説明

ミエリン形成を増加させるための、MMP28阻害剤の使用

本発明は、ミエリン形成を増加させるための、MMP28阻害剤(例えば抗MMP28抗体)の使用に関する。本発明の方法は、脱髄又は不十分なミエリン形成疾患、障害又は症状を有する患者にMMP28阻害剤を投与することにより行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、末梢神経系及び中枢神経系のミエリン形成を増加させるためのMMP28阻害剤の使用に関する。本発明の方法は、脱髄又は不十分なミエリン形成による障害、疾患又は症状に罹患する患者に、MMP28阻害剤(例えば抗MMP28抗体)を投与することにより達成される。
【背景技術】
【0002】
ミエリン(脂質及びタンパク質リッチな物質)は、脊椎動物の中枢神経系(CNS)及び末梢神経系(PNS)の双方の多くのニューロンの軸索を囲み、それによりミエリン鞘を形成する。ミエリンは、軸索周辺の絶縁物質として機能し、軸索に沿った神経インパルスの効果的な伝導を促進する機能を果たす。
【0003】
脱髄とは、ミエリン鞘を囲んでいる軸索の正味の分解又は破壊であり、それによりシグナルの混乱が生じる。CNS脱髄は、多発性硬化症、癲癇、横脊髄炎、慢性炎症性脱髄性多発神経障害及び副腎脳白質ジストロフィー(ALD)など、特定の神経変性疾患において特徴的にみられる。CNS脱髄はまた、特定の毒素(例えば重金属、金属キレート剤、タキソール、スラミン及びリゾレシチン)への暴露、又は特定のウイルス(例えばHIV及びヘルペスウイルス)又はミコバクテリウム(らい菌)への感染の結果、生じうる。自閉症、注意力欠陥/活動亢進障害、統合失調症、双極性障害、鬱状態及びアルツハイマー疾患などの特定の精神障害は、CNSにおける不十分なミエリン形成又は脱髄に関係している。
【0004】
PNS脱髄は、多くの疾患、障害又は症状に関連している(糖尿病性神経障害、ギラン−バレー病(急性脱髄性多発神経炎)、慢性炎症性脱髄多発神経根筋障害(CIPD)及びHIV炎症性脱髄性疾患など)。物理的な外傷による軸索損傷もまた、PNS及びCNSの脱髄を生じさせうる。
【0005】
脱髄又は不十分なミエリン形成、疾患、障害又は症状が、世界的に何百万もの人々に影響を及ぼしているにもかかわらず、その治療は限られている。例えば、幾つかのタイプの治療(主に免疫系抑制剤)が、多発性硬化症の治療にとり有用であることが解っているが、それらは数的にも、有効性においても、また場合によっては毒性効果により、制限されている。特定の脱髄疾患(例えばALD)では、食事を制限することによって、限られた範囲で治療が成功したが、この方法は、疾患徴候の発症前に使用される場合に最適である。特定のタイプの脱髄疾患(例えば白質萎縮症)の場合、骨髄移植によって進行を遅延させることができるが、その疾患は主に対症療法的に治療される。
【0006】
マトリックス・メタロプロテイナーゼ(MMP)は、幾つかの細胞表面及び細胞周囲タンパク質と同様に、細胞外マトリックス(ECM)成分を分解できるエンドペプチターゼのファミリーの一部を構成する。MMPはまた、成長の間、及び成人期における多くのプロセス、特にECMのリモデリングのプロセスを調整する。MMPは幾つかの共通の構造的特徴を共有し、ECMに関連する機能を一般に有するにもかかわらず、それらは別個の機能を果たす。MMP28(またエピライシンとも呼ばれる)は、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)ファミリーの最新のメンバーである。国際公開第02/20739号パンフレット(特許文献1)は、別の2つの形態のMMP28をコードする核酸分子を開示している。MMP28の機能はよくわかっていないが、特定の細胞タイプにおけるMMP28増加が、損傷の修復、骨関節炎及びある種の癌などの幾つかの疾患状態と関連している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第02/20739号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
CNS及び/又はPNSにおける脱髄又は不十分なミエリン形成を特徴とする疾患、障害又は症状に対するさらなる治療法に対する切実なニーズが存在する。ミエリン形成を促進するための治療は、現在限られている。本願では、MMP28阻害剤(特に抗MMP28抗体)がミエリン形成を増加させ、それにより、多くの困難な神経系疾患、障害又は症状の治療に使用できるという、予想外の発見に関して記載する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、MMP28がミエリンを分解させ、またMMP28の阻害剤がCNS及びPNSにおけるミエリン形成を増加させるという発見に関する。かかる阻害剤としては、例えば抗MMP28抗体、小分子、ペプチド、リボザイム又はアンチセンス分子などが挙げられる。
【0010】
