マルチスペクトル選択反射性構造体
選択反射性構造体、及びその製造方法を記載する。一実施態様において、反射特性、透過特性、及び吸収特性を複数の電磁帯において制御する場合がある。a)ポリマー材料(2)及び着色剤(60)を有し且つ熱線透明で可視光不透明である基材(1)、並びにb)低放射率部分を有する熱線反射層を備える構造体(10)を記載する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、EMスペクトルの可視光域、nIR域、SWIR域、MWIR域、及びLWIR域において、反射率及び透過率を制御する選択反射性構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
ハンター及び軍隊により使用されるカモフラージュ材料は、典型的には、電磁(EM)スペクトルの可視光部においてカモフラージュ特性を提供する。軍隊のカモフラージュへの最近の改良は、nIR部及び短波赤外線(SWIR)部に拡張している。中赤外線(MWIR)EM帯及び遠赤外線(LWIR)EM帯で動作する熱画像センサーの使用の増加によって、軍隊の使用者は、これらのセンサー帯域での改善された防護を求めてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
熱線帯域におけるカモフラージュ性能の達成のための通常の手段は、しばしばEMスペクトルの可視光域及びnIR域において、より高い反射率を与えることとなる。同様に、可視光域及びnIR域での性能の発揮は、しばしば熱線帯域での検知を増加する。それゆえ、単一の構造体で、EMスペクトルのマルチスペクトル(可視光、nIR、SWIR、MWIR、LWIR)の個々の帯域の全体にわたって、反射率、透過率、及び吸収特性を制御するための効果的なマルチスペクトルでの解決法は、得られていない。
【0004】
可視光、nIR、MWIR、及びLWIRを含む複数のEM帯において、反射率、透過率、及び吸収特性をコントロールしうる構造体について記載する。本発明の目的に関して、可視光を400〜600nm、nIRを700〜1000nm、MWIRを3〜5μm、及びLWIRを9〜12μmと定義する。本明細書で記載する方法は、8〜14μmの波長範囲において適切な特性を備える構造体を形成するためにも適している場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施態様において、a)ポリマー層及び着色剤を有する、熱線透明で可視光不透明の基材である第一部分、及びb)熱線透明で可視光不透明の基材の表面に隣接している低放射率部分を有する熱線反射層である第二部分を備える構造体について記載する。その構造体は、下記の平均反射率を有する:i)波長範囲400〜600nmで約70%未満、ii)波長範囲700〜1000nmで約70%未満、iii )波長範囲3〜5μmで約25%超、且つiv)波長範囲9〜12μmで約25%超。
【0006】
下記のステップを含む、表面又は対象物をマルチスペクトルにカモフラージュするための方法について記載する:a)ポリマー材料及び着色剤を有する、熱線透明で可視光不透明の基材を提供し;b)低放射率表面を有する熱線反射層を提供し;c)熱線透明で可視光不透明の基材に隣接している低放射率表面を配置して、マルチスペクトル選択反射性構造体を形成し;そしてd)検知手段と観察される対象物との間に、マルチスペクトル選択反射性構造体を配置すること。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】選択反射性構造体の概略の断面表示である。
【図2】選択反射性構造体の概略の断面表示である。
【図3】選択反射性構造体の概略の断面表示である。
【図4】選択反射性構造体の概略の断面表示である。
【図5】選択反射性構造体の概略の断面表示である。
【図6】選択反射性構造体の概略の断面表示である。
【図7】選択反射性構造体の概略の断面表示である。
【図8】選択反射性構造体の概略の断面表示である。
【図9】波長250nm〜2,500nmの間の、構造体の複数の実施例の反射率スペクトルである。
【図10】波長3.0μm〜5.0μmの間の、構造体の複数の実施例の反射スペクトルである。
【図11】波長8.0μm〜12.0μmの間の、構造体の複数の実施例の反射スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
マルチスペクトル選択反射性構造体を図1〜8を参照して説明する。本発明の目的に関して、可視光域を400nm〜600nm、nIRを700nm〜1000nm、MWIRを3〜5μm、及びLWIRを9〜12μmと定義する。MWIR及びLWIRのスペクトル応答は熱線領域を表す。
【0009】
図1で示した概略の構造体の断面表示で例示するように、一実施態様において、構造体(10)は下記の部分を備える:第一表面(12)及び第二表面(13)を有し且つ熱線透明で可視光不透明である基材(1)を有する第一部分;並びに熱線反射層(30)を有する第二部分。熱線反射層(30)は、低放射率部分を有し、且つ熱線透明で可視光不透明の基材(1)の第二表面(13)に隣接している。マルチスペクトル選択反射性構造体は、下記の平均反射率を有する:i)波長範囲400nm〜600nmで約70%未満、ii)波長範囲700nm〜1000nmで約70%未満、iii )波長範囲3μm〜5μmで約25%超、且つiv)波長範囲9μm〜12μmで約25%超。
【0010】
さらなる実施態様において、マルチスペクトル選択反射性構造体を、下記の平均反射率を有するように作成する:i)波長範囲400nm〜600nmで約50%未満、ii)波長範囲700nm〜1000nmで約70%未満、iii )波長範囲3μm〜5μmで約25%超、且つiv)波長範囲9μm〜12μmで約25%超。他の一つの構造体では、下記の平均反射率を有するように作成する場合がある:i)波長範囲400nm〜600nmで約70%未満、ii)波長範囲700nm〜1000nmで約50%未満、iii )波長範囲3μm〜5μmで約25%超、且つiv)波長範囲9μm〜12μmで約25%超。さらなる実施態様では、下記の平均反射率を有するようにマルチスペクトル選択反射性構造体を作成する場合がある:i)波長範囲400nm〜600nmで約70%未満、ii)波長範囲700nm〜1000nmで約70%未満、iii )波長範囲3μm〜5μmで約25%超、且つiv)波長範囲9μm〜12μmで約35%超。
【0011】
さらに、図1に関しては、構造体(10)は、光学的に着色された熱線透明で可視光不透明の基材(1)である第一部分を備える。熱線透明で可視光不透明の基材(1)は、ポリマー材料(2)及び着色剤(60)を有する。熱線透明性基材を形成するためには、ポリマー材料(2)は、3μm〜5μm及び9μm〜12μmのバンド幅において高透過率を有するポリマーから構成される。熱線透明で可視光不透明の基材(1)は、3μm〜5μm(MWIR)及び9μm〜12μm(LWIR)において、平均透過率が約30%超であれば、熱線透明性とみなされるだろう。いくつかの実施態様において、波長範囲3〜5μmにおいて、約40%、約50%、約60%、若しくは約70%以上の平均透過率、及び/又は波長範囲9〜12μmにおいて、約40%、約50%、約60%、若しくは約70%以上の平均透過率を有し且つ熱線透明で可視光不透明である基材を備えるように、構造体を作成する。
【0012】
熱線透明で可視光不透明の基材(1)のポリマー材料(2)には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、微孔質延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、フッ素化エチレンプロピレンコポリマー(FEP)、パーフルオロアルコキシコポリマー樹脂(PFA)、並びに、ポリプロピレン及びポリエチレン等のポリオレフィンを挙げてもよい。そのポリマー材料は、多孔質若しくは微孔質、又はモノリシック(monolithic)なものであってもよい。そのポリマー材料は、連続の又は不連続のポリマーフィルムでもよい。そのポリマー材料は、ポリマーフィルム又はポリマー繊維を含んでもよいポリマー層を含む。ポリマー材料(2)の、材料の厚さ、屈折率、及び気孔率を選択して、可視光不透明性及び熱線透明性の所望の水準を達成してもよい。5μm超の厚みを有するポリマー層は、ある種の用途に対して適切な場合がある。他の実施態様において、約20μm超のポリマー層、約40μm超のポリマー層、又は約100μm超のポリマー層が適切な場合がある。
【0013】
熱線透明で可視光不透明の基材を有する第一部分は、本明細書に記載された方法に従って測定したときに、475nm〜675nmの間の光学密度が約0.30超の場合、可視光不透明とみなされるだろう。他の実施態様において、構造体は、475nm〜675nmの間で、約0.70超の、約0.75超の、又は約1.0超の光学密度を有する熱線透明で可視光不透明の基材を有する場合がある。475nm〜675nmの間で、約1.5超の、約2超の、又は約3超の光学密度を有する熱線透明で可視光不透明の基材の実施態様が有用であるとみなされる場合もある。特定の光学密度、特定の熱線特性及び特定のnIR特性を、ポリマー材料(2)と着色剤(60)との組み合わせによって得てもよい。
【0014】
フィルムの気孔率を選択して、可視光不透明性の所望の水準に寄与する場合には、微孔質ポリマーフィルムが特に適当となる場合がある。図6に例示した一実施態様において、第一部分は、微孔質ポリマー材料(2)を有する、熱線透明で可視光不透明の基材(1)である。約5μm〜300μmの範囲の厚みを有する微孔質ポリマーフィルムは、本発明に関して用いられるある種の構造体に適当となる場合がある。例として、構造体は、厚みが約50μm未満で且つ光学密度が約0.5超である微孔質ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)フィルムを有する熱線透明で可視光不透明の基材を備えてもよい。一つの特定の実施態様においては、熱線透明で可視光不透明の基材は、0.77の光学密度を有する約35μmの厚みの微孔質ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)フィルムを含む。また、構造体は、約0.90超の光学密度を有する約120μm未満の厚みの微孔質ePTFEフィルムを有し且つ熱線透明で可視光不透明である基材を備えてもよい。特定の実施態様においては、熱線透明で可視光不透明の基材は、約1.1の光学密度を有し且つ約110μmの厚みの微孔質ePTFEフィルムを有する。
【0015】
着色剤を用いて、可視光、nIR、及びSWIRのスペクトル応答に影響を与えてもよい。着色剤(60)は、光を吸収、屈折、及び/又は反射する一以上の添加剤を含有していてもよい。着色剤(60)は、ポリマー材料(2)の第一表面(12)若しくは第二表面(13)のどちらか一方に配置すること、ポリマー材料中に入れること、又はポリマー材料(2)の第一及び第二表面(13)の両方に配置し且つポリマー材料中に入れることができる。着色剤は、限定するものではないが、酸性染料、分散染料、媒染染料及び溶剤染料等の一以上の染料を含有してもよい。着色剤は、限定するものではないが、カーボン顔料、カドミウム顔料、酸化鉄顔料、亜鉛顔料、砒素顔料及び有機顔料等の一以上の顔料を含有してもよい。着色剤はインク、トナー、又は他の適切なプリントメディアとして適用して、その染料又は顔料をポリマー基材上に又はポリマー基材中に供給してもよい。本発明により適切に用いられるインクは、固体型、水性型又は溶剤型であってもよい。
【0016】
着色剤(60)は単一の着色剤を含有してもよく、又は、例えば一つより多い着色剤のブレンドとして、一以上の着色剤(60、61、62、及び63)を含有してもよい。さらなる実施態様において、熱線透明で可視光不透明の基材(1)を有する第一部分は、複数の着色剤(61、62、63)を含んでもよく、そして、その複数の着色剤は、図3に描かれたような分離したパターン、又はカモフラージュパターンのようなパターンに適用してもよい。図4に描かれたように、第一部分の表面上、例えばポリマー材料(2)の第一表面(12)上に配置する場合、例えば、適切な結合サイトを有する染料の選択により、又はポリマー材料に着色剤を固定するバインダーの使用により、複数の着色剤(61、62、63)をポリマー材料に結合させてもよい。本発明に関して用いられているように、ポリマー材料(2)の第一表面(12)は、検知されることを防ぐ着用者若しくは対象物の反対の外側に向けられる表面、又はEMセンサー若しくはEM検知器の方向に面しているポリマー材料の表面に言及するものである。図6に描かれているように、着色剤(60)は、ポリマー材料(2)中に吸収させること、及び多孔質ポリマー材料の孔壁にコーティングしてもよい。あるいは、着色剤(60)をポリマー材料(2)にフィラーとして添加してもよい。
【0017】
熱線透明で可視光不透明の基材(1)を有する第一部分に所望の可視光不透明性を与えるため、ポリマー材料(2)の特性、例えば材料の厚み、屈折率、及び気孔率を調節する。例えば柔軟性を得るために、比較的薄い材料が好まれるある種の実施態様では、比較的薄い材料は可視光に透明すぎて、最終構造体の所望の特性を得ることが出来ないことがある。それゆえ、ある実施態様では、気孔率を上げることで可視光不透明性を増加させる場合がある。ポリマー材料(2)の選択と組み合わせて、着色剤(60)の選択及び濃度により、所望の範囲内の可視光不透明性を得る場合もある。例えば、約0.30未満の光学密度を有するようにポリマー材料を選択した場合、着色剤を添加して光学密度を増加させ、それによってポリマー材料及び着色剤を含み且つ熱線透明で可視光不透明である基材が、約0.30超の光学密度を有するようにしてもよい。着色剤の種類と濃度との両方を選択して、熱線透明で可視光不透明の基材(1)を有する第一部分の所望の可視光不透明性を得てもよい。一実施態様において、第一部分は、約0.77の光学密度を持つ約35μmの厚みの微孔質ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)層を含む。別の実施態様において、第一部分は、約1.1の光学密度を持つ約110μmの厚みの微孔質ePTFE層を含む。
【0018】
一実施態様において、第一部分を備える構造体であって、第一部分が熱線透明で可視光不透明の基材であり且つその基材が約35μmの厚さの微孔質ePTFE層及びカーボン着色剤を有する構造体は、1.5超の光学密度を有する。他の一つの実施態様において、熱線透明で可視光不透明の基材が微孔質ePTFE層及び着色剤を有する場合に、4.0超の光学密度を持つように構造体を形成し;同様の着色剤を有する別の実施態様では、可視光透明性のモノリシックのポリエチレンポリマー層を含む熱線透明で可視光不透明の基材は、1.0超の光学密度を持つ。
【0019】
EMスペクトルの可視光域で性能を与えることに加え、EMスペクトルの近赤外線(nIR)領域において、反射及び吸収の特定の水準を有するように構造体を形成してもよい。好ましい構造体は、波長範囲700nm〜1000nmで約70%未満の反射率を有する。nIR反射の所望の水準を有するように、ポリマー材料を有する熱線透明で可視光不透明の基材を形成する場合がある。最終構造体でnIR反射の所望の水準を達成するために、その構造体への他の層の付加に起因する影響を計算して、第一部分のnIR反射の水準を調節する場合がある。
【0020】
ある実施例においては、着色剤(60)を選択して、選択反射性構造体(10)の所望の可視光反射率に加え、特定のnIR反射率を得る。例えば、有色光(可視光)反射率及びnIR反射率の両方の所望の水準を達成する様式で、反射性及び吸収性の添加物を着色剤として選択し、そして第一部分のポリマー材料(2)に適用してもよい。一実施態様において、nIR用添加剤、例えばカーボンを含んで、微孔質材料、例えばePTFEを含む第一部分を形成してもよい。微孔質材料を形成するために使用するポリマー材料は、一以上のnIR用添加剤を含んでもよく、そして所望のnIR反射水準を有する熱線透明性微孔質フィルムに形成することができる。図2及び図4に示されているように、nIR用添加剤(90,91,92,93)、限定するものではないが、例えばカーボン、金属、及びTiO2を熱線透明で可視光不透明の基材(1)に添加して、特定のnIR反射率特性、SWIR反射率特性、MWIR反射率特性、又はLWIR反射率特性を得ることができる。
【0021】
赤外線(IR)用添加剤の使用、ポリマー材料の孔サイズの調節、及び/又はポリマー材料の厚みを調節することでも、短波赤外線(SWIR)におけるその構造体の特定の反射率特性を達成できる。SWIR(900nm〜2500nm)において、構造体に適当な特性は反射率70%未満である。
【0022】
広域スペクトル帯、例えば3μm〜30μmに渡っての平均熱線放射の測定は、熱線反射層の特性評価に適している。しかし、広域帯測定は、使用における構造体の特定の性能を適切に特性化しない。本明細書で記載した構造体は、興味のある比較的狭い領域の特定のスペクトル性能、例えば波長範囲3μm〜5μm(MWIR)又は波長範囲9μm〜12μmに渡って平均化した性能を与える。ある実施態様においては、これらの範囲内の興味のある特定の波長で、特定のスペクトル性能を特有の反射率に調整できる。3〜5μm及び/又は9〜12μmの、比較的狭い範囲内の反射率又は透過率を熱線性能とみなす。
【0023】
