説明

マルチプル・リスク・ファクター症候群を予防又は改善するための組成物

【課題】副作用や安全性に問題がなく、内臓脂肪型肥満、糖尿病、高脂血症及び高血圧症を含むマルチプル・リスク・ファクター症候群を予防又は改善するための組成物を提供する。
【解決手段】甘草疎水性抽出物、ウコン抽出物、クローブ抽出物及びシナモン抽出物からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、内臓脂肪型肥満、糖尿病、高脂血症及び高血圧症等のマルチプル・リスク・ファクター症候群を予防又は改善するための組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内臓脂肪型肥満、糖尿病、高脂血症、高血圧症を含むマルチプル・リスク・ファクター症候群を予防又は改善するための組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
栄養過多や運動不足などの生活習慣の悪化による生活習慣病は大きな社会問題となっている。ここでの生活習慣病としては肥満、糖尿病、高脂血症、高血圧症などの病態が挙げられ、これらの病態は動脈硬化発症の基盤病態となるマルチプル・リスク・ファクター(多重危険因子)症候群として重要視されている。また、ヒトだけに限らず、イヌやネコなどのペットにおいても問題となっている。
【0003】
肥満は、皮下に脂肪が蓄積する皮下脂肪型肥満と、腹腔内に脂肪が蓄積する内臓脂肪型肥満に大別される。
内臓脂肪型肥満は、高脂血症、耐糖能異常、高血圧症を高率に併せもつ病態であり、またインスリン抵抗性も強く、マルチプル・リスク・ファクター症候群であると言われている。また、内臓脂肪の蓄積は肥満者だけでなく正常体重の範囲にある者でもみられ、上記のマルチプル・リスクを伴いやすい(非特許文献1参照)。すなわち、内臓脂肪の蓄積がインスリン抵抗性や糖尿病、高脂血症、高血圧症などを引き起こしている。この病態概念を、松澤らは「内臓脂肪症候群(visceral fat syndrome)」と提唱した(非特許文献2参照)。また、G.M.Reavenが提唱する「シンドロームX」(非特許文献3参照)、N.M.Kaplanが提唱する「死の四重奏(deadly quartet)」(非特許文献4参照)、R.A.DeFronzoが提唱する「インスリン抵抗性症候群」(非特許文献5参照)も同様の病態概念である。
【0004】
肥満の治療法は、一般的には食事療法と運動療法であり、重篤な肥満症に対しては薬物療法が行われる。しかし、これらの治療法は医療機関において患者に対して指導あるいは処方されるものであり、これら疾患の予備軍といわれる人々を対象にしていない。また、抗肥満剤として、食欲抑制剤、エネルギーとなる糖や脂肪などの消化吸収阻害剤、エネルギー消費促進剤が挙げられる。しかし、食欲抑制剤や消化吸収阻害剤は内臓脂肪を積極的に低減するものではなく、エネルギー消費促進剤は内臓脂肪を特異的に低減するものではない。
【0005】
特許文献1には、脂肪吸収抑制作用をもつカワラケツメイ抽出物と糖吸収抑制作用をもつクワ抽出物の両者を混合投与することにより体重増加抑制、皮下脂肪及び内臓脂肪の低下が認められることが開示されている。その他の天然由来素材としては、魚油、アマニ油及びシソ油などの植物油脂などの高度不飽和油脂由来の物質(特許文献2参照)あるいは共役異性化高度不飽和脂肪酸(特許文献3参照)が内臓蓄積脂肪低減化機能を有すること、小麦由来のアミラーゼ阻害物質(特許文献4参照)が内臓脂肪蓄積抑制をすること、D−キシロース及び/又はL−アラビノース(特許文献5、特許文献6参照)が体脂肪(皮下脂肪、内臓脂肪)蓄積抑制をすることが知られている。
【0006】
糖尿病はインスリンの作用不足の結果により生じる慢性の高血糖を主徴とする疾患であり、糖尿病患者の90%以上は2型糖尿病(インスリン非依存性糖尿病:NIDDM)である。我が国での糖尿病患者数は、平成5年に157万人であったが、平成8年には218万人(厚生省の患者調査)に急激に増加している。さらに、平成9年11月に実施された厚生省の糖尿病実態調査によると、糖尿病が強く疑われる人(治療中の人を含む)は690万人であり、糖尿病の可能性が否定できない人を合わせると1370万人であると推計されている。すなわち、糖尿病患者数の急激な増加に加え、医療機関において治療を受けていない糖尿病予備軍といわれる人々がはるかに多く、これは重大な問題となっている。
【0007】
糖尿病の治療には、食事療法と運動療法があり、これで十分な効果が得られない場合は薬物療法が加えられる。薬物療法にはインスリン療法や経口血糖降下薬が用いられる。経口血糖降下薬としては、トルブタミドやグリベンクラミドなどのスルホニル尿素薬、ブホルミンやメトホルミンなどのビグアナイド薬、アカルボースやボグリボースなどのα−グルコシダーゼ阻害薬、トログリタゾンやピオグリタゾンなどのインスリン抵抗性改善薬などが挙げられる。
食事療法では、過食を改め、適切なカロリー摂取を行い、肥満があれば標準体重に近づけるよう努められている。食事療法に用いられる食品は、厚生省認可特別用途食品の糖尿病食調整用組合わせ食品が知られている。しかし、これはいわゆる低カロリーの栄養バランス食品であるに過ぎず、糖尿病に対して本質的な治療効果を認めるものではない。
【0008】
また、これらの治療は、医療機関において糖尿病患者に対して処方されるものであって、糖尿病患者数よりもはるかに多い糖尿病予備軍といわれる人々を対象にしていない。そこで、保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品)や健康食品などの飲食品あるいは医療機関でなくても容易に入手できる医薬品(医薬部外品を含む)として、糖尿病を予防または改善する効果を有する組成物が望まれている。
さらに、家畜またはペットにおいても糖尿病が増えており、家畜またはペット用の糖尿病を予防または改善する効果を有する組成物の開発が望まれている。
【0009】
特許文献7には、ショウガ科のキョウオウ(Curcuma aromatica)の抽出成分であるクルクメノンを有効成分とする糖尿病治療剤が開示されている。また、特許文献8には、キョウオウ(Curcuma aromatica)の抽出成分である(4S,5S)−(+)−ゲルマクロン4,5−エポキシドを有効成分とする糖尿病治療剤が開示されている。キョウオウは生薬の一種として知られているが、食品添加物として認可されていない。
【0010】
甘草及びその水抽出物は、鎮痛鎮痙作用、去痰作用をもつ生薬として、あるいは食品として利用されている。その主成分であるグリチルリチン(グリチルリチン酸)にショ糖の約200倍の甘さがあることから、甘草から水またはアルカリ性水溶液で抽出して得られる“カンゾウ抽出物”は甘味料として食品添加物でもある(非特許文献6参照)。その生理作用としては、副腎皮質の電解質もしくは糖質コルチコイド様作用、エストロゲン様作用、テストステロン産生阻害作用、鎮咳作用、抗炎症作用、抗アレルギー作用、解毒作用、高脂血症改善作用、胃粘膜細胞内サイクリックAMP濃度増加作用、実験的肝障害予防または改善効果、抗ウイルス作用、インターフェロン誘起作用、抗う蝕作用、発癌プロモーター阻害作用、細胞内Ca2+減少作用、ホスホリパーゼA阻害作用、LTB及びPGE産生抑制作用、血小板活性化因子産生抑制作用などが知られている。また、甘草は糖尿病による強い口渇、多飲、多尿に対して処方される白虎加人参湯の配合成分のひとつであり、他の配合成分である石膏、知母、人参と同様に、甘草の水抽出物には血糖降下作用があることが報告されている(非特許文献7参照)。
