説明

マーカータンパク質量調節用組成物、及びそれを含有する飲食品、飼料、医薬部外品、医薬品

【課題】加齢に伴う老化現象や疾病を防止する効果が期待できることに加え、安全性及び実用性が高いことから飲食品、飼料、医薬部外品、医薬品等に幅広く使用可能なマーカータンパク質量調節用組成物を提供すること。
【解決手段】本発明は、加齢に伴って量的に変化する細胞死マーカータンパク質についてその量的変化を小さくする方向に調節する組成物であって、アムラー抽出物を有効成分として含有するマーカータンパク質量調節用組成物である。細胞死マーカータンパク質としては、例えば細胞内にて存在し、ミトコンドリア外膜上にて機能するタンパク質のことをいう。その具体例としては、BaxやBcl−2などといったタンパク質がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加齢に伴って量的に変化するマーカータンパク質の量を調節する組成物、及びそれを含有する飲食品、飼料、医薬部外品、医薬品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、我が国をはじめとする多くの先進国では老年人口が増え、今後も高齢者の数はますます増加していくものと予測される。このような状況の下、少しでも老化の進行を食い止めて、健全な生活が送れる高齢者の割合を多くすることが、現代社会全体における大きな課題とされている。
【0003】
一般的に加齢が進むと身体の各所に老化現象が生じる。その例を挙げると、細胞数の減少からする臓器の萎縮、身長の縮小、皮膚における皺の形成や色素の沈着、毛髪の粗化や白化、歯牙の脱落などがある。このような老化現象自体は疾病というわけではないが、何らかの疾病を引き起こす原因となる老化現象もあり、その代表例としては免疫力の低下等がある。免疫とは生体防御システムの1つであるが、同システムが機能しにくくなると、腫瘍、ガン、後天性免疫不全症候群(AIDS)、糖尿病、心臓病、心筋梗塞、脳梗塞、脳血栓などといった、直接死につながるような重篤な疾病が引き起こされるリスクが高くなる。
【0004】
ところで、先に列挙したような疾病においては、病変した臓器にしばしば「細胞死」を主体とした細胞障害が認められる。それゆえ近年では、老化に関して「細胞死」、とりわけ「プログラムされた細胞死(即ちアポトーシス(apoptosis))」が、関与しているのではないかと考えられている。勿論、アポトーシス自体は、多細胞生命体の恒常性を維持するための制御機能として不可欠なものであるが、何らかの理由によってこの機能が過度に発現することがあり、これが臓器に機能障害等をもたらすものと推測されている。
【0005】
そして、このような過度の細胞死発現を防ぐための医薬品、ひいては過度の細胞死発現が関与すると考えられる老化現象や疾病を予防、治療しうる医薬品としては、従来より様々なものが提案されている(例えば、特許文献1〜4参照)。ちなみに、特許文献1には、チアゾリジンジオン化合物を含有する細胞死阻害剤が開示されている。特許文献2には、プラズマローゲンを含有する細胞死阻害剤が開示されている。特許文献3には、クロモン誘導体を含有する細胞死阻害剤が開示されている。特許文献4には、1,4−ベンゾチアゼピン誘導体を含有する細胞死阻害剤が開示されている。ただし、これら全てのものが医薬品として現在実用化されているわけではない。
【特許文献1】特開2000−273041号公報
【特許文献2】特開2004−026803号公報
【特許文献3】特開平10−87485号公報
【特許文献4】特開2000−63287号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、概して医薬品は、大量に摂取すると下痢などの副作用を引き起こすおそれがある。このため最近では、医薬品による治療よりは日常の食生活を通じて老化現象や疾病を予防することが望ましいと考えられ、このような機能を持った成分の探索が行われている。また、かかる条件を満たしうる成分は、おそらく人間が従来からの食生活において使用してきた天然物(例えば天然植物)のなかに存在するものと考えられる。
【0007】
ただし、たとえ加齢に伴って起こる過度の細胞死発現を防ぐ効果、さらには老化現象や疾病を予防する効果が期待できる天然物を見出したとしても、風味や性状等に難点がある場合には、結局、幅広く食品等に応用できない可能性がある。従って、実用性の観点から、風味や性状等に難点が少ないものであることが望ましい。
【0008】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、加齢に伴う老化現象や疾病を防止する効果が期待できることに加え、安全性及び実用性が高いことから飲食品、飼料、医薬部外品、医薬品等に幅広く使用可能なマーカータンパク質量調節用組成物を提供することにある。また、本発明の別の目的は、上記の優れたマーカータンパク質量調節用組成物を含有する飲食品、飼料、医薬部外品、医薬品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで本願発明者らは、加齢に伴って起きる過度の細胞死発現がみられる生体内では特定のタンパク質の発現量が増加または減少するという事実を、動物実験から得るとともに、これに大いに着目した。即ち、このようなタンパク質は細胞死のマーカータンパク質であると把握でき、ある意味では老化のマーカータンパク質であるとも把握できるからである。それゆえ、加齢に伴って量的に変化する細胞死マーカータンパク質についてその量的変化を小さくする方向に調節できれば、過度の細胞死発現を有効に抑制できるものと予測し、本願発明者は様々な天然物のなかから上記のタンパク質量調節作用がある成分を模索すべく、鋭意研究を行った。その結果、「アムラー」と呼ばれる植物の抽出物に上記のマーカータンパク質量調節作用があることを新規に知見した。そこで、本願発明者らはこの新規な知見をさらに発展させ、下記の発明を完成させるに到った。
【0010】
即ち、請求項1に記載の発明は、加齢に伴って量的に変化する細胞死マーカータンパク質についてその量的変化を小さくする方向に調節する組成物であって、アムラー抽出物を有効成分として含有するマーカータンパク質量調節用組成物をその要旨とする。
【0011】
この組成物は、加齢に伴って発現量が増加する細胞死マーカータンパク質である場合にはその発現量を低減させる方向に調節し、または、加齢に伴って発現量が減少する細胞死マーカータンパク質である場合にはその発現量を増加させる方向に調節する。つまり、この組成物の上記マーカータンパク質量調節作用が発揮されることにより、加齢に伴う過度の細胞死発現を有効に抑制でき、過度の細胞死発現が関与すると考えられる老化現象や疾病を予防することが可能となる。しかも、この組成物は、長期にわたり人間に摂取されてきた実績のある天然植物に由来するものであって、仮に大量に摂取したとしても強い副作用を誘発するおそれがなく、安全性が高い。また、アムラーは酸味を有するが、風味に関して難点が少なく、同様に性状についても難点が少ない。そのため、当該組成物は、実用性が高く、飲食品、飼料、医薬部外品、医薬品等に幅広く使用することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記細胞死マーカータンパク質が、細胞内タンパク質であることをその要旨とする。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2において、前記細胞死マーカータンパク質が、ミトコンドリア外膜上にて機能するタンパク質であることをその要旨とする。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項3において、前記細胞死マーカータンパク質が、BaxまたはBcl−2であることをその要旨とする。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項において、前記組成物は、さらに、加齢に伴って量的に変化する疾病マーカータンパク質についてその量的変化を小さくする方向に調節することをその要旨とする。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項5において、前記疾病マーカータンパク質が、HO−1またはPPARαであることをその要旨とする。
