説明

マルチディスプレイ装置およびその表示制御方法

【課題】複数のディスプレイで1つの表示データを表示するマルチディスプレイ装置において、映像信号の縦横比率がマルチディスプレイ全体の縦横比率と一致しない場合に、電力消費を抑える。
【解決手段】表示映像をマルチディスプレイ画面10における垂直方向および水平方向の少なくとも一方向に画面一杯に拡大表示した際に、他方の方向において無映像表示領域が生じるか否かを判断し、さらに、上記無映像表示領域が生じる場合には、上記表示映像の表示位置を変更することで表示映像の存在しない無映像表示ディスプレイが生じるか否かを判断する。無映像表示ディスプレイが生じる場合には、表示映像の表示位置を変更して(左寄せ、右寄せ、上寄せ、下寄せの何れか)上記無映像表示ディスプレイ12を生じさせ、その無映像表示ディスプレイを省電力モードとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のディスプレイで1つの表示データを表示するマルチディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
4×4や、5×5などの複数のディスプレイで1つの表示データを表示するマルチディスプレイ環境が知られている。このようなマルチディスプレイ環境で、1つの映像を複数のディスプレイにわたって表示する場合、マルチディスプレイ全体の縦横比率が映像の縦横比率に合っていれば、ディスプレイ側での非表示部分が発生せず、全てのディスプレイの画面を使った表示が行われる。
【0003】
例えば、1つのディスプレイの横サイズと縦サイズの比率が16:9であり、縦に4つ、横に4つ並べたマルチディスプレイ装置とした場合、映像信号のサイズが横16、縦9の比率であれば、映像信号の縦横比率とマルチディスプレイ全体の縦横比率とが一致する(図25(a)参照)。
【0004】
一方、映像信号の縦横比率が4:3であった場合には、上記マルチディスプレイ装置に映像信号を表示すると、左右に表示に寄与しない部分が生じていた(図25(b)参照)。また、映像信号の縦横比率が16:9より横長だった場合(例えばシネマスコープサイズ等)には、画面の上下に表示に寄与しない部分が生じていた(図25(c)参照)。
【0005】
特許文献1では、コンピュータに接続された複数のディスプレイに跨って表示されるウインドウをできるだけなくすように、コンピュータの映像を複数のディスプレイを用いて表示する際に、ウインドウの表示位置を調整して一つのディスプレイで表示することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−251465号公報(2006年9月21日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述のような従来技術は、映像信号の縦横比率がマルチディスプレイ全体の縦横比率と一致しない場合、表示に寄与しない無表示の部分が多くなる。この場合、画面の一部しか用いない一部のディスプレイも、表示画面全体に映像を表示しているディスプレイも同じように電力を消費してしまうという問題がある。
【0008】
また、特許文献1では、机上に複数のディスプレイを並べて配置し、これらの複数のディスプレイをあたかも1つの画面として用いる場合、表示されるウインドウが複数のディスプレイに分断されることを避けるために、表示位置をずらす方法が提案されている。しかしながら、この技術は、あくまでユーザの視認性および操作性の向上を目的とするものであって、ウインドウ表示に寄与しないディスプレイの電力消費を削減するものではない。
【0009】
本願発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、複数のディスプレイで1つの表示データを表示するマルチディスプレイ装置において、映像信号の縦横比率がマルチディスプレイ全体の縦横比率と一致しない場合に、電力消費を抑えることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明は、垂直方向および水平方向の両方に複数のディスプレイを並べて構成され、上記複数のディスプレイによって構成されるマルチディスプレイ画面に1つの表示映像を表示可能なマルチディスプレイ装置であって、上記表示映像を上記マルチディスプレイ画面における垂直方向および水平方向の少なくとも一方向に画面一杯に拡大表示した際に、他方の方向において無映像表示領域が生じるか否かを判断し、さらに、上記無映像表示領域が生じる場合には、上記表示映像の表示位置を変更することで表示映像の存在しない無映像表示ディスプレイが生じるか否かを判断し、上記無映像表示ディスプレイが生じる場合には、上記表示映像の表示位置を変更して上記無映像表示ディスプレイを生じさせ、その無映像表示ディスプレイを省電力モードとすることを特徴としている。
【0011】
上記表示映像を上記マルチディスプレイ画面における垂直方向および水平方向の少なくとも一方向に画面一杯に拡大表示した際に、他方の方向において無映像表示領域が生じる場合(すなわち、映像信号の縦横比率がマルチディスプレイ全体の縦横比率と一致しない場合)、従来のように表示映像をマルチディスプレイ画面のセンターに配置すると、無映像表示領域が画面両端に分かれるため、無映像表示領域が生じているディスプレイ画面においても表示映像が存在し、全画面で表示を行っているディスプレイと同様に電力を消費する。
【0012】
上記の構成によれば、上記無映像表示領域が生じる場合には、上記表示映像の表示位置を変更することで表示映像の存在しない無映像表示ディスプレイが生じるか否かを判断し、上記無映像表示ディスプレイが生じる場合には、上記表示映像の表示位置を変更して上記無映像表示ディスプレイを生じさせる。こうして生じた無映像表示ディスプレイを省電力モードとすることで、マルチディスプレイ装置全体の省電力化を実現できる。
