説明

マンホール装置およびその施工方法

【課題】施工が容易で地盤の液状化に対する浮上、あるいは沈下を防止できるマンホール装置を提供する。
【解決手段】マンホール2にカウンターウェイト27を設け、マンホール2とカウンターウェイト部16との総単位体積重量が1.1以上1.3以下となるように設定する。浮上防止ブロック43を塩ビ管3に取り付けて、塩ビ管3の所定長毎の浮上防止ブロック43との総単位体積重量が1.1以上1.3以下となるように設定する。容易な施工で地盤の液状化に対するマンホール2および塩ビ管3の浮上、あるいは沈下を確実に防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンホールと、このマンホールと接続される配管とを備えたマンホール装置およびその施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両が通行する道路の下に下水道などを敷設する際には、この下水道などを維持管理するためのマンホール装置が設置される。このようなマンホール装置は、下水道をなす配管と接続される略円筒状のマンホールを備えている。このマンホールは、栗石基礎の上部に配設されて基礎コンクリートとなる底版を有し、この底版の上部に、配管と接続される躯体ブロック、直壁および斜壁が順次設けられている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2003−34940号公報(第3頁、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、地震時の地盤の液状化により、マンホール、あるいは配管が埋め戻し部にて浮上、あるいは沈下する場合がある。そして、このような浮上、あるいは沈下は、鋼管を有するマンホール装置よりも塩化ビニル管を有するマンホール装置に多く見られることから、マンホールの単位体積重量および配管の所定長毎の単位体積重量が影響すると考えられる。
【0004】
特に、下水道に利用されるマンホール装置では、マンホールおよび配管内部に常時下水が溜まっているわけではないため、マンホールの単位体積重量および配管の所定長毎の単位体積重量が、マンホールおよび配管の材質そのものの比重に略依存してあまり大きくなることがないので、地盤の液状化に対するマンホール装置の一層の対策が望まれている。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、施工が容易で地盤の液状化に対する浮上、あるいは沈下を防止できるマンホール装置およびその施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載のマンホール装置は、マンホールと、このマンホールと接続される合成樹脂製の配管と、前記マンホールに設けられ、このマンホールとの総単位体積重量が予め設定された所定の数値範囲となるように重量が設定されたカウンターウェイト部と、前記配管に設けられ、この配管の予め設定された所定長毎の前記配管との総単位体積重量が前記所定の数値範囲となるように重量が設定された配管用ウェイトとを具備したものである。
【0007】
そして、マンホールとの総単位体積重量が予め設定された所定の数値範囲となるようにマンホールにカウンターウェイト部を設け、配管の予め設定された所定長毎の配管との総単位体積重量が所定の数値範囲となるように配管用ウェイトを配管に設けることで、容易な施工で地盤の液状化に対するマンホールおよび配管の浮上、あるいは沈下を確実に防止する。
【0008】
請求項2記載のマンホール装置は、マンホールと、このマンホールと接続される配管と、前記マンホールに設けられ、このマンホールとの総単位体積重量が予め設定された所定の数値範囲となるように重量が設定されたカウンターウェイト部とを具備したものである。
【0009】
そして、マンホールとの総単位体積重量が予め設定された所定の数値範囲となるようにマンホールにカウンターウェイト部を設けることで、容易な施工で地盤の液状化に対するマンホールおよび配管の浮上、あるいは沈下を確実に防止する。
【0010】
請求項3記載のマンホール装置は、請求項1または2記載のマンホール装置において、所定の数値範囲が、1.1以上1.3以下であるものである。
【0011】
そして、所定の数値範囲を1.1以上1.3以下とすることで、マンホールおよび配管の浮上、あるいは沈下を、より確実に防止する。
