説明

マルチチャンネル・スピーカーの駆動

駆動システムが、入力信号から低周波数信号および高周波数信号を生成するスプリッター(107)を有する。第一の駆動回路(111、115)がスプリッター(117)に結合され、低周波数信号からオーディオ・ドライバー(105)のための駆動信号を生成する。第二の駆動回路(117、119)がスプリッター(117)に結合され、高周波数信号からオーディオ・ドライバー(101)のための駆動信号を生成する。第二の駆動回路(117、119)は、低周波数信号に対して低周波数ブーストを適用することによって第二のオーディオ・ドライバー(101)のためのバス周波数拡張を提供する。プロセッサ(125)が第二のオーディオ・ドライバー(101)についてのドライバー変位指標を決定し、コントローラ(127)が該ドライバー変位指標に基づいて、高周波数信号および低周波数信号のクロスオーバー周波数と低周波数ブーストの特性とに対して組み合わされた調整を実行する。本発明は、たとえばサブウーファーとサテライト・スピーカーとの間の改善された協働を提供しうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチチャンネル・スピーカーの駆動に、より詳細にはこれに限られるものではないがホームシアター・サウンド・システムにおけるスピーカーの駆動に関する。
【背景技術】
【0002】
向上した空間的体験を提供するために二つより多くのチャンネルを使った音の再生は、非常に一般的なものとなった。たとえば、五つまたは七つの異なる空間的チャンネルを利用するホームシアター・サウンド・システムが非常に一般的になっている。しかしながら、そのような多数の音源を提供しなければならないことの影響を減じるため、たいていのホームシアター・サウンド・システムは、中音域〔中程度の周波数〕および高音域〔高い周波数〕の再生用の比較的小さなサテライト・ラウドスピーカーを、低音域〔低い周波数〕再生用のサブウーファーと組み合わせて使っている。そのような構成は、人間の知覚が主として空間的な方向の手がかりを、中音域ないし高音域から得ており、低温域からの空間的手がかりはしばしば比較的重要でないという事実を活用したものである。
【0003】
サブウーファーの周波数範囲とサテライト・スピーカーの周波数範囲の間の区別を示す周波数は、典型的にはクロスオーバー周波数と称される。サテライト・ドライバーのサイズおよび品質は、音質、デザイン、コストの兼ね合いの結果である。特に、サテライト・ラウドスピーカーのサイズを小さくしたいという所望の結果、クロスオーバー周波数はしばしば比較的高く選択され、実際上、しばしばたとえば100〜250Hzの範囲にあることがある(最も典型的には150〜200Hz程度)。
【0004】
しかしながら、これらの周波数では、放射される音はいくつかの方向手がかりをもつと知覚されることになり、そのため高いクロスオーバー周波数は知覚される品質を低下させることがあり、特に劣化した空間的知覚につながることがある。実際、典型的には、サウンド・ステージはぼやける傾向があり、減衰した声は、所望される空間位置ではなく、サブウーファーから部分的に発しているように知覚されることがある。
【0005】
よって、改善されたシステムが有利であろう。特に、柔軟性を高める、空間的知覚を改善する、品質を改善する、スピーカー・サイズを小さくする、実装を容易にする、および/またはパフォーマンスを改善することを許容するシステムが有利であろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明は、上述した欠点の一つまたは複数を単独でまたは任意の組み合わせにおいて好ましくは緩和、軽減または解消しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある側面によれば、オーディオ・ドライバーのための駆動信号を生成する駆動システムが提供される。該駆動システムは:入力信号から第一の信号および第二の信号を生成するスプリッターであって、前記第一の信号は前記入力信号の第一の周波数区間の信号成分を含み、前記第二の信号は前記入力信号の第二の周波数区間の信号成分を含み、前記第一および第二の周波数区間はクロスオーバー周波数をもち、前記第一の周波数区間は前記第二の周波数区間より低い周波数に対応する、スプリッターと;前記スプリッターに結合され、前記第一の信号から第一のオーディオ・ドライバーのための第一の駆動信号を生成するよう構成された第一の駆動回路と;前記スプリッターに結合され、前記第二の信号から第二のオーディオ・ドライバーのための第二の駆動信号を生成するよう構成された第二の駆動回路と;前記第二のオーディオ・ドライバーについてのドライバー変位(excursion)指標を決定する手段と;前記第二の信号に対して低周波数ブーストを適用することによって前記第二のオーディオ・ドライバーのためのバス周波数拡張を提供する手段と;前記ドライバー変位指標に応答して前記クロスオーバー周波数と前記低周波数ブーストの特性との組み合わされた調整を実行するための調整手段とを有する。
【0008】
本発明は、多くの実施形態において改善されたパフォーマンスを与えうる。特に、本発明は、一つまたは複数のより小さなスピーカーを使うシステムについて改善されたパフォーマンスを与えうる。特に、前記第二のオーディオ・ドライバーは比較的小さなサイズであってもよい。本発明は、前記第二のオーディオ・ドライバーがより効率的に動作されることを許容でき、特に、いくつかのシナリオにおいて前記第二のドライバーがより低い周波数のために使われることを許容できる。本発明者は、特に、低周波数拡張およびクロスオーバーの両方の動的な適応が改善されたパフォーマンスを許容し、よりよいトレードオフを提供しうることを認識するに至った。特に、バス周波数拡張および第一のおよび第二のオーディオ・ドライバーのための周波数区間の間の分離は、最悪ケースのシナリオのための大きさとされる必要がない。特に、本発明は、高ボリューム・シナリオの際に歪みのリスクまたは第二のオーディオ・ドライバーを傷つけるリスクを高めることなく、多くの低ボリューム・シナリオにおいて、より低い周波数で前記第二のドライバーの使用を許容しうる。典型的な使用について、本発明はたとえば、改善された空間的知覚およびよりよく画定されたサウンド・ステージを提供しうる。
【0009】
第二のオーディオ・ドライバーおよび/または第一のオーディオ・ドライバーはラウドスピーカーであってもよい。特に、第一のオーディオ・ドライバーはサブウーファーであってもよく、第二のオーディオ・ドライバーはたとえばホームシアター・サウンド・システムなどのサラウンド・サウンド・システムのサテライト・スピーカーであってもよい。
【0010】
ドライバー変位指標は、ドライバー変位の直接的または間接的な指示であってもよい。たとえば、サウンド・レベルまたはボリューム指標がドライブ変位指標として使用されてもよい。
【0011】
クロスオーバー周波数および/または低周波数ブーストは特に、第二の駆動信号のための周波数応答を調整することによって制御されうる。周波数応答は、入力信号から第二の駆動信号への信号経路について経験される有効伝達関数を表していてもよい。クロスオーバー周波数および/または低周波数ブーストはたとえば、スプリッターおよび/または第二の駆動回路などの周波数応答を調整することによって修正されてもよい。
【0012】
本発明のある任意的な特徴によれば、低周波数ブーストは、前記第二の周波数区間のある第一の周波数帯域内の前記第二の信号の周波数について、前記第一の周波数帯域より上の第二の周波数帯域の周波数に比して、増加した利得を提供する。
【0013】