【0013】
また、上記マルチディスプレイ装置では、上記無映像表示領域が生じる場合であって、上記表示映像の表示位置を変更しても上記無映像表示ディスプレイが生じない場合には、さらに、上記表示映像をその縦横比を維持しながら縮小し、その縮小した上記表示映像の表示位置を変更して上記無映像表示ディスプレイを生じさせ、その無映像表示ディスプレイを省電力モードとする構成とすることができる。
【0014】
上記の構成によれば、上記表示映像の表示位置を変更するだけでは上記無映像表示ディスプレイが生じない場合に、さらに表示映像を縮小することによって無映像表示ディスプレイを生じさせることで、マルチディスプレイ装置全体の省電力化を実現できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、垂直方向および水平方向の両方に複数のディスプレイを並べて構成され、上記複数のディスプレイによって構成されるマルチディスプレイ画面に1つの表示映像を表示可能なマルチディスプレイ装置であって、上記表示映像を上記マルチディスプレイ画面における垂直方向および水平方向の少なくとも一方向に画面一杯に拡大表示した際に、他方の方向において無映像表示領域が生じるか否かを判断し、さらに、上記無映像表示領域が生じる場合には、上記表示映像の表示位置を変更することで表示映像の存在しない無映像表示ディスプレイが生じるか否かを判断し、上記無映像表示ディスプレイが生じる場合には、上記表示映像の表示位置を変更して上記無映像表示ディスプレイを生じさせ、その無映像表示ディスプレイを省電力モードとする構成である。
【0016】
それゆえ、上記表示映像の表示位置を変更することで上記無映像表示ディスプレイが生じるような場合には、無映像表示ディスプレイを省電力モードとすることで、マルチディスプレイ装置全体の省電力化を実現できるとの効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態を示すものであり、(a)は表示映像をマルチディスプレイ画面において左寄せするようにシフトした例、(b)は右寄せするようにシフトした例、(c)は上寄せするようにシフトした例、(d)は下寄せするようにシフトした例である。
【図2】縦方向(垂直方向)および横方向(水平方向)の両方に複数のディスプレイを並べて構成されたマルチディスプレイ装置の画面構成を示す図である。
【図3】上記マルチディスプレイ装置における各ディスプレイの接続を示す図である。
【図4】上記マルチディスプレイ装置における各ディスプレイの概略構成を示すブロック図である。
【図5】(a)はマルチディスプレイ画面において表示される表示映像、(b)は(a)の表示映像を各ディスプレイの位置に相当する各領域に分割した状態、(c)は(a)の表示映像をマルチディスプレイ画面にて表示している状態を示す図である。
【図6】マルチディスプレイ装置において、1つの映像を拡大表示(エンラージ)で実現する例を示す図である。
【図7】各ディスプレイにおいて、分割された映像のどの部分を表示するかを示す図である。
【図8】各ディスプレイにおける設定メニューを示す図である。
【図9】映像信号を横方向に分割する場合の、各ディスプレイにおける拡大表示方法を示す図である。
【図10】映像信号を縦方向に分割する場合の、各ディスプレイにおける拡大表示方法を示す図である。
【図11】上記マルチディスプレイ装置における各ディスプレイの信号入力構成を示すブロック図である。
【図12】無映像表示領域を有する映像信号を横方向に分割する場合の、端部ディスプレイにおける拡大表示方法を示す図である。
【図13】無映像表示領域を有する映像信号を縦方向に分割する場合の、端部ディスプレイにおける拡大表示方法を示す図である。
【図14】無映像表示領域を有する映像信号を左寄せして横方向に分割する場合の、各ディスプレイにおける拡大表示方法を示す図である。
【図15】無映像表示領域を有する映像信号を上寄せして縦方向に分割する場合の、各ディスプレイにおける拡大表示方法を示す図である。
【図16】実施の形態1のマルチディスプレイ装置において、各ディスプレイにおける表示処理の手順を示すフローチャートである。
【図17】図16のフローチャートにおける表示左右シフト処理および表示不要ディスプレイの省電力処理を示すフローチャートである。
【図18】図16のフローチャートにおける表示上下シフト処理および表示不要ディスプレイの省電力処理を示すフローチャートである。
【図19】(a),(b)は映像をシフトしても表示不要画面が発生しない場合を示す図であり、(c),(d)は表示映像を縮小することで表示不要画面を発生させた場合を示す図である。
【図20】実施の形態2のマルチディスプレイ装置において、各ディスプレイにおける表示処理の手順を示すフローチャートである。
【図21】図20のフローチャートにおける縮小表示左右シフト処理および表示不要ディスプレイの省電力処理を示すフローチャートである。
【図22】図20のフローチャートにおける縮小表示上下シフト処理および表示不要ディスプレイの省電力処理を示すフローチャートである。
【図23】実施の形態3で省電力モードにする代わりに別の入力端子からの映像信号に切替えて表示している状態を示す図である。
【図24】マルチ画面用表示映像が存在しないディスプレイに、他の映像信号を表示するときの処理を示すフローチャートである。
【図25】従来のマルチディスプレイ装置の表示例を示すものであり、(a)は映像信号の縦横比率とマルチディスプレイ全体の縦横比率とが一致する場合、(b)は映像信号がマルチディスプレイ画面よりも縦長の場合、(c)は映像信号がマルチディスプレイ画面よりも横長の場合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
