説明

ミスト発生装置

【課題】
使用時に早期に殺菌力のあるミストを利用できるミスト発生装置を提供する。
【解決手段】
ミスト発生装置はタンク14と、タンク14の底部44bに設けられ、液を電気分解する一対の電極50と、タンク14の底部44bに設けられた通路部46と、通路部46を通過した液をミスト化する振動子ユニット30とを備える。通路部46は吸液機能を有しない非吸液通路としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミスト発生装置に関し、特に電解水のミストを発生することができるミスト発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ミスト発生装置としては、特許文献1及び特許文献2が公知である。
特許文献1では、液を貯留するタンクの底部に形成された液出口に流出口通路が設けられ、電解用の一対の棒状電極が前記流出口通路の先端部内において上下方向に横切って延在するように配置され、前記先端部には電気分解により生成された電解液を吸液する吸液媒体が配置されている。そして、前記吸液媒体は振動子に連結された多孔噴霧プレートに当接されている。
【0003】
振動子により多孔噴霧プレートが振動することにより吸液媒体に含浸している電解液に対して吸引力(吸引圧)を作用させ、多孔噴霧プレートの微細孔を通して、多孔噴霧プレートの前面側から前方に拡散噴霧するようにしている。
【0004】
特許文献2では、液を貯留するタンクの底部側の前壁部に、横穴状の出口通路が開口されるとともに出口通路の基端はタンクの底部に開口されている。
出口通路の先端には、吸液媒体が取り付けられており、該吸液媒体の先端は振動子に連結された多孔噴霧プレートに当接されている。又、出口通路の先端には、上下方向に横切って延在する一対の棒状電極が設けられている。又、出口通路の基端は、開閉弁が設けられてスイッチと機械的に連結され、スイッチのオン操作に伴って開閉弁が出口通路を開放して、タンクと出口通路を連通させ、スイッチのオフ時には、タンクと出口通路の基端を閉塞するように構成されている。
【0005】
ところで、特許文献1、及び特許文献2で行われる電気分解は、電極間に隔膜のない一室型(無隔膜)の電気分解である。一室型の電気分解では、例えば、一般の水道水(純水ではない)を電気分解した場合、両電極の反応生成物が混和して電極の触媒能を反映して陽極と陰極との電解生成物のバランスがHよりOHの方に傾く。この結果、生成される電解水は、弱アルカリ性(pH8〜9)を呈する。この電解水は、次亜塩素酸ナトリウムの希釈液と同等の殺菌力のある希釈液であることが知られている。
【0006】
又、無隔膜の電気分解では、pH調整した後の水を電気分解して微酸性(pH5〜6.5)電解水にできるとともに、微酸性電解水も殺菌力を有することが知られている。
これらの、電解水は、電解後にできるだけ新鮮なうちに、薄めずにそのまま使用することが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−029772号公報
【特許文献2】特開2007−029773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1、特許文献2では、棒状電極と多孔噴霧プレート間には吸液媒体が介在する。このため、吸液媒体中に存在する液は、以前にできた電解水であり、新鮮さが失われたものである。前記弱アルカリ性及び微酸性の電解水は、殺菌能力があることが知られているが、これらは、反応性は高いが、不安定であるため、生成された新鮮な電解水は、できるだけ早期に噴出することが好ましい。
【0009】
ところが、上記の従来技術では、使用する際の最初においては、吸液媒体中に含まれている新鮮でない電解水がミスト化されて噴霧されるため、使用者は殺菌力のあるミストを早期に利用できない問題がある。
【0010】