これは、第二のオーディオ・ドライバーについて効率的なバス周波数拡張を提供でき、特に、第二のオーディオ・ドライバーのための使用可能な周波数範囲をより低い周波数に拡張することを許容しうる。
【0014】
本発明のある任意的な特徴によれば、前記増加した利得は、前記第二の周波数区間内でありかつ前記第一の周波数帯域より上の前記第二の信号の周波数についての平均利得より、少なくとも3dB高い。
【0015】
これは、第二のオーディオ・ドライバーについて効率的なバス周波数拡張を提供でき、特に、第二のオーディオ・ドライバーが、第二のオーディオ・ドライバーの感度または効率の実質的な低下が起こるほど低い周波数まで使用されることを許容しうる。
【0016】
本発明のある任意的な特徴によれば、前記調整手段は、ある周波数範囲内で前記クロスオーバー周波数を調整し、前記クロスオーバー周波数の現在値より上だが前記周波数範囲内である少なくともいくつかの周波数について増大した利得を提供するよう構成される。
【0017】
これは多くのシナリオにおいて特に有利なパフォーマンスを提供しうる。特に、いくつかのドライバー変位指標について、より高いクロスオーバー周波数を提供するために、バス周波数拡張が、他の時点では減衰されるような周波数でアクティブであってもよい。
【0018】
本発明のある任意的な特徴によれば、前記調整手段は、前記ドライバー変位指標に応答して、前記低周波数ブーストの周波数特性を修正するよう構成される。
【0019】
これは、多くの実施形態において特に有利なパフォーマンスを提供しうる。たとえば、前記低周波数バス・ブーストが適用される周波数が動的に変えられてもよい。いくつかの実施形態では、前記低周波数ブーストが適用される周波数帯域についての下限周波数が、前記ドライバー変位指標に依存して調整されてもよい。
【0020】
本発明のある任意的な特徴によれば、前記調整手段は、低下したドライバー変位については、前記クロスオーバー周波数および前記低周波数ブーストのための下限周波数を、より低い周波数に向けて偏らせるよう構成される。
【0021】
これは、特に有利なパフォーマンスを提供しうる。特に、本発明は、バス周波数拡張が、より低いサウンド・レベルについては、より低い周波数に拡張されることを許容でき、それにより第二のオーディオ・ドライバーがサウンド・イメージのより大きな部分を再生することを許容しうる。その結果、たとえば改善された空間的知覚およびよりよく画定されたサウンド・ステージが得られる。しかしながら、より高いサウンド・レベルでは、バス周波数拡張は縮小されてもよく、それにより、過剰なドライバー変位によって引き起こされる歪みや損傷のリスクを軽減しうる。
【0022】
本発明のある任意的な特徴によれば、前記調整手段は、前記ドライバー変位指標に応答して、前記低周波数バス・ブーストの利得特性を修正するよう構成される。
【0023】
これは、多くの実施形態において特に有利なパフォーマンスを提供しうる。たとえば、所与の周波数において適用される利得は、過剰な変位につながらないことを保証しつつ、第二のオーディオ・ドライバーの効率における低下に対する好適な報償を提供するよう調整されてもよい。
【0024】
本発明のある任意的な特徴によれば、前記調整手段は、第二の駆動信号についての周波数応答を変えるよう構成される。その変更は、少なくとも第一の周波数帯域における利得が、前記クロスオーバー周波数の少なくとも一つの値については、前記第一の周波数帯域より上でありかつ前記第二の周波数区間内である前記周波数応答の平均利得より高く、前記クロスオーバー周波数の少なくともある第二の値については、前記平均利得より低いようになされる。
【0025】
これは、多くの実施形態において特に有利なパフォーマンスを提供しうる。たとえば、前記第一の周波数帯域について、利得は、該周波数帯域がクロスオーバー周波数より上か下かに依存して、前記平均利得より上、あるいは前記平均利得より下となるよう調整されてもよい。このように、いくつかの周波数については、第二の駆動信号についての周波数応答は、現在のドライバー変位指標に依存して増幅または減衰を提供しうる。
【0026】
いくつかの実施形態では、前記調整手段は、前記クロスオーバー周波数を、第一の値をもつドライバー変位指標については第一の周波数に、第二の値をもつドライバー変位指標については第二の周波数に設定するよう構成される。ここで、第一の周波数は第二の周波数より低く、第一の値は第二の値よりも低いドライバー変位を示す。そのような実施形態では、前記調整手段は、前記第一の周波数と前記第二の周波数の間の周波数についての前記第二の信号についての利得を、前記第一の値については前記第二の周波数における第二の駆動信号についての利得より高く、前記第二の値については前記第二の周波数における第二の駆動信号についての前記利得より低く、設定するようさらに構成されていてもよい。
【0027】
本発明のある任意的な特徴によれば、前記ブースト手段は、第二のオーディオ・ドライバーの感度低下を補償するよう前記低周波数ブーストを提供するよう構成される。
【0028】
これは、第二のオーディオ・ドライバーがより低い周波数で使用されることを許容でき、特に、第二のオーディオ・ドライバーが、第二のオーディオ・ドライバーの周波数応答が実質的な減衰を与える周波数で使用されることを許容しうる。こうして、第二のオーディオ・ドライバーの特性(および特に周波数応答)によって引き起こされる周波数応答歪みが補償されることができ、それにより第二のオーディオ・ドライバーがより大きな周波数範囲にわたって使用できるようになる。これは、ユーザーにとっての改善された空間的知覚およびオーディオ品質につながりうる。特に、ホームシアター・サウンド・システムのサテライト・スピーカーが、音生成のより大きな部分を提供し、それにより知覚されるオーディオ品質を改善することを許容しうる。
【0029】
本発明のある任意的な特徴によれば、前記駆動システムはさらに、前記駆動システムについてのボリューム設定に応答して前記ドライバー変位指標を決定する手段を有する。
【0030】
これは、多くの実施形態において特に有利なパフォーマンスを提供でき、特に、複雑さが低く、低コストの実装を許容しうる。
【0031】
本発明のある任意的な特徴によれば、前記駆動システムはさらに、前記第二の駆動回路によって与えられる前記第二の信号についての前記信号経路のある点における前記第二の信号の信号レベルを測定する手段と;前記信号レベルに応答して前記ドライバー変位指標を決定する手段とを有する。
【0032】
これは、多くの実施形態において特に有利なパフォーマンスを提供でき、特にシステムの動作の動的、柔軟および/または精密な適応を許容しうる。
【0033】
本発明のある任意的な特徴によれば、前記駆動システムはさらに:前記第二のオーディオ・ドライバーの近くのドライバー変位測定デバイスから測定信号を受信する手段と;前記測定信号に応答して前記ドライバー変位指標を決定する手段とを有する。
【0034】
これは、多くの実施形態において特に有利なパフォーマンスを提供でき、特に、システムの動作の動的、柔軟および/または精密な適応を許容しうる。このアプローチは、ドライバー変位のより直接的であり、よって正確な決定を許容でき、よって動作の改善された適応を提供しうる。
【0035】
前記測定手段は特に、加速度計またはマイクロホンを含んでいてもよく、これらは特に第二のオーディオ・ドライバー上または第二のオーディオ・ドライバー近くに取り付けられてもよい。
【0036】
本発明のある任意的な特徴によれば、前記駆動システムはさらに:あるさらなる入力信号から第三の信号および第四の信号を生成するためのさらなるスプリッターであって、前記第三の信号は前記さらなる入力信号の前記第一の周波数区間の信号成分を含み、前記第四の信号は前記さらなる入力信号の前記第二の周波数区間の信号成分を含む、さらなるスプリッターと;前記さらなるスプリッターに結合され、前記第四の信号から第三のオーディオ・ドライバーのための第三の駆動信号を生成するよう構成された第三の駆動回路とを有し、前記第一の駆動回路は、前記第一の信号および前記第三の信号の組み合わせから前記第一の駆動信号を生成するよう構成される。
