説明

ミスト発生装置

【課題】簡易な回路構造で、モータの無駄な動作を防止しながら、貯水部の残水をなくすこと。
【解決手段】注水口45から貯水部38に供給される水をモータ6により回転する回転体34へと導く遠心式のミスト発生装置4において、注水口45から貯水部38への給水停止後にモータ6に流れる電流値を検出するモータ電流検出回路61と、給水停止後もモータ6の駆動を延長して行なうと共にモータ電流検出回路61で検出される電流値が予め定めた値以下であることを検出した段階でモータ6を停止させる制御を行なう制御回路62とを具備するミスト発生装置4である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミスト発生装置に関し、詳しくは運転OFF後の貯水部の残水をなくすための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、貯水部へ給水し、モータを動作させると回転体が回転して貯水部に溜まった水を吸い上げて衝突壁部に飛散させることでミストを発生させると共に、貯水部への給水量を流量調整手段によって可変調整することでミストの発生量をコントロールできるようにした遠心式のミスト発生装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1に示される従来例では、給水停止後も引き続いてモータを駆動して貯水部内の残水をミストとして機外に放出するようにしているが、流量調整手段によって単位時間当たりの給水量を可変調整する構造においては、給水停止後に貯水部内に残る水の量が多かったり、少なかったりする。貯水部の残水をなくすためには、貯水部への給水量が最大値である場合を見越して、モータの駆動時間を決める必要が生じる。しかし仮りに貯水部への給水量が最小値に設定されている場合は、貯水部内の残水がなくなってからも、さらに引き続いてモータが無駄に駆動してしまうという問題がある。
【0004】
そこで、貯水部の残水をミスト化して放出する際のモータの動作の無駄をなくすことが重要な課題となる。
【特許文献1】特開2008−261608号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、その課題とするところは、簡易な回路構造で、モータの無駄な動作を防止しながら、運転OFF後の貯水部の残水をなくすことができるミスト発生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明は、モータ6により回転して水を下から上に吸い上げて径方向外方に飛散させる逆円錐形状の回転体34と、上記回転体34の径方向外方に対向配置される略筒形の衝突板35と、注水口45の吐水側45aの空間に開放されて該注水口45の吐水側45aから流下する所定流量の水を溜めて上記回転体34の下端50a側へ導く貯水部38とを備え、上記回転体34から飛散した水が上記衝突板35に衝突することで発生するミストを、上記衝突板35と上記貯水部38との間に設けたミスト放出口37を介して外部に放出するように構成したミスト発生装置4である。上記注水口45から上記貯水部38への給水停止後に上記モータ6に流れる電流値を検出するモータ電流検出回路61と、給水停止後も上記モータ6の駆動を延長して行なうと共に上記モータ電流検出回路61で検出される電流値が予め定めた値以下であることを検出した段階で上記モータ6を停止させる制御を行なう制御回路62とを具備することを特徴としている。
【0007】
このような構成とすることで、モータ電流検出回路61と制御回路62との協働によって、貯水部38内の残水がなくなった段階でモータ6を停止させることができるので、貯水部38内の残水をミストとして放出できると共に、モータ6の無駄な動作をなくして、消費電力を節約できるようになる。しかも、制御回路62は、モータ電流検出回路61からの電流値が予め定めた値以下であるか否かを判定するだけでよいので、回路構造を簡易化できるようになる。
【0008】
