説明

ミストヘッド

【課題】 給水水圧が低く給湯量が少ない家庭用の小規模給湯器からも手軽且つ安定的に良好なミストシャワーを得ることができるミストヘッドを提供する。
【解決手段】 給湯器Aから供給された温水HWをミストシャワーMSとして外部前方に噴出させるミストノズル11を含むミストヘッドMHにおいて、3個以上のミストノズル11が、ヘッダー室3前壁にその周縁に沿って前方に外拡がりに且つ互に先拡がりに配置されると共に、各ミストノズル11が、ヘッダー室3から供給された温水HWを通過させる第二給湯路12と、前記第二給湯路12終端に連通して付設されると共に該第二給湯路12を介して供給された温水HWを貯留する第二ヘッダー室13と、前記第二ヘッダー室13前壁に穿設された複数のミスト噴出孔15とから構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室等において、比較的小規模の給湯器から供給された温水からも容易にミストシャワーを発生させるためのミストヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
浴室等においてミストシャワーを浴びることにより発汗を促し、或いは逆に身体を優しく冷却する等して、健康効果や美容効果を得ることが知られている。
【0003】
前記ミストシャワーを発生させるミストヘッドは、通常、給湯器から供給された温水を通過させる給湯路と、前記給湯路終端に連通して付設されると共に該給湯路を介して供給された温水を貯留するヘッダー室と、前記ヘッダー室に連通して設けられ、その内部に貯留された温水をミストシャワーとして外部前方に噴出させるミストノズルとから構成されている(特許文献1及び2)。また、前記ミストシャワーに酸素を供給するようにしたミストヘッドも提案されている(特許文献2)。
【0004】
しかしながら、従来の前記ミストヘッドは、ミストシャワーを発生させるために温水を加圧する圧力ポンプや高い位置の温水貯留タワーを要するものであり、家庭用の小規模ガス給湯器から手軽且つ安定的にミストシャワーを得ることは困難であった。即ち、家庭用の小規模給湯器では、通常、適量のミストシャワーを得るべく流量を絞ると給湯が不安定になる等の問題を発生する。
【特許文献1】特開2002−58609号公報
【特許文献2】特開2004−243065号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の解決すべき課題は、家庭用の小規模給湯器からも手軽且つ安定的に良好なミストシャワーを得ることができるミストヘッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明に係るミストヘッドは、給湯器から供給された温水を通過させる給湯路と、前記給湯路終端に連通して付設されると共に該給湯路を介して供給された温水を貯留するヘッダー室と、前記ヘッダー室に連通して設けられ、その内部に貯留された温水をミストシャワーとして外部前方に噴出させるミストノズルとからなるミストヘッドにおいて、3個以上のミストノズルが、ヘッダー室前壁にその周縁に沿って前方に外拡がりに且つ互に先拡がりに配置されると共に、各ミストノズルが、ヘッダー室から供給された温水を通過させる第二給湯路と、前記第二給湯路終端に連通して付設されると共に該第二給湯路を介して供給された温水を貯留する第二ヘッダー室と、前記第二ヘッダー室前壁に穿設されると共にその内部に貯留された温水をミストシャワーとして噴出させる複数のミスト噴出孔とからなることを特徴としている。
【0007】
前記構成において、給湯器から供給された温水は、給湯路を通過してヘッダー室に貯留されると共に3個以上のミストノズルに分配される。各ミストノズルに分配された温水は、第二給湯路を通過して第二ヘッダー室に貯留されると共に複数のミスト噴出孔からミストシャワーとなって噴出される。
【0008】
前記構成では、3個以上のミストノズルが、ヘッダー室前壁にその周縁に沿って前方に外拡がりに且つ互に先拡がりに配置されているので、各ミストノズルのミスト噴出孔から噴出したミストシャワーが該ミストノズルに隣接する他のミストノズルやその他のミストノズルのミスト噴出孔から噴出したミストシャワーと直接的に交差、衝突し難く、従ってミストシャワー間の交差、衝突による水滴化が生じ難い。また、前記構成では、給湯器から供給された温水が、給湯路及びヘッダー室を介して3個以上のミストノズルに分配されると共に、各ミストノズルに分配された温水が、第二給湯路及び第二ヘッダー室を介して複数のミスト噴出孔にさらに分配されるので、適量のミストシャワーを得るための流量の調節が容易である。
【0009】
請求項2に記載の発明に係るミストヘッドは、請求項1に係る発明において、3個以上のミストノズルが、ヘッダー室前壁に仮想上の円周に沿って互いに等間隔で配置されたものである。このような3個以上のミストノズルの均等配置により、各ミストノズルからより安定し且つより均質なミストシャワーの噴出が可能になる。
【0010】
