マルチスポット眼科用レーザプローブ
レーザプローブは、放射光ファイバと、光学系と、2以上の受光ファイバとを含む。放射光ファイバは、レーザ光束を放射する。光学系は放射光ファイバにより放射された光束を回折する。各受光ファイバは光学系により回折された光束を受光する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼の施術において使用されるレーザプローブに関し、特に、光凝固術において使用されるマルチスポットレーザプローブに関する。
【背景技術】
【0002】
解剖学的に、眼は、はっきり異なる二つの部分、前眼部と後眼部とに区分される。前眼部は水晶体を含み、角膜(角膜内皮)の最外層から水晶体嚢の後方までわたっている。後眼部は、水晶体嚢の後側の眼の部分を含む。後眼部は、前側硝子体面から、硝子体の後側硝子体面と直接接触している網膜にまでわたっている。後眼部は、前眼部と比べて非常に大きい。
【0003】
後眼部は、硝子体、即ち、無色透明でゲル状の物質を含む。それは眼の体積の約2/3を占め、誕生前に形成され、形作られる。それは、1%のコラーゲン及びヒアルロン酸ナトリウムと、99%の水からなる。硝子体の前側境界が前側硝子体面であり、水晶体後嚢と接触している。一方、後側硝子体面は硝子体の後方境界を形成しており、網膜と接触している。
【0004】
黄斑変性は、網膜の黄班領域として知られる、目の内壁の中心において薄化、退化し、時には出血を伴う、主に老人において見られる病状である。これは中心視野の喪失をもたらし、詳細をはっきり見たり、読んだり、あるいは顔を認識することをできなくしてしまう。米国眼科学会によれば、これは、今日、米国において50代以上における、中心視野喪失原因の最大のものとなっている。
【0005】
網膜下の血管が出血すると、湿性黄班変性と呼ばれる、黄班変性の形成がなされる。場合によっては、この出血は光凝固術として知られる施術を用いて食い止め、または進行を遅らせられる。光凝固術は、眼の症状の幾つか(そのうちの一つが滲出性(湿性)の黄班変性である)を治療する網膜手術によって採用される技術である。この治療において、レーザ光束が眼の内部へ向けられ、網膜下で膨張する異常血管上に焦点を結ぶ。このレーザは、更なる視野の喪失を防ぐことを期待して更なる漏出から血管を塞ぐため、血管を焼灼する。
【0006】
一つの照射ビームスポットを持つ標準的なレーザプローブを用いて、代表的には、眼科外科医は、網膜面全体にわたってビームを走査しつつ頻繁にフットペダルでレーザ光束のオン・オフを行い、網膜上に光凝固されたレーザ焼却スポットの一次元または二次元のアレイを作る。それは、単一光束のレーザプローブを用いて光凝固されたスポットで所望の網膜領域をカバーするのに、長時間を要する。
【0007】
マルチスポットレーザプローブは、潜在的に所望のレーザ焼却スポットパターンを生成するのに要する時間を短縮できる可能性がある。しかし、最大レーザパワー設定で既に動作している、限られたレーザビームパワーを持つレーザであれば、マルチスポットレーザプローブは、所望のレーザ焼却スポットパターンを生成するのに要する時間を必ずしも短縮しない。このことは、固定のレーザパワーPがN個のビームスポットで分割され、あるビームスポットにおけるパワーは平均でたったP/Nとなるためである。そのため、等価な焼却を行うには、必要な露光時間が単一ビームレーザプローブの露光時間のおおよそN倍となる。したがって、レーザファイアの必要数が単一ビームプローブからの数のたった1/Nになるものの、ビームファイアあたりの露光時間が単一ビームプローブの露光時間のN倍になってしまう。そのため、焼却スポットアレイを生み出すための全体の時間は変わらない。
【0008】
しかし、今日、アルコンラボラトリのNGL(次世代レーザ)といった、新しい光凝固レーザが利用可能となっており、理想的な光凝固スポットを生成する所望のビーム強度は、NGLの利用可能なビーム強度の最大値のごく一部にすぎない。fが1/Nと等しい場合、N個の照射ビームを持つマルチスポットレーザビームを、最大パワーレベルでのレーザビームとともに用いることができ、所望の光凝固スポットパターンを生成する全体の時間は、単一スポットのレーザプローブで必要とされる時間のたった1/Nとなる。これは、各手術の全体時間を短縮し、一日により多くの手術を実施することを可能とし、手術あたりの全体コストを低下させる。そのため、光凝固術を実施するためのマルチスポットレーザプローブが求められている。
【発明の概要】
【0009】
本発明の原理と合致する一つの実施形態において、本発明は、放射光ファイバと、光学系と、2以上の受光ファイバとを有するレーザプローブである。放射光ファイバは、レーザ光束を放射する。光学系は、放射光ファイバにより放射された光束を回折する。各受光ファイバは、光学系により回折された光束を受光する。
【0010】
本発明の原理と合致する他の実施形態において、本発明は、筺体と、筺体内に配置された光学系と、二つのコネクタとを有するレーザプローブ用カップリングである。二つのコネクタは、光学系のそれぞれのサイドに配置される。光学系は入射光束を回折する。
【0011】
本発明の原理と合致する他の実施形態において、本発明は、放射光ファイバと光学系とを有する眼科用レーザプローブである。光学系は、放射光ファイバにより放射された光束を、2以上の回折光束に回折する。
【0012】
前述の一般的な説明と後述する詳細な説明の両方ともに例示であり、単に説明のためのもので、クレームされた発明のさらなる説明を提供することを意図するものであることを理解されたい。以下の記述は、本発明の実施例としてだけでなく、本発明の目的及び追加の利点を説明し、示すものである。
【0013】
この明細書の一部を構成し、組み込まれた添付の図面は、本発明の幾つかの実施形態を示し、その説明とともに、本発明の原理を説明するものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の原理と合致するファイバ結像系に対する単一ファイバの断面図である。