〔実施の形態1〕
以下、本発明の実施の形態1について、図面に基づいて詳細に説明する。まずは、本願発明が適用されるマルチディスプレイ装置の基本構成を説明する。
【0019】
本実施の形態1に係るマルチディスプレイ装置は、縦方向(垂直方向)および横方向(水平方向)の両方に複数のディスプレイを並べて構成されたものである。すなわち、本マルチディスプレイ装置は、複数のディスプレイによって1つの映像(マルチ画面用表示映像)を表示できるようになっている。
【0020】
以下の説明では、図2に示すように、縦4列、横4列の16台構成のマルチディスプレイ装置を例示する。但し、本発明では、縦横の列の数と合計台数とについては上記例に限定されるものではなく、例えば縦3列×横3列の9台構成や、縦4列×横5列の20台構成等、他の構成、台数でもよい。また、マルチディスプレイ装置を構成するそれぞれのディスプレイの縦横比率は3:4でも9:16でも構わない。
【0021】
上記マルチディスプレイ装置において、これを構成する16台のディスプレイにはそれぞれID番号が付けられており、個々のディスプレイを識別できるようになっている。図2では、16台のディスプレイに対して“01”〜“16”のID番号が付されている。尚、上記ID番号は、1から始まっている必要はなく、続き番号である必要もないが、それぞれのディスプレイがマルチディスプレイ装置のどの位置にあるのかについては、それぞれのID番号と対応付けて管理されているものとする。
【0022】
各ディスプレイは、図3に示すように、RS232C等の制御コマンドがやり取りできる端子で接続されている。制御コマンドをやり取りする端子は、制御コマンドをやり取りできれば他の端子、例えばLAN端子でもよく本発明を限定するものではない。
【0023】
また、“01”〜“16”の各ディスプレイは、RS232C等やLAN端子等の制御コマンドがやり取りできる端子の他に、実際に表示する映像信号が入力される映像信号入力コネクタを持つ(図4参照)。映像信号入力コネクタは複数あってもよく、信号の種類もコンポジットビデオ信号でも色相色差信号でも、デジタルビデオ信号でも構わない。但し、図示していない映像信号源から、同じ映像信号が同じ入力コネクタに入力されているとする。入力信号は、スケーラーLSIによって選択され、表示部に合うように拡大縮小、補完間引き処理による解像度変換を行われた後、表示器に出力されて表示される。
【0024】
ここで、例えば図5(a)に示す映像信号を図2に示すマルチディスプレイ装置にて表示する場合を考える。この時、映像信号の縦横比率がマルチディスプレイ装置の縦横比率と同じであれば、各ディスプレイは、図5(c)に示すように、それぞれのディスプレイの位置に相当する各領域(図5(b))の映像を表示する。すなわち、映像信号の中から、各ディスプレイが自らが表示する映像を取り出して表示する。
【0025】
次に、マルチディスプレイ装置において、複数のディスプレイで1つの映像を表示する仕組みについて説明する。
【0026】
まずは、図2にも示したように、マルチディスプレイ装置を構成する個々のディスプレイを判別するためのID番号が設定される。具体的には、例えば以下の表1に示すように、各ディスプレイのディスプレイIDに、それぞれのディスプレイの水平方向および垂直方向の表示位置が対応して設定される。また、ID番号は、固有ID(ユニークID)とマルチ制御用ID(ディスプレイID)とを、以下の表2に示すように別管理としてもよい。
【0027】
【表1】

【0028】
【表2】

【0029】
ID番号の設定手順としては、例えば、先頭のディスプレイのIDを設定し、次々と後続のディスプレイに対し+1ずつ増やしたIDを設定するようにしてもよい。
【0030】
このように各ディスプレイにID番号が設定された状態で、個々のディスプレイに映像の部分表示を担当させるための情報を設定する。ここでは、図6に示すように、マルチディスプレイ装置において、1つの映像を拡大表示(エンラージ)で実現している例を示す。
【0031】
まず、マルチディスプレイ装置における水平方向設置台数を「拡大倍率(水平)」に設定し、垂直方向設置台数を「拡大倍率(垂直)」に設定する。これにより、表示される映像信号は、拡大倍率に応じて分割される。各ディスプレイにおいて、分割された映像のどの部分を表示するか(図7参照)を、「拡大位置(水平)」「拡大位置(垂直)」のように設定する(図8参照)。尚、図7において、カッコ内の数字は、分割された各映像の(拡大位置(水平)、拡大位置(垂直))を示す。設定された情報に基づき、個々のディスプレイは映像の一部分を表示する。
【0032】
1つの映像信号を複数のディスプレイで表示するために、入力された映像信号を表示に使用する部分とそうでない部分とに分ける方法として、以下の例が挙げられる。
【0033】
映像信号を横方向に分割する場合には、1ラインを横ディスプレイ数で分割する。具体的には、図9に示すように、映像信号の1ラインを拡大倍率数で分割し、それぞれのディスプレイでは、対応する拡大位置(水平)番目の範囲の信号を拡大倍率に応じて拡大して表示する。
【0034】
同様に、映像信号を縦方向に分割する場合には、1画面を縦ディスプレイ数で分割する。具体的には、図10に示すように、映像信号のライン数を拡大倍率数で分割し、それぞれのディスプレイでは、対応する拡大位置(垂直)番目の信号を拡大倍率に応じて拡大して表示する。
【0035】
映像の縦横比率を認識する方法としては、既存技術として、専用信号によるものと映像信号から求める方法とがある。専用信号によるものの例としては、S2ビデオ信号端子やD端子からの専用信号による方法がある。
【0036】
