説明

マルチバンドレートスケーリングの方法及びシステム

本発明は、通信、特に無線通信向けのマルチバンドレートスケーリングのシステム及び方法に関する。無線通信チャネルが通信のための複数の利用可能な帯域を有するとき、無線通信のパフォーマンスのパラメータとして帯域が使用される。選択された通信帯域は、別の利用可能な通信帯域に切り替えられ、切り替えは、所望のパフォーマンスの判定に基づく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信に関し、より詳細には、複数の周波数帯域を使用して実行される通信に関する。
【背景技術】
【0002】
レートスケーリング(rate scaling)又はリンクアダプテーション(link adaptation)は、例えば2つの装置又はシステム間で最適化されたデータの伝送向けの個々のパケット伝送といった、伝送のための変調符号化スキーム(MCS)をシステムが選択するプロセスである。MCSは、個々の伝送の間にデータが伝送されるレートを決定し、例えば平均スループットといった、達成されるスループットの決定にも寄与し、この場合、スループットは、例えば所与の時間単位の間に伝送されるデータ量であり、パケットの再伝送及び/又は他のシステムのオーバヘッドパラメータを考慮する場合もある。環境的制約において動作する幾つかのシステムにおいて、スループットは、送信器と受信器との間又はシステム間の距離又は範囲に関連する場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
幾つかのシステムにおいて、例えばある周波数帯域である1を超える帯域を通した通信の機能が存在し、係る通信は、例えばIEEE 802.11プロトコルといった標準的な通信プロトコルに従う。何れか1つの帯域における信号伝送の間、選択された帯域のデータレート、通信範囲に関する制限、又は他の制限が存在する場合がある。システムは、選択された通信帯域の制約により制限される場合があり、例えば低周波帯域を通して通信するシステムは、サポートされる最大のデータ伝送レートにより制限される。
【図面の簡単な説明】
【0004】
本発明の対象は、明細書の結論部において特に指摘され、区別して特許請求される。しかし、本発明は、本発明の目的、特徴及び利点と共に構成及び動作方法の両者に関して、添付図面と共に読まれたときに以下の詳細な説明を参照することで良好に理解される。
【図1】本発明の実施の形態に係るシステムを示す例示的なブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る帯域の選択の方法を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態に係る関連付けの方法を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る帯域の選択の方法を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る例示的なパラメータのプロットを示す図である。 本発明の実施の形態は、添付図面において例示されるものであり、限定されるものではなく、図面において、同じ参照符号は、対応する、類似又は同様のエレメントを示す。説明の簡単さ及び明確さのため、図示されるエレメントは、縮尺するように必ずしも描かれていない。例えば、エレメントの幾つかの寸法は、明確さのために他のエレメントに関して誇張されている場合がある。さらに、適切であると考えられる場合、参照符号は、対応する又は類似のエレメントを示すために図面間で繰返される場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0005】
以下の詳細な説明では、本発明の完全な理解を提供するため、様々な具体的詳細が述べられる。しかし、本発明はこれらの具体的詳細なしに実施される場合があることを当業者により理解されるであろう。他の例では、公知の方法、手順及び構成要素は、本発明を曖昧にしないように詳細に記載されない。
【0006】