請求項3に記載の発明に係るミストヘッドは、請求項1又は2に係る発明において、ヘッダー室前壁における3個以上のミストノズルで囲まれた位置に気体ノズルが外部前方への気体シャワーの噴出可能に設けられたものである。このような3個以上のミストノズルで囲まれた位置における気体ノズルの配置により、気体ノズルから噴出させた気体シャワーを、周辺に無用に分散させずにミストシャワーのカーテンで囲繞された状態で、ミストシャワー浴下に効果的な気体シャワー浴に供することができる。前記気体ノズルへの気体の供給については、例えば携帯用気体ボンベ若しくは設置された気体ボンベ、又はファン、ポンプ等の気体供給源からの供給管をミストヘッドの給湯路内部に又はそれに沿って温水とは混合されないように配管し、ヘッダー室の気体ノズル基部に連結してもよい。前記気体としては、例えば酸素、香りやイオン等を含む空気、或いは温風や冷風等が必要に応じて選択される。
【0011】
請求項4に記載の発明に係るミストヘッドは、請求項1、2又は3に係る発明において、給湯路からヘッダー室に至る任意の位置における温水中に、香料、着色剤、抗菌剤、栄養剤、塩素除去剤その他の添加剤が混入されたものである。このような添加剤の温水中への混入により、該添加剤を含み或いは該添加剤により改質されたミストシャワーがミストノズルから噴出されることになる。前記添加剤の混入方法として、例えば、該添加剤を液体、気体又は粉体として外部から給湯路やヘッダー室内に圧入や吸入等により供給し、或いは前記添加剤を温水との接触により漸次溶出可能に保持させたカートリッジ等の保持部材を温水の流通可能に給湯路やヘッダー室内に配置してもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1に係る発明によれば、給水水圧が低く給湯量が少ない家庭用の小規模給湯器からも手軽且つ安定的に良好なミストシャワーを得ることができるミストヘッドを提供することができる。
【0013】
本発明の請求項2に係る発明によれば、各ミストノズルからより安定し且つより均質なミストシャワーの噴出が得られる。本発明の請求項3に係る発明によれば、気体ノズルから噴出させた酸素その他の気体シャワーを、周辺に無用に分散させずにミストシャワーのカーテンで囲繞された状態で、ミストシャワー浴下に効果的な気体シャワー浴に供することができる。また、本発明の請求項4に係る発明によれば、香料その他の所要添加剤を含み或いは該添加剤により改質されたミストシャワーを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は本発明の実施例に係るミストヘッドの断面図、図2は図1に示すミストヘッドにおける壁蓋部分の正面図である。
【0015】
同図に示すミストヘッドMHにおいて、中間部に把持部が形成されると共に内側に幾分湾曲したミストヘッド本体1の基部に給湯口2が設けられると共にその遠端部には温水HWを貯留するヘッダー室3が設けられている。また、ミストヘッド本体1における前記給湯口2とヘッダー室3との間には、給湯口2に供給された温水HWを通過させてヘッダー室3に供給する給湯路4が設けられている。なお、前記給湯器Aからの温水HWは、該給湯器Aから高位置に設けた温水貯留槽(図示省略)を介してミストヘッド本体1の給湯口2に供給されても差し支えない。
【0016】
前記ヘッダー室3の内壁には開口部5の中央方向に筒状基台6が突設されると共に該筒状基台6の底部に雌ねじ7が切られ、前記開口部5には壁蓋8が設けられている。
【0017】
前記壁蓋8には、8個のミストノズル11が該壁蓋8の周縁における仮想上の円周に沿って前方に外拡がりに且つ互に先拡がりに互いに等間隔で埋設配置され、さらに気体ノズル21が前記壁蓋8の中央に埋設配置されている。なお、前記のミストノズル11及び気体ノズル21は、壁蓋8に埋設される代わりに壁蓋8から少なくとも一部外部に突設されても差し支えない。
【0018】
前記の各ミストノズル11は、ヘッダー室3から供給された温水HWを通過させる第二給湯路12と、前記第二給湯路12終端に連通して付設されると共に該第二給湯路12を介して供給された温水HWを貯留する第二ヘッダー室13と、前記第二ヘッダー室13の前壁14に穿設された3個のミスト噴出孔15とから構成されている。また、前記気体ノズル21には、その前壁22周囲に気体噴出口23が穿設されると共にその前壁22中央にねじ孔24が穿設されている。
【0019】
前記壁蓋8は、止めねじ10を気体ノズル21中央のねじ孔24から筒状基台6の内部空洞9を通って雌ねじ7に螺合することにより、ヘッダー室3の開口部5にそれをシール状態で閉鎖するように固定されている。前記壁蓋8による開口部5の閉鎖状態において、該壁蓋8裏面とヘッダー室3の周縁部及び筒状基台6端縁部とは各々封止され、ヘッダー室3は各ミストノズル11の第二給湯路12と連通し、また気体ノズル21の気体噴出口23は筒状基台6の内部空洞9と連通した状態にある。
【0020】