【0037】
これは、マルチチャンネル・サラウンド・システムなどのための多くの実施形態において特に有利なパフォーマンスを提供しうる。
【0038】
本発明のある側面によれば、上述したようなドライバー・システムと;サブウーファーである前記第一のオーディオ・ドライバーと;前記第二のオーディオ・ドライバーを含む複数のスピーカーとを有するサラウンド・サウンド・スピーカー・システムが提供される。
【0039】
本発明のある側面によれば、駆動システムの動作方法が提供される。該方法は:入力信号から第一の信号および第二の信号を生成する段階であって、前記第一の信号は前記入力信号の第一の周波数区間の信号成分を含み、前記第二の信号は前記入力信号の第二の周波数区間の信号成分を含み、前記第一および第二の周波数区間はクロスオーバー周波数をもち、前記第一の周波数区間は前記第二の周波数区間より低い周波数に対応する、段階と;前記第一の信号から第一のオーディオ・ドライバーのための第一の駆動信号を生成する段階と;前記第二の信号から第二のオーディオ・ドライバーのための第二の駆動信号を生成する段階と;前記第二のオーディオ・ドライバーについてのドライバー変位指標を判別する段階と;前記第二の信号に対して低周波数ブーストを適用することによって前記第二のオーディオ・ドライバーのためのバス周波数拡張を提供する段階と;前記ドライバー変位指標に応答して前記クロスオーバー周波数と前記低周波数ブーストの特性との組み合わされた調整を実行する段階とを含む。
【0040】
本発明のこれらおよびその他の側面、特徴および利点は、以下に記載される実施形態から明白となり、これを参照することで明快にされるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0041】
本発明の実施形態について、単に例として、図面を参照して説明する。
【図1】本発明のいくつかの実施形態に基づくオーディオ・システムの例を示す図である。
【図2】本発明のいくつかの実施形態に基づくオーディオ・システムの要素についての周波数応答の例を示す図である。
【図3】本発明のいくつかの実施形態に基づくオーディオ・システムの要素についての周波数応答の例を示す図である。
【図4】本発明のいくつかの実施形態に基づくオーディオ・システムの要素についての周波数応答の例を示す図である。
【図5】本発明のいくつかの実施形態に基づくオーディオ・システムの要素についての周波数応答の例を示す図である。
【図6】本発明のいくつかの実施形態に基づくオーディオ・システムの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下の記述は複数チャンネル・サラウンド・サウンド・オーディオ・システムに適用可能な本発明の実施形態に焦点を当てているが、本発明がこの用途に限定されるものではなく、他の多くのサウンド・システムに適用されうることは理解されるであろう。
【0043】
図1は、本発明のいくつかの実施形態に基づくオーディオ・システムの例を示している。本オーディオ・システムは、複数のオーディオ・ドライバー(ラウドスピーカーなど)を駆動する駆動システムを有する。駆動システムは、具体的には、マルチチャンネル・オーディオ増幅器であってもよい。
【0044】
この例では、オーディオ・システムは、各空間的チャンネルについての離散的なサテライト・ラウドスピーカーおよびそれらの空間的チャンネルについて共通のサブウーファーを通じてサラウンド・サウンドを提供するホームシアター・システムである。
【0045】
このように、図1は、それぞれ一つの空間的チャンネルについて音を放射する複数のオーディオ・ドライバー101、103を示している。オーディオ・ドライバー101、103は特に、比較的小型であり、よって比較的限られた周波数範囲をもつサテライト・ラウドスピーカーである。特に、サテライト・スピーカー101、103の効率または感度は低周波数では低下する。典型的には、実際上のサテライト・スピーカーは、100Hz〜300Hzの間の3dBカットオフ周波数をもつことがある。効率は、駆動信号の所与の一定信号レベルについて生成される音圧レベルとして決定されてもよく、効率は(たとえば所与の距離において)所与の音圧レベルを与えるために駆動信号に要求される信号レベルとして決定されてもよい。
【0046】
さらに、図1は、低周波数音再生のための第二のオーディオ・ドライバー105を示している。第二のオーディオ・ドライバー105は、低周波数の再生のために最適化されているサブウーファーであり、特にサブウーファー105は典型的には100Hz〜200Hzまでのバス周波数の効率的な生成を提供する。本システムでは、サブウーファー105は、すべての空間的チャンネルからの音を生成するために使われ、よってバス周波数を生成するためにたった一つのスピーカーが使われる。
【0047】
簡潔のため、図1は二つの空間的チャンネルしか示しておらず、よって二つのサテライト・スピーカー101、103しか示していないが、典型的にはより多数の空間的チャンネル、よってサテライト・スピーカーが用いられてもよいことは理解されるであろう。実際、多くのホームシアター・サラウンド・システムは、五つまたは七つの空間的チャンネルをサポートする。空間的チャンネルに加えて、専用の低周波数効果(LFE: Low Frequency Effect)チャンネルが設けられてもよいことも理解されるであろう。そのようなLFEチャンネルは、サブウーファー105によって再生されてもよい。このように、サブウーファーは、LFEチャンネルおよび空間的チャンネルの低周波数の両方に対応する音を生成しうる。
【0048】
本システムでは、空間的チャンネル信号は、より低い周波数がサブウーファー105に入力され、より高い周波数がそれぞれのサテライト・スピーカー101、103に入力されるよう分割される。さらに、サテライト・スピーカー101、103のための信号は、該信号に対して低周波数ブースト/増幅を提供することによってサテライト・スピーカー101、103に対して周波数拡張を提供する等化器によって処理される。こうして、より低い周波数に向けて、サテライト・スピーカーの利得が増大させられる。これらの周波数における小型のサテライト・スピーカー101、103の低下した感度/効率を補償するためである。このように、等化器は、サテライト・スピーカー101、103の周波数範囲を低周波数のほうに拡張することになる。
【0049】
さらに、本システムでは、サテライト・スピーカー101、103が経験する変位の指標に応答して、クロスオーバー周波数およびバス周波数拡張の量がともに動的に制御される。
【0050】
特に、より低いサウンド・レベルでは、より低い周波数でのサテライト・スピーカー101、103の効率が低下するにもかかわらず該より低い周波数でサテライト・スピーカー101、103を動作させるために、非常に実質的なバス周波数拡張が適用されてもよい。さらに、クロスオーバー周波数は低下させられ、その結果、空間的信号のより大きな割合が、サブウーファー105ではなくサテライト・スピーカー101、103によって生成されることになる。さらに、これは、何らかの空間的手がかりを与えるのに十分な高さの周波数(たとえば100Hz〜300Hz)であるにもかかわらずサブウーファー105によって再生されてしまう空間的チャンネルからの信号成分の量および可知性(noticeability)を低下させる。このように、改善されたオーディオ品質および特に空間的知覚がユーザーに提供される。特に、よりよく画定されたサウンド・ステージが達成される。