【0017】
請求項7に記載の発明は、加齢に伴って量的に変化する細胞死マーカータンパク質であるBax及びBcl−2についてその量的変化を小さくする方向に調節するとともに、加齢に伴って量的に変化する疾病マーカータンパク質であるHO−1についてその量的変化を小さくする方向に調節する組成物であって、アムラー抽出物を有効成分として含有するマーカータンパク質量調節用組成物をその要旨とする。
【0018】
請求項8に記載の発明は、加齢に伴って量的に変化する細胞死マーカータンパク質であるBax及びBcl−2についてその量的変化を小さくする方向に調節するとともに、加齢に伴って量的に変化する疾病マーカータンパク質であるHO−1及びPPARαについてその量的変化を小さくする方向に調節する組成物であって、アムラー抽出物を有効成分として含有するマーカータンパク質量調節用組成物をその要旨とする。
【0019】
請求項9に記載の発明は、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のマーカータンパク質量調節用組成物を含有することを特徴とする飲食品をその要旨とする。
【0020】
請求項10に記載の発明は、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のマーカータンパク質量調節用組成物を含有することを特徴とする飼料をその要旨とする。
【0021】
請求項11に記載の発明は、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のマーカータンパク質量調節用組成物を含有することを特徴とする医薬部外品をその要旨とする。
【0022】
請求項12に記載の発明は、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のマーカータンパク質量調節用組成物を含有することを特徴とする医薬品をその要旨とする。
【発明の効果】
【0023】
従って、請求項1乃至8に記載の発明によると、加齢に伴って起こる過度の細胞死発現を防ぐ効果、さらには加齢に伴う老化現象や疾病を予防する効果が期待できることに加え、安全性及び実用性が高いことから飲食品、飼料、医薬部外品、医薬品等に幅広く使用可能なマーカータンパク質量調節用組成物を提供することができる。また、請求項9乃至12に記載の発明によると、上記の優れたマーカータンパク質量調節用組成物を含有する飲食品、飼料、医薬部外品、医薬品をそれぞれ提供することができる。よって、このような飲食品等を摂取することにより、加齢に伴う老化現象や疾病を予防することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した一実施形態のマーカータンパク質量調節用組成物、及びそれを含有する飲食物、飼料、医薬部外品、医薬品を詳細に説明する。
【0025】
本発明のマーカータンパク質量調節用組成物に用いる「アムラー」とは、エンビリカ・オフィシナル(Emblica officinale)、または、フィランサス・エンブリカ(Phyllanthus embilica)という学名をもつ植物である。アムラーは、トウダイグサ科コミカンソウ属に属する落葉の亜高木であり、インドからマレーシア地域及び中国南部にかけて分布しており、インドが原産地と考えられている。また、アムラーは、各地方または言語により各々固有の名称を有しており、例えば、余柑子、油甘、奄摩勒、エンブリック・ミロバラン、アーマラキー、マラッカノキ、マラッカツリー、インディアングーズベリー、アロンラ、アミラ、アミラキ、アミラキャトラ、ネリカイ、ネルリ、タシャ、カユラカ、ケムラカ、ナックホンポン等とも称されている。
【0026】
インドの伝承医学「アユルヴェーダ」において、アムラーは、あらゆる病気の予防薬、治療薬として最もよいとされる3つの果実のうちのひとつに挙げられている。しかしながら、アムラーの抽出物が「加齢に伴って量的に変化する細胞死マーカータンパク質についてその量的変化を小さくする方向に調節する作用を有する」という事実に関する具体的な報告はこれまでになく、本願発明者が鋭意研究の末に今回新規に知見したものである。
【0027】
マーカータンパク質量調節用組成物に使用されるアムラーの部位としては特に限定されないが、果実が好ましく用いられる。アムラー果実の形態は、特に限定するものではなく、未熟果実、完熟果実、乾燥果実等のいずれでもよい。なお、果実を絞って得られる果汁の使用も同様に好ましい。果汁の形態は、特に限定するものではなく、液状、粉末状のいずれでもよい。生果実を使用する場合には、あらかじめ種子を除去した後、必要に応じて水を添加したうえで、抽出を行う。なお、抽出効率を高めるために、ミキサー等により破砕、均質化したものを抽出原料として使用することが好ましい。乾燥果実を使用する場合についても基本的には同様のことがいえるが、抽出効率を高めるために、40メッシュ以下の粒度になるように粉砕しておくことが好ましい。なお、果汁も抽出原料として好適に使用される。
【0028】
抽出に使用する溶媒や温度条件等については、特に限定されるものではなく、任意に選択、設定することができる。抽出溶媒としては、水、塩基、酸等といった非有機溶媒や、親水性溶媒、アセトン等といった有機溶媒を選択することができる。親水性溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール及びブチルアルコールからなる低級アルコール群から選択される1種類以上が、操作性、抽出効率の点から好ましい。ただし、有機溶媒による抽出よりもむしろ非有機溶媒による抽出が好ましく、なかでも水、塩基及び酸のいずれかを選択することがよい。
【0029】
酸または塩基を抽出溶媒に使用する場合、抽出物を中和させることが好ましい。中和反応によって生成された塩は、透析法やゲル濾過等、公知の方法により、取り除くことができる。ただし、水を抽出溶媒として用いた場合には、上記のような中和反応は必要なく、生成された塩を取り除く必要もない。よって、工数減及び低コスト化の観点から、水を用いることが最も好ましい。
【0030】
このとき使用する酸としては、特に限定するものではなく、大部分の酸を使うことができる。ただし、入手のしやすさ及び操作性の観点から、塩酸または硫酸の使用、あるいは塩酸及び硫酸の併用が好ましい。また、塩基としては、特に限定するものではなく、大部分の塩基を使うことができる。ただし、入手のしやすさ及び操作性の観点から、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムの使用、あるいは水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムの併用が好ましい。
