ミシンの生産管理装置
【課題】現在の縫製作業ペースが、目標生産枚数を達成するために適正であるか否かの判断を可能にするミシンの生産管理装置を実現する。
【解決手段】縫製システム装置100は、ミシン10が実行した所定縫製作業の縫製終了をカウントし、所定の単位時間毎の縫製終了の数を累積するように算出した単位時間あたりの縫製作業の実績終了数を示すグラフと、所定の期限までに完了すべき縫製作業の目標数に応じて設定された単位時間あたりに実行するべき縫製作業の目標終了数を示す指標線Lbを、表示部21に表示することができる。特に、この縫製システム装置100は、単位時間の経過毎にそれまでに終了した実績終了数に応じて、残りの期間における単位時間あたりに実行するべき縫製作業の目標終了数を再設定し、その再設定された目標終了数を示す指標線Luを表示部21に表示することができる。
【解決手段】縫製システム装置100は、ミシン10が実行した所定縫製作業の縫製終了をカウントし、所定の単位時間毎の縫製終了の数を累積するように算出した単位時間あたりの縫製作業の実績終了数を示すグラフと、所定の期限までに完了すべき縫製作業の目標数に応じて設定された単位時間あたりに実行するべき縫製作業の目標終了数を示す指標線Lbを、表示部21に表示することができる。特に、この縫製システム装置100は、単位時間の経過毎にそれまでに終了した実績終了数に応じて、残りの期間における単位時間あたりに実行するべき縫製作業の目標終了数を再設定し、その再設定された目標終了数を示す指標線Luを表示部21に表示することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミシンの生産管理装置に係り、特に、縫製工場で作業者が縫い上げる被縫製物の枚数などの生産履歴を集計するためのミシンの生産管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所定の縫製作業が完了する度にその終了を示す時刻をメモリに順次記憶し、その記憶された時刻に基づいて単位時間当たりの縫製作業の終了数を算出し、その算出された単位時間当たりの縫製終了数(縫製枚数)を単位時間毎にグラフとして表示するミシンの生産管理装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2006−198395号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1の場合、ミシンオペレータは、これまでに縫製を終了した被縫製物の生産履歴である出来高(縫製枚数)について確認することはできるものの、目標の生産枚数に対するその出来高の割合を把握することができないので、ノルマなどの目標生産枚数を達成するための縫製作業ペースを確認することが困難であるという問題があった。
【0004】
本発明の目的は、現在の縫製作業ペースが、目標生産枚数を達成するために適正であるか否かの判断を可能にするミシンの生産管理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、完了した所定縫製作業の縫製終了数をカウントするカウント手段と、カウント手段によりカウントされた縫製終了数に基づき、所定の単位時間あたりの所定縫製作業の実績終了数を算出する実績終了数算出手段と、実績終了数算出手段により算出された所定縫製作業の実績終了数が、所定の単位時間毎のグラフとして表示される表示手段と、を備えるミシンの生産管理装置であって、所定の期限までに完了すべき所定縫製作業の目標数を設定入力する目標数入力手段と、目標数入力手段により設定入力された目標数の縫製作業を、所定の期限までに完了させるために、単位時間あたりに完了するべき所定縫製作業の目標終了数を設定する目標終了数設定手段と、目標終了数設定手段により設定された目標終了数を示す指標を前記グラフとともに前記表示手段に表示する指標表示制御手段と、を備え、目標終了数設定手段は、カウント手段によりカウントされた縫製終了数に応じて、残りの期間における単位時間あたりに完了するべき所定縫製作業の目標終了数を設定することを特徴とする。
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、ミシンの生産管理装置は、完了した所定縫製作業の縫製終了数をカウントし、所定の単位時間毎の縫製終了の数を累積するように算出して、その単位時間あたりの所定縫製作業の実績終了数を取得し、表示手段にその実績終了数を示すグラフを表示するとともに、所定の期限までに完了すべき所定縫製作業の目標数に応じて設定された単位時間あたりに完了するべき所定縫製作業の目標終了数を示す指標を、そのグラフとともに表示手段に表示することができる。
特に、このミシンの生産管理装置は、所定の単位時間の経過毎に、それまでにカウントされた縫製終了数に応じて、残りの期間における単位時間あたりに完了するべき所定縫製作業の目標終了数を設定し、その設定された目標終了数を示す指標を表示手段に表示することができる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のミシンの生産管理装置において、実績終了数算出手段により算出された単位時間あたりの所定縫製作業の実績終了数が、目標終了数設定手段により設定された目標終了数を超えたか否かを判断する判断手段と、判断手段によって実績終了数が目標終了数を超えたと判断された場合に、目標終了数を超えた実績終了数に対応するグラフを識別可能に表示する識別表示制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の作用を奏するとともに、ミシンの生産管理装置は、所定の単位時間あたりの所定縫製作業の実績終了数が目標終了数を超えたと判断した場合に、その目標終了数を超えた実績終了数に対応するグラフを識別可能に表示することができるので、ユーザは、その識別可能に表示されたグラフを他のグラフと区別して認識することができる。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、ミシンの生産管理装置は、完了した所定縫製作業の縫製終了数をカウントし、所定の単位時間毎の縫製終了数を累積するように算出して、その単位時間あたりの所定縫製作業の実績終了数を取得し、表示手段にその実績終了数を示すグラフを表示するとともに、所定の期限までに完了すべき所定縫製作業の目標数に応じて設定された単位時間あたりに完了するべき所定縫製作業の目標終了数を示す指標を、そのグラフとともに表示手段に表示することができる。特に、このミシンの生産管理装置は、それまでに縫製が完了した縫製終了数に応じて、残りの期間における単位時間あたりに完了するべき所定縫製作業の目標終了数を設定し、その設定された目標終了数を示す指標を表示手段に表示することができる。
【0010】
つまり、ユーザは、表示手段に表示される、所定の単位時間あたりに実行するべき所定縫製作業の目標終了数を示す指標を、実績終了数を示すグラフとともに視認してその目標枚数を認識したうえで縫製作業を行うことが可能となり、縫製作業ペースを確認しつつ縫製作業を実行することができる。
特に、このミシンの生産管理装置は、それまでに縫製が完了した縫製終了数に応じて、残りの期間における単位時間あたりに完了するべき所定縫製作業の目標終了数を設定し、その設定された目標終了数を示す指標を表示手段に表示することができるので、ユーザは、時間の経過に伴う縫製作業の進行具合に応じた目標枚数を認識したうえで縫製作業を行うことが可能となり、より実際の作業状況に応じた縫製作業ペースを確認して縫製作業を行うことができる。
従って、このミシンの生産管理装置は、現在の縫製作業ペースが、目標の生産枚数である目標数を達成するために適正であるか否かの判断を、ユーザが容易に行うことを可能にするミシンの生産管理装置であるといえる。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、ミシンの生産管理装置は、所定の単位時間あたりの所定縫製作業の実績終了数が目標終了数を超えたと判断した場合に、その目標終了数を超えた実績終了数に対応するグラフを識別可能に表示することができるので、ユーザは、その識別可能に表示されたグラフを他のグラフと区別して認識することができる。
つまり、このミシンの生産管理装置は、単位時間あたりの実績終了数が、指標として表示される目標終了数以上となった場合に、その実績終了数を示すグラフを他のグラフと識別可能とするように、他のグラフとは異なる色や模様など、異なる表示形態でそのグラフを表示することができるので、ユーザは、各単位時間の縫製作業を終えた際に、そのグラフの表示形態を視認して確認することにより、その単位時間での縫製作業ペースの良し悪しを容易に判断することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図1から図12に基づいて説明する。
本発明に係るミシンの生産管理装置は、ミシンを備える縫製システム装置にミシンの一部の機能として組み込まれている。
【0013】
本実施形態たるミシンの生産管理装置としての縫製システム装置100は、図1に示すように、ミシン10と、ミシン10に接続される操作パネル20とを有する。
【0014】
ミシン10は、図1に示すように、電源スイッチ4のオンにより給電されるミシンモータ5と、ミシンモータ5の回転駆動がベルト6を介して伝達される図示しないミシン主軸と、そのミシン主軸の回転駆動により上下動する針棒2と、針棒2に交換可能に備えられるミシン針3と、針棒2(ミシン針3)の下方において被縫製物を布送りする布送り機構8と、ミシン10を操作するためのペダル7と、ミシンの各部を制御する制御装置11(図2参照)が内部に収容されている制御ボックス9等を備えている。なお、ミシン10には、図示しない有線又は無線の回線(信号線)により操作パネル20が接続されている。