【0051】
しかしながら、そのようなバス周波数拡張は、所与の所望されるサウンド・レベルについて、サテライト・スピーカー101、103の振動板の増加した変位につながる。しかしながら、より高いサウンド・レベルでは、そのような追加的な変位はサテライト・スピーカー101、103によってサポートされることができず、よって、歪みまたさらにはサテライト・スピーカーに対する損傷さえ生じることがある。図1のシステムでは、クロスオーバー周波数およびバス周波数拡張の両方が、変位指標に依存して修正され、特に、クロスオーバー周波数は高められ、バス周波数拡張の量は減らされ、それにより相対的な追加的変位を制限し、歪みおよび損傷が起こらないことを保証する。
【0052】
このように、システムはパフォーマンスを現在の条件に対して動的に適応させ、それにより、サテライト・スピーカーが安全な動作範囲内で動作させられることを保証しつつ、経験されている特定の条件にとって最適化されたオーディオ品質を提供する。
【0053】
より詳しくは、第一の空間的チャンネルの信号である第一の信号が第一のスプリッター107に入力される。第一のスプリッター107は第一の信号を第一のサブウーファー信号および第一のサテライト信号に分割するよう構成される。今の特定の例では、第一のスプリッター107は、前記第一の信号の、第一の周波数区間(または範囲)内の周波数成分を含むよう前記第一のサブウーファー信号を生成し、前記第一の信号の、第二の諸周波数区間内の信号成分を含むよう前記第一のサテライト信号を生成する。これらの周波数区間は、前記第一のサテライト信号が前記第一のサブウーファー信号より高い周波数帯域に対応するというようなものである。こうして、前記第二の周波数区間は、前記第二の周波数区間より低い周波数に対応する。
【0054】
これらの周波数区間のいかなる好適な基準または定義を使用してもよいことは理解されるであろう。たとえば、ある区間の上および下の周波数限界は、入力信号の利得が、当該信号についての(可能性としてはそれぞれ前記第一または第二の周波数区間内での)最大または平均利得に対して所定の値(たとえば3dBまたは6dB)だけ低下した周波数として定義されてもよい。
【0055】
第一のスプリッター107は具体的には二つのフィルターによって実装されてもよい。たとえば、第一のサブウーファー信号を生成するために第一の信号に低域通過フィルターが適用されてもよく、第一のサテライト信号を生成するために第一の信号に高域通過フィルターが適用されてもよい。もう一つの例として、スプリッター107は、第一の信号に二つの帯域通過フィルターを適用してもよい。ここで、第一のサテライト信号を生成するフィルターは第一のサブウーファー信号を生成するフィルターより高い周波数範囲をカバーする。
【0056】
図2は、フィルターによって適用されうるフィルタリングの例を示している。この例では、第一の周波数応答201が第一のサブウーファー信号を生成するために使用され、第二の周波数応答203が第一のサテライト信号を生成するために使用される。
【0057】
第一および第二の周波数区間はさらに、クロスオーバー周波数をもつ。クロスオーバー周波数は今の特定の例では、前記二つの周波数区間が同じ利得をもつ周波数である。いくつかの実施形態では、クロスオーバー周波数は、入力信号の分割から駆動システムの出力への信号経路の利得が同じになる周波数として定義されてもよい。
【0058】
いくつかの実施形態では、クロスオーバー周波数は、サテライト・スピーカー101、103とサブウーファーについての音圧レベル曲線が交わる周波数として定義されてもよい。このように、クロスオーバー周波数は、サテライト・スピーカー103とサブウーファー105によって生成される音圧レベルが同一になる周波数であってもよい。いくつかの実施形態では、クロスオーバー周波数は、クロスオーバー周波数範囲によって表現されてもよい。たとえば、クロスオーバー周波数範囲は、サテライト・スピーカー101とサブウーファー103の音圧レベルが、互いから所定の閾値範囲内である、たとえば互いから1dB以内である範囲と考えられてもよい。このように、クロスオーバー周波数範囲は、音圧レベル曲線が互いに実質的に交わる範囲であってもよい。そのような状況はたとえば、サブウーファー105のカットオフ周波数が一定のままであり、サテライト101、103のカットオフ周波数だけが変化するシナリオにおいて起こりうる。たとえば、そのようなシナリオでは、サブウーファー105の出力は、ある周波数範囲内で、一定であり、サテライト出力に対応していてもよい。あるクロスオーバー周波数範囲について、ある単一のクロスオーバー周波数がさらに、そのクロスオーバー周波数区間内の何らかの特定の周波数、たとえば当該クロスオーバー周波数範囲の最低周波数と考えられてもよい。
【0059】
図2の例では、クロスオーバー周波数205は、信号が第一のサテライト信号および第一のサブウーファー信号において等しく表現される周波数である。
【0060】
同様に、第二の空間的チャンネルの信号である第二の信号が第二のスプリッター109に入力される。第二のスプリッター109は第二の信号を第二のサブウーファー信号および第二のサテライト信号に分割するよう構成される。今の特定の例では、第二のスプリッター109は、第一のスプリッター107と同一であり、同じフィルタリングを使う。しかしながら、実施形態によっては、両スプリッターは異なる空間的チャンネルについて異なっていてもよいことは理解されるであろう。
【0061】
第一および第二のスプリッター107、109は、組み合わせ器111に結合される。組み合わせ器111は第一のサブウーファー信号と第二のサブウーファー信号を組み合わせて単一の組み合わされたサブウーファー信号にする。組み合わせ器111は具体的には、単純な加算器として実装されてもよい。ただし、他の実施形態では、より複雑な組み合わせが使われてもよい。
【0062】
組み合わせ器111は、サブウーファー駆動ユニット115に結合され、該サブウーファー駆動ユニット115はさらにサブウーファー105に結合される。サブウーファー駆動ユニット115は組み合わされたサブウーファー信号を増幅してサブウーファー出力信号を生成し、この信号がサブウーファー105に入力される。
【0063】
今の特定の例では、サブウーファー信号のそれぞれ第一および第二の入力信号からの信号経路についての周波数応答は主として第一および第二のスプリッター107、109のフィルタリングによって決定される。こうして、組み合わせ器111およびサブウーファー駆動ユニット115の周波数応答は、サブウーファー周波数区間内で平坦(一定利得)と考えることができる。
【0064】
このように、サブウーファー105は、両空間的チャンネルからより低い(バス)周波数を含む信号を受け取る。異なる空間的チャンネルからの信号が組み合わされる。人間の知覚が空間的手がかりに対して敏感でない非常に低い周波数については、そのような組み合わされた、定位されない音生成は品質を下げるものとしては知覚されない。しかしながら、空間的知覚がアクティブになりはじめる、少し上の周波数(典型的には約100Hzないし300Hzの周波数)については、これは低下した空間的知覚に、特に、より散漫でぼやけたサウンド・ステージにつながることがある。したがって、主としてサブウーファーによってサポートされる周波数範囲はできるだけ低周波数に保つことが望ましい。
【0065】