【0031】
抽出に使用される酸または塩基の濃度は、抽出物を酵素処理する前であっても後であっても特に限定するものではない。酸または塩基の強さによって変化するが、操作性及び抽出効率の観点から、0.01モル濃度〜0.5モル濃度の酸または塩基を使用することが好ましい。
【0032】
上記の抽出においては酵素処理を併用してもよく、この処理によれば収率や風味を改善することができる。なお、酵素処理は抽出前に行ってもよく、抽出時に行ってもよい。酵素処理をするときのpHは、使用する酵素の至適pH及びpH安定性を指標にして、適宜設定することができる。また、酵素処理をするときの温度に関しても、使用する酵素の至適温度及び温度安定性を指標にして、適宜設定することができる。
【0033】
本発明の酵素処理に用いる酵素は、特に限定されるべきではないが、食品工業分野でよく用いられる加水分解酵素であることが好ましい。この種の酵素は使用実績があり、安全性等の観点からも好ましいからである。上記酵素の具体例としては、例えば、ペクチナーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、タンナーゼ、デキストラナーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、トリプシン、パパイン等の加水分解酵素が挙げられる。これらのなかでも好ましくは、ペクチナーゼ、プロテアーゼ、タンナーゼ、セルラーゼから選択される1種類を使用する、または2種類以上を組み合わせて使用することである。これによれば抽出効率をさらに向上させることが可能となる。
【0034】
さらに、上記の抽出において、抽出残渣に対して再度抽出工程を1回またはそれ以上繰り返すことが好ましく、この方法によれば抽出効率を向上させることができる。この場合の抽出に用いる溶媒は、同じものであっても異なるものであってもよい。
【0035】
上記の抽出物は、そのままでも使用できるが、濾過、遠心分離及び分留といった処理を行って、不溶性物質及び溶媒を取り除くことがより好ましい。このような処理を行うことで、細胞死マーカータンパク質量調節作用が高くなり、応用範囲も広くなる。
【0036】
不溶性物質及び溶媒を取り除いた後、果汁または抽出液をそのまままたは濃縮した後に有機溶媒を用いて分配を行い、それぞれの溶媒可溶画分を得る。有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等の低級アルコール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジエチルエーテル、メチルエーテル、メチルイソブチルケトン、ヘキサン、アセトン、クロロホルムなどが使用できる。また、可溶画分の純度を上げるためには、他の疎水性溶媒による分配を組み合わせることもできるが、この場合にはエチルアルコールの使用が好ましい。これら溶媒の濃度としては、特に限定するものではないが、収率及び効果の観点から、終濃度として20%〜80%(v/v)が好ましく、20%〜60%(v/v)がさらに好ましい。
【0037】
さらに純度を高めるために、例えば、フェノール系、スチレン系、アクリル酸系、エポキシアミン系、ピリジン系、メタクリル系などを母体とする疎水性樹脂を用いたクロマトグラフィーやカラムによる精製を行ってもよい。その場合、樹脂吸着後の溶離液としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコールなどの低級アルコール及びアセトンを、単独または水溶液として使用できる。
【0038】
抽出物及び画分はそのままで使用することも可能であるが、必要に応じて噴霧乾燥や凍結乾燥等の手段により乾燥粉末化させて使用することも可能である。
【0039】
本発明において加齢に伴う老化現象、特に細胞死によって引き起こされると考えられる老化現象としては、例えば、細胞数の減少からする臓器の萎縮、身長の縮小、皮膚における皺の形成や色素の沈着、毛髪の粗化や白化、歯牙の脱落、骨の萎縮とそれに伴う亀背等を挙げることができる。また、加齢に伴う疾病、特に細胞死に伴う免疫力の低下が引き起こす疾病としては、末期ガン、重症のアトピー性皮膚炎、慢性リンパ性白血病、腫瘍、歯茎の病気、慢性関節リューマチ、糖尿病、膠原病、クローン病、多発性硬化症、繊維性筋痛、喘息(ゼンソク)、花粉症、アレルギー症、胃潰瘍、慢性疲労症候群、口内炎、ヘルペス、後天性免疫不全症候群(AIDS)、インフルエンザ、気管支炎、結核症、心臓病、心筋梗塞、脳血栓、腎臓病、肝炎、アルツハイマー病、痴呆症、自閉症、中毒症(サルモネラ菌、大腸菌、クリプトス菌等)などを挙げることができる。
【0040】
本発明における細胞死マーカータンパク質は、加齢に伴って量的に変化する性質を有しており、主として細胞内に存在している。例えば、前記細胞死マーカータンパク質は、ミトコンドリア外膜上にて機能するタンパク質であることが好ましい。即ち、ミトコンドリアは細胞死の発現に大きく関与する細胞内小器官であって、そこで機能するタンパク質の量を調整することは、過度の細胞死(アポトーシス)発現の効果的な抑制につながると考えられるからである。
【0041】
ここで細胞死マーカータンパク質の例としては、チトクロームCがある。チトクロームCタンパク質は、通常ミトコンドリア内に存在するが、アポトーシスが起こる際にミトコンドリア外膜上にある「VDAC(Voltage-Dependent Anion Channelの略)」と呼ばれる細孔を通って外部に放出される。チトクロームCタンパク質は、アポトーシス(詳細にはカズパーゼ−3依存性アポトーシス)を誘導するタンパク質であるため、通常は加齢に伴って発現量が増加する傾向を示す。
【0042】
チトクロームC以外の細胞死マーカータンパク質の例としては、例えば、Bcl−2タンパク質及びそれと構造が類似した十数種類のタンパク質群(いわゆるBcl−2タンパク質ファミリー)が知られている。
【0043】
当該ファミリーの中核をなすBcl−2タンパク質は、bcl−2遺伝子が作るタンパク質であって、加齢に伴って発現量が減少する傾向を示す。Bcl−2タンパク質は、ミトコンドリア外膜上のVDACに結合して孔を細くすることでチトクロームCの放出を抑制し、これによりアポトーシスを抑制する働きがある。同様の働きを有するタンパク質としては、bcl−xL遺伝子が作るBcl−xLタンパク質や、bcl−xS遺伝子が作るBcl−xSタンパク質などがある。これらも、加齢に伴って発現量が減少する傾向を示す細胞死マーカータンパク質である。
【0044】
当該ファミリーに属するものであって、加齢に伴って発現量が増加する傾向を示す細胞死マーカータンパク質の例としては、例えば、Baxタンパク質などがある。Baxタンパク質(Bcl−2 associated X protein)は、ミトコンドリア外膜上のVDACに結合して孔を拡げることでチトクロームCの放出を促進し、これによりアポトーシスを促進する働きがある。同様の働きを有するタンパク質としては、そのほかにもhrk遺伝子が作るHrkタンパク質、mtd遺伝子が作るMtdタンパク質、bak遺伝子が作るBakタンパク質、bad遺伝子が作るBadタンパク質などがある。
【0045】
