マルチセル無線通信システムにおける動的リソース配分方法および装置
【課題】ユーザのQoS要件、セル間干渉、アップリンクトラフィック要求等の要因を考慮することにより、システムのアップリンクおよびダウンリンクの総合的スループットを増大させる。
【解決手段】制御装置は、チャネル状態情報とセル間干渉情報とトラフィック要求情報とを受信し、システムのアップリンクおよびダウンリンクの総合的スループットを最大化するために、受信した情報に基づいてサブチャネル配分に対してグローバル最適化を実行し、そのサブチャネル配分結果を基地局に送信し、基地局は、受信したサブチャネル配分結果に基づき、各サービスクラス用の比例的公平性スケジューリングアルゴリズムを使用して各フレーム内の各タイムスロットを割り当て、そのタイムスロット割当結果を移動局に送信する。
【解決手段】制御装置は、チャネル状態情報とセル間干渉情報とトラフィック要求情報とを受信し、システムのアップリンクおよびダウンリンクの総合的スループットを最大化するために、受信した情報に基づいてサブチャネル配分に対してグローバル最適化を実行し、そのサブチャネル配分結果を基地局に送信し、基地局は、受信したサブチャネル配分結果に基づき、各サービスクラス用の比例的公平性スケジューリングアルゴリズムを使用して各フレーム内の各タイムスロットを割り当て、そのタイムスロット割当結果を移動局に送信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線通信技術に関し、特に、マルチセル無線通信システムにおける動的リソース配分方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、次世代無線通信システムによるモバイル音声/データサービスに対する需要が増大している。次世代無線通信システムの構築に際して考慮すべき主な問題の1つは、各ユーザのサービス品質(QoS)を維持しながらシステムのユーザ容量を拡大することである。
【0003】
従来の移動体通信システムの構造は単純だが、無線リソースの利用効率は低い。移動体通信システムでは、システムの容量とスペクトル効率を高める周波数再利用技術(すなわち、同じ周波数を繰り返し使用する技術)が広く採用されているが、そのほとんどは静的な技術である。図1に、従来技術による、再利用係数3を有する移動体通信システムを示す。図1に図示するシステムの各セル内に示した番号は、各セルで使用されている異なる周波数帯域を表わす。図1を見ると、3つの周波数帯域が再利用されていることが分かる。しかし、これらのシステムはいずれも明らかな短所を抱えている。その短所とは、セル内でサービスを利用するユーザの人数にかかわらず、各セルに配分される周波数帯域はシステムスペクトル総数の1/3ずつに固定されていることである。そのため、1つのセルでユーザ数が急激に増加すると、当該セル内のユーザが各々発行するトラフィック要求に対応できなくなる。周波数の配分を柔軟に行うことができなければ、動的特性を有するモバイルユーザからのトラフィック要求に対応できないことは明白である。
【0004】
上記の問題を解決するため、従来技術において多数の技術的解決法が推奨されている。こうした解決法の1つに、直交周波数分割多重(OFDM)がある。OFDMシステムにおいては、チャネル状態についてのフィードバック情報に基づいて、ユーザ−副搬送波の適応的な割当が実現される。この割当を迅速に実行できるなら、OFDMシステムの高速フェージングと狭帯域同一チャネル干渉はさらに減少され、システムの周波数スペクトル効率を向上させることが可能となる。さらに、ユーザ毎に異なるQoS要件に対応するため(すなわち、各ユーザのデータ転送速度とエラー確率を制御するため)、各ユーザには異なる数の副搬送波が割り当てられる。OFDMは、拡張性、多重入力−多重出力(MIMO)への親和性、およびチャネル周波数の選択性の面で優れるので、広帯域無線ネットワークにきわめて適している。そのため、OFDMは、3GPP long−term evolution (LTE)やWiMAX(IEEE 802.16)といった広帯域無線ネットワークの間で最も普及した技術的解決法の1つとなっている。
【0005】
OFDMAは、OFDMデジタル変調スキーマのマルチユーザ版である。OFDMAシステムにおいては、複数ユーザからデータ転送速度の遅い送信が同時に発生した場合には、各ユーザに対して副搬送波の部分集合を指定することで多重アクセスの実行が可能となる。
【0006】
直交周波数分割多重アクセス(OFDMA)は、OFDMと、静的な時間領域多重アクセス(すなわち、パケットモード通信)である時分割多重アクセス(TDMA)との組み合わせとみなされる。データ転送速度の遅いユーザが同時送信時に使用する送信電力は少なく、「パルス化」された高電力搬送波は使用されず、固定遅延を低く抑えられる。また、OFDMAシステムは、周波数領域多重アクセスと時間領域多重アクセスとの組み合わせ(すなわち、リソースが時間−周波数空間に応じて分割され、タイムスロットがOFDM記号指標とOFDM副搬送波指標に従って割り当てられる)ともみなすことができる。
【0007】
OFDMAシステムのパフォーマンスを最適化する上では、無線リソース管理が重要な役割を果たすことが知られている。しかし、セル間干渉がない場合でも、チャネルリソースの配分を最適化することは困難である。また、実際の使用状況おいては、ユーザの速度要件等の他の制限により問題が一層複雑になるという現実もある。そして、さらに重要なのは、OFDMAのリソース配分のための技術的解決法のほとんどは、単一セルへの対応に限定されており、マルチセルでのリソース配分最適化には未だ対応できないことである。
【0008】
そのため、マルチセルシステムおいてシステム全体のスループットを最大化することのできる、副搬送波配分(「リソースブロック」とも呼ばれる)のための技術的解決法の提案が待たれている。これを実現するためには、セル間干渉、マルチユーザダイバーシチ効果の利用、ユーザ間でのリソース配分、パフォーマンスと実装の複雑性低減の両方に配慮した妥協案の決定等の様々な問題を検討する必要がある。さらに、無線モバイルネットワーク環境においては、チャネル状態情報、ユーザ位置、ユーザ行動のすべてが動的特性を有するため、提案される技術的解決法は、動的無線リソース配分を実現できるよう、チャネル状態情報、トラフィック要求、およびマルチセルシステムの各種サービスに対するQoS要件を考慮に入れたものでなければならない。
【0009】
従来技術にも、マルチセルOFDMAシステムにおけるリソース配分のための技術的解決法がいくつかある。非特許文献1(G.LiおよびH.Liu「Downlink Radio Resource Allocation for Multi−Cell OFDMA System」(マルチセルOFDMAシステムのためのダウンリンク無線リソース配分)、IEEE Trans.on Wireless Communications、vol.5、no.12、2006年12月)、では、無線ネットワーク制御装置と基地局において動的リソース配分が実行される、マルチセルOFDMAシステムのためのダウンリンク無線リソース配分の解決法が推奨されている。この解決法は、無線リソースの制御決定が無線ネットワーク制御装置と基地局の間で分担されるという意味において、半分散的である。当該解決法によれば、無線ネットワーク制御装置は、スーパーフレームレベルでどの基地局がどのチャネルを使うかを決定し、基地局がその後、フレームレベルでどのユーザをどのチャネルに割り当てるかを決定する。このため、無線ネットワーク制御装置と基地局に対して2つの最適化問題が設定され、干渉回避とトラフィック/チャネル適応の機能を実行するための計算効率の高いアルゴリズムが当該解決法内で構築される。
【0010】
図2に、上記の解決法に従って、マルチセルOFDMAシステム内で無線リソース配分を実行する場合のブロック図を示す。図2に示すように、マルチセルOFDMAシステムは、無線ネットワーク制御装置と基地局と移動局とを含む。当該システム内では、各移動局が自局のチャネル状態情報と顕著干渉情報とを基地局に報告し、基地局は受信したチャネル状態情報と顕著干渉情報とを無線ネットワーク制御装置に報告する。次に、無線ネットワーク制御装置はスーパーフレームレベルのサブチャネル配分を実行し、基地局はフレームレベルのスケジューリングを実行する。
【0011】
具体的には、無線ネットワーク制御装置は複数の基地局を制御し、各基地局によって報告されたすべての移動局のチャネル状態情報と顕著干渉情報とに基づいてグローバル最適化を実行し、各基地局にサブチャネル配分結果を送信し、各基地局にさらに、個々の移動局の割当先となるサブチャネルの推奨を送信する。このスーパーフレームレベルでの無線リソース配分により、システムのダウンリンクにおけるスループットが最大化される。
【0012】
以下では、無線ネットワーク制御装置がグローバル最適化を実行する手順について詳細に説明する。
【0013】
無線ネットワーク制御装置は、システムのダウンリンクにおけるスループットを最大化するために、基地局によって報告された全ユ―ザのチャネル状態情報と顕著干渉情報とに基づき、かつ以下の式に従って、グローバル最適化を実行する。
【数1】
ここで、
【数2】
は顕著干渉情報から得られた速度下降量を表し、
【数3】
はチャネルn上におけるm番目のユーザの伝送速度を表し、
かつ以下の制約が満足される。
1)
【数4】
2)
ymn∈{0,1},m=1,2,...,Mt;n=1,2,...,N
ここで
【数5】
は、1人のユーザが任意の時点に、1つの基地局下にある各チャネルを最大限に使用できることを示す。
ここで、
Y=[ymn]はサブチャネル配分行列を表し、
Nは利用可能なサブチャネル数を表し、
Lは基地局数を表し、
Mtは全基地局内に存在するユーザの総数を表し、
Smnは、チャネルn上に顕著干渉情報がないときにユーザmが達成可能な速度を表し、
Imnは、チャネルn上に顕著干渉情報があるときにユーザmが達成可能な速度を表し、
Jmnはチャネルn上におけるユーザmの顕著干渉基地局の指数を表し、
MJmnはチャネルn上におけるユーザmの顕著干渉基地局内に存在するユ―ザ集合を表わす。
【0014】
上記のグローバル最適化において、移動局iは隣接セルからの自局に対する干渉を測定し、移動局iに最も深刻な干渉をもたらしている基地局lを移動局iの顕著干渉基地局と決定し、基地局lからの信号を移動局iの顕著干渉情報として判定する。顕著干渉情報は、顕著干渉が付加されていないときに測定された移動局iの信号対干渉雑音比(SINR)と、顕著干渉が付加されているときに測定された移動局iのSINRとで表される。
【0015】
グローバル最適化の完了後、無線ネットワーク制御装置は各基地局にサブチャネル配分結果を送信し、各基地局に各移動局の配分先となるサブチャネルの推奨を送信する。その後、基地局はフレームレベルでスケジューリングを行う(すなわち、各移動局のトラフィックとチャネルの状態に基づいて、各フレーム内の各タイムスロットを異なる移動局に割り当てる)。
【0016】
次に、基地局が移動局のチャネル状態情報とトラフィック状態とに基づいてスループットを最大化する方法の具体的な手順について説明する。まず、基地局は以下の式に従ってフレーム内のタイムスロットリソースを割り当てる。
【数6】
ここで、
(smn−XJmnn(Smn−Imn))はチャネルn上のユーザmが達成可能な速度を表し、
【数7】
は1つのタイムスロットの間にユーザmが送信できるビット数を表し、
かつ以下の制約が満足される。
【数8】
zmn∈{0,1},m=1,2,...,Ml;n=1,2,...,Nl
ここで、
qmはユーザmが占有するバッファ量を表し、
N1は基地局1に配分されたサブチャネル数を表し、
M1は基地局1内に存在するユーザ数を表し、
tsは1タイムスロットの長さを表し、
X=[xln]は無線ネットワーク制御装置が当該基地局に対して決定したサブチャネル配分行列を表し、
Z=[zmn]は現在のタイムスロットに存在するユーザに関するサブチャネル配分行列を表わす。
【0017】
最後に、移動局は基地局によって割り当てられたタイムスロット内のダウンリンクトラフィックをリッスンする。
【0018】
上記に加えて、特許文献1(米国特許出願第2007/0077793 A1号)は、マルチセルOFDMAダウンリンクシステムにおける動的再利用パーティションを提案している。この文献では、セルラOFDMAにおける動的サブチャネル配分の、再利用パーティションによる解決について検討されている。この問題は2つの副問題に分割され、2段階の副最適化方法が使用される。第1の副問題において、無線ネットワーク制御装置は、全セル内の各ユーザの制限情報に基づいて再利用パーティション問題を解決する。第2の副問題では、無線ネットワーク制御装置によって再利用パーティションモードが決定された後、各基地局が、そのセル内に存在する各ユーザの正確な情報に基づいてセル内のスループットを最大化する問題を解決する。
【0019】
上記を鑑みると、従来技術ではQoS要件、複数の同一チャネル干渉、アップリンクトラフィック等の多数の要因が考慮されていないため、マルチセルOFDMAシステムにおいて動的リソース配分の実用的な実装を行う可能性が制限される結果となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】米国特許出願第2007/0077793 A1号
【非特許文献】
【0021】
【非特許文献1】G.LiおよびH.Liu「Downlink Radio Resource Allocation for Multi−Cell OFDMA System」(マルチセルOFDMAシステムのためのダウンリンク無線リソース配分)、IEEE Trans.on Wireless Communications、vol.5、no.12、2006年12月
【非特許文献2】S.Das、H.Viswanathan、およびG.Rittenhouse「Dynamic load balancing through coordinated scheduling in packet data systems」(パケットデータシステムにおける協調スケジューリングによる動的ロードバランシング)Proc.IEEE INFOCOM、San Franscisco、CA、2003年4月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明の目的は、マルチセル無線通信システムにおいてリソースを動的に配分する方法および装置を提供することである。
【0023】
本発明の1つの態様によれば、マルチセル無線通信システムの制御装置であって、
基地局から送信されるチャネル状態情報とセル間干渉情報とトラフィック要求情報とを受信する受信手段と、
システムのアップリンクおよびダウンリンクの総合的スループットを最大化するために、受信手段が受信した情報に基づいてサブチャネル配分のグローバル最適化を実行するグローバル最適化手段と、
グローバル最適化手段によって実行されたサブチャネル配分の結果を送信する送信手段とを備えることを特徴とする制御装置を提供する。
【0024】
本発明の他の態様によれば、マルチセル無線通信システムの基地局であって、
制御装置から送信されたサブチャネル配分結果を受信する受信手段と、
受信手段が受信したサブチャネル配分結果に基づいて、各サービスクラス用の比例的公平性スケジューリングアルゴリズムを使用して、各フレーム内の各タイムスロットを割り当てるスケジューリング手段と、
スケジューリング手段による移動局へのタイムスロット割当の結果を送信する送信手段とを備えることを特徴とする基地局を提供する。
【0025】
本発明のさらに他の態様によれば、マルチセル無線通信システムの制御装置におけるリソース配分方法であって、
(1)チャネル状態情報、セル間干渉情報、およびトラフィック要求情報を受信し、
(2)システムのアップリンクおよびダウンリンクの総合的スループットを最大化するために、受信した情報に基づいてサブチャネル配分のグローバル最適化を実行し、かつ