第一のサテライト・スピーカー101の使用をより低い周波数まで伸ばすために、第一のスプリッター107は第一のバス・ブースト・ユニット117に結合される。第一のバス・ブースト・ユニット117は、前記第二の信号に対して低周波数ブーストを適用することによって、前記第二のオーディオ・ドライバーについてのバス周波数拡張を提供するよう構成される。こうして、サテライト・スピーカー周波数区間203のより低い周波数について、第一のバス・ブースト・ユニット117は、これらの周波数における低下した感度および効率を補償するために利得を上げてもよい。
【0066】
具体例として、図3はサテライト・スピーカー301についての周波数感度応答301を、第一のスプリッター107からの周波数応答とともに示している。周波数応答は、生成されるサウンド・レベルと、サテライト・スピーカーに供給される対応する駆動信号のパワーとの間の関係として測られるサテライト・スピーカーの感度または効率を示す。図のように、サテライト・スピーカーの小さなサイズの結果、所与の駆動信号についての音圧レベルは、サテライト・スピーカーによってカバーされる周波数区間のより低い周波数においては低下する。今の例では、感度は、周波数fsから低下しはじめる。周波数fsは多くの実際上のシステムでは150Hz〜300Hzの区間でありうる。
【0067】
本システムでは、サテライト・スピーカー101についての使用可能な周波数範囲は、より高い周波数に対してより低い周波数において増大した利得を与える第一のバス・ブースト・ユニット117によってより低い周波数のほうに延長される。この低周波数ブーストはたとえば、図4に示されるような、第一のスプリッター107および第一のバス・ブースト・ユニット117の組み合わされた周波数応答401につながりうる。こうして、より低い周波数のほうにブーストまたは利得があり、それによりスピーカーの低下した感度を補償する有効周波数範囲が与えられる。
【0068】
第一のバス・ブースト・ユニット117はさらに、第一のサテライト駆動ユニット119に結合され、該第一のサテライト駆動ユニット119は第一のサテライト・スピーカー101に結合される。第一のサテライト駆動ユニット119は、バス周波数拡張されたサテライト信号を受領し、サテライト・スピーカー101のための対応する出力駆動信号を生成する。第一のサテライト駆動ユニット119は特に、好適なオーディオ電力増幅器を有していてもよい。
【0069】
第二のスプリッター109は同様に第二のバス・ブースト・ユニット123に結合され、該第二のバス・ブースト・ユニット123はさらに、第二のサテライト・スピーカー103のための出力駆動信号を生成する第二のサテライト駆動ユニット123に結合される。第二のバス・ブースト・ユニット123および第二のサテライト駆動ユニット123は特に、第一のバス・ブースト・ユニット117および第一のサテライト駆動ユニット119と同一であり、第二のスプリッター109によって生成されるサテライト信号について同じ処理を提供する。
【0070】
こうして、本システムでは、各空間的チャンネルは、サテライト・スピーカー101、103からの音生成のためのサテライト信号と、サブウーファー105からの音予測のためのサブウーファー信号とに分割される。サブウーファー信号は単一のサブウーファー信号に組み合わされ、一方、サテライト信号はそれぞれ個別の駆動回路を通じて処理される。それらの駆動回路は、電力増幅器、可変利得などを含むのみならずサテライト・スピーカー101、103のためのバス周波数拡張を提供する機能をも含む。
【0071】
このバス周波数拡張により、所与のサイズのサテライト・スピーカーが、より低い周波数で使用されることができるようになり、それにより本システムはサブウーファーへの依存度を少なくできる。しかしながら、そのようなバス拡張に関する一つの問題は、より低い周波数で信号レベルを増大させることが、必要とされる音圧レベルを生成するために振動板のより大きな変位につながり、該変位を必要とするということである。このより大きな相対的な変位は、より低い名目変位(より低いサウンド・レベルに対応)では受け容れ可能なこともあるが、より高い名目変位(より高いサウンド・レベルに対応)では歪みまたさらには損傷にさえつながりうる。必要とされる追加的な変位がサテライト・スピーカーの物理的な制約内では達成できないからである。
【0072】
図1のシステムでは、クロスオーバー周波数およびバス周波数拡張の特性の両方の動的かつ可変な調整が、その特定の条件についてパフォーマンスが最適化されることを保証するために適用される。具体的には、クロスオーバー周波数およびバス周波数拡張は、サテライト・スピーカー101、103の振動板変位が安全な動作範囲内に保たれることを保証しつつ、サテライト・スピーカー101、103によってサポートされる周波数スペクトルの割合が高められるように制御される。
【0073】
この目的のため、図1のシステムは、第一のサテライト・スピーカー101についてのドライバー変位指標を生成するよう構成された変位プロセッサ125を有する。ドライバー変位指標は、直接的または間接的な指標であってよく、測定されたパラメータに基づいていてもよく、あるいはたとえば駆動システムの設定から計算/推定されてもよい。ドライバー変位指標は具体的にはサウンド・レベル指標であってもよい。より高いサウンド・レベルはより高い変位につながるからである。
【0074】
変位プロセッサ125はコントローラ127に結合されている。コントローラ127はドライバー変位指標を受け取り、該ドライバー変位指標に応答して、クロスオーバー周波数および低周波数ブーストの特性の組み合わされた調整を実行する。よって、コントローラ127は第一のスプリッター107および第一のバス・ブースト・ユニット117に結合される。
【0075】
簡明のため、動的調整は、第一の空間的チャンネル/サテライト・スピーカー101のみを参照して記述するが、多くの実施形態において同様の機能が前記空間的チャンネルの複数に適用されてもよく、典型的にはすべての空間的チャンネルに適用されてもよいことは理解されるであろう。たとえば、コントローラ127は第二のスプリッター109および第二のバス・ブースト・ユニット121を、第一のサテライト・スピーカー101および第一のバス・ブースト・ユニット117を制御するのとちょうど同じ仕方で制御してもよい。
【0076】
コントローラ127は特に、低下したドライバー変位については、クロスオーバー周波数および低周波数バス・ブーストのための下限周波数を、より低い周波数のほうにバイアスをかけるよう構成される。具体的には、より低いドライバー変位では、コントローラ127は第一のバス・ブースト・ユニット117を制御して、バス・ブーストが与えられる周波数範囲をより低い周波数のほうに拡張させる。同時に、コントローラ127は第一のスプリッター107を制御して、クロスオーバー周波数をより低い周波数のほうに低下させる。しかしながら、ドライバー変位指標がより高いドライバー変位を示す場合には、コントローラ127は第一のバス・ブースト・ユニット117を制御して、追加的な利得が与えられる周波数範囲の下限周波数を上げさせ、同時に第一のスプリッター117を制御してクロスオーバー周波数を上げさせる。
【0077】
図5は、ドライバー変位指標の異なる値についての、空間的入力チャンネルについての、それぞれ第一の駆動ユニット119および第二の駆動ユニット115の出力への信号経路の有効周波数応答の例を示している。
【0078】
具体的には、図5は、平均サウンド・レベルより高い第一の空間的信号についての、サブウーファー周波数応答501およびサテライト周波数応答503を示している。この例では、二つの周波数応答は、たとえば約200Hzであってもよいクロスオーバー周波数fc1を定義する。よって、200Hzより下の周波数は主としてサブウーファー105に入力され、200Hzより上の周波数は主として第一のサテライト・スピーカー101に入力される。さらに、第一のバス・ブースト・ユニット117は、第一のサテライト・スピーカー101によってサポートされる周波数区間のより低い周波数についてバス・ブーストを提供する。特に、fb1とfsの間の周波数についての利得は、fsより上の周波数についての平均利得より高い。この低周波数ブーストは、第一のサテライト・スピーカー101の低下した効率を補償する。
