説明

ミクロ検査装置及びミクロ検査方法

【課題】ミクロ検査装置及びミクロ検査方法において、浮上プレート上の被検査体のミクロ検査を有効に行う。
【解決手段】被検査体を浮上させる浮上プレート2と、この浮上プレート2を移動させるアクチュエータ(2b,10b)と、を備える構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス基板等の透明な被検査体のミクロ検査を行うミクロ検査装置及びミクロ検査方法に関し、更に詳しくは、被検査体を浮上プレートにより浮上させながら被検査体の裏面側から照明光を透過させて検査するミクロ検査装置及びミクロ検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶ディスプレイ(LCD)等のフラットパネルディスプレイ(FPD)の製造工程においては、各製造工程で製造されたマザーガラス基板に欠陥が有るか無いか顕微鏡等を用いてミクロ検査を行っている。このミクロ検査を行うに際して、ガラス基板が小さい場合には、矩形状のガラス基板の周辺を載置枠等に保持しながら顕微鏡と透過照明用光源をXY方向の二次元に移動させてガラス基板全面をミクロ検査することができた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、近年のガラス基板等の大型化に伴い、例えば、一辺が2m、厚さ0.7mmのマザーガラス基板を特許文献1の載置枠に保持すると、ガラス基板の自重により撓んでしまい水平に保持することが困難になってきた。また、大型のガラス基板をステージ上に載置すると、ガラス基板をステージ上から持ち上げた際に剥離帯電によりガラス基板上のパターン回路が破損するという新たな問題が生じてきた。この剥離帯電を防止するために、ガラス基板を浮上プレートにより浮上させながら検査を行う手法がとられるようになってきている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
また、ガラス基板の大型化がミクロ検査装置の大型化をも招いているため、ガラス基板を搬送しながら検査するのではなく、いわゆるガントリー移動方式のミクロ検査装置のように、ガラス基板を静止させた状態でミクロ検査ヘッドを移動させて検査する装置も用いられている。
【特許文献1】特開2002−267937号公報
【特許文献2】特開2006−343327号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ガントリー移動方式のミクロ検査装置では、照明装置により浮上プレートの下方から被検査体に照明光を照射する場合、この照明光が浮上プレートに遮られてしまい、有効に透過照明を行うことができないという問題があった。
【0006】
また、ミクロ検査装置において落射照明を用いる際にも、被検査体が透明な基板等である場合には、被検査体下方の浮上プレートにおいて照明光が反射してしまうため、良好なミクロ検査を行うことができないという問題があった。
【0007】
以上のような問題は、浮上ステージをガラス等の透明の素材のものにしても、エアー浮上の構造や技術を使用するのが困難となるため、解消することができなかった。また、複数の支持ピンで被検査体を支持すると、被検査体に撓みが発生してしまい、焦点深度の短い高倍率の対物レンズを用いたミクロ検査において不向きである。
【0008】
本発明の課題は、上記従来の実情に鑑み、透明な被検査体を浮上プレート上に浮上させ透過照明によりミクロ検査を有効に行うことができるミクロ検査装置及びミクロ検査方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のミクロ検査装置は、被検査体を浮上させる浮上プレートと、この浮上プレートを移動させるアクチュエータと、を備える構成とする。
上記課題を解決するために、本発明のミクロ検査方法は、被検査体を浮上プレートにより浮上させながら検査するミクロ検査方法において、上記被検査体のうち上記浮上プレートの上方に位置する被検査部分を検査する際に、上記被検査部分の下方に位置する前記浮上プレートを上記被検査部分の下方から退避させるようにする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、浮上プレートを移動させることで、被検査体の下方からの透過照明、被検査体の上方からの落射照明等の照明光が浮上プレートに遮られるのを防ぐことができるため、浮上プレート上の被検査体のミクロ検査を有効に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態に係るミクロ検査装置及びミクロ検査方法について、図面を参照しながら説明する。
