説明

マンコンベアの手摺り案内体取付治具およびそれを用いた手摺り案内体の取り付け方法

【課題】この発明は、手摺り案内体を弾性変形させつつ手摺り案内レールの衿状部分に仮装着させる作業を省略でき、手摺り案内体を簡易に衿状部分に装着できるマンコンベアの手摺り案内体取付治具およびそれを用いた手摺り案内体の取り付け方法を得る。
【解決手段】手摺り案内体取付治具100は、把持部21,24を一端側に有し、中央部より他端側をピン25により互いに枢着されて、ピン25を支点として開閉自在に連結された第1および第2ハンドル20,23と、先端に手摺り案内体の基部と耳部との連結部側を収容保持する引っ掛け部32,35を有し、引っ掛け部32,35が相対するように後端をピン27,28により第1および第2ハンドル20,23の他端にそれぞれ枢着された第1および第2フック30,33と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エスカレータや動く歩道等のマンコンベアの移動手摺りを案内する手摺り案内レールに、移動手摺りとの摺動部分である案内体を取り付けるための手摺り案内体取付治具およびそれを用いた手摺り案内体の取り付け方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の手摺り案内体取付治具は、その左右両内面にローラを設けた保持部材を、両端に把手を備えた腕状部材の中央に固定して構成されている(例えば、特許文献1参照)。そして、従来の手摺り案内体取付治具を、クリップガイド(案内体)が衿状部分に左右両側から仮装着されている手摺り案内レールに被せ、ローラによってクリップガイドごと手摺り案内レールの衿状部分を左右から挟み込み、把手を操作して腕状部材を回転させることでローラによりクリップガイドを押し付け、その爪状部分を手摺り案内レールの屈曲と係合させて、クリップガイドを手摺り案内レールに装着している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−289966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の手摺り案内体取付治具では、手摺り案内レールの衿状部分に仮装着されているクリップガイドの爪状部分を手摺り案内レールの屈曲に係合させるものであった。そこで、作業者は、従来の手摺り案内体取付治具によりクリップガイドの爪状部分を手摺り案内レールの屈曲に係合させるのに先だって、手作業によりクリップガイドを手摺り案内レールの衿状部分に仮装着させる必要があった。このクリップガイドの仮装着とは、クリップガイドが手摺り案内レールの衿状部分の大部分を覆っているが、その爪状部分が手摺り案内レールの屈曲に係合していない状態であることから、作業者は、クリップガイドを弾性変形させつつ手摺り案内レールの衿状部分に仮装着させることになり、作業負荷が増大するという課題があった。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、手摺り案内体を弾性変形させつつ手摺り案内レールの衿状部分に仮装着させる作業を省略でき、手摺り案内体を簡易に衿状部分に装着できるマンコンベアの手摺り案内体取付治具およびそれを用いた手摺り案内体の取り付け方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るマンコンベアの手摺り案内体取付治具は、基部、該基部の一端から基部の一面側に折り返された耳部、および該基部の一面の他端に突設された爪部を有する断面J状の帯状体に成形され、手摺り案内レールの主部先端から幅方向の両側に延出し、かつ長さ方向に延在する衿状部分を該基部と該耳部との間に挟持し、かつ該爪部を該衿状部分の基端に係止させて該衿状部分のそれぞれに装着され、該手摺り案内レールに装着される移動手摺りが摺接する手摺り案内体を該衿状部材に取り付けるものである。そして、本手摺り案内体取付治具は、把持部を一端側に有し、中央部より他端側をピンにより互いに枢着されて、該ピンを支点として開閉自在に連結された第1および第2ハンドルと、先端に上記手摺り案内体の上記基部と上記耳部との連結部側を収容保持する引っ掛け部を有し、該引っ掛け部が相対するように後端をピンにより上記第1および第2ハンドルの他端にそれぞれ枢着された第1および第2フックと、を備えている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、第1および第2ハンドルが中央部より他端側をピンにより互いに枢着されて、ピンを支点として開閉自在に連結されているので、倍力機構となり、小さな力で手摺り案内体を衿状部材に装着することができる。