したがって、本発明は、ヒトの患者におけるミエリン形成を増加させるための医薬の製造における、MMP28阻害剤(例えば抗MMP28抗体、小分子、ペプチド、リボザイム又はアンチセンス分子)の使用に関する。一態様では、本発明は、ヒトの患者におけるミエリン形成を増加させるための医薬の製造における、抗MMP28抗体の使用に関する。
【0011】
本発明は、糖尿病性神経障害、急性脱髄性多発神経障害、慢性炎症性脱髄性多発神経根筋障害、HIV炎症性脱髄性疾患、ヘルペスウイルス感染、ハンセン病、物理的外傷による軸索損傷又は軸索損傷による痛覚増加の治療用医薬の製造における、MMP28阻害剤(好ましくは抗MMP28抗体)の使用を包含する。
【0012】
本発明は更に、多発性硬化症、白質萎縮症、シャルコー・マリー・トゥース病又は脊髄損傷の治療用医薬の製造における、MMP28阻害剤(好ましくは抗MMP28抗体)の使用を包含する。
【0013】
本発明はまた、アルツハイマー疾患、統合失調症、うつ病、双極性障害又は注意欠如多動性障害の治療用の医薬の製造における、MMP28阻害剤(好ましくは抗MMP28抗体)の使用を包含する。
【0014】
本発明の一態様は、ヒトの患者に有効量のMMP28阻害剤(好ましくは抗MMP28抗体)を投与することを含んでなる、ミエリン形成の増加により恩恵を受ける、疾患、障害又は症状を有するヒトの患者においてミエリン形成を増加させる方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1Aは全長のヒトプロMMP28タンパク質(配列番号1)のアミノ酸配列を示す。活性型MMP28を生成するために除去される配列が下線で示されている。メタロプロテアーゼ活性部位(アミノ酸240−250)を太字で示す。フューリン(furin)切断部位はアミノ酸118−122の範囲である。図1Bは活性型のヒトMMP28のアミノ酸配列を示す(配列番号7)。
【図2】ツメガエル(X)(配列番号4)、ヒト(H)(配列番号1)、マウス(M)(配列番号5)、ラット(R)(配列番号6)の全長プロMMP28タンパク質のアミノ酸配列、並びにX、H、M及びRにおける共通のアミノ酸配列(C)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、MMP28タンパク質が特定のミエリン付随タンパク質を分解させ、またMMP28の阻害剤、特に抗MMP28抗体が、CNS及びPNSにおいてミエリン形成を増加させるという発見に基づく。
【0017】
「MMP28」とは、特に明記しない限り活性型のMMP28タンパク質を指す。活性型のヒトMMP28タンパク質(全長型のフューリン切断によって生じる)は、配列番号7に示されるアミノ酸配列を有する。全長型のヒトMMP28は、配列番号1に示すアミノ酸配列を有する。プロペプチド領域(図1Aの下線部)は、フューリンによる切断により除去され、活性型のタンパク質が生成する。
【0018】
本明細書で用いられる用語「患者」とは、哺乳動物(好ましくはヒト)を指す。特定の態様では、当該患者は更に、CNS又はPNSにおけるミエリン形成の増加により恩恵を受けるような、疾患、障害又は症状を有することを特徴とする。
【0019】
「脱髄」とは、既存のミエリンの正味の分解又は破壊を指す。
【0020】
「不十分なミエリン形成」とは、ミエリンの通常の活性を機能させるのに充分な程の、軸索を囲むミエリンが存在しないことを指す。
【0021】
「ミエリン形成の増加」の効果を有する薬剤は、患者への当該薬剤の投与の後、軸索に付随するミエリンの正味の量を増加させる。軸索と関連するミエリンの量は、公知技術の方法(例えば磁気共鳴映像法、特に拡散テンソルイメージング)により測定することができる。
【0022】
本明細書で用いられる用語「抗体」(抗MMP28抗体に関連する)とは、MMP28(好ましくはヒトMMP28)と結合する、モノクローナル若しくはポリクローナル抗体のことを指す。本明細書の用語「モノクローナル抗体」とは、キメラ抗体、ヒト化抗体又はヒト抗体を指す。「モノクローナル抗体」とは、単一のコピー又はクローンに由来する抗体(例えば原核生物、真核生物又はファージのクローン)のことを指し、それを得るための方法を指すものではない。
【0023】
本明細書で用いられる「抗体」は、(i)完全抗体(2つの全長の軽鎖及び2つの全長の重鎖を含む)、(ii)抗原結合部を含んでなる抗体断片(例えばFab、Fab’又はF(ab’))、又は、(iii)リンカー配列と共に軽鎖可変領域(LCVR)及び重鎖可変領域(HCVR)をコードするDNAを結合することによって得られる、単鎖Fv断片、であってもよい(Pluckthun、Monoclonal Antibodies、第113巻、Rosenburg及びMoore編、Pharmacology、Springer−Verlag,New York,p269−315,1994を参照)。抗原結合断片が特定されているか否かに関係なく、特に明記しない限り、本明細書で用いられる用語「抗体」とは、かかる断片並びに単鎖形態のものを含むものと理解される。抗体タンパク質がMMP28との結合能力を保持する限り、それは本明細書で用いられる用語「抗体」又は「抗MMP28抗体」の範囲に含まれる。