一実施態様において、波長範囲3μm〜5μmで約25%以上の平均反射率、及び/又は波長範囲9μm〜12μmで25%以上の平均反射率の熱線性能を有するように、マルチスペクトル選択反射性構造体を提供する。他の実施態様においては、波長範囲3〜5μmにおいて、約30%以上、約40%以上、約50%以上、若しくは約60%以上の平均反射率、及び/又は波長範囲9〜12μmにおいて約30%以上、約40%以上、約50%以上、若しくは約60%以上の平均反射率を有するように構造体を形成する。ある種の実施態様において、マルチスペクトル選択反射性構造体は、本明細書に記載したテスト方法に従って測定する場合、波長範囲3〜5μm及び/又は波長範囲9〜12μmで、30%より高く、且つ98%未満、90%未満、又は80%未満の反射率を持つ。
【0024】
さらに図1に関して、マルチスペクトル選択反射性構造体(10)は、第二の部分を備え、この第二の部分は波長範囲3μm〜5μm及び波長範囲9μm〜12μmで構造体に高い反射率を与え且つ低放射率部分(35)を含む熱線反射層(30)を有する。本明細書に記載した放射率測定テスト方法に従ってテストした場合に、その熱線反射層は、約0.75未満、約0.6未満、約0.5未満、約0.4未満、約0.3未満、又は約0.2未満の放射率を有する。低放射率部分(35)は、0.75未満の放射率を有するコーティング又は基材でもよい。低放射率部分は、限定するものではないが、Ag、Cu、Au、Ni、Sn、Al及びCr等の金属を含む。加えて、低放射率部分は、本明細書に記載した放射率測定テスト方法に従ってテストした場合に、約0.75未満、約0.6未満、約0.5未満、約0.4未満、約0.3未満、又は約0.2未満の放射率を有する、非金属材料を含んでもよい。低放射率部分での使用に適するであろう非金属材料としては、インジウムスズオキサイド、カーボンナノチューブ、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリフルオレン、及びポリアニリンが挙げられる。熱線反射層(30)の厚みを選択して、ある種の特性を得てもよい。柔軟性のあるマルチスペクトル選択反射性構造体が望まれる一実施態様においては、低放射率部分を有するその熱線反射層(30)の厚みが最小化されてもよく、そして約0.002インチ未満の薄い厚みを有する熱線反射層が選択されてもよい。
【0025】
一実施態様において、熱線反射層(30)は、熱線透明で可視光不透明の基材(1)の第二表面(13)に対して金属蒸着、又は金属粒子を含有するスプレーコーティング、例えば金属スプレー塗装により適用される低放射率部分から構成されていてもよい。さらなる実施態様において、図1に例示されているように、熱線反射層(30)は、熱線透明で可視光不透明の基材(1)の第二表面(13)に対して、仲介層(4)、例えば接着剤又はスペーサー材料を用いて、低放射率部分(35)を結合することにより形成してもよい。熱線反射層(30)は、例えば転写ホイルの形態で、低放射率部分を有してもよい。
【0026】
別の実施態様において、図6及び図7に例示されているように、熱線反射層(30)は熱線透明で可視光不透明の基材(1)の第二表面(13)の背面に配置され、又はその第二表面に接着されてもよい低放射率部分(35)、例えば金属含有フィルム又は金属スプレー塗装フィルムを有していてもよい。適当なフィルムの金属化は、フィルム表面中又はフィルム表面上での、無電解めっき法、蒸着、又は金属塩の還元により達成できる。
【0027】
もう一つの方法として、本発明に関して適当な金属含有フィルムは、金属充填ポリマーの押し出し、金属表面の含浸、又は金属フィルム若しくは金属粒子の積層若しくはカプセル化によって形成することができる。例えば、図8で例示されているように、構造体(10)は、熱線透明で可視光不透明の基材である第一基材(81)を有する第一部分(80)、及び第二基材(71)を有する第二部分(70)を備えてもよい。熱線反射層を有する第二部分(70)は、基材(71)、例えば低放射率部分(35)で金属化された延伸PTFEのようなフィルムを含み、且つ熱線透明で可視光不透明の第一基材(71)の第二表面(13)に仲介層(4)によって接着される。他の一つの実施態様において、熱線透明で可視光不透明である第一基材(71)の第二表面(13)に隣接して配置し且つ任意的に第一基材(81)に付着した金属化された布地を、第二部分(70)が有してもよい。
【0028】
一実施態様において、熱線反射層(30)を、熱線透明で可視光不透明の基材(1)の第二表面(13)に低放射率部分を添加することで形成する場合、連続の又は不連続の仲介層(4)を使用してもよい。連続の熱線透明性仲介層(4)、例えば接着剤又はスペーサー材を備えるマルチスペクトル選択反射性構造体を図1に例示する。あるいは、マルチスペクトル選択反射性構造体の所望の熱線特性を達成するために、十分な熱線透明性を有する不連続の仲介層(4)を使用してもよい。例えば、不連続の仲介層(4)を有するマルチスペクトル選択反射性構造体を図2、図4、図5、図7、及び図8に例示する。
【0029】
他の一つの実施例においては、低放射率部分を含む熱線反射層(30)を有する第二部分を、熱線透明で可視光不透明の基材に殆ど又は全く接しない状態で、熱線透明で可視光不透明の基材(1)を有する第一部分の第二表面に隣接して配置して、マルチスペクトル選択反射性構造体を作成する。一実施態様においては、図1に示した構造体に類似して、仲介層(4)なしで構造体を作成してもよい。本発明の文脈において、隣接している、とは、(a)仲介層なしですぐ隣に設置されている、(b)直接的に接着されている、(c)仲介層と共に接着されている、又は(d)他の一つの材料の仲介層により他の層から分離されているが、特定の側に設置されている、のいずれかを意味する。本発明の所望のマルチスペクトル性能が得られるならば、熱線透明で可視光不透明の基材(1)の第二表面(13)と熱線反射層(30)との間に設置した、十分に熱線透明性の材料の一以上の仲介層を有するように実施態様を作成できる。これらの層は、互いに接着することも、互いに接着しないことも、又はこれらの任意の組み合わせであることも可能である。
【0030】
熱線反射層は、熱線反射層(30)の全表面に渡って単一の放射率を有する低放射率部分を有する場合があり、又は、あるいは、放射率の幅を提供してもよい。一実施態様において、図7に例示されているように、熱線反射層(30)は、熱線透明で可視光不透明の基材(1)の第二表面(13)に隣接する、複数の分離されている低放射率部分(31、32、33)を有していてもよい。一実施態様においては、熱線反射層(30)は、低反射率成分の単一の連続層を含んでもよく、又は別の実施態様においては、熱線反射層(30)は低放射率部分の不連続パターンを有していてもよい。
【0031】
特性、例えば防液性、難燃性、又は化学的及び生物学的物質からの防護が望まれる場合の用途について、マルチスペクトル選択反射性構造体は、第一基材(1)の反対側にある熱線反射層(30)の側に隣接する、一以上の基材裏当て(5)を備えてもよい。図5に例示したように、多孔質基材裏当て(5)を、マルチスペクトル選択反射性構造体の、熱線反射層(30)の一方の側に任意で作成してもよい。この実施態様は、可視光反射性、nIR反射性、及び熱線反射性とは独立して、構造体の特性を強化することで、本発明の有用性をさらに増強する。図5に示したように、布地層を多孔質基材裏当て(5)として使用してもよい。多孔質基材裏当て(5)は、例えば耐摩耗性又は引裂強度を改良するために、付着手段(8)、例えば熱線反射層の接着ボンドにより付着してもよい。布地は多孔質基材裏当て(5)としての使用に特に適しており、そして、布地を調整して、快適性及び審美性を保ちながら、マルチスペクトル選択反射性構造体に対して、改良した耐久性、構造安定性又は寸法安定性、難燃性、絶縁性等を付与してもよい。そのような目的に対して適当な布地には、限定するものではないが、織物、編物、及び不織材料が挙げられる。本発明の他の一つの実施態様において、多孔質基材裏当て(5)には、多孔質又は微孔質のフィルム、例えば延伸PTFEを有してもよい。多孔質又は微孔質のフィルムは、通気性を保ちながら、低反射率層に対して防護を提供することができる。
【0032】
本明細書に記載したMVTRテスト法によって測定される構造体の通気性は、1,000(g/m2/day)超であることが望ましい。2,000(g/m2/day)超の、4,000(g/m2/day)超の、6,000(g/m2/day)超の、8,000(g/m2/day)超の、及び10,000(g/m2/day)超の通気性でさえも、本明細書に記載した構造体で得られる。
【0033】
作成したマルチスペクトル選択反射性構造体(10)は、限定するものではないが、衣類、カバー、シェルター、隠れ場所及び網等を含む、様々な広い用途で使用してもよい。これらの構造体を有する物品は、マルチスペクトル選択反射性構造体の単一の構造体層、又は複数の構造体層と共に用いて作成して、適切な視覚特性及び反射特性の深度を得てもよい。例えば、衣類の着用者を隠す衣類用途の一実施態様において、小さく切断したマルチスペクトル選択反射性構造体材料(すなわち、1インチ×4インチのストライプ)の複数の層を、衣類の本体を形成する選択反射性構造体のもう一つの層に提供するのが有利となる場合がある。これは、強化された熱線反射性能を提供しつつ、着用者のシルエットをより大きく視覚的に混乱させる。マルチスペクトル選択反射性構造体を有する物品は、熱線透明で可視光不透明の基材を備えるその構造体の第一部分を、検知から防護すべき対象物又は物体からそむけ、且つ検知源に向けて形成する。それゆえ、その物品は、熱線反射層を有するその第二部分を、検知から防護すべき対象物又は物体の方に向けて、且つ検知源からそむけて、構造体を具備する。それゆえ、その物品が、例えば、テント、衣類、シェルター又は防護カバーを含む場合、その構造体の第一部分は、その物品の外側表面に対応又は隣接し、且つその構造体の第二部分は、その物品の内側表面に対応又は隣接し、そしてそれゆえに、検知から防護すべきその対象物又は物体に近接する。
【0034】
熱線検知から防護される着用者/装置と、マルチスペクトル選択反射性構造体層との間に、絶縁材料又は絶縁複合材料を選択的に適用することにより、本明細書に記載されたマルチスペクトル選択反射性構造体を有する物品の熱線性能特性がさらに強化される場合がある。例えば、一実施態様において、例えば衣類の肩に対応する部分に与えた絶縁材料をさらに備えるマルチスペクトル選択反射性複合材料を有するように、衣類を形成して、衣類のホットスポットを最小化し、そして熱線のサインを減少する。長時間に渡って(例えば24時間を越えて)、熱線のサインを減少するニーズが存在する場合には、例えば共に所有される米国特許第7,118,801号に教示されている、高性能絶縁材料が好ましい場合がある。これらの絶縁材料は、その装置の熱い部分(例えばエンジン室)を覆うのにも適している場合がある。そして、これは、本明細書に記載されたマルチスペクトル選択反射性構造体材料から作られた、熱的サインをさらに覆い、且つ可視光画像及びnIR画像を抑制するであろうカバーと組み合わせて使用してもよい。
【0035】
別の実施態様において、本発明のマルチスペクトル選択反射性構造体は、約20mm未満、そして好ましくは約10mm未満、そしてより好ましくは約7mm未満、そしてよりさらに好ましくは約5mm未満の厚みを有してもよい。
【0036】
別の実施態様において、本発明のマルチスペクトル選択反射性構造体は、約20oz/yd2未満、そして好ましくは約15oz/yd2未満、そしてより好ましくは約10oz/yd2未満、そしてよりさらに好ましくは約7oz/yd2未満の重量を有していてもよい。
【0037】
別の実施態様において、本発明のマルチスペクトル選択反射性構造体は、約3000g未満、そして好ましくは約2000g未満、そしてより好ましくは約1000g未満、そしてよりさらに好ましくは約500g未満のハンド(hand)を有していてもよい。
【実施例】
【0038】
防液性テスト
【0039】
防液性テストを以下のように実施した。水を代表のテスト液体として用いた、変更したズーター(Suter)テスト器具を用いることにより、材料構造体に防液性テストをした。固定された配置において、2つのゴム製ガスケットによりシールされた約4と1/4インチの直径のサンプル領域に対して、水を押し付けた。一以上の布地層を組み込んだサンプルについては、布地層は水を押し付ける面と反対に向けた。非布地サンプル(すなわち、布地層に積層されていないフィルム)にズーターテストをする際には、スクリムをそのサンプル上面(すなわち、水を押し付ける面と反対の面)に配置して、水圧にさらされた場合のサンプルの異常な引き伸ばしを防ぐ。そのサンプルは、大気条件にさらされており、且つテスト実施者に目視可能となっている。適切なゲージに表示されたとおりに、そしてインラインバルブにより調節して、サンプル上の水圧を、水の容器に繋げたポンプにより、約1psiに上げる。テストサンプルをある角度にし、そして水を再循環して、サンプルの下側の表面に対し、水の接触及び空気の非接触を確保する。そのサンプルを通って強いられるであろう、あらゆる水の出現を三分の間、サンプルの上側の面を目視で観察する。表面に現れる液体の水を漏れと解釈する。三分以内にそのサンプル表面上に液体の水が目視されない場合に、そのサンプルは防液テスト(ズーターテスト)に合格したとみなす。このテストに合格したサンプルは、本明細書に用いられた「防液性」と定義される。
【0040】
ハンドテスト
【0041】
Thwing−Albert Handle−O−Meter(Thwing−Albert Instrument Company社、モデルNo.211−5、フィラデルフィア、ペンシルベニア州)を用いて、ハンドを測定した。テストサンプルを1/4インチのスロットに強引に通すためにビーム負荷を用いた。積層サンプルをテストする際には1000グラムの負荷を用いた。その測定機器は、サンプルの曲げ剛性に関係する抵抗力を測定し、そして抵抗のピークをデジタル表示する。サンプルの方向性及び非対称性を適切に定量化するために、X方向及びY方向それぞれに対する曲げに関して異なったサンプルを切断する。その材料から4インチ四方を切断して、測定した。
【0042】
典型的なテストにおいて、X方向のサンプルは、X方向がスロットに垂直に伸びるように装置の上に配置する。サンプル構造体を上にした状態で、そのテストを開始し、ビームを低くし、そしてサンプルをテストテーブル上のスロットに強引に通す。ピークの抵抗値を「上向きサンプル構造体」として表示し、且つ記録する。続いて、同じサンプルをひっくり返し、そして180°回転させて、異なる場所を曲げる。この新しい配置で、サンプルをスロットに強引に通して、テストを再び開始する。この二つ目の抵抗値を「下向きサンプル構造体」として記録する。この手順をY方向のサンプル(Y方向がスロットに垂直に向いているもの)に対しても繰り返し、「上向きサンプル構造体」及び「下向きサンプル構造体」の二つの値を得る。
【0043】
結果として得られた4つの値(X方向及びY方向、上向きサンプル構造体及び下向きサンプル構造体)を追加して、サンプルの剛性を特徴付ける全ハンド数を提供する(方向性及び非対称性を考慮)。少なくとも2つのそのような全ハンド数を得て、そして平均化し、報告したハンド数に到達した。
【0044】
水蒸気透過率(MVTR)
【0045】
水蒸気透過率(MVTR)を測定するために採用したテストの記載を以下に与える。この手順は、フィルム、コーティング、及びコーティング物品のテストに適している。
【0046】
この手順において、酢酸カリウム35重量部及び蒸留水15重量部からなる飽和塩溶液約70mlを、その口部分において6.5cmの内径を有する、133mlポリプロピレンのカップに入れた。米国特許第4,862,730号(CROSBY)に記載された方法でテストすると最小のMVTRが約85000g/m2/24hを有する、延伸ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜を、カップのヘリに熱融着して、強く張った、漏れ防止の、微孔質の、その溶液を含むバリアを生成した。
【0047】
同様の延伸PTFE膜を水槽の表面に取り付けた。この水槽アセンブリを、調温室及び水循環槽を用いて、23℃+0.2℃で調節した。
【0048】
テストするサンプルを、テスト手順を実施する前に、23℃且つ相対湿度50%の条件にした。サンプルは、第一基材を、水槽からそむけて、そしてその反対表面を、水槽の表面に取り付けられた延伸ポリテトラフルオロエチレン膜に接触させて、配置し、そしてカップアセンブリの導入の前に、少なくとも15分間、平衡にした。カップアセンブリを1/1000g精度まで秤量し、そしてテストサンプルの中心上に逆さまにしておいた。
【0049】
水移送は、その方向の拡散により水流を提供する、水槽中の水と飽和塩溶液との間の駆動力により与えられる。サンプルを15分間テストし、そしてその後カップアセンブリを取り外し、再度1/1000gまで秤量した。
【0050】
そのサンプルのMVTRを、カップアセンブリの重量増加から計算し、そして24時間当たりの、サンプル表面の平方メートル当たりの、水のグラム数で表した。
【0051】
可視光及び近赤外線についての反射率テスト法
【0052】
可視光及び近赤外線(nIR)のスペクトル範囲における、サンプル(例えば、構造体の第一基材の着色されている側)の近法線半球反射率のスペクトルを、反射及び拡散放射の両方を集光するSpectralon(Labsphere社、DRA2500)でコーティングした直径150mm積分球を有するUV/VIS/nIR分光光度計(Perkin−Elmer社、Lambda950)を用いて測定した。二光線モードの運転で反射率測定を実施し、且つSpectralon材料を250nmから2500nmまで20nm間隔でリファレンスとして使用した。
【0053】