また、手摺り案内体の基部と耳部との連結部側を収容保持する引っ掛け部を先端に有する第1および第2フックが、後端をピンにより第1および第2ハンドルの他端にそれぞれ枢着されているので、未装着の手摺り案内体を両引っ掛け部に保持させて、装着開始位置に位置させることできる。そこで、手摺り案内体を弾性変形させつつ手摺り案内レールの衿状部分に仮装着させる作業が不要となり、手摺り案内体の装着作業性が向上され、手摺り案内体を簡易に装着できるとともに、作業負荷が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1に係るエスカレータの手摺り案内体取付治具の構成を説明する斜視図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係るエスカレータの手摺り案内体取付治具による案内体の取り付け方法を説明する工程図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係るエスカレータの手摺り案内体取付治具による案内体の取り付け方法の実施態様を説明する工程図である。
【図4】エスカレータの構成を示す模式図である。
【図5】図4のV−V矢視断面図である。
【図6】この発明の実施の形態2に係るエスカレータの案内体保持クリップを案内体に装着した状態を示す断面図である。
【図7】この発明の実施の形態2に係るエスカレータの案内体保持クリップを案内体に装着した状態を示す要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
まず、本願のエスカレータの手摺り案内体取付治具について説明するに先だって、エスカレータの移動手摺り関連の構造について、図4および図5を参照しつつ説明する。ここで、図4はエスカレータの構成を示す模式図、図5は図4のV−V矢視断面図である。
【0010】
図4において、エスカレータ1は、上下階間に架設された主枠2と、無端状に連結され、主枠2に設けられた踏み段3と、踏み段3を挟むように主枠2に立設された一対の欄干4と、各欄干4の外周縁部および下部側に設けられた手摺り案内レール5と、無端状に形成され、手摺り案内レール5に摺動移動可能に装着された移動手摺り8と、を備えている。そして、踏み段3が主枠2に設置された駆動機(図示せず)によって駆動されて循環移動し、乗客を一方の階の乗り口から他方の階の降り口に搬送する。このとき、移動手摺り8が、手摺り案内レール5に案内されて、踏み段3と同期して循環移動する。
【0011】
図5において、手摺り案内レール5は、断面コ字状に作製され、往路側では開口を上方に向けて、かつ帰路側では開口を下方に向けて配設される主部6と、断面コ字状の主部6の両側壁の先端から直角に曲げられて、幅方向両側に延出し、かつ長さ方向に延在する衿状部分7と、を備えている。手摺り案内体9が、手摺り案内レール5の衿状部分7に装着されている。移動手摺り8は、断面C字状に作製され、衿状部分7に装着された手摺り案内体9を耳部8a内に収納するように手摺り案内レール5に装着される。そして、移動手摺り8は、手摺り案内体9に接した状態で移動し、衿状部分7の先端による内面の損傷や摩耗の発生が抑えられる。
【0012】
この手摺り案内体9は、弾性を有する低摩擦材で作製され、所定幅を有する帯状の基部10と、基部10の幅方向の一側を基部10の一面側にJ字状に折り返して成形された耳部11と、基部10の一面の幅方向の他端に突設された爪部12と、を備えている。そして、多数枚の手摺り案内体9が、それぞれ、衿状部分7の先端側を基部10と耳部11との間に圧入され、爪部12を主部6の側壁の先端の内壁面(衿状部分7の基端)に係止させて、手摺り案内レール5の長さ方向に連なって手摺り案内レール5に装着されている。