本発明の目的は、上記課題を解決して、使用時に早期に殺菌力のあるミストを利用できるミスト発生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記問題点を解決するために、請求項1の発明は、水又は水を溶媒とする液を貯留するタンクと、前記タンクの底部に設けられ、前記液を電気分解する一対の電極と、前記タンクの底部に設けられた液送出路と、前記液送出路を通過した前記液をミスト化するミスト生成部とを備えるとともに、前記液送出路を、吸液機能を有しない非吸液通路としたことを特徴とするミスト発生装置を要旨としている。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1において、前記非吸液通路には、前記ミスト生成部から空気が侵入した際、前記空気をタンク内にガイドする空気抜き部が設けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項3の発明は、請求項2において、前記空気抜き部と、前記電極間が離間していることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のうちいずれか1項において、前記タンクの底部底面と前記非吸液通路の下面とが面一となっていることを特徴とする。
【0014】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のうちいずれか1項において、前記タンクは、ミスト生成部側に位置する第1側壁と、反ミスト生成部側に位置した平板状の第2側壁と、第1側壁及び第2側壁の両側部を互いに連結する一対の連結壁と、第1側壁、第2側壁及び両連結壁の下端に連結された底壁を有し、前記第1側壁の下部の部位は、上部の部位よりも反ミスト生成部側に後退して形成され、前記後退して形成された前記下部の部位に対して筒状の通路部をミスト生成部側へ突出して前記非吸液通路とし、前記通路部の先端は、前記第1側壁の上部の部位よりもミスト生成部側に突出しないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、使用時に早期に殺菌力のあるミストを利用できるミスト発生装置を提供することができる。
請求項2の発明は、請求項1の効果に加えて、タンク内の液が少なくなって空気がミスト生成部から侵入してきたとき、非吸液通路は吸液媒体を備えていないため、前記空気のタンク内への移動を阻害するものがないとともに空気抜き部が設けられているため、前記空気のタンク内への移動をスムーズに行うことができる。
【0016】
請求項3の発明は、空気抜き部と、電極間が離間しているため、電極によって空気抜き部を通過する空気のタンク内への移動が電極によって阻害されることがない。
請求項4の発明は、タンクの底部底面と非吸液通路の下面とが面一となっているため、タンク内の液が少量になった場合においても、その液をミスト生成部へ供給することができる。
【0017】
請求項5の発明は、通路部の先端を、第1側壁の上部の部位よりもミスト生成部側に突出させないことにより、タンクにおけるミスト生成部方向の長さを第1側壁の上部の部位のミスト生成部側の外側面と、第2側壁の反ミスト生成部側の外側面間の距離に抑制できる。このことから、前記タンクを小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】一実施形態のミスト発生装置の前方から見た分解斜視図。
【図2】一実施形態のミスト発生装置の後方から見た分解斜視図。
【図3】ミスト発生装置の要部断面図。
【図4】(a)は下部タンク部44の要部縦断面図、(b)は下部タンク部44の要部横断面図。
【図5】一実施形態のミスト発生装置の後方から見た組立斜視図。
【図6】ミスト発生装置の電気的構成を表す電気ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した一実施形態のミスト発生装置を図1〜図6を参照して説明する。
図1及び図2に示すように、ミスト発生装置10は、本体ケース12と、本体ケース12の上部の一側部に設けられた部の装着部13に対して着脱自在に装着されるタンク14と、前記装着部13を含む本体ケース12の略上半分に着脱自在に被せられるキャップ15とを備える。
【0020】
又、本体ケース12において、装着部13側の側面より下方の部位には、バッテリ収納部16が形成されている。バッテリ収納部16にはバッテリ17を収納した状態で、バッテリーカバー18が着脱自在に装着される。
【0021】