(3)サブチャネル配分結果を基地局に送信する、
ことを特徴とするリソース配分方法を提供する。
【0026】
本発明のさらに他の態様によれば、マルチセル無線通信システムの基地局におけるリソース配分方法であって、
(1)サブチャネル配分結果を受信し、
(2)受信したサブチャネル配分結果に基づいて、各サービスクラス用の比例的公平性スケジューリングアルゴリズムを使用して、各フレーム内の各タイムスロットを割り当て、かつ
(3)タイムスロット割当結果を移動局に送信する、
ことを特徴とするリソース配分方法を提供する。
【0027】
本発明のさらに他の態様によれば、マルチセル無線通信システムの基地局におけるリソース配分システムであって、制御装置と基地局とを備えることを特徴とするリソース配分システムを提供する。
【0028】
本発明のさらに他の態様によれば、マルチセル無線通信システムにおけるリソース配分方法であって、
(1)制御装置によって、チャネル状態情報とセル間干渉情報とトラフィック要求情報とを受信し、
(2)システムのアップリンクおよびダウンリンクの総合的スループットを最大化するために、受信した情報に基づいてサブチャネル配分のグローバル最適化を実行し、
(3)サブチャネル配分結果を基地局に送信し、
(4)基地局によって、受信したサブチャネル配分結果に基づいて、各サービスクラス用の比例的公平性スケジューリングアルゴリズムを使用して、各フレーム内の各タイムスロットを割り当て、かつ
(5)タイムスロット割当結果を移動局に送信する、
ことを特徴とするリソース配分方法を提供する。
【0029】
本発明は、ユーザのQoS要件、セル間干渉、アップリンクトラフィック要求等の要因を考慮し、かつ1セル内に存在するユーザ間にリソースをスケジューリングするために2レベルの動的リソース配分(すなわち、制御装置内における複数セル間でのリソース配分を実装する)を採用することにより、ユーザのトラフィック要求およびQoS要件に適した帯域幅リソースをユーザに割り当てて、システムのアップリンクおよびダウンリンクの総合的スループットを増大させる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】従来技術による、再利用係数3を有する移動体通信システムを示す。
【図2】従来技術によるマルチセルOFDMAシステムにおいてダウンリンク無線リソースの配分を実行する場合のブロック図を示す。
【図3】本発明によるマルチセル無線通信システムのブロック図を示す。
【図4】本発明によるマルチセル無線通信システムにおける制御装置の構造的ブロック図を示す。
【図5】本発明によるマルチセル無線通信システムにおける基地局の構造的ブロック図を示す。
【図6】本発明によるマルチセル無線通信システムの制御装置内におけるリソース配分方法のフローチャートを示す。
【図7】本発明によるマルチセル無線通信システムの基地局内におけるリソース配分方法のフローチャートを示す。
【図8】本発明によるマルチセルOFDMAシステムにおけるリソース配分システムのブロック図を示す。
【図9】本発明によるマルチセル無線通信システムにおけるリソース配分方法を示す。
【図10】本発明の一実施例によるマルチセルOFDMAシステムにおける動的リソース管理のブロック図を示す。
【図11】本発明の他の実施例による呼受付制御機能付きマルチセルOFDMAシステムにおける動的リソース管理のブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下では、本発明によるマルチセル無線通信システムにおける動的リソース配分方法および装置について、図面と特定の実施例とを組み合わせて説明する。
【0032】
図3は、本発明によるマルチセル無線通信システムのブロック図である。図3に示すように、マルチセル無線通信システムは、制御装置31と、複数の基地局321〜32nと、複数の移動局3311〜33nnとを含み、うち制御装置31は基地局321〜32nを制御し、スーパーフレームレベルでサブチャネル配分を実行し、基地局321〜32nはフレームレベルでスケジューリングを実行する。
【0033】
本発明においては、移動局3311〜33nnは、測定されたチャネル状態情報とセル間干渉情報と帯域幅要求とを個々の基地局321〜32nに報告し、基地局321〜32nによって割り当てられたタイムスロットにおいてデータトラフィックを送受信する。本発明の特定の実施例によれば、移動局3311〜33nnによって測定されるチャネル状態情報はSINRとして表される。セル間干渉情報は、移動局3311〜33nnによって測定されたSINRと、セル間干渉が存在するときに移動局3311〜33nnによって測定されたSINRとで表される。帯域幅要求は、移動局3311〜33nnが各種サービスタイプにアクセスする際に必要とする帯域幅を反映して作成される。
【0034】
基地局321〜32nは、移動局3311〜33nnによって報告されたチャネル状態情報とセル間干渉情報と帯域幅要求とに基づいて、各サブチャネルのダウンリンクおよびアップリンクの各平均信号強度とトラフィック要求とを取得し、その情報を制御装置31に報告する。本発明の特定の実施例によれば、基地局321は、移動局から報告された異なるサブチャネル上の信号強度の平均値を直接計算するかまたはその加重平均値を計算することにより、各サブチャネルのダウンリンクの平均信号強度を計算すると共に、現在のセル内の異なるサブチャネル上のユーザ信号強度と隣接セル内のユーザ信号強度とを測定して、各セル内のユーザ信号強度の平均値を直接計算するかまたはその加重平均値を計算することにより、各サブチャネルのアップリンクの平均信号強度を計算する。本発明の他の特定の実施例によれば、基地局321は移動局3311〜331nによって報告された帯域幅要求を収集する。基地局321は、例えば、これらの帯域幅要求を累積してユーザのトラフィック要求を取得する。
【0035】
制御装置31は、各基地局から受信した、各サブチャネルのダウンリンクの平均信号強度と各サブチャネルのアップリンクの平均信号強度とに基づいて、各セル内のユーザの平均ダウンリンクSINRと各セル内の基地局の平均アップリンクSINRとを取得し、かつ、各基地局から受信したユーザのトラフィック要求に基づいてトラフィック要求情報を取得する。その後、システムのアップリンクおよびダウンリンクの総合的スループットを最大化するために、サブチャネル配分のグローバル最適化を実行する。最後に、基地局321〜32nは、制御装置31によって割り当てられたサブチャネル内のリソースを配分する。基地局は、各サービスクラス用の比例的公平性スケジューリングアルゴリズムを使用して、各フレーム内の各タイムスロットを割り当て、移動局にタイムスロットの割当結果を送信する。
【0036】
図3に示すマルチセル無線通信システム内の制御装置−基地局−移動局間の接続および情報交換は、既存のインターフェースおよびプロトコルを使用して実装できることに留意されたい。
【0037】
本発明の一実施例においては、マルチセル無線通信システムはマルチセルOFDMAシステムである。
【0038】
本発明の他の実施例においては、マルチセル無線通信システムは、3GPP long−term evolution(LTE)において定義されるマルチセル無線通信システムである(基地局321〜32nはeNodeBに対応し、移動局3311〜331nはユーザ機器UEに対応する)。
【0039】
図面を参照して、マルチセル無線通信システムについてさらに説明する。
【0040】
図10を参照する。図10は、本発明の一実施例によるマルチセルOFDMAシステムにおける動的リソース管理のブロック図である。本実施例においては、マルチセルOFDMAシステムは、制御装置と基地局と移動局とを含む。図10の実施例では、2レベル動的リソース管理(すなわち、制御装置がスーパーフレームレベルでサブチャネル配分を実行し、基地局がフレームレベルでスケジューリングを実行する)が採用されている。
【0041】
具体的には、各移動局はチャネル状態情報と測定されたセル間干渉情報と自局の帯域幅要求とを対応する基地局に報告し、当該基地局はその情報を制御装置に報告する。制御装置は、上記の情報に基づいて、各基地局内のユーザの平均チャネル状態情報と、各基地局のセル間干渉情報と、各基地局のトラフィック要求とを導出する。その後、制御装置は、導出した情報に基づいて、システムのアップリンクおよびダウンリンクの総合的スループットを最大化するために、グローバル最適化を使用して各基地局にサブチャネルを配分する。制御装置は、グローバル最適化の実行後には、各基地局にサブチャネル配分を送信するのみでよく、各移動局に関するリソース配分の推奨を送信する必要はない。
【0042】
次に基地局は、制御装置によって配分されたサブチャネルに基づき、各サービスクラス用の比例的公平性スケジューリングアルゴリズムを使用して、各フレーム内のタイムスロットリソースをスケジューリングし、各フレーム内のタイムスロットを異なる移動局に配分する。その後、移動局は、基地局からのスケジューリング結果に基づいてトラフィックを送受信する。
【0043】
図11を参照すると、本発明の他の実施例による呼受付制御機能付きマルチセルOFDMAシステムにおける動的リソース管理のブロック図が示されている。本実施例は、図10に示す実施例と比較すると、呼受付制御技術を採用している点が異なる。
【0044】
図11に示すように、新規サービスのサービス受付要求が移動局から基地局に渡され、基地局からさらに制御装置に渡される。制御装置は、利用可能なシステム帯域幅に基づいて、新規サービスの受付を許可するかどうかを決定する。次に、受付制御の結果が基地局を介して移動局に送信される。
【0045】
本発明によるシステムの制御装置および基地局についてさらに説明する。図4に、本発明によるマルチセル無線通信システムの制御装置の構造的ブロック図を示す。図4を見ると、制御装置31は、受信手段41とグローバル最適化手段42と送信手段43とを含む。受信手段41は、基地局321〜32nから、チャネル状態情報と、セル間干渉情報およびトラフィック要求情報と、基地局321〜32nからの新規サービスのサービス受付要求とを受信する。グローバル最適化手段42は、システムのアップリンクおよびダウンリンクの総合的スループットを最大化するために、受信手段41が受信した情報に基づいてサブチャネル配分のグローバル最適化を実行する。グローバル最適化手段42はその後、送信手段43を介して、サブチャネルのグローバル最適化の結果を基地局321〜32nに送信する。本発明による制御装置にはさらに、受信手段41が受信したサービス受付要求に関して、システム帯域幅に基づいて新規サービスの受付を許可するかどうかを決定して受付制御の結果を生成し、その受付制御結果を送信手段43を介して基地局321〜32nに送信する受付制御手段44を含めることができる。
【0046】
本発明の他の実施例によれば、グローバル最適化手段42はさらに、
受信手段41が受信したチャネル状態情報とセル間干渉情報とに基づいて、各セル内のユーザの平均ダウンリンクSINRと各セル内の基地局のアップリンクSINRとを取得するための取得手段421と、
取得手段421が受信したSINRに基づき、かつ全サブチャネル上の各基地局におけるアップリンクおよびダウンリンクの総合的転送速度が最大化されるようなサブチャネル配分方法で、トラフィック要求を満たすことを前提として、サブチャネル配分結果を生成し、そのサブチャネル配分結果を送信手段43に供給するサブチャネル配分手段422とを含む。
【0047】
本発明の一実施例によれば、サブチャネル配分手段422は、以下の条件を満たすことを前提として、サブチャネル配分のグローバル最適化を実行する。
1)xln∈{0,1},l=1,2,…,L;n=1,2,…,N;
2)
【数9】
これはダウンリンクの最小トラフィック要求制限を表わす。
3)
【数10】
これはアップリンクの最小トラフィック要求制限を表わす。
このサブチャネル配分のグローバル最適化では、システムのアップリンクおよびダウンリンクのスループットを最大化するために以下の式に従って計算が行われ、サブチャネル配分結果が生成される。
【数11】
ここで、
SINRnl1は平均アップリンクSINRを表し、
【数12】
は基地局l内の全ユーザのサブチャネルn上における平均信号対干渉雑音比(SINR)を表し、
速度関数R(SINR)は、そのSINR下にあるサブチャネルnに対して適応的変調・符号化スキームを使用することで達成可能な速度を表し、
X=[xln]はサブチャネル配分行列を表し、
λは、時分割二重システムの場合はダウンリンク対アップリンクのフレーム時間比、また周波数分割二重システムの場合はダウンリンク対アップリンクの周波数帯域幅比であり、
rmin(i)はユーザiの全サービスクラスに関する総合ダウンリンク最小所要速度であり、rmin’(i)はユーザiの全サービスクラスに関する総合アップリンク最小所要速度である。
【0048】
本発明の他の実施例によれば、速度関数R(SINRn)が事前に取得されない場合には、シャノンのチャネル容量定理を使用して適応的速度調整量が見積もられ、以下の式に従ってグローバル最適化が実行される。
【数13】
【0049】
ここで、上記のグローバル最適化解決法は、説明を目的とした本発明の一実施例に過ぎないことに留意されたい。当該技術に精通した当業者には、異なる適用シナリオ、適用要件に応じてこれらのパラメータのタイプと内容を変更することにより、異なるグローバル最適化解決法を実装できることは明らかである。
【0050】
本発明の一実施例によれば、受付制御手段44は、新規サービスの受付を、以下の式が満足される場合にのみ許可する。
【数14】
ここで、E[r(i)]はチャネルフィードバックに基づいて取得されたユーザiの事前に見積もられた速度、Mtはシステム内の全ユーザ、rmin(i)はユーザiの全サービスクラスに関する総合ダウンリンク最小所要速度である。
【0051】
図5は、本発明によるマルチセル無線通信システムにおける基地局の構造的ブロック図を示す。図5を見ると、基地局321は、受信手段51とスケジューリング手段52と送信手段54とを含む。受信手段51は、移動局3311〜331nから、チャネル状態情報とセル間干渉情報と帯域幅要求とを受信する。スケジューリング手段52は、受信手段51が受信したチャネル状態情報とセル間干渉情報と帯域幅要求とに基づいて、各サブチャネルのダウンリンクの平均信号強度と、各サブチャネルのアップリンクの平均信号強度とトラフィック要求を取得し、その情報を送信手段54を介して制御装置31に報告する。
【0052】
制御装置31がスーパーフレームレベルでサブチャネル配分を実行した後、基地局321はフレームレベルでスケジューリングを実行する。具体的には、受信手段51は、制御装置31によって送信されたサブチャネル配分の結果を受信する。スケジューリング手段52は、受信手段51が受信したサブチャネル配分結果に基づいて、各サービスクラス用の比例的公平性スケジューリングアルゴリズムを使用して、各フレーム内の各タイムスロットを割り当てる。送信手段54は、スケジューリング手段52からのタイムスロット割当結果を移動局3311〜331nに送信する。
【0053】
本発明においては、基地局は、上記の制御装置と接続されるサービス要求受付手段53を含むことができる。受付制御手順においては、受信手段51は移動局3311〜331nから新規サービスのサービス受付要求を受信し、サービス要求受付手段53は受信したサービス受付要求を送信手段54を介して制御装置31に送信する。制御装置31が受付制御の決定を行った後、受信手段51は制御装置31から受付制御結果を受信し、サービス要求受付手段53は送信手段54を介してその受付制御結果を対応する移動局に送信する。
【0054】
本発明の一実施例によれば、スケジューリング手段52は、同じサービスクラスに関して、タイムスロットtにおいて以下の式を最大にすることのできるユーザを選択し、タイムスロットtをそのユーザに配分する。
【数15】
配分が決定された各タイムスロットにおいて、各ユーザの平均速度が以下の式に従って更新される。