本発明の実施の形態は、様々な用途で使用される。本発明の幾つかの実施の形態では、様々な装置及びシステムと共に使用される場合があり、例えば、送信器、受信器、トランシーバ、送信器−受信器、無線通信局、無線通信装置、無線アクセスポイント(AP)、基地局、モデム、ワイヤレスモデム、パーソナルコンピュータ(PC)、デスクトップコンピュータ、モバイルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ノートブックコンピュータ、タブレットコンピュータ、ネットブックコンピュータ、サーバコンピュータ、ハンドヘルドコンピュータ、ハンドヘルド装置、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)装置、ハンドヘルドPDA装置、家庭用電子機器、ネットワーク、ワイヤレスネットワーク、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイヤレスLAN(WLAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、ワイヤレスMAN(WMAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、ワイヤレスWAN(WWAN)、既存のIEEE 802.11, 802.11a, 802.11b, 802.11e, 802.11g, 802.11h, 802.11i, 802.11n, 802.1X, 802.16, 802.16d, 802.16e, 802.11ad規格及び/又は将来のバージョン及び/又はその派生及び/又は先の規格のLTE(Long Term Evolution)に従って動作する装置及び/又はネットワーク、パーソナルエリアネットワーク(PAN)、ワイヤレスPAN(WPAN)、先のWLAN及び/又はPAN及び/又はWPANネットワークの一部であるユニット及び/又は装置、一方向及び/又は二方向無線通信システム、携帯無線電話通信システム、携帯電話、無線電話、パーソナルコミュニケーションシステム(PCS)装置、無線通信装置を組み込んだPDA装置、多入力多出力(MIMO)トランシーバ又は装置、単入力多出力(SIMO)トランシーバ又は装置、多入力単出力(MISO)トランシーバ又は装置、マルチレシーバチェイン(MRC)トランシーバ又は装置、「スマートアンテナ」技術又は複数のアンテナ技術等を有するトランシーバ又は装置である。本発明の幾つかの実施の形態は、1以上のタイプの無線通信信号及び/又はシステムと共に使用される場合があり、例えば、無線周波数(RF)、赤外線(IR)、周波数分割多重(FDM)、直交FDM(OFDM)、時分割多重(TDM)、時分割多重アクセス(TDMA)、拡張TDMA(E-TDMA)、汎用パケット無線サービス(GPRS)、拡張GPRS、符号分割多重アクセス(CDMA)、広帯域CDMA(WCDMA)、CDMA2000、マルチキャリア変調(MCM)、離散マルチトーン(DMT)、Bluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)等。本発明の実施の形態は、様々な装置、デバイスシステム及び/又はネットワークで使用される場合がある。
【0007】
本発明の実施の形態はこの点に関して限定されるものではないが、例えば「処理“processing”」、「計算“calculating”」、「決定“determining”」、「確立“establishing”」、「分析“analyzing”」、「チェック“checking”」等のような用語を使用した説明は、コンピュータのレジスタ及び/又はメモリにおける物理量として表されるデータを、コンピュータのレジスタ及び/又はメモリ、或いは動作及び/又はプロセスを実行するための命令を記憶する他の情報記憶媒体における物理量として同様に表される他のデータに操作及び/又は変換するコンピュータ、コンピューティングプラットフォーム、コンピューティングシステム、又は電子計算装置の動作及び/又はプロセスを示す。
【0008】
本発明の実施の形態はこの点に関して限定されるものではないが、本明細書で使用される用語「複数“plurality”及び“a plurality”」は、例えば「複数“multiple”」又は「2以上」を含む場合がある。用語「複数“plurality”又は“a plurality”」は、2以上のコンポーネント、装置、エレメント、ユニット、パラメータ等を説明するために明細書を通して使用される。例えば、「複数のステーション」は、2以上のステーションを含む。
【0009】
図1を参照して、本発明の実施の形態は、概念的に示されるように、システム100の1以上のコンポーネントを含む。ネットワーク110は、LAN,WAN等を含む任意のネットワークであるか、又はインターネットであり、例えばクライアント、サーバ、アクセスポイント、ルータ等といった複数の装置の間を接続して通信を可能にする。
