説明

マルチOS搭載可能なプラットホームにおける自動FWアップデート方法

【課題】マルチOS環境でのOSインストール時のFW確認や置換作業において、人手によるミスの発生を防止し、システムのセットアップ工数を削減する。
【解決手段】FW20が、OSインストール媒体からOS情報を入手するインストールOS情報入手手段21、FWサポートOS情報テーブルを参照し自身のサポートOS情報を入手しインストールOS情報と比較し、自身がインストール予定OSに対応していれば、OSインストーラ起動手段26に起動指示するサポートOS確認手段22、未対応の場合に、前記テーブルを参照しROM内にインストール予定OS対応のFWが格納されていればそれをアクテイブFWに切り替えシステムを再立ち上げするFW切り替え手段23、格納されていなかった場合、FWサーバより適切なFWをインストールし、前記テーブルを更新し再立ち上げするWebアクセス手段24及びFWインストール手段25を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマルチOS搭載可能なプラットホームにおける自動FW(ファームウェア)アップデート方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、オープン化に伴い、一つのコンピュータに複数種別の異なるOSの搭載を可能とするサーバが増加している。
【0003】
しかしながら、システム起動制御を司るFWは、現状それぞれのOSに対応したFWが必要なケースがある。
【0004】
その場合、種別の異なるOSをインストールする際は常に動作中のFWバージョン、インストール予定であるOSに対応したFWバージョンを意識しなければならなかった。
【0005】
従って、種類が異なるOSを複数搭載可能であるプラットホームをセットアップする場合、予め、動作中のFWがインストール予定のOSに適したFWであるか否か、確認が必要なケースがある。この場合、人手による確認が一般的である。
【0006】
また、動作中のFWが、インストール予定であるOSに対応していなかった場合、適切なFWへの置き換えも人手で行われている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の様に、マルチOS環境での、OSインストール時のFWの確認や、FWの置き換えは通常人手で行なわれている。
【0008】
その為、FW置き換え時の手順ミスや動作中のFWバージョンを意識しなかった事によるOSインストールミス等が発生し、システムのセットアップに多大な工数がかかっていた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のマルチOS搭載可能なプラットホームにおける自動FWアップデート方法は、FWが、OSインストール媒体からOS情報を入手し、インストール予定OS情報とする手段と、不揮発性メモリに格納され、各FWについて、サポートOS情報と動作状態フラグを保持するサポートOS情報テーブルを参照しFW自身の対応OS情報を入手し、それら二つのOS情報を比較し、FW自身がインストール予定OSに対応していれば、OSインストーラを起動する手段と、インストール予定のOSに対応していなかった場合に、前記サポートOS情報テーブルを参照しROM内にインストール予定OSに対応したFWが格納されているか否かを確認する手段と、当該FWが格納されていた場合、それをアクテイブFWに切り替えシステムを再立ち上げする手段と、当該FWが格納されていなかった場合は、ネットワーク経由でFWサーバにWebアクセスし、適切なFWをインストールし、そのサポートOS情報を前記テーブルに追加する手段と、当該FWをインストールし、前記テーブルの動作状態をアクテイブに切り替えシステムを再立ち上げする手段とを含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明の効果は、種別の異なるOSを搭載可能なシステムにおいて、ユーザは動作中のFWバージョンを意識しなくても、様々なOSを自由にインストール可能であることにある。
【0011】
また、OSインストール失敗の頻度が低下し、システムのセットアップにかかる工数を削減できることにある。
【0012】
その理由は、FW自身がサポートOS情報を保持し、またインストール媒体からOS情報を読むことによって、FW自身がインストール予定のOSに対応しているか否か自ら判断可能であり、自動的にインストール予定のOSに対応したFWに置き換えることが可能であるためである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1を参照すると、本発明の一実施例は、単一または複数種類/世代のFW(ファームウェア)が格納されているROM10と、インストールOS情報入手手段21、サポートOS確認手段22、FW切り替え手段23、Webアクセス手段24、FWインストール手段25、OSインストーラ起動手段26とを備えたFW20と、ヘッダー部31を備えたOSインストール媒体30と、FWサポートOS情報テーブル41を備えたNVRAM40と、FWリスト51及びFW52を備えたFWサーバ50と、システムとFWサーバ50を接続したネットワーク60とから構成されている。
【0015】
ROM10は、図2を参照すると、複数種類のFW20を格納している。
【0016】
インストールOS情報入手手段21は、媒体読み取り装置に挿入されているOSインストール媒体30のヘッダー部31からOSの種別、バージョン等のOS情報を読み出す機能を有している。