【0024】
本明細書で使用される「ヒト化抗体」という用語は、少なくとも1つの部分がヒト起源である抗体を意味する。例えば、ヒト化抗体はヒト以外の起源(例えばマウス)の抗体に由来する部分、及びヒト起源の抗体に由来する部分を含んでもよい。
【0025】
ヒト化抗体を調製するための、当該技術分野で利用できる様々な方法が存在する。例えば、ヒト化抗体は、MMP28と結合する親抗体(例えばマウス抗体又はハイブリドーマによって得られる抗体)のHCVR及びLCVRをコードする核酸配列を得るステップと、前記HCVR及びLCVRのCDRs(非ヒト)を同定するステップと、かかるCDRをコードする核酸配列を、選択されたヒトフレームワークをコードする核酸配列に融合させるステップと、により調製してもよい。任意に、フレームワーク領域にCDR領域をグラフティングする前に、ランダムに又は特定の部位で突然変異を生じさせ、CDR中の1つ以上のアミノ酸を異なるアミノ酸で置換することにより、CDR領域を最適化してもよい。あるいは、ヒトフレームワーク領域への挿入の後に、当業者に公知の方法を使用してCDR領域を最適化してもよい。
【0026】
マウス抗体のヒト化に関係する方法として、例えばQueenら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:2869,1991、Winter及び共同研究者の方法(Jonesら、Nature,321:522(1986))、Riechmannらの方法(Nature,332:323−327(1988))、及びVerhoeyenらの方法(Science,239:1534(1988))などの文献に記載の方法を更に使用してもよい。
【0027】
ヒト抗体とは、抗原感作に応答して特異的なヒト抗体を産生するために設計されたトランスジェニックマウスから得られる抗体である。完全なヒト抗体を産生するための1つの方法として、XENOMOUSE(商標)のマウスの系統(それらのゲノム内にヒト重鎖及び軽鎖の遺伝子が含まれるように設計されている)を用いることが挙げられる(Mendezら、Nature Genetics 15:146−157,1997などを参照)。XENOMOUSE(商標)の系統は、Abgenix社から入手可能である。
【0028】
本発明は、患者のミエリン形成を増加させるための医薬の製造のための、抗MMP28抗体の使用に関する。好ましくは、上記患者はヒトである。
【0029】
好ましい態様では、抗MMP28抗体はモノクローナル抗体(より好ましくはヒトモノクローナル抗体又はヒト化モノクローナル抗体)である。他の好ましい態様では、抗MMP28抗体は配列番号2又は配列番号3に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドと結合する。
【0030】
一態様では、MMP28阻害剤(好ましくは抗MMP28抗体)は、患者に投与することにより、CNSのミエリン形成を増加させることができる。好ましくは、上記患者は、CNSにおける脱髄又は不十分なミエリン形成により特徴づけられる疾患、障害又は症状を有するヒトの患者である。かかるCNSにおける疾患、障害又は症状としては、限定されないが多発性硬化症、癲癇、白質萎縮症、シャルコー・マリー・トゥース病及び脊髄損傷が挙げられる。白質萎縮症はほとんどが遺伝性の障害であり、例えば副腎脳白質ジストロフィー、異染性白質ジストロフフィー、クラッベ病、ペリツェウス・メルツバッハ病、中枢低ミエリン形成を伴う小児期運動失調、カナバン病、アレキサンダー病、レフサム病及び脳腱黄色腫症などが挙げられる。更に、特定の精神状態又は障害(例えばアルツハイマー疾患、統合失調症、うつ病、双極性障害及び注意欠如多動性障害)が、不十分なミエリン形成及び/又は脱髄によって特徴づけられるという証拠が多く得られている。患者(好ましくは上述した疾患、障害又は症状のうちの少なくとも1つを有するヒトの患者)のCNSにおけるミエリン形成を増加させるための医薬の製造のための、抗MMP28抗体の使用が本発明に包含される。
【0031】
一態様では、MMP28阻害剤(好ましくは抗MMP28抗体)は、患者に投与されることにより、PNSにおけるミエリン形成を増加させることができる。好ましくは、上記患者は、PNSにおける脱髄又は不十分なミエリン形成によって特徴づけられる疾患、障害又は症状を有するヒトの患者である。かかる疾患、障害又は症状としては、糖尿病性神経障害、ギラン・バレー病(また急性脱髄性多発神経障害とも呼ばれる)、慢性炎症性脱髄性多発神経根筋障害(CIPD)、HIV炎症性脱髄性疾患、ヘルペスウイルス感染、物理的外傷による軸索損傷(例えばウォーラー変性)、ハンセン病、及び軸索損害による痛覚の増加などが挙げられる。患者、好ましくは上述した疾患、障害又は症状のうちの少なくとも1つを有するヒトの患者のPNSにおけるミエリン形成を増加させるための医薬の製造のための、抗MMP28抗体の使用が本発明に包含される。
【0032】