【0010】
クライアント130は、例えば有線、無線又は他の通信チャネルといった通信リンク又はチャネル140によりネットワーク110に接続するのを望む場合がある。クライアント130は、通信リンクを通した通信に適した、例えばモデム、アンテナ等を含む通信モジュールを含むか、関連される場合がある。クライアント130は、例えば伝送の帯域又はキャリア周波数を切り替えることを含む、本明細書に記載される帯域選択方法を実行するプロセッサを含むか、又は関連される。クライアント130は、例えば以下の記載されるようにクライアント130への通信及び/又はクライアント130からの通信のための利用可能な帯域を含む帯域データを記憶するメモリを更に含むか、メモリに関連される。また、クライアント130は、ネットワーク110のステーションを含み、ピアSTAと呼ばれる。
【0011】
ネットワークへのゲートウェイは、例えばクライアントと無線で通信する無線アクセス装置120であり、例えば周波数帯域又は情報の搬送波周波数といった複数の帯域を介して係る通信を可能にする。アクセス装置120は、IEEE 802.11プロトコルを介してクライアントと通信するアクセスポイント(AP)、IEEE 802.16プロトコルを介してクライアントと通信する基地局、又は他の無線アクセス装置である場合がある。簡単さのため、ゲートウェイは、本明細書ではアクセスポイント又はアクセス装置、又はステーション(STA)と呼ばれるが、アクセス装置は任意の無線プロトコルを使用することが理解される。AP STA120は、例えばモデム、アンテナ等といった通信モジュールを含むか、通信モジュールと関連される。ゲートウェイ、又はAP STA120は、本明細書で記載される帯域の選択及び/又は切り替え機能を実行するプロセッサと関連される。ゲートウェイ、又はAP STA120は、以下に記載されるように、デバイス機能テーブルを記憶するメモリへの例えば論理アクセスといったアクセスを更に含むか、該アクセスと関連されるか或いは該アクセスを有する。
【0012】
通信チャネル140は、例えば周波数帯域又は対応する搬送波周波数の周辺の周波数帯域幅といった、複数の帯域を含む場合がある。帯域は、例えば無許可の60GHz帯域の周囲の無許可の周波数帯域にあるか、又は特に通信ネットワーク110の許可された帯域と関連される場合がある。帯域は、2.4GHz、5GHz又は極超短波(UHF)帯域の周辺といった、複数の周波数の周辺である場合がある。帯域は、指定を有しており、例えば2.4GHz帯域は、計測、科学、測定(ISM)の用途について指定される。高周波での帯域は、より大きなデータレートのキャパシティを有し、例えば60GHzの周辺の帯域は、UHFでの帯域よりも大きなデータ搬送キャパシティを有する。低周波での帯域は、より大きい通信範囲を有し、例えばUHFでの帯域は、60GHzの周辺の帯域よりも長い範囲を有する。
【0013】
STAは、マルチバンドのレートスケーリングをサポートし、複数の帯域において動作可能であり、帯域間での通信を選択的に切り替えることができる。STAは、マルチバンド動作が可能であることを示し、例えば機能の情報エレメントを伝送することで動作することができる帯域を一覧にする。機能の情報エレメントは、1以上のピアSTA又はクライアントに送出され、STAは、1以上のピアSTA又はクライアントと通信する場合がある。機能の情報エレメントは、例えば802.11プロトコルといった標準的な通信プロトコルである通信プロトコルのエレメントに含まれる、機能の情報エレメントを含むプロトコルのエレメントは、あるフレームであるか、又は例えばAssociation Request,Association Response,Probe Request,Probe Response,Tower Data-Link Services (TDLS) Setup Request,TDLS Setup Response又はBeacon frameといった他のコマンドセットである場合がある。
【0014】
