位置までチップを下降させるか、及び/又はチップをウェル内の第1の位置まで下降させた後に第1の負圧をチップに印加し、ii)ウェル内の残留流体面よりも上位のウェル内又はウェルの開口の近傍の第2の位置までチップを上昇させるように構成されている。コントローラーは更に、iii)第1の負圧よりも大きい第2の負圧をチップに印加し、通気開口を通して空気を吸引することにより、チップとウェルの側面から粘着性流体を除去するように構成されている。
【0011】
本発明のシステムで利用されるチップは各種態様を含む。所定態様では、例えば入口と出口はチップを貫通するように配置された少なくとも1個のチャネルを介して相互に連通している。チャネルは一般に例えば流体をマルチウェル容器のウェルから除去する際に流体中の細胞及び他の材料がチャネルを閉塞しないように、一般に50μm以上の横断面寸法を含む。チップをウェル内又はウェルの開口の近傍に配置したときに、チップの外側表面とウェルの側面及び/又はその開口の間に配置されたスペースは1mm以下の距離を含む。場合により、チップは例えば正n角形、不規則n角形、三角形、正方形、長方形、台形、円形、楕円形等から選択される横断面形状を含む。所定態様では、少なくとも1個の弁(例えば電磁弁等)がチップに流体連通している。弁は一般に負圧源からの圧流を制御するように構成されている。所定態様では、例えば弁は圧流を制御するコントローラーに作動的に接続されている。
【0012】
所定態様では、流体除去ヘッドはチップを含む。所定態様では、流体除去ヘッドは少なくとも1個の本体構造を含む。場合により、例えばチップがシステムの作動中にマルチウェル容器と偶発的に接触した場合にシステムコンポーネント及びマルチウェル容器の損傷を最小限にするために、弾性カップリングがチップを本体構造に連結している。所定態様では、例えば流体をマルチウェル容器の複数のウェルから実質的に同時に除去できるように、本体構造は少なくとも1個のマニホールドを含む。所定態様では、例えば2個のチップを通して流体をウェルから除去できるように、流体除去ヘッドはマルチウェル容器の単一ウェル内に同時に嵌合するように離間された少なくとも2個のチップを含む。一般に、流体除去ヘッドはマルチウェル容器に配置された少なくとも2個のウェル間の距離に実質的に対応する距離で離間された少なくとも2個のチップを含む。例えば、チップは場合により6、12、24、48、96、192、384、768、1536、又はそれ以上のウェルを含むマルチウェル容器から流体を除去するように構成されている。所定態様では、例えば除去した流体がキャビティから出口を通ってチップに逆流しないように、チップは流体除去ヘッド本体構造のキャビティ内に0.1mm以上延びている。場合により、流体除去ヘッドは流体を複数のマルチウェル容器から実質的に同時に除去するように構成されている。
【0013】
一般に、少なくとも1本のチューブが負圧源を出口に作動的に接続している。所定態様では、例えば負圧源が作動的に接続された複数のチューブに負圧を印加できるように、負圧源は少なくとも1個のマニホールドを含む。負圧源は一般に各入口に少なくとも毎分0.1立方フィートの流速で少なくとも28.5インチHgの第1の負圧を印加するように構成されている。更に、負圧源は一般に各入口の第1の負圧の流速の少なくとも5倍の流速で第2の負圧を各入口に印加するように構成されている。
【0014】
本発明のマルチウェル容器処理システムは更に場合により1個以上の他のコンポーネントを含む。所定態様では、例えばシステムはチップに作動的に接続された少なくとも1個のトラップを含む。トラップは一般にマルチウェル容器のウェルから除去された廃棄流体をトラップするように構成されている。所定態様では、システムはマルチウェル容器処理システムのコンポーネント間及び/又はマルチウェル容器処理システムと別の位置間でマルチウェル容器を把持及び移送するように構成された少なくとも1個のロボット把持コンポーネントを含む。場合により、システムは1個以上のマルチウェル容器を保存するように構成された少なくとも1個のマルチウェル容器保存コンポーネントを含む。所定態様では、システムは1個以上のマルチウェル容器をインキュベートするように構成された少なくとも1個のインキュベーションコンポーネントを含む。所定態様では、システムは1個以上のマルチウェル容器に配置された1個以上のウェルで発生された検出可能なシグナルを検出するように構成された少なくとも1個の検出コンポーネントを含む。所定態様では、システムは1個以上のマルチウェル容器をチップに対して位置決めするように構成された少なくとも1個の位置決めコンポーネントを含む。場合により、システムはチップ及び/又は少なくとも1個の他のシステムコンポーネントを相互に移送するように構成された少なくとも1個の移送コンポーネントを含む。所定態様では、システムはチップ及び/又は少なくとも1個の他のシステムコンポーネントを浄化するように構成された少なくとも1個の浄化コンポーネントを含む。
【0015】
更に例証すると、本発明の所定態様ではシステムは1個以上のマルチウェル容器の1個以上のウェルに1種以上の流体を分配するように構成された少なくとも1個の分配コンポーネントを含む。これらの態様では、分配コンポーネントは一般にマルチウェル容器をディスペンサーの近傍に配置したときに1個以上のマルチウェル容器に配置された1個以上のウェルと整列する少なくとも1個のディスペンサーを含む。ディスペンサーは一般に1種以上の流体をウェルに分配するように構成されている。所定態様では、例えば流体をディスペンサーから分配する際に細胞の破壊を最小限にするために流体がウェルの底部に接着した細胞と直接接触せずにウェルの側面と接触するように、ディスペンサーはウェルの鉛直軸に対して傾斜している。これらの態様の一部では、分配コンポーネントは流体を複数のマルチウェル容器に実質的に同時に分配するように構成されている。
【0016】
更に別の側面では、本発明はマルチウェル容器のウェルから流体を除去する方法に関する。本方法は、a)少なくとも1個の入口と少なくとも1個の出口を備える少なくとも1個のチップを提供する段階を含み、前記入口は前記出口と連通しており、前記チップは、チップをウェル内又はウェルの開口の近傍に配置したときにチップとウェルの側面及び/又はその開口の間に配置されたスペースに通気開口を形成するようにウェルの横断面寸法よりも小さい横断面寸法をもつ。本方法は更に、b)第1の負圧をチップに印加しながら、流体を負圧によりウェルから除去する速度よりも速い速度でチップをウェル内の流体面よりも下位の第1の位置まで下降させるか、又はチップを第1の位置まで下降させた後に第1の負圧をチップに印加する段階を含む。所定態様では、第1の負圧は毎分0.1立方フィート以上の流速を入口に含む。本方法は更に、c)ウェル内の残留流体面よりも上位のウェル内又はウェルの開口の近傍の第2の位置までチップを上昇させる段階を含む。更に、本方法はd)第1の負圧よりも大きい第2の負圧をチップに印加し、通気開口を通して空気を吸引することにより、チップとウェルの側面から粘着性流体を除去する段階を含む。所定態様では、第2の負圧は毎分0.5立方フィート以上の流速を入口に含む。場合により、第2の負圧は入口の第1の負圧の流速の少なくとも5倍の流速を入口に含む。場合により、本方法はマルチウェル容器の少なくとも1個の他のウェルでb)−d)を反復する段階を含む。所定態様では、本方法は少なくとも1個の付加流体(例えば洗浄用溶剤等)をウェルに分配する段階を含む。これらの態様では、第1のウェルに分配される付加流体による他の材料の擾乱を最小限にするために、付加流体は場合によりウェルの底面又はウェルに配置された他の材料と接触する前にウェルの側面と接触する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(I.定義)
本発明を詳細に記載する前に、本発明は特定態様に限定されないことを理解すべきである。また、本明細書で使用する用語は特定態様のみの説明を目的としており、限定的ではないことも理解すべきである。単位、指数、及び記号は特に指定しない限り、国際単位系(SI)により提唱されている形式で表記する。数値範囲は範囲を定義する数値の両端を含む。更に、特に定義しない限り、本明細書で使用する全科学技術用語は本発明が属する分野の当業者に通常理解されている通りの意味をもつ。以下に定義する用語とその文法的変形は明細書全体を参照することにより更に完全に定義される。
【0018】
「底部」なる用語は典型的な指定又は所期操作用途に配置した場合の装置もしくはシステム、又は装置もしくはシステムコンポーネントの最低点、レベル、表面又は部分を意味する。
【0019】
例えば印加圧力下で例えば入口からチップを通って出口まで流体を移送できるときに流体除去ヘッドチップ入口はチップの出口と「連通」している。
【0020】
装置又はシステムのエレメント又はコンポーネントに関して「対応する」なる用語は相互に共同機能するように構成されたエレメント又はコンポーネントを意味する。所定態様では、例えば、流体除去ヘッドは流体除去ヘッドのチップを通って流体をウェルから同時に除去できるように、マルチウェル容器に配置されたウェル間の距離に対応する距離で相互に離間された複数のチップを含む。
【0021】
入口を含むチップの底端部がウェルの開口を含む面と接触しているか又はチップとウェルの開口(例えば開口の縁部)の間に通気開口を形成できるような距離だけ前記面の上位にあるときに、チップはマルチウェル容器のウェルの「開口の近傍」に配置されている。
【0022】