本発明の好ましい態様では、抗MMP28抗体を含んでなる医薬組成物を、ミエリン形成を増加させるために、患者に、有効量で投与する。好ましくは、上記医薬組成物は、同質のまたは実質的に同質の抗MMP28抗体の集団と、薬理学的に許容できる担体又は希釈剤と、を含んでなる。本明細書で用いられる用語「薬理学的に許容できる担体」とは、活性薬剤のための、非毒性の、一般的に不活性なビヒクルのことを意味し、それは該薬剤、又は上記組成物が投与される患者に対して悪影響を与えない。適切なビヒクル又は担体は、例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences,16th ed.Mack Publishing Co.,Easton,PA(1980)に記載されている。かかる担体としては、例えば水溶液(例えばバッファ及び生理的食塩水)が挙げられる。更に、上記担体は、製剤のpH、浸透性、粘性、透明性、着色性、無菌性、安定性又は溶解速度を改変若しくは維持するための、他の薬理学的に許容できる賦形剤を含有してもよい。
【0033】
医薬組成物は、製造条件下、及び提供される容器(例えば密封されたバイアル、シリンジ又は他の送給装置(例えばペン))中での保存条件下で、無菌及び安定でなければならない。したがって、医薬組成物は、製剤化した後にフィルターで滅菌してもよく、又はさもなければ微生物学的に許容できるようにするのが好ましい。
【0034】
抗MMP28抗体を含有する医薬組成物を投与する方法は、静脈内投与、皮下投与、頭蓋内投与、クモ膜下腔内投与、頭蓋内投与若しくは筋肉内投与であってもよい。多発性硬化症などの特定の疾患では、静脈ルートによる抗体の送達を促進する血液脳関門の破綻が生じうる。破綻していない血液脳関門を特徴とする他の疾患、障害又は症状の場合、薬理学的製剤を投与する好適な手段は、カテーテル及びポンプを用いて直接頭蓋内脳室注入を経て脳に注入することである。
【0035】
「有効量」とは、投与を受けた患者のCNS及び/又はPNSにおいてミエリン形成を増加させるのに必要な量(投与量、投与期間及び投与手段)を指す。抗MMP28抗体の有効量は、例えば疾患の段階、年齢、性別、個人の体重、投与手段及び個人において所望の反応を誘発する抗体の能力などの要因に応じて適宜変化させることができる。また有効量とは、上記治療的に有益な効果が、抗体による毒性効果若しくは有害なあらゆる効果を上回るときの量のことである。
【0036】
有効量とは、少なくとも治療効果を患者に与えるのに必要な最小の投与量であり、かつ、毒性量より少ない投与量のことである。換言すると、抗MMP28抗体の有効量は、好ましくはヒトにおいて、(i)PNSにおいてミエリン形成を増加させ、及び/又は、(ii)CNSにおいてミエリン形成を増加させる、量のことである。
【0037】
医学の分野で周知のように、患者への投与量は、患者の体のサイズ、体表面積、年齢、投与される具体的な化合物、性別、投与時間及び経路、投与の頻度、健康状態及び並行して投与される他の薬剤、などの多くの要因に依存する。更に投与量は、疾患の種類及び重篤度に応じて変化させてもよい。典型的な投与量は、例えば0.001〜1000mgの範囲であってもよいが、特に上記の要因を考慮して、この典型的な範囲以下又は以上の投与量となってもよい。毎週の非経口投与レジメは、総体重に対して約0.1μg/kg〜約20mg/kg、好ましくは約0.3μg/kg〜約10mg/kgであってもよい。定期的な評価を行うことにより進行をモニターしてもよく、またそれに従い投与量を調整してもよい。
【0038】
示唆されたこれらの抗体の量は、多くの場合、医師の裁量の範囲内で決定される。適当な投与量及びスケジューリングを選択する際の鍵となる要因は、得られる結果である。この場合に考慮される要因としては、治療しようとする具体的な障害、個々の患者の治療条件、障害の原因、抗体を送達する部位、抗体の具体的なタイプ、投与方法、投与レジメ及び医師にとり公知の他の要因が挙げられる。
【0039】
CNS及びPNSにおいて発現されるMMP28
MMP28の空間的−時間的局在化を、発生中のマウス胚を用いて評価した。全胚の断片を、胎児日齢10(E10)〜E17まで毎日固定し、MMP28タンパク質に関して染色した。標準的な免疫組織化学的な方法を使用した結果、MMP28タンパク質の濃度及び局在化状態が、発生段階に応じて変化することが解った。Cedarlane Labs社製のCL2MMP−28を抗MMP28抗体として使用した。二次的抗体及びペルオキシダーゼ標識化は、ベクタステインABCキット(Vector社製)に従って実施した。
【0040】