ピアSTA又はクライアントは、機能の情報エレメントのAP STAからの送信を受け、別のSTAのマルチバンド機能を知る場合がある。同様に、AP STAは、機能の情報エレメントの、ピアSTA又はクライアントからの送信を受ける場合がある。ピアSTAは、送信STAと前に通信したかもしれず、送信STAとピアSTAの機能を共有する場合がある。2つのSTA間に整合するマルチバンドの機能が存在することについて判定が行われる。何れかのSTAは、別のSTAにマルチバンド動作に切替が行われることを合図し、例えば複数の動作帯域といった複数のチャネルの間で、例えばデータ通信といった動作の切り替えを含む場合がある。データ伝送帯域の切り替えは、例えば通信の範囲を拡張すること、データ伝送レートを増加すること、電力を低減すること、又は同様の利点を提供する他の理由のためといった、様々な理由について実行される。
【0015】
本発明の1実施の形態は、利用可能な通信帯域の間で切り替える判定を行う方法であり、この場合、あるSTAが係る判定を行う。STAは、送出すべき少量のトラフィックを有することを判定するか、又は例えばピアSTA又はクライアントといったピアからの少量のトラフィックを受信し、例えば電力が保存される帯域に切り替える場合がある。例えば、STAは、2.4GHz帯域で動作しており、低電力動作がUHF帯域で可能であることを判定する場合がある。低電力は、例えば低い帯域で低いサンプリングされたチャネル帯域幅を利用することで達成され、STAは、ピアSTAからの送信を待つ間、STAが動作しているアイドルリスニングモードで少ない電力を消費する。
【0016】
別の実施の形態では、STAは、トラフィックの負荷が現在の周波数帯域でリンクが飽和していることを判定し、より広いチャネル幅を有する別の周波数帯域に切り替え、例えばデータスループットといった動作パラメータを増加する場合がある。
【0017】
本発明の別の実施の形態では、STAは、低周波帯域で動作している間に信号品質が高いと判定し、次いで高周波帯域における通信が可能であることを判定する。例えば、STAは、5GHzの周波数帯域で動作しており、非常に高い信号品質を有する。この高い信号品質から、STAは、STAが、STAが通信しているピアSTAに近いことを判定し、例えば60GHz帯域の周辺といった高周波帯域において通信する場合がある。例えば60GHz帯域といった高周波帯域への切り替えは、例えばより大きな通信帯域幅をサポートするために実行される。
【0018】
本発明の別の実施の形態は、高周波帯域における通信により達成される信号品質が乏しいことを判定するSTAである。幾つかの実施の形態では、STAは、高周波帯域において通信することで達成される信号品質が乏しく、もはやある帯域で実現可能でないことを判定する場合がある。係る判定は、例えば、STAが通信しているピアSTAから制限された応答が受信されるか又は応答がない場合に行われる。STAは、例えば通信が可能な低周波帯域に切り替える判定を行う。この切り替えは、例えばSTA間の範囲が変化し、通信がなお望まれるときに実行される。
【0019】
別の実施の形態では、STAは、フィードバック情報を受信するか、又は例えばピアSTAからの応答データを受信し、別の周波数帯域における通信が通信における改善を提供しないことを示す場合がある。例えば、改善は、高いデータ伝送レート、高いデータスループット、又は低い電力消費量のうちの1以上である場合がある。STAは、このフィードバック情報を処理し、このフィードバック情報を使用して別の周波数帯域に切り替えるか否かを判定する。
【0020】
本発明の実施の形態に係るSTAは、例えばサービス品質といった通信を有するトラフィックのタイプのパラメータに基づく帯域を切り替えるように判定する場合がある。例えば、STAは、VoIP(Voice over Internet Protocol)を含むトラフィックを伝達し、例えば低周波といった別の帯域における通信が高いサービス品質を提供することを判定する場合がある。係る判定は、例えば低い停止の確率、又は別の通信帯域に切り替えるための判定における通信のロバスト性といった、1以上のサービス品質のパラメータを考慮する場合がある。
【0021】
幾つかの実施の形態では、無線アクセス装置120は、ピアクライアントへのアクセスを可能にする。ピアクライアントは、例えば通信リンクを通した通信に適したモデム、アンテナ等を含む、通信モジュールを含むか又は通信モジュールに関連される。ピアクライアントは、例えば帯域又は伝送の搬送波周波数を含めて、本明細書で記載される帯域選択方法を実行するプロセッサを含むか、該プロセッサに関連される。ピアクライアントは、以下に記載されるように、例えばピアクライアントへの通信及び/又はピアクライアントからの通信について利用可能な帯域を含む、帯域データを記憶するメモリを更に有するか、該メモリに関連される。ピアクライアントは、クライアント130とピアクライアントとの間でPAN又はWPANを確立することで、他のネットワークコンポーネントとの通信とは独立にクライアント130と通信する場合がある。本発明の幾つかの実施の形態では、クライアント130とピアクライアントは、コネクションを形成し、例えば携帯電話がラップトップコンピュータに接続するといった、ネットワークへの接続とは独立な場合がある、本明細書に記載される通信を確定し、それぞれ、通信の間に大規模なネットワークに接続されるか又は接続されない場合がある。係るコネクションは、ピアツーピア通信を確立し、STA−STA通信と呼ばれる場合がある。
