説明

ミュート装置及びオーディオ機器

【課題】ケーブル挿入時とケーブル抜き時との両方で効果的に異音発生を抑止できるミュート装置及びオーディオ機器を提供する。
【解決手段】ケーブルの挿入の有無を、時間間隔を空けて検出し、挿入の有無に変化を検出した場合に、検出時のチャタリング除去をすると共に、変化後の挿入の有無が継続するか否かを監視時間Tの間、監視する制御部を備え、監視時間Tを、ケーブルが抜かれる時よりも、ケーブルが挿入される時の方を長く設定した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルが挿入部に挿入されるとミュートオフし、ケーブルが挿入部から抜かれるとミュートオンするミュート回路を備えたミュート装置及びオーディオ機器に関する。
【背景技術】
【0002】
オーディオ用やビジュアル用の電子機器には、音声ケーブルや映像ケーブルが接続されるコネクタとミュート回路とを備えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
この種の装置には、ケーブルが接続されているか否かを判断し、この判断処理が終了すると、ミュート回路を非動作状態(ミュートオフ)に切り換える構成を具備するものがある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−340038号公報
【特許文献2】特開平11−275460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献2の構成では、ケーブル接続時のインピーダンスに基づいてケーブルが接続されているか否かを判断するだけでミュート回路を切り換え制御するため、ケーブル挿入時とケーブル抜き時とで判断処理に要する時間が略等しく、ミュート回路が切り替わるまでの時間も略等しくなる。
この場合、ミュート回路が切り換えるまでの時間が等しいと、ケーブル挿入時とケーブル抜き時とのいずれかで異音が発生してしまうおそれがある。具体的には、ケーブル挿入時とケーブル抜き時とですぐにミュート回路が切り替わった場合には、ケーブル挿入中にミュートオフへ切り替わってしまい、ケーブル挿入中に生じる異音(ガリ音等)が外部に放音されてしまうおそれが生じる。一方、ケーブル挿入時とケーブル抜き時とで長時間経ってからミュート回路が切り替わった場合には、ケーブルが抜かれて入力オープンになったときにミュートオフの場合が生じ、外部ノイズが外部に放音されてしまうおそれが生じる。
【0005】
そこで、本発明の目的は、上述した従来の技術が有する課題を解消し、ケーブル挿入時とケーブル抜き時との両方で効果的に異音発生を抑止できるミュート装置及びオーディオ機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、ケーブルが挿入部に挿入されるとミュートオフし、ケーブルが挿入部から抜かれるとミュートオンするミュート回路を備えたミュート装置において、前記ケーブルの挿入の有無を、時間間隔を空けて検出し、挿入の有無に変化を検出した場合に、検出時のチャタリング除去をすると共に、変化後の挿入の有無が継続するか否かを所定の監視時間の間、監視する制御部を備え、前記監視時間を、前記ケーブルが抜かれる時よりも、前記ケーブルが挿入される時の方を長く設定したことを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、ケーブルの挿入の有無を、時間間隔を空けて検出し、挿入の有無に変化を検出した場合に、検出時のチャタリング除去をすると共に、変化後の挿入の有無が継続するか否かを所定の監視時間の間、監視する制御部を備え、監視時間を、ケーブルが抜かれる時よりも、ケーブルが挿入される時の方を長く設定したので、ケーブルが挿入される時の監視時間が相対的に長くなり、ケーブルが挿入されたと誤検出する事態を回避することができると共に、ミュートオフへ切り替わるタイミングが遅くなり、ケーブル挿入時の異音発生を抑止できる。
また、ケーブルが抜かれる時の監視時間が相対的に短くなるので、ケーブルが抜かれた際にミュートオンに切り替わるタイミングを早くでき、ケーブル引き抜き時の異音発生を抑止できる。従って、ケーブル挿入時とケーブル抜き時との両方で効果的に異音発生を抑止できる。
【0008】
上記構成において、前記ケーブルが挿入される時の前記監視時間を、前記ケーブルの挿入の誤検出の無い時間に設定してもよい。この構成によれば、ケーブルが確実に挿入された状態でミュートオフへと切り替えることができる。