【0015】
また、ミシン10は、図2に示すように、制御ボックス9内に収容される制御装置11と、ペダル7の操作位置を検出して各種指令信号を出力するペダルセンサ12と、ミシンの主軸の回転速度及び回転位置を検出する回転センサー14と、ミシンの各部を動作させる各種アクチュエータ16と、ミシンの動作処理等に関する各種データが記憶されるメモリ15と、図示しない糸切り機構を起動させる糸切りスイッチ17等を備えている。
なお、メモリ15は、RAM、ROM、EEPROMなどによって構成される様々な記憶領域を有しており、各種データに応じた領域にそれらデータが格納されるようになっている。
【0016】
そして、ミシン10において、ペダル7の操作に基づき回転指令信号がペダルセンサ12から制御装置11に対して出力されることに伴いミシンモータ5が回転駆動して、針棒2(ミシン針3)が上下動する運針が開始されるとともに、布送り機構8が所定の布送りピッチで被縫製物を布送りすることによって、縫製が行われる。なお、ミシン10は、回転センサー14からの信号や、メモリ15に記憶された縫製データや、操作パネル20で設定されたデータ等に基づき、制御装置11がミシンモータ5や布送り機構8、各種アクチュエータ16等を制御して、縫製を実行する。
また、縫製終了時、ペダル7の操作に基づき、ペダルセンサ12から糸切り指令信号が制御装置11に対して出力されることによって、図示しない糸切り機構が糸切りを行うとともに、ミシン10(制御装置11)は、その糸切り機構による糸切りのタイミングに伴う糸切り信号を、信号線10aを介して操作パネル20に送信する。
【0017】
操作パネル20は、図2、図3に示すように、液晶表示を行う表示部21と、表示部21に重ね合わされる透明のタッチパネル式の各種操作ボタン22と、ミシン10において縫製された被縫製物の縫製枚数(縫製終了数)の計測を開始するためのスイッチ30と、各種データを記憶するメモリ24と、計時処理を行うタイマー23と、操作パネルにおける各種制御処理を行うCPU26等を備えている。
なお、メモリ24は、RAM、ROM、EEPROMなどによって構成される様々な記憶領域を有しており、各種データに応じた領域にそれらデータが格納されるようになっている。
また、操作パネル20には、メモリーカード31などの記録媒体が着脱可能に備えられており、操作パネル20は、そのメモリーカード31に記録された各種情報やデータを読み出したり、様々な情報やデータをメモリーカード31に書き込んだりすることが可能になっている。
そして、操作パネル20は、各種操作ボタン22が操作されたことに基づく各種操作信号に応じて設定された各種設定情報に基づく各種設定処理を実行する。そして、操作パネル20において設定処理された各種データが、信号線10bを介してミシン10に送信されて、ミシン10の縫製制御等に利用される。
【0018】
表示部21は、様々な操作キーやスイッチ、各種設定値や各種縫製データ等を表示可能になっている。特に、表示部21は、単位時間毎の縫製終了数を、時間対縫製終了数の棒グラフとして表示する表示手段として機能する。
【0019】
操作ボタン22は、表示部21に表示されている操作キーやスイッチに対応する位置が押下されて操作されたことに基づく各種操作信号をCPU26に出力する。
【0020】
CPU26は、縫製終了のタイミングを示す糸切り信号が発生する度に、タイマー23が計時するその糸切り信号の発生時刻を特定する情報(発生時刻データ)をメモリ24に出力する。
【0021】
メモリ24は、CPU26により出力されたタイマー23が計時した糸切り信号の発生時刻を特定する情報や、CPU26によって算出されたり設定されたりした各種データ(例えば、実績終了数、目標数、目標終了数など)等を記憶する。
【0022】
また、CPU26は、ミシン10が実行した所定縫製作業の縫製完了毎に出力される糸切り信号などのカウント信号に基づき、完了した所定縫製作業の縫製終了数をカウントするカウント手段として機能する。
【0023】
また、CPU26は、カウント手段としてのCPU26によりカウントされた縫製終了数と、メモリ24に記憶された前述の発生時刻データとに基づき、所定の単位時間あたりの所定縫製作業の実績終了数を算出する実績終了数算出手段として機能する。
例えば、実績終了数算出手段としてのCPU26は、メモリ24に記憶された糸切り信号の発生時刻データに基づき、所定の単位時間毎(例えば、1時間毎、24時間(1日)毎など)の発生時刻データの数を加算するようにして、ユーザが実際に行った所定縫製作業であって、その縫製作業が終了した実績終了数を算出する制御を実行する。
【0024】
また、CPU26は、実績終了数算出手段としてのCPU26により算出された所定縫製作業の実績終了数を、所定の単位時間毎のグラフとして表示部21に表示する表示制御手段として機能する。なお、CPU26が処理した表示に関するグラフ等のデータは、表示制御回路25を介して出力されて表示部21に表示される。また、そのグラフに関するデータは、メモリ24に記憶し格納される。
【0025】
また、CPU26は、操作ボタン22とともに所定の期限までに完了すべき所定縫製作業の目標数を設定入力する目標数入力手段として機能する。
なお、目標数入力手段としてのCPU26は、目標数入力手段の一部として機能する操作ボタン22を介して入力された目標数をメモリ24に記憶するようにして、その目標数を入力設定するようになっている。
【0026】
また、CPU26は、目標数入力手段としてのCPU26により設定入力された目標数の縫製作業を所定の期限までに完了させるために、所定の単位時間あたりに完了するべき所定縫製作業の目標終了数を設定する目標終了数設定手段として機能する。
具体的には、上述の目標数入力手段により所定の期限までに完了させるべき目標数が設定入力された場合には、目標終了数設定手段としてのCPU26は、所定縫製作業の実行開始前においてはその設定入力された目標数を、それまでにカウント手段としてのCPU26によりカウントされた縫製終了数が“0”であるものとして、所定の単位時間(1時間)あたりに完了するべき所定縫製作業の目標終了数として設定する制御を実行する。
また、例えば、所定の期限が当日の午後6時である場合に、当日の午前9時に、所定の期限(当日の午後6時)までに完了させるべき目標数が、例えば、90枚として設定入力された場合には、目標終了数設定手段としてのCPU26は、その設定入力された目標数を1日の作業時間(この場合は、9時間)で除算して得られた目標終了数(例えば、10枚)を、所定の単位時間(1時間)あたりに完了するべき所定縫製作業の終了数である目標終了数として設定する制御を実行する。なお、所定の期限である10日間や1ヶ月などの作業で完了させるべき目標数が設定入力された場合も同様に、所定の単位時間(1時間)あたりに完了するべき所定縫製作業の目標終了数として設定するようにすればよい。
【0027】
そして、目標終了数設定手段としてのCPU26は、上述の所定の縫製作業が開始された後は、それまでに縫製が終了(完了)した縫製終了数に応じて、目標数として設定された90枚の縫製作業を所定の期限までに完了させるために、残りの期間における単位時間あたりに完了するべき所定縫製作業の目標終了数を設定する制御を実行する。
具体的には、例えば、1日、9時間の作業時間で、90枚の縫製作業を完了させなければならない場合、縫製作業開始時点では、所定の単位時間(1時間)あたりに完了するべき所定縫製作業の目標終了数は「10枚」である。
そして、最初の1時間で「10枚」の縫製を完了すると、残りの期間である8時間で80枚の縫製作業を終えるように、残りの期間における単位時間あたりに完了するべき所定縫製作業の目標終了数が「10枚」と設定される。
一方、最初の1時間で「2枚」の実績終了数の縫製を完了すると、残りの期間である8時間で88枚の縫製作業を終えるように、残りの期間における単位時間あたりに完了するべき所定縫製作業の目標終了数が「11枚」と設定される。
また、最初の1時間で「18枚」の実績終了数の縫製を完了すると、残りの期間である8時間で72枚の縫製作業を終えるように、残りの期間における単位時間あたりに完了するべき所定縫製作業の目標終了数が「9枚」と設定される。
【0028】
また、CPU26は、目標終了数設定手段としてのCPU26により設定された目標終了数を示す指標を、実績終了数のグラフとともに表示部21に表示する指標表示制御手段として機能する。なお、CPU26が処理した表示に関する指標のデータは、表示制御回路25を介して出力されて表示部21に表示される。また、その指標に関するデータは、メモリ24に記憶し格納される。
【0029】
特に、指標表示制御手段としてのCPU26は、目標終了数設定手段としてのCPU26によって設定された最新の目標終了数を示す指標を表示する制御を実行する。
なお、指標表示制御手段としてのCPU26は、縫製作業開始時点における目標終了数を示す指標を表示部21に表示したまま、縫製作業開始後における所定の単位時間の経過毎に新たに設定される目標終了数を示す指標を表示するようにしてもよく、また、所定の単位時間の経過毎に新たに設定される目標終了数を示す指標のみを表示部21に表示するようにしてもよい。
【0030】
また、CPU26は、実績終了数算出手段としてのCPU26により算出された単位時間あたりの所定縫製作業の実績終了数が、目標終了数設定手段としてのCPU26により縫製作業開始前に設定された目標終了数を超えたか否かを判断する判断手段として機能する。
【0031】
また、CPU26は、判断手段としてのCPU26により、実績終了数が縫製作業開始前の目標終了数を超えたと判断された場合に、目標終了数を超えた実績終了数に対応するグラフを表示部21に識別可能に表示する識別表示制御手段として機能する。