裏当てを有する単一層としてサンプルを測定した。使用した裏当ては、光沢のない黒色のポリマーシートであった。測定は最低でも三つの領域について行い、そして測定した領域のデータを平均化した。この作業では、正反射成分が含まれる状態で、ほぼ法線入射で、すなわちサンプルを法線から10°以下の角度で観察し、測定を実施した。その測定機器で用いられる標準の開口部サイズで、分光光度計の光度計の正確性を1%以内、且つ波長の正確性を2nm以内に校正した。裏当て材料による信号損失を補償するために、積分球を用いた材料の反射率に関してASTM:E903−96標準試験法に従って、サンプルの反射率を計算した。
【0054】
特定の波長範囲に対する全測定点のデータの平均の半球反射率に関して、可視光及び近赤外線の範囲の分光光度計測定の結果を表1に示す。
【0055】
熱赤外スペクトル範囲にわたっての半球反射率及び透過率のテスト方法。
【0056】
熱赤外スペクトルでの近法線半球透過率及び反射率は、本発明の設計及び評価に非常に重要である。測定された半球反射率及び透過率スペクトルを使用して、キルヒホッフの法則(ε=1−R−T、不透明基材についてはε=1−R[ここでεは放射率、Rは反射率、そしてTは透過率])により、方向性放射率を計算できる。
【0057】
方向性半球透過率及び反射率を測定するために、そのサンプルをその法線から10°以下の角度で、正反射成分が含まれる状態で、観察した。8cm−1のスペクトル解像度を用いて、600cm−1から5000cm−1の範囲にわたって、そのサンプルのスペクトルの半球透過率及び反射率の測定を実施した。セラミックコーティングされたグローバー光源及びGeコーティングされたKBrビームスプリッターで構成される、フーリエ変換赤外線(FTIR)分光光度計(Bio−Rad社、FTS−6000)により、光の放射源及び波数選択性を与えた。金拡散コーティングされた直径150mmの積分球(Pike Technologies社、Mid−IR IntegratIR)を用い、サンプルを球の表面に切り込んだポートに取り付けた状態で、半球の測定形状を提供した。球の底面の一部に視野を制限した状態で、液体窒素冷却したMCT検出器をその球の上部に取り付けた。Mid−IR Integral IRは、サンプルの8段階の照明を特徴とし、且つ反射性サンプルは、上向き球のサンプルポートの上に直接に、又は薄い赤外線透過性ウィンドウ上に、配置する。
【0058】
反射率測定に関して、サンプルの約40mm2の正方形部分を切断し、そして積分球上の18mmの水平反射サンプリングポートの上に取り付けた。金拡散の参照標準を測定に用いて、そして全てのサンプルを、光沢のない黒のペイントでコーティングされたポリマーでできた裏当て材上に配置した。それぞれのサンプルのスペクトルを、高速スキャンモード且つサンプル当たり200スキャンで収集した。三つの測定値をそれぞれのサンプルに対して得て、そしてその結果のデータを平均化した。裏当て材料による信号損失を補償するため、積分球を用いた材料の反射率に関してのASTM:E903−96標準試験法に従って、サンプルの反射率を計算した。
【0059】
2μmから17μmの範囲における透明材料又は半透明材料の透過率を、標準の2インチ×3インチのサンプルホルダーを収容する透過率位置に配置することで、測定した。その後、その測定装置を、絶対測定(100%)の位置にセットし、そして測定位置にサンプルのない状態で100%信号を記録した。その後、サンプルを設置して、そして透過した測定値を記録する。100%信号により割り算された透過した信号が透過率と等しい。
【0060】
表1は、3μm〜5μm及び9μm〜12μmのスペクトル範囲に渡って、全データ点を集めて平均化した、方向性半球透過率及び反射率のデータを含む。
【0061】
透過光学密度テスト法。
【0062】
本特許の目的に関して、可視光不透明性を光学密度(OD)の点から測定する。
【0063】
そのサンプルの室温での透過光学密度を、デスクトップ濃度測定装置(Tobias Associates,Inc.、モデルTRX−N、アイヴィーランド、ペンシルベニア州、米)で測定した。その装置は、光源、及び475nm〜675nmの間で20%超のスペクトル応答を有するシリコン光検出器から構成されている。この装置は、透過モードと反射モードとの両方で、フィルムの光学密度を測定する能力がある。透過モードを全ての測定に使用した。
【0064】
光学密度は人間の目の応答に類似した測定である。光学密度は、次の式で定義される。
OD=Log 1/T
ここで、ODは光学密度、そしてTは透過率である。
【0065】
その測定装置は起動時間に約10分必要である。テストエリアは直径約3mmであり、そして測定したサンプルはテストエリアを完全に覆うのに十分な長さであった。テスト手順は以下のとおりである。
1.サンプルポートに渡って、0.0075インチの厚みの標準PETフィルムを配置する。
2.光ポートまで検出アームを低くし、そしてコントロールボタンを押すことにより、ゼロ点をセットする。
3.デジタルの読み出しがゼロとなる。
4.結果を記録する。
5.光ポートを覆うために光テーブル上にテストサンプルを配置する。
6.光ポートを覆うサンプルまで検出アームを低くし、そしてコントロールボタンを押す。
7.LEDディスプレイから結果を読み、記録する。
8.残りのサンプルについて、5から8のステップを繰り返す。
【0066】
光学密度の測定値は、1セグメントが一桁に対応する、3つの7セグメントのLEDディスプレイユニット上に表示される。この特許の目的に関して、475〜675nmの間でODが0.30超の場合、材料は可視光不透明とみなされるだろう。
【0067】
放射率測定テスト法。
【0068】
サンプルの室温付近での赤外放射を、ポータブル放射率測定器(Devices&Services社、AEモデル、テキサス、米国)で測定した。この放射率機器は、標準の高放射性材料及び低放射性材料と比較して、全熱線放射を測定する。
【0069】
Devices&Services社のAEモデルの放射率測定器は、測定ヘッド及びデジタル計数電圧計からなる。測定ヘッドは、測定中にテストサンプルが大気温度のままでいながら、その放射線検出器を355Kまで加熱するように設計されている。放射線検出器は、2つの高ε及び2つの低εを有する差動熱電対であり、そしてそれゆえ、それ自体とサンプルとの間の放射による伝熱だけに応答する。その検出器は、赤外線放射の波長に対してほぼ一定の応答を有し、4.3mmの距離から直径50mmのサンプルエリアを観測する。その製造者は、検出器のアウトプット電圧は±0.01単位内で、εとの一次関数であり、そしてT4d−T4sに比例すると明記している。ここで、Td及びTsは、それぞれ検出器及びテストサンプルの絶対温度である。直径66.7mmで且つ厚み4mmの二つの「標準」が、放射線検出器と共に提供されており、これらは0.06及び0.90のイプシロンを有する。この測定装置は、起動に60分必要である。放射率測定器は比較評価をするので、使用前に校正をしなければならない。二つの標準を、共に大気温度にするために、ヒートシンク上に配置する。
【0070】
その後、その検知ヘッドは高放射率の標準の上に配置し、そして平衡のために約90秒放置した後でその電圧計の出力値を0.90となるように調節する。その後、検知ヘッドを低放射率の標準の上に配置し、そして電圧計の読みが0.06となるようにオフセット用微調整可変素子を調節する。放射率測定器を一つの標準から他の標準に移動しても、電圧計の表示があらゆる調節のない状態で二つの値を示すまで、調節を繰り返す。
【0071】
放射率を測定するために、サンプルを標準と同様のサイズ及び形状に切断し、ヒートシンク上に配置し、そして平衡となるようにする。検知ヘッドをその上に配置する。そして、その電圧計の表示は、そのテスト表面の半球放射率を直接的に与える。AEモデルの放射率測定装置は、おおよそ3〜30μmの波長範囲で半球放射率を測定する。
【0072】
実施例1
カーボンコーティングしたePTFE及び金属化されたePTFEを備える構造体のサンプルを、以下の方法で作成した。
【0073】
以下の例外はあるが、米国特許出願公開2007/0009679の実施例3に記載されているように、カーボンコーティングしたePTFE(第一基材に相当)を含む第一部分を作成した。使用したePTFEの膜は、約30μmの厚み、約9グラム/m2の重量、且つ0.2μmの平均気孔サイズを有していた。使用したカーボンブラックの量は、ePTFE膜の重量に対して約0.9%であった。第一部分の第一基材の光学密度及び熱線反射の特性を、本明細書のテスト方法に従って測定し、そして表1に示した。
【0074】
金属化されたePTFEを含む第二部分を、米国特許第5,955,175号に従って作成した。これは熱線反射層に相当する。金属化された側について、本明細書のテスト方法に従って放射率を測定し、表1に示した。
【0075】
その後、第一部分を、第二部分の金属化された側に向けて配置し、そしてポリエチレンフィルムの0.5milの層を間に配置した。その層を、約350°Fで約10秒間、Heat Press(Geo Knight and Co.、モデル178SU)を用いて結合して、構造体を形成した。本実施例に従って作成し、そして構造体サンプルのカーボンコーティングしたePTFE側から測定した構造体サンプルのマルチスペクトルでのテストの結果を、表1並びに図9、図10及び図11に示した。表1に示したように、この構造体は、約8%の可視光反射率、約12%のnIR反射率、約28%のMWIR反射率、且つ約50%のLWIR反射率を有していた。
【0076】
図9、図10及び図11のスペクトル応答曲線は、テストをした広域波長に渡っての、反射率及び透過率の変動性を示している。報告した平均の結果は、表1に示した特定の波長範囲に渡っての、これらの図のデータから計算している。図11は、構造体についての約8μm〜9μmの反射率のデータを追加で含んでいる。
【0077】
実施例2
カーボンコーティングしたePTFE層、Alホイル及び布地裏当てを備える構造体のサンプルを、以下の方法で作成した。
【0078】
実施例1に記載されているように、第一基材に相当する、カーボンコーティングしたePTFEの第一部分を作成した。第一基材の光学密度及び熱線透過の特性を本明細書のテスト方法に従って測定し、そして表1に示した。
【0079】
布地裏当てに付着した、ホイルの不連続層を有する第二部分を作成した。これは、熱線反射層に相当している。その第二部分は、Al転写ホイル(Crown Roll Leaf社、No.MG39−100G)の層に孔を開けることで形成して、おおよそ30%の開孔を提供して、転写ホイルの不連続層を形成した。転写ホイルの不連続層を、連続の熱可塑性ポリウレタン接着剤(8)を用いて布地裏当てに付着して、熱線反射層に相当する、第二部分を形成した。これらの層を、約280°Fで約8秒間、Heat Press(Geo Knight and Co.社、モデル178SU)を用いて結合した。不連続のアルミ転写ホイル側について、本明細書のテスト方法に従って放射率を測定し、そして表1に示した。
【0080】
その後、第一部分を、第二部分のそのホイル側の上に配置し、そして実施例1に記載したヒートプレスを用いて互いに結合し、そして転写ホイルの不連続相の開孔部に相当するポリウレタン接着剤部分を、第一基材に直接付着して、構造体を形成した。この実施例に従って作成し、そしてそのサンプルの第一部分側から測定した、構造体サンプルをマルチスペクトルテスト結果を表1に示した。この構造体は、約7%の可視光反射率、約11%のnIR反射率、約31%のMWIR反射率、且つ約43%のLWIR反射率を有していた。本明細書に記載したハンドテスト方法によって測定したこのサンプルのハンドは、186gであった。
【0081】
実施例3
着色したePTFE層、Alホイル及び布地裏当てを備える構造体のサンプルを、以下の方法で作成した。
【0082】
黒のSharpie(商標)耐久マーカーの実質的に連続の単一なコーティングで、1.2milのePTFE(約0.2μmの平均気孔サイズ、且つ単位平方メートル当たり約18グラム)層を着色することによって、第一部分を作成して、その構造体の第一基材を備えた。第一基材の光学密度及び熱透過の特性を本明細書のテスト方法に従って測定し、そして表1に示した。
【0083】
第二部分は、Al転写ホイル(Crown Roll Leaf社、部品No.MG39−100G)の層に孔を開け、約30%の開孔を提供して、転写ホイルの不連続層を形成して作成し、熱線反射層を含んだ。この転写ホイルの不連続層を、連続の熱可塑性ポリウレタン接着剤を用いて布地裏当てに付着した。このホイル及び布地裏当ての層を、約280°Fで約8秒間、Heat Press(Geo Knight and Co.社、モデル178SU)を用いて結合した。不連続アルミ転写ホイル側について、本明細書のテスト方法に従って放射率を測定し、そして表1に示した。
【0084】
その後、第一部分の着色していない側を、第二部分のホイル側の上に配置し、そして第一部分及び第二部分を、実施例1に記載したヒートプレスを用いて互いに結合して、構造体を形成した。転写ホイルの不連続層の開孔部に相当する、ポリウレタン接着剤部分を、第一基材に直接付着した。
【0085】
この実施例に従って作成し、そしてそのサンプルの第一部分側から測定した、構造体サンプルのマルチスペクトルでのテスト結果を、表1に示した。この構造体は、約5%の可視光反射率、約11%のnIR反射率、約48%のMWIR反射率、且つ約43%のLWIR反射率を有していた。
【0086】
実施例4
印刷されたePTFE及び金属化されたePTFEを備える構造体のサンプルを、以下の方法で作成した。
【0087】
1.2milのePTFE(約0.2μmの平均気孔サイズ、且つ単位平方メートル当たり約18グラム)の第一部分を、約13%Rhodapex ES−2(Rhodia社)及び約6%ヘキサノールの水溶液でコーティングして、そして乾燥させた。HP Designjet 110plusプリンターを用いて、コーティングされたePTFEフィルムにカラー画像を印刷して、第一基材を作成した。第一部分の第一基材の光学密度及び熱線透過の特性を、本明細書のテスト方法に従って測定し、そして表1に示した。
【0088】
金属として金を使用し、そして疎油性コーティングを除去して、米国特許第5,955,175号に従って金属化されたePTFEの第二部分を作成して、熱線反射層を作成した。金属化された側について本明細書のテスト方法に従って放射率を測定し、そして表1に示した。
【0089】
実施例1に記載したように、第一部分の印刷されてない側を、第二部分の金属化された側に、0.5milのポリエチレン層を使用して結合した。
【0090】
この実施例に従って作成し、そして第一部分側から測定した、構造体サンプルのマルチスペクトルテストの結果を、表1並びに図9、図10及び図11に示した。表1に示したように、この構造体は、約38%の可視光反射率、約62%のnIR反射率、約60%のMWIR反射率、且つ約47%のLWIR反射率を有していた。図11に示したスペクトル応答は、ePTFE第一部分に印刷されたその構造体が、主に250〜600nmの間の可視光波長域で、反射に影響を与えることを示す。
【0091】
実施例5
以下の例外を除いて、実質的に実施例1に従って構造体のサンプルを作成した。
【0092】
カーボンコーティングしたePTFE層の代わりに、黒のSharpie(商標)耐久マーカーの実質的に連続の単一なコーティングで、1.2milのePTFE(約0.2μmの平均気孔サイズ、且つ単位平方メートル当たり約18グラム)層を着色することによって第一部分を作成して、その構造体の第一基材を作成した。第一基材の光学密度及び熱線透過の特性を本明細書のテスト方法に従って測定し、そして表1に示した。
【0093】
実施例1のようの作成し、そしてテストした第二部分の金属化された側について、本明細書のテスト方法に従って放射率を測定し、そして表1に示した。
【0094】
その後、第一部分の着色していない側を、不連続のポリウレタン接着剤を用いて、第二部分の金属化された側に結合した。その後、布地を、不連続のポリウレタン接着剤を用いて第二部分の金属化されていない側に積層して、構造体を形成した。本実施例に従って作成したサンプルのマルチスペクトルでのテストの結果を第一部分側から測定し、そして表1並びに図9、図10及び図11に示す。この構造体は、表1に示したように、約5%の可視光反射率、約12%のnIR反射率、約53%のMWIR反射率、且つ約54%のLWIR反射率を有していた。
【0095】
実施例6
金属コーティングにより連結した、カーボンコーティングしたePTFEの2つの層を備える構造体のサンプルを、以下の方法により作成した。
【0096】
第一部分の第一基材に相当する、カーボンコーティングしたePTFEのサンプルを実施例1に記載したように作成した。第一基材の光学密度及び熱透過の特性を、本明細書のテスト方法に従って測定し、そして表1に示した。
【0097】
第一部分の、カーボンコーティングしたePTFE第一基材を大雑把に二等分した。片方の部分を、室内/屋外用ゴールドメタリックスプレーペイント(Krylon社、Part No.1510−H597)で、その缶にある説明に従ってペイントして、熱線反射層を作成した。残りのペイントしていない部分のうちカーボンコーティングしていない側を、他方の部分の塗りたてのペイントの上に配置して、そして手で平滑にして、しわを取り除いた。そして、ペイントを接着剤及び低放射率部分の両方として機能させて、複合サンプルを作成した。サンプルを約10分間乾燥して、放射率測定器(Devices&Services社、AEモデル、テキサス、米国)を用いて放射率を測定した。
【0098】