また、運転ON時に上記起動するモータ6の回転数が安定化した時点でモータ6に流れる電流値と略等しい値を上記予め定めた値として記憶するモータ電流記憶手段63を具備しており、上記制御回路62は、運転ON時に上記モータ6の回転数が安定化した時点の後で注水口45から貯水部38への給水を開始し、運転OFF時の給水停止後に上記モータ電流検出回路61が上記モータ電流記憶手段63で記憶した値以下の電流値を検出した時点でモータ6を停止させる制御を行なう構成とするのが好ましく、この場合、起動するモータ6の回転数が安定化した時点、つまり貯水部38への給水が開始されない段階でモータ6に流れる電流値と略等しい値を記憶し、給水停止後に記憶した値を基準にモータ6を停止させることで、貯水部38の残水がなくなった段階以降のモータ6の無駄な動作をなくすことができる。
【0009】
また、上記モータ6の起動から予め定めた所定時間経過時、或いは、起動直後のモータ6に流れる電流値の上昇の変化率が所定値以下に達した時のいずれか一方を、上記モータ6の回転数が安定化した時点とするのが好ましく、この場合、モータ6の安定化の判定が容易となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、簡易な回路構造で、モータの無駄な動作をなくして消費電力を節約しながら、貯水部の残水をなくすことができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0012】
本実施形態のミストサウナ機能付き浴室暖房乾燥機1は、図10に示すように、浴室13の天井部に設置され、浴室13内に温風を供給する暖房機本体(浴室用空調機本体)2と、浴室13内にミスト噴霧を行なうスプラッシュミスト噴霧装置3と、ミスト発生装置4とで構成されている。なお図10中の14は熱源機、15はリモコン操作部であり、スプラッシュミスト運転スイッチ、ミスト運転スイッチ、暖房運転スイッチ、換気運転スイッチ、乾燥運転スイッチ、涼風運転スイッチ等が設けられている。
【0013】
前記暖房機本体2は、図8、図9に示すように、循環ファン5と、循環ファン5により通風される空気を熱源機14から供給される温水により加熱する暖房用熱交換器7と、暖房用熱交換器7への温水の供給量を調節する熱動弁8とが機器外郭ケース25内に収納されている。暖房用熱交換器7は、熱源機14からの温水が循環する暖房用温水管路16の途中に配置され、熱動弁8を開放することで、循環ファン5からの風が暖房用熱交換器7により加熱されて、下方の温風吹き出し口30から浴室13内に供給されるようになっている。さらに暖房用温水管路16の途中には、後述のミスト用熱交換器11を加熱するためのミスト加熱用温水管路19がバイパス接続されている。ミスト加熱用温水管路19の上流端は暖房用温水管路16の熱動弁8よりも上流位置に分岐接続され、ミスト加熱用温水管路19の下流端は暖房用温水管路16の暖房用熱交換器7よりも下流位置に合流している。
【0014】
前記暖房機本体2の機器外郭ケース25内部には、ミスト用給水配管20が収納配管されている。ミスト用給水配管20の途中には後述のミスト用熱交換器11が配置されている。ミスト用熱交換器11よりも上流側は、給水電磁弁22及びストレーナ23を介して、外部の水道管に接続されている。ミスト用給水配管20の下流は、第1及び第2ノズル弁29a,29bを介して、ミストサウナ用の水を噴霧するミストノズル10に接続されている。このようにミスト用給水配管20と、ミスト用熱交換器11及び給水電磁弁22と、ノズル弁29a,29b及びミストノズル10とで、スプラッシュミスト噴霧装置3が構成されている。
【0015】
上記ミストノズル10は、機器外郭ケース25の下面側に設けた温風吹き出し口30と吸気口27との間から浴室13内に臨んで配置されている。本例ではミストノズル10は3個設けられ、例えば、ノズル弁29a側の1個のミストノズル10aは、マイルドなミストサウナ(ミスト噴霧量が例えば0.5リットル/min)を得るためのものであり、ノズル弁29b側の2個のミストノズル10b,10cはハードなミストサウナ(ミスト噴霧量が例えば1.0リットル/min)を得るためのものである。
【0016】
また、上記ミスト用給水配管20は、図8に示すように、ミスト用熱交換器11よりも下流位置で分岐排水路31が分岐され、排水電磁弁24を介して外部排水管に接続されており、例えば、ミスト運転開始時にミスト用熱交換器11内やミスト用給水配管20内に溜まっている残水を外部に排水可能とされる。