S2ビデオ信号端子は、4pinの映像用端子であり、色信号に識別用の直流電圧が乗せてある。S2ビデオ信号端子からの専用信号によれば、通常(4:3)、スクイーズ(横方向圧縮)、レターボックス(16:9映像を上下黒帯)が判別可能である。
【0037】
また、D端子は、14pinの映像用端子であり、D1(525i)、D2(525p)、D3(1080i)、D4(720p)等の信号形式があり、3本の識別信号端子の直流電圧により、有効走査線数(1080,720,480本)、走査方式(プログレッシブ、インターレース)、画角(16:9、4:3LB、4:3)が判別可能となる。
【0038】
映像信号から縦横比率を求めるものの例としては、映像信号の左右または上下部分に無映像(黒)があるかどうかを調べて映像信号の縦横比率を求める方法がある。例えば、左右圧縮されて4:3映像になったものは、映像信号の変化から水平周波数を求めて判定できる。具体的には、16:9映像を4:3に収めた時に上下に黒帯を加える場合や、4:3映像に左右黒帯を加えるようなレターボックス映像の場合に、映像領域の縦横比率を求めることができる。
【0039】
通常、ディスプレイは、図11に示すように、複数の映像入力端子を持ち、複数の映像信号を同時に入力することが可能なものが一般的である。その中から映像信号を選択し、表示する。マルチディスプレイ表示の場合は、各ディスプレイには同じ信号が入力されるため、選択される入力端子の番号は同じとなる。マルチディスプレイとして使わなくなった場合には、そのディスプレイが、マルチディスプレイ表示用の端子以外の端子から入力されている信号を選択すれば、その端子からの映像を表示するようになる。
【0040】
ここで、図9,10は、映像信号の縦横比率がマルチディスプレイ全体の縦横比率と一致する場合(図25(a)に示すような場合)を示しており、表示に寄与しない無表示の部分(無映像表示領域:黒帯部分等)は生じていない。しかしながら、映像信号の縦横比率がマルチディスプレイ全体の縦横比率と一致しない場合(図25(b),(c)に示すような場合)には、黒帯部分等が発生する。
【0041】
通常、1つの映像信号を複数のディスプレイで表示する場合、次のような手順で実現する。
(1) 設定された水平拡大倍率MH、垂直拡大倍率MV、水平表示位置X、垂直表示位置Yを参照する。
(2) 映像信号全体の長さ(水平ならばH、垂直ならばV)をそれぞれの拡大倍率MHあるいはMVで割ると、1つのディスプレイが担当する映像信号の長さが求まる。即ち、水平ラインでは、H/MH、垂直ラインではV/MVで求まる。
(3) 映像信号を水平ラインならMHだけ分割、垂直ラインならMV個に分割する。
(4) MH個あるいはMV個に分割された信号の中から、水平ラインなら、水平表示位置X番目、垂直ラインなら、垂直表示位置Y番目の範囲を選択する。即ち、表示する映像信号は、(水平表示位置は1〜MH、垂直表示位置は1〜MVで設定されているとして)水平方向では、1つのディスプレイ当たり水平信号の1/MHとなり、tH0+H/水平拡大率MH×(水平表示位置X−1))からtH0+H/水平拡大率MH×(水平表示位置X)までとなる。一方、垂直方向では、1つのディスプレイ当たり垂直信号の1/MVとなり、tV0+V/垂直拡大率MV×(垂直表示位置Y−1)からtV0+V/垂直拡大率MV×(垂直表示位置Y)までとなる。
(5) (4)で選択された信号、X番目の水平ライン信号、Y番目の水平ラインを、ディスプレイに合うように拡大処理(水平はMH倍、垂直はMV倍)してディスプレイ画面に表示する。
【0042】
上記の処理を図示すると図12,図13に示すものとなる。このように、映像信号の縦横比率がマルチディスプレイ全体の縦横比率と一致しない場合に、通常の表示処理を行うと、表示映像がマルチディスプレイ装置の全体画面のセンターに配置され、図12に示すように左右両端の分割画面の両方に黒帯部分が生じたり、図13に示すように上下両端の分割画面の両方に黒帯部分が生じたりする。また、黒帯部分が生じている端部画面においても一部でも表示映像がある場合、その端部画面を表示しているディスプレイは、全画面で表示を行っているディスプレイと同様に電力を消費する。
【0043】
このため、本実施の形態1のマルチディスプレイ装置では、映像信号の縦横比率がマルチディスプレイ全体の縦横比率と一致しない場合、表示映像をマルチディスプレイ装置の全体画面のセンターに配置せず、図1(a)〜(d)に示すように、左右上下の何れかの方向に寄せて表示を行う。すなわち、図1(a)では、ディスプレイ11が4×4配列されたマルチディスプレイ画面10において表示映像が左寄せされ、右端列のディスプレイ11が無映像表示ディスプレイ12となっている。同様に、図1(b)では左端列のディスプレイ11が無映像表示ディスプレイ12となっており、図1(c)では下端列のディスプレイ11が無映像表示ディスプレイ12となっており、図1(d)では上端列のディスプレイ11が無映像表示ディスプレイ12となっている。
【0044】
このように、表示映像をマルチディスプレイ装置の左右上下の何れかの方向に寄せて表示を行う場合の映像信号の分割の様子を図14(左寄せの場合),図15(上寄せの場合)に示す。表示映像をシフトする方向は予め優先方向が決まっていればそれに従うようにしてよい。
【0045】
信号の黒帯(空白部分)は、前部(BH1、BV1)、後部(BH2、BV2)であり、その部分を決められた優先順位により、上記通常処理の(4)で求めた表示範囲からシフトして表示することになる。
【0046】
即ち、上寄せならば、本来表示する(4)で選択した信号範囲を下にBV1だけシフトさせるため、tV0+V/垂直拡大率MV×(垂直表示位置Y−1)+BV1からtV0+V/垂直拡大率MV×(垂直表示位置Y)+BV1までとなる。
【0047】