本発明のマーカータンパク質量調節用組成物は、さらに、加齢に伴って量的に変化する疾病マーカータンパク質についてその量的変化を小さくする方向に調節することが好ましい。即ち、このような疾病マーカータンパク質の量的変化を小さくする方向に調節すれば、当該疾病マーカータンパク質が関与している疾病(加齢に伴う疾病)の発生率を低減することが可能と考えられるからである。従って、細胞死マーカータンパク質量調節作用と疾病マーカータンパク質量調節作用との相乗効果により、加齢に伴う老化現象や疾病をより確実に予防することが可能となる。
【0046】
前記疾病マーカータンパク質の具体例としては、例えば、iNOS、COX−2、PPARα、HO−1などがある。
【0047】
iNOS(誘導型一酸化窒素シンターゼ)は、加齢に伴ってその発現量が増加する傾向を示すタンパク質であって、炎症マーカータンパク質としても知られている。iNOSは、強力な活性酸素である一酸化窒素(NO)を産生する酵素であるため、これが増加すると細胞に炎症が起きて細胞障害を起こしやすくなる。よって、iNOSの発現量を減少させる方向に調節すれば、iNOSが関与する炎症の発生率の低減、さらには炎症が引き起こす疾病の発生率の低減が可能である。
【0048】
COX−2(シクロオキシゲナーゼ−2)も、加齢に伴って発現量が増加する傾向を示すタンパク質であって、炎症マーカータンパク質としても知られている。COX−2は、アラキドン酸代謝経路で、膜のリン脂質からホスホリパーゼA2を介して遊離されたアラキドン酸を、PG−G2やPG−H2を介して、トロンボキサンやPG−E2をはじめとするアラキドン酸代謝物に転換するときに、一番中心的に働く酵素である。COX−2は、IL−1やTNF−αなどのサイトカインが存在する時に大量発現するが、加齢した細胞では炎症が起きやすいため、加齢に伴ってその発現量が増加する傾向を示す。よって、COX−2の発現量を減少させる方向に調節すれば、COX−2が関与する炎症の発生率の低減、さらには炎症が引き起こす疾病の発生率の低減が可能である。
【0049】
PPARα(ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体α)は、抗炎症マーカータンパク質の一種であって、加齢に伴って発現量が減少する傾向を示す。ペルオキシソーム(PP)は、肝臓DNA合成や肝臓細胞のアポトーシスの抑制などに影響を及ぼすことが報告されているが、PPARαがPPに結合するとPPを活性化し、活性化されたPPがレチノイドX受容体(RXR)とヘテロダイマーを形成してβ酸化に関連した遺伝子の転写等を促進させると考えられている。よって、PPARαの発現量を増加させる方向に調節すれば、PPARαの抗炎症作用の強化に伴う炎症発生率の低減、さらには炎症が引き起こす疾病の発生率の低減が可能である。
【0050】
HO−1(ヘモオキシゲナーゼ−1)は、酸化ストレスにより誘導されるタンパク質の一種であって、加齢に伴って発現量が減少する傾向を示す。HO−1は、ヘムの分解に関与しており、NADPHや酸素等の存在下でヘムを一酸化炭素、鉄イオン、ビリベルディンへと分解する。ビリベルディンは強力なラジカル・スカベンジャーであり、これが抗酸化ストレス作用を奏する。よって、HO−1の発現量を増加させる方向に調節すれば、酸化ストレスが原因である疾病の発生率の低減が可能である。なお、上述した細胞死についても酸化ストレスの関与が知られており、HO−1の増加は間接的ではあるが細胞死の抑制にも寄与しうると考えられる。
【0051】
本発明のマーカータンパク質量調節用組成物は、さらに脂質代謝改善作用を有することが好ましい。即ち、加齢に伴って脂質代謝機能も低下するため、脂質代謝を改善することで加齢に伴う疾病の発生率を低減することが可能と考えられるからである。従って、細胞死マーカータンパク質量調節作用、疾病マーカータンパク質量調節作用、及び脂質代謝改善作用の相乗効果により、加齢に伴う老化現象や疾病をより確実に予防することが可能となる。なお、前記脂質代謝改善作用とは、具体的には血清中のコレステロール値などを低減する作用や、臓器組織中のコレステロール値などを低減する作用のことをいう。ただし、HDLコレステロールのような、いわゆる善玉コレステロールの値については、低減しないことが好ましい。
【0052】
本発明のマーカータンパク質量調節用組成物は、飲食品、飼料、医薬部外品、医薬品等に幅広く応用できるが、特に人が手軽に摂食できる飲食品に応用することが好ましい。
【0053】
本発明における飲食品とは、溶液、懸濁物、粉末、固体成形物等、経口摂取可能な形態であればよく、特に限定するものではない。飲食物の具体例としては、例えば、即席麺、レトルト食品、缶詰、電子レンジ食品、即席スープ・みそ汁類、フリーズドライ食品等の即席食品類、清涼飲料、果汁飲料、野菜飲料、豆乳飲料、コーヒー飲料、茶飲料、粉末飲料、濃縮飲料、栄養飲料、アルコール飲料等の飲料類、パン、パスタ、麺、ケーキミックス、から揚げ粉、パン粉等の小麦粉製品、飴、キャラメル、チューイングガム、チョコレート、クッキー、ビスケット、ケーキ、パイ、スナック、クラッカー、和菓子、デザート菓子等の菓子類、ソース、トマト加工調味料、風味調味料、調理ミックス、たれ類、ドレッシング類、つゆ類、カレー・シチューの素等の調味料、加工油脂、バター、マーガリン、マヨネーズ等の油脂類、乳飲料、ヨーグルト類、乳酸菌飲料、アイスクリーム類、クリーム類等の乳製品、冷凍食品、魚肉ハム・ソーセージ、水産練り製品等の水産加工品、畜肉ハム・ソーセージ等の畜産加工品、農産缶詰、ジャム・マーマレード類、漬け物、煮豆、シリアル等の農産加工品、栄養食品、錠剤、カプセル等を挙げることができる。
【0054】
本発明のマーカータンパク質量調節用組成物の飲食品としての摂取量は、本発明の病気の状態、病人の体重、年齢、体質、体調等によって調整されるべきであるが、一般に1日あたりマーカータンパク質量調節用組成物として0.05g〜20g、好ましくは0.1g〜5gの範囲で適宜設定することができる。上記飲食物は、病気の状態や食品等の形態によって、1日1回ないし数回にわけて摂取することができる。
【0055】
本発明において、マーカータンパク質量調節用組成物またはそれを含有する飲食品等に加工する際に、各種栄養成分を強化することができる。
【0056】
強化できる栄養成分としては、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ナイアシン(ニコチン酸)、パントテン酸、葉酸等のビタミン類、リジン、スレオニン、トリプトファン等の必須アミノ酸類や、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅等のミネラル類、及び、例えば、α−リノレン酸、EPA、DHA、月見草油、オクタコサノール、カゼインホスホペプチド(CPP)、カゼインカルシウムペプチド(CCP)、水溶性食物繊維、不溶性食物繊維、オリゴ糖等の人の健康に寄与する物質類、その他の食品や食品添加物として認可されている有用物質の1種または2種以上が使用できる。
【0057】
本発明における飼料とは、ヒト以外の生物に摂食させるための食べ物のことをいい、その形態については特に限定されない。飼料を適用しうる生物としては特に限定されないが、例えば、養殖動物やペット動物などが挙げられる。養殖動物としては、例えば、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ラクダ、ラマなどの家畜や、マウス、ラット、モルモット、ウサギなどの実験動物や、ニワトリ、アヒル、七面鳥、ダチョウなどの家禽などがある。ペット動物としては、例えば、イヌ、ネコなどがある。