【0013】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係るエスカレータの手摺り案内体取付治具の構成を説明する斜視図、図2はこの発明の実施の形態1に係るエスカレータの手摺り案内体取付治具による手摺り案内体の取り付け方法を説明する工程図である。
【0014】
図1において、手摺り案内体取付治具100は、それぞれ把持部21,24が一端に形成され、中央部より他端側をピン25により枢着されて、ピン25を支点として開閉可能に連結された第1および第2ハンドル20,23と、第1および第2ハンドル20,23の他端側の部分に架設され、第1および第2ハンドル20,23の開閉動作に応じて伸縮するスプリング26と、第1および第2ハンドル20,23の他端にピン27,28により枢着されて、ピン27,28を支点として揺動可能に連結された第1および第2フック30,33と、を備えている。
【0015】
また、第2ハンドル23を挿通させる貫通穴22が第1ハンドル20の中央部より他端側に穿設されている。そして、第2ハンドル23は、他端側を貫通穴22に挿通され、該貫通穴22を挿通している部位をピン25により第1ハンドル20に連結されている。
【0016】
第1および第2フック30,33は、平板状の基部31,34と、基部31,34の他端をJ字状に折り返して成形された引っ掛け部32,35と、を備えている。そして、第1および第2フック30,33は、引っ掛け部32,35が向き合うように、基部31,34の一端をピン27,28により第1および第2ハンドル20,23の他端に枢着されている。ここで、第1および第2フック30,33は、手摺り案内体9を衿状部分7に装着する過程で、基部10と耳部11とが最も口開き状に弾性変形した状態の手摺り案内体9の外形形状より大きな内形形状に形成されている。
【0017】
このように構成された手摺り案内体取付治具100は、初期状態では、第1および第2ハンドル20,23の他端間がスプリング26に復元力が生じない所定の距離になっている。すなわち、初期状態では、第1および第2ハンドル20,23は、スプリング26に復元力が生じない所定の開状態となっている。そして、把持部21,24を持って第1および第2ハンドル20,23の一端側を閉じると、第1および第2ハンドル20,23の他端側が、スプリング26を収縮させながら閉じられる。そして、第1および第2ハンドル20,23の一端側を閉じる力をなくすと、スプリング26の復元力により、第1および第2ハンドル20,23の他端間が所定の距離に保たれる初期状態に復帰する。
【0018】
つぎに、この手摺り案内体取付治具100を用いた手摺り案内体9の取り付け方法について図2を参照しつつ説明する。
【0019】
まず、作業者が、第1および第2ハンドル20,23を広げて、手摺り案内レール5が第1および第2フック30,33間に位置するように手摺り案内体取付治具100を配置させる。そして、もう1人の作業者が手摺り案内体9を持って手摺り案内レール5の幅方向の両側で、手摺り案内体9を第1および第2フック30,33のそれぞれに引っ掛ける。このとき、各手摺り案内体9は、図2の(a)に示されるように、基部10と耳部11との連結部側が第1および第2フック30,33内に挿入されて、衿状部分7に対して装着開始位置に位置するように手摺り案内体取付治具100に保持される。ここで、手摺り案内体9の衿状部分7に対する装着開始位置とは、耳部11の先端が衿状部分7の下面に接し、かつ基部10の内面(耳部11に相対する面)が衿状部分7の先端に接し、或いは爪部12が衿状部分7の上面に接し、手摺り案内体9が弾性変形していない、或いは僅かに弾性変形している状態を意味する。
【0020】
ついで、把持部21,24を持って第1および第2ハンドル20,23を閉じる。これにより、第1および第2ハンドル20,23の他端間が狭くなり、第1および第2フック30,33が手摺り案内レール5の幅方向の中央側に引っ張られる。この第1および第2フック30,33の動作により、手摺り案内体9は、図2の(b)に示されるように、衿状部分7が手摺り案内体9を弾性変形させつつ基部10と耳部11との間に押し込まれて、手摺り案内レール5の幅方向の中央側に移動する。
【0021】