(一実施の形態)
図1は、本発明の一実施の形態に係るミクロ検査装置1を示す斜視図である。
【0012】
図2は、上記ミクロ検査装置1の浮上プレート2及び桟3を示す平面図であり、図3は、図2のA部拡大図である。
図4は、上記浮上プレート2を示す平面図及び側面図であり、図5は、図4のB部拡大図である。
【0013】
図1において、ミクロ検査装置1は、いわゆるガントリー移動方式のミクロ検査装置であり、複数の浮上プレート2、この浮上プレート2を支持する支持部材としての複数の桟3、ベース部4、ガントリー5、検査部としての顕微鏡6、照明装置としての透過照明部7、透過照明用ガイド8等から構成されている。
【0014】
浮上プレート2は、複数の桟3上に配置されており、長手方向がガントリー5の移動方向(Y軸方向)に平行に延びている。また、浮上プレート2は、Y軸方向にかけて複数個が並設されている。一方、Y軸方向に直交するX軸方向においては、浮上プレート2は互いに一定間隔G1をもって並設されている。すなわち、矩形タイル状の浮上プレート2は、図4に示すようにX軸方向とY軸方向にM×Nの行列に配置され、本実施形態では6×3の行列配置で説明する。
【0015】
各浮上プレート2は、図示しない浮上用エアー配管から供給されるエアーを図2に示す空気孔2aから噴出させることで、被検査体としてのガラス基板100を浮上させている。
【0016】
桟3は、浮上プレート2を支持しX軸方向に延びる四角柱の支持部と、この支持部の両端においてベース部4に立設された2本の脚部とからなる門型形状を呈し、Y軸方向に並ぶ浮上プレート2の数よりも1つ多く配置されて、図2に示すように浮上プレート2のY軸方向における両端を支持している。
【0017】
図2及び図3に示すように、桟3の上面には、X軸方向に延びる、浮上プレート用のガイド溝3aが2つ形成されている。ガイド溝3aは、内部の水平断面積が開口面積よりも広くなっている。ガイド溝3内では、浮上プレート2のネジ孔2dに固定された図3に示すスライド部2eがX軸方向にスライドする構成となっている。スライド部2eは、例えば、ローラの回動によりガイド溝3a内をスライドするようにすることができる。
【0018】
図1及び図4に示すように、桟3の上部には、浮上プレート2を挟んで位置する2つのサイドボード10,11が配置されている。サイドボード10,11は、浮上プレート2に平行に、複数の桟3の両端上面に亘って配置されている。
【0019】
各サイドボード10,11の上面には、ガラス基板4の四つ角を保持する保持機構9が2つずつ配置されている。この保持機構9は、各浮上プレート2上に浮上したガラス基板4を検査の基準座標に合わせる基板位置決めとして用いることもできる。また、各サイドボード10,11の上面には、ガラス基板10の搬入時に行列配置された浮上プレート2の搬送路からガラス基板10が外れないように導くと共に、ガラス基板100の損壊を防止するべく、ローラ10a,11aが複数個配置されている。
【0020】
ベース部4のX軸方向両端には、ガントリー用のガイドレール12,12が配設されている。ガントリー5は、リニアモータ等の駆動手段によりガイドレール12,12上をY軸方向に移動することが可能となっている。ガントリー5には、ガラス基板100の表面を拡大観察するための顕微鏡6が配置されている。
【0021】
顕微鏡6は、ガントリー5の水平アーム部の底面に設けられ、図示しない顕微鏡用ガイドレールに沿ってリニアモータ等の駆動手段によりX軸方向に移動可能となっている。この顕微鏡6は、ガントリー5の水平アーム部の底面に限らず側面に設けてもよい。そして、顕微鏡6は、ガントリー5の水平アーム部に沿うX軸方向への移動と、ガントリー5のY軸方向への移動とにより、ガラス基板100の上方を水平方向(XY軸方向)に自在に移動能となっている。
【0022】
浮上プレート2の下方には、透過照明部7が配置されている。透過照明部7は、透過照明用ガイド8に沿ってX軸方向に移動可能となっている。そして、透過照明用ガイド8は、ベース部4上に配設された透過照明搬送用ガイド13,13に沿ってY軸方向に移動可能となっている。