同様に、下寄せならば、本来表示する(4)で選択した信号範囲を上にBV2だけシフトさせるため、tV0+V/垂直拡大率MV×(垂直表示位置Y−1)−BV2からtV0+V/垂直拡大率MV×(垂直表示位置Y)−BV2までとなる。
【0048】
左寄せならば、本来表示する(4)で選択した信号範囲を後ろにBH1だけシフトさせるため、H/水平拡大率MH×(水平表示位置X−1)+BH1からH/水平拡大率MH×(水平表示位置X)+BH1までとなる。
【0049】
右寄せならば、本来表示する(4)で選択した信号範囲を前にBH2だけシフトさせるため、H/水平拡大率MH×(水平表示位置X−1)−BH2からH3/水平拡大率MH×(水平表示位置X)−BH2までとなる。
【0050】
ここで、本実施の形態1のマルチディスプレイ装置において、各ディスプレイにおける表示処理の手順を、図16のフローチャートを参照して説明する。
【0051】
最初に、マルチディスプレイ装置を構成する各ディスプレイは、該マルチディスプレイ装置における全体設定として、マルチディスプレイの構成の情報である、水平拡大率MH、垂直拡大率MV、単体のディスプレイの縦サイズSV、横サイズSHを読み出す。これらの情報が読み出されると、各ディスプレイにおける水平および垂直方向の分担量UH,UVが下記式により求められる(S1,S2)。
【0052】
UH=H/MH
UV=V/MV
但し、H:1水平ラインのデータ幅
V:1画面のライン数
さらに、各ディスプレイにおける水平方向および垂直方向の表示開始位置であるtH,tVが求められる(S3)。例えば、図14の例では、最も左端に位置するディスプレイの水平方向の表示開始位置はtH=tH0+BH1である。ここで、tH0は入力映像信号の水平方向開始位置であり、BH1は、映像信号の左端に存在する前記黒帯部分のデータ幅である。すなわち、図14は左右に黒帯部分が存在する映像信号をマルチディスプレイ装置において左寄せして表示する場合を示すものであるため、左端に位置するディスプレイの水平方向の表示開始位置は、黒帯部分を除いた実際の表示映像の開始位置と一致させられる。同様に、図15の例では、最も上端に位置するディスプレイの垂直方向の表示開始位置はtV=tV0+BV1である。
【0053】
次に入力されている映像の縦横比を調べる。理由は映像の上下あるいは左右に黒帯(無表示部分)の挿入が必要か否かを調べるためである。縦横比は映像信号から判断する場合と、映像信号端子の入力信号から判別できる場合があり、後者の方が簡単である。
【0054】
後者の例として、S2端子もしくはD端子を用いて映像信号が入力される場合、該映像信号には縦横比を直接的もしくは間接的に示す識別信号があり(S4でYES)、その識別信号によって映像の縦横比が16:9であるか4:3であるかを判断することができる(S5,S7)。
【0055】
上記識別信号によって映像の縦横比が16:9であると判断された場合には(S5でYES)、水平空白比率AHおよび垂直空白比率AVが下記式にて求められる(S6)。
【0056】
AH=0
AV=1−9×SH/(16×SV)
また、上記識別信号によって映像の縦横比が4:3であると判断された場合には(S7でYES)、水平空白比率AHおよび垂直空白比率AVが下記式にて求められる(S8)。
【0057】
AH=1−4×SV/(3×SH)
AV=0
映像入力信号に識別信号が無い場合(S4でNO)、あるいは、識別信号があっても映像の縦横比が16:9および4:3の何れでもない場合(S7でNO)には、以下のようにして水平空白比率AHおよび垂直空白比率AVが求められる。
【0058】
まず、垂直方向については、取り入れた映像信号を調べ空白ラインを調べる。具体的には、前部黒帯部分のライン数BV1(=tVB1−tV0)、後部黒帯部分のライン数BV2(=tVM−tVB2)、1画面のライン数V(=tVM−tV0)を求め(S9)、さらに、垂直空白比率AV(=(BV1+BV2)/V)を求める(S10)。
【0059】
さらに、水平方向については、1ライン空白部分を調べる。具体的には、前部黒帯部分のデータ幅BH1(=tHB1−tH0)、後部黒帯部分のデータ幅BH2(=tHN−tVB1)、1水平ラインのデータ幅H(=tHN−tH0)を求め(S11)、さらに、水平空白比率AH(=(BH1+BH2)/H)を求める(S12)。
【0060】
こうして、水平空白比率AHおよび垂直空白比率AVが求まると、これらの大小が比較される(S13:第1の工程)。AH>AVの場合(S13でYES)、入力映像がマルチディスプレイ全体の画面に比べて縦長であり、映像の左右に無表示の部分が生じることを意味する。逆に、AH<AVの場合(S13でNO)、入力映像がマルチディスプレイ全体の画面に比べて横長であり、映像の上下に無表示の部分が生じることを意味する。
【0061】
AH>AVの場合は、水平不要画面数PHを以下の式にて求める(S14)。
【0062】
PH=AH×MH (MH:水平拡大率)
さらに、PH≧1であるか否かを調べる(S15:第2の工程)。この時、PH≧1であれば、表示映像をマルチディスプレイにおいて左または右にシフトすれば、無表示になるディスプレイが生じることを意味する(表示に寄与しないディスプレイが、PH×MV個発生することになる:但し、PHは整数)。このため、PH≧1であれば(S15でYES)、表示左右シフト処理を行い(S16:第3の工程)、さらに表示不要ディスプレイの省電力処理を行う(S17:第3の工程)。
【0063】
また、AH<AVの場合は、垂直不要画面数PVを以下の式にて求める(S18)。
【0064】
PV=AV×MV (MV:垂直拡大率)