【数16】
ここで、r(i、t)はタイムスロットtにおけるユーザiの瞬間速度の見積り、E[r(i、t)]はタイムスロットtにおけるユーザiの平均速度の見積り、tcは時定数である。
【0055】
本発明の一実施例によれば、スケジューリング手段52は、優先度の高い順に、異なる優先度のサービスクラスにタイムスロットを割り当てる。優先度が同じサービスクラスについては、比例的公平性スケジューリングアルゴリズムを使用して各フレーム内の各タイムスロットが割り当てられる。
【0056】
本発明の一実施例によれば、異なるサービスクラスへの優先度の割当は、サービスクラスの元のQoSに基づいて行われる。
【0057】
図6は、本発明によるマルチセル無線通信システムの制御装置内におけるリソース配分方法のフローチャートである。図6に示すように、ステップS61において、チャネル状態情報とセル間干渉情報とトラフィック要求とが受信される。ステップS61において、システムのアップリンクおよびダウンリンクの総合的スループットを最大化するために、受信した情報に基づいてサブチャネル配分のグローバル最適化が実行される。そして、ステップS63において、サブチャネル配分結果が基地局に送信される。
【0058】
本発明の一実施例によれば、ステップS62はさらに、
受信されたチャネル状態情報とセル間干渉情報とに基づいて、各セル内のユーザの平均ダウンリンクSINRと各セル内の基地局のアップリンクSINRとを取得するステップと、
受信されたSINRに基づき、トラフィック要求を満たすことを前提として、全サブチャネル上の各基地局におけるアップリンクおよびダウンリンクの総合的転送速度が最大化されるようなサブチャネル配分方法で、サブチャネル配分結果を生成するステップとをさらに備える。
【0059】
本発明の一実施例によれば、ステップS62において、以下の条件が満足される。
1)xln∈{0,1},l=1、2、…、L;n=1、2、…、N;
2)
【数17】
これはダウンリンクの最小トラフィック要求制限を表わす。
3)
【数18】
これはアップリンクの最小トラフィック要求制限を表わす。
そして、システムのアップリンクおよびダウンリンクのスループットを最大化するために、以下の式に従ってサブチャネル配分のグローバル最適化が実行され、サブチャネル配分結果が生成される。
【数19】
ここで、
SINRnl1は平均アップリンクSINRを表し、
【数20】
は基地局l内の全ユーザのサブチャネルn上における平均信号対干渉雑音比(SINR)を表し、
速度関数R(SINR)は、そのSINR下にあるサブチャネルnに対して適応的変調・符号化スキームを使用することで達成可能な速度を表し、
X=[xln]はサブチャネル配分行列を表し、
λは、時分割二重システムの場合はダウンリンク対アップリンクのフレーム時間比、また周波数分割二重システムの場合はダウンリンク対アップリンクの周波数帯域幅比であり、
rmin(i)はユーザiの全サービスクラスに関する総合ダウンリンク最小所要速度であり、rmin’(i)はユーザiの全サービスクラスに関する総合アップリンク最小所要速度である。
【0060】
本発明の一実施例によれば、このリソース配分方法はさらに、
システムの利用可能な帯域幅に基づいて、移動局からアクセスされた新規サービスを受け付けるかどうかを決定し、受付制御の結果を基地局に送信するステップを含む。
【0061】
本発明の一実施例によれば、新規サービスの受付は、以下の式が満足される場合にのみ許可される。
【数21】
ここで、E[r(i)]はチャネルフィードバックに基づいて取得されたユーザiの事前に見積もられた速度、Mtはシステム内の全ユーザ、rmin(i)はユーザiの全サービスクラスに関する総合ダウンリンク最小所要速度である。
【0062】
図7は、本発明によるマルチセル無線通信システムの基地局内におけるリソース配分方法のフローチャートを示す。図7に示すように、ステップS71において、制御装置31が送信したサブチャネル配分結果が受信される。そして、ステップS72において、受信されたサブチャネル配分結果に基づいて、各サービスクラス用の比例的公平性スケジューリングアルゴリズムを使用して、各フレーム内の各タイムスロットが割り当てられる。ステップS73において、タイムスロット割当結果が移動局に送信される。
【0063】
本発明の一実施例によれば、ステップS72において、同じサービスクラスに関して、タイムスロットtにおいて以下の式の値を最大にすることのできるユーザが選択され、タイムスロットtがそのユーザに割り当てられる。
【数22】
配分が決定された各タイムスロットにおいて、各ユーザの平均速度が以下の式に従って更新される。
【数23】
ここで、r(i、t)はタイムスロットtにおけるユーザiの瞬間速度の見積り、E[r(i、t)]はタイムスロットtにおけるユーザiの平均速度の見積り、tcは時定数である。
【0064】
本発明の一実施例によれば、ステップS72はさらに、
優先度の高い順にタイムスロットをサービスクラスに割り当て、優先度が同じサービスクラスについては、比例的公平性スケジューリングアルゴリズムを使用して各フレーム内の各タイムスロットを割り当てるステップを含む。
【0065】
本発明の一実施例によれば、サービスクラスへの優先度の割当は、サービスクラスの元のQoSに基づいて行われる。
【0066】
本発明の一実施例によれば、このリソース配分方法はさらに、
移動局からの新規サービスのサービス受付要求を受信するステップと、制御装置からの受付制御結果を移動局に送信するステップとを含む。
【0067】
図8に、本発明によるマルチセルOFDMAシステムにおけるリソース配分システムのブロック図を示す。図8に示すように、本発明のリソース配分システムは、制御装置31と基地局321と移動局3311とを含む。制御装置31は受信手段41とグローバル最適化手段42と送信手段43と受付制御手段44とを含み、基地局321は受信手段51とスケジューリング手段52とサービス要求受付手段53と送信手段54とを含む。
【0068】
当業者には、各スーパーフレームは複数の連続するフレームに対応し、各フレームは複数のタイムスロットを含むことは既知である。本発明においては、利用可能な帯域幅は、各々がOFDMA副搬送波のクラスターで構成される複数のサブチャネルに分割でき、OFDMAサブチャネルは基地局単位で割り当てることができる。基地局は、時間/周波数リソースをタイムスロット(システムによっては「リソースブロック」と呼ばれる)の形式で各ユーザに割り当てる。タイムスロットとは、時間/周波数領域内の単一ユーザに配分することのできる物理層リソースの最小単位である。
【0069】
図8に示すブロック図では、2レベル動的リソース管理(すなわち、制御装置31がスーパーフレームレベルでサブチャネル配分を実行し、基地局321がフレームレベルでスケジューリングを実行する)が採用されている。具体的には、移動局3311がチャネル状態情報と測定されたセル間干渉情報と自局の帯域幅要求とを基地局321に報告し、基地局321はその情報を制御装置31に報告する。制御装置31は、上記の情報に基づいて、各基地局内のユーザの平均チャネル状態情報と、各基地局のセル間干渉情報と、各基地局のトラフィック要求とを導出する。その後、制御装置31のグローバル最適化手段42は、システムのアップリンクおよびダウンリンクの総合的スループットを最大化するために、導出された情報に基づいてサブチャネル配分のグローバル最適化を実行する。制御装置31は、グローバル最適化の実行後には、各基地局にサブチャネル配分を送信するのみでよく、各移動局に関するリソース配分の推奨を送信する必要はない。
【0070】
本発明の一実施例によれば、チャネル状態情報とセル間干渉情報は、基地局321または移動局3311によって測定された異なる形式のSINRとして表される。
【0071】
基地局321のスケジューリング手段52は、制御装置31によって配分されたサブチャネル内のリソースに基づき、各サービスクラス用の比例的公平性スケジューリングアルゴリズムを使用して、各フレーム内の各タイムスロットのスケジューリングを実行し、それにより各フレーム内のタイムスロットを移動局に割り当てる。その後、移動局は、スケジューリング手段52からのスケジューリング結果に基づいてトラフィックを送受信する。
【0072】
次に、図8に示すリソース配分システムについてさらに詳細に説明する。
1.制御装置31によるスーパーフレームでの基地局321へのサブチャネルの割当
【0073】
本発明における制御装置の主な機能は、各セル内の相互干渉を調整し、トラフィック要求に対応することである。制御装置31が実行するサブチャネル配分手順をより明確に説明するため、N個のトラフィックサブチャネルとL個の基地局(セル)とから成るネットワークを有するマルチセルOFDMAシステムを想定する。Mlは基地局lのユーザ集合を表す。各基地局は、動作モードにある利用可能なサブチャネルの部分集合を有効化し、残りのサブチャネルは無効化する。l番目の基地局のユーザ数はMlであり、ネットワーク全体には
【数24】
のユーザが存在する。
【0074】
チャネル配分行列XLxN=[xln]:xln=1は、サブチャネルnが基地局lに割り当てられることを表し、xln=0はサブチャネルnが基地局lに割り当てられないことを表す。
【0075】
図8に示すリソース配分システムにおいては、ダウンリンクおよびアップリンクの干渉抑制を別々に考慮することにより、システムの総スループットの最大化が図られる。
(1)ダウンリンクの干渉抑制
【0076】
トラフィックサブチャネルn上では、そのサブチャネルを利用する基地局l(m)と通信中のユーザmが受信するSINRは、以下の式で表すことができる。
【数25】
N0は加法的白色ガウス雑音(AWGN)のスペクトル密度、pl(m),nはサブチャネルn上の基地局l(m)の送信電力である。これはスーパーフレームレベルのチャネル配分なので、hは長期チャネル利得(経路損失およびシャドウフェージング)。phは、ユーザが受信した信号強度(RSSI、すなわち「受信信号強度インジケータ」とも呼ばれる)によって測定することができる。
【0077】
受信されるSINRの測定方法は、サブチャネルの置換モードによって決まる。隣接副搬送波の置換を行うシステムにおいては、RSSIll,nはサブチャネルn上の基地局l内に存在する全ユーザの平均受信信号強度インジケータである。測定はパイロット信号に対して実行される。RSSIlj,nは、サブチャネルn上の干渉源の基地局jから、基地局l内の全ユーザが受けている平均受信信号強度インジケータである。サブチャネルn上の基地局l内に存在するユーザの平均SINRは、以下の式を使って見積もられる。
【数26】
分散(無作為化)副搬送波の置換を行うシステムにおいては、RSSIllは基地局l内の全ユーザにサービスを提供している基地局からの平均受信信号強度インジケータである。チャネルの測定はプリアンブル信号に対して実行される。RSSIlj,nは、基地局l内の全ユーザが干渉源の基地局jから受けている平均受信信号強度インジケータである。サブチャネルn上の基地局l内に存在するユーザの平均SINRは、以下の式を使って見積もられる。
【数27】
(2)アップリンクの干渉抑制
【0078】
各基地局は、信号強度の測定値を得るために、移動局と隣接局のアップリンクパイロット信号をリッスンする。隣接副搬送波の置換を行うシステムにおいては、RSSIll,n’はサブチャネルn上の各ユーザの基地局l内での平均受信電力、RSSIlj,n’はサブチャネルn上の隣接基地局内に存在するユーザからの基地局lでの平均受信電力である。その後、サブチャネルn上の基地局l内の平均アップリンクSINRが、以下の式を使って見積もられる。
【数28】
分散(無作為化)副搬送波の置換を行うシステムにおいては、RSSIll’は各ユーザの基地局l内での平均受信電力と想定される。RSSIlj’は、隣接基地局j内のユーザからの基地局lにおける平均受信電力である。その後、サブチャネルn上の基地局l内の平均アップリンクSINRが、以下の式を使って見積もられる。
【数29】
(3)制御装置31がグローバル最適化を実行
【0079】
制御装置31におけるグローバル最適化手順をより明確に説明するため、本発明は速度関数R(SINRn)を定義する。R(SINRn)は、そのSINR下にあるサブチャネルnに対して適応的変調・符号化スキーム(MCS)を使用することで達成可能な速度を表す。この関数は、リンク適応曲線またはルックアップテーブルから容易に得ることができる。
【0080】
制御装置31のグローバル最適化手段42は、以下の式に従ってグローバル最適化を行う。
【数30】
この場合の制約条件には、以下が含まれる。
1)xln∈{0,1},l=1,2,…,L;n=1,2,…,N (7)
2)
【数31】
3)
【数32】
【0081】
λは、時分割二重(TDD)システムの場合はダウンリンク対アップリンクのフレーム時間比、また周波数分割二重(FDD)システムの場合はダウンリンク対アップリンクの周波数帯域幅比である。
【0082】
rmin(i)はユーザiの全サービスクラスに関する総合ダウンリンク最小所要速度、rmin’(i)はユーザiの全サービスクラスに関する総合アップリンク最小所要速度である。一般に、ベストエフォートサービスはrmin(rmin=0)とはならない。
【0083】
式(6)において、SINRnlはダウンリンク方向の隣接基地局によってユーザが干渉されたときに取得されたSINRを表し、SINRnl’はアップリンク方向の隣接基地局によってユーザが干渉されなかったときに取得されたSINRを表す。式(1)−(5)から、SINRnlとSINRnlSINRnl’のいずれも、ユーザのチャネル状態情報とセル間干渉情報とに基づいて取得されることが分かる。さらに、rmin(i)とrmin’(i)は単一ユーザの帯域幅要求を反映するのに対し、式(8)の
【数33】
は特定の1つの基地局のトラフィック要求を反映する。
【0084】
ここで、速度関数R(SINRn)が事前に取得されない場合には、シャノンのチャネル容量定理を使用して適応的速度調整量が見積もられるため、式(6)を以下のように修正した上でグローバル最適化が実行されることに留意する必要がある。
【数34】
2.基地局321による移動局3311に対するフレームレベルでのスケジューリングの実行
【0085】
図8に示すブロック図において、基地局321は制御装置31によって割り当てられたサブチャネル内のリソースを割り当てる。この配分手順は、基地局321のスケジューリング手段52を使用して実装される。ダウンリンクのスケジューリングは待ち行列内のすべてのデータに対して実行されるが、アップリンクのスケジューリングは移動局から受信された帯域幅要求に対して実行される。
【0086】
本発明においては、フレームレベルのリソース配分には優先度付き比例的公平性スケジューリングアルゴリズムが使用される。各種クラスの新規サービスに対し、これらのサービスの元のQoS要件に基づいて異なる優先度が割り当てられる。例えば、LTEにおいては、QoSの優先度はQoSクラスインジケータ(QCI)で表され、802.16においては、QoSの優先度はサービスタイプに基づいて順序付けされる。すなわち、Unsolicited Grant Service(UGS)が最高の優先度を有し、Real−time Polling Service(rtPS)は次に高い優先度を有し、拡張rtPS(ertPS)はその次に高い優先度を有し、Non−real time Polling Service(nrtPS)はこれらより低い優先度を有し、ベストエフォート(BE)サービスは最も低い優先度を有する。
【0087】
スケジューリング手段52は、フレームレベルのリソース配分を実行する際には、優先度の異なるサービスタイプについて、サービスタイプの優先度の高い順に各移動局にタイムスロットを割り当てる。続いて、スケジューリング手段52は優先度が同じサービスクラスについて、タイムスロットtにおいて以下の式の値を最大にすることのできる移動局を選択し、そのユーザにタイムスロットを割り当てる。