【0017】
サポートOS確認手段22は、NVRAM40に格納されているFWサポートOS情報テーブル41を参照し、ROM10内に格納されている各種FWがサポートしているOS情報を確認する機能を有している。
【0018】
FW切り替え手段23は、動作中のFWがインストール予定のOSに対応していなかった場合、適切なFWをMaster FWに切り替え、システムを再立ち上げする機能を有している。
【0019】
Webアクセス手段24は、ROM10内にインストール予定OSをサポートしたFWがなかった場合、FWサーバ50へWebアクセスし、FWサーバ50内FWリスト51の検索、FW及びサポートOS情報をダウンロードする機能を有している。
【0020】
FWインストール手段25は、Webアクセス手段24でダウンロードしたFWをシステム内にインストールし、最新のOSサポート情報をNVRAMに格納する機能を有している。
【0021】
OSインストーラ起動手段26は、媒体読み取り装置に挿入されているOSインストール媒体30からインストーラを起動する機能を有している。
【0022】
OSインストール媒体30が備えている、ヘッダー部31は、図3を参照するとOS情報としてOS種別311とバージョン312から構成されている。
【0023】
NVRAM40が備えている、FWサポートOS情報テーブル41は、図2を参照するとFWファイル名411、FWバージョン412、そのFWが対応している対応OS種別413とそのバージョン414、FWのActive情報415とから構成されている。
【0024】
FWファイル名411は、ROM10内に格納されている各種FWのファイル名である。
【0025】
Active情報415は、現在動作中のFWであれば“ON”が格納され、その他待機中のFWでは“OFF”が格納されている。
【0026】
FWサーバ50が備えているFWリスト51は、図4を参照するとFWファイル名511、FWバージョン512、そのFWが対応しているOS情報513とそのバージョン514とから構成されている。
【0027】
FW52は、FWリスト51に掲載されているFWそのものである。
【0028】
次に、本発明を実施するための最良の形態の動作について図面を参照して説明する。
【0029】
図1〜図4、及び図5のフローチャートを参照して本実施形態の全体の動作について詳細に説明する。
【0030】
まず、FW20は、インストールOS情報入手手段21により媒体読み取り装置に挿入されているOSインストール媒体30からインストール予定のOS情報を入手する(ステップA1)。
【0031】
図2を参照するとOSインストール媒体30のヘッダー部31には、OS種別及びバージョン情報が含まれている。それぞれのフィールドには、例えば、“Windows(登録商標) XP”、“build X.xxxyy”といった情報が格納されている。
【0032】
次に、FW20は、サポートOS確認手段22により、NVRAM40に格納されているFWサポートOS情報テーブル41からFW20がサポートしているOS情報を入手する(図4 ステップA2)。
【0033】
FWサポートOS情報テーブル41は、FWバージョン、サポートOS種別、サポートOSバージョン、動作中か否か、等の情報を有している。
【0034】
ここでは、FWサポートOS情報テーブル41のフィールドActive415に、現在動作中のFWであることを意味する“ON”が記載されているFWファイルのサポートしているOS情報を入手する。
【0035】
次にFW20は、双方の情報を比較し、FW20がインストール予定のOSに対応しているか否かを確認する(図4 ステップA3、ステップA4)。
【0036】
FW20が当該OSをサポートしていた場合は、OSインストーラ起動手段26により、OSインストール媒体30に格納されているインストーラを起動する(図4 ステップA10)。
【0037】
その後、OSのインストールが開始されセットアップは続行される。
【0038】
一方、FW20が当該OSをサポートしていなかった場合は、ROM10内に適切なFWが格納されているか否か、NVRAM40内のサポートOS情報テーブル41参照し検索する(図5 ステップA5)。
【0039】
ROM10内に適切なFWが格納されていた場合は、FW切り替え手段23により、FWサポートOS情報テーブル41内当該FWのActive情報415を“ON”に、これまで動作していたFWのActive情報415を“OFF”に変更後、当該FWをMaster FWに切り替えシステムを再立ち上げする(図5 ステップA9)。
【0040】
その結果、インストール予定のOSに対応したFWに置き換わる。一方、適切なFWが格納されていなかった場合は、Webアクセス手段24によりネットワーク60経由でFWサーバ50へWebアクセスし、FWサーバ50が保持しているFWリスト51を参照し適切なFWとサポートOS情報をシステムへダウンロードする。
【0041】
次にFW20は、FWインストール手段25により、ダウンロードしたFWをROM内にインストールし、FWサポートOS情報テーブル41を更新する。
【0042】
FWのインストール及びFWサポートOS情報テーブルの更新が完了したら、前記と同様、FW切り替え手段23により、FWサポートOS情報テーブル41内当該FWのActive情報415を“ON”に、これまで動作していたFWのActive情報415を“OFF”に変更後、当該FWをMaster FWに切り替えシステムを再立ち上げする(図4 ステップA9)。