【0017】
また、前記暖房用温水管路16から分岐されたミスト加熱用温水管路19には、ミスト用熱交換器11に供給される水温が適切になったときに温水の出湯量の調節を行う水比例弁12と、ミスト用熱交換器11からの循環温水の戻り温度を検知するための温水戻り温度センサー21とが設置されている。さらにミスト用給水配管20にはミスト用熱交換器11から吐水する水の温度を検知するためのミスト温度センサー18が設置されている。
【0018】
浴室13内は制御部(図示せず)により所定温度に制御される。制御部は、リモコン操作部15から指令されるリモコン信号以外に、浴室温度センサー9、温水往き温度センサー17、ミスト温度センサー18、温水戻り温度センサー21からの各検知信号を受信すると共に、各検知結果に基づいて暖房機本体2、スプラッシュミスト噴霧装置3、及び後述するミスト発生装置4の各構成部品を駆動制御するマイクロコンピュータにより構成される。なお図8中の26は換気ファンであり、図9中の25aはグリル板、27は吸い込み口、28は可動ルーバー、33は吸気フィルターである。
【0019】
次に、本発明のミスト発生装置4を説明する。
【0020】
ミスト発生装置4は、図9に示すように、機器外郭ケース25の温風吹き出し口30を挟んで吸気口27とは反対側の位置に設けた開口部32に取り付けられている。
【0021】
ミスト発生装置4は、図5、図6に示すように、モータ6により回転駆動する回転体34と、回転体34を囲むように配置される衝突板35、ミスト放出口37、貯水部38とを一体に備えた外郭ケース39とで主体が構成される。なお図6中の36は、グリル板25a表面で発生した水滴をミスト放出口37内に誘導するドレン誘導板である。
【0022】
外郭ケース39は、例えば射出成形によりABS樹脂を用いて一体形成されており、その上面をモータ取付板41で覆った状態で、グリル板25aに設けた開口部32に嵌めこまれて固定されている。
【0023】
本例の外郭ケース39は、図5に示すように、上方に開口したお椀形状をしており、上端部から下端部にわたって、円筒形状の衝突板35と、衝突板35の下端全周に連なるスリット形状のミスト放出口37と、ミスト放出口37の下端全周に連なる皿形状の貯水部38と、貯水部38の下端に連なるドレン回収部42(図4)とがこの順に連続形成されている。なお、ドレン回収部42は図5、図9では図示を省略している。
【0024】
上記衝突板35の外周面は図7(a)に示すように円筒面とされるが、衝突板35の内周面には、後述するミスト放出口37から上方向に延伸した複数のリブ43の上端部43a(図5)がそれぞれ達している。各上端部43aは径方向内方に所定高さを持つと共に周方向Aに間隔を隔てて存在した構造となっている。
【0025】
上記ミスト放出口37には、図7(b)に示すように、上下方向に延びるリブ43が周方向Aに間隔を隔てて複数本、配列されていると共に、リブ43,43相互間のスリット空間から、上記衝突板35にて発生させたミストが外部に放出される。
【0026】
ここで、各リブ43のうち、隣接する2本のリブ43,43の間には、スリット空間(ミスト放出口37)は形成されず、代わりに、幅広のミスト用水通路44を構成する樹脂壁で埋められている。このミスト用水通路44の上端は衝突板35の内面上端まで達している。
【0027】
上記幅広のミスト用水通路44の真上には、図5に示すように、注水口45の吐水側45aが配置されている。本例では、モータ取付板41を細長い筒形状の注水口45が貫通しており、注水口45の吐水側45aがモータ取付板41の下面に突出していて、ミスト放出口37の開口下端よりも所定寸法B(例えば、30mm)以上高い位置にて、下向きに開放されている。注水口45の注入側45bはモータ取付板41の上面に突出しており、図8に示すように、ミスト用給水配管20の給水電磁弁22とミスト用熱交換器11との間から分岐した分岐給水管20aの下流端部に接続されている。分岐給水管20aの途中には、開閉弁47と、流量調整機構46を構成するガバナー46aとが設けられている。
【0028】