例えば、識別表示制御手段としてのCPU26は、目標終了数を超えた実績終了数に対応するグラフを他のグラフとは異なる色や異なる表示形態で表示するようにして、そのグラフを容易に識別することができるように表示する制御を実行する。
【0032】
次に、縫製システム装置100において行われる被縫製物の縫製終了数の計測に関する生産管理について説明する。
【0033】
生産管理を行うために、ミシン10による単位時間当たりの被縫製物の縫製終了数を計測する場合、まず、操作パネル20のスイッチ30をオンにする。スイッチ30がオンになると、操作パネル20のCPU26は、被縫製物1枚の縫製が終了するごとに送信されてくる糸切り信号を検知する。そして、その糸切り信号を検知したタイミングは、タイマー23が計時する時刻により検出することができるので、CPU26は、糸切り信号を検知した糸切り信号発生時刻を、被縫製物1枚の縫製終了を示す時刻として、メモリ24に記憶する。
この糸切り信号の検知に伴い被縫製物1枚の縫製終了を示す時刻を記憶する、縫製終了数の計測処理の状態を図4に示す。
【0034】
図4に示すように、例えば、スイッチ30がオンにされ、被縫製物の縫製終了数の計測が時刻t0に開始されて、時刻t1において糸切り信号が発生すると、その時刻t1において被縫製物1枚の縫製が完了したことを意味するので、その時刻t0及びt1をメモリ24の所定のアドレスA0及びA1にそれぞれ記憶する。そして、スイッチ30がオフにされて、縫製終了数の計測が終了される時刻までに順次発生する糸切り信号の発生時刻t2、t3…tnを、連続するアドレスA2、A3…Anに順次記憶する。ここで、スイッチ30がオンにされてからオフにされるまでの時間範囲が、メモリ24に記憶された縫製時間データが及ぶ縫製時間範囲に対応する。
なお、メモリ24はFIFOメモリとして構成されているので、容量がなくなると、最初に記憶された情報から失われていく。また、タイマー23が計時し出力する時刻には、何時何分何秒などの時間情報だけでなく、何月何日などの日時情報も含まれているので、メモリ24に記憶し格納されている時刻情報は、時間情報だけでなく日時情報も含む。
【0035】
そして、CPU26は、メモリ24に記憶されている縫製終了のタイミングを示す時刻データ(糸切り信号発生時刻)に基づき、所定の単位時間当たりの縫製終了数を各時間範囲ごとに取得し集計して、例えば、図12に示す操作パネル20の表示部21に表示されるような、時間対縫製終了数のグラフに関するグラフデータを作成する。なお、図12に示すグラフデータは、単位時間D1が60分(1時間)と設定されているものである。
このグラフデータを作成する際に、CPU26は、計測開始時刻T0(=t0)(0分)から1時間、2時間・・・と、単位時間ごとの時刻T1、T2…を計測するとともに、単位時間である各60分間に対応するアドレスに糸切り信号発生時刻がいくつ記憶されているか計測する。
例えば、CPU26は、時刻T0直後の時刻t1を記憶するアドレスと、60分後の時刻T1までの時刻が記憶されているアドレスを求め、その両アドレス並びにその間のアドレスに記憶されている糸切り信号発生時刻の数を計測する。以下同様に、時刻T(i)直後の時刻が記憶されているアドレスと、時刻T(i+1)までの時刻が記憶されているアドレスを求め、その両アドレス並びにその間のアドレスに記憶されている糸切り信号発生時刻の数を計測する。
具体的には、例えば、9時以降10時までの60分に検知され記録された糸切り信号は15個で縫製終了数は「15」、10時以降11時までの60分に検知され記録された糸切り信号は20個で縫製終了数は「20」、11時以降12時までの60分に検知され記録された糸切り信号は6個で縫製終了数は「6」、12時以降13時までの60分に検知され記録された糸切り信号は12個で縫製終了数は「12」…のように、糸切り信号発生時刻の数に基づき縫製終了数を計測する。
なお、各単位時間ごとの縫製終了数(グラフデータ)は、メモリ24に記憶される。
【0036】
次に、この縫製システム装置100における、グラフの表示処理について、図5に示すフローチャートに基づき説明する。
【0037】
まず、操作パネル20における所定の生産管理ボタン(図示省略)が押下されたことに基づき、図6に示すようなグラフ画面が表示部21に表示される(ステップS101)。
なお、この表示部21におけるグラフ画面には、グラフ表示エリア21aと、操作ボタン22である目標枚数設定キー22aとが備えられている。
【0038】
次いで、CPU26は、目標枚数設定キー22aが押下されたか否かを判断する(ステップS102)。
CPU26が、目標枚数設定キー22aは押下されていないと判断すると(ステップS102;No)、ステップS101に戻る。
一方、CPU26が、目標枚数設定キー22aが押下されたと判断すると(ステップS102;Yes)、CPU26は、図7に示すような、目標数入力手段の一部として機能する操作ボタン22であるテンキー22bが備えられる表示画面を操作パネル20の表示部21に表示する(ステップS103)。なお、この表示部21におけるテンキー表示画面には、テンキー22bが操作されて入力された目標数を表示する目標数表示エリア21bと、その入力された目標数値を確定して前のグラフ画面に戻るためのエンターキー22cと、その入力された目標数値を破棄して前のグラフ画面に戻るためのキャンセルキー22dとが備えられている。
【0039】
次いで、CPU26は、テンキー22bが押下されて、所定の期限までに完了すべき任意の目標数が設定入力されたか否かを判断する(ステップS104)。
なお、本実施形態においては、所定の期限として予め当日の午後6時が固定的に設定されており、上述の目標数は、目標の設定が行われた時点から当日の午後6時までに完了すべき目標数として設定されるものとして説明する。
例えば、午前9時の時点において、即縫製を開始して当日の午後6時までに完了すべき目標数が135枚である場合は、テンキー22bを押下して「135」を目標数表示エリア21bに表示させた上でエンターキー22cを押すことにより、所定の期限までに完了すべき目標数が設定される。
【0040】
CPU26が、任意の目標数が設定入力されていないと判断すると(ステップS104;No)、ステップS103に戻る。
CPU26は、入力された目標数の縫製作業を所定の期限としての午後6時までに完了させるために、単位時間あたりに完了すべき所定の縫製作業の目標終了数を演算して設定するとともに、設定された目標終了数を示す指標である指標線Lbを操作パネル20のグラフ表示エリア21aに表示する(ステップS105)。
例えば、上述のように、午前9時の時点において、即縫製を開始して当日の午後6時までに完了すべき目標数が135枚として入力された場合は、CPU26は、135枚を午前9時から午後6時までの期間(9時間)で除算して(135/9=15)、15枚を縫製開始時の単位時間(ここでは1時間を単位時間とする)あたりに完了するべき縫製作業の目標終了数(以下、単に目標終了数ともいう)として設定し、図8に示すように、その指標Lbをグラフ表示エリア21aに表示する。
【0041】
次いで、CPU26は、所定縫製作業の縫製が完了する毎にミシン10から出力される糸切り信号が入力されたか否かを判定し(ステップS106)、糸切り信号が入力された場合(ステップS106;Yes)は、糸切り信号をカウントして(ステップS107)、ステップS108に移行する。
一方、CPU26は、ステップS106において、糸切り信号が入力されないと判断すると、そのままステップS108に移行する。
次いで、CPU26は、所定の単位時間である1時間が経過したか否かを判断する(ステップS108)。
CPU26が、単位時間経過していないと判断すると(ステップS108;No)、ステップS106に戻る。
【0042】
一方、CPU26が、単位時間経過したと判断すると(ステップS108;Yes)、CPU26は、カウントされた糸切り信号に基づく縫製終了の数に応じて、所定の単位時間あたりに縫製が完了した所定縫製作業の実績終了数を算出し、その算出した実績終了数に対応するグラフを表示部21のグラフ表示エリア21aに表示する(ステップS109)。
ここで、9時から10時までの1時間の実績終了数が「15枚」であったとすると、図9に示すように、グラフ表示エリア21aにおける9時から10時の範囲に実績終了数「15枚」を示す棒グラフが表示される。
【0043】
また、CPU26は、その算出した実績終了数が目標終了数以上であるか否かを判断する(ステップS110)。
CPU26が、実績終了数が目標終了数以上であると判断すると(ステップS110;Yes)、その棒グラフを他のグラフと識別可能とするように、他のグラフとは異なる色で着色するようにして表示し(ステップS111)、ステップS112へ進む。
一方、CPU26が、実績終了数は目標終了数未満であると判断すると(ステップS110;No)、棒グラフを通常表示のまま、ステップS112へ進む。
なお、9時から10時までの実績終了数は「15枚」であるので、図9に示すその棒グラフは着色されて表示されている。
【0044】
そして、CPU26は、残りの期間である8時間において、単位時間あたりに完了するべき目標終了数を再設定し、その再設定された目標終了数を表示するように、指標の更新を行う(ステップS112)。
なお、ここで「15枚」の縫製を終えており、残りの8時間で縫製しなければならない枚数は120枚であるので、単位時間あたりに縫製を完了するべき目標終了数は「15枚(=120枚/8時間)」となるために、図9に示す表示画面において指標線は表示変更されていない。
【0045】
次いで、CPU26は、全ての縫製作業を完了したか否かを判断する(ステップS113)。
CPU26が、全ての縫製作業を完了していないと判断すると(ステップS113;No)、ステップS106に戻り、糸切り信号に基づいて、次の単位時間に応じた縫製終了をカウントし、各単位時間毎のグラフ表示処理を継続する。