本体ケース12は、前後に2分割された前側ケース部12Aと後側ケース部12Bとにより構成されている。両ケース部は、後側ケース部12B側から前側ケース部12Aに対して螺入された図示しない複数のビス等の締め付け手段により相互に一体に締め付けされている。
【0022】
装着部13は、図2に示すように後側ケース部12Bの後側の上部に形成された段部19と、段部19の前部から上方に延出された平板状の側壁20と、段部19の左右両側から上方に延出されるとともに側壁20に連結された一対のガイド部21,22とにより形成されている。一対のガイド部21,22と側壁20とにより、横断面視した場合、装着部13は、後方が開口されたコ字状の収納空間を有する。又、装着部13は上方が開口されている。図2に示すように側壁20の上部には、左右方向に延びる係止段部23が形成されている。
【0023】
図2、図3に示すように段部19の上面には、左右方向に離間した一対の端子24,25が取付けられている。又、段部19の近傍において、側壁20には、前側ケース部12A,後側ケース部12B間で形成するケース内空間に連通する貫通孔26が形成されている。又、図3に示すように前側ケース部12Aには、前記貫通孔26と同軸上に位置する噴霧孔36が貫通形成されている。
【0024】
図3に示すように貫通孔26には、ミスト生成部としての振動子ユニット30が嵌合されている。振動子ユニット30は、中央に透孔32aを有する金属製の支持プレート32と、前記透孔32aを塞ぐように前記支持プレート32の前面に貼着された多孔噴霧プレート33と、多孔噴霧プレート33の前面に対して貼着されたリング状の振動子34と、リング状に形成されるとともに振動子34及び前記支持プレート32の周部に対して覆うように液密状に装着された有弾性のパッキン35とから構成されている。本実施形態では、パッキン35はシリコンゴムから形成されているが、材質は、シリコンゴムに限定されるものではなく、耐水性であって、弾性を有する材質であればよい。
【0025】
図3に示すようにパッキン35は、前側ケース部12Aと後側ケース部12B間にその弾性に抗して挟着状態に装着されている。パッキン35において、後側ケース部12B側に突出された筒部37は、貫通孔26に対して液密状に嵌合されている。筒部37の外周部には周回する係止段部38が形成され、後側ケース部12Bの内面に液密状に当接されている。又、振動子34の前側ケース部12A側の側面は噴霧孔36の周縁に対してOリング39を介して液密状に当接されている。
【0026】
多孔噴霧プレート33は、孔径が5μm〜100μmオーダの微細孔が多数貫通して形成されている。この微細孔に溶液が毛細管現象により浸透した状態で、振動子34によって、多孔噴霧プレート33が厚さ方向へ超音波振動により振動すると、前記溶液が霧状になってミストの生成が可能である。又、前記孔径は、タンク14に対して最高の高さまで貯留した溶液の圧力が印加された場合には、その圧力によっては、液漏れしない孔径の大きさが選択されている。振動子34は、ピエゾ素子により構成されている。振動子34は、超音波振動可能な交流又はパルスの電圧が印加されると、励振して前記多孔噴霧プレート33を、その板厚方向に振動させる。
【0027】
図3に示すように、多孔噴霧プレート33において、振動子34の中央の透孔34aに露出した領域は、前記前側ケース部12Aの噴霧孔36を介して、前側ケース部12Aの前方に向かうように露出されている。
【0028】
タンク14は、図1,図2、図3に示すように、上部に開口部41を有するタンク本体40と、タンク本体40の上部の一側面に対して回動自在に連結されて前記開口部41を開閉する開閉蓋42を備えている。タンク14は、透明な合成樹脂により形成されている。なお、本実施形態では、タンク14は、透明としたが、不透明又は半透明であってもよい。又、タンク14の材質は、後述する電極50,51と電気的に絶縁できる材質であれば限定するものではない。
【0029】
タンク本体40は、上部貯留部S1を有する上部タンク部43と下部貯留部S2を有する下部タンク部44を有する。