また、上記構成において、前記ケーブルが抜かれる時の前記監視時間を、チャタリングの発生時間を下回らない最短時間に設定してもよい。この構成によれば、ケーブル抜き時のチャタリングの影響を回避しつつ入力オープンになる前にミュートオンへ切り替えることができる。
【0009】
また、本発明は、外部機器に接続したケーブルを挿入する挿入部と、前記ケーブルを介して送信される音声信号に基づいて音声出力を行う音声出力部と、前記ケーブルが前記挿入部に挿入されるとミュートオフし、前記ケーブルが前記挿入部から抜かれるとミュートオンするミュート回路とを備え、前記ケーブルの挿入の有無を、時間間隔を空けて検出し、挿入の有無に変化を検出した場合に、検出時のチャタリング除去をすると共に、変化後の挿入の有無が継続するか否かを所定の監視時間の間、監視する制御部を備え、前記監視時間を、前記ケーブルが抜かれる時よりも、前記ケーブルが挿入される時の方を長く設定したことを特徴とするオーディオ機器を提供する。この構成によれば、ケーブル挿入時とケーブル抜き時との両方で効果的に異音発生を抑止できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ケーブル挿入時とケーブル抜き時との両方で効果的に異音発生を抑止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る車載オーディオ機器の外観構成を示す図である。
【図2】車載オーディオ機器の構成を示すブロック図である。
【図3】ミュート回路の制御動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る車載オーディオ機器の外観構成を示す図であり、図2は車載オーディオ機器の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、この車載オーディオ機器10は、移動体である車両に搭載され、音声・映像用のケーブル11を介して車両内の外部機器12から出力される音声信号や映像信号(以下、これら信号を再生信号という)を入力し、音声信号を入力した場合は対応する音声をスピーカー13から放音させ、映像信号を入力した場合は対応する映像を映像出力部14から出力(表示)させる装置である。
ここで、外部機器12は、オーディオプレーヤー、DVDプレーヤー、携帯側プレーヤー、デジタルスチルカメラ及びデジタルビデオカメラ等の再生装置である。
【0013】
この車載オーディオ機器10は、図1及び図2に示すように、音声・映像用のケーブル11が挿入されるケーブル挿入部21を具備する。このケーブル挿入部21は、ステレオ音声の左右に各々対応する音声用のケーブル(音声ケーブル)11L、11Rが各々挿入される音声入力用ケーブル挿入部21L、21Rと、映像用のケーブル(映像ケーブル)11Vが挿入される映像入力用ケーブル挿入部21Vとを備えている。
本構成では、音声・映像用のケーブル11として、先端にピンプラグ11Aが接続されたピンケーブルが用いられ、ケーブル挿入部21L、21R及び21Vは、ピンプラグ入力端子を各々備えている。以下、ケーブル11L、11R及び11Vを特に区別する必要がない場合は、ケーブル11と表記し、ケーブル挿入部21L、21R及び21Vを特に区別する必要がない場合はケーブル挿入部21と表記する。
【0014】
ケーブル挿入部21は、図1に示すように、車載オーディオ機器10の筐体15の前面に設けられる。この車載オーディオ機器10を車両に設置した場合には前面だけが車内に露出し、車内からケーブル11を容易に抜き挿しできるように構成されている。つまり、車内に持ち込まれた携帯側プレーヤーやデジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラといった携帯型の再生装置を容易にケーブル接続することができる。
図示の例では、この車載オーディオ機器10が、音声と映像で構成される映画等のコンテンツを入力するための一系統のケーブル挿入部21(つまり、左右(ステレオ)の音声信号とコンポジット映像信号を入力するケーブル挿入部21)を前面に備えている。但し、一系統に限らず、複数系統のケーブル挿入部21を前面に備えていても良い。なお、図示は省略しているが、この筐体15の前面以外(例えば、背面)にも、ケーブル挿入部21が設けられ、前面以外のケーブル挿入部21には、車内に設置されたオーディオプレーヤーやDVDプレーヤー等の車載再生装置からのケーブル11が接続される。また、図1中、符号17は、車載オーディオ機器10を操作するための操作子であり、具体的には、電源スイッチやボリューム調整用操作子等である。