【0058】
本発明における医薬部外品及び医薬品とは、経口投与または非経口投与に適した賦形剤、その他の添加剤を用い、常法に従って経口製剤または注射剤として調製されたものをいう。好ましい医薬部外品及び医薬品の態様は経口製剤であり、最も好ましいのは経口固形製剤である。経口固形製剤は、容易に服用でき、かつ保存、持ち運びに便利だからである。
【0059】
経口固形製剤としては、例えば、錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤、徐放剤等がある。本発明の経口固形製剤は、適宜の薬理学的に許容され得る坦体、賦形剤(例えばデンプン、乳糖、白糖、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムなど)、結合剤(例えばデンプン、アラビアガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、アルギン酸、ゼラチン、ポリビニルピロリドンなど)、滑沢剤(例えばステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムなど)、崩壊剤(例えばカルボキシメチルセルロース、タルクなど)、などをマーカータンパク質量調節用組成物と混合して固形化することにより得られる。
【0060】
また、経口液状製剤とは、製薬学的に許容される乳濁剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤等を含み、一般的に用いられる不活性な希釈剤、例えば精製水、エチルアルコールを含むものをいう。本発明の経口液状製剤は、老化予防組成物及び希釈剤のほかに、湿潤剤、懸濁剤のような補助剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、防腐剤等をさらに含有していてもよい。
【0061】
非経口投与に適した注射剤は、無菌の水性または非水性の溶液剤、懸濁剤、乳濁剤等を含んでいる。水性の溶液剤、懸濁剤の希釈剤としては、例えば、注射用蒸留水及び生理食塩水がある。非水溶性の溶液剤、懸濁剤の希釈剤としては、例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油のような植物油、エチルアルコールのようなアルコール類、ポリソルベート80等がある。この注射剤は、さらに防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定化剤(例えばラクトース)、溶解補助剤(例えば、グルタミン酸、アスパラギン酸)のような補助剤を含んでもよい。これらは、例えばバクテリア保管フィルターを通す濾過、殺菌剤の配合または照射によって無菌化される。また、これらは、無菌の固体組成物を製造し、その使用前に無菌水または無菌の注射用溶媒に溶解して、使用することもできる。
【0062】
本発明のマーカータンパク質量調節用組成物の医薬品としての投与量は、投与ルート、疾患の症状、投与対象の年齢、性別等を考慮して個々の場合に応じて適宜決定されるが、通常、成人1人当たり有効成分約40mg/日〜3g/日、好ましくは100mg/日〜500mg/日である。
【0063】
以下、本発明を実施例にて詳細に説明するが、以下の実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
[実施例1] マーカータンパク質量調節用組成物の調製1(水抽出)
【0064】
アムラー乾燥果実を粉砕後篩別して40メッシュ以下にし、その粉末80gに、蒸留水2Lを加え、55℃で3時間抽出を行った。その後、抽出液を遠心分離(3000rpm、10分間)し、その上清を濾過し、抽出液と残渣とを分離した。その残渣に蒸留水2Lを加え、同条件でもう1回繰り返し抽出を行い、それぞれの抽出液を合わせた後、凍結乾燥し、本発明のマーカータンパク質量調節用組成物A,35.0gを得た。収率は43.8%であった。
[実施例2] マーカータンパク質量調節用組成物の調製2(酢酸エチル分画)
【0065】
アムラー乾燥果実を40メッシュ以下に粉砕し、その粉末80gに、蒸溜水2Lを入れ、55℃で3時間抽出した。その後、遠心分離し、その上清を濾過し、抽出物と残渣とを分離した。その残渣に蒸留水2Lを加え、同条件でもう1回繰り返し抽出を行い、それぞれの抽出液を合わせた後、減圧濃縮し、200mLとした。この濃縮液に酢酸エチルを加え、500mLになるように調製(最終酢酸エチル濃度60%)し、これをよく攪拌した後、4℃で24時間静置した。その後、酢酸エチル層を分離して、減圧濃縮を行った後、濾液を凍結乾燥することで、本発明のマーカータンパク質量調節用組成物B,12.5gを得た。
[試験例1]マーカータンパク質量調節用組成物の効果確認
【0066】
(1)加齢ラットの飼育、採血、肝臓採取
【0067】
日本SLC社より購入した雄ウィスター系ラット(体重120g〜130g)を室温25℃、湿度60%のワイヤーケージ内で訓化させた。飼料としては日本CLEA社製のペレット飼料(蛋白質24.0%、脂質3.5%、炭水化物60.5%)を使用した。飼料は自由に摂餌させ、水も自由に飲ませるようにした。そして、基本的にラットを4つの群に分けた(n=10/群)。
【0068】
アムラー無投与の若齢コントロール群である試験区1では、2ヶ月齢の若齢ラット10匹に対し、生理食塩水を100日間にわたり経口投与した。アムラー無投与の加齢コントロール群である試験区2では、10ヶ月齢の加齢ラット10匹に対し、生理食塩水を100日間にわたり経口投与した。加齢ラットにアムラー水抽出物を投与する群である試験区3では、10ヶ月齢の加齢ラット10匹に対し、前記組成物A(40mg/kg体重/日)を100日間にわたり経口投与した。加齢ラットにアムラー水抽出物の酢酸エチル分画物を投与する群である試験区4では、10ヶ月齢の加齢ラット10匹に対し、前記組成物B(10mg/kg体重/日)を100日間にわたり経口投与した。
【0069】
その後、ラットを屠殺し、尾静脈より採血を行った。採血後、直ちに遠心分離(3600rpm,10min)により血清を分離し、得られた血清サンプルを分析に供するまで−80℃にて凍結保存した。これと同時に肝臓を採取し、分析に供するまで−80℃にて凍結保存した。
【0070】
(2)マーカータンパク質の発現量の比較
【0071】
ここでは、本発明の組成物A,Bのマーカータンパク質量調節作用を確認するために、ラット肝組織における各種マーカータンパク質の発現量の変化を比較する試験を行った。
【0072】
a)測定方法及び結果
【0073】
−80℃で保存しておいた肝臓を氷冷下でホモジナイズし、細胞質画分を抽出し、これを試料とした。この試料中の各タンパク濃度は、抗Bax抗体、抗Bcl−2抗体、抗HO−1抗体、抗iNOS抗体、抗COX−2抗体、抗PPARα抗体をそれぞれ使用して、ウエスタン・ブロッティング法により定量した。その結果を図1の表に示す。
【0074】
b)結果及び考察
【0075】
Baxタンパク質: 若齢コントロール群(試験区1)に比較して、加齢コントロール群(試験区2)では発現量が有意に増加していた(100%→146%)。しかし、このような加齢コントロール群(試験区2)を基準とした場合、試験区3,4では発現量が有意に減少しており、その減少率は試験区3で約16%、試験区4で約10%であった。つまり、Baxタンパク質に対する発現量調節作用が組成物A,Bの両方で確認され、とりわけ組成物Aのほうが勝っていた。