【0011】
甘草から水またはアルカリ性水溶液で抽出してグリチルリチンを抽出した後の甘草残渣には強肝作用及び/又は感染防御作用(特許文献9参照)、免疫増強作用(特許文献10参照)、抗ウイルス作用(特許文献11参照)があることが知られている。また、甘草を水で洗浄した残渣からエタノール、アセトンまたはヘキサンで抽出して得られる“カンゾウ油性抽出物”は、酸化防止剤として食品添加物である(非特許文献8参照)。カンゾウ油性抽出物にはヘリコバクター・ピロリに対する抗菌作用(特許文献12、特許文献13参照)があることが知られている。しかし、グリチルリチン抽出後の甘草残渣やカンゾウ油性抽出物に内臓脂肪低減作用、血糖降下作用、脂質代謝改善作用、血圧上昇抑制作用があることは知られていない。
【0012】
なお、甘草の過剰摂取や長期連用で高血圧、浮腫、低カリウムなどの偽アルドステロン症が引き起こされることは古くから知られている。これは、甘草の主成分であるグリチルリチンによって引き起こされるものである。グリチルリチンの加水分解産物であるグリチルレチン酸によって高血圧が引き起こされることも報告されている(非特許文献9参照)。すなわち、甘草の親水性成分を含みグリチルリチンを主成分とする甘草水抽出物は、高血圧を引き起こす。
【0013】
熱帯アジアを原産とするショウガ科ウコン属に分類される熱帯性植物として、ウコン(秋ウコン:Curcuma longa)、キョウオウ(春ウコン:Curcuma aromatica)、ガジュツ(紫ウコン:Curcuma zedoaria)、クスリウコン(Curcuma xanthorrhiza)などの品種がある。このうち、ウコンは、一般的にはカレーのスパイスの一つであるターメリックとして知られているが、食用として利用されるだけでなく、ウコンの主要成分であるクルクミンが黄色色素(天然色素)であることから、ウコンまたはウコン抽出物(ウコン色素)は染料あるいは着色料(食品添加物)としても利用されている。また、中国の漢方、インドのアーユルヴェーダ、インドネシアのジャムーなどの伝統療法では、ウコンには止血作用、健胃作用、抗菌作用、抗炎症作用があることが古くから知られており、薬用としても利用されている。さらに、ウコン及び主要成分クルクミンの効能が着目され、抗酸化作用、胆汁分泌促進作用(利胆作用)、内臓(肝臓、膵臓)機能増強作用、発癌抑制作用、脂質代謝改善作用、美白作用など様々な生理作用が明らかにされてきている。
しかし、ウコン(Curcuma longa)またはウコン抽出物に内臓脂肪低減作用、血糖降下作用、血圧上昇抑制作用があることは未だ知られていない。
【0014】
クローブ(丁子)は、フトモモ科のSyzygium aromaticumまたはEugenia caryophyllataの蕾、葉または花であり、香辛料の一つとして知られている。クローブは、抗菌・殺菌作用や鎮痛・麻酔作用があるため口臭消しや歯痛止めとして古くから利用されてきただけでなく、健胃薬として生薬や漢方薬に利用されている。また、クローブ抽出物は酸化防止剤として食品添加物に利用されている。しかし、クローブまたはクローブ抽出物に内臓脂肪低減作用、血糖降下作用、脂質代謝改善作用、血圧上昇抑制作用があることは未だ知られていない。
【0015】
シナモン(肉桂、ニッキ)またはカッシアは、クスノキ科のCinnamomum cassia、C.zeylanicumまたはC.loureiriiの樹皮である。シナモンは、抗菌作用や抗酸化作用などがあり古くから香辛料の一つとして利用されており、また桂皮として薬用にも利用されている。しかし、シナモンまたはシナモン抽出物に内臓脂肪低減作用、血糖降下作用、脂質代謝改善作用、血圧上昇抑制作用があることは未だ知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開平11−187843号公報
【特許文献2】特開平10−231495号公報
【特許文献3】特開2000−144170号公報
【特許文献4】特開平09−194390号公報
【特許文献5】特開平07−309765号公報
【特許文献6】特開平07−242551号公報
【特許文献7】特開平1−233217号公報
【特許文献8】特開平6−192086号公報
【特許文献9】特開平9−143085号公報
【特許文献10】特開平5−262658号公報
【特許文献11】特開平1−175942号公報
【特許文献12】特開平10−130161号公報
【特許文献13】特開平8−119872号公報
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】BIO Clinica,2000年9月増大号,16−55
【非特許文献2】Diabetes/Metabolism Reviews,13,3−13,1997
【非特許文献3】Diabetes,37,1595−1607,1988
【非特許文献4】Archives of Internal Medicine,149,1514−1520,1989
【非特許文献5】Diabetes Care,14,173−194,1991
【非特許文献6】既存添加物名簿収載品目リスト注解書、163ページ、日本食品添加物協会、1999年
【非特許文献7】I.Kimura,et al.,Phytotheraphy Research,13,484−488,1999
【非特許文献8】既存添加物名簿収載品目リスト注解書、164ページ、日本食品添加物協会、1999年
【非特許文献9】H.Siguruonsdottir,et al.,Journal of Human Hypertension,15,549〜552,2001
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、副作用や安全性に問題がなく、内臓脂肪型肥満、糖尿病、高脂血症及び高血圧症を含むマルチプル・リスク・ファクター症候群を予防又は改善するための組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、マルチプル・リスク・ファクター症候群の原因となるのは内臓脂肪型肥満であることから、蓄積した内臓脂肪を低減することによって、マルチプル・リスク・ファクター症候群を予防又は改善することができることに着目した。
そこで本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、甘草疎水性抽出物、ウコン抽出物、クローブ抽出物、シナモン抽出物が、蓄積した内臓脂肪を低減する作用、血糖上昇抑制作用、血糖降下作用、脂質代謝改善作用及び血圧上昇抑制作用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0019】
すなわち、本発明は、甘草疎水性抽出物、ウコン抽出物、クローブ抽出物及びシナモン抽出物からなる群より選択される少なくとも1種を含有するマルチプル・リスク・ファクター症候群を予防又は改善するための組成物に関する。本発明のマルチプル・リスク・ファクター症候群を予防又は改善するための組成物は、内臓脂肪型肥満を予防又は改善するための組成物であってもよいし、糖尿病を予防又は改善するための組成物であってもよいし、高脂血症を予防又は改善するための組成物であってもよいし、高血圧症を予防又は改善するための組成物であってもよい。
また、本発明は、甘草疎水性抽出物、ウコン抽出物、クローブ抽出物及びシナモン抽出物からなる群より選択される少なくとも1種を含有する組成物をヒト、家畜又はペットに投与又は適用することからなる、マルチプル・リスク・ファクター症候群の予防又は改善方法に関する。