【0046】
ここで、10時から11時までの1時間の実績終了数が「20枚」であったとすると、図10に示すように、グラフ表示エリア21aにおける10時から11時の範囲に実績終了数「20枚」を示す棒グラフが着色されて表示される。そして、ここまでに「35枚」の縫製を終えており、期限である午後6時までの残りの7時間で縫製しなければならない枚数は100枚となり、目標終了数は「約14枚(≒100枚/7時間)」となるので、図10に示す表示画面におけるグラフ表示エリア21aに、目標終了数「14枚」を示す指標線Luが表示される。
なお、目標終了数を示す指標線Luが、当初基準の指標線Lbより下側に表示されている状態は、縫製作業ペースが基準より速く、縫製作業が進んでいる状態であるので、ユーザは、指標線Lbに対する更新指標線Luの配置を確認することで、縫製作業ペースの良し悪しを容易に判断することができる。
【0047】
また、11時から12時までの1時間の実績終了数が「6枚」であったとすると、図11に示すように、グラフ表示エリア21aにおける11時から12時の範囲に実績終了数「6枚」を示す棒グラフが通常表示される。そして、ここまでに「41枚」の縫製を終えており、残りの6時間で縫製しなければならない枚数は94枚となり、目標終了数は「約16枚(≒94枚/6時間)」となるので、図11に示す表示画面におけるグラフ表示エリア21aに、目標終了数「16枚」を示す更新指標線Luが表示される。
なお、目標終了数を示す更新指標線Luが、当初基準の指標線Lbより上側に表示されている状態は、縫製作業ペースが基準より遅く、縫製作業が遅れている状態であるので、ユーザは、指標線Lbに対する更新指標線Luの配置を確認することで、縫製作業ペースの良し悪しを容易に判断することができる。
【0048】
一方、CPU26が、全ての縫製作業を完了したと判断すると(ステップS113;Yes)、グラフ表示処理を終了する。
なお、9時から10時までの実績終了数が「15枚」、10時から11時までの実績終了数が「20枚」、11時から12時までの実績終了数が「6枚」、12時から13時までの実績終了数が「12枚」、13時から14時までの実績終了数が「14枚」、14時から15時までの実績終了数が「18枚」、15時から16時までの実績終了数が「19枚」、16時から17時までの実績終了数が「14枚」、17時から18時までの実績終了数が「17枚」であったとすると、図12に示す表示画面のようなグラフが、表示部21のグラフ表示エリア21aに表示されることとなる。
【0049】
このように、本発明に係るミシンの生産管理装置である縫製システム装置100は、ミシン10において実行されて完了した所定縫製作業の縫製終了数をカウントするように、所定の単位時間毎に縫製終了の数を集計して、その単位時間あたりの所定縫製作業の実績終了数を取得し、操作パネル20の表示部21におけるグラフ表示エリア21aにその実績終了数を示す棒グラフを表示することができる。
特に、縫製システム装置100は、単位時間あたりに実行するべき所定縫製作業の目標終了数(目標枚数)を示す指標である指標線Lbを、実績終了数を示す棒グラフとともにグラフ表示エリア21aに表示することができるので、ユーザは、指標線Lbを視認してその目標枚数を認識したうえで縫製作業を行うことができるようになり、縫製作業ペースを確認しつつ縫製作業を実行することができる。
更に、縫製システム装置100は、それまでに終了した実績終了数に応じて、残りの期間における単位時間あたりに実行するべき所定縫製作業の目標終了数を再設定し、その再設定された目標終了数を示す指標である指標線Luをグラフ表示エリア21aに表示することができるので、ユーザは、時間の経過に伴う縫製作業の進行具合に応じた目標枚数を認識したうえで縫製作業を行うことができるようになり、より実際の作業状況に応じた縫製作業ペースを確認して縫製作業を行うことができる。
【0050】
また、縫製システム装置100は、単位時間あたりの実績終了数が、指標線Lbが示す目標終了数以上となった場合に、その実績終了数を示す棒グラフを他のグラフと識別可能とするように、他のグラフとは異なる表示形態で表示することができるので、ユーザは、各単位時間の縫製作業を終えた際に、その棒グラフの表示形態を視認して確認することによって、その単位時間での縫製作業ペースの良し悪しを容易に判断することができる。
【0051】
このように、縫製システム装置100における操作パネル20の表示部21に表示されるグラフや指標をユーザが視認することによって、ユーザは、ミシン10において実行する所定縫製作業の進行具合を確認することや、目標数の縫製作業を完了するための縫製作業ペースに関する情報を得ることができるので、この縫製システム装置100は、現在の縫製作業ペースが、ノルマ(目標生産枚数)である目標数を達成するために適正であるか否かの判断を可能にし、縫製作業を実行するユーザがその判断を容易に行うことができるミシンの生産管理装置であるといえる。
【0052】
なお、以上の実施の形態においては、指標線Lbに対応する目標終了数より実績終了数が多かった場合に、その棒グラフを他のグラフと識別可能とするように、他のグラフとは異なる色で着色するようにして表示するとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、更新指標線Luに対応する目標終了数より実績終了数が多かった場合に、棒グラフを着色するようにしてもよい。
【0053】
また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
例えば、上記実施の形態では、CPU26は、単位時間毎に、目標終了数を再設定するとともに、再設定された目標終了数に対応するように指標線Luをグラフ表示エリア21aに更新表示しているが、目標終了数の再設定および指標線Luの更新表示は、カウント手段により縫製終了数が1つカウントされる毎に行ってもよい。この場合、ユーザは、ほぼリアルタイムで縫製作業ペースの良し悪しを判断することができる。
また、上記実施の形態では、目標数の縫製を完了すべき期限として予め当日の午後6時が固定的に設定されており、目標数は、目標の設定が行われた時点から当日の午後6時までに完了すべき縫製終了数として設定される構成のミシンの生産管理装置を例に説明したが、目標数の縫製を完了すべき期限を設定する期限設定手段及び目標数の縫製に対する縫製作業の開始時期を設定する開始時期設定手段の少なくとも一方を設け、CPU26は、期限設定手段及び開始時期設定手段の一方を読み込むことにより設定された期限及び時期に応じて実績終了数及び目標終了数に関する表示を行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に係る縫製システム装置の正面図である。
【図2】本発明に係る縫製システム装置の要部構成を示すブロック図である。
【図3】操作パネルの正面図である。
【図4】単位時間当たりの縫製終了数を計測する処理を示す説明図である。
【図5】本発明に係る縫製システム装置における、グラフの表示処理を示すフローチャートである。
【図6】操作パネルの表示部に表示されるグラフ画面の一例を示す説明図である。
【図7】操作パネルの表示部に表示される表示画面の一例を示す説明図である。
【図8】操作パネルの表示部に表示されるグラフ画面の一例を示す説明図である。
【図9】操作パネルの表示部に表示されるグラフ画面の一例を示す説明図である。
【図10】操作パネルの表示部に表示されるグラフ画面の一例を示す説明図である。
【図11】操作パネルの表示部に表示されるグラフ画面の一例を示す説明図である。
【図12】操作パネルの表示部に表示されるグラフ画面の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0055】
10 ミシン
11 制御装置
20 操作パネル
21 表示部(表示手段)
21a グラフ表示エリア
22 操作ボタン(目標数入力手段)
22a 目標枚数設定キー
22b テンキー(目標数入力手段)
23 タイマー
24 メモリ
26 CPU(カウント手段、実績終了数算出手段、目標数入力手段、目標終了数設定手段、指標表示制御手段、判断手段、識別表示制御手段)
100 縫製システム装置(ミシンの生産管理装置)
Lb 指標線
Lu 更新指標線
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミシンの生産管理装置に係り、特に、縫製工場で作業者が縫い上げる被縫製物の枚数などの生産履歴を集計するためのミシンの生産管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所定の縫製作業が完了する度にその終了を示す時刻をメモリに順次記憶し、その記憶された時刻に基づいて単位時間当たりの縫製作業の終了数を算出し、その算出された単位時間当たりの縫製終了数(縫製枚数)を単位時間毎にグラフとして表示するミシンの生産管理装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2006−198395号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1の場合、ミシンオペレータは、これまでに縫製を終了した被縫製物の生産履歴である出来高(縫製枚数)について確認することはできるものの、目標の生産枚数に対するその出来高の割合を把握することができないので、ノルマなどの目標生産枚数を達成するための縫製作業ペースを確認することが困難であるという問題があった。
【0004】