【0076】
Bcl−2タンパク質: 若齢コントロール群(試験区1)に比較して、加齢コントロール群(試験区2)では発現量が有意に減少していた(100%→93%)。しかし、このような加齢コントロール群(試験区2)を基準とした場合、試験区3,4では発現量が有意に増加しており、その増加率は試験区3で約56%、試験区4で約11%であった。つまり、Bcl−2タンパク質に対する発現量調節作用が組成物A,Bの両方で確認され、とりわけ組成物Aのほうが勝っていた。
【0077】
HO−1タンパク質: 若齢コントロール群(試験区1)と比較して、加齢コントロール群(試験区2)では発現量の有意な変化は認められず、わずかに減少する傾向が見られた(100%→97%)。しかし、加齢コントロール群(試験区2)を基準とした場合、試験区3,4では発現量が有意に増加しており、その増加率は試験区3で約19%、試験区4で約6%であった。つまり、HO−1タンパク質に対する発現量調節作用が組成物A,Bの両方で確認され、とりわけ組成物Aのほうが勝っていた。
【0078】
iNOSタンパク質: 若齢コントロール群(試験区1)に比較して、加齢コントロール群(試験区2)では発現量が有意に増加していた(100%→485%)。しかし、このような加齢コントロール群(試験区2)を基準とした場合、試験区3,4では発現量が有意に減少しており、その減少率は試験区3で約15%、試験区4で約46%であった。つまり、iNOSタンパク質に対する発現量調節作用が組成物A,Bの両方で確認され、とりわけ組成物Bのほうが勝っていた。
【0079】
COX−2タンパク質: 若齢コントロール群(試験区1)に比較して、加齢コントロール群(試験区2)では発現量が有意に増加していた(100%→111%)。しかし、このような加齢コントロール群(試験区2)を基準とした場合、試験区3,4では発現量が有意に減少しており、その減少率は試験区3で約15%、試験区4で約46%であった。つまり、COX−2タンパク質に対する発現量調節作用が組成物A,Bの両方で確認された。
【0080】
PPARαタンパク質: 若齢コントロール群(試験区1)に比較して、加齢コントロール群(試験区2)では発現量が有意に減少していた(100%→60%)。しかし、このような加齢コントロール群(試験区2)を基準とした場合、試験区3,4では発現量が有意に増加しており、その増加率は試験区3で約48%、試験区4で約48%であった。
【0081】
(3)血清中におけるコレステロールの比較及び中性脂質の比較
【0082】
ここでは、本発明の組成物A,Bの脂質代謝改善作用を確認するために、加齢ラットに対して組成物A,Bを与えた場合の血清中におけるコレステロールの比較試験及び中性脂質(トリグリセリド)の比較試験を行った。
【0083】
a)測定方法
【0084】
−80℃にて凍結保存していた血清サンプルを解凍し、血清コレステロール測定用キット(和光純薬工業社製)を用いて、コレステロールオキシダーゼ法により、総コレステロール、遊離コレステロール、コレステロールエステル、LDLコレステロール、HDLコレステロールの値をそれぞれ測定した。また、血清トリグリセリド測定用キット(和光純薬工業社製)を用いて、中性脂肪の値を測定した。その結果を図2の表に示す。
【0085】
b)結果及び考察
【0086】
若齢コントロール群(試験区1)に比較して、加齢コントロール群(試験区2)では、総コレステロール、遊離コレステロール、コレステロールエステル、LDLコレステロール、中性脂肪について増加傾向が認められた。試験区3,4でも、これらのものについて増加傾向が認められたが、その程度は試験区2よりも小さかった。つまり、組成物A,Bに血清中コレステロール値及び中性脂肪値を下げる作用があることが確認された。
【0087】
(4)肝組織中におけるコレステロールの比較及び中性脂質の比較
【0088】
ここでは、本発明の組成物A,Bの脂質代謝改善作用を確認するために、加齢ラットに対して組成物A,Bを与えた場合の肝組織中におけるコレステロールの比較試験及び中性脂質(トリグリセリド)の比較試験を行った。
【0089】
a)測定方法
【0090】
−80℃にて凍結保存していた肝臓組織を用い、これをクロロホルム:メタノール2:1(v/v)混液で磨砕・抽出後に定容とし、Zak−Henly法で定量することにより、総コレステロール、遊離コレステロール、コレステロールエステルの値をそれぞれ測定した。また、上記の肝臓組織をアセチルアセトン法で定量することにより、中性脂肪の値を測定した。その結果を図3の表に示す。
【0091】
b)結果及び考察
【0092】
若齢コントロール群(試験区1)に比較して、加齢コントロール群(試験区2)では、総コレステロール、遊離コレステロール、コレステロールエステル、中性脂肪の値がいずれも有意に増加していた。試験区3,4でも、これらのものについて増加傾向が認められたが、その程度は試験区2よりも明らかに小さかった。つまり、組成物A,Bに肝組織中コレステロール値及び中性脂肪値を下げる作用があることが確認された。
【0093】
(4)チオバルビツール酸反応物質(TBARS)の比較
【0094】
ここでは、本発明の組成物A,Bの作用を確認するために、加齢ラットに対して組成物A,Bを与えた場合の血清中TBARS濃度の比較試験、肝組織中TBARS濃度の比較試験をそれぞれ行った。なお、TBARSは酸化ストレスのマーカーであり、活性酸素などの酸化ストレスが多い場合に増加することがわかっている。
【0095】
a)測定方法
【0096】
−80℃にて凍結保存していた血清サンプルを解凍し、これを用いてチオバルビツール酸法(TBA法)により血清中TBARS濃度を測定した。また、−80℃にて凍結保存していた肝臓組織を用い、これをクロロホルム:メタノール2:1(v/v)混液で磨砕・抽出後に定容とし、これを用いてTBA法により肝組織中TBARS濃度を測定した。上記TBA法の具体的な手順は以下のとおりである。まず、一定量の血清に、2%ブチルヒドロキシトルエン、TBA、トリクロロ酢酸及び塩酸の混液を加えて混和した。これを沸騰水浴中で15分間加熱した後、水冷して遠心分離し、その上清の535nmにおける吸光度を測定した。その結果を図4の表に示す。
【0097】
b)結果及び考察
【0098】
若齢コントロール群(試験区1)に比較して、加齢コントロール群(試験区2)では、血清中TBARS濃度及び肝組織中TBARS濃度がいずれも有意に増加していた。しかし、加齢コントロール群(試験区2)を基準とした場合、試験区3,4では当該濃度が有意に減少していた。従って、組成物A,BにはTBARS濃度を減少させる作用、つまり抗酸化ストレス作用があることが確認された。
[実施例3] マーカータンパク質量調節用組成物含有飲食品(錠菓)の調製
【0099】
実施例1で得られた組成物A,5g、乳糖30g、DHA含有粉末油脂(サンコートDY−5;太陽化学株式会社製)12g、ショ糖脂肪酸エステル4g、ヨーグルト香料4gを混合し、この混合物をロータリー式打錠機を用いて加圧成形して1錠が300mgの本発明のマーカータンパク質量調節用組成物含有飲食品(錠菓)を得た。また、これに対する比較例として、当該組成物Aのみを含有しない反面、乳糖などの他の成分を含有する飲食品(錠菓)を、同様の方法により得た。
【0100】