【0015】
図2に示すように、この車載オーディオ機器10は、音声入力用ケーブル挿入部21L、21Rの出力側に、音声出力系統(音声出力部)30を構成する音声回路31と音声用アンプ(音声出力部)32とを備えており、音声入力用ケーブル挿入部21L、21Rを介してケーブル11L、11Rから入力した音声信号を音声回路31で音声処理して音声用アンプ32で増幅し、増幅信号でスピーカー13を駆動する。これによって、音声信号に対応する音声がスピーカー13から放音される。なお、スピーカー13は、車両に設置されたスピーカーであるが、車載オーディオ機器10に内蔵したスピーカーでもよい。
【0016】
また、車載オーディオ機器10は、映像入力用ケーブル挿入部21Vの出力側に、映像出力系統(映像出力部)34を構成する映像回路35と映像用アンプ36とを備え、映像入力用ケーブル挿入部21Vを介してケーブル11Vから入力した映像信号を映像回路35で映像処理して映像用アンプ36で増幅し、映像出力部14に出力する。これによって、映像信号に対応する映像が車載オーディオ機器10の映像出力部14に表示される。この映像出力部14は、例えば、液晶表示装置で構成される。なお、この映像出力部14は、車載オーディオ機器10の筐体15内に内蔵される構成に限らず、別体の表示装置でもよい。
【0017】
さらに、この車載オーディオ機器10は、音声入力用ケーブル挿入部21L、21Rの出力側(後段)に設けられる音声ミュート回路41Aと、映像入力用ケーブル挿入部21Vの出力側(後段)に設けられる映像ミュート回路41Bと、ケーブル挿入部21へのケーブル接続の有無を検出する接続検出回路42と、接続検出回路42の検出結果を入力すると共に車載オーディオ機器10の各部を制御するマイコン(制御部)51とを備えている。
音声ミュート回路41Aは、音声回路31と音声用アンプ32との間、つまり、音声用アンプ32の前段に配置され、マイコン51の制御の下、音声出力系統をミュートオン状態、ミュートオフ状態に切り換える回路である。すなわち、音声ミュート回路41Aは、スイッチ構造を備え、マイコン51からミュートオンが指示された場合には、スイッチを解放状態にすることで音声用アンプ32を切り離し、スピーカー13を停止状態にする。また、音声ミュート回路41Aは、マイコン51からミュートオフが指示された場合には、スイッチを閉状態にして音声用アンプ32に信号入力させ、音声信号に対応する音声をスピーカー13から放音可能にする。
【0018】
映像ミュート回路41Bは、映像回路35と映像用アンプ36との間、つまり、映像用アンプ36の前段に配置され、マイコン51の制御の下、映像出力系統をミュートオン状態、ミュートオフ状態に切り換える回路である。
映像ミュート回路41Bは、音声ミュート回路41Aと同構造であり、マイコン51からミュートオンが指示された場合には、映像用アンプ36を切り離し、映像出力部14からの映像出力を停止状態にする。なお、この場合は、ケーブル11Vからの入力映像信号に対する映像の出力が停止されるだけで、それ以外の映像(操作画面など)は表示可能である。
また、映像ミュート回路41Bは、マイコン51からミュートオフが指示された場合には、映像用アンプ36に信号入力させ、映像信号に対応する映像を映像出力部14から出力可能にする。これら音声ミュート回路41A及び映像ミュート回路41Bは、公知のミュート回路を広く適用することができる。以下の説明において、音声ミュート回路41A及び映像ミュート回路41Bを特に区別する必要がない場合には、ミュート回路41と表記する。
【0019】
接続検出回路42は、ケーブル挿入部21とケーブル11のピンプラグ11Aとの導通の有無によりケーブル接続の有無を検出する回路であり、導通している場合はケーブル接続有りを示すHiレベルの信号を出力し、非導通の場合はケーブル接続無しを示すLowレベルの信号を出力する。これら信号は、マイコン51の入力端子に入力され、マイコン51は入力端子のHi/Lowを検出することにより、ケーブル接続の有無を検出できる。この接続検出回路42は、公知の構成を広く適用でき、例えば、ケーブル挿入部21に接続された負荷(外部機器12)のインピーダンスを測定することによりケーブル接続の有無を検出する構成を適用すればよい。
【0020】