「頂部」なる用語は対象保存モジュールの位置決め、対象の保存及び/又は同等操作等の典型的な指定又は所期操作用途に配置した場合の装置もしくはシステム、又は装置もしくはシステムコンポーネントの最高点、レベル、表面又は部分を意味する。
(II.流体除去ヘッド)
【0023】
以下、数種の特定態様について本発明を記載するが、以下の記載は本発明の例証であり、本発明を限定するものではない。特許請求の範囲に定義する本発明の範囲から逸脱することなく、当業者は本明細書に記載する本発明の態様に各種変形を加えることができる。また、分かり易くするために、所定の類似コンポーネントには各図面で類似参照文字及び/又は数字を付した。
【0024】
全般に、本発明の流体除去ヘッドは流体又は他の材料をマルチウェル容器のウェルから確実に除去することが必要なほぼ任意時点で使用することができる。これらの装置はウェル間の交差汚染を含む既存装置の問題の多くを回避する。粘着性流体は一般に流体を後続組のウェルから除去する前にチップから除去されるので、流体除去ヘッドのチップを洗浄する前にマルチウェル容器の多数のウェルから流体を除去することができる。このため、特に大半の既存装置は各サイクル中に多数回洗浄するが、既存装置で達成可能なサイクル時間に比較してマルチウェル容器から流体を除去するためのサイクル時間が著しく短くなる。
【0025】
まず図1A及びBは本発明の流体除去ヘッドの態様の各図を模式的に示す。より具体的には、図1Aは本発明の1態様による流体除去ヘッド100の底部斜視図を模式的に示し、図1Bは流体除去ヘッド100の底部斜視図からの垂直断面図を模式的に示す。図面に示すように、流体除去ヘッド100はチップ112を含み、各チップは出口104に連通する入口102を含む。図例の態様では、各入口102は別々の出口104に連通している。場合により、本発明の流体除去ヘッドは複数の入口が同一出口に連通するように作製される。即ち、流体除去ヘッドは場合により1個以上のマニホールドを含むように作製される。流体除去ヘッド100のチップ112は出口104が(例えば弾性チューブ又は他の導管を介して)キャビティ103及びポート105を介して1個以上の負圧源(図示せず)に作動的に接続されているときにマルチウェル容器に配置されたウェルから流体を除去するように構成されている。同様に図面に示すように、チップ112の入口102に吸引された流体がポート105に誘導されるように、チップ112、キャビティ103、及びポート105は共同してマニホールドを形成する。更に、例えば除去した流体がキャビティ103から出口104を通ってチップ112に逆流しないように、チップ112は本体構造114のキャビティ103内に延びている。これらの態様では、チップは一般にこれらのキャビティ内に約0.1mm以上、より一般には約1mm以上(例えば約2mm、約3mm、約4mm、約5mm、又はそれ以上)延びている。
【0026】
更に図1A及びBに示すように、流体除去ヘッド100は更に流体除去ヘッド100を別の装置又はシステムコンポーネント(例えばマルチウェル容器、流体除去ヘッド洗浄コンポーネント等に対して流体除去ヘッド100を移動させる移送アーム等)に装着するためにねじ、ボルト、リベット、又は他の締着装置を挿入する孔108を含む取付用ブラケット106を含む。流体除去ヘッドを他の装置又はシステムコンポーネントに装着する他の方法(例えば付着、接着、溶接、クランプ等)も本明細書に記載するか、又は当分野で公知である。所定態様では、流体除去ヘッドは他のシステムコンポーネントと一体的に作製される。システムについては以下に詳述する。
【0027】
図1A及びBに模式的に示す態様では、流体除去ヘッド100の本体構造114から流体除去ヘッド100のチップ112が延びている。チップ112は一般にチップを貫通するように配置されたチャネル又は他のキャビティをもつ真空チップ等である。場合により、チップは流体除去ヘッドの一体的コンポーネントとして(例えば単一成形部材等として)作製されるか、又は流体除去ヘッドの別個のコンポーネントとして作製され、装置組立中に別に作製された流体除去ヘッドの本体構造に配置される。作製技術については以下に詳述する。図面では、チップ112を別個コンポーネントとして模式的に示す。
【0028】
所定態様では、例えばウェル間及び容器間の変動を考慮すると共に、流体除去工程中にチップ及び/又はマルチウェル容器が接触した場合に損傷しないようにするために、チップは選択された曲げ又は引張応力をもつ弾性カップリングにより本体構造と弾性連結されている。ほぼ任意型の弾性カップリングをこれらの態様で使用するように応用することができる。弾性カップリングの例としてはばね、エラストマー材料及び他の圧縮性固体及び/又は流体が挙げられる。更に例証すると、図1Cはチップ112が弾性カップリング118により本体構造114と弾性連結されている流体除去ヘッド100のセグメントの正面透過図を模式的に示す。所定態様では、弾性カップリング118は流体除去ヘッド100に含まれない。これらの態様では、例えば、弾性は場合により流体除去ヘッド100を装着する他の装置又はシステムコンポーネント及び/又はマルチウェル容器位置決めコンポーネントに組込むように設計される。
【0029】
更に図1D及びEに示すように、チップ112をウェル127内又はその開口の近傍に配置したときにチップ112の外側表面とマルチウェル容器129のウェル127の側面の間に配置されたスペースには通気開口125が形成される。作動中に、ウェル127に配置された残留流体123の表面よりも上位に配置されたチップ112の出口104に負圧源が印加されると、空気が通気開口125を通って入口102に流入することにより、粘着性流体がチップ112の外側表面とウェル127の側面から除去される。こうして処理中のマルチウェル容器のウェル間の交差汚染を防ぐことができる。チップは一般に通気開口を形成するスペースが約1mm以下(例えば約0.9mm、約0.8mm、約0.7mm、約0.6mm、約0.5mm、約0.4mm、約0.3mm、約0.2mm、約0.1mm等)の距離を含むように設計される。
【0030】
別の典型的な流体除去ヘッド態様を図1F−Hに模式的に示す。図面に示すように、流体除去ヘッド131はチップホルダー135とフィッティング又はポートマウント137を含む本体構造133を含む。チップホルダー135とフィッティング又はポートマウント137は一般に孔139に挿通又は挿入されるねじ、ボルト、リベット等の締着装置(図示せず)を使用して相互に連結される。場合により、チップホルダーとポートマウントは別の締着メカニズム又は装置(例えば接着、溶接、クランプ等)を使用して相互に連結される。
【0031】
図1Gに示すように、流体除去ヘッド131のチップホルダー135はチップ143がその中に(例えば約0.1mm以上)延びているキャビティ141の一部を含む。上述したように、チップは一般に真空又は他の負圧源を切断してから流体がチップを通って逆流しないように流体除去ヘッドキャビティ内に延びている。ガスケット145(oリングとして示す)が一般にチップホルダー135とポートマウント137の間に配置され、(例えば流体が漏れないようにする等の目的で)本体構造133のこれらのコンポーネント間に面シールを形成している。更に図面に示すように、チップホルダー135は流体除去ヘッド131を別の装置又はシステムコンポーネントに装着するためにねじ、ボルト、リベット、又は他の締着装置を挿入する孔149を含む取付用ブラケット147を含む。
【0032】
図1Hは流体除去ヘッド131のポートマウント137の頂部斜視図を模式的に示す。図面に示すように、ポートマウント137はチャネル153が配置されたポート151を含む。ポート151は一般に(例えば弾性チューブ又は他の導管を介して)1個以上の負圧源(図示せず)に作動的に接続されている。更に図1Gに示すように、キャビティ141の一部を形成する表面155は流体が作動中に除去されるときに流体がポート151のチャネル153に向かって流れるように傾斜又はテーパー状に形成されている。
【0033】
所定態様では、チップは合金又は他の金属物質(例えばステンレス鋼等)から作製され、チップホルダーはポリマー物質から作製されている。所定態様では、例えば、膠剤や他の接着剤は(例えば腐食性薬品等と接触するにつれて)経時的に劣化する恐れがあるが、このような接着剤を使用せずにチップ又はピンをチップホルダーにプレス嵌めする。これらの態様では、選択されたポリマーチップホルダーは一般にチップよりも高弾性を「付与する」か又は高弾性であるので、チップは一般に曲げたり変形せずにチップホルダーにプレス嵌めすることができる。チップが変形(例えば屈曲部付近の内径等が変化)すると、流体除去ヘッドを通過する流速が変化し、ひいては所与マルチウェル容器のウェルからの流体の除去が不均一になる可能性がある。
【0034】
ポートマウントも場合により合金又は金属物質から作製される。所定態様では、例えば、ポートはポートマウントに溶接される。これらの態様では、溶接部は一般にポートとポートマウントの間に裂け目のない接合を形成するように内側シームに配置される。裂け目はマルチウェル容器から除去された流体の一部を集積する傾向がある。これらの集積した流体は汚染増殖部位となる可能性がある。従って、本明細書に記載する装置の流体流路に沿う(例えばキャビティ、チャネル等の)他の表面領域は一般に裂け目や他の欠陥を避けるように実質的に平滑に作製される。装置作製については以下に詳述する。
【0035】
