マンコンベア監視装置およびマンコンベアシステム
【課題】マンコンベアの降り場およびその周辺での乗客の滞留などの異常状態を精度良く検知し、将棋倒しなどの事故を防止して安全を確保する。
【解決手段】マンコンベア監視装置は、マンコンベア1の降り場およびその周辺の映像を撮影して撮像データを得るテレビカメラ15と、その撮像データから搬送物を抽出する搬送物抽出部6と、搬送物抽出部6で抽出された搬送物の空間的な分布を演算して搬送物分布データを得る分布演算部7と、搬送物分布データに基づいて危険度を判定し、この危険度に基づいてマンコンベア1の今後の運転に関する処理を判定する処理判定部8と、を備えている。テレビカメラ15で撮影した範囲を空間的に複数のブロックに分割し、ブロック毎の搬送物の分布を求める。
【解決手段】マンコンベア監視装置は、マンコンベア1の降り場およびその周辺の映像を撮影して撮像データを得るテレビカメラ15と、その撮像データから搬送物を抽出する搬送物抽出部6と、搬送物抽出部6で抽出された搬送物の空間的な分布を演算して搬送物分布データを得る分布演算部7と、搬送物分布データに基づいて危険度を判定し、この危険度に基づいてマンコンベア1の今後の運転に関する処理を判定する処理判定部8と、を備えている。テレビカメラ15で撮影した範囲を空間的に複数のブロックに分割し、ブロック毎の搬送物の分布を求める。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、乗客等の搬送物を搬送するマンコンベアの状況を監視するマンコンベア監視装置、およびこれを含むマンコンベアシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
エスカレータなどのマンコンベアには、より一層の安全が求められている。特に、降り場付近で混雑し人が滞留すると、マンコンベアにより次々に運ばれてくる乗客が降りることができなくなり、行き場を失った乗客が将棋倒しになるなど、重大事故に発展する可能性がある。このため、マンコンベアの降り場付近やその周囲での乗客の滞留を検知し、状況に応じてマンコンベアを減速したり停止したりするマンコンベアの乗客異常検出装置(マンコンベア監視装置)が望まれている。
【0003】
マンコンベアの乗客異常検出装置として、従来いくつか提案されている。
【0004】
第1の従来技術として、特許文献1では、マンコンベアの乗客を撮像し画像データを得る撮像手段と、マンコンベアの移動方向によって決まる画像データの移動方向の乱れを検出し、乗客の流れの異常を判定する異常判定手段とを備えたマンコンベアの乗客異常検出装置が提案されている。
【0005】
第2の従来技術として、特許文献2では、エスカレータに乗降および接近する物体の異常状態を検出してエスカレータを制御するエスカレータ制御装置が提案されている。このエスカレータ制御装置は、エスカレータおよびその周辺を撮像して撮像データを得る撮像手段と、撮像データから、物体を特定し、その特徴データを抽出する特徴抽出手段と、特徴データを時系列に蓄積する特徴時系列蓄積手段と、蓄積された特徴時系列データを時間的に処理し、その結果を所定の判定基準と対比して、判定結果を出力する事象判定手段と、を備えている。そしてその判定結果に基づいて、エスカレータの運転制御、案内、および通知を行なう。
【0006】
第3の従来技術として、特許文献3では、昇り口およびまたは降り口の混雑具合に応じて、そのステップ速度を自動的に調節する可変速度エスカレータが提案されている。このエスカレータは、昇り口およびまたは降り口の利用者を撮影してその撮影画像データを得る撮影手段と、撮影手段により得られた撮影画像データを画像処理することにより昇り口およびまたは降り口の混雑具合を判断する混雑具合情報を得る画像処理部と、画像処理部により得られた昇り口およびまたは降り口の混雑具合情報に対応して所定のステップ速度への変更を選択する速度変更選択部と、速度変更選択部により選択されたステップ速度に制御して速度変更する速度制御部と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−319762号公報
【特許文献2】特開平10−265163号公報
【特許文献3】特開2007−第55727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
第1の従来技術(特許文献1)は、乗客の流れの異常を検知し、事故の拡大を防止するものであるとされているが、少なくとも事故を未然に防止することはできないと考えられる。この理由を、乗客がマンコンベアに乗っている状態と、降りた後の状態に分けて、以下で説明する。
【0009】
(1)乗客がマンコンベアに乗っている状態
正常な状態であれば、乗客の移動方向(流れ)はほぼ一定であり、乗客の移動方向の乱れを検知すれば異常は検知できる。しかし、異常を検知した時には降り場付近での乗客の滞留の影響がマンコンベア上の乗客にも波及している状況なので、すでに事故が発生している可能性が高い。また、たとえ事故が発生していなくても、降り場付近での乗客の滞留の影響がマンコンベア上の乗客にも波及している非常に危険な状況であることには変わりない。さらに、このような危険な状況でマンコンベアを停止すると、これが引き金となり転倒事故を誘発する可能性もある。
【0010】
(2)乗客が降りた後の状態
乗客がマンコンベアから降りた後は、滞留が発生していない正常な状態でも、乗客の移動方向(流れ)は一定ではない。このため、そもそも乗客の移動方向の乱れが生じている状態で、乗客の移動方向の乱れを検知して異常判定するのは、現実的には非常に難しい。具体的には、異常判定する時の閾値を高く設定すれば異常を見過ごす可能性が高くなり、閾値を低く設定すれば頻繁にマンコンベアが停止し、乗客に大きな迷惑をかけることになる。
【0011】
このように、第1の従来技術では、異常は検知できても、事故を未然に防止することはできないことになる。
【0012】
つぎに、第2の従来技術(特許文献2)について説明する。特許文献2に示されている図1および図5から明らかなように、本提案はエスカレータに乗車してから降車するまでの区間で発生する事象を判定し、エスカレータの運転制御、案内および通知を行なうものである。このため、第1の従来技術と同様、異常を検知した時には降り場付近での乗客の滞留の影響がマンコンベア上の乗客にも波及している状況なので、すでに事故が発生している可能性が高い。また、たとえ事故が発生していなくても、降り場付近での乗客の滞留の影響がマンコンベア上の乗客にも波及している非常に危険な状況であることには変わりない。さらに、このような危険な状況でマンコンベアを停止すると、これが引き金となり転倒事故を誘発する可能性もある。
【0013】
このように、第2の従来技術によっても、異常は検知できても、事故を未然に防止することはできないことになる。
【0014】
また、第1の従来技術では移動方向の乱れを検知し、第2の従来技術では特徴時系列データを時間的に処理し、それらの結果を所定の判定基準と対比して異常の有無を判定している。ところが、降り場付近での乗客の滞留による事故を未然に防止するためには、降り場やその周辺での乗客の空間的な分布が最も問題となるのであり、移動方向の乱れや、特徴データ(乗客)の時間的な変化は、乗客の滞留を間接的に捕らえているにすぎない。このため、判定精度が悪化したり、判定のタイミングが遅れたりするという問題もある。
【0015】