【0012】
請求項4記載のマンホール装置は、請求項1ないし3いずれか一記載のマンホール装置において、カウンターウェイト部は、マンホールの下端部に設けられたカウンターウェイトと、前記マンホールの前記カウンターウェイトよりも上側に設けられた補強床版と、この補強床版と前記カウンターウェイトとを連結する連結体とを備えているものである。
【0013】
そして、マンホールの下端部にカウンターウェイトを設け、このカウンターウェイトよりも上側に補強床版を設けて、カウンターウェイトと補強床版とを連結体で連結することで、カウンターウェイトのマンホールへの取り付け強度を補強可能となる。
【0014】
請求項5記載のマンホール装置の施工方法は、マンホールと、このマンホールと接続される合成樹脂製の配管と、カウンターウェイトを備え、前記マンホールに設けられたカウンターウェイト部と、前記配管に設けられた配管用ウェイトとを具備したマンホール装置の施工方法であって、前記マンホールにプレキャストコンクリート製の前記カウンターウェイトを取り付けて、前記マンホールと前記カウンターウェイト部との総単位体積重量が予め設定された所定の数値範囲となるように設定し、配管用ウェイトを前記配管に取り付けて、この配管の予め設定された所定長毎の前記配管と前記配管用ウェイトとの総単位体積重量が前記所定の数値範囲となるように設定するものである。
【0015】
そして、マンホールにプレキャストコンクリート製のカウンターウェイトを取り付けて、マンホールとカウンターウェイト部との総単位体積重量が予め設定された所定の数値範囲となるように設定し、配管用ウェイトを配管に取り付けて、この配管の予め設定された所定長毎の配管と配管用ウェイトとの総単位体積重量が所定の数値範囲となるように設定することで、地盤の液状化に対するマンホールおよび配管の浮上、あるいは沈下を確実に防止する構造を容易に新設施工可能となる。
【0016】
請求項6記載のマンホール装置の施工方法は、マンホールと、このマンホールと接続される配管と、カウンターウェイトを備え、前記マンホールに設けられたカウンターウェイト部とを具備したマンホール装置の施工方法であって、前記マンホールにプレキャストコンクリート製の前記カウンターウェイトを取り付けて、前記マンホールと前記カウンターウェイト部との総単位体積重量が予め設定された所定の数値範囲となるように設定するものである。
【0017】
そして、マンホールにプレキャストコンクリート製のカウンターウェイトを取り付けて、マンホールとカウンターウェイト部との総単位体積重量が予め設定された所定の数値範囲となるように設定することで、地盤の液状化に対するマンホールおよび配管の浮上、あるいは沈下を確実に防止する構造を容易に新設施工可能となる。
【0018】
請求項7記載のマンホール装置の施工方法は、マンホールと、このマンホールと接続される合成樹脂製の配管と、カウンターウェイトを備え、前記マンホールに設けられたカウンターウェイト部と、前記配管に設けられた配管用ウェイトとを具備したマンホール装置の施工方法であって、前記マンホールの周囲にコンクリートを打って前記カウンターウェイトを形成して、前記マンホールと前記カウンターウェイト部との総単位体積重量が予め設定された所定の数値範囲となるように設定し、配管用ウェイトを前記配管に取り付けて、この配管の予め設定された所定長毎の前記配管と前記配管用ウェイトとの総単位体積重量が前記所定の数値範囲となるように設定するものである。
【0019】
そして、マンホールの周囲にコンクリートを打ってカウンターウェイトを形成し、マンホールとカウンターウェイト部との総単位体積重量が予め設定された所定の数値範囲となるように設定し、配管用ウェイトを配管に取り付けて、この配管の予め設定された所定長毎の配管と配管用ウェイトとの総単位体積重量が所定の数値範囲となるように設定することで、既設のマンホールおよび配管に対して、地盤の液状化に対するマンホールおよび配管の浮上、あるいは沈下を確実に防止する構造を容易に施工可能となる。
【0020】
請求項8記載のマンホール装置の施工方法は、マンホールと、このマンホールと接続される配管と、カウンターウェイトを備え、前記マンホールに設けられたカウンターウェイト部とを具備したマンホール装置の施工方法であって、前記マンホールの周囲にコンクリートを打って前記カウンターウェイトを形成して、前記マンホールと前記カウンターウェイト部との総単位体積重量が予め設定された所定の数値範囲となるように設定するものである。