【数35】
ここで、式(10)を最大化する方法については、A.Jalali、R.Padovani、およびR.Pankajの「Data Throughput of CDMA−HDR:a High Efficiency−High Data Rate Personal Communication Wireless System」(CDMA−HDRのデータスループット:高効率・高データ速度のパーソナル通信無線システム)、VTC−S’2000、vol.3、pp.1854−1858、2000年、を参照することができる。
【0088】
配分が決定された各タイムスロットにおいて、各ユーザの平均速度が以下の式に従って更新される。
【数36】
ここで、r(i、t)はタイムスロットtにおけるユーザiの瞬間速度の見積り、E[r(i、t)]はタイムスロットtにおけるユーザiの平均速度の見積り、tcは時定数である。
3.受付制御手順
【0089】
前述した2レベル動的リソース配分においては、各セルが取得する帯域はネットワークトラフィックの占有状況によって変動する。どのセルもユーザの行動に関するグローバル情報を持たないため、基地局が自局のトラフィック情報のみに基づいて呼受付制御を実行することは困難である。そのため、受付制御は、従来方式のように単一セル内のユーザ情報に基づいて実行するのではなく、制御装置においてネットワーク全体のユーザ情報に基づいて実行するべきである。
【0090】
図8に示すリソース配分システムにおいては、利用できるリソースの有無との関連において新規サービスの最小要求速度をチェックすることを目的として、呼受付制御(CAC)技術が採用されている。これは、サービスを受けるユーザのQoSを保証するための1つの方法である。
【0091】
具体的には、図8に示すように、まず新規サービスのサービス受付要求が移動局3311から基地局321に報告され、基地局321のサービス要求受付手段53がそれを制御装置31に報告する。制御装置31の受付制御手段44は、利用可能なシステム帯域の有無に基づいて新規サービスの受付を許可するかどうかを決定し、その受付制御結果を送信手段43を介して基地局321に送信する。その後、基地局321のサービス要求受付手段53がその受付制御結果を送信手段54を介して移動局3311に送信する。
【0092】
本発明においては、本発明の制御装置による受付制御の解決法を実装するために、非特許文献2(S.Das、H.Viswanathan、およびG.Rittenhouse「Dynamic load balancing through coordinated scheduling in packet data systems」(パケットデータシステムにおける協調スケジューリングによる動的ロードバランシング)Proc.IEEE INFOCOM、San Franscisco、CA、2003年4月)、に示される、測定に基づく呼受付制御方法を使用することができる。
【0093】
具体的には、the制御装置31は、以下の式が満足されたときにのみ移動局3311の新規サービスの受付を許可する。
【数37】
ここで、E[r(i)]はチャネルフィードバックに基づいて取得されたユーザiの事前に見積もられた速度、Mtはシステム内の全ユーザ、rmin(i)はユーザiの全サービスクラスに関する総合ダウンリンク最小所要速度である。
【0094】
ここで、本発明の制御装置は独立して配置するほか、無線ネットワーク制御装置(RNC)内かまたはASN(アクセスサービスネットワーク)ゲートウェイ(例えば、WiMAXシステム内)に常駐させるか、あるいはネットワーク内の1つの基地局内に常駐させることも可能であることに留意されたい。
【0095】
図9は、本発明によるマルチセル無線通信システムにおけるリソース配分方法を示す。制御装置はステップS91において、チャネル状態情報とセル間干渉情報とトラフィック要求情報とを受信する。ステップS92において、制御装置は、システムのアップリンクおよびダウンリンクの総合的スループットを最大化するために、受信した情報に基づいてサブチャネル配分のグローバル最適化を実行する。そして、ステップS93において、サブチャネル配分結果が基地局に送信される。ステップS94において、基地局は、受信したサブチャネル配分結果に基づいて、各サービスクラス用の比例的公平性スケジューリングアルゴリズムを使用して、各フレーム内の各タイムスロットを割り当てる。そして、ステップS95において、タイムスロット割当結果が移動局に送信される。
【0096】
上記ではいくつかの特定の実施例について説明してきたが、本発明にはその基本概念から逸脱することなくいくつかの変更を行うことができ、これらの変更は請求項で述べる本発明の保護範囲内に入ることは、当業者には理解されるであろう。
【符号の説明】
【0097】
31:制御装置
321〜32n:基地局
31:制御装置
41:受信手段
42:グローバル最適化手段
421:取得手段
422:サブチャネル配分手段
43:送信手段
44:受付制御手段
3311〜331n:移動局
31:制御装置
321:基地局
51:受信手段
52:スケジューリング手段
53:サービス要求受付手段
54:送信手段
【技術分野】
【0001】
本発明は無線通信技術に関し、特に、マルチセル無線通信システムにおける動的リソース配分方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、次世代無線通信システムによるモバイル音声/データサービスに対する需要が増大している。次世代無線通信システムの構築に際して考慮すべき主な問題の1つは、各ユーザのサービス品質(QoS)を維持しながらシステムのユーザ容量を拡大することである。
【0003】
従来の移動体通信システムの構造は単純だが、無線リソースの利用効率は低い。移動体通信システムでは、システムの容量とスペクトル効率を高める周波数再利用技術(すなわち、同じ周波数を繰り返し使用する技術)が広く採用されているが、そのほとんどは静的な技術である。図1に、従来技術による、再利用係数3を有する移動体通信システムを示す。図1に図示するシステムの各セル内に示した番号は、各セルで使用されている異なる周波数帯域を表わす。図1を見ると、3つの周波数帯域が再利用されていることが分かる。しかし、これらのシステムはいずれも明らかな短所を抱えている。その短所とは、セル内でサービスを利用するユーザの人数にかかわらず、各セルに配分される周波数帯域はシステムスペクトル総数の1/3ずつに固定されていることである。そのため、1つのセルでユーザ数が急激に増加すると、当該セル内のユーザが各々発行するトラフィック要求に対応できなくなる。周波数の配分を柔軟に行うことができなければ、動的特性を有するモバイルユーザからのトラフィック要求に対応できないことは明白である。
【0004】
上記の問題を解決するため、従来技術において多数の技術的解決法が推奨されている。こうした解決法の1つに、直交周波数分割多重(OFDM)がある。OFDMシステムにおいては、チャネル状態についてのフィードバック情報に基づいて、ユーザ−副搬送波の適応的な割当が実現される。この割当を迅速に実行できるなら、OFDMシステムの高速フェージングと狭帯域同一チャネル干渉はさらに減少され、システムの周波数スペクトル効率を向上させることが可能となる。さらに、ユーザ毎に異なるQoS要件に対応するため(すなわち、各ユーザのデータ転送速度とエラー確率を制御するため)、各ユーザには異なる数の副搬送波が割り当てられる。OFDMは、拡張性、多重入力−多重出力(MIMO)への親和性、およびチャネル周波数の選択性の面で優れるので、広帯域無線ネットワークにきわめて適している。そのため、OFDMは、3GPP long−term evolution (LTE)やWiMAX(IEEE 802.16)といった広帯域無線ネットワークの間で最も普及した技術的解決法の1つとなっている。
【0005】
OFDMAは、OFDMデジタル変調スキーマのマルチユーザ版である。OFDMAシステムにおいては、複数ユーザからデータ転送速度の遅い送信が同時に発生した場合には、各ユーザに対して副搬送波の部分集合を指定することで多重アクセスの実行が可能となる。
【0006】
直交周波数分割多重アクセス(OFDMA)は、OFDMと、静的な時間領域多重アクセス(すなわち、パケットモード通信)である時分割多重アクセス(TDMA)との組み合わせとみなされる。データ転送速度の遅いユーザが同時送信時に使用する送信電力は少なく、「パルス化」された高電力搬送波は使用されず、固定遅延を低く抑えられる。また、OFDMAシステムは、周波数領域多重アクセスと時間領域多重アクセスとの組み合わせ(すなわち、リソースが時間−周波数空間に応じて分割され、タイムスロットがOFDM記号指標とOFDM副搬送波指標に従って割り当てられる)ともみなすことができる。
【0007】
OFDMAシステムのパフォーマンスを最適化する上では、無線リソース管理が重要な役割を果たすことが知られている。しかし、セル間干渉がない場合でも、チャネルリソースの配分を最適化することは困難である。また、実際の使用状況おいては、ユーザの速度要件等の他の制限により問題が一層複雑になるという現実もある。そして、さらに重要なのは、OFDMAのリソース配分のための技術的解決法のほとんどは、単一セルへの対応に限定されており、マルチセルでのリソース配分最適化には未だ対応できないことである。
【0008】
そのため、マルチセルシステムおいてシステム全体のスループットを最大化することのできる、副搬送波配分(「リソースブロック」とも呼ばれる)のための技術的解決法の提案が待たれている。これを実現するためには、セル間干渉、マルチユーザダイバーシチ効果の利用、ユーザ間でのリソース配分、パフォーマンスと実装の複雑性低減の両方に配慮した妥協案の決定等の様々な問題を検討する必要がある。さらに、無線モバイルネットワーク環境においては、チャネル状態情報、ユーザ位置、ユーザ行動のすべてが動的特性を有するため、提案される技術的解決法は、動的無線リソース配分を実現できるよう、チャネル状態情報、トラフィック要求、およびマルチセルシステムの各種サービスに対するQoS要件を考慮に入れたものでなければならない。
【0009】
従来技術にも、マルチセルOFDMAシステムにおけるリソース配分のための技術的解決法がいくつかある。非特許文献1(G.LiおよびH.Liu「Downlink Radio Resource Allocation for Multi−Cell OFDMA System」(マルチセルOFDMAシステムのためのダウンリンク無線リソース配分)、IEEE Trans.on Wireless Communications、vol.5、no.12、2006年12月)、では、無線ネットワーク制御装置と基地局において動的リソース配分が実行される、マルチセルOFDMAシステムのためのダウンリンク無線リソース配分の解決法が推奨されている。この解決法は、無線リソースの制御決定が無線ネットワーク制御装置と基地局の間で分担されるという意味において、半分散的である。当該解決法によれば、無線ネットワーク制御装置は、スーパーフレームレベルでどの基地局がどのチャネルを使うかを決定し、基地局がその後、フレームレベルでどのユーザをどのチャネルに割り当てるかを決定する。このため、無線ネットワーク制御装置と基地局に対して2つの最適化問題が設定され、干渉回避とトラフィック/チャネル適応の機能を実行するための計算効率の高いアルゴリズムが当該解決法内で構築される。
【0010】
図2に、上記の解決法に従って、マルチセルOFDMAシステム内で無線リソース配分を実行する場合のブロック図を示す。図2に示すように、マルチセルOFDMAシステムは、無線ネットワーク制御装置と基地局と移動局とを含む。当該システム内では、各移動局が自局のチャネル状態情報と顕著干渉情報とを基地局に報告し、基地局は受信したチャネル状態情報と顕著干渉情報とを無線ネットワーク制御装置に報告する。次に、無線ネットワーク制御装置はスーパーフレームレベルのサブチャネル配分を実行し、基地局はフレームレベルのスケジューリングを実行する。
【0011】
具体的には、無線ネットワーク制御装置は複数の基地局を制御し、各基地局によって報告されたすべての移動局のチャネル状態情報と顕著干渉情報とに基づいてグローバル最適化を実行し、各基地局にサブチャネル配分結果を送信し、各基地局にさらに、個々の移動局の割当先となるサブチャネルの推奨を送信する。このスーパーフレームレベルでの無線リソース配分により、システムのダウンリンクにおけるスループットが最大化される。
【0012】
以下では、無線ネットワーク制御装置がグローバル最適化を実行する手順について詳細に説明する。
【0013】
無線ネットワーク制御装置は、システムのダウンリンクにおけるスループットを最大化するために、基地局によって報告された全ユ―ザのチャネル状態情報と顕著干渉情報とに基づき、かつ以下の式に従って、グローバル最適化を実行する。
【数1】
ここで、
【数2】
は顕著干渉情報から得られた速度下降量を表し、
【数3】
はチャネルn上におけるm番目のユーザの伝送速度を表し、
かつ以下の制約が満足される。
1)
【数4】
2)
ymn∈{0,1},m=1,2,...,Mt;n=1,2,...,N
ここで
【数5】
は、1人のユーザが任意の時点に、1つの基地局下にある各チャネルを最大限に使用できることを示す。
ここで、
Y=[ymn]はサブチャネル配分行列を表し、
Nは利用可能なサブチャネル数を表し、
Lは基地局数を表し、
Mtは全基地局内に存在するユーザの総数を表し、
Smnは、チャネルn上に顕著干渉情報がないときにユーザmが達成可能な速度を表し、
Imnは、チャネルn上に顕著干渉情報があるときにユーザmが達成可能な速度を表し、
Jmnはチャネルn上におけるユーザmの顕著干渉基地局の指数を表し、
MJmnはチャネルn上におけるユーザmの顕著干渉基地局内に存在するユ―ザ集合を表わす。
【0014】
上記のグローバル最適化において、移動局iは隣接セルからの自局に対する干渉を測定し、移動局iに最も深刻な干渉をもたらしている基地局lを移動局iの顕著干渉基地局と決定し、基地局lからの信号を移動局iの顕著干渉情報として判定する。顕著干渉情報は、顕著干渉が付加されていないときに測定された移動局iの信号対干渉雑音比(SINR)と、顕著干渉が付加されているときに測定された移動局iのSINRとで表される。
【0015】
グローバル最適化の完了後、無線ネットワーク制御装置は各基地局にサブチャネル配分結果を送信し、各基地局に各移動局の配分先となるサブチャネルの推奨を送信する。その後、基地局はフレームレベルでスケジューリングを行う(すなわち、各移動局のトラフィックとチャネルの状態に基づいて、各フレーム内の各タイムスロットを異なる移動局に割り当てる)。
【0016】
次に、基地局が移動局のチャネル状態情報とトラフィック状態とに基づいてスループットを最大化する方法の具体的な手順について説明する。まず、基地局は以下の式に従ってフレーム内のタイムスロットリソースを割り当てる。
【数6】
ここで、
(smn−XJmnn(Smn−Imn))はチャネルn上のユーザmが達成可能な速度を表し、
【数7】
は1つのタイムスロットの間にユーザmが送信できるビット数を表し、
かつ以下の制約が満足される。
【数8】
zmn∈{0,1},m=1,2,...,Ml;n=1,2,...,Nl
ここで、
qmはユーザmが占有するバッファ量を表し、
N1は基地局1に配分されたサブチャネル数を表し、
M1は基地局1内に存在するユーザ数を表し、
tsは1タイムスロットの長さを表し、
X=[xln]は無線ネットワーク制御装置が当該基地局に対して決定したサブチャネル配分行列を表し、
Z=[zmn]は現在のタイムスロットに存在するユーザに関するサブチャネル配分行列を表わす。
【0017】
最後に、移動局は基地局によって割り当てられたタイムスロット内のダウンリンクトラフィックをリッスンする。
【0018】