そして、これら2種の錠菓について、5名のパネラーによる官能検査を行った結果、色、匂い及び味のいずれにおいても両者に有意差が認められなかった。また、これら2種の錠菓を常温で長期間(1ヶ月間,3ヶ月間,6ヶ月間)保存したところ、両者とも色、匂い及び味について特に目立った変化は認められず、いずれも保存性に優れていた。
[実施例4]マーカータンパク質量調節用組成物含有飲食品(飲料)の調製
【0101】
実施例1で得られた組成物A,5g、1/5濃縮グレープフルーツ透明果汁2.1g、エリスリトール30g、クエン酸結晶2.5g、クエン酸三ナトリウム0.5g、L−アスコルビン酸0.5g、乳酸カルシウム1.93g、CCP0.15g、グレープフルーツ香料1.0mLを水に混合溶解し、全量を1000mLとした。それを100mLの瓶に充填し、キャップで密栓した後、90℃、30分間加熱殺菌をして、本発明のマーカータンパク質量調節用組成物含有飲食品(飲料)を得た。また、これに対する比較例として、当該組成物Aのみを含有しない反面、他の成分を含有する飲食品(飲料)を、同様の方法により得た。
【0102】
そして、これら2種の飲料について、5名のパネラーによる官能検査を行った結果、色、匂い及び味のいずれにおいても両者に有意差が認められなかった。また、これら2種の飲料を冷蔵庫で長期間(1ヶ月間,3ヶ月間,6ヶ月間)保存したところ、両者とも色、匂い及び味について特に目立った変化は認められず、いずれも保存性に優れていた。
[実施例5]マーカータンパク質量調節用組成物含有飲食品(野菜果汁混合飲料)の調製
【0103】
実施例1で得られた組成物A,0.2g、グアーガム分解物(サンファイバーR;太陽化学株式会社製)3gを市販の野菜果汁混合飲料100mLに添加混合溶解して、本発明のマーカータンパク質量調節用組成物含有飲食品(野菜果汁混合飲料)を得た。また、これに対する比較例として、当該組成物Aを含有せず、グアーガム分解物を含有する飲食品(野菜果汁混合飲料)を、同様の方法により得た。
【0104】
そして、これら2種の野菜果汁混合飲料について、5名のパネラーによる官能検査を行った結果、色、匂い及び味のいずれにおいても両者に有意差が認められなかった。また、これら2種の飲料を冷蔵庫で1ヶ月間保存したところ、両者とも色、匂い及び味について特に目立った変化は認められず、いずれも保存性に優れていた。
[実施例6]マーカータンパク質量調節用組成物含有飲食品(クッキー)の調製
【0105】
実施例2で得られた組成物B,4g、市販のケーキミックス粉200gを容器に入れた後、バター35gを入れ、木杓子で混ぜ合わせた。それに溶き卵25gを加えて、なめらかな生地になるまで良く練った。小麦粉を振った台の上に生地を取り出し、さらに小麦粉を振って麺棒で5mmの厚さに伸ばし、丸型で抜き、それを170℃のオーブンで10分間焼いて、1個約5gの本発明のマーカータンパク質量調節用組成物含有飲食品(クッキー)を得た。
[実施例7]マーカータンパク質量調節用組成物含有飲食品(ヨーグルト)の調製
【0106】
実施例1で得られた組成物A,1g、市販の脱脂乳(明治乳業社製、蛋白質含量34%)95g、及び市販の無塩バター(雪印乳業社製)35gを温水0.8Lに溶解し、均質化し、全量を1Lに調整した。次いで、これを90℃で15分間加熱殺菌した後、冷却し、市販の乳酸菌スターター(ハンゼン社製)3g(ストレプトコッカス・サーモフィラス2g及びラクトバシラス・ブルガリクス1g)を接種した。さらに、これを均一に混合し、100mLの容器に分注・充填した後、密封して37℃で20時間発酵させた後、冷却することで、本発明のマーカータンパク質量調節用組成物含有飲食品(ヨーグルト)を得た。
[実施例8]マーカータンパク質量調節用組成物含有飲食品(経口流動食)の調製
【0107】
カゼインナトリウム(DMV社製)50g、卵白酵素分解物(太陽化学社製)42.5g、デキストリン(松谷化学社製)100gを水1Lに溶解させ、水相をタンク内に調製した。これとは別に、MCT(花王社製)45g、パーム油(不二製油社製)17.5g、サフラワー油(太陽油脂社製)35g、レシチン(太陽化学社製)0.7g、消泡剤(太陽化学社製)1gを混合溶解し、油相を調製した。タンク内の水相に油相を添加し、攪拌して混合した後、70℃に加温し、さらに、ホモゲナイザーにより14.7MPaの圧力で均質化した。次いで、90℃で10分間殺菌した後、濃縮し、噴霧乾燥して、中間製品粉末約260gを調製した。この中間製品粉末200gに、実施例2で得られた組成物B,4g、デキストリン(松谷化学社製)156g、グアーガム分解物(サンファイバーR;太陽化学株式会社製)18g、少量のビタミン・ミネラル、及び粉末香料を添加し、均一に混合して、本発明のマーカータンパク質量調節用組成物含有飲食品(経口流動食)約380gを得た。
[実施例9]マーカータンパク質量調節用組成物含有錠剤の調製
【0108】
実施例1で得られた組成物A,10g、結晶セルロース5g、トウモロコシデンプン13.8g、乳糖32.5g、ヒドロキシプロピルセルロース3.3gを混合し、顆粒化した。この顆粒化物にステアリン酸マグネシウム1.0gを加え、均一に混合し、この混合物をロータリー式打錠機で加圧成形することにより、一錠が130mgの本発明のマーカータンパク質量調節用組成物含有錠剤を得た。
[実施例10]マーカータンパク質量調節用組成物含有ドリンク剤の調製
【0109】
実施例2で得られた組成物B,55gに、ブドウ糖528g、果糖85.4g、粉末クエン酸15.8g、クエン酸ナトリウム11.2g、乳酸カルシウム1.3g、塩化マグネシウム1.3g、粉末天然香料13.2g、ビタミンCを添加し、さらに水を加えて11Lとした。この液体を乾熱滅菌済の110mL褐色瓶に充填して、アルミキャップで密封した後、120℃、30分間の滅菌を行い、ドリンク剤100本を得た。
[実施例11]マーカータンパク質量調節用組成物含有カプセル剤の調製
【0110】
実施例1で得られた組成物A,50gに、銅クロロフィリン酸ナトリウム1gを加えて熱殺菌した後、それを日本薬局カプセル(#1)に1カプセルあたり0.4g充填し、カプセル剤100個を得た。
[実施例12]マーカータンパク質量調節用組成物含有豚繁殖用飼料の調製
【0111】
実施例2で得られた組成物B,1.0kgに対し、とうもろこし8.0kg、マイロ5.6kg、大豆油かす2.2kg、ふすま1.2kg、魚粉1.0kg、動物性油脂0.4kg、ビタミン・ミネラル類0.6kgを配合して、豚繁殖用飼料20.0kgを調製した。
【0112】
本発明の実施態様及び目的生成物を挙げれば以下の通りである。
【0113】
(1)加齢に伴って量的に変化する細胞死マーカータンパク質についてその量的変化を小さくする方向に調節する組成物であって、アムラー水抽出物を有効成分として含有するマーカータンパク質量調節用組成物。
【0114】
(2)加齢に伴って量的に変化する細胞死マーカータンパク質についてその量的変化を小さくする方向に調節する組成物であって、アムラー水抽出物における有機溶媒画分を有効成分として含有するマーカータンパク質量調節用組成物。
【0115】
(3)加齢に伴って量的に変化する細胞死マーカータンパク質についてその量的変化を小さくする方向に調節する組成物であって、アムラー水抽出物における酢酸エチル抽出画分を有効成分として含有するマーカータンパク質量調節用組成物。
【0116】