【0023】
このように、透過照明部7は、透過照明用ガイド8に沿う透過照明部7のX軸方向への移動と、透過照明搬送用ガイド13,13に沿う透過照明用ガイド8のY軸方向への移動とにより、ガラス基板100の下方を水平方向(XY方向)に自在に移動することが可能となっている。
【0024】
顕微鏡6と透過照明部7とは、ガラス基板100を挟んで対向するように、X軸方向及びY軸方向への移動が同期制御されている。
本実施の形態のガラス基板100は、表側の面が回路素子や配線パターンが形成された素子形成面となっており、裏面が回路素子等の形成されていない非素子形成面となっている。そして、ガラス基板100は、その裏面側から浮上プレート2によってエアーを噴出されると共に、保持機構9によって四つ角を保持されることで、静止した状態で浮上している。
【0025】
図4及び図5に示すように、各浮上プレート2の底面には、浮上プレート2をX軸方向に移動させるアクチュエータとしてのシリンダ2b、及びシリンダ受け部2cが設けられている。詳しくは後述するが、シリンダ2bは、伸縮動作によって、X軸方向において隣接する浮上プレート2を、そのシリンダ受け部2cを押圧することで、移動させることが可能となっている。
【0026】
また、X軸方向における両端の浮上プレート2は、サイドボード10の底面に設けられたシリンダ10bによりシリンダ受け部2cを押圧されることで、又は、サイドボード11の底面に設けられたシリンダ受け部11bをシリンダ2bにより押圧することで、移動することが可能となっている。
【0027】
なお、浮上プレート2の移動方向としては、透過照明部7による照明を遮らないように浮上プレート2を退避させればよいため、本実施の形態では、透過照明部7からの照明光と交差する方向として水平方向(XY平面)としている。
【0028】
図6は、上記浮上プレート2の制御について説明するための説明図である。
浮上プレート2に設けられたシリンダ2b及び一側のサイドボード10に設けられたシリンダ10bは、シリンダ用エアー配管16を介して電磁弁14の各ポート(14−0、14−1、・・・、14−6)に接続されている。各ポートは、電気配線を介して接続されたコントローラ15により制御されている。
【0029】
コントローラ15は、各ポートに対応するメモリ(15−0、15−1、・・・、15−6)を有しており、シリンダ2b,10bの状態をメモリに記憶し、シリンダ2b,10bの制御を行っている。
【0030】
本実施の形態では、コントローラ15は、シリンダ2b,10bの可動部が引っ込んだ状態を「0」、途中まで伸長した状態を「1」、ストローク略限界まで伸長した状態を「2」としてシリンダ2b,10bの制御を行っている。
【0031】
例えば、浮上プレート2−3のシリンダ2bの状態を「2」とし、浮上プレート2−1,2−2のシリンダ2bとシリンダ10bの状態を「1」とし、浮上プレート2−4,2−5,2−6のシリンダ2bを「0」とした場合には、浮上プレート2−3のシリンダ2bの押圧により浮上プレート2−4,2−5,2−6がX軸方向に移動し、浮上プレート(2−4)との間隙を大きくとることができる。
【0032】
また同様に、シリンダ2b,10bの状態を「1」とした場合(サイドボード10及び浮上プレート2−1,2−2参照)には、押圧する浮上プレートとの間隙を一定間隔G1に設定することができ、シリンダ2bの状態を「0」とした場合(浮上プレート2−4,2−5,2−6参照)には、浮上プレートとの間隙(厳密には、浮上プレート2−6とサイドボード11との間隙も含まれる。)を一定間隙G1より小さくすることができる。
【0033】
ただし、全ての浮上プレート2間の間隙をなくすことはできないため、例えば浮上プレート2−3のシリンダ2bのように状態を「2」とし、隣接する浮上プレート2−4との間隙を大きくした場合には、相対的に他の間隙を小さくする必要がある。
【0034】
浮上プレート2の制御については、ガラス基板100の欠陥(被検査部分)の座標が浮上プレート2の上方にあるのか否かをコントローラ15の内部プログラムで計算した後、コントローラ15が浮上プレート2の状態を指示することで制御することができる。或いは、ガラス基板100の欠陥の座標に対して浮上プレート2の動作・位置を予め決定しておき、コントローラ15のメモリマップ上で記憶して、検査のときにコントローラ15がメモリマップを参照することでも制御することはできる。