上記に加えて、特許文献1(米国特許出願第2007/0077793 A1号)は、マルチセルOFDMAダウンリンクシステムにおける動的再利用パーティションを提案している。この文献では、セルラOFDMAにおける動的サブチャネル配分の、再利用パーティションによる解決について検討されている。この問題は2つの副問題に分割され、2段階の副最適化方法が使用される。第1の副問題において、無線ネットワーク制御装置は、全セル内の各ユーザの制限情報に基づいて再利用パーティション問題を解決する。第2の副問題では、無線ネットワーク制御装置によって再利用パーティションモードが決定された後、各基地局が、そのセル内に存在する各ユーザの正確な情報に基づいてセル内のスループットを最大化する問題を解決する。
【0019】
上記を鑑みると、従来技術ではQoS要件、複数の同一チャネル干渉、アップリンクトラフィック等の多数の要因が考慮されていないため、マルチセルOFDMAシステムにおいて動的リソース配分の実用的な実装を行う可能性が制限される結果となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】米国特許出願第2007/0077793 A1号
【非特許文献】
【0021】
【非特許文献1】G.LiおよびH.Liu「Downlink Radio Resource Allocation for Multi−Cell OFDMA System」(マルチセルOFDMAシステムのためのダウンリンク無線リソース配分)、IEEE Trans.on Wireless Communications、vol.5、no.12、2006年12月
【非特許文献2】S.Das、H.Viswanathan、およびG.Rittenhouse「Dynamic load balancing through coordinated scheduling in packet data systems」(パケットデータシステムにおける協調スケジューリングによる動的ロードバランシング)Proc.IEEE INFOCOM、San Franscisco、CA、2003年4月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明の目的は、マルチセル無線通信システムにおいてリソースを動的に配分する方法および装置を提供することである。
【0023】
本発明の1つの態様によれば、マルチセル無線通信システムの制御装置であって、
基地局から送信されるチャネル状態情報とセル間干渉情報とトラフィック要求情報とを受信する受信手段と、
システムのアップリンクおよびダウンリンクの総合的スループットを最大化するために、受信手段が受信した情報に基づいてサブチャネル配分のグローバル最適化を実行するグローバル最適化手段と、
グローバル最適化手段によって実行されたサブチャネル配分の結果を送信する送信手段とを備えることを特徴とする制御装置を提供する。
【0024】
本発明の他の態様によれば、マルチセル無線通信システムの基地局であって、
制御装置から送信されたサブチャネル配分結果を受信する受信手段と、
受信手段が受信したサブチャネル配分結果に基づいて、各サービスクラス用の比例的公平性スケジューリングアルゴリズムを使用して、各フレーム内の各タイムスロットを割り当てるスケジューリング手段と、
スケジューリング手段による移動局へのタイムスロット割当の結果を送信する送信手段とを備えることを特徴とする基地局を提供する。
【0025】
本発明のさらに他の態様によれば、マルチセル無線通信システムの制御装置におけるリソース配分方法であって、
(1)チャネル状態情報、セル間干渉情報、およびトラフィック要求情報を受信し、
(2)システムのアップリンクおよびダウンリンクの総合的スループットを最大化するために、受信した情報に基づいてサブチャネル配分のグローバル最適化を実行し、かつ
(3)サブチャネル配分結果を基地局に送信する、
ことを特徴とするリソース配分方法を提供する。
【0026】
本発明のさらに他の態様によれば、マルチセル無線通信システムの基地局におけるリソース配分方法であって、
(1)サブチャネル配分結果を受信し、
(2)受信したサブチャネル配分結果に基づいて、各サービスクラス用の比例的公平性スケジューリングアルゴリズムを使用して、各フレーム内の各タイムスロットを割り当て、かつ
(3)タイムスロット割当結果を移動局に送信する、
ことを特徴とするリソース配分方法を提供する。
【0027】
本発明のさらに他の態様によれば、マルチセル無線通信システムの基地局におけるリソース配分システムであって、制御装置と基地局とを備えることを特徴とするリソース配分システムを提供する。
【0028】
本発明のさらに他の態様によれば、マルチセル無線通信システムにおけるリソース配分方法であって、
(1)制御装置によって、チャネル状態情報とセル間干渉情報とトラフィック要求情報とを受信し、
(2)システムのアップリンクおよびダウンリンクの総合的スループットを最大化するために、受信した情報に基づいてサブチャネル配分のグローバル最適化を実行し、
(3)サブチャネル配分結果を基地局に送信し、
(4)基地局によって、受信したサブチャネル配分結果に基づいて、各サービスクラス用の比例的公平性スケジューリングアルゴリズムを使用して、各フレーム内の各タイムスロットを割り当て、かつ
(5)タイムスロット割当結果を移動局に送信する、
ことを特徴とするリソース配分方法を提供する。
【0029】
本発明は、ユーザのQoS要件、セル間干渉、アップリンクトラフィック要求等の要因を考慮し、かつ1セル内に存在するユーザ間にリソースをスケジューリングするために2レベルの動的リソース配分(すなわち、制御装置内における複数セル間でのリソース配分を実装する)を採用することにより、ユーザのトラフィック要求およびQoS要件に適した帯域幅リソースをユーザに割り当てて、システムのアップリンクおよびダウンリンクの総合的スループットを増大させる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】従来技術による、再利用係数3を有する移動体通信システムを示す。
【図2】従来技術によるマルチセルOFDMAシステムにおいてダウンリンク無線リソースの配分を実行する場合のブロック図を示す。
【図3】本発明によるマルチセル無線通信システムのブロック図を示す。
【図4】本発明によるマルチセル無線通信システムにおける制御装置の構造的ブロック図を示す。
【図5】本発明によるマルチセル無線通信システムにおける基地局の構造的ブロック図を示す。
【図6】本発明によるマルチセル無線通信システムの制御装置内におけるリソース配分方法のフローチャートを示す。
【図7】本発明によるマルチセル無線通信システムの基地局内におけるリソース配分方法のフローチャートを示す。
【図8】本発明によるマルチセルOFDMAシステムにおけるリソース配分システムのブロック図を示す。
【図9】本発明によるマルチセル無線通信システムにおけるリソース配分方法を示す。
【図10】本発明の一実施例によるマルチセルOFDMAシステムにおける動的リソース管理のブロック図を示す。
【図11】本発明の他の実施例による呼受付制御機能付きマルチセルOFDMAシステムにおける動的リソース管理のブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下では、本発明によるマルチセル無線通信システムにおける動的リソース配分方法および装置について、図面と特定の実施例とを組み合わせて説明する。
【0032】
図3は、本発明によるマルチセル無線通信システムのブロック図である。図3に示すように、マルチセル無線通信システムは、制御装置31と、複数の基地局321〜32nと、複数の移動局3311〜33nnとを含み、うち制御装置31は基地局321〜32nを制御し、スーパーフレームレベルでサブチャネル配分を実行し、基地局321〜32nはフレームレベルでスケジューリングを実行する。
【0033】
本発明においては、移動局3311〜33nnは、測定されたチャネル状態情報とセル間干渉情報と帯域幅要求とを個々の基地局321〜32nに報告し、基地局321〜32nによって割り当てられたタイムスロットにおいてデータトラフィックを送受信する。本発明の特定の実施例によれば、移動局3311〜33nnによって測定されるチャネル状態情報はSINRとして表される。セル間干渉情報は、移動局3311〜33nnによって測定されたSINRと、セル間干渉が存在するときに移動局3311〜33nnによって測定されたSINRとで表される。帯域幅要求は、移動局3311〜33nnが各種サービスタイプにアクセスする際に必要とする帯域幅を反映して作成される。
【0034】
基地局321〜32nは、移動局3311〜33nnによって報告されたチャネル状態情報とセル間干渉情報と帯域幅要求とに基づいて、各サブチャネルのダウンリンクおよびアップリンクの各平均信号強度とトラフィック要求とを取得し、その情報を制御装置31に報告する。本発明の特定の実施例によれば、基地局321は、移動局から報告された異なるサブチャネル上の信号強度の平均値を直接計算するかまたはその加重平均値を計算することにより、各サブチャネルのダウンリンクの平均信号強度を計算すると共に、現在のセル内の異なるサブチャネル上のユーザ信号強度と隣接セル内のユーザ信号強度とを測定して、各セル内のユーザ信号強度の平均値を直接計算するかまたはその加重平均値を計算することにより、各サブチャネルのアップリンクの平均信号強度を計算する。本発明の他の特定の実施例によれば、基地局321は移動局3311〜331nによって報告された帯域幅要求を収集する。基地局321は、例えば、これらの帯域幅要求を累積してユーザのトラフィック要求を取得する。
【0035】
制御装置31は、各基地局から受信した、各サブチャネルのダウンリンクの平均信号強度と各サブチャネルのアップリンクの平均信号強度とに基づいて、各セル内のユーザの平均ダウンリンクSINRと各セル内の基地局の平均アップリンクSINRとを取得し、かつ、各基地局から受信したユーザのトラフィック要求に基づいてトラフィック要求情報を取得する。その後、システムのアップリンクおよびダウンリンクの総合的スループットを最大化するために、サブチャネル配分のグローバル最適化を実行する。最後に、基地局321〜32nは、制御装置31によって割り当てられたサブチャネル内のリソースを配分する。基地局は、各サービスクラス用の比例的公平性スケジューリングアルゴリズムを使用して、各フレーム内の各タイムスロットを割り当て、移動局にタイムスロットの割当結果を送信する。
【0036】
図3に示すマルチセル無線通信システム内の制御装置−基地局−移動局間の接続および情報交換は、既存のインターフェースおよびプロトコルを使用して実装できることに留意されたい。
【0037】
本発明の一実施例においては、マルチセル無線通信システムはマルチセルOFDMAシステムである。
【0038】
本発明の他の実施例においては、マルチセル無線通信システムは、3GPP long−term evolution(LTE)において定義されるマルチセル無線通信システムである(基地局321〜32nはeNodeBに対応し、移動局3311〜331nはユーザ機器UEに対応する)。
【0039】
図面を参照して、マルチセル無線通信システムについてさらに説明する。
【0040】
図10を参照する。図10は、本発明の一実施例によるマルチセルOFDMAシステムにおける動的リソース管理のブロック図である。本実施例においては、マルチセルOFDMAシステムは、制御装置と基地局と移動局とを含む。図10の実施例では、2レベル動的リソース管理(すなわち、制御装置がスーパーフレームレベルでサブチャネル配分を実行し、基地局がフレームレベルでスケジューリングを実行する)が採用されている。
【0041】
具体的には、各移動局はチャネル状態情報と測定されたセル間干渉情報と自局の帯域幅要求とを対応する基地局に報告し、当該基地局はその情報を制御装置に報告する。制御装置は、上記の情報に基づいて、各基地局内のユーザの平均チャネル状態情報と、各基地局のセル間干渉情報と、各基地局のトラフィック要求とを導出する。その後、制御装置は、導出した情報に基づいて、システムのアップリンクおよびダウンリンクの総合的スループットを最大化するために、グローバル最適化を使用して各基地局にサブチャネルを配分する。制御装置は、グローバル最適化の実行後には、各基地局にサブチャネル配分を送信するのみでよく、各移動局に関するリソース配分の推奨を送信する必要はない。
【0042】
次に基地局は、制御装置によって配分されたサブチャネルに基づき、各サービスクラス用の比例的公平性スケジューリングアルゴリズムを使用して、各フレーム内のタイムスロットリソースをスケジューリングし、各フレーム内のタイムスロットを異なる移動局に配分する。その後、移動局は、基地局からのスケジューリング結果に基づいてトラフィックを送受信する。
【0043】
図11を参照すると、本発明の他の実施例による呼受付制御機能付きマルチセルOFDMAシステムにおける動的リソース管理のブロック図が示されている。本実施例は、図10に示す実施例と比較すると、呼受付制御技術を採用している点が異なる。
【0044】
図11に示すように、新規サービスのサービス受付要求が移動局から基地局に渡され、基地局からさらに制御装置に渡される。制御装置は、利用可能なシステム帯域幅に基づいて、新規サービスの受付を許可するかどうかを決定する。次に、受付制御の結果が基地局を介して移動局に送信される。
【0045】
本発明によるシステムの制御装置および基地局についてさらに説明する。図4に、本発明によるマルチセル無線通信システムの制御装置の構造的ブロック図を示す。図4を見ると、制御装置31は、受信手段41とグローバル最適化手段42と送信手段43とを含む。受信手段41は、基地局321〜32nから、チャネル状態情報と、セル間干渉情報およびトラフィック要求情報と、基地局321〜32nからの新規サービスのサービス受付要求とを受信する。グローバル最適化手段42は、システムのアップリンクおよびダウンリンクの総合的スループットを最大化するために、受信手段41が受信した情報に基づいてサブチャネル配分のグローバル最適化を実行する。グローバル最適化手段42はその後、送信手段43を介して、サブチャネルのグローバル最適化の結果を基地局321〜32nに送信する。本発明による制御装置にはさらに、受信手段41が受信したサービス受付要求に関して、システム帯域幅に基づいて新規サービスの受付を許可するかどうかを決定して受付制御の結果を生成し、その受付制御結果を送信手段43を介して基地局321〜32nに送信する受付制御手段44を含めることができる。
【0046】
本発明の他の実施例によれば、グローバル最適化手段42はさらに、
受信手段41が受信したチャネル状態情報とセル間干渉情報とに基づいて、各セル内のユーザの平均ダウンリンクSINRと各セル内の基地局のアップリンクSINRとを取得するための取得手段421と、
取得手段421が受信したSINRに基づき、かつ全サブチャネル上の各基地局におけるアップリンクおよびダウンリンクの総合的転送速度が最大化されるようなサブチャネル配分方法で、トラフィック要求を満たすことを前提として、サブチャネル配分結果を生成し、そのサブチャネル配分結果を送信手段43に供給するサブチャネル配分手段422とを含む。
【0047】
本発明の一実施例によれば、サブチャネル配分手段422は、以下の条件を満たすことを前提として、サブチャネル配分のグローバル最適化を実行する。
1)xln∈{0,1},l=1,2,…,L;n=1,2,…,N;
2)
【数9】
これはダウンリンクの最小トラフィック要求制限を表わす。
3)
【数10】
これはアップリンクの最小トラフィック要求制限を表わす。
このサブチャネル配分のグローバル最適化では、システムのアップリンクおよびダウンリンクのスループットを最大化するために以下の式に従って計算が行われ、サブチャネル配分結果が生成される。
【数11】
ここで、
SINRnl1は平均アップリンクSINRを表し、
【数12】
は基地局l内の全ユーザのサブチャネルn上における平均信号対干渉雑音比(SINR)を表し、