マイコン51は、この車載オーディオ機器10の各部を制御するコンピューターとして機能する。このマイコン51は、ミュート回路41に関しては、接続検出回路42の検出結果に基づいてケーブル11が挿入されたか抜かれたかを判定する判定処理を行い、この判定結果に基づいてケーブル11が挿入されている場合は、ミュート回路41をミュートオフに制御し、ケーブル11が抜かれている場合は、ミュート回路41をミュートオンに制御するミュート制御処理を行う。
【0021】
次に、この車載オーディオ機器10におけるミュート回路41の制御動作(判定処理及びミュート制御処理)を説明する。
図3は、この場合の動作を示すフローチャートである。なお、本装置10では、音声系と映像系とで各々独立してミュート回路41を制御するが、その制御動作は同じであるため、以下、音声系と映像系とを特に区別せずに説明する。
また、図3に示す処理フローは定周期起動であり、つまり、車載オーディオ機器10を電源オンの状態にした場合に一定の周期で起動され、本実施形態では、この起動周期が10msに設定されている。なお、前提として、ケーブル11が挿入されている場合は、マイコン51によりミュート回路41がミュートオフに制御され、ケーブル11が抜かれている場合は、マイコン51によりミュート回路41がミュートオンに制御される。
【0022】
まず、マイコン51は、起動毎にケーブル挿入部21へのケーブル挿入の有無を検出し、前回と差分有りか否か、つまり、ケーブル挿入の有無に変化があったか否かを判定する(ステップS1)。なお。電源投入直後で前回の検出結果がない場合には、差分無しと判定し(ステップS1:NO)、後述するステップS5の処理へと移行する。
一方、ケーブル挿入の有無に変化があった場合(ステップS1:YES)、マイコン51は、現在ケーブル11が挿されていれば、つまり、ケーブル挿入に伴う変化であれば(ステップS2:YES)、チャタリング除去処理を開始すると共に、監視時間Tを第1監視時間T1に設定する処理を行う(ステップS3)。
一方、ステップS2の判定で、現在ケーブル11が挿されていない場合、つまり、ケーブル抜きに伴う変化であれば(ステップS2:NO)、マイコン51は、チャタリング除去処理を開始すると共に、監視時間Tを第2監視時間T2に設定する処理を行う(ステップS4)。
【0023】
ここで、ケーブル11を抜き挿しする間は、ケーブル11のピンプラグ11Aとケーブル挿入部21との物理的な接触が安定しないため、チャタリングが発生するおそれがある。上記チャタリング除去処理は、マイコン51の入力端子に入力されるHi/Low信号からケーブル11の抜き時や差し時に生じるチャタリングを除去する処理であり、除去時間だけHi/Low信号を無効にする処理を行う。なお、このチャタリング除去処理は、公知の処理を広く適用することができる。チャタリング除去のためのハードウェア構成(チャタリング除去回路)を設ける場合は、接続検出回路42内、マイコン51内、又は、接続検出回路42とマイコン51との間に設ければよく、チャタリング除去をソフトウェア処理で行う場合は、マイコン51で行えばよい。
【0024】
また、上記第1監視時間T1は、ケーブル11が挿入された際に挿入の状態が継続するか否かを監視する監視時間であり、挿入の誤検出のない時間に設定される。例えば、この第1監視時間T1は、乗員(ユーザー)がケーブル11を完全に挿入するのに十分な時間であり、本構成では200msに予め設定される。
また、上記第2監視時間T2は、ケーブル11が抜かれた際に抜かれた状態が継続するか否かを監視する監視時間であり、ケーブル11が抜かれる時のチャタリングの発生時間を下回らない最短時間に設定される。この第2監視時間T2は、少なくとも第1監視時間T1よりも短い時間に設定され、本構成では40msに予め設定される。
【0025】
マイコン51は、上記ステップS3、又はS4の処理を行うと当該処理を終了し、起動周期(10ms)の時間経過後に、再びステップS1の処理を実行する。
このステップS1の処理において、ケーブル挿入の有無に変化がない場合(ステップS1:NO)、マイコン51は、チャタリング除去中でなければ(ステップS5:NO)、当該処理を終了し、現在のミュート回路41の状態(ミュートオン状態かミュートオフ状態のいずれか)を維持する。
一方、チャタリング除去中であれば(ステップS5:YES)、マイコン51は、設定された監視時間Tから起動周期(10ms)を減算し(ステップS6)、監視時間Tが経過したか否か、つまり、監視時間Tが零に至ったか否かを判定する(ステップS7)。
【0026】
マイコン51は、監視時間Tが経過していなければ当該処理を終了する。このため、ケーブル挿入の有無に変化がなく(ステップS1:NO)、チャタリング除去中(つまり、監視時間Tが設定済み)の状態であれば(ステップS5:YES)、当該処理の起動毎に監視時間Tが起動周期の時間だけ減算され、監視時間Tが経過するまでこの状態が保持される。
