説明

マンコンベアの音声案内装置

【課題】マンコンベアの利用者に適切な音声案内をしつつ、不要な音声案内をできる限り削減するマンコンベアの音声案内装置を提供する。
【解決手段】マンコンベアの乗降口に設けられて、音声を発生する音声発生手段を有するポスト10と、前記ポストに設けられて、乗客を検知する第1の検知領域を有する第1の人感センサ12と、前記ポストに設けられて、乗客を検知する第1の検知領域よりも広い第2の検知領域を有する第2の人感センサ14と、前記第2の人感センサが乗客を検出したことにより前記音声発生手段を動作すると共に、前記第1及び第2の人感センサが乗客を検知しなくなってから所定時間後に、前記音声発生手段からの音声を停止する制御部31とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンコンベアの音声案内装置の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のマンコンベアの音声案内装置として、マンコンベアの乗降板の先端から踏段に至る間の表面に、順次点滅する複数個の投光と、これに連動する利用客の乗降を案内する音声装置を設置したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このようなマンコンベアの音声案内装置によれば、年老いた乗客や身体の不自由な乗客などがマンコンベアに乗りやすくなり、乗客の滞留の解消にもなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−100280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のマンコンベアの音声案内装置では、仮想的な利用者に対して常時音声案内がされているため、利用者がいなくとも音声案内がされてしまう。したがって、静粛な環境にマンコンベアが設置されている場合などには、周囲の乗客などが騒々しく感じることにもなりかねないという課題がある。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、マンコンベアの利用者に適切な音声案内をしつつ、不要な音声案内をできる限り削減するマンコンベアの音声案内装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係るマンコンベアの音声案内装置は、マンコンベアの乗降口に設けられて、音声を発生する音声発生手段を有するポストと、前記ポストに設けられて、乗客を検知する第1の検知領域を有する第1の人感検出手段と、前記ポストに設けられて、乗客を検知する第1の検知領域よりも広い第2の検知領域を有する第2の人感検出手段と、前記第2の人感検出手段が乗客を検出したことにより前記音声発生手段を動作すると共に、前記第1及び第2の人感検出手段が乗客を検知しなくなってから所定時間後に、前記音声発生手段からの音声を停止する第1の制御手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、マンコンベアの利用者に適切な音声案内をしつつ、不要な音声案内をできる限り削減するマンコンベアの音声案内装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1による音声案内装置を有するマンコンベアの全体図である。
【図2】図1に示す音声案内装置の人感検出器により乗客を検知するマンコンベアの乗込み口付近の模式的平面図である。
【図3】図1に示す音声案内装置の内部ブロック図である。
【図4】図1に示す音声案内装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
本発明の実施の形態1を図1から図4を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態1による音声案内装置を有するマンコンベアの全体図、図2は、図1に示す音声案内装置の人感検出器により乗客を検知するマンコンベアの乗込み口付近の模式的平面図、図3は、図1に示す音声案内装置の制御部を示すブロック図、図4は、図1に示す音声案内装置の動作を示すフローチャートである。
【0011】
図1及び図2において、多数の踏み段5を有するマンコンベア1には、乗込み口1aに所定の距離を隔てた設けられた一対のポスト10と、それぞれのポスト10に繋がれて乗込み口1aまで横からの乗客Mの侵入を防止する箱状の柵の機能をも有する音声案内装置20とが備えられている。音声案内装置20は、乗客Mに対して音声によりマンコンベア1の運転方向等を案内するもので、制御器30と、制御器30により所定量の音量で案内すべき音声を発生する音声発生手段としてのスピーカ40と、LED50Lでマンコンベア1の運転方向等を表示する表示部50と、乗込み口1a付近の騒音を検出して騒音検知信号を発生する騒音検出器60とを備えている。
【0012】
ポスト10の正面側には、乗客Mを検知する第1の検知領域A1を有すると共に、乗客Mを検知することにより第1の検知信号を発生する第1の人感検出手段としての第1の人感センサ12と、乗客Mを検知する第1の検知領域A1よりも広い第2の検知領域A2を有する共に、乗客Mを検知することにより第2の検知信号を発生する第2の人感検出手段としての第2の人感センサ14とを有している。図2に示す例では、第2の検出領域A2内に第1の検知領域A1が包含されると共に、第1の検出領域A1が乗込み口1a側に突出している。