そして、把持部21,24が突き合わされるまで第1および第2ハンドル20,23を閉じると、爪部12が手摺り案内レール5の衿状部分7を超える。そこで、爪部12は弾性復元力により主部6内に進入し、図2の(c)に示されるように、主部6の側壁の先端の内壁面に係止される。これにより、手摺り案内体9の当該部分が手摺り案内レール5に装着される。ここで、手摺り案内体9の装着とは、衿状部分7が基部10と耳部11との間に圧入され、基部10の他端に突設された爪部12が主部6の側壁の先端の内壁面(衿状部分7の基端)に係止されている状態を意味する。
【0022】
ついで、第1および第2ハンドル20,23を閉じる力を弱めると、スプリング26の復元力が放勢され、第1および第2ハンドル20,23が初期状態に復帰する。このとき、第1および第2フック30,33は、図2の(d)に示されるように、手摺り案内レール5に装着された手摺り案内体9に自重のみで接する状態となり、手摺り案内体取付治具100は手摺り案内レール5に沿ってスライド移動可能となる。
【0023】
ついで、もう1人の作業者は、少し離れた手摺り案内体9の未装着部分を手で持って手摺り案内体9を装着開始位置に保持する。そして、作業者は、手摺り案内体取付治具100を手摺り案内レール5に沿って装着開始位置に保持されている手摺り案内体9の未装着部分にスライド移動させる。これにより、手摺り案内体9の未装着部分は、図2の(a)に示されるように、衿状部分7に対して装着開始位置に位置するように手摺り案内体取付治具100に保持される。ついで、図2の(b)、(c)に示されるように、把持部21,24が突き合わされるまで第1および第2ハンドル20,23を閉じ、爪部12を主部6の側壁の先端の内壁面に係止させる。
【0024】
これらの操作を繰り返し行い、両手摺り案内体9の全体を手摺り案内レール5に装着した後、第1および第2ハンドル20,23を開けて、図2の(e)に示されるように、第1および第2フック30,33を広げ、手摺り案内体取付治具100を取り外す。
【0025】
この一連の操作を繰り返して、手摺り案内体9を隣接するように手摺り案内レール5に順次装着し、手摺り案内体9を手摺り案内レール5の長さ方向に連なって手摺り案内レール5の全周に渡って装着する。
【0026】
この実施の形態1によれば、把持部21,24を一端に有する第1および第2ハンドル20,23が中央部より先端側でピン25により枢着されている。そこで、手摺り案内体取付治具100は倍力機構を構成し、小さな力で手摺り案内体9を手摺り案内レール5に装着できるようになり、作業負荷が軽減される。
また、手摺り案内体9を引っ掛ける第1および第2フック30,33が第1および第2ハンドル20,23の先端にピン27,28により枢着されているので、手摺り案内体9を保持しつつ手摺り案内レール5に装着開始位置に位置させることができる。これにより、手摺り案内体9を手摺り案内レール5に仮装着させるような手作業が不要となり、作業負荷を著しく軽減できる。
【0027】
また、スプリング26が第1および第2ハンドル20,23を所定の開状態に復元するように第1および第2ハンドル20,23間に架設されている。そして、手摺り案内体9の基部10と耳部11との連結部側が第1および第2フック30,33の引っ掛け部32,35に収容保持されている時、手摺り案内体9が衿状部分7のそれぞれに装着されている状態では、第1および第2ハンドルは所定の開状態に復元する。そこで、手摺り案内体9を装着した後、第1および第2ハンドル20,23を閉じる力をなくすことで、手摺り案内体取付治具100はスライド移動可能な状態となる。また、手摺り案内体9が衿状部分7のそれぞれに対して装着開始位置に位置している状態では、第1および第2ハンドル20,23はスプリング26に復元力を発生させながら所定の開状態より広い開状態となる。そこで、手摺り案内体9は、スプリング26の復元力により、装着開始位置に安定して保持される。
【0028】
なお、上記実施の形態1では、手摺り案内体9を手摺り案内レール5の両衿状部分7に同時に装着するものとして説明しているが、この手摺り案内体取付治具100は、図3に示されるように、一方の衿状部分7に装着されている手摺り案内レール5の他方の衿状部分7に手摺り案内体9を装着する場合にも適用できる。
【0029】
実施の形態2.