さらに、PV≧1であるか否かを調べる(S19:第2の工程)。この時、PV≧1であれば、表示映像をマルチディスプレイにおいて上または下にシフトすれば、無表示になるディスプレイが生じることを意味する(表示に寄与しないディスプレイが、PV×MH個発生することになる:但し、PVは整数)。このため、PV≧1であれば(S19でYES)、表示上下シフト処理を行い(S20:第3の工程)、さらに表示不要ディスプレイの省電力処理を行う(S21:第3の工程)。
【0065】
図16のフローチャートにおいて、表示シフト処理(S16,S20)および表示不要ディスプレイの省電力処理(S17,S21)以外の処理は、全てのディスプレイで同じように処理してもよいし、どれか一つ、例えば、先頭のディスプレイが処理を行い、画面のシフト量と方向とを他のディスプレイに指示を出してもよい。
【0066】
表示上下シフト処理(S16,S20)および表示不要ディスプレイの省電力処理(S17,S21)は、それぞれのディスプレイで処理が行われる。ここで、表示左右シフト処理および表示不要ディスプレイ省電力処理を図17のフローチャートを参照して説明する。
【0067】
まず、処理が行われるディスプレイの位置(X,Y)が調べられる(S31)。さらに、シフト方向が調べられる(S32)。ここでは、シフトの優先方向は、パラメータFHによって予め設定できるものとする。図17では、FH=1の場合に左寄せ、FH=0の場合に右寄せとする。
【0068】
FH=1の場合(S33でYES)、シフト方向は左寄せなので、前部黒帯部分のデータ幅BH1が調べられ(S34)、パラメータαの値がα=BH1に設定される(S35)。
【0069】
次に、水平不要画面数PHが調べられ(S36)、PH≦(MH−X)を満たすか否かが確認される(S37)。ここで、PH≦(MH−X)であれば、このディスプレイには表示する映像が存在することになるため、映像信号のシフト処理(左寄せ)が行われる。
【0070】
すなわち、水平方向において左にBH1のシフトを行うため、水平ラインの読み込み開始位置HstartをHstart=UH×(X−1)+αとし(S38)、読み込み終了位置HendをHend=UH×X+αとする(S39)。また、垂直方向においてはシフト不要であるため、垂直ラインの読み込み開始位置VstartはVstart=UV×(Y−1)とし(S40)、読み込み終了位置VendをVend=UV×Yとする(S41)。
【0071】
そして、水平ラインの読み込み開始位置Hstart、読み込み終了位置Hend、および垂直ラインの読み込み開始位置Vstart、読み込み終了位置Vendに基づいて、入力映像信号から、上記範囲の表示データが抽出され(S42)、表示される(S43)。
【0072】
FH=0の場合(S33でNO)、シフト方向は右寄せなので、後部黒帯部分のデータ幅BH2が調べられ(S44)、パラメータαの値がα=(−BH2)に設定される(S45)。
【0073】
次に、水平不要画面数PHが調べられ(S46)、PH≧Xを満たすか否かが確認される(S47)。ここで、PH≧Xが満たされなければ、このディスプレイには表示する映像が存在することになるため、映像信号のシフト処理(右寄せ)が行われる。
【0074】
すなわち、水平方向において右にBH2のシフトを行うため、水平ラインの読み込み開始位置HstartをHstart=UH×(X−1)+αとし(S48)、読み込み終了位置HendをHend=UH×X+αとする(S49)。また、垂直方向においてはシフト不要であるため、垂直ラインの読み込み開始位置VstartはVstart=UV×(Y−1)とし(S50)、読み込み終了位置VendをVend=UV×Yとする(S51)。
【0075】
そして、水平ラインの読み込み開始位置Hstart、読み込み終了位置Hend、および垂直ラインの読み込み開始位置Vstart、読み込み終了位置Vendに基づいて、入力映像信号から、上記範囲の表示データが抽出され(S52)、表示される(S53)。
【0076】
S37でPH≦(MH−X)が満たされない場合、あるいは、S47でPH≧Xが満たされる場合、このディスプレイには表示する映像が存在しないことになる。この場合は、そのディスプレイにおいて、例えば、表示をオフにするなどの省電力モードとする(S54)。
【0077】
次に、表示上下シフト処理および表示不要ディスプレイ省電力処理を図18のフローチャートを参照して説明する。
【0078】
まず、処理が行われるディスプレイの位置(X,Y)が調べられる(S61)。さらに、シフト方向が調べられる(S62)。ここでは、シフトの優先方向は、パラメータFVによって予め設定できるものとする。図18では、FV=1の場合に上寄せ、FV=0の場合に右寄せとする。
【0079】
FV=1の場合(S63でYES)、シフト方向は上寄せなので、前部黒帯部分のライン数BV1が調べられ(S64)、パラメータβの値がβ=BV1に設定される(S65)。
【0080】
次に、垂直不要画面数PVが調べられ(S66)、PV≦(MV−Y)を満たすか否かが確認される(S67)。ここで、PV≦(MV−Y)であれば、このディスプレイには表示する映像が存在することになるため、映像信号のシフト処理(上寄せ)が行われる。
【0081】
すなわち、垂直方向において上にBV1のシフトを行うため、垂直ラインの読み込み開始位置VstartをVstart=UV×(Y−1)+βとし(S68)、読み込み終了位置VendをVend=UV×Y+ベータとする(S69)。また、水平方向においてはシフト不要であるため、水平ラインの読み込み開始位置HstartはHstart=UH×(X−1)とし(S70)、読み込み終了位置HendをHend=UH×Xとする(S71)。
【0082】
そして、水平ラインの読み込み開始位置Hstart、読み込み終了位置Hend、および垂直ラインの読み込み開始位置Vstart、読み込み終了位置Vendに基づいて、入力映像信号から、上記範囲の表示データが抽出され(S72)、表示される(S73)。