第3の従来技術(特許文献3)では、降り場(降り口)の混雑具合を判断してエスカレータの速度を変更している。しかし、降り場で滞留が発生した時には、降り場での乗客の滞留の影響がエスカレータ上の乗客にも波及している危険な状況であり、この段階でエスカレータの速度を変更しても、手遅れである可能性が高い。つまり、第3の従来技術では、降り場で滞留が発生する以前に、乗客に注意を促したり、エスカレータ速度を減速するなどの措置をとることができず、事故を未然に防止することができない。
【0016】
本発明は前述した課題を解決するために成されたものであり、その目的は、マンコンベアの降り場およびその周辺での乗客の滞留などの異常状態を精度良く検知し、将棋倒しなどの事故を防止または抑制して安全を確保することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、本発明に係るマンコンベア監視装置は、乗客を含む搬送物を搬送するマンコンベアの状況を監視するマンコンベア監視装置において、前記マンコンベアの降り場およびその周辺の映像を撮影して撮像データを得る撮像手段と、前記撮像データから前記搬送物を抽出する搬送物抽出手段と、前記搬送物抽出手段で抽出された搬送物の空間的な分布を演算して搬送物分布データを得る分布演算手段と、前記搬送物分布データに基づいて危険度を判定し、この危険度に基づいて前記マンコンベアの今後の運転に関する処理を判定する処理判定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係るマンコンベアシステムは、乗客を含む搬送物を搬送するマンコンベアと、前記マンコンベアの降り場およびその周辺の映像を撮影して撮像データを得る撮像手段と、前記撮像データから前記搬送物を抽出する搬送物抽出手段と、前記搬送物抽出手段で抽出された搬送物の空間的な分布を演算して搬送物分布データを得る分布演算手段と、前記搬送物分布データに基づいて危険度を判定し、その危険度に基づいて前記マンコンベアの今後の運転に関する処理を判定する処理判定手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、マンコンベアの降り場およびその周辺での乗客の滞留などの異常状態を精度良く検知し、将棋倒しなどの事故を防止または抑制して安全を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係るエスカレータシステムの第1の実施形態の模式的側面図である。
【図2】第1の実施形態において、テレビカメラによって撮影された撮像データに、抽出した搬送物を重ね書きした平面図である。
【図3】第1の実施形態において、撮影範囲を12個のブロックに分割したようすを表した平面図である。
【図4】本発明に係るエスカレータシステムの第1の実施形態におけるエスカレータ監視装置の処理の流れを示すフロー図である。
【図5】第1の実施形態において、テレビカメラによって撮影された撮像データに、抽出した搬送物を重ね書きした平面図であって、ケース1の場合を示す。
【図6】第1の実施形態において、テレビカメラによって撮影された撮像データに、抽出した搬送物を重ね書きした平面図であって、ケース2の場合を示す。
【図7】第1の実施形態において、テレビカメラによって撮影された撮像データに、抽出した搬送物を重ね書きした平面図であって、ケース3の場合を示す。
【図8】第1の実施形態において、テレビカメラによって撮影された撮像データに、抽出した搬送物を重ね書きした平面図であって、ケース4の場合を示す。
【図9】第1の実施形態において、テレビカメラによって撮影された撮像データに、抽出した搬送物を重ね書きした平面図であって、ケース5の場合を示す。
【図10】第1の実施形態において、テレビカメラによって撮影された撮像データに、抽出した搬送物を重ね書きした平面図であって、ケース6の場合を示す。
【図11】第1の実施形態において、テレビカメラによって撮影された撮像データに、抽出した搬送物を重ね書きした平面図であって、ケース7の場合を示す。
【図12】第1の実施形態において、テレビカメラによって撮影された撮像データに、抽出した搬送物を重ね書きした平面図であって、ケース8の場合を示す。
【図13】第1の実施形態における各ブロックの重みと、ケース1ないしケース8で得られた各ブロックの混雑度を示した表である。
【図14】第1の実施形態におけるケース1ないしケース8で得られた各ブロックの危険度を判定した結果を示した表である。
【図15】第1の実施形態における重みと混雑度の積の合計点と危険度の対応を示した表である。
【図16】第1の実施形態における判定された危険度によって行なうべき処理を示した表である。
【図17】本発明に係るエスカレータシステムの第2の実施形態におけるエスカレータ監視装置の処理の流れを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係るエスカレータシステムの第1の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0022】
まず、図1ないし図3を用いて第1の実施形態の構成を説明する。第1の実施形態として、以下では上昇運転を行なっているエスカレータを例にとって説明する。
【0023】
図1は第1の実施形態のエスカレータシステムの模式的側面図である。図2は、第1の実施形態において、テレビカメラによって撮影された撮像データに、抽出した搬送物を重ね書きした平面図である。図3は、第1の実施形態において、撮影範囲を12個のブロックに分割したようすを表した平面図である。
【0024】
エスカレータ1のトラス部2の上階側には、制御装置3と駆動装置4が配置されている。駆動装置4は制御装置3からの指令を受け、踏段18や手摺ベルト19a,19bを所定の速度で駆動したり停止させたりする。
【0025】
制御装置3には伝送線9を介して乗客異常検出装置5が繋がれており、乗客異常検出装置5には搬送物抽出部6、分布演算部7、処理判定部8が組み込まれている。なお、乗客異常検出装置5は制御装置3の内部に組み込まれていてもよい。
【0026】
制御装置3には伝送線10a,10bを介してスピーカ11a,11bが繋がれており、制御装置3からの指令を受け、所定のアナウンスを乗客に流すようになっている。
【0027】
制御装置3には、設備管理者13や保守会社14に所定の情報を配信できるよう、伝送線12が繋がれている。
【0028】
エスカレータ1の上階側の降り場の天井付近には、テレビカメラ15が設置されており、その撮像データは伝送線16を介して乗客異常検出装置5の搬送物抽出部6に送られるようになっている。
【0029】
テレビカメラ15の撮影範囲17には、エスカレータ1の降り場およびその周辺のようす、すなわち、踏段18や手摺ベルト19a,19b、乗降板20やその周辺のようすとともに、搬送物抽出部6により抽出された乗客21が表示されている。
【0030】
図3に示すように、テレビカメラ15の撮影範囲17をブロックAからブロックLまで、4行3列の計12個のブロックに分割して処理する。図3中のアルファベットは各ブロックの名前、丸数字はそのブロックに付けられた重みを、それぞれ示している。
【0031】
つぎに、第1の実施形態の作用について説明する。
【0032】
図4は第1の実施形態におけるエスカレータ監視装置の処理の流れを示すフロー図である。また、図5ないし図12は、第1の実施形態において、テレビカメラによって撮影された撮像データに、抽出した搬送物を重ね書きした平面図であって、それぞれ、ケース1ないしケース8の場合を示す。図5ないし図12それぞれの右下のマトリクスは、4行3列の計12個のブロック毎の混雑度を表したもので、混雑していない場合は「0」、混雑している場合は「1」、非常に混雑している場合は「2」で表示している。
【0033】