本実施例に従って作成したサンプルのマルチスペクトルテストの結果を、第一試料側から測定し、そして表1に示す。この構造体は、約9%の可視光反射率、約13%のnIR反射率、約31%のMWIR反射率、且つ約41%のLWIR反射率を有していた。
【0099】
実施例7
ポリプロピレン及び金属を有する構造体のサンプルを以下の方法により作成した。
【0100】
黒のSharpie(商標)耐久マーカーの実質的に連続の単一なコーティングで、2.5milのポリプロピレンフィルム層の一面を着色することによって、第一部分の第一基材を作成した。第一基材の光学密度及び熱線透過の特性を、明細書のテスト方法に従って測定し、そして表1に示した。
【0101】
米国特許第5,955,175号に実質的に従って、金属化されたePTFE材料を有する熱線反射層を作成した。金属化された側について本明細書のテスト方法に従って放射率を測定し、そして表1に示した。
【0102】
約350°Fで約10秒間、Heat Press(Geo Knight and Co.社、モデル178SU)を用いて、その後、第一基材の着色されていない側を、熱線反射層の金属化された側に結合して、構造体を形成した。
【0103】
この実施例に従って作成した構造体サンプルを、着色した側から測定した場合の、マルチスペクトルでのテストの結果を、表1並びに図9、図10及び図11に示す。表1に示したように、この構造体は、約7%の可視光反射率、約16%のnIR反射率、約43%のMWIR反射率、且つ約78%のLWIR反射率を有していた。
【0104】
実施例8
金属化されたポリウレタンの構造体のサンプルを以下の方法で作成した。
【0105】
1milのポリウレタンフィルム(Deerfield Urethanes社,Part No. 1710S,ディアフィールド、マサチューセッツ州)のサンプルを有する第一基材を、物理的気相成長法を用いて金属化した。約300nmのアルミニウムを、第一基材の第二表面上に、物理的気相成長法によって堆積した。その後、黒のSharpie(商標)耐久マーカーの実質的に連続の単一なコーティングで、金属化されていない側に対し、このサンプルを着色した。
【0106】
Sharpie(商標)マーカーで実質的にコーティングされたPUフィルムの、金属化されてない部分を利用して、第一基材サンプルの特性を測定した。この基材の光学密度及び熱線透過の特性を本明細書のテスト方法に従って測定し、そして「第一部分」として、表1に示した。
【0107】
この実施例に従って作成した構造体サンプルについての、マルチスペクトルでのテストの結果を着色された側から測定し、そして表1に示す。この構造体は、約7%の可視光反射率、約13%のnIR反射率、約54%のMWIR反射率、且つ約18%のLWIR反射率を有していた。
【0108】
実施例9
ポリエチレンフィルムとアルミニウムホイルを備える構造体のサンプルを以下の方法で作成した。
【0109】
黒のSharpie(商標)耐久マーカーの実質的に連続の単一なコーティングで、2.0milのポリエチレンフィルム層を着色することによって第一部分を作成して、第一部分の第一基材を構成した。第一基材の光学密度及び熱線透過の特性を、本明細書のテスト方法に従って測定し、そして表1に示した。
【0110】
Stor−Itブランドのアルミニウムホイルを有する第二部分を、熱線反射層として用いた。本明細書のテスト方法に従って放射率を測定し、そして表1に示した。
【0111】
PEフィルムの着色されていない側をアルミニウムホイルに隣接して配置し、そしてマルチスペクトル選択反射性構造体として利用した。本実施例に従って作成した構造体サンプルについての、マルチスペクトルでのテスト結果を、着色した側から測定し、そして表1並びに図9、図10、及び図11に示した。表1に示したように、この構造体は、約7%の可視光反射率、約23%のnIR反射率、約70%のMWIR反射率、且つ約73%のLWIR反射率を有していた。
【0112】
実施例10
以下の例外を除いて、実質的に実施例5に従って構造体のサンプルを作成した。不連続のポリウレタン接着剤の代わりに、Super77(商標)多用途接着剤(3M社)の連続コーティングを用いて、第一部分及び第二部分を共に結合した。また布地裏当てを省略した。
【0113】
実施例5のように作成した第一部分の第一基材の光学密度及び熱線透過の特性を、本明細書のテスト方法に従って測定し、そして表1に示した。
【0114】
実施例5のように、本明細書のテスト方法に従って、第二部分の放射率を、金属化された側について測定し、そして表1に示した。
【0115】
構造体のサンプルについての、マルチスペクトルでのテストの結果を、着色された側から測定し、そして表1に示す。本発明のこの実施態様では、約4%の可視光反射率、約9%のnIR反射率、約34%のMWIR反射率、且つ約16%のLWIR反射率を有していた。
【0116】
実施例11
ポリウレタンフィルムを1.5milのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに換えて、実質的に実施例8に従って構造体のサンプルを作成した。金属化されていない側から放射率を測定し、そして熱線反射層についてその値を表1に示した。
【0117】
実施例8と同様に、Sharpie(商標)マーカーで実質的にコーティングしたPETフィルムの金属化されていない部分を利用して、第一基材の特性を測定した。この基材の光学密度及び熱線透過の特性を、本明細書のテスト方法に従って測定し、そして「第一部分」として、表1に示した。
【0118】
この実施例に従って作成した構造体サンプルについての、マルチスペクトルでのテストの結果を、着色した側から測定し、そして表1に示す。この構造体は、約7%の可視光反射率、約17%のnIR反射率、約63%のMWIR反射率、且つ約5%のLWIR反射率を有していた。
【0119】
実施例12
ePTFE及び金属化されたePTFEを備える構造体のサンプルを、以下の方法で作成した。
【0120】
1.2milのePTFEフィルム(約0.2μmの平均気孔サイズ、且つ単位平方メートル当たり約18グラム)の第一部分を、光学密度及び熱透過の特性について、本明細書のテスト方法に従って測定し、そして表1に示した。
【0121】
金属化されたePTFEを有する第二部分を、米国特許第5,955,175号に従って作成した。これは熱線反射層に相当する。本明細書のテスト方法に従って、放射率を金属化された側について測定し、そして表1に示した。
【0122】
その後、第一部分を第二部分の金属化された側と反対に配置し、そしてポリエチレンフィルムの0.5milの層を間に配置した。その層を、構造体を形成するために、約350°Fで約10秒間、Heat Press(Geo Knight and Co.、モデル178SU)を用いて結合した。この実施例に従って作成し、そしてそのサンプルのカーボンコーティングされたePTFE側から測定した、構造体サンプルのマルチスペクトルでのテストの結果を表1並びに図9、図10及び図11に示した。
【0123】
表1に示したように、この構造体は、約86%の可視光反射率、約73%のnIR反射率、約56%のMWIR反射率、且つ約83%のLWIR反射率を有していた。
【0124】
実施例13
カーボンコーティングされたePTFE及び金属化されたポリエステルを備える構造体のサンプルを、以下の方法で作成した。
【0125】
第一基材として実施例1でのようにカーボンコーティングされたePTFEの第一部分を提供することによって、サンプルを作成した。その後、熱線反射層(30)に相当する、Ni/Cu金属化ポリエステルタフタ(Laird社、No.3027−217)の第二部分を、第一部分に向けてゆるし置いた。
この実施例に従って作成した構造体のサンプルについての、第一部分側から測定したマルチスペクトルでのテストの結果を測定し、そして表1並びに図9、図10及び図11に示した。表1に示したように、この構造体は、約10%の可視光反射率、約15%のnIR反射率、約44%のMWIR反射率、且つ約61%のLWIR反射率を有していた。
【0126】
実施例14
Goreの部品(No.WJIX102108HZ)を入手して、その複合物のマルチスペクトルでの反射特性を測定した。そのGore部品は、許容範囲の可視光性能及びnIR性能を有する、軍隊規格に準拠した素材の代表であるが、熱線反射特性は必要がない。その素材は、裏当て布地を有する複合フィルムに積層した、カモフラージュプリントした布地である。4つの色模様(ライトタン、アーバンタン、ライトコヨーテ、及びハイランド)の各色を、それぞれ14a、14b、14c、14dとして測定した。マルチスペクトルテストの結果を表1に示す。
【表1】
【表2】
【技術分野】
【0001】
本発明は、EMスペクトルの可視光域、nIR域、SWIR域、MWIR域、及びLWIR域において、反射率及び透過率を制御する選択反射性構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
ハンター及び軍隊により使用されるカモフラージュ材料は、典型的には、電磁(EM)スペクトルの可視光部においてカモフラージュ特性を提供する。軍隊のカモフラージュへの最近の改良は、nIR部及び短波赤外線(SWIR)部に拡張している。中赤外線(MWIR)EM帯及び遠赤外線(LWIR)EM帯で動作する熱画像センサーの使用の増加によって、軍隊の使用者は、これらのセンサー帯域での改善された防護を求めてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
熱線帯域におけるカモフラージュ性能の達成のための通常の手段は、しばしばEMスペクトルの可視光域及びnIR域において、より高い反射率を与えることとなる。同様に、可視光域及びnIR域での性能の発揮は、しばしば熱線帯域での検知を増加する。それゆえ、単一の構造体で、EMスペクトルのマルチスペクトル(可視光、nIR、SWIR、MWIR、LWIR)の個々の帯域の全体にわたって、反射率、透過率、及び吸収特性を制御するための効果的なマルチスペクトルでの解決法は、得られていない。
【0004】
可視光、nIR、MWIR、及びLWIRを含む複数のEM帯において、反射率、透過率、及び吸収特性をコントロールしうる構造体について記載する。本発明の目的に関して、可視光を400〜600nm、nIRを700〜1000nm、MWIRを3〜5μm、及びLWIRを9〜12μmと定義する。本明細書で記載する方法は、8〜14μmの波長範囲において適切な特性を備える構造体を形成するためにも適している場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施態様において、a)ポリマー層及び着色剤を有する、熱線透明で可視光不透明の基材である第一部分、及びb)熱線透明で可視光不透明の基材の表面に隣接している低放射率部分を有する熱線反射層である第二部分を備える構造体について記載する。その構造体は、下記の平均反射率を有する:i)波長範囲400〜600nmで約70%未満、ii)波長範囲700〜1000nmで約70%未満、iii )波長範囲3〜5μmで約25%超、且つiv)波長範囲9〜12μmで約25%超。
【0006】
下記のステップを含む、表面又は対象物をマルチスペクトルにカモフラージュするための方法について記載する:a)ポリマー材料及び着色剤を有する、熱線透明で可視光不透明の基材を提供し;b)低放射率表面を有する熱線反射層を提供し;c)熱線透明で可視光不透明の基材に隣接している低放射率表面を配置して、マルチスペクトル選択反射性構造体を形成し;そしてd)検知手段と観察される対象物との間に、マルチスペクトル選択反射性構造体を配置すること。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】選択反射性構造体の概略の断面表示である。
【図2】選択反射性構造体の概略の断面表示である。
【図3】選択反射性構造体の概略の断面表示である。
【図4】選択反射性構造体の概略の断面表示である。
【図5】選択反射性構造体の概略の断面表示である。
【図6】選択反射性構造体の概略の断面表示である。
【図7】選択反射性構造体の概略の断面表示である。
【図8】選択反射性構造体の概略の断面表示である。
【図9】波長250nm〜2,500nmの間の、構造体の複数の実施例の反射率スペクトルである。
【図10】波長3.0μm〜5.0μmの間の、構造体の複数の実施例の反射スペクトルである。
【図11】波長8.0μm〜12.0μmの間の、構造体の複数の実施例の反射スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
マルチスペクトル選択反射性構造体を図1〜8を参照して説明する。本発明の目的に関して、可視光域を400nm〜600nm、nIRを700nm〜1000nm、MWIRを3〜5μm、及びLWIRを9〜12μmと定義する。MWIR及びLWIRのスペクトル応答は熱線領域を表す。
【0009】
図1で示した概略の構造体の断面表示で例示するように、一実施態様において、構造体(10)は下記の部分を備える:第一表面(12)及び第二表面(13)を有し且つ熱線透明で可視光不透明である基材(1)を有する第一部分;並びに熱線反射層(30)を有する第二部分。熱線反射層(30)は、低放射率部分を有し、且つ熱線透明で可視光不透明の基材(1)の第二表面(13)に隣接している。マルチスペクトル選択反射性構造体は、下記の平均反射率を有する:i)波長範囲400nm〜600nmで約70%未満、ii)波長範囲700nm〜1000nmで約70%未満、iii )波長範囲3μm〜5μmで約25%超、且つiv)波長範囲9μm〜12μmで約25%超。
【0010】
さらなる実施態様において、マルチスペクトル選択反射性構造体を、下記の平均反射率を有するように作成する:i)波長範囲400nm〜600nmで約50%未満、ii)波長範囲700nm〜1000nmで約70%未満、iii )波長範囲3μm〜5μmで約25%超、且つiv)波長範囲9μm〜12μmで約25%超。他の一つの構造体では、下記の平均反射率を有するように作成する場合がある:i)波長範囲400nm〜600nmで約70%未満、ii)波長範囲700nm〜1000nmで約50%未満、iii )波長範囲3μm〜5μmで約25%超、且つiv)波長範囲9μm〜12μmで約25%超。さらなる実施態様では、下記の平均反射率を有するようにマルチスペクトル選択反射性構造体を作成する場合がある:i)波長範囲400nm〜600nmで約70%未満、ii)波長範囲700nm〜1000nmで約70%未満、iii )波長範囲3μm〜5μmで約25%超、且つiv)波長範囲9μm〜12μmで約35%超。
【0011】
さらに、図1に関しては、構造体(10)は、光学的に着色された熱線透明で可視光不透明の基材(1)である第一部分を備える。熱線透明で可視光不透明の基材(1)は、ポリマー材料(2)及び着色剤(60)を有する。熱線透明性基材を形成するためには、ポリマー材料(2)は、3μm〜5μm及び9μm〜12μmのバンド幅において高透過率を有するポリマーから構成される。熱線透明で可視光不透明の基材(1)は、3μm〜5μm(MWIR)及び9μm〜12μm(LWIR)において、平均透過率が約30%超であれば、熱線透明性とみなされるだろう。いくつかの実施態様において、波長範囲3〜5μmにおいて、約40%、約50%、約60%、若しくは約70%以上の平均透過率、及び/又は波長範囲9〜12μmにおいて、約40%、約50%、約60%、若しくは約70%以上の平均透過率を有し且つ熱線透明で可視光不透明である基材を備えるように、構造体を作成する。
【0012】
熱線透明で可視光不透明の基材(1)のポリマー材料(2)には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、微孔質延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、フッ素化エチレンプロピレンコポリマー(FEP)、パーフルオロアルコキシコポリマー樹脂(PFA)、並びに、ポリプロピレン及びポリエチレン等のポリオレフィンを挙げてもよい。そのポリマー材料は、多孔質若しくは微孔質、又はモノリシック(monolithic)なものであってもよい。そのポリマー材料は、連続の又は不連続のポリマーフィルムでもよい。そのポリマー材料は、ポリマーフィルム又はポリマー繊維を含んでもよいポリマー層を含む。ポリマー材料(2)の、材料の厚さ、屈折率、及び気孔率を選択して、可視光不透明性及び熱線透明性の所望の水準を達成してもよい。5μm超の厚みを有するポリマー層は、ある種の用途に対して適切な場合がある。他の実施態様において、約20μm超のポリマー層、約40μm超のポリマー層、又は約100μm超のポリマー層が適切な場合がある。
【0013】
熱線透明で可視光不透明の基材を有する第一部分は、本明細書に記載された方法に従って測定したときに、475nm〜675nmの間の光学密度が約0.30超の場合、可視光不透明とみなされるだろう。他の実施態様において、構造体は、475nm〜675nmの間で、約0.70超の、約0.75超の、又は約1.0超の光学密度を有する熱線透明で可視光不透明の基材を有する場合がある。475nm〜675nmの間で、約1.5超の、約2超の、又は約3超の光学密度を有する熱線透明で可視光不透明の基材の実施態様が有用であるとみなされる場合もある。特定の光学密度、特定の熱線特性及び特定のnIR特性を、ポリマー材料(2)と着色剤(60)との組み合わせによって得てもよい。
【0014】