さらに、本発明は、マルチプル・リスク・ファクター症候群を予防又は改善するための組成物製造における甘草疎水性抽出物、ウコン抽出物、クローブ抽出物及びシナモン抽出物からなる群より選択される少なくとも1種の使用に関する。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、上述の構成よりなるので、内臓脂肪型肥満、糖尿病、高脂血症、高血圧症を含むマルチプル・リスク・ファクター症候群を予防又は改善するための組成物を提供することができる。本発明の組成物を摂取することにより蓄積した内臓脂肪を低減することができ、さらに、内臓脂肪の蓄積を原因とする肥満、糖尿病、高脂血症、高血圧症などの生活習慣病を予防または改善することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明を詳しく説明する。
本発明の組成物は、甘草疎水性抽出物、ウコン抽出物、クローブ抽出物及びシナモン抽出物のうち少なくとも1種以上を含有する。これらの抽出物は食品であり、また食品添加物として認可されており、副作用や安全性に問題がない。
【0022】
本発明の組成物は、内臓脂肪低減効果を有しており、マルチプル・リスク・ファクター症候群、ひいては、内臓脂肪型肥満、糖尿病、高脂血症及び高血圧症を予防又は改善することができる。すなわち、内臓脂肪低減効果のほか、血糖上昇抑制作用、血糖降下作用、脂質代謝改善作用及び血圧上昇抑制作用を有する。ここでいう脂質代謝改善作用とは、血清中の総コレステロール低下作用、中性脂肪低下作用または遊離脂肪酸低下作用である。
【0023】
なお、マルチプル・リスク・ファクター症候群における糖尿病とは、耐糖能異常による2型糖尿病(インスリン非依存性糖尿病)である。また、マルチプル・リスク・ファクター症候群における高脂血症とは、脂質代謝異常による血清中の総コレステロール、中性脂肪または遊離脂肪酸が上昇した病態である。
【0024】
内臓脂肪低減効果は、実験動物を用いて、腹腔内に蓄積した脂肪、例えば、性器(副睾丸、子宮)周辺脂肪、腎臓周辺脂肪、腸間膜脂肪、大網膜脂肪などの重量を秤量することにより測定できる。この場合に用いる実験動物としては、高脂肪食を与えた食餌性肥満モデル動物(M.Rebuffe−Scrive,et al.,Metabolism,42,1405−1409,1993)あるいは遺伝的な肥満モデル動物、例えば、KKマウス、KK−Ayマウス、ob/obマウス、db/dbマウス、Zucker fattyラット、OLETFラットなどが好ましい。また、内臓脂肪低減効果は、腹部CTスキャン画像における内臓脂肪面積の減少によって評価することが実験動物(C.S.Hun,et al.,Biochemical and Biophysical Research Communications,259,85−90,1999)及びヒト(K.Tokunaga,et al.,International Journal of Obesity,7,437−445,1983)において可能であるが、より簡単にはウエスト周囲の減少によって評価できる。
【0025】
また、本発明の組成物は、内臓脂肪低減効果を有することから、内臓脂肪型肥満、糖尿病、高脂血症及び高血圧症を含むマルチプル・リスク・ファクター症候群を予防又は改善することができる。すなわち、内臓脂肪が低減することにより、体脂肪率が低下し、肥満を予防または改善することができる。また、内臓脂肪の低減に伴って脂肪細胞が分泌する種々の生理活性物質(アディポサイトカイン)、例えば、レプチン、TNF−α(tumor necrosis factor−α)、遊離脂肪酸、アポプロテインE、アンジオテンシノーゲン、PAI−1(plasminogen activator inhibitor−1)などの分泌量が減少する。すなわち、内臓脂肪が低減することにより、インスリン抵抗性に関わるTNF−αが減少し、インスリン抵抗性や耐糖能障害が改善されて血糖値が低下し、糖尿病を予防または改善することができる。また、遊離脂肪酸や脂質運搬に関わるアポプロテインEが減少し、脂質異常が改善されて血中脂質値が低下し、高脂血症を予防または改善することができる。血圧調節に関わるアンジオテンシノーゲン、血栓形成に関わるPAI−1が減少し、血圧が低下し、高血圧症または動脈硬化を予防または改善することができる。
【0026】
本発明に用いる甘草疎水性抽出物の原料である甘草は、マメ科カンゾウ属Glycyrrhiza glabra、G.uralensisまたはG.inflataなどである。甘草は、古くから食経験がある食品であり、食品添加物や生薬としても利用されている。
【0027】
本発明に用いる甘草疎水性抽出物は、甘草またはその粉末から有効成分を有機溶媒を用いた抽出により得ることができる。あるいは、予め甘草の親水性成分を水またはアルカリ性水溶液を用いて抽出・除去した後、その甘草残渣または残渣を乾燥させたものから有効成分を有機溶媒を用いた抽出により得ることができる。ここで用いる有機溶媒は、医薬品や食品、食品添加物などの製造、加工に使用が許可されたものが好ましく、例えば、アセトン、エタノール、グリセリン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、シクロヘキサン、ブタノール、プロパノール、プロピレングリコール、ヘキサン、メタノールなどが挙げられ、食用油などの油脂類を用いても良い。またこれらの溶媒のうち少なくとも2種以上を混合して用いても良いし、これらの含水溶媒を用いても良い。さらに、単一溶媒で甘草の疎水性成分を効率良く抽出するためには、酢酸エチル、アセトン、エタノールなどが好ましい。甘草の疎水性成分を抽出して得た抽出液、またはそれから抽出溶媒を除去したものを、甘草疎水性抽出物とする。また、医薬品や食品として不適当な不純物を含有しない限り、粗抽出物または半精製抽出物として本発明に使用できる。
【0028】
本発明に用いるウコン抽出物の原料であるウコンは、ショウガ科ウコン属多年生草のウコン(秋ウコン:Curcuma longa)の根または根茎である。ウコンはスパイスの一つであるターメリックとして古くから食経験がある食品であり、またウコンから有機溶媒、例えば、エタノール、ヘキサン、アセトンなどで抽出したウコン抽出物であるウコン色素は着色料として食品添加物として認可されており、その安全性は高い。
【0029】
本発明に用いるウコン抽出物は、ウコンまたはその粉末から有効成分を水又は有機溶媒により抽出して得ることができる。ここで用いる有機溶媒としては、医薬品や食品、食品添加物などの製造、加工に使用が許可されたものが好ましく、例えば、アセトン、エタノール、グリセリン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、シクロヘキサン、ブタノール、プロパノール、プロピレングリコール、ヘキサン、メタノールなどが挙げられ、食用油などの油脂類を用いても良い。またこれらの溶媒のうち少なくとも2種以上を混合して用いても良いし、これらの含水溶媒を用いても良い。抽出により得た抽出液、またはそれから抽出溶媒を除去したものを、ウコン抽出物とする。また、医薬品や食品として不適当な不純物を含有しない限り、粗抽出物または半精製抽出物として本発明に使用できる。
【0030】
本発明に用いるクローブ抽出物の原料であるクローブ(丁子)は、フトモモ科のSyzygium aromaticumまたはEugenia caryophyllataの蕾、葉または花である。クローブは香辛料の一つとして古くから食経験がある食品であり、クローブ抽出物は酸化防止剤として食品添加物であり、その安全性は高い。
【0031】