【図2】本発明の原理と合致する、回折格子を備えたレンズを用いたファイバ結像系に対するファイバの断面図である。
【図3】本発明の原理に従った、ハンドピースと取り付けられたカニューレとを含むレーザプローブの遠位端の断面図である。
【図4】本発明の原理に従った、2x2のスポットアレイを生じる回折格子の概略図である。
【図5】本発明の原理に従った、回折格子を用いた結像系を示す図である。
【図6A】面格子/体積ホログラムハイブリッド多重格子部材の側面断面図である。
【図6B】面格子/体積ホログラムハイブリッド多重格子部材の正面図である。
【図7】図6の面格子/体積ホログラムハイブリッド多重格子部材により生成されたビームパターンの側面断面図である。
【図8】本発明の原理に従った、カップリング構造の断面図である。
【図9】本発明の原理に従った、レーザプローブの部分図である。
【図10】図9のレーザプローブと図8のカップリング構造間の接続を示す図である。
【図11】本発明の原理に従った、メスコネクタの端面図である。
【図12】本発明の原理に従った、オスコネクタの端面図である。
【図13】レーザプローブの断面図である。
【図14】本発明の原理に従った、回折格子を備えたレーザプローブの断面図である。
【図15】図14のレーザプローブの遠位端の分解断面図である。
【図16】光学パワーが回折格子に組み込まれたレーザプローブの遠位端の分解断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
添付の図面において示された、本発明の例示的な実施形態を以下で詳細に参照する。可能な限り、同一の参照番号を、全ての図を通じて同じまたは類似の部分を参照するために使用した。
【0016】
図1は、本発明の原理と合致するファイバ結像系に対する単一ファイバの断面図である。図1の実施形態では、ファイバ結像系は、二つのファイバ110、120と二つのレンズ130、140とを有する。ファイバ110は、レーザ光源(図示せず)から発した発散光束を放射する。その発散光束は、レンズ130により平行光にされる。周知のように、平行光は、その光線が平行となって平面波面を持つ光である。この平行光束は、レンズ140により、受光ファイバ120の入射面上の小さな直径のスポットへ焦点を結ぶ。この場合、レンズ130、140は、それぞれ、平凸非球面レンズである。平凸非球面レンズでは、一方の面が平面であり、他方の面が最小直径スポットに対して光をフォーカスするために高精度な非球面を備えた凸面である。このような構造は、光線収差を最小とし、受光ファイバ120において完全な回折限界に近いレーザスポットとすることができる。
【0017】
本発明の一つの実施形態では、ファイバ110、120は、それぞれ、50ミクロンの0.15NAのファイバである。またレンズは、アルコンラボラトリにより製造販売されている眼科用ハンドピースのような、内径0.035インチ(0.889mm)を備えた標準的な眼科用ハンドピースの内側に適切に合う大きさである。
【0018】
図2は、回折格子を備えたレンズを用いたファイバ結像系に対するファイバの断面図である。図2では、ファイバ結像系は、放射ファイバ110と、レンズ130と、回折格子205を備えたレンズ140と、3本の受光ファイバ220、230、240とを含む。図2の実施形態では、回折格子205は平凸レンズ140の平面側に配置される。そのような回折格子は、図示のように、入射光束を複数の出射光束に回折し、各出射光束に別個のスポットに焦点を結ばせることができる。この場合、レンズ/格子部材210は、入射光束を回折し、その入射光束を二つの異なる分離したビームスポットにフォーカスする。表面格子の外形の深さは、光の約1/3がそれぞれ回折されたスポットに回折され、光の1/3が回折されずに0次のスポットに残るように設計される。そのような場合、3本の受光ファイバ220、230、240のそれぞれは、入射光束からのレーザ光の約1/3を運ぶ。
【0019】
そのような構造は、単一の入射レーザ光束から複数のレーザスポットを生じる。レンズ/格子部材210上の回折格子205は、複数の受光ファイバ220、230、240に結合される複数の回折ビームスポットを生じるように設計される。一例では、回折格子は、光の100%近くが回折光束に向かうよう(そして0次光束をなくすよう)に、入射光束を回折するよう設計される。一般に、そのような格子は直線に沿って、または(図4に示されるような)2次元領域内に回折ビームのパターンを生じるよう設計される。図2の回折格子205は、レンズ140と物理的に直接接触してもよく、あるいは、レンズ140から分離されていてもよい。そのような場合、回折格子は、レンズと分離したポリマーまたはガラス構造により実装される。集光レンズ140と分離した回折格子205は、集光レンズ140の下流側、集光レンズ140とコリメートレンズ130との間、コリメートレンズ130の上流側の何れにでも配置できる。
【0020】
図3は、本発明の原理に従った、ハンドピースと取り付けられたカニューレとを含むレーザプローブの遠位端を示す。図3において、レーザプローブ部材300は、放射ファイバ110と、レンズ130と、回折格子210を備えたレンズと、3本の受光ファイバ220、230、240と、ハンドピース310と、カニューレ320とを含む。3本の受光ファイバ220、230、240のそれぞれは、湾曲した遠位端を持つ。これらの湾曲した端は、回折されたレーザスポットを異なる位置へ向かわせ、それによってスポットパターンを生じる。レーザプローブ部材300が網膜血管の光凝固術に用いられると、受光ファイバ220、230、240の湾曲した端は、血管をより素早く、より効率的に凝固させるために使用できるスポットパターンを生じる。レーザを発光させる度に、複数のスポットを、網膜表面の広範囲な部分をカバーしつつ、網膜上に投影することができる。
【0021】