チップは場合により任意ウェル形状に嵌合するように作製される。例えば、流体除去ヘッドのチップは場合により例えば正n角形、不規則n角形、三角形、正方形、長方形、台形、円形、楕円形等から選択される横断面形状を含む。チップの入口と出口は一般にチップを貫通するように配置された少なくとも1個のチャネルを介して相互に連通している。これらのチャネルの横断面寸法は一般にチップを挿入するウェルの寸法に依存する。所定態様では、チャネルは約50μm以上(例えば約100μm、約500μm、約1mm等)の横断面寸法を含む。チップチャネルも同様に正n角形、不規則n角形、三角形、正方形、長方形、台形、円形、楕円形等のほぼ任意横断面形状を含むことができる。更に、チップは場合により使用する特定マルチウェル容器(例えば標準マイクロタイタープレート、ディープウェルプレート、反応ブロック等)のウェルの深さに応じてウェル内に下降させると、マルチウェル容器ウェル内に任意距離だけ侵入するように設計される。他のチップ長も場合により使用されるが、チップは一般に例えば実質的に全流体をウェルから除去できるように、ウェルに完全に挿入すると、所与マルチウェル容器のウェルの底部から約0.001mm以上以内まで延びるように設計される。
【0036】
流体除去ヘッドにおけるチップの配置は各種態様を含む。所定態様では、流体除去ヘッドは例えば単一チップしかもたない装置で実施した場合に比較して流体除去工程のスループットを増加させるために、複数のチップを含む。図1Aでは、例えば、流体除去ヘッド100は例えば1536ウェルプレートの32ウェル行の全ウェルから流体を同時に除去するように相互に所定間隔で離間された32個のチップ112を含む。
【0037】
1例証態様では、この特定態様の流体除去ヘッドを使用して1536ウェルプレートから流体を除去するには、チップが第1行の全ウェルの内容物と接触するように流体除去ヘッドを配置する。真空を出口に印加することにより、流体を入口に吸引し、選択容量の流体をウェルから除去する。次にウェル内に流体が残留している場合にはその流体よりも上位のウェル内又はウェルの開口の近傍の別の位置までチップを上昇させる。出口に再び真空を印加し、通気開口を通って空気を吸引し、チップの外側表面とウェルの側面に接着した流体を除去する。粘着性流体を除去するために印加される真空は一般に選択容量の流体をウェルから除去するために印加される真空よりも高流速とする。次に、チップが第2行のウェルの全ウェルの内容物と接触するように流体除去ヘッド又はプレートを移動させる。再び真空を出口に印加し、選択容量の流体を第2行のウェルから除去した後、粘着性流体を別の印加真空下で除去できるようにチップを上昇させる。流体が全所望ウェルから除去されるまでこの工程を必要に応じて繰返す。この工程では選択容量の流体を連続行のウェルから除去する各段階の前に粘着性流体をチップから除去するので、ウェルの交差汚染が著しく減るか又はなくなる。
【0038】
流体除去ヘッドのチップは場合により1536ウェル容器以外のウェル数をもつ容器(例えば6、12、24、48、96、192、384、768、又はそれ以上のウェル容器)から流体を除去するように構成される。更に、これらのプレートの任意数のウェル(例えば所与行又は列の全ウェル、複数行又は列のウェル、特定プレートの全ウェル等)から同時に流体を除去するように構成することもできる。更に例証すると、流体除去ヘッドは一般にマルチウェル容器に配置された少なくとも2個のウェル間の距離に実質的に対応する距離で離間された少なくとも2個のチップを含む。例えば、流体除去ヘッドは一般に例えば夫々24、96、384、又は1536ウェルマイクロウェルプレートの隣接ウェル間の中心間距離に対応するように、チップの入口の少なくとも2個の中心が18mm、9mm、4.5mm、2.25mm、又はそれ以下の間隔で配置された複数のチップを含む。上述したように、他の低密度又は高密度構成も場合により使用される。例えば、チップの入口は1行又は1列のウェルで1個おき、又は2個おき、又は3個おきのウェル間の中心間距離に対応するように離間させることができる。更に、流体除去ヘッドは場合により複数のチップを含み、その少なくともサブセットはマルチウェル容器に配置された少なくとも1行のウェルの少なくとも1個のサブセットのフットプリントに実質的に対応するフットプリントを含む。例えば1536ウェルプレートと併用する流体除去ヘッドは1536ウェル容器の32ウェル行における1個おきのウェル間の間隔に等しい中心間距離をもつ16個の入口を含むことができ、あるいは上記のように、1536ウェル容器の32ウェル行における各ウェル間の間隔に等しい中心間距離をもつ32個の入口を含むことができる。これらの態様では、入口ラインの隣接入口間に配置されるスペーシング領域数は一般にマルチウェル容器に配置された対応するウェル行における領域ウェル間に配置されたスペーシング領域数の倍数である。所定態様では、流体除去ヘッドは複数のマルチウェル容器から実質的に同時に流体を除去するように構成される。例えば、流体除去ヘッドのチップは場合により例えば容器が相互に隣接して配置される場合には、複数のマルチウェル容器に配置されたウェルの少なくとも1サブセットのフットプリントに対応するフットプリントを含む。場合により、流体除去ヘッドのチップは複数のチップを所与マルチウェル容器の選択ウェルに同時に配置できるように離間することができる。例えば所定態様では、例えば384ウェル容器の16ウェル行の各ウェルにチップを挿入することにより384ウェル容器から流体を除去するため、96ウェル容器の8ウェル行の各ウェルにチップを挿入することにより96ウェル容器から流体を除去するため等の目的で、1536ウェル容器の32ウェル行の各ウェルから流体を同時に除去するように入口を離間した32個のチップをもつ流体除去ヘッドを使用することもできる。こうすると、単一流体除去ヘッドを多重マルチウェル容器フォーマットで使用することが可能になり、例えば各種流体除去ヘッドを交換するために必要な保守時間を短縮することにより、2種以上のマルチウェル容器フォーマットを利用する用途のスループットを更に増加することができる。
【0039】
流体除去ヘッドの外部寸法は場合により変化する。所定態様では、例えば、流体除去ヘッドの少なくとも一部(例えばチップを含む表面)はマルチウェル容器又は前記容器の一部のフットプリントに実質的に対応するフットプリントをもつ。場合により、流体除去ヘッドは複数のマルチウェル容器又は前記容器全体の選択部分により形成されるフットプリントに実質的に対応するフットプリントを含む。
【0040】
流体除去ヘッドコンポーネントと本明細書に記載する装置及びシステムの他のコンポーネントは一般に非反応性、耐久性、費用等の特性に従って選択される材料又は基材から作製される。所定態様では、例えば、流体除去ヘッドコンポーネントはポリエーテルエーテルケトン(PEEK(登録商標))、ポリテトラフルオロエチレン(TEFLON(登録商標))、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等の各種ポリマー材料から作製される。ポリマー部分は一般に経済的に作製できるので、流体除去ヘッド又はコンポーネントを使い捨てにできる(即ちマルチウェル容器保存コンポーネント、洗浄コンポーネント等の他の装置又はシステムコンポーネントを交換せずに流体除去ヘッド又はンポーネントを交換できる)。流体除去ヘッド又はコンポーネント部材は場合により例えばガラス、金属(例えばステンレス鋼、陽極酸化アルミニウム等)、シリコン等の他の材料からも作製される。例えば、流体除去ヘッドは場合により永久的又は取り外し可能に結合又は嵌合した材料の組合わせ(例えばポリマー又はガラス頂部本体構造とステンレス鋼チップ等)から組立てられる。
【0041】
流体除去ヘッド又はコンポーネントは場合により例えば射出成形、注型成形、マシニング、エンボシング、押出、エッチング、又は他の技術等の各種作製技術又はこのような技術の組合わせにより形成される。これら及び他の適切な作製技術は一般に当分野で公知であり、例えばRosato,Injection Molding Handbook,3rd Ed.,Kluwer Academic Publishers(2000),Fundamentals of Injection Molding,W.J.T.Associates(2000),Whelan,Injection Molding of Thermoplastics Materials,Vol.2,Chapman & Hall(1991),Fisher,Extrusion of Plastics,Halsted Press(1976)、及びChung,Extrusion of Polymers:Theory and Practice,Hanser−Gardner Publications(2000)に記載されている。流体除去ヘッド又はコンポーネント部材作製後、ヘッド又はそのコンポーネント(例えば本体構造、チップ、キャビティ等)を場合により例えば親水性コーティング、疎水性コーティング等により表面をコーティングすることにより更に処理する。
(III.マルチウェル容器処理システム)
【0042】