両タンク部は、前側壁43a,44a、並びに右側壁45a,左側壁45b及び後側壁45cが連結されて、横断面が四角形状に形成されている。又、下部タンク部44の前側壁44aは、上部タンク部43の前側壁43aよりも反振動子ユニット30側に後退して形成されている。前側壁43aと前側壁44a間は図1、図3に示すように斜状壁44cにより連結されている。右側壁45a,左側壁45b及び後側壁45cは平板状に形成されている。
【0030】
ここで、前側壁43a,44aは、ミスト生成部側に位置する第1側壁に相当し、後側壁45cは反ミスト生成部側に位置する第2側壁に相当する。右側壁45a及び左側壁45bは連結壁に相当する。底部44bは、第1側壁及び第2側壁並びに連結壁の下端に連結された底壁に相当する。
【0031】
斜状壁44cは、タンク14が、装着部13に装着された際、図3に示すように、後側ケース部12Bの係止段部23に当接されるとともに、前側壁44aは後側ケース部12Bの後側壁に重ね合わされる。
【0032】
又、図1、図3に示すように前側壁44aの下部には、筒状の通路部46が前方、すなわち、振動子ユニット30側へ突出されている。通路部46は、液送出路に相当する。通路部46は、上下方向の断面が円形状に形成されている。本実施形態では、通路部46前端(すなわち、先端)は、前側壁43aよりも前方には突出しないように設定されている。本実施形態では、通路部46の断面形状は円形としているが、通路部46断面形状は限定するものではなく、三角、四角、多角形、楕円形状等の他の形状であってもよい。
【0033】
通路部46は、図3に示すように、後側ケース部12Bの貫通孔26内に位置するパッキン35の筒部37内に液密状に密嵌されている。又、通路部46の前端は、筒部37内に張り出されたフランジ部37aに対して液密状に当接されている。
【0034】
このように、本実施形態の通路部46は、従来と異なり、振動子ユニット30に至るまで液を吸液するもの(すなわち、吸液媒体)が存在しない通路、すなわち、非吸液通路として構成されている。
【0035】
下部タンク部44の底部44b、すなわち、タンク本体40の底部底面は、図4(a)に示すように、左右方向において、中央部が最も低くなるようにU字状形成されている。又、通路部46の内周面下部(すなわち、下面)は、前記下部タンク部44の底部44b底面と面一となるように断面円弧状に形成されている。
【0036】
図3、図4(a)に示すように、通路部46の内周面上部には、通路部46の前端から基端までに亘って空気抜き部としての空気抜き溝47が形成されている。空気抜き溝47の前端は、フランジ部37aの上部に臨んでいる。
【0037】
タンク本体40の底部44bには、底部44bの左右方向の中央部を挟むようにして一対の棒状の電極50,51が立設されている。電極50,51の離間距離は、1mm以下が望ましいが、限定されるものではない。
【0038】
電極50,51の基端部は、底部44bに対して貫通して取付けられるとともに貫通した周面はOリング52が嵌合されて、底部44bに対して液密状に取り付けられている。又、本実施形態では、図4(a)、(b)に示すように下部タンク部44を左右2等分割する仮想平面Hが、電極50,51からそれぞれ等距離に位置するように、かつ、前記通路部46の中心線Lを含むように設定されている。
【0039】
又、図3に示すように、電極50,51は、前記空気抜き溝47とは離間するように通路部46とは離間して配置されている。すなわち、タンク本体40に溶液が貯留されている状態で空気抜き溝47にガイドされた空気の下部貯留部S2から上部貯留部S1への移動を阻害しないように電極50,51は配置されている。
【0040】
電極50,51は、図3に示すように装着部13に装着された際、底部44bから下方に突出した露出端が、それぞれ端子24,25に対して、接続可能となっている。
又、前記開閉蓋42裏面にはシール材48が貼着されるとともに、開閉蓋42が開口部41を閉じた状態では、開口部41の周縁がシール材48により液密状に密封される。又、開閉蓋42の前端には、掛け止め片42aが形成されている。掛け止め片42aは、前側壁43aに設けられた凸部43bに対して弾性的に係止されることにより、掛け止め保持及び取り外し可能となっている。掛け止め片42aが凸部43bに掛け止めされることにより、前記密封が保持される。
【0041】