本発明に用いるクローブ抽出物は、クローブまたはその粉末から有効成分を水または有機溶媒により抽出して得ることができる。ここで用いる有機溶媒としては、医薬品や食品、食品添加物などの製造、加工に使用が許可されたものが好ましく、例えば、アセトン、エタノール、グリセリン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、シクロヘキサン、ブタノール、プロパノール、プロピレングリコール、ヘキサン、メタノールなどが挙げられ、食用油などの油脂類を用いても良い。またこれらの溶媒のうち少なくとも2種以上を混合して用いても良いし、これらの含水溶媒を用いても良い。抽出により得た抽出液、またはそれから抽出溶媒を除去したものを、クローブ抽出物とする。また、医薬品や食品として不適当な不純物を含有しない限り、粗抽出物または半精製抽出物として本発明に使用できる。
【0032】
本発明に用いるシナモン抽出物の原料であるシナモン(肉桂、ニッキ)は、クスノキ科クスノキ属Cinnamomum cassia、C.zeylanicumまたはC.loureiriiである。シナモンは、香辛料の一つとして古くから食経験がある食品であり、副作用や安全性に問題がない。
【0033】
本発明に用いるシナモン抽出物は、シナモンまたはその粉末から有効成分を水または有機溶媒により抽出して得ることができる。ここで用いる有機溶媒としては、医薬品や食品、食品添加物などの製造、加工に使用が許可されたものが好ましく、例えば、アセトン、エタノール、グリセリン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、シクロヘキサン、ブタノール、プロパノール、プロピレングリコール、ヘキサン、メタノールなどが挙げられ、食用油などの油脂類を用いても良い。またこれらの溶媒のうち少なくとも2種以上を混合して用いても良いし、これらの含水溶媒を用いても良い。抽出により得た抽出液、またはそれから抽出溶媒を除去したものを、シナモン抽出物とする。また、医薬品や食品として不適当な不純物を含有しない限り、粗抽出物または半精製抽出物として本発明に使用できる。
【0034】
本発明の組成物は、マルチプル・リスク・ファクター症候群を予防又は改善するための組成物であって、甘草疎水性抽出物、ウコン抽出物、クローブ抽出物、シナモン抽出物のうち少なくとも1種以上を含有するものであればその形態は限定されず、例えば、保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品)や健康食品などの飲食品、医薬品、化粧品、医薬部外品などとして用いることができる。
【0035】
飲食品として用いる場合は、そのまま直接摂取することができ、また、公知の担体や助剤などを使用してカプセル剤、錠剤、顆粒剤など服用しやすい形態に成型して摂取することができる。これら成型剤における各抽出物の含有量は0.1〜100重量%、好ましくは10〜90重量%がよい。さらに、飲食物材料に混合して、チューインガム、チョコレート、キャンディー、ゼリー、ビスケット、クラッカーなどの菓子類、アイスクリーム、氷菓などの冷菓類、茶、清涼飲料、栄養ドリンク、美容ドリンクなどの飲料、うどん、中華麺、スパゲティー、即席麺などの麺類、蒲鉾、竹輪、半片などの練り製品、ドレッシング、マヨネーズ、ソースなどの調味料、マーガリン、バター、サラダ油などの油脂類、パン、ハム、スープ、レトルト食品、冷凍食品など、すべての飲食物に使用することができる。これら飲食用組成物を摂取する場合、その摂取量は各抽出物換算で成人一人一日当たり0.1〜1000mg/kg体重、好ましくは1〜100mg/kg体重がよい。また、家畜やペット用の飼料やペットフードとしても使用することができ、その摂取量は各抽出物換算で一日当たり0.1〜1000mg/kg体重が好ましい。
【0036】
医薬品として用いる場合は、その剤形は特に限定されず、例えば、カプセル剤、錠剤、顆粒剤、注射剤、坐剤、貼付剤などが挙げられる。製剤化においては、薬剤学的に許容される他の製剤素材、例えば、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、酸化防止剤、着色剤、凝集防止剤、吸収促進剤、溶解補助剤、安定化剤などを適宜添加して調製することができる。これら製剤の投与量としては、各抽出物換算で成人一人一日当たり0.1〜1000mg/kg体重、好ましくは1〜100mg/kg体重を1回ないし数回に分けて投与する。また、家畜やペット用の医薬品としても使用することができ、その投与量は各抽出物換算で一日当たり0.1〜1000mg/kg体重が好ましい。
【0037】
化粧品、医薬部外品として用いる場合は、例えば、軟膏、リニメント剤、エアゾール剤、クリーム、石鹸、洗顔料、全身洗浄料、化粧水、ローション、入浴剤などに使用することができる。
【0038】
本発明の組成物は、魚類、爬虫類、両生類、鳥類、哺乳類などあらゆる動物に投与又は適用することができる。哺乳類としては特に限定されず、例えば、ヒト、サル、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、マウス、ラット、モルモット等が挙げられる。
【実施例】
【0039】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0040】
甘草疎水性抽出物
(調製例1) 甘草疎水性抽出物の調製−1
ガラス容器にて甘草粉末(株式会社カネカサンスパイス)500gを5倍量の酢酸エチルに浸し、室温及び遮光状態で、時折撹拌しながら1週間放置した。濾紙(ADVANTEC No.2)を用いた濾過を2回行って粉末を除去し、抽出液を得た。その抽出液を減圧濃縮して溶媒を除去し、甘草疎水性抽出物33.91gを得た。
【0041】
(参考例1) 甘草疎水性抽出物中のグリチルリチン含量
調製例1で調製した甘草疎水性抽出物に含まれるグリチルリチン量をM.A.Raggi,et al.の方法(Boll.Chim.Farmaceutico.,133,704−708,1994)を参考にしたHPLC分析により測定した。分析カラムはCOSMOSIL 5C18−AR,4.6×250mm(ナカライテスク株式会社)を40℃で用い、移動相はアセトニトリル:蒸留水:酢酸(35:65:0.5,v/v)を流速1ml/min.で用い、ピークは251nmで検出した。グリチルリチン標準品にはグリチルリチン酸アンモニウム塩(和光純薬工業株式会社、食品添加物試験用)を用い、1〜20μg/mlの濃度範囲で検量線を作成し、定量した。
その結果、甘草疎水性抽出物1mg/ml中に含まれるグリチルリチン量は4μg/ml、すなわちグリチルリチン含量は0.4%であった。一般にグリチルリチン含量は甘草粉末中に2.5%以上、水抽出物中に4.5%以上、熱水抽出物中に6.0%以上であることから、甘草疎水性抽出物中のグリチルリチン含量が非常に少ないことが示された。
【0042】
(試験例1) 内臓脂肪低減効果
C57BL/6Jマウス(雌,10週齡)に高脂肪・高糖分食(オリエンタル酵母株式会社製、表1)を自由摂取にて4〜8週間与え、食餌性の肥満状態にした。その後マウスを各群6〜8匹に分け、正常食(オリエンタル酵母株式会社製、表1)を基本飼料として、無添加群(対照群)及び調製例1で得た甘草疎水性抽出物添加群を自由摂取にて4週間与えた。一晩絶食したマウスをエーテル麻酔下で開腹し、腹大動脈から採血して屠殺した。その後、子宮周辺脂肪及び腎臓周辺脂肪を摘出し、重量を測定した。子宮周辺脂肪量と腎臓周辺脂肪量の和を腹腔内脂肪量とした。この結果を表2に示す。
【0043】
【表1】