【0079】
図5はさらに、平均より低いサウンド・レベルにおける第一の空間的信号についてのサブウーファー周波数応答505およびサテライト周波数応答507を示している。このより低いサウンド・レベルでは、ドライバー変位指標はより小さな振動板変位を示す。これは、システムが、第一のサテライト・スピーカー101によって扱われる周波数範囲を増大させ、サブウーファー105によって扱われる周波数範囲を減少させることを許容する。こうして、コントローラ117は、第一のスプリッター107を制御して、クロスオーバー周波数をfc1からfc2に低下させる。同時に、コントローラ117は第一のバス・ブースト・ユニット117を制御して、提供されるバス・ブーストのレベルを増大させる。この増大は、次の両方、つまりバス・ブーストが適用される周波数範囲の下限周波数をfb1からfb2に低下させることによって達成される。さらに、バス・ブーストの利得はいくつかの周波数(特にfb1とfb2の間の周波数)については、これらの周波数での第一のサテライト・スピーカー101の低下した感度を反映するよう、増大させられる。こうして、低下した変位の検出に応答して、コントローラ117はクロスオーバーおよびバス周波数拡張を、より多くの低周波数が第一のサテライト・スピーカー101によって扱われるように変更する。たとえば、クロスオーバー周波数は100Hzまで低下されてもよい。
【0080】
駆動システムの動作はこのように自動的かつ動的に、入力信号がサブウーファー105とサテライト・スピーカー101、103との間でどのように配分されるかを調整する。具体的には、低いサウンド・レベルでは、サテライト・スピーカー101、105によってサポートされる周波数範囲が増大し、それにより改善された空間的知覚を与える。しかしながら、より高いサウンド・レベルでは、サブウーファー105がサポートする周波数範囲の割合が増大し、サテライト・スピーカー101、103についての過剰な変位によって引き起こされる歪みや損傷を防止する。
【0081】
このように、本システムによって特に、ホームシアター・サウンド・システム(スピーカー101〜105および駆動システム両方の特性を含む)が、高いサウンド・レベルにおいて課される制約によってより低いサウンド・レベルでの動作を損なうことなく、高いサウンド・レベルをサポートできるよう設計されることができる。
【0082】
今の例では、低周波数ブーストは、より低い周波数についての単純な線形に増大する利得として図示された。だが、いかなる好適な低周波数ブーストが達成されてもよく、異なる実施形態については異なる特性が好適となりうることは理解されうるであろう。特に、低周波数ブーストは、サテライト・スピーカーについての感度周波数応答に合うよう設計されてもよく、所与の周波数区間内でこれと相補的であることを追求してもよい。こうして、低周波数ブーストは、サテライト・スピーカーの周波数応答における変動を補償するよう構成されてもよい。
【0083】
低周波数ブーストは、ある第一の周波数帯域内の第二の信号の周波数について、該第一の周波数帯域より上の周波数に対して、増大した利得を提供する。このように、第一のサテライト・スピーカー101についての第一の空間的信号の信号経路の全体的な周波数応答において、サテライト・スピーカーによってカバーされ、かつ前記周波数範囲より上である周波数区間の利得に対して、増大した利得をもつ周波数範囲が存在する。
【0084】
具体例として、サテライト信号経路について通過帯域が決定されてもよい。この通過帯域は、たとえば、利得が平均利得またはたとえば最大利得よりXdB高い帯域として定義されてもよい(ここで、Xはたとえば3dBまたは6dBであってもよい)。たとえば、通過帯域は、3もしくは6dBカットオフ周波数の間の周波数として決定されてもよい。
【0085】
この通過帯域内で、低周波数ブーストが提供される。こうして、当該通過帯域内に、周波数範囲であって、該周波数範囲より高い周波数の利得に対して、増大させられた利得をもつ周波数範囲が存在する。利得の増大は特に、前記周波数範囲より上の(たとえばfsより上の)周波数における通過帯域の平均利得に対してであってもよい。
【0086】
具体的には、ある周波数範囲であって、該周波数範囲についての全周波数についての利得が、該周波数範囲より上の周波数についての平均利得より少なくとも3dB高い周波数範囲が存在しうる。(図5の例では、そのような周波数範囲はfb1ないしfs(またはfb2ないしfs)より小さいであろう。)
低周波数ブーストは一般に、クロスオーバー周波数に近いが、クロスオーバー周波数に直接隣接するのでない周波数区間において適用されることは理解されるであろう(必要とされる降下を与えるために好適な周波数範囲を提供するため)。しかしながら、典型的には、増大した利得は、カットオフ周波数から50Hz未満(あるいは多くの場合25Hz未満)で適用される。
【0087】
多くの場合、クロスオーバー周波数は所与の範囲内で調整可能である。すなわち、ドライバー変位指標の関数として、クロスオーバー周波数は可能な最低周波数から可能な最高周波数まで調整されうる。たとえば、図5の例では、可能な最高のクロスオーバー周波数はfc1であってもよく、可能な最低周波数はfc2であってもよい。
【0088】
見て取れるように、第一のバス・ブースト・ユニット117はいくつかのクロスオーバー周波数について、低周波数ブーストを、クロスオーバー周波数が変更されうる周波数範囲内まで延長しうる。たとえば、小さなドライバー変位指標については、周波数応答507は、より大きなドライバー変位指標について使われるクロスオーバー周波数fc1において、実質的な利得増大(より高い周波数における利得に対して)を含む。
【0089】
具体的には、周波数応答は、クロスオーバー周波数の少なくとも一つの値についての名目利得より高く、クロスオーバー周波数の少なくとも一つの他の値についての名目利得より低い利得をもつ周波数帯域が存在するよう、変えられることができる。この周波数帯域は、特に、クロスオーバー周波数を変化させることのできる周波数範囲内に存在しうる。名目利得はたとえば、前記周波数帯域より上の周波数についての平均利得として決定されてもよい。
【0090】
このように、周波数応答は、ドライバー変位指標のいくつかの値における増幅の提供から、ドライバー変位指標の他の値における減衰(たとえば名目利得または平均利得に対して)の提供に変えられる諸周波数帯域を含む。たとえば図5の例では、fc1のまわりの周波数帯域は、周波数応答503については減衰を提供し、周波数応答507については増大した利得を提供する。
【0091】
ドライバー変位指標は、種々の実施形態において種々のパラメータまたは設定から導出できる。
【0092】
たとえば、変位プロセッサ125はいくつかの実施形態では、駆動システムについてのボリューム設定に応答してドライバー変位指標を決定してもよい。このように、駆動システムは単にクロスオーバー周波数およびバス周波数拡張を、ボリューム設定の関数として調整してもよい。こうして、より低いボリューム設定については、クロスオーバー周波数および低周波数ブーストの周波数および/または利得はある値に設定されてもよく、より高いボリューム設定については、クロスオーバー周波数および低周波数ブーストについての周波数は高められてもよく、利得は低下させられてもよい。
【0093】