フィルムの気孔率を選択して、可視光不透明性の所望の水準に寄与する場合には、微孔質ポリマーフィルムが特に適当となる場合がある。図6に例示した一実施態様において、第一部分は、微孔質ポリマー材料(2)を有する、熱線透明で可視光不透明の基材(1)である。約5μm〜300μmの範囲の厚みを有する微孔質ポリマーフィルムは、本発明に関して用いられるある種の構造体に適当となる場合がある。例として、構造体は、厚みが約50μm未満で且つ光学密度が約0.5超である微孔質ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)フィルムを有する熱線透明で可視光不透明の基材を備えてもよい。一つの特定の実施態様においては、熱線透明で可視光不透明の基材は、0.77の光学密度を有する約35μmの厚みの微孔質ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)フィルムを含む。また、構造体は、約0.90超の光学密度を有する約120μm未満の厚みの微孔質ePTFEフィルムを有し且つ熱線透明で可視光不透明である基材を備えてもよい。特定の実施態様においては、熱線透明で可視光不透明の基材は、約1.1の光学密度を有し且つ約110μmの厚みの微孔質ePTFEフィルムを有する。
【0015】
着色剤を用いて、可視光、nIR、及びSWIRのスペクトル応答に影響を与えてもよい。着色剤(60)は、光を吸収、屈折、及び/又は反射する一以上の添加剤を含有していてもよい。着色剤(60)は、ポリマー材料(2)の第一表面(12)若しくは第二表面(13)のどちらか一方に配置すること、ポリマー材料中に入れること、又はポリマー材料(2)の第一及び第二表面(13)の両方に配置し且つポリマー材料中に入れることができる。着色剤は、限定するものではないが、酸性染料、分散染料、媒染染料及び溶剤染料等の一以上の染料を含有してもよい。着色剤は、限定するものではないが、カーボン顔料、カドミウム顔料、酸化鉄顔料、亜鉛顔料、砒素顔料及び有機顔料等の一以上の顔料を含有してもよい。着色剤はインク、トナー、又は他の適切なプリントメディアとして適用して、その染料又は顔料をポリマー基材上に又はポリマー基材中に供給してもよい。本発明により適切に用いられるインクは、固体型、水性型又は溶剤型であってもよい。
【0016】
着色剤(60)は単一の着色剤を含有してもよく、又は、例えば一つより多い着色剤のブレンドとして、一以上の着色剤(60、61、62、及び63)を含有してもよい。さらなる実施態様において、熱線透明で可視光不透明の基材(1)を有する第一部分は、複数の着色剤(61、62、63)を含んでもよく、そして、その複数の着色剤は、図3に描かれたような分離したパターン、又はカモフラージュパターンのようなパターンに適用してもよい。図4に描かれたように、第一部分の表面上、例えばポリマー材料(2)の第一表面(12)上に配置する場合、例えば、適切な結合サイトを有する染料の選択により、又はポリマー材料に着色剤を固定するバインダーの使用により、複数の着色剤(61、62、63)をポリマー材料に結合させてもよい。本発明に関して用いられているように、ポリマー材料(2)の第一表面(12)は、検知されることを防ぐ着用者若しくは対象物の反対の外側に向けられる表面、又はEMセンサー若しくはEM検知器の方向に面しているポリマー材料の表面に言及するものである。図6に描かれているように、着色剤(60)は、ポリマー材料(2)中に吸収させること、及び多孔質ポリマー材料の孔壁にコーティングしてもよい。あるいは、着色剤(60)をポリマー材料(2)にフィラーとして添加してもよい。
【0017】
熱線透明で可視光不透明の基材(1)を有する第一部分に所望の可視光不透明性を与えるため、ポリマー材料(2)の特性、例えば材料の厚み、屈折率、及び気孔率を調節する。例えば柔軟性を得るために、比較的薄い材料が好まれるある種の実施態様では、比較的薄い材料は可視光に透明すぎて、最終構造体の所望の特性を得ることが出来ないことがある。それゆえ、ある実施態様では、気孔率を上げることで可視光不透明性を増加させる場合がある。ポリマー材料(2)の選択と組み合わせて、着色剤(60)の選択及び濃度により、所望の範囲内の可視光不透明性を得る場合もある。例えば、約0.30未満の光学密度を有するようにポリマー材料を選択した場合、着色剤を添加して光学密度を増加させ、それによってポリマー材料及び着色剤を含み且つ熱線透明で可視光不透明である基材が、約0.30超の光学密度を有するようにしてもよい。着色剤の種類と濃度との両方を選択して、熱線透明で可視光不透明の基材(1)を有する第一部分の所望の可視光不透明性を得てもよい。一実施態様において、第一部分は、約0.77の光学密度を持つ約35μmの厚みの微孔質ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)層を含む。別の実施態様において、第一部分は、約1.1の光学密度を持つ約110μmの厚みの微孔質ePTFE層を含む。
【0018】
一実施態様において、第一部分を備える構造体であって、第一部分が熱線透明で可視光不透明の基材であり且つその基材が約35μmの厚さの微孔質ePTFE層及びカーボン着色剤を有する構造体は、1.5超の光学密度を有する。他の一つの実施態様において、熱線透明で可視光不透明の基材が微孔質ePTFE層及び着色剤を有する場合に、4.0超の光学密度を持つように構造体を形成し;同様の着色剤を有する別の実施態様では、可視光透明性のモノリシックのポリエチレンポリマー層を含む熱線透明で可視光不透明の基材は、1.0超の光学密度を持つ。
【0019】
EMスペクトルの可視光域で性能を与えることに加え、EMスペクトルの近赤外線(nIR)領域において、反射及び吸収の特定の水準を有するように構造体を形成してもよい。好ましい構造体は、波長範囲700nm〜1000nmで約70%未満の反射率を有する。nIR反射の所望の水準を有するように、ポリマー材料を有する熱線透明で可視光不透明の基材を形成する場合がある。最終構造体でnIR反射の所望の水準を達成するために、その構造体への他の層の付加に起因する影響を計算して、第一部分のnIR反射の水準を調節する場合がある。
【0020】
ある実施例においては、着色剤(60)を選択して、選択反射性構造体(10)の所望の可視光反射率に加え、特定のnIR反射率を得る。例えば、有色光(可視光)反射率及びnIR反射率の両方の所望の水準を達成する様式で、反射性及び吸収性の添加物を着色剤として選択し、そして第一部分のポリマー材料(2)に適用してもよい。一実施態様において、nIR用添加剤、例えばカーボンを含んで、微孔質材料、例えばePTFEを含む第一部分を形成してもよい。微孔質材料を形成するために使用するポリマー材料は、一以上のnIR用添加剤を含んでもよく、そして所望のnIR反射水準を有する熱線透明性微孔質フィルムに形成することができる。図2及び図4に示されているように、nIR用添加剤(90,91,92,93)、限定するものではないが、例えばカーボン、金属、及びTiO2を熱線透明で可視光不透明の基材(1)に添加して、特定のnIR反射率特性、SWIR反射率特性、MWIR反射率特性、又はLWIR反射率特性を得ることができる。
【0021】
赤外線(IR)用添加剤の使用、ポリマー材料の孔サイズの調節、及び/又はポリマー材料の厚みを調節することでも、短波赤外線(SWIR)におけるその構造体の特定の反射率特性を達成できる。SWIR(900nm〜2500nm)において、構造体に適当な特性は反射率70%未満である。
【0022】
広域スペクトル帯、例えば3μm〜30μmに渡っての平均熱線放射の測定は、熱線反射層の特性評価に適している。しかし、広域帯測定は、使用における構造体の特定の性能を適切に特性化しない。本明細書で記載した構造体は、興味のある比較的狭い領域の特定のスペクトル性能、例えば波長範囲3μm〜5μm(MWIR)又は波長範囲9μm〜12μmに渡って平均化した性能を与える。ある実施態様においては、これらの範囲内の興味のある特定の波長で、特定のスペクトル性能を特有の反射率に調整できる。3〜5μm及び/又は9〜12μmの、比較的狭い範囲内の反射率又は透過率を熱線性能とみなす。
【0023】
一実施態様において、波長範囲3μm〜5μmで約25%以上の平均反射率、及び/又は波長範囲9μm〜12μmで25%以上の平均反射率の熱線性能を有するように、マルチスペクトル選択反射性構造体を提供する。他の実施態様においては、波長範囲3〜5μmにおいて、約30%以上、約40%以上、約50%以上、若しくは約60%以上の平均反射率、及び/又は波長範囲9〜12μmにおいて約30%以上、約40%以上、約50%以上、若しくは約60%以上の平均反射率を有するように構造体を形成する。ある種の実施態様において、マルチスペクトル選択反射性構造体は、本明細書に記載したテスト方法に従って測定する場合、波長範囲3〜5μm及び/又は波長範囲9〜12μmで、30%より高く、且つ98%未満、90%未満、又は80%未満の反射率を持つ。
【0024】
さらに図1に関して、マルチスペクトル選択反射性構造体(10)は、第二の部分を備え、この第二の部分は波長範囲3μm〜5μm及び波長範囲9μm〜12μmで構造体に高い反射率を与え且つ低放射率部分(35)を含む熱線反射層(30)を有する。本明細書に記載した放射率測定テスト方法に従ってテストした場合に、その熱線反射層は、約0.75未満、約0.6未満、約0.5未満、約0.4未満、約0.3未満、又は約0.2未満の放射率を有する。低放射率部分(35)は、0.75未満の放射率を有するコーティング又は基材でもよい。低放射率部分は、限定するものではないが、Ag、Cu、Au、Ni、Sn、Al及びCr等の金属を含む。加えて、低放射率部分は、本明細書に記載した放射率測定テスト方法に従ってテストした場合に、約0.75未満、約0.6未満、約0.5未満、約0.4未満、約0.3未満、又は約0.2未満の放射率を有する、非金属材料を含んでもよい。低放射率部分での使用に適するであろう非金属材料としては、インジウムスズオキサイド、カーボンナノチューブ、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリフルオレン、及びポリアニリンが挙げられる。熱線反射層(30)の厚みを選択して、ある種の特性を得てもよい。柔軟性のあるマルチスペクトル選択反射性構造体が望まれる一実施態様においては、低放射率部分を有するその熱線反射層(30)の厚みが最小化されてもよく、そして約0.002インチ未満の薄い厚みを有する熱線反射層が選択されてもよい。
【0025】
一実施態様において、熱線反射層(30)は、熱線透明で可視光不透明の基材(1)の第二表面(13)に対して金属蒸着、又は金属粒子を含有するスプレーコーティング、例えば金属スプレー塗装により適用される低放射率部分から構成されていてもよい。さらなる実施態様において、図1に例示されているように、熱線反射層(30)は、熱線透明で可視光不透明の基材(1)の第二表面(13)に対して、仲介層(4)、例えば接着剤又はスペーサー材料を用いて、低放射率部分(35)を結合することにより形成してもよい。熱線反射層(30)は、例えば転写ホイルの形態で、低放射率部分を有してもよい。
【0026】
別の実施態様において、図6及び図7に例示されているように、熱線反射層(30)は熱線透明で可視光不透明の基材(1)の第二表面(13)の背面に配置され、又はその第二表面に接着されてもよい低放射率部分(35)、例えば金属含有フィルム又は金属スプレー塗装フィルムを有していてもよい。適当なフィルムの金属化は、フィルム表面中又はフィルム表面上での、無電解めっき法、蒸着、又は金属塩の還元により達成できる。
【0027】
もう一つの方法として、本発明に関して適当な金属含有フィルムは、金属充填ポリマーの押し出し、金属表面の含浸、又は金属フィルム若しくは金属粒子の積層若しくはカプセル化によって形成することができる。例えば、図8で例示されているように、構造体(10)は、熱線透明で可視光不透明の基材である第一基材(81)を有する第一部分(80)、及び第二基材(71)を有する第二部分(70)を備えてもよい。熱線反射層を有する第二部分(70)は、基材(71)、例えば低放射率部分(35)で金属化された延伸PTFEのようなフィルムを含み、且つ熱線透明で可視光不透明の第一基材(71)の第二表面(13)に仲介層(4)によって接着される。他の一つの実施態様において、熱線透明で可視光不透明である第一基材(71)の第二表面(13)に隣接して配置し且つ任意的に第一基材(81)に付着した金属化された布地を、第二部分(70)が有してもよい。
【0028】
一実施態様において、熱線反射層(30)を、熱線透明で可視光不透明の基材(1)の第二表面(13)に低放射率部分を添加することで形成する場合、連続の又は不連続の仲介層(4)を使用してもよい。連続の熱線透明性仲介層(4)、例えば接着剤又はスペーサー材を備えるマルチスペクトル選択反射性構造体を図1に例示する。あるいは、マルチスペクトル選択反射性構造体の所望の熱線特性を達成するために、十分な熱線透明性を有する不連続の仲介層(4)を使用してもよい。例えば、不連続の仲介層(4)を有するマルチスペクトル選択反射性構造体を図2、図4、図5、図7、及び図8に例示する。
【0029】
他の一つの実施例においては、低放射率部分を含む熱線反射層(30)を有する第二部分を、熱線透明で可視光不透明の基材に殆ど又は全く接しない状態で、熱線透明で可視光不透明の基材(1)を有する第一部分の第二表面に隣接して配置して、マルチスペクトル選択反射性構造体を作成する。一実施態様においては、図1に示した構造体に類似して、仲介層(4)なしで構造体を作成してもよい。本発明の文脈において、隣接している、とは、(a)仲介層なしですぐ隣に設置されている、(b)直接的に接着されている、(c)仲介層と共に接着されている、又は(d)他の一つの材料の仲介層により他の層から分離されているが、特定の側に設置されている、のいずれかを意味する。本発明の所望のマルチスペクトル性能が得られるならば、熱線透明で可視光不透明の基材(1)の第二表面(13)と熱線反射層(30)との間に設置した、十分に熱線透明性の材料の一以上の仲介層を有するように実施態様を作成できる。これらの層は、互いに接着することも、互いに接着しないことも、又はこれらの任意の組み合わせであることも可能である。
【0030】
熱線反射層は、熱線反射層(30)の全表面に渡って単一の放射率を有する低放射率部分を有する場合があり、又は、あるいは、放射率の幅を提供してもよい。一実施態様において、図7に例示されているように、熱線反射層(30)は、熱線透明で可視光不透明の基材(1)の第二表面(13)に隣接する、複数の分離されている低放射率部分(31、32、33)を有していてもよい。一実施態様においては、熱線反射層(30)は、低反射率成分の単一の連続層を含んでもよく、又は別の実施態様においては、熱線反射層(30)は低放射率部分の不連続パターンを有していてもよい。
【0031】
特性、例えば防液性、難燃性、又は化学的及び生物学的物質からの防護が望まれる場合の用途について、マルチスペクトル選択反射性構造体は、第一基材(1)の反対側にある熱線反射層(30)の側に隣接する、一以上の基材裏当て(5)を備えてもよい。図5に例示したように、多孔質基材裏当て(5)を、マルチスペクトル選択反射性構造体の、熱線反射層(30)の一方の側に任意で作成してもよい。この実施態様は、可視光反射性、nIR反射性、及び熱線反射性とは独立して、構造体の特性を強化することで、本発明の有用性をさらに増強する。図5に示したように、布地層を多孔質基材裏当て(5)として使用してもよい。多孔質基材裏当て(5)は、例えば耐摩耗性又は引裂強度を改良するために、付着手段(8)、例えば熱線反射層の接着ボンドにより付着してもよい。布地は多孔質基材裏当て(5)としての使用に特に適しており、そして、布地を調整して、快適性及び審美性を保ちながら、マルチスペクトル選択反射性構造体に対して、改良した耐久性、構造安定性又は寸法安定性、難燃性、絶縁性等を付与してもよい。そのような目的に対して適当な布地には、限定するものではないが、織物、編物、及び不織材料が挙げられる。本発明の他の一つの実施態様において、多孔質基材裏当て(5)には、多孔質又は微孔質のフィルム、例えば延伸PTFEを有してもよい。多孔質又は微孔質のフィルムは、通気性を保ちながら、低反射率層に対して防護を提供することができる。
【0032】
本明細書に記載したMVTRテスト法によって測定される構造体の通気性は、1,000(g/m2/day)超であることが望ましい。2,000(g/m2/day)超の、4,000(g/m2/day)超の、6,000(g/m2/day)超の、8,000(g/m2/day)超の、及び10,000(g/m2/day)超の通気性でさえも、本明細書に記載した構造体で得られる。
【0033】
作成したマルチスペクトル選択反射性構造体(10)は、限定するものではないが、衣類、カバー、シェルター、隠れ場所及び網等を含む、様々な広い用途で使用してもよい。これらの構造体を有する物品は、マルチスペクトル選択反射性構造体の単一の構造体層、又は複数の構造体層と共に用いて作成して、適切な視覚特性及び反射特性の深度を得てもよい。例えば、衣類の着用者を隠す衣類用途の一実施態様において、小さく切断したマルチスペクトル選択反射性構造体材料(すなわち、1インチ×4インチのストライプ)の複数の層を、衣類の本体を形成する選択反射性構造体のもう一つの層に提供するのが有利となる場合がある。これは、強化された熱線反射性能を提供しつつ、着用者のシルエットをより大きく視覚的に混乱させる。マルチスペクトル選択反射性構造体を有する物品は、熱線透明で可視光不透明の基材を備えるその構造体の第一部分を、検知から防護すべき対象物又は物体からそむけ、且つ検知源に向けて形成する。それゆえ、その物品は、熱線反射層を有するその第二部分を、検知から防護すべき対象物又は物体の方に向けて、且つ検知源からそむけて、構造体を具備する。それゆえ、その物品が、例えば、テント、衣類、シェルター又は防護カバーを含む場合、その構造体の第一部分は、その物品の外側表面に対応又は隣接し、且つその構造体の第二部分は、その物品の内側表面に対応又は隣接し、そしてそれゆえに、検知から防護すべきその対象物又は物体に近接する。