本発明の目的は、現在の縫製作業ペースが、目標生産枚数を達成するために適正であるか否かの判断を可能にするミシンの生産管理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、完了した所定縫製作業の縫製終了数をカウントするカウント手段と、カウント手段によりカウントされた縫製終了数に基づき、所定の単位時間あたりの所定縫製作業の実績終了数を算出する実績終了数算出手段と、実績終了数算出手段により算出された所定縫製作業の実績終了数が、所定の単位時間毎のグラフとして表示される表示手段と、を備えるミシンの生産管理装置であって、所定の期限までに完了すべき所定縫製作業の目標数を設定入力する目標数入力手段と、目標数入力手段により設定入力された目標数の縫製作業を、所定の期限までに完了させるために、単位時間あたりに完了するべき所定縫製作業の目標終了数を設定する目標終了数設定手段と、目標終了数設定手段により設定された目標終了数を示す指標を前記グラフとともに前記表示手段に表示する指標表示制御手段と、を備え、目標終了数設定手段は、カウント手段によりカウントされた縫製終了数に応じて、残りの期間における単位時間あたりに完了するべき所定縫製作業の目標終了数を設定することを特徴とする。
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、ミシンの生産管理装置は、完了した所定縫製作業の縫製終了数をカウントし、所定の単位時間毎の縫製終了の数を累積するように算出して、その単位時間あたりの所定縫製作業の実績終了数を取得し、表示手段にその実績終了数を示すグラフを表示するとともに、所定の期限までに完了すべき所定縫製作業の目標数に応じて設定された単位時間あたりに完了するべき所定縫製作業の目標終了数を示す指標を、そのグラフとともに表示手段に表示することができる。
特に、このミシンの生産管理装置は、所定の単位時間の経過毎に、それまでにカウントされた縫製終了数に応じて、残りの期間における単位時間あたりに完了するべき所定縫製作業の目標終了数を設定し、その設定された目標終了数を示す指標を表示手段に表示することができる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のミシンの生産管理装置において、実績終了数算出手段により算出された単位時間あたりの所定縫製作業の実績終了数が、目標終了数設定手段により設定された目標終了数を超えたか否かを判断する判断手段と、判断手段によって実績終了数が目標終了数を超えたと判断された場合に、目標終了数を超えた実績終了数に対応するグラフを識別可能に表示する識別表示制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の作用を奏するとともに、ミシンの生産管理装置は、所定の単位時間あたりの所定縫製作業の実績終了数が目標終了数を超えたと判断した場合に、その目標終了数を超えた実績終了数に対応するグラフを識別可能に表示することができるので、ユーザは、その識別可能に表示されたグラフを他のグラフと区別して認識することができる。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、ミシンの生産管理装置は、完了した所定縫製作業の縫製終了数をカウントし、所定の単位時間毎の縫製終了数を累積するように算出して、その単位時間あたりの所定縫製作業の実績終了数を取得し、表示手段にその実績終了数を示すグラフを表示するとともに、所定の期限までに完了すべき所定縫製作業の目標数に応じて設定された単位時間あたりに完了するべき所定縫製作業の目標終了数を示す指標を、そのグラフとともに表示手段に表示することができる。特に、このミシンの生産管理装置は、それまでに縫製が完了した縫製終了数に応じて、残りの期間における単位時間あたりに完了するべき所定縫製作業の目標終了数を設定し、その設定された目標終了数を示す指標を表示手段に表示することができる。
【0010】
つまり、ユーザは、表示手段に表示される、所定の単位時間あたりに実行するべき所定縫製作業の目標終了数を示す指標を、実績終了数を示すグラフとともに視認してその目標枚数を認識したうえで縫製作業を行うことが可能となり、縫製作業ペースを確認しつつ縫製作業を実行することができる。
特に、このミシンの生産管理装置は、それまでに縫製が完了した縫製終了数に応じて、残りの期間における単位時間あたりに完了するべき所定縫製作業の目標終了数を設定し、その設定された目標終了数を示す指標を表示手段に表示することができるので、ユーザは、時間の経過に伴う縫製作業の進行具合に応じた目標枚数を認識したうえで縫製作業を行うことが可能となり、より実際の作業状況に応じた縫製作業ペースを確認して縫製作業を行うことができる。
従って、このミシンの生産管理装置は、現在の縫製作業ペースが、目標の生産枚数である目標数を達成するために適正であるか否かの判断を、ユーザが容易に行うことを可能にするミシンの生産管理装置であるといえる。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、ミシンの生産管理装置は、所定の単位時間あたりの所定縫製作業の実績終了数が目標終了数を超えたと判断した場合に、その目標終了数を超えた実績終了数に対応するグラフを識別可能に表示することができるので、ユーザは、その識別可能に表示されたグラフを他のグラフと区別して認識することができる。
つまり、このミシンの生産管理装置は、単位時間あたりの実績終了数が、指標として表示される目標終了数以上となった場合に、その実績終了数を示すグラフを他のグラフと識別可能とするように、他のグラフとは異なる色や模様など、異なる表示形態でそのグラフを表示することができるので、ユーザは、各単位時間の縫製作業を終えた際に、そのグラフの表示形態を視認して確認することにより、その単位時間での縫製作業ペースの良し悪しを容易に判断することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図1から図12に基づいて説明する。
本発明に係るミシンの生産管理装置は、ミシンを備える縫製システム装置にミシンの一部の機能として組み込まれている。
【0013】
本実施形態たるミシンの生産管理装置としての縫製システム装置100は、図1に示すように、ミシン10と、ミシン10に接続される操作パネル20とを有する。
【0014】
ミシン10は、図1に示すように、電源スイッチ4のオンにより給電されるミシンモータ5と、ミシンモータ5の回転駆動がベルト6を介して伝達される図示しないミシン主軸と、そのミシン主軸の回転駆動により上下動する針棒2と、針棒2に交換可能に備えられるミシン針3と、針棒2(ミシン針3)の下方において被縫製物を布送りする布送り機構8と、ミシン10を操作するためのペダル7と、ミシンの各部を制御する制御装置11(図2参照)が内部に収容されている制御ボックス9等を備えている。なお、ミシン10には、図示しない有線又は無線の回線(信号線)により操作パネル20が接続されている。
【0015】
また、ミシン10は、図2に示すように、制御ボックス9内に収容される制御装置11と、ペダル7の操作位置を検出して各種指令信号を出力するペダルセンサ12と、ミシンの主軸の回転速度及び回転位置を検出する回転センサー14と、ミシンの各部を動作させる各種アクチュエータ16と、ミシンの動作処理等に関する各種データが記憶されるメモリ15と、図示しない糸切り機構を起動させる糸切りスイッチ17等を備えている。
なお、メモリ15は、RAM、ROM、EEPROMなどによって構成される様々な記憶領域を有しており、各種データに応じた領域にそれらデータが格納されるようになっている。
【0016】
そして、ミシン10において、ペダル7の操作に基づき回転指令信号がペダルセンサ12から制御装置11に対して出力されることに伴いミシンモータ5が回転駆動して、針棒2(ミシン針3)が上下動する運針が開始されるとともに、布送り機構8が所定の布送りピッチで被縫製物を布送りすることによって、縫製が行われる。なお、ミシン10は、回転センサー14からの信号や、メモリ15に記憶された縫製データや、操作パネル20で設定されたデータ等に基づき、制御装置11がミシンモータ5や布送り機構8、各種アクチュエータ16等を制御して、縫製を実行する。
また、縫製終了時、ペダル7の操作に基づき、ペダルセンサ12から糸切り指令信号が制御装置11に対して出力されることによって、図示しない糸切り機構が糸切りを行うとともに、ミシン10(制御装置11)は、その糸切り機構による糸切りのタイミングに伴う糸切り信号を、信号線10aを介して操作パネル20に送信する。
【0017】
操作パネル20は、図2、図3に示すように、液晶表示を行う表示部21と、表示部21に重ね合わされる透明のタッチパネル式の各種操作ボタン22と、ミシン10において縫製された被縫製物の縫製枚数(縫製終了数)の計測を開始するためのスイッチ30と、各種データを記憶するメモリ24と、計時処理を行うタイマー23と、操作パネルにおける各種制御処理を行うCPU26等を備えている。
なお、メモリ24は、RAM、ROM、EEPROMなどによって構成される様々な記憶領域を有しており、各種データに応じた領域にそれらデータが格納されるようになっている。
また、操作パネル20には、メモリーカード31などの記録媒体が着脱可能に備えられており、操作パネル20は、そのメモリーカード31に記録された各種情報やデータを読み出したり、様々な情報やデータをメモリーカード31に書き込んだりすることが可能になっている。
そして、操作パネル20は、各種操作ボタン22が操作されたことに基づく各種操作信号に応じて設定された各種設定情報に基づく各種設定処理を実行する。そして、操作パネル20において設定処理された各種データが、信号線10bを介してミシン10に送信されて、ミシン10の縫製制御等に利用される。
【0018】