このアプローチは、複雑さの低い、実装が簡単な駆動システムを提供しうる。特に、振動板変位の間接的な指標が、比較的正確な適応を提供するために使用されうる。
【0094】
いくつかの実施形態では、ドライバー変位指標が、サテライト信号についての信号経路の何らかの点における、サテライト信号の信号特性の測定に基づいていてもよい。たとえば、第一のバス・ブースト・ユニット117に続く信号レベルが好適な振幅またはパワー検出器によって測定されてもよい。測定された値が変位プロセッサ125に入力されてもよく、変位プロセッサ125は次いで、それに応答してドライバー変位指標の決定に進むことができる。具体的には、振幅測定値が、ドライバー変位指標として直接使用されてもよい。
【0095】
信号レベルが測定される点は、種々の実施形態において変わりうる。たとえば、実施形態によっては、信号レベルは最終的なオーディオ電力増幅器への入力において測定されてもよい。実施形態によっては、信号レベルは最終的なオーディ電力増幅器の出力において測定されてもよい。このように、ドライバー変位指標は、サテライト・スピーカーに入力される実際の駆動信号の振幅を反映するよう決定されうる。
【0096】
そのような測定に基づくドライバー変位指標は、多くの実施形態において改善されたパフォーマンスを提供しうる。特に、サテライト・スピーカーの振動板の実際の変位のより正確な指標を提供しうる。具体的には、電力増幅器の出力における測定値は、電力増幅器の効果を取り入れているので、きわめて正確な指標を提供しうる。
【0097】
図6は、一層正確なドライバー変位指標を提供する例を示している。この例では、測定装置はサテライト・スピーカーの近くにあり、ドライバー変位を示す信号を測定する。測定装置はいくつかの実施形態では、放射される音圧レベルを測定するよう振動板の近くに位置されたマイクロホンであってもよい。他の実施形態では、測定装置は、サテライト・スピーカーの振動板上に位置された加速度計であってもよい。そのような測定ベースのアプローチは、振動板の変位のきわめて正確な指標を提供でき、したがって、システム全体の改善されたパフォーマンスにつながりうる。
【0098】
図1が単にサテライト・スピーカーおよびサブウーファーについての信号経路の例を示していることも理解されるであろう。たとえば、種々の機能の順序は図1に示されるとおりである必要はないことは理解されるであろう。たとえば、バス周波数拡張は、信号の分割前に適用されてもよい。諸機能の種々のブロックへの具体的なグループ分けは単に例示的なものであって、他の選択肢も可能であることも理解されるであろう。たとえば、サテライト信号を生成するための入力信号のフィルタリングは単一のフィルターにおいて実装されてもよい。こうして、図4および図5のサテライト周波数応答401、503、507は単一のフィルターによって生成されてもよい。また、図1の単一のブロックによって表される機能が異なる複数のブロックにおいて(そして可能性としては信号経路の異なる部分においてまたは異なるシーケンスにおいて)実装されてもよいことも理解されるであろう。たとえば、第一のスプリッター107の機能は二つの別個のフィルターとして、サテライトまたはサブウーファー信号経路それぞれの任意のところで実装されてもよい。
【0099】
実際、図6は、第一の入力信号がまず、サテライト・スピーカーのための低周波数拡張を提供するとともにサテライト・スピーカー信号経路の第一の要素をなすバス・ブースト・ユニット601に入力される例を示している。バス・ブースト・ユニット601は、サブウーファーによって扱われる非常に低い周波数を除去する高域通過フィルター603に結合される。高域通過フィルター603はサテライト電力増幅器605に結合され、該サテライト電力増幅器605はサテライト信号を、サテライト・スピーカー607に与えるのに好適な信号レベルに増幅する。
【0100】
入力信号は並行して低域通過フィルター609に入力され、該低域通過フィルター609はより高い周波数をフィルターで除去して、サブウーファーによって扱われるべきである低周波数を残す。高域通過フィルター603および低域通過フィルター609はこのように、入力信号をある周波数区間をカバーするサテライト信号および別のより低い周波数区間をカバーするサブウーファー信号に分割する機能を提供する。二つのフィルター603、609はさらに、二つの経路の間のクロスオーバー周波数を与える。低域通過フィルター609はサブウーファー電力増幅器611に結合され、該サブウーファー電力増幅器611はサブウーファー信号を、サブウーファー613に与えられるのに好適な信号レベルに増幅する。
【0101】
さらに、本システムは、サテライト・スピーカー607の振動板上に位置される加速度計615を有する。加速度計615は、振動板の動きを測定し、結果として得られる測定信号をコントローラ617に入力する。コントローラ617は次いで、該加速度計信号に依存してバス周波数拡張の特性を設定することに進み、さらに、クロスオーバー周波数を修正するよう、高域通過フィルター603および低域通過フィルター609のフィルター特性を修正することに進む。
【0102】
たとえば、コントローラ617は、ある範囲の種々の加速度計信号についての好適な設定のルックアップ・テーブルを含んでいてもよい。適切な設定はたとえば、本システムのための較正プロセスによって決定されたものであってもよい。
【0103】
上記の記述は明確のため本発明の実施形態を種々の機能ユニットやプロセッサを参照して記述してきたことは理解されるであろう。しかしながら、本発明を損なうことなく、異なる機能ユニットまたはプロセッサの間の機能のいかなる好適な分配が使用されてもよいことは明白であろう。たとえば、別個のプロセッサまたはコントローラによって実行されるよう示される機能が同じプロセッサまたはコントローラによって実行されてもよい。よって、特定の機能ユニットへの言及は、厳密な論理的または物理的な構成または編成を示すと言うよりは、単に記載される機能を提供する好適な手段に言及したものと見るべきである。
【0104】
本発明は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアまたはこれらの任意の組み合わせを含むいかなる好適な形で実装されることもできる。本発明は任意的に、少なくとも部分的に、一つまたは複数のデータ・プロセッサおよび/またはデジタル信号プロセッサ上で走るコンピュータ・ソフトウェアとして実装されてもよい。本発明のある実施形態の要素およびコンポーネントは、物理的、機能的および論理的にいかなる好適な仕方で実装されてもよい。実際、機能は単一のユニットにおいて、複数のユニットにおいて、他の機能ユニットの一部として実装されてもよい。よって、本発明は、単一のユニットにおいて実装されてもよく、あるいは物理的および機能的に異なる複数のユニットおよびプロセッサの間で分散されていてもよい。
【0105】
本発明は、いくつかの実施形態との関連で記述してきたが、本稿に記載される特定の形に限定されることは意図されていない。むしろ、本発明の範囲は付属の請求項によってのみ限定される。さらに、ある特徴が特定の実施形態との関連で記載されるように見えたとしても、当業者は、記載される諸実施形態のさまざまな特徴が本発明に従って組み合わされてもよいことを認識するであろう。請求項において、有する/含むの語は他の要素やステップの存在を排除するものではない。
【0106】