【0022】
本発明の実施の形態では、STAは、図2の例示的な方法200に従って動作する。STAは、ピアSTAと関連付けされ(ステップ210)、STA間で共通するチャネル及び帯域の機能を決定する。データ通信の間、STAは、送信された信号及び受信された信号をモニタする(ステップ220)。STAは、例えばデータスループット又は電力消費量といった1以上の通信パラメータ及び/又はサービス品質パラメータをモニタし、ピアSTAからのフィードバックを更なるパラメータ又は1つのパラメータとして使用する。STAは、通信パラメータがデータ伝送の基準について満足されていないかを判定する。基準が1以上の通信パラメータとの比較に従って満足される場合、STAは、あるチャネルでのトラフィックをモニタし続ける。モニタリングは連続的であるか又は周期的である場合があり、プロトコルに従う場合がある。例えばある閾値に達しない場合といった、基準が満足されない場合、STAは、現在の通信帯域から、関連付け(ステップ210)の間に利用可能であると判定された別の通信帯域への切り替えを実行する。切り替えは、データ伝送をモニタリングしているSTAにより始動されるか、切り替えは、データ伝送をモニタリングし、帯域を切り替える意図を伝達するピアSTAにより始動される場合がある。
【0023】
本発明の実施の形態によれば、動作帯域が切り替えられたときにSTA間の接続性を維持するプロトコルが使用される。ある動作帯域から別の動作帯域に動作が切り変わる条件を指示するか、及び/又は実際の帯域の切り替えの信号を提供するプロトコルが使用される場合がある。シグナリングプロトコルは、帯域外(out-of-band)制御のシグナリングプロトコルであり、存在する一般的な制御チャネルを使用する。一般的な制御チャネルは、例えばアクセスポイントSTA120とクライアントSTA130といった、送信STAとピアSTAとの間で共通であり、制御メッセージのやり取りがSTA間で行われるロバストなリンクが提供され、データ転送の間又はデータ転送が行われないときに制御メッセージのやり取りが行われる。制御チャネルは、物理チャネルであり、例えば利用可能な低周波帯域チャネルである場合がある。共通のチャネルは、例えば個別の無線周波で動作するそれぞれのSTA、及び/又は低周波帯域チャネルといった独立のチャネルで動作しており、常に利用可能な送信器及び受信器のペア、又はトランシーバにより、STA及びピアSTAで利用可能である。制御チャネルは、仮想チャネルであり、例えばピアSTAで同意されており、ピアSTA間で設定されるスケジューリングアレンジメント又は別のアレンジメントにより形成される。例えば、STAは、例えば50ミリ秒の期間毎に1ミリ秒といった予め決定された期間について低周波帯域で送信及び/又は接続待ちしているSTAが存在する。制御チャネルは、データチャネルとの固定された関係を有しており、この関係は、例えば制御チャネルマッピングといったマッピングによる。例示的なマッピングは、例えば60GHz帯域といった高周波マッピングと例えば2.4GHz帯域の低周波帯域との間のマッピングであり、マッピングテーブルにより示される。
【0024】
【表1】

例えば60GHz帯域におけるチャネルは、チャネル1として指定されており、チャネル1として指定される2.4GHz帯域における制御チャネルに対応する。60GHz帯域における別のチャネルは、チャネル2として指定されており、チャネル6として指定される2.4GHz帯域における制御チャネルに対応し、60GHz帯域における別のチャネルは、チャネル3として指定されており、チャネル11として指定される2.4GHz帯域における制御チャネルに対応する。係る例示的な実施の形態では、2.4GHz帯域は、制御指示プロトコルの制御チャネルを含み、60GHz帯域でのデータ伝送帯域に対応する。マッピングは予め決定されており、共通のネットワークに接続するSTAで記憶される。マッピングは、STAにより動的にアナウンスされ、ピアSTAにより受信され、例えば両方のSTAで一時的に記憶される。