ここで、開閉弁47は後述するコントローラー62aからの信号によって開閉制御される電磁弁で構成されている。また開閉弁47の下流に配置されるガバナー46aは、開閉弁47よりも上流側(給水一次側)で水圧の変動があっても、下流側(注水口45側)において常に略一定の流量、例えば50[ml/分]を取り出すことができるように流量調整を行なうためのものである。これにより、ミスト用給水配管20から分岐給水管20aに供給される水が、開閉弁47とガバナー46aとを経由して注水口45に流入して、注水口45の吐水側45aから前記ミスト用水通路44上に滴下(或いは流下)するようになっている。なお本例ではガバナー46aを開閉弁47の下流側に配置しているが、上流側に配置してもよい。なおガバナー46a以外に例えば市販の定流量ポンプや、流量調整弁などの流量調整機構を用いてもよい。
【0029】
上記ミスト用水通路44の下端は、図5に示すように、貯水部38の上端に連通している。貯水部38はミスト用水通路44から流下する所定流量の水を受けて、回転体34の水上昇部50の下端50a側へ導く働きをする。本例の貯水部38は、注水口45の吐水側45aの空間に開放されていると共に、水平に対する角度α(図5)=20°の傾斜で、中央が下に窪んだ皿形状をしている。
【0030】
上記貯水部38の底部には、直径C(略15mm)のドレン孔52が開いており、図4に示すように、ドレン孔52から所定の隙間d(約4mm)を隔てた下方にドレン回収部42が設けられている。ドレン回収部42は、下側に向けて窪みを持つ浅いお椀のような形状をしており、その外周部が複数(例えば4本)の支持リブ53を介して貯水部38の底側に支持固定されている。またドレン回収部42の直径F(図4)は、外郭ケース39を形成する射出成形用の金型構成上の理由から、貯水部38のドレン孔52の直径C(図5)よりも若干小さめの14.5mm程度に設定される。なお、支持リブ53の数、ドレン回収部42の寸法は上記数値に限らず、適宜に変更自在である。
【0031】
一方、回転体34は、例えばSPS樹脂製ロータからなり、図5に示すように、回転体34の中心部がモータ6の駆動軸6aに連結されている。
【0032】
回転体34は、下端50aから上端にいくほど径方向寸法が徐々に大きくなる正面視逆円錐形状の水上昇部50と、水上昇部50の上端から更に径方向外方に張り出した平面視円盤形状の水飛散部51とが一体に形成されている。
【0033】
水上昇部50の下端50aは、本例では平坦面となっている。水上昇部50の下端50a外周面は、前記貯水部38のドレン孔52に略1mm程度の空隙Hを隔てて回転自在に挿入されている。図5の例では、水上昇部50の下端50aはドレン孔52から下方に向けて所定寸法G(3mm)突出している。
【0034】
水飛散部51は正面視で薄板形状とされる。これら水飛散部51の下面や水上昇部50の外周面はそれぞれ親水性材料成分を含む塗膜にて覆われている。親水性材料としては例えば酸化珪素等が挙げられるが、材料成分は特に問わない。これにより、水上昇部50から水飛散部51に伝い上昇する水が水滴になりにくくなり、回転体34を6,000rpm、すなわち毎秒100回転させても水滴による風切音の発生が防げる。そのうえ水上昇部50から水飛散部51を伝い上昇する水が、その上昇途中での水の飛散が防止でき、効率良くミストを発生することができる構造となる。
【0035】
本例の水飛散部51は、前記衝突板35の内周面の上下方向領域に面して配置されると共に、水飛散部51の外周端部が、所定の空隙を隔てて、前記衝突板35の内周面に存在する複数のリブ43の上端部43aにそれぞれ対向配置されている。
【0036】
ここで本発明においては、図1に示すように、給水一次側から注水口45に至る分岐給水管20aを開閉する開閉弁47と、運転ON時に起動するモータ6の回転数が安定化した時点でモータ6に流れる電流値と略等しい値(本実施例ではモータ6に流れる電流値に1.05を乗じた値)を予め記憶するモータ電流記憶手段63と、給水停止後にモータ6に流れる電流値を検出するモータ電流検出回路61と、給水停止後もモータ6の駆動を延長して行なうと共に該モータ電流検出回路61で検出される電流値がモータ電流記憶手段63で記憶された値以下であることを検出した段階でモータ6を停止させる制御を行なう制御回路62を備えている。
【0037】