【0035】
なお、シリンダ2b,10bは、エアー駆動の他にも、例えば、電気やモータ等を動力源とすることもできる。
以下、ミクロ検査装置1の動作について説明する。
【0036】
図7〜図14は、上記ミクロ検査装置1の動作を説明するための説明図である。
図7に示すようにガラス基板100の欠陥F1(×印で図示)が浮上プレート2の間隙の上方にある場合には、浮上プレート2が透過照明部7による透過照明を遮らないため、浮上プレート2を退避させる必要がない。そのため、図8に示すように、浮上プレート2を移動させることなく、顕微鏡6及び透過照明部7をX軸方向に同期制御すると共にガントリー5及び透過照明用ガイド8をY軸方向に同期制御することで、ガラス基板100の欠陥F1を挟んで上方に顕微鏡6を下方に透過照明部7を移動させればよい。
【0037】
一方、図9に示すようにガラス基板100の欠陥F2が浮上プレート2の上方にある場合には、浮上プレート2が透過照明部7による透過照明を遮ってしまうため、図10に示すように、欠陥F2を挟んで対向するように顕微鏡6及び透過照明部7を同期制御するのに加えて、欠陥F2の下方に位置する浮上プレート2及びこの浮上プレート2に隣接する浮上プレート2を欠陥F2の下方から退避させる。
【0038】
具体的には、浮上プレート2−3の状態を上述の状態「2」(シリンダ2bの可動部がストローク略限界まで伸長した状態)として浮上プレート2−3と浮上プレート2−4との間隔G2を大きくとると共に、浮上プレート2−4,2−5,2−6の状態を「0」(シリンダ2bの可動部が引っ込んだ状態)として上記間隔G2を生じさせるスペースを確保する。なお、浮上プレート2が移動しても、ガラス基板100は、浮上プレート2上に浮上し保持機構9により保持されているため浮上プレート2と共に移動してしまうことはない。
【0039】
図11及び図12に示すように、移動させる浮上プレート2の数は、ガラス基板100の欠陥F3,F4を観察する顕微鏡6の視野の位置と大きさに合わせて、上記コントローラ15により必要最低限の数を選択させればよい。図11及び図12に示す例では、2つの浮上プレート2のみを移動させている。移動させる浮上プレート2の数は、浮上プレート2上のガラス基板100の欠陥位置に応じて変動するため、欠陥位置が浮上プレート2の端にある場合には、浮上プレート2の移動は1つで足りる場合もあり、欠陥位置が浮上プレート2の中央部分にある場合には浮上プレート2の移動は3つ以上必要な場合もあり得る。
【0040】
ここで、図13に示すように、欠陥F5が、浮上プレート2を支持する桟3の上方に位置する場合には、桟3が透過照明を遮ってしまうため、浮上プレート2の移動だけでは足りない。このような場合には、例えば、図14に示すようにガラス基板100自体を移動させ(矢印D)、欠陥F5の位置を桟3の上方から退避させればよい。このとき、ガラス基板100は保持機構9により保持した状態のまま移動させるとよい。
【0041】
なお、本実施の形態では、照明装置として透過照明部7を採用した例について説明したが、照明装置が落射照明を用いるものであっても、浮上プレート2を退避させることでガラス基板100を透過した光が浮上プレート2において反射するのを抑えることができるため、浮上プレート2上のガラス基板100のミクロ検査を有効に行うことができる。
【0042】
また、本実施の形態では、浮上プレート2及びサイドボード10にシリンダ2b,10bを配置する例について説明したが、浮上プレート2のみにシリンダ2bを配置する構成によっても浮上プレート2を移動させることは可能である。更には、浮上プレート2の一部のみにシリンダ2bを配置する場合でも、浮上プレート2を移動させることは可能である。
【0043】
また、本実施の形態では、浮上プレート2をシリンダ2b,10bにより移動させる例について説明したが、浮上プレート2の移動方法としては、各浮上プレート2にリニアモータを取付けて桟3にリニアガイドを設けるなど、浮上プレート2を移動させるものであれば採用可能である。
【0044】