速度関数R(SINR)は、そのSINR下にあるサブチャネルnに対して適応的変調・符号化スキームを使用することで達成可能な速度を表し、
X=[xln]はサブチャネル配分行列を表し、
λは、時分割二重システムの場合はダウンリンク対アップリンクのフレーム時間比、また周波数分割二重システムの場合はダウンリンク対アップリンクの周波数帯域幅比であり、
rmin(i)はユーザiの全サービスクラスに関する総合ダウンリンク最小所要速度であり、rmin’(i)はユーザiの全サービスクラスに関する総合アップリンク最小所要速度である。
【0048】
本発明の他の実施例によれば、速度関数R(SINRn)が事前に取得されない場合には、シャノンのチャネル容量定理を使用して適応的速度調整量が見積もられ、以下の式に従ってグローバル最適化が実行される。
【数13】
【0049】
ここで、上記のグローバル最適化解決法は、説明を目的とした本発明の一実施例に過ぎないことに留意されたい。当該技術に精通した当業者には、異なる適用シナリオ、適用要件に応じてこれらのパラメータのタイプと内容を変更することにより、異なるグローバル最適化解決法を実装できることは明らかである。
【0050】
本発明の一実施例によれば、受付制御手段44は、新規サービスの受付を、以下の式が満足される場合にのみ許可する。
【数14】
ここで、E[r(i)]はチャネルフィードバックに基づいて取得されたユーザiの事前に見積もられた速度、Mtはシステム内の全ユーザ、rmin(i)はユーザiの全サービスクラスに関する総合ダウンリンク最小所要速度である。
【0051】
図5は、本発明によるマルチセル無線通信システムにおける基地局の構造的ブロック図を示す。図5を見ると、基地局321は、受信手段51とスケジューリング手段52と送信手段54とを含む。受信手段51は、移動局3311〜331nから、チャネル状態情報とセル間干渉情報と帯域幅要求とを受信する。スケジューリング手段52は、受信手段51が受信したチャネル状態情報とセル間干渉情報と帯域幅要求とに基づいて、各サブチャネルのダウンリンクの平均信号強度と、各サブチャネルのアップリンクの平均信号強度とトラフィック要求を取得し、その情報を送信手段54を介して制御装置31に報告する。
【0052】
制御装置31がスーパーフレームレベルでサブチャネル配分を実行した後、基地局321はフレームレベルでスケジューリングを実行する。具体的には、受信手段51は、制御装置31によって送信されたサブチャネル配分の結果を受信する。スケジューリング手段52は、受信手段51が受信したサブチャネル配分結果に基づいて、各サービスクラス用の比例的公平性スケジューリングアルゴリズムを使用して、各フレーム内の各タイムスロットを割り当てる。送信手段54は、スケジューリング手段52からのタイムスロット割当結果を移動局3311〜331nに送信する。
【0053】
本発明においては、基地局は、上記の制御装置と接続されるサービス要求受付手段53を含むことができる。受付制御手順においては、受信手段51は移動局3311〜331nから新規サービスのサービス受付要求を受信し、サービス要求受付手段53は受信したサービス受付要求を送信手段54を介して制御装置31に送信する。制御装置31が受付制御の決定を行った後、受信手段51は制御装置31から受付制御結果を受信し、サービス要求受付手段53は送信手段54を介してその受付制御結果を対応する移動局に送信する。
【0054】
本発明の一実施例によれば、スケジューリング手段52は、同じサービスクラスに関して、タイムスロットtにおいて以下の式を最大にすることのできるユーザを選択し、タイムスロットtをそのユーザに配分する。
【数15】
配分が決定された各タイムスロットにおいて、各ユーザの平均速度が以下の式に従って更新される。
【数16】
ここで、r(i、t)はタイムスロットtにおけるユーザiの瞬間速度の見積り、E[r(i、t)]はタイムスロットtにおけるユーザiの平均速度の見積り、tcは時定数である。
【0055】
本発明の一実施例によれば、スケジューリング手段52は、優先度の高い順に、異なる優先度のサービスクラスにタイムスロットを割り当てる。優先度が同じサービスクラスについては、比例的公平性スケジューリングアルゴリズムを使用して各フレーム内の各タイムスロットが割り当てられる。
【0056】
本発明の一実施例によれば、異なるサービスクラスへの優先度の割当は、サービスクラスの元のQoSに基づいて行われる。
【0057】
図6は、本発明によるマルチセル無線通信システムの制御装置内におけるリソース配分方法のフローチャートである。図6に示すように、ステップS61において、チャネル状態情報とセル間干渉情報とトラフィック要求とが受信される。ステップS61において、システムのアップリンクおよびダウンリンクの総合的スループットを最大化するために、受信した情報に基づいてサブチャネル配分のグローバル最適化が実行される。そして、ステップS63において、サブチャネル配分結果が基地局に送信される。
【0058】
本発明の一実施例によれば、ステップS62はさらに、
受信されたチャネル状態情報とセル間干渉情報とに基づいて、各セル内のユーザの平均ダウンリンクSINRと各セル内の基地局のアップリンクSINRとを取得するステップと、
受信されたSINRに基づき、トラフィック要求を満たすことを前提として、全サブチャネル上の各基地局におけるアップリンクおよびダウンリンクの総合的転送速度が最大化されるようなサブチャネル配分方法で、サブチャネル配分結果を生成するステップとをさらに備える。
【0059】
本発明の一実施例によれば、ステップS62において、以下の条件が満足される。
1)xln∈{0,1},l=1、2、…、L;n=1、2、…、N;
2)
【数17】
これはダウンリンクの最小トラフィック要求制限を表わす。
3)
【数18】
これはアップリンクの最小トラフィック要求制限を表わす。
そして、システムのアップリンクおよびダウンリンクのスループットを最大化するために、以下の式に従ってサブチャネル配分のグローバル最適化が実行され、サブチャネル配分結果が生成される。
【数19】
ここで、
SINRnl1は平均アップリンクSINRを表し、
【数20】
は基地局l内の全ユーザのサブチャネルn上における平均信号対干渉雑音比(SINR)を表し、
速度関数R(SINR)は、そのSINR下にあるサブチャネルnに対して適応的変調・符号化スキームを使用することで達成可能な速度を表し、
X=[xln]はサブチャネル配分行列を表し、
λは、時分割二重システムの場合はダウンリンク対アップリンクのフレーム時間比、また周波数分割二重システムの場合はダウンリンク対アップリンクの周波数帯域幅比であり、
rmin(i)はユーザiの全サービスクラスに関する総合ダウンリンク最小所要速度であり、rmin’(i)はユーザiの全サービスクラスに関する総合アップリンク最小所要速度である。
【0060】
本発明の一実施例によれば、このリソース配分方法はさらに、
システムの利用可能な帯域幅に基づいて、移動局からアクセスされた新規サービスを受け付けるかどうかを決定し、受付制御の結果を基地局に送信するステップを含む。
【0061】
本発明の一実施例によれば、新規サービスの受付は、以下の式が満足される場合にのみ許可される。
【数21】
ここで、E[r(i)]はチャネルフィードバックに基づいて取得されたユーザiの事前に見積もられた速度、Mtはシステム内の全ユーザ、rmin(i)はユーザiの全サービスクラスに関する総合ダウンリンク最小所要速度である。
【0062】
図7は、本発明によるマルチセル無線通信システムの基地局内におけるリソース配分方法のフローチャートを示す。図7に示すように、ステップS71において、制御装置31が送信したサブチャネル配分結果が受信される。そして、ステップS72において、受信されたサブチャネル配分結果に基づいて、各サービスクラス用の比例的公平性スケジューリングアルゴリズムを使用して、各フレーム内の各タイムスロットが割り当てられる。ステップS73において、タイムスロット割当結果が移動局に送信される。
【0063】
本発明の一実施例によれば、ステップS72において、同じサービスクラスに関して、タイムスロットtにおいて以下の式の値を最大にすることのできるユーザが選択され、タイムスロットtがそのユーザに割り当てられる。
【数22】
配分が決定された各タイムスロットにおいて、各ユーザの平均速度が以下の式に従って更新される。
【数23】
ここで、r(i、t)はタイムスロットtにおけるユーザiの瞬間速度の見積り、E[r(i、t)]はタイムスロットtにおけるユーザiの平均速度の見積り、tcは時定数である。
【0064】
本発明の一実施例によれば、ステップS72はさらに、
優先度の高い順にタイムスロットをサービスクラスに割り当て、優先度が同じサービスクラスについては、比例的公平性スケジューリングアルゴリズムを使用して各フレーム内の各タイムスロットを割り当てるステップを含む。
【0065】
本発明の一実施例によれば、サービスクラスへの優先度の割当は、サービスクラスの元のQoSに基づいて行われる。
【0066】
本発明の一実施例によれば、このリソース配分方法はさらに、
移動局からの新規サービスのサービス受付要求を受信するステップと、制御装置からの受付制御結果を移動局に送信するステップとを含む。
【0067】
図8に、本発明によるマルチセルOFDMAシステムにおけるリソース配分システムのブロック図を示す。図8に示すように、本発明のリソース配分システムは、制御装置31と基地局321と移動局3311とを含む。制御装置31は受信手段41とグローバル最適化手段42と送信手段43と受付制御手段44とを含み、基地局321は受信手段51とスケジューリング手段52とサービス要求受付手段53と送信手段54とを含む。
【0068】
当業者には、各スーパーフレームは複数の連続するフレームに対応し、各フレームは複数のタイムスロットを含むことは既知である。本発明においては、利用可能な帯域幅は、各々がOFDMA副搬送波のクラスターで構成される複数のサブチャネルに分割でき、OFDMAサブチャネルは基地局単位で割り当てることができる。基地局は、時間/周波数リソースをタイムスロット(システムによっては「リソースブロック」と呼ばれる)の形式で各ユーザに割り当てる。タイムスロットとは、時間/周波数領域内の単一ユーザに配分することのできる物理層リソースの最小単位である。
【0069】
図8に示すブロック図では、2レベル動的リソース管理(すなわち、制御装置31がスーパーフレームレベルでサブチャネル配分を実行し、基地局321がフレームレベルでスケジューリングを実行する)が採用されている。具体的には、移動局3311がチャネル状態情報と測定されたセル間干渉情報と自局の帯域幅要求とを基地局321に報告し、基地局321はその情報を制御装置31に報告する。制御装置31は、上記の情報に基づいて、各基地局内のユーザの平均チャネル状態情報と、各基地局のセル間干渉情報と、各基地局のトラフィック要求とを導出する。その後、制御装置31のグローバル最適化手段42は、システムのアップリンクおよびダウンリンクの総合的スループットを最大化するために、導出された情報に基づいてサブチャネル配分のグローバル最適化を実行する。制御装置31は、グローバル最適化の実行後には、各基地局にサブチャネル配分を送信するのみでよく、各移動局に関するリソース配分の推奨を送信する必要はない。
【0070】
本発明の一実施例によれば、チャネル状態情報とセル間干渉情報は、基地局321または移動局3311によって測定された異なる形式のSINRとして表される。
【0071】
基地局321のスケジューリング手段52は、制御装置31によって配分されたサブチャネル内のリソースに基づき、各サービスクラス用の比例的公平性スケジューリングアルゴリズムを使用して、各フレーム内の各タイムスロットのスケジューリングを実行し、それにより各フレーム内のタイムスロットを移動局に割り当てる。その後、移動局は、スケジューリング手段52からのスケジューリング結果に基づいてトラフィックを送受信する。
【0072】
次に、図8に示すリソース配分システムについてさらに詳細に説明する。
1.制御装置31によるスーパーフレームでの基地局321へのサブチャネルの割当
【0073】
本発明における制御装置の主な機能は、各セル内の相互干渉を調整し、トラフィック要求に対応することである。制御装置31が実行するサブチャネル配分手順をより明確に説明するため、N個のトラフィックサブチャネルとL個の基地局(セル)とから成るネットワークを有するマルチセルOFDMAシステムを想定する。Mlは基地局lのユーザ集合を表す。各基地局は、動作モードにある利用可能なサブチャネルの部分集合を有効化し、残りのサブチャネルは無効化する。l番目の基地局のユーザ数はMlであり、ネットワーク全体には
【数24】
のユーザが存在する。
【0074】
チャネル配分行列XLxN=[xln]:xln=1は、サブチャネルnが基地局lに割り当てられることを表し、xln=0はサブチャネルnが基地局lに割り当てられないことを表す。
【0075】
図8に示すリソース配分システムにおいては、ダウンリンクおよびアップリンクの干渉抑制を別々に考慮することにより、システムの総スループットの最大化が図られる。
(1)ダウンリンクの干渉抑制
【0076】
トラフィックサブチャネルn上では、そのサブチャネルを利用する基地局l(m)と通信中のユーザmが受信するSINRは、以下の式で表すことができる。
【数25】
N0は加法的白色ガウス雑音(AWGN)のスペクトル密度、pl(m),nはサブチャネルn上の基地局l(m)の送信電力である。これはスーパーフレームレベルのチャネル配分なので、hは長期チャネル利得(経路損失およびシャドウフェージング)。phは、ユーザが受信した信号強度(RSSI、すなわち「受信信号強度インジケータ」とも呼ばれる)によって測定することができる。
【0077】
受信されるSINRの測定方法は、サブチャネルの置換モードによって決まる。隣接副搬送波の置換を行うシステムにおいては、RSSIll,nはサブチャネルn上の基地局l内に存在する全ユーザの平均受信信号強度インジケータである。測定はパイロット信号に対して実行される。RSSIlj,nは、サブチャネルn上の干渉源の基地局jから、基地局l内の全ユーザが受けている平均受信信号強度インジケータである。サブチャネルn上の基地局l内に存在するユーザの平均SINRは、以下の式を使って見積もられる。
【数26】
分散(無作為化)副搬送波の置換を行うシステムにおいては、RSSIllは基地局l内の全ユーザにサービスを提供している基地局からの平均受信信号強度インジケータである。チャネルの測定はプリアンブル信号に対して実行される。RSSIlj,nは、基地局l内の全ユーザが干渉源の基地局jから受けている平均受信信号強度インジケータである。サブチャネルn上の基地局l内に存在するユーザの平均SINRは、以下の式を使って見積もられる。
【数27】
(2)アップリンクの干渉抑制
【0078】
各基地局は、信号強度の測定値を得るために、移動局と隣接局のアップリンクパイロット信号をリッスンする。隣接副搬送波の置換を行うシステムにおいては、RSSIll,n’はサブチャネルn上の各ユーザの基地局l内での平均受信電力、RSSIlj,n’はサブチャネルn上の隣接基地局内に存在するユーザからの基地局lでの平均受信電力である。その後、サブチャネルn上の基地局l内の平均アップリンクSINRが、以下の式を使って見積もられる。
【数28】
分散(無作為化)副搬送波の置換を行うシステムにおいては、RSSIll’は各ユーザの基地局l内での平均受信電力と想定される。RSSIlj’は、隣接基地局j内のユーザからの基地局lにおける平均受信電力である。その後、サブチャネルn上の基地局l内の平均アップリンクSINRが、以下の式を使って見積もられる。
【数29】
(3)制御装置31がグローバル最適化を実行
【0079】
制御装置31におけるグローバル最適化手順をより明確に説明するため、本発明は速度関数R(SINRn)を定義する。R(SINRn)は、そのSINR下にあるサブチャネルnに対して適応的変調・符号化スキーム(MCS)を使用することで達成可能な速度を表す。この関数は、リンク適応曲線またはルックアップテーブルから容易に得ることができる。