本例の制御回路62は、モータ駆動回路60に対して駆動信号を出力すると共に、給水停止後も引き続いてモータ電流検出回路61から入力される電流値を監視し続け、検出される電流値がモータ電流記憶手段63にて予め記憶した値以下となったときにモータ駆動回路60に対してモータ6を停止させる信号を出力するコントローラー62aで構成される。コントローラー62aは、運転ON時にモータ6の回転数が安定化した時以降に開閉弁47を開いて注水口45から貯水部38への給水を開始し、運転OFF時は開閉弁47を閉じるものである。
【0038】
図2(a)は起動直後のモータ6の電流値の変化の一例を示している。起動時t0から所定時間t1経過した時点で電流値が略一定(=D1’)となってモータ6の回転数が安定する。なお起動直後のモータ6の電流値の上昇の変化率が所定値以下、つまり殆ど変化しなくなった時点をモータ6の回転数が安定する時点としてもよい。いずれの場合も、モータ6の回転数が安定化した時点は、貯水部38の水位がゼロのときであり、この安定化した時点でモータ6に流れる電流値D1’と略等しい値がモータ電流記憶手段63によって記憶される値となる。
【0039】
図2(b)はモータ6に流れる電流値と貯水部38の水位との関係を示している。横軸のL0は貯水部38の水位がゼロ、L1は下限水位、L2は上限水位を示す。下限水位L1とはガバナー46aから略一定の水量(本実施例では50ml/分)によりミストを発生している場合の水位(図4のL1参照)であり、上限水位L2とは貯水部38の水量が増してミスト放出口37からオーバーフローし始める直前の水位(図4のL2参照)である。ここで、回転体34を駆動して貯水部38に溜まった水を回転体34によって吸い上げ、噴霧させることがモータ6の負荷となるため、貯水部38の水位が上昇するほど、モータ6に流れる電流値が上昇する。図2(b)のD1は給水前のモータ6の回転数が完全に定常状態に達した場合の電流値であり、モータ6の回転数が完全に定常化に達するには時間を要し、モータ6の回転数が完全に定常値に達したときにもモータ6の電流値は多少の変動を含むものであるから、本実施例では、起動時t0から所定時間t1経過して電流値が略一定となった時点、或いは、起動時にモータ6に流れる電流値の変化率が所定値以下に達した時点において、モータ6に流れる電流値D1’に1.05を乗じてD1の代用とするものである。また、D2は給水後に下限水位L1に達したときの電流値であり、D3は更に給水量増加により上限水位L2に達したときの電流値である。
【0040】
次に、動作例を説明する。
【0041】
先ず、浴室13の温度上昇のためには、熱量搬送能力が高く、浴室温度立ち上がり性能がよいスプラッシュミスト運転を行なう。ここで噴霧される水滴は粒子径が50〜100μm程度のスプラッシュミストである。
【0042】
リモコン操作部15のスプラッシュミスト運転スイッチを押すと制御部にスプラッシュミストサウナ運転開始を指令する信号が送られ、温水供給用の熱源機14(図10)に運転信号を出し、熱源機14が暖房運転を開始する。次いで、図8に示す温風側の熱動弁8、ミスト側の水比例弁12がそれぞれ開き、80℃の循環温水が暖房用温水管路16内及びミスト加熱用温水管路19内を循環し始める。次いで、温水往き温度が60℃以上になると、循環ファン5がONとなり、浴室13に温風を送る。その後、浴室温度が25℃以上になると給水手段を構成する給水電磁弁22を開くと共にノズル弁29a,29bの両方又は一方を開いて、ミストノズル10からスプラッシュミスト噴霧を開始する。
【0043】
その後、入浴時において、リラックスしたい場合は、ミスト運転を実行する。
【0044】