【0021】
そして、マンホールの周囲にコンクリートを打ってカウンターウェイトを形成し、マンホールとカウンターウェイト部との総単位体積重量が予め設定された所定の数値範囲となるように設定することで、既設のマンホールおよび配管に対して、地盤の液状化に対するマンホールおよび配管の浮上、あるいは沈下を確実に防止する構造を容易に施工可能となる。
【0022】
請求項9記載のマンホール装置の施工方法は、請求項5ないし8いずれか一記載のマンホール装置の施工方法において、所定の数値範囲が、1.1以上1.3以下であるものである。
【0023】
そして、所定の数値範囲を1.1以上1.3以下とすることで、マンホールおよび配管の浮上、あるいは沈下を、より確実に防止する。
【0024】
請求項10記載のマンホール装置の施工方法は、請求項5ないし9いずれか一記載のマンホール装置の施工方法において、カウンターウェイト部が、カウンターウェイトをマンホールの下端部に設け、前記マンホールの前記カウンターウェイトよりも上側に補強床版を設け、この補強床版と前記カウンターウェイトとを連結体で連結するものである。
【0025】
そして、マンホールの下端部にカウンターウェイトを設け、このカウンターウェイトよりも上側に補強床版を設けて、カウンターウェイトと補強床版とを連結体で連結することで、カウンターウェイトのマンホールへの取り付け強度を補強可能となる。
【発明の効果】
【0026】
請求項1記載のマンホール装置によれば、マンホールとの総単位体積重量が予め設定された所定の数値範囲となるようにマンホールにカウンターウェイト部を設け、配管の予め設定された所定長毎の配管との総単位体積重量が所定の数値範囲となるように配管用ウェイトを配管に設けることで、容易な施工で地盤の液状化に対するマンホールおよび配管の浮上、あるいは沈下を確実に防止できる。
【0027】
請求項2記載のマンホール装置によれば、マンホールとの総単位体積重量が予め設定された所定の数値範囲となるようにマンホールにカウンターウェイト部を設けることで、容易な施工で地盤の液状化に対するマンホールおよび配管の浮上、あるいは沈下を確実に防止できる。
【0028】
請求項3記載のマンホール装置によれば、請求項1または2記載のマンホール装置の効果に加えて、所定の数値範囲を1.1以上1.3以下とすることで、マンホールおよび配管の浮上、あるいは沈下を、より確実に防止できる。
【0029】
請求項4記載のマンホール装置によれば、請求項1ないし3いずれか一記載のマンホール装置の効果に加えて、マンホールの下端部にカウンターウェイトを設け、このカウンターウェイトよりも上側に補強床版を設けて、カウンターウェイトと補強床版とを連結体で連結することで、カウンターウェイトのマンホールへの取り付け強度を補強できる。
【0030】
請求項5記載のマンホール装置の施工方法によれば、マンホールにプレキャストコンクリート製のカウンターウェイトを取り付けて、マンホールとカウンターウェイト部との総単位体積重量が予め設定された所定の数値範囲となるように設定し、配管用ウェイトを配管に取り付けて、この配管の予め設定された所定長毎の配管と配管用ウェイトとの総単位体積重量が所定の数値範囲となるように設定することで、地盤の液状化に対するマンホールおよび配管の浮上、あるいは沈下を確実に防止する構造を容易に新設施工できる。
【0031】
請求項6記載のマンホール装置の施工方法によれば、マンホールにプレキャストコンクリート製のカウンターウェイトを取り付けて、マンホールとカウンターウェイト部との総単位体積重量が予め設定された所定の数値範囲となるように設定することで、地盤の液状化に対するマンホールおよび配管の浮上、あるいは沈下を確実に防止する構造を容易に新設施工できる。
【0032】
請求項7記載のマンホール装置の施工方法によれば、マンホールの周囲にコンクリートを打ってカウンターウェイトを形成し、マンホールとカウンターウェイト部との総単位体積重量が予め設定された所定の数値範囲となるように設定し、配管用ウェイトを配管に取り付けて、この配管の予め設定された所定長毎の配管と配管用ウェイトとの総単位体積重量が所定の数値範囲となるように設定することで、既設のマンホールおよび配管に対して、地盤の液状化に対するマンホールおよび配管の浮上、あるいは沈下を確実に防止する構造を容易に施工できる。