監視時間Tが経過した場合(ステップS7:YES)、マイコン51は、チャタリング除去を終了し、ケーブル11が挿入されたか抜かれたかを確定する(ステップS8)。
【0027】
すなわち、ケーブル挿入有りの状態であれば、マイコン51は、ケーブル11が挿入されている(IN確定)と判定する(ステップS8:IN確定)。この場合、マイコン51は、ミュート回路41(音声ミュート回路41A、映像ミュート回路41B)をミュートオフ(音声(映像)ミュートオフ)に制御した後(ステップS9)、該処理を終了する。
一方、ケーブル挿入無しの状態であれば、マイコン51は、ケーブル11が抜かれている(OUT確定)と判定する(ステップS8:OUT確定)。この場合、マイコン51は、ミュート回路41(音声ミュート回路41A、映像ミュート回路41B)をミュートオン(音声(映像)ミュートオン)に制御した後(ステップS10)、該処理を終了する。以上がミュート回路41の制御動作である。
【0028】
上記処理を繰り返し実行することで、ケーブル11の挿入の有無が時間間隔を空けて検出され(ステップS1)、ケーブル11の挿入の有無に変化があると、ステップS1からステップS2の処理へと移行し、例えば、ケーブル11が挿入されると、ステップS3に移行して、チャタリング除去が開始されると共に、ケーブル挿入状態が継続するか否かを監視する第1監視時間T1が設定され、この第1監視時間T1の間、その状態が継続すると、第1監視時間T1が経過したタイミングでチャタリング除去が終了すると共にミュートオフへ制御される(ステップS1→S5〜S9)。
その後、ケーブル11が抜かれると、ステップS2からステップS4へと移行し、チャタリング除去が開始されると共に、ケーブル抜き状態が継続するか否かを監視する第2監視時間T2が設定され、この第2監視時間T2の間、その状態が継続すると、第2監視時間T2が経過したタイミングでチャタリング除去が終了すると共にミュートオフからミュートオンへと切り替わる(ステップS1→S5〜S8→S9)。
【0029】
さらにその後に、ケーブル11が挿入されると、上記のように第1監視時間T1の経過を待ってミュートオフへ制御されるので、ミュートオンからミュートオフへと切り替わる。
一方、第1監視時間T1又は第2監視時間T2の監視を行っている間に、ケーブル11の挿入の有無に変化があると、ステップS1からステップS2へと移行し、現在のケーブル接続の有無に応じてステップS4又はステップS3の処理へ移行し、監視時間Tが再設定され、再設定後の監視時間T(第2監視時間T2又は第1監視時間T1)で変化後の挿入の有無が継続するか否かが判定される。すなわち、ケーブル挿入の有無に変化があった直後に再び変化があれば、最新のケーブル挿入の状態が優先され、最新のケーブル挿入状態に基づいて監視時間Tの設定及び監視が行われる。
【0030】
このように、ケーブル11が挿入されたことを検知してからミュートオフへと切り替わる時間が第1監視時間T1とされ、ケーブル11が抜かれたことを検知してからミュートオンへと切り替わる時間が第2監視時間T2とされ、この第1監視時間T1が第2監視時間T2より長い時間に設定されるので、ケーブル11が挿入される時の監視時間(第1監視時間T1)が相対的に長くなり、ケーブル11が挿入されたと誤検出する事態を回避することができる。また、ケーブル挿入時にミュートオフへと切り替わるタイミングが遅くなるので、ケーブル11が完全に挿入される前にミュートオフへ切り替わってしまい、ケーブル挿入に伴うガリ音等の異音発生を抑止できる。
また、ケーブル11が抜かれる時の監視時間(第2監視時間T2)が相対的に短くなり、ケーブル11が抜かれた際にミュートオンに切り替わるタイミングを早くできる。このため、ケーブル引き抜き時のガリ音やケーブル11が抜けて入力オープンになることで拾ってしまう外部ノイズによる異音発生を抑止できる。
【0031】
しかも、上記第1監視時間T1及び第2監視時間T2で監視を行う間は、ケーブル11の抜き挿しに起因するチャタリングを除去する処理を行うので、チャタリングの影響による誤検出を回避できる分、精度良くケーブル11の挿入の有無を検出でき、その挿入状態が維持されるか否かの監視を高精度で行うことができる。このため、ケーブル11が挿入された時は上記第1監視時間T1が経過したタイミングで、確実にミュートオフへ切り替えできると共に、ケーブル11が抜かれた時は上記第2監視時間T2が経過したタイミングで、確実にミュートオンへ切り替えでき、挿入時と抜き時とで切り替えに要する時間をそれぞれ精度良く一定時間にすることができる。