【0025】
本発明の別の実施の形態では、制御指示プロトコルは、データの通信及び/又は伝送と同じチャネルにある。制御チャネルは、データ伝送帯域と同じ帯域である帯域を使用する物理チャネル又は仮想チャネルであり、上述されたのと実質的に同じ方式で動作する。例えば、制御プロトコルは、タイムシェアリングプロトコルを使用し、仮想チャネルとして動作する。
【0026】
本発明の実施の形態によれば、モニタリング及び切り替えのイベントの前の幾つかの準備のステップは、例えば図3の概念的な通信ダイアグラム(300)で示されるように実行される。本発明の実施の形態では、関連付けセッションの間、AP STAは、クライアント(CLIENT STA)又はピアSTAと通信する場合がある。AP STAは、通信(310)をサポートするために使用することができる利用可能な帯域幅をブロードキャストする。クライアントSTAは、AP STAから帯域幅の可用性に関するブロードキャストを受信し、この情報を、通信をサポートするために使用することができる利用可能な通信帯域のそれ自身のリストと比較し、整合する帯域のリストを記憶する(320)。クライアントSTAは、1以上の整合する帯域のリストをAP STAに送信し(330)、この送信が応答となる。AP STAは、応答を受け、クライアントSTAと関連付けする整合する帯域のリストを記憶する。応答が複数の整合する帯域を含むとき、AP STA及びクライアントSTAは、マルチバンド通信及び切替が利用されることを判定する。同じ方法がクライアントSTAから指導されるブロードキャストにより始動され、実質的に上述のように続くことが理解される。
【0027】
本発明の実施の形態では、制御チャネルが存在し、STAは、制御チャネルで動作しているピアSTAにメッセージを送出することで、別の帯域に切り替える意図を指示する。メッセージは、例えば別の帯域への切替が即座に行われることを指定するか、又は、メッセージは、例えば帯域の切替が行われる特定の時間又はタイムスロットといった将来のポイントを示すスケジュールを提供する。
【0028】
本発明の実施の形態は、例えば制御チャネルが存在しないとき又はアクティブでないときに、帯域内のシグナリングを使用する。データチャネルにおけるピアSTAへの接続性を有するSTAは、シグナルメッセージであるデータチャネルでピアSTAにメッセージを送出する。シグナルメッセージは、別の帯域への切り替える意図を指示する。シグナルメッセージは、例えば別の帯域への切替が即座に行われるをことを指定するか、又は、シグナルメッセージは、例えば帯域の切り替えが行われるとき、例えば特定の時間又はタイムスロットといった将来のポイントを示すスケジュールを提供する。
【0029】
本発明の別の実施の形態では、帯域内のシグナリングは、例えば制御チャネルが存在しないか又はアクティブでないときに使用され、STAは、データの転送前に信号を提供する。係る信号は、指示のメッセージを含み、データ伝送の通信の損失の場合に通信を維持する命令を含む。例えば、指示は、アクティブなデータ伝送帯域における通信の損失の場合における通信のため、選択された帯域又は予め決定された帯域を検索することである。STAは、例えば肯定応答を受信することなしに予め決定された回数でデータパケットを再送信すること、又は例えば予め決定された回数後に接続されたピアSTAからデータが受信されないことを判定すること、といった様々な方法を使用して、接続性の損失が生じたことを判定する。接続性の損失が生じたことの判定に応じて、STAは、別の帯域に切り替え、帯域の選択は、接続性を再確立するため、データ伝送前に受信された指示メッセージに従う。代替となる帯域への切り替えの後、STAは、通信していたピアSTAと連絡を取るのを試みる。
【0030】