図2に示すように、ガイド部21の後面側には、押さえ部材53が図2に示す開放状態と、図5に示す閉じた状態が得られるように回動自在に支持されている。押さえ部材53の自由端には、弾性を有する平面視U字状の係止部54が形成され、前記閉じた状態では、係止部54が、その弾性に抗してガイド部22のガイド部21側に向く側面に設けられた図示しない掛け止め凹部に離脱自在に掛け止め可能である。又、係止部54をその弾性に抗して、ガイド部22から取り外すと、図2に示すように開放状態となる。前記閉じた状態では、押さえ部材53は、図3に示すように、タンク14をその後壁から押圧して装着部13に対する装着保持が可能である。
【0042】
又、タンク14が前記のように装着保持された状態で、キャップ15は、図3の二点鎖線で示す様に本体ケース12の略上半分に着脱自在に被せることが可能である。
又、本体ケース12の前側ケース部12Aと後側ケース部12Bで挟まれた空間には、制御部60を搭載した図示しない基板が内装されている。本実施形態の前記基板の制御部60を含む電気的構成を、図6を参照して説明する。
【0043】
図6に示すように、制御部60は、図1に示すように、前側ケース部12Aの噴霧孔36よりも下方に位置する部位に押圧操作可能に配置されたスイッチSWが接続されている。制御部60は、マイクロプロセッサから構成されている。制御部60には、バッテリ収納部16に収納されたバッテリ17が電気的に接続されている。スイッチSWが押圧操作されている間はオン状態となり、制御部60は、この操作により、電極50,51間に電気分解用の電圧を印加するとともに、同時に振動子34を超音波振動させることが可能である。又、スイッチSWの押圧操作が解除されると、前記電極50,51間の電圧の印加を解除するとともに、振動子34の振動を停止制御することが可能である。
【0044】
(実施形態の作用)
さて、上記のように構成されたミスト発生装置10の作用を説明する。
タンク14内に、化粧水等の水を溶媒とする溶液が貯留されるとともに、図3、図5に示すように、キャップ15が本体ケース12から取り外された状態で、スイッチSWをオンにすると、制御部60は、電極50,51間に電気分解の電圧を印加するとともに、振動子34を超音波振動させる。
【0045】
この状態では、下部貯留部S2にある電極50,51により溶液が電気分解される。例えば、交流により、電気分解されると、各電極では、その極性が交互に変化するとともに、その極性に合わせて、水が電気分解される。この電気分解では、電極間に隔膜のない状態で行われるため、両極での反応生成物が混和する。この場合、仮に溶液にpH調整されていない場合は、電解生成物のバランスがHより、OHの方に傾くために生成する電解水は、弱アルカリ性(pH8〜9)となる。又、pH調整されて電解水が5〜6.5となるようにされている場合、微酸性の電解水となる。前記弱アルカリ性及び微酸性の電解水は、殺菌能力があることが知られている。しかしながら、これらは反応性は高いが、不安定であるため、できるだけ生成された新鮮な電解水を噴出することが好ましい。
【0046】
又、多孔噴霧プレート33の微細孔に液が毛細管現象により浸透した状態で、振動子34によって、多孔噴霧プレート33が厚さ方向へ超音波振動により振動されるため、浸透した状態の電解水は、ミスト化されて噴霧孔36から噴出されるとともに、前記混和された電解水は、振動子34の振動により、多孔噴霧プレート33側に引き寄せられ、前記電解水(すなわち、混和された液)がミストとなって、噴霧孔36から噴出される。
【0047】
この場合、本実施形態では、従来と異なり、電極と多孔噴霧プレート33間には、吸液媒体が存在しないため、電気分解されて生成された新鮮な混和された液が噴霧されることになる。従来は、スイッチがオン操作される前に前記吸液媒体に含まれた液は、電気分解された混和水といえども、時間が経過したものであるため、スイッチが操作されない中断時間が長いほど、新鮮なものではなくなる。これに対して、本実施形態では、多孔噴霧プレート33に浸透した部分のミストとして噴出された後は、電極での電気分解生成物が混和した状態で即座にミスト化することができる。
【0048】
又、タンク14内の溶液が少なくなった場合は、多孔噴霧プレート33の微細孔から空気が入るが、この空気は、通路部46内に入ると、空気抜き溝47を通過して、電極50,51に阻止されることなく、下部貯留部S2,上部貯留部S1を経てタンク14の上部にある溶液上面と開閉蓋42間の空間に移動することができる。