E10〜E12において、MMP28発現は、胚全体にわたって少なかった。E13から、MMP28発現が増加し、発生中の脊髄において最も強い染色が見られた。E13では、四肢の神経におけるMMP28発現は未だ見られなかった。E14では、神経系全体にわたってMMP28の発現が劇的に増加した。後期の発生段階(E15〜E17)の間において、神経に関連するMMP28は減少したが、CNS全体にわたっては依然として検出可能であった。神経系におけるMMP28の発現が、CNS及びPNSにおいて見られた。身体全体の神経と同様に、四肢内の神経では、E14において、MMP28が発現することが明らかとなった。MMP28は、CNS内では、脳及び脊髄において強く発現された。また脳神経がMMP28を発現することも解った。また、免疫蛍光顕微鏡及び共焦顕微鏡により検出した結果、MMP28が12週齢のマウスの脊髄において発現されることも解った。
【0041】
MMP28による、特定のミエリン付随タンパク質の分解
神経細胞外環境でのMMP28切断活性から得られるポリペプチドを同定した。ツメガエル属MMP28(XMMP28)と哺乳類MMP28との間の保存された発現パターン、及びアミノ酸配列レベルの類似性(図2を参照)から、ツメガエル属MMP28及び哺乳類のMMP28は、同じ若しくは類似する基質を切断すると考えられる。全長のXMMP28は、全長のヒトMMP28と56%同一であり、また全長のマウスMMP28と55%同一である。XMMP28は、その哺乳類の対応物と同様に、シグナル配列、及び抑制性システインスイッチを含むプロドメイン、並びにそれに続く触媒ドメイン及びC末端のヘモペキシン様ドメインからなる。ツメガエル属、マウス及びヒトMMP28全体のホモロジーは、推定の機能領域の中で最も高い:触媒ドメイン(65%同一性)、抑制性システインスイッチ(85%同一性)及びフューリン切断シグナル(100%同一性)。
【0042】
ツメガエル属MMP28(XMMP28、配列番号4)を、37℃で24時間、ロングエバンスラットのE17脳由来の組織と共に、プロテアーゼバッファ(50mMのHEPES(pH7.0)、10mMのCaCl、0.05%のBrij−35及び10μM ZnCl)中でインキュベートした。脳消化物を次に、3kDaフィルタを通して遠心分離し、残渣及び大分子のタンパク質を除去した。フロースルー中に入る小分子ペプチドをトリプシンで処理してペプチドのサイズを減少させ、次に液体クロマトグラフィによりペプチドを分離し、更にそれに続くペプチド質量分析でXMMP28分解の後に生じるペプチドを同定した。ミエリンの成分であるNogo−A(主にCNS発現と関連する)(RGSGSVDETLFALPAASEPVIPSSAEKI、配列番号9)、及びCNS及びPNSの両方において発現される神経細胞接着分子(すなわちNCAM−1)(KSEPQESEAKPAPTEVKT、配列番号8)に対応するペプチドの分解産物は、XMMP28で処理されたサンプルにおいて特異的に同定されたが、酵素を含まないコントロールサンプルではそれは失われたか又は相対的に低い発見量であった。
【0043】
これらのXMMP28/脳消化物中のミエリン付随タンパク質Nogo−A、NCAM−1、ミエリン塩基性タンパク質、プロテオリピドタンパク質及びミエリン付随グリコプロテイン(すなわちMAG)のウエスタンブロット分析を実施し、XMMP28とのインキュベートによりこれらのタンパク質の分解が生じるか否かを解析した。NCAM−1及びMAGと同様に、全長Nogo−Aタンパク質は、XMMP28処理された脳サンプルにおいて減少していた。分解は、特定のミエリンタンパク質に限られていた。ミエリン塩基性タンパク質及びPLPは、このアッセイにおいてサイズが減少しなかった。したがって、MMP28はNogo−A、NCAM−1及びMAGを切断する。
【0044】
MMP28ポリクローナル抗体の生成
2つの異なるペプチド(i)FAKQGNKWYKQHLSYRL(配列番号2)及び(ii)KRLGRDALLSW(配列番号3)に対するポリクローナル抗体を、ウサギ体内で産生させた。これらのペプチドは、ヒトMMP28中には存在するが、他の周知のヒトタンパク質(他のあらゆるヒトMMPタンパク質も含む)には存在しない。したがって、これらのペプチドにより産生される抗体は、他のいかなるMMPタンパク質とも結合するとは考えられない。配列番号2のペプチドは、配列番号1の全長ヒトMMP28のアミノ酸123−139にわたるものである。配列番号3のペプチドは、配列番号1の全長ヒトMMP28のアミノ酸263−273にわたるものである。SWISS−Modelを使用したヒトMMP28構造のコンピュータモデルによる予測によると、これらの2つのペプチドは、ヒトMMP28タンパク質の表面に存在し、メタロプロテアーゼ活性部位の反対側に位置する。
【0045】
各々のペプチドを合成し、KLHとコンジュゲートさせ、標準的な免疫方法を使用してウサギに注射した。免疫化したウサギの血清中に得られるMMP28抗体を、標準的な親和性クロマトグラフィ技術を使用して、得られるペプチドに対するアフィニティ精製に供した。2回目の抗体精製を、Ab Spin Trapカラム(GE Healthcare Lifesciences社製)中で、プロテインGセファロースを使用して実施した。抗体を、800μLの0.1mMのグリシン(pH2.5)で溶出させ、60μLの1Mトリス−HCl(pH9.0)で中和した。精製された抗体の濃度を分光光度計で測定した結果、260nMであった。