図6はこの発明の実施の形態2に係るエスカレータの手摺り案内体保持クリップを手摺り案内体に装着した状態を示す断面図であり、図6の(a)は手摺り案内体の装着状態を示し、図6の(b)は手摺り案内体の装着開始位置を示している。図7はこの発明の実施の形態1に係るエスカレータの手摺り案内体保持クリップを手摺り案内体に装着した状態を示す要部斜視図である。
【0030】
図6において、手摺り案内体保持クリップ101は、基部40の両端をJ字状に折り返してなる一対の保持部41を有する断面略C字状に作製され、一方の保持部41の屈曲部の内壁面と他方の保持部41の先端との隙間D1が、両衿状部分7に装着された手摺り案内体9の基部10と耳部11との連結部の外周面間の距離L1より広くなっている。また、一対の保持部41の先端間の間隔D2が、両衿状部分7に装着された手摺り案内体9の基部10と耳部11との連結部の外周面間の距離L1より狭く、主部6の幅L2より広くなっている。さらに、保持部41の屈曲部の内壁面間の距離D3は、両衿状部分7に対して装着開始位置に位置する手摺り案内体9の基部10と耳部11との連結部の外周面間の距離L3に略等しくなっている。さらにまた、保持部41の内形形状が、衿状部分7に対して装着開始位置に位置する手摺り案内体9を保持できるように傾斜している。
【0031】
これにより、手摺り案内体保持クリップ101は、手摺り案内レール5の衿状部分7に装着されている手摺り案内体9に対して遊嵌状態に嵌合可能に、かつ着脱自在に、かつ衿状部分7に対して未装着の手摺り案内体9を装着開始位置に保持可能に構成されている。
【0032】
つぎに、手摺り案内体取付治具100および手摺り案内体保持クリップ101を用いて手摺り案内体9を取り付けるについて説明する。
【0033】
まず、図2の(a)〜(e)の工程に従い、手摺り案内体9の長さ方向の一端部を手摺り案内レール5の両衿状部分7に装着し、手摺り案内体取付治具100を手摺り案内レール5から取り外す。
【0034】
ついで、図6の(a)に示されるように、手摺り案内体保持クリップ101を手摺り案内体9の装着部分に外嵌状態に取り付ける。そして、手摺り案内体保持クリップ101を手摺り案内レール5に沿ってスライド移動させる。これにより、衿状部分7から離反している手摺り案内体9の未装着部分が保持部41の内壁面に係合し、手摺り案内体保持クリップ101の移動により衿状部分7側に押圧される。このとき、手摺り案内体9の基部10と耳部11との連結部が保持部41内に収納、保持されているので、手摺り案内体9は、図6の(b)に示されるように、耳部11の先端が衿状部分7の下面に接し、基部10の内面が衿状部分7の先端に接し、或いは爪部12が衿状部分7の上面に接する装着開始位置に位置される。
【0035】
このようにして、手摺り案内体保持クリップ101を手摺り案内体9の装着部分から手摺り案内レール5の長さ方向に移動距離を変えて順次スライド移動させ、手摺り案内体9の長さ方向に所定の間隔で配設する。これにより、手摺り案内体9の未装着部分は、図7に示されるように、手摺り案内体保持クリップ101により、装着開始位置に位置するように保持される。
ついで、手摺り案内体取付治具100をスライド移動させつつ、図2の(a)〜(e)の工程を繰り返し行い、両手摺り案内体9の全体を手摺り案内レール5に装着する。このとき、手摺り案内体9の手摺り案内体クリップ101が装着されている近傍を手摺り案内レール5に装着すると、手摺り案内体クリップ101は着脱可能な状態となり、取り外される。そこで、手摺り案内体取付治具100を継続してスライド移動させることができる。その後、第1および第2ハンドル20,23を開けて、第1および第2フック30,33を広げ、手摺り案内体取付治具100を取り外す。
【0036】
この実施の形態2によれば、手摺り案内体保持クリップ101を手摺り案内体9の装着部分に外嵌状態に取り付け、手摺り案内レール5に沿ってスライド移動させて、手摺り案内体9の未装着部分を装着開始位置に保持しているので、手で手摺り案内体9を装着開始位置に保持する必要がなく、装着作業性が向上し、作業者の人数を少なくでき、さらに作業負荷を軽減できる。
また、手摺り案内体保持クリップ101を所定の間隔で複数配設しているので、手摺り案内体9の装着作業を連続して行うことができ、作業時間を短縮できる。
【0037】