表示部21は、様々な操作キーやスイッチ、各種設定値や各種縫製データ等を表示可能になっている。特に、表示部21は、単位時間毎の縫製終了数を、時間対縫製終了数の棒グラフとして表示する表示手段として機能する。
【0019】
操作ボタン22は、表示部21に表示されている操作キーやスイッチに対応する位置が押下されて操作されたことに基づく各種操作信号をCPU26に出力する。
【0020】
CPU26は、縫製終了のタイミングを示す糸切り信号が発生する度に、タイマー23が計時するその糸切り信号の発生時刻を特定する情報(発生時刻データ)をメモリ24に出力する。
【0021】
メモリ24は、CPU26により出力されたタイマー23が計時した糸切り信号の発生時刻を特定する情報や、CPU26によって算出されたり設定されたりした各種データ(例えば、実績終了数、目標数、目標終了数など)等を記憶する。
【0022】
また、CPU26は、ミシン10が実行した所定縫製作業の縫製完了毎に出力される糸切り信号などのカウント信号に基づき、完了した所定縫製作業の縫製終了数をカウントするカウント手段として機能する。
【0023】
また、CPU26は、カウント手段としてのCPU26によりカウントされた縫製終了数と、メモリ24に記憶された前述の発生時刻データとに基づき、所定の単位時間あたりの所定縫製作業の実績終了数を算出する実績終了数算出手段として機能する。
例えば、実績終了数算出手段としてのCPU26は、メモリ24に記憶された糸切り信号の発生時刻データに基づき、所定の単位時間毎(例えば、1時間毎、24時間(1日)毎など)の発生時刻データの数を加算するようにして、ユーザが実際に行った所定縫製作業であって、その縫製作業が終了した実績終了数を算出する制御を実行する。
【0024】
また、CPU26は、実績終了数算出手段としてのCPU26により算出された所定縫製作業の実績終了数を、所定の単位時間毎のグラフとして表示部21に表示する表示制御手段として機能する。なお、CPU26が処理した表示に関するグラフ等のデータは、表示制御回路25を介して出力されて表示部21に表示される。また、そのグラフに関するデータは、メモリ24に記憶し格納される。
【0025】
また、CPU26は、操作ボタン22とともに所定の期限までに完了すべき所定縫製作業の目標数を設定入力する目標数入力手段として機能する。
なお、目標数入力手段としてのCPU26は、目標数入力手段の一部として機能する操作ボタン22を介して入力された目標数をメモリ24に記憶するようにして、その目標数を入力設定するようになっている。
【0026】
また、CPU26は、目標数入力手段としてのCPU26により設定入力された目標数の縫製作業を所定の期限までに完了させるために、所定の単位時間あたりに完了するべき所定縫製作業の目標終了数を設定する目標終了数設定手段として機能する。
具体的には、上述の目標数入力手段により所定の期限までに完了させるべき目標数が設定入力された場合には、目標終了数設定手段としてのCPU26は、所定縫製作業の実行開始前においてはその設定入力された目標数を、それまでにカウント手段としてのCPU26によりカウントされた縫製終了数が“0”であるものとして、所定の単位時間(1時間)あたりに完了するべき所定縫製作業の目標終了数として設定する制御を実行する。
また、例えば、所定の期限が当日の午後6時である場合に、当日の午前9時に、所定の期限(当日の午後6時)までに完了させるべき目標数が、例えば、90枚として設定入力された場合には、目標終了数設定手段としてのCPU26は、その設定入力された目標数を1日の作業時間(この場合は、9時間)で除算して得られた目標終了数(例えば、10枚)を、所定の単位時間(1時間)あたりに完了するべき所定縫製作業の終了数である目標終了数として設定する制御を実行する。なお、所定の期限である10日間や1ヶ月などの作業で完了させるべき目標数が設定入力された場合も同様に、所定の単位時間(1時間)あたりに完了するべき所定縫製作業の目標終了数として設定するようにすればよい。
【0027】
そして、目標終了数設定手段としてのCPU26は、上述の所定の縫製作業が開始された後は、それまでに縫製が終了(完了)した縫製終了数に応じて、目標数として設定された90枚の縫製作業を所定の期限までに完了させるために、残りの期間における単位時間あたりに完了するべき所定縫製作業の目標終了数を設定する制御を実行する。
具体的には、例えば、1日、9時間の作業時間で、90枚の縫製作業を完了させなければならない場合、縫製作業開始時点では、所定の単位時間(1時間)あたりに完了するべき所定縫製作業の目標終了数は「10枚」である。
そして、最初の1時間で「10枚」の縫製を完了すると、残りの期間である8時間で80枚の縫製作業を終えるように、残りの期間における単位時間あたりに完了するべき所定縫製作業の目標終了数が「10枚」と設定される。
一方、最初の1時間で「2枚」の実績終了数の縫製を完了すると、残りの期間である8時間で88枚の縫製作業を終えるように、残りの期間における単位時間あたりに完了するべき所定縫製作業の目標終了数が「11枚」と設定される。
また、最初の1時間で「18枚」の実績終了数の縫製を完了すると、残りの期間である8時間で72枚の縫製作業を終えるように、残りの期間における単位時間あたりに完了するべき所定縫製作業の目標終了数が「9枚」と設定される。
【0028】
また、CPU26は、目標終了数設定手段としてのCPU26により設定された目標終了数を示す指標を、実績終了数のグラフとともに表示部21に表示する指標表示制御手段として機能する。なお、CPU26が処理した表示に関する指標のデータは、表示制御回路25を介して出力されて表示部21に表示される。また、その指標に関するデータは、メモリ24に記憶し格納される。
【0029】
特に、指標表示制御手段としてのCPU26は、目標終了数設定手段としてのCPU26によって設定された最新の目標終了数を示す指標を表示する制御を実行する。
なお、指標表示制御手段としてのCPU26は、縫製作業開始時点における目標終了数を示す指標を表示部21に表示したまま、縫製作業開始後における所定の単位時間の経過毎に新たに設定される目標終了数を示す指標を表示するようにしてもよく、また、所定の単位時間の経過毎に新たに設定される目標終了数を示す指標のみを表示部21に表示するようにしてもよい。
【0030】
また、CPU26は、実績終了数算出手段としてのCPU26により算出された単位時間あたりの所定縫製作業の実績終了数が、目標終了数設定手段としてのCPU26により縫製作業開始前に設定された目標終了数を超えたか否かを判断する判断手段として機能する。
【0031】
また、CPU26は、判断手段としてのCPU26により、実績終了数が縫製作業開始前の目標終了数を超えたと判断された場合に、目標終了数を超えた実績終了数に対応するグラフを表示部21に識別可能に表示する識別表示制御手段として機能する。
例えば、識別表示制御手段としてのCPU26は、目標終了数を超えた実績終了数に対応するグラフを他のグラフとは異なる色や異なる表示形態で表示するようにして、そのグラフを容易に識別することができるように表示する制御を実行する。
【0032】
次に、縫製システム装置100において行われる被縫製物の縫製終了数の計測に関する生産管理について説明する。
【0033】
生産管理を行うために、ミシン10による単位時間当たりの被縫製物の縫製終了数を計測する場合、まず、操作パネル20のスイッチ30をオンにする。スイッチ30がオンになると、操作パネル20のCPU26は、被縫製物1枚の縫製が終了するごとに送信されてくる糸切り信号を検知する。そして、その糸切り信号を検知したタイミングは、タイマー23が計時する時刻により検出することができるので、CPU26は、糸切り信号を検知した糸切り信号発生時刻を、被縫製物1枚の縫製終了を示す時刻として、メモリ24に記憶する。
この糸切り信号の検知に伴い被縫製物1枚の縫製終了を示す時刻を記憶する、縫製終了数の計測処理の状態を図4に示す。
【0034】
図4に示すように、例えば、スイッチ30がオンにされ、被縫製物の縫製終了数の計測が時刻t0に開始されて、時刻t1において糸切り信号が発生すると、その時刻t1において被縫製物1枚の縫製が完了したことを意味するので、その時刻t0及びt1をメモリ24の所定のアドレスA0及びA1にそれぞれ記憶する。そして、スイッチ30がオフにされて、縫製終了数の計測が終了される時刻までに順次発生する糸切り信号の発生時刻t2、t3…tnを、連続するアドレスA2、A3…Anに順次記憶する。ここで、スイッチ30がオンにされてからオフにされるまでの時間範囲が、メモリ24に記憶された縫製時間データが及ぶ縫製時間範囲に対応する。
なお、メモリ24はFIFOメモリとして構成されているので、容量がなくなると、最初に記憶された情報から失われていく。また、タイマー23が計時し出力する時刻には、何時何分何秒などの時間情報だけでなく、何月何日などの日時情報も含まれているので、メモリ24に記憶し格納されている時刻情報は、時間情報だけでなく日時情報も含む。
【0035】
そして、CPU26は、メモリ24に記憶されている縫製終了のタイミングを示す時刻データ(糸切り信号発生時刻)に基づき、所定の単位時間当たりの縫製終了数を各時間範囲ごとに取得し集計して、例えば、図12に示す操作パネル20の表示部21に表示されるような、時間対縫製終了数のグラフに関するグラフデータを作成する。なお、図12に示すグラフデータは、単位時間D1が60分(1時間)と設定されているものである。
このグラフデータを作成する際に、CPU26は、計測開始時刻T0(=t0)(0分)から1時間、2時間・・・と、単位時間ごとの時刻T1、T2…を計測するとともに、単位時間である各60分間に対応するアドレスに糸切り信号発生時刻がいくつ記憶されているか計測する。