一方、外部にある給湯器Aに接続されたホース31が、ミストヘッド本体1の給湯口2に連結され、それによって給湯器Aからの温水HWがミストヘッド本体1の給湯路4に導入される。また、外部にある気体供給源としての酸素ボンベBに接続された供給管32が、ミストヘッド本体1の側壁から給湯路4内部に配管されると共に筒状基台6の内部空洞9に連結され、それによって酸素ボンベBからの酸素ガスが気体ノズル21に導入される。さらに、ミストヘッド本体1の給湯路4における給湯口2下流に添加剤カートリッジ33が温水の流通可能にシール状態で螺合により装着され、該添加剤カートリッジ33内には香料その他の種々の添加剤34が温水との接触により溶出可能に収容され、この添加剤カートリッジ33は必要に応じて装着されることになる。また、ミストヘッド本体1の側壁には、香料その他の種々の添加剤34を温水中に直接混入するための添加剤供給口35がシール状態で栓36により密閉可能に穿設され、この添加剤供給口35も必要に応じて使用される。
【0021】
前記構成のミストヘッドMHにおいて、給湯器Aから給湯口2に供給された温水HWは、給湯路4を通過して添加剤カートリッジ33内の添加剤34を溶出させつつヘッダー室3に貯留されると共に8個のミストノズル11に分配される。また、必要に応じて、前記のような添加剤カートリッジ33による添加剤34の混入に代えて、或いはそれと共に、添加剤供給口35から香料その他の種々の添加剤34が直接温水中に供給される。各ミストノズル11に分配された温水HWは、第二給湯路12を通過して第二ヘッダー室13に貯留されると共に3個のミスト噴出孔15から、前記添加剤34を含み或いは該添加剤により改質されたミストシャワーMSとなって噴出される。
【0022】
また、酸素ボンベBから供給管32を介して筒状基台6の内部空洞9に供給された酸素ガスは、気体ノズル21の気体噴出口23から酸素シャワーOSとなって噴出される。その際、気体噴出口23から噴出する酸素シャワーOSは、前記8個のミストノズル11から噴出するミストシャワーMSのカーテンで囲繞された状態で、ミストシャワー浴下に気体シャワー浴に供されることになる。なお、酸素を供給する前記酸素ボンベBに代えて、香りやイオン等を含む空気、或いは温風や冷風等を供給する気体供給源を選択することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施例に係るミストヘッドの断面図である。
【図2】図1に示すミストヘッドにおける壁蓋部分の正面図である。
【符号の説明】
【0024】
A 給湯器
B 酸素ボンベ
MH ミストヘッド
HW 温水
MS ミストシャワー
OS 酸素シャワー
1 ミストヘッド本体
2 給湯口
3 ヘッダー室
4 給湯路
5 開口部
6 筒状基台
7 雌ねじ
8 壁蓋
9 内部空洞
10 止めねじ
11 ミストノズル
12 第二給湯路
13 第二ヘッダー室
14 前壁
15 ミスト噴出孔
21 気体ノズル
22 前壁
23 気体噴出口
24 ねじ孔
31 ホース
32 供給管
33 添加剤カートリッジ
34 添加剤
35 添加剤供給口
36 栓

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給湯器から供給された温水を通過させる給湯路と、前記給湯路終端に連通して付設されると共に該給湯路を介して供給された温水を貯留するヘッダー室と、前記ヘッダー室に連通して設けられ、その内部に貯留された温水をミストシャワーとして外部前方に噴出させるミストノズルとからなるミストヘッドにおいて、3個以上のミストノズルが、ヘッダー室前壁にその周縁に沿って前方に外拡がりに且つ互に先拡がりに配置されると共に、各ミストノズルが、ヘッダー室から供給された温水を通過させる第二給湯路と、前記第二給湯路終端に連通して付設されると共に該第二給湯路を介して供給された温水を貯留する第二ヘッダー室と、前記第二ヘッダー室前壁に穿設されると共にその内部に貯留された温水をミストシャワーとして噴出させる複数のミスト噴出孔とからなることを特徴とするミストヘッド。
【請求項2】
3個以上のミストノズルが、ヘッダー室前壁に仮想上の円周に沿って互いに等間隔で配置された請求項1に記載のミストヘッド。
【請求項3】
ヘッダー室前壁における3個以上のミストノズルで囲まれた位置に気体ノズルが外部前方への気体シャワーの噴出可能に設けられた請求項1又は2に記載のミストヘッド。
【請求項4】
給湯路からヘッダー室に至る任意の位置における温水中に添加剤が混入された請求項1、2又は3に記載のミストヘッド。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2007−20854(P2007−20854A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−206862(P2005−206862)
【出願日】平成17年7月15日(2005.7.15)
【出願人】(505270175)ガーデン・ワールド株式会社 (1)
【Fターム(参考)】