【0046】
ウサギにより生成された抗体(AB183及びAB180)は、ウエスタンブロット分析により示されるとおり、精製ヒトMMP28とは結合したが、ヒトMMP2とは結合しなかった。AB183は、配列番号2に示される配列を基に産生され、またその配列のポリペプチドと結合し、各々独立に、ヒトMMP28タンパク質の範囲内に包含される。AB180は、配列番号3に示される配列を基に産生され、またその配列のポリペプチドと結合し、各々独立に、ヒトMMP28タンパク質の範囲内に包含される。
【実施例】
【0047】
以下の実施例は、単に説明を目的として記載するものであって、本発明の範囲を限定することを目的とするものではない。
【0048】
実施例1:AB183及びAB180は in vitro でMMP28活性を阻害する
このアッセイは、ペプチド基質に対する精製ヒトMMP28タンパク質(全長型及び活性化型の混合物)の活性、並びに抗MMP28抗体(AB183及びAB180)のMMP28活性を調整する能力を測定するものである。精製MMP28を蛍光生成pan−MMP基質とインキュベートした後、蛍光の増加を測定した。ヒトMMP2を、陽性コントロールとして使用した。OMNI−MMP(商標)(大部分のMMPsに対する、十分にクエンチされた蛍光生成ペプチド基質(Biomol社製、Plymouth Meeting、PA))を、20mMにDMSO中で希釈した後、これらのアッセイに使用した。
【0049】
試験に供するMMPタンパク質(すなわちMMP28又はMMP2)を、2回精製したAB180又はAB183の有りまたは無しで、最終的に50μLの体積になるように水と混合し、MMPタンパク質を20nM、抗体を60nM若しくは10nMの濃度とした。MMP/AB混合物を、一定に振とうしながら37℃で1時間インキュベートした。次に蛍光生成ペプチド基質を、10×プロテアーゼ アッセイバッファと共に、MMP/AB混合物に10μMの最終濃度となるように添加し、最終的な100μLの反応液を、50mMのHEPES(pH7.0)、10mMのCaCl、0.05%のBrij−35及び10μM ZnClの組成とした。反応は、アルミホイルでおおわれた黒い96穴プレートにおいて実施し、37℃で24時間にわたりインキュベートした。次に、1秒/ウェルで、340nm励起・405nm放出で蛍光測定した。
【0050】
MMP28は、0nM〜80nMで試験したとき、単独で、投与量依存的に基質を切断した。同様の結果が、MMP2単独の場合でも得られた。5nM(100μL反応液中)の最終濃度のAB180により、基質のMMP28による切断が約66%阻害され、一方、30nMの最終濃度のAB180により、基質のMMP28による切断が約98%阻害され、それらが蛍光の減弱として反映された。5nMの最終濃度のAB183により、基質のMMP28による切断が約60%阻害され、一方、30nMの最終濃度のAB183により、基質のMMP28による切断が約69%阻害された。両方の抗体の使用により、10nMのMMP28単独使用の場合と比較し、顕著に基質の切断を減少させた(p=<0.05)。AB180又はAB183をMMP2と共に使用したとき、基質の切断の検出可能な阻害が観察されなかった。
【0051】
実施例2:MMP28阻害剤(AB180及びAB183)はミエリン形成を増加させる
ミエリン形成している後根神経節(DRG)の培養組織を、Svenningsen、A.その他、J.Neurosci Res.72:565−573(2003)に記載の方法に従い確立した。妊娠したロングエバンスマウスから、妊娠17日目で胚を分離し、冷却したL15培地に置いた。後根神経節を脊椎から取り除き、60mmのシャーレ中の2mlのL15培地中に置き、37℃で15分間、0.25%のトリプシンで処理した。ピペットの先端を使用して細胞を分離させ、顕微鏡検査により分離を観察した。細胞を次に、3回、10%のウシ胎児血清を有するL15培地で洗浄し、100ng/mlの神経成長因子(NGF)及び2%のB27サプリメント(成長培地)を有するNeuralbasal培地(Invitrogen社製、21103)中に再懸濁した。細胞を4日間増殖させ(5%のCO中、37℃)、新鮮な成長培地(アスコルビン酸を50μg/ml含む)を次に添加し、ミエリン形成を開始させ、2〜3日毎に培地を交換した。
【0052】