【0034】
熱線検知から防護される着用者/装置と、マルチスペクトル選択反射性構造体層との間に、絶縁材料又は絶縁複合材料を選択的に適用することにより、本明細書に記載されたマルチスペクトル選択反射性構造体を有する物品の熱線性能特性がさらに強化される場合がある。例えば、一実施態様において、例えば衣類の肩に対応する部分に与えた絶縁材料をさらに備えるマルチスペクトル選択反射性複合材料を有するように、衣類を形成して、衣類のホットスポットを最小化し、そして熱線のサインを減少する。長時間に渡って(例えば24時間を越えて)、熱線のサインを減少するニーズが存在する場合には、例えば共に所有される米国特許第7,118,801号に教示されている、高性能絶縁材料が好ましい場合がある。これらの絶縁材料は、その装置の熱い部分(例えばエンジン室)を覆うのにも適している場合がある。そして、これは、本明細書に記載されたマルチスペクトル選択反射性構造体材料から作られた、熱的サインをさらに覆い、且つ可視光画像及びnIR画像を抑制するであろうカバーと組み合わせて使用してもよい。
【0035】
別の実施態様において、本発明のマルチスペクトル選択反射性構造体は、約20mm未満、そして好ましくは約10mm未満、そしてより好ましくは約7mm未満、そしてよりさらに好ましくは約5mm未満の厚みを有してもよい。
【0036】
別の実施態様において、本発明のマルチスペクトル選択反射性構造体は、約20oz/yd2未満、そして好ましくは約15oz/yd2未満、そしてより好ましくは約10oz/yd2未満、そしてよりさらに好ましくは約7oz/yd2未満の重量を有していてもよい。
【0037】
別の実施態様において、本発明のマルチスペクトル選択反射性構造体は、約3000g未満、そして好ましくは約2000g未満、そしてより好ましくは約1000g未満、そしてよりさらに好ましくは約500g未満のハンド(hand)を有していてもよい。
【実施例】
【0038】
防液性テスト
【0039】
防液性テストを以下のように実施した。水を代表のテスト液体として用いた、変更したズーター(Suter)テスト器具を用いることにより、材料構造体に防液性テストをした。固定された配置において、2つのゴム製ガスケットによりシールされた約4と1/4インチの直径のサンプル領域に対して、水を押し付けた。一以上の布地層を組み込んだサンプルについては、布地層は水を押し付ける面と反対に向けた。非布地サンプル(すなわち、布地層に積層されていないフィルム)にズーターテストをする際には、スクリムをそのサンプル上面(すなわち、水を押し付ける面と反対の面)に配置して、水圧にさらされた場合のサンプルの異常な引き伸ばしを防ぐ。そのサンプルは、大気条件にさらされており、且つテスト実施者に目視可能となっている。適切なゲージに表示されたとおりに、そしてインラインバルブにより調節して、サンプル上の水圧を、水の容器に繋げたポンプにより、約1psiに上げる。テストサンプルをある角度にし、そして水を再循環して、サンプルの下側の表面に対し、水の接触及び空気の非接触を確保する。そのサンプルを通って強いられるであろう、あらゆる水の出現を三分の間、サンプルの上側の面を目視で観察する。表面に現れる液体の水を漏れと解釈する。三分以内にそのサンプル表面上に液体の水が目視されない場合に、そのサンプルは防液テスト(ズーターテスト)に合格したとみなす。このテストに合格したサンプルは、本明細書に用いられた「防液性」と定義される。
【0040】
ハンドテスト
【0041】
Thwing−Albert Handle−O−Meter(Thwing−Albert Instrument Company社、モデルNo.211−5、フィラデルフィア、ペンシルベニア州)を用いて、ハンドを測定した。テストサンプルを1/4インチのスロットに強引に通すためにビーム負荷を用いた。積層サンプルをテストする際には1000グラムの負荷を用いた。その測定機器は、サンプルの曲げ剛性に関係する抵抗力を測定し、そして抵抗のピークをデジタル表示する。サンプルの方向性及び非対称性を適切に定量化するために、X方向及びY方向それぞれに対する曲げに関して異なったサンプルを切断する。その材料から4インチ四方を切断して、測定した。
【0042】
典型的なテストにおいて、X方向のサンプルは、X方向がスロットに垂直に伸びるように装置の上に配置する。サンプル構造体を上にした状態で、そのテストを開始し、ビームを低くし、そしてサンプルをテストテーブル上のスロットに強引に通す。ピークの抵抗値を「上向きサンプル構造体」として表示し、且つ記録する。続いて、同じサンプルをひっくり返し、そして180°回転させて、異なる場所を曲げる。この新しい配置で、サンプルをスロットに強引に通して、テストを再び開始する。この二つ目の抵抗値を「下向きサンプル構造体」として記録する。この手順をY方向のサンプル(Y方向がスロットに垂直に向いているもの)に対しても繰り返し、「上向きサンプル構造体」及び「下向きサンプル構造体」の二つの値を得る。
【0043】
結果として得られた4つの値(X方向及びY方向、上向きサンプル構造体及び下向きサンプル構造体)を追加して、サンプルの剛性を特徴付ける全ハンド数を提供する(方向性及び非対称性を考慮)。少なくとも2つのそのような全ハンド数を得て、そして平均化し、報告したハンド数に到達した。
【0044】
水蒸気透過率(MVTR)
【0045】
水蒸気透過率(MVTR)を測定するために採用したテストの記載を以下に与える。この手順は、フィルム、コーティング、及びコーティング物品のテストに適している。
【0046】
この手順において、酢酸カリウム35重量部及び蒸留水15重量部からなる飽和塩溶液約70mlを、その口部分において6.5cmの内径を有する、133mlポリプロピレンのカップに入れた。米国特許第4,862,730号(CROSBY)に記載された方法でテストすると最小のMVTRが約85000g/m2/24hを有する、延伸ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜を、カップのヘリに熱融着して、強く張った、漏れ防止の、微孔質の、その溶液を含むバリアを生成した。
【0047】
同様の延伸PTFE膜を水槽の表面に取り付けた。この水槽アセンブリを、調温室及び水循環槽を用いて、23℃+0.2℃で調節した。
【0048】
テストするサンプルを、テスト手順を実施する前に、23℃且つ相対湿度50%の条件にした。サンプルは、第一基材を、水槽からそむけて、そしてその反対表面を、水槽の表面に取り付けられた延伸ポリテトラフルオロエチレン膜に接触させて、配置し、そしてカップアセンブリの導入の前に、少なくとも15分間、平衡にした。カップアセンブリを1/1000g精度まで秤量し、そしてテストサンプルの中心上に逆さまにしておいた。
【0049】
水移送は、その方向の拡散により水流を提供する、水槽中の水と飽和塩溶液との間の駆動力により与えられる。サンプルを15分間テストし、そしてその後カップアセンブリを取り外し、再度1/1000gまで秤量した。
【0050】
そのサンプルのMVTRを、カップアセンブリの重量増加から計算し、そして24時間当たりの、サンプル表面の平方メートル当たりの、水のグラム数で表した。
【0051】
可視光及び近赤外線についての反射率テスト法
【0052】
可視光及び近赤外線(nIR)のスペクトル範囲における、サンプル(例えば、構造体の第一基材の着色されている側)の近法線半球反射率のスペクトルを、反射及び拡散放射の両方を集光するSpectralon(Labsphere社、DRA2500)でコーティングした直径150mm積分球を有するUV/VIS/nIR分光光度計(Perkin−Elmer社、Lambda950)を用いて測定した。二光線モードの運転で反射率測定を実施し、且つSpectralon材料を250nmから2500nmまで20nm間隔でリファレンスとして使用した。
【0053】
裏当てを有する単一層としてサンプルを測定した。使用した裏当ては、光沢のない黒色のポリマーシートであった。測定は最低でも三つの領域について行い、そして測定した領域のデータを平均化した。この作業では、正反射成分が含まれる状態で、ほぼ法線入射で、すなわちサンプルを法線から10°以下の角度で観察し、測定を実施した。その測定機器で用いられる標準の開口部サイズで、分光光度計の光度計の正確性を1%以内、且つ波長の正確性を2nm以内に校正した。裏当て材料による信号損失を補償するために、積分球を用いた材料の反射率に関してASTM:E903−96標準試験法に従って、サンプルの反射率を計算した。
【0054】
特定の波長範囲に対する全測定点のデータの平均の半球反射率に関して、可視光及び近赤外線の範囲の分光光度計測定の結果を表1に示す。
【0055】
熱赤外スペクトル範囲にわたっての半球反射率及び透過率のテスト方法。
【0056】
熱赤外スペクトルでの近法線半球透過率及び反射率は、本発明の設計及び評価に非常に重要である。測定された半球反射率及び透過率スペクトルを使用して、キルヒホッフの法則(ε=1−R−T、不透明基材についてはε=1−R[ここでεは放射率、Rは反射率、そしてTは透過率])により、方向性放射率を計算できる。
【0057】
方向性半球透過率及び反射率を測定するために、そのサンプルをその法線から10°以下の角度で、正反射成分が含まれる状態で、観察した。8cm−1のスペクトル解像度を用いて、600cm−1から5000cm−1の範囲にわたって、そのサンプルのスペクトルの半球透過率及び反射率の測定を実施した。セラミックコーティングされたグローバー光源及びGeコーティングされたKBrビームスプリッターで構成される、フーリエ変換赤外線(FTIR)分光光度計(Bio−Rad社、FTS−6000)により、光の放射源及び波数選択性を与えた。金拡散コーティングされた直径150mmの積分球(Pike Technologies社、Mid−IR IntegratIR)を用い、サンプルを球の表面に切り込んだポートに取り付けた状態で、半球の測定形状を提供した。球の底面の一部に視野を制限した状態で、液体窒素冷却したMCT検出器をその球の上部に取り付けた。Mid−IR Integral IRは、サンプルの8段階の照明を特徴とし、且つ反射性サンプルは、上向き球のサンプルポートの上に直接に、又は薄い赤外線透過性ウィンドウ上に、配置する。
【0058】
反射率測定に関して、サンプルの約40mm2の正方形部分を切断し、そして積分球上の18mmの水平反射サンプリングポートの上に取り付けた。金拡散の参照標準を測定に用いて、そして全てのサンプルを、光沢のない黒のペイントでコーティングされたポリマーでできた裏当て材上に配置した。それぞれのサンプルのスペクトルを、高速スキャンモード且つサンプル当たり200スキャンで収集した。三つの測定値をそれぞれのサンプルに対して得て、そしてその結果のデータを平均化した。裏当て材料による信号損失を補償するため、積分球を用いた材料の反射率に関してのASTM:E903−96標準試験法に従って、サンプルの反射率を計算した。
【0059】
2μmから17μmの範囲における透明材料又は半透明材料の透過率を、標準の2インチ×3インチのサンプルホルダーを収容する透過率位置に配置することで、測定した。その後、その測定装置を、絶対測定(100%)の位置にセットし、そして測定位置にサンプルのない状態で100%信号を記録した。その後、サンプルを設置して、そして透過した測定値を記録する。100%信号により割り算された透過した信号が透過率と等しい。
【0060】
表1は、3μm〜5μm及び9μm〜12μmのスペクトル範囲に渡って、全データ点を集めて平均化した、方向性半球透過率及び反射率のデータを含む。
【0061】
透過光学密度テスト法。
【0062】
本特許の目的に関して、可視光不透明性を光学密度(OD)の点から測定する。
【0063】
そのサンプルの室温での透過光学密度を、デスクトップ濃度測定装置(Tobias Associates,Inc.、モデルTRX−N、アイヴィーランド、ペンシルベニア州、米)で測定した。その装置は、光源、及び475nm〜675nmの間で20%超のスペクトル応答を有するシリコン光検出器から構成されている。この装置は、透過モードと反射モードとの両方で、フィルムの光学密度を測定する能力がある。透過モードを全ての測定に使用した。
【0064】
光学密度は人間の目の応答に類似した測定である。光学密度は、次の式で定義される。
OD=Log 1/T
ここで、ODは光学密度、そしてTは透過率である。
【0065】
その測定装置は起動時間に約10分必要である。テストエリアは直径約3mmであり、そして測定したサンプルはテストエリアを完全に覆うのに十分な長さであった。テスト手順は以下のとおりである。
1.サンプルポートに渡って、0.0075インチの厚みの標準PETフィルムを配置する。
2.光ポートまで検出アームを低くし、そしてコントロールボタンを押すことにより、ゼロ点をセットする。
3.デジタルの読み出しがゼロとなる。
4.結果を記録する。
5.光ポートを覆うために光テーブル上にテストサンプルを配置する。
6.光ポートを覆うサンプルまで検出アームを低くし、そしてコントロールボタンを押す。
7.LEDディスプレイから結果を読み、記録する。
8.残りのサンプルについて、5から8のステップを繰り返す。
【0066】
光学密度の測定値は、1セグメントが一桁に対応する、3つの7セグメントのLEDディスプレイユニット上に表示される。この特許の目的に関して、475〜675nmの間でODが0.30超の場合、材料は可視光不透明とみなされるだろう。
【0067】
放射率測定テスト法。
【0068】
サンプルの室温付近での赤外放射を、ポータブル放射率測定器(Devices&Services社、AEモデル、テキサス、米国)で測定した。この放射率機器は、標準の高放射性材料及び低放射性材料と比較して、全熱線放射を測定する。
【0069】
Devices&Services社のAEモデルの放射率測定器は、測定ヘッド及びデジタル計数電圧計からなる。測定ヘッドは、測定中にテストサンプルが大気温度のままでいながら、その放射線検出器を355Kまで加熱するように設計されている。放射線検出器は、2つの高ε及び2つの低εを有する差動熱電対であり、そしてそれゆえ、それ自体とサンプルとの間の放射による伝熱だけに応答する。その検出器は、赤外線放射の波長に対してほぼ一定の応答を有し、4.3mmの距離から直径50mmのサンプルエリアを観測する。その製造者は、検出器のアウトプット電圧は±0.01単位内で、εとの一次関数であり、そしてT4d−T4sに比例すると明記している。ここで、Td及びTsは、それぞれ検出器及びテストサンプルの絶対温度である。直径66.7mmで且つ厚み4mmの二つの「標準」が、放射線検出器と共に提供されており、これらは0.06及び0.90のイプシロンを有する。この測定装置は、起動に60分必要である。放射率測定器は比較評価をするので、使用前に校正をしなければならない。二つの標準を、共に大気温度にするために、ヒートシンク上に配置する。
【0070】
その後、その検知ヘッドは高放射率の標準の上に配置し、そして平衡のために約90秒放置した後でその電圧計の出力値を0.90となるように調節する。その後、検知ヘッドを低放射率の標準の上に配置し、そして電圧計の読みが0.06となるようにオフセット用微調整可変素子を調節する。放射率測定器を一つの標準から他の標準に移動しても、電圧計の表示があらゆる調節のない状態で二つの値を示すまで、調節を繰り返す。
【0071】
放射率を測定するために、サンプルを標準と同様のサイズ及び形状に切断し、ヒートシンク上に配置し、そして平衡となるようにする。検知ヘッドをその上に配置する。そして、その電圧計の表示は、そのテスト表面の半球放射率を直接的に与える。AEモデルの放射率測定装置は、おおよそ3〜30μmの波長範囲で半球放射率を測定する。
【0072】
実施例1
カーボンコーティングしたePTFE及び金属化されたePTFEを備える構造体のサンプルを、以下の方法で作成した。
【0073】
以下の例外はあるが、米国特許出願公開2007/0009679の実施例3に記載されているように、カーボンコーティングしたePTFE(第一基材に相当)を含む第一部分を作成した。使用したePTFEの膜は、約30μmの厚み、約9グラム/m2の重量、且つ0.2μmの平均気孔サイズを有していた。使用したカーボンブラックの量は、ePTFE膜の重量に対して約0.9%であった。第一部分の第一基材の光学密度及び熱線反射の特性を、本明細書のテスト方法に従って測定し、そして表1に示した。
【0074】
金属化されたePTFEを含む第二部分を、米国特許第5,955,175号に従って作成した。これは熱線反射層に相当する。金属化された側について、本明細書のテスト方法に従って放射率を測定し、表1に示した。
【0075】
その後、第一部分を、第二部分の金属化された側に向けて配置し、そしてポリエチレンフィルムの0.5milの層を間に配置した。その層を、約350°Fで約10秒間、Heat Press(Geo Knight and Co.、モデル178SU)を用いて結合して、構造体を形成した。本実施例に従って作成し、そして構造体サンプルのカーボンコーティングしたePTFE側から測定した構造体サンプルのマルチスペクトルでのテストの結果を、表1並びに図9、図10及び図11に示した。表1に示したように、この構造体は、約8%の可視光反射率、約12%のnIR反射率、約28%のMWIR反射率、且つ約50%のLWIR反射率を有していた。