図3はミスト運転のフローチャートを示している。図3のステップn1で運転ONにすると、コントローラー62aにミストサウナ運転開始を指令する信号が送られる。コントローラー62aは、モータ駆動回路60に信号を出力してモータ6に駆動電流を供給する(ステップn2)。これによりモータ6が起動して回転体34を回転させる。起動後にモータ6の回転数が安定化(モータ6の起動から予め定めた所定時間t1(図2(b))の経過時、或いは、起動時にモータ6に流れる電流値の変化率が所定値以下に達した時のいずれか一方)した時点で、このときモータ6に流れる電流値(例えば図2(a)のD1’に1.05を乗じた値)をモータ電流記憶手段63に記憶する(ステップn4)。その後、開閉弁47を開く(ステップn5)。これにより、分岐給水管20aが開放され、ガバナー46aから供給される50[ml/分]の一定流量の水が注水口45から滴下して、その真下に位置する幅広のミスト用水通路44を伝い、図5の矢印W1方向のように貯水部38へと流れ落ちて回転体34の水上昇部50の下端50a付近を濡らす。このとき回転体34は約6,000rpmの高速で回転しているため、水上昇部50の下端50a付近を濡らす水Wには遠心力が作用して、回転体34の中心から離れようとするが、回転体34には親水性があるから、水は回転体34から離れることなく、しかも水は回転体34の下端50a外周面と貯水部38のドレン孔52内周面との間隙部位(図5のH部)から滴下することもなく、水上昇部50から水飛散部51の下面に伝って上昇して最終的に水飛散部51の外周から外方に向かって飛散し、衝突板35の内面に存在する複数のリブ43の上端部43aに激しくぶつかり、細断、粉砕されて微小な霧状のミストM(図4)が発生して、ミスト放出口37から浴室内に放出される。このときに発生するミストMは粒子径が20μm程度に微細化されているため、人体に付着したときのツブツブ感がなく、入浴中に快適なミストサウナを体感できる。
【0045】
その後、図3のステップn6でミスト運転をOFFにすると、開閉弁47が分岐給水管20aを閉じて、貯水部38への給水が停止する(ステップn7)。コントローラー62aは、開閉弁47を閉じて給水を停止した後にただちにモータ6を停止させるのではなく、モータ6の駆動を続行すると共にモータ電流検出回路61から入力される電流値を監視する。このとき回転体34が回転し続けることで、貯水部38の残水が残らずミスト化してミスト放出口37から機外に放出されることとなる。そして、貯水部38の水位低下に伴ってモータ6の負荷が低下し、モータ6に流れる電流値が低くなる。そして、ステップn8で、モータ電流検出回路61で検出される電流値が、上記モータ電流記憶手段63にて記憶された値(図2(a)の電流値D1’×1.05)よりも低下した時点で、コントローラー62aがモータ6を停止させる(ステップn9)。
【0046】
しかして、上記構成のモータ電流検出回路61とモータ電流記憶手段63とコントローラー62aとの協働によって、貯水部38内の残水がなくなった段階でモータ6を自動的に停止させることができるので、モータ6の無駄な動作をなくして、消費電力を節約できるようになる。万が一、貯水部38内に僅かな水が残ったとしても、この水はドレン孔52から滴下してドレン回収部42にて受け止められるので、貯水部38内部を残水のない常に清潔な乾燥状態に保つことができる。
【0047】
しかも、起動するモータ6の回転数が安定化した時点、つまり貯水部38への給水が開始されない段階での安定した電流値と略等しい値を記憶し、給水停止後に記憶した値を基準にしてモータ6を停止させるので、貯水部38の残水がなくなった段階を確実に検出できる構造となる。
【0048】
また、上記モータ6の起動から予め定めた所定時間経過時、或いは、起動直後のモータ6に流れる電流値の上昇の変化率が所定値以下に達した時のいずれか一方を、上記モータ6の回転数が安定化した時点とすることで、モータ6の回転数の安定化の判定が容易となり、コントローラー62aの回路構造を簡易化できるものである。
【0049】
前記実施形態では、モータ電流記憶手段63にモータ6の回転数が安定化したときの電流値と略等しい値を記憶する構成としたが、図11に示すように、モータ電流記憶手段63を省略して、モータ6の回転数が安定化した時点で流れる電流値を予め定めコントローラー62aに設定しておくことも可能である。図12は図11に対応する制御フローの一例であり、図3の制御フローと異なる点は、図3のモータ6が安定化したときの電流値と略等しい値を記憶するステップn4、及び、モータ6の電流値と記憶値とを比較するステップn8がなく、代わりに、図12の給水停止後に検出されるモータ6の電流値とコントローラー62aで予め設定された値とを比較するステップn7を備える点である。本例においては、モータ電流記憶手段63を用いなくても、図1の実施形態と同様、モータ6の無駄な動作をなくして消費電力を節約しながら、貯水部38の残水排出が可能となる。