本発明は更に例えば高スループットスクリーニング又は洗浄手順の一部としてマイクロウェル容器の選択ウェルから流体を迅速に除去することができるマルチウェル容器処理システムを提供する。これらのシステムは一般に高度に自動化され、本明細書に記載するような少なくとも1個の流体除去ヘッドに加え、少なくとも1個の負圧源(例えば真空ポンプ、遠心送風機等)を含む少なくとも1個の流体除去コンポーネントを含む。負圧源は一般にマルチウェル容器からの流体除去を実施するために負圧源により流体除去ヘッドのチップの入口に負圧を印加できるように、チューブ又は他の導管を介して流体除去ヘッドに作動的に接続されている。本発明のシステムで場合により使用される流体除去ヘッドについては上記に詳述した。マルチウェル容器処理システムは更に一般に位置決めコンポーネント、分配コンポーネント、又は位置決めコンポーネントと分配コンポーネントの両者を含む。位置決めコンポーネントは1個以上のマルチウェル容器を流体除去コンポーネントに対して位置決めするように構成されており、分配コンポーネントは材料(例えば流体材料等)をマルチウェル容器の選択ウェルに分配するように構成されている。例えば、分配コンポーネントは一般にマルチウェル容器をディスペンサーの近傍に配置したときに1個以上のマルチウェル容器に配置されたウェルと整列する少なくとも1個のディスペンサーを含む。更に一般にコントローラーが1個以上のシステムコンポーネントに作動的に接続されている。他の各種コンポーネントも場合により本発明のシステムに含まれる。これらのコンポーネントの所定のものについては以下に詳述する。
【0043】
本発明のシステムを更に例証するために、図2Aはマルチウェル容器処理システムの1態様の斜視図を模式的に示す。図面に示すように、マルチウェル容器処理システム200はY及びZ軸移送コンポーネント202に取付られた流体除去ヘッド100を含む。移送コンポーネント202は例えば流体除去の目的でマルチウェル容器にアクセスするために、流体除去ヘッド100及び/又は他のコンポーネント(例えば分配コンポーネント)(以下に詳述)をZ軸に沿って移送するように構成されている。移送コンポーネント202は更に例えばマルチウェル容器で流体除去ヘッド100と分配コンポーネントを移動させるために、Y軸に沿ってこれらのコンポーネントを移送するように構成されている。より具体的には、駆動メカニズム238がZ軸移送を実施し、駆動メカニズム240がこれらのコンポーネントのY軸移動を実施する。駆動メカニズム238及び240は一般にサーボモーター、ステッパーモーター等である。図2Aには示さないが、チューブ又は他の導管が流体除去ヘッド100を負圧源に作動的に接続する。これらのシステムでは本明細書に記載するように流体除去を実施するためにほぼ任意負圧源が場合により利用される。所定態様では、例えば、負圧源としては吸引力を生成することができるポンプ(例えば真空又は遠心送風機ポンプ)が挙げられる。この種のポンプは多数のものが当分野で公知であり、各種業者から市販されている。負圧源は一般に各種速度で負圧を印加するように構成されている(例えばコントローラーで制御)。所定態様では、負圧源はマルチウェル容器のウェルから選択容量の流体を除去するように、各チップ入口に少なくとも毎分0.1立方フィートの流速で少なくとも28.5インチHgの第1の負圧を印加する。これらの態様では、負圧源は更に一般に例えば本明細書に記載するようにチップ表面とウェルの側面から粘着性流体を除去するために、各チップ入口の第1の負圧の流速の少なくとも5倍の流速で第2の負圧を各チップ入口に印加するように構成されている。負圧源からの圧流を制御するように構成された少なくとも1個の弁(例えば電磁弁等)が一般に流体除去ヘッド100及び/又はチューブに作動的に接続されている。更に、後期廃棄のためにマルチウェル容器から除去された材料(例えば廃棄材料等)をトラップ及び保存するために、1個以上のトラップ(例えば流体トラップ、容器、フィルター等)が一般に流体除去ヘッド100と負圧源の間の流体ラインに配置されている。
【0044】
更に図面に示すように、マルチウェル容器処理システム200は更に移送コンポーネント202に取付られた分配コンポーネント204及び206を含む。移送コンポーネント202は更に分配コンポーネント204及び206をY及びZ軸に沿って移送又は移動させる。分配コンポーネント204及び206は分配ヘッド208及び210を含む。図示しないが、チューブ又は他の流体導管が一般に電磁弁212及び214を夫々マニホールド216及び218に流体接続している。本発明の分配コンポーネントは場合により蠕動ポンプ、シリンジポンプ、ボトル弁等を含む。マニホールド216及び218は更に一般にチューブ又は他の流体導管(図示せず)を介して1個以上の容器(例えば流体容器220及び222)と流体連通している。流体は一般にポンプ等の作動的に接続された流体誘導コンポーネントによりこれらの容器から分配ヘッド208及び210に移送される。
【0045】
図2B及びCは図2Aのマルチウェル容器処理システム200の流体除去ヘッド100と分配ヘッド208の夫々頂部及び底部詳細斜視図を模式的に示す。図示態様では、ディスペンサー又は分配チップ224が鉛直又はZ軸に対して所定角度で分配ヘッド208に配置されている。作動中に流体をマルチウェル容器から除去したら、場合により分配ヘッド208を使用してプレートの選択ウェルに例えば洗浄用流体、試薬等を充填する。分配チップ224は流体の分配時に選択ウェルの底部に配置された非除去材料(例えば細胞等)が擾乱されないように、流体を選択ウェルの側面に分配するように傾斜している。場合により、分配チップは例えばZ軸に実質的に平行に配置される。これを例えば分配ヘッド210に示す。所定態様では、分配コンポーネントは複数のマルチウェル容器に材料を実質的に同時に分配するように構成されている。場合により本発明のシステムで使用するように応用される多重マルチウェル容器に流体を分配するための分配コンポーネントは例えば参考資料として本明細書に組込む国際公開第WO02/076830号(発明の名称“MASSIVELY PARALLEL FLUID DISPENSING SYSTEMS AND METHODS”出願日2002年3月27日、発明者Downsら)に詳述されている。
【0046】
更に図2Aに示すように、マルチウェル容器処理システム200は材料をマルチウェル容器の選択ウェルから除去及び/又は前記ウェルに分配できるように、流体除去ヘッド100と分配ヘッド208及び210に対してマルチウェル容器を正確に位置決めする位置決めコンポーネント226を含む。位置決めコンポーネント226はマルチウェル容器に配置されたウェルを流体除去ヘッド100のチップ入口と分配ヘッド208及び210の分配チップに整列させるように、位置決めコンポーネント226をX軸に沿って移動(例えばスライド)させるX軸移送コンポーネント228に取付られている。位置決めコンポーネント226及び/又は他のコンポーネントを移動させるためにサーボモーター、ステッパーモーター等の駆動メカニズム(図示せず)が一般にX軸移送コンポーネント228に作動的に接続されている。一般に、本発明の位置決めコンポーネントは例えばマルチウェル容器とシステムコンポーネントの適正な整列を助長するために、整列ピン及び/又は孔、ネスティングウェル等の適切な取付/整列構造エレメントを含む。本発明のシステムで使用することができる位置決めコンポーネントに関する更に詳細は例えば参考資料として本明細書に組込む国際公開第WO01/96880号(発明の名称“AUTOMATED PRECISION OBJECT HOLDER”出願日2001年6月15日、発明者Mainquistら)に記載されている。
【0047】
マルチウェル容器処理システム200は流体除去ヘッド100と分配ヘッド208及び210の分配チップを洗浄又は他の方法で浄化するように構成された浄化又は洗浄コンポーネント230を更に含む。洗浄コンポーネント230もX軸移送コンポーネント228(例えばマルチウェル容器移動コンポーネント等)に取付られている。位置決めコンポーネント226の移動に加え、移送コンポーネント228は流体除去ヘッド100と分配ヘッド208及び210の分配チップを洗浄コンポーネント230のコンポーネントと整列させるために、洗浄コンポーネント230もX軸に沿って移動(例えばスライド)させる。より具体的には、洗浄コンポーネント230は例えば位置決めコンポーネント226に配置されたマルチウェル容器から材料を除去した後に洗浄の目的で移送コンポーネント202が流体除去ヘッド100を下降させる再循環浴又はトラフ232を含む。更に、洗浄コンポーネント230は例えば分配チップの外側表面に接着した流体又は他の材料を除去するために、移送コンポーネント202により分配ヘッド208及び210の分配チップを夫々降下させる真空ポート234及び236も含む。
【0048】
図3は本発明のマルチウェル容器処理システムの別の代表的態様を示す。図面に示すように、マルチウェル容器処理システム300はY及びZ軸移送コンポーネント308に取付られた流体除去ヘッド100を含む。図3には示さないが、チューブ又は他の導管がマニホールド302を介して流体除去ヘッド100を負圧源に作動的に接続している。所定態様では、例えば、単一チューブが負圧源をマニホールド302に接続し、複数のチューブがマニホールド302を流体除去ヘッド100の出口に接続している。マニホールドは場合により流体除去ヘッドと別個のコンポーネント(例えばマニホールド302)であるか、又は流体除去ヘッドと一体的に作製される。チューブ又は他の導管は負圧源からの真空流を制限しないように十分に大きい横断面寸法をもつ。負圧源からの圧流を制御するように構成された少なくとも1個の弁(例えば電磁弁等)が一般に流体除去ヘッド100、マニホールド302、及び/又はチューブに作動的に接続されている。マルチウェル容器処理システム300の他の側面は所定の点を除き、マルチウェル容器処理システム200について上記に記載したと同一又は同様である。例えば、分配ヘッド208及び210はいずれも分配コンポーネント204のコンポーネントとして含まれ、流体除去ヘッド100は分配コンポーネント206のコンポーネントとして含まれる。図2Aに模式的に示すシステムでは、流体除去ヘッド100は分配コンポーネント204のコンポーネントとして含まれる。更に、図2Aに示すマニホールド216及び218も場合によりマルチウェル容器処理システム300で使用するように応用される。更に、X軸移送コンポーネント306を移動させるためにX軸移送コンポーネント306に作動的に接続された駆動メカニズム304(例えばサーボモーター、ステッパーモーター等)も同様にX軸移送コンポーネント228を移動させるために一般にマルチウェル容器処理システム200に含まれる。
