説明

マルチ・ディスプレイ・システムの表示制御方法

【課題】 マルチ・ディスプレイにおいてベゼルの影になって表示部分が見えなくなるのを防止し、ディスプレイの視認性や操作性の向上を図ることができるマルチ・ディスプレイ・システムの表示制御方法を提供する。
【解決手段】 マルチ・ディスプレイ・システムの表示制御方法において、ベゼルにより分割されたマルチ・ディスプレイの前記ベゼルの両側のディスプレイを表示し、前記ベゼルの影となるディスプレイの部分に冗長表示部分を設定し、この設定された冗長表示部分にベゼルの影となる情報を表示する。よって、ベゼルの影になってディスプレイの表示部分が見えなくなることを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチ・ディスプレイ・システムの表示制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図6は通常のディスプレイ上のウィンドウ表示を示す図である。
【0003】
通常は、例えば、ディスプレイ上に図6に示すような表示が行われる。
【特許文献1】なし
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、マルチ・ディスプレイにおいては、ベゼル(bezel:溝付きリム)により分割された表示が行われる。
【0005】
図7はかかる従来のマルチ・ディスプレイにおけるベゼルを示す図、図8はかかるマルチ・ディスプレイにおいてベゼルにより分割されたウィンドウ表示を示す図である。
【0006】
マルチ・ディスプレイにおいて、ベゼル101,102(以下、ベゼル部分という)により、約1.5cm×1.5cmの表示部分の切れが生じる。つまり、ベゼル部分の影103が生じる。また、漢字は切れており読みづらく、図8に示すように、+(拡大)のアイコン104と−(縮小)のアイコン105も離れていて視認性は悪くなっている。
【0007】
本発明は、上記状況に鑑みて、マルチ・ディスプレイにおいてベゼル部分の影になってウィンドウの表示部分が見えなくなるのを防止し、ディスプレイの視認性や操作性の向上を図ることができるマルチ・ディスプレイ・システムの表示制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕マルチ・ディスプレイ・システムの表示制御方法において、ベゼルにより分割されたマルチ・ディスプレイの前記ベゼルの両側のディスプレイを表示し、前記ベゼルの影となるディスプレイの部分に冗長表示部分を設定し、この設定された冗長表示部分にベゼルの影となる情報を表示することを特徴とする。
【0009】
〔2〕上記〔1〕記載のマルチ・ディスプレイ・システムの表示制御方法において、前記ディスプレイの冗長表示部分の幅を可変にすることを特徴とする。
【0010】
〔3〕上記〔1〕記載のマルチ・ディスプレイ・システムの表示制御方法において、前記ディスプレイの冗長表示部分と前記ディスプレイの表示部分との境目に線を描画することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、マルチ・ディスプレイにおいてベゼル部分の影になってディスプレイの表示部分が見えなくなるのを防止し、ディスプレイの視認性や操作性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明のマルチ・ディスプレイ・システムの表示制御方法は、ベゼルにより分割されたマルチ・ディスプレイの前記ベゼルの両側のディスプレイを表示し、前記ベゼルの影となるディスプレイの部分に冗長表示部分を設定し、この設定された冗長表示部分にベゼルの影となる情報を表示することを特徴とする。
【実施例】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0014】
図1は本発明の実施例を示すマルチ・ディスプレイ・システムの表示制御フローチャートである。
【0015】
(1)まず、ベゼルにより分割されたマルチ・ディスプレイにおいて、ベゼルの両側のディスプレイを表示する(ステップS1)。
【0016】
(2)次に、ベゼルの影となるディスプレイの部分に冗長表示部分を設定する(ステップS2)。
【0017】
(3)次に、設定された冗長表示部分にベゼルの影となる情報を表示する(ステップS3)。
【0018】
このように、ベゼルの影となるディスプレイの部分にベゼルの影となる情報を表示することにより、ベゼルの影になってディスプレイの表示部分が見えなくなるのを防止し、ディスプレイの視認性や操作性を向上させることができる。
【0019】
図2は本発明の実施例を示すマルチ・ディスプレイ・システムの表示制御装置の実例を示す図、図3は本発明の実施例を示す冗長表示の幅を可変とするマルチ・ディスプレイ・システムの表示制御装置の一例を示す図である。
【0020】
図2では、ベゼル3で分割された第1ディスプレイ1(左)1と第2ディスプレイ(右)2のベゼル3にディスプレイの冗長表示部分4を設け、この冗長表示部分4にベゼル3の影となるディスプレイ部分の情報を描画する。5はディスプレイの表示部分である。
【0021】
同じ情報については、右の第2ディスプレイ2において冗長表示部分4の幅dを少し狭く表示することにより、冗長性の程度を示し、アイコンや表示部分の視認性の向上を図るようにしている。
【0022】