【0033】
請求項8記載のマンホール装置の施工方法によれば、マンホールの周囲にコンクリートを打ってカウンターウェイトを形成し、マンホールとカウンターウェイト部との総単位体積重量が予め設定された所定の数値範囲となるように設定することで、既設のマンホールおよび配管に対して、地盤の液状化に対するマンホールおよび配管の浮上、あるいは沈下を確実に防止する構造を容易に施工できる。
【0034】
請求項9記載のマンホール装置の施工方法によれば、請求項5ないし8いずれか一記載のマンホール装置の施工方法の効果に加えて、所定の数値範囲を1.1以上1.3以下とすることで、マンホールおよび配管の浮上、あるいは沈下を、より確実に防止できる。
【0035】
請求項10記載のマンホール装置の施工方法によれば、請求項5ないし9いずれか一記載のマンホール装置の施工方法の効果に加えて、マンホールの下端部にカウンターウェイトを設け、このカウンターウェイトよりも上側に補強床版を設けて、カウンターウェイトと補強床版とを連結体で連結することで、カウンターウェイトのマンホールへの取り付け強度を補強できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明の第1の実施の形態の構成を図面を参照して説明する。
【0037】
図1において、1は例えば下水道の維持管理用のマンホール装置を示し、このマンホール装置1は、内部に作業者が入ることができる略円筒状のマンホール2と、下水道を構成しマンホール2と接続される合成樹脂、例えば塩化ビニル製の配管としての塩化ビニル管3(以下、塩ビ管3という)とを備えている。
【0038】
マンホール2は、例えばプレキャストコンクリート製のマンホール本体5と、このマンホール本体5に着脱可能なマンホール蓋6とを有している。
【0039】
マンホール本体5は、例えばいわゆる1号マンホールであり、図1ないし図3に示すように、底版11と、この底版11の上部に一体的に設けられ塩ビ管3と接続される円筒状の躯体ブロック12と、この躯体ブロック12の上部に一体的に設けられる円筒状の直壁13と、この直壁13の上部に一体的に設けられ上端部にマンホール蓋6が着脱可能な略円筒状の斜壁14とを有し、これら底版11、躯体ブロック12、直壁13および斜壁14が予め互いに液密に一体的に連結されている。さらに、このマンホール2の外側部には、プレキャストコンクリート製のカウンターウェイト部16が一体的に設けられている。そして、このマンホール2の内部には、作業者が使用する複数のステップ17が上下に亘って所定間隔で順次設けられているとともに、内部の下端に、一側から他側へと傾斜した図示しないインバートがコンクリートおよびモルタルなどで設けられている。
【0040】
底版11は、躯体ブロック12の下端部を閉塞するもので、平面視で円形状の板体である。
【0041】
また、躯体ブロック12は、底版11に対して略垂直に設けられ、その両側部には流入口21と流出口22とがそれぞれ穿設されている。流入口21は、インバートの傾斜上側に対応して位置し、流出口22は、インバートの傾斜下側に対応して位置している。そして、これら流入口21および流出口22には、塩ビ管3が液密にそれぞれ嵌挿されている。
【0042】
さらに、直壁13は、躯体ブロック12と略等しい外径および内径を有する円筒状に形成され、躯体ブロック12の上部に同軸状かつ液密に配設される。
【0043】
そして、斜壁14は、下端部が直壁13の上端部に液密に連結されるとともに、上端部に向けて図2に示す右側に偏心するように縮径され、この上端部に、マンホール蓋6が着脱可能で作業者が出入りする開口部25が開口形成されている。
【0044】
また、カウンターウェイト部16は、マンホール2の下端部である底版11の下部に取り付けられたカウンターウェイト27と、このカウンターウェイト27の上方である斜壁14の周囲に取り付けられる補強床版28と、これらカウンターウェイト27と補強床版28とを互いに連結する連結体としてのPC鋼棒29とを備えている。
【0045】
カウンターウェイト27は、栗石基礎31上に配設されてマンホール本体5を支持する基礎コンクリートとなるもので、プレキャストコンクリート製であり、平面視で底版11よりも広い四角形状に形成されている。また、このカウンターウェイト27は、マンホール2とカウンターウェイト部16との総単位体積重量が所定の数値範囲、例えば1.1以上1.3以下、好ましく1.1以上1.2未満となるように重量が設定されている。