図4は、本発明の原理に従った、2x2のスポットアレイを生じる回折格子の概略図である。図4では、回折格子410は、2次元領域内に4個のスポットを生じる。4個のスポットのそれぞれは、受光ファイバ420、430、440、450と合わせられる。回折格子410の設計を変えることにより、異なるスポット数の構成を実現できる。
【0022】
図5は、本発明の原理に従った、回折格子を用いた結像系を示す図である。図5では、結像系は、放射ファイバ510と、二つの受光ファイバ520、530と、回折格子540とを有する。図5では、屈折レンズが除去され、回折格子540で置換されている。この場合、回折格子540の端部において、(1:1倍、0.15NA光学系)約17°の曲げ角が要求される。表面レリーフ格子は、小さな曲げ角に対して100%近い回折効率を持つことができるが、曲げ角が大きくなるにつれて回折効率は急激に低下する傾向にある。そのような場合、体積ホログラムを回折格子として用いることができる。
【0023】
図6A及び図6Bは、それぞれ、面格子/体積ホログラムハイブリッド多重格子部材の側面断面図及び正面図である。図6Aでは、格子部材600は、表面レリーフ格子層610と、接着層620と、体積ホログラム層630と、ガラス基板640とを含む。格子部材600は、中心(表面格子回折)領域615と、周辺(体積ホログラム回折)領域625とを持つ。格子部材600は、図6Bに示されるように、略円形をしている。
【0024】
周辺(体積ホログラム回折)領域625は、体積ホログラムを実装する。体積ホログラムでは、回折格子はホログラム材質のかさ容積(bulk volume)内にある。体積ホログラムは、低い曲げ角(例えば、10°未満)に対して低い回折効率に抑え、大きい曲げ角(例えば、10°超)に対して100%の回折効率にできる可能性を持つ。
【0025】
そのため、回折部材600は、中心(表面格子回折)領域615で小さい曲げ角に対して効率的に回折する。その部材600は、周辺(体積ホログラム回折)領域625でより大きい曲げ角に対しても効率的に回折する。そのような部材600を用いて、ハンドピースまたはプローブ内に包含された制約された体積において100%近い回折効率を得ることができる。格子部材600に対する例示的なビームパターンを図7に示す。
【0026】
図8−図10は、本発明の原理に従った、ファイバカップリング構造を示す。図8はカップリングを示す。光学系は、ディスポーザブルなレーザプローブに対するレーザコンソールと接続する筺体830内に配置される。図8では、光学系(この場合、レンズ130と回折格子210を備えたレンズであるが、他の光学系が用いられてもよい)が筺体830内に配置されている。オスコネクタ810は、筺体830の一方の端部に設けられ、メスコネクタ820が筺体830の他方の端部に設けられている。他の実施形態では、コネクタは、標準的なSMAコネクタであるが、他のタイプのコネクタが採用されてもよい。
【0027】
図9は、本発明の原理に従った、レーザプローブの部分図である。ディスポーザブルマルチスポットレーザプローブは、オスコネクタ910と、1以上の光ファイバを支えるシース920と、ハンドピース930と、3本の光ファイバ220、230、240(それぞれ、湾曲端を持つ)で終端するカニューレ940とを含む。
【0028】
図10は、図9のレーザプローブと図8のコネクタ構造間の接続を示す図である。図10では、オスコネクタ910はメスコネクタ820にはめ込まれ、それによりレーザプローブをレーザ光源と結合する。筺体830内に囲まれた光学系は、入射光束を光ファイバ220、230、240により運ばれる複数の光束に回折する。
【0029】
図11及び図12は、本発明の原理に従った、コネクタ構造の端面図である。図11はメスコネクタの端面図であり、図12はオスコネクタの端面図である。スプリングボール1110は、スロット1120と嵌合し、光ファイバ(小円で示す)を正確に一列に並べる。スロットと接合突起のような、他の整列機構を、光ファイバを一列に並べるために採用してもよい。
【0030】
図13はレーザプローブの断面図である。図13では、レーザプローブは、PVC被覆1310と、ハンドピース1320と、光ファイバ1330と、カニューレ1340とを有する。レーザ光束はファイバ1330の遠位端から放射される。
【0031】
図14は、本発明の原理に従った、回折格子を備えたレーザプローブの断面図である。図14では、回折格子1410はカニューレ1340の端部に固定される。光ファイバ1330は、回折格子1410の前方でカニューレ1340内で終端する。この方式では、光ファイバ1330により放射されたレーザ光束は回折格子1410を透過する。上記のように、回折格子1410は複数の回折ビームスポットを生じる。図14では、二つの回折光束が示されているが、本発明の他の実施形態では、入射光束が回折格子1410を透過するにつれて何本の回折光束が生じてもよい。本発明の様々な実施形態では、表面格子、体積ホログラムあるいはそれら両方の組み合わせを、上記のように採用することができる。他の実施形態では、回折格子1410を、上記のように異なるスポットパターンを生じさせるように設計してもよい。
【0032】
図15は、図14のレーザプローブの遠位端の分解断面図である。この図は、ビームの光路及び構成部品の配置をより明確に示している。図15は、カニューレ1340内で光ファイバ1330を中心位置に合わせるよう設計されたセンタリングシリンダ1510も含む。光ファイバ1330の遠位端は、図示のように光ファイバ1330により放射された光束が回折格子1410を満たすべく拡散できるようにするため、回折格子1410から離して置かれる。回折格子1410は、放射ファイバの面内で複数の虚像が現れるように、光束を複数の方向に回折する。
【0033】
図16は、光学パワーが回折格子1610に組み込まれたレーザプローブの遠位端の分解断面図である。回折格子1610は回折光束に焦点を結ばせるように設計される。例えば、回折格子を、複数の平行回折光束を放射するように設計することができる。平行回折光束は、網膜上により集中したスポットパターンをもたらす。他の実施形態では、回折格子1610は、発散回折光束を生成するよう設計される。