はじめに、図4に示すフロー図に沿ってエスカレータ監視装置の処理の流れの概要を説明する。
【0034】
エスカレータ1が上昇運転をしているときに、テレビカメラ15でエスカレータ1降り口付近を撮影する(ステップS1)。撮影された撮像データは伝送線16を経て乗客異常検出装置5の搬送物抽出部6に送られる。つぎに、搬送物抽出部6は、テレビカメラ15によって撮影された撮影範囲17の全ての撮像データから乗客や荷物などの搬送物を抽出する(ステップS2)。つぎに、分布演算部7は、各ブロック毎に、混雑度を演算する(ステップS3)。
【0035】
つぎに、処理判定部8は、あらかじめ設定された各ブロックの重みを加味して、危険度を判定する(ステップS4)。さらに処理判定部8は、その危険度に対応してあらかじめ定められた行なうべき処理を示した表に従って、処理を判定する(ステップS5)。その後、処理判定部8での判定結果に応じて、制御装置が各種処理の実行を行なう(ステップS6)。
【0036】
分布演算部7が行なう混雑度の演算(ステップS3)の詳細はつぎのとおりである。搬送物抽出部6(ステップS2)で抽出された搬送物の面積がそのブロックの面積に占める割合を演算する。演算した結果、搬送物の面積がそのブロックの面積に占める割合が30%未満の場合は混雑度を「0」に、30%以上で60%未満の場合は混雑度を「1」に、60%以上の場合は混雑度を「2」に設定されるようになっている。
【0037】
以下、下記の8つのケースについて詳しく説明する。
【0038】
(1)ケース1(図5)
乗客の数が少なく、乗客の滞留が全く無い場合。
【0039】
(2)ケース2(図6)
徐々に乗客の数が増え、混雑してきたが滞留には至ってない場合。
【0040】
(3)ケース3(図7)
降り場付近には滞留は見られないが、その周辺には滞留の兆候が見られ、将来、降り場付近の滞留へと発展する可能性が出てきた場合。
【0041】
(4)ケース4(図8)
さらに乗客の数が増え、降り場付近には滞留は見られないが、その周辺には明らかな滞留が見られ、将来、降り場付近の滞留へと発展する可能性が高い場合。
【0042】
(5)ケース5(図9)
降り場周辺の滞留が顕著になり、将来、短時間のうちに降り場付近の滞留へと発展する可能性が高い場合。
【0043】
(6)ケース6(図10)
降り場付近で乗客が滞留し、その影響がエスカレータの踏段に乗っている乗客にも波及し、将棋倒しなどの事故が発生する可能性が非常に大きくなった場合。
【0044】
(7)ケース7(図11)
乗降板20の前で乗客22が倒れ、乗降板20の付近で乗客が滞留し、その影響がエスカレータの踏段に乗っている乗客にも波及する可能性が高い場合。
【0045】
(8)ケース8(図12)
乗降板20より前方で乗客23が倒れ、乗客23の前では乗客の滞留が見られるが、その影響はエスカレータから降りる乗客には及んでいない場合。
【0046】
ケース1では、全ブロックで混雑しておらず、各ブロックの混雑度は全て「0」となっている。
【0047】
ケース2では、ブロックA,C,F,J,Lで混雑が見られるため、これらのブロックの混雑度が「1」となり、その他のブロックでは「0」となっている。
【0048】
ケース3では、混雑が見られるブロックが増加し、ケース2に比べ混雑度が「1」になるブロックが増えると共に、一部のブロック(ブロックL)では非常に混雑しているので、このブロックの混雑度が「2」になっている。
【0049】
ケース4では、さらに乗客が増えたため、非常に混雑しているブロックや、混雑しているブロックが増加し、ブロックA,C,F,I,Lの5つのブロックで混雑度が「2」となり、ブロックB,E,D,G,Jの5つのブロックで混雑度が「1」になっている。
【0050】
ケース5では、さらに乗客が増えたため、非常に混雑しているブロックが増加し、ブロックA,B,C,D,F,G,I,J,Lの9つのブロックで混雑度が「2」となっている。
【0051】
ケース6では、全てのブロックで混雑度が「2」となっている。
【0052】
ケース7では、乗降板20を含むブロックHで混雑度が「2」となり、エスカレータに乗っている乗客を含むブロックKで混雑度が「1」になっている。
【0053】
ケース8では、乗客23の前で乗客が滞留しているブロックEで混雑度が「2」になっている。
【0054】
つぎに、危険度を判定するステップS4の詳細について説明する。
【0055】
図13は、第1の実施形態における各ブロックの重みと、ケース1ないしケース8で得られた各ブロックの混雑度を示した表である。
【0056】
図14は、第1の実施形態におけるケース1ないしケース8で得られた各ブロックの危険度を判定した結果を示した表である。ブロック毎に重みと混雑度の積を求め、その合計点(下から2番目の行)を計算し、危険度を判定した結果(一番下の行)を求める。
【0057】
図15は第1の実施形態における重みと混雑度の積の合計点と危険度の対応を示した表である。図16は第1の実施形態における判定された危険度によって行なうべき処理を示した表である。これらの処理は、伝送線9を介して制御装置3に伝達され、制御装置3はこれらの処理を実行する。
【0058】
危険度「0」と判定された場合は、制御装置3は駆動装置4に通常の速度での運転を指示すると共に、スピーカ11a,11bから「足元にご注意下さい。」とのアナウンスを流し、設備管理者13や保守会社14には通知を行なわない。
【0059】
危険度「I」と判定された場合は、制御装置3は駆動装置4に通常の速度での運転を指示すると共に、スピーカ11a,11bから「降り場が混んでいます。ご注意下さい。」とのアナウンスを流し、設備管理者13には「降り場が混んできました」との通知を行ない、保守会社14には通知を行なわない。
【0060】
危険度「II」と判定された場合は、制御装置3は駆動装置4に減速運転を指示すると共に、スピーカ11a,11bから「減速運転を行ないます。」とのアナウンスを流し、設備管理者13には「減速運転を行ないます。」との通知を行ない、保守会社14には減速運転を行なった旨の通知を行なう。なお、乗客の安全を考え、スピーカ11a,11bから「減速運転を行ないます。」とのアナウンスを流して注意を喚起し、所定の時間が経過した後、駆動装置4に減速運転を指示するようになっている。
【0061】
危険度「III」と判定された場合は、制御装置3は駆動装置4に運転停止を指示すると共に、スピーカ11a,11bから「運転を停止します。」とのアナウンスを流し、設備管理者13には「運転を停止します。」との通知を行ない、保守会社14には運転を停止した旨の通知を行なう。なお、乗客の安全を考え、スピーカ11a,11bから「運転を停止します。」とのアナウンスを流して注意を喚起し、所定の時間が経過した後、駆動装置4に運転停止を指示するようになっている。
【0062】
このような判定処理が、前述のケース1からケース8の場合に適用された場合について説明する。
【0063】
ケース1の場合は、図14から危険度「0」と判定される。このケースは、乗客の数が少なく、乗客の滞留が全く無い場合なので、通常の運転が継続される。
【0064】
ケース2の場合は、図14から危険度「I」と判定される。このケースは、徐々に乗客の数が増え、混雑してきたが滞留には至ってない場合なので、スピーカ11a,11bから「降り場が混んでいます。ご注意下さい。」とのアナウンスを流すことで乗客に注意を喚起し、通常の運転を継続する。
【0065】
ケース3の場合は、図14から危険度「II」と判定される。このケースは、降り場付近には滞留は見られないが、その周辺には滞留の兆候が見られ、将来、降り場付近の滞留へと発展する可能性が出てきた場合なので、スピーカ11a,11bから「減速運転を行ないます。」とのアナウンスを流し、エスカレータを減速運転することで、降り場付近で滞留が発生する可能性を少なくする。