また、直接的に浮上プレート2を移動させなくとも、例えば、桟3を移動させることで間接的に浮上プレート2を移動させることも可能である。その場合には、桟3の下部にレール等を配置し、ガラス基板100上の欠陥の位置に応じて桟3を移動させるように制御すればよい。桟3を移動させる構成とする場合には、浮上プレート2を、桟3に固定することも可能である。
【0045】
以上説明した本実施の形態によれば、浮上プレート2を移動させることで、ガラス基板100の下方からの透過照明が浮上プレート2に遮られるのを防ぐことができるため、浮上プレート2上のガラス基板100のミクロ検査を有効に行うことができる。
【0046】
また、本実施の形態では、浮上プレート2が桟3上を移動するため、浮上プレート2の撓み、ひいてはガラス基板100の撓みを抑えることができ、したがって、浮上プレート2上のガラス基板100のミクロ検査を有効に行うことができる。
【0047】
また、本実施の形態では、複数の浮上プレート2は、浮上プレート2に設けられたシリンダ2b及びサイドボード10に設けられたシリンダ10bの伸縮動作によって、隣接する浮上プレート2を押圧して移動する。そのため、簡素な構成によって、浮上プレート2上のガラス基板100のミクロ検査を有効に行うことができる。
【0048】
また、桟3自体を移動させることで、浮上プレート2を間接的に移動させる構成とした場合にも、ガラス基板100の下方からの透過照明が浮上プレート2に遮られるのを防ぐことができるため、浮上プレート2上のガラス基板100のミクロ検査を有効に行うことができる。
【0049】
図15は、上記一実施の形態の変形例に係るミクロ検査装置21を示す斜視図である。
本変形例においては、図1等に示すミクロ検査装置1と相違する点のみ説明し、同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0050】
同図に示すミクロ検査装置21は、浮上プレート22がガントリー5の移動方向(Y軸方向)に直交する水平方向(X軸方向)に延びている。また、これに伴い、支持部材としての桟23がY軸方向に延びている。
【0051】
そして、本変形例のサイドボードは、浮上プレート2を挟んでY軸方向に延びるサイドボード10,11に加え、図示しないシリンダ及びシリンダ受け部を配置するために、浮上プレート2を挟んでX軸方向に延びるサイドボード24,25も、桟23上に配置されている。
【0052】
本変形例によっても、浮上プレート2を移動させることで、ガラス基板の下方からの透過照明部7による透過照明が浮上プレート2に遮られるのを防ぐことができるため、浮上プレート2上のガラス基板のミクロ検査を有効に行うことができる。
【0053】
なお、本変形例では浮上プレート2の向きを変更する例について説明したが、その他にも例えば、ガラス基板100の向き及び搬出入方向並びに浮上プレート2の並び方及び数量を適宜変更することは可能である。
【0054】
(他の実施の形態)
図16は、本発明の他の実施の形態に係るミクロ検査装置31を示す斜視図である。
図17は、上記ミクロ検査装置31の透過照明部32を示す斜視図である。
【0055】
本実施の形態においては、図1等に示すミクロ検査装置1と相違する点のみ説明し、同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
照明装置としての透過照明部32は、図17に示すように、光源32a、エアー噴き出し部32b、ランプハウス32c、シリンダ32d、スライド部32e等から構成されている。
【0056】
エアー噴き出し部32bは、光源32aを取り囲むような円筒形状を呈し、ランプハウス32cの上部に、光源32aよりも上方に突出するように配置されている。エアー噴き出し部32bは、図示しないエアー配管から供給されるエアーを噴出させることで、ガラス基板100を浮上させている。
【0057】
なお、エアー噴き出し部32bは、光源32aの周囲に互いに間隙をもって配置された複数個のエアー噴き出し部により光源32aを取り囲むようにしてもよい。その場合のエアー噴き出し部の形状は、複数個のエアー噴き出し部で略円筒形状を構成しなくともよく、任意の形状のものを用いればよい。
【0058】
透過照明部32は、上記一実施の形態と同様に、X軸方向に延びる透過照明用ガイド8及びY軸方向に延びる透過照明搬送用ガイド13,13によって、ガラス基板100の欠陥の下方に自在に移動することができる。
【0059】