【0013】
図3において、音声案内装置20の制御器30は、第1の人感センサ12の第1の検知信号、第2の人感センサ14の第2の検知信号を取り込むと共に、第2の検知信号の取り込みにより第1の動作信号を発生する制御部31を有している。制御部31は、第1及び第2の制御手段、通過判断手段としての機能を有しており、第1及び第2の検知信号の取り込みにより第2の動作信号を発生すると共に、第1及び第2の検知信号が発生してない場合には、不動作信号を発生するように形成されている。
【0014】
音声案内装置20の制御器30は、制御部31からの音声信号によりスピーカ40から発生する音声案内の内容を生成する音声合成部33を有している。音声合成部33は、第1の動作信号の発生により第1の音量にて音声合成を開始し、第2の動作信号により第1の音量よりも小さい第2の音量にて音声合成を開始し、不動作信号により音声合成を停止するように形成されている。
【0015】
音声案内装置20の制御器30は、音声案内の音量を騒音検出器60の騒音信号により制御する音量調整部35と、スピーカ40とを備え、制御部31から第1の動作信号により表示部50のLED50Lを動作して表示すると共に、不動作信号により表示部50のLED50Lを消灯するように形成されている。
【0016】
上記のように構成されたマンコンベアの音声案内装置20の制御器30の動作を図4に示すフローチャートに従って説明する。今、乗客Mがマンコンベア1の乗込み口1aに近づくと、第2の人感センサ14が乗客Mを検知して第2の検知信号を発生し(ステップS101)、制御部31が第2の検知信号を取り込み、第1の動作信号を発生して表示部50のLED50Lを点灯して矢印を表示すると共に、音声合成部33、音量調整部35を介してスピーカ40から第1の音量により案内放送を流す(ステップS103)。
【0017】
次に、乗客Mが乗込み口1aにさらに接近すると、第1の人感センサ12及び第2の人感センサ14が乗客Mを検出してそれぞれ第1の検知信号、第2の検知信号を発生すると(ステップS105)、制御部31が第1及び第2の検知信号を取り込み、第2の動作信号を発生して表示部50のLED50Lの点灯を維持する。同時に、音声合成部33、音量調整部35を介してスピーカ40から第1の音量よりも小さい第2の音量により案内放送を流す(ステップS107)。
【0018】
乗客Mが乗込み口1aに入り、第1の人感センサ12のみが乗客Mを検出すると(ステップS109)、制御部31が第1の検出信号を取り込み、乗客Mが乗込み口1aを通過して乗込んだと判断してマンコンベア1を起動する起動指令信号を発生する(ステップS111)。第1の人感センサ12のみが乗客Mを検出から所定時間経過すると(ステップS113)、音声合成部33、音量調整部35を介してスピーカ40からの音声案内を停止すると共に、表示部50のLED50Lを消灯する(ステップS115)。
【0019】
上記実施の形態1の音声案内装置20の制御器30は、マンコンベア1の乗降口1aに設置されたポスト10に設けられて、乗客Mを検知する第1の検知領域を有する第1の人感センサ12と、該ポスト10に設けられて、乗客Mを検知する第1の検知領域よりも広い第2の検知領域を有する第2の人感センサ14とからの検出信号を取り込み、第2の人感センサ12が乗客Mを検出したことにより音声案内装置20を動作させると共に、第1の人感センサ12が乗客Mを検知しなくなってから所定時間後に、音声案内装置20からの音声を停止するように制御する。
【0020】
これにより、制御部31は、第2の人感センサ14が乗客Mを検出したことによりスピーカ40から音声案内を発すると共に、第1の人感センサ12が乗客Mを検知しなくなってから所定時間後に、スピーカ40からの音声を停止する。したがって、乗客Mがマンコンベア1に乗り込む手前から音声案内がされ、マンコンベア1に乗客Mが乗り込んで所定時間経過すると、音声案内が停止する。したがって、マンコンベア1の利用者に適切な音声案内をしつつ、不要な音声案内をできる限り削減して騒音を減少できる。
【0021】
上記実施の形態1のマンコンベアの音声案内装置は、第2の人感センサ14により乗客Mを検知し、その後、第1及び第2の人感センサ12、14が乗客Mを検出し、その後、第1の人感検知センサ12のみが乗客Mを検知することにより、ポスト10を通過したと判断する通過判断手段を構成することができる。これにより、乗客Mがポスト10を通過したことを第1及び第2の人感センサにより検出できるので、ポスト10に赤外線ビームを設ける必要がなくなる。
【0022】
上述した実施の形態1の特徴を整理すると次のとおりである。
(1)マンコンベア1の乗降口1aに設けられて、音声を発生する音声発生手段としての音声案内装置20を有するポスト10と、ポスト10に設けられて、乗客を検知する第1の検知領域を有する第1の人感センサ12と、ポスト10に設けられて、乗客を検知する第1の検知領域よりも広い第2の検知領域を有する第2の人感センサ14と、第2の人感センサ14が乗客を検出したことにより前記音声発生手段を動作すると共に、第1及び第2の人感センサ12及び14が乗客を検知しなくなってから所定時間後に、音声発生手段からの音声を停止する第1の制御手段としての制御部31とを備える。
【0023】