【0034】
上記から、本発明が網膜の光凝固術用の向上されたシステムを提供することが明らかとなろう。回折格子またはその集合部材を利用することで、単一入射レーザ光束を、網膜血管を光凝固させる適切なスポットパターンに回折させることができる。本発明は、実施例によりここに示され、また様々な変形を当業者は行ってもよい。
【0035】
ここに開示された本発明の実施例及び明細書の考察から、本発明の他の実施形態も当業者にとって明らかとなろう。明細書及び実施例は、単なる例示とみなされるものであり、本発明の真の範囲及び精神は、以下のクレームによて示されることが意図されている。
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼の施術において使用されるレーザプローブに関し、特に、光凝固術において使用されるマルチスポットレーザプローブに関する。
【背景技術】
【0002】
解剖学的に、眼は、はっきり異なる二つの部分、前眼部と後眼部とに区分される。前眼部は水晶体を含み、角膜(角膜内皮)の最外層から水晶体嚢の後方までわたっている。後眼部は、水晶体嚢の後側の眼の部分を含む。後眼部は、前側硝子体面から、硝子体の後側硝子体面と直接接触している網膜にまでわたっている。後眼部は、前眼部と比べて非常に大きい。
【0003】
後眼部は、硝子体、即ち、無色透明でゲル状の物質を含む。それは眼の体積の約2/3を占め、誕生前に形成され、形作られる。それは、1%のコラーゲン及びヒアルロン酸ナトリウムと、99%の水からなる。硝子体の前側境界が前側硝子体面であり、水晶体後嚢と接触している。一方、後側硝子体面は硝子体の後方境界を形成しており、網膜と接触している。
【0004】
黄斑変性は、網膜の黄班領域として知られる、目の内壁の中心において薄化、退化し、時には出血を伴う、主に老人において見られる病状である。これは中心視野の喪失をもたらし、詳細をはっきり見たり、読んだり、あるいは顔を認識することをできなくしてしまう。米国眼科学会によれば、これは、今日、米国において50代以上における、中心視野喪失原因の最大のものとなっている。
【0005】
網膜下の血管が出血すると、湿性黄班変性と呼ばれる、黄班変性の形成がなされる。場合によっては、この出血は光凝固術として知られる施術を用いて食い止め、または進行を遅らせられる。光凝固術は、眼の症状の幾つか(そのうちの一つが滲出性(湿性)の黄班変性である)を治療する網膜手術によって採用される技術である。この治療において、レーザ光束が眼の内部へ向けられ、網膜下で膨張する異常血管上に焦点を結ぶ。このレーザは、更なる視野の喪失を防ぐことを期待して更なる漏出から血管を塞ぐため、血管を焼灼する。
【0006】
一つの照射ビームスポットを持つ標準的なレーザプローブを用いて、代表的には、眼科外科医は、網膜面全体にわたってビームを走査しつつ頻繁にフットペダルでレーザ光束のオン・オフを行い、網膜上に光凝固されたレーザ焼却スポットの一次元または二次元のアレイを作る。それは、単一光束のレーザプローブを用いて光凝固されたスポットで所望の網膜領域をカバーするのに、長時間を要する。
【0007】
マルチスポットレーザプローブは、潜在的に所望のレーザ焼却スポットパターンを生成するのに要する時間を短縮できる可能性がある。しかし、最大レーザパワー設定で既に動作している、限られたレーザビームパワーを持つレーザであれば、マルチスポットレーザプローブは、所望のレーザ焼却スポットパターンを生成するのに要する時間を必ずしも短縮しない。このことは、固定のレーザパワーPがN個のビームスポットで分割され、あるビームスポットにおけるパワーは平均でたったP/Nとなるためである。そのため、等価な焼却を行うには、必要な露光時間が単一ビームレーザプローブの露光時間のおおよそN倍となる。したがって、レーザファイアの必要数が単一ビームプローブからの数のたった1/Nになるものの、ビームファイアあたりの露光時間が単一ビームプローブの露光時間のN倍になってしまう。そのため、焼却スポットアレイを生み出すための全体の時間は変わらない。
【0008】
しかし、今日、アルコンラボラトリのNGL(次世代レーザ)といった、新しい光凝固レーザが利用可能となっており、理想的な光凝固スポットを生成する所望のビーム強度は、NGLの利用可能なビーム強度の最大値のごく一部にすぎない。fが1/Nと等しい場合、N個の照射ビームを持つマルチスポットレーザビームを、最大パワーレベルでのレーザビームとともに用いることができ、所望の光凝固スポットパターンを生成する全体の時間は、単一スポットのレーザプローブで必要とされる時間のたった1/Nとなる。これは、各手術の全体時間を短縮し、一日により多くの手術を実施することを可能とし、手術あたりの全体コストを低下させる。そのため、光凝固術を実施するためのマルチスポットレーザプローブが求められている。
【発明の概要】
【0009】
本発明の原理と合致する一つの実施形態において、本発明は、放射光ファイバと、光学系と、2以上の受光ファイバとを有するレーザプローブである。放射光ファイバは、レーザ光束を放射する。光学系は、放射光ファイバにより放射された光束を回折する。各受光ファイバは、光学系により回折された光束を受光する。
【0010】
本発明の原理と合致する他の実施形態において、本発明は、筺体と、筺体内に配置された光学系と、二つのコネクタとを有するレーザプローブ用カップリングである。二つのコネクタは、光学系のそれぞれのサイドに配置される。光学系は入射光束を回折する。
【0011】
本発明の原理と合致する他の実施形態において、本発明は、放射光ファイバと光学系とを有する眼科用レーザプローブである。光学系は、放射光ファイバにより放射された光束を、2以上の回折光束に回折する。
【0012】
前述の一般的な説明と後述する詳細な説明の両方ともに例示であり、単に説明のためのもので、クレームされた発明のさらなる説明を提供することを意図するものであることを理解されたい。以下の記述は、本発明の実施例としてだけでなく、本発明の目的及び追加の利点を説明し、示すものである。