この冗長表示部分4の幅dを可変とすることで、図2に示すように、アイコンの視認性よりも表示部分の可読性を向上させることも可能である。
【0023】
図2の表示例においては、右側の第2ディスプレイの冗長表示部分11を狭くしているが、左側の第1ディスプレイにおいて狭くすることも、両画面において狭くすることも、両方とも同じ表示にすることもできる。
【0024】
図4は本発明の実施例を示すディスプレイの冗長表示部分とディスプレイの表示部分との境目に線を描画する例を示す図である。
【0025】
この例のように、ディスプレイの冗長表示部分21とディスプレイの表示部分22との境目に線23を描画することも可能である。
【0026】
上記した実施例では1文字が部分的にグレーになった場合を示したが、以下のように個々の文字を一文字として認識して一文字単位でグレーに揃えるようにしてもよい。
【0027】
図5は本発明の実施例を示す文字単位でディスプレイの冗長表示部分を備える例を示す図である。また、文章の意味を理解しやすくするため、文字単位だけではなく、熟語単位で冗長表示部分を揃えることも可能である。
【0028】
このように、文字やオブジェクトの意味を認識してオーバーラップする部分の表示を調整することにより、ベゼルの影になって表示部分が見えなくなる不具合を無くして、より読みやすくすることができる。
【0029】
なお、以上の模式的な画面表示例においてはベゼルが厚みを持たないために、右側の第2ディスプレイの冗長表示部分が全て見えるように描かれているが、実際の液晶ディスプレイにおいてはベゼルが約3mm程度の厚さを有するため、左側の第1ディスプレイの正面に正対した場合には、第2ディスプレイの左端から数ミリメートルはベゼルの影になって見ることはできない。
【0030】
従って、本発明の表示機能を実現したディスプレイ描画管理が可能であれば、従来よりもマルチ・ディスプレイ・システム全般において視認性や操作性を向上させることが可能になる。
【0031】
上記実施例においては、左右に2画面の構成を有するマルチ・ディスプレイ・システムにおける描画形態を例示したが、縦方向も含めて、より多くの枚数のディスプレイに対しても同様の表示形態を提供することは十分に可能であり、テレビのように常に全体を見るシステムではなく、通常は、部分部分しか見ることのないデータ表示システムにおいては、その表示内容に対するより高い視認性を実現することができる。
【0032】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明のマルチ・ディスプレイ・システムの表示制御装置は、ベゼルの情報が消去されることなく、正確な情報を取得できるツールとして利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施例を示すマルチ・ディスプレイ・システムの表示制御フローチャートである。
【図2】本発明の実施例を示すマルチ・ディスプレイ・システムの表示制御装置の一例を示す図である。
【図3】本発明の実施例を示す冗長表示の幅を可変とするマルチ・ディスプレイ・システムの表示制御装置の一例を示す図である。
【図4】本発明の実施例を示すディスプレイの冗長部分とディスプレイの表示部分との境目に線を描画する例を示す図である。
【図5】本発明の実施例を示す文字単位でディスプレイの冗長表示部分を備える例を示す図である。
【図6】通常のディスプレイ上のウィンドウ表示を示す図である。
【図7】従来のマルチ・ディスプレイにおけるベゼルを示す図である。
【図8】従来のマルチ・ディスプレイにおいてベゼルにより分割されたウィンドウ表示を示す図である。
【符号の説明】
【0035】
1 第1ディスプレイ(左)
2 第2ディスプレイ(右)
3 ベゼル
4,21 ディスプレイの冗長表示部分
5,22 ディスプレイの表示部分
11 第2ディスプレイの冗長表示部分
23 線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベゼルにより分割されたマルチ・ディスプレイの前記ベゼルの両側のディスプレイを表示し、前記ベゼルの影となるディスプレイの部分に冗長表示部分を設定し、該設定された冗長表示部分にベゼルの影となる情報を表示することを特徴とするマルチ・ディスプレイ・システムの表示制御方法。
【請求項2】
請求項1記載のマルチ・ディスプレイ・システムの表示制御方法において、前記ディスプレイの冗長表示部分の幅を可変にすることを特徴とするマルチ・ディスプレイ・システムの表示制御方法。
【請求項3】
請求項1記載のマルチ・ディスプレイ・システムの表示制御方法において、前記ディスプレイの冗長表示部分と前記ディスプレイの表示部分との境目に線を描画することを特徴とするマルチ・ディスプレイ・システムの表示制御方法。

【図1】
image rotate

【図7】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2009−244587(P2009−244587A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−90881(P2008−90881)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000173784)財団法人鉄道総合技術研究所 (1,666)
【Fターム(参考)】