【0046】
さらに、補強床版28は、プレキャストコンクリート製の平面視四角形状の板体であり、斜壁14の外側面に嵌合する嵌合孔33が略中央部に穿設されている。また、この補強床版28は、カウンターウェイト27と平面視で略等しい大きさに形成されているとともに、カウンターウェイト27よりも厚みが小さく形成されている。
【0047】
そして、PC鋼棒29は、耐腐食性のものであり、図4に示すように、一端部である下端部がカウンターウェイト27の上部の四隅にそれぞれ埋設された受け部材としてのSインサート35に螺合されてカウンターウェイト27に保持され、かつ、図5に示すように、他端部である上端部が補強床版28の四隅に穿設された挿通孔36に挿通されて、補強床版28の上面でワッシャ38およびナット39により保持されている。
【0048】
一方、マンホール蓋6は、鋳鉄などにより平面視で円形状に形成された板体であり、開口部25に設けられた図示しない蓋枠を介して開口部25に着脱可能に取り付けられる。
【0049】
さらに、塩ビ管3は、例えばφ100〜150mmのものが用いられ、内部を下水が通過するものである。そして、この塩ビ管3には、所定距離毎に、配管用ウェイトとしての浮上防止ブロック43がそれぞれ取り付けられている。
【0050】
これら浮上防止ブロック43は、ブロック上部43aとブロック下部43bとで塩ビ管3を上下から挟持するように塩ビ管3の外周面に取り付けられている。そして、これら浮上防止ブロック43は、塩ビ管3の所定長、例えば5m毎の塩ビ管3との総単位体積重量が、マンホール2とカウンターウェイト部16との総単位体積重量と同様の所定の数値範囲、すなわち1.1以上1.3以下、好ましくは1.1以上1.2未満になるように重量が設定されている。
【0051】
次に、上記第1の実施の形態のマンホール装置の施工方法を図6および図7を参照して説明する。
【0052】
このマンホール装置1の施工方法は、マンホール装置1を新設する際に用いられるものであり、まず、マンホール本体5を組み立てるとともに、このマンホール本体5の下部にカウンターウェイト27を配設し、このカウンターウェイト27の四隅に設けたSインサート35にPC鋼棒29の下端部を螺合し、このPC鋼棒29の上端部を、マンホール本体5の上側を嵌合孔33に挿通して嵌合した補強床版28の挿通孔36に挿通してワッシャ38およびナット39により固定して、マンホール2を予め組み立てておく。
【0053】
さらに、マンホール2の設置位置の路面GLを掘削し、この掘削部の内側に鋼矢板(シートパイル)46を打ち込むとともに、これら鋼矢板46の内側にH形鋼47を例えば上下2箇所でそれぞれ四角形枠状に組んで、これらH形鋼47の四隅を補強部材48で補強して土留めする。同様に、路面GLを塩ビ管3に沿って溝状に掘削し、図示しない鋼矢板を打ち込んだり支保工を施したりする。
【0054】
この状態で、マンホール2用の掘削部に栗石基礎31を設け、この栗石基礎31の上部に図示しない捨てコンクリートを敷き、予め組み立てておいたマンホール2を、カウンターウェイト27を下側として掘削部に設置する。
【0055】
そして、マンホール本体5の流入口21および流出口22に塩ビ管3を嵌挿して液密に接続するとともに、塩ビ管3には所定距離毎に浮上防止ブロック43を取り付け、鋼矢板46を引き抜くなどして土留めを解体しながら順次埋め戻す。
【0056】
上述したように、上記第1の実施の形態によれば、マンホール2にプレキャストコンクリート製のカウンターウェイト27を取り付けて、マンホール2とカウンターウェイト部16との総単位体積重量が1.1以上1.3以下、好ましくは1.1以上1.2未満となるように設定するとともに、浮上防止ブロック43を塩ビ管3に取り付けて、この塩ビ管3の所定長毎の浮上防止ブロック43との総単位体積重量が1.1以上1.3以下、好ましくは1.1以上1.2未満となるように設定することで、地盤の液状化に対するマンホール2および塩ビ管3の浮上、あるいは沈下を確実に防止できる。
【0057】
特に、上記第1の実施の形態は、下水道に用いられるマンホール装置1であるから、下水が常時内部に貯留しているわけでなく、マンホールおよび配管の材質に略依存して単位体積重量が決定され、あまり大きくなることがないので、上記のように設定することで、マンホール装置1の単位体積重量を容易に確保できる。