【0013】
この明細書の一部を構成し、組み込まれた添付の図面は、本発明の幾つかの実施形態を示し、その説明とともに、本発明の原理を説明するものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の原理と合致するファイバ結像系に対する単一ファイバの断面図である。
【図2】本発明の原理と合致する、回折格子を備えたレンズを用いたファイバ結像系に対するファイバの断面図である。
【図3】本発明の原理に従った、ハンドピースと取り付けられたカニューレとを含むレーザプローブの遠位端の断面図である。
【図4】本発明の原理に従った、2x2のスポットアレイを生じる回折格子の概略図である。
【図5】本発明の原理に従った、回折格子を用いた結像系を示す図である。
【図6A】面格子/体積ホログラムハイブリッド多重格子部材の側面断面図である。
【図6B】面格子/体積ホログラムハイブリッド多重格子部材の正面図である。
【図7】図6の面格子/体積ホログラムハイブリッド多重格子部材により生成されたビームパターンの側面断面図である。
【図8】本発明の原理に従った、カップリング構造の断面図である。
【図9】本発明の原理に従った、レーザプローブの部分図である。
【図10】図9のレーザプローブと図8のカップリング構造間の接続を示す図である。
【図11】本発明の原理に従った、メスコネクタの端面図である。
【図12】本発明の原理に従った、オスコネクタの端面図である。
【図13】レーザプローブの断面図である。
【図14】本発明の原理に従った、回折格子を備えたレーザプローブの断面図である。
【図15】図14のレーザプローブの遠位端の分解断面図である。
【図16】光学パワーが回折格子に組み込まれたレーザプローブの遠位端の分解断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
添付の図面において示された、本発明の例示的な実施形態を以下で詳細に参照する。可能な限り、同一の参照番号を、全ての図を通じて同じまたは類似の部分を参照するために使用した。
【0016】
図1は、本発明の原理と合致するファイバ結像系に対する単一ファイバの断面図である。図1の実施形態では、ファイバ結像系は、二つのファイバ110、120と二つのレンズ130、140とを有する。ファイバ110は、レーザ光源(図示せず)から発した発散光束を放射する。その発散光束は、レンズ130により平行光にされる。周知のように、平行光は、その光線が平行となって平面波面を持つ光である。この平行光束は、レンズ140により、受光ファイバ120の入射面上の小さな直径のスポットへ焦点を結ぶ。この場合、レンズ130、140は、それぞれ、平凸非球面レンズである。平凸非球面レンズでは、一方の面が平面であり、他方の面が最小直径スポットに対して光をフォーカスするために高精度な非球面を備えた凸面である。このような構造は、光線収差を最小とし、受光ファイバ120において完全な回折限界に近いレーザスポットとすることができる。
【0017】
本発明の一つの実施形態では、ファイバ110、120は、それぞれ、50ミクロンの0.15NAのファイバである。またレンズは、アルコンラボラトリにより製造販売されている眼科用ハンドピースのような、内径0.035インチ(0.889mm)を備えた標準的な眼科用ハンドピースの内側に適切に合う大きさである。
【0018】
図2は、回折格子を備えたレンズを用いたファイバ結像系に対するファイバの断面図である。図2では、ファイバ結像系は、放射ファイバ110と、レンズ130と、回折格子205を備えたレンズ140と、3本の受光ファイバ220、230、240とを含む。図2の実施形態では、回折格子205は平凸レンズ140の平面側に配置される。そのような回折格子は、図示のように、入射光束を複数の出射光束に回折し、各出射光束に別個のスポットに焦点を結ばせることができる。この場合、レンズ/格子部材210は、入射光束を回折し、その入射光束を二つの異なる分離したビームスポットにフォーカスする。表面格子の外形の深さは、光の約1/3がそれぞれ回折されたスポットに回折され、光の1/3が回折されずに0次のスポットに残るように設計される。そのような場合、3本の受光ファイバ220、230、240のそれぞれは、入射光束からのレーザ光の約1/3を運ぶ。
【0019】
そのような構造は、単一の入射レーザ光束から複数のレーザスポットを生じる。レンズ/格子部材210上の回折格子205は、複数の受光ファイバ220、230、240に結合される複数の回折ビームスポットを生じるように設計される。一例では、回折格子は、光の100%近くが回折光束に向かうよう(そして0次光束をなくすよう)に、入射光束を回折するよう設計される。一般に、そのような格子は直線に沿って、または(図4に示されるような)2次元領域内に回折ビームのパターンを生じるよう設計される。図2の回折格子205は、レンズ140と物理的に直接接触してもよく、あるいは、レンズ140から分離されていてもよい。そのような場合、回折格子は、レンズと分離したポリマーまたはガラス構造により実装される。集光レンズ140と分離した回折格子205は、集光レンズ140の下流側、集光レンズ140とコリメートレンズ130との間、コリメートレンズ130の上流側の何れにでも配置できる。
【0020】
図3は、本発明の原理に従った、ハンドピースと取り付けられたカニューレとを含むレーザプローブの遠位端を示す。図3において、レーザプローブ部材300は、放射ファイバ110と、レンズ130と、回折格子210を備えたレンズと、3本の受光ファイバ220、230、240と、ハンドピース310と、カニューレ320とを含む。3本の受光ファイバ220、230、240のそれぞれは、湾曲した遠位端を持つ。これらの湾曲した端は、回折されたレーザスポットを異なる位置へ向かわせ、それによってスポットパターンを生じる。レーザプローブ部材300が網膜血管の光凝固術に用いられると、受光ファイバ220、230、240の湾曲した端は、血管をより素早く、より効率的に凝固させるために使用できるスポットパターンを生じる。レーザを発光させる度に、複数のスポットを、網膜表面の広範囲な部分をカバーしつつ、網膜上に投影することができる。