【0080】
制御装置31のグローバル最適化手段42は、以下の式に従ってグローバル最適化を行う。
【数30】
この場合の制約条件には、以下が含まれる。
1)xln∈{0,1},l=1,2,…,L;n=1,2,…,N (7)
2)
【数31】
3)
【数32】
【0081】
λは、時分割二重(TDD)システムの場合はダウンリンク対アップリンクのフレーム時間比、また周波数分割二重(FDD)システムの場合はダウンリンク対アップリンクの周波数帯域幅比である。
【0082】
rmin(i)はユーザiの全サービスクラスに関する総合ダウンリンク最小所要速度、rmin’(i)はユーザiの全サービスクラスに関する総合アップリンク最小所要速度である。一般に、ベストエフォートサービスはrmin(rmin=0)とはならない。
【0083】
式(6)において、SINRnlはダウンリンク方向の隣接基地局によってユーザが干渉されたときに取得されたSINRを表し、SINRnl’はアップリンク方向の隣接基地局によってユーザが干渉されなかったときに取得されたSINRを表す。式(1)−(5)から、SINRnlとSINRnlSINRnl’のいずれも、ユーザのチャネル状態情報とセル間干渉情報とに基づいて取得されることが分かる。さらに、rmin(i)とrmin’(i)は単一ユーザの帯域幅要求を反映するのに対し、式(8)の
【数33】
は特定の1つの基地局のトラフィック要求を反映する。
【0084】
ここで、速度関数R(SINRn)が事前に取得されない場合には、シャノンのチャネル容量定理を使用して適応的速度調整量が見積もられるため、式(6)を以下のように修正した上でグローバル最適化が実行されることに留意する必要がある。
【数34】
2.基地局321による移動局3311に対するフレームレベルでのスケジューリングの実行
【0085】
図8に示すブロック図において、基地局321は制御装置31によって割り当てられたサブチャネル内のリソースを割り当てる。この配分手順は、基地局321のスケジューリング手段52を使用して実装される。ダウンリンクのスケジューリングは待ち行列内のすべてのデータに対して実行されるが、アップリンクのスケジューリングは移動局から受信された帯域幅要求に対して実行される。
【0086】
本発明においては、フレームレベルのリソース配分には優先度付き比例的公平性スケジューリングアルゴリズムが使用される。各種クラスの新規サービスに対し、これらのサービスの元のQoS要件に基づいて異なる優先度が割り当てられる。例えば、LTEにおいては、QoSの優先度はQoSクラスインジケータ(QCI)で表され、802.16においては、QoSの優先度はサービスタイプに基づいて順序付けされる。すなわち、Unsolicited Grant Service(UGS)が最高の優先度を有し、Real−time Polling Service(rtPS)は次に高い優先度を有し、拡張rtPS(ertPS)はその次に高い優先度を有し、Non−real time Polling Service(nrtPS)はこれらより低い優先度を有し、ベストエフォート(BE)サービスは最も低い優先度を有する。
【0087】
スケジューリング手段52は、フレームレベルのリソース配分を実行する際には、優先度の異なるサービスタイプについて、サービスタイプの優先度の高い順に各移動局にタイムスロットを割り当てる。続いて、スケジューリング手段52は優先度が同じサービスクラスについて、タイムスロットtにおいて以下の式の値を最大にすることのできる移動局を選択し、そのユーザにタイムスロットを割り当てる。
【数35】
ここで、式(10)を最大化する方法については、A.Jalali、R.Padovani、およびR.Pankajの「Data Throughput of CDMA−HDR:a High Efficiency−High Data Rate Personal Communication Wireless System」(CDMA−HDRのデータスループット:高効率・高データ速度のパーソナル通信無線システム)、VTC−S’2000、vol.3、pp.1854−1858、2000年、を参照することができる。
【0088】
配分が決定された各タイムスロットにおいて、各ユーザの平均速度が以下の式に従って更新される。
【数36】
ここで、r(i、t)はタイムスロットtにおけるユーザiの瞬間速度の見積り、E[r(i、t)]はタイムスロットtにおけるユーザiの平均速度の見積り、tcは時定数である。
3.受付制御手順
【0089】
前述した2レベル動的リソース配分においては、各セルが取得する帯域はネットワークトラフィックの占有状況によって変動する。どのセルもユーザの行動に関するグローバル情報を持たないため、基地局が自局のトラフィック情報のみに基づいて呼受付制御を実行することは困難である。そのため、受付制御は、従来方式のように単一セル内のユーザ情報に基づいて実行するのではなく、制御装置においてネットワーク全体のユーザ情報に基づいて実行するべきである。
【0090】
図8に示すリソース配分システムにおいては、利用できるリソースの有無との関連において新規サービスの最小要求速度をチェックすることを目的として、呼受付制御(CAC)技術が採用されている。これは、サービスを受けるユーザのQoSを保証するための1つの方法である。
【0091】
具体的には、図8に示すように、まず新規サービスのサービス受付要求が移動局3311から基地局321に報告され、基地局321のサービス要求受付手段53がそれを制御装置31に報告する。制御装置31の受付制御手段44は、利用可能なシステム帯域の有無に基づいて新規サービスの受付を許可するかどうかを決定し、その受付制御結果を送信手段43を介して基地局321に送信する。その後、基地局321のサービス要求受付手段53がその受付制御結果を送信手段54を介して移動局3311に送信する。
【0092】
本発明においては、本発明の制御装置による受付制御の解決法を実装するために、非特許文献2(S.Das、H.Viswanathan、およびG.Rittenhouse「Dynamic load balancing through coordinated scheduling in packet data systems」(パケットデータシステムにおける協調スケジューリングによる動的ロードバランシング)Proc.IEEE INFOCOM、San Franscisco、CA、2003年4月)、に示される、測定に基づく呼受付制御方法を使用することができる。
【0093】
具体的には、the制御装置31は、以下の式が満足されたときにのみ移動局3311の新規サービスの受付を許可する。
【数37】
ここで、E[r(i)]はチャネルフィードバックに基づいて取得されたユーザiの事前に見積もられた速度、Mtはシステム内の全ユーザ、rmin(i)はユーザiの全サービスクラスに関する総合ダウンリンク最小所要速度である。
【0094】
ここで、本発明の制御装置は独立して配置するほか、無線ネットワーク制御装置(RNC)内かまたはASN(アクセスサービスネットワーク)ゲートウェイ(例えば、WiMAXシステム内)に常駐させるか、あるいはネットワーク内の1つの基地局内に常駐させることも可能であることに留意されたい。
【0095】
図9は、本発明によるマルチセル無線通信システムにおけるリソース配分方法を示す。制御装置はステップS91において、チャネル状態情報とセル間干渉情報とトラフィック要求情報とを受信する。ステップS92において、制御装置は、システムのアップリンクおよびダウンリンクの総合的スループットを最大化するために、受信した情報に基づいてサブチャネル配分のグローバル最適化を実行する。そして、ステップS93において、サブチャネル配分結果が基地局に送信される。ステップS94において、基地局は、受信したサブチャネル配分結果に基づいて、各サービスクラス用の比例的公平性スケジューリングアルゴリズムを使用して、各フレーム内の各タイムスロットを割り当てる。そして、ステップS95において、タイムスロット割当結果が移動局に送信される。
【0096】
上記ではいくつかの特定の実施例について説明してきたが、本発明にはその基本概念から逸脱することなくいくつかの変更を行うことができ、これらの変更は請求項で述べる本発明の保護範囲内に入ることは、当業者には理解されるであろう。
【符号の説明】
【0097】
31:制御装置
321〜32n:基地局
31:制御装置
41:受信手段
42:グローバル最適化手段
421:取得手段
422:サブチャネル配分手段
43:送信手段
44:受付制御手段
3311〜331n:移動局
31:制御装置
321:基地局
51:受信手段
52:スケジューリング手段
53:サービス要求受付手段
54:送信手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチセル無線通信システムの制御装置であって、
基地局から送信されるチャネル状態情報とセル間干渉情報とトラフィック要求情報とを受信する受信手段と、
システムのアップリンクおよびダウンリンクの総合的スループットを最大化するために、前記受信手段が受信した情報に基づいてサブチャネル配分のグローバル最適化を実行するグローバル最適化手段と、
前記グローバル最適化手段によって実行されたサブチャネル配分の結果を送信する送信手段と
を備えることを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記グローバル最適化手段は、さらに、
チャネル状態情報とセル間干渉情報とに基づいて、各セル内のユーザの平均ダウンリンク信号と各セル内の基地局のアップリンク信号とを取得する取得手段と、
受信した信号対干渉雑音比に基づき、かつ全サブチャネル上の各基地局におけるアップリンクおよびダウンリンクの総合的転送速度が最大化されるようなサブチャネル配分方法で、トラフィック要求を満たすことを前提として、サブチャネル配分結果を生成するサブチャネル配分手段と
を含むことを特徴とする請求項1に記載の制御装置
【請求項3】
前記サブチャネル配分手段は、以下の条件、
1)xln∈{0,1},l=1,2,…,L;n=1,2,…,N;
2)
【数38】
(これはダウンリンクの最小トラフィック要求制限を表わす)
3)
【数39】
(これはアップリンクの最小トラフィック要求制限を表わす)
を満たすことを前提に、
システムのアップリンクおよびダウンリンクのスループットを最大化するために、以下の式に従ってサブチャネル配分のグローバル最適化を実行し、
【数40】
(ここで、SINRnl1は、平均アップリンクSINRを表し、
【数41】
は基地局l内の全ユーザのサブチャネルn上における平均信号対干渉雑音比(SINR)を表し、
速度関数R(SINR)は、そのSINR下にあるサブチャネルnに対して適応的変調・符号化スキームを使用することで達成可能な速度を表し、
X=[xln]はサブチャネル配分行列を表し、
λは、時分割二重システムの場合はダウンリンク対アップリンクのフレーム時間比、また周波数分割二重システムの場合はダウンリンク対アップリンクの周波数帯域幅比であり、
rmin(i)はユーザiの全サービスクラスに関する総合ダウンリンク最小所要速度であり、rmin’(i)はユーザiの全サービスクラスに関する総合アップリンク最小所要速度である)
サブチャネル配分結果を生成する
ことを特徴とする請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
システムの利用可能な帯域幅に基づいて、移動局からの新規サービスの要求を受け付けるかどうかを決定し、受付制御の結果を前記基地局に送信する受付制御手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
前記受付制御手段は、
新規サービスの受付を、以下の式が満足される場合にのみ許可する
【数42】
(ここで、E[r(i)]はチャネルフィードバックに基づいて取得されたユーザiの事前に見積もられた速度、Mtはシステム内の全ユーザ、rmin(i)はユーザiの全サービスクラスに関する総合ダウンリンク最小所要速度である。)
ことを特徴とする請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
マルチセル無線通信システムの基地局であって、
制御装置から送信されたサブチャネル配分結果を受信する受信手段と、
前記受信手段が受信したサブチャネル配分結果に基づいて、各サービスクラス用の比例的公平性スケジューリングアルゴリズムを使用して、各フレーム内の各タイムスロットを割り当てるスケジューリング手段と、
前記スケジューリング手段による移動局へのタイムスロット割当の結果を送信する送信手段と
を備えることを特徴とする基地局。
【請求項7】
前記スケジューリング手段は、同じサービスクラスに関して、タイムスロットtにおいて以下の式を最大にすることのできるユーザを選択し、タイムスロットtを当該ユーザに配分し、
【数43】
配分が決定された各タイムスロットにおいて、各ユーザの平均速度を以下の式に従って更新する
【数44】
(ここで、r(i、t)はタイムスロットtにおけるユーザiの瞬間速度の見積り、E[r(i、t)]はタイムスロットtにおけるユーザiの平均速度の見積り、tcは時定数である。)
ことを特徴とする請求項6に記載の基地局。
【請求項8】
前記スケジューリング手段は、異なる優先度のサービスクラスに、優先度の高い順にタイムスロットを割り当て、優先度が同じサービスクラスについては、比例的公平性スケジューリングアルゴリズムを使用して各フレーム内の各タイムスロットを割り当てることを特徴とする請求項6に記載の基地局。
【請求項9】
異なるサービスクラスへの異なる優先度は、サービスクラスの元のサービス品質に基づいて割り当てられることを特徴とする請求項8に記載の基地局。
【請求項10】
前記移動局から新規サービスのサービス受付要求を受信し、制御装置からの受付制御結果を前記移動局に送信するサービス要求受付手段を備えることを特徴とする請求項6に記載の基地局。
【請求項11】
マルチセル無線通信システムの制御装置におけるリソース配分方法であって、
(1)チャネル状態情報、セル間干渉情報、およびトラフィック要求情報を受信し、
(2)システムのアップリンクおよびダウンリンクの総合的スループットを最大化するために、受信した情報に基づいてサブチャネル配分のグローバル最適化を実行し、
(3)サブチャネル配分結果を基地局に送信する、
ことを特徴とするリソース配分方法。
【請求項12】
チャネル状態情報とセル間干渉情報とに基づいて、各セル内のユーザの平均ダウンリンク信号と各セル内の基地局のアップリンク信号とを取得するステップと、
受信した信号対干渉雑音比に基づき、かつ全サブチャネル上の各基地局におけるアップリンクおよびダウンリンクの総合的転送速度が最大化されるようなサブチャネル配分方法で、トラフィック要求を満たすことを前提として、サブチャネル配分結果を生成するステップをさらに含むことを特徴とする請求項11に記載のリソース配分方法。
【請求項13】
前記ステップ(2)において、以下の条件、
1)xln∈{0,1},l=1,2,…,L;n=1,2,…,N;
2)
【数45】
(これはダウンリンクの最小トラフィック要求制限を表わす)
3)
【数46】
(これはアップリンクの最小トラフィック要求制限を表わす)
を満たすことを前提に、
システムのアップリンクおよびダウンリンクのスループットを最大化するために、以下の式に従ってサブチャネル配分のグローバル最適化を実行し、サブチャネル配分結果を生成する
【数47】
(ここで、SINRnl1は、平均アップリンクSINRを表し、
【数48】
は基地局l内の全ユーザのサブチャネルn上における平均信号対干渉雑音比(SINR)を表し、
速度関数R(SINR)は、そのSINR下にあるサブチャネルnに対して適応的変調・符号化スキームを使用することで達成可能な速度を表し、