例えば、CPU26は、時刻T0直後の時刻t1を記憶するアドレスと、60分後の時刻T1までの時刻が記憶されているアドレスを求め、その両アドレス並びにその間のアドレスに記憶されている糸切り信号発生時刻の数を計測する。以下同様に、時刻T(i)直後の時刻が記憶されているアドレスと、時刻T(i+1)までの時刻が記憶されているアドレスを求め、その両アドレス並びにその間のアドレスに記憶されている糸切り信号発生時刻の数を計測する。
具体的には、例えば、9時以降10時までの60分に検知され記録された糸切り信号は15個で縫製終了数は「15」、10時以降11時までの60分に検知され記録された糸切り信号は20個で縫製終了数は「20」、11時以降12時までの60分に検知され記録された糸切り信号は6個で縫製終了数は「6」、12時以降13時までの60分に検知され記録された糸切り信号は12個で縫製終了数は「12」…のように、糸切り信号発生時刻の数に基づき縫製終了数を計測する。
なお、各単位時間ごとの縫製終了数(グラフデータ)は、メモリ24に記憶される。
【0036】
次に、この縫製システム装置100における、グラフの表示処理について、図5に示すフローチャートに基づき説明する。
【0037】
まず、操作パネル20における所定の生産管理ボタン(図示省略)が押下されたことに基づき、図6に示すようなグラフ画面が表示部21に表示される(ステップS101)。
なお、この表示部21におけるグラフ画面には、グラフ表示エリア21aと、操作ボタン22である目標枚数設定キー22aとが備えられている。
【0038】
次いで、CPU26は、目標枚数設定キー22aが押下されたか否かを判断する(ステップS102)。
CPU26が、目標枚数設定キー22aは押下されていないと判断すると(ステップS102;No)、ステップS101に戻る。
一方、CPU26が、目標枚数設定キー22aが押下されたと判断すると(ステップS102;Yes)、CPU26は、図7に示すような、目標数入力手段の一部として機能する操作ボタン22であるテンキー22bが備えられる表示画面を操作パネル20の表示部21に表示する(ステップS103)。なお、この表示部21におけるテンキー表示画面には、テンキー22bが操作されて入力された目標数を表示する目標数表示エリア21bと、その入力された目標数値を確定して前のグラフ画面に戻るためのエンターキー22cと、その入力された目標数値を破棄して前のグラフ画面に戻るためのキャンセルキー22dとが備えられている。
【0039】
次いで、CPU26は、テンキー22bが押下されて、所定の期限までに完了すべき任意の目標数が設定入力されたか否かを判断する(ステップS104)。
なお、本実施形態においては、所定の期限として予め当日の午後6時が固定的に設定されており、上述の目標数は、目標の設定が行われた時点から当日の午後6時までに完了すべき目標数として設定されるものとして説明する。
例えば、午前9時の時点において、即縫製を開始して当日の午後6時までに完了すべき目標数が135枚である場合は、テンキー22bを押下して「135」を目標数表示エリア21bに表示させた上でエンターキー22cを押すことにより、所定の期限までに完了すべき目標数が設定される。
【0040】
CPU26が、任意の目標数が設定入力されていないと判断すると(ステップS104;No)、ステップS103に戻る。
CPU26は、入力された目標数の縫製作業を所定の期限としての午後6時までに完了させるために、単位時間あたりに完了すべき所定の縫製作業の目標終了数を演算して設定するとともに、設定された目標終了数を示す指標である指標線Lbを操作パネル20のグラフ表示エリア21aに表示する(ステップS105)。
例えば、上述のように、午前9時の時点において、即縫製を開始して当日の午後6時までに完了すべき目標数が135枚として入力された場合は、CPU26は、135枚を午前9時から午後6時までの期間(9時間)で除算して(135/9=15)、15枚を縫製開始時の単位時間(ここでは1時間を単位時間とする)あたりに完了するべき縫製作業の目標終了数(以下、単に目標終了数ともいう)として設定し、図8に示すように、その指標Lbをグラフ表示エリア21aに表示する。
【0041】
次いで、CPU26は、所定縫製作業の縫製が完了する毎にミシン10から出力される糸切り信号が入力されたか否かを判定し(ステップS106)、糸切り信号が入力された場合(ステップS106;Yes)は、糸切り信号をカウントして(ステップS107)、ステップS108に移行する。
一方、CPU26は、ステップS106において、糸切り信号が入力されないと判断すると、そのままステップS108に移行する。
次いで、CPU26は、所定の単位時間である1時間が経過したか否かを判断する(ステップS108)。
CPU26が、単位時間経過していないと判断すると(ステップS108;No)、ステップS106に戻る。
【0042】
一方、CPU26が、単位時間経過したと判断すると(ステップS108;Yes)、CPU26は、カウントされた糸切り信号に基づく縫製終了の数に応じて、所定の単位時間あたりに縫製が完了した所定縫製作業の実績終了数を算出し、その算出した実績終了数に対応するグラフを表示部21のグラフ表示エリア21aに表示する(ステップS109)。
ここで、9時から10時までの1時間の実績終了数が「15枚」であったとすると、図9に示すように、グラフ表示エリア21aにおける9時から10時の範囲に実績終了数「15枚」を示す棒グラフが表示される。
【0043】
また、CPU26は、その算出した実績終了数が目標終了数以上であるか否かを判断する(ステップS110)。
CPU26が、実績終了数が目標終了数以上であると判断すると(ステップS110;Yes)、その棒グラフを他のグラフと識別可能とするように、他のグラフとは異なる色で着色するようにして表示し(ステップS111)、ステップS112へ進む。
一方、CPU26が、実績終了数は目標終了数未満であると判断すると(ステップS110;No)、棒グラフを通常表示のまま、ステップS112へ進む。
なお、9時から10時までの実績終了数は「15枚」であるので、図9に示すその棒グラフは着色されて表示されている。
【0044】
そして、CPU26は、残りの期間である8時間において、単位時間あたりに完了するべき目標終了数を再設定し、その再設定された目標終了数を表示するように、指標の更新を行う(ステップS112)。
なお、ここで「15枚」の縫製を終えており、残りの8時間で縫製しなければならない枚数は120枚であるので、単位時間あたりに縫製を完了するべき目標終了数は「15枚(=120枚/8時間)」となるために、図9に示す表示画面において指標線は表示変更されていない。
【0045】
次いで、CPU26は、全ての縫製作業を完了したか否かを判断する(ステップS113)。
CPU26が、全ての縫製作業を完了していないと判断すると(ステップS113;No)、ステップS106に戻り、糸切り信号に基づいて、次の単位時間に応じた縫製終了をカウントし、各単位時間毎のグラフ表示処理を継続する。
【0046】
ここで、10時から11時までの1時間の実績終了数が「20枚」であったとすると、図10に示すように、グラフ表示エリア21aにおける10時から11時の範囲に実績終了数「20枚」を示す棒グラフが着色されて表示される。そして、ここまでに「35枚」の縫製を終えており、期限である午後6時までの残りの7時間で縫製しなければならない枚数は100枚となり、目標終了数は「約14枚(≒100枚/7時間)」となるので、図10に示す表示画面におけるグラフ表示エリア21aに、目標終了数「14枚」を示す指標線Luが表示される。
なお、目標終了数を示す指標線Luが、当初基準の指標線Lbより下側に表示されている状態は、縫製作業ペースが基準より速く、縫製作業が進んでいる状態であるので、ユーザは、指標線Lbに対する更新指標線Luの配置を確認することで、縫製作業ペースの良し悪しを容易に判断することができる。
【0047】
また、11時から12時までの1時間の実績終了数が「6枚」であったとすると、図11に示すように、グラフ表示エリア21aにおける11時から12時の範囲に実績終了数「6枚」を示す棒グラフが通常表示される。そして、ここまでに「41枚」の縫製を終えており、残りの6時間で縫製しなければならない枚数は94枚となり、目標終了数は「約16枚(≒94枚/6時間)」となるので、図11に示す表示画面におけるグラフ表示エリア21aに、目標終了数「16枚」を示す更新指標線Luが表示される。
なお、目標終了数を示す更新指標線Luが、当初基準の指標線Lbより上側に表示されている状態は、縫製作業ペースが基準より遅く、縫製作業が遅れている状態であるので、ユーザは、指標線Lbに対する更新指標線Luの配置を確認することで、縫製作業ペースの良し悪しを容易に判断することができる。
【0048】
一方、CPU26が、全ての縫製作業を完了したと判断すると(ステップS113;Yes)、グラフ表示処理を終了する。
なお、9時から10時までの実績終了数が「15枚」、10時から11時までの実績終了数が「20枚」、11時から12時までの実績終了数が「6枚」、12時から13時までの実績終了数が「12枚」、13時から14時までの実績終了数が「14枚」、14時から15時までの実績終了数が「18枚」、15時から16時までの実績終了数が「19枚」、16時から17時までの実績終了数が「14枚」、17時から18時までの実績終了数が「17枚」であったとすると、図12に示す表示画面のようなグラフが、表示部21のグラフ表示エリア21aに表示されることとなる。
【0049】
このように、本発明に係るミシンの生産管理装置である縫製システム装置100は、ミシン10において実行されて完了した所定縫製作業の縫製終了数をカウントするように、所定の単位時間毎に縫製終了の数を集計して、その単位時間あたりの所定縫製作業の実績終了数を取得し、操作パネル20の表示部21におけるグラフ表示エリア21aにその実績終了数を示す棒グラフを表示することができる。