【0076】
図9、図10及び図11のスペクトル応答曲線は、テストをした広域波長に渡っての、反射率及び透過率の変動性を示している。報告した平均の結果は、表1に示した特定の波長範囲に渡っての、これらの図のデータから計算している。図11は、構造体についての約8μm〜9μmの反射率のデータを追加で含んでいる。
【0077】
実施例2
カーボンコーティングしたePTFE層、Alホイル及び布地裏当てを備える構造体のサンプルを、以下の方法で作成した。
【0078】
実施例1に記載されているように、第一基材に相当する、カーボンコーティングしたePTFEの第一部分を作成した。第一基材の光学密度及び熱線透過の特性を本明細書のテスト方法に従って測定し、そして表1に示した。
【0079】
布地裏当てに付着した、ホイルの不連続層を有する第二部分を作成した。これは、熱線反射層に相当している。その第二部分は、Al転写ホイル(Crown Roll Leaf社、No.MG39−100G)の層に孔を開けることで形成して、おおよそ30%の開孔を提供して、転写ホイルの不連続層を形成した。転写ホイルの不連続層を、連続の熱可塑性ポリウレタン接着剤(8)を用いて布地裏当てに付着して、熱線反射層に相当する、第二部分を形成した。これらの層を、約280°Fで約8秒間、Heat Press(Geo Knight and Co.社、モデル178SU)を用いて結合した。不連続のアルミ転写ホイル側について、本明細書のテスト方法に従って放射率を測定し、そして表1に示した。
【0080】
その後、第一部分を、第二部分のそのホイル側の上に配置し、そして実施例1に記載したヒートプレスを用いて互いに結合し、そして転写ホイルの不連続相の開孔部に相当するポリウレタン接着剤部分を、第一基材に直接付着して、構造体を形成した。この実施例に従って作成し、そしてそのサンプルの第一部分側から測定した、構造体サンプルをマルチスペクトルテスト結果を表1に示した。この構造体は、約7%の可視光反射率、約11%のnIR反射率、約31%のMWIR反射率、且つ約43%のLWIR反射率を有していた。本明細書に記載したハンドテスト方法によって測定したこのサンプルのハンドは、186gであった。
【0081】
実施例3
着色したePTFE層、Alホイル及び布地裏当てを備える構造体のサンプルを、以下の方法で作成した。
【0082】
黒のSharpie(商標)耐久マーカーの実質的に連続の単一なコーティングで、1.2milのePTFE(約0.2μmの平均気孔サイズ、且つ単位平方メートル当たり約18グラム)層を着色することによって、第一部分を作成して、その構造体の第一基材を備えた。第一基材の光学密度及び熱透過の特性を本明細書のテスト方法に従って測定し、そして表1に示した。
【0083】
第二部分は、Al転写ホイル(Crown Roll Leaf社、部品No.MG39−100G)の層に孔を開け、約30%の開孔を提供して、転写ホイルの不連続層を形成して作成し、熱線反射層を含んだ。この転写ホイルの不連続層を、連続の熱可塑性ポリウレタン接着剤を用いて布地裏当てに付着した。このホイル及び布地裏当ての層を、約280°Fで約8秒間、Heat Press(Geo Knight and Co.社、モデル178SU)を用いて結合した。不連続アルミ転写ホイル側について、本明細書のテスト方法に従って放射率を測定し、そして表1に示した。
【0084】
その後、第一部分の着色していない側を、第二部分のホイル側の上に配置し、そして第一部分及び第二部分を、実施例1に記載したヒートプレスを用いて互いに結合して、構造体を形成した。転写ホイルの不連続層の開孔部に相当する、ポリウレタン接着剤部分を、第一基材に直接付着した。
【0085】
この実施例に従って作成し、そしてそのサンプルの第一部分側から測定した、構造体サンプルのマルチスペクトルでのテスト結果を、表1に示した。この構造体は、約5%の可視光反射率、約11%のnIR反射率、約48%のMWIR反射率、且つ約43%のLWIR反射率を有していた。
【0086】
実施例4
印刷されたePTFE及び金属化されたePTFEを備える構造体のサンプルを、以下の方法で作成した。
【0087】
1.2milのePTFE(約0.2μmの平均気孔サイズ、且つ単位平方メートル当たり約18グラム)の第一部分を、約13%Rhodapex ES−2(Rhodia社)及び約6%ヘキサノールの水溶液でコーティングして、そして乾燥させた。HP Designjet 110plusプリンターを用いて、コーティングされたePTFEフィルムにカラー画像を印刷して、第一基材を作成した。第一部分の第一基材の光学密度及び熱線透過の特性を、本明細書のテスト方法に従って測定し、そして表1に示した。
【0088】
金属として金を使用し、そして疎油性コーティングを除去して、米国特許第5,955,175号に従って金属化されたePTFEの第二部分を作成して、熱線反射層を作成した。金属化された側について本明細書のテスト方法に従って放射率を測定し、そして表1に示した。
【0089】
実施例1に記載したように、第一部分の印刷されてない側を、第二部分の金属化された側に、0.5milのポリエチレン層を使用して結合した。
【0090】
この実施例に従って作成し、そして第一部分側から測定した、構造体サンプルのマルチスペクトルテストの結果を、表1並びに図9、図10及び図11に示した。表1に示したように、この構造体は、約38%の可視光反射率、約62%のnIR反射率、約60%のMWIR反射率、且つ約47%のLWIR反射率を有していた。図11に示したスペクトル応答は、ePTFE第一部分に印刷されたその構造体が、主に250〜600nmの間の可視光波長域で、反射に影響を与えることを示す。
【0091】
実施例5
以下の例外を除いて、実質的に実施例1に従って構造体のサンプルを作成した。
【0092】
カーボンコーティングしたePTFE層の代わりに、黒のSharpie(商標)耐久マーカーの実質的に連続の単一なコーティングで、1.2milのePTFE(約0.2μmの平均気孔サイズ、且つ単位平方メートル当たり約18グラム)層を着色することによって第一部分を作成して、その構造体の第一基材を作成した。第一基材の光学密度及び熱線透過の特性を本明細書のテスト方法に従って測定し、そして表1に示した。
【0093】
実施例1のようの作成し、そしてテストした第二部分の金属化された側について、本明細書のテスト方法に従って放射率を測定し、そして表1に示した。
【0094】
その後、第一部分の着色していない側を、不連続のポリウレタン接着剤を用いて、第二部分の金属化された側に結合した。その後、布地を、不連続のポリウレタン接着剤を用いて第二部分の金属化されていない側に積層して、構造体を形成した。本実施例に従って作成したサンプルのマルチスペクトルでのテストの結果を第一部分側から測定し、そして表1並びに図9、図10及び図11に示す。この構造体は、表1に示したように、約5%の可視光反射率、約12%のnIR反射率、約53%のMWIR反射率、且つ約54%のLWIR反射率を有していた。
【0095】
実施例6
金属コーティングにより連結した、カーボンコーティングしたePTFEの2つの層を備える構造体のサンプルを、以下の方法により作成した。
【0096】
第一部分の第一基材に相当する、カーボンコーティングしたePTFEのサンプルを実施例1に記載したように作成した。第一基材の光学密度及び熱透過の特性を、本明細書のテスト方法に従って測定し、そして表1に示した。
【0097】
第一部分の、カーボンコーティングしたePTFE第一基材を大雑把に二等分した。片方の部分を、室内/屋外用ゴールドメタリックスプレーペイント(Krylon社、Part No.1510−H597)で、その缶にある説明に従ってペイントして、熱線反射層を作成した。残りのペイントしていない部分のうちカーボンコーティングしていない側を、他方の部分の塗りたてのペイントの上に配置して、そして手で平滑にして、しわを取り除いた。そして、ペイントを接着剤及び低放射率部分の両方として機能させて、複合サンプルを作成した。サンプルを約10分間乾燥して、放射率測定器(Devices&Services社、AEモデル、テキサス、米国)を用いて放射率を測定した。
【0098】
本実施例に従って作成したサンプルのマルチスペクトルテストの結果を、第一試料側から測定し、そして表1に示す。この構造体は、約9%の可視光反射率、約13%のnIR反射率、約31%のMWIR反射率、且つ約41%のLWIR反射率を有していた。
【0099】
実施例7
ポリプロピレン及び金属を有する構造体のサンプルを以下の方法により作成した。
【0100】
黒のSharpie(商標)耐久マーカーの実質的に連続の単一なコーティングで、2.5milのポリプロピレンフィルム層の一面を着色することによって、第一部分の第一基材を作成した。第一基材の光学密度及び熱線透過の特性を、明細書のテスト方法に従って測定し、そして表1に示した。
【0101】
米国特許第5,955,175号に実質的に従って、金属化されたePTFE材料を有する熱線反射層を作成した。金属化された側について本明細書のテスト方法に従って放射率を測定し、そして表1に示した。
【0102】
約350°Fで約10秒間、Heat Press(Geo Knight and Co.社、モデル178SU)を用いて、その後、第一基材の着色されていない側を、熱線反射層の金属化された側に結合して、構造体を形成した。
【0103】
この実施例に従って作成した構造体サンプルを、着色した側から測定した場合の、マルチスペクトルでのテストの結果を、表1並びに図9、図10及び図11に示す。表1に示したように、この構造体は、約7%の可視光反射率、約16%のnIR反射率、約43%のMWIR反射率、且つ約78%のLWIR反射率を有していた。
【0104】
実施例8
金属化されたポリウレタンの構造体のサンプルを以下の方法で作成した。
【0105】
1milのポリウレタンフィルム(Deerfield Urethanes社,Part No. 1710S,ディアフィールド、マサチューセッツ州)のサンプルを有する第一基材を、物理的気相成長法を用いて金属化した。約300nmのアルミニウムを、第一基材の第二表面上に、物理的気相成長法によって堆積した。その後、黒のSharpie(商標)耐久マーカーの実質的に連続の単一なコーティングで、金属化されていない側に対し、このサンプルを着色した。
【0106】
Sharpie(商標)マーカーで実質的にコーティングされたPUフィルムの、金属化されてない部分を利用して、第一基材サンプルの特性を測定した。この基材の光学密度及び熱線透過の特性を本明細書のテスト方法に従って測定し、そして「第一部分」として、表1に示した。
【0107】
この実施例に従って作成した構造体サンプルについての、マルチスペクトルでのテストの結果を着色された側から測定し、そして表1に示す。この構造体は、約7%の可視光反射率、約13%のnIR反射率、約54%のMWIR反射率、且つ約18%のLWIR反射率を有していた。
【0108】
実施例9
ポリエチレンフィルムとアルミニウムホイルを備える構造体のサンプルを以下の方法で作成した。
【0109】
黒のSharpie(商標)耐久マーカーの実質的に連続の単一なコーティングで、2.0milのポリエチレンフィルム層を着色することによって第一部分を作成して、第一部分の第一基材を構成した。第一基材の光学密度及び熱線透過の特性を、本明細書のテスト方法に従って測定し、そして表1に示した。
【0110】
Stor−Itブランドのアルミニウムホイルを有する第二部分を、熱線反射層として用いた。本明細書のテスト方法に従って放射率を測定し、そして表1に示した。
【0111】
PEフィルムの着色されていない側をアルミニウムホイルに隣接して配置し、そしてマルチスペクトル選択反射性構造体として利用した。本実施例に従って作成した構造体サンプルについての、マルチスペクトルでのテスト結果を、着色した側から測定し、そして表1並びに図9、図10、及び図11に示した。表1に示したように、この構造体は、約7%の可視光反射率、約23%のnIR反射率、約70%のMWIR反射率、且つ約73%のLWIR反射率を有していた。
【0112】
実施例10
以下の例外を除いて、実質的に実施例5に従って構造体のサンプルを作成した。不連続のポリウレタン接着剤の代わりに、Super77(商標)多用途接着剤(3M社)の連続コーティングを用いて、第一部分及び第二部分を共に結合した。また布地裏当てを省略した。
【0113】
実施例5のように作成した第一部分の第一基材の光学密度及び熱線透過の特性を、本明細書のテスト方法に従って測定し、そして表1に示した。
【0114】
実施例5のように、本明細書のテスト方法に従って、第二部分の放射率を、金属化された側について測定し、そして表1に示した。
【0115】
構造体のサンプルについての、マルチスペクトルでのテストの結果を、着色された側から測定し、そして表1に示す。本発明のこの実施態様では、約4%の可視光反射率、約9%のnIR反射率、約34%のMWIR反射率、且つ約16%のLWIR反射率を有していた。
【0116】
実施例11
ポリウレタンフィルムを1.5milのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに換えて、実質的に実施例8に従って構造体のサンプルを作成した。金属化されていない側から放射率を測定し、そして熱線反射層についてその値を表1に示した。
【0117】
実施例8と同様に、Sharpie(商標)マーカーで実質的にコーティングしたPETフィルムの金属化されていない部分を利用して、第一基材の特性を測定した。この基材の光学密度及び熱線透過の特性を、本明細書のテスト方法に従って測定し、そして「第一部分」として、表1に示した。
【0118】
この実施例に従って作成した構造体サンプルについての、マルチスペクトルでのテストの結果を、着色した側から測定し、そして表1に示す。この構造体は、約7%の可視光反射率、約17%のnIR反射率、約63%のMWIR反射率、且つ約5%のLWIR反射率を有していた。
【0119】
実施例12
ePTFE及び金属化されたePTFEを備える構造体のサンプルを、以下の方法で作成した。
【0120】
1.2milのePTFEフィルム(約0.2μmの平均気孔サイズ、且つ単位平方メートル当たり約18グラム)の第一部分を、光学密度及び熱透過の特性について、本明細書のテスト方法に従って測定し、そして表1に示した。
【0121】
金属化されたePTFEを有する第二部分を、米国特許第5,955,175号に従って作成した。これは熱線反射層に相当する。本明細書のテスト方法に従って、放射率を金属化された側について測定し、そして表1に示した。
【0122】
その後、第一部分を第二部分の金属化された側と反対に配置し、そしてポリエチレンフィルムの0.5milの層を間に配置した。その層を、構造体を形成するために、約350°Fで約10秒間、Heat Press(Geo Knight and Co.、モデル178SU)を用いて結合した。この実施例に従って作成し、そしてそのサンプルのカーボンコーティングされたePTFE側から測定した、構造体サンプルのマルチスペクトルでのテストの結果を表1並びに図9、図10及び図11に示した。
【0123】
表1に示したように、この構造体は、約86%の可視光反射率、約73%のnIR反射率、約56%のMWIR反射率、且つ約83%のLWIR反射率を有していた。
【0124】
実施例13
カーボンコーティングされたePTFE及び金属化されたポリエステルを備える構造体のサンプルを、以下の方法で作成した。
【0125】
第一基材として実施例1でのようにカーボンコーティングされたePTFEの第一部分を提供することによって、サンプルを作成した。その後、熱線反射層(30)に相当する、Ni/Cu金属化ポリエステルタフタ(Laird社、No.3027−217)の第二部分を、第一部分に向けてゆるし置いた。
この実施例に従って作成した構造体のサンプルについての、第一部分側から測定したマルチスペクトルでのテストの結果を測定し、そして表1並びに図9、図10及び図11に示した。表1に示したように、この構造体は、約10%の可視光反射率、約15%のnIR反射率、約44%のMWIR反射率、且つ約61%のLWIR反射率を有していた。
【0126】
実施例14
Goreの部品(No.WJIX102108HZ)を入手して、その複合物のマルチスペクトルでの反射特性を測定した。そのGore部品は、許容範囲の可視光性能及びnIR性能を有する、軍隊規格に準拠した素材の代表であるが、熱線反射特性は必要がない。その素材は、裏当て布地を有する複合フィルムに積層した、カモフラージュプリントした布地である。4つの色模様(ライトタン、アーバンタン、ライトコヨーテ、及びハイランド)の各色を、それぞれ14a、14b、14c、14dとして測定した。マルチスペクトルテストの結果を表1に示す。
【表1】
【表2】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面及び背面;
着色剤を有するポリマー層を備える熱線透明で可視光不透明の基材であって、構造体の前面に近接した第一表面及び第二表面を有する、熱線透明で可視光不透明の基材;及び
上記基材の第二表面に隣接している低放射率部分を有する熱線反射層であって、上記構造体の背面に隣接している熱線反射層
を有する構造体であって、下記の平均反射率を有する構造体:
i)波長範囲400nm〜600nmにおいて、70%未満、
ii)波長範囲700nm〜1000nmにおいて、70%未満、
iii )波長範囲3μm〜5μmにおいて、25%超、且つ
iv)波長範囲9μm〜12μmにおいて、25%超。
【請求項2】