これらの実験において、軸索関連のミエリン付随糖タンパク質(MAG)を、初期のミエリン形成(Owens及びBunge(Glia2):119−128、1989)のバイオマーカーとして使用した。MMP28及びMAGの神経における発現を、抗MAG抗体(Chemicon社製)又は抗MMP28抗体(Cederlane社製)を用いた、標準的な免疫組織化学技術によりモニターした。ミエリン形成の開始前、並びにミエリン形成の開始後1日及び3日において、DRG培養組織(膠細胞(すなわちミエリン生成シュワン細胞)又は軸索)における検出可能なMAGが見られなかった。しかしながら、軸索において、観察可能なMMP28のベースラインレベルが存在した。MMP28は、膠細胞において全く観察されなかった。ミエリン形成の開始の6日後に、ミエリン形成の初期段階が、膠細胞中のMAGの存在(特に神経−膠細胞が相互作用する幾つかの部位に沿って)として検出できた。この成長段階で、MMP28レベルは顕著に低下しなかった。ミエリン形成の開始の14日後に、MAGの軸索における凝集及びMMP28レベルの実質的な減少が見られた。したがって、ミエリン形成が進行しないとき、MMP28レベルはベースラインに留まり、またMAGは検知不能なレベルであるが、ミエリン形成が進行する(すなわちミエリン形成が増加する)とき、MMP28レベルは減少し、MAGレベルは増加する。
【0053】
6日目における、30nMの濃度での培養組織へのAB180又はAB183の添加により、軸索関連MAGの増加が生じ、それは24時間後に、免疫組織化学染色により観察することができる。AB180及びAB183の効果は、処理された及び未処理のウェル中の、MAG染色で陽性の軸索束の数を計数することによって定量化できる。7日目において、合計6つのウェル中の軸索束の数(抗体処理の有無において)を合計した。得られる数値を下記の表1に示す。これらのデータは、MMP28抗体が、軸索関連ミエリンの形成を著しく強化することを証明するものである(p=<0.05)。このアッセイを用いることにより、あらゆる候補MMP28阻害剤を試験することができる。
【0054】
【表1】

【0055】
実施例3:in vivoクプリゾンアッセイ
マウスに、3〜13週間にわたり、食餌中に0.2%のクプリゾンを添加して摂取させた。この毒素の使用により、脳梁及び脊髄などの、脳内のミエリン形成が高度になされる領域において脱髄がなされる(Matsushima GKら、Brain Pathol 2001;11:107Y16)。脱髄の検出は、脳梁のMRI又は組織学的解析により実施できる。クプリゾンを食餌から除去したときに再ミエリン形成がなされ、また短い期間処理されたマウスにおいては、より高いミエリン形成が見られた。ミエリン形成の強化を、放射線学的評価並びに組織学的評価によって、この再ミエリン形成期間に評価した。腹腔内注射によって抗体処理を行った。特にMMP28と結合する抗体が、再ミエリン形成を強化又はミエリン形成を促進すると考えられた。
【0056】
実施例4:MS病変におけるMMP28発現
A.ヒトの脳病変
この実施例は、通常の脳組織と比較して、多発性硬化症(MS)に罹患するヒト患者のヒト脳病変では、MMP28タンパク質濃度が高くなることを示すものである。ヒトMS患者(Biomax社製、Ijamsville、MD)由来の5μmの冷凍小脳組織切片を室温に解凍し、56℃で16時間、0.1%のLuxolファストブルー溶液(0.1gのLuxolファストブルー(Acros社製)、0.5mlの酢酸、95%エタノールで100mlに調製)中に置いた。スライドを次にLuxolファストブルーから取り出し、95%エタノールで洗浄し、蒸留・脱イオン水(ddHO)でリンスし、30秒間、0.05%の炭酸リチウム(Acros社製)で分化(differentiate)させた。分化させた後、スライドを更にddHOでリンスし、顕微鏡で観察し、白質の分化を確認した。スライドを更に、40秒間、0.1%のCresyl echt violet(American Master Tech Scientific社製)中でインキュベートし、核及び灰白質を対比染色した。過剰なCresyl echt violetを、ddHOを用いてスライドから除去した。スライドを、5分間の95%エタノール処理、次に100%エタノール及びキシレンで順次脱水処理することによって識別した。Permountを使用して、カバーグラスの下に上記断片を永久的に固定した。倒立顕微鏡を使用して、顕微鏡検査法により組織を分析した。MS病変内におけるタンパク質発現の変化を同定するため、MMP−28(Cerderlane社製)及びMAG(Chemicon社製)と反応する抗体を用いた標準的な技術による免疫組織化学的な解析を実施した。核を、DAPI(4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール、Sigma社製)により対比染色した。
【0057】
多発性硬化症患者から得た小脳病変において、上記の染色を実施し、ミエリン形成が減少した病変を、Luxolブルー染色によって同定した。より詳細なLuxolブルー染色により証明されるように、これらの領域は、ミエリン形成がなされ、通常のミエリン形成された組織によって囲まれている小脳領域であると考えられた。ミエリンの減少を確認するため、更に、ミエリンタンパク質であるミエリン付随糖タンパク質(MAG)に関して、連続する次の断面で免疫組織化学を実施した。予想通り、Luxolブルー染色によって通常どおり同定される領域でMAGタンパク質が強く発現され、通常のミエリン形成が示された。同定されたMS病変の境界内部においては、MAG染色は実質的に減少していた。MMP−28に対する免疫組織化学を、同じ断面において実施した。小脳の通常の領域全体にわたり、軸索関連のMMP−28染色は同定されなかったが、MS病変の全体にわたっては、MMP−28に関する染色で陽性を示した軸索であると形態学的に推定される多数の構造が見られた。MAG染色については、これらの構造との共局在化は見られなかった。これらの結果は、通常のミエリン化小脳におけるMMP−28の発現が顕著なレベルではなかったが、脱ミエリン化領域では、MMP−28が発現している脱ミエリン化軸索が存在することを示した。