また、透過照明部32が上記一実施の形態と同様にガラス基板100の欠陥の下方に移動するため、結果的に透過照明部32のエアー噴き出し部32bは、浮上プレート2の移動によって広くなる浮上プレート2間のスペースの下方に移動することになる。
【0060】
ランプハウス32cの底面と、透過照明用ガイド8上を移動するスライド部32eの上面との間には、ランプハウス32c(ひいては光源32a及びエアー噴き出し部32b)を上下移動させるシリンダ32dが配置されている。このシリンダ32dは、ランプハウス32cを上下移動させることで、エアー噴き出し部32bを、ガラス基板100を浮上させる位置と、そこから退避する位置とに上下移動させることが可能となっている。
【0061】
ガラス基板100の検査時における透過照明部32のXY平面への移動中には、光源32a及びエアー噴き出し部32bは、浮上プレート2の裏面に接続された図示しないエアー配管等との干渉を回避するべく下方に位置しており、透過照明部32がガラス基板100における欠陥の下方に到達した後には上方に移動するようになっている。
【0062】
ここで、顕微鏡6による検査を最適に行うためにはエアー噴き出し部32bの高さを高精度に調整する必要があるため、エアー噴き出し部32bの動力源は、シリンダ32dに替えて、モータ等の高精度な高さ調整をすることができる動力源を用いることも考えられる。
【0063】
なお、本実施の形態では、エアー噴き出し部32bを透過照明部32に配置する例について説明したが、エアー噴き出し部32bは、浮上プレート2の移動によって広くなった浮上プレート2間のスペースの下方に移動させればよく、透過照明部32とは別個に配置されていても、エアーによりガラス基板100を浮上させることでガラス基板100に撓みが生じるのを抑えることは可能である。
【0064】
以上説明した本実施の形態によっても、浮上プレート2を移動させることで、ガラス基板100の下方からの透過照明が浮上プレート2に遮られるのを防ぐことができるため、浮上プレート2上のガラス基板100のミクロ検査を有効に行うことができる。
【0065】
また、本実施の形態では、エアー噴き出し部32bは、浮上プレート2の移動によって広くなった浮上プレート2間のスペースの下方に光源32aと共に移動し、ガラス基板100を浮上させる構成となっている。そのため、ガラス基板100の下方から浮上プレート2を退避させても、そのスペースからエアーが噴出されないことに起因するガラス基板100の撓みを抑えることができ、したがって、浮上プレート2上のガラス基板100のミクロ検査を有効に行うことができる。
【0066】
また、本実施の形態では、エアー噴き出し部32bは、シリンダ32dによって、ガラス基板100を浮上させる位置と、そこから退避する位置とに上下移動する構成となっている。そのため、エアー噴き出し部32bによりエアーを噴き出す際にはエアー噴き出し部32bを上方に移動させてガラス基板100に接近させ、水平移動(XY平面)の際にはエアー噴き出し部32bを下方に移動させて浮上プレート2の裏面に接続された図示しないエアー配管等との干渉を回避することができる。
【0067】
また、本実施の形態では、エアー噴き出し部32bは透過照明部32に配置されている。これにより、ガラス基板100の欠陥の下方に移動する透過照明部32と共にエアー噴き出し部32bをガラス基板100の欠陥の下方、即ち、浮上プレート2間の広くなったスペースに移動させることができる。そのため、エアー噴き出し部32bに独立した移動機構を設ける必要がなく、したがって、簡素な構成で浮上プレート2上のガラス基板100のミクロ検査を有効に行うことができる。
【0068】
また、本実施の形態では、エアー噴き出し部32bは、透過照明部32の光源32aを取り囲むように配置されている。ここで、浮上プレート2をガラス基板100の欠陥の下方から退避させる場合、欠陥が浮上プレート2間の広くなるスペースの中央又はその近傍の上方に位置することになるため、欠陥の下方に移動させる光源32aも上記広くなるスペースの中央又はその近傍の下方に位置することになる。そのため、光源32aを取り囲むように配置されたエアー噴き出し部32bも、上記広くなるスペースの中央又はその近傍の下方に位置することになる。したがって、有効にガラス基板100の撓みを抑えることができる。
【0069】
図18は、上記他の実施の形態の変形例に係るミクロ検査装置の顕微鏡41を示す側面図である。