【0058】
また、マンホール装置1を新設するに際しては、カウンターウェイト27をプレキャストコンクリート製とすることで、現場打ちコンクリートでカウンターウェイトを形成するよりも施工が容易になる。
【0059】
さらに、カウンターウェイト27と補強床版28とをPC鋼棒29で連結することで、カウンターウェイト27のマンホール2への取り付け強度を補強できる。
【0060】
そして、浮上防止ブロック43を、ブロック上部43aとブロック下部43bとで塩ビ管3を挟持するように形成することで、浮上防止ブロック43を塩ビ管3に容易に取り付けできる。
【0061】
次に、第2の実施の形態を図8ないし図10を参照して説明する。なお、上記第1の実施の形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0062】
この図8ないし図10に示す実施の形態では、カウンターウェイト27が現場打ちコンクリートによりマンホール本体5の底版11と一体に設けられている。
【0063】
すなわち、この図8ないし図10に示す実施の形態は、既設のマンホール装置1に対してカウンターウェイト27および浮上防止ブロック43を設けるものであり、まず、既設のマンホール装置1のマンホール2および塩ビ管3に対応する路面GLを掘削して土留めを施し、底版11から鉄筋49を突出させ、図示しない型枠を底版11の周囲に配設してコンクリートを打ってカウンターウェイト27を形成する。
【0064】
さらに、補強床版28をマンホール本体5に取り付けてPC鋼棒29でカウンターウェイト27と補強床版28とを連結固定する。
【0065】
そして、このように施工することで、上記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することが可能になるとともに、既設のマンホール装置1に対して施工するに際しては、マンホールの下部にプレキャストコンクリート製のカウンターウェイトを配設するよりも施工が容易となる。
【0066】
なお、上記第2の実施の形態において、カウンターウェイト27を形成する際には、マンホール本体5の周囲に一体に形成すれば、必ずしも底版11の位置に形成する必要はない。
【0067】
また、上記各実施の形態において、カウンターウェイト27および補強床版28などの形状は、上記構成に限定されるものではない。
【0068】
さらに、浮上防止ブロック43は、塩ビ管3の所定長毎の塩ビ管3との単位体積重量を所定の数値範囲に設定できれば、塩ビ管3に取り付ける位置などは上記構成に限定されるものではない。
【0069】
そして、配管としては、塩化ビニル製の塩ビ管3以外の樹脂管を選択することが可能である。この場合には、合成樹脂の材質に応じて浮上防止ブロック43の重量および配設位置をそれぞれ設定する。
【0070】
また、合成樹脂製以外の配管を有するマンホール装置に対して、上記各実施の形態のカウンターウェイト部16を設ける構成および施工方法も可能である。この場合にも、上記各実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の第1の実施の形態のマンホール装置を示す正面図である。
【図2】同上マンホール装置を示す側面図である。
【図3】同上マンホール装置の補強床版の一部を切り欠いた平面図である。
【図4】同上マンホール装置の一部を拡大して示す側面断面図である。
【図5】同上マンホール装置の他の一部を拡大して示す側面断面図である。
【図6】同上マンホール装置の施工方法を示す平面図である。
【図7】同上マンホール装置の施工方法を示す図6のA−A断面図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態のマンホール装置を示す正面図である。
【図9】同上マンホール装置を示す側面図である。
【図10】同上マンホール装置の補強床版の一部を切り欠いた平面図である。
【符号の説明】
【0072】
1 マンホール装置
2 マンホール
3 配管としての塩化ビニル管
16 カウンターウェイト部
27 カウンターウェイト
28 補強床版
29 連結体としてのPC鋼棒
43 配管用ウェイトとしての浮上防止ブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンホールと、