上記熱線透明で可視光不透明の基材の第一表面が、上記構造体の前面である、請求項1に記載の構造体。
【請求項3】
上記構造体の平均反射率が、上記構造体の前面から測定されている、請求項1に記載の構造体。
【請求項4】
上記着色剤が、コーティングである、請求項1に記載の構造体。
【請求項5】
上記着色剤が、上記第一表面に配置されたコーティングである、請求項1に記載の構造体。
【請求項6】
上記着色剤が、フィラーである、請求項1に記載の構造体。
【請求項7】
上記ポリマー層が、微孔質フィルムである、請求項1に記載の構造体。
【請求項8】
上記微孔質フィルムが、PTFEを有する、請求項7に記載の構造体。
【請求項9】
上記ポリマー層が、ポリエチレンを有する、請求項1に記載の構造体。
【請求項10】
上記ポリマー層が、ポリプロピレンを有する、請求項1に記載の構造体。
【請求項11】
上記ポリマー層が、一以上の着色剤を有する、請求項1に記載の構造体。
【請求項12】
上記構造体が、nIR用添加剤を含む、請求項1に記載の構造体。
【請求項13】
上記熱線反射層が、0.5未満の放射率をもつ、請求項1に記載の構造体。
【請求項14】
上記熱線反射層が、金属を有する、請求項1に記載の構造体。
【請求項15】
上記低放射率部分が、アルミニウムを有する、請求項1に記載の構造体。
【請求項16】
上記熱線反射層が、0.5未満の放射率を有するコーティングを備える、請求項1に記載の構造体。
【請求項17】
上記コーティングが、熱線透明で可視光不透明の基材の第二表面上にある、請求項16に記載の構造体。
【請求項18】
上記低放射率部分が、金属ホイルである、請求項1に記載の構造体。
【請求項19】
上記熱線反射層が、さらに低放射率部分を有する布地である、請求項1に記載の構造体。
【請求項20】
上記熱線反射層が、複数の低放射率部分のパターンを有する、請求項1に記載の構造体。
【請求項21】
接着層によって、上記熱線透明で可視光不透明の基材が上記熱線反射層の低放射率表面に固定されている、請求項1に記載の構造体。
【請求項22】
上記熱線透明で可視光不透明の基材が、約5μm〜約300μmの厚みを有する、請求項1に記載の構造体。
【請求項23】
波長範囲400nm〜600nmにおいて、50%未満の平均反射率を有する、請求項1に記載の構造体。
【請求項24】
波長範囲700nm〜1000nmにおいて、50%未満の平均反射率を有する、請求項1に記載の構造体。
【請求項25】
波長範囲9μm〜12μmにおいて、35%超の平均反射率を有する、請求項1に記載の構造体。
【請求項26】
上記構造体が、積層体である、請求項1に記載の構造体。
【請求項27】
上記構造体が、熱線透明で可視光不透明の基材の反対側にある、熱線反射層と隣接した布地層をさらに含む、請求項26に記載の構造体。
【請求項28】
MVTRが、1,000g/m2/24h超である、請求項1に記載の構造体。
【請求項29】
成型した物品の形態で提供される、請求項1に記載の構造体。
【請求項30】
さらに絶縁部を有する、請求項1に記載の構造体を具備する物品。
【請求項31】
請求項1に記載の構造体を有する衣類。
【請求項32】
請求項1に記載の構造体を有する防護カバー。
【請求項33】
上記構造体の背面に隣接する絶縁部をさらに有する、請求項31に記載の衣類。
【請求項34】
上記構造体の複数の層を有する、請求項32に記載の構造体を具備する防護カバーであって、少なくとも一つの構造体層が、上記波長範囲i)、ii)、iii )、及びiv)の少なくとも一つで異なった平均反射率の値を有する、防護カバー。
【請求項35】
1,000g未満のハンドを有する、請求項1に記載の構造体。
【請求項36】
検知から防護される対象物に可視光画像及び熱線画像の抑制を提供するための方法であって、下記を含む方法:
A.対象物を提供し;
B.下記のステップを含んで構造体を形成し:
第一表面及び第二表面を有し、且つポリマー層及び少なくとも上記第一表面に適用されている着色剤を備える、熱線透明で可視光不透明である基材を含む第一部分を提供し;
低放射率部分を有する熱線反射層を含む第二部分を提供し;
熱線透明で可視光不透明の基材の第二表面に隣接して低放射率部分を配置して、下記の平均反射率を有する構造体を形成する:
i)波長範囲400nm〜600nmにおいて、70%未満、
ii)波長範囲700nm〜1000nmにおいて、70%未満、
iii )波長範囲3μm〜5μmにおいて、25%超、且つ、
iv)波長範囲9μm〜12μmにおいて、25%超;
及び
C.上記第二部分を上記対象物に向けるようにして、上記構造体を配置すること。
【請求項37】
下記を含む、構造体を作成する方法:
a.第一表面及び第二表面を有する、熱線透明のポリマー材料を備える第一基材を提供し;
b.着色剤を提供し;
c.上記熱線透明のポリマー材料の少なくとも第一表面に上記着色剤を適用して、熱線透明で可視光不透明の層を形成し;
d.ポリマー材料を有する第二基材を提供し;
e.低反射率部分を上記第二基材の表面に適用して、熱線反射層を形成し;
f.上記第二基材の低放射率部分を上記第一基材の第二表面に向け;
g.上記第一及び第二基材を接着して、下記の平均反射率を有する構造体を形成すること:
i)波長範囲400nm〜600nmにおいて、70%未満、
ii)波長範囲700nm〜1000nmにおいて、70%未満、
iii )波長範囲3μm〜5μmにおいて、25%超、且つ
iv)波長範囲9μm〜12μmにおいて、25%超。
【請求項38】
下記の第一部分及び第二部分を含む構造体:
上記第一部分は、着色剤、第一表面、及び第二表面を備える微孔質延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)フィルムを含み、0.30超の光学密度を有し、且つ3μm〜5μm、及び9μm〜12μmの波長範囲において熱線透明性が30%超であり;且つ
上記第二部分は、上記第一部分の微孔質ePTFEに接着し且つ金属化された微孔質ePTFEを備える熱線反射層を有する。
【請求項39】
上記金属化された微孔質ePTFEが、上記第一部分の微孔質フィルムに接着した金属化された表面を有する、請求項38に記載の構造体。
【請求項40】
上記金属化されたePTFEが、金属コーティングを有する、請求項39に記載の構造体。
【請求項41】
上記金属が、アルミニウム(Al)を含有する、請求項38に記載の構造体。
【請求項42】
下記の第一部分及び第二部分を含む構造体:
上記第一部分は、着色剤、第一表面、及び第二表面を備える微孔質延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)フィルムを含み、0.30超の光学密度を有し且つ3μm〜5μm及び9μm〜12μmの波長範囲において熱線透明性が30%超であり;且つ
上記第二部分は、上記第一部分の微孔質ePTFEフィルムに接着した、金属化された表面を有する金属化された布地を含む熱線反射層を有する。
【請求項43】
上記金属が、アルミニウム(Al)を含有する、請求項42に記載の構造体。
【請求項44】
検知から防護される対象物又は物体に可視光画像及び熱線画像の抑制を提供する、請求項1に記載の構造体を具備する物品であって、
内部表面は、上記対象物又は物体に向けられており、且つ
外部表面は、上記対象物又は物体からそむけられており、
ここで上記構造体の熱線反射層が、上記物品の内部表面に近接しており、且つ上記構造体の熱線透明で可視光不透明の基材が、上記物品の外部表面に近接している、物品。
【請求項45】
上記熱線透明で可視光不透明の基材が、上記物品の外部表面に相当する、請求項44に記載の物品。
【請求項46】
上記熱線反射層が、上記熱線透明で可視光不透明の基材の第二表面に接着している、請求項44に記載の物品。
【請求項47】
上記構造体が、積層体である、請求項45に記載の物品。
【請求項1】
前面及び背面;
着色剤を有するポリマー層を備える熱線透明で可視光不透明の基材であって、構造体の前面に近接した第一表面及び第二表面を有する、熱線透明で可視光不透明の基材;及び
上記基材の第二表面に隣接している低放射率部分を有する熱線反射層であって、上記構造体の背面に隣接している熱線反射層
を有する構造体であって、下記の平均反射率を有する構造体:
i)波長範囲400nm〜600nmにおいて、70%未満、
ii)波長範囲700nm〜1000nmにおいて、70%未満、
iii )波長範囲3μm〜5μmにおいて、25%超、且つ
iv)波長範囲9μm〜12μmにおいて、25%超。
【請求項2】
上記熱線透明で可視光不透明の基材の第一表面が、上記構造体の前面である、請求項1に記載の構造体。
【請求項3】
上記構造体の平均反射率が、上記構造体の前面から測定されている、請求項1に記載の構造体。
【請求項4】
上記着色剤が、コーティングである、請求項1に記載の構造体。
【請求項5】
上記着色剤が、上記第一表面に配置されたコーティングである、請求項1に記載の構造体。
【請求項6】
上記着色剤が、フィラーである、請求項1に記載の構造体。
【請求項7】
上記ポリマー層が、微孔質フィルムである、請求項1に記載の構造体。
【請求項8】
上記微孔質フィルムが、PTFEを有する、請求項7に記載の構造体。
【請求項9】
上記ポリマー層が、ポリエチレンを有する、請求項1に記載の構造体。
【請求項10】
上記ポリマー層が、ポリプロピレンを有する、請求項1に記載の構造体。
【請求項11】
上記ポリマー層が、一以上の着色剤を有する、請求項1に記載の構造体。
【請求項12】
上記構造体が、nIR用添加剤を含む、請求項1に記載の構造体。
【請求項13】
上記熱線反射層が、0.5未満の放射率をもつ、請求項1に記載の構造体。
【請求項14】
上記熱線反射層が、金属を有する、請求項1に記載の構造体。
【請求項15】
上記低放射率部分が、アルミニウムを有する、請求項1に記載の構造体。
【請求項16】
上記熱線反射層が、0.5未満の放射率を有するコーティングを備える、請求項1に記載の構造体。
【請求項17】
上記コーティングが、熱線透明で可視光不透明の基材の第二表面上にある、請求項16に記載の構造体。
【請求項18】
上記低放射率部分が、金属ホイルである、請求項1に記載の構造体。
【請求項19】
上記熱線反射層が、さらに低放射率部分を有する布地である、請求項1に記載の構造体。
【請求項20】
上記熱線反射層が、複数の低放射率部分のパターンを有する、請求項1に記載の構造体。
【請求項21】
接着層によって、上記熱線透明で可視光不透明の基材が上記熱線反射層の低放射率表面に固定されている、請求項1に記載の構造体。
【請求項22】
上記熱線透明で可視光不透明の基材が、約5μm〜約300μmの厚みを有する、請求項1に記載の構造体。
【請求項23】
波長範囲400nm〜600nmにおいて、50%未満の平均反射率を有する、請求項1に記載の構造体。
【請求項24】
波長範囲700nm〜1000nmにおいて、50%未満の平均反射率を有する、請求項1に記載の構造体。
【請求項25】
波長範囲9μm〜12μmにおいて、35%超の平均反射率を有する、請求項1に記載の構造体。
【請求項26】
上記構造体が、積層体である、請求項1に記載の構造体。
【請求項27】
上記構造体が、熱線透明で可視光不透明の基材の反対側にある、熱線反射層と隣接した布地層をさらに含む、請求項26に記載の構造体。
【請求項28】
MVTRが、1,000g/m2/24h超である、請求項1に記載の構造体。
【請求項29】
成型した物品の形態で提供される、請求項1に記載の構造体。
【請求項30】
さらに絶縁部を有する、請求項1に記載の構造体を具備する物品。
【請求項31】
請求項1に記載の構造体を有する衣類。
【請求項32】
請求項1に記載の構造体を有する防護カバー。
【請求項33】
上記構造体の背面に隣接する絶縁部をさらに有する、請求項31に記載の衣類。
【請求項34】
上記構造体の複数の層を有する、請求項32に記載の構造体を具備する防護カバーであって、少なくとも一つの構造体層が、上記波長範囲i)、ii)、iii )、及びiv)の少なくとも一つで異なった平均反射率の値を有する、防護カバー。
【請求項35】
1,000g未満のハンドを有する、請求項1に記載の構造体。
【請求項36】
検知から防護される対象物に可視光画像及び熱線画像の抑制を提供するための方法であって、下記を含む方法:
A.対象物を提供し;
B.下記のステップを含んで構造体を形成し:
第一表面及び第二表面を有し、且つポリマー層及び少なくとも上記第一表面に適用されている着色剤を備える、熱線透明で可視光不透明である基材を含む第一部分を提供し;
低放射率部分を有する熱線反射層を含む第二部分を提供し;
熱線透明で可視光不透明の基材の第二表面に隣接して低放射率部分を配置して、下記の平均反射率を有する構造体を形成する:
i)波長範囲400nm〜600nmにおいて、70%未満、
ii)波長範囲700nm〜1000nmにおいて、70%未満、
iii )波長範囲3μm〜5μmにおいて、25%超、且つ、
iv)波長範囲9μm〜12μmにおいて、25%超;
及び
C.上記第二部分を上記対象物に向けるようにして、上記構造体を配置すること。
【請求項37】
下記を含む、構造体を作成する方法:
a.第一表面及び第二表面を有する、熱線透明のポリマー材料を備える第一基材を提供し;
b.着色剤を提供し;
c.上記熱線透明のポリマー材料の少なくとも第一表面に上記着色剤を適用して、熱線透明で可視光不透明の層を形成し;
d.ポリマー材料を有する第二基材を提供し;
e.低反射率部分を上記第二基材の表面に適用して、熱線反射層を形成し;
f.上記第二基材の低放射率部分を上記第一基材の第二表面に向け;
g.上記第一及び第二基材を接着して、下記の平均反射率を有する構造体を形成すること:
i)波長範囲400nm〜600nmにおいて、70%未満、
ii)波長範囲700nm〜1000nmにおいて、70%未満、
iii )波長範囲3μm〜5μmにおいて、25%超、且つ
iv)波長範囲9μm〜12μmにおいて、25%超。
【請求項38】
下記の第一部分及び第二部分を含む構造体:
上記第一部分は、着色剤、第一表面、及び第二表面を備える微孔質延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)フィルムを含み、0.30超の光学密度を有し、且つ3μm〜5μm、及び9μm〜12μmの波長範囲において熱線透明性が30%超であり;且つ
上記第二部分は、上記第一部分の微孔質ePTFEに接着し且つ金属化された微孔質ePTFEを備える熱線反射層を有する。
【請求項39】
上記金属化された微孔質ePTFEが、上記第一部分の微孔質フィルムに接着した金属化された表面を有する、請求項38に記載の構造体。
【請求項40】
上記金属化されたePTFEが、金属コーティングを有する、請求項39に記載の構造体。
【請求項41】
上記金属が、アルミニウム(Al)を含有する、請求項38に記載の構造体。
【請求項42】
下記の第一部分及び第二部分を含む構造体:
上記第一部分は、着色剤、第一表面、及び第二表面を備える微孔質延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)フィルムを含み、0.30超の光学密度を有し且つ3μm〜5μm及び9μm〜12μmの波長範囲において熱線透明性が30%超であり;且つ
上記第二部分は、上記第一部分の微孔質ePTFEフィルムに接着した、金属化された表面を有する金属化された布地を含む熱線反射層を有する。
【請求項43】
上記金属が、アルミニウム(Al)を含有する、請求項42に記載の構造体。
【請求項44】
検知から防護される対象物又は物体に可視光画像及び熱線画像の抑制を提供する、請求項1に記載の構造体を具備する物品であって、
内部表面は、上記対象物又は物体に向けられており、且つ
外部表面は、上記対象物又は物体からそむけられており、
ここで上記構造体の熱線反射層が、上記物品の内部表面に近接しており、且つ上記構造体の熱線透明で可視光不透明の基材が、上記物品の外部表面に近接している、物品。
【請求項45】
上記熱線透明で可視光不透明の基材が、上記物品の外部表面に相当する、請求項44に記載の物品。
【請求項46】
上記熱線反射層が、上記熱線透明で可視光不透明の基材の第二表面に接着している、請求項44に記載の物品。
【請求項47】
上記構造体が、積層体である、請求項45に記載の物品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2011−504820(P2011−504820A)
【公表日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−533107(P2010−533107)
【出願日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際出願番号】PCT/US2008/012581
【国際公開番号】WO2009/064368
【国際公開日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(598123677)ゴア エンタープライズ ホールディングス,インコーポレイティド (279)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際出願番号】PCT/US2008/012581
【国際公開番号】WO2009/064368
【国際公開日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(598123677)ゴア エンタープライズ ホールディングス,インコーポレイティド (279)
【Fターム(参考)】
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