【0049】
本実施形態では、下記の特徴を有する。
(1) 本実施形態のミスト発生装置10は、タンク14と、タンク14の底部44bに設けられ、液を電気分解する一対の電極50,51と、タンク14の底部44bに設けられた通路部46(液送出路)と、通路部46を通過した液をミスト化する振動子ユニット30(ミスト生成部)とを備える。そして、通路部46を、吸液機能を有しない非吸液通路としている。
【0050】
この結果、本実施形態のミスト発生装置10は、使用時に、早期に殺菌力のあるミストを利用できる。
(2) 本実施形態のミスト発生装置10は、通路部46(非吸液通路)には、振動子ユニット30(ミスト生成部)から空気が侵入した際、空気をタンク14内にガイドする空気抜き溝47(空気抜き部)が設けられている。
【0051】
特許文献1、及び特許文献2は、多孔噴霧プレートに対しては吸液媒体が介在しているため、前述したように電解液の移動が阻害されやすく、又、噴霧によってタンク内の液の減少にともない多孔噴霧プレート及び吸液媒体を介して外部から補給される空気が入り込む場合、空気の流通は流出口通路が長いため阻害されやすい。これに伴って、電極側へ補給されるべき液の補充が悪くなり電解液の生成効率が落ちる問題がある。
【0052】
これに対して、本実施形態では、吸液媒体を備えていないため、空気の流通を阻害することがなく、電解液の生成効率が落ちることがない。
(3) 特許文献2は、空気抜きの構造をもっているが、特許文献2の棒状電極は、通路の上下に亘って掛けているため、該空気が、棒状電極に引っかかる場合があり、空気のタンク内への移動を阻害する虞がある。このため、空気の流通を阻害して、これに伴って、電極側へ補給されるべき液の補充が悪くなり電解液の生成効率が落ちることがある。
【0053】
それに対して、本実施形態のミスト発生装置10は、空気抜き溝47(空気抜き部)と、電極50,51間が離間しているため、このような問題は生ずることがない。
(4) 本実施形態のミスト発生装置10は、タンク14の底部44b底面と通路部46(非吸液通路)の内周面下部(すなわち、下面)とが面一となっているため、タンク14内の液が少量になった場合においても、その液を振動子ユニット30(ミスト生成部)へ供給することができる。
【0054】
(5) 本実施形態のタンク14は、ミスト生成部側に位置する前側壁43a,前側壁44a(第1側壁)と、反ミスト生成部側に位置した平板状の第2側壁と、第1側壁及び第2側壁の両側部を互いに連結する右側壁45a,左側壁45b(一対の連結壁)と、底部44b(底壁)を有する。又、タンク14の振動子ユニット30側の前側壁であって、下部の部位の前側壁44aは、上部の部位の前側壁43aよりも反ミスト生成部側に後退して形成されている。前側壁44aには筒状の通路部46を振動子ユニット30(ミスト生成部)側へ突出して非吸液通路としている。そして、通路部46の先端は、タンク14の上部の部位の前側壁43aよりも振動子ユニット30(ミスト生成部)側に突出しないようにしている。この結果、本実施形態では、タンク14における振動子ユニット30方向の長さを前側壁43aの振動子ユニット30の前側面(外側面)と、後側壁45c(第2側壁)の反振動子ユニット30(ミスト生成部)側の後側面(外側面)間の距離に抑制できる。このことから、タンクを小型化できる。
【0055】
なお、本発明の実施形態は前記実施形態に限定されるものではなく、下記のように変更しても良い。
・ 前記実施形態では、タンク本体40は、上部タンク部43、下部タンク部44は横断面が四角形状としたが、四角形状に限定されるものではなく、他の形状、例えば、横断面が円形状、楕円形状等の他の形状にしてもよい。
【0056】
・ 前記実施形態では、通路部46は、上部タンク部43の前側壁43aから前方へ突出しないようにしたが、突出するように形成してもよい。又、前記実施形態では上部タンク部43、下部タンク部44に2分するようにしたが、斜状壁44cを省略して、前側壁43a、44aを面一にしてもよい。
【0057】