【0021】
図4は、本発明の原理に従った、2x2のスポットアレイを生じる回折格子の概略図である。図4では、回折格子410は、2次元領域内に4個のスポットを生じる。4個のスポットのそれぞれは、受光ファイバ420、430、440、450と合わせられる。回折格子410の設計を変えることにより、異なるスポット数の構成を実現できる。
【0022】
図5は、本発明の原理に従った、回折格子を用いた結像系を示す図である。図5では、結像系は、放射ファイバ510と、二つの受光ファイバ520、530と、回折格子540とを有する。図5では、屈折レンズが除去され、回折格子540で置換されている。この場合、回折格子540の端部において、(1:1倍、0.15NA光学系)約17°の曲げ角が要求される。表面レリーフ格子は、小さな曲げ角に対して100%近い回折効率を持つことができるが、曲げ角が大きくなるにつれて回折効率は急激に低下する傾向にある。そのような場合、体積ホログラムを回折格子として用いることができる。
【0023】
図6A及び図6Bは、それぞれ、面格子/体積ホログラムハイブリッド多重格子部材の側面断面図及び正面図である。図6Aでは、格子部材600は、表面レリーフ格子層610と、接着層620と、体積ホログラム層630と、ガラス基板640とを含む。格子部材600は、中心(表面格子回折)領域615と、周辺(体積ホログラム回折)領域625とを持つ。格子部材600は、図6Bに示されるように、略円形をしている。
【0024】
周辺(体積ホログラム回折)領域625は、体積ホログラムを実装する。体積ホログラムでは、回折格子はホログラム材質のかさ容積(bulk volume)内にある。体積ホログラムは、低い曲げ角(例えば、10°未満)に対して低い回折効率に抑え、大きい曲げ角(例えば、10°超)に対して100%の回折効率にできる可能性を持つ。
【0025】
そのため、回折部材600は、中心(表面格子回折)領域615で小さい曲げ角に対して効率的に回折する。その部材600は、周辺(体積ホログラム回折)領域625でより大きい曲げ角に対しても効率的に回折する。そのような部材600を用いて、ハンドピースまたはプローブ内に包含された制約された体積において100%近い回折効率を得ることができる。格子部材600に対する例示的なビームパターンを図7に示す。
【0026】
図8−図10は、本発明の原理に従った、ファイバカップリング構造を示す。図8はカップリングを示す。光学系は、ディスポーザブルなレーザプローブに対するレーザコンソールと接続する筺体830内に配置される。図8では、光学系(この場合、レンズ130と回折格子210を備えたレンズであるが、他の光学系が用いられてもよい)が筺体830内に配置されている。オスコネクタ810は、筺体830の一方の端部に設けられ、メスコネクタ820が筺体830の他方の端部に設けられている。他の実施形態では、コネクタは、標準的なSMAコネクタであるが、他のタイプのコネクタが採用されてもよい。
【0027】
図9は、本発明の原理に従った、レーザプローブの部分図である。ディスポーザブルマルチスポットレーザプローブは、オスコネクタ910と、1以上の光ファイバを支えるシース920と、ハンドピース930と、3本の光ファイバ220、230、240(それぞれ、湾曲端を持つ)で終端するカニューレ940とを含む。
【0028】
図10は、図9のレーザプローブと図8のコネクタ構造間の接続を示す図である。図10では、オスコネクタ910はメスコネクタ820にはめ込まれ、それによりレーザプローブをレーザ光源と結合する。筺体830内に囲まれた光学系は、入射光束を光ファイバ220、230、240により運ばれる複数の光束に回折する。
【0029】
図11及び図12は、本発明の原理に従った、コネクタ構造の端面図である。図11はメスコネクタの端面図であり、図12はオスコネクタの端面図である。スプリングボール1110は、スロット1120と嵌合し、光ファイバ(小円で示す)を正確に一列に並べる。スロットと接合突起のような、他の整列機構を、光ファイバを一列に並べるために採用してもよい。
【0030】
図13はレーザプローブの断面図である。図13では、レーザプローブは、PVC被覆1310と、ハンドピース1320と、光ファイバ1330と、カニューレ1340とを有する。レーザ光束はファイバ1330の遠位端から放射される。
【0031】
図14は、本発明の原理に従った、回折格子を備えたレーザプローブの断面図である。図14では、回折格子1410はカニューレ1340の端部に固定される。光ファイバ1330は、回折格子1410の前方でカニューレ1340内で終端する。この方式では、光ファイバ1330により放射されたレーザ光束は回折格子1410を透過する。上記のように、回折格子1410は複数の回折ビームスポットを生じる。図14では、二つの回折光束が示されているが、本発明の他の実施形態では、入射光束が回折格子1410を透過するにつれて何本の回折光束が生じてもよい。本発明の様々な実施形態では、表面格子、体積ホログラムあるいはそれら両方の組み合わせを、上記のように採用することができる。他の実施形態では、回折格子1410を、上記のように異なるスポットパターンを生じさせるように設計してもよい。
【0032】
図15は、図14のレーザプローブの遠位端の分解断面図である。この図は、ビームの光路及び構成部品の配置をより明確に示している。図15は、カニューレ1340内で光ファイバ1330を中心位置に合わせるよう設計されたセンタリングシリンダ1510も含む。光ファイバ1330の遠位端は、図示のように光ファイバ1330により放射された光束が回折格子1410を満たすべく拡散できるようにするため、回折格子1410から離して置かれる。回折格子1410は、放射ファイバの面内で複数の虚像が現れるように、光束を複数の方向に回折する。