【0066】
ケース4の場合は、図14から危険度「III」と判定される。このケースは、降り場付近には滞留は見られないが、その周辺には明らかな滞留が見られ、将来、降り場付近の滞留へと発展する可能性が高い場合なので、スピーカ11a,11bから「運転を停止します。」とのアナウンスを流し、エスカレータの運転を停止することで、降り場付近で滞留が発生する可能性を少なくする。
【0067】
ケース5の場合は、図14から危険度「III」と判定される。このケースは、降り場周辺の滞留が顕著になり、将来、短時間のうちに降り場付近の滞留へと発展する可能性が高いので、ケース4と同じ処理を行なうことで、滞留の影響がエスカレータの踏段に乗っている乗客にも波及することを防止する。
【0068】
ケース6の場合は、図14から危険度「III」と判定される。このケースは、降り場付近で乗客が滞留し、その影響がエスカレータの踏段に乗っている乗客にも波及し、将棋倒しなどの事故が発生する可能性が非常に大きくなった場合であるが、このケースに至る以前の段階(ケース4やケース5の段階)で、前述したようにエスカレータの運転を停止している。このため、このケースに至ることは実際には極めて少なく、事故を未然に防止できることになる。
【0069】
ケース7の場合は、図14から危険度「III」と判定される。このケースは、乗降板20の前で乗客22が倒れ、乗降板20の付近で乗客が滞留し、その影響がエスカレータの踏段に乗っている乗客にも波及する可能性が高い場合なので、スピーカ11a,11bから「運転を停止します。」とのアナウンスを流し、エスカレータの運転を停止することで、降り場付近で滞留が発生する可能性を少なくする。
【0070】
ケース8の場合は、図14から危険度「I」と判定される。このケースは、乗降板20より前方で乗客23が倒れ、乗客23の前では乗客の滞留が見られるが、その影響はエスカレータから降りる乗客には及んでいない場合なので、スピーカ11a,11bから「降り場が混んでいます。ご注意下さい。」とのアナウンスを流すことで乗客に注意を喚起し、通常の運転を継続する。
【0071】
以上述べたように、第1の実施形態によれば、エスカレータの降り場付近で乗客が滞留する以前に、エスカレータの運転を減速あるいは停止すると共に、その情報を乗客や設備管理者、保守会社に伝えることができ、乗客の滞留が原因となる将棋倒しなどの事故を未然に防止することができる。また、危険度を精度良く判定できるので、むやみにエスカレータの運転を減速あるいは停止して、乗客の利便性を損なうこともない。
【0072】
つぎに、本発明に係るエスカレータシステムの第2の実施形態について、図17を参照して説明する。図7は第2の実施形態におけるエスカレータ監視装置の処理の流れを示すフロー図である。図7に示す処理の流れ以外の部分は、前述の第1の実施形態と同様である。第1の実施形態では、撮像ステップS1の後に、ステップS2で、搬送物抽出部6は撮影された撮影範囲17の全ての撮像データから乗客や荷物などの搬送物を抽出し、つぎのステップS3で、分布演算部7が各ブロック毎に混雑度を演算する。これに対して、第2の実施形態では、撮像ステップS1の後に、ステップS12で、搬送物抽出部6が各ブロック毎に搬送物を抽出する。そしてその後のステップS3で、分布演算部7が各ブロック毎の混雑度を演算する。その後のステップは第1の実施形態と同様である。
【0073】
上記実施形態の説明では、抽出された搬送物の面積がそのブロックの面積に占める割合に閾値を設定して混雑度を「0」から「2」に3段階に設定するものとしたが、閾値は設置場所の状況に応じて最適な値にすれば良く、また、混雑度も3段階である必要はなく何段階に設定しても良い。
【0074】
さらに、上記の説明ではテレビカメラを用いて撮影するとしたが、テレビカメラではなく、サーモグラフィーや赤外線カメラなどの乗客の画像データが得られる手段であれば、何を用いてもよい。
【0075】
上記の実施形態では、上昇運転を行なっているエスカレータを例にとって説明したが、本発明の対象はエスカレータの運転方向には関係なく、下降運転するエスカレータにも適用できる。また、エスカレータに限らずオートロードなど、人や荷物を運搬するマンコンベアであれば適用できる。
【0076】
さらに、図13に例示した各ブロックの重みは、エスカレータが設置される場所に応じて、たとえばエスカレータ降り場の周囲の建造物や配置物などの状況に応じて変更してもよい。さらに、エスカレータ降り場の周囲でのイベントなどの影響で乗客の流れに変化が予想される場合にその重みを時間的に変更してもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 … エスカレータ(マンコンベア)
2 … トラス部
3 … 制御装置
4 … 駆動装置
5 … 乗客異常検出装置
6 … 搬送物抽出部
7 … 分布演算部
8 … 処理判定部
9,10a,10b … 伝送線
11a,11b … スピーカ
12 … 伝送線
13 … 設備管理者
14 … 保守会社
15 … テレビカメラ
16 … 伝送線
17 … 撮影範囲
18 … 踏段
19a,19b … 手摺ベルト
20 … 乗降板
21,22,23 … 抽出された乗客
【技術分野】
【0001】
この発明は、乗客等の搬送物を搬送するマンコンベアの状況を監視するマンコンベア監視装置、およびこれを含むマンコンベアシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
エスカレータなどのマンコンベアには、より一層の安全が求められている。特に、降り場付近で混雑し人が滞留すると、マンコンベアにより次々に運ばれてくる乗客が降りることができなくなり、行き場を失った乗客が将棋倒しになるなど、重大事故に発展する可能性がある。このため、マンコンベアの降り場付近やその周囲での乗客の滞留を検知し、状況に応じてマンコンベアを減速したり停止したりするマンコンベアの乗客異常検出装置(マンコンベア監視装置)が望まれている。
【0003】
マンコンベアの乗客異常検出装置として、従来いくつか提案されている。
【0004】
第1の従来技術として、特許文献1では、マンコンベアの乗客を撮像し画像データを得る撮像手段と、マンコンベアの移動方向によって決まる画像データの移動方向の乱れを検出し、乗客の流れの異常を判定する異常判定手段とを備えたマンコンベアの乗客異常検出装置が提案されている。
【0005】
第2の従来技術として、特許文献2では、エスカレータに乗降および接近する物体の異常状態を検出してエスカレータを制御するエスカレータ制御装置が提案されている。このエスカレータ制御装置は、エスカレータおよびその周辺を撮像して撮像データを得る撮像手段と、撮像データから、物体を特定し、その特徴データを抽出する特徴抽出手段と、特徴データを時系列に蓄積する特徴時系列蓄積手段と、蓄積された特徴時系列データを時間的に処理し、その結果を所定の判定基準と対比して、判定結果を出力する事象判定手段と、を備えている。そしてその判定結果に基づいて、エスカレータの運転制御、案内、および通知を行なう。
【0006】