【0044】
【表2】

【0045】
表2から明らかなように、無添加群(対照群)に比し、甘草疎水性抽出物を添加した群において、摂餌量及び体重に変化はみられないが、腹腔内脂肪が顕著に減少した。すなわち、高脂肪・高糖分食の摂取によって蓄積した内臓脂肪が、甘草疎水性抽出物を含有した飼料を摂取することにより低減することが判明した。
【0046】
(試験例2) 2型糖尿病モデル・マウスに対する糖尿病予防効果−1
遺伝的に肥満を呈し2型糖尿病を発症するモデル動物であるKK−Ayマウスを用いて、調製例1で調製した甘草疎水性抽出物の糖尿病予防効果を評価した。陽性対照には、糖尿病治療薬であるトログリタゾンを用いた。
KK−Ayマウス(雌,6週齡)を3群(各群5匹)に分け、正常食(オリエンタル酵母株式会社、表1)を基本飼料として、無添加群(対照群)、トログリタゾン添加群、甘草疎水性抽出物添加群を自由摂取にて4週間与えた。トログリタゾンは、ノスカール錠200(1錠中トログリタゾン200mgを含有、三共株式会社)をメノウ乳鉢にて粉砕し、トログリタゾン添加量が0.2%となるように正常食に添加した。甘草疎水性抽出物は、調製例1で調製したものを添加量0.15%となるように正常食に添加した。
給餌期間中1週間毎にマウス尾静脈より少量採血し、簡易式血糖測定器ノボアシストプラス(ノボノルディクスファーマ株式会社)を用いて、血糖値を測定した。
給餌期間終了後、マウスを一晩絶食し、エーテル麻酔下で開腹して腹大動脈から採血し、肝臓を摘出して重量を測定した。また、血清中の総コレステロール(T−CHO)、中性脂肪(TG)、遊離脂肪酸(NEFA)、GOT、GPT、LAP、コリンエステラーゼ(ChoE)、総蛋白(TP−S)、アルブミン(ALB−S)、A/G比を株式会社総合医化学研究所に依頼し分析した。
【0047】
【表3】

【0048】
マウス体重を表3に示す。トログリタゾン添加群のマウス体重は、無添加群(対照群)をやや上まわり、4週後では有意に増加した。甘草疎水性抽出物群では、無添加群(対照群)との有意な差が認められなかった。
【0049】
【表4】

【0050】
血糖値の測定結果を表4に示す。給餌開始時の血糖値は145〜157mg/dlであり、いずれの群においても高血糖になっていなかった。1週後からは、無添加群(対照群)での血糖値は390mg/dlを越え、糖尿病の発症が確認された。無添加群(対照群)に比し、トログリタゾン添加群では血糖上昇が有意に抑えられており、血糖上昇抑制作用が認められた。この時のトログリタゾン投与量は、マウス体重と摂餌量から算出すると、約270mg/kg/dayであった。一方、甘草疎水性抽出物群では2週後から血糖上昇が有意に抑えられており、血糖上昇抑制作用が認められた。この時の甘草疎水性抽出物の投与量は、マウス体重と摂餌量から算出すると、約190mg/kg/dayであった。
【0051】
【表5】

【0052】
肝臓重量及び血液検査の結果を表5に示す。無添加群(対照群)に比し、トログリタゾン添加群ではTG及びNEFAが有意に減少し、脂質代謝改善作用が認められた。しかし、トログリタゾン添加群では肝臓重量が有意に増加し、GPTが有意に上昇し、有意ではないがGOTが13%上昇しており、肝機能異常が示唆された。一方、甘草疎水性抽出物群ではT−CHO及びNEFAが有意に減少し、有意ではないがTGが35%減少し、脂質代謝改善作用が認められた。しかも甘草疎水性抽出物群では肝臓重量、GOT、GPTなど肝機能を表す指標に有意差は認められず、肝機能に対する毒性がないことが示された。
以上の結果から、甘草疎水性抽出物は、陽性対照としたトログリタゾンと同様に血糖上昇抑制作用及び脂質代謝改善作用を有していることが判明した。
【0053】
(調製例2) 甘草疎水性抽出物の調製−2
ガラス容器にて甘草粉末(株式会社カネカサンスパイス)300gを10倍量の温水(約40℃)に浸し、遮光状態で一晩(約18時間)撹拌した。濾紙(ADVANTEC No.2)を用いた濾過を行い、得た残渣を乾燥(約60℃)し、水抽出残渣265gを得た。その残渣を5倍量のエタノールに浸し、室温及び遮光状態で、時折撹拌しながら1週間放置した。濾紙(ADVANTEC No.2)を用いた濾過を2回行って粉末を除去し、抽出液を得た。その抽出液を減圧濃縮して溶媒を除去し、甘草疎水性抽出物23.62gを得た。
【0054】
(試験例3) 2型糖尿病モデル・マウスに対する糖尿病予防効果−2
試験例2と同じ方法により、調製例2で調製した甘草疎水性抽出物の糖尿病予防効果を評価した。甘草疎水性抽出物添加群は、調製例2で調製したものを添加量0.2%となるように正常食に添加した。陽性対照には、糖尿病治療薬であるピオグリタゾンを用いた。ピオグリタゾンは、アクトス錠30(1錠中ピオグリタゾン30mgを含有、武田薬品工業株式会社)をメノウ乳鉢にて粉砕し、ピオグリタゾン添加量が0.04%となるように正常食に添加した。血糖値の測定には、簡易式血糖測定器グルテストエース(株式会社三和化学研究所)を用いた。
【0055】
【表6】

【0056】
マウス体重を表6に示す。ピオグリタゾン添加群及び甘草疎水性抽出物添加群のマウス体重は、無添加群(対照群)と同様に推移し、有意な差は認められなかった。
【0057】
【表7】