本発明の実施の形態によれば、STAは、例えば図4の概念的な通信ダイアグラム(400)に示されるように、帯域を切り替えることを判定する。本発明の実施の形態では、AP STAは、クライアントSTAと通信する(410)。クライアントSTAは、上述したように1以上の通信パラメータをモニタしており、これらを1以上の閾値と比較する(420)。1以上のパラメータが、例えばデータスループット又は信号強度といった通信パラメータの測度である予め決定された閾値といった閾値と一致しない場合、STAは、データ通信帯域を切り替える判定を行う。クライアントSTAは、例えばプロトコルに従って帯域切り替え信号をAP STAに送出し、帯域切り替え信号は、ある帯域を次の帯域に切り替えることに関する情報を含む。ある帯域は、例えば関連付けの間に予め決定されている利用可能な帯域の予め決定されたリストから選択され、リストはメモリに記憶さえている。AP STAは、帯域切り替え信号を受信して、データ通信のための別の帯域を選択し(440)、選択は、受信された帯域切り替え信号に含まれる情報に従う。AP STAは、新たなデータ通信帯域を使用して送信し、新たな帯域選択の応答である信号を送出する(450)。クライアントSTAは、帯域切り替え信号に含まれる情報に従う新たなデータ通信帯域を選択し(460)、AP STAから応答信号を受信する。通信は、クライアントSTAとAP STAとの間で新たに選択された帯域で継続する(470)。例えば通信信号のモニタリングといった他のアクティビティも継続する。同様のやり方で、モニタリング及び比較は、AP STAで行われ、AP STAは、帯域切り替え信号を始動し、実質的に上述されたようにAP STAで行われるモニタリング及び比較から切り替えが行われる。
【0031】
本発明の例示的な実施の形態では、STA及びピアSTAは、例えば2.4GHz帯域と60GHz帯域を通して通信するために利用可能である。観察されるパフォーマンスの状態の例示的なグラフ(500)は、図5により示される。グラフを参照して、物理(PHY)データレート(510)は、STA間の距離(520)に関してプロットされる。プロットは、60GHz帯域での動作のためのパフォーマンス曲線(530)である。別のプロットは、2.4GHz帯域での動作のためのパフォーマンス曲線(540)である。あるチャネルのリンクのパフォーマンスを表す係るプロットから、帯域切り替え動作を実行するポイントを選択するパラメータを決定するために使用される閾値が決定される。例えば、範囲は例えば10メートルに減少し、2.4GHz帯域から60GHz帯域への切替が可能となり(550)、係る切り替えは、データ伝送レートにおける改善を与える。範囲は、例えば16メートルに増加し、STAは、例えば60GHzから2.4GHz帯域に切り替わることを判定し(560)、係る切り替えは、あるリンクの動作の拡張された距離の範囲を提供する。
【0032】
本発明の実施の形態によれば、チャネル又は帯域の切り替えは、例えばSTAが携帯電話であるとき、又はチャネルの状態が変わっているとき、といった頻繁に行われる。例えばIP(Internet Protocol)、ARP(Access Resolution Protocol)又はTCP(Transmission Control Protocol)といった上位層のプロトコルは、動作を切り替えることで影響を受けない。切り替え動作は、上位層のプロトコルが完全なままであって切り替え動作により影響を受けないように実行される。例えばAP STAといったSTAは、単一のMAC(Media Access Control)アドレスを、例えば上位レイヤの制御プロトコルの上位レイヤに与える。次いで、通信のために使用するチャネル又は帯域の選択は、MAC SAP(Service Access Point)よりも下位で行われ、上位レイヤから隠されている。係るやり方で自身を確立するSTAは、プロトコルの上位レイヤが影響を受けないままにして帯域の切り替えを実行することができる。
【0033】
本発明の幾つかの実施の形態では、帯域間の切り替えは、頻繁に行われるか又は短期間を通して行われる。リンクの状態が悪化したとき、帯域間の高速の切り替えが行われる場合がある。新たなBSS(Basic Service Set)は、上述した方法に従って帯域が切り替わるときに確立される必要はなく、この状態は、帯域間の高速切り替えを可能にする。
【0034】
本発明の所定の特徴が本明細書で図示及び記載されたが、多くの変更、置換、変形及び等価な概念は、当業者にとって行われる場合がある。従って、特許請求の範囲は、本発明の真の精神に含まれる全ての係る変更及び変形をカバーすることが意図されることを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クライアント装置が、アクセス装置との無線通信のための複数の利用可能な帯域を決定するステップと、
前記複数の利用可能な帯域のうちの第一の帯域を通して前記アクセス装置と通信するステップと、