第3の従来技術として、特許文献3では、昇り口およびまたは降り口の混雑具合に応じて、そのステップ速度を自動的に調節する可変速度エスカレータが提案されている。このエスカレータは、昇り口およびまたは降り口の利用者を撮影してその撮影画像データを得る撮影手段と、撮影手段により得られた撮影画像データを画像処理することにより昇り口およびまたは降り口の混雑具合を判断する混雑具合情報を得る画像処理部と、画像処理部により得られた昇り口およびまたは降り口の混雑具合情報に対応して所定のステップ速度への変更を選択する速度変更選択部と、速度変更選択部により選択されたステップ速度に制御して速度変更する速度制御部と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−319762号公報
【特許文献2】特開平10−265163号公報
【特許文献3】特開2007−第55727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
第1の従来技術(特許文献1)は、乗客の流れの異常を検知し、事故の拡大を防止するものであるとされているが、少なくとも事故を未然に防止することはできないと考えられる。この理由を、乗客がマンコンベアに乗っている状態と、降りた後の状態に分けて、以下で説明する。
【0009】
(1)乗客がマンコンベアに乗っている状態
正常な状態であれば、乗客の移動方向(流れ)はほぼ一定であり、乗客の移動方向の乱れを検知すれば異常は検知できる。しかし、異常を検知した時には降り場付近での乗客の滞留の影響がマンコンベア上の乗客にも波及している状況なので、すでに事故が発生している可能性が高い。また、たとえ事故が発生していなくても、降り場付近での乗客の滞留の影響がマンコンベア上の乗客にも波及している非常に危険な状況であることには変わりない。さらに、このような危険な状況でマンコンベアを停止すると、これが引き金となり転倒事故を誘発する可能性もある。
【0010】
(2)乗客が降りた後の状態
乗客がマンコンベアから降りた後は、滞留が発生していない正常な状態でも、乗客の移動方向(流れ)は一定ではない。このため、そもそも乗客の移動方向の乱れが生じている状態で、乗客の移動方向の乱れを検知して異常判定するのは、現実的には非常に難しい。具体的には、異常判定する時の閾値を高く設定すれば異常を見過ごす可能性が高くなり、閾値を低く設定すれば頻繁にマンコンベアが停止し、乗客に大きな迷惑をかけることになる。
【0011】
このように、第1の従来技術では、異常は検知できても、事故を未然に防止することはできないことになる。
【0012】
つぎに、第2の従来技術(特許文献2)について説明する。特許文献2に示されている図1および図5から明らかなように、本提案はエスカレータに乗車してから降車するまでの区間で発生する事象を判定し、エスカレータの運転制御、案内および通知を行なうものである。このため、第1の従来技術と同様、異常を検知した時には降り場付近での乗客の滞留の影響がマンコンベア上の乗客にも波及している状況なので、すでに事故が発生している可能性が高い。また、たとえ事故が発生していなくても、降り場付近での乗客の滞留の影響がマンコンベア上の乗客にも波及している非常に危険な状況であることには変わりない。さらに、このような危険な状況でマンコンベアを停止すると、これが引き金となり転倒事故を誘発する可能性もある。
【0013】
このように、第2の従来技術によっても、異常は検知できても、事故を未然に防止することはできないことになる。
【0014】
また、第1の従来技術では移動方向の乱れを検知し、第2の従来技術では特徴時系列データを時間的に処理し、それらの結果を所定の判定基準と対比して異常の有無を判定している。ところが、降り場付近での乗客の滞留による事故を未然に防止するためには、降り場やその周辺での乗客の空間的な分布が最も問題となるのであり、移動方向の乱れや、特徴データ(乗客)の時間的な変化は、乗客の滞留を間接的に捕らえているにすぎない。このため、判定精度が悪化したり、判定のタイミングが遅れたりするという問題もある。
【0015】
第3の従来技術(特許文献3)では、降り場(降り口)の混雑具合を判断してエスカレータの速度を変更している。しかし、降り場で滞留が発生した時には、降り場での乗客の滞留の影響がエスカレータ上の乗客にも波及している危険な状況であり、この段階でエスカレータの速度を変更しても、手遅れである可能性が高い。つまり、第3の従来技術では、降り場で滞留が発生する以前に、乗客に注意を促したり、エスカレータ速度を減速するなどの措置をとることができず、事故を未然に防止することができない。
【0016】
本発明は前述した課題を解決するために成されたものであり、その目的は、マンコンベアの降り場およびその周辺での乗客の滞留などの異常状態を精度良く検知し、将棋倒しなどの事故を防止または抑制して安全を確保することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、本発明に係るマンコンベア監視装置は、乗客を含む搬送物を搬送するマンコンベアの状況を監視するマンコンベア監視装置において、前記マンコンベアの降り場およびその周辺の映像を撮影して撮像データを得る撮像手段と、前記撮像データから前記搬送物を抽出する搬送物抽出手段と、前記搬送物抽出手段で抽出された搬送物の空間的な分布を演算して搬送物分布データを得る分布演算手段と、前記搬送物分布データに基づいて危険度を判定し、この危険度に基づいて前記マンコンベアの今後の運転に関する処理を判定する処理判定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係るマンコンベアシステムは、乗客を含む搬送物を搬送するマンコンベアと、前記マンコンベアの降り場およびその周辺の映像を撮影して撮像データを得る撮像手段と、前記撮像データから前記搬送物を抽出する搬送物抽出手段と、前記搬送物抽出手段で抽出された搬送物の空間的な分布を演算して搬送物分布データを得る分布演算手段と、前記搬送物分布データに基づいて危険度を判定し、その危険度に基づいて前記マンコンベアの今後の運転に関する処理を判定する処理判定手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、マンコンベアの降り場およびその周辺での乗客の滞留などの異常状態を精度良く検知し、将棋倒しなどの事故を防止または抑制して安全を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係るエスカレータシステムの第1の実施形態の模式的側面図である。
【図2】第1の実施形態において、テレビカメラによって撮影された撮像データに、抽出した搬送物を重ね書きした平面図である。
【図3】第1の実施形態において、撮影範囲を12個のブロックに分割したようすを表した平面図である。
【図4】本発明に係るエスカレータシステムの第1の実施形態におけるエスカレータ監視装置の処理の流れを示すフロー図である。
【図5】第1の実施形態において、テレビカメラによって撮影された撮像データに、抽出した搬送物を重ね書きした平面図であって、ケース1の場合を示す。
【図6】第1の実施形態において、テレビカメラによって撮影された撮像データに、抽出した搬送物を重ね書きした平面図であって、ケース2の場合を示す。
【図7】第1の実施形態において、テレビカメラによって撮影された撮像データに、抽出した搬送物を重ね書きした平面図であって、ケース3の場合を示す。
【図8】第1の実施形態において、テレビカメラによって撮影された撮像データに、抽出した搬送物を重ね書きした平面図であって、ケース4の場合を示す。
【図9】第1の実施形態において、テレビカメラによって撮影された撮像データに、抽出した搬送物を重ね書きした平面図であって、ケース5の場合を示す。
【図10】第1の実施形態において、テレビカメラによって撮影された撮像データに、抽出した搬送物を重ね書きした平面図であって、ケース6の場合を示す。