【0043】
その結果、インストール予定のOSに対応したFWに置き換わり、問題なくOSのインストールが開始される。
【0044】
具体例を用いて本実施形態の動作を説明する。
【0045】
図3を参照すると、インストール媒体ヘッダ部31には、OS種別311として、“Windows(登録商標) XP“、バージョン312として、”X.xxxyy”が格納されている。ステップA1では、これらの情報を入手する。
【0046】
次にステップA2において、現在動作中のFW20がサポートしているOS情報を、図2に示すFWサポートOS情報テーブル41から入手する。
【0047】
ここでは、Active情報415が動作中を示す”ON”が格納されているFW、FWbbbの対応OS種別、“HP−UX”及びOSバージョン、“Y.yyyyyy”を入手する。
【0048】
次にステップA3、A4で双方のOS種別、OSバージョンを比較する。具体例では、インストール予定OSは”Windows(登録商標) XP”で、動作中のFW20が対応しているOSは“HP−UX”であるため、インストール予定OSと動作中のFW20が対応しているOS種別が一致しない。
【0049】
そのため、ステップA5において、FWサポートOS情報テーブル41を参照して、インストール予定OS種別、“Windows(登録商標) XP”をサポートしているFWがROM10内に格納されているかを確認する。
【0050】
図2のFWサポートOS情報テーブル41を参照すると、ROM10内に”Windows(登録商標) XP”をサポートしているFWは格納されていないことが判明する。
【0051】
次にステップA7において、FWサーバ50に適切なFWがないかWebアクセスをして検索する。FWサーバ50が保持しているFWリスト51を参照すると、対応OS種別、”Windows(登録商標) XP”、及び、対応OSバージョン、“X.xxxyy”をサポートしたFW、FWA.aaaがあることが判明する。
【0052】
当該FW及びサポートOS情報を一時的にシステムのメモリ内にダウンロードする。
【0053】
次にステップA8において、ダウンロードしたFWをROM10にインストールし、サポートOS情報を格納しFWサポートOS情報テーブル41を更新する。
【0054】
すでに、サポートOS情報テーブル41にはFWA.aaaの情報がすでに格納されているが、本情報を上書きすることによってFWサポートOS情報テーブル41も最新の情報に更新されることになる。
【0055】
最後に、ステップA9において、FWサポートOS情報テーブル41の現在動作中のFW、FWB.bbbのActive情報415を“OFF”に、ダウンロードしたFWA.bbbのActive情報415を“ON”に変更し、FWA.aaaにMasterFWを切り替える。
【0056】
その後システムを再立ち上げし、FWはインストール予定OS、”Windows(登録商標) XP“に対応したFW、FWA.aaaに置き換わり、OSのインストールが開始される。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の全体構成を示す図。
【図2】図1のROM10に格納するFW20の具体例と、FWサポートOS情報テーブル41の内容例を示す図。
【図3】図1のヘッダー部31のOS情報の例を示す図。
【図4】図1のFWリスト51の内容例を示す図。
【図5】本実施形態の全体の動作を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0058】
10 ROM
20 FW
21 インストールOS情報入手手段
22 サポートOS確認手段
23 FW切り替え手段
24 Webアクセス手段
25 FWインストール手段
26 OSインストーラ起動手段
30 OSインストール媒体
31 ヘッダー部
40 NVRAM
41 FWサポートOS情報テーブル
50 FWサーバ
51 FWリスト
52 FW
60 ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
FWが、
OSインストール媒体からOS情報を入手し、インストール予定OS情報とする手段と、
不揮発性メモリに格納され、各FWについて、サポートOS情報と動作状態フラグを保持するサポートOS情報テーブルを参照しFW自身の対応OS情報を入手し、それら二つのOS情報を比較し、FW自身がインストール予定OSに対応していれば、OSインストーラを起動する手段と、
インストール予定のOSに対応していなかった場合に、前記サポートOS情報テーブルを参照しROM内にインストール予定OSに対応したFWが格納されているか否かを確認する手段と、
当該FWが格納されていた場合、それをアクテイブFWに切り替えシステムを再立ち上げする手段と、
当該FWが格納されていなかった場合は、ネットワーク経由でFWサーバにWebアクセスし、適切なFWをインストールし、そのサポートOS情報を前記テーブルに追加する手段と、
当該FWをインストールし、前記テーブルの動作状態をアクテイブに切り替えシステムを再立ち上げする手段とを含むことを特徴とするマルチOS搭載可能なプラットホームにおける自動FWアップデート方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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