これにより、乗客がマンコンベアに乗り込む手前から音声案内がされ、マンコンベアに乗客が乗り込んで所定時間経過すると、音声案内が停止する。したがって、マンコンベアの利用者に適切な音声案内をしつつ、不要な音声案内をできる限り削減して騒音を減少できる。
【0024】
(2)前記第1の検知領域は、前記第2の検知領域に一部が包含されており、第1の制御手段は、前記音声発生手段を動作し、その後、前記第1及び第2の人感センサが乗客を検出し、その後、第1の人感センサが乗客を検知しなくなってから所定時間後に、前記音声発生手段からの音声を停止する。
【0025】
これにより、一般的な乗客がマンコンベアヘの乗込む際の移動状況に応じて音声発生手段からの音声を発生・停止を制御できる。
【0026】
(3)前記第1の人感センサと第2の人感センサとの動作によりスピーカから音量を変える第2の制御手段としての音声合成部33を備える。
【0027】
これにより、マンコンベアの乗車口から離れた乗客には第2の人感センサにより音声を大きくし、乗車口に近づくと音声を小さくできる。したがって、マンコンベアの利用者に適切な音量により音声案内ができる。
【0028】
(4)マンコンベアの乗降口付近の騒音を検知する音量検知手段としての騒音検出器60と、音量検知手段の音量に基づいて音声発生手段から発生する音量を調整する音量調整手段としての音量調整部35とを備える。
【0029】
これにより、マンコンベアの周囲の騒音の状況に応じて音声案内手段からの音量を調整するので、マンコンベアの利用者に適切な音量により音声案内ができる。
【0030】
(5)第2の人感センサにより乗客を検知し、その後、第1及び第2の人感センサが乗客を検出し、その後、第1の人感センサが乗客を検知することにより、ポストを通過したと判断する通過判断手段を構成できる。
【0031】
これにより、乗客がポストを通過したことを第1及び第2の人感センサにより検出できるので、ポストの赤外線ビームを不要とすることができる。
【0032】
(6)ポストは、マンコンベアの運転方向を表示する表示手段を有し、第2の人感センサによる乗客の検出により表示手段を動作する第3の制御手段としての制御部31を備える。
【0033】
これにより、表示部制御手段は第3の検知手段による乗客の検出により表示手段を動作するので、表示手段の省エネルギーを図ることができる。
【符号の説明】
【0034】
1 マンコンベア、10 ポスト、12 第1の人感センサ、14 第2の人感センサ、20 音声案内装置、30 制御器、40 スピーカ、60 騒音検出器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンコンベアの乗降口に設けられて、音声を発生する音声発生手段を有するポストと、
前記ポストに設けられて、乗客を検知する第1の検知領域を有する第1の人感検出手段と、
前記ポストに設けられて、乗客を検知する第1の検知領域よりも広い第2の検知領域を有する第2の人感検出手段と、
前記第2の人感検出手段が乗客を検出したことにより前記音声発生手段を動作すると共に、前記第1及び第2の人感検出手段が乗客を検知しなくなってから所定時間後に、前記音声発生手段からの音声を停止する第1の制御手段と
を備えたマンコンベアの音声案内装置。
【請求項2】
請求項1に記載のマンコンベアの音声案内装置において、
前記第1の検知領域は、前記第2の検知領域に一部が包含されており、
前記第1の制御手段は、前記音声発生手段を動作し、その後、前記第1及び第2の人感検出手段が乗客を検出し、その後、前記第1の人感検出手段が乗客を検知しなくなってから所定時間後に、前記音声発生手段からの音声を停止する
ことを特徴とするマンコンベアの音声案内装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のマンコンベアの音声案内装置において、
前記第1の人感検知手段と第2の人感検知手段との動作により前記スピーカから音量を変える第2の制御手段を備えた
ことを特徴とするマンコンベアの音声案内装置。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1項に記載のマンコンベアの音声案内装置において、
前記マンコンベアの乗降口付近の騒音を検知する音量検知手段と、
前記音量検知手段の音量に基づいて前記音声発生手段から発生する音量を調整する音量調整手段と
を備えたことを特徴とするマンコンベアの音声案内装置。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1項に記載のマンコンベアの音声案内装置において、
前記第2の人感検知手段により乗客を検知し、その後、前記第1及び第2の人感検出手段が乗客を検出し、その後、前記第1の人感検知手段が乗客を検知することにより、前記ポストを通過したと判断する通過判断手段を備えた
ことを特徴とするマンコンベアの音声案内装置。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項に記載のマンコンベアの音声案内装置において、
前記ポストは、前記マンコンベアの運転方向を表示する表示手段を有し、
前記第2の人感検出手段による乗客の検出により前記表示手段を動作する第3の制御手段を備えた
ことを特徴とするマンコンベアの音声案内装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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