【図11】第1の実施形態において、テレビカメラによって撮影された撮像データに、抽出した搬送物を重ね書きした平面図であって、ケース7の場合を示す。
【図12】第1の実施形態において、テレビカメラによって撮影された撮像データに、抽出した搬送物を重ね書きした平面図であって、ケース8の場合を示す。
【図13】第1の実施形態における各ブロックの重みと、ケース1ないしケース8で得られた各ブロックの混雑度を示した表である。
【図14】第1の実施形態におけるケース1ないしケース8で得られた各ブロックの危険度を判定した結果を示した表である。
【図15】第1の実施形態における重みと混雑度の積の合計点と危険度の対応を示した表である。
【図16】第1の実施形態における判定された危険度によって行なうべき処理を示した表である。
【図17】本発明に係るエスカレータシステムの第2の実施形態におけるエスカレータ監視装置の処理の流れを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係るエスカレータシステムの第1の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0022】
まず、図1ないし図3を用いて第1の実施形態の構成を説明する。第1の実施形態として、以下では上昇運転を行なっているエスカレータを例にとって説明する。
【0023】
図1は第1の実施形態のエスカレータシステムの模式的側面図である。図2は、第1の実施形態において、テレビカメラによって撮影された撮像データに、抽出した搬送物を重ね書きした平面図である。図3は、第1の実施形態において、撮影範囲を12個のブロックに分割したようすを表した平面図である。
【0024】
エスカレータ1のトラス部2の上階側には、制御装置3と駆動装置4が配置されている。駆動装置4は制御装置3からの指令を受け、踏段18や手摺ベルト19a,19bを所定の速度で駆動したり停止させたりする。
【0025】
制御装置3には伝送線9を介して乗客異常検出装置5が繋がれており、乗客異常検出装置5には搬送物抽出部6、分布演算部7、処理判定部8が組み込まれている。なお、乗客異常検出装置5は制御装置3の内部に組み込まれていてもよい。
【0026】
制御装置3には伝送線10a,10bを介してスピーカ11a,11bが繋がれており、制御装置3からの指令を受け、所定のアナウンスを乗客に流すようになっている。
【0027】
制御装置3には、設備管理者13や保守会社14に所定の情報を配信できるよう、伝送線12が繋がれている。
【0028】
エスカレータ1の上階側の降り場の天井付近には、テレビカメラ15が設置されており、その撮像データは伝送線16を介して乗客異常検出装置5の搬送物抽出部6に送られるようになっている。
【0029】
テレビカメラ15の撮影範囲17には、エスカレータ1の降り場およびその周辺のようす、すなわち、踏段18や手摺ベルト19a,19b、乗降板20やその周辺のようすとともに、搬送物抽出部6により抽出された乗客21が表示されている。
【0030】
図3に示すように、テレビカメラ15の撮影範囲17をブロックAからブロックLまで、4行3列の計12個のブロックに分割して処理する。図3中のアルファベットは各ブロックの名前、丸数字はそのブロックに付けられた重みを、それぞれ示している。
【0031】
つぎに、第1の実施形態の作用について説明する。
【0032】
図4は第1の実施形態におけるエスカレータ監視装置の処理の流れを示すフロー図である。また、図5ないし図12は、第1の実施形態において、テレビカメラによって撮影された撮像データに、抽出した搬送物を重ね書きした平面図であって、それぞれ、ケース1ないしケース8の場合を示す。図5ないし図12それぞれの右下のマトリクスは、4行3列の計12個のブロック毎の混雑度を表したもので、混雑していない場合は「0」、混雑している場合は「1」、非常に混雑している場合は「2」で表示している。
【0033】
はじめに、図4に示すフロー図に沿ってエスカレータ監視装置の処理の流れの概要を説明する。
【0034】
エスカレータ1が上昇運転をしているときに、テレビカメラ15でエスカレータ1降り口付近を撮影する(ステップS1)。撮影された撮像データは伝送線16を経て乗客異常検出装置5の搬送物抽出部6に送られる。つぎに、搬送物抽出部6は、テレビカメラ15によって撮影された撮影範囲17の全ての撮像データから乗客や荷物などの搬送物を抽出する(ステップS2)。つぎに、分布演算部7は、各ブロック毎に、混雑度を演算する(ステップS3)。
【0035】
つぎに、処理判定部8は、あらかじめ設定された各ブロックの重みを加味して、危険度を判定する(ステップS4)。さらに処理判定部8は、その危険度に対応してあらかじめ定められた行なうべき処理を示した表に従って、処理を判定する(ステップS5)。その後、処理判定部8での判定結果に応じて、制御装置が各種処理の実行を行なう(ステップS6)。
【0036】
分布演算部7が行なう混雑度の演算(ステップS3)の詳細はつぎのとおりである。搬送物抽出部6(ステップS2)で抽出された搬送物の面積がそのブロックの面積に占める割合を演算する。演算した結果、搬送物の面積がそのブロックの面積に占める割合が30%未満の場合は混雑度を「0」に、30%以上で60%未満の場合は混雑度を「1」に、60%以上の場合は混雑度を「2」に設定されるようになっている。
【0037】
以下、下記の8つのケースについて詳しく説明する。
【0038】
(1)ケース1(図5)
乗客の数が少なく、乗客の滞留が全く無い場合。
【0039】
(2)ケース2(図6)
徐々に乗客の数が増え、混雑してきたが滞留には至ってない場合。
【0040】
(3)ケース3(図7)
降り場付近には滞留は見られないが、その周辺には滞留の兆候が見られ、将来、降り場付近の滞留へと発展する可能性が出てきた場合。
【0041】
(4)ケース4(図8)
さらに乗客の数が増え、降り場付近には滞留は見られないが、その周辺には明らかな滞留が見られ、将来、降り場付近の滞留へと発展する可能性が高い場合。
【0042】
(5)ケース5(図9)
降り場周辺の滞留が顕著になり、将来、短時間のうちに降り場付近の滞留へと発展する可能性が高い場合。
【0043】
(6)ケース6(図10)
降り場付近で乗客が滞留し、その影響がエスカレータの踏段に乗っている乗客にも波及し、将棋倒しなどの事故が発生する可能性が非常に大きくなった場合。
【0044】
(7)ケース7(図11)
乗降板20の前で乗客22が倒れ、乗降板20の付近で乗客が滞留し、その影響がエスカレータの踏段に乗っている乗客にも波及する可能性が高い場合。
【0045】
(8)ケース8(図12)
乗降板20より前方で乗客23が倒れ、乗客23の前では乗客の滞留が見られるが、その影響はエスカレータから降りる乗客には及んでいない場合。
【0046】
ケース1では、全ブロックで混雑しておらず、各ブロックの混雑度は全て「0」となっている。
【0047】
ケース2では、ブロックA,C,F,J,Lで混雑が見られるため、これらのブロックの混雑度が「1」となり、その他のブロックでは「0」となっている。
【0048】
ケース3では、混雑が見られるブロックが増加し、ケース2に比べ混雑度が「1」になるブロックが増えると共に、一部のブロック(ブロックL)では非常に混雑しているので、このブロックの混雑度が「2」になっている。
【0049】
ケース4では、さらに乗客が増えたため、非常に混雑しているブロックや、混雑しているブロックが増加し、ブロックA,C,F,I,Lの5つのブロックで混雑度が「2」となり、ブロックB,E,D,G,Jの5つのブロックで混雑度が「1」になっている。