【0049】
本発明のシステムは場合により更に各種インキュベーションコンポーネント及び/又はマルチウェル容器保存コンポーネントを含む。所定態様では、例えば、システムはマルチウェル容器内の温度を保持又は制御するように構成されたインキュベーションコンポーネントを含む。例えば、多くの細胞アッセイ又は他の型のアッセイはインキュベーション段階を含み、これらのシステムを使用して実施することができる。場合により本発明のシステムと併用するように応用されるインキュベーション装置に関する更に詳細は例えば参考資料として本明細書に組込む国際公開第WO03/008103号(発明の名称“HIGH−THROUGHPUT INCUBATION DEVICES”公開日2003年1月30日、発明者Weselakら)に記載されている。所定態様では、本発明のマルチウェル容器処理システムは1個以上のマルチウェル容器を保存するように構成されたマルチウェル容器保存コンポーネントを含む。このような保存コンポーネントは一般にBeckman Coulter,Inc.(Fullerton,CA)等の各種業者から容易に入手可能な当分野で公知のマルチウェル容器収容箱又はカルーセルを含む。例えば、1態様では、本発明のマルチウェル容器処理システムはユーザーが洗浄又は他の処理対象の多数のマルチウェル容器をプレートの自動処理用システムの1個以上の保存コンポーネントにロードするスタンドアローンステーションを含む。これらの態様では、本発明のシステムは更に一般に例えばインキュベーション又は保存コンポーネントと位置決めコンポーネントの間でプレートを移動させる1個以上のロボットグリッパー装置を含む。本発明のシステムで使用するのに適切なロボットグリッパーについては以下に詳述するか、又は当分野で公知である。例えば、Clontech(Palo Alto,CA,USA)から市販されているTECAN(登録商標)ロボットを場合により本明細書に記載するシステムで使用するように応用する。
【0050】
所定態様では、本発明のシステムは更に例えばマルチウェル容器のウェルで発生された検出可能なシグナルを検出するように構成された少なくとも1個の検出コンポーネントを含む。場合によりこれらのシステムで使用される適切なシグナル検出器は例えば蛍光、燐光、放射能、質量、濃度、pH、電荷、吸光度、屈折率、発光、温度、磁力等を検出する。検出器は場合により例えば所与アッセイ段階の実施の上流及び/又は下流からの1又は複数のシグナルをモニターする。例えば、検出器は場合により所定位置で「リアルタイム」結果に対応する複数の光学シグナルをモニターする。検出器又はセンサーの例としては、光電子増倍管、CCDアレイ、光学センサー、温度センサー、圧力センサー、pHセンサー、導電率センサー、走査型検出器等が挙げられる。これら及び他の型のセンサーの各々は場合により本明細書に記載するシステムに容易に組込まれる。検出器は場合によりマルチウェル容器又は他のアッセイコンポーネントに対して移動し、あるいはマルチウェル容器又は他のアッセイコンポーネントは検出器に対して移動する。所定態様では、例えば、検出コンポーネントは本明細書に記載するシステムの位置決めコンポーネントに配置されたマルチウェル容器に対して検出コンポーネントを移動させる移送コンポーネントに連結されている。場合により、本発明のシステムは複数の検出器を含む。これらのシステムでは、このような検出器は一般に例えば検出器がマルチウェル容器又は他の容器とセンサー接続するようにマルチウェル容器又は他の容器又はこれらに隣接して配置される(即ち検出器は検出器の対象であるプレートもしくは容器又はその一部の性質、プレート又は容器の一部の内容物等を検出することができる)。
【0051】
検出器は場合により例えば検出器シグナル情報をアッセイ結果情報等に変換するためのシステムソフトウェアをもつコンピューターを含むか又はこれに作動的に接続されている。例えば、検出器は場合により別個のユニットとして存在するか、又は単一機器にコントローラーと一体的に組込まれる。これらの機能を単一ユニットに組込むと、システムコンポーネント間に情報を伝達するのに少数又は単一の通信ポートを使用することにより、これらの機器とコンピューターの接続が容易になる。コンピューターとコントローラーについては以下に詳述する。場合により本発明のシステムに含まれる検出コンポーネントは例えばその開示内容全体を全目的で参考資料として本明細書に組込むSkoogら,Principles of Instrumental Analysis,5th Ed.,Harcourt Brace College Publishers(1998)及びCurrell,Analytical Instrumentation:Performance Characteristics and Quality,John Wiley & Sons,Inc.(2000)に詳述されている。
【0052】
本発明のシステムは場合により更にマルチウェル容器処理システムのコンポーネント間及び/又はマルチウェル容器処理システムと他の位置(例えば他のワークステーション等)間でマルチウェル容器を把持及び移送するように構成された少なくとも1個のロボット把持コンポーネントを含む。所定態様では、例えば、システムは更に位置決めコンポーネント、インキュベーションコンポーネント、及び/又は検出コンポーネント間でマルチウェル容器を移動させる把持コンポーネントを含む。入手可能な各種ロボットエレメント(ロボットアーム、可動プラットフォーム等)をこれらのシステムと併用できるか又は併用するように改造することができ、ロボットエレメントは一般にその移動と他の機能を制御するコントローラーに作動的に接続されている。場合により本発明のシステムで使用するように応用されるロボット把持装置の例はいずれも例えば参考資料として本明細書に組込む米国特許第6,592,324号(発明の名称“GRIPPER MECHANISM”発行日2003年7月15日、発明者Downsら)及び国際公開第02/068157号(発明の名称“GRIPPING MECHANISMS,APPARATUS,AND METHODS,”公開日2002年9月6日、発明者Downsら)に詳述されている。
【0053】
本発明のマルチウェル容器処理システムは更に一般にコンポーネントの動作を制御するためにシステムの1個以上のコンポーネント(例えば電磁弁、ポンプ、移送コンポーネント、位置決めコンポーネント等)に作動的に接続されたコントローラーを含む。より具体的には、例えば流体除去ヘッドチップ入口に負圧源により印加される圧力、分配ヘッドから分配されるサンプル、試薬、洗浄用流体等の量、例えばマルチウェル容器を流体除去又は分配ヘッド等に対して位置決めする際の移送コンポーネントの移動を制御するために使用される別個又は一体的システムコンポーネントとして一般にコントローラーが含まれる。コントローラー及び/又は他のシステムコンポーネントは場合により予めプログラムされているか又はユーザーが入力した命令に従ってこれらの機器のオペレーションを命令し、これらの機器からデータ及び情報を受信し、この情報を解釈し、操作し、ユーザーに報告するように機能する適切にプログラムされたプロセッサー、コンピューター、デジタルデバイス、又は他の情報機器(例えば必要に応じてアナログ−デジタル又はデジタル−アナログ変換器を含む)に作動的に接続されている。
【0054】
任意コントローラー又はコンピューターは場合により多くの場合には陰極線管(「CRT」)ディスプレイ、フラットパネルディスプレイ(例えばアクティブマトリックス液晶ディスプレイ、液晶ディスプレイ等)等であるモニターを含む。コンピューター回路は多くの場合にはマイクロプロセッサー、メモリー、インターフェース回路等の多数の集積回路チップを含む箱に配置される。箱は更に場合によりハードディスクドライブ、フロッピーディスクドライブ、高容量リムーバブルドライブ(例えば書込み可能なCD−ROM)、及び他の一般的な周辺素子を含む。場合によりユーザーはキーボードやマウス等の入力装置から入力する。
【0055】
コンピューターは一般に1組のパラメーターフィールドへのユーザー入力形態(例えばGUI)又は予めプログラム(例えば各種特定オペレーションのために予めプログラム)された命令の形態でユーザー命令を受信するのに適したソフトウェアを含む。その後、ソフトウェアは所望オペレーションを実施するように1個以上のコントローラーのオペレーションを命令するため、例えば各種システムコンポーネントの移動速度又は方式を変動又は選択し、ロボット把持装置、流体除去ヘッド、流体分配ヘッド、又は1個以上のマルチウェル容器もしくは他の容器等の移動を指令するために適した言語にこれらの命令を変換する。コンピューターはその後、例えばシステム内に含まれるセンサー/検出器からデータを受信し、データを解釈し、ユーザーに理解されるフォーマットでデータを提供するか、又は例えばインキュベーション温度、検出可能なシグナル強度等をモニターする場合には、プログラミングに従って、このデータを使用して更にコントローラー命令を開始する。より具体的には、本明細書に記載するシステムのオペレーションを制御するために使用されるソフトウェアは一般に例えば流体除去ヘッドのチップをマルチウェル容器のウェル内の第1の位置まで下降させるように移送コンポーネントに指令し、チップを下降させるにつれて及び/又はチップがウェル内の第1の位置に到達したら第1の負圧をチップに印加するように負圧源に指令する論理命令を含む。更に、このソフトウェアは更に一般に例えば選択容量の流体がウェルから除去された後にウェル内又はウェルの開口の近傍の第2の位置までチップを上昇させるように移送コンポーネントに指令し、粘着性流体をチップとウェルの側面から除去するように通気開口を通って空気を吸引するように、第1の負圧よりも大きい第2の負圧をチップに印加するように負圧源に指令する論理命令を含む。