【0058】
血糖値の測定結果を表7に示す。無添加群(対照群)において、1週後から血糖値が上昇し、糖尿病の発症が確認された。これに対し、ピオグリタゾン添加群では血糖上昇が有意に抑えられており、血糖上昇抑制作用が認められた。この時のピオグリタゾン投与量は、マウス体重と摂餌量から算出すると、約50mg/kg/dayであった。また、甘草疎水性抽出物群においても血糖上昇が有意に抑えられており、血糖上昇抑制作用が認められた。この時の甘草疎水性抽出物の投与量は、マウス体重と摂餌量から算出すると、約260mg/kg/dayであった。
以上の結果から、甘草疎水性抽出物は、陽性対照としたピオグリタゾンと同様に血糖上昇抑制作用を示し、糖尿病予防効果を有していることが判明した。
【0059】
(試験例4) 2型糖尿病モデル・マウスに対する糖尿病改善効果
KK−Ayマウスを用いて、調製例2で調製した甘草疎水性抽出物の糖尿病改善効果を評価した。陽性対照には、糖尿病治療薬であるピオグリタゾンを用いた。
KK−Ayマウス(雌,15週齡)を3群(各群4匹)に分け、正常食を基本飼料として、無添加群(対照群)、ピオグリタゾン添加群、甘草疎水性抽出物添加群を自由摂取にて7日間与えた。ピオグリタゾンは添加量が0.02%となるように正常食に添加した。甘草疎水性抽出物は調製例2で調製したものを添加量0.2%となるように正常食に添加した。血糖値の測定には、簡易式血糖測定器グルテストエース(株式会社三和化学研究所)を用いた。
【0060】
【表8】

【0061】
血糖値の測定結果を表8に示す。給餌開始時の血糖値は378〜391mg/dlであり、いずれの群においても高血糖になっていることが確認された。無添加群(対照群)では、4日目及び7日目に血糖値が約530mg/dlとなり、症状が悪化した。これに対し、ピオグリタゾン添加群及び甘草疎水性抽出物群では、4日目及び7日目ともに血糖値が有意に低下し、血糖降下作用が認められた。
以上の結果から、甘草疎水性抽出物は、陽性対照としたピオグリタゾンと同様に血糖降下作用を示し、糖尿病改善効果を有していることが判明した。
【0062】
(調製例3) 甘草疎水性抽出物の調製−3
ステンレス製容器にて甘草粉末(株式会社カネカサンスパイス)1.5kgを10倍量の水に浸し、室温及び遮光状態で約24時間撹拌した。遠心分離(5000g,20min)を行い、得た残渣を乾燥(約55℃)し、水抽出残渣を得た。その残渣を5倍量のエタノールに浸し、室温及び遮光状態で、時折撹拌しながら1週間放置した。濾紙(ADVANTEC No.2)を用いた濾過を2回行って粉末を除去し、抽出液を得た。その抽出液を減圧濃縮して溶媒を除去し、甘草疎水性抽出物141.5gを得た。
【0063】
(試験例5) 自然発症高血圧ラットにおける効果
加齢に伴って高血圧を発症する本態性高血圧症のモデル動物である自然発症高血圧ラット(SHR)を用いて、調製例3で調製した甘草疎水性抽出物の効果を評価した。陽性対照には、高血圧症治療薬であるマレイン酸エナラプリルを用いた。
SHR(雄,5週齡)を3群(各群8匹)に分け、溶媒対照群、甘草疎水性抽出物群、マレイン酸エナラプリル群とした。溶媒対照群にはプロピレングリコールを3ml/kg/dayで、甘草疎水性抽出物群には甘草疎水性抽出物/プロピレングリコール溶液を300mg/3ml/kg/dayで、マレイン酸エナラプリル群にはマレイン酸エナラプリル/0.5%メチルセルロース水溶液を20mg/10ml/kg/dayで、3週間経口投与した。この間、餌(CRF−1、オリエンタル酵母工業株式会社)及び水は自由摂取させた。
投与開始前日及び投与期間中7日目、14日目及び21日目に非観血式自動血圧測定装置(BP−97A、株式会社ソフトロン)を用いて尾動脈圧から血圧を測定した。血圧測定はサンプル投与前に行った。
【0064】
【表9】

【0065】
SHRの体重を表9に示す。いずれの群においても体重はほぼ同様に推移し、有意な差は認められなかった。
【0066】
【表10】

【0067】
血圧の測定結果を表10に示す。投与開始前の血圧は111〜113mmHgであり、いずれの群においても高血圧になっていなかった。溶媒対照群において、7日目から血圧が上昇し、高血圧の発症が確認された。溶媒対照群に比し、甘草疎水性抽出物群では血圧上昇が抑えられており、7日目及び21日目では有意差が認められた。高血圧症治療薬であるマレイン酸エナラプリル群では7日目から有意な血圧上昇抑制作用が認められた。
以上の結果より、甘草疎水性抽出物は高血圧を予防または改善する効果を有することが判明した。
【0068】
(実施例1) 甘草疎水性抽出物含有錠剤の調製
甘草疎水性抽出物 45重量部
乳糖 35重量部
結晶セルロース 15重量部
ショ糖脂肪酸エステル 5重量部
上記組成で常法により甘草疎水性抽出物を含有する飲食用又は医薬用の錠剤を調製した。
【0069】
(実施例2) 甘草疎水性抽出物含有ソフトカプセル剤の調製
甘草疎水性抽出物 40重量部
ゴマ油 55重量部
グリセリン脂肪酸エステル 5重量部
上記組成で常法により甘草疎水性抽出物を含有する飲食用又は医薬用のソフトカプセル剤を調製した。
【0070】
(実施例3) 甘草疎水性抽出物含有クラッカーの調製
甘草疎水性抽出物 1重量部
薄力粉 120重量部
食塩 1重量部
ベーキングパウダー 2重量部
バター 30重量部
水 40重量部
上記組成で常法により甘草疎水性抽出物を含有するクラッカーを調製した。
【0071】
(実施例4) 甘草疎水性抽出物含有うどんの調製
甘草疎水性抽出物 1重量部
強力粉 100重量部
薄力粉 100重量部
食塩 10重量部
水 100重量部
上記組成で常法により甘草疎水性抽出物を含有するうどんを調製した。
【0072】
(実施例5) 甘草疎水性抽出物含有ドレッシングの調製
甘草疎水性抽出物 10重量部
オリーブ油 80重量部
食酢 60重量部
食塩 3重量部
コショウ 1重量部
レモン汁 5重量部
上記組成で常法により甘草疎水性抽出物を含有するドレッシングを調製した。
【0073】
ウコン抽出物
(調製例4) ウコン抽出物の調製−1
ガラス製容器にてウコン粉末(株式会社カネカサンスパイス)400gを5倍容量のエタノールに浸し、室温及び遮光状態で、時折撹拌しながら1週間放置した。濾紙(ADVANTEC No.2)を用いた濾過を2回行って粉末を除去し、抽出液を得た。その抽出液を減圧濃縮して溶媒を除去し、ウコン抽出物43.71gを得た。
【0074】
(試験例6) 内臓脂肪低減効果
C57BL/6Jマウス(雌,10週齡)に高脂肪・高糖分食(オリエンタル酵母株式会社製、表1)を自由摂取にて4〜8週間与え、食餌性の肥満状態にした。その後マウスを各群6〜8匹に分け、正常食(オリエンタル酵母株式会社製、表1)を基本飼料として、無添加群(対照群)及び調製例4で得たウコン抽出物添加群を自由摂取にて4週間与えた。一晩絶食したマウスをエーテル麻酔下で開腹し、腹大動脈から採血して屠殺した。その後、子宮周辺脂肪及び腎臓周辺脂肪を摘出し、重量を測定した。子宮周辺脂肪量と腎臓周辺脂肪量の和を腹腔内脂肪量とした。この結果を表11及び表12に示す。
【0075】
【表11】