【0033】
図16は、光学パワーが回折格子1610に組み込まれたレーザプローブの遠位端の分解断面図である。回折格子1610は回折光束に焦点を結ばせるように設計される。例えば、回折格子を、複数の平行回折光束を放射するように設計することができる。平行回折光束は、網膜上により集中したスポットパターンをもたらす。他の実施形態では、回折格子1610は、発散回折光束を生成するよう設計される。
【0034】
上記から、本発明が網膜の光凝固術用の向上されたシステムを提供することが明らかとなろう。回折格子またはその集合部材を利用することで、単一入射レーザ光束を、網膜血管を光凝固させる適切なスポットパターンに回折させることができる。本発明は、実施例によりここに示され、また様々な変形を当業者は行ってもよい。
【0035】
ここに開示された本発明の実施例及び明細書の考察から、本発明の他の実施形態も当業者にとって明らかとなろう。明細書及び実施例は、単なる例示とみなされるものであり、本発明の真の範囲及び精神は、以下のクレームによて示されることが意図されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光束を放射する放射光ファイバと、
前記放射光ファイバの放射側に配置され、前記放射光ファイバにより放射された光束を回折する光学系と、
それぞれが前記放射光ファイバと対向して配置され、かつそれぞれが前記光学系により回折された光束を受光する2以上の受光ファイバと、
を有するレーザプローブ。
【請求項2】
前記光学系は、第1のレンズと、前記第1のレンズと対向して配置され、回折面を有する第2のレンズとをさらに有する、請求項1に記載のレーザプローブ。
【請求項3】
前記第1のレンズは非球面レンズであり、前記第2のレンズは回折面を備えた非球面レンズである、請求項2に記載のレーザプローブ。
【請求項4】
前記光学系は、前記放射光ファイバにより放射された光束を2次元のビームスポットアレイに回折する、請求項1に記載のレーザプローブ。
【請求項5】
前記光学系は回折格子を有する、請求項1に記載のレーザプローブ。
【請求項6】
前記光学系は面格子/体積ホログラムハイブリッド多重格子部材を有する、請求項1に記載のレーザプローブ。
【請求項7】
前記格子部材は、
前記格子部材の中心に配置され、入射光束を低曲げ角で回折する略円形の面格子区域と、
前記面格子区域の周辺に配置され、入射光束を高曲げ角で回折する略リング状の体積ホログラム区域と
をさらに有する、請求項6に記載のレーザプローブ。
【請求項8】
前記2以上の受光ファイバのうちの少なくとも一つは湾曲遠位端を持つ、請求項1に記載のレーザプローブ。
【請求項9】
前記2以上の受光ファイバは、当該2以上の受光ファイバのそれぞれが前記光学系により回折された単一の光束と結合するよう配置される、請求項1に記載のレーザプローブ。
【請求項10】
前記2以上の受光ファイバを少なくとも部分的に囲う筺体をさらに有する、請求項1に記載のレーザプローブ。
【請求項11】
筺体と、
前記筺体内に配置され、入射光束を回折する光学系と、
前記光学系の一方のサイドに配置された第1のコネクタと、
前記光学系の他方のサイドに配置された第2のコネクタと、
を有するレーザプローブ用カップリング。
【請求項12】
前記光学系は、第1のレンズと、前記第1のレンズに対向して配置され、回折面を有する第2のレンズとをさらに有する、請求項11に記載のカップリング。
【請求項13】
前記第1のレンズは非球面レンズであり、前記第2のレンズは回折面を備えた非球面レンズである、請求項12に記載のカップリング。
【請求項14】
前記光学系は、前記放射光ファイバにより放射された光束を2次元のビームスポットアレイに回折する、請求項11に記載のカップリング。
【請求項15】
前記光学系は回折格子を有する、請求項11に記載のカップリング。
【請求項16】
前記光学系は面格子/体積ホログラムハイブリッド多重格子部材を有する、請求項11に記載のカップリング。
【請求項17】
前記格子部材は、
前記格子部材の中心に配置され、入射光束を低曲げ角で回折する略円形の面格子区域と、
前記面格子区域の周辺に配置され、入射光束を高曲げ角で回折する略リング状の体積ホログラム区域と
をさらに有する、請求項16に記載のカップリング。
【請求項18】
前記第1のコネクタ及び前記第2のコネクタはSMAコネクタである、請求項11に記載のカップリング。
【請求項19】
前記第1のコネクタ及び前記第2のコネクタの少なくとも一つは、複数の光ファイバを一列に並べる機構を有する、請求項11に記載のカップリング。
【請求項20】
光束を放射する放射光ファイバと、
前記放射光ファイバの放射側に配置され、前記放射光ファイバにより放射された光束を2以上の回折光束に少なくとも回折する光学系と、
を有する眼科用レーザプローブ。
【請求項21】
前記光学系は回折格子を有する、請求項20に記載のレーザプローブ。
【請求項22】
前記光学系は面格子/体積ホログラムハイブリッド多重格子部材を有する、請求項20に記載のレーザプローブ。
【請求項23】
前記格子部材は、
前記格子部材の中心に配置され、入射光束を低曲げ角で回折する略円形の面格子区域と、
前記面格子区域の周辺に配置され、入射光束を高曲げ角で回折する略リング状の体積ホログラム区域と
をさらに有する、請求項22に記載のレーザプローブ。
【請求項24】
前記光学系は、平行光化する能力を備えた回折格子を有する、請求項20に記載のレーザプローブ。
【請求項25】
前記放射光ファイバを少なくとも部分的に囲う筺体をさらに有する、請求項20に記載のレーザプローブ。
【請求項26】
前記放射光ファイバを少なくとも部分的に囲うカニューレをさらに有する、請求項20に記載のレーザプローブ。
【請求項27】
前記カニューレに配置され、前記放射光ファイバを前記カニューレ内で中心位置合わせするセンタリングシリンダをさらに有する、請求項20に記載のレーザプローブ。
【請求項1】
光束を放射する放射光ファイバと、