・ 前記実施形態では電極50,51を棒状に形成したが、形状は限定されるものではなく、液を電気分解するのに都合のよい形状であれば、制限されるものではなく、板状に形成して互いに対向するように配置してもよい。
【0058】
・ 前記実施形態では、水を溶媒とする化粧水をタンク14に貯留するようにしたが、タンク14に硬水、又は軟水等の水(ただし、不良導体である純水を除く)のみを貯留してもよい。
【0059】
・ 前記実施形態では、通路部46前端(すなわち、先端)は、前側壁43aよりも前方には突出しないように設定されているが、突出するように形成してもよい。
・ 前記実施形態では、電気分解を交流又はパルスにより行うようにしたが、直流で行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0060】
10…ミスト発生装置、12…本体ケース、12A…前側ケース部、
12B…後側ケース部、13…装着部、14…タンク、15…キャップ、
16…バッテリ収納部、17…バッテリ、18…バッテリーカバー、
19…段部、20…側壁、21…ガイド部、22…ガイド部、
23…係止段部、24…端子、25…端子、26…貫通孔、
30…振動子ユニット(ミスト生成部)、32…支持プレート、
33…多孔噴霧プレート、34…振動子、35…パッキン、
36…噴霧孔、37…筒部、37a…フランジ部、38…係止段部、
39…Oリング、40…タンク本体、41…開口部、42…開閉蓋、
42a…掛け止め片、43…上部タンク部、43a…前側壁、
43b…凸部、44…下部タンク部、
44a…前側壁(前側壁43aとともに第1側壁を構成する)、
44b…底部(底壁)、44c…斜状壁、45a…右側壁(連結壁)、
45b…左側壁(連結壁)、45c…後側壁(第2側壁)、
46…通路部(非吸液通路)、47…空気抜き溝(空気抜き部)、
48…シール材、50…電極、51…電極、52…Oリング、
53…押さえ部材、54…係止部、60…制御部、S1…上部貯留部、
S2…下部貯留部、H…仮想平面、L…中心線、SW…スイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水又は水を溶媒とする液を貯留するタンクと、
前記タンクの底部に設けられ、前記液を電気分解する一対の電極と、
前記タンクの底部に設けられた液送出路と、
前記液送出路を通過した前記液をミスト化するミスト生成部とを備えるとともに、
前記液送出路を、吸液機能を有しない非吸液通路としたことを特徴とするミスト発生装置。
【請求項2】
前記非吸液通路には、前記ミスト生成部から空気が侵入した際、前記空気をタンク内にガイドする空気抜き部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のミスト発生装置。
【請求項3】
前記空気抜き部と、前記電極間が離間していることを特徴とする請求項2に記載のミスト発生装置。
【請求項4】
前記タンクの底部底面と前記非吸液通路の下面とが面一となっていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか1項に記載のミスト発生装置。
【請求項5】
前記タンクは、ミスト生成部側に位置する第1側壁と、反ミスト生成部側に位置した平板状の第2側壁と、第1側壁及び第2側壁の両側部を互いに連結する一対の連結壁と、第1側壁、第2側壁及び両連結壁の下端に連結された底壁を有し、
前記第1側壁の下部の部位は、上部の部位よりも反ミスト生成部側に後退して形成され、
前記後退して形成された前記下部の部位に対して筒状の通路部をミスト生成部側へ突出して前記非吸液通路とし、
前記通路部の先端は、前記第1側壁の上部の部位よりもミスト生成部側に突出しないことを特徴とする請求項1乃至請求項4のうちいずれか1項に記載のミスト発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−166124(P2012−166124A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−27360(P2011−27360)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(599083411)株式会社 MTG (16)
【Fターム(参考)】