前記第一の帯域を通しての通信の性能パラメータをモニタするステップと、
前記性能パラメータの値を前記性能パラメータの閾値と比較するステップと、
前記比較に基づいて、前記アクセス装置との通信のための前記複数の利用可能な帯域のうちの第二の帯域を選択し、前記アクセス装置に前記選択について通知し、前記第二の帯域を通して前記アクセス装置と通信するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記無線通信のための前記複数の利用可能な帯域を決定するステップは、前記第一の帯域及び前記第二の帯域とは異なる第三の帯域を通して前記アクセス装置と通信することを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第三の帯域は、前記複数の利用可能な帯域の可用性に関する通信のために確保される、
請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記無線通信のための前記複数の利用可能な帯域を決定するステップは、前記第一の帯域を通して前記アクセス装置と通信することを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記アクセス装置との無線通信のための前記複数の利用可能な帯域は、予め決定されたシグナリングプロトコルに従って前記アクセス装置と通信することを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記性能パラメータの閾値は、前記クライアント装置により動的に変更され、
当該方法は、前記アクセス装置に前記閾値における変更を通知するステップを更に含む、
請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記性能パラメータの閾値は、前記アクセス装置により動的に変更され、
当該方法は、前記クライアント装置に前記閾値における変更を通知するステップを更に含む、
請求項1記載の方法。
【請求項8】
複数の帯域を通してアクセス装置と無線通信を行うクライアント装置を備えるシステムであって、
前記クライアント装置は、前記アクセス装置との無線通信のための複数の利用可能な帯域を決定し、前記複数の利用可能な帯域のうちの第一の帯域を通して前記アクセス装置と通信し、前記第一の帯域を通しての通信の性能パラメータをモニタし、前記性能パラメータの値を前記性能パラメータの閾値と比較し、前記比較に基づいて、前記アクセス装置との通信のために前記複数の利用可能な帯域のうちの第二の帯域を選択し、前記アクセス装置に前記選択について通知し、前記第二の帯域を通して前記アクセス装置と通信する、
ことを特徴とするシステム。
【請求項9】
前記クライアント装置は、前記第一の帯域及び前記第二の帯域とは異なる第三の帯域を通して前記アクセス装置と通信することで、無線通信のための前記複数の利用可能な帯域を決定する、
請求項1記載のシステム。
【請求項10】
前記クライアント装置は、前記第一の帯域を通して前記アクセス装置と通信することで、無線通信のための前記複数の利用可能な帯域を決定する、
請求項1記載のシステム。
【請求項11】
前記クライアント装置は、予め決定されたシグナリングプロトコルに従って前記アクセス装置との無線通信のための前記複数の利用可能な帯域を決定する、
請求項8記載のシステム。
【請求項12】
前記クライアント装置は、前記性能パラメータの前記閾値を変更し、前記アクセス装置に前記変更について通知する、
請求項8記載のシステム。
【請求項13】
前記クライアント装置は、前記性能パラメータの閾値に対する変更について前記アクセス装置から受信する、
請求項8記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−511930(P2013−511930A)
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−540178(P2012−540178)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際出願番号】PCT/US2010/058693
【国際公開番号】WO2011/078950
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WCDMA
【出願人】(593096712)インテル コーポレイション (931)
【Fターム(参考)】