前記放射光ファイバの放射側に配置され、前記放射光ファイバにより放射された光束を回折する光学系と、
それぞれが前記放射光ファイバと対向して配置され、かつそれぞれが前記光学系により回折された光束を受光する2以上の受光ファイバと、
を有するレーザプローブ。
【請求項2】
前記光学系は、第1のレンズと、前記第1のレンズと対向して配置され、回折面を有する第2のレンズとをさらに有する、請求項1に記載のレーザプローブ。
【請求項3】
前記第1のレンズは非球面レンズであり、前記第2のレンズは回折面を備えた非球面レンズである、請求項2に記載のレーザプローブ。
【請求項4】
前記光学系は、前記放射光ファイバにより放射された光束を2次元のビームスポットアレイに回折する、請求項1に記載のレーザプローブ。
【請求項5】
前記光学系は回折格子を有する、請求項1に記載のレーザプローブ。
【請求項6】
前記光学系は面格子/体積ホログラムハイブリッド多重格子部材を有する、請求項1に記載のレーザプローブ。
【請求項7】
前記格子部材は、
前記格子部材の中心に配置され、入射光束を低曲げ角で回折する略円形の面格子区域と、
前記面格子区域の周辺に配置され、入射光束を高曲げ角で回折する略リング状の体積ホログラム区域と
をさらに有する、請求項6に記載のレーザプローブ。
【請求項8】
前記2以上の受光ファイバのうちの少なくとも一つは湾曲遠位端を持つ、請求項1に記載のレーザプローブ。
【請求項9】
前記2以上の受光ファイバは、当該2以上の受光ファイバのそれぞれが前記光学系により回折された単一の光束と結合するよう配置される、請求項1に記載のレーザプローブ。
【請求項10】
前記2以上の受光ファイバを少なくとも部分的に囲う筺体をさらに有する、請求項1に記載のレーザプローブ。
【請求項11】
筺体と、
前記筺体内に配置され、入射光束を回折する光学系と、
前記光学系の一方のサイドに配置された第1のコネクタと、
前記光学系の他方のサイドに配置された第2のコネクタと、
を有するレーザプローブ用カップリング。
【請求項12】
前記光学系は、第1のレンズと、前記第1のレンズに対向して配置され、回折面を有する第2のレンズとをさらに有する、請求項11に記載のカップリング。
【請求項13】
前記第1のレンズは非球面レンズであり、前記第2のレンズは回折面を備えた非球面レンズである、請求項12に記載のカップリング。
【請求項14】
前記光学系は、前記放射光ファイバにより放射された光束を2次元のビームスポットアレイに回折する、請求項11に記載のカップリング。
【請求項15】
前記光学系は回折格子を有する、請求項11に記載のカップリング。
【請求項16】
前記光学系は面格子/体積ホログラムハイブリッド多重格子部材を有する、請求項11に記載のカップリング。
【請求項17】
前記格子部材は、
前記格子部材の中心に配置され、入射光束を低曲げ角で回折する略円形の面格子区域と、
前記面格子区域の周辺に配置され、入射光束を高曲げ角で回折する略リング状の体積ホログラム区域と
をさらに有する、請求項16に記載のカップリング。
【請求項18】
前記第1のコネクタ及び前記第2のコネクタはSMAコネクタである、請求項11に記載のカップリング。
【請求項19】
前記第1のコネクタ及び前記第2のコネクタの少なくとも一つは、複数の光ファイバを一列に並べる機構を有する、請求項11に記載のカップリング。
【請求項20】
光束を放射する放射光ファイバと、
前記放射光ファイバの放射側に配置され、前記放射光ファイバにより放射された光束を2以上の回折光束に少なくとも回折する光学系と、
を有する眼科用レーザプローブ。
【請求項21】
前記光学系は回折格子を有する、請求項20に記載のレーザプローブ。
【請求項22】
前記光学系は面格子/体積ホログラムハイブリッド多重格子部材を有する、請求項20に記載のレーザプローブ。
【請求項23】
前記格子部材は、
前記格子部材の中心に配置され、入射光束を低曲げ角で回折する略円形の面格子区域と、
前記面格子区域の周辺に配置され、入射光束を高曲げ角で回折する略リング状の体積ホログラム区域と
をさらに有する、請求項22に記載のレーザプローブ。
【請求項24】
前記光学系は、平行光化する能力を備えた回折格子を有する、請求項20に記載のレーザプローブ。
【請求項25】
前記放射光ファイバを少なくとも部分的に囲う筺体をさらに有する、請求項20に記載のレーザプローブ。
【請求項26】
前記放射光ファイバを少なくとも部分的に囲うカニューレをさらに有する、請求項20に記載のレーザプローブ。
【請求項27】
前記カニューレに配置され、前記放射光ファイバを前記カニューレ内で中心位置合わせするセンタリングシリンダをさらに有する、請求項20に記載のレーザプローブ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2010−533034(P2010−533034A)
【公表日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−516107(P2010−516107)
【出願日】平成20年6月11日(2008.6.11)
【国際出願番号】PCT/US2008/066462
【国際公開番号】WO2009/009246
【国際公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(501449322)アルコン,インコーポレイティド (140)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月11日(2008.6.11)
【国際出願番号】PCT/US2008/066462
【国際公開番号】WO2009/009246
【国際公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(501449322)アルコン,インコーポレイティド (140)
【Fターム(参考)】
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