【0056】
コンピューターは例えばPC(Intel x86又はPentiumチップコンパティブルDOS(登録商標),OS2(登録商標),WINDOWS(登録商標),WINDOWS NT(登録商標),WINDOWS95(登録商標),WINDOWS98(登録商標),WINDOWS2000(登録商標),WINDOWS XP(登録商標),LINUX系マシン、MACINTOSH(登録商標),Power PC、又はUNIX系(例えばSUN(登録商標)ワークステーション)マシン)又は当業者に公知の他の市販コンピューターとすることができる。ワードプロセシングソフトウェア(例えばMicrosoft Word(登録商標)又はCorel WordPerfect(登録商標))及びデータベースソフトウェア(例えばMicrosoft Excel(登録商標),Corel Quattro Pro(登録商標)等のスプレッドシートソフトウェア、又はMicrosoft Access(登録商標)もしくはParadox(登録商標)等のデータベースプログラム)等の標準デスクトップアプリケーションを本発明に応用することができる。例えばマルチウェル容器の選択ウェルからの流体除去を実施するためのソフトウェアは場合によりAppleScript,Visual basic,Fortran,Basic,Java等の標準プログラミング言語を使用して当業者により作製される。
【0057】
図4は本発明の各種側面を具体化することができる情報機器を含むマルチウェル容器処理システムの代表例を示す模式図である。本明細書の教示から当業者に自明の通り、本発明は場合によりハードウェア及びソフトウェアで実施される。所定態様では、本発明の種々の側面はクライアント側論理又はサーバー側論理で実施される。当分野で自明の通り、本発明又はその構成要素は適切に構築された計算装置にロードした場合に装置又はシステムを本発明に従って実行させる論理命令及び/又はデータを含む媒体プログラムコンポーネント(例えば固定媒体成分)で具体化することができる。当分野で自明の通り、論理命令を含む固定媒体は固定媒体で視聴者に配布し、視聴者のコンピューターに物理的にロードしてもよいし、論理命令を含む固定媒体は遠隔サーバーに維持し、視聴者が通信媒体を介してアクセスし、プログラムコンポーネントをダウンロードしてもよい。
【0058】
図4は場合により固定媒体422をもつサーバー420に接続することができる媒体417及び/又はネットワークポート419からの命令を読取ることが可能な論理装置(例えばコンピューター等)とみなすことができる情報機器又はデジタルデバイス400を示す。その後、情報機器400はこれらの命令を使用し、当分野で自明の通り、本発明の側面を具体化するようにサーバー又はクライエント論理回路に指示することができる。本発明を具体化することができる1種の論理装置は400に示すようなコンピューターシステムであり、CPU407、オプショナル入力装置409及び411、ディスクドライブ415並びにオプショナルモニター405を含む。このようなシステムをプログラミングするためには固定媒体417、又はポート419に接続した固定媒体422を使用することができ、ディスク型光学又は磁気媒体、磁気テープ、ソリッドステートダイナミック又はスタティックメモリ等が挙げられる。特定態様では、本発明の側面はこの固定媒体に記録されたソフトウェアとして全体又は一部を具体化することができる。このようなシステムをプログラミングするために使用される命令を最初に受信するためには通信ポート419も使用することができ、任意型の通信接続が挙げられる。場合により、本発明の側面は特定用途向け集積回路(ACIS)又はプログラマブル論理装置(PLD)の回路内で全体又は一部を具体化することができる。このような場合には、本発明の側面はASIC又はPLDを作成するために使用できるコンピューター解読可能な記述言語で具体化することができる。図4は更に流体除去ステーション424、ロボット把持コンポーネント429、インキュベーションコンポーネント431、マルチウェル容器保存コンポーネント433、及び検出コンポーネント435を含むマルチウェル容器処理システム427を含む。これらのシステムコンポーネントは一般に直接又はサーバー420を介して情報機器400に作動的に接続されている。作動中に、流体除去ステーション424は一般に例えば容器を洗浄するための工程の一部として、流体除去ステーション424の位置決めコンポーネントに配置されたマルチウェル容器の選択ウェルから流体を除去し、ロボット把持コンポーネント429はマルチウェル容器処理システム427のコンポーネント間で容器を移動させる。
(IV.マルチウェル容器からの流体除去方法)
【0059】
本発明は更にマルチウェル容器からの流体除去方法を提供する。本方法は例えば本明細書に記載する流体除去システム(例えばスタンドアローンワークステーション、自動スクリーニングシステム等)の一部として少なくとも1個のチップを提供する段階を含む。例えば、図5は本発明の1態様によるこのようなチップを使用するマルチウェル容器から流体を除去する方法500を示すフローチャートである。図面に示すように、ステップ502はマルチウェル容器の選択ウェル内の第1の位置までチップを下降させる。第1の位置は一般に選択ウェルに配置された流体の表面よりも下位である。ステップ504に示すように、方法500は更に所望容量の流体を選択ウェルから除去するために第1の負圧をチップに印加する段階を含む。チップを下降させながら及び/又はチップが選択ウェル内の第1の位置に到達した後に第1の負圧を印加する。所定態様では、負圧源はこの工程中にチップ入口に少なくとも毎分0.1立方フィートの流速で少なくとも28.5インチHg第1の負圧を印加する。チップの下降に伴って負圧を印加する場合には、一般に負圧によりウェルから流体を除去する速度よりも速い速度でチップを下降させる。場合により、少なくとも1種の他の材料(例えば残留流体、細胞材料又は別の非流体材料等)を選択的にウェルから除去しない。一般に例えば各種洗浄段階中には細胞をウェルに保持することが望ましいのでこの選択性はマルチウェル容器フォーマットを使用して細胞アッセイ(例えば細胞ELISAアッセイ等)を実施する場合に特に有利である。本発明の方法は既存方法を使用して実施する場合に比較してこれら及び他のスクリーニングアッセイで達成可能なスループットを有意に増加する。
【0060】
方法500のこれらの段階の各種側面を更に例証するために、図6Aはマルチウェル容器604の選択ウェル602内の第1の位置まで下降させたチップ600を模式的に示す。図示するように、チップ600は所望容量の流体606を選択ウェル602から除去する前には選択ウェル602内の流体606の表面よりも下位にある。図6Bは選択ウェル602から所望容量の流体606を除去している状態を模式的に示す。上述したように、チップ600を第1の位置まで下降させながら及び/又はチップ600が選択ウェル602内のこの位置に到達した後にこの容量を除去することができる。
【0061】
方法500は所望容量の流体を選択ウェルから除去した後に選択ウェル内又は選択ウェルの開口の近傍の第2の位置までチップを上昇させる段階を含む(ステップ506)。この第2の位置は一般に選択ウェル内の残留流体の表面よりも上位にある。ステップ508では、方法500は第2の負圧をチップに印加し、通気開口を通して空気を吸引し、チップの外側表面及び/又は選択ウェルの側面から粘着性流体を除去する。この段階中に粘着性流体をチップから除去すると、容器の多重ウェルから流体をチップで除去する際にマルチウェル容器のウェル間の交差汚染を減らすか又はなくすことができる。第2の負圧は一般に第1の負圧よりも大きく、一般に流体を除去するためには十分強いが、ウェルの底部の例えば残留流体、細胞等を擾乱させない程度である。所定態様では、例えば、第2の負圧はチップ入口の第1の負圧の流速の少なくとも5倍の流速でチップ入口に印加する。例えば、所定態様では第2の負圧は毎分0.5立方フィート以上の流速でチップ入口に印加する。方法500のこれらの段階の各種側面を更に例証するために、図6Cは選択ウェル602内の第2の位置まで上昇させたチップ600を模式的に示し、図6Dは選択ウェル602の開口の近傍の第2の位置まで上昇させたチップ600を模式的に示す。更に図示するように、第2の負圧を印加すると、通気開口608を通して空気が吸引され、粘着性流体610がチップ600の外側表面と選択ウェル602の側面から除去される。
【0062】
他のウェルから流体を除去する場合には、次にステップ510に示すように、方法500はチップをこれらのウェルに下降させる段階を含む(即ちステップ502に戻って方法を続ける)。他のウェルから材料を除去しない場合には、ステップ510に示すように、方法500を停止する(ステップ512)。図示しないが、この方法の選択段階前又は後に場合により分配段階、マルチウェル容器移送段階、及び/又は流体除去ヘッド洗浄段階等の付加段階を実施する。所定態様では、方法は更に検出器を使用して1個以上のウェルで発生された検出可能なシグナルを検出する段階を含む。
【0063】