(4)上記(1)乃至(3)のいずれか1項において、前記細胞死マーカータンパク質がBaxであり、10ヶ月齢以上の加齢ラットに対して当該組成物を与えたときのBaxの発現量の減少率が、前記加齢ラットに対して当該組成物を与えないときのBaxの発現量の5%以上(好ましくは10%以上)であるマーカータンパク質量調節用組成物。
【0117】
(5)上記(1)乃至(4)のいずれか1項において、前記細胞死マーカータンパク質がBcl−2であり、10ヶ月齢以上の加齢ラットに対して当該組成物を与えたときのBcl−2の発現量の増加率が、前記加齢ラットに対して当該組成物を与えないときのBcl−2の発現量の10%以上(好ましくは30%以上)であるマーカータンパク質量調節用組成物。
【0118】
(6)上記(1)乃至(5)のいずれか1項において、前記組成物は、さらに、加齢に伴って量的に変化する疾病マーカータンパク質についてその量的変化を小さくする方向に調節することを特徴とするマーカータンパク質量調節用組成物。
【0119】
(7)上記(6)において、前記疾病マーカータンパク質がHO−1であり、10ヶ月齢以上の加齢ラットに対して当該組成物を与えたときのHO−1の発現量の増加率が、前記加齢ラットに対して当該組成物を与えないときのHO−1の発現量の5%以上(好ましくは10%以上)であるマーカータンパク質量調節用組成物。
【0120】
(8)上記(6)または(7)において、前記疾病マーカータンパク質がiNOSであり、10ヶ月齢以上の加齢ラットに対して当該組成物を与えたときのiNOSの発現量の減少率が、前記加齢ラットに対して当該組成物を与えないときのiNOSの発現量の10%以上(好ましくは30%以上)であるマーカータンパク質量調節用組成物。
【0121】
(9)上記(6)乃至(8)のいずれか1項において、前記疾病マーカータンパク質がCOX−2であり、10ヶ月齢以上の加齢ラットに対して当該組成物を与えたときのCOX−2の発現量の減少率が、前記加齢ラットに対して当該組成物を与えないときのCOX−2の発現量の10%以上(好ましくは20%以上)であるマーカータンパク質量調節用組成物。
【0122】
(10)上記(1)乃至(9)のいずれか1項において、脂質代謝改善作用をさらに有することを特徴とするマーカータンパク質量調節用組成物。
【0123】
(11)上記(10)において、血清中のコレステロール値を減少させる作用をさらに有することを特徴とするマーカータンパク質量調節用組成物。
【0124】
(12)上記(10)または(11)において、肝組織中のコレステロール値を減少させる作用をさらに有することを特徴とするマーカータンパク質量調節用組成物。
【0125】
(13)上記(1)乃至(9)のいずれか1項において、チオバルビツール酸反応物質の値を減少させる作用をさらに有することを特徴とするマーカータンパク質量調節用組成物。
【0126】
(14)上記(1)乃至(13)のいずれか1項に記載のマーカータンパク質量調節用組成物を含有することを特徴とする飲食品、飼料、医薬部外品または医薬品。
【0127】
(15)アムラー抽出物を有効成分として含有する細胞死マーカータンパク質量調節用組成物を用いて、過度の細胞死発現を抑制する方法。
【0128】
(16)アムラー抽出物を有効成分として含有する細胞死マーカータンパク質量調節用組成物を用いて、過度の細胞死発現が関与する老化現象を予防する方法。
【0129】
(17)アムラー抽出物を有効成分として含有する細胞死マーカータンパク質量調節用組成物を生物に摂取させて、過度の細胞死発現が関与する老化現象及び疾病を予防する方法。
【0130】
(18)アムラー抽出物を有効成分として含有する細胞死マーカータンパク質量調節用組成物を非ヒト動物に摂取させて、過度の細胞死発現が関与する老化現象及び疾病を予防する方法。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】マーカータンパク質発現量比較試験の結果を示す表。
【図2】血清コレステロール値比較試験の結果を示す表。
【図3】肝組織コレステロール値比較試験の結果を示す表。
【図4】TBARS濃度比較試験の結果を示す表。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加齢に伴って量的に変化する細胞死マーカータンパク質についてその量的変化を小さくする方向に調節する組成物であって、アムラー抽出物を有効成分として含有するマーカータンパク質量調節用組成物。
【請求項2】
前記細胞死マーカータンパク質が、細胞内タンパク質であることを特徴とする請求項1に記載のマーカータンパク質量調節用組成物。
【請求項3】
前記細胞死マーカータンパク質が、ミトコンドリア外膜上にて機能するタンパク質であることを特徴とする請求項1または2に記載のマーカータンパク質量調節用組成物。
【請求項4】
前記細胞死マーカータンパク質が、BaxまたはBcl−2であることを特徴とする請求項3に記載のマーカータンパク質量調節用組成物。
【請求項5】
前記組成物は、さらに、加齢に伴って量的に変化する疾病マーカータンパク質についてその量的変化を小さくする方向に調節することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のマーカータンパク質量調節用組成物。
【請求項6】
前記疾病マーカータンパク質が、HO−1またはPPARαであることを特徴とする請求項5に記載のマーカータンパク質量調節用組成物。
【請求項7】
加齢に伴って量的に変化する細胞死マーカータンパク質であるBax及びBcl−2についてその量的変化を小さくする方向に調節するとともに、加齢に伴って量的に変化する疾病マーカータンパク質であるHO−1についてその量的変化を小さくする方向に調節する組成物であって、アムラー抽出物を有効成分として含有するマーカータンパク質量調節用組成物。
【請求項8】
加齢に伴って量的に変化する細胞死マーカータンパク質であるBax及びBcl−2についてその量的変化を小さくする方向に調節するとともに、加齢に伴って量的に変化する疾病マーカータンパク質であるHO−1及びPPARαについてその量的変化を小さくする方向に調節する組成物であって、アムラー抽出物を有効成分として含有するマーカータンパク質量調節用組成物。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載のマーカータンパク質量調節用組成物を含有することを特徴とする飲食品。
【請求項10】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載のマーカータンパク質量調節用組成物を含有することを特徴とする飼料。
【請求項11】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載のマーカータンパク質量調節用組成物を含有することを特徴とする医薬部外品。
【請求項12】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載のマーカータンパク質量調節用組成物を含有することを特徴とする医薬品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−39386(P2007−39386A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−226038(P2005−226038)
【出願日】平成17年8月3日(2005.8.3)
【出願人】(000204181)太陽化学株式会社 (244)
【Fターム(参考)】