【0050】
また前記実施形態では、流量調整機構46としてガバナー46aを用いており、貯水部38へ流下する所定流量を略一定流量としているが、流量調整機構46から貯水部38へ流下する所定流量を可変にしてミスト発生量を増減可能とする構成としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の一実施形態のミスト発生装置に備えるコントローラーとモータ電流検出回路とモータ電流記憶手段と開閉弁とを説明するブロック図である。
【図2】(a)は起動直後のモータの電流値と時間経過との関係を説明するグラフ、(b)はモータの電流値と貯水部の水位変動との関係を説明するグラフである。
【図3】同上のミスト運転のフローチャートである。
【図4】同上のミスト発生装置のミスト放出口からミストが噴霧する状態の説明図である。
【図5】同上のミスト発生装置を示す正面断面図である。
【図6】同上のミスト発生装置を具備したミスト発生機能付き浴室暖房乾燥機を下方から見た斜視図である。
【図7】(a)は同上のミスト発生装置の正面図、(b)は下面図である。
【図8】同上のミスト発生機能付き浴室暖房乾燥機の配管図である。
【図9】同上のミスト発生機能付き浴室暖房乾燥機の内部構造を説明する断面図である。
【図10】同上のミスト発生機能付き浴室暖房乾燥機を浴室天井に設置した状態の説明図である。
【図11】本発明の他の実施形態のブロック図である。
【図12】図11のミスト運転のフローチャートである。
【符号の説明】
【0052】
4 ミスト発生装置
6 モータ
34 回転体
35 衝突板
37 ミスト放出口
38 貯水部
45 注水口
45a 吐水側量
47 開閉弁
61 モータ電流検出回路
62 制御回路
63 モータ電流記憶手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータにより回転して水を下から上に吸い上げて径方向外方に飛散させる逆円錐形状の回転体と、上記回転体の径方向外方に対向配置される筒形の衝突板と、注水口の吐水側に臨む空間に開放されて該注水口の吐水側から流下する所定流量の水を溜めて上記回転体の下端側へ導く貯水部とを備え、上記回転体から飛散した水が上記衝突板に衝突することで発生するミストを、上記衝突板と上記貯水部との間に設けたミスト放出口を介して外部に放出するように構成されたミスト発生装置であって、上記注水口から貯水部への給水停止後に上記モータに流れる電流値を検出するモータ電流検出回路と、給水停止後も上記モータの駆動を延長して行なうと共に上記モータ電流検出回路で検出される電流値が予め定めた値以下であることを検出した段階で上記モータを停止させる制御を行なう制御回路とを具備することを特徴とするミスト発生装置。
【請求項2】
運転ON時に起動するモータの回転数が安定化した時点でモータに流れる電流値と略等しい値を上記予め定めた値として記憶するモータ電流記憶手段を具備しており、上記制御回路は、運転ON時に上記モータの回転数が安定化した時点の後で注水口から貯水部への給水を開始し、運転OFF時の給水停止後に上記モータ電流検出回路が上記モータ電流記憶手段で記憶した値以下の電流値を検出した時点でモータを停止させる制御を行なうことを特徴とする請求項1記載のミスト発生装置。
【請求項3】
上記モータの起動から予め定めた所定時間経過時、或いは、起動直後のモータに流れる電流値の上昇の変化率が所定値以下に達した時のいずれか一方を、上記モータの回転数が安定化した時点とすることを特徴とする請求項2記載のミスト発生装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−145074(P2010−145074A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−326247(P2008−326247)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(301066992)株式会社ハーマンプロ (145)
【Fターム(参考)】