【0058】
B.EAEモデル脊髄病変
EAEとは、ヒトのMSモデルとして有用な、CDR+T細胞媒介性の中枢神経系の脱髄疾患である。ヒトMS患者の脊髄病変について記載している最近のレビューでは、かかる病変が疾患症状と顕著に相関することを強調している(Edwardsら、Expert Review of Neurotherapeutics 7:1203−1211,2007)。氷上での超音波処理によりCFA中でH37 RA/PBS(1:1)と共に乳化させた2.5mg/mlのH37 RA粉末(5mg/ml、Difco#231141)及び1.5mg/mlのMOG35−55(ミエリン乏突起神経膠細胞糖タンパク、Peptide International社製、PMG−3660−PI)を含有するフロイント完全アジュバント(CFA)200μLを用いて、約8週齢の雌のC57BL/6マウスに対し、0日目及び7日目に右側腹部の皮下に免疫して疾患を誘導した。百日咳毒素(2.5μg/mlの200μL)を、0日目に第1次免疫として、更に第1次免疫後48時間に再び投与した。
【0059】
病態を進行させ、免疫の4週間後(動物の運動制御機能が低下する時期)にマウスを安楽死させた。安楽死の際に脊髄を摘出し、長手方向の脊髄断片を、抗MAG抗体(Chemicon社製)及び抗MMP28抗体(Cederlane社製)を用いて、標準的な免疫組織化学法を使用して染色した。EAEマウスの脊髄内の軸索ではMMP28が発現しており、またこのMMP28発現は、薄いMAGで囲まれているか又はMAGで囲まれていない軸索中で見られた。MMP−28陽性の軸索は、正常なマウスの脊髄では同定されなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトの患者のミエリン形成を増加させるための医薬の製造における、MMP28阻害剤の使用。
【請求項2】
ヒトの患者のミエリン形成を増加させるための医薬の製造における、抗MMP28抗体の使用。
【請求項3】
前記ミエリン形成の増加が、末梢神経系内で生じる、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
前記ミエリン形成の増加が、中枢神経系内で生じる、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項5】
糖尿病性神経障害、急性脱髄性多発性神経障害、慢性炎症性脱髄性多発性神経根筋障害、HIV炎症性脱髄性疾患、ヘルペスウイルス感染、ハンセン病、物理的外傷による軸索損傷、又は軸索損傷による痛感の増加を治療するための医薬の製造における、MMP28阻害剤の使用。
【請求項6】
多発性硬化症、白質萎縮症、シャルコー・マリー・トゥース病又は脊髄損傷を治療するための医薬の製造における、MMP28阻害剤の使用。
【請求項7】
アルツハイマー疾患、統合失調症、うつ病、双極性障害又は注意欠如多動性障害を治療するための医薬の製造における、MMP28阻害剤の使用。
【請求項8】
前記阻害剤が、抗MMP28抗体である、請求項5から7のいずれか1項に記載の使用。
【請求項9】
前記抗体がモノクローナル抗体である、請求項2、3、4又は8に記載の使用。
【請求項10】
前記抗体がヒト抗体である、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
前記抗体がヒト化抗体である、請求項9に記載の使用。
【請求項12】
前記抗体がキメラ抗体である、請求項9に記載の使用。
【請求項13】
前記抗体が、配列番号2又は配列番号3に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドと結合する、請求項2から4及び請求項8から12のいずれか1に項記載の使用。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【公表番号】特表2010−524949(P2010−524949A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504156(P2010−504156)
【出願日】平成20年4月4日(2008.4.4)
【国際出願番号】PCT/US2008/059335
【国際公開番号】WO2008/130814
【国際公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(594197872)イーライ リリー アンド カンパニー (301)
【Fターム(参考)】