また、上記各実施の形態では、エスカレータに適用するものとして説明しているが、本発明はエスカレータ以外のマンコンベア、例えば動く歩道に適用しても、同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0038】
5 手摺り案内レール、6 主部、7 衿状部分、8 移動手摺り、9 手摺り案内体、10 基部、11 耳部、12 爪部、20 第1ハンドル、21 把持部、23 第2ハンドル、24 把持部、25 ピン、26 スプリング、27,28 ピン、30 第1フック、32 引っ掛け部、33 第2フック、35 引っ掛け部、100 手摺り案内体保持治具、101 手摺り案内体保持クリップ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部、該基部の一端から基部の一面側に折り返された耳部、および該基部の一面の他端に突設された爪部を有する断面J状の帯状体に成形され、手摺り案内レールの主部先端から幅方向の両側に延出し、かつ長さ方向に延在する衿状部分を該基部と該耳部との間に挟持し、かつ該爪部を該衿状部分の基端に係止させて該衿状部分のそれぞれに装着され、該手摺り案内レールに装着される移動手摺りが摺接する手摺り案内体を該衿状部材に取り付けるマンコンベアの手摺り案内体取付治具であって、
把持部を一端側に有し、中央部より他端側をピンにより互いに枢着されて、該ピンを支点として開閉自在に連結された第1および第2ハンドルと、
先端に上記手摺り案内体の上記基部と上記耳部との連結部側を収容保持する引っ掛け部を有し、該引っ掛け部が相対するように後端をピンにより上記第1および第2ハンドルの他端にそれぞれ枢着された第1および第2フックと、
を備えていることを特徴とするマンコンベアの手摺り案内体取付治具。
【請求項2】
スプリングが上記第1および第2ハンドルを所定の開状態に復元するように該第1および第2ハンドル間に架設されており、
上記手摺り案内体の上記基部と上記耳部との連結部側が上記第1および第2フックの上記引っ掛け部に収容保持されている時、該手摺り案内体が上記衿状部分のそれぞれに装着されている状態では、上記第1および第2ハンドルは上記所定の開状態に復元し、該手摺り案内体が上記衿状部分のそれぞれに対して装着開始位置に位置している状態では、該第1および第2ハンドルは上記スプリングに復元力を発生させながら上記所定の開状態より広い開状態となるように構成されている請求項1記載のマンコンベアの手摺り案内体取付治具。
【請求項3】
上記請求項1又は請求項2記載のマンコンベアの手摺り案内体取付治具を用いて上記手摺り案内体を上記手摺り案内レールの上記衿状部分に取り付ける方法であって、
上記第1および第2ハンドルを広げて、上記第1および第2フック内に上記手摺り案内レールを位置させるように上記手摺り案内体取付治具を配置する工程と、
上記手摺り案内体の上記基部と上記耳部との連結部側を上記第1および第2フックの上記引っ掛け部に収容保持させて上記第1および第2ハンドルを閉じ、該手摺り案内体を装着開始位置に位置させる工程と、
上記第1および第2ハンドルを更に閉じて、上記第1および第2フックを介して上記手摺り案内体を上記手摺り案内レール側に押圧し、該手摺り案内体を上記衿状部材のそれぞれに装着する工程と、
を有することを特徴とするマンコンベアの手摺り案内体の取り付け方法。
【請求項4】
上記手摺り案内レールの上記衿状部分のそれぞれに装着された上記手摺り案内体に対して遊嵌状態に嵌合可能に、かつ着脱自在に、かつ該衿状部分のそれぞれに対して未着装の該手摺り案内体を装着開始位置に保持可能に構成されている案内体保持クリップを、該手摺り案内体の該衿状部分のそれぞれに装着されている部位に装着する工程と、
上記手摺り案内体の上記衿状部分のそれぞれに装着されている部位に装着されている上記案内体保持クリップを上記手摺り案内レールに沿ってスライド移動させ、該手摺り案内体の該衿状部分のそれぞれに対して未装着の部位を、該衿状部分のそれぞれに対して装着開始位置に保持する工程と、
をさらに備えていることを特徴とする請求項3記載のマンコンベアの手摺り案内体の取り付け方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−215392(P2010−215392A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−66471(P2009−66471)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】