本変形例では、透過照明部(32)にエアー噴き出し部(32b)を配置するのに替えて又は配置するのと共に、顕微鏡41にエアー吸引部42を配置した点のみ上記一実施の形態及び上記他の実施の形態と相違する。そのため、図1に示すミクロ検査装置1と相違する点のみ説明し、同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0070】
エアー吸引部42は、顕微鏡41の下部に設けられた対物レンズ41aの周囲に、対物レンズ41aと干渉しないように配置されている。エアー吸引部42の下部には、吸引面が矩形状のエアー吸引ブロック42aが設けられている。エアー吸引ブロック42aは、浮上プレート2やシリンダ2b,10bと同様に、図示しないエアー配管に接続されて、ガラス基板100側からエアーを吸引している。
【0071】
エアー吸引部42は、顕微鏡41がガラス基板100の欠陥の上方に移動するため、結果的に、浮上プレート2の移動によって広くなる浮上プレート2間のスペースの上方に移動することになる。
【0072】
なお、エアー吸引ブロック42aには、エアー吸引口に加え、エアー噴き出し口をも設けることで、ガラス基板100がエアー吸引ブロック42aに吸引されてエアー吸引ブロック42aに接触するのを有効に防止することができる。
【0073】
エアー吸引部42は、顕微鏡41と独立して移動するものを採用してもよい。その場合も、エアー吸引部42は、浮上プレート2の移動によって広くなった浮上プレート2間のスペースの上方に移動し、ガラス基板100側からエアーを吸引するようにすればよい。
【0074】
本変形例によれば、エアー吸引部42を浮上プレート2間の広くなったスペースの上方に移動させているため、ガラス基板100の撓みを抑えながら、ガラス基板100のミクロ検査を有効に行うことができる。
【0075】
また、エアー吸引部42のエアー吸引ブロック42aに、エアー吸引口に加えてエアー噴き出し口をも設けた場合、ガラス基板100がエアー吸引ブロック42aに吸引されてエアー吸引ブロック42aに接触するのを防止することができ、ガラス基板100のミクロ検査を有効に行うことができる。
【0076】
また、本変形例では、エアー吸引部42は顕微鏡41に配置されている。これにより、ガラス基板100の欠陥の上方に移動する顕微鏡41と共にエアー吸引部42をガラス基板100の欠陥の上方、即ち、浮上プレート2間の広くなったスペースに移動させることができる。そのため、エアー吸引部42に独立した移動機構を設ける必要がなく、したがって、簡素な構成で浮上プレート2上のガラス基板100のミクロ検査を有効に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の一実施の形態に係るミクロ検査装置を示す斜視図である。
【図2】上記一実施の形態に係るミクロ検査装置の浮上プレート及び桟を示す平面図である。
【図3】図2のA部拡大図である。
【図4】上記一実施の形態に係る浮上プレートを示す平面図及び側面図である。
【図5】図4のB部拡大図である。
【図6】上記一実施の形態に係る浮上プレートの制御について説明するための説明図である。
【図7】上記一実施の形態に係るミクロ検査装置の動作を説明するための説明図(その1)である。
【図8】上記一実施の形態に係るミクロ検査装置の動作を説明するための説明図(その2)である。
【図9】上記一実施の形態に係るミクロ検査装置の動作を説明するための説明図(その3)である。
【図10】上記一実施の形態に係るミクロ検査装置の動作を説明するための説明図(その4)である。
【図11】上記一実施の形態に係るミクロ検査装置の動作を説明するための説明図(その5)である。
【図12】上記一実施の形態に係るミクロ検査装置の動作を説明するための説明図(その6)である。
【図13】上記一実施の形態に係るミクロ検査装置の動作を説明するための説明図(その7)である。
【図14】上記一実施の形態に係るミクロ検査装置の動作を説明するための説明図(その8)である。
【図15】上記一実施の形態の変形例に係るミクロ検査装置を示す斜視図である。
【図16】本発明の他の実施の形態に係るミクロ検査装置を示す斜視図である。
【図17】上記他の実施の形態に係るミクロ検査装置の透過照明部を示す斜視図である。