別の態様では、流体除去ヘッドは例えば一度に32個のウェルを洗浄するようにマルチウェル容器を横断して移動するように設計される。この種の典型的な流体除去ヘッドは図1に模式的に示し、上記関連記載で詳細に記載した。この方法は一般に吸引する最初のウェル群の上に流体除去ヘッドのチップを整列させることにより開始する。チップが吸引するウェル内の選択レベル又は第1の位置に到達するように洗浄ヘッドを下降させる。チップを下降させるにつれて及び/又はチップがウェル内の選択レベルに到達した後にチップ入口に真空を印加し、ウェルから流体を除去する。一般に電磁弁を開いて真空ラインを活性化する。選択容量の流体をウェルから除去した後に、ウェル内又はウェルの開口の近傍の高位置まで流体除去ヘッドを上昇させる。次に、ウェルの底部に配置された残留流体又は他の材料を擾乱せずに粘着性流体をチップの表面とウェルの側面から除去するために十分な速度でチップ入口に真空を印加する。
【0064】
流体がウェルから除去され、チップがこうして洗浄されたら、電磁弁を遮断し、負圧源からの真空流を遮断する。次に流体除去ヘッド又は洗浄器を1536ウェルプレート上の次の列に移動させる。定位置に達したら、上記工程を繰返す。洗浄器はこの工程に従ってプレートを横切って移動する。洗浄器を真空で常時走行させてもよい。こうすると、サイクル時間が著しく短くなる。
【0065】
流体がマルチウェル容器から除去されると、分配ヘッドは一般に各ウェルに洗浄用流体を充填する。このディスペンサーのチップは一般に各選択ウェルの側面に流体を分配するように傾斜している。こうすると、各ウェルの底部の材料(例えば細胞等)を擾乱しないようにすることができる。その後、洗浄用流体は一般に上記方法に従って除去される。その後、場合により洗浄を繰返すか、又はプレートはアッセイの次段階に進むことができる。
【0066】
所定態様では、流体除去ヘッドの入口を通って流体をウェルに分配することができる。例えば、第1の位置で負圧源に作動的に接続されており、従って、ウェルから材料を吸引する弁に出口を接続することができる。弁が第2の位置に転換されると、流体除去ヘッドのチップとウェルに分配する流体を収容するレザバーの間に作動的接続が形成される。弁を1回以上転換することにより、数サイクルの洗浄と除去を迅速に実施することができる。
(V.流体除去キット)
【0067】
本発明は少なくとも1個の流体除去ヘッド又はそのコンポーネントを含むキットも提供する。例えば、キットは一般にヘッドコンポーネントを組立てるため及び/又は流体除去ヘッドを他のシステムコンポーネントに装着するために本体構造、チップ、弾性カップリング(例えばばね、成形エラストマー材料等)、及び/又は締着コンポーネント(例えばねじ、ポルト等)を含む。本発明のキットの流体除去ヘッドは場合により予め組立てられている(例えば相互に一体的なコンポーネントを含む等)か又は組立てられていない。更に、キットは一般に更に流体除去ヘッド又はそのコンポーネントを組立て、使用、及び保守するのに適した説明書を含む。キットは更に一般にキットコンポーネントを保持するためのパッケージング材料又は容器を含む。
【0068】
以上、明確に理解できるように本発明を多少詳細に記載したが、本発明の真の範囲を逸脱することなく形態や細部に種々の変更が可能であることは以上の開示から当業者に自明である。例えば、上記全技術及び装置は種々に組合せて使用することができる。本明細書に引用した全刊行物、特許、特許出願、及び/又は他の文献はその開示内容全体を全目的で参考資料として組込み、各刊行物、特許、特許出願、及び/又は他の文献を全目的で参考資料として組込むと個々に記載しているものとして扱う。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1A】本発明の1態様による流体除去ヘッドの底部斜視図を模式的に示す。
【図1B】図1Aの流体除去ヘッドの垂直断面図を模式的に示す。
【図1C】図1Aの流体除去ヘッドのセグメントの正面透過図を模式的に示す。
【図1D】マルチウェル容器のウェルに配置された図1Aの流体除去ヘッドのチップの頂部斜視図を模式的に示す。
【図1E】マルチウェル容器のウェルに配置された図1Aの流体除去ヘッドのチップの横断面図を模式的に示す。
【図1F】本発明の1態様による流体除去ヘッドの頂部斜視図を模式的に示す。
【図1G】図1Fの流体除去ヘッドのチップホルダーの頂部斜視図を模式的に示す。
【図1H】図1Fの流体除去ヘッドのポートマウントの頂部斜視図を模式的に示す。
【図2A】マルチウェル容器処理システムの1態様の斜視図を模式的に示す。
【図2B】図2Aのシステムの流体除去ヘッドと分配ヘッドの詳細頂部斜視図を模式的に示す。
【図2C】図2Aのシステムの流体除去ヘッドと分配ヘッドの詳細底部斜視図を模式的に示す。
【図3】マルチウェル容器処理システムの別の態様の斜視図を模式的に示す。
【図4】本発明の各種側面を具体化することができるマルチウェル容器から流体を除去するためのシステムの代表例を模式的に示す。
【図5】本発明の1態様によるマルチウェル容器から流体を除去する方法を示すフローチャートである。
【図6A】本発明の所定態様によるマルチウェル容器から流体を除去する所定方法の各種側面を模式的に示す。
【図6B】本発明の所定態様によるマルチウェル容器から流体を除去する所定方法の各種側面を模式的に示す。
【図6C】本発明の所定態様によるマルチウェル容器から流体を除去する所定方法の各種側面を模式的に示す。
【図6D】本発明の所定態様によるマルチウェル容器から流体を除去する所定方法の各種側面を模式的に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1個の入口と少なくとも1個の出口を備える少なくとも1個のチップを含む流体除去ヘッドであって、前記入口が前記出口と連通しており、前記チップは、
チップをマルチウェル容器の選択ウェル内又はその開口の近傍に配置したときに、チップの外側表面とウェルの側面及び/又はその開口の間に配置されたスペースが通気開口を形成し;
ウェルに配置された残留流体の表面よりも上位にチップを配置し、選択された負圧をチップに印加すると、印加された負圧が通気開口を通して空気を吸引することにより、チップとウェルの側面から粘着性流体を除去するように構成されている前記流体除去ヘッド。
【請求項2】
入口と出口がチップを貫通するように配置された少なくとも1個のチャネルを介して相互に連通しており、前記チャネルが50μm以上の横断面寸法を含む請求項1に記載の流体除去ヘッド。
【請求項3】
チップを前記ウェル内又はその開口の近傍に配置したときに、チップの外側表面とウェルの側面及び/又はその開口の間に配置されたスペースが1mm以下の距離を含む請求項1に記載の流体除去ヘッド。
【請求項4】
チップが正n角形、不規則n角形、三角形、正方形、長方形、台形、円形、及び楕円形から構成される群から選択される横断面形状を含む請求項1に記載の流体除去ヘッド。
【請求項5】
少なくとも1個の本体構造を含み、弾性カップリングがチップを本体構造に連結している請求項1に記載の流体除去ヘッド。
【請求項6】
少なくとも1個のマニホールドを含む少なくとも1個の本体構造を含む請求項1に記載の流体除去ヘッド。
【請求項7】
流体除去ヘッドが複数のマルチウェル容器から実質的に同時に流体を除去するように構成されている請求項1に記載の流体除去ヘッド。
【請求項8】
少なくとも1個のキャビティを含む少なくとも1個の本体構造を含んでおり、チップがキャビティ内に0.1mm以上延びている請求項1に記載の流体除去ヘッド。
【請求項9】
本体構造が相互に連結してキャビティを形成する少なくとも1個のチップホルダーと少なくとも1個のポートマウントを含み、前記チップホルダーがチップを保持し、前記ポートマウントが貫通配置されたチャネルをもつ少なくとも1個のポートを含み、前記チャネルがキャビティと連通している請求項8に記載の流体除去ヘッド。
【請求項10】
チップ及び/又はポートマウントが合金又は金属物質から作製されており、チップホルダーがポリマー物質から作製されている請求項9に記載の流体除去ヘッド。
【請求項11】
キャビティとチャネルの表面が実質的に平滑である請求項9に記載の流体除去ヘッド。
【請求項12】
キャビティの少なくとも一部を形成する本体構造の少なくとも1個の表面がチャネルに向かって傾斜している請求項9に記載の流体除去ヘッド。
【請求項13】
流体除去ヘッドがマルチウェル容器に配置された少なくとも2個のウェルの間の距離に実質的に対応する距離で離間された少なくとも2個のチップを含む請求項1に記載の流体除去ヘッド。
【請求項14】
チップが6、12、24、48、96、192、384、768、1536、又はそれ以上のウェルを含むマルチウェル容器から流体を除去するように構成されている請求項13に記載の流体除去ヘッド。
【請求項15】
a)少なくとも1個の入口と少なくとも1個の出口を備えており、前記入口が前記出口と連通しており、チップをマルチウェル容器の選択ウェル内に配置したときに、チップの外側表面とウェルの側面及び/又はその開口の間に配置されたスペースが通気開口を形成するように構成された少なくとも1個のチップと;
b)チップの出口に作動的に接続された少なくとも1個の負圧源と;
c)処理システムに作動的に接続されており、
i)第1の負圧をチップに印加しながら、流体を負圧によりウェルから除去する速度よりも速い速度でチップをウェル内の流体面よりも下位のウェル内の第1の位置まで下降させるか、及び/又はチップをウェル内の第1の位置まで下降させた後に第1の負圧をチップに印加し;
ii)ウェル内の残留流体面よりも上位のウェル内又はウェルの開口の近傍の第2の位置までチップを上昇させ;