【0050】
ケース5では、さらに乗客が増えたため、非常に混雑しているブロックが増加し、ブロックA,B,C,D,F,G,I,J,Lの9つのブロックで混雑度が「2」となっている。
【0051】
ケース6では、全てのブロックで混雑度が「2」となっている。
【0052】
ケース7では、乗降板20を含むブロックHで混雑度が「2」となり、エスカレータに乗っている乗客を含むブロックKで混雑度が「1」になっている。
【0053】
ケース8では、乗客23の前で乗客が滞留しているブロックEで混雑度が「2」になっている。
【0054】
つぎに、危険度を判定するステップS4の詳細について説明する。
【0055】
図13は、第1の実施形態における各ブロックの重みと、ケース1ないしケース8で得られた各ブロックの混雑度を示した表である。
【0056】
図14は、第1の実施形態におけるケース1ないしケース8で得られた各ブロックの危険度を判定した結果を示した表である。ブロック毎に重みと混雑度の積を求め、その合計点(下から2番目の行)を計算し、危険度を判定した結果(一番下の行)を求める。
【0057】
図15は第1の実施形態における重みと混雑度の積の合計点と危険度の対応を示した表である。図16は第1の実施形態における判定された危険度によって行なうべき処理を示した表である。これらの処理は、伝送線9を介して制御装置3に伝達され、制御装置3はこれらの処理を実行する。
【0058】
危険度「0」と判定された場合は、制御装置3は駆動装置4に通常の速度での運転を指示すると共に、スピーカ11a,11bから「足元にご注意下さい。」とのアナウンスを流し、設備管理者13や保守会社14には通知を行なわない。
【0059】
危険度「I」と判定された場合は、制御装置3は駆動装置4に通常の速度での運転を指示すると共に、スピーカ11a,11bから「降り場が混んでいます。ご注意下さい。」とのアナウンスを流し、設備管理者13には「降り場が混んできました」との通知を行ない、保守会社14には通知を行なわない。
【0060】
危険度「II」と判定された場合は、制御装置3は駆動装置4に減速運転を指示すると共に、スピーカ11a,11bから「減速運転を行ないます。」とのアナウンスを流し、設備管理者13には「減速運転を行ないます。」との通知を行ない、保守会社14には減速運転を行なった旨の通知を行なう。なお、乗客の安全を考え、スピーカ11a,11bから「減速運転を行ないます。」とのアナウンスを流して注意を喚起し、所定の時間が経過した後、駆動装置4に減速運転を指示するようになっている。
【0061】
危険度「III」と判定された場合は、制御装置3は駆動装置4に運転停止を指示すると共に、スピーカ11a,11bから「運転を停止します。」とのアナウンスを流し、設備管理者13には「運転を停止します。」との通知を行ない、保守会社14には運転を停止した旨の通知を行なう。なお、乗客の安全を考え、スピーカ11a,11bから「運転を停止します。」とのアナウンスを流して注意を喚起し、所定の時間が経過した後、駆動装置4に運転停止を指示するようになっている。
【0062】
このような判定処理が、前述のケース1からケース8の場合に適用された場合について説明する。
【0063】
ケース1の場合は、図14から危険度「0」と判定される。このケースは、乗客の数が少なく、乗客の滞留が全く無い場合なので、通常の運転が継続される。
【0064】
ケース2の場合は、図14から危険度「I」と判定される。このケースは、徐々に乗客の数が増え、混雑してきたが滞留には至ってない場合なので、スピーカ11a,11bから「降り場が混んでいます。ご注意下さい。」とのアナウンスを流すことで乗客に注意を喚起し、通常の運転を継続する。
【0065】
ケース3の場合は、図14から危険度「II」と判定される。このケースは、降り場付近には滞留は見られないが、その周辺には滞留の兆候が見られ、将来、降り場付近の滞留へと発展する可能性が出てきた場合なので、スピーカ11a,11bから「減速運転を行ないます。」とのアナウンスを流し、エスカレータを減速運転することで、降り場付近で滞留が発生する可能性を少なくする。
【0066】
ケース4の場合は、図14から危険度「III」と判定される。このケースは、降り場付近には滞留は見られないが、その周辺には明らかな滞留が見られ、将来、降り場付近の滞留へと発展する可能性が高い場合なので、スピーカ11a,11bから「運転を停止します。」とのアナウンスを流し、エスカレータの運転を停止することで、降り場付近で滞留が発生する可能性を少なくする。
【0067】
ケース5の場合は、図14から危険度「III」と判定される。このケースは、降り場周辺の滞留が顕著になり、将来、短時間のうちに降り場付近の滞留へと発展する可能性が高いので、ケース4と同じ処理を行なうことで、滞留の影響がエスカレータの踏段に乗っている乗客にも波及することを防止する。
【0068】
ケース6の場合は、図14から危険度「III」と判定される。このケースは、降り場付近で乗客が滞留し、その影響がエスカレータの踏段に乗っている乗客にも波及し、将棋倒しなどの事故が発生する可能性が非常に大きくなった場合であるが、このケースに至る以前の段階(ケース4やケース5の段階)で、前述したようにエスカレータの運転を停止している。このため、このケースに至ることは実際には極めて少なく、事故を未然に防止できることになる。
【0069】
ケース7の場合は、図14から危険度「III」と判定される。このケースは、乗降板20の前で乗客22が倒れ、乗降板20の付近で乗客が滞留し、その影響がエスカレータの踏段に乗っている乗客にも波及する可能性が高い場合なので、スピーカ11a,11bから「運転を停止します。」とのアナウンスを流し、エスカレータの運転を停止することで、降り場付近で滞留が発生する可能性を少なくする。
【0070】
ケース8の場合は、図14から危険度「I」と判定される。このケースは、乗降板20より前方で乗客23が倒れ、乗客23の前では乗客の滞留が見られるが、その影響はエスカレータから降りる乗客には及んでいない場合なので、スピーカ11a,11bから「降り場が混んでいます。ご注意下さい。」とのアナウンスを流すことで乗客に注意を喚起し、通常の運転を継続する。
【0071】
以上述べたように、第1の実施形態によれば、エスカレータの降り場付近で乗客が滞留する以前に、エスカレータの運転を減速あるいは停止すると共に、その情報を乗客や設備管理者、保守会社に伝えることができ、乗客の滞留が原因となる将棋倒しなどの事故を未然に防止することができる。また、危険度を精度良く判定できるので、むやみにエスカレータの運転を減速あるいは停止して、乗客の利便性を損なうこともない。
【0072】
つぎに、本発明に係るエスカレータシステムの第2の実施形態について、図17を参照して説明する。図7は第2の実施形態におけるエスカレータ監視装置の処理の流れを示すフロー図である。図7に示す処理の流れ以外の部分は、前述の第1の実施形態と同様である。第1の実施形態では、撮像ステップS1の後に、ステップS2で、搬送物抽出部6は撮影された撮影範囲17の全ての撮像データから乗客や荷物などの搬送物を抽出し、つぎのステップS3で、分布演算部7が各ブロック毎に混雑度を演算する。これに対して、第2の実施形態では、撮像ステップS1の後に、ステップS12で、搬送物抽出部6が各ブロック毎に搬送物を抽出する。そしてその後のステップS3で、分布演算部7が各ブロック毎の混雑度を演算する。その後のステップは第1の実施形態と同様である。
【0073】