【0032】
以上説明したように、本実施の形態によれば、ケーブル11の挿入の有無を、時間間隔を空けて検出し、挿入の有無に変化を検出した場合に、検出時のチャタリング除去を開始すると共に、変化後の挿入の有無が継続するか否かを監視する監視時間Tの計時を開始し、この監視時間Tを、ケーブル11が抜かれる時よりも、ケーブル11が挿入される時の方を長く設定したので、ケーブル挿入時とケーブル抜き時との両方で効果的に異音発生を抑止できる。
また、ケーブル11が挿入される時の監視時間Tを、ケーブル11の挿入の誤検出の無い時間(第1監視時間T1)に設定したので、ケーブル11が確実に挿入された状態でミュートオフへと切り替えることができる。
また、ケーブル11が抜かれる時の監視時間Tを、チャタリングの発生時間を下回らない最短時間(第2監視時間T2)に設定したので、ケーブル抜き時のチャタリングの影響を回避しつつ入力オープンになる前にミュートオンへ切り替えることができる。
【0033】
上述した実施形態は、あくまで本発明の一態様に過ぎず、本発明の範囲内で任意に変形が可能である。例えば、上述の実施形態では、ケーブル11の挿入の有無を時間間隔を空けて検出して挿入の有無に変化を検出した直後に、チャタリング除去と監視時間Tの計時とを各々開始する場合について述べたが、これらの開始タイミングは上記タイミングに限定されない。要は、ケーブル11の挿入の有無に変化を検出した場合に、チャタリング除去をすると共に、変化後の挿入の有無が継続するか否かを所定の監視時間Tの間、監視するようにすればよい。
また、上述の実施形態では、本発明を車載オーディオ機器10に適用する場合について説明したが、ケーブルの挿入に応じてミュートオフ・ミュートオンするミュート回路を備えたミュート装置に広く適用することができ、例えば、カーアンプ、カーナビゲーション装置などの他の車載装置や、ホーム用のオーディオ機器等のホーム用機器に広く適用することができる。なお、この車載装置が搭載される車両は、自動車に限らず、自動二輪車や自転車などを含む広義の車両を意味する。
【符号の説明】
【0034】
10 車載オーディオ機器
11 ケーブル
12 外部機器
21 ケーブル挿入部
21L、21R 音声入力用ケーブル挿入部
21V 映像入力用ケーブル挿入部
30 音声出力系統(音声出力部)
34 映像出力系統(映像出力部)
41 ミュート回路
51 マイコン(制御部)
T 監視時間
T1 第1監視時間
T2 第2監視時間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルが挿入部に挿入されるとミュートオフし、ケーブルが挿入部から抜かれるとミュートオンするミュート回路を備えたミュート装置において、
前記ケーブルの挿入の有無を、時間間隔を空けて検出し、挿入の有無に変化を検出した場合に、検出時のチャタリング除去をすると共に、変化後の挿入の有無が継続するか否かを所定の監視時間の間、監視する制御部を備え、前記監視時間を、前記ケーブルが抜かれる時よりも、前記ケーブルが挿入される時の方を長く設定したことを特徴とするミュート装置。
【請求項2】
前記ケーブルが挿入される時の前記監視時間を、前記ケーブルの挿入の誤検出の無い時間に設定したことを特徴とする請求項1に記載のミュート装置。
【請求項3】
前記ケーブルが抜かれる時の前記監視時間を、チャタリングの発生時間を下回らない最短時間に設定したことを特徴とする請求項1又は2に記載のミュート装置。
【請求項4】
外部機器に接続したケーブルを挿入する挿入部と、
前記ケーブルを介して送信される音声信号に基づいて音声出力を行う音声出力部と、
前記ケーブルが前記挿入部に挿入されるとミュートオフし、前記ケーブルが前記挿入部から抜かれるとミュートオンするミュート回路とを備え、
前記ケーブルの挿入の有無を、時間間隔を空けて検出し、挿入の有無に変化を検出した場合に、検出時のチャタリング除去をすると共に、変化後の挿入の有無が継続するか否かを所定の監視時間の間、監視する制御部を備え、前記監視時間を、前記ケーブルが抜かれる時よりも、前記ケーブルが挿入される時の方を長く設定したことを特徴とするオーディオ機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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