【図18】上記他の実施の形態の変形例に係るミクロ検査装置の顕微鏡を示す側面図である。
【符号の説明】
【0078】
1 ミクロ検査装置
2 浮上プレート
2a 空気孔
2b シリンダ
2c シリンダ受け部
2d ネジ孔
2e スライド部
2f シリンダ用エアー配管
3 桟
3a ガイド溝
4 ベース部
5 ガントリー
6 顕微鏡
7 透過照明部
8 透過照明用ガイド
9 保持機構
10,11 サイドボード
10a,11a ローラ
10b シリンダ
11b シリンダ受け部
12 ガイドレール
13 透過照明搬送用ガイド
14 電磁弁
15 コントローラ
16 シリンダ用エアー配管
21 ミクロ検査装置
22 浮上プレート
23 桟
24,25 サイドボード
31 ミクロ検査装置
32 透過照明部
32a 光源
32b エアー噴き出し部
32c ランプハウス
32d シリンダ
32e スライド部
41 顕微鏡
41a 対物レンズ
42 エアー吸引部
42a エアー吸引ブロック
100 ガラス基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査体を浮上させる浮上プレートと、
該浮上プレートを移動させるアクチュエータと、
を備えることを特徴とするミクロ検査装置。
【請求項2】
前記浮上プレートを支持する支持部材を更に備え、
前記浮上プレートは、前記支持部材上を移動する、
ことを特徴とする請求項1記載のミクロ検査装置。
【請求項3】
前記アクチュエータは、複数の前記浮上プレートに設けられたシリンダであり、
前記複数の浮上プレートは、前記シリンダの伸縮動作によって、隣接する浮上プレートを押圧して移動する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のミクロ検査装置。
【請求項4】
前記アクチュエータは、前記支持部材を移動させることで、該支持部材上の浮上プレートを移動させることを特徴とする請求項2記載のミクロ検査装置。
【請求項5】
前記浮上プレートの移動によって広くなった前記浮上プレート間のスペースの下方に移動し、前記被検査体を浮上させるエアー噴き出し部を更に備えることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項記載のミクロ検査装置。
【請求項6】
前記エアー噴き出し部は、前記被検査体を浮上させる位置と、そこから退避する位置とに上下移動することを特徴とする請求項5記載のミクロ検査装置。
【請求項7】
前記被検査体に照明光を照射し、前記浮上プレートの下方を移動する照明装置を更に備え、
前記エアー噴き出し部は、前記照明装置に配置されている、
ことを特徴とする請求項5又は請求項6記載のミクロ検査装置。
【請求項8】
前記エアー噴き出し部は、前記照明装置の光源を取り囲むように配置されていることを特徴とする請求項7記載のミクロ検査装置。
【請求項9】
前記浮上プレートの移動によって広くなった前記浮上プレート間のスペースの上方に移動し、前記被検査体側からエアーを吸引するエアー吸引部を更に備えることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項記載のミクロ検査装置。
【請求項10】
前記エアー吸引部は、エアーを吸引するエアー吸引口、及び、エアーを噴き出すエアー噴き出し口を有することを特徴とする請求項9記載のミクロ検査装置。
【請求項11】
前記浮上プレートの上方を移動する検査部を更に備え、
前記エアー吸引部は、前記検査部に配置されている、
ことを特徴とする請求項9又は請求項10記載のミクロ検査装置。
【請求項12】
被検査体を浮上プレートにより浮上させながら検査するミクロ検査方法において、
前記被検査体のうち前記浮上プレートの上方に位置する被検査部分を検査する際に、前記被検査部分の下方に位置する前記浮上プレートを該被検査部分の下方から退避させる、
ことを特徴とするミクロ検査方法。

【図18】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−229081(P2009−229081A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−71254(P2008−71254)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】