【0083】
FV=0の場合(S63でNO)、シフト方向は下寄せなので、後部黒帯部分のライン数BV2が調べられ(S74)、パラメータβの値がβ=(−BV2)に設定される(S75)。
【0084】
次に、垂直不要画面数PVが調べられ(S76)、PV≧Yを満たすか否かが確認される(S77)。ここで、PV≧Yが満たされなければ、このディスプレイには表示する映像が存在することになるため、映像信号のシフト処理(下寄せ)が行われる。
【0085】
すなわち、垂直方向において下にBV2のシフトを行うため、垂直ラインの読み込み開始位置VstartをVstart=UV×(Y−1)+βとし(S78)、読み込み終了位置VendをVend=UV×Y+βとする(S79)。また、水平方向においてはシフト不要であるため、水平ラインの読み込み開始位置HstartはHstart=UH×(X−1)とし(S80)、読み込み終了位置HendをHend=UH×Xとする(S81)。
【0086】
そして、水平ラインの読み込み開始位置Hstart、読み込み終了位置Hend、および垂直ラインの読み込み開始位置Vstart、読み込み終了位置Vendに基づいて、入力映像信号から、上記範囲の表示データが抽出され(S82)、表示される(S83)。
【0087】
S67でPV≦(MV−Y)が満たされない場合、あるいは、S77でPV≧Yが満たされる場合、このディスプレイには表示する映像が存在しないことになる。この場合は、そのディスプレイにおいて、例えば、表示をオフにするなどの省電力モードとする(S84)。
【0088】
〔実施の形態2〕
実施の形態1では、表示映像をシフトすることによって表示不要画面が発生するか否かを判断し、表示不要画面が発生する場合にシフト処理を行っている。すなわち、図19(a),(b)に示すように、映像をシフトしても表示不要画面が発生しない場合にはシフト処理を行わない。図19(a)は左シフトによっても表示不要画面が発生しない場合、図19(b)は上シフトによっても表示不要画面が発生しない場合を示している。
【0089】
これに対し、本実施の形態2では、表示映像をシフトするだけでは、表示不要画面が発生しない場合には、さらに表示映像の縮小処理をおこなって、表示不要画面が発生させる。例えば、図19(c)では、左シフト処理と縮小処理とによって最右端列のディスプレイを表示不要画面としている。また、図19(d)では、上シフト処理と縮小処理とによって最下端列のディスプレイを表示不要画面としている。
【0090】
本実施の形態2のマルチディスプレイ装置において、各ディスプレイにおける表示処理の手順を、図20のフローチャートを参照して説明する。但し、図20のフローチャートに示す処理は、図16のフローチャートに示す処理と共通の処理を有するため、同一の処理については図16と同一のステップ番号を付し、詳細な説明を省略する。
【0091】
入力映像がマルチディスプレイ全体の画面に比べて縦長であり、S15においてPH<1である場合、表示映像をマルチディスプレイにおいて左または右にシフトするだけでは、無表示になるディスプレイが発生しない。すなわち、いずれのディスプレイも省電力モードとすることはできない。本実施の形態2では、このような場合、表示映像の縮小処理を行う。
【0092】
まず、水平不要画面数PHをPH=1とする(S91)。さらに、1つのディスプレイに割当てる信号の分担量を、UH,UVから下記式に基づいたUUH,UUVに変更する(S92,S93)。
【0093】
UUH=(H−(BH1+BH2))/(MH−1)
UUV=(UUH/UH)×UV
すなわち、UUHは、UH>UUHであり、水平映像信号の黒帯部分(BH1及びBH2)を除いた部分を、水平倍率MH(=水平のディスプレイ数に等しい)から1減じた数で分割したものである。また、UUVは、表示映像の縦横比率を維持するために、UUH/UHだけ補正する。
【0094】
こうして、PH,UUH,UUVが設定されると、これらを用いて縮小表示左右シフト処理を行い(S94:第4の工程)、さらに表示不要ディスプレイの省電力処理を行う(S95:第4の工程)。
【0095】
また、入力映像がマルチディスプレイ全体の画面に比べて横長であり、S19においてPV<1である場合には、同様に以下の処理を行う。
【0096】
まず、垂直不要画面数PVをPV=1とする(S96)。さらに、1つのディスプレイに割当てる信号の分担量を、UH,UVから下記式に基づいたUUH,UUVに変更する(S97,S98)。
【0097】
UUV=(V−(BV1+BV2))/(MV−1)
UUH=(UUV/UV)×UH
こうして、PH,UUH,UUVが設定されると、これらを用いて縮小表示上下シフト処理を行い(S99:第4の工程)、さらに表示不要ディスプレイの省電力処理を行う(S100:第4の工程)。
【0098】
ここで、縮小表示左右シフト処理および表示不要ディスプレイ省電力処理を図21のフローチャートを参照して説明する。尚、図21に示すフローチャートは、図17に示すフローチャートとほぼ同じ処理が行われるため、異なる部分のみを説明する。
【0099】
すなわち、図21のフローチャートでは、図17のS38〜S41の処理に代えてS111〜S114の処理が行われ、S48〜S51の処理に代えてS115〜S118の処理が行われる。言い換えれば、水平ラインの読み込み開始位置Hstart、読み込み終了位置Hend、および垂直ラインの読み込み開始位置Vstart、読み込み終了位置Vendを求めるにあたって、UH,UVの代わりにUUH,UUVが用いられる。
【0100】