【0076】
【表12】

【0077】
表11及び表12から明らかなように、無添加群(対照群)に比し、ウコン抽出物を添加した群において、摂餌量及び体重に変化はみられないが、腹腔内脂肪が顕著に減少した。すなわち、高脂肪・高糖分食の摂取によって蓄積した内臓脂肪が、ウコン抽出物を含有した飼料を摂取することにより低減することが判明した。
【0078】
(調製例5) ウコン抽出物の調製−2
ガラス製容器にてウコン粉末(株式会社カネカサンスパイス)793gをエタノール4000mlに浸し、室温及び遮光状態で、時折撹拌しながら1週間放置した。濾紙(ADVANTEC No.2)を用いた濾過を2回行って粉末を除去し、抽出液を得た。その抽出液を減圧濃縮して溶媒を除去し、ウコン抽出物79.48gを得た。
【0079】
(試験例7) 2型糖尿病モデル・マウスにおける効果
遺伝的に肥満を呈し2型糖尿病を発症するモデル動物であるKK−Ayマウスを用いて、ウコン抽出物の効果を評価した。陽性対照には、糖尿病治療薬であるピオグリタゾンを用いた。
KK−Ayマウス(雌,6週齡)を3群(各群5匹)に分け、正常食(オリエンタル酵母株式会社、表1)を基本飼料として、無添加群(対照群)、ピオグリタゾン添加群、ウコン抽出物添加群を自由摂取にて4週間与えた。ピオグリタゾンは、アクトス錠30(1錠中ピオグリタゾン30mgを含有、武田薬品工業株式会社)をメノウ乳鉢にて粉砕し、ピオグリタゾン添加量が0.04%となるように正常食に添加した。ウコン抽出物は、調製例5で調製したものを添加量0.5%となるように正常食に添加した。
給餌期間中1週間毎にマウス尾静脈より少量採血し、簡易式血糖測定器グルテストエース(株式会社三和化学研究所)を用いて、血糖値を測定した。
【0080】
【表13】

【0081】
マウス体重を表13に示す。ピオグリタゾン添加群及びウコン抽出物添加群のマウス体重は無添加群(対照群)とほぼ同様に推移し、有意な差は認められなかった。
【0082】
【表14】

【0083】
血糖値の測定結果を表14に示す。給餌開始時の血糖値は142〜151mg/dlであり、いずれの群においても高血糖になっていなかった。無添加群(対照群)において、1週後から血糖値が上昇し、糖尿病の発症が確認された。無添加群(対照群)に比し、ウコン抽出物添加群では、糖尿病治療薬であるピオグリタゾン添加群と同様に、血糖上昇が有意に抑えられており、血糖降下作用が認められた。この時のウコン抽出物の投与量は、マウス体重と摂餌量から算出すると、約670mg/kg/dayであった。以上の結果より、ウコン抽出物は糖尿病を予防または改善する効果を有することが判明した。
【0084】
(実施例6) ウコン抽出物含有錠剤の調製
ウコン抽出物 45重量部
乳糖 35重量部
結晶セルロース 15重量部
ショ糖脂肪酸エステル 5重量部
上記組成で常法によりウコン抽出物を含有する飲食用又は医薬用の錠剤を調製した。
【0085】
(実施例7) ウコン抽出物含有ソフトカプセル剤の調製
ウコン抽出物 40重量部
ゴマ油 55重量部
グリセリン脂肪酸エステル 5重量部
上記組成で常法によりウコン抽出物を含有する飲食用又は医薬用のソフトカプセル剤を調製した。
【0086】
(実施例8) ウコン抽出物含有クラッカーの調製
ウコン抽出物 1重量部
薄力粉 120重量部
食塩 1重量部
ベーキングパウダー 2重量部
バター 30重量部
水 40重量部
上記組成で常法によりウコン抽出物を含有するクラッカーを調製した。
【0087】
(実施例9) ウコン抽出物含有うどんの調製
ウコン抽出物 1重量部
強力粉 100重量部
薄力粉 100重量部
食塩 10重量部
水 100重量部
上記組成で常法によりウコン抽出物を含有するうどんを調製した。
【0088】
(実施例10) ウコン抽出物含有ドレッシングの調製
ウコン抽出物 10重量部
オリーブ油 80重量部
食酢 60重量部
食塩 3重量部
コショウ 1重量部
レモン汁 5重量部
上記組成で常法によりウコン抽出物を含有するドレッシングを調製した。
【0089】
クローブ抽出物
(調製例6) クローブ抽出物の調製−1
ガラス製容器にてクローブ粉末(株式会社カネカサンスパイス)600gを5倍容量の酢酸エチルに浸し、室温及び遮光状態で、時折撹拌しながら1週間放置した。濾紙(ADVANTEC No.2)を用いた濾過を2回行って粉末を除去し、抽出液を得た。その抽出液を減圧濃縮して溶媒を除去し、クローブ抽出物47.59gを得た。
【0090】
(試験例8) 内臓脂肪低減効果
C57BL/6Jマウス(雌,10週齡)に高脂肪・高糖分食(オリエンタル酵母株式会社製、表1)を自由摂取にて4〜8週間与え、食餌性の肥満状態にした。その後マウスを各群6〜8匹に分け、正常食(オリエンタル酵母株式会社製、表1)を基本飼料として、無添加群(対照群)及び調製例6で得たクローブ抽出物添加群を自由摂取にて4週間与えた。一晩絶食したマウスをエーテル麻酔下で開腹し、腹大動脈から採血して屠殺した。その後、子宮周辺脂肪及び腎臓周辺脂肪を摘出し、重量を測定した。子宮周辺脂肪量と腎臓周辺脂肪量の和を腹腔内脂肪量とした。この結果を表15に示す。
【0091】
【表15】