さらに、個々に挙げられていても、複数の手段、要素または方法ステップが、たとえば単一のユニットまたはプロセッサによって実装されてもよい。さらに、個々の特徴が異なる請求項に含められていたとしても、それらの特徴は有利に組み合わされる可能性があることもあり、異なる請求項に含められていることが、特徴の組み合わせが実現可能でないおよび/または有利でないことを含意するものではない。また、特徴があるカテゴリーの請求項に含められていることはそのカテゴリーへの限定を含意するものではなく、むしろ、その特徴が他のカテゴリーにも適宜等しく適用可能であることを示すものである。さらに、請求項における特徴の順序は、それらの特徴がはたらかされねばならない特定の順序を含意するものではない。特に、方法請求項における個々のステップの順序は、それらのステップがその順序で実行されねばならないことを含意するものではない。むしろ、それらのステップはいかなる好適な順序で実行されてもよい。さらに、単数形での言及は複数を排除するものではない。よって、「ある」「第一の」「第二の」などの言及は複数を除外するものではない。また、周波数区間、周波数範囲および周波数帯域の用語は交換可能に用いている。請求項における参照符号があったとしても、単に明確にする例として与えられているのであって、特許請求の範囲をいかなる意味であれ限定するものと解釈してはならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーディオ・ドライバーのための駆動信号を生成する駆動システムであって:
入力信号から第一の信号および第二の信号を生成するスプリッターであって、前記第一の信号は前記入力信号の第一の周波数区間の信号成分を含み、前記第二の信号は前記入力信号の第二の周波数区間の信号成分を含み、前記第一および第二の周波数区間はクロスオーバー周波数をもち、前記第一の周波数区間は前記第二の周波数区間より低い周波数に対応する、スプリッターと;
前記スプリッターに結合され、前記第一の信号から第一のオーディオ・ドライバーのための第一の駆動信号を生成するよう構成された第一の駆動回路と;
前記スプリッターに結合され、前記第二の信号から第二のオーディオ・ドライバーのための第二の駆動信号を生成するよう構成された第二の駆動回路と;
前記第二のオーディオ・ドライバーについてのドライバー変位指標を決定する手段と;
前記第二の信号に対して低周波数ブーストを適用することによって前記第二のオーディオ・ドライバーのためのバス周波数拡張を提供する手段と;
前記ドライバー変位指標に応答して前記クロスオーバー周波数と前記低周波数ブーストの特性との組み合わされた調整を実行する調整手段とを有する、
駆動システム。
【請求項2】
前記低周波数ブーストは、前記第二の周波数区間のある第一の周波数帯域内の前記第二の信号の周波数について、前記第一の周波数帯域より上の前記第二の周波数帯域の周波数に比して、増加した利得を提供する、請求項1記載の駆動システム。
【請求項3】
前記増加した利得は、前記第二の周波数区間内でありかつ前記第一の周波数帯域より上の前記第二の信号の周波数についての平均利得より、少なくとも3dB高い、請求項2記載の駆動システム。
【請求項4】
前記調整手段は、ある周波数範囲内で前記クロスオーバー周波数を調整し、前記クロスオーバー周波数の現在値より上だが前記周波数範囲内である少なくともいくつかの周波数について増大した利得を提供するよう構成される、請求項2記載の駆動システム。
【請求項5】
前記調整手段は、前記ドライバー変位指標に応答して、前記低周波数ブーストの周波数特性を修正するよう構成される、請求項1記載の駆動システム。
【請求項6】
前記調整手段は、低下したドライバー変位については、前記クロスオーバー周波数および前記低周波数ブーストのための下限周波数を、より低い周波数に向けて偏らせるよう構成される、請求項5記載の駆動システム。
【請求項7】
前記調整手段は、前記ドライバー変位指標に応答して、前記低周波数バス・ブーストの利得特性を修正するよう構成される、請求項1記載の駆動システム。
【請求項8】
前記調整手段は、第二の駆動信号についての周波数応答を変化させるよう構成され、その変化は、少なくとも第一の周波数帯域における利得が、前記クロスオーバー周波数の少なくとも一つの値については、前記第一の周波数帯域より上でありかつ前記第二の周波数区間内である前記周波数応答の平均利得より高く、前記クロスオーバー周波数の少なくともある第二の値については、前記平均利得より低いようになされる、請求項1記載の駆動システム。
【請求項9】
前記ブースト手段は、前記第二のオーディオ・ドライバーの感度低下を補償するよう前記低周波数ブーストを提供するよう構成される、請求項1記載の駆動システム。
【請求項10】
当該駆動システムについてのボリューム設定に応答して前記ドライバー変位指標を決定する手段をさらに有する、請求項1記載の駆動システム。
【請求項11】
前記第二の駆動回路によって与えられる前記第二の信号についての前記信号経路のある点における前記第二の信号の信号レベルを測定する手段と;
前記信号レベルに応答して前記ドライバー変位指標を決定する手段とをさらに有する、
請求項1記載の駆動システム。
【請求項12】
前記第二のオーディオ・ドライバーの近くのドライバー変位測定デバイスから測定信号を受信する手段と;
前記測定信号に応答して前記ドライバー変位指標を決定する手段とを有する、
請求項1記載の駆動システム。
【請求項13】
請求項1記載の駆動システムであって、さらに:
あるさらなる入力信号から第三の信号および第四の信号を生成するためのさらなるスプリッターであって、前記第三の信号は前記さらなる入力信号の前記第一の周波数区間の信号成分を含み、前記第四の信号は前記さらなる入力信号の前記第二の周波数区間の信号成分を含む、さらなるスプリッターと;
前記さらなるスプリッターに結合され、前記第四の信号から第三のオーディオ・ドライバーのための第三の駆動信号を生成するよう構成された第三の駆動回路とを有し、
前記第一の駆動回路は、前記第一の信号および前記第三の信号の組み合わせから前記第一の駆動信号を生成するよう構成される、
駆動システム。
【請求項14】
請求項1記載の駆動システムと;
サブウーファーである前記第一のオーディオ・ドライバーと;
前記第二のオーディオ・ドライバーを含む複数のスピーカーとを有する、
サラウンド・サウンド・スピーカー・システム。
【請求項15】
駆動システムの動作方法であって:
入力信号から第一の信号および第二の信号を生成する段階であって、前記第一の信号は前記入力信号の第一の周波数区間の信号成分を含み、前記第二の信号は前記入力信号の第二の周波数区間の信号成分を含み、前記第一および第二の周波数区間はクロスオーバー周波数をもち、前記第一の周波数区間は前記第二の周波数区間より低い周波数に対応する、段階と;
前記第一の信号から第一のオーディオ・ドライバーのための第一の駆動信号を生成する段階と;
前記第二の信号から第二のオーディオ・ドライバーのための第二の駆動信号を生成する段階と;
前記第二のオーディオ・ドライバーについてのドライバー変位指標を判別する段階と;
前記第二の信号に対して低周波数ブーストを適用することによって前記第二のオーディオ・ドライバーのためのバス周波数拡張を提供する段階と;
前記ドライバー変位指標に応答して前記クロスオーバー周波数と前記低周波数ブーストの特性との組み合わされた調整を実行する段階とを含む、
方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−525049(P2012−525049A)
【公表日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−506606(P2012−506606)
【出願日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際出願番号】PCT/IB2010/051516
【国際公開番号】WO2010/122441
【国際公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】