X=[xln]はサブチャネル配分行列を表し、
λは、時分割二重システムの場合はダウンリンク対アップリンクのフレーム時間比、また周波数分割二重システムの場合はダウンリンク対アップリンクの周波数帯域幅比であり、
rmin(i)はユーザiの全サービスクラスに関する総合ダウンリンク最小所要速度であり、rmin’(i)はユーザiの全サービスクラスに関する総合アップリンク最小所要速度である)
ことを特徴とする請求項11に記載のリソース配分方法。
【請求項14】
システムの利用可能な帯域幅に基づいて、移動局からの新規サービスの要求を受け付けるかどうかを決定し、受付制御の結果を前記基地局に送信することを特徴とする請求項11に記載のリソース配分方法。
【請求項15】
新規サービスを、以下の式が満足される場合にのみ受け付ける
【数49】
(ここで、E[r(i)]はチャネルフィードバックに基づいて取得されたユーザiの事前に見積もられた速度、Mtはシステム内の全ユーザ、rmin(i)はユーザiの全サービスクラスに関する総合ダウンリンク最小所要速度である。)
ことを特徴とする請求項14に記載のリソース配分方法。
【請求項16】
マルチセル無線通信システムの基地局におけるリソース配分方法であって、
(1)サブチャネル配分結果を受信し、
(2)受信したサブチャネル配分結果に基づいて、各サービスクラス用の比例的公平性スケジューリングアルゴリズムを使用して、各フレーム内の各タイムスロットを割り当て、
(3)タイムスロット割当結果を移動局に送信する、
ことを特徴とするリソース配分方法。
【請求項17】
前記ステップ(2)において、同じサービスクラスに関して、タイムスロットtにおいて以下の式を最大にすることのできるユーザを選択し、タイムスロットtを当該ユーザに配分し、
【数50】
配分が決定された各タイムスロットにおいて、各ユーザの平均速度を以下の式に従って更新する
【数51】
(ここで、r(i、t)はタイムスロットtにおけるユーザiの瞬間速度の見積り、E[r(i、t)]はタイムスロットtにおけるユーザiの平均速度の見積り、tcは時定数である。)
ことを特徴とする請求項16に記載のリソース配分方法。
【請求項18】
異なる優先度のサービスクラスに、サービスクラスの優先度の高い順にタイムスロットを割り当て、
優先度が同じサービスクラスについては、比例的公平性スケジューリングアルゴリズムを使用して各フレーム内の各タイムスロットを割り当てることを特徴とする請求項16に記載のリソース配分方法。
【請求項19】
異なるサービスクラスへの異なる優先度は、サービスクラスの元のサービス品質に基づいて割り当てられることを特徴とする請求項18に記載のリソース配分方法。
【請求項20】
前記移動局から新規サービスのサービス受付要求を受信し、制御装置からの受付制御結果を前記移動局に送信するステップを含むことを特徴とする請求項16に記載のリソース配分方法。
【請求項21】
マルチセル無線通信システムの基地局内におけるリソース配分システムであって、
請求項1から請求項5の何れかに記載の制御装置と、
請求項6から請求項10の何れかに記載の基地局と
を備えることを特徴とするリソース配分システム。
【請求項22】
マルチセル無線通信システムにおけるリソース配分方法であって、
(1)制御装置によって、チャネル状態情報とセル間干渉情報とトラフィック要求情報とを受信し、
(2)システムのアップリンクおよびダウンリンクの総合的スループットを最大化するために、受信した情報に基づいてサブチャネル配分のグローバル最適化を実行し、
(3)サブチャネル配分結果を基地局に送信し、
(4)基地局によって、受信したサブチャネル配分結果に基づいて、各サービスクラス用の比例的公平性スケジューリングアルゴリズムを使用して、各フレーム内の各タイムスロットを割り当て、かつ
(5)タイムスロット割当結果を移動局に送信する、
ことを特徴とするリソース配分方法。
【請求項1】
マルチセル無線通信システムの制御装置であって、
基地局から送信されるチャネル状態情報とセル間干渉情報とトラフィック要求情報とを受信する受信手段と、
システムのアップリンクおよびダウンリンクの総合的スループットを最大化するために、前記受信手段が受信した情報に基づいてサブチャネル配分のグローバル最適化を実行するグローバル最適化手段と、
前記グローバル最適化手段によって実行されたサブチャネル配分の結果を送信する送信手段と
を備えることを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記グローバル最適化手段は、さらに、
チャネル状態情報とセル間干渉情報とに基づいて、各セル内のユーザの平均ダウンリンク信号と各セル内の基地局のアップリンク信号とを取得する取得手段と、
受信した信号対干渉雑音比に基づき、かつ全サブチャネル上の各基地局におけるアップリンクおよびダウンリンクの総合的転送速度が最大化されるようなサブチャネル配分方法で、トラフィック要求を満たすことを前提として、サブチャネル配分結果を生成するサブチャネル配分手段と
を含むことを特徴とする請求項1に記載の制御装置
【請求項3】
前記サブチャネル配分手段は、以下の条件、
1)xln∈{0,1},l=1,2,…,L;n=1,2,…,N;
2)
【数38】
(これはダウンリンクの最小トラフィック要求制限を表わす)
3)
【数39】
(これはアップリンクの最小トラフィック要求制限を表わす)
を満たすことを前提に、
システムのアップリンクおよびダウンリンクのスループットを最大化するために、以下の式に従ってサブチャネル配分のグローバル最適化を実行し、
【数40】
(ここで、SINRnl1は、平均アップリンクSINRを表し、
【数41】
は基地局l内の全ユーザのサブチャネルn上における平均信号対干渉雑音比(SINR)を表し、
速度関数R(SINR)は、そのSINR下にあるサブチャネルnに対して適応的変調・符号化スキームを使用することで達成可能な速度を表し、
X=[xln]はサブチャネル配分行列を表し、
λは、時分割二重システムの場合はダウンリンク対アップリンクのフレーム時間比、また周波数分割二重システムの場合はダウンリンク対アップリンクの周波数帯域幅比であり、
rmin(i)はユーザiの全サービスクラスに関する総合ダウンリンク最小所要速度であり、rmin’(i)はユーザiの全サービスクラスに関する総合アップリンク最小所要速度である)
サブチャネル配分結果を生成する
ことを特徴とする請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
システムの利用可能な帯域幅に基づいて、移動局からの新規サービスの要求を受け付けるかどうかを決定し、受付制御の結果を前記基地局に送信する受付制御手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
前記受付制御手段は、
新規サービスの受付を、以下の式が満足される場合にのみ許可する
【数42】
(ここで、E[r(i)]はチャネルフィードバックに基づいて取得されたユーザiの事前に見積もられた速度、Mtはシステム内の全ユーザ、rmin(i)はユーザiの全サービスクラスに関する総合ダウンリンク最小所要速度である。)
ことを特徴とする請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
マルチセル無線通信システムの基地局であって、
制御装置から送信されたサブチャネル配分結果を受信する受信手段と、
前記受信手段が受信したサブチャネル配分結果に基づいて、各サービスクラス用の比例的公平性スケジューリングアルゴリズムを使用して、各フレーム内の各タイムスロットを割り当てるスケジューリング手段と、
前記スケジューリング手段による移動局へのタイムスロット割当の結果を送信する送信手段と
を備えることを特徴とする基地局。
【請求項7】
前記スケジューリング手段は、同じサービスクラスに関して、タイムスロットtにおいて以下の式を最大にすることのできるユーザを選択し、タイムスロットtを当該ユーザに配分し、
【数43】
配分が決定された各タイムスロットにおいて、各ユーザの平均速度を以下の式に従って更新する
【数44】
(ここで、r(i、t)はタイムスロットtにおけるユーザiの瞬間速度の見積り、E[r(i、t)]はタイムスロットtにおけるユーザiの平均速度の見積り、tcは時定数である。)
ことを特徴とする請求項6に記載の基地局。
【請求項8】
前記スケジューリング手段は、異なる優先度のサービスクラスに、優先度の高い順にタイムスロットを割り当て、優先度が同じサービスクラスについては、比例的公平性スケジューリングアルゴリズムを使用して各フレーム内の各タイムスロットを割り当てることを特徴とする請求項6に記載の基地局。
【請求項9】
異なるサービスクラスへの異なる優先度は、サービスクラスの元のサービス品質に基づいて割り当てられることを特徴とする請求項8に記載の基地局。
【請求項10】
前記移動局から新規サービスのサービス受付要求を受信し、制御装置からの受付制御結果を前記移動局に送信するサービス要求受付手段を備えることを特徴とする請求項6に記載の基地局。
【請求項11】
マルチセル無線通信システムの制御装置におけるリソース配分方法であって、
(1)チャネル状態情報、セル間干渉情報、およびトラフィック要求情報を受信し、
(2)システムのアップリンクおよびダウンリンクの総合的スループットを最大化するために、受信した情報に基づいてサブチャネル配分のグローバル最適化を実行し、
(3)サブチャネル配分結果を基地局に送信する、
ことを特徴とするリソース配分方法。
【請求項12】
チャネル状態情報とセル間干渉情報とに基づいて、各セル内のユーザの平均ダウンリンク信号と各セル内の基地局のアップリンク信号とを取得するステップと、
受信した信号対干渉雑音比に基づき、かつ全サブチャネル上の各基地局におけるアップリンクおよびダウンリンクの総合的転送速度が最大化されるようなサブチャネル配分方法で、トラフィック要求を満たすことを前提として、サブチャネル配分結果を生成するステップをさらに含むことを特徴とする請求項11に記載のリソース配分方法。
【請求項13】
前記ステップ(2)において、以下の条件、
1)xln∈{0,1},l=1,2,…,L;n=1,2,…,N;
2)
【数45】
(これはダウンリンクの最小トラフィック要求制限を表わす)
3)
【数46】
(これはアップリンクの最小トラフィック要求制限を表わす)
を満たすことを前提に、
システムのアップリンクおよびダウンリンクのスループットを最大化するために、以下の式に従ってサブチャネル配分のグローバル最適化を実行し、サブチャネル配分結果を生成する
【数47】
(ここで、SINRnl1は、平均アップリンクSINRを表し、
【数48】
は基地局l内の全ユーザのサブチャネルn上における平均信号対干渉雑音比(SINR)を表し、
速度関数R(SINR)は、そのSINR下にあるサブチャネルnに対して適応的変調・符号化スキームを使用することで達成可能な速度を表し、
X=[xln]はサブチャネル配分行列を表し、
λは、時分割二重システムの場合はダウンリンク対アップリンクのフレーム時間比、また周波数分割二重システムの場合はダウンリンク対アップリンクの周波数帯域幅比であり、
rmin(i)はユーザiの全サービスクラスに関する総合ダウンリンク最小所要速度であり、rmin’(i)はユーザiの全サービスクラスに関する総合アップリンク最小所要速度である)
ことを特徴とする請求項11に記載のリソース配分方法。
【請求項14】
システムの利用可能な帯域幅に基づいて、移動局からの新規サービスの要求を受け付けるかどうかを決定し、受付制御の結果を前記基地局に送信することを特徴とする請求項11に記載のリソース配分方法。
【請求項15】
新規サービスを、以下の式が満足される場合にのみ受け付ける
【数49】
(ここで、E[r(i)]はチャネルフィードバックに基づいて取得されたユーザiの事前に見積もられた速度、Mtはシステム内の全ユーザ、rmin(i)はユーザiの全サービスクラスに関する総合ダウンリンク最小所要速度である。)
ことを特徴とする請求項14に記載のリソース配分方法。
【請求項16】
マルチセル無線通信システムの基地局におけるリソース配分方法であって、
(1)サブチャネル配分結果を受信し、
(2)受信したサブチャネル配分結果に基づいて、各サービスクラス用の比例的公平性スケジューリングアルゴリズムを使用して、各フレーム内の各タイムスロットを割り当て、
(3)タイムスロット割当結果を移動局に送信する、
ことを特徴とするリソース配分方法。
【請求項17】
前記ステップ(2)において、同じサービスクラスに関して、タイムスロットtにおいて以下の式を最大にすることのできるユーザを選択し、タイムスロットtを当該ユーザに配分し、
【数50】
配分が決定された各タイムスロットにおいて、各ユーザの平均速度を以下の式に従って更新する
【数51】
(ここで、r(i、t)はタイムスロットtにおけるユーザiの瞬間速度の見積り、E[r(i、t)]はタイムスロットtにおけるユーザiの平均速度の見積り、tcは時定数である。)
ことを特徴とする請求項16に記載のリソース配分方法。
【請求項18】
異なる優先度のサービスクラスに、サービスクラスの優先度の高い順にタイムスロットを割り当て、
優先度が同じサービスクラスについては、比例的公平性スケジューリングアルゴリズムを使用して各フレーム内の各タイムスロットを割り当てることを特徴とする請求項16に記載のリソース配分方法。
【請求項19】
異なるサービスクラスへの異なる優先度は、サービスクラスの元のサービス品質に基づいて割り当てられることを特徴とする請求項18に記載のリソース配分方法。
【請求項20】
前記移動局から新規サービスのサービス受付要求を受信し、制御装置からの受付制御結果を前記移動局に送信するステップを含むことを特徴とする請求項16に記載のリソース配分方法。
【請求項21】
マルチセル無線通信システムの基地局内におけるリソース配分システムであって、
請求項1から請求項5の何れかに記載の制御装置と、
請求項6から請求項10の何れかに記載の基地局と
を備えることを特徴とするリソース配分システム。
【請求項22】
マルチセル無線通信システムにおけるリソース配分方法であって、
(1)制御装置によって、チャネル状態情報とセル間干渉情報とトラフィック要求情報とを受信し、
(2)システムのアップリンクおよびダウンリンクの総合的スループットを最大化するために、受信した情報に基づいてサブチャネル配分のグローバル最適化を実行し、
(3)サブチャネル配分結果を基地局に送信し、
(4)基地局によって、受信したサブチャネル配分結果に基づいて、各サービスクラス用の比例的公平性スケジューリングアルゴリズムを使用して、各フレーム内の各タイムスロットを割り当て、かつ
(5)タイムスロット割当結果を移動局に送信する、
ことを特徴とするリソース配分方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−233202(P2010−233202A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−279858(P2009−279858)
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【出願人】(505418870)エヌイーシー(チャイナ)カンパニー, リミテッド (108)
【氏名又は名称原語表記】NEC(China)Co.,Ltd.
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−279858(P2009−279858)
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【出願人】(505418870)エヌイーシー(チャイナ)カンパニー, リミテッド (108)
【氏名又は名称原語表記】NEC(China)Co.,Ltd.
【Fターム(参考)】
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