また、縮小表示上下シフト処理および表示不要ディスプレイ省電力処理を図22に示す。図22のフローチャートでは、図18のS68〜S71の処理に代えてS121〜S124の処理が行われ、S78〜S81の処理に代えてS125〜S128の処理が行われる。すなわち、図17と図21との関係と同様に、水平ラインの読み込み開始位置Hstart、読み込み終了位置Hend、および垂直ラインの読み込み開始位置Vstart、読み込み終了位置Vendを求めるにあたって、UH,UVの代わりにUUH,UUVが用いられる点のみが異なる。
【0101】
〔実施の形態3〕
上記実施の形態1または2において、表示映像をシフトさせた結果表示する映像が無くなったディスプレイは、自動にて省電力あるいは待機モードとなるか、他のディスプレイからの制御により省電力あるいは待機モードとなっても良い。省電力モードとされるディスプレイでは、例えば、電源をオフとすることで消費電力を削減することができる。
【0102】
但し、マルチディスプレイにおける上記シフト処理によってマルチ画面用表示映像(マルチディスプレイ全体で表示される表示映像)が存在しなくなったディスプレイは、必ずしも省電力モードとする必要は無く、省電力モードとする代わりに他に入力されている信号を表示することもできる。すなわち、マルチディスプレイで表示している映像以外に入力信号があるものは省電力とせずその入力されている映像信号を表示し、入力がないものは省電力とする、マルチ映像対応のマルチディスプレイが実現可能である。このような表示状態を図23に示す。
【0103】
また、この場合の処理を図24のフローチャートに示す。すなわち、マルチ画面用表示映像が存在しない各ディスプレイでは、他の映像入力があるか否かが判断される(S131)。そして、他の映像入力があれば、映像入力を切り替え(S132)、その切り替えた映像入力を単独表示する(S133)。他の映像入力が無ければ、そのディスプレイは省電力モードに設定される(S144)。
【0104】
また、マルチ画面用表示映像の縦横比が変わり、省電力モードとなっていたディスプレイに表示する映像信号が生じた場合は、再びマルチ画面用の映像信号入力からの信号を使って表示するようにしておくと、マルチ表示用映像信号の動的変化に対応することが可能となる。
【0105】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明は、複数のディスプレイで1つの表示データを表示するマルチディスプレイ装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0107】
10 マルチディスプレイ画面
11 ディスプレイ
12 無映像表示ディスプレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直方向および水平方向の両方に複数のディスプレイを並べて構成され、上記複数のディスプレイによって構成されるマルチディスプレイ画面に1つの表示映像を表示可能なマルチディスプレイ装置であって、
上記表示映像を上記マルチディスプレイ画面における垂直方向および水平方向の少なくとも一方向に画面一杯に拡大表示した際に、他方の方向において無映像表示領域が生じるか否かを判断し、
さらに、上記無映像表示領域が生じる場合には、上記表示映像の表示位置を変更することで表示映像の存在しない無映像表示ディスプレイが生じるか否かを判断し、
上記無映像表示ディスプレイが生じる場合には、上記表示映像の表示位置を変更して上記無映像表示ディスプレイを生じさせ、その無映像表示ディスプレイを省電力モードとすることを特徴とするマルチディスプレイ装置。
【請求項2】
上記無映像表示領域が生じる場合であって、上記表示映像の表示位置を変更しても上記無映像表示ディスプレイが生じない場合には、
さらに、上記表示映像をその縦横比を維持しながら縮小し、その縮小した上記表示映像の表示位置を変更して上記無映像表示ディスプレイを生じさせ、その無映像表示ディスプレイを省電力モードとすることを特徴とする請求項1に記載のマルチディスプレイ装置。
【請求項3】
垂直方向および水平方向の両方に複数のディスプレイを並べて構成され、上記複数のディスプレイによって構成されるマルチディスプレイ画面に1つの表示映像を表示可能なマルチディスプレイ装置の表示制御方法であって、
上記表示映像を上記マルチディスプレイ画面における垂直方向および水平方向の少なくとも一方向に画面一杯に拡大表示した際に、他方の方向において無映像表示領域が生じるか否かを判断する第1の工程と、
さらに、上記無映像表示領域が生じる場合には、上記表示映像の表示位置を変更することで表示映像の存在しない無映像表示ディスプレイが生じるか否かを判断する第2の工程と、
上記無映像表示ディスプレイが生じる場合には、上記表示映像の表示位置を変更して上記無映像表示ディスプレイを生じさせ、その無映像表示ディスプレイを省電力モードとする第3の工程を有することを特徴とするマルチディスプレイ装置の表示制御方法。
【請求項4】
上記第2の工程において、上記無映像表示領域が生じる場合であって、上記表示映像の表示位置を変更しても上記無映像表示ディスプレイが生じない場合には、
さらに、上記表示映像をその縦横比を維持しながら縮小し、その縮小した上記表示映像の表示位置を変更して上記無映像表示ディスプレイを生じさせ、その無映像表示ディスプレイを省電力モードとする第4の工程を有することを特徴とする請求項3に記載のマルチディスプレイ装置の表示制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2012−14010(P2012−14010A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−151371(P2010−151371)
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】