iii)第1の負圧よりも大きい第2の負圧をチップに印加し、通気開口を通して空気を吸引することにより、チップとウェルの側面から粘着性流体を除去するように構成された少なくとも1個のコントローラーを含むマルチウェル容器処理システム。
【請求項16】
入口と出口がチップを貫通するように配置された少なくとも1個のチャネルを介して相互に連通しており、前記チャネルが50μm以上の横断面寸法を含む請求項15に記載のマルチウェル容器処理システム。
【請求項17】
チップを前記ウェル内又はその開口の近傍に配置したときに、チップの外側表面とウェルの側面及び/又はその開口の間に配置されたスペースが1mm以下の距離を含む請求項15に記載のマルチウェル容器処理システム。
【請求項18】
チップが正n角形、不規則n角形、三角形、正方形、長方形、台形、円形、及び楕円形から構成される群から選択される横断面形状を含む請求項15に記載のマルチウェル容器処理システム。
【請求項19】
負圧源が少なくとも1個のマニホールドを含む請求項15に記載のマルチウェル容器処理システム。
【請求項20】
少なくとも1本のチューブが負圧源を出口に作動的に接続している請求項15に記載のマルチウェル容器処理システム。
【請求項21】
負圧源がポンプを含む請求項15に記載のマルチウェル容器処理システム。
【請求項22】
負圧源が各入口に少なくとも毎分0.1立方フィートの流速で少なくとも28.5インチHgの第1の負圧を印加するように構成されている請求項15に記載のマルチウェル容器処理システム。
【請求項23】
負圧源が各入口の第1の負圧の流速の少なくとも5倍の流速で第2の負圧を各入口に印加するように構成されている請求項15に記載のマルチウェル容器処理システム。
【請求項24】
コントローラーが少なくとも1個のコンピューターを含む請求項15に記載のマルチウェル容器処理システム。
【請求項25】
チップに作動的に接続された少なくとも1個のトラップを含み、前記トラップがマルチウェル容器のウェルから除去された廃棄流体をトラップするように構成されている請求項15に記載のマルチウェル容器処理システム。
【請求項26】
マルチウェル容器処理システムのコンポーネント間及び/又はマルチウェル容器処理システムと別の位置の間でマルチウェル容器を把持及び移送するように構成された少なくとも1個のロボット把持コンポーネントを含む請求項15に記載のマルチウェル容器処理システム。
【請求項27】
1個以上のマルチウェル容器を保存するように構成された少なくとも1個のマルチウェル容器保存コンポーネントを含む請求項15に記載のマルチウェル容器処理システム。
【請求項28】
1個以上のマルチウェル容器をインキュベートするように構成された少なくとも1個のインキュベーションコンポーネントを含む請求項15に記載のマルチウェル容器処理システム。
【請求項29】
1個以上のマルチウェル容器に配置された1個以上のウェルで発生された検出可能なシグナルを検出するように構成された少なくとも1個の検出コンポーネントを含む請求項15に記載のマルチウェル容器処理システム。
【請求項30】
1個以上のマルチウェル容器をチップに対して位置決めするように構成された少なくとも1個の位置決めコンポーネントを含む請求項15に記載のマルチウェル容器処理システム。
【請求項31】
チップ及び/又は少なくとも1個の他のシステムコンポーネントを相互に移送するように構成された少なくとも1個の移送コンポーネントを含む請求項15に記載のマルチウェル容器処理システム。
【請求項32】
チップ及び/又は少なくとも1個の他のシステムコンポーネントを洗浄するように構成された少なくとも1個の洗浄コンポーネントを含む請求項15に記載のマルチウェル容器処理システム。
【請求項33】
チップと流体連通する少なくとも1個の弁を含んでおり、前記弁が負圧源からの圧流を制御するように構成されている請求項15に記載のマルチウェル容器処理システム。
【請求項34】
弁が電磁弁を含む請求項33に記載のマルチウェル容器処理システム。
【請求項35】
流体除去ヘッドがチップを含む請求項15に記載のマルチウェル容器処理システム。
【請求項36】
流体除去ヘッドが少なくとも1個の本体構造を含み、弾性カップリングがチップを本体構造に連結している請求項35に記載のマルチウェル容器処理システム。
【請求項37】
流体除去ヘッドが少なくとも1個のマニホールドを含む少なくとも1個の本体構造を含む請求項35に記載のマルチウェル容器処理システム。
【請求項38】
流体除去ヘッドが少なくとも1個のキャビティを含む少なくとも1個の本体構造を含み、チップがキャビティ内に0.1mm以上延びている請求項35に記載のマルチウェル容器処理システム。
【請求項39】
流体除去ヘッドが複数のマルチウェル容器から実質的に同時に流体を除去するように構成されている請求項35に記載のマルチウェル容器処理システム。
【請求項40】
流体除去ヘッドがマルチウェル容器の単一ウェル内に同時に嵌合するように離間された少なくとも2個のチップを含む請求項35に記載のマルチウェル容器処理システム。
【請求項41】
流体除去ヘッドがマルチウェル容器に配置された少なくとも2個のウェル間の距離に実質的に対応する距離で離間された少なくとも2個のチップを含む請求項35に記載のマルチウェル容器処理システム。
【請求項42】
チップが6、12、24、48、96、192、384、768、1536、又はそれ以上のウェルを含むマルチウェル容器から流体を除去するように構成されている請求項41に記載のマルチウェル容器処理システム。
【請求項43】
1種以上の流体を1個以上のマルチウェル容器の1個以上のウェルに分配するように構成された少なくとも1個の分配コンポーネントを含む請求項15に記載のマルチウェル容器処理システム。
【請求項44】
分配コンポーネントが流体を複数のマルチウェル容器に実質的に同時に分配するように構成されている請求項43に記載のマルチウェル容器処理システム。
【請求項45】
分配コンポーネントがマルチウェル容器をディスペンサーの近傍に配置したときに1個以上のマルチウェル容器に配置された1個以上のウェルと整列する少なくとも1個のディスペンサーを含み、前記ディスペンサーが1種以上の流体をウェルに分配するように構成されている請求項43に記載のマルチウェル容器処理システム。
【請求項46】
ディスペンサーがウェルの鉛直軸に対して傾斜している請求項45に記載のマルチウェル容器処理システム。
【請求項47】
マルチウェル容器のウェルから流体を除去する方法であって、
a)少なくとも1個の入口と少なくとも1個の出口を備えるチップであり、前記入口が前記出口と連通しており、チップをウェル又はウェルの開口の近傍に配置したときにチップとウェルの側面及び/又はその開口の間に配置されたスペースに通気開口を形成するようにウェルの横断面寸法よりも小さい横断面寸法をもつ少なくとも1個のチップを提供する段階と;
b)第1の負圧をチップに印加しながら、流体を負圧によりウェルから除去する速度よりも速い速度でチップをウェル内の流体面よりも下位のウェル内の第1の位置まで下降させるか、又はチップをウェル内の第1の位置まで下降させた後に第1の負圧をチップに印加する段階と;
c)ウェル内の残留流体面よりも上位のウェル内又はウェルの開口の近傍の第2の位置までチップを上昇させる段階と;
d)第1の負圧よりも大きい第2の負圧をチップに印加し、通気開口を通して空気を吸引することにより、チップの外側表面とウェルの側面から粘着性流体を除去する段階を含む前記方法。
【請求項48】
第1の負圧が毎分0.1立方フィート以上の流速を入口に含む請求項47に記載の方法。
【請求項49】
第2の負圧が毎分0.5立方フィート以上の流速を入口に含む請求項47に記載の方法。
【請求項50】
第2の負圧が入口の第1の負圧の流速の少なくとも5倍の流速を入口に含む請求項47に記載の方法。
【請求項51】
マルチウェル容器の少なくとも1個の他のウェルでb)−d)を反復する段階を含む請求項47に記載の方法。
【請求項52】
少なくとも1種の付加流体をウェルに分配する段階を含む請求項47に記載の方法。
【請求項53】
第1のウェルに分配される付加流体による他の材料の擾乱を最小限にするために、付加流体がウェルの底面又はウェルに配置された他の材料と接触する前にウェルの側面と接触する請求項52に記載の方法。
【請求項54】
付加流体が洗浄用溶剤を含む請求項52に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図1F】
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【図1G】
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【図1H】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【公表番号】特表2008−512645(P2008−512645A)
【公表日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−524982(P2007−524982)
【出願日】平成17年8月3日(2005.8.3)
【国際出願番号】PCT/US2005/027714
【国際公開番号】WO2006/031311
【国際公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Apple
2.フロッピー
3.Linux
4.UNIX
5.JAVA
【出願人】(503287649)アイアールエム エルエルシー (7)
【Fターム(参考)】