上記実施形態の説明では、抽出された搬送物の面積がそのブロックの面積に占める割合に閾値を設定して混雑度を「0」から「2」に3段階に設定するものとしたが、閾値は設置場所の状況に応じて最適な値にすれば良く、また、混雑度も3段階である必要はなく何段階に設定しても良い。
【0074】
さらに、上記の説明ではテレビカメラを用いて撮影するとしたが、テレビカメラではなく、サーモグラフィーや赤外線カメラなどの乗客の画像データが得られる手段であれば、何を用いてもよい。
【0075】
上記の実施形態では、上昇運転を行なっているエスカレータを例にとって説明したが、本発明の対象はエスカレータの運転方向には関係なく、下降運転するエスカレータにも適用できる。また、エスカレータに限らずオートロードなど、人や荷物を運搬するマンコンベアであれば適用できる。
【0076】
さらに、図13に例示した各ブロックの重みは、エスカレータが設置される場所に応じて、たとえばエスカレータ降り場の周囲の建造物や配置物などの状況に応じて変更してもよい。さらに、エスカレータ降り場の周囲でのイベントなどの影響で乗客の流れに変化が予想される場合にその重みを時間的に変更してもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 … エスカレータ(マンコンベア)
2 … トラス部
3 … 制御装置
4 … 駆動装置
5 … 乗客異常検出装置
6 … 搬送物抽出部
7 … 分布演算部
8 … 処理判定部
9,10a,10b … 伝送線
11a,11b … スピーカ
12 … 伝送線
13 … 設備管理者
14 … 保守会社
15 … テレビカメラ
16 … 伝送線
17 … 撮影範囲
18 … 踏段
19a,19b … 手摺ベルト
20 … 乗降板
21,22,23 … 抽出された乗客
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗客を含む搬送物を搬送するマンコンベアの状況を監視するマンコンベア監視装置において、
前記マンコンベアの降り場およびその周辺の映像を撮影して撮像データを得る撮像手段と、
前記撮像データから前記搬送物を抽出する搬送物抽出手段と、
前記搬送物抽出手段で抽出された搬送物の空間的な分布を演算して搬送物分布データを得る分布演算手段と、
前記搬送物分布データに基づいて危険度を判定し、この危険度に基づいて前記マンコンベアの今後の運転に関する処理を判定する処理判定手段と、
を備えたことを特徴とするマンコンベア監視装置。
【請求項2】
前記搬送物抽出手段は、前記撮像手段で撮影した範囲を空間的に複数のブロックに分割し、前記ブロック毎に搬送物を抽出すること、を特徴とする請求項1に記載のマンコンベア監視装置。
【請求項3】
前記分布演算手段は、前記撮像手段で撮影した範囲を空間的に複数のブロックに分割し、前記ブロック毎に搬送物の空間的な分布を演算すること、を特徴とする請求項1に記載のマンコンベア監視装置。
【請求項4】
前記処理判定手段は、前記ブロック毎の搬送物の空間的な分布と、前記複数のブロックそれぞれの重要度に応じて各ブロックに割り当てられた重みとに基づいて、危険度を判定すること、を特徴とする請求項2または請求項3に記載のマンコンベア監視装置。
【請求項5】
前記重みは、前記マンコンベアが設置される場所に応じて変更できること、を特徴とする請求項4に記載のマンコンベア監視装置。
【請求項6】
前記重みは時間的に変更できること、を特徴とする請求項4または請求項5に記載のマンコンベア監視装置。
【請求項7】
前記処理判定手段は、前記ランク付けに応じて、前記マンコンベアの運転形態の変更、乗客へのアナウンス、設備管理者への通知、および、保守会社への通報のうち、少なくとも1つを行なう指令を出すこと、を特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載のマンコンベア監視装置。
【請求項8】
乗客を含む搬送物を搬送するマンコンベアと、
前記マンコンベアの降り場およびその周辺の映像を撮影して撮像データを得る撮像手段と、
前記撮像データから前記搬送物を抽出する搬送物抽出手段と、
前記搬送物抽出手段で抽出された搬送物の空間的な分布を演算して搬送物分布データを得る分布演算手段と、
前記搬送物分布データに基づいて危険度を判定し、その危険度に基づいて前記マンコンベアの今後の運転に関する処理を判定する処理判定手段と、
を備えたことを特徴とするマンコンベアシステム。
【請求項1】
乗客を含む搬送物を搬送するマンコンベアの状況を監視するマンコンベア監視装置において、
前記マンコンベアの降り場およびその周辺の映像を撮影して撮像データを得る撮像手段と、
前記撮像データから前記搬送物を抽出する搬送物抽出手段と、
前記搬送物抽出手段で抽出された搬送物の空間的な分布を演算して搬送物分布データを得る分布演算手段と、
前記搬送物分布データに基づいて危険度を判定し、この危険度に基づいて前記マンコンベアの今後の運転に関する処理を判定する処理判定手段と、
を備えたことを特徴とするマンコンベア監視装置。
【請求項2】
前記搬送物抽出手段は、前記撮像手段で撮影した範囲を空間的に複数のブロックに分割し、前記ブロック毎に搬送物を抽出すること、を特徴とする請求項1に記載のマンコンベア監視装置。
【請求項3】
前記分布演算手段は、前記撮像手段で撮影した範囲を空間的に複数のブロックに分割し、前記ブロック毎に搬送物の空間的な分布を演算すること、を特徴とする請求項1に記載のマンコンベア監視装置。
【請求項4】
前記処理判定手段は、前記ブロック毎の搬送物の空間的な分布と、前記複数のブロックそれぞれの重要度に応じて各ブロックに割り当てられた重みとに基づいて、危険度を判定すること、を特徴とする請求項2または請求項3に記載のマンコンベア監視装置。
【請求項5】
前記重みは、前記マンコンベアが設置される場所に応じて変更できること、を特徴とする請求項4に記載のマンコンベア監視装置。
【請求項6】
前記重みは時間的に変更できること、を特徴とする請求項4または請求項5に記載のマンコンベア監視装置。
【請求項7】
前記処理判定手段は、前記ランク付けに応じて、前記マンコンベアの運転形態の変更、乗客へのアナウンス、設備管理者への通知、および、保守会社への通報のうち、少なくとも1つを行なう指令を出すこと、を特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載のマンコンベア監視装置。
【請求項8】
乗客を含む搬送物を搬送するマンコンベアと、
前記マンコンベアの降り場およびその周辺の映像を撮影して撮像データを得る撮像手段と、
前記撮像データから前記搬送物を抽出する搬送物抽出手段と、
前記搬送物抽出手段で抽出された搬送物の空間的な分布を演算して搬送物分布データを得る分布演算手段と、
前記搬送物分布データに基づいて危険度を判定し、その危険度に基づいて前記マンコンベアの今後の運転に関する処理を判定する処理判定手段と、
を備えたことを特徴とするマンコンベアシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2010−168126(P2010−168126A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−9528(P2009−9528)
【出願日】平成21年1月20日(2009.1.20)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月20日(2009.1.20)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】
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