このマンホールと接続される合成樹脂製の配管と、
前記マンホールに設けられ、このマンホールとの総単位体積重量が予め設定された所定の数値範囲となるように重量が設定されたカウンターウェイト部と、
前記配管に設けられ、この配管の予め設定された所定長毎の前記配管との総単位体積重量が前記所定の数値範囲となるように重量が設定された配管用ウェイトと
を具備したことを特徴としたマンホール装置。
【請求項2】
マンホールと、
このマンホールと接続される配管と、
前記マンホールに設けられ、このマンホールとの総単位体積重量が予め設定された所定の数値範囲となるように重量が設定されたカウンターウェイト部と
を具備したことを特徴としたマンホール装置。
【請求項3】
所定の数値範囲は、1.1以上1.3以下である
ことを特徴とした請求項1または2記載のマンホール装置。
【請求項4】
カウンターウェイト部は、
マンホールの下端部に設けられたカウンターウェイトと、
前記マンホールの前記カウンターウェイトよりも上側に設けられた補強床版と、
この補強床版と前記カウンターウェイトとを連結する連結体とを備えている
ことを特徴とした請求項1ないし3いずれか一記載のマンホール装置。
【請求項5】
マンホールと、
このマンホールと接続される合成樹脂製の配管と、
カウンターウェイトを備え、前記マンホールに設けられたカウンターウェイト部と、
前記配管に設けられた配管用ウェイトとを具備したマンホール装置の施工方法であって、
前記マンホールにプレキャストコンクリート製の前記カウンターウェイトを取り付けて、前記マンホールと前記カウンターウェイト部との総単位体積重量が予め設定された所定の数値範囲となるように設定し、
配管用ウェイトを前記配管に取り付けて、この配管の予め設定された所定長毎の前記配管と前記配管用ウェイトとの総単位体積重量が前記所定の数値範囲となるように設定する
ことを特徴としたマンホール装置の施工方法。
【請求項6】
マンホールと、
このマンホールと接続される配管と、
カウンターウェイトを備え、前記マンホールに設けられたカウンターウェイト部とを具備したマンホール装置の施工方法であって、
前記マンホールにプレキャストコンクリート製の前記カウンターウェイトを取り付けて、前記マンホールと前記カウンターウェイト部との総単位体積重量が予め設定された所定の数値範囲となるように設定する
ことを特徴としたマンホール装置の施工方法。
【請求項7】
マンホールと、
このマンホールと接続される合成樹脂製の配管と、
カウンターウェイトを備え、前記マンホールに設けられたカウンターウェイト部と、
前記配管に設けられた配管用ウェイトとを具備したマンホール装置の施工方法であって、
前記マンホールの周囲にコンクリートを打って前記カウンターウェイトを形成して、前記マンホールと前記カウンターウェイト部との総単位体積重量が予め設定された所定の数値範囲となるように設定し、
配管用ウェイトを前記配管に取り付けて、この配管の予め設定された所定長毎の前記配管と前記配管用ウェイトとの総単位体積重量が前記所定の数値範囲となるように設定する
ことを特徴としたマンホール装置の施工方法。
【請求項8】
マンホールと、
このマンホールと接続される配管と、
カウンターウェイトを備え、前記マンホールに設けられたカウンターウェイト部とを具備したマンホール装置の施工方法であって、
前記マンホールの周囲にコンクリートを打って前記カウンターウェイトを形成して、前記マンホールと前記カウンターウェイト部との総単位体積重量が予め設定された所定の数値範囲となるように設定する
ことを特徴としたマンホール装置の施工方法。
【請求項9】
所定の数値範囲は、1.1以上1.3以下である
ことを特徴とした請求項5ないし8いずれか一記載のマンホール装置の施工方法。
【請求項10】
カウンターウェイト部は、
カウンターウェイトをマンホールの下端部に設け、
前記マンホールの前記カウンターウェイトよりも上側に補強床版を設け、
この補強床版と前記カウンターウェイトとを連結体で連結する
ことを特徴とした請求項5ないし9いずれか一記載のマンホール装置の施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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