【0092】
表15から明らかなように、無添加群(対照群)に比し、クローブ抽出物を添加した群において、摂餌量及び体重に変化はみられないが、腹腔内脂肪が顕著に減少した。すなわち、高脂肪・高糖分食の摂取によって蓄積した内臓脂肪が、クローブ抽出物を含有した飼料を摂取することにより低減することが判明した。
【0093】
(調製例7) クローブ抽出物の調製−2
ガラス製容器にてクローブ粉末(株式会社カネカサンスパイス)2kgをエタノール10Lに浸し、室温及び遮光状態で、時折撹拌しながら1週間放置した。濾紙(ADVANTEC No.2)を用いた濾過を2回行って粉末を除去し、抽出液を得た。その抽出液を減圧濃縮して溶媒を除去し、クローブ抽出物217gを得た。
【0094】
(試験例9) 2型糖尿病モデル・マウスにおける効果
遺伝的に肥満を呈し2型糖尿病を発症するモデル動物であるKK−Ayマウスを用いて、クローブ抽出物の効果を評価した。陽性対照には、糖尿病治療薬であるピオグリタゾンを用いた。
KK−Ayマウス(雌,6週齡)を3群(各群5匹)に分け、正常食(オリエンタル酵母株式会社、表1)を基本飼料として、無添加群(対照群)、ピオグリタゾン添加群、クローブ抽出物添加群を自由摂取にて3週間与えた。ピオグリタゾンは、アクトス錠30(1錠中ピオグリタゾン30mgを含有、武田薬品工業株式会社)をメノウ乳鉢にて粉砕し、ピオグリタゾン添加量が0.02%となるように正常食に添加した。クローブ抽出物は、調製例7で調製したものを添加量0.5%となるように正常食に添加した。
給餌期間中1週間毎にマウス尾静脈より少量採血し、簡易式血糖測定器グルテストエース(株式会社三和化学研究所)を用いて、血糖値を測定した。
【0095】
【表16】

【0096】
マウス体重を表16に示す。ピオグリタゾン添加群及びクローブ抽出物添加群のマウス体重は無添加群(対照群)とほぼ同様に推移し、有意な差は認められなかった。
【0097】
【表17】

【0098】
血糖値の測定結果を表17に示す。給餌開始時の血糖値は156〜171mg/dlであり、いずれの群においても高血糖になっていなかった。無添加群(対照群)において、1週後から血糖値が上昇し、糖尿病の発症が確認された。無添加群(対照群)に比し、クローブ抽出物添加群では、糖尿病治療薬であるピオグリタゾン添加群と同様に、血糖上昇が有意に抑えられており、血糖降下作用が認められた。この時のクローブ抽出物の投与量は、マウス体重と摂餌量から算出すると、約660mg/kg/dayであった。
【0099】
(実施例11) クローブ抽出物含有錠剤の調製
クローブ抽出物 45重量部
乳糖 35重量部
結晶セルロース 15重量部
ショ糖脂肪酸エステル 5重量部
上記組成で常法によりクローブ抽出物を含有する飲食用又は医薬用の錠剤を調製した。
【0100】
(実施例12) クローブ抽出物含有ソフトカプセル剤の調製
クローブ抽出物 40重量部
ゴマ油 55重量部
グリセリン脂肪酸エステル 5重量部
上記組成で常法によりクローブ抽出物を含有する飲食用又は医薬用のソフトカプセル剤を調製した。
【0101】
(実施例13) クローブ抽出物含有クラッカーの調製
クローブ抽出物 1重量部
薄力粉 120重量部
食塩 1重量部
ベーキングパウダー 2重量部
バター 30重量部
水 40重量部
上記組成で常法によりクローブ抽出物を含有するクラッカーを調製した。
【0102】
(実施例14) クローブ抽出物含有うどんの調製
クローブ抽出物 1重量部
強力粉 100重量部
薄力粉 100重量部
食塩 10重量部
水 100重量部
上記組成で常法によりクローブ抽出物を含有するうどんを調製した。
【0103】
(実施例15) クローブ抽出物含有ドレッシングの調製
クローブ抽出物 10重量部
オリーブ油 80重量部
食酢 60重量部
食塩 3重量部
コショウ 1重量部
レモン汁 5重量部
上記組成で常法によりクローブ抽出物を含有するドレッシングを調製した。
【0104】
シナモン抽出物
(調製例8) シナモン抽出物の調製
ガラス製容器にてシナモン粉末(株式会社カネカサンスパイス)1000gを5倍容量の酢酸エチルに浸し、室温及び遮光状態で、時折撹拌しながら1週間放置した。濾紙(ADVANTEC No.2)を用いた濾過を2回行って粉末を除去し、抽出液を得た。その抽出液を減圧濃縮して溶媒を除去し、シナモン抽出物59.57gを得た。
【0105】
(試験例10) 内臓脂肪低減効果
C57BL/6Jマウス(雌,10週齡)に高脂肪・高糖分食(オリエンタル酵母株式会社製、表1)を自由摂取にて4〜8週間与え、食餌性の肥満状態にした。その後マウスを各群6〜8匹に分け、正常食(オリエンタル酵母株式会社製、表1)を基本飼料として、無添加群(対照群)及び調製例8で得たシナモン抽出物添加群を自由摂取にて4週間与えた。一晩絶食したマウスをエーテル麻酔下で開腹し、腹大動脈から採血して屠殺した。その後、子宮周辺脂肪及び腎臓周辺脂肪を摘出し、重量を測定した。子宮周辺脂肪量と腎臓周辺脂肪量の和を腹腔内脂肪量とした。この結果を表18に示す。
【0106】
【表18】

【0107】
表18から明らかなように、無添加群(対照群)に比し、シナモン抽出物を添加した群において、摂餌量及び体重に変化はみられないが、腹腔内脂肪が顕著に減少した。すなわち、高脂肪・高糖分食の摂取によって蓄積した内臓脂肪が、シナモン抽出物を含有した飼料を摂取することにより低減することが判明した。
【0108】
(実施例16) シナモン抽出物含有錠剤の調製
シナモン抽出物 45重量部
乳糖 35重量部
結晶セルロース 15重量部
ショ糖脂肪酸エステル 5重量部
上記組成で常法によりシナモン抽出物を含有する飲食用又は医薬用の錠剤を調製した。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明は、上述の構成よりなるので、内臓脂肪型肥満、糖尿病、高脂血症、高血圧症を含むマルチプル・リスク・ファクター症候群を予防又は改善するための組成物を提供することができる。本発明の組成物を摂取することにより蓄積した内臓脂肪を低減することができ、さらに、内臓脂肪の蓄積を原因とする肥満、糖尿病、高脂血症、高血圧症などの生活習慣病を予防または改善することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
甘草疎水性抽出物を含有することを特徴とする、内臓脂肪型肥満と、糖尿病、高脂血症及び高血圧症からなる群より選択される1つ以上を併せ持つ病態であるマルチプル・リスク・ファクター症候群を予防又は改善するための組成物。
【請求項2】
甘草疎水性抽出物を含有することを特徴とする、内臓脂肪型肥満を予防又は改善するための組成物。
【請求項3】
医薬用である請求項1又は2記載の組成物。

【公開番号】特開2010−159282(P2010−159282A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−64817(P2010−64817)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【分割の表示】特願2002−549269(P2002−549269)の分割
【原出願日】平成13年12月12日(2001.12.12)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】