特に、縫製システム装置100は、単位時間あたりに実行するべき所定縫製作業の目標終了数(目標枚数)を示す指標である指標線Lbを、実績終了数を示す棒グラフとともにグラフ表示エリア21aに表示することができるので、ユーザは、指標線Lbを視認してその目標枚数を認識したうえで縫製作業を行うことができるようになり、縫製作業ペースを確認しつつ縫製作業を実行することができる。
更に、縫製システム装置100は、それまでに終了した実績終了数に応じて、残りの期間における単位時間あたりに実行するべき所定縫製作業の目標終了数を再設定し、その再設定された目標終了数を示す指標である指標線Luをグラフ表示エリア21aに表示することができるので、ユーザは、時間の経過に伴う縫製作業の進行具合に応じた目標枚数を認識したうえで縫製作業を行うことができるようになり、より実際の作業状況に応じた縫製作業ペースを確認して縫製作業を行うことができる。
【0050】
また、縫製システム装置100は、単位時間あたりの実績終了数が、指標線Lbが示す目標終了数以上となった場合に、その実績終了数を示す棒グラフを他のグラフと識別可能とするように、他のグラフとは異なる表示形態で表示することができるので、ユーザは、各単位時間の縫製作業を終えた際に、その棒グラフの表示形態を視認して確認することによって、その単位時間での縫製作業ペースの良し悪しを容易に判断することができる。
【0051】
このように、縫製システム装置100における操作パネル20の表示部21に表示されるグラフや指標をユーザが視認することによって、ユーザは、ミシン10において実行する所定縫製作業の進行具合を確認することや、目標数の縫製作業を完了するための縫製作業ペースに関する情報を得ることができるので、この縫製システム装置100は、現在の縫製作業ペースが、ノルマ(目標生産枚数)である目標数を達成するために適正であるか否かの判断を可能にし、縫製作業を実行するユーザがその判断を容易に行うことができるミシンの生産管理装置であるといえる。
【0052】
なお、以上の実施の形態においては、指標線Lbに対応する目標終了数より実績終了数が多かった場合に、その棒グラフを他のグラフと識別可能とするように、他のグラフとは異なる色で着色するようにして表示するとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、更新指標線Luに対応する目標終了数より実績終了数が多かった場合に、棒グラフを着色するようにしてもよい。
【0053】
また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
例えば、上記実施の形態では、CPU26は、単位時間毎に、目標終了数を再設定するとともに、再設定された目標終了数に対応するように指標線Luをグラフ表示エリア21aに更新表示しているが、目標終了数の再設定および指標線Luの更新表示は、カウント手段により縫製終了数が1つカウントされる毎に行ってもよい。この場合、ユーザは、ほぼリアルタイムで縫製作業ペースの良し悪しを判断することができる。
また、上記実施の形態では、目標数の縫製を完了すべき期限として予め当日の午後6時が固定的に設定されており、目標数は、目標の設定が行われた時点から当日の午後6時までに完了すべき縫製終了数として設定される構成のミシンの生産管理装置を例に説明したが、目標数の縫製を完了すべき期限を設定する期限設定手段及び目標数の縫製に対する縫製作業の開始時期を設定する開始時期設定手段の少なくとも一方を設け、CPU26は、期限設定手段及び開始時期設定手段の一方を読み込むことにより設定された期限及び時期に応じて実績終了数及び目標終了数に関する表示を行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に係る縫製システム装置の正面図である。
【図2】本発明に係る縫製システム装置の要部構成を示すブロック図である。
【図3】操作パネルの正面図である。
【図4】単位時間当たりの縫製終了数を計測する処理を示す説明図である。
【図5】本発明に係る縫製システム装置における、グラフの表示処理を示すフローチャートである。
【図6】操作パネルの表示部に表示されるグラフ画面の一例を示す説明図である。
【図7】操作パネルの表示部に表示される表示画面の一例を示す説明図である。
【図8】操作パネルの表示部に表示されるグラフ画面の一例を示す説明図である。
【図9】操作パネルの表示部に表示されるグラフ画面の一例を示す説明図である。
【図10】操作パネルの表示部に表示されるグラフ画面の一例を示す説明図である。
【図11】操作パネルの表示部に表示されるグラフ画面の一例を示す説明図である。
【図12】操作パネルの表示部に表示されるグラフ画面の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0055】
10 ミシン
11 制御装置
20 操作パネル
21 表示部(表示手段)
21a グラフ表示エリア
22 操作ボタン(目標数入力手段)
22a 目標枚数設定キー
22b テンキー(目標数入力手段)
23 タイマー
24 メモリ
26 CPU(カウント手段、実績終了数算出手段、目標数入力手段、目標終了数設定手段、指標表示制御手段、判断手段、識別表示制御手段)
100 縫製システム装置(ミシンの生産管理装置)
Lb 指標線
Lu 更新指標線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
完了した所定縫製作業の縫製終了数をカウントするカウント手段と、
前記カウント手段によりカウントされた縫製終了数に基づき、所定の単位時間あたりの前記所定縫製作業の実績終了数を算出する実績終了数算出手段と、
前記実績終了数算出手段により算出された前記所定縫製作業の実績終了数が、所定の単位時間毎のグラフとして表示される表示手段と、
を備えるミシンの生産管理装置であって、
所定の期限までに完了すべき前記所定縫製作業の目標数を設定入力する目標数入力手段と、
前記目標数入力手段により設定入力された目標数の縫製作業を、前記所定の期限までに完了させるために、前記単位時間あたりに完了するべき前記所定縫製作業の目標終了数を設定する目標終了数設定手段と、
前記目標終了数設定手段により設定された目標終了数を示す指標を前記グラフとともに前記表示手段に表示する指標表示制御手段と、
を備え、
前記目標終了数設定手段は、前記カウント手段によりカウントされた縫製終了数に応じて、残りの期間における単位時間あたりに完了するべき前記所定縫製作業の目標終了数を設定することを特徴とするミシンの生産管理装置。
【請求項2】
前記実績終了数算出手段により算出された前記単位時間あたりの前記所定縫製作業の実績終了数が、前記目標終了数設定手段により設定された目標終了数を超えたか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段により、前記実績終了数が前記目標終了数を超えたと判断された場合に、目標終了数を超えた実績終了数に対応するグラフを識別可能に表示する識別表示制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のミシンの生産管理装置。
【請求項1】
完了した所定縫製作業の縫製終了数をカウントするカウント手段と、
前記カウント手段によりカウントされた縫製終了数に基づき、所定の単位時間あたりの前記所定縫製作業の実績終了数を算出する実績終了数算出手段と、
前記実績終了数算出手段により算出された前記所定縫製作業の実績終了数が、所定の単位時間毎のグラフとして表示される表示手段と、
を備えるミシンの生産管理装置であって、
所定の期限までに完了すべき前記所定縫製作業の目標数を設定入力する目標数入力手段と、
前記目標数入力手段により設定入力された目標数の縫製作業を、前記所定の期限までに完了させるために、前記単位時間あたりに完了するべき前記所定縫製作業の目標終了数を設定する目標終了数設定手段と、
前記目標終了数設定手段により設定された目標終了数を示す指標を前記グラフとともに前記表示手段に表示する指標表示制御手段と、
を備え、
前記目標終了数設定手段は、前記カウント手段によりカウントされた縫製終了数に応じて、残りの期間における単位時間あたりに完了するべき前記所定縫製作業の目標終了数を設定することを特徴とするミシンの生産管理装置。
【請求項2】
前記実績終了数算出手段により算出された前記単位時間あたりの前記所定縫製作業の実績終了数が、前記目標終了数設定手段により設定された目標終了数を超えたか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段により、前記実績終了数が前記目標終了数を超えたと判断された場合に、目標終了数を超えた実績終了数に対応するグラフを識別可能に表示する識別表示制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のミシンの生産管理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−17995(P2009−17995A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−182069(P2007−182069)
【出願日】平成19年7月11日(2007.7.11)
【出願人】(000003399)JUKI株式会社 (1,557)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月11日(2007.7.11)
【出願人】